JP7413859B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写シートに関する。
従来、色材層を備える熱転写シートと、被転写体とを重ね合わせ、次いで、熱転写プリンタが備えるサーマルヘッドとプラテンローラーとの間を通過させると共に、サーマルヘッドにより熱転写シートを加熱することで、被転写体上に画像を形成し、印画物を製造する、熱転写記録方法が知られている。
上記のようにして形成した画像上には、その耐久性向上を目的として、剥離層や保護層を備える転写層を転写することが行われている。この転写層には、白化及び尾引き等の転写不良の発生を効果的に抑制できることが要求される。
本開示の課題は、白化及び尾引きの発生を抑制できる、転写層を備える熱転写シートを提供することである。
本開示の熱転写シートは、基材と、少なくとも剥離層を備える転写層と、を備え、
被転写体に前記転写層を転写する際の、
40℃、剥離角度90°の条件における転写層の初期剥離力をP(g/cm)、
40℃、剥離角度90°の条件における転写層の末端剥離力をP’(g/cm)としたとき、
P<2P’を満たす。
本開示によれば、白化及び尾引きの発生を抑制できる、転写層を備える熱転写シートを提供できる。
本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図及び模式上面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図及び模式上面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図及び模式上面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図及び模式上面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図及び模式上面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図及び模式上面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図及び模式上面図である。 本開示の熱転写シートが備える剥離層を形成する方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本開示の熱転写シートの一実施形態を示す模式断面図である。
(熱転写シート)
本開示の熱転写シート10は、図1に示すように、基材11と、少なくとも剥離層12を備える転写層13とを備える。
一実施形態において、図2に示すように、転写層13は、剥離層12上に、保護層14を備える。
一実施形態において、図3に示すように、転写層13は、剥離層12上に、受容層15を備える。転写層13が、保護層14及び受容層15を備える場合、剥離層12上に、保護層14、受容層15の順に設けられる(図示せず)。
一実施形態において、転写層13は、その最表面に、接着層を備える(図示せず)。
一実施形態において、図4に示すように、熱転写シート10は、転写層13と面順次となるように、色材層16を備える。該色材層16は、図5に示すように、複数設けられていてもよい。さらに、熱転写シート10は、色材層16と、転写層13とを、面順次かつ交互に、複数備えていてもよい(図示せず)。
一実施形態において、図1~5に示すように、熱転写シート10は、基材11の転写層13が設けられた面とは反対の面に、背面層17を備える。
一実施形態において、熱転写シート10は、任意の層間にプライマー層を備える(図示せず)。
本開示の熱転写シートにおいて、被転写体に前記転写層を転写する際の、40℃、剥離角度90°の条件における転写層の初期剥離力をP(g/cm)、40℃、剥離角度90°の条件における転写層の末端剥離力をP’(g/cm)としたとき、P<2P’を満たす。これにより、熱転写シートの白化抑制性及び箔切れ性を顕著に改善できる。
好ましくは2/3P’≦P<2P’を満たし、更に好ましくは5/6P’≦P≦5/3P’を満たす。
本明細書において、初期剥離力Pとは、転写層の剥離開始位置から、剥離方向(長さ方向)に向かい5mm離れた位置まで(図6中においてaで示す。)の範囲で測定された剥離力の最大値を、幅方向の長さで除した値を指す。
末端剥離力P’とは、剥離終了位置から5mm離れた位置から、剥離終了位置まで(図6中においてbで示す。)の範囲で測定された剥離力の平均値を、幅方向の長さで除した値を指す。
本開示の熱転写シートにおいて、初期剥離力Pは、好ましくは5≦P≦10を満たし、更に好ましくは5≦P≦9を満たす。これにより、白化抑制性を更に向上できる。
本開示の熱転写シートにおいて、末端剥離力P’は、好ましくは5≦P’≦10を満たし、更に好ましくは6≦P’≦10を満たす。これにより、箔切れ性を更に向上できる。
本開示において、初期剥離力P及び末端剥離力P’は、それぞれ以下のようにして測定できる。
(1)まず、基材の一方の面に転写層が設けられた熱転写シートを準備する。
(2)次いで、下記熱転写プリンタを用いて、被転写体の一方の面に、熱転写シートが積層された積層体を得る。
(熱転写プリンタ)
・サーマルヘッド:KEE-57-12GAN2-STA(京セラ(株))
・発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
・主走査方向印字密度:300(dpi)
・副走査方向印字密度:300(dpi)
・印画電圧:18(V)
・ライン周期:1.5(msec.)
