JP5446318B2 - 太陽電池モジュールおよび光源モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも一方の面に構造を有し、前記構造によって光の回折、散乱、拡、屈折、あるいは反射作用によって特定方向に光を偏向する集光部を用いた太陽電池モジュールおよび光源モジュールに関する。
近年、太陽電池モジュールの普及は大きな広がりを見せ、電卓等の小型電子機器に搭載される比較的小さなものから、家庭用として住宅に取り付けられる太陽電池モジュールや大規模な発電施設に用いられる大面積の太陽電池発電システム、さらには人工衛星の電源まで、様々な分野で利用が促進されている(例えば、特許文献1参照)。
このような太陽電池は、主に光が照射される面積に比例して発電量が増加する。したがって、発電効率を向上させるには封止技術、製膜技術等の製造技術を改善することに加え、いかにして太陽電池モジュールの開口率(全面積に対する発電可能な面積の割合)を大きくするかが重要な課題となっている。また、特に単結晶シリコンや多結晶のシリコンでは、そのシリコンのコストが高いうえ、それを貼り付けるためのコストもかかっていた。
そこで、太陽電池セルの構成部材であるシリコンの量が少なく、CVD等の技術により、成膜することができるような薄膜シリコンの太陽電池セルが用いられてきている。ところが、この薄膜シリコンの太陽電池セルは、とくに赤外の光が薄膜シリコンの太陽電池セルを透過しやすいため光の吸収率が低いという欠点があった。そこで、光の利用効率を上げるために、敢えて入射光を散乱させて、薄膜シリコンの太陽電池セルを透過する距離を稼ぐことで光の利用効率を向上させている。
一般に、非晶質シリコン太陽電池には、2種類の構造のものがある。一つは、ガラス等の透光性基板上に、SnO2やITO等の透明電導膜が形成され、その上に非晶質半導体(Si)のp層、i層、n層がこの順に積層されて成る構造のものである。もう一つは、金属基板電極の上に、非晶質半導体(Si)のn層、i層、p層がこの順に積層されて光電変換活性層が形成され、更にその上に透明電導膜が積層されて成る構造のものである。そのうち、前者の構造のものでは、非晶質半導体をp−i−n層の順に形成するために、透光性絶縁基板が太陽電池表面カバーガラスを兼ねることができること、また、SnO2等の耐プラズマ性透明電導膜が開発されて、この上に非晶質半導体光電変換活性層をプラズマCVD法で形成することが可能になったこと等から、現在多く用いられている。
さらに、非晶質半導光電変換活性層の形成に、原料ガスのグロー放電分解によるプラズマCVD法や、光CVD法による気相成長法を用いることができ、これらの方法によれば大面積の薄膜形成が可能であるという利点もある。
非晶質Si太陽電池は、100℃〜200℃程度の比較的低温で形成できるので、その非晶質Si太陽電池を形成するための基板として、様々な材質の基板を用いることが可能であるが、通常よく用いられるものはガラス基板やステンレス基板である。
また、非晶質Si太陽電池は、光を電気に代える変換効率が最大となるときのシリコンの光吸収層の膜厚が500nm程度であるため、その変換効率を向上させるには光吸収層の膜厚内で光の吸収量を増大させることが重要となっている。そのため、ガラス基板上の表面に凹凸のある透明導電膜を形成したり、ステンレス基板上の表面に凹凸のある金属膜を形成したりすることにより、光吸収層中での光の光路長を増加させることが従来より行われてきた。このような方法において光吸収層中での光路長を増加させた太陽電池の場合、その表面に凹凸がない平坦な基板上に非晶質Si太陽電池を形成した場合と比較して、光の利用効率が顕著に向上する。
ところで、ガラス基板の表面上に凹凸を形成する一般的な方法としては、常圧CVD法により透明電極であるSnO2膜を形成する方法があげられる。また、ステンレス等の金属基板上に凹凸を形成する方法としては、Agを蒸着法やスパッタリング法により形成する際に、その形成条件を調整したり、Agの形成後に熱処理を行ったりする方法が用いられていた。
この薄膜太陽電池は、透光性絶縁基板の上に、透明導電膜、水素化アモルファスシリコンカーバイド(a―SiC H)p層、水素化アモルファスシリコン(a―Si H)i層、水素化アモルファスシリコン(a―Si H)n層、透明導電膜、及び裏面電極が順次形成されて構成されるものである。そして、前述のようにして、透明導電膜の表面に凹凸形状が形成され、これによりその上部に形成された各層が凹凸構造を有するというものである。
また、薄膜太陽電池等の半導体素子を可撓性基板あるいは軽量基板上に形成する場合、耐熱性の高いポリイミド樹脂が用いられている。そして、このような樹脂に凹凸を形成する方法は、例えば特許文献2等に開示されている。
また、特許文献3には、V溝の周期構造により、光を再帰反射し、光の利用効率を向上させることを可能としたものが提案されており、V溝頂角は50度から90度が望ましく、また、V溝の周期のピッチとしては10μmから20μmが望ましいとの記述がある。
また、太陽電池セル30の配置間隔を狭くするとリーク電流が生じてしまうため、隣り合う太陽電池セル30の間の領域が必要となる。そこで、図17に示すように、太陽電池モジュール400に入射する光H0のうち、この領域に入射する光H1を、太陽電池モジュール400の背面に配置させた裏面材300に反射させ、その反射した光H2を太陽電池セル30で受光して再利用するものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
さらにまた、高価である太陽電池セルへ太陽光を集光することにより効率を上げるための、様々な太陽電池の集光システムが知られているが、集光システムとしてレンズ等を用いた場合には、住宅の屋根等への設置が困難で設置場所が限られていた。そこで、通常の太陽電池モジュールと同様の形態でセルにより多くの光を入射するものが知られている(例えば、特許文献5参照)。
特開2001−295437号公報 特開平4−61285号公報 特開平11−274533号公報 特開平11−307791号公報 特開2000−101124号公報
