JP5549558B2 - ワイヤーハーネス配策構造部 - Google Patents

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Description

ワイヤーハーネスを車体からドアに配策する技術に関する。
特許文献1には、ドア側ワイヤーハーネスがハーネスプロテクタに挿通されて、車両ボディ本体と車両ドアとの間に配策される車両用ドアハーネスの配策構造が開示されている。より具体的には、特許文献1では、車両ドア内に設けられたスライドガイドのプロテクタ収容部によりハーネスプロテクタが案内され、ハーネスプロテクタから延出されるドア側ワイヤーハーネスが拡縮可能な輪部を形成する形態でハーネス収容部内に収容されている。
特開平11−263175号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、ドア側ワイヤーハーネスが挿通されたハーネスプロテクタは、ヒンジ等のドア開閉に関する機構から独立して車体とドアとの間に架け渡されているため、ドアを開けた状態で、目立ってしまい見栄えが悪かった。
そこで、本発明は、ワイヤーハーネスをなるべく見栄え良く車体とドアとの間に配策することを目的とする。
第1の態様に係るワイヤーハーネス配策構造部は、ワイヤーハーネスを、ドアヒンジ及びドアの開度を維持可能な開度規制部を介して連結された車体と前記ドアとの間に、ウェザーストリップより車室内側で配策するワイヤーハーネス配策構造部であって、前記ワイヤーハーネスと、前記ワイヤーハーネスのうち前記車体と前記ドアとの間に架け渡される部分を含む部分に外装される外装部材と、前記外装部材の一端側部分が固定され、前記車体に対して取り付け可能な取付部材と、前記ドア内に配設可能で、前記外装部材の他端部から延出される前記ワイヤーハーネスを迂回させて余長吸収可能に収容する収容部と、前記ドア内に配設可能で、前記外装部材を前記収容部に向けて挿通案内可能に延在する溝状又は筒状に形成されている案内部とを備え、前記取付部材及び前記案内部は、前記外装部材が前記開度規制部の下方に架け渡されるように、それぞれ、前記車体に対して取り付け可能又は前記ドア内に配設可能に形成されている。また、前記取付部材は、前記開度規制部の車体側連結部の真下の位置よりも車外側の位置で前記車体に対して取り付け可能に形成され、前記案内部は、前記収容部と反対側の一端部が、前記開度規制部のドア側連結部の真下の位置よりも車外側に位置するように前記ドア内に配設可能に形成され、前記収容部と前記案内部とを有するプロテクタが全体として略L字又は略J字形状に形成され、このプロテクタが前記ドア内で前記開度規制部を2方から囲む態様で前記ドア内に配設可能に構成されている
第2の態様に係るワイヤーハーネス配策構造部は、第1の態様に係るワイヤーハーネス配策構造部であって、前記取付部材及び前記案内部は、平面視において、前記ドアの開状態で、前記外装部材が、前記開度規制部の車体側連結部とドア側連結部とを結ぶ方向全体に亘って、前記開度規制部と重複する部分を有するように、それぞれ、前記車体に対して取り付け可能又は前記ドア内に配設可能に形成されている。
第3の態様に係るワイヤーハーネス配策構造部は、第1又は第2の態様に係るワイヤーハーネス配策構造部であって、前記取付部材は、前記ドアの閉状態において前記案内部の一端部と前記車体の前後方向に対向する位置で、前記車体に取り付け可能に形成されている。
第1の態様に係るワイヤーハーネス配策構造部によると、取付部材及び案内部は、外装部材が開度規制部の下方に架け渡されるように、それぞれ、車体に対して取り付け可能又はドア内に配設可能に形成されている。このため、ワイヤーハーネスを車体とドアとの間に見栄え良く配策することができる。
第2の態様に係るワイヤーハーネス配策構造部によると、取付部材及び案内部は、平面視において、ドアの開状態で、外装部材が、開度規制部の車体側連結部とドア側連結部とを結ぶ方向全体に亘って開度規制部と重複する部分を有するように、それぞれ、車体に対して取り付け可能又はドア内に配設可能に形成されている。このため、車体とドアとの間に架け渡される外装部材がより露出されるドアの開状態において、より見栄えをよくできると共に、開度規制部により落下物から外装部材内のワイヤーハーネスを保護することができる。
第3の態様に係るワイヤーハーネス配策構造部によると、ドアの閉状態において、取付部材と案内部の一端部とが車体の前後方向において対向するため、取付部材から案内部内に挿通されるワイヤーハーネスは直線状に配設され、また、ドアを開く際に、取付部材と案内部との間に架け渡されるワイヤーハーネスが、ドアヒンジの開閉軸を中心としてその周りに曲げられる。これにより、ドアの開閉におけるワイヤーハーネスの曲げ変形をより緩やかにすることができる。