・印字開始温度:35(℃)
・パルスDuty比:85(%)
(3)この積層体を、剥離解析装置(協和界面化学(株)製、VPA-3)が備えるステージ上に、被転写体がステージを接するように、貼り付ける。
(4)剥離解析装置における剥離角度を90°に設定し、ステージ温度(剥離温度)を40℃、剥離速度1464mm/分の条件で、積層体から基材を剥離させ、基材及び転写層間の剥離力を、剥離解析装置が備えるロードセル計測ユニットにより測定する。
(4-1)剥離開始位置から、剥離方向(長さ方向)に向かい5mm離れた位置まで(図6中においてaで示す。)の範囲で測定された剥離力の最大値を、幅方向の長さで除し、初期剥離力を求める。
(4-2)剥離終了位置から5mm離れた位置から、剥離終了位置まで(図6中においてbで示す。)の範囲で測定された剥離力の平均値を、幅方向の長さで除し、末端剥離力を求める。
剥離力の測定に使用する熱転写シートは、基材の全面に、転写層が設けられたものを使用してもよい。
また、基材上に、色材層と、転写層とが、面順次かつ交互に、複数設けられている熱転写シートから、転写層部分をカットし、これを使用してもよい。
以下、本発明の熱転写シートが備える各層について説明する。
(基材)
基材は、熱転写時に加えられる熱エネルギー(例えば、サーマルヘッドによる熱)に耐え得る耐熱性を有し、基材上に設けられる転写層等を支持できる機械的強度や耐溶剤性を有するものであれば、特に制限なく使用できる。
基材として、樹脂材料から構成されるフィルム(以下、単に「樹脂フィルム」という。)を使用できる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、1,4-ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体等のポリエステル、ナイロン6及びナイロン6,6等のポリアミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール及びポリビニルピロリドン(PVP)等のビニル樹脂、ポリアクリレート及びポリメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリイミド及びポリエーテルイミド等のイミド樹脂、セロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びセルロースアセテートブチレート(CAB)等のセルロース樹脂、ポリスチレン(PS)等のスチレン樹脂、ポリカーボネート、並びにアイオノマー樹脂等が挙げられる。
上記した樹脂の中でも、耐熱性及び機械的強度という観点から、ポリエステルが好ましく、PET又はPENが更に好ましく、PETが特に好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の両方を包含することを意味する。「(メタ)アクリレート」とは「アクレート」と「メタクレート」の両方を包含することを意味する。
また、上記した樹脂フィルムの積層体を基材として使用できる。樹脂フィルムの積層体は、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法又はエクストリュージョン法等を利用して作製できる。
基材が樹脂フィルムである場合、該樹脂フィルムは、延伸フィルムであっても、未延伸フィルムであってもよい。強度という観点からは、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムが好ましい。
基材の厚さは、2μm以上25μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下が更に好ましい。これにより、基材の機械的強度及び熱転写時の熱エネルギーの伝達を良好にできる。
(剥離層)
剥離層は、少なくとも1種の樹脂材料を含む。例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ビニル樹脂、セルロース樹脂、イミド樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、転写性という観点からは、(メタ)アクリル樹脂又はポリエステルが好ましく、これらを併用することが更に好ましい。
剥離層は少なくとも1種の添加材を含んでもよい。添加材としては、例えば、可塑材、充填材、紫外線安定化材、着色抑制材、界面活性材、蛍光増白材、艶消し材、消臭材、難燃材、耐候材、帯電抑制材、糸摩擦低減材、スリップ材、抗酸化材、イオン交換材、分散材、紫外線吸収材、並びに顔料及び染料等の着色材等が挙げられる。
本開示の熱転写シートの好ましい態様において、剥離層12は、図7に示すように、剥離開始領域(図7中において12aで示す)が、樹脂組成物Aにより構成され、剥離終了領域(図7中において12bで示す)が、樹脂組成物Bにより構成される。樹脂組成物Aは、ポリエステルを0.1質量%以上3.5質量%以下含み、樹脂組成物Bは、ポリエステルを4質量%以上10質量%以下含む。剥離層をこのような構成とすることにより、熱転写シートの白化抑制性及び箔切れ性を顕著に向上できる。また、熱転写シートが備える転写層の転写性を向上できる。
本明細書において、剥離開始領域および剥離終了領域は、剥離層12のうち基材11界面であって、幅方向全域に延びるように形成されている。
剥離開始領域は、剥離開始位置から、剥離方向に向かい5mm離れた位置まで延びるように形成されている。
剥離終了領域は、剥離終了位置から5mm離れた位置から、剥離終了位置まで延びるように形成されている。
樹脂組成物A及び樹脂組成物Bにより構成される剥離開始領域及び剥離終了領域の厚さc(図7参照)は、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。
剥離開始領域及び剥離終了領域以外の領域は、上記樹脂組成物Aにより構成してもよく、樹脂組成物Bにより構成してもよく、これらの混合物により構成してもよい。また、従来、剥離層の形成に使用されている樹脂組成物により構成してもよい。
生産コストや生産性等の観点からは、剥離層の剥離開始領域及び剥離終了領域以外の領域は、上記樹脂組成物A又は樹脂組成物Bにより構成されることが好ましい。
