以下、実施形態に係るグロメット60およびグロメット60を備えたワイヤーハーネス配索構造部10について説明する(図1参照)。このワイヤーハーネス配索構造部10は、自動車の車体2とドア6との間にワイヤーハーネスWHを配索するための構成である。
ワイヤーハーネスWHは、ドア6に設置されるスイッチ、パワーウインドウモータ、ドアロックモータ、サイドミラーモータ及びスピーカー等の電気機器に対して電源供給又は信号伝達するための複数の電線が、配索経路に対応して適宜束ねられて構成されている。ここで、ワイヤーハーネスWHにおける車体2からドア6に架け渡される部分は、上記複数の電線が1本に束ねられて構成されている。また、ワイヤーハーネスWHは、ドア6内で分岐されて各種電気機器に接続される(図示省略)。
説明の便宜上、車体2及びドア6について説明しておく。ドア6は、車体2に形成されている乗降口を開閉可能に、車体2に対してドアヒンジ5及び開度規制部3により連結されている。なお、車体2とは、金属部材で形成されたフレーム部分を言うものとする。ここでは、ドア6は、フロントサイドドアであり、説明の便宜上、鉛直方向に沿った軸(ドアヒンジ5の回転軸)周りに姿勢変更するように車体2に対して連結されているものとする。また、ドア6について、開閉姿勢に関わらず、閉状態において車両の前方側に位置する端部(連結される側の端部)を前端部、後方側に位置する端部を後端部という。
上記開度規制部3(ドアチェックリンクとも言う)は、ドア6を所定の開度(全開姿勢、半開姿勢等)に維持するための構成である。より具体的には、開度規制部3は、アーム部3aとケース部3bとを備えている。アーム部3aは、一方の端部が車体2に対して相対回転可能に連結され(車体側連結部)、長手方向複数位置に他の部分より肉薄(車体の上下方向に薄肉)な部分が形成された棒状に形成されている。なお、図面では、アーム部3aの厚薄は省略して示している。ケース部3bは、アーム部3aを挿通可能な貫通孔を有する筐状に形成され、その内部にアーム部3aを挟むように押圧付勢される図示省略の挟持部を有している。すなわち、ケース部3bは、挿通されるアーム部3aに対して、挟持部が薄肉部を挟む位置に留まり易くなっている。このケース部3bは、ドア6に対して固定され、開度規制部3のドア側連結部を担っている。
そして、ドア6の開閉動作に連動して、アーム部3aがケース部3bに対して相対挿通移動される。ケース部3bの挟持部がアーム部3aの薄肉部を挟む位置にある状態では、厚肉部を乗り越えられるような外力が加えられない限り、ドア6の姿勢が維持される。一般的に、アーム部3aの薄肉部の位置は、ドア6の半開姿勢及び全開姿勢で姿勢維持可能に設定されている。なお、アーム部3aは、ドア6の閉動作に伴ってドア6内に進入し、開動作に伴ってドア6内から退出する。
ドア6は、金属板をプレス成型、打抜き等して形成されたドアインナーパネル7及びその外側に設けられる外装部材としてのドアアウターパネルと、合成樹脂材料等で形成され、ドアインナーパネル7の車内側に取り付けられる内装部材としてのトリム8とを有している(図2参照)。また、ドア6は、車体2との連結側(前端側)の縁部である導入側縁部で開口する導入開口部6hを通じて内外にワイヤーハーネスWHを配索可能に構成されている。ここでは、ドア6の導入開口部6hは、ドアインナーパネル7に形成された凹部7hにおけるドア6の前端側に向けて開口する開口縁部とトリム8の前端側の縁部とにより形成される開口部である。この凹部7hは、後述するプロテクタPを部分的又は全体的に収容する凹状部分であり、ドアインナーパネル7の車内側で開口すると共に、上述したようにドア6の前端側で開口している。
また、車体2には、内外にワイヤーハーネスWHを挿通配索するための貫通孔部2hが形成されている。この貫通孔部2hは、平面視において、乗降口の開口縁部において、ドア6の閉状態における導入開口部6hと対向する部位に形成されている(図4参照)。なお、導入開口部6h及び貫通孔部2hは、ドア6を閉めた状態では、車体2に取り付けられる内装部材及びドア6のトリム8等により車内に対して遮られて隠れる。
また、ドア6には、その周縁部に沿って防水用のウェザーストリップ6wが設けられている(図2、図4参照)。このウェザーストリップ6wは、ドア6を閉めた状態で、車体2の乗降口の開口縁部に密着して、車内外において水密状態を保持可能なゴム等で形成された弾性部材である。そして、本ワイヤーハーネス配索構造部10は、ウェザーストリップ6wより車内側にワイヤーハーネスWHを配索するように構成されている。
また、ここでは、ワイヤーハーネスWHが車体2とドア6との間でウェザーストリップ6w(複数設けられる場合には少なくとも最も車外側の1つ)より車内側に配索されるため、導入開口部6h及び貫通孔部2hは、該ウェザーストリップ6wより車内側に形成されている。