しかしながら、上述した特許文献1〜5に開示されている従来の太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールでは、いずれも太陽電池モジュール外への光の損失により太陽電池セルに取り込む光量が十分ではないことから、より高い発電効率の太陽電池モジュールが求められており、その点で改良の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、本来は損失となる光を再利用することによって、発電効率の向上が図れる太陽電池モジュールおよび光源モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る太陽電池モジュールでは、光を入射する前面板と、前面板を透過した光を透過する充填層と、充填層によって固定されるとともに、充填層から透過した光を受光面から受光して電気に変換する太陽電池セルと、太陽電池セルの背面側に配置され、前面板から入射した光を太陽電池セルの受光面周辺に向けて反射する反射面を有する集光部とを備え、集光部は、複数の同一形状のファセット群からなるファセット部を有するとともに、ファセット部の両側に位置する傾斜部を有し、ファセット部の幅が30mm以下であり、太陽電池セルの幅がファセット部の幅以上であり、傾斜部は、全体として一方向に向けて傾斜し、一端がファセット部に接してなり、一端と他端の位置が集光部の厚さ方向で異なっていることを特徴としている。
また、ファセット部の幅は、5mm以上、30mm以下であることが好ましい。
本発明では、隣り合う太陽電池セルの間の領域に入射する光を集光部の反射面で反射させ、太陽電池セルに入射させることができる。このとき、ファセット部で反射して受光面に入射する光の幅は、ファセット部に入射した光の幅と同じ長さとなるので、太陽電池セルの幅をファセット部の幅以上とすることで、ファセット部から反射した光を損失を低減して太陽電池セルで受光することができる。そして、ファセット部の幅が30mm以下であって、好ましくは5mm以上30mm以下とすることで、太陽電池セルへの入光量を増加させることが可能となる。これにより、隣り合う太陽電池セルの間の領域に入射する光も再利用することができることから、太陽電池モジュールの発電効率を向上させることが可能となる。
また、本発明では、傾斜部で反射される光は、一部が前面板を透過して外方に射出する損失となる光となるが、他の一部は入射面で反射し、太陽電池セルの受光面に入射する光となる。そして、傾斜部の幅が大きいほど太陽電池セルに入射する光が増加する。ファセット部に加えて、さらに傾斜部を設けることによって、太陽電池セルにより多くの光を入射させることができる。
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前面板の厚みが2.5mm以上、5.0mm以下であることが好ましい。
本発明では、前面板の厚みが厚くなることにより、太陽電池モジュールが重くなり設置が困難となることがなく、また薄くなることにより、雹などで割れるといった不具合を防ぐことができる。
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、充填層の厚みが0.5mm以上、1.5mm以下であることが好ましい。
本発明では、充填層の厚さ寸法が0.5mm以下と薄くなることで太陽電池セルを十分に保持できなくなったり、厚くなることでシート状として加工することが困難になるといった不具合を防ぐことができる。
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、反射面は、金属反射層からなることがより好ましい。
これにより、集光部の反射面の反射効率が高まるので、太陽電池セルに入射する光も多くなり、太陽電池モジュールの発電効率をより向上させることができる。
また、本発明に係る光源モジュールでは、光を透過する充填層と、充填層によって固定されるとともに、電気を光に変換し、その光を発光面より発光させて充填層の射出面で反射させる発光素子と、発光素子の背面側に配置され、充填層の射出面で反射した光を再び射出面へ向けて反射する反射面を有する集光部とを備え、集光部は、複数の同一形状のファセット群からなるファセット部を有するとともに、ファセット部の両側に位置する傾斜部を有し、傾斜部は、全体として一方向に向けて傾斜し、一端がファセット部に接してなり、一端と他端の位置が集光部の厚さ方向で異なっていることを特徴としている。
本発明では、発光素子から射出した光が充填層の射出面で反射し、さらにその光が集光部の反射面で反射し、再び射出面に入射して射出面から外部へ射出される。このように、射出面で反射する光を損失を低減して再利用することができるので、集光部が無い構成と比較して発光素子の光利用効率が向上する効果がある。
本発明の太陽電池モジュールによれば、太陽電池モジュールに入射する光を集光部により再利用しつつ太陽電池セルに効率的に集光させることができ、これにより面積が小さく、且つ少ない太陽電池セルにより多くの光量を入射させることが可能となり、発電効率の向上を図ることができる。
また、本発明の光源モジュールによれば、充填層の射出面で反射する光を損失を低減して再利用することができるので、集光部が無い構成と比較して発光素子の光利用効率が向上する効果がある。
本発明の第1の実施の形態による太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。 太陽電池セルの幅が変化したときの太陽電池セルへの相対入射光量の変化を示すグラフである。 ファセット部の幅が変化したときの太陽電池セルへの相対入射光量を示すグラフである。 図1に示す光再利用シートを示す断面図である。 図4に示す光再利用シートで基材を用いないもの一例を示す断面図である。 変形例による光再利用シートを示す断面図である。 他の変形例による光再利用シートを示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態による太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態による太陽電池モジュールの構成を示す断面図であって、傾斜部とファセット部がある反射面を有する太陽電池モジュールの図である。 図9に示す太陽電池モジュールにおける太陽電池セルへの相対入射光量の変化を示すグラフであって、図2に対応するグラフである。 本発明の第4の実施の形態による太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態による太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。 本発明の第6の実施の形態による太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。 本発明の第7の実施の形態による太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。 本発明の第8の実施の形態による太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。 本発明の第9の実施の形態による光源モジュールの構成を示す断面図である。 従来の太陽電池モジュールを示す断面図である。
