JP5447800B2 - 製本物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、両面に画像が形成された印画物を複数枚、重ねた製本物の製造方法に関し、更に詳しくは基材シートの両面に染料受容層を設け、その両面の染料受容層に熱転写による画像が形成され、その両面の熱転写画像の少なくとも一部を覆うように保護層が、基材シートの両面に形成された印画物において、印画物が複数枚、重なった状態で取扱う際に、印画物同士の表と裏が擦られて、異音が生じることを防止した印画物を複数枚、重ねた製本物の製造方法に関するものである。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、それらの中でも、昇華転写用染料を記録材とし、これをポリエステルフィルム等の基材上に適当なバインダーで担持させた染料層を有する熱転写シートから、昇華染料で染着可能な被転写材、例えば、紙やプラスチックフィルム等に染料受容層を形成した熱転写受像シート上に昇華染料を熱転写し、各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この場合には、加熱手段として、プリンターのサーマルヘッドによる加熱によって、3色または4色の多数の加熱量が調整された色ドットを熱転写受像シートの受容層に転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラーを再現するものである。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様であり、かつフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
また、マルチメディアに関連した様々なハードおよびソフトの発達により、上記の熱転写方法は、コンピューターグラフィックス、衛星通信による静止画像そしてCD−ROMその他に代表されるデジタル画像及びビデオ等のアナログ画像のフルカラーハードコピーシステムとして、その市場を拡大している。
この熱転写方法による熱転写受像シートの具体的な用途は、多岐にわたっている。代表的なものとしては、印刷の校正刷り、画像の出力、CAD/CAMなどの設計およびデザインなどの出力、CTスキャンや内視鏡カメラなどの各種医療用分析機器、測定機器の出力用途そしてインスタント写真の代替として、また身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類への顔写真などの出力、さらに遊園地、ゲームセンター、博物館、水族館などのアミューズメント施設における合成写真、記念写真としての用途など多岐になってきている。
そのような用途の一つとして、両面にプリント可能な熱転写受像シートが挙げられる。両面にプリント可能な熱転写受像シートは、シート枚数を減少させて省資源化を図るだけでなく、写真アルバム等の小冊子状にする新しい形態のカラープリントを作製することや、ハガキや各種のカード類等の作製に使用することにも適している。したがって、両面にプリント可能な熱転写受像シートとして、いくつかの提案がある。
例えば、特許文献1には、一方の面の受容層と他方の面の受容層とが、互いに異なる樹脂で構成され、更に一方の面の受容層自体もしくは両方の面の受容層自体を非ブロッキング性にするために、微粉末シリカ、アルミナ等を含有する被熱転写シートが提案されている。また特許文献2では、基材シートの両面に染料受容層を形成し、前記染料受容層の双方がマット化されてなる熱転写受像シートが示されている。
しかしながら、上記のような熱転写受像シートでは、熱転写受像シート同士が重なった状態で、擦られると、異音が生じてしまい、取り扱う人等は、その音で気障りとなり、気分が悪くなったりして、人にダメージを与えるという問題がある。
特許第2736411号公報 特開平5−229265号公報
したがって、上記の問題を解決するために本発明の目的は、基材シートの両面に染料受容層を設け、その両面の染料受容層に熱転写による画像が形成され、その両面の熱転写画像の少なくとも一部を覆うように保護層が、基材シートの両面に形成された印画物において、印画物が複数枚、重なった状態で取扱う際に、印画物同士の表と裏が擦られて、異音が生じることを防止した印画物を複数枚、重ねた製本物の製造方法を提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、両面に画像が形成された印画物を複数枚、重ねた製本物の製造方法であって、
前記印画物は、基材シートの両面に染料受容層を設けた熱転写受像シートと、熱転写シートを用い、サーマルヘッドを画像に応じて発熱させて、熱転写画像とその熱転写画像の少なくとも一部を覆うように保護層を形成することによって作成され、
前記印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数が0.92以下であることを特徴とするものである。また、前記サーマルヘッドが、発熱部の下流側及び共通電極部がスリットにより複数に分離されていることを特徴とするものである。
印画物同士の摩擦係数は、保護層の材質や転写面の形状で調整することができる。保護層転写後の転写面、すなわち受像シートの表面形状が平滑であれば摩擦係数が高くなり、逆に粗い形状であれば摩擦係数を低く抑えることができる。
保護層転写後の受像シート表面の形状は、保護層を転写する際のサーマルヘッドの形状によって調整することが可能である。本発明では、そのサーマルヘッドが、発熱部の下流側及び共通電極部がスリットにより複数に分離されているものを使用することが、特に有効であり、サーマルヘッドの表面形状で、部分的にスリットを施すことで、転写された保護層の表面形状を少し粗く調整でき、結果として、上記の印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数を1.1以下とすることにつながったものである。
