JP5446752B2 - 混合セメントクリンカー及びその製造方法 - Google Patents

混合セメントクリンカー及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5446752B2
JP5446752B2 JP2009257906A JP2009257906A JP5446752B2 JP 5446752 B2 JP5446752 B2 JP 5446752B2 JP 2009257906 A JP2009257906 A JP 2009257906A JP 2009257906 A JP2009257906 A JP 2009257906A JP 5446752 B2 JP5446752 B2 JP 5446752B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
cement clinker
clinker
cement
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009257906A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011102214A (ja
Inventor
英二 丸屋
俊之 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2009257906A priority Critical patent/JP5446752B2/ja
Publication of JP2011102214A publication Critical patent/JP2011102214A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5446752B2 publication Critical patent/JP5446752B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/10Production of cement, e.g. improving or optimising the production methods; Cement grinding

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Description

本発明は、六価クロムの溶出が少ないセメントクリンカー及びその製造方法に関する。特に、クロム含有量の多い産業廃棄物をセメントクリンカーの原料として使用した場合であっても、六価クロムの溶出が少なくすることができるセメントクリンカー及びその製造方法に関する。
資源循環型社会の構築に対する機運が高まり、セメント産業においても産業廃棄物や副産物の使用量増大が望まれている。これら産業廃棄物のうち、鉄源として使用される廃棄物の中には、比較的多量のクロムを含有するものがある。これらをセメントクリンカーの原料として使用すると、セメントクリンカー中の六価クロム含有量が増大し、それを用いて製造したセメントやコンクリート硬化体からの六価クロム溶出量が増加し、水質汚濁や土壌汚染を生じる懸念がある。
セメント組成物の六価クロム溶出量を抑える方法として、還元剤や溶出防止剤を添加する方法が報告されている(例えば、特許文献1、2、3、4)。また、セメントクリンカーを還元雰囲気で焼成する方法が報告されている(例えば、特許文献5、6)。
特開2001−170596号公報 特開2002−274907号公報 特開2002−60751号公報 特開2006−136805号公報 特許3395827号公報 特開2003−73154号公報
しかしながら、セメントに還元剤や溶出防止剤を添加した場合、セメントの製造コストが大幅に上昇するほか、安定した性能が得難くなる問題がある。また、セメントクリンカーを還元雰囲気で焼成する方法も、設備の改良や新設が必要となるほか、プラント毎に適正な焼成条件を設定する必要がある。
このように、既存のセメント製造設備、焼成条件で製造ができ、添加剤を使用せず効果的にセメントクリンカー中の六価クロム含有量を低減する技術については、十分に確立されているとは言えなかった。