ワイヤーハーネスの配策対象となる車体とドアとを示す図である。 ワイヤーハーネス配策構造部が設けられた車体とドアとを示す図である。 ドアの開状態におけるワイヤーハーネス配策構造部の平面図である。 図3の概略内側面図である。 ドアの閉状態におけるワイヤーハーネス配策構造部の平面図である。 図5の概略内側面図である。 取付部材の分解斜視図である。
以下、実施形態に係るワイヤーハーネス配策構造部10について説明する(図2参照)。このワイヤーハーネス配策構造部10は、自動車の車体2からドア6にワイヤーハーネスWHを配策するものである。ここで、車体2とは、金属部材で形成されたフレーム部分を言うものとする。
ワイヤーハーネスWHは、ドア6に搭載されるパワーウインドウ、ドアロック、スピーカー等の電気機器に対して電源供給又は信号伝達するための複数の電線が、配策経路に対応して適宜束ねられて構成されている。ここで、ワイヤーハーネスWHのうち車体2からドア6に架け渡される部分は、上記複数の電線が1本に束ねられて構成されている。そして、ワイヤーハーネスWHは、ドア6内で分岐して上記各種電気機器に接続される。
ドア6は、車体2に形成されている出入口を開閉可能なように、車体2に対してドアヒンジ5及び開度規制部3により連結されている(図1参照)。ここでは、ドア6は、フロントサイドドアであり、説明の便宜上、垂直方向に沿った軸(ドアヒンジ5の回転軸)周りに姿勢変更するように車体2に連結されているものとする。以下、車体2の前後方向に対応して、開閉姿勢に関わらず、閉姿勢における前後方をドア6の前後方として説明する。
上記開度規制部3(ドアチェックリンクとも言う)は、ドア6を所定の開度で維持可能にするための構成である。すなわち、ドア6は、車体2に対してドアヒンジ5だけで連結されている場合、閉状態ではロックされて維持されるが、開放されると、風等の小さな力でも姿勢変更されると共に、利用者の支持なしには姿勢を維持することが困難であり、しかも勢いよく開けると開姿勢から跳ね返って閉動作する恐れもある。そこで、ドア6は、開度規制部3により、全開姿勢、半開姿勢等の所定の開度で姿勢を維持可能に車体に対して連結されている。
より具体的には、開度規制部3は、アーム部3aとケース部3bとを備えている。アーム部3aは、一端部が車体2に対して相対回転可能に連結され、長手方向複数位置に他の部分より肉薄(車体の上下方向に薄肉)な部分(薄肉部)が形成された棒状に形成されている。ケース部3bは、アーム部3aを挿通可能な貫通孔を有する筐状に形成され、その内部にアーム部3aを挟むように押圧付勢される図示省略の挟持部を有している。すなわち、ケース部3bは、挿通されるアーム部3aに対して、挟持部が薄肉部を挟む位置に留まり易くなっている。このケース部3bは、ドア6に対して固定されている。
そして、ドア6が開閉されることにより、ケース部3bに対してアーム部3aが相対進退移動される。ケース部3bは、挟持部がアーム部3aの薄肉部を挟む位置にある状態では、当該薄肉部の側方のそれより厚い部分を乗り越えられるような外力が加えられない限り、ドア6は姿勢維持可能である。一般的に、アーム部3aは、ドア6の半開姿勢及び全開姿勢で姿勢維持可能なように、薄肉部の位置が決定されている。
また、ドア6には、その周縁部に沿って防水用のウェザーストリップ6wが設けられている(図3、図5参照)。このウェザーストリップ6wは、ドア6を閉めた状態で、車体2の開口縁部に密着して車室内外において水密状態を保持できるゴム等で形成された部材である。なお、図3、図5ではドア6に設けられたウェザーストリップ6wのみを示しているが、車体2の出入口の開口縁部にもウェザーストリップが設けられていてもよい。すなわち、このようなウェザーストリップは、ドア6の周縁部に密着可能であるとよい。
ドア6は、金属材料で形成されたドアインナーパネル7及びその外側に設けられる外装部材としてのドアアウターパネルと、樹脂材料等で形成され、ドアインナーパネル7の内側に取り付けられる内装部材としてのトリム8(図3、図5参照)とを有している。また、ドア6は、その先端部から内外にワイヤーハーネスWHを挿通可能に構成されている。ここでは、ドアインナーパネル7の前端側部分に、ドア6の前端部で開口する凹部7hが形成され、この凹部7hを通じて車体2側からドアインナーパネル7とトリム8との間にワイヤーハーネスWHを配策するようになっている(図1、図2参照)。なお、この凹部7hは、後述するプロテクタPを収容可能に形成されている。
