WO2012147223A1

WO2012147223A1 - ワイヤーハーネス配索構造部

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Publication number: WO2012147223A1
Application number: PCT/JP2011/073498
Authority: WO
Inventors: 大樹永易
Original assignee: 住友電装株式会社
Priority date: 2011-04-25
Filing date: 2011-10-13
Publication date: 2012-11-01
Also published as: JP2012228901A

Abstract

　ワイヤーハーネス配索構造部は、車両のボディとバックドアとの間でワイヤーハーネスを配索するものである。このワイヤーハーネス配索構造部は、ワイヤーハーネスと、ワイヤーハーネスの一部をバックドアの一部に固定するバックドア固定部と、ボディに配置され、ワイヤーハーネスを迂回可能な空間を有して収容する収容部とワイヤーハーネスをバックドア側から収容部に向けて案内する筒状の案内部とを有するプロテクタとを備える。

Description

ワイヤーハーネス配索構造部

　ワイヤーハーネスをボディとバックドアとの間で配索する技術に関する。

　自動車のバックドア（トランクのラゲージドアを含む）に搭載される電気機器に対して電力供給又は信号伝達するために、ボディからバックドアにワイヤーハーネスが配策される。

　特許文献１には、ワイヤーハーネスをボディとラゲージドアとの間で配索するための電線余長吸収装置が開示されている。この電線余長吸収装置は、ボディ側のトリム近傍のパネルに装備されワイヤーハーネスを構成する電線の余長分を吸収する装置本体と、ラゲージドアに装備され相手側ワイヤーハーネスと通電可能に繋げられる接続部とを備えている。また、装置本体は、電線を収容すると共に電線が導入若しくは導出される開口部を有するケースと、電線をケース内に引き込む方向に付勢する付勢部材と、電線が掛けられ付勢部材の付勢力を受けつつ往復移動が可能なハーネス巻掛け部材とを備えている。

　そして、特許文献１の電線余長吸収装置は、電線が導入される際には、付勢部材により付勢されるハーネス巻掛け部材により電線がケース内に引き込まれ、電線が導出される際には、付勢部材の付勢力に逆らって電線がケース内から引き出される。これにより、電線を、ラゲージドアの開閉動作にスムーズに連動させている。

特開２００５－１７６４３６号公報

　しかしながら、特許文献１の電線余長吸収装置では、ラゲージドアの開閉動作に対して電線をスムーズに連動させるために、電線を収容するケース内に、付勢部材及びハーネス巻掛け部材等が設けられると共に、それに伴って付勢部材を案内するガイドピン等も設けられる。このため、この電線余長吸収装置は、構造が複雑になってしまう。

　そこで、本発明は、より簡単な構成で、ボディとバックドアとの間に配索されるワイヤーハーネスをバックドアの開閉動作にスムーズに連動させることを目的とする。

　第１の態様は、車両のボディとバックドアとの間でワイヤーハーネスを配索するワイヤーハーネス配索構造部であって、前記ワイヤーハーネスと、前記ワイヤーハーネスの一部を前記バックドアの一部に固定するバックドア固定部と、前記ボディに配置され、前記ワイヤーハーネスを迂回可能な空間を有して収容する収容部と前記ワイヤーハーネスを前記バックドア側から前記収容部に向けて案内する筒状又は溝状の案内部とを有するプロテクタとを備える。

　第２の態様は、第１の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部であって、前記バックドア固定部は、前記ワイヤーハーネスを、前記バックドアのドアインナーパネルを貫通する形態で前記バックドアに固定する。

　第３の態様は、第１の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部であって、前記バックドア固定部は、前記ワイヤーハーネスを、前記バックドアのドアインナーパネルとバックドアトリムとの間に通す形態で前記バックドアに固定する。

　第４の態様は、第３の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部であって、前記バックドア固定部は、前記ドアインナーパネル又は前記バックドアトリムの一方に固定される固定部と、前記ドアインナーパネル又は前記バックドアトリムの他方に凹凸嵌合する嵌合部とを有している。

　第５の態様は、第１～第４のいずれか一態様に係るワイヤーハーネス配索構造部であって、前記プロテクタの前記案内部は、前記バックドアの閉状態において、前記ワイヤーハーネスが導出入される導出入口部が前記バックドア固定部に対向する位置に配置され、前記ワイヤーハーネスにおける前記バックドア固定部の前記ボディ側に隣接する部分の延在方向に直交する面に前記導出入口部の開口縁部を沿わせる形状に形成されている。

　第６の態様は、第１～第５のいずれか一態様に係るワイヤーハーネス配索構造部であって、前記プロテクタの前記収容部は、前記ボディの側部に沿った位置に前記ワイヤーハーネスを引き出す引出口部を有している。

　第７の態様は、第１～第６のいずれか一態様に係るワイヤーハーネス配索構造部であって、前記ワイヤーハーネスより剛性が高く設定されて形成され、前記ワイヤーハーネスにおける前記ボディと前記バックドアとの間に架け渡される部分の周囲を覆う外装部材をさらに備える。

　第８の態様は、第１～第７のいずれか一態様に係るワイヤーハーネス配索構造部であって、前記プロテクタの前記案内部は、前記ワイヤーハーネスが導出入される導出入口部を有し、前記導出入口部は、前記ボディにおける前記バックドアにより開閉される後方開口部に隣接して形成された配索用穴部の内側に配設されている。

　第１の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部によると、バックドア固定部によりワイヤーハーネスの一部をバックドアの一部に固定し、ボディに配置されたプロテクタの収容部によりワイヤーハーネスを迂回可能な空間を有して収容すると共に案内部によりワイヤーハーネスをバックドア側から収容部に向けて案内する。これにより、より簡単な構成でボディとバックドアとの間にワイヤーハーネスを配索することができる。

　第２の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部によると、バックドア固定部が、ワイヤーハーネスを、バックドアのドアインナーパネルを貫通する形態でバックドアに固定するため、ワイヤーハーネスをドアインナーパネルとドアの外装部材としてのドアアウターパネルとの間に配索することができる。これにより、バックドアトリム内にワイヤーハーネスを配索することが困難な車種においても、バックドアにワイヤーハーネスを配索することができる。

　第３の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部によると、バックドア固定部が、ワイヤーハーネスを、バックドアのドアインナーパネルとバックドアトリムとの間に通す形態でワイヤーハーネスをバックドアに固定するため、ワイヤーハーネスをドアインナーパネルとバックドアトリムとの間で配索することができる。これにより、ドアインナーパネルとドアアウターパネルとの間にワイヤーハーネスを配索することが困難な車種においても、バックドアにワイヤーハーネスを配索することができる。

　第４の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部によると、バックドア固定部が、固定部によりドアインナーパネル又はバックドアトリムの一方に固定されると共に、嵌合部によりドアインナーパネル又はバックドアトリムの他方に凹凸嵌合するため、バックドアに対してより確実に位置決めされて固定される。