剥離層全体におけるポリエステルの含有量は、2質量%以上6質量%以下が好ましく、3質量%以上5質量%以下が更に好ましい。これにより、熱転写シートが備える転写層の転写性を向上できる。
樹脂組成物Aは、(メタ)アクリル樹脂を含むことが好ましい。これにより、製造される印画物の耐擦過性及び光沢度を向上できる。
樹脂組成物Aにおける(メタ)アクリル樹脂の含有量は、70質量%以上99.9質量%以下が好ましく、80質量%以上99質量%以下が更に好ましい。
樹脂組成物Bは、(メタ)アクリル樹脂を含むことが好ましく、これにより、製造される印画物の耐擦過性及び光沢度を向上できる。
樹脂組成物Bにおける(メタ)アクリル樹脂の含有量は、70質量%以上96質量%以下が好ましく、80質量%以上96質量%以下が更に好ましい。
樹脂組成物A及びBは、(メタ)アクリル樹脂及びポリエステル以外の樹脂材料や、上記添加材を含んでもよい。
以下、剥離開始領域が、樹脂組成物Aにより構成され、剥離終了領域が、樹脂組成物Bにより構成され、これら以外の領域が、樹脂組成物A又は樹脂組成物Bにより構成される、剥離層の好ましい態様についてさらに説明する。
一実施形態において、剥離層は、図8に示すように、長さ方向に並列して設けられた樹脂組成物Aにより構成される領域と、樹脂組成物Bにより構成される領域とから構成され、その境界線が、基材表面と、略垂直となるように交わる。
一実施形態において、剥離層は、図9~12に示すように、長さ方向に並列して設けられた樹脂組成物Aにより構成される領域と、樹脂組成物Bにより構成される領域とから構成され、その境界線が、基材表面と、非垂直(傾斜)となるように交わる。
図9及び12に示すように、境界線において、樹脂組成物Aにより構成される領域が上となっていてもよく、図10及び11に示すように、樹脂組成物Bにより構成される領域が上となっていてもよい。
このような境界線が、基材表面と、非垂直となるように交わる構成の剥離層は、樹脂組成物A又は樹脂組成物Bをグラデーション状に塗布し、乾燥した後、他方の樹脂組成物を同様に、塗布、乾燥することにより形成でき、その生産容易性及び厚みムラ抑制性の観点から好ましい。
一実施形態において、図13及び14に示すように、境界線は、階段状であってもよい。
図8~14に示す、熱転写シートが備える剥離層において、剥離層の長さをLとしたときに、樹脂組成物Bにより形成される領域が、基材界面であって、剥離終了位置から0.6Lの位置まで延び、かつ剥離層の幅方向全域に延びるように存在することが好ましい。これにより、箔持ち性を更に向上できる。
更に好ましくは、樹脂組成物Bにより形成される領域が、基材界面であって、剥離終了位置から0.7Lの位置まで延び、かつ剥離層の幅方向全域に延びるように存在する。
剥離層の厚さは、0.3μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下が更に好ましい。これにより、熱転写シートの白化抑制性及び箔切れ性を更に向上できる。また、受容層上に形成される画像濃度を向上できる。
剥離層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散して、あるいは上記材料を水又は適当な溶媒溶解して、塗工液とし、基材上に塗布して塗膜を形成し、これを乾燥することにより形成できる。塗布手段としては、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法及びロッドコート法等が挙げられる。
一実施形態において、、剥離層は、まず、図15(a)に示すように、樹脂組成物A及び樹脂組成物Bの一方をグラデーション状又は階段状に、基材11上に塗布、乾燥し、下部を形成し(図15中においては、樹脂組成物Bにより構成)、次いで、図15(b)に示すように、樹脂組成物A及び樹脂組成物Bの他方を下部上に、グラデーション状又は階段状に塗布、乾燥し、上部を形成する(図15中においては、樹脂組成物Aにより構成)ことにより形成できる。
(保護層)
保護層は、少なくとも1種の樹脂材料を含む。例えば、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリウレタン及び活性光線硬化樹脂等が挙げられる。
本開示において、活性光線硬化樹脂とは、活性光線硬化性樹脂に対し、活性光線を照射し、硬化させた樹脂を指す。本願開示において、活性光線とは、例えば、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線又はγ線等を意味する。
活性非硬化性樹脂とは、活性光線の照射により硬化しない樹脂を指す。
活性光線硬化性樹脂としては、活性光線照射により重合可能な化合物であれば特に制限なく使用することができる。
例えば、アクリロイル基、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基等のラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合性プレポリマー等を使用することができる。
なお、本発明において、「オリゴマー」とは、重量平均分子量(Mw)が1,000より大きく、10,000以下の重合体を、「プレポリマー」とは10,000より大きく、30,000以下の重合体を指す。
本発明において、「重量平均分子量(Mw)」は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した値を意味し、JIS-K-7252-1(2008年発行)に準拠した方法で測定することができる。
重合性モノマーとしては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレンアクリレート、シリコーンアクリレート及びポリオールアクリレート等が挙げられる。
また、これらのメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートを使用することもできる。
より具体的には、下記の(1)~(3)が挙げられる。