また、車体2には、ドア6により開閉される出入口の開口縁部のうち、ドア6の閉姿勢で凹部7hの前方側開口部と対向する部分に、車体2内にワイヤーハーネスWHを挿通するための孔部2hが形成されている。ここでは、凹部7hと孔部2hとは、車体2の前後方向において対向するように形成されている。なお、凹部7h及び孔部2hは、ドア6を閉めた状態では、車体2の内装部材及びドア6のトリム8等により隠れるようになっている。
また、ここでは、ワイヤーハーネスWHは、車体2とドア6との間でウェザーストリップ6wより車室内側に配策されるため、凹部7h及び孔部2hは、当該ウェザーストリップ6wより車室内側に形成されている(図3、図5参照)。
ワイヤーハーネス配策構造部10は、外装部材20と、取付部材30と、収容部40と、案内部50を備えている(図2参照)。
ワイヤーハーネスWHのうち車体2からドア6に架け渡される部分を含む部分には、外装部材20が外装されている。この外装部材20は、ワイヤーハーネスWHを、外部から保護すると共に、車体2とドア6との間で垂れ下がり等を抑制して支持する部材である。
外装部材20は、筒状に形成され、ワイヤーハーネスWHを挿通した状態で保護する。より具体的には、外装部材20には、ドア6の開閉動作に対応して車体2とドア6との間で曲がるように可撓性を(長手方向全体的に)有すると共に、車体2とドア6との間で垂れ下がりを抑制してワイヤーハーネスWHを支持可能な部材が採用される。ここでは、外装部材20は、合成樹脂又は合成ゴム等のエラストマーを、押出成型すると共にブロー成型或いはバキューム成型して製造されたコルゲートチューブである。また、この外装部材20は、扁平な形状(例えば、断面視略楕円形、略長方形等の扁平な形状)に形成されている(図7参照)。すなわち、断面視における長手方向に曲がり難く、短手方向に曲がりやすい形状である。なお、ワイヤーハーネスWH自体も扁平な形状に束ねられ、外装部材20がワイヤーハーネスWHの外部形状に対応する扁平な形状に形成されていてもよい。
上記外装部材20は、一端側部分が取付部材30を介して車体2に固定され、他端部が自由端とされる。より具体的には、外装部材20の一端部は、ワイヤーハーネスWHのうち車体2内に配策される部分にテープT巻き等されて固定されると共に、車体2に取り付けられる取付部材30に対して固定される。また、外装部材20の他端部は、ワイヤーハーネスWHのうちドア6内(ここでは後述する案内部50内)に配策される部分にテープT巻き固定等されて、当該ワイヤーハーネスWHと共にドア6内で移動可能とされている。
取付部材30は、ワイヤーハーネスWHを車体2側に配策するように、ワイヤーハーネスWHに外装されている外装部材20の一端部を車体2に取り付ける部材である。この取付部材30は、外装部材20の一端側部分が固定されると共に、開度規制部3の車体側連結部すなわちアーム部3aの車体2に対する連結部の真下の位置で車体2に対して取り付け可能に構成されている(図3〜図6参照)。ここでは、取付部材30は、車体2に形成されている孔部2hに対して取り付けられる。より具体的には、取付部材30は、孔部2hに対して、押し付けることにより取り付け可能に構成されている。
この取付部材30は、挿入部34と、押え部36と、位置決めリブ形状部38とを有している(図7参照)。
挿入部34は、車体2の孔部2h内に挿入可能、且つ、内側に外装部材20を挿通可能な筒状に形成されている。ここでは、挿入部34は、孔部2hに対して車体2の前方(以下、挿入方向S)に向けて挿入される。挿入部34の先端側部分には、挿入部34を孔部2h内に挿入した状態で孔部2hに対して係止可能な係止部35が設けられている。この係止部35は、挿入部34の周方向複数位置(ここでは等間隔に4箇所)から外周側に突出するように形成され、それぞれ、孔部2hの周縁部に対して挿入方向S前方側から接触可能な係止面を有している。より具体的には、係止部35は、挿入部34の先端側から基端側に向けて徐々に突出寸法が大きくなるように形成されている。そして、各係止部35は、挿入部34が孔部2hに挿入される際に、挿入部34又は係止部35自身が挿入部34の内周側に弾性変形し、孔部2hを乗り越えた位置で外周側に弾性復帰して孔部2hの周縁部に係止するようになっている。
押え部36は、挿入部34の基端部に連続して設けられ、その外周側に張り出す鍔状に形成されている。この押え部36は、孔部2hの周縁部に対して、挿入方向S後方側から面接触可能である。すなわち、押え部36の外周形状は、孔部2hより大きく形成されている。
そして、挿入部34が孔部2hに挿入されると、係止部35が孔部2hの周縁部に対して挿入方向S前方側から係止すると共に、押え部36が孔部2hの周縁部に対して挿入方向S後方側から面接触する。これにより、孔部2hの周縁部が係止部35と押え部36とで挟まれて、取付部材30は車体2に対して固定される。