　第５の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部によると、プロテクタの案内部は、導出入口部がバックドア固定部に対向する位置に配置され、ワイヤーハーネスにおけるバックドア固定部のボディ側に隣接する部分の延在方向に直交する面に導出入口部の開口縁部を沿わせる形状に形成されている。このため、バックドアの閉状態において、ワイヤーハーネスをバックドア固定部と導出入口部との間で直線状に維持して、該ワイヤーハーネスにかかる負荷を抑制することができる。

　一般的に車両のボディにおいては側部に沿ってワイヤーハーネスが配索されることが多い。第６の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部によると、プロテクタの収容部が、ボディにおける側部に沿った位置にワイヤーハーネスを引き出す引出口部を有しているため、よりワイヤーハーネスの配索距離を短くすることができる。

　第７の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部によると、ワイヤーハーネスより剛性が高く設定されて形成された外装部材が、ワイヤーハーネスにおけるボディとバックドアとの間に架け渡される部分の周囲を覆うように設けられている。このため、ワイヤーハーネスが、外部から保護されると共に、外装部材の剛性によりプロテクタ内にスムーズに進退できる。

　第８の態様に係るワイヤーハーネス配索構造部によると、プロテクタの案内部の導出入部が、ボディにおけるバックドアにより開閉される後方開口部に隣接して形成された配索用穴部の内側に配設されている。このため、ワゴン型の車種のようにバックドアにウインドウが設けられる場合に、プロテクタのウインドウ側への張り出しを抑制して、後方視認性を確保することできる。

ワイヤーハーネス配索構造部を示す車両の外観斜視図である。バックドアの開状態におけるワイヤーハーネス配索構造部の側面図である。バックドアの開状態におけるプロテクタ内の様子を示す平面図である。バックドアの閉状態におけるワイヤーハーネス配索構造部の側面図である。バックドアの閉状態におけるプロテクタ内の様子を示す平面図である。バックドア固定部を示す図である。変形例に係るワイヤーハーネス配索構造部を示す車両の外観斜視図である。第２実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部を示す車両の外観斜視図である。バックドアの開状態における第２実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部の側面図である。バックドアの閉状態における第２実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部の側面図である。第２実施形態に係るバックドア固定部の正面図である。図１１のＸＩＩ－ＸＩＩ線断面図である。

　＜第１実施形態＞
　以下、第１実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部３０について説明する（図１～図３参照）。このワイヤーハーネス配索構造部３０は、自動車のボディ１０とバックドア２０との間にワイヤーハーネス１を配索するための構成である。

　配索対象となるワイヤーハーネス１は、バックドア２０に配置される灯火系、ドアロックモータ、リアビューカメラ、パワーウインドウ用モータ、ワイパー用モータ及びリアデフォッガー等の機器に対して電源供給又は信号伝達するための複数の電線が、結束されて配索形状に形成されている。ここで、ワイヤーハーネス１におけるボディ１０からバックドア２０に架け渡される部分は、複数の電線が１本に結束されて構成されている。そして、ワイヤーハーネス１は、バックドア２０内で分岐されて各種機器に接続される（図示省略）。

　説明の便宜上、ボディ１０及びバックドア２０について説明しておく。ボディ１０は、金属材料等により形成されるフレーム、パネル等が溶接等されて構成された部分である。ボディ１０の後端部には、荷室に対して車外から荷物を出し入れするための後方開口部１２が設けられている。この後方開口部１２は、略矩形又は略台形に開口している。そして、バックドア２０は、ボディ１０の後方開口部１２を開閉可能に、ボディ１０に対してヒンジ部１９等により連結されている。ここでは、バックドア２０は、ボディ１０に対して、天井側の端部において車両の幅方向に沿った軸周りに開閉動作可能に連結される。バックドア２０には、ワゴン型の車種におけるリアゲート、セダン型の車種におけるトランクリッド等があるが、ここではリアゲートであるものとする（図１参照）。

　上記ボディ１０におけるバックドア２０が連結される天井部分は、金属板をプレス成型等して形成されたルーフ１４の車内側に、合成樹脂材料等により形成された内装部材としてのルーフライナー１６が取り付けられて構成されている（図２参照）。

　バックドア２０は、金属板をプレス成型、打抜き等して形成されたドアインナーパネル２２及びその車外側に設けられる外装部材としてのドアアウターパネル２４と、合成樹脂材料等で形成され、ドアインナーパネル２２の車内側に取り付けられる内装部材としてのバックドアトリム２６とを有している。また、バックドア２０には、その天井側の部位にウインドウ２８が設けられている。そして、バックドアトリム２６は、ウインドウ２８の周囲を取り囲むように設けられている（図１参照）。

　本実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部３０は、ワイヤーハーネス１を、ボディ１０のルーフ１４とルーフライナー１６との間に配索すると共に、バックドア２０のドアインナーパネル２２とドアアウターパネル２４との間に配索する。このため、バックドア２０のドアインナーパネル２２には、ワイヤーハーネス１を貫通配索するための貫通孔部２３が形成されている。すなわち、ワイヤーハーネス１は、ボディ１０のルーフ１４とルーフライナー１６との間を通じてバックドア２０側に配索されると共に、貫通孔部２３を通じてバックドア２０のドアインナーパネル２２とドアアウターパネル２４との間に配索される。ここでは、貫通孔部２３は、延在方向に直交する断面視において対向する一対の弧を一対の直線が結ぶ形状に形成されている。また、貫通孔部２３は、バックドアトリム２６の天井側の部位に形成されている。

　また、ボディ１０には、後方開口部１２の開口縁部に沿って防水用のウェザーストリップ１３が設けられている。このウェザーストリップ１３は、バックドア２０を閉めた状態で、バックドア２０の周縁部に密着して、車内外において水密状態を保持可能なゴム等の弾性材料で形成されている。そして、本ワイヤーハーネス配索構造部３０は、ワイヤーハーネス１をウェザーストリップ１３より車内側に配索するように構成されている。

　ワイヤーハーネス配索構造部３０は、上記ワイヤーハーネス１と、外装部材４０と、バックドア固定部５０と、プロテクタ６０とを備えている（図２参照）。

　ワイヤーハーネス１におけるボディ１０からバックドア２０に架け渡される部分を含む部分は、周囲を外装部材４０に覆われている。この外装部材４０は、ワイヤーハーネス１を、外部から保護すると共にボディ１０とバックドア２０との間で支持する部材である。

　外装部材４０は、筒状の部材であり、その中空部に配設されるワイヤーハーネス１の周囲を覆っている。この外装部材４０は、バックドア２０の開閉動作に連動してボディ１０とバックドア２０との間で曲げ変形可能、且つ、ワイヤーハーネス１を、ボディ１０とバックドア２０との間で屈曲、弛み及び垂れ下がりを抑制して支持可能に形成されている。