本発明では、両面に画像が形成された印画物を複数枚、重ねた製本物の製造方法であって、前記印画物は、基材シートの両面に染料受容層を設けた熱転写受像シートと、熱転写シートを用い、サーマルヘッドを画像に応じて発熱させて、熱転写画像とその熱転写画像の少なくとも一部を覆うように保護層を形成することによって作成され、前記印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数が0.92以下とすることにより、印画物が複数枚、重なった状態で取扱う際に、印画物同士の表と裏が擦られて、異音、つまり嫌な雑音が発生することを防止することが出来た。このことは、本発明の印画物は、取り扱う人に優しく対処された製品である。言い換えると、最近、重要視されつつあるユニバーサルデザインに合致した製品といえる。
本発明の製本物の製造方法で得られる印画物である一つの実施形態を示す断面図である。 本発明の製本物の製造方法で得られる印画物である他の実施形態を示す断面図である。 プリンターの概略構成を示す図である。 図3のプリンターのサーマルヘッドの一部を拡大して示す斜視図である。 図3のプリンターのサーマルヘッドの一部を拡大して示す断面図及び平面図である。 図3のプリンターのサーマルヘッドの一部を拡大して示す断面図及び平面図である。 図3のプリンターのサーマルヘッドの変形例を示す平面図である。
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1に本発明の製本物の製造方法で得られる印画物である一つの実施形態を示す。基材シート1の一方の面に染料受容層2を設け、また基材シート1の他方の面に染料受容層3を設け、染料受容層2には熱転写画像4が形成され、また染料受容層3には熱転写画像5が形成され、さらに熱転写画像4を覆うように、印画物の表面の全面に、保護層6が設けられている。また、熱転写画像5を覆うように、印画物の表面(裏面)の全面に、保護層7が設けられている。
図2に本発明の製本物の製造方法で得られる印画物である他の実施形態を示す。基材シート1は、芯材10の上に、接着剤層13を介して、多孔質フィルム11を積層し、また芯材10の他方の面に、接着剤層14を介して、多孔質フィルム12を積層した構成である。その基材シート1の一方の面に、中間層8を介して染料受容層2を設け、また基材シート1の他方の面に中間層9を介して染料受容層3を設けている。染料受容層2には熱転写画像4が形成され、また染料受容層3には熱転写画像5が形成され、さらに熱転写画像4を覆うように、印画物の表面の全面に、保護層6が設けられている。また、熱転写画像5を覆うように、印画物の表面(裏面)の全面に、保護層7が設けられている。また、図2で示した保護層は2層構成であり、保護層6は、受容層2から、順に接着層15、剥離層17と積層したもので、保護層7は、受容層3から、順に接着層16、剥離層18と積層した構成である。
図示した印画物は、いずれも最終的に保護層で被覆された状態であるが、いずれにおいても基材シートの両面に染料受容層を設けた熱転写受像シートの形態で、別に用意した昇華性染料を含有する染料層を基材上に設けた熱転写シートと組み合わせて、染料受容層に昇華性染料を熱転写して画像を形成後、また別に用意した保護層転写シートを用いて、熱転写画像の形成された染料受容層の上に、保護層を熱転写して形成される。
以下、印画物を構成する各層について、詳細に説明する。
(基材シート)
印画物における基材シート1は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上、支障がない程度の機械的強度を有することが好ましい。このような基材シートの材料は特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い、すなわち水溶液の浸透性の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルム又はシートが使用でき、またこれら合成樹脂に白色顔料や、充填剤を加えて成膜し、基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有するフィルム(多孔質フィルム)も使用でき、特に限定されない。
また、上記基材シートの任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙、或いはセルロース繊維紙とプラスチックフィルム又はシートの積層した合成紙が挙げられる。このような積層合成紙は2層体でもよいが、基材の風合いや質感を出すために、セルロース繊維紙(芯材として使用)の両面に合成紙、プラスチックフィルムや多孔質フィルムを貼合した3層体もしくは3層以上の積層体であってもかまわない。貼合方法は、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、エクストリュージョン等手法は問わない。尚、図2で示した基材シートは、芯材10の両面に多孔質フィルム11、12を、接着剤層13、14により貼合した積層体である。これらの基材シートの厚みは任意でよく、通常10〜300μm程度の厚めが一般的である。また、上記の如き基材シートは、その表面に形成する層との密着力が乏しい場合には、その表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(染料受容層)
本発明における印画物で使用する熱転写受像シートの染料受容層2、3は、熱転写シートから移行してくる昇華染料を受容し、形成された画像を維持する為のものである。受容層を形成する為の樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明で使用する熱転写受像シートは、熱転写シートとの離型性を向上させるために、受容層中に離型剤を含有することができる。離型剤としてはポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類、フッ素系またはリン酸エステル系界面活性剤、シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、硬化型シリコーンオイル等の各種変性シリコーンオイル、各種シリコーン樹脂などが挙げられるが、シリコーンオイルが好ましい。上記シリコーンオイルとしては油状のものも用いることができるが、硬化型のものが好ましい。硬化型シリコーンオイルとしては反応硬化型、光硬化型、触媒硬化型等が挙げられるが、反応硬化型、触媒硬化型のシリコーンオイルが特に好ましい。