以下、本発明の第1の実施の形態による太陽電池モジュールについて、図1乃至図5に基づいて説明する。
図1に示すように、本第1の実施の形態による太陽電池モジュール200は、光を入射する前面板22と、前面板22を透過した光を透過する充填層21と、受光面12から受光して電気に変換する太陽電池セル30と、太陽電池セル30の背面側に配置され、前面板22から入射した光を太陽電池セル30の受光面12周辺に向けて反射する反射面10を有する光再利用シート20(集光部)とを備えて概略構成されている。
前面板22は、太陽光や照明光などの光源Lの光を透過するものであって、太陽電池セル30を衝撃、汚れ、水分の浸入等から保護するとともに、透過率が高い透明な材料からなる。
光源Lの光が太陽光(或いは照明光)の側Fより入射面11に垂直に入射する光H0は、前面板22に入射後、前面板22を透過し、充填層21に射出する。ここで、入射面11の法線NGは、平面P上に前面板22を最も安定させて配置した状態での平面Pの法線に対して平行な方向である。なお、入射面11に対して垂直に入射する光H0とは、法線NGに平行な方向で太陽電池モジュール200に入射する光のことである。
前面板22の材質としては、強化ガラス、サファイアガラス等のガラス、或いはPC(ポリカーボネート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等の樹脂シートが挙げられる。そして、前面板22の厚さ寸法は、例えば強化ガラスであれば2.5〜5.0mmのものが好ましい。この厚さ寸法が5.0mmより厚いと、太陽電池モジュール200が重くなり設置が困難となる。また、2.5mmより薄いものでは、雹などで割れてしまい、屋外での使用ができない。
前面板22を射出した光は、充填層21に入射する。充填層21は、太陽電池セル30を封止するものである。前面板22に入射した光H0は、充填層21を透過し、太陽電池セル30へと射出される光となり、一部は光再利用シート20へ向けて射出される光H1となる。ここで、充填層21は、入射した光H0を透過させるため光線透過率が高い材料が用いられ、例えば難燃性のEVA(エチレン・ビニル・アセテート)を使用することができる。この充填層21の厚さ寸法は、0.5mm以上で1.5mm以下であることが好ましい。この厚さ寸法が0.5mm以下では太陽電池セル30を十分に保持できず、1.5mmより厚いとシート状として加工することが困難となる。
さらに、太陽電池セル30は、光電効果により受光面12に入射した光H3を電気へと変換する機能を有しており、単結晶シリコン型太陽電池、多結晶シリコン型太陽電池、薄膜シリコン型太陽電池、CdTe(Cd・Teの化合物)系、CIGS(Cu・In・Ga・Seの化合物)系等の化合物薄膜太陽電池など多くの種類が存在する。太陽電池セル30は、複数個を電極で接続し、モジュールを形成して用いられる。すなわち、充填層21から太陽電池セル30に入射した光H3は、太陽電池セル30で電気へと変換される。
通常、入射面11に対して斜めに入射した光H3は、垂直入射の光H0と比較して入射面11で反射する割合が多く、太陽電池セル30に入射する光が少なくなるため、発電に利用できる光が少ない傾向がある。そのため、入射光H0が、入射面11に垂直に入射するとき、最も効率が高くなる。
光再利用シート20は、太陽電池セル30自体を透過した光や、太陽電池セル30の間の領域(これを「ファセット部R1」という)に入射した光H1を反射面10で反射する機能を有している。つまり、光再利用シート20の反射面10で反射した光H2は前面板22と大気との間等の界面(入射面11に相当)で再度反射し、太陽電池セル30の受光面12に入射する光H3となって光電変換されるため、光再利用シート20が無い構成の太陽電池モジュールと比較して光利用効率が向上する効果がある。
充填層21側の一面(後述する反射層4)に形成される反射面10は、図1に示す側断面視で略三角形の凹凸形状をなし、シート全面にわたって一様に形成されている。
反射光H2の進む方向は、本発明の反射面10の凹凸形状により制御することができ、多くの光を太陽電池セル30の受光面12に入射させることができる。
ここで、反射面10の凹凸形状について、その法線N0(図示省略)を用いて説明するなお、反射面10の法線N0は、反射面10上の任意の点での接平面に垂面な直線であって、平面P上に光再利用シート20を安定した状態で置いたときの平面Pの法線Nと平行な方向である。また、反射面10の角度θは、反射面10の法線N0とシート法線NB(図示省略)とのなす角である。
そして、通常、シート法線NBは、入射面11の法線NGに対して平行になるように配置されるため、入射光H1はシート法線NBに対して平行に入射する。
反射面10に入射した光H1のうち一部は、ファセット部R1に入射する。このファセット部R1は、複数の同一形状のファセット群f1から形成されており、ファセット群f1は、複数の小さな平面または、小さな曲率を有したファセットにより形成される。ファセット部R1に入射した光H1は、上述のファセット部R1を構成するファセット群f1で反射し、再度充填層21に入射する光H2となる。そして、その光H2は、前面板22の入射面11で反射され、太陽電池セル30の受光面12に入射する光H3となる。
ファセット部R1で反射した光H2はファセット部R1が同一形状のファセット群f1から形成されているため、光H2は平行光となる。そのため、ファセット部R1で反射して上述の受光面12に入射する光H3の幅W1は、ファセット部R1に入射した光H1の幅と同じ長さとなる。したがって、上述の太陽電池セル30の幅は、ファセット部R1の幅以上であれば、ファセット部R1から反射した光H2を損失を低減して受光することができる。