位置決めリブ形状部38は、挿入部34(及び押え部36)に挿通される外装部材20に対して、その延在方向に位置決め可能な部分である。ここでは、位置決めリブ形状部38は、外装部材20としてのコルゲートチューブの凹凸外部形状に対して嵌合可能に形成されている。より具体的には、位置決めリブ形状部38は、挿入部34(及び押え部36)の内周部から、内周側に突出する周方向に沿った凸状に形成され、挿入方向Sにおいて、外装部材20の凹部に対応する間隔で複数設けられている。
上記取付部材30は、一対の略U字部材(ここでは、対向片の長さが異なるU字形状)を合体させることにより構成される。ここでは、一対の略U字部材の各突き合わせ部分に嵌合可能な凹凸が形成され、凹凸嵌合することにより一対の略U字部材が合体される。すなわち、一対の略U字部材により外装部材20を挟み込むことにより、位置決めリブ形状部38が外装部材20の外周部に対して嵌合し、取付部材30は、外装部材20に対して延在方向に相対移動不能に取り付けられる。なお、取付部材30は、一対の略U字部材が、合体された状態において、離間不能に係合する形状(図示省略)を有していることが好ましいが、孔部2hに嵌合されることにより合体状態を維持されるものでもよい。また、取付部材30は、一対の略U字部材が、開閉可能なようにヒンジにより一端部で連結されていてもよい。
この取付部材30は、溶融させた樹脂材料を金型内に流し込んで射出成型することにより、一対の部材を別々に製造すればよい。この一対の部材を同じ形状に設計すれば、1種類の金型で一対の部材両方を製造することができ、設備費の軽減を図ることもできる。
このように、一対の部材が合体されて構成される取付部材30によると、ワイヤーハーネス配策構造部10の車両取り付け段階において、取付部材30の外装部材20に対する固定位置の調節が容易となる。
もっとも、取付部材30は、上記形状に限られるものではない。例えば、位置決め部が、押え部36の基端部から挿入方向S後方に向けて突出する扁平な細長矩形状に形成されていてもよい。すなわち、挿入部34(及び押え部36)に挿通した外装部材20を、当該位置決め部に対して、テープ巻き又はタイバンドで締め付ける等して固定することにより、取付部材30に対して挿通方向に位置決めすることができる。なお、タイバンドとは、段階的に環状体の周方向寸法を調節し保持可能な部材をいう。このような位置決め部を採用する場合、取付部材は、射出成型により一体に形成されてもよい。
また、取付部材30は、車体2に取り付け可能で且つ外装部材20を固定可能であればよく、上記のような樹脂成形品に限られず、合成ゴム等のエラストマーで成形されたグロメットであってもよい。
収容部40及び案内部50は、プロテクタPを構成する各部分である(図2、図4、図5参照)。収容部40は、外装部材20の他端部から延出されるワイヤーハーネスWHを迂回させて余長吸収可能に収容可能に構成されている。また、案内部50は、外装部材20のうち自由端とされた他端側部分を収容部40に向けて挿通案内可能に延在する溝状又は筒状に形成されている。
より具体的には、案内部50は、一端部に外装部材20の他端側部分を挿入可能な案内口52を有し、他端部が収容部40の一端部と連続している。また、収容部40は、一端部が案内部50に連続し、案内部50内に挿入される外装部材20の他端部から延出されるワイヤーハーネスWHを収容可能な収容空間を有している。すなわち、収容部40の収容空間は、収容部40に向けて延在する案内部50の内部空間の他端側に連通している。さらに、収容部40には、収容されるワイヤーハーネスWHをドア6内に引出可能な引出口42が形成されている。つまり、プロテクタPは、案内部50内に挿入される外装部材20を収容部40に向けて案内し、その外装部材20の他端部から延出されるワイヤーハーネスWHを収容部40内で収容及び余長吸収し、引出口42を通じてその外方すなわちドア6内に延出させる構成である。
そして、プロテクタPは、ドアインナーパネル7に形成されている凹部7h内に配設される。より具体的には、プロテクタPは、案内部50がドア6の前後方向に沿って延在し、案内部50が収容部40に対して前方側に位置するように配設されている。
このプロテクタPのインナーパネル7に対する取付態様について、以下、取付部材30の車体2に対する取付態様との関係で説明する。取付部材30及びプロテクタPは、外装部材20が開度規制部3の下方に架け渡されるように、それぞれ、車体2に対して取り付け可能又はドア6内に配設可能に形成されている。好ましくは、取付部材30及びプロテクタPは、平面視において、ドア6の開状態で、外装部材20が、開度規制部3の車体側連結部とドア側連結部とを結ぶ方向全体に亘って、開度規制部3と重複する部分を有しているとよい。すなわち、平面視において、外装部材20と開度規制部3とが重複する範囲が広いほど、外装部材20が全体としてより開度規制部3に沿って延在して見栄えがよくなると共に、落下物からの保護性能も向上する。なお、開度規制部3のドア側連結部とは、ケース部3bのドア6(ドアインナーパネル7)に対する固定部である。