これら硬化型シリコーンオイルの添加量は受容層を構成する樹脂の0.5〜30質量%が好ましい。また、受容層の表面の一部に上記離型剤を適当な溶媒に溶解あるいは分散させて塗布した後、乾燥させることにより離型剤層を設けることもできる。離型剤層の厚さは、0.01〜5.0μm、特に0.05〜2.0μmが好ましい。なお、受容層を形成する際にシリコーンオイルを添加して形成すると、塗布後に表面にブリードアウトしたシリコーンオイルを硬化させても離型剤層を形成することができる。なお、上記受容層の形成に際しては、受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高める目的で、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を添加することができる。また、フタル酸エステル化合物、セバシン酸エステル化合物、リン酸エステル化合物等の可塑剤を添加するのもよい。
本発明で使用する熱転写受像シートは、前記の基材シートの少なくとも一方の面に上記の如き熱可塑性樹脂及び他の必要な添加剤、例えば、離型剤、可塑剤、充填剤、架橋剤、硬化剤、触媒、熱離型剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等を加えたものを、適当な有機溶剤に溶解したり或いは有機溶剤や水に分散した分散体を、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗布及び乾燥して染料受容層を形成することによって得られる。後述する中間層等の塗布も、上記の染料受容層の形成手段と同様の方法で行われる。このように形成される染料受容層の塗布量は、通常、乾燥状態で0.5〜50g/m2程度、好ましくは2〜10g/m2である。また、このような染料受容層は連続被覆であることが好ましいが、不連続の被覆として形成してもよい。
(中間層)
染料受容層と基材シートの間には、染料受容層と基材シートとの接着性、白色度、クッション性、隠蔽性、帯電防止性、カール防止性等の付与を目的とし、従来公知のあらゆる中間層を設けることができる。中間層に用いるバインダー樹脂としてはポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂のうちの活性水酸基を有するものについてはさらにそれらのイソシアネート硬化物をバインダーとすることもできる。
また、白色性、隠蔽性を付与する為に酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のフィラーを添加することが好ましい。さらに、白色性を高める為にスチルベン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物等を蛍光増白剤として添加したり、印画物の耐光性を高める為にヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤として添加したり、あるいは帯電防止性を付与する為にカチオン系アクリル樹脂、ポリアニリン樹脂、各種導電性フィラー等を添加することができる。中間層の塗工量は、乾燥状態で0.5〜30g/m2程度が好ましい。
(保護層)
本発明の印画物における表面及び裏面に設けられる保護層6、7は、基材上に加熱により転写可能な保護層を有した保護層転写シートから、画像形成された受像シートに熱転写して形成されるものである。この保護層は、少なくとも1層以上の熱転写性樹脂層から構成され、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物や、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。このほかに必要に応じて、紫外線吸収剤、有機フィラーおよび/または無機フィラーを適宜添加することが出来る。
電離放射線硬化性樹脂からなる保護層にあっては、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマーまたはオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。なお、上記の電離放射線硬化性樹脂は、熱転写型画像保護シートの剥離層や接着層にも、添加することができる。
紫外線遮断性樹脂や、紫外線吸収剤を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂または上記の電離放射線硬化性樹脂に反応ないし結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、フェニルアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、トリアジン系、ニッケルキレート系の様な従来公却の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
紫外線吸収剤は、従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤で、サリシレート系、フェニルアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、トリアジン系、ニッケルキレート系が挙げられる。また、上記の紫外線遮断性樹脂や、紫外線吸収剤を熱転写型画像保護シートの剥離層や接着層にも、添加することができる。紫外線遮断性樹脂や、紫外線吸収剤の添加量としては、バインダー樹脂の1〜30%(質量)、好ましくは5〜20%程度である。