また、図2は、ファセット部R1の幅(太陽電池セル30の幅に相当)を変化させたときの受光面12から太陽電池セル30に入射する光H3の量の相対値(図中では相対入射光量)を示している。図2に示すように、上述した図1に示す構造の反射面10によって太陽電池セル30に入射する光の量が2.3倍程度まで増加することがわかる。なお、ファセット部R1と太陽電池セル30の幅の比率が1より小さい場合には、光の集光の効果がそれ以上あがらないことがわかる。
図3は、太陽電池セル30の幅を固定として、ファセット部R1の幅を変化させたときの相対入射光量を示している。
図3に示すように、相対入射光量は、ファセット部R1の幅が大きくなるに従って増加する。しかし、ファセット部R1の幅が30mm以上となると、それ以上入射光量が増加しなくなり、30mmよりファセット部R1の幅を増やしても入射光量を増やすことができないことから、30mm以下が好ましい。
また、ファセット部R1の幅が5mmより小さいと、凹凸形状をつけずに拡散反射を用いたものと同程度の効果しか得られないため、5mm以上がより望ましい。
図4に示すように、上述の反射面10を有する光再利用シート20は、構造層3と、構造槽3の一面側に配された反射層4と、構造槽3の他面側に配された基材2とから構成することができる。
構造層3に凹凸形状を形成する方法として、型に反射面10の凹凸形状を形成した面に熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等を塗布または注入し、その上に基材2を配置して、硬化処理後にスタンパから離型するといった方法が挙げられる。
また、図5に示すように、基材2を用いない構造層3のみからなる光再利用シート20の作製方法としては、型を用いたプレス法、キャスティング法、射出成形法等により基材2と一体成形する方法が挙げられる。これらの方法によれば、シート形成と同時に、凹凸形状を形成することができる。
そして、図1に示す反射面10を形成する型としては機械切削により作製されたものを用いることができる。この際、凹凸形状の先端は、形状に傷が付くのを防止するため、丸みを帯びたものが望ましい。
また、ファセット部R1のファセット群f1の周期のピッチとしては、300μm以下であることが好ましく、より好ましくは、200μm以下である。すなわち、ファセット群f1の周期のピッチが300μmより大きい場合には、ファセット群f1を成型するときの凹凸形状の先端部分の型に樹脂が十分に入らないため成型性が悪い。そして、上述の構造のファセット群f1のピッチが200μm以下であれば、比較的粘度の高い樹脂であっても成型が可能となる。
さらに、上述のファセット群f1の周期のピッチが小さいと型の作製が難しくなるため、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは、20μm以上である。すなわち、ファセット群f1の周期のピッチが10μmより小さいと、型を切削する際にファセット面を精度よく形成することが困難である。また、上述の構造の周期のピッチが20μmより小さいと、ファセット群f1を成形する際に樹脂がうまく凹凸形状の溝に入らず凹凸形状の先端部分の形状を型どおり作製することができない。
さらに、構造層3の厚さは、特には限定されないが、例えば3μm以上、500μm以下である。
そして、上述した光再利用シート20の製造法では、以下に示す材料との適性により適宜選択するのが良い。
構造層3を形成するポリマー組成物中には、ポリマー組成物の他に例えば散乱反射体、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
上述のポリマー組成物としては、特に限定されるものではなく、例えばポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。
上述のポリウレタン系樹脂の原料であるポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールや、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
また、上述のポリオールは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上述の(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合することで製造することもできる。
水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノルA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
上述の水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は、500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
当該ポリマー組成物のポリマー材料として用いられるポリオールとしては、上述のポリエステルポリオール、及び、上述の水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールをポリマー材料とすれば耐候性が高く、構造層3の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
なお、上述のポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
構造層3を形成するポリマー組成物中に散乱反射体を反射性能、耐熱性能を向上させるため含有すると良い。ポリマー組成物中に散乱反射体を含有することで、構造層3ひいては光再利用シート20の耐熱性が向上させることができ、かつ屈折率がポリマー組成物と大きく異なるものを用いれば、光を反射させることができる。なお、これにより十分な反射率が得られる場合には、図6、図7に示すように金属反射層4を設けなくても良い。
散乱反射体剤を構成する無機物としては、とくに限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、シリカ等も用いることができるが、ZnS等の金属化合物を用いることもできるが特に、TiO2、ZrO、Al2O3等の金属酸化物が望ましい。またシリカの中空粒子を用いることもできる。このうち、TiO2は、屈折率が高く、分散性も得られやすいため好ましい。また、散乱反射体の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、とくに限定されることはない。