　より具体的には、外装部材４０は、ワイヤーハーネス１より剛性が高く設定されて形成されている。この外装部材４０の剛性は、材質及び形状（厚さ寸法等を含む）によって決定される。ここでは、外装部材４０は、合成樹脂（例えば、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＡ（ポリアミド）等）を筒状に押出成型すると共にブロー成型或いはバキューム成型して製造されたコルゲートチューブである。コルゲートチューブは、周方向に沿った凸条の山部及び凹条の谷部が軸方向に交互に連続して設けられた筒状の部材である。そして、コルゲートチューブは、中心軸を含む断面視において、山部の頂部とその両側の側壁部との内角、及び、谷部の底部とその両側の側壁部との内角が大小変化することにより、延在方向に伸縮する。つまり、コルゲートチューブは、曲げ方向に力が加えられると内周側の部分の各内角が小さくなるように変形すると共に、外周側の部分の各内角が大きくなるように変形して曲げられる。

　また、外装部材４０は、扁平な形状（ここでは、延在方向に直交する断面視において対向する一対の弧を一対の直線が結ぶ形状）に形成されている。すなわち、外装部材４０は、断面視における長手方向に曲がり難く（剛性が高く）、短手方向に曲がりやすい（可撓性が高い）形状である。すなわち、コルゲートチューブの延在方向の伸縮可能量は通常周方向のどの部分でも変わらないため、内周部と外周部との距離が長いほど角度変化量が小さく曲がり難い。そして、この外装部材４０は、断面視における長手方向が車両の幅方向（ヒンジ部１９の連結軸方向）に沿う姿勢で設けられる。これにより、ヒンジ部１９の連結軸に平行な方向に曲げ規制されると共に該連結軸に直交する平面上で曲げ変形し易く、該連結軸周りに開閉動作するバックドア２０に対してよりスムーズに連動する。

　ここで、外装部材４０の内部に配設されるワイヤーハーネス１は、断面視円形に結束されていても、外装部材４０の内部形状に対応した断面形状に形成されていてもよい。

　もっとも、外装部材４０は、ワイヤーハーネス１より高い剛性を有していればよく、上述したコルゲートチューブに限定されるものではない。例えば、外装部材は、比較的硬質なゴム（ＥＰＤＭ（エチレンプロピレンジエンゴム）、エラストマー等）により形成された扁平な筒状であってもよい。また、外装部材４０は、扁平な形状に限られず、断面視円形等の形状に形成されていてもよい。

　上記外装部材４０は、一方の端部がワイヤーハーネス１におけるバックドア２０内に配索される部分に対してテープ９０が巻き付けられる等して固定されると共に、該一方の端部寄りの一部分に後述するバックドア固定部５０が装着されている（図２参照）。また、外装部材４０の他方の端部は、ワイヤーハーネス１におけるボディ１０内（ここでは後述するプロテクタ６０内）に配索される部分にテープ９０が巻き付けられる等して固定され、該ワイヤーハーネス１と共にボディ１０内に進退移動可能とされている。

　バックドア固定部５０は、バックドア２０のドアインナーパネル２２を貫通する形態でワイヤーハーネス１の一部をバックドア２０の一部に固定する部分である（図２参照）。ここでは、バックドア固定部５０は、ワイヤーハーネス１の周囲を覆う外装部材４０の一方の端部寄りの一部分に装着され、ドアインナーパネル２２に形成された貫通孔部２３の開口縁部に固定される。また、このバックドア固定部５０は、貫通孔部２３の開口縁部（エッジ）から外装部材４０及びワイヤーハーネス１を保護する部分でもある（このことからエッジプロテクタとも呼ばれる）。

　このバックドア固定部５０は、挿入部５２と、複数の係止部５３と、押え部５４と、凹凸位置決め部５６とを有している。

　挿入部５２は、貫通孔部２３内に挿入可能であると共に、内側に外装部材４０を配設可能な筒状に形成されている。ここで、挿入部５２は、中心軸に直交する断面視において対向する一対の弧を一対の直線が結ぶ形状の筒体であり、外周部が貫通孔部２３より僅かに小さく、内周部が外装部材４０の外周部（山部の頂部）より僅かに大きく設定されている。そして、挿入部５２は、貫通孔部２３に対して、車外側（ドアアウターパネル２４側）に向けて挿入される。ここで、説明の便宜上、貫通孔部２３について挿入部５２を挿入する向きを挿入方向Ｓと称し、これをバックドア固定部５０自体の向きとしても用いる。

　挿入部５２の先端側の部位には、挿入部５２を貫通孔部２３に挿入した状態で貫通孔部２３の開口縁部に対して挿入方向Ｓ前方側から係止可能な係止部５３が設けられている。この係止部５３は、挿入部５２の周方向複数位置（ここでは等間隔に４箇所）から外周側に突出するように形成され、貫通孔部２３の開口縁部に対して挿入方向Ｓ前方側から接触する係止面を有している。より具体的には、係止部５３は、挿入部５２の先端部で片持ち状に支持された板状に形成され、該先端側から基端側に向けて徐々に突出寸法が大きくなる姿勢で設けられている。この係止部５３は、挿入部５２の内周側に弾性変形可能である。そして、各係止部５３は、挿入部５２が貫通孔部２３に挿入される際に、係止部５３が貫通孔部２３の開口縁部に当接して挿入部５２又は係止部５３自身が挿入部５２の内周側に弾性変形し、該開口縁部を乗り越えた位置で外周側に弾性復帰して開口縁部に係止する。

　押え部５４は、挿入部５２の基端部に連続して設けられ、その外周側に張り出す鍔状に形成されている。この押え部５４の外周形状は、貫通孔部２３より大きく形成されている。

　そして、挿入部５２が貫通孔部２３に挿入されると、係止部５３が貫通孔部２３の開口縁部に対して挿入方向Ｓ前方側から係止すると共に、押え部５４が貫通孔部２３の周縁部に対して挿入方向Ｓ後方側から当接する。すなわち、貫通孔部２３の開口縁部が係止部５３と押え部５４とで挟まれて、バックドア固定部５０がドアインナーパネル２２に対して固定される。

　凹凸位置決め部５６は、挿入部５２（及び押え部５４）内に配設される外装部材４０に対して、該外装部材４０の延在方向に相対移動不能に位置決めする部分である。ここでは、凹凸位置決め部５６は、外装部材４０としてのコルゲートチューブの凹凸状の外形に対して嵌合可能に形成されている。より具体的には、凹凸位置決め部５６は、挿入部５２の内周面から内周側に突出する周方向に沿った凸条に形成され、挿入部５２の貫通方向において外装部材４０の延在方向における谷部に対応した間隔（同じ間隔又は１つ置きの間隔等）で複数設けられている。

　上記バックドア固定部５０は、一対の組合せ部材（ここでは略Ｊ字形状の部材）を合体させることにより構成される。すなわち、外装部材４０を間に挟んだ状態で一対の組み合わせ部材を合体させることにより、凹凸位置決め部５６が外装部材４０の外周部に対して嵌合し、バックドア固定部５０は、外装部材４０に対して該外装部材４０の軸方向に相対移動不能に装着される。このバックドア固定部５０が貫通孔部２３の開口縁部に固定されることにより、ワイヤーハーネス１が貫通孔部２３に貫通した形態でドアインナーパネル２２に固定される。