有機フィラーおよび/または無機フィラーとしては、具体的にはポリエチレンワックス、ビスアマイド、ナイロン、アクリル樹脂、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイクロシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粉末等が挙げられるが、特に限定はされず何でも使用できる。但し、滑り性が良く、粒径は、10μm以下好ましくは0.1〜3μmの範囲のものが好ましい。フィラーの添加量は、上記のような樹脂分100質量部に対して、0〜100質量部の範囲で、保護層の転写した時に透明性が保たれる程度が好ましい。
保護層は、上記に記載した保護層形成用樹脂と必要に応じて、紫外線吸収剤有機フィラーおよび/または無機フィラー等も添加剤を加え、適当な溶剤により、溶解または分散させて、保護層形成用インキを調製し、これを、上記の支持体上に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印励法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥して形成することができる。
本発明で使用する保護層転写シートの転写される層(熱転写性樹脂層)全体の塗布量が、乾燥状態で0.3〜10g/m2程度、好ましくは0.5〜5g/m2に、形成するものである。保護層が剥離層や接着層の機能を有していれば、保護層の単層で熱転写性樹脂層を構成でき、適宜、熱転写性樹脂の層構成を変更することができる。
(剥離層)
保護層における剥離層17、18は、バインダー樹脂により構成される。バインダー樹脂としては、この分野で使用されている公知の熱可塑性樹脂及び熱硬化型樹脂を広く使用できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂;エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。上記の熱可塑性樹脂の中でも、特にポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂が、好ましく用いられる。それは、保護層の熱転写の際、加熱温度などの印加エネルギーが増大しても、保護層の転写が安定して行なえるからである。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミノアルキッド樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で又は2種以上混合して使用してもよい。これらのバインダー樹脂の中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
剥離層は、バインダー樹脂と共にワックスを含んでいてもよい。ワックスが含まれると、剥離層の耐擦過性及び箔切れ性が向上する。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリエステルワックス、ポリスチレン系パウダー、オレフィン系パウダー、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることができる。
ワックスは、剥離層中に、通常0.1〜30質量%程度、好ましくは0.1〜10質量%程度含有されているのがよい。また本発明では、剥離層中に紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤を配合することにより、転写された後に保護層により覆われる被転写体の画像等の耐光性、耐候性を向上させることができる。紫外線吸収剤としては、従来から公知の有機系紫外線吸収剤であるサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等を広く使用できる。また、これらの紫外線吸収剤に例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等の官能基を導入した紫外線吸収性樹脂を剥離層中に含有させてもよい。
更に、上記剥離層中に、酸化防止剤、蛍光増白剤等の各種添加剤を含有させてもよい。剥離層は、前記の基材シート上に、上記バインダー樹脂にワックス等の必要な添加剤を加え、水、有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散せしめてなるインキを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の通常のコーティング方法に従い塗布し、乾燥することにより形成される。剥離層の塗工量は、乾燥状態で通常0.1〜10g/m2程度、好ましくは0.5〜5g/m2程度である。
(接着層)
本発明で使用する保護層転写シートでは、上記の保護層や剥離層の表面に、被転写体である印画物への転写性、接着性を良好にするために、接着層15、16を設けることができる。この接着層は、従来公知の粘着剤や感熱接着剤がいずれも使用できるが、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜80℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、紫外線遮断性樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等の如く熱時接着性の良好な樹脂から、適当なガラス転移温度を有するものを選択することが好ましい。
上記の紫外線遮断性樹脂は、保護層で説明したものと同様のものである。上記のような接着層を構成する樹脂に必要に応じて、紫外線吸収剤や、無機または有機フィラー等の添加剤を加えた塗工液を塗布および乾燥することによって、好ましくは乾燥時で0.5〜10g/m2程度の厚みに形成する。接着層の厚さが少なすぎると、印画物と熱転写性樹脂層との接着性が劣り、印字の際に転写不良となりやすい。また、その厚さが多すぎる場合、保護層の熱転写の際に、転写感度が低下し、均一な保護層の熱転写が行なわれにくくなる。
(離型層)