本発明は、還元剤や溶出防止剤等の添加剤を用いることなく、また、セメントクリンカーの焼成条件や設備を大幅に変更することなく、クロム含有量の多い産業廃棄物を原料として使用したセメントクリンカーを用いて製造したセメントやコンクリート硬化体からの六価クロムの溶出量を少なくすることができる、セメントクリンカー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために、セメントクリンカーの鉱物組成と六価クロム溶出特性との関係について検討した結果、特定の鉱物組成である二種のセメントクリンカーを混合して混合セメントクリンカーを製造することにより、単一のセメントクリンカーでは達成出来なかった六価クロムの溶出量が大幅に抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、鉱物組成として、65〜80質量%のSと、1〜質量%のCSと、0.5〜質量%のCAと、12〜22質量%のCAFとを含むセメントクリンカー(A)と、10〜30質量%のSと、42〜58質量%のCSと、14〜24質量%のCAと、2〜7質量%のCAFとを含むセメントクリンカー(B)とを混合した、C Sと、7〜25質量%のC Sと、4〜15質量%のC Aと、8〜15質量%のC AFとを含むことを特徴とする混合セメントクリンカーである。
また、本発明は、前記セメントクリンカー(A)のアルカリ量が、0.6質量%未満であることを特徴とする。
また、本発明は、前記セメントクリンカー(B)のアルカリ量が、0.6質量%以上であることを特徴とする。
また、本発明は、セメントクリンカー原料を調合し、65〜80質量%のSと、1〜質量%のCSと、0.5〜質量%のCAと、12〜22質量%のCAFとを含み、アルカリ量が、0.6質量%未満であるセメントクリンカー(A)を焼成するA工程と、セメントクリンカー原料を調合し、10〜30質量%のSと、42〜58質量%のCSと、14〜24質量%のCAと、2〜7質量%のCAFとを含み、アルカリ量が、0.6質量%以上であるセメントクリンカー(B)を焼成するB工程と、 Sと、7〜25質量%のC Sと、4〜15質量%のC Aと、8〜15質量%のC AFとを含むように、セメントクリンカー(A)と、セメントクリンカー(B)とを混合するC工程を含むセメントクリンカーの製造方法であることを特徴とする。
本発明の混合セメントクリンカーによれば、添加剤を用いることなく、また、セメントクリンカーの焼成条件や設備を大幅に変更することなく、六価クロムの溶出量を低減することができる。さらに、セメントの鉱物組成を変えることなく、すなわち、原料原単位を大きく変えることなく、六価クロムの溶出量を大幅に低減することができる。
また、本発明の混合セメントクリンカーの製造方法によれば、クロム含有量の多い産業廃棄物をセメントクリンカーの原料として大量に使用しても、六価クロムの溶出を抑制した混合セメントクリンカーを製造することができ、資源循環型社会に一層貢献することが期待される。
以下に本発明を詳しく説明する。
合セメントクリンカーは、CSと、1〜10質量%のCSと、0.5〜7質量%のCAと、10〜30質量%のCAFとを含むセメントクリンカー(A)と、CSと、40〜62質量%のCSと、12〜28質量%のCAと、1〜9質量%のCAFとを含むセメントクリンカー(B)とを混合して製造する。
ここで、セメントクリンカーのCS量、CS量、CA量、CAF量は、下記のボーグ式により算出する。
S量=(4.07×CaO)―(7.60×SiO)―(6.72×Al)―(1.43×Fe
S量=(2.87×SiO)―(0.754×CS)
A量=(2.65×Al)―(1.69×Fe
AF量=3.04×Fe
式中の「CaO」、「SiO」、「Al」及び「Fe」は、それぞれ、セメントクリンカーにおけるCaO、SiO、Al及びFeのセメントクリンカー全体質量に対する含有割合(質量%)である。これらの含有割合は、JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」あるいはJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」により測定することができる。
本発明の混合セメントクリンカーは、単一のセメントクリンカーを製造した場合と比較して、セメントクリンカー1t当りの原料原単位を大きく変えることなく、六価クロムの溶出量を大幅に低減することができる。
セメントクリンカー(A)はCAF量が10〜30質量%と多い鉱物組成であるため、セメントクリンカー原料として鉄源廃棄物を多量に使用できる。この場合、クロム含有量の高い鉄源廃棄物を使用しても、クロムは反応性の低いCAF中に固定化され、六価クロムの溶出が抑制される。クリンカーのCS量が10質量%を超える、あるいはCAF量が10質量%未満であると、CAFに固定化されるクロム量が減少し、六価クロムの溶出量が増加する。
また、CA量が7質量%を超えると、CAF量の反応性が増し、六価クロムの溶出量が増加するほかセメントの流動性が低下するため好ましくない。