　ここでは、バックドア固定部５０は、一対の組合せ部材の突き合わせ部分の各一方の端部から突出する係止部５８と、各他方の端部に形成され、前記係止部５８が係止可能な被係止部５９とを有している。より具体的には、係止部５８は、組合せ部材の一方の端部から突出する挿入部の先端部から組合せ部材の内周側に突出する係止爪を有する部分である。この係止爪は、先端側から基端側に向けて徐々に突出寸法が大きくなる断面視略三角形状に形成され、基端側に面する係止面を有している。また、被係止部５９は、組合せ部材の他方の端面で開口すると共に奥側で内周側に屈曲した略Ｌ字形状の空間を有する凹形状に形成され、係止部５８を挿入可能である。そして、係止部５８が被係止部５９に挿入されると、係止爪の係止面が被係止部５９の一壁面に当接して係止する。これにより、係止部５８は被係止部５９に係止し、一対の組合せ部材が合体される。

　そして、バックドア固定部５０は、外装部材４０が車両の幅方向に沿って扁平となる姿勢で貫通孔部２３の周縁部に対して固定される。これにより、外装部材４０内に配設されているワイヤーハーネス１は、ヒンジ部１９の連結軸に平行な方向に曲げ規制されると共に該連結軸に直交する平面上で曲げ変形し易く、該連結軸周りに開閉動作するバックドア２０に対してよりスムーズに連動する。

　もっとも、バックドア固定部５０は、上記形状に限られるものではない。例えば、バックドア固定部は、一対の組合せ部材が対向する片方の突き合せ端部同士でヒンジにより連結され、開閉可能に構成されていてもよい。また、バックドア固定部５０は、係止部５８及び被係止部５９が省略され、一対の組合せ部材が突き合わされた状態で貫通孔部２３に固定されることにより合体状態を維持されるものでもよい。

　また、凹凸位置決め部５６の代わりに、挿入部５２の先端部又は押え部５４の基端部から挿入方向Ｓ一方に突出する外装部材４０又はワイヤーハーネス１固定用の突出片を設けてもよい。すなわち、外装部材４０又はワイヤーハーネス１における挿入部５２の挿入方向Ｓ一方に延び出る部分を、前記突出片に対してテープ巻き又はタイバンドで締め付ける等して固定すればよい。なお、タイバンドとは、段階的に環状体の周方向寸法を調節し保持可能な部材をいう。このような突出片を採用する場合、バックドア固定部は、全体として射出成型により一体に形成されてもよい。

　プロテクタ６０は、ボディ１０に配置され、ワイヤーハーネス１を迂回可能な空間を有して収容する収容部６２と、ワイヤーハーネス１をバックドア２０側から収容部６２に向けて案内する案内部７２とを有する部材である。ここでは、ワイヤーハーネス１の周囲を覆う外装部材４０の他方の端部を含む一部分を案内部７２により案内すると共に、該外装部材４０の他方の端部から延び出るワイヤーハーネス１を収容部６２内に収容する。このプロテクタ６０は、案内部７２においてワイヤーハーネス１及び外装部材４０が導出入される導出入口部７４と、収容部６２においてワイヤーハーネス１をその内部から外方に引き出す引出口部６４とを有している。つまり、プロテクタ６０は、導出入口部７４を通じて導出入されるワイヤーハーネス１を、収容すると共に引出口部６４を通じてその外方のルーフ１４とルーフライナー１６との間の空間に配索する部材である。ここでは、プロテクタ６０は、全体として平面視略Ｌ字形状に形成されている。

　案内部７２は、一方（バックドア側）の端部に導出入口部７４を有すると共に、他方の端部が収容部６２と連続する筒状に形成され、ワイヤーハーネス１を覆う外装部材４０における他方の端部を含む部分の変位経路を案内する（図２、図３参照）。より具体的には、案内部７２は、延在方向に直交する断面視において略長方形をなす筒状に形成されている。そして、案内部７２は、導出入口部７４を通じて挿入される外装部材４０を、その外周部に接触することにより、外装部材４０の中心軸に対する放射方向（主として断面視における短手方向）において位置（経路）規制する。もっとも、案内部７２は、外装部材４０を主として断面視における短手方向に位置規制することができればよく、断面視楕円形、円形或いは多角形等の筒状、又は、溝状に形成されていてもよい。

　この案内部７２は、バックドア２０の閉状態において、導出入口部７４がバックドア固定部５０に対向する位置に配置されている。また、案内部７２は、バックドア２０の閉状態において、外装部材４０（ワイヤーハーネス１）におけるバックドア固定部５０のボディ１０側に隣接する部分の延在方向に直交する面に導出入口部７４の開口縁部を沿わせる形状に形成されている。ここで、外装部材４０（ワイヤーハーネス１）におけるバックドア固定部５０のボディ１０側に隣接する部分の延在方向とは、バックドア固定部５０内を通される外装部材４０の延在方向と同方向（すなわち、バックドア固定部５０の挿入方向Ｓとも同方向）である。

　そして、案内部７２は、バックドア固定部５０からボディ１０側に延び出る外装部材４０を、その断面視短手方向に曲げて収容部６２まで湾曲した経路に案内する。すなわち、案内部７２は、外装部材４０におけるバックドア固定部５０のボディ１０側に隣接する部分の延在方向に沿った導出入口部７４から収容部６２に向けて湾曲して延在する形状に形成されている。ここでは、案内部７２は、ボディ１０の後方開口部１２における天井側部分の下方（すなわち、ウェザーストリップ１３の車内側）を通ってルーフ１４とルーフライナー１６との間に介在するように、下方（ヒンジ部１９の連結軸から離間する側）に膨らむ湾曲形状をなしている。

　なお、案内部７２は、平面視においては、バックドア固定部５０から収容部６２に向けて車両の前後方向に沿った略直線状に形成されている。

　案内部７２と外装部材４０との関係では、外装部材４０は、バックドア固定部５０によりバックドア２０に固定された状態で、バックドア２０の開状態において、少なくとも他方の端部を含む一部分が案内部７２内に挿入される程度に長い延在寸法に設定されている。一方、案内部７２は、バックドア２０が開閉動作される際に、ボディ１０内で進退される外装部材４０の他方の端部を含む部分を、収容部６２に向けて案内できればよい。ここでは、バックドア２０の閉状態において、外装部材４０の他方の端部を収容部６２内に突出させる延在寸法に設定されている。

　また、案内部７２の導出入口部７４は、一方の端部に向けて外周側に拡開する形状に形成されている（図２、図３参照）。ここでは、導出入口部７４は、全周において、一方の端部に向けて徐々に拡がっている。

　収容部６２は、案内部７２の他端部に連なる部分であり、内部に案内部７２により案内される外装部材４０の他方の端部から延び出たワイヤーハーネス１を迂回可能な空間を有して収容可能な収容空間を有している（図３参照）。また、収容部６２には、案内部７２に対して収容空間を介した部位に引出口部６４が設けられている。