本発明で使用する保護層転写シートは、基材と剥離可能な、少なくとも1層以上からなる熱転写性樹脂層の保護層が設けられてなる構成であるが、基材と熱転写性樹脂層との間に、離型層を設けることもできる。このように離型層を設けることにより、基材から熱転写性樹脂層を剥離し易くできる。離型層は、加熱の際に基材から剥離せず、被転写体の印画物には転写されない。したがって、この離型層の熱転写性樹脂層と接する面が、剥離面(離型面)となり、印画物の保護層表面となる。
離型層を構成する樹脂としては、例えば、シリコーンワックス等の各種ワックス類、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等を用いることができる。皮膜強度を向上させる等の目的のため、微小粒子等を添加しても良い。上記の樹脂の中でも、アクリル樹脂として、アクリル酸やメタクリル酸等の単体、またはそれと他のモノマー等とを共重合させた樹脂が好ましく用いられ、基材との密着性や、保護層との離型性の点で優れる。
離型層の形成は、離型層形成用塗工液を、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法により、乾燥状態で厚さ0.05〜5g/m2程度より好ましくは0.5〜3g/m2に設けるものである。乾燥塗膜の厚さが、0.05g/m2未満の場合、良好な剥離効果が得られない。また、厚さが5g/m2を越えた場合、印字時の転写感度が低下するため好ましくない。
上記に説明した印画物における染料受容層に熱転写による画像を形成する方法は、従来から用いられている昇華性染料を含有する層を基材上に設けた熱転写シートを用いて、サーマルヘッドなどの加熱手段で、画像情報に応じた信号を加え、昇華性染料により、熱転写の画像を染料受容層に形成する。但し、本発明では、基材シートの両面に染料受容層を設け、その両面の染料受容層に熱転写による画像を形成するので、例えば、基材シートの一方の面にサーマルヘッドで熱転写画像を形成し、基材シートを反転させて、同じサーマルヘッドで基材シートの反対面に熱転写画像を形成することができる。また、サーマルヘッドを搬送する基材シートの表面側と裏面側の両面に設置しておき、基材シートの両面に熱転写画像を形成することができる。
また、上記の染料受容層に熱転写画像を形成後、熱転写画像の少なくとも一部を覆うように保護層を熱転写により形成する。それは、基材シート上に熱転写性保護層を剥離可能に設けた保護層転写シートを用いて、印画物の画像上に、保護層を熱転写する。その保護層の転写手段としては、サーマルヘッドとプラテンの間に印画物と保護層転写シートを挟み込み、サーマルヘッドからの加熱を行なう手段、ヒートロール方式や、加熱した平板と平板で挟み込んだり、加熱した平板とロールで挟んで、熱プレスしたりすることができる。また、レーザー照射による加熱の熱転写手段でも適用可能である。
本発明における印画物は、印画物を重ねて、印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数が1.1以下であるようにした。本発明で規定する動摩擦係数は、全てJIS K 7125の方法に準じて測定した値である。印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数が1.1以下であることにより、印画物が複数枚、重なった状態で取扱う際に、印画物同士の表と裏が擦られて、異音が生じることを防止できる。また上記の動摩擦係数は、0.9以下であると、異音が生じることをより防止できる。
本発明の製本物の製造方法で、使用されるプリンター(熱転写記録装置)と、発熱部の下流側や共通電極部がスリットにより複数に分離されているサーマルヘッドについて、以下に説明する。図3(a)及び図3(b)は、プリンター40の概要を示す。図3(a)は側面図、図3(b)は上面図である。プリンター40は、熱転写受像シート(印画物)100に保護層転写シート50の保護層を熱転写するプリンターとして構成されている。但し、このプリンターは、昇華性染料を含有する染料層を基材に設けた熱転写シートを用いて、熱転写受像シートにインクを熱転写して画像を形成することも可能である。熱転写受像シート100は、例えばロール状に巻かれた状態でプリンター40に取り付けられ、印画に必要な量だけロールから引き出される。
プリンター40は、熱転写受像シート100を支持しつつ、搬送するプラテンロール43と、未使用の保護層転写シート50が巻かれた巻出しロール44と、巻出しロール44から繰り出された保護層転写シート50を加熱するサーマルヘッド30と、サーマルヘッド30により加熱された保護層転写シート50を巻き取る巻取りロール46とを備えている。プラテンロール43、巻出しロール44、サーマルヘッド30、巻取りロール46は、送り方向yと直交するように配置されており、熱転写受像シート100の全幅に亘って延びている。プラテンロール43とサーマルヘッド30とは、所定の圧力で熱転写受像シート100を挟むようにして押圧可能に配置されている。
図4はサーマルヘッド30の一部を拡大して示す斜視図、図5(a)は図4の上方からみたサーマルヘッド30の平面図、図5(b)は図5(a)のIIIb−IIIb線における断面図である。なお、図4及び図5(b)の上方は、図3の下方に相当する。サーマルヘッド30は、放熱基板20上に、熱抵抗層21、発熱抵抗体22、個別電極23…23、共通電極24、耐磨耗層25が積層されて構成されている。なお、図4及び図5(a)では耐磨耗層25を省略している。
発熱抵抗体22の送り方向yの上流側の部分は、送り方向yに沿って延びる複数のスリットSL…SLにより、複数の分離抵抗体22a…22aに分離されている。スリットSL…SLは、個別電極23…23が積層されている位置から延び、個別電極23…23と共通電極24との中間位置より下流側、かつ、共通電極24より上流側の位置P(図5(a))まで延びている。分離抵抗体22a…22aは、それぞれ1画素に対応し、例えば1mm当り12個となるように形成される。また、共通電極24と発熱部26との境界線であるQの位置と、上記のPの位置との間隔、すなわちPQ間は、サーマルヘッドの熱転写シート及び熱転写受像シートとの加圧部である。詳しくは、サーマルヘッドとプラテンロールとの間に、熱転写シートと熱転写受像シートを挟んだ状態で、サーマルヘッドの熱転写シート及び熱転写受像シートとの加圧部である。