ワイヤーハーネス配索構造部10は、上記ワイヤーハーネスWHと、収容空間が形成されたプロテクタPと、筒状のグロメット60とを備えている(図1参照)。ワイヤーハーネスWHにおける車体2からドア6に架け渡される部分を含む部分は、グロメット60に覆われている。車体2に対するワイヤーハーネスWHの一方の端部側の一部の相対的位置関係と、ドア6に対するワイヤーハーネスWHの他方の端部側の一部の相対的位置関係とは、それぞれ固定されている。
プロテクタPは、ドア6内に配置され、ワイヤーハーネスWHが挿入される筒状の挿入口部52を有し、該挿入口部52から挿入されたワイヤーハーネスWHを、該ワイヤーハーネスが迂回可能な余裕空間を有する状態で収容する部材である(図3参照)。このプロテクタPは、収容部40と案内部50とを有している。
より具体的には、案内部50は、挿入口部52を有し、ワイヤーハーネスWHを収容部40に案内する筒状の部分である。なお、挿入口部52は、案内部50における一方の端部を含む部分である。そして、案内部50は、他方の端部が収容部40の一方の端部と連続している。また、収容部40は、案内部50に連なってドア6内に配置され、案内部50の他方の端部から延び出たワイヤーハーネスWHを余裕空間を有する状態で収容する部分である。収容部40は、余裕空間を含む収容空間を有している。この収容部40は、ワイヤーハーネスWHが収容空間内からドア6内に引き出される引出口44を有している。つまり、プロテクタPは、挿入口部52を通じて案内部50内に挿入され、案内部50の他方の端部から延び出たワイヤーハーネスWHを、収容部40の収容空間内に収容するとともに引出口44を通じてその外方すなわちドア6内に配索する部材である。そして、ワイヤーハーネスWHは、ドア6内において、プロテクタPにより周辺部材から保護される。図1、図3では、挿入口部52と引出口44とが略直交する方向に貫通し、全体として側面視略L字形状に形成されているプロテクタPを示している。
以下、プロテクタPについて、案内部50及び収容部40の各構成に着目してより詳細に説明する。なお、以下の説明において、プロテクタPについて、ドア6の前方から見たのが正面、ドア6内に配置した状態で車内側から見たのが側面である。
案内部50は、略直線状に延在する断面視略長方形の筒状に形成され、挿入口部52を通じて案内部50に挿入されるワイヤーハーネスWHを略直線状の進退経路に沿って案内可能である。案内部50は、断面視略楕円形、円形或いは多角形等の筒状に形成されていてもよい。
また、挿入口部52は、一方の端部に向けて外周側に拡開するように形成されている(図3、図4参照)。ここでは、挿入口部52は、その延在方向に略直交する全方向において、一方の端部に向けて徐々に拡がるように形成されている。
収容部40は、案内部50の他方の端部から延び出たワイヤーハーネスWHを、第1経路R1と、該第1経路R1に対して中間部が離間するように膨らんだ第2経路R2との間で曲げることにより迂回させて余長吸収可能に収容可能に形成されている(図1、図3参照)。
この収容部40は、側面視において、収容空間を挟んで対向する第1壁部41と第2壁部42とを有している。収容空間内に収容されるワイヤーハーネスWHは、第1経路R1を通る際に第1壁部41に近接し、第2経路R2を通る際に第2壁部42に近接して配設される。すなわち、ワイヤーハーネスWHが第1経路R1を通る状態で、該ワイヤーハーネスWHの第2壁部42側に余裕空間が存在する。この第1壁部41及び第2壁部42は、各一方の端部が案内部50の他方の端部に連続し、各他方の端部が引出口44に連続している。より具体的には、第1壁部41は、側面視略L字形状のプロテクタPの内周側で、案内部50の他端部と収容部40の引出口44とを結ぶように延在している。また、第2壁部42は、第1壁部41に対してワイヤーハーネスWHを曲げ変形可能な間隔をあけて、側面視略L字形状のプロテクタPの外周側で、案内部50の他端部と引出口44とを結ぶように延在している。
ドア6の開閉動作に関連付けて説明すると、ドア6の開状態では、案内部50の他方の端部から延び出たワイヤーハーネスWHは、第2壁部42側に余裕空間をあけた状態で第1経路R1を通って収容空間内に収容されている(図1参照)。
また、ドア6が開姿勢から閉動作されると、案内部50の他方の端部から延び出たワイヤーハーネスWHは、収容空間における余裕空間に押し込まれて第2壁部42に近接するように曲げられる。そして、ドア6が閉姿勢になると、ワイヤーハーネスWHは、第2経路R2を通って収容空間内に収容された状態となる(図3参照)。すなわち、ドア6の開状態に比べ、ワイヤーハーネスWHにおける収容空間内に収容される部分が長くなることにより余長吸収される。ドアの開動作時には、閉動作時とは逆に、ワイヤーハーネスWHは、収容空間内から案内部50側に引き出されて、第2経路R2から第1経路R1に経路変更される。