ここでは、プロテクタPは、案内部50の案内口52が、開度規制部3のドア側連結部の真下に位置するようにドア6内に配設可能となっている(図3〜図6参照)。すなわち、凹部7hは、プロテクタPを、上記姿勢且つ上記位置で、全体的又は部分的に収容可能な収容空間を有する凹形状に形成されている。そして、案内部50の案内口52は、凹部7hのうちドア6の前方の開口部を通じてドア6の外方に臨む。もっとも、案内口52がドア6の前方から露出されるか否かは問わず、意匠性の観点から言うと、案内口52は内装部材としてのトリム8より内側に位置することが好ましい。
上述したように、凹部7hの前側の開口部と車体2に形成されている孔部2hとは、ドア6の閉状態において、車体2の前後方向に対向するように形成されている。すなわち、取付部材30は車体2に対して、また、プロテクタPはドア6に対して、案内部50の案内口52と取付部材30とが車体2の前後方向に対向して位置するように取り付け可能に形成されている。より具体的には、ドア6の閉状態では、取付部材30の貫通方向(挿入方向)と、案内部50の延在方向とが、略一致する。これにより、取付部材30及び案内部50に挿通される外装部材20は、略直線上に延在する。そして、ドア6が開放される際には、案内部50の案内口52は、ドア6の姿勢変更の中心軸であるドアヒンジ5の軸周りに移動され、その周方向において取付部材30と向かい合う。つまり、外装部材20は、取付部材30と案内部50の案内口52との間で、ドアヒンジ5の軸を曲げ中心として曲げられる。このため、外装部材20は、ドアヒンジ5の軸から案内部50の案内口52までの距離に対応した曲げ半径(またはそれより大きい)で曲げられ、当該曲げ半径より小さい曲げ半径で曲げられることが抑制される。
ワイヤーハーネス配策構造部10は、以上のように車両に対して配設可能に構成されていることにより、ワイヤーハーネスWHに外装される外装部材20を開度規制部3の下方で架け渡すことが可能となっている。しかも、取付部材30が開度規制部3の車体側連結部の真下の位置に取り付け可能で、案内部50の案内口52が開度規制部3のドア側連結部の真下に位置するようにプロテクタPを配設可能であるから、外装部材20は、落下物から保護される位置で且つできるだけドアヒンジ5から離れた位置で延在することとなり、より大きい曲げ半径で曲げられる。
もっとも、ワイヤーハーネスWHを、その上方に延在する開度規制部3により落下物から保護する観点に着目すると、ワイヤーハーネス配策構造部10は、取付部材30及び案内部50の案内口52の位置が上述した位置より車外側(ドアヒンジ5に近い側)となるように設けられてもよい。すなわち、開度規制部3のアーム部3aが車体2とドア6との間で略直線状に延在するのに対して、外装部材20は曲線状に延在する。このため、ドア6の開状態では、外装部材20が開度規制部3より僅かに車室内側に膨らんだ形状で延在する。このため、平面視において、開度規制部3のアーム部3aが、より広範囲で外装部材20に重なるように、上記のように取り付け位置を設定してもよい。
また、プロテクタPは、上記取り付け位置で、ドアインナーパネル7に対して固定可能に構成されている。ここでは、プロテクタPは、ドアインナーパネル7(凹部7h)に形成される孔部に対して嵌合可能な嵌合部58を有している。この嵌合部58は、プロテクタPを凹部7h内に収容する方向に押し付けることにより、孔部に嵌合可能に形成されている。例えば、嵌合部58としては、プロテクタPの外面から突出する基軸部と、その先端部からその外周側に拡がるように形成され、内周側に弾性変形可能な係止部とを有する構成を採用できる。ここでは、嵌合部58は、プロテクタPの一方側の外面のうち、案内口52の他端側側方及び収容部40の引出口42下方の2箇所に設けられている。そして、この嵌合部58を凹部7hに形成された孔部に挿入することにより、係止部が、孔部に当接して内周側に弾性変形し、孔部を越えると外周側に弾性復帰して孔部の周縁部に対して裏側から係止する。このように、上記嵌合部58によりドアインナーパネル7に対して固定可能なプロテクタPによると、プロテクタPを凹部7h内に配設する方向に近接させることにより、嵌合部58が凹部58に形成された孔部に係止するため、容易に固定することが可能である。
もっとも、プロテクタPをドアインナーパネル7に対して固定するための構成は上記嵌合部58に限られず、ねじ止め等により固定されてもよい。