個別電極23…23は、分離抵抗体22a…22a上にそれぞれ積層されている。共通電極24は発熱抵抗体22の送り方向yの下流側に積層され、複数の分離抵抗体22a…22aに相当する長さに亘って連続して平坦に延びている。個別電極23…23及び共通電極24は、発熱抵抗体22の盛り上がりの頂部を挟んで対向するように配置され、個別電極23…23は、個別電極23…23それぞれに対して通電制御を行なうための駆動回路(不図示)に、共通電極24は駆動電流を供給するための外部回路(不図示)に接続されている。
耐磨耗層25は、例えばスパッタリングにより積層され、その表面形状には発熱抵抗体22、個別電極23…23及び共通電極24の表面形状が反映される。すなわち、位置Pより上流側には複数のスリットを有する加圧面が、位置Pより下流側には複数の個別電極23…23に相当する長さに亘って連続して平坦な加圧面Sが形成される。なお、耐磨耗層25の表面に形成されるスリットは、スリットSLに起因するものであるから、結局は1画素毎に発熱制御を行なうために発熱抵抗体22を分離したことに起因するものであり、本質的にスリットSLと変わりがないため、以下では耐磨耗層25の表面に形成されるスリットとスリットSLとを特に区別せずにスリットSLと記載する。
発熱抵抗体22及び耐磨耗層25のうち個別電極23…23と共通電極24とに挟まれた部分は発熱部26として、個別電極23とその上に積層された耐磨耗層25の部分は個別電極部27として、共通電極とその上に積層された耐磨耗層25の部分は共通電極部28として機能する。また、発熱部26のうち位置Pより上流側のスリットSL…SLにより分離された部分それぞれは分離部26a…26aとして機能する。放熱基板20には例えばセラミックスが、熱抵抗層21には例えばガラスが、発熱抵抗体22には例えばTa2N、W、Cr、Ni−Cr、SnO2が、個別電極23…23及び共通電極24には例えばAlが、耐磨耗層25には例えばTa23、Si34、SiCが使用される。
図5(b)に示す平坦な加圧面Sは、サーマルヘッド30の全長に亘って連続して平坦に延びているものに限定されるものではない。加圧面Sは、分離部26aの下流側であれば、発熱部26及び共通電極部28の適宜な位置に設けてよい。例えば、図7のサーマルヘッド30のように、スリットSLを共通電極部28の手前まで、言い換えると、スリットSLを共通電極24と発熱部26との境界線であるQの位置まで延ばし、共通電極部28のみを複数の分離部26a…26aに相当する長さに亘って連続して平坦に形成してもよい。
図6は、図3のプリンターのサーマルヘッドの一部を拡大して示す断面図及び平面図であるが、図4、5で示したサーマルヘッドとはスリットSLの長さが異なっているのみで、他は図4、5のサーマルヘッドと変わりはない。発熱抵抗体22の送り方向yの上流側の部分は、送り方向yに沿って延びる複数のスリットSL…SLにより、複数の分離抵抗体22a…22aに分離されている。スリットSL…SLは、個別電極23…23が積層されている位置から延び、個別電極23…23と共通電極24との中間位置より下流側、かつ、共通電極24の上流側の位置R(図6(a))まで延びている。図5に示したサーマルヘッドでは、共通電極24と発熱部26の境界線であるQの位置よりも、送り方向yの上流側であるPの位置までしか、スリットSLの加工がされていない。それに対し、図6に示したサーマルヘッドは、共通電極24と発熱部26の境界線であるQの位置よりも、送り方向yの下流側であるRの位置、すなわち共通電極部28の上流側の位置Rの位置まで、スリットSLの加工がされている。共通電極部28の上流側で、QとRの間にもスリットSLがされている。このQR間は、共通電極部28の位置にある。この図6に示すサーマルヘッドは、発熱部26の下流側及び共通電極部28がスリットにより複数に分離されている例であり、本発明の製本物の製造方法で使用されるサーマルヘッドに好適なものである。このサーマルヘッドを用いることで、転写される保護層の表面形状を少し粗く調整でき、結果として、保護層転写された印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数を1.1以下にすることが容易にできるからである。
本発明の製本物の製造方法で用いるサーマルヘッドは、発熱部の下流側及び共通電極部がスリットにより複数に分離されているものが、好ましく用いられる。サーマルヘッドの共通電極部28は、平坦にして、保護層を転写する際に分離部26a間のスリットによって形成された保護層の凸部が、分離部より下流側に設けられた平坦な加圧面によって押しつぶされて、均される。
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部又は%は質量基準である。
(実施例1)
<保護層転写シートの作製>
厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、下記の組成の耐熱滑性層用インキをグラビコート法により塗布(塗布量1.0g/m2(乾燥時))して乾燥し、その後、硬化処理を施し耐熱滑性層を形成した。
(耐熱滑性層用インキの組成)
・ポリビニルブチラール樹脂 4.55部
(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート 21.0部
(バーノックD750−45、固形分45質量%、大日本インキ化学工業(株)製)
・リン酸エステル系界面活性剤 3.0部
(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製)
・タルク(ミクロエースP−3、日本タルク工業(株)製) 0.7部
・メチルエチルケトン 100部
・トルエン 100部