また、収容部40は、引出口44でワイヤーハーネスWHを固定可能なドア内位置決め部46を有している。ドア内位置決め部46は、引出口44の開口縁部が部分的に(ここでは断面視L字状に)延出した形状に形成されている。そして、引出口44を通じて引き出されるワイヤーハーネスWHを、ドア内位置決め部46の内側に当接させた状態で、一緒にテープT巻き又はタイバンドで締付けして固定(ここではテープT巻きして固定)することにより、ドア6内において位置決めすることができる。これにより、ドア6の開閉動作時に収容部40内に車体2側のワイヤーハーネスWHが進退しても、ドア6内に配索されるワイヤーハーネスWHに対して引張り又は弛みが発生することを抑制して、より確実に収容空間内で余長吸収させることができる。
ワイヤーハーネスWHを収容部40に対して固定する構成は、上記ドア内位置決め部46に限られず、引出口44から壁状に延出するドア内位置決め部にタイバンド挿通用の孔部が複数形成され、タイバンドを孔部に挿通してワイヤーハーネスWHを締付け固定するものであってもよい。
なお、ワイヤーハーネスWHに加わる負荷を軽減する観点では、収容部40の好ましい形状は以下の通りである。以下、側面視における第1壁部41及び第2壁部42の形状について、より具体的に説明する(図3参照)。すなわち、第1壁部41は、ドア6の開状態において、ワイヤーハーネスWHにおける案内部50の他方の端部とドア内位置決め部46との中間部分を、該案内部50の他方の端部とドア内位置決め部46とを結ぶ方向に平行な経路で収容するように経路規制可能に形成されている。
また、第2壁部42は、ドア6の閉動作に伴って変動するワイヤーハーネスWHの経路を規制可能に構成されている。ここでは、第2壁部42は、挿入口部52の貫通方向に沿った案内部側壁部と引出口44の貫通方向に沿った引出口側壁部とを湾曲壁部が接続する形状に形成されている。該湾曲壁部は、部分的に案内部50から離間する向きにワイヤーハーネスWHの直径分より小さい寸法だけ膨らむように形成されている。
このプロテクタPは、ドア6内すなわちドアインナーパネル7とトリム8との間において、ドアインナーパネル7に形成されている凹部7h内に部分的又は全体的(図2、図4では全体的)に収容される。より具体的には、プロテクタPは、案内部50が収容部40に対してドア6の前端側に位置すると共に、引出口44がドア6の上方を向く姿勢でドア6内に配置されている。なお、上方を向くとは、鉛直方向上方を向く形態に限られず、上方に向けて傾斜し、上方を臨む形態も含むものとする。
また、プロテクタPの取り付け位置について、その車体2に対する取り付け位置との関係で説明すると、プロテクタPは、ワイヤーハーネスWHが車体2とドア6との間で開度規制部3の下方に架け渡されるように、車体2に対して取り付けられるとともにドア6内に配置されている。また、プロテクタPは、挿入口部52がドア6(ドアインナーパネル7)における開度規制部3と連結されている部位の下方に位置するように、ドア6内に配置されている。また、プロテクタPは、ドア6の閉状態において、車体2の貫通孔部2hと挿入口部52とが挿入方向S(車体2の前後方向)において対向する位置関係で車体2に取り付け又はドア6内に配置されている(図3、図4参照)。そして、ドア6の閉状態において、車体2とドア6との間で延在するワイヤーハーネスWHは略直線状に延在する。
ここでは、プロテクタPは、ドアインナーパネル7に形成される孔部に対して嵌合可能な固定部58を有している(図2、図4)。この固定部58は、プロテクタPをドアインナーパネル7に対して車外側に向けて(案内部50を凹部7h内に収容する向きに)押し付けることにより、孔部に嵌合するように形成されている。例えば、固定部58としては、プロテクタPの側面から突出する基軸部と、その先端部からその外周側に拡がるように形成され、内周側に弾性変形可能な係止部とを有する構成を採用できる。ここでは、固定部58は、プロテクタPの一方側の側面のうち、案内部50の挿入口部52及び収容部40からそれぞれ突出するように2箇所に設けられている。より具体的には、固定部58は、凹部7h内に配置されるプロテクタPにおける車外側の側面から車外側に向けて突出している。
そして、この固定部58をドアインナーパネル7に形成された孔部に挿入することにより、係止部が、孔部の周縁部に当接して内周側に弾性変形し、孔部を越えると外周側に弾性復帰して孔部の周縁部に対して車外側から係止する。このように、上記固定部58によりドアインナーパネル7に対して固定可能なプロテクタPによると、ドアインナーパネル7に対して押し付けるだけで容易に固定することが可能である。