また、セメントクリンカー(A)中に含まれるCAF量が30質量%を超えるとセメントの強度発現性が低下するため好ましくない。
セメントクリンカー(A)中のCS量は、好ましくは60〜85質量%、より好ましくは65〜80質量%、更に好ましくは72〜78質量%であり、CS量は、好ましくは1〜9質量%、より好ましくは1〜6質量%、更に好ましくは2〜6質量%であり、CA量は、好ましくは0.5〜6質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは1〜5質量%であり、CAF量は、好ましくは11〜25質量%、より好ましくは12〜22質量%、更に好ましくは12〜18質量%である。
セメントクリンカー(B)はCS量が40〜62質量%及びCA量が12〜28質量%と多い鉱物組成であるため、粘土代替廃棄物を多量に使用できる。また、CAF量が1〜9質量%と少ない鉱物組成であり、この鉱物組成となるように鉄源廃棄物の使用量が制限されるため、セメントクリンカーのCSとCAに取り込まれるクロム量が少なくなり、六価クロムの溶出が抑制される。
セメントクリンカー(B)中のCS量が40質量%未満、あるいはCA量が12質量%未満であると、セメントクリンカー原料として使用する粘土代替廃棄物の使用量が少なくなり、資源循環型社会への貢献が小さくなるほかセメントの強度発現性が低下するため好ましくない。また、セメントクリンカー(B)中のCAF量が9質量%を超えると、六価クロムの溶出量が増えるため好ましくない。
セメントクリンカー(B)中のCS量及びCA量の上限値は、特に制限されないが、セメントクリンカー(B)中に含まれるCS量が62質量%を超えると、セメントの初期強度発現が低下するため好ましくなく、CA量が28質量%を超えると、セメントの流動性が低下するため好ましくない。
セメントクリンカー(B)中のCS量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは18〜26質量%であり、CS量は、好ましくは40〜60質量、より好ましくは42〜58質量%、更に好ましくは45〜57質量%であり、CA量は、好ましくは12〜25質量%、より好ましくは14〜24質量%、さらに好ましくは16〜22質量%であり、CAF量は、好ましくは1〜8質量%、より好ましくは2〜7質量%、更に好ましくは3〜7質量%である。
セメントクリンカーの原料となる鉄源廃棄物としては、銅ガラミや鉄精鉱、亜鉛滓等が挙げられる。また、粘土代替廃棄物としては、鉄鋼スラグ、石炭灰、建設発生土等を使用する。鉄鋼スラグとしては高炉スラグや製鋼スラグが挙げられる。石炭灰は、石炭火力発電所等から発生するものであり、シンダアッシュ、フライアッシュ、クリンカアッシュ及びボトムアッシュが挙げられる。建設発生土は、建設工事の施工に伴い副次的に発生する残土や泥土、廃土等が挙げられる。
その他の原料としては、通常のセメントクリンカーと同様に、石灰石や珪石等が挙げられる。
本発明のセメントクリンカーは、メントクリンカー(A)のアルカリ量が、0.6質量%未満であ。これにより、六価クロムの溶出量をより抑制することができるほか、硫酸アルカリの生成を抑え流動性にも優れたセメントクリンカーが得られる。
セメントクリンカー(A)中のアルカリ量は、より好ましくは0.4質量%以下、さらに好ましくは0.1〜0.4質量%である。アルカリの含有量は、JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」あるいはJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」により測定することができる。
本発明のセメントクリンカーは、メントクリンカー(B)のアルカリ量が、0.6質量%以上であ。これにより、CS量に取り込まれるアルカリ量が増し、強度発現性に優れたセメントクリンカーを得ることができる。
セメントクリンカー(B)中のアルカリ量は、より好ましくは0.7質量%以上、さらに好ましくは0.8〜1.4質量%である。
本発明の混合セメントクリンカーは、セメントクリンカー(A)を30〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%、さらに好ましくは65〜76質量%含む。また、セメントクリンカー(B)を10〜70質量%、より好ましくは20〜40質量%、さらに好ましくは24〜35質量%含む。
混合セメントクリンカーが、セメントクリンカー(A)を30〜90質量%、セメントクリンカー(B)を10〜70質量%の範囲で含むものであれば、六価クロムの溶出量を抑制でき、強度発現性も確保できる。