次に、耐熱滑性層を形成した面と反対の面に、グラビアコート法により下記の組成の剥離層用インキを塗布(塗布量0.7g/m2(乾燥時))、乾燥して剥離層を形成した。
(剥離層用インキの組成)
・ポリメチルメタクリル酸(PMMA、三菱レイヨン(株)製 ダイヤナールBR−87、重量平均分子量25000) 20部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 40部
また、上記の剥離層の上に、下記の組成の接着層用インキを塗布(塗布量1.0g/m2(乾燥時))、乾燥して接着層を形成して、保護層転写シートを用意した。
(接着層用インキの組成)
・ポリエステル樹脂(バイロン700、東洋紡績(株)製) 27部
・(UVA)含有アクリル樹脂(PUVA−50M−40TM、大塚化学(株)製) 7部
・UVA化合物(チヌビン900、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)3.5部
・シリカフィラー(サイリシア310P,富士シリシア(株)製) 0.5部
・メチルエチルケトン 31部
・トルエン 31部
<熱転写受像シートの作製>(図2の構成を参照)
芯材10であるパールコートN(157.0g/m2、三菱製紙株式会社製)と、多孔質フィルム11、12として、厚さ35μmの多孔質ポリプロピレンフィルム(トヨパールSS、東洋紡績(株)製)を用いて、接着剤を使用して、グラビアコーターにより塗工し、乾燥後塗布量が5g/m2になるように、接着剤層13、14を形成し、ドライラミネート方式で、パールコートNの両面に多孔質フィルムを貼り合わせて、積層させ、3種の基材を積層した基材シート1を作製した。
上記の作製した基材シートの一方の面に、下記組成の中間層用塗工液を乾燥後2g/m2となるようにグラビアコーターで塗工し、110℃で1分乾燥した後、その上に下記組成の染料受容層用塗工液を乾燥後4g/m2となるようにグラビアコーターで塗工し、110℃で1分乾燥させて、基材シートに中間層、染料受容層を積層した。また、基材シートの他方の面に、上記と同様にして、中間層、染料受容層を積層して、基材シートの両面に染料受容層を設けた熱転写受像シートを作製した。
以下の実施例および比較例にて用いた熱転写受像シートは、実施例1に記載の方法で作成したものを用いた。
(中間層用塗工液組成)
・ポリエステル樹脂(WR−905、日本合成化学(株)製) 13.1部
・酸化チタン(TCA−888、トーケムプロダクツ社製) 26.2部
・蛍光増白剤 0.39部
(ベンゾイミダゾール誘導体、製品名;TINOPAL IJT、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・水/イソプロピルアルコール〔IPA〕(質量比2/1) 60部
(染料受容層用塗工液組成)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ソルバインC、日信化学工業(株)製) 60部
・エポキシ変性シリコーン(X−22−3000T、信越化学工業(株)製) 1.2部
・メチルスチル変性シリコーン(X−24−510、信越化学工業社製) 0.6部
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 5部
上記に用意した熱転写受像シートと、キャノン(株)製昇華転写プリンター(SELPHY CP710)用の昇華熱転写方式の熱転写シートを用いて、キャノン(株)製昇華転写型プリンター(SELPHY CP710)を用いて、黒のベタ画像の印画物を10枚作製した。但し、このベタ画像は、熱転写受像シートの両面に形成し、この時点ではYe、Mg、Cyの染料層のみで画像形成し、保護層の転写は行なっていない。次に、上記に用意した保護層転写シートを用いて、上記の画像形成した熱転写受像シートの両面に、剥離層、接着層からなる保護層を熱転写した。この保護層転写は、発熱部の下流側及び共通電極部がスリットにより複数に分離されていたサーマルヘッド、すなわち図6に示すサーマルヘッドを用いて、熱転写受像シートの受像面の全面に、両面ともベタで転写して、実施例1の印画物を作製した。
(実施例2)
実施例1で作製した保護層転写シートの場合と同様に、耐熱滑性層を基材シートに設けた。次に耐熱滑性層を形成した面と反対の面に、グラビアコート法により下記の組成の離型層用インキを塗布(塗布量0.7g/m2(乾燥時))、乾燥して離型層を形成した。
(離型層用塗工液組成)
・シリコーン変性アクリル系樹脂 16部
(ダイセル化学工業(株)製 セルトップ226 固形分50%)
・アルミニウム触媒 3部
(ダイセル化学工業(株)製 セルトップCAT−A 固形分10%)
・メチルエチルケトン 8部
・トルエン 8部
上記の形成した離型層の上に、実施例1に記載の剥離層と接着層を順に形成して、保護層転写シートを用意した。
実施例1と同様の方法で黒ベタの印画物を作成し、その上に実施例2で作成した保護層を実施例1と同じ方法で転写して、実施例2の印画物を作成した。
(実施例3)
実施例1で作製した保護層転写シートの場合と同様に、耐熱滑性層を基材シートに設けた。次に耐熱滑性層を形成した面と反対の面に、グラビアコート法により実施例1に記載の剥離層を形成した。剥離層の上に下記の組成の保護層用インキを塗布(塗布量1.0g/m2(乾燥時))、乾燥して保護層を形成して、保護層転写シートを用意した。
(保護層用インキの組成)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ソルバインCNL、日信化学工業(株)製)
4.5部
・ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(UVA635L、BASFジャパン製) 6部
・アクリル系樹脂(サーモラックLP45M、綜研化学(株)製) 1.3部
・ポリエチレンワックス(スリップ剤B、昭和インク工業所(株)製) 0.1部
・メチルエチルケトン 43.6部
・トルエン 43.6部