以下、案内部50及び収容部40それぞれの構成について、より詳細に説明する。
案内部50は、外装部材20より大きい内部空間を有する筒状(ここでは、外装部材20の断面形状に対応した角が丸められた断面視略長方形の角筒状)に形成されている(図2、図4、図6参照)。もっとも、案内部50は、外装部材20を挿通案内可能であればよく、溝状でも、断面視略楕円形、円形、長方形以外の多角形等の筒状等に形成されていてもよい。
ここで、案内部50と外装部材20との関係について説明しておく。外装部材20は、一端側部分が車体2に取り付けられた取付部材30に固定された状態で、ドア6が開状態のとき、少なくとも他端側の一部が案内部50内に挿入される程度に長い延在寸法に設定されているとよい(図2、図4参照)。
一方、案内部50は、ドア6が閉状態のとき、内側に進入する外装部材20の他端側部分を他端部まで収容可能な程度に長い延在寸法に設定されているとよい(図6参照)。もっとも、案内部50は、上記寸法より短く、ドア6の閉状態で外装部材20の他端部が案内部50の他端部を越えて収容部40内に突出するものでもよいが、外装部材20の他端部から延出するワイヤーハーネスWHが収容部40内で余長吸収されるのを妨げない程度に設定されていることが好ましい。
収容部40は、収容されるワイヤーハーネスWHを、案内部50の延在方向に略直交する方向に引き出し可能に形成されている(図2、図4、図6参照)。すなわち、収容部40は、案内部50の他端側で当該案内部50の延在方向に略直交する方向に延在し、その先端部に引出口42を有している。
より具体的には、収容部40は、側面視において、案内部50の他端側で引出口42より他端側に膨らむと共に、引出口42に向けて徐々に細くなるように形成されている。換言すると、収容空間は、案内部50の他端側で広く、引出口42に向かうにつれて狭くなっている。つまり、収容空間は、側面視において案内部50の他端部から直接引出口42に向かって延びる内周壁面と、案内部50の他端部からより他端側に膨らんでから引出口42に向かう外周壁面とに囲まれている。そして、収容部40は、その内部に収納されるワイヤーハーネスWHを、内周壁面に沿った経路と、外周壁面に沿った経路との間で経路変更可能に収容する。
ドア6の開閉動作に即して説明すると、ドア6が開姿勢にある状態では、外装部材20の他端部だけが案内部50内に挿入され、その他端部から延出するワイヤーハーネスWHは、内周壁面に近接した経路を通って収容部40内に収容される(図4参照)。また、ドア6が開姿勢から閉姿勢に姿勢変更されると、外装部材20が案内部50の他端側まで進入して、収容部40内にワイヤーハーネスWHが押し込まれるため、ワイヤーハーネスWHは、外周壁面に近接した経路を通って収容部40内に収容される(図6参照)。このように、収容部40内でワイヤーハーネスWHを迂回させることにより余長吸収を行っている。
また、収容部40の上記引出口42には、その開口縁部が部分的(ここでは断面視略L字形状)に延出した形状のドア内位置決め部43が形成されている(図3〜図6参照)。そして、引出口42を通じて引き出されるワイヤーハーネスWHを、ドア内位置決め部43に対してテープT巻き又はタイバンドで締付け固定することにより、ドア6内において位置決めすることができる。このため、ドア6の開閉時に収容部40内に車体2側のワイヤーハーネスWHが進退しても、ドア6内に配策されるワイヤーハーネスWHに対して引っ張り又は弛みが発生することを抑制できる。
他にも、ワイヤーハーネスWHを収容部40に対して固定する構成としては、複数の爪部が径方向内側に向けて弾性変形可能に設けられた環状部材に対して、外嵌部材を外嵌めすることにより複数の爪部を径方向内側に向けて弾性変形させることが可能な構成を採用することができる。なお、前記環状部材は、引出口42に固定されているとよい。すなわち、環状部材にワイヤーハーネスWHを挿通した状態で、当該環状部材に外嵌部材を外嵌めすることにより、ワイヤーハーネスWHを収容部40に対して固定することができる。
上記のように、プロテクタPは、全体として略L字(或いは略J字)形状に形成されている。このため、プロテクタPの内側方、すなわち、ドア6に配設された状態においては、案内部50の上方且つ収容部40の前方には、プロテクタPによって2方を囲まれるスペースが生まれる。
ここでは、プロテクタPは、案内部50の案内口52が開度規制部3のケース部3bの固定位置の下方に位置すると共に、引出口42が車体2の上方を向く姿勢で凹部7hに対して配設される。つまり、プロテクタPは、開度規制部3を2方から囲む形態でドア6に配設可能に形成されている(図2〜図6参照)。より具体的には、開度規制部3は、ケース部3bがドアインナーパネル7の先端部(ここでは後方側端面)に対して固定され、当該ケース部3bに挿通される形態でアーム部3aがドア6の開閉動作に連動して進退する。すなわち、アーム部3aは、ドア6内において、プロテクタPにより2方を囲まれるスペース内で進退することが可能である。これにより、複数の電気機器が設置されるドア6内のスペースを有効活用することができる。