もっとも、プロテクタPをドアインナーパネル7に対して固定するための構成は、上記の姿勢及び位置でドア6内に配設可能であればよく、その他の固定構造が採用されてもよい。例えば、プロテクタPは、ねじ止め、ボルト止め、スタッドボルト止め、ブラケット固定、又はクリップ固定等によりドアインナーパネル7に対して固定可能な形状であってもよい。
上記収容部40及び案内部50を有するプロテクタPは、例えば、凹状の第1部材P1と蓋状の第2部材P2とが合体されて成る構成を採用することができる(図2、図4参照)。なお、図1、図3では、第2部材P2を省略したプロテクタPを示している。また、第1部材P1及と第2部材P2とは、合体状態を維持するために、一方に複数の係止部が設けられ、他方に該係止部が係止可能な複数の被係止部が設けられているとよい。この係止部及び被係止部については、図面では省略している。そして、プロテクタPは、第1部材P1と第2部材P2とを、それぞれ射出成型等により製造して合体させることにより構成することができる。なお、プロテクタPは、凹状部材同士の組合せ等により構成されていてもよいし、全体として凹状に形成され、トリム8により開口を塞がれるように構成されていてもよい。
もっとも、収容部40と案内部50とは、一部品のプロテクタPとして形成される場合に限られず、案内部50の他方の端部側に該案内部50とは別体の収容部40が連なって配置されてもよい。
また、プロテクタPは、挿入口部52から挿入されるワイヤーハーネスWHを、余裕空間を有して収容可能であればよく、上記形状に限られるものではない。例えば、ワイヤーハーネスWHを輪状に巻いて収容し、輪部の径を変化させて迂回可能な収容部を有する形状や、案内部が挿入口部52だけで構成された形状等を採用してもよい。
グロメット60は、全体として筒状の部材であり、車体側止水部(「車体側取付部」)62と、ドア側止水部(「ドア側取付部」)72と、中間止水部(「蛇腹筒部」)81とを備える(図5参照)。より詳細には、グロメット60は、車体2とドア6との間に配索されるワイヤーハーネスWHを内部に挿通して保護するとともに、ワイヤーハーネスWHの垂れ下がり及び屈曲を抑制する。また、グロメット60は、車体2、プロテクタP及びドア6内への水、埃及び砂等の侵入を抑制するための止水用部材でもある。グロメット60に挿通されたワイヤーハーネスWHはドア6の閉動作に伴ってプロテクタPの案内部50内に導入される。グロメット60は、ドアが開かれた状態で、その外観が観察可能に露出する。
プロテクタPの収容部40には、グロメット60の一対の取付部である車体側止水部62とドア側止水部72とのうちドア側止水部72によって中間止水部81の内部空間と連通接続された収容空間が形成されている。そして、プロテクタPは、グロメット60からドア6側に引き出されて案内部50内に導入されたワイヤーハーネスWHを当該収容空間に収容する。
このグロメット60は、全体としてゴム材料などを射出成型すること等により一体に形成されている。より詳細には、グロメット60(特に中間止水部81)は、内部に挿通されるワイヤーハーネスWHの垂れ下がり及び屈曲を抑制できる程度に高い剛性を有する比較的硬質なゴムまたはエラストマーなどの弾性材料により形成されていればよい。
車体側止水部62は、中間止水部81の車体2側の端部に連結して設けられている。車体側止水部62は、車体2の貫通孔部2hに嵌合して取り付けられて、貫通孔部2hから車体2内に水、埃及び砂が侵入することを抑制するための部位である。車体側止水部62は、先端にいくにしたがって縮径した断面円形状の車体装着部63と、車体装着部63の縮径端と連続した円筒形状のワイヤーハーネス挿通部64とを備える。なお、車体側止水部62は、例えば、車体側止水部62に固定された樹脂部材などを介してドア6に取り付けられてもよい。すなわち、車体側止水部62は、車体2側に取り付けられる部位である。
車体装着部63の拡径端の側外周部にはその周方向に沿って係止溝65が形成されており、係止溝65が車体2に形成される貫通孔部2hの周縁にはめ込まれて係止されることによって、グロメット60が車体2に装着される。
ワイヤーハーネス挿通部64の内壁は、ワイヤーハーネスWHの外周に密着する。すなわち、ワイヤーハーネス挿通部64の内径は、ワイヤーハーネスWHの外径よりも小さく、内部に挿通されたワイヤーハーネスWHを、弾性力で外周側から締め付ける。これにより、ワイヤーハーネスWHとワイヤーハーネス挿通部64の内壁との間の隙間が止水される。