セメントクリンカー(A)とセメントクリンカー(B)を混合した後の混合セメントクリンカーの鉱物組成はCSと、7〜55質量%のCSと、1〜15質量%のCAと、4〜18質量%のCAFを含む。この範囲であれば、六価クロムの溶出量を抑制でき、強度発現性も確保できる。より好ましい範囲は、CS量が7〜25質量%、CA量が4〜15質量%、CAF量が8〜15質量%であり、さらに好ましい範囲は、CS量が10〜20質量%、CA量が5〜13質量%、CAF量が9〜13質量%である。
本発明のセメントクリンカーは、さらに石膏や混合材を添加してセメント組成物としてもよい。石膏は、JIS R 9151「セメント用天然せっこう」に規定される品質を満足することが望ましく、具体的には、二水石膏、半水石膏、不溶性無水石膏が好適に用いられる。混合材は、JIS R 5211「高炉セメント」で規定される高炉スラグ、JIS R 5212「シリカセメント」で規定されるシリカ質混合材、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」で規定されるフライアッシュ、石灰石微粉末を利用することができる。
合セメントクリンカーの製造方法は、セメントクリンカー原料を調合し、CSと、1〜10質量%のCSと、0.5〜7質量%のCAと、10〜30質量%のCAFとを含むセメントクリンカー(A)を焼成するA工程と、セメントクリンカー原料を調合し、CSと、40〜62質量%のCSと、12〜28質量%のCAと、1〜9質量%のCAFとを含むセメントクリンカー(B)を焼成するB工程と、セメントクリンカー(A)と、セメントクリンカー(B)とを混合するC工程を含む。
本発明におけるセメントクリンカーの製造方法は、既存のセメント製造設備で製造することが可能である。この既存のセメント製造設備でセメントクリンカー(A)と(B)を別々に焼成した後、C工程でセメントクリンカー(A)と(B)を混合して混合セメントクリンカーを製造することができる。
セメントクリンカー(A)とセメントクリンカー(B)の混合方法は、特に制限されるものではなく、両者を同時に粉砕し混合する方法、あるいは粉砕後に混合する方法が挙げられる。
前記A工程におけるセメントクリンカー原料として、石灰石800〜1200kg/t‐クリンカー、珪石10〜150kg/t‐クリンカー、鉄源廃棄物30〜180kg/t‐クリンカー及び粘土代替廃棄物100〜300kg/t‐クリンカーを調合することが好ましい。
また、前記B工程におけるセメントクリンカー原料として、石灰石800〜1200kg/t‐クリンカー、珪石10〜120kg/t‐クリンカー、鉄源廃棄物0〜60kg/t‐クリンカー及び粘土代替廃棄物180〜400kg/t‐クリンカーを調合することが好ましい。
前記A工程におけるセメントクリンカー原料として、上記石灰石及び珪石に対して、鉄源廃棄物を、より好ましくは50〜180kg/t−クリンカー、更に好ましくは57〜180kg/t−クリンカー調合し、粘土代替廃棄物を、より好ましくは120〜260kg/t−クリンカー、更に好ましくは140〜220kg/t−クリンカー調合する。
前記A工程におけるセメントクリンカー原料全体量中における鉄源廃棄物及び粘土代替廃棄物の合計の含有量は、好ましくは7.0〜55.0質量%であり、より好ましくは10.0〜52.0質量%であり、更に好ましくは15.0〜52.0質量%である。
前記B工程におけるセメントクリンカー原料として、上記石灰石及び珪石に対して、鉄源廃棄物を、より好ましくは0〜50kg/t−クリンカー、更に好ましくは0〜40kg/t−クリンカー調合し、粘土代替廃棄物を、より好ましくは150〜400kg/t−クリンカー、更に好ましくは150〜350kg/t−クリンカー、特に好ましくは250〜350kg/t−クリンカー調合する。
前記B工程におけるセメントクリンカー原料全体量中における鉄源廃棄物及び粘土代替廃棄物の合計の含有量は、好ましくは5.0〜50.0質量%であり、より好ましくは7.0〜50.0質量%であり、更に好ましくは10.0〜48.0質量%である。
本発明のセメントクリンカーによれば、従来のポルトランドセメントクリンカーの鉱物組成を変えることなく、六価クロムの溶出量を大幅に低減することができる。このように、鉱物組成を適正化した二種のセメントクリンカーを混合することにより、添加剤を用いることなく、また、セメントクリンカーの焼成条件や設備を大幅に変えることなく、六価クロムの溶出量を低減できることを見出した点が、本発明の新規かつ重要なポイントである。