散乱反射体の平均粒子径の下限としては、0.1μmが好ましく、上限としては30μmが好ましい。これは、平均粒子径が0.1μmより小さいと光を十分に反射せず、また平均粒子径が30μmより大きいと成型性が悪いためである。
散乱反射体のポリマー組成物100部に対する配合量の下限としては、固形分換算で30部が好ましい。一方、散乱反射体の上述の配合量の上限としては100部が好ましい。これは、無機充填剤の配合量が30部より少ないと、充填層21から構造層3に入射する光H1を十分に反射することができないためであり、逆に、配合量が上述の範囲を越えると、成型性が悪いためである。
上述の散乱反射体としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定の散乱反射体を用いることで、ポリマー組成物での分散性やポリマー組成物との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
上述の有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上述のポリマー組成物と相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物と同じ組成であるものが最も好ましい。
上述のポリマー組成物としてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。ポリマー組成物としてのポリオール中にシクロアルキル基を導入することで、ポリマー組成物の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での構造層3ひいては光再利用シート20の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、構造層3の耐候性、硬度、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された散乱反射体との親和性及び散乱反射体の分散性がさらに良好になる。
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、構造層3の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上述の多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
なお、散乱反射体は、内部に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、散乱反射体のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
上述の有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量は特に限定されないが、散乱反射体1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。アルコキシ基により、ポリマー組成物との親和性や、ポリマー組成物中での分散性を向上させることができる。
上述のアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。散乱反射体を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、散乱反射体がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
有機ポリマーを固定した散乱反射体の有機ポリマーの含有率については、特に制限されないが、散乱反射体を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
光再利用シート20において、反射層4を用いる場合には、その密接着性等を向上させるため、反射層4の蒸着対象面(構造層3の表面)に表面処理を施すとよい(図示せず)。このような表面処理としては、例えば(a)コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理、及び(b)プライマーコート処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理、蒸着アンカーコート処理などが挙げられる。これらの表面処理の中でも、反射層4との接着強度が向上し、緻密かつ均一な反射層4の形成に寄与するコロナ放電処理及びアンカーコート処理が好ましい。
上述のアンカーコート処理に用いるアンカーコート剤としては、例えばポリエステル系アンカーコート剤、ポリアミド系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤、エポキシ系アンカーコート剤、フェノール系アンカーコート剤、(メタ)アクリル系アンカーコート剤、ポリ酢酸ビニル系アンカーコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系アンカーコート剤、セルロース系アンカーコート剤などが挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、反射層4の接着強度をより向上することができるポリエステル系アンカーコート剤が特に好ましい。
上述のアンカーコート剤のコーティング量(固形分換算)は、1g/m以上、3g/m2以下が好ましい。アンカーコート剤のコーティング量が1g/mより少ないと、反射層4の密着性向上効果が小さくなる。一方、当該アンカーコート剤のコーティング量が3g/mより多いと、光再利用シート20の強度、耐久性等が低下するおそれがある。
なお、上述のアンカーコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、ブロッキングを防止するためのブロッキング防止剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤等の各種添加剤を適宜混合することができる。かかる添加剤の混合量としては、添加剤の効果発現とアンカーコート剤の機能阻害とのバランスから0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。上述の添加剤が、0.1重量%未満では、ブロッキングを十分に防止できず、耐候性が十分に得られず、10重量%より多いと、トップコート剤の機能を阻害してしまう。