(1)2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3-ジオキサンアルコールのε-カプロラクトン付加物のアクリレート及び1,3-ジオキソランアクリレート等の単官能アクリレート
(2)エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε-カプロラクトン付加物のジアクリレート、2-(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-5-ヒドロキシメチル-5-エチル-1,3-ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε-カプロラクトン付加物及び1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリルレート
(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε-カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート及びヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリレート等
重合性オリゴマー及び重合性プレポリマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート及びポリカーボネート(メタ)アクリレート等の上記した重合性モノマーの重合体が挙げられる。
本開示の熱転写シートの好ましい態様において、保護層は、上記剥離層12の剥離開始領域に対応する領域が、活性光線非硬化性樹脂を含む樹脂組成物Cにより構成され、上記剥離層12の剥離終了領域に対応する領域が、活性光線硬化樹脂を含む樹脂組成物Dにより構成される。保護層をこのような構成とすることにより、熱転写シートの白化抑制性及び箔切れ性を顕著に向上できる。
樹脂組成物C及び樹脂組成物Dにより構成される上記界面領域の厚さは、1μm以上10μm以下が好ましい。
上記界面領域以外の領域は、上記樹脂組成物Cにより構成してもよく、樹脂組成物Dにより構成してもよく、これらの混合物により構成してもよい。また、従来、保護層の形成に使用されている樹脂組成物により構成してもよい。
生産コストや生産容易性等の観点からは、剥離層の剥離開始領域及び剥離終了領域以外の領域は、上記樹脂組成物C又は樹脂組成物Dにより構成されることが好ましい。
樹脂組成物Cにおける活性光線非硬化性樹脂の含有量は、70質量%以上99質量%以下が好ましい。これにより、白化抑制性を更に向上できる。
樹脂組成物Dにおける活性光線硬化樹脂の含有量は、70質量%以上99質量%以下が好ましい。これにより、箔切れ性を更に向上できる。
樹脂組成物C及びDは、上記添加材を含んでもよい。
以下、保護層の好ましい態様についてさらに説明する。
一実施形態において、保護層は、図16に示すように、長さ方向に並列して設けられた樹脂組成物Cにより構成される領域と、樹脂組成物Dにより構成される領域とから構成され、その境界線が、剥離層表面と、略垂直となるように交わる。
一実施形態において、保護層は、図17~20に示すように、長さ方向に並列して設けられた樹脂組成物Cにより構成される領域と、樹脂組成物Dにより構成される領域とから構成され、その境界線が、剥離層表面と、非垂直(傾斜)となるように交わる。
図17及び20に示すように、境界線において、樹脂組成物Cにより構成される領域が上となっていてもよく、図18及び19に示すように、樹脂組成物Dにより構成される領域が上となっていてもよい。
このような境界線が、剥離層表面と、非垂直となるように交わる構成の保護層は、樹脂組成物C又は樹脂組成物Dをグラデーション状に塗布し、乾燥した後、他方の樹脂組成物を同様に、塗布、乾燥することにより形成でき、その生産性及び容易性の観点及び厚みムラ抑制性の観点から好ましい。
一実施形態において、図21及び22に示すように、境界線は、階段状であってもよい。
図16~21に示す、熱転写シートが備える保護層において、保護層の長さをL’としたときに、樹脂組成物Dにより形成される領域が、剥離層界面であって、剥離終了位置から0.6Lの位置まで延び、かつ保護層の幅方向全域に延びるように存在することが好ましい。
更に好ましくは、樹脂組成物Dにより形成される領域が、剥離層界面であって、剥離終了位置から0.7Lの位置まで延び、かつ保護層の幅方向全域に延びるように存在する。
保護層の厚さは、0.5μm以上7μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下が更に好ましい。これにより、保護層の耐久性を更に向上できる。
保護層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散して、あるいは上記材料を水又は適当な溶媒へ溶解して、塗工液を作成し、上記塗布手段により、剥離層等の上に塗布して塗膜を形成し、これを乾燥することにより形成できる。
図15~18において示す剥離層は、まず、樹脂組成物Dをグラデーション状又は階段状に、剥離層上に塗布、乾燥し、活性光線を照射することにより、下部を形成し、次いで、樹脂組成物Cを下部上に、グラデーション状又は階段状に塗布、乾燥し、上部を形成することにより形成できる。
(受容層)
受容層は、昇華性染料等を受容し、形成された画像を維持する層である。
受容層は、少なくとも1種の樹脂材料を含む。樹脂材料としては、染料が染着し易い樹脂であれば限定されるものではなく、例えば、オレフィン樹脂、ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、セルロース樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、カーボネート樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。
受容層における上記樹脂材料の含有量は、80質量%以上98質量%以下であることが好ましく、90質量%以上98質量%以下であることが更に好ましい。
一実施形態において、受容層は、少なくとも1種の離型剤を含む。これにより、画像形成に用いることのできる熱転写シートとの離型性を向上できる。