ドア側止水部72は、中間止水部81のドア6側の端部に連結して設けられている。ドア側止水部72は、導入開口部6h及びプロテクタPの挿入口部52の内部に水、埃及び砂等が侵入するのを抑制するための部位である。このドア側止水部72は、筒部74と、止水用リブ75と、鍔部76とを有している(図5参照)。
筒部74は、案内部50の挿入口部52に被せられる部分である。筒部74は、挿入口部52の外形に対応した内部形状を有する筒状(ここでは断面視略長方形の筒状)に形成され、その大きさが該挿入口部52の外形と同じかそれより小さく(ここでは僅かに小さく)設定されている。すなわち、筒部74は、挿入口部52の外周面に対して周方向全体的に接触した状態で該挿入口部52に被される。なお、ここでは、挿入口部52が一方の端部で外周側に拡がる形状に形成されているため、筒部74の内部空間は、挿入口部52の一方の端部の形状に対応して中心軸方向一部分で外周側に拡がっている。
挿入口部52に被せられた筒部74は、ドアインナーパネル7にトリム8が取り付けられると、導入開口部6hでドアインナーパネル7とトリム8との間に挟まれて双方に対して車内外方向に接触した状態となる。もっとも、筒部74は、ドアインナーパネル7とトリム8とに対する接触の有無は問わないが、接触することによりプロテクタPのがたつき抑制にも寄与する。
筒部74の内周部には、内周側に突出し、周方向に沿った凸条に形成された止水用リブ75が設けられている(図5参照)。ここでは、筒部74の中心軸方向に間隔をあけて一対の止水用リブ75が設けられている。この止水用リブ75は、断面視略弧状に凸となる形状に形成されている。例えば、止水用リブ75の突出寸法は、0.1〜2.0mmに設定されているとよい。そして、筒部74が挿入口部52に被せられた状態で、止水用リブ75は、挿入口部52の外周面に対して接触し、挿入口部52を筒部74が締め付ける力より大きい力で締め付けている。
止水、防塵性能等の観点から言うと、筒部74は、挿入口部52の外周面に対して周方向全体に亘って密着していることが好ましい。ここでは、挿入口部52は、少なくとも中心軸方向一部分の外周部が周方向全体において平らに形成されている。すなわち、挿入口部52において外周部が周方向全体において平らに形成されている一部分に筒部74(好ましくは止水用リブ75)が被されると、筒部74と挿入口部52との隙間を無くす又はより小さくすることができる。
鍔部76は、筒部74の外周部から外周側に拡がる鍔状に形成され、ドア6の導入開口部6hを覆う部分である(図5参照)。この鍔部76は、ドアインナーパネル7の凹部7hとトリム8との内側に形成される導入開口部6hに対応した形状で、該導入開口部6hより大きく形成されている。より具体的には、鍔部76は、導入開口部6hを覆うと共にドアインナーパネル7とトリム8とで構成されるその周縁部に対してドア6の前端側から重複する大きさに設定されている。
鍔部76には、第1ドア密着部76aと第2ドア密着部76bとが設けられている。第1ドア密着部76a及び第2ドア密着部76bは、ドア6の導入開口部6hの周縁部に対してドア6の前端側から密着する部分である。より具体的には、第1ドア密着部76aは、グロメット60の車体側止水部62側からドア側止水部72側に向かう向きに鍔部76から突出し、導入開口部6hの周縁部に沿った凸条に形成されている。また、第2ドア密着部76bは、鍔部76における第1ドア密着部76aより外周側の部位から、導入開口部6hの周縁部に沿ってグロメット60の車体側止水部62側からドア側止水部72側に向けて外周側に拡がりながら突出する傘状に形成されている。
そして、ドア6に配置されたプロテクタPの挿入口部52に筒部74が被せられた状態で、第1ドア密着部76aが導入開口部6hの周縁部に沿って当接すると共に、第2ドア密着部76bが外周側に拡がるように弾性変形して導入開口部6hの周縁部に対して第1ドア密着部76aより外周側で該周縁部に沿って面接触する。なお、第1ドア密着部76a及び第2ドア密着部76bは、筒部74が挿入口部52を締め付ける力により案内部50に対して一定位置に固定されて、導入開口部6hの周縁部に対して押し付けられている。これにより、ドア6の導入開口部6hは遮蔽される。
中間止水部81は、伸縮及び曲げ可能な筒状の部位であり、車体側止水部62とドア側止水部72とを連結するとともに、車体2とドア6との間に架け渡されるワイヤーハーネスWHを覆う形状に形成されている。中間止水部81は、山部86と谷部88とが中間止水部81の長さ方向(軸長方向、軸心に沿った方向)に交互に設けられて伸縮可能な蛇腹筒状の蛇腹部82と、筒部83とを備えている。筒部83の一方の端部は、車体側止水部62の後方側の端部と繋がるとともに、筒部83の他方の端部は、蛇腹部82の一方の端部に繋がっており、蛇腹部82と車体側止水部62とは、筒部83を介して連結されている。また、蛇腹部82は、その他方の端部がドア側止水部72の前方側の端部と繋がることでドア側止水部72と連結されている。なお、中間止水部81が、筒部83を備えることなく車体側止水部62と蛇腹部82とが直に連結されてもよい。また、中間止水部81が、蛇腹部82の一方の端部だけでなく他方の端部にも筒部83を備え、当該筒部83によってドア側止水部72と連結されてもよい。