　この収容部６２は、外装部材４０の他方の端部から延び出たワイヤーハーネス１を、第１経路Ｒ１（図３参照）と、該第１経路Ｒ１に対して中間部が離間するように膨らんだ第２経路Ｒ２（図５参照）との間で曲げることにより迂回させて余長吸収可能に収容可能に形成されている。

　より具体的には、収容部６２は、平面視において、収容空間を挟んで対向する第１壁部６６と第２壁部６７とを有している。収容空間内に収容されるワイヤーハーネス１は、第１経路Ｒ１を通る際に第１壁部６６に近接し、第２経路Ｒ２を通る際に第２壁部６７に近接して配設される。すなわち、ワイヤーハーネス１が第１経路Ｒ１を通る状態で、該ワイヤーハーネス１の第２壁部６７側に迂回可能な空間が存在する。この第１壁部６６及び第２壁部６７は、各一方の端部が案内部７２の他方の端部に連続し、各他方の端部が引出口部６４に連続している。より具体的には、第１壁部６６は、平面視略Ｌ字形状のプロテクタ６０の内周側で、案内部７２の他方の端部と収容部６２の引出口部６４とを略直線状に結ぶ形状に延在している。また、第２壁部６７は、第１壁部６６に収容空間分の間隔をあけて、側面視略Ｌ字形状のプロテクタ６０の外周側で、案内部７２の他方の端部と引出口部６４とを略Ｌ字状に結ぶ形状に延在している。換言すると、ここでは、収容部６２は、平面視において第１壁部６６を斜辺とする略直角三角形状に形成されている。

　そして、収容部６２は、バックドア２０の開状態では、外装部材４０の他方の端部から延び出たワイヤーハーネス１を、第２壁部６７側に迂回可能な空間をあけた第１経路Ｒ１を通る形態で収容する（図２、図３参照）。また、収容部６２は、バックドア２０の閉状態では、ワイヤーハーネス１を、第２経路Ｒ２を通る形態で収容する（図４、図５参照）。すなわち、収容部６２は、バックドア２０が開姿勢から閉姿勢に閉動作されることによりワイヤーハーネス１のうち収容空間内に押し込まれる部分を、その内部で曲げて第１経路Ｒ１から該第１経路Ｒ１より距離の長い第２経路Ｒ２に迂回させることにより、バックドア２０の閉動作に伴うワイヤーハーネス１の余長を吸収する。

　収容部６２の引出口部６４は、ボディ１０の側部（或いは側部近傍）で開口し、ボディ１０の側部に沿った位置にワイヤーハーネス１を引き出し可能に形成されている。ここで、ボディ１０の側部に沿った位置とは、ルーフ１４とルーフライナー１６との間における車両の幅方向側端部に沿った空間をいい、ボディ１０の側部に位置するピラー等の上方で車両の前後に延在する空間である。図３、図５では、ボディ１０の側部を一点鎖線で示している。ここでは、引出口部６４は、平面視において、車両の幅方向に貫通している。

　また、収容部６２は、引出口部６４でワイヤーハーネス１を固定可能な引出位置決め部６５を有している。引出位置決め部６５は、引出口部６４の開口縁部が部分的に（ここでは断面視Ｌ字状に）延出した形状に形成されている。そして、引出口部６４を通じて引き出されるワイヤーハーネス１を、引出位置決め部６５の内側に当接させた状態で、テープ９０を巻き付け又はタイバンドで締付け（ここではテープ９０を巻き付け）することにより、引出口部６４においてプロテクタ６０に対して位置決めすることができる。これにより、バックドア２０の開閉動作時に収容部６２内にワイヤーハーネス１が進退しても、ボディ１０内に配索されるワイヤーハーネス１に対して引張り又は弛みが発生することを抑制することができる。

　ワイヤーハーネス１を収容部６２に対して固定する構成は、上記引出位置決め部６５に限られず、引出口部６４から壁状に延出するドア内位置決め部にタイバンド挿通用の孔部が複数形成され、タイバンドを孔部に挿通してワイヤーハーネス１を締付け固定するものであってもよい。

　このプロテクタ６０は、ボディ１０のルーフ１４に形成される孔部に対して嵌合可能な固定部６８を有している（図２、図４参照）。固定部６８は、プロテクタ６０をルーフ１４に対して車外側に向けて押し付けることにより、前記孔部に嵌合する形状に形成されている。例えば、固定部６８としては、プロテクタ６０の外面から突出する基軸部と、その先端部からその外周側に拡がる形状に形成されて内周側に弾性変形可能な係止部とを有する構成を採用できる。ここでは、固定部６８は、収容部６２の一主面（車外側に位置する面）から突出するように設けられている。そして、この固定部６８をルーフ１４に形成された孔部に挿入することにより、係止部が、孔部の開口縁部に当接して内周側に弾性変形し、孔部を越えた位置で外周側に弾性復帰して孔部の開口縁部に対して車外側から係止する。

　もっとも、プロテクタ６０をボディ１０に対して固定するための構成として、その他の固定構造が採用されてもよい。例えば、プロテクタ６０は、ねじ止め、ボルト止め、スタッドボルト止め又はブラケット固定等によりルーフ１４に対して固定可能な形状であってもよい。また、プロテクタ６０は、内装部材としてのルーフライナー１６に固定されてもよい。

　上記プロテクタ６０は、例えば、射出成型等によりそれぞれ形成した凹状の第１部材と蓋状の第２部材とを合体させて構成することができる。もっとも、プロテクタは、凹状部材同士の組合せ等により構成されていてもよい。

　上述したプロテクタ６０の形状は、その一例であり、他の形状を採用することもできる。すなわち、プロテクタ６０は、導出入口部７４から挿入される外装部材４０（ワイヤーハーネス１）を案内部７２により収容部６２に向けて案内し、ワイヤーハーネス１を収容部６２により迂回可能な空間を有して収容できる構成であればよく、車種による配置スペース、ルーフ１４及びルーフライナー１６の形状等を考慮して形成されるとよい。例えば、ワイヤーハーネス１を輪状に巻いて収容し、輪部の径を変化させて迂回可能な収容部を有する形状等を採用してもよい。

　上記ワイヤーハーネス配索構造部３０は、ボディ１０からバックドア２０内に配索されるワイヤーハーネス１、外装部材４０、バックドア固定部５０及びプロテクタ６０をモジュール化して、車両組付け前に組み立てておくとよい。すなわち、ワイヤーハーネス１に外装部材４０を被せるとともに、外装部材４０の一方の端部寄りの一部分にバックドア固定部５０を装着し、該外装部材４０の一方の端部及び他方の端部を各部から延び出たワイヤーハーネス１にテープ９０巻きして固定する。そして、外装部材４０の他方の端部を含む一部分をプロテクタ６０の案内部７２内に配設すると共に、外装部材４０の他方の端部から延び出たワイヤーハーネス１を収容部６２内に収容して引出口部６４から引き出される部分を引出位置決め部６５にテープ９０巻き固定しておけばよい。また、ワイヤーハーネス配索構造部３０は、ルーフライナー１６にモジュール化されていてもよい。すなわち、プロテクタ６０をルーフライナー１６に対して固定すると共に、該プロテクタ６０の引出口部６４から引き出されるワイヤーハーネス１を配索経路に沿ってルーフライナー１６に配索しておくとよい。