離型剤としては、固形ワックス類、界面活性剤、シリコーンオイル及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
ワックス類としては、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス及びテフロン(登録商標)パウダー等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばフッ素系界面活性剤及びリン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、変性シリコーンオイルが好ましい。変性シリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、エポキシ-アラルキル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等が挙げられる。中でも、エポキシ変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン又はエポキシ-アラルキル変性シリコーンが特に好ましい。
受容層における離型剤の含有量は、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下が更に好ましい。これにより、受容層の透明性を維持しつつ、熱転写シートとの離型性を向上できる。
受容層は、上記添加材を含んでもよい。
受容層の厚さは、0.5μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下が更に好ましい。これにより、受容層上に形成される画像濃度を向上できる。
受容層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散して、あるいは上記材料を水又は適当な溶媒へ溶解して、塗工液を作成し、上記塗布手段により、剥離層等の上に塗布して塗膜を形成し、これを乾燥することにより形成できる。
(接着層)
接着層は、少なくとも1種の樹脂材料を含む。樹脂材料としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン-酢酸ビニル共重合体及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等のビニル樹脂、PE及びPP等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート及びポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリオール樹脂並びにポリウレタン等が挙げられる。
接着層は、上記添加材を含んでもよい。
接着層の厚さは、例えば、0.5μm以上10μm以下である。
接着層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散して、あるいは上記材料を水又は適当な溶媒へ溶解して、塗工液を作成し、上記塗布手段により、任意の層等の上に塗布して塗膜を形成し、これを乾燥することにより形成できる。
一実施形態において、接着層は、上記材料を含む樹脂組成物を溶融押出することにより形成できる。
(背面層)
一実施形態において、本発明の熱転写シートは、基材の転写層等が設けられた面とは反対の面に、背面層を備える。これにより、熱転写時の加熱によるスティッキングやシワの発生を抑制できる。
一実施形態において、背面層は、少なくとも1種の樹脂材料を含む。樹脂材料としては、例えば、ビニル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリウレタン、セルロース樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。
一実施形態において、背面層は、少なくとも1種のイソシアネート化合物を含む。イソシアネート化合物としては、例えば、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
背面層は、上記離型材や添加材を含んでもよい。
背面層の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、0.3μm以上3.0μm以下とすることができる。
背面層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散して、あるいは上記材料を水又は適当な溶媒へ溶解して、塗工液を作成し、上記塗布手段により、基材上に塗布して塗膜を形成し、これを乾燥することにより形成できる。
(プライマー層)
一実施形態において、本開示の熱転写シートは、任意の層間にプライマー層を備える。これにより、層層との密着性を向上できる。
一実施形態において、プライマー層は、少なくとも1種の樹脂材料を含む。例えば、ポリエステル、ビニル樹脂、ポリウレタン、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド、エーテル樹脂、及びセルロース樹脂等が挙げられる。
プライマー層の厚さは、例えば0.2μm以上2μm以下である。
プライマー層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散して、あるいは上記材料を水又は適当な溶媒へ溶解して、塗工液を作成し、上記塗布手段により、任意の層上に塗布して塗膜を形成し、これを乾燥することにより形成できる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例1-1
[熱転写シートの作製]
下記組成の剥離層用塗工液A及び剥離層用塗工液Bを準備した。
(剥離層用塗工液A)
・(メタ)アクリル樹脂 9.9質量部
(三菱ケミカル(株)製、ダイヤナール(登録商標)BR-87)
・ポリエステルA 0.1質量部
(東洋紡(株)製、バイロン(登録商標)200、Mn17000、Tg67℃)
・メチルエチルケトン(MEK) 20質量部
・トルエン 20質量部

(剥離層用塗工液B)
・(メタ)アクリル樹脂 9.5質量部
(三菱ケミカル(株)製、ダイヤナール(登録商標)BR-87)
