JP5447026B2 - ワイヤハーネスのグロメット取付構造 - Google Patents
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Description
特に、ワイヤハーネス100が大径の場合、硬化された止水処理部での急激な曲げは困難となり、無理に曲げると硬化して一体化した止水処理部にクラックが入って空隙が発生し、止水性能が低下する問題がある。
これら複数に分割された線間止水処理部が周方向または直線方向に配列されて前記グロメットの内部に挿通され、これら分割された電線群の線間止水処理部が配置される前記グロメットの部分に蛇腹部が設けられていることを特徴とするワイヤハーネスのグロメット取付構造を提供している。
前記分割した電線群の個数が3〜4とされてそれぞれ線間止水処理部が設けられ、これら複数の線間止水処理部を周方向または直線方向に配列してグロメット内に通され、かつ、該線間止水処理部の配置位置の前記グロメットには屈曲性を付与する蛇腹部が設けられている。
分割するワイヤハーネスの直径を50mm以上とし、分割する電線群の直径を20mm以下するのは、本発明者の実験に基づく知見による。
すなわち、ワイヤハーネスの直径が50mm以上で、一括して線間止水処理した部分をグロメットに挿入した場合、グロメットから出た直後のワイヤハーネスを90度曲げすると、該ワイヤハーネスの線間止水処理部にクラックが入り空隙が発生しやすいと共に、線間止水処理部にクラックを発生させないためには曲げアールを大きくする必要があることを知見した。一方、グロメットから出たワイヤハーネスの直径を20mm以下とすると、90度の急激曲げを行っても線間止水処理部にクラックが発生せず、隙間が生じていないことを知見した。
または、発泡樹脂や可撓性樹脂からなるスペーサを設け、該スペーサに複数の線間止水処理部の嵌合溝または貫通穴を設け、該嵌合溝または貫通穴にそれぞれ線間止水処理部を通して位置決め保持してもよい。
前記のように、複数の線間止水処理部を位置決め保持した前記樹脂部、あるいはスペーサの外周に、発泡シートを巻き付け、この状態でグロメット内に通していることが好ましい。
前記のように、スペーサを楕円を2分割した形状とすると、直線辺を有する長円形状とした場合に比較してグロメットによる締め付け力を確実にスペーサに付与することができ、グロメットとスペーサとの間に隙間を発生させない利点がある。
前記2分割したスペーサは一端を薄肉ヒンジで連結しておいてもよい。
さらに、前記直列または周方向に並設する貫通穴の隣接部分にスリットを設け、複数の線間止水処理部を一括してグロメット内に挿通できるようにしてもよい。
前記のように、グロメットを簡単な形状としてもよく、この場合、グロメット自体の製作費用の大幅削減を図ることができる。
図1乃至図5に第一実施形態を示す。
グロメット1は自動車のエンジンルーム(X)と車室(Y)とを仕切るダッシュパネルからなる車体パネルPに穿設された貫通穴Hに挿通するワイヤハーネス2に外嵌し、貫通穴Hに取り付けられる。
図5(A)(B)に示すように、前記スペーサ15の各円弧溝16にそれぞれ線間止水処理部21を挿入した後に、図5(C)に示すように、その外周に発泡シート18を巻き付けて、4つに分割した線間止水処理部21をスペーサ15で位置決め保持し、かつ、発泡シート18を巻き付けて、図1(B)に示すように集束している。
小径筒部10から引き出された分割電線群20A〜20Dを集束した状態で、その外周面から小径筒部10の先端側の外周面にかけて粘着テープ(図示せず)を巻き付けたり、締結バンドを巻き付けて締結している。
その際、直径80mmのワイヤハーネス2を、直径20mmの4つの分割電線群20A〜20Dに分けているため、それぞれ線間止水処理部21A〜21Dを備えた分割電線群20A〜20Dが曲げやすくなり、硬化した線間止水処理部21A〜21Dにクラックが入って隙間が生じるのを防止できる。
一方、図7(B)に示す本実施形態では、内周側の内回りの電線と外周側の外回りの電線とで必要な電線長さの差異は小さくなり、内外で電線長さを相違させる必要がなくなるため、電線長さの管理が容易となり、かつ、余長電線を削減できる。
これらの変形例では、分割電線群20(20A〜20D)の線間止水処理部21(21A〜21D)をスペーサを用いずに位置決め保持して集束している。
図8(A)の変形例1では、線間止水処理部21を90度間隔をあけて配置した状態で、その隙間に止水剤23を充填した後に発泡シート18で包んでいる。
図8(B)の変形例2では、線間止水処理部21を90度間隔をあけて配置した状態で、金型内に配置し、熱可塑性樹脂または発泡ウレタンRを充填してモールドしている。
図8(C)の変形例3では、スペーサ15に円弧溝16を設ける代わりに、貫通穴17を設け、各貫通穴17にそれぞれ分割電線群20を挿通している。
いずれの場合も、分割電線群20をそれぞれ曲げられるようにしている。
第二実施形態では、1つのワイヤハーネス2を3つの分割電線群20A〜20Cに分割している。これら分割電線群20A〜20Cには第一実施形態と同様な線間止水処理部21A〜21Cを予め設けている。
前記3つに分割した分割電線群20A、20B、20Cは直列に並設し、スペーサ30で位置決め保持し、該スペーサ30の外周に発泡シート18を巻き付けて保持している。
スペーサ30は、楕円を長軸中心線に沿って2分割した分割片30Aと30Bとからなり、これら分割片30Aと30Bとの対向する分割辺に沿って、線間止水処理部21A〜21Cをそれぞれ嵌合する半円状溝16A〜16Cを設け、言わば歯型形状としている。具体的には、分割片30Aに3つの半円状溝16A1〜16C1を間隔をあけて設け、分割片30Bに3つの半円状溝16A2〜16C2を間隔をあけて設け、分割片30Aと30Bの分割片を当接すると、3つの円形溝となるようにしている。