　これまで、ワイヤーハーネス１に外装部材４０が装着されている例で説明したが、ワイヤーハーネス１自身が屈曲、弛み及び垂れ下がりを抑制可能な程度に高い剛性を有していれば、外装部材４０は省略されてもよい。もっとも、ワイヤーハーネス１の保護及び曲げ方向規制の観点から言うと、外装部材４０が装着されていることが好ましい。

　また、本実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部３０は、バックドア２０のウインドウ２８周りにバックドアトリム２６が設けられていない車種の場合にも適用可能である。また、本ワイヤーハーネス配索構造部３０は、セダン型の車種におけるボディとバックドアとしてのトランクリッドとの間のワイヤーハーネス１の配索にも適用することができる。この場合も、トランクリッドのドアインナーパネルを貫通する形態でバックドア固定部５０により外装部材４０（ワイヤーハーネス１）を固定し、ドアインナーパネルとドアアウターパネルとの間にワイヤーハーネス１を配索すればよい。また、プロテクタ６０は、リアパッケージトレイ、トランク内のフロントトリム又はその近傍のパネル等に取り付けられるとよい。

　上記ワイヤーハーネス配索構造部３０によると、バックドア固定部５０によりワイヤーハーネス１が内部に配設された外装部材４０の一方の端部寄りの一部をバックドア２０の一部に固定し、ボディ１０に配置されたプロテクタ６０の収容部６２によりワイヤーハーネス１を迂回可能な空間を有して収容すると共に案内部７２によりワイヤーハーネス１を覆う外装部材４０をバックドア２０側から収容部６２に向けて案内する。これにより、より簡単な構成で、ボディ１０とバックドア２０との間に配索されるワイヤーハーネス１をバックドア２０の開閉動作にスムーズに連動させることができる。

　また、これにより、ボディ１０とバックドア２０との間におけるワイヤーハーネス１の配索構造を比較的安価に構成することができる。なお、この構造によれば、上述した特許文献１のように比較的高価なフレキシブルフラット回路体等の部品の使用を避けることができる。

　また、バックドア固定部５０が、バックドア２０のドアインナーパネル２２を貫通する形態でワイヤーハーネス１をバックドア２０に固定する構成によると、ワイヤーハーネス１をドアインナーパネル２２とバックドア２０の外装部材としてのドアアウターパネル２４との間に配索することができる。これにより、バックドアトリム２６内にワイヤーハーネス１を配索することが困難な車種においても、バックドア２０にワイヤーハーネス１を配索することができる。

　また、プロテクタ６０の案内部７２において、導出入口部７４がバックドア固定部５０に対向する位置に配置され、外装部材４０（ワイヤーハーネス１）におけるバックドア固定部５０のボディ１０側に隣接する部分の延在方向に直交する面に導出入口部７４の開口縁部を沿わせる形状に形成されている構成によると、バックドア２０の閉状態において、外装部材４０に覆われるワイヤーハーネス１をバックドア固定部５０と導出入口部７４との間で直線状に維持して、該ワイヤーハーネス１にかかる負荷を抑制することができる。

　また、ワイヤーハーネス１より剛性が高く設定されて形成された外装部材４０が、ワイヤーハーネス１におけるボディ１０とバックドア２０との間に架け渡される部分の周囲を覆うように設けられている。この構成によると、ワイヤーハーネス１が、バックドア固定部５０とプロテクタ６０との間において、外部から保護されると共に、一方の端部寄りの一部がバックドア固定部５０によりバックドア２０に固定された外装部材４０の剛性により屈曲、弛み及び垂れ下がりが抑制され、バックドア固定部５０を基点として外装部材４０（ワイヤーハーネス１）がプロテクタ６０内に押し込まれてスムーズに進退される。

　一般的に車両のボディ１０においては側部に沿ってワイヤーハーネス１が配索されることが多い。このため、プロテクタ６０における収容部６２の引出口部６４が、ボディ１０における側部に沿った位置にワイヤーハーネス１を引き出す構成によると、よりワイヤーハーネス１の配索距離を短くすることができる。

　また、ワイヤーハーネス配索構造部３０は、ワイヤーハーネス１をウェザーストリップ１３より車内側に配索しているため、グロメット等の止水用の部材を省略して、部品点数及び組立工数の削減、これに伴うコストダウン及び作業の効率化を図ることができる。なお、グロメットを用いない構成によれば、輸送時、梱包時のグロメットの変形を防止するためのカバーを用意することを省略することができる。また、バックドア２０開閉時に生じ得る、ボディ１０又はバックドア２０の取り付け面に対するグロメットの浮きに伴う水漏れ等も回避することができる。さらに、ボディ１０とバックドア２０との間におけるワイヤーハーネスの配索構造に係る部品の盗難防止にも寄与する。また、グロメットを用いる場合と比較して、ワイヤーハーネス１を通す際のグロメットの拡げ作業も省略することができ、ワイヤーハーネス１の組み付け性向上に寄与する。

　また、ボディ１０側において、ワイヤーハーネス１は、プロテクタ６０をルーフ１４に固定してルーフライナー１６を取り付けることにより該ルーフ１４とルーフライナー１６との間に配置される。このため、露出されたスペースで作業を行うことができ、ワイヤーハーネス１をボディ１０の天井部分に容易に配索することができる。

　＜第１実施形態の変形例＞
　また、図７に示すワイヤーハーネス配索構造部１３０を採用することもできる。このワイヤーハーネス配索構造部１３０を採用する場合、下記のボディ１１０の形状を採用する。なお、ボディ１１０のうち上述したボディ１０と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。

　ボディ１１０は、後方開口部（１１２）に隣接して配索用穴部（１１１）が設けられた形状に形成されている。より具体的には、配索用穴部（１１１）は、後方開口部（１１２）の上方の位置に隣接して形成されている。ここでは、後方開口部１１２と配索用穴部１１１とは連通し、一体となった開口縁部が、概ね略矩形又は略台形に沿う形状に形成されると共に部分的に外周側に凹となる形状に形成されている。この配索用穴部１１１は、プロテクタ１６０の案内部１７２の導出入口部１７４より大きい開口形状に形成され、該導出入口部１７４を内側に配設可能になっている。

　また、ウェザーストリップ１１３は、配索用穴部１１１より車外側に設けられている。ここでは、ウェザーストリップ１１３は、後方開口部１１２の開口縁部及び配索用穴部１１１の開口縁部に沿って設けられている。

　ワイヤーハーネス配索構造部１３０のうち、上述したワイヤーハーネス配索構造部３０と異なる部分は、プロテクタ１６０の配置形態及び案内部１７２の形状だけであり、同様の構成については同符号を付して説明を省略する。