・ポリエステル 0.5質量部
(東洋紡(株)製、バイロン(登録商標)200)
・MEK 20質量部
・トルエン 20質量部
基材として、厚さ6μmのPETフィルムを準備した。
基材の一方の面に、剥離層用塗工液Bを、図15(a)に示すように、基材の前端から後端に向けグラデーション状に塗布、乾燥し、下部を形成した。 次いで、剥離層用塗工液Aを、図15(b)に示すように、前端から、後端に向けグラデーション状に塗布、乾燥し、上部を形成し、基材上に厚さ1μmの剥離層を形成した。
形成された剥離層は、剥離開始領域が、剥離層用塗工液Aにより構成され、剥離終了領域が、剥離層用塗工液Bにより構成されるものであった。また、剥離終了位置から5mmまでの基材側表面領域が、樹脂組成物Bにより構成されるものであった。
また、剥離層に含まれるポリエステルの含有量は、3質量%であった。
上記のようにして形成した剥離層上に、下記組成の保護層用塗工液を塗布、乾燥し、厚さ1μmの保護層を形成した。
(保護層用塗工液)
・ポリエステルB 20質量部
(ユニチカ(株)製、エリーテル(登録商標)UE-3200、Mn16000、Tg65℃)
・MEK 80質量部
基材の他方の面に、下記組成の背面層用塗工液を塗布、乾燥し、厚さ1μmの背面層を形成し、熱転写シートを得た。なお、該熱転写シートにおいて、転写層は、剥離層及び保護層から構成される。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール 20質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)BX-1)
・ポリイソシアネート 44質量部
(DIC(株)製、バーノック(登録商標)D750)
・リン酸エステル系界面活性剤 13質量部
(第一工業製薬(株)製、プライサーフ(登録商標)A208N)
・タルク 3質量部
(日本タルク工業(株)製、ミクロエース(登録商標)P-3)
・MEK 460質量部
・トルエン 460質量部
実施例1-2~1-5及び比較例1-1~1-5
熱転写シートが備える剥離層の剥離層用塗工液Aにより構成される領域及び剥離層用塗工液Bにより構成される領域の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1-1と同様にして、熱転写シートを作製した。
なお、表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体:日信化学工業(株)製、ソルバイン(登録商標)CNL、Tg76℃、Mn16000、表1中においては、塩酢ビと記載
実施例2-1
下記組成の保護層用塗工液A及び保護層用塗工液Bを準備した。
(保護層用塗工液A)
・ポリエステルB 20質量部
(ユニチカ(株)製、エリーテル(登録商標)UE-3200、Mn16000、Tg65℃)
・MEK 80質量部

(保護層用塗工液B)
・多官能アクリレート 20質量部
(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-9300)
・ウレタンアクリレート 20質量部
(新中村化学工業(株)製、NKオリゴマーEA1020)
・ウレタンアクリレート 10質量部
(新中村化学工業(株)製、NKエステルU-15HA)
・不飽和基含有反応性バインダー 5質量部
(アクリル酸エステル共重合体、新中村化学工業(株)製、NKポリマーC24T)
・フィラー 40質量部
(日産化学工業(株)製、MEK-AC2140Z、体積平均粒子径12nm)
・界面活性剤 0.1質量部
(楠本化学(株)製、LF-1984)
・トルエン 200質量部
・MEK 200質量部
基材として、厚さ6μmのPETフィルムを準備し、基材の一方の面に、剥離層用塗工液Aを塗布、乾燥し、厚さ1μmの剥離層を形成した。
剥離層上に、下記組成の保護層用塗工液Bを前端から後端に向けグラデーション状に塗布、乾燥し、紫外線を照射することにより、下部を形成すると共に、この下部上に、保護層用塗工液Aを、前端から後端に向けグラデーション状に塗布、乾燥し、上部を形成することにより、厚さ5μmの保護層を形成した
保護層上に、下記組成のプライマー層用塗工液を、塗布、乾燥し、厚さ1μmのプライマー層を形成した。
(プライマー層用塗工液)
・ポリエステル 3.3質量部
(東洋紡(株)製、バイロン(登録商標)200)
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 2.7質量部
(日信化学工業(株)製、ソルバイン(登録商標)CNL)
・イソシアネート化合物 1.5質量部
(三井化学(株)製、タケネート(登録商標)D110N)
・トルエン 3.3質量部
・MEK 6.7質量部
プライマー層上に、下記組成の接着層用塗工液を、塗布、乾燥し、厚さ1μmの接着層を形成した。
(接着層用塗工液)
・変性ポリオレフィン 31.5質量部
(ユニチカ(株)製、アローベース(登録商標)SQ1221NQ)
・(メタ)アクリル樹脂 3.5質量部
(東亞合成(株)製、ジュリマー(登録商標)AT-613)
・水 36質量部
・イソプロピルアルコール(IPA) 18質量部
基材の他方の面に、上記組成の背面層用塗工液を塗布、乾燥し、厚さ1μmの背面層を形成し、熱転写シートを得た。なお、該熱転写シートにおいて、転写層は、剥離層、保護層、プライマー層及び接着層から構成される。
比較例2-1
保護層の形成を、剥離層上の全面に、保護層用塗工液Bを塗布、乾燥し、紫外線を照射することにより行った以外は、実施例2-1と同様にして、熱転写シートを作製した。
<<初期剥離力及び末端剥離力の測定>>
下記熱転写プリンタを用いて、下記のようにして作製した被転写体の樹脂層形成面に、実施例及び比較例の熱転写シートの転写層形成面が積層される、積層体を得た。
(熱転写プリンタ)
・サーマルヘッド:KEE-57-12GAN2-STA(京セラ(株))
・発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
・主走査方向印字密度:300(dpi)
・副走査方向印字密度:300(dpi)
・印画電圧:18(V)
・ライン周期:1.5(msec.)