図4及び図5に示す反射層4は、光再利用シート20に入射する光を反射するものである。反射層4を形成する際には、構造層3の凹凸形状が形成された面に沿って金属を蒸着することで形成される。この反射層4の蒸着手段としては、構造層3に収縮、黄変等の劣化を招来することなく金属が蒸着できれば特に限定されるものではなく、(a)真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)、(b)プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)が採用される。これらの蒸着法の中でも、生産性が高く良質な反射層4が形成できる真空蒸着法やイオンプレーティング法が好ましい。
反射層4に用いられる金属としては、金属光沢を有しかつ蒸着が可能であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)等が挙げられる。中でも、反射性が高く、緻密な反射層4が比較的容易に形成されるアルミニウム(Al)が好ましい。
なお、反射層4は、単層構造でもよく、2層以上の多層構造でもよい。このように反射層4を多層構造とすることで、蒸着の際に懸かる熱負担の軽減により構造層3の劣化が低減され、さらに構造層3と反射層4との密着性等を改善することができる。このとき、金属膜の上に酸化金属層を設けても良い。また、上述の物理気相成長法及び化学気相成長法における蒸着条件は、構造層3や基材2の樹脂種類、反射層4の厚さ等に応じて適宜設計される。
反射層4の厚さの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。一方、反射層4の厚さの上限としては、200nmが好ましく、100nmがより好ましい。これは、反射層4の厚さが10nm下限より小さいと、充填層21から反射層4に入射する光を十分に反射することができないためであり、また20nm以上の厚さであっても、上述の反射層4で反射される光は増えないため、20nmであれば十分な厚さといえる。一方、反射層4の厚さが200nmの上限を超えると、反射層4に目視でも確認できるクラックが発生し、100nm以下であれば、目視で確認できないようなクラックも発生しない。
また、反射層4の外面には、トップコート処理を施すとよい(図示せず)。このように反射層4の外面にトップコート処理を施すことで、反射層4が封止及び保護され、その結果、光再利用シート20のハンドリング性が良くなる。また、反射層4の経年劣化も抑えることができる効果を奏する。
上述のトップコート処理に用いるトップコート剤としては、例えばポリエステル系トップコート剤、ポリアミド系トップコート剤、ポリウレタン系トップコート剤、エポキシ系トップコート剤、フェノール系トップコート剤、(メタ)アクリル系トップコート剤、ポリ酢酸ビニル系トップコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系トップコート剤、セルロース系トップコート剤などが挙げられる。かかるトップコート剤の中でも、反射層4との接着強度が高く、反射層4の表面保護、欠陥の封止等に寄与するポリエステル系トップコート剤が特に好ましい。
上述のトップコート剤のコーティング量(固形分換算)は、3g/m以上、7g/m以下が好ましい。トップコート剤のコーティング量が3g/mより小さいと、反射層4を封止及び保護する効果が小さくなるおそれがある。一方、当該トップコート剤のコーティング量が上7g/mを超えても、上述の反射層4の封止及び保護効果があまり増大せず、かえって光再利用シート20の厚さが増大してしまう。
なお、上述のトップコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤、耐熱性等を向上させるための無機フィラー等の各種添加剤を適宜混合することができる。かかる添加剤の混合量としては、添加剤の効果発現とトップコート剤の機能阻害とのバランスから0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。上述の添加剤が、0.1重量%未満では、密接着性、耐候性、耐熱性が十分に得られず、10重量%より多いと、トップコート剤の機能を阻害してしまう。
上述の光再利用シート20を構成する基材2は、合成樹脂を材料とするシート成形により形成されている。かかる基材2に用いられる合成樹脂としては、屋外に設置されることを鑑み、耐水性、紫外線に対する耐久性等の耐候性を有しているものが望ましく、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、エポキシン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
上述の樹脂の中でも、高い耐熱性、強度、耐候性、耐久性、水蒸気等に対するガスバリア性等を有したものとして、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂が好ましい。
上述のポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂の中でも、耐熱性、耐候性等の諸機能面及び価格面のバランスが良好なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
上述のフッ素系樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)やテトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)が特に好ましい。
上述の環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えばa)シクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)、シクロヘキサジエン(及びその誘導体)、ノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンを重合させてなるポリマー、b)当該環状ジエンとエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系モノマーの1種又は2種以上とを共重合させてなるコポリマー等が挙げられる。これらの環状ポリオレフィン系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるシクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)又はノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンのポリマーが特に好ましい。