すなわち、本発明によれば、従来のポルトランドセメントクリンカーよりも、原料としてより大量の鉄源廃棄物及び/又は粘土代替廃棄物を使用して、特定の鉱物組成の二種のセメントクリンカーを製造し、この二種のセメントクリンカーを混合した混合セメントクリンカーを製造することにより、六価クロムの溶出量を、従来のポルトランドセメントクリンカーより低減することができる。
本発明のセメントクリンカーを用いて得られたセメント組成物は、強度発現性に優れ、流動性も良好であることから、一般の普通コンクリートや高強度コンクリートのほか、ポルトランドセメントと同等の用途に使用できる。これ以外に、セメント系固化材、セルフレベリング材等の用途においても、好適に使用することができる。また、本発明のセメント組成物は、六価クロムの溶出量が少ないことから、これを用いたコンクリート硬化体や製品は、環境負荷を小さくすることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明の内容を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[試験に使用した原料]
セメントクリンカーの原料としては、石灰石、珪石と、粘土代替廃棄物として石炭灰及び高炉スラグ、鉄源廃棄物として鉄精鉱、脱鉄スラグを使用した。また、セメントクリンカー中のSO量とアルカリ量を調整するため、各種試薬を併用した。以下に使用したセメント組成物原料をまとめて記す。
(i)セメントクリンカー原料
・石灰石(CaO含有量=55.5質量%)
・珪石(SiO含有量=96.9質量%)
・高炉スラグ(Al含有量=14.6質量%)
・石炭灰(Al含有量=25.7質量%)
・鉄精鉱(Fe含有量=64.3質量%)
・脱鉄スラグ(Fe含有量=10.5質量%)
・硫酸カルシウム二水和物(試薬特級、関東化学(株)製)
・炭酸ナトリウム(試薬特級、和光純薬鉱業(株)製)
・炭酸カリウム(試薬特級、和光純薬鉱業(株)製)
[セメントクリンカーの焼成]
上記セメントクリンカー原料を表1に示す割合で調合し、調合したセメントクリンカー(A)又は(B)の各原料を、それぞれ電気炉にて1500℃で30分間焼成し、セメントクリンカー(A)及び(B)を試製した。なお、表1中のNo.1は比較例として普通ポルトランドセメントクリンカーに相当する原料の調合割合を記載した。
Figure 0005446752
得られたセメントクリンカー(A)及び(B)について、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」による分析及びボーグ式に基づいて、鉱物組成(CS量、CS量、CA量及びCAF量)とアルカリ量を求めた。結果を表2に示す。なお、表2中、No.1は比較例として普通ポルトランドセメントクリンカーに相当するものである。
Figure 0005446752
[セメントクリンカーの調製]
表2のセメントクリンカーを、ブレーン比表面積で3200±50cm/gとなるまで鉄製ボールミルを用いて粉砕した。No.2及びNo.3のセメントクリンカーは、質量比で0.74:0.26となるように混合して粉砕した。
[セメントクリンカーの分析]
得られた混合セメントクリンカー及びNo.1の普通ポルトランドセメントクリンカーについて、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」による分析及びボーグ式に基づいて、鉱物組成(CS量、CS量、CA量及びCAF量)を、JCAS I−52:2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」によりクロム量を、JCAS I−51:1981「セメント及びセメント原料中の微量成分の定量方法」により水溶性の六価クロム量を測定した。
セメントクリンカーの分析結果を表3に示す。実施例1の混合セメントクリンカーは、比較例の普通ポルトランドセメントクリンカーと同等の鉱物組成、クロム含有量であるが、水溶性の六価クロム量は普通ポルトランドセメントクリンカーよりも小さかった。このように、特定の鉱物組成とした二種のセメントクリンカーを混合することで、六価クロム量の少ないセメントクリンカーを得ることができる。
Figure 0005446752
以上の結果より、鉱物組成を適正化した二種のセメントクリンカーを混合することにより、従来のポルトランドセメントクリンカーの鉱物組成を変えることなく、すなわち、原料原単位を大きく変えることなく、また、添加剤を用いることや、セメントクリンカーの焼成条件や設備を大幅に変えることなく、六価クロムの溶出量を低減することができる。

Claims (7)