より具体的には、蛇腹部82には、軸心に沿った方向の断面視略三角波形状に形成された蛇腹形状を有し、大径の環状の山部86と、小径の環状の谷部88とが蛇腹部82の長さ方向(軸長方向)に沿って、交互に連続して設けられている。そして、互いに隣り合う山部86と谷部88とは、フレアー状に形成された傾斜壁部(「斜面部」)84によって連結されている。このため、蛇腹部82は、長手方向中心線である軸心に沿った方向への伸縮性と、軸心に交差する方向へ曲がる可撓性とを有している。
より詳細には、蛇腹部82は、隣接する傾斜壁部84の内角が小さくなることにより軸心に沿った方向に収縮すると共に、該内角が大きくなることにより軸心に沿った方向に伸長する。また、軸心に直交する方向に力が加えられて曲げられる際には、内周側の傾斜壁部84同士の内角より外周側の傾斜壁部84同士の内角が相対的に大きくなって変形する。これにより、中間止水部81は、車体2とドア6との間に配索されるワイヤーハーネスWHの一部を内部に挿通して収容した状態でドア6の開閉動作に伴って収縮及び伸長変形可能に形成されている。中間止水部81は、好ましくは、扁平な形状(例えば、軸心に垂直な方向の断面視略楕円形、略長方形等の扁平な形状)に形成されるが、中間止水部81は、筒状であればよく、断面視円形や、正多角形などの筒状形状であってもよい。
ドア6の開状態では、車体側止水部62とドア側止水部72とが離間して位置し、中間止水部81は、伸長状態に維持され、曲がって延在している(図1、図2参照)。ドア6が開姿勢から閉動作されると、車体側止水部62とドア側止水部72とが近接し、中間止水部81は収縮する。そして、ドア6の閉状態では、中間止水部81は、収縮状態に維持される(図3、図4参照)。ドアの開動作時には、閉動作時とは逆に、車体側止水部62とドア側止水部72とが離間し、中間止水部81は伸長する。このように、グロメット60は中間止水部81を備えていることによって、ドア6の動作に追従して動き、変形する。中間止水部81の収縮に応じて、ドア6の開閉動作における車体2とドア6との間隔の変動幅に対応したワイヤーハーネスWHの余長部が、グロメット60からプロテクタPの収容部40側に導入され、グロメット60の伸長に応じて、余長部がプロテクタPからグロメット60側に引き出される。
中間止水部81に形成された蛇腹部82についてさらに説明する。図6に示されるように、傾斜壁部84は、蛇腹部82のうちフレアー状に形成された均一な厚さ(外周面91と内周面92との間隔)d1の傾斜した壁部である。山部86は、蛇腹部82のうち傾斜壁部84に繋がり、傾斜壁部84よりも蛇腹部82の径方向外側の大径の環状壁部である。山部86には、蛇腹部82のうち内周面が、傾斜壁部84の内周面92を当該径方向外側に延長した延長面よりも傾斜壁部84の外周面91の当該径方向外側への延長面側に近づき始める部分も含まれる。谷部88は、蛇腹部82のうち傾斜壁部84に繋がった傾斜壁部84よりも径方向内側の小径の環状壁部である。谷部88には、蛇腹部82のうち内周面が傾斜壁部84の内周面92を当該径方向内側に延長した延長面よりも傾斜壁部84の外周面91の当該径方向内側への延長面側に近づき始める部分も含まれる。
山部86および谷部88の厚さは、傾斜壁部84の厚さd1より薄い。山部86の頂部は、山部86のうちで最も薄く形成されており、その厚さはd2である。谷部88の底部は、谷部88のうちで最も薄く形成されており、その厚さはd2である。また、山部86の頂部および谷部88の底部の厚さd2は、傾斜壁部84の厚さd1に対して、好ましくは、1/2〜2/3程度に設定される。なお、山部86の厚さと、谷部88の厚さとが互いに異なってもよい。傾斜壁部84の厚さd1は、蛇腹部82の全体にわたって好ましくは均一な厚さに設定されるが、山部86および谷部88の厚さが傾斜壁部84の厚さよりも薄ければ、傾斜壁部84の厚さが均一でないとしても本発明の有用性を損なうものではない。
図6に示される蛇腹部82の断面形状においては、直線上の線分が折れ線状に連なった例が示されているが、当該線分同士の接続部分の角部が丸められてもよい。また、蛇腹部82が、例えば、平面状の傾斜壁部84と、局面状の山部86および谷部88とによって構成されてもよい(図7参照)。図7に示される例では、隣り合う山部86と谷部88とのそれぞれの厚さが、山部86と谷部88とを連結する傾斜壁部84の厚さd1よりも薄くなるように蛇腹部82が形成され、谷部88の頂部および谷部88の底部の厚さはd2である。