即ち、図11(A)に示すように長円形状とすると、対向する直線辺L1、L2に撓みが発生しやすくなり、スペーサ30に対してグロメット1の締付力が伝わりにくくなる。一方、図11(B)に示すように楕円形状とすると、全周に円弧の張りがでて、直線区間がなくなるため、スペーサに対するグロメット1の締付力が伝わりやすくなる。よって、グロメット1の小径筒部10内でスペーサ30をしっかりと位置決め保持することができる。
変形例ではスペーサ30の分割片30Aと30Bの一端を薄肉ヒンジ部30Cを介して連結し、一体成形している。他の構成は第二実施形態のスペーサ30と同様である。
複数の分割電線群20A〜20Cを挟持する際、薄肉ヒンジ部30Cを支点として分割片30A、30Bを拡げて、分割電線群20A〜20Cを順次に挿入して位置決め保持している。
ワイヤハーネス2を分割電線群20A〜20Cに分割し、各分割電線群20A〜20Cに夫々線間止水処理部21A〜21Cを設け、楕円形状となる分割スペーサ30A、30Bで挟持する構成は第二実施形態と同様である。
該第三実施形態ではグロメット1−Aの形状を第一、第二実施形態のグロメット1と相違させている。
グロメット1−Aは、図16に拡大して示すように、環状の周壁部50の外周面に傾斜壁51と垂直壁52に挟まれた車体係止凹部12を設け、該車体係止凹部12の底壁12aに相当する位置の周壁部50の内周面から係止突起部55を環状に突設し、該係止突起部55の内周面にシールリップ56を突設している。
また、前記係止溝30Eには係止突起部55と係止溝30Eの周壁との間にゴムリング57または発泡シートを介在させている。
ついで、図17(C)に示すように、グロメット1−Aを分割片30A、30Bに外嵌し、前記係止突起部55を分割片30A、30Bの係止溝30Eに挿入してグロメット1−Aを取り付け、図17(D)に示す完成体とする。
他の作用効果は第一、第二実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第四実施形態では第一〜第三実施形態のスペーサを用いず、グロメット1−Bの小径部40の内部に3つの貫通穴44A、44B、44Cを設けている。
小径筒部40は図20に示すように楕円形状とし、3つの貫通穴44A、44B、44Cを長軸線に沿って直列に設けている。
このように、スリット45A、45Bを介して3つの貫通穴44A、44B、44Cを連通させているため、拡げ治具で一度に拡径可能とし、複数の分割電線群20A〜20Cを同時に挿通できるようにしている。
なお、スリットからなる分割線に沿った両側の歯型形状とした分割面に止水剤を塗布して、防水性能を高めてもよい。
2 ワイヤハーネス
20A〜20D 分割電線群
21A〜21D 線間止水処理部
10 小径筒部
11 大径筒部
12 車体係止凹部
13 蛇腹部
15、30 スペーサ
P 車体パネル
H 貫通穴
Claims (7)
- 1つのワイヤハーネスを構成する電線群がグロメット挿通部位で複数の電線群に分割され、各分割電線群には予め隙間に止水剤が充填された線間止水処理部が設けられ、該グロメット挿通部位のワイヤハーネスの直径は50mm以上、分割後の各電線群の直径は20mm以下とされ、
これら複数に分割された線間止水処理部が周方向または直線方向に配列されて前記グロメットの内部に挿通され、これら分割された電線群の線間止水処理部が配置される前記グロメットの部分に蛇腹部が設けられていることを特徴とするワイヤハーネスのグロメット取付構造。 - 前記複数の線間止水処理部の間に可撓性樹脂または発泡樹脂が充填された樹脂部が設けられ、該樹脂部で前記線間止水処理部が位置決め保持され、
または、発泡樹脂や可撓性樹脂からなるスペーサを設け、該スペーサに複数の線間止水処理部の嵌合溝または貫通穴を設け、該嵌合溝または貫通穴にそれぞれ線間止水処理部が挿通されて位置決め保持されている請求項1に記載のワイヤハーネスのグロメット取付構造。 - 前記スペーサは楕円板を長軸線に沿って2分割した分割片からなり、該分割片の対向面は前記線間止水処理部に嵌合させる半円状凹部を間隔をあけて設けた歯型形状とされ、前記対向する半円状凹部に各線間止水処理部の両側部が嵌合されて挟持される請求項2に記載のワイヤハーネスのグロメット取付構造。
- 前記スペーサの嵌合溝または貫通穴に線間止水処理部を嵌合した状態で、該スペーサの外周に発泡シートが巻き付けられる請求項2または請求項3に記載のワイヤハーネスのグロメット取付構造。
- 前記グロメットの小径筒部の内部に前記各線間止水処理部をそれぞれ挿通する複数の貫通穴が直列または周方向に設けられ、かつ、隣接する貫通穴の間にスリットが設けられている請求項1に記載のワイヤハーネスのグロメット取付構造。
- 前記グロメットは車体係止凹部が環状に設けられたリング形状とされ、前記スペーサの外周に嵌合される請求項2または請求項3に記載のワイヤハーネスのグロメット取付構造。
- 自動車のエンジンルームと車室とを仕切る車体パネルの貫通穴に前記グロメットが装着され、該グロメットから引き出された直後のワイヤハーネスが前記車室側またはエンジンルーム側で曲げ配索される請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のワイヤハーネスのグロメット取付構造。
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