  1. 65〜80質量%のSと、1〜質量%のCSと、0.5〜質量%のCAと、12〜22質量%のCAFとを含み、アルカリ量が、0.6質量%未満であるセメントクリンカー(A)と、
    10〜30質量%のSと、42〜58質量%のCSと、14〜24質量%のCAと、2〜7質量%のCAFとを含み、アルカリ量が、0.6質量%以上であるセメントクリンカー(B)とを混合した、
    Sと、7〜25質量%のC Sと、4〜15質量%のC Aと、8〜15質量%のC AFとを含むことを特徴とする混合セメントクリンカー。
  2. 前記セメントクリンカー(A)を30〜90質量%含む、請求項記載の混合セメントクリンカー。
  3. アルカリ量が、0.2〜1.0質量%である、請求項1又は2記載の混合セメントクリンカー。
  4. セメントクリンカー原料を調合し、65〜80質量%のSと、1〜質量%のCSと、0.5〜質量%のCAと、12〜22質量%のCAFとを含み、アルカリ量が、0.6質量%未満であるセメントクリンカー(A)を焼成するA工程と、
    セメントクリンカー原料を調合し、10〜30質量%のSと、42〜58質量%のCSと、14〜24質量%のCAと、2〜7質量%のCAFとを含み、アルカリ量が、0.6質量%以上であるセメントクリンカー(B)を焼成するB工程と、
    Sと、7〜25質量%のC Sと、4〜15質量%のC Aと、8〜15質量%のC AFとを含むように、セメントクリンカー(A)と、セメントクリンカー(B)とを混合するC工程を含むことを特徴とする混合セメントクリンカーの製造方法。
  5. 前記A工程におけるセメントクリンカー原料として、石灰石800〜1200kg/t‐クリンカー、珪石10〜150kg/t‐クリンカー、鉄源廃棄物30〜180kg/t‐クリンカー及び粘土代替廃棄物100〜300kg/t‐クリンカーを調合し、
    前記B工程におけるセメントクリンカー原料として、石灰石800〜1200kg/t‐クリンカー、珪石10〜120kg/t‐クリンカー、鉄源廃棄物0〜60kg/t‐クリンカー及び粘土代替廃棄物180〜400kg/t‐クリンカーを調合する、請求項記載の混合セメントクリンカーの製造方法。
  6. 前記A工程におけるセメントクリンカー原料として、鉄源廃棄物を57〜180kg/t−クリンカー調合し、粘土代替廃棄物を140〜220kg/t−クリンカー調合し、
    前記B工程におけるセメントクリンカー原料として、鉄源廃棄物を0〜40kg/t−クリンカー調合し、粘土代替廃棄物を250〜350kg/t−クリンカー調合する、請求項5記載の混合セメントクリンカーの製造方法。
  7. 前記A工程におけるセメントクリンカー原料全体量中における鉄源廃棄物及び粘土代替廃棄物の合計の含有量が10.0〜52.0質量%であり、
    前記B工程におけるセメントクリンカー原料全体量中における鉄源廃棄物及び粘土代替廃棄物の合計の含有量は7.0〜50.0質量%である、請求項5又は6記載の混合セメントクリンカーの製造方法。
JP2009257906A 2009-11-11 2009-11-11 混合セメントクリンカー及びその製造方法 Active JP5446752B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009257906A JP5446752B2 (ja) 2009-11-11 2009-11-11 混合セメントクリンカー及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009257906A JP5446752B2 (ja) 2009-11-11 2009-11-11 混合セメントクリンカー及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011102214A JP2011102214A (ja) 2011-05-26
JP5446752B2 true JP5446752B2 (ja) 2014-03-19

Family

ID=44192737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009257906A Active JP5446752B2 (ja) 2009-11-11 2009-11-11 混合セメントクリンカー及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5446752B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5818579B2 (ja) * 2011-08-29 2015-11-18 株式会社デイ・シイ 中性化抑制型早強セメント組成物