また図6、図7に示されるように、蛇腹部82では、軸長方向の断面において、蛇腹部82のうち山部86を間に挟んで隣り合う2つの傾斜壁部84の内周面92の略直線状の各輪郭線を蛇腹部82の径方向外側へ輪郭線に沿って延長した各延長線の交点111と、当該各輪郭線の山部86側の端点112および113のそれぞれとを結んだ折れ線101に対して、当該山部86の外周面側に当該山部86の内周面の輪郭線があるように山部86が形成されている。
山部86および谷部88の厚さが、傾斜壁部84の厚さよりも薄い蛇腹部82が伸長された場合には、山部86または谷部88に連なって互いに隣り合う傾斜壁部84のなす角度αは、山部186、谷部188、および傾斜壁部184の厚さがそれぞれ等しい蛇腹部182が伸長された場合に隣り合う傾斜壁部184同士がなす角度βよりも大きくなる(図8参照)。従って、伸長状態において、蛇腹部82は、蛇腹部182よりも平坦になる。また、蛇腹部82と蛇腹部182との斜面部の長さが等しく、個数も等しければ、伸長状態において軸長方向に沿った長さは、より平坦になる蛇腹部82の方が、蛇腹部182よりも長くなる。
換言すれば、開状態のドア6と車体2との間に、伸長されたグロメットが延設される場合には、より平坦になる蛇腹部を備えたグロメットの方が、蛇腹部の表面に沿った長さをより短くでき、グロメットの生成に要する弾性材料を節約できる。なお、山部および谷部の厚みが斜面部よりも薄い蛇腹部82の伸長状態においても蛇腹部82は完全に平坦にはならず、ある程度山谷が残る。これにより、蛇腹部82は伸長状態から収縮状態に戻ることができるので、蛇腹部82が採用されたとしてもグロメット60の座屈は抑制される。従って、座屈による蛇腹部82とワイヤーハーネスWHとの摩耗による電線の断線も抑制される。なお、図8では、蛇腹部の厚薄は省略して示されている。
これまで、グロメット60について、ドア側止水部72が鍔部76を有している例で説明したが、鍔部76は省略されてもよい。すなわち、筒部74が挿入口部52に被せられることによりプロテクタP内への水、埃及び砂等の侵入を抑制できると共に、筒部74が案内部50に被されることにより導入開口部6hの案内部50との隙間が該筒部74で遮蔽される場合若しくは導入開口部6hの周縁部と筒部74との隙間が十分小さい場合にも、ドア6内への水、埃及び砂等の侵入が抑制される。もっとも、導入開口部6hの開口縁部と筒部74との隙間が大きい場合には、鍔部76が設けられていることが好ましい。
また、ドア側止水部72の止水用リブ75は、省略されてもよい。すなわち、筒部74が挿入口部52に被されることにより、水、埃及び砂等の侵入を抑制する効果が得られるとともに、筒部74の締め付け力が十分強い場合にも筒部74と挿入口部52の外周部との隙間をより小さくして水、埃及び砂等の侵入を抑制できる。また、筒部74による挿入口部52の締め付け強度を上げるために、挿入口部52に被せられた筒部74の外周に沿って配設されたタイバンドなどによって、筒部74を筒部74の軸心方向に締め付ける構成が採用されてもよい。
上記ワイヤーハーネス配索構造部10は、車体2からドア6内に配索されるワイヤーハーネスWH、プロテクタP及びグロメット60をモジュール化して、車両組付け前に組み立てておくとよい。より詳細には、ワイヤーハーネスWHをグロメット60に挿通して車体側止水部62から延び出たワイヤーハーネスWHを車体側止水部62にテープT巻き固定する。そして、グロメット60の筒部74から延び出たワイヤーハーネスWHをプロテクタPの案内部50内に配索するとともに、案内部50の他方の端部から延び出たワイヤーハーネスWHを収容部40内に収容して引出口44から引き出される部分をドア内位置決め部46にテープT巻き固定する。さらに、グロメット60の車体側止水部62を車体2の貫通孔部2hに取り付けると共に、ドア側止水部72をプロテクタPの挿入口部52に被せておけばよい。
これまで、ワイヤーハーネス配索構造部10についてグロメット60の内部にワイヤーハーネスWHが直に挿通される例で説明してきたが、ワイヤーハーネス配索構造部10が、車体2とドア6との間に架け渡されるワイヤーハーネスWHの垂れ下がり及び屈曲を抑制しつつ該ワイヤーハーネスWHを案内部50内にスムーズに導入するための外装部材を備えてもよい。該外装部材は、ワイヤーハーネスWHを支持可能な剛性、すなわち、少なくともワイヤーハーネスWHより高い剛性を有する筒状部材である。また、該外装部材は、グロメット60よりも高い剛性を有する部材であることが好ましい。具体的には、該外装部材としては、合成樹脂(例えば、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)等)を押出成型すると共にブロー成型或いはバキューム成型して製造されたコルゲートチューブなどが採用される。