もっとも、収容部40は、上記形状に限られるものではない。例えば、収容空間内に巻軸部を有し、当該巻軸部周りにワイヤーハーネスWHを巻いて収容可能な形状であってもよい。すなわち、収容部内でワイヤーハーネスWHの巻き径が変化することにより、余長吸収できる。なお、このようにワイヤーハーネスWHを巻いて余長吸収する構成でもよいが、本実施形態に係る上述した構成を採用すると、ワイヤーハーネスWHを交差させずに余長吸収できるため、収容部40の厚さ寸法を小さくすることができる。
上記収容部40及び案内部50を有するプロテクタPは、例えば、凹状部材と蓋状部材とが合体されて成る構成を採用することができる。なお、図2、図4、図6では、蓋状部材を省略したプロテクタPを示している。そして、プロテクタPは、凹状部材と蓋状部材とを、それぞれ樹脂材料を金型に流し込んで射出成型し、合体させることにより得ることができる。もっとも、プロテクタPは、全体として凹状に形成され、トリム8により開口を塞がれるように構成されていてもよい。
もっとも、収容部40と案内部50とは、一部品のプロテクタPとして形成される場合に限られず、案内部50の他端側に当該案内部50とは別体の収容部40が設けられ、当該案内部50により収容部40に向けて外装部材20が案内されるものでもよい。
上記ワイヤーハーネス配策構造部10は、車体2からドア6内に配策されるワイヤーハーネスWH、外装部材20、取付部材30及びプロテクタPをモジュール化して、車両組み付け前に組み立てておくとよい。すなわち、ワイヤーハーネスWHを外装部材20内に配設すると共にプロテクタPの案内部50及び収容部40内に配設してドア内位置決め部43に固定し、外装部材20の一端側部分に取付部材30を装着しておけばよい。
また、これまで、ワイヤーハーネス配策構造部10を、車体2とフロントサイドドアとしてのドア6との間に適用する例で説明したが、リアサイドドアにも適用可能である。この場合、センターピラー(フロントサイドドアとリアサイドドアとの間のピラー)とリアサイドドアとの間にワイヤーハーネスWHが架け渡される。すなわち、センターピラーに孔部が形成され、ここに取付部材30が取り付けられる。
上記構成に係るワイヤーハーネス配策構造部10によると、取付部材30及びプロテクタPは、外装部材20が開度規制部3の下方に架け渡されるように、それぞれ、車体2に対して取り付け可能又はドア6内に配設可能に形成されているため、ワイヤーハーネスWHに外装された外装部材20が車体2とドア6との連結機構に対して独立して延在する構成に比べ、ワイヤーハーネスWHを車体2とドア6との間に見栄え良く配策することができる。しかも、取付部材30は開度規制部3の車体側連結部の真下の位置で車体2に対して取り付け可能に形成されていると共に、プロテクタPは案内部50の案内口が開度規制部3のドア側連結部の真下に位置するようにドア6内に配設可能に形成されているため、より見栄えよくワイヤーハーネスWHを配策することができる。
また、車体2とドア6との間に架け渡され、外装部材20が外装されたワイヤーハーネスWHに対して、上方に開度規制部3のアーム部3aが延在しているため、落下物等があった場合でも、当該落下物等がアーム部3a先に当たってワイヤーハーネスWHを保護することができる。
また、取付部材30及びプロテクタPは、平面視において、ドア6の開状態で、外装部材20が、開度規制部3の車体側連結部とドア側連結部とを結ぶ方向全体に亘って、開度規制部3と重複する部分を有するように、それぞれ、車体2に対して取り付け可能又はドア6内に配設可能に形成されているため、車体2とドア6との間に架け渡される外装部材20がより露出されるドア6の開状態において、より見栄えをよくすることができる。また、開度規制部3によるワイヤーハーネスWHの保護性能も向上させることができる。
また、ドア6の閉状態において、取付部材30と案内部50の案内口52とが車体2の前後方向において対向するため、取付部材30から案内部50内に挿通されるワイヤーハーネスWHは直線状に配設され、また、ドア6を開く際に、取付部材30と案内部50との間に架け渡される外装部材20(ワイヤーハーネスWH)が、ドアヒンジ5の開閉軸を中心としてその周りに曲げられる。これにより、ドア6の開閉におけるワイヤーハーネスWHの曲げ変形をより緩やかにすることができる。そして、取付部材30及び案内部50の案内口52のドアヒンジ5の開閉軸に対する位置(距離)を調節することにより、ドア6の開閉動作における外装部材20の最小の曲げ半径をおおよそ調節できるため、ワイヤーハーネスWHの曲げ態様を設計することができる。