・印字開始温度:35(℃)
・パルスDuty比:85(%)
積層体を、剥離解析装置(協和界面化学(株)製、VPA-3)が備えるステージ上に、被転写体が該ステージに接するように、貼り付けた。
次いで、剥離解析装置における剥離角度を90°に設定し、ステージ温度(剥離温度)を40℃、剥離速度1464mm/分の条件で、積層体から、熱転写シートの基材を剥離させ、剥離開始位置から、剥離方向(長さ方向)に向かい5mm離れた位置までの基材及び転写層間の剥離力を剥離解析装置が備えるロードセル計測ユニットにより測定した。
このようにして測定された剥離力の最大値を、幅方向の長さで除することにより、初期剥離力を算出し、表1及び2に示す。
剥離終了位置から5mm離れた位置から、剥離終了位置までの剥離力を、を測定し、このようにして測定された剥離力の平均値を、幅方向の長さで除することにより、末端剥離力を算出し、表1及び2に示す。
(被転写体の作製)
基材として、厚さ188μmのPETフィルム(帝人デュポン(株)製、テトロン(登録商標)フィルムU292-188)を準備し、この一方の面に、下記組成の第1の受容層形成用塗工液を塗布、乾燥し、厚さ10μmの第1の受容層を形成した。
(第1の受容層用塗工液)
・ビニル樹脂 95質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)BL-S、ポリビニルブチラール)
・イソシアネート化合物 5質量部
(三井化学(株)製、タケネート(登録商標)D-110N)
・メチルエチルケトン(MEK) 200質量部
・トルエン 200質量部
上記のようにして形成した第1の受容層上に、下記組成の第2の受容層形成用塗工液を塗布、乾燥し、厚さ1μmの第2の受容層を形成した。
(第2受容層用塗工液)
・スチレン-アクリル共重合体(Mw:8.53×10) 85質量部
(共重合比率・・・(スチレン(St):ラウリルアクリレート(LA):2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)=70:20:10))
・イソシアネート化合物 15質量部
(三井化学(株)製、タケネート(登録商標)D-110N)
・MEK 30質量部
・トルエン 30質量部
第2の受容層上に、上記テストプリンタ条件にて、下記のようにして作製した画像形成用熱転写シートを用いて黒ベタ画像(画像階調:0/255)を形成することで、被転写体を得た。
(画像形成用熱転写シートの作製)
基材フィルム(東レ(株)製ポリエチレンテレフタレートフィルム「5AF56」、厚さ4.5μm)の一方の面上に、下記組成の耐熱滑性層用塗工液を乾燥後の厚さが1μmになるように塗布、乾燥して耐熱滑性層を形成した。
(耐熱滑性層用塗工液)
・ポリビニルブチラール 3.6質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)BX-1)
・ポリイソシアネート 8.4質量部
(DIC(株)製、バーノック(登録商標)D750)
・リン酸エステル系界面活性剤 2.8質量部
(第一工業製薬(株)製、プライサーフ(登録商標)A208N)
・タルク 0.6質量部
(日本タルク工業(株)製、ミクロエース(登録商標)P-3)
・MEK 42.3質量部
・トルエン 42.3質量部
基材フィルムの、耐熱滑性層を形成した面とは反対の面上に、下記組成のプライマー層用塗工液を、乾燥後の厚さが0.10μmになるように塗布、乾燥してプライマー層を形成した。
(プライマー層用塗工液)
・アルミナゾル 3質量部
(日産化学工業(株)製、アルミナゾル200)
・酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体 7質量部
(アイエスピー・ジャパン(株)製、PVP/VA E-335)
・水 100質量部
・IPA 100質量部
プライマー層上に、下記組成の色材層用塗工液A~Cを、それぞれの乾燥後の厚さが0.6μmになるように面順次に塗布、乾燥して色材層を形成し、画像形成用の熱転写シートを得た。
(色材層用塗工液A)
・ソルベントイエロー93 2.5質量部
・ディスパースイエロー201 2.5質量部
・ポリビニルアセタール 4質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)KS-5)
・トルエン 50質量部
・MEK 50質量部

(色材層用塗工液B)
・ディスパースレッド60 3質量部
・ディスパースバイオレット26 3部質量
・ポリビニルアセタール 5質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)KS-5)
・トルエン 50質量部
・MEK 50質量部

(色材層用塗工液C)
・ソルベントブルー63 3質量部
・ディスパースブルー354 4質量部
・ポリビニルアセタール 5質量部
(積水化学工業(株)製、エスレック(登録商標)KS-5)
・トルエン 50質量部
・MEK 50質量部
<<白化抑制評価>>
上記被転写体を準備し、上記実施例及び比較例において得られた熱転写シートから、転写層を、以下の条件の熱転写プリンタを用いて、被転写体上に転写した。
被転写体に転写された転写層を目視により観察し、下記評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1及び2にまとめた。
(評価基準)
A:転写された転写層に、白化の発生が見られなかった。
B:転写された転写層に、白化の発生が少し見られたが、実用上問題のない程度であった。
NG:転写された転写層に白化の発生が見られ、実用上問題があった。

(熱転写プリンタ)
・エネルギー階調:180/255階調
・サーマルヘッド:KEE-57-12GAN2-STA(京セラ(株))
・発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
・主走査方向印字密度:300(dpi)
・副走査方向印字密度:300(dpi)
・印画電圧:18(V)
・ライン周期:1.5(msec.)