　プロテクタ１６０は、案内部１７２の導出入口部１７４が配索用穴部１１１の内側に配設される位置及び姿勢でボディ１０のルーフ１４とルーフライナー１６との間に配置される。

　案内部１７２は、配索用穴部１１１の内側に配設される導出入口部１７４が、外装部材４０（ワイヤーハーネス１）におけるバックドア固定部５０のボディ１０側に隣接する部分の延在方向に直交する面に開口縁部を沿わせる形状に形成されている。また、案内部１７２は、導出入口部１７４から収容部６２に向けて湾曲して延在する形状に形成されている。すなわち、案内部１７２は、ボディ１１０の配索用穴部１１１における天井側部分の下方でウェザーストリップ１１３の車内側を通ってルーフ１４とルーフライナー１６との間に介在する。

　なお、プロテクタ１６０（案内部１７２）についても、上述したプロテクタ６０（案内部１７２）と同様の構成部分については説明を省略する。

　もっとも、ボディ１１０の形状は上記のものに限られない。例えば、ボディは、配索用穴部が後方開口部と分離してこれに隣接する部位に形成された構成であってもよい。

　この変形例に係るワイヤーハーネス配索構造部１３０によれば、ワゴン型の車種のようにバックドア２０にウインドウ２８が設けられる場合に、プロテクタ１６０のウインドウ２８側への張り出しを抑制して、ウインドウ２８を通じて行う後方視認性を確保することできる。

　＜第２実施形態＞
　次に、第２実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部２３０について説明する（図８参照）。このワイヤーハーネス配索構造部２３０は、ワイヤーハーネス１を、バックドア２２０のドアインナーパネル２２２とバックドアトリム２２６との間に配索するための構成である。ワイヤーハーネス配索構造部２３０のうち、第１実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部３０の構成と異なる部分はプロテクタ２６０の案内部２７２（主に導出入口部２７４）と、バックドア固定部２５０の構成であり、同様の構成については同符号を付して説明を省略する。

　また、バックドア２２０についても、ドアインナーパネル２２２及びバックドアトリム２２６において第１実施形態で説明したバックドア２０の構成と異なっている（図９～図１２参照）。すなわち、バックドア２２０のドアインナーパネル２２２には、後述するバックドア固定部２５０の固定部２５８を固定するための貫通孔部２２３が形成されている。また、バックドアトリム２２６には、後述するバックドア固定部２５０の嵌合部２５７を凹凸嵌合するための受け部２２７が形成されている。ドアインナーパネル２２２の貫通孔部２２３及びバックドアトリム２２６の受け部２２７は、互いに対向する位置に形成されている。また、このバックドアトリム２２６には、外装部材４０に周囲を覆われたワイヤーハーネス１を、ボディ１０側からドアインナーパネル２２２とバックドアトリム２２６との間に通すための凹部が天井側に形成されているとよい（図示省略）。

　バックドア固定部２５０は、ワイヤーハーネス１を、バックドア２２０のドアインナーパネル２２２とバックドアトリム２２６との間でバックドア２２０に固定する部分である（図１１、図１２参照）。このバックドア固定部２５０は、本体部２５２と、凹凸位置決め部２５６と、嵌合部２５７と、固定部２５８とを有している。

　本体部２５２は、第１実施形態に係るバックドア固定部５０の挿入部５２と略同形状の部分である。すなわち、本体部２５２は、内部に外装部材４０を配設可能な筒状に形成されている。もっとも、本体部２５２は貫通孔部に挿入される部分ではないため、その外周部の形状は断面視において一対の弧を一対の直線が結ぶ形状に限られない。また、この本体部２５２には、挿入部５２の先端部に設けられていた係止部５３のような構成はない。

　凹凸位置決め部２５６は、第１実施形態に係るバックドア固定部５０の凹凸位置決め部５６と同様の形状の部分である（図１２参照）。すなわち凹凸位置決め部２５６は、本体部２５２の内周面から内周側に突出する周方向に沿って形成された複数の凸条の部分であり、外装部材４０としてのコルゲートチューブの凹凸状の外形に対して嵌合して外装部材４０の延在方向における相対移動を規制する。

　固定部２５８は、第１実施形態に係るプロテクタ６０の固定部６８と同形状に形成された部分である（図１２参照）。この固定部２５８は、本体部２５２の外面から突出する棒状の基軸部と、その先端部から基軸部の外周側に拡がると共に内周側に弾性変形可能に形成された係止部とを有する。より具体的には、係止部は、基軸部の先端部で片持ち状に支持される板状の弾性変形片であり、該先端部から本体部２５２の外面に向けて徐々に基軸部の外周側に傾斜する姿勢で設けられている。ここでは、固定部２５８は、本体部２５２のうち、貫通方向に直交する断面視において内周部の長手方向に沿った一方の外面から突出している。

　そして、この固定部２５８をドアインナーパネル２２２に形成された貫通孔部２２３に挿入することにより、係止部が貫通孔部２２３の開口縁部に対して車外側から係止する。ここで、貫通孔部２２３の開口縁部は、固定部２５８の係止部と本体部２５２により挟まれた状態となる。これにより、バックドア固定部２５０は、ドアインナーパネル２２２とバックドアトリム２２６との間の位置で、ドアインナーパネル２２２に対して固定される。ここでは、バックドア固定部２５０が固定される位置は、バックドアトリム２２６の天井側の端部付近の位置である。

　これにより、バックドア固定部２５０内に配設される外装部材４０は、車両の幅方向に扁平な姿勢でドアインナーパネル２２２に対して固定され、該ドアインナーパネル２２２に沿ってドアインナーパネル２２２とバックドアトリム２２６との間に介在する。すなわち、外装部材４０の一方の端部から延び出るワイヤーハーネス１は、ドアインナーパネル２２２とバックドアトリム２２６との間に配索される。

　嵌合部２５７は、バックドアトリム２２６の受け部２２７に凹凸嵌合し、バックドア固定部２５０のドアインナーパネル２２２及びバックドアトリム２２６に対するがたつきを抑制するための部分である。ここでは、嵌合部２５７が凸形状に形成されると共に、受け部２２７が凹形状に形成されている。もっとも、嵌合部２５７と受け部２２７との凹凸関係は逆であってもよい。

　より具体的には、嵌合部２５７は、バックドアトリム２２６の受け部２２７の内部形状より小さい（ここでは僅かに小さい）突起形状に形成されている。図１１、図１２では、略半球形状に突出する嵌合部２５７を示している。これに対して、バックドアトリム２２６の受け部２２７は、略半球形状の空間を有する凹形状に形成されている。この嵌合部２５７は、本体部２５２における固定部２５８が設けられている外面とは反対側の外面から突起している。

　そして、ドアインナーパネル２２２の貫通孔部２２３に固定部２５８を嵌合させた状態で、バックドアトリム２２６をドアインナーパネル２２２に取り付けると、嵌合部２５７が受け部２２７に対して凹凸嵌合する。これにより、バックドア固定部２５０は、バックドア２２０に対してより確実に位置決めされる。