なお、基材2の形成材料としては、上述の合成樹脂を1種又は2種以上混合して使用することができる。また、基材2の形成材料中には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。この添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填材、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。上述の基材2の成形方法としては、特に限定されず、例えば押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の公知の方法が採用される。
基材2を用いる場合には、その厚さは、25μm以上、500μm以下が好ましく、250μmが特に好ましい。基材2の厚さが25μmより薄いと、紫外線硬化樹脂等の硬化収縮の影響により、構造層3の塗工加工際にカールが発生し、太陽電池モジュール200に組み込む際に不具合が発生する。逆に、基材2の厚さが500μmを超えると、フィルム重量が増してしまい、太陽電池モジュール200の重量も増してしまう。250μm以下であれば、より軽量の太陽電池モジュール200を実現できる。
また、基材2、構造層3、基材2中に紫外線安定剤又は分子鎖に紫外線安定基が結合したポリマーを含有することも可能である。この紫外線安定剤又は紫外線安定基により、紫外線で発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、光再利用シート20の紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。この紫外線安定剤又は紫外線安定基としては、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤又はヒンダードアミン系紫外線安定基が好適に用いられる。
このように、光再利用シート20を用いた太陽電池モジュール200では、隣り合う太陽電池セル30の間の領域(ファセット部R1)に入射する光を光再利用シート20の反射面10で反射させ、太陽電池セル30に入射させることができる。このとき、ファセット部R1で反射して受光面12に入射する光の幅は、ファセット部R1に入射した光の幅と同じ長さとなるので、太陽電池セル30の幅をファセット部R1の幅以上とすることで、ファセット部R1から反射した光を損失を低減して太陽電池セル30で受光することができる。そして、ファセット部R1の幅が30mm以下であって、好ましくは5mm以上30mm以下とすることで、太陽電池セル30への入光量を増加させることが可能となる。これにより、隣り合う太陽電池セル30の間の領域に入射する光も再利用することができることから、太陽電池モジュール200の発電効率を向上させることが可能となる。
上述のように本第1の実施の形態による太陽電池モジュールでは、太陽電池モジュール200に入射する光を光再利用シート20により再利用しつつ太陽電池セル30に効率的に集光させることができ、これにより面積が小さく、且つ少ない太陽電池セル30により多くの光量を入射させることが可能となり、発電効率の向上を図ることができる。
次に、本発明による他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
図8に示す本発明の第2の実施の形態による太陽電池モジュール200Aは、ファセット部R1を複数としたものである。つまり、各々のファセット部R11、R12の長さを足し合わせたものが太陽電池セル30の受光面12に入射する光の幅となり、ファセット部R1の幅は、R1=R11+R12となる。
次に、図9に示すように、本発明の第3の実施の形態による太陽電池モジュール200Bでは、ファセット部R1を挟んで左右両側(図9の紙面で左右方向)に傾斜部R2、R2が隣接する構成となっている。すなわち、各傾斜部R2は、右上がり又は左上がりの斜面とシートの面方向に平行な段差面とから形成されており、全体としては一方向に傾斜するとともに、一端がファセット部R1と接している。傾斜部R2で反射される光H2は、一部が前面板22を透過して外方に射出する損失となる光H4となるが、他の一部は入射面11で反射し、太陽電池セル30の受光面12に入射する光H3となる。そして、傾斜部R2の幅が大きいほど太陽電池セル30に入射する光が増加する。
ここで、図10は、上述した第3の実施の形態による傾斜部R2を設けた場合における、ファセット部R1と太陽電池セル30の幅との比率に対する相対入射光量を示している。
図10に示すように、傾斜部R2の幅が5mmあることによって2.6倍まで太陽電池セル30に入射する光を増加させることができ、傾斜部R2の幅が10mmあることによって同じく3.2倍まで光を増加させることができる。
このように、第3の実施の形態では、ファセット部R1に加えて、さらに傾斜部R2を設けることによって、太陽電池セル30により多くの光を入射(受光)させることができる。
次に、図11に示す第4の実施の形態による太陽電池モジュール200Cは、上述した図9の傾斜部R2の形状を変えた構成であって、傾斜部R2が略鋸形状をなしている。つまり、本第4の実施の形態による傾斜部R2は、傾斜面のみで略三角形状に形成されたものである。
次に、図12に示す第5の実施の形態による太陽電池モジュール200Dは、光再利用シート20において、ファセット部R1が前面板22側に凸となるように傾斜部R2、R2を形成した構造となっている。
また、図13に示す第6の実施の形態による太陽電池モジュール200Eは、光再利用シート20において、ファセット部R1が前面板22側とは反対側に凹む窪みを有するファセット群により形成した構造となっている。