実施例1と同様の方法で黒ベタの印画物を作成し、その上に実施例3で作成した保護層を実施例1と同じ方法で転写して、実施例3の印画物を作成した。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で黒ベタの印画物を作成し、その上に実施例3で作成した保護層を、発熱部の下流側及び共通電極部を平坦に形成した図5に示すサーマルヘッドを用いて実施例4の印画物を作成した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で黒ベタの印画物を作成し、その上に実施例1で作成した保護層を実施例4と同じ方法で転写して、比較例1の印画物を作成した。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で黒ベタの印画物を作成し、その上に実施例1で作成した保護層を、共通電極部のみを平坦に形成した(発熱部の下流側にはスリットが形成されている)図7に示すサーマルヘッドを用いて転写し、比較例2の印画物を作成した。
上記の各実施例と比較例で示した方法で形成した印画物について、動摩擦係数の測定及び印画物同士の擦れによる異音発生状況の評価を行なった。それらの測定条件及び評価条件及び方法について、以下に説明する。
<動摩擦係数の測定条件>
表面性測定装置(新東科学(株)製、ヘイドン・トライポギア タイプ:14DR)を使用し、各実施例及び比較例で作製した印画物において、各例の条件が等しい印画物同士を用いて、一方の印画物の表面と、もう一方の印画物の裏面が接する条件で、ボール圧子で垂直荷重を加え(100gの点圧)、ボール圧子を300mm/minの速度で、試料表面を滑らせて動摩擦係数を測定した。この測定を5回行い、その平均値を動摩擦係数の値とした。この動摩擦係数は全てJIS K 7125の方法に準じて測定した値である。尚、この測定における環境は、温度25℃、湿度50%RHである。
<異音発生状況の評価条件及び方法>
各実施例及び比較例で作製した印画物において、各例の条件が等しい印画物を10枚重ねた状態で、表と裏に表紙が取り付けられた状態になるように、背貼り方式で、印画物の一端を接着させ、コの字型で表紙を取り付けた。この小冊子状の写真アルバムを用いて、隣接した印画物同士を擦って、発生する音を聞いて、以下の基準にて評価した。尚、この発生する音を聞く際の環境は、温度25℃、湿度50%RHである。
<異音発生状況の判断基準>
○:耳障りのある音が発生せず、問題はない。
△:キュキュと音は発生するが、気に障るものではない
×:キュキュと、気に障る音が発生し、人にダメージを与えるものであった。
上記の動摩擦係数の測定結果及び印画物同士の擦れによる異音発生状況の評価結果を表1に示す。
Figure 0005447800
上記の結果より、実施例1〜4で示された方法により得られた印画物は、その印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数が全て1.1以下であり、また各実施例に対応して作成した小冊子上の写真アルバム、すなわち両面に画像が形成された印画物を複数枚、重ねた製本物は、実施例1〜3では、全て耳障りのある音が発生しないものであり、実施例4では、音の発生はあるが、気に障るレベルではなく、問題はなかった。実施例4は、実施例3の条件と比べ、保護層転写で使用したサーマルヘッドが、発熱部の下流側及び共通電極部をスリットにより複数に分離されているものでなく、平坦に形成したものであったことが異音発生の原因と考えられる。
それに対し、比較例1、2で示された方法により得られた印画物は、その印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数が全て1.1よりも大きく、また各比較例に対応して作成した小冊子上の写真アルバム、すなわち両面に画像が形成された印画物を複数枚、重ねた製本物は、全て耳障りのある音が発生し、人にダメージを与えるものであった。尚、比較例1で示した方法による印画物は、発熱部の下流側及び共通電極部を平坦に形成したサーマルヘッドにより、保護層を転写したが、比較例2で示した方法による印画物は、共通電極部のみを平坦に形成した(発熱部の下流側にはスリットが形成されている)サーマルヘッドを用いて、保護層を転写した。サーマルヘッドの発熱部の下流側及び共通電極部が両方とも平坦である条件で、保護層を転写した条件の比較例1と、サーマルヘッドの共通電極部は平坦であるが、発熱部の下流側は平坦でなく、スリットが形成されている条件で、保護層を転写した条件の比較例2を比べると、比較例2の方が動摩擦係数は低くなっている。これは、サーマルヘッドの形状で、発熱部の下流側がスリットにより複数に分離されているものを使用したことによるものと考えられる。これらから、印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数が1.1以下であることが優先され、次にサーマルヘッドが、発熱部の下流側及び共通電極部でスリットにより複数に分離されていることが好ましい結果となった。
1 基材シート
2、3 染料受容層
4、5 熱転写画像
6、7 保護層
8、9 中間層
10 芯材
11、12 多孔質フィルム
13、14 接着剤層
15、16 接着層
17、18 剥離層

Claims (2)

  1. 両面に画像が形成された印画物を複数枚、重ねた製本物の製造方法であって、
    前記印画物は、基材シートの両面に染料受容層を設けた熱転写受像シートと、熱転写シートを用い、サーマルヘッドを画像に応じて発熱させて、熱転写画像とその熱転写画像の少なくとも一部を覆うように保護層を形成することによって作成され、
    前記印画物同士の表面と裏面との動摩擦係数が0.92以下であることを特徴とする、製本物の製造方法。
  2. 前記サーマルヘッドが、発熱部の下流側及び共通電極部がスリットにより複数に分離されていることを特徴とする、
    請求項1に記載する製本物の製造方法。
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