ワイヤーハーネス配索構造部10に外装部材が採用される場合には、ワイヤーハーネスWHに外装部材を被せるとともに、該外装部材をグロメット60に挿通する。そして、車体側止水部62の端部から延び出た外装部材の一方の端部側の一部分を車体側止水部62にテープT巻きして固定するとともに、外装部材の一方の端部から延び出たワイヤーハーネスWHの一部分を該一方の端部にT巻きして固定する。また、外装部材の他方の端部から延び出たワイヤーハーネスWHの一部分を、該他方の端部にテープT巻きして固定する。そして、外装部材の他方の端部を含む一部分をプロテクタPの案内部50内に導入し、外装部材の他方の端部から延び出たワイヤーハーネスWHを収容部40内に収容して引出口44から引き出される部分をドア内位置決め部46にテープT巻き固定する。
また、これまで、ドア側止水部72に止水用リブ75が設けられている例を説明したが、案内部50と筒部74との間における防水、防塵性能を向上させるためには、筒部74又は挿入口部52の少なくとも一方が、内周側又は外周側に向けて突出する周方向に沿った凸条に形成され、挿入口部52の外周面又は筒部74の内周面に接触する止水用リブを有していればよい。他にも、挿入口部及びドア側止水部の筒部の両方に止水用リブが設けられていてもよい。
また、これまで、ワイヤーハーネス配索構造部10を、フロントサイドドアとしてのドア6に適用する例で説明したが、車体2とヒンジで連結される他のドアに対しても適用可能である。例えば、リアサイドドアに適用する場合、センターピラー(フロントサイドドアとリアサイドドアとの間のピラー)とリアサイドドアとの間にワイヤーハーネスWHが架け渡される。すなわち、センターピラーに孔部が形成され、ここにグロメット60の車体側止水部62が取り付けられる。また、車体後方のバックドアに対しても、ワイヤーハーネス配索構造部10を適用可能である。
また、グロメット60は、プロテクタPを備えることなく車体2とドア6との間にワイヤーハーネスWHを配索するワイヤーハーネス配索構造部に適用されてもよい。この場合には、グロメット60のドア側止水部72は、ドア6の導入開口部6hに取り付けられ、ドア側止水部72から引き出されたワイヤーハーネスWHの一部がドア側止水部72に対して位置関係を固定された状態でワイヤーハーネスWHがドア6内に配索される。すなわち、グロメット60のドア側止水部72は、ドア6側に取り付けられる部位である。
以上のように構成された本実施形態に係るグロメット60によれば、蛇腹部82は、隣り合う山部86と谷部88とのそれぞれの厚さが、当該山部86と当該谷部88とを連結する傾斜壁部84の厚さよりも薄いので、山部86または谷部88を間に挟んで互いに隣り合う傾斜壁部84同士は、ドアが開かれるときに、当該傾斜壁部84同士がなす角度がより大きくなるように開かれる。従って、蛇腹部82がより伸長されやすくなるので蛇腹部82の形状をより平坦にすることができ、蛇腹部82の折り目を目立ちにくくできる。
また、以上のように構成された本実施形態に係るグロメット60によれば、蛇腹部82の軸長方向の断面において、蛇腹部82のうち山部86を間に挟んで隣り合う2つの傾斜壁部84の内周面92の各輪郭線のそれぞれの延長線の交点111と、当該各輪郭線の山部86側の端点112および113のそれぞれとを結んだ折れ線101に対して、当該山部86の内周面の輪郭線が、当該山部86の外周面側にある。このような山部86の内周面は、蛇腹部82の厚みが全長にわたって均一である場合の山部の内周面に対して、外周面側に向かって凹状に窪んで形成された内周面により実現され得る。従って外部から観察される外周面に局所的な窪み等を設けることなく、山部の厚みを斜面部よりも薄くできるので、ドアが開かれて蛇腹部82が伸長されたときに蛇腹部82の折り目をより目立ちにくくできる。
また、以上のように構成された本実施形態に係るグロメット60によれば、ワイヤーハーネス配索構造部10のプロテクタPは、グロメット60の一対の取付部のうちドア側止水部72によって中間止水部81の内部空間と連通接続された収容空間が形成された収容部40を備える。そして、プロテクタPは、当該収容空間にグロメット60からドア6側に引き出されたワイヤーハーネスWHを収容する。従って、ワイヤーハーネス配索構造部10において、ドア6が開かれて、伸長されたグロメット60が露出したときに、蛇腹部82の折り目を目立ちにくくできる。
以上のようにグロメット60およびグロメット60を備えたワイヤーハーネス配索構造部10は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。