次に、図14に示す第7の実施の形態による太陽電池モジュール200Fは、光再利用シート20の反射面10の裏面を充填層21側に向けて配置した構成となっている。すなわち、反射面10が充填層21に接していない状態であり、光再利用シート20を透過した光H1が反射面10で反射する光H2となる。
さらに、図15に示す第8の実施の形態による太陽電池モジュール200Gでは、光再利用シート20に10μmから30μmのアルミ層や10nmから100nmのシリカ層からなるバリア層40(保護層、保護フィルム)を有したものを用いた構成となっている。
また、耐久性を上げるために、PVF(ポリフッ化ビニル樹脂)を塗布または、ポリフッ化ビニル樹脂を有したフィルムを張り合わせて、太陽電池モジュールを保護するようにしてもよい。このようにすることにより、太陽電池モジュールをバックシートして用いることもできる。
次に、図16に示すように、第9の実施の形態による光源モジュール210は、光再利用シート20において、例えばLED、EL等の固体の発光素子50からの光を再利用するのにも利用可能としたものである。
すなわち、光源モジュール210は、光を透過する充填層21と、充填層21によって固定されるとともに、電気を光に変換し、その光を発光面16より発光させて充填層21の射出面15で反射させる発光素子50と、発光素子50の背面側に配置され、充填層21の射出面15で反射した光を再び射出面15へ向けて反射する反射面10を有する光再利用シート20(集光部)とを備えて概略構成されている。そして、光再利用シート20は、上述した第1〜第8の実施の形態と同様に、複数の同一形状のファセット群からなるファセット部R1を有している。
発光素子50は、エレクトロルミネッセンスにより電気を光へと変換する機能を持ち、発光面16から射出する。そして、発光素子50は、LED、有機EL、無機EL等の固体の発光ダイオードが好ましく用いることができる。
充填層21は、発光素子50を封止するものである。発光素子50から射出した光M3は、充填層21を透過し、一部は射出面15から射出する光M30となり、一部は射出面15で反射する光M31となる。充填層21の材料は、充填層21に入射する光M31を透過させるため光線透過率が高い材料が用いられ、透過性の高いアクリル樹脂等が好ましく用いられる。
発光素子50から射出した光M3のうち、射出面15で反射する光M31は、射出面15で反射し、この光M2が光再利用シート20の反射面10に入射する。反射面10に入射する光M2は、反射面10で反射し、射出面15に入射する。そして、反射面10で反射し、射出面15に入射する反射光M1は、光M0として射出面15から外部へ射出される。これにより、射出面15で反射する光を損失を低減して再利用することができるので、光再利用シート20が無い構成と比較して発光素子50の光利用効率が向上する効果がある。
なお、反射光M1の進む方向は、反射面10の凹凸形状により制御でき、反射面10が上述のファセット部を有することによって、多くの光を射出面から射出することができる。
以上、本発明による太陽電池モジュールおよび光源モジュールの第1〜第9の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では反射面10の凹凸形状を三角形としているが、この形状に限定されることはなく、例えば台形、多角形のプリズム状の形状であってもかまわない。
F 光源方向
2 基材
3 構造層
4 反射層
10 反射面
11 入射面
12 受光面
15 射出面
16 発光面
20 光再利用シート(集光部)
21 充填層
22 前面板
30 太陽電池セル
40 バリア層
50 発光素子
200、200A〜200G 太陽電池モジュール
210 光源モジュール
P 平面
R1、R11、R12、R13 ファセット部
R2 傾斜部
f1 ファセット群
W1 ファセット部からの光が受光面に入射する光の幅
N0 反射面の法線
NB シート法線
NG 前面板の法線
θ 反射面の角度
H0 太陽電池モジュールに垂直に入射する光
H1 反射面に入射する光
H2 反射光
H3 再利用される光
M2 反射面に入射する光
M3 発光面から発光される光
L 光源

Claims (6)

  1. 光を入射する前面板と、
    前記前面板を透過した光を透過する充填層と、
    該充填層によって固定されるとともに、前記充填層から透過した光を受光面から受光して電気に変換する太陽電池セルと、
    該太陽電池セルの背面側に配置され、前記前面板から入射した光を前記太陽電池セルの受光面周辺に向けて反射する反射面を有する集光部と、
    を備え、
    前記集光部は、複数の同一形状のファセット群からなるファセット部を有するとともに、該ファセット部の両側に位置する傾斜部を有し、
    該ファセット部の幅が30mm以下であり、前記太陽電池セルの幅が前記ファセット部の幅以上であり、
    前記傾斜部は、全体として一方向に向けて傾斜し、一端が前記ファセット部に接してなり、該一端と他端の位置が前記集光部の厚さ方向で異なっていることを特徴とした太陽電池モジュール。
  2. 前記ファセット部の幅は、5mm以上、30mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記前面板の厚みが2.5mm以上、5.0mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記充填層の厚みが0.5mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記反射面は、金属反射層からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  6. 光を透過する充填層と、
    該充填層によって固定されるとともに、電気を光に変換し、その光を発光面より発光させて前記充填層の射出面で反射させる発光素子と、
    該発光素子の背面側に配置され、前記充填層の射出面で反射した光を再び前記射出面へ向けて反射する反射面を有する集光部と、
    を備え、
    前記集光部は、複数の同一形状のファセット群からなるファセット部を有するとともに、該ファセット部の両側に位置する傾斜部を有し、
    該傾斜部は、全体として一方向に向けて傾斜し、一端が前記ファセット部に接してなり、該一端と他端の位置が前記集光部の厚さ方向で異なっていることを特徴とする光源モジュール。
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