また、取付部材30は、位置決めリブ形状部38によりワイヤーハーネスWHに外装される外装部材20の一端側部分を位置決めして、孔部2hに対して一方側から押し付けるだけで嵌合するように構成されているため、ワイヤーハーネスWHを容易に車体2側に配策することができる。
また、外装部材20が、扁平な形状に形成され、車体2の上下方向に沿って扁平な姿勢で設けられるため、ドア6の内外方向において狭いスペースに配策できると共に、ドア6内に配設される案内部50及び収容部40も扁平な形状にすることができ、ドアインナーパネル7とトリム8との間のスペースが狭いドア6の場合でも適用することができる。また、外装部材20は、車体2の上下方向沿って扁平な姿勢で設けられるため、当該上下方向において比較的曲がり難く、ワイヤーハーネスWHの垂れ下がりを抑制できる。
また、ワイヤーハーネス配策構造部10は、ワイヤーハーネスWHをウェザーストリップ6wより車室内側に配策しているため、グロメット等の止水用の部材を省略して、部品点数及び組立工数の削減、これに伴うコストダウン及び作業の効率化を図ることができる。なお、グロメットを用いない構成によれば、輸送時、梱包時のグロメットの変形を防止するためのカバーを用意することを省略することができる。さらに、盗難防止にも寄与する。また、ドア6側にグロメットで取付する場合と比較して、ワイヤーハーネスWHを通す際のグロメットの拡げ作業も省略することができる。
また、ワイヤーハーネス配策構造部10は、ワイヤーハーネスWHをドアインナーパネル7とトリム8との間に配策しているため、ワイヤーハーネスWHを貫通孔に挿通して配策する手間を省けると共に露出した作業スペースで組み付け作業ができ、組付性の向上及び作業の効率化が図れる。
2 車体
3 開度規制部
5 ドアヒンジ
6 ドア
6w ウェザーストリップ
10 ワイヤーハーネス配策構造部
20 外装部材
30 取付部材
40 収容部
50 案内部
WH ワイヤーハーネス

Claims (3)

  1. ワイヤーハーネスを、ドアヒンジ及びドアの開度を維持可能な開度規制部を介して連結された車体と前記ドアとの間に、ウェザーストリップより車室内側で配策するワイヤーハーネス配策構造部であって、
    前記ワイヤーハーネスと、
    前記ワイヤーハーネスのうち前記車体と前記ドアとの間に架け渡される部分を含む部分に外装される外装部材と、
    前記外装部材の一端側部分が固定され、前記車体に対して取り付け可能な取付部材と、
    前記ドア内に配設可能で、前記外装部材の他端部から延出される前記ワイヤーハーネスを迂回させて余長吸収可能に収容する収容部と、
    前記ドア内に配設可能で、前記外装部材を前記収容部に向けて挿通案内可能に延在する溝状又は筒状に形成されている案内部と、
    を備え、
    前記取付部材及び前記案内部は、前記外装部材が前記開度規制部の下方に架け渡されるように、それぞれ、前記車体に対して取り付け可能又は前記ドア内に配設可能に形成され
    前記取付部材は、前記開度規制部の車体側連結部の真下の位置よりも車外側の位置で前記車体に対して取り付け可能に形成され、
    前記案内部は、前記収容部と反対側の一端部が、前記開度規制部のドア側連結部の真下の位置よりも車外側に位置するように前記ドア内に配設可能に形成され、
    前記収容部と前記案内部とを有するプロテクタが全体として略L字又は略J字形状に形成され、このプロテクタが前記ドア内で前記開度規制部を2方から囲む態様で前記ドア内に配設可能に構成されている、ワイヤーハーネス配策構造部。
  2. 請求項1に記載のワイヤーハーネス配策構造部であって、
    前記取付部材及び前記案内部は、平面視において、前記ドアの開状態で、前記外装部材が、前記開度規制部の車体側連結部とドア側連結部とを結ぶ方向全体に亘って、前記開度規制部と重複する部分を有するように、それぞれ、前記車体に対して取り付け可能又は前記ドア内に配設可能に形成されている、ワイヤーハーネス配策構造部。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のワイヤーハーネス配策構造部であって、
    前記取付部材は、前記ドアの閉状態において前記案内部の一端部と前記車体の前後方向に対向する位置で、前記車体に取り付け可能に形成されている、ワイヤーハーネス配策構造部。
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