JP5800387B2 (ja) * 2011-09-16 2015-10-28 株式会社デイ・シイ 土質改良材
JP5932478B2 (ja) * 2012-05-21 2016-06-08 株式会社トクヤマ セメント組成物およびその製造方法
JP6831712B2 (ja) * 2017-02-15 2021-02-17 太平洋セメント株式会社 ポルトランドセメントの製造方法、及び混合セメントの製造方法
CN117447105A (zh) * 2023-11-13 2024-01-26 重庆交通大学 废弃混凝土复合磷石膏基电化学合成水泥及其制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56120552A (en) * 1980-02-26 1981-09-21 Denriyoku Chuo Kenkyusho Manufacture of specific cement
JP2920755B2 (ja) * 1997-01-20 1999-07-19 住友大阪セメント株式会社 セメントクリンカー
JP2003171152A (ja) * 2001-11-30 2003-06-17 Mitsubishi Materials Corp セメントクリンカーおよびセメント
JP2003073154A (ja) * 2002-08-26 2003-03-12 Mitsubishi Materials Corp セメントクリンカーの製造方法
JP4568541B2 (ja) * 2004-06-17 2010-10-27 三菱マテリアル株式会社 コンクリートの流動性改善方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011102214A (ja) 2011-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5665638B2 (ja) セメントクリンカーの製造方法
JP5791927B2 (ja) 高活性セメントクリンカの製造方法
JP5310193B2 (ja) セメント組成物の製造方法
JP5747407B2 (ja) 高活性セメントクリンカ、高活性セメント及び早強セメント組成物
JP5818579B2 (ja) 中性化抑制型早強セメント組成物
JP5626420B2 (ja) セメント組成物
JP2013103865A (ja) セメントペーストの製造方法
JP5446752B2 (ja) 混合セメントクリンカー及びその製造方法
JP2010222171A (ja) セメントクリンカ、その製造方法および水硬性セメント
JP2013047154A (ja) 高炉セメント組成物
JP6282408B2 (ja) 水硬性組成物
JP6579928B2 (ja) セメントクリンカーの製造方法
JP2015078112A (ja) 水硬性組成物
JP5705021B2 (ja) セメントクリンカーの製造方法
JP6036167B2 (ja) 低炭素型セメントペースト組成物
JP5932478B2 (ja) セメント組成物およびその製造方法
JP2006347814A (ja) セメントクリンカー、セメント組成物、コンクリート組成物およびセメントクリンカーの製造方法
JP2010228923A (ja) セメントクリンカー及びその製造方法、並びに、セメント組成物
JP2016064940A (ja) セメントクリンカーの製造方法
JP2014185042A (ja) セメント組成物
JP2019142749A (ja) セメント組成物及びセメント組成物の製造方法
JP2018158850A (ja) セメントクリンカーの製造方法
JP7436249B2 (ja) セメントクリンカー
JP5850708B2 (ja) ポルトランドセメント
JP2012166973A (ja) セメント組成物及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120823

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130716

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130910

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5446752

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250