・印字開始温度:35(℃)
・パルスDuty比:85(%)
<<箔切れ性評価>>
白化抑制性評価と同様にして、被転写体上に転写層を転写し、この転写層を目視により観察し、下記評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1及び2にまとめた。
(評価基準)
A:転写された転写層に、尾引きの発生が見られなかった。
B:転写された転写層に、尾引きの発生が少し見られたが、実用上問題のない程度であった。
NG:転写された転写層に尾引きの発生が見られ、実用上問題があった。
以下に、本開示の熱転写シートの一実施形態を示す。なお、本開示の熱転写シートは、これら実施形態に限定されるものではない。
本開示の熱転写シートは、基材と、少なくとも剥離層を備える転写層と、を備え、
被転写体に前記転写層を転写する際の、
40℃、剥離角度90°の条件における転写層の初期剥離力をP(g/cm)、
40℃、剥離角度90°の条件における転写層の末端剥離力をP’(g/cm)としたとき、
P<2P’を満たす。
一実施形態において、5≦P≦10を満たす。
一実施形態において、5≦P’≦10を満たす。
一実施形態において、剥離層の剥離開始領域が、ポリエステルを0.1質量%以上3.5質量%以下含む樹脂組成物Aにより構成され、剥離層の剥離終了領域が、ポリエステルを4質量%以上10質量%以下含む樹脂組成物Bにより構成される。
一実施形態において、樹脂組成物A及び樹脂組成物Bは、(メタ)アクリル樹脂を含む。
一実施形態において剥離層の長さをLとしたときに、樹脂組成物Bにより形成される領域が、基材界面であって、剥離層の剥離終了位置から0.6L位置まで延び、かつ剥離層の幅方向全域に延びるように存在する。
一実施形態において、転写層が、剥離層上に保護層を備え、
保護層の剥離層の剥離開始領域に対応する領域が、活性光線非硬化性樹脂を含む樹脂組成物Cにより構成され、保護層の前記剥離層の剥離終了領域に対応する領域が、活性光線硬化樹脂を含む樹脂組成物Dにより構成される。
10:熱転写シート
11:基材
12:剥離層
13:転写層
14:保護層
15:受容層
16:色材層
17:背面層

Claims (6)

  1. 基材と、少なくとも剥離層を備える転写層と、を備え、
    被転写体に前記転写層を転写する際の、
    40℃、剥離角度90°の条件における前記転写層の初期剥離力をP(g/cm)、
    40℃、剥離角度90°の条件における前記転写層の末端剥離力をP’(g/cm)としたとき、
    P<2P’を満たし、
    前記剥離層の剥離開始領域が、ポリエステルを0.1質量%以上3.5質量%以下含む樹脂組成物Aにより構成され、前記剥離層の剥離終了領域が、ポリエステルを4質量%以上10質量%以下含む樹脂組成物Bにより構成される、熱転写シート。
  2. Pが、5≦P≦10を満たす、請求項1に記載の熱転写シート。
  3. P’が、5≦P’≦10を満たす、請求項1又は2に記載の熱転写シート。
  4. 前記樹脂組成物A及び前記樹脂組成物Bが、(メタ)アクリル樹脂を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  5. 前記剥離層の長さをLとしたときに、樹脂組成物Bにより形成される領域が、前記基材界面であって、前記剥離層の剥離終了位置から0.6L位置まで延び、かつ前記剥離層の幅方向全域に延びるように存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  6. 前記転写層が、前記剥離層上に保護層を備え、
    前記保護層の前記剥離層の剥離開始領域に対応する領域が、活性光線非硬化性樹脂を含む樹脂組成物Cにより構成され、前記保護層の前記剥離層の剥離終了領域に対応する領域が、活性光線硬化樹脂を含む樹脂組成物Dにより構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の熱転写シート。
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