　上記バックドア固定部２５０も、第１実施形態に係るバックドア固定部５０と同様に、一対の組合せ部材を合体させることにより構成されるとよい。

　もっとも、バックドア固定部２５０は、凹凸位置決め部２５６の代わりに、本体部２５２の貫通方向一方に突出する外装部材４０又はワイヤーハーネス１固定用の突出片を設けてもよい。すなわち、外装部材４０又はワイヤーハーネス１を、前記突出片に対してテープ巻き又はタイバンドで締め付ける等して固定すればよい。

　また、バックドア固定部２５０は、固定部２５８の代わりに、その他の固定構造を採用してもよい。例えば、本体部２５２が、ねじ止め、ボルト止め、スタッドボルト止め又はブラケット固定等により、ドアインナーパネル２２２に対して固定される構成であってもよい。

　また、バックドア固定部２５０は、バックドアトリム２２６に固定されてもよい。この場合、バックドアトリムに固定部２５８固定用の貫通孔部が形成されると共に、ドアインナーパネルに嵌合部２５７嵌合用の受け部が形成されるとよい。

　また、バックドア固定部２５０が固定部２５８によりバックドア２２０に対してがたつきなく固定される場合、嵌合部２５７は省略されてもよい。

　プロテクタ２６０の案内部２７２は、バックドア２２０の閉状態において、バックドア２２０におけるドアインナーパネル２２２とバックドアトリム２２６との間から外装部材４０（ワイヤーハーネス１）が退出する部位に向けて導出入口部２７４が開口する形状に形成されている。ここでは、バックドア固定部２５０がバックドアトリム２２６の天井側の端部付近でバックドア２２０に固定されているため、導出入口部２７４は、バックドア固定部２５０のボディ１０側部分を向いて開口している。そして、案内部２７２は、導出入口部２７４から収容部６２に向けて湾曲して延在する形状に形成されている。本案内部２７２も、車両の下方（ヒンジ部１９の連結軸から離間する側）に膨らむ湾曲形状をなしている。

　もっとも、バックドア固定部２５０の本体部２５２が、外装部材４０（ワイヤーハーネス１）を、導出入口部２７４に向けて該導出入口部２７４の開口縁部が沿う面に直交する向きに案内する形状に形成されていてもよい。すなわち、固定部２５８がドアインナーパネル２２２に固定された状態において、本体部の中空部がドアインナーパネルに対してプロテクタ６０の導出入口部２７４に向けて傾斜する形状又は湾曲する形状に形成されてもよい。

　第２実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部２３０によると、バックドア固定部２５０が、ワイヤーハーネス１を、バックドア２２０のドアインナーパネル２２２とバックドアトリム２２６との間に通す形態でバックドア２０に固定するため、ワイヤーハーネス１をドアインナーパネル２２とバックドアトリム２６との間で配索することができる。この構成によれば、ワイヤーハーネス１をドアインナーパネル２２に貫通する経路で配索する手間を省くことができる。また、ドアインナーパネル２２２とドアアウターパネル２４との間のスペースが小さい車種の場合にも、バックドア２０にワイヤーハーネス１を配索することができる。

　また、バックドア固定部２５０が、固定部２５８によりドアインナーパネル２２２に固定されると共に、嵌合部２５７によりバックドアトリム２２６の受け部２２７に凹凸嵌合するため、外装部材４０（ワイヤーハーネス１）をバックドア２２０に対してより確実に位置決めされて固定される。

　以上のようにこのワイヤーハーネス配索構造部は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。

　１　ワイヤーハーネス
　１０、１１０　ボディ
　１２、１１２　後方開口部
　２０、２２０　バックドア
　２２、２２２　ドアインナーパネル
　２６、２２６　バックドアトリム
　３０、１３０、２３０　ワイヤーハーネス配索構造部
　４０　外装部材
　５０、２５０　バックドア固定部
　６０、１６０、２６０　プロテクタ
　６２　収容部
　６４　引出口部
　７２、１７２、２７２　案内部
　７４、１７４、２７４　導出入口部
　１１１　配索用穴部
　２５７　嵌合部
　２５８　固定部

Claims

　車両のボディとバックドアとの間でワイヤーハーネスを配索するワイヤーハーネス配索構造部であって、
　前記ワイヤーハーネスと、
　前記ワイヤーハーネスの一部を前記バックドアの一部に固定するバックドア固定部と、
　前記ボディに配置され、前記ワイヤーハーネスを迂回可能な空間を有して収容する収容部と前記ワイヤーハーネスを前記バックドア側から前記収容部に向けて案内する筒状又は溝状の案内部とを有するプロテクタと、
　を備える、ワイヤーハーネス配索構造部。
　請求項１に記載のワイヤーハーネス配索構造部であって、
　前記バックドア固定部は、前記ワイヤーハーネスを、前記バックドアのドアインナーパネルを貫通する形態で前記バックドアに固定する、ワイヤーハーネス配索構造部。
　請求項１に記載のワイヤーハーネス配索構造部であって、
　前記バックドア固定部は、前記ワイヤーハーネスを、前記バックドアのドアインナーパネルとバックドアトリムとの間に通す形態で前記バックドアに固定する、ワイヤーハーネス配索構造部。
　請求項３に記載のワイヤーハーネス配索構造部であって、
　前記バックドア固定部は、前記ドアインナーパネル又は前記バックドアトリムの一方に固定される固定部と、前記ドアインナーパネル又は前記バックドアトリムの他方に凹凸嵌合する嵌合部とを有している、ワイヤーハーネス配索構造部。
　請求項１に記載のワイヤーハーネス配索構造部であって、
　前記プロテクタの前記案内部は、前記バックドアの閉状態において、前記ワイヤーハーネスが導出入される導出入口部が前記バックドア固定部に対向する位置に配置され、前記ワイヤーハーネスにおける前記バックドア固定部の前記ボディ側に隣接する部分の延在方向に直交する面に前記導出入口部の開口縁部を沿わせる形状に形成されている、ワイヤーハーネス配索構造部。
　請求項１に記載のワイヤーハーネス配索構造部であって、
　前記プロテクタの前記収容部は、前記ボディの側部に沿った位置に前記ワイヤーハーネスを引き出す引出口部を有している、ワイヤーハーネス配索構造部。
　請求項１に記載のワイヤーハーネス配索構造部であって、
　前記ワイヤーハーネスより剛性が高く設定されて形成され、前記ワイヤーハーネスにおける前記ボディと前記バックドアとの間に架け渡される部分の周囲を覆う外装部材をさらに備える、ワイヤーハーネス配索構造部。
　請求項１に記載のワイヤーハーネス配索構造部であって、
　前記プロテクタの前記案内部は、前記ワイヤーハーネスが導出入される導出入口部を有し、
　前記導出入口部は、前記ボディにおける前記バックドアにより開閉される後方開口部に隣接して形成された配索用穴部の内側に配設されている、ワイヤーハーネス配索構造部。