JP2012023122A - 太陽電池モジュール用の裏面保護シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用の裏面保護シート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】太陽電池モジュールの効率向上が可能であると共に、長期的な性能劣化を抑えることを目的とする。
【解決手段】太陽電池モジュールは内部に太陽電池セルを封止した封止材層の前面側に前面板を配置し、封止材層の裏面側に裏面保護シートを配置する。裏面保護シートは光入射側から透光性絶縁層と、入射光を特定方向に反射させる反射構造層と、耐候層とを積層して構成した。反射構造層は、凹凸構造を形成した鏡面反射金属層40と樹脂シートからなる凹凸構造層42とからなる。この金属層がEVAの架橋によって発生する酢酸によって侵食される。上述の課題を解決する為に、防食性金属層44を少なくとも1層積みかさねた太陽電池裏面保護シートである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光学シートに係る技術である。特に、入射光を反射させて光の利用効率を向上させるために太陽電池モジュールの裏面側に配置される裏面保護シート、及びその裏面保護シートを備える太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源として太陽電池が注目され、現在種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され様々な分野で利用が促進されている(特許文献1参照)。
この太陽電池は入射した光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、太陽電池のうち主要なものは使用材料の種類によって結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、有機化合物系等に分類される。このうち、現在市場で流通しているものはほとんどが結晶系シリコン太陽電池であり、この結晶系シリコン太陽電池はさらに単結晶型及び多結晶型に分類される。
このうち、単結晶型のシリコン太陽電池は、基板の品質が良いために高効率化が容易であるという長所を有する反面、基板の製造が高コストになるという短所を有する。これに対して多結晶型のシリコン太陽電池は、基板の品質が劣るために高効率化が難しいという短所はあるものの、低コストで製造できるという長所があり、現在の主流となっている。
そして、上記のような太陽電池素子を使用する太陽電池モジュールは、例えば、表面シート層、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、裏面保護シートの層などの順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して製造される。
上記太陽電池モジュールを構成する裏面保護シートとしては、現在、強度に優れたプラスチック基材等が、最も一般的に使用され、その他、金属板等も使用されている。そして一般に、太陽電池モジュールを構成する裏面保護シートとして、例えば、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、光反射性、光拡散性等に優れることが要求される。また特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れ、更に、表面硬度が高く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高いこと、その他等の条件を充足することが必要とされている。
また、光利用効率を高めるために、太陽電池モジュールの前面から入射した太陽光のうち、太陽電池モジュール内にてエネルギー変換を行なう太陽電池セルに入射せずに太陽電池セルの裏面側に設けた裏面保護シートへ入射する太陽光を再利用する試みが行われている(特許文献2参照)。
また、反射材の表面を凹凸構造とする試みも行われている(特許文献3参照)。反射材の表面を凹凸構造とすることで、より光利用効率の向上が望める。
しかしながら、凹凸構造の反射材として例えばアルミニウムなどの金属が用いられているが、アルミニウムは、水分や酸等による腐食がおこりやすく、十数年自然環境に耐え得ることが出来ず、光利用効率向上の効果が低下してしまうことが問題となっている。
特開2001−295437号公報 特開2000−332279号公報 特開平11−307791号公報
太陽電池モジュール用の裏面保護シートに対し、光を反射させる凹凸構造を形成した金属層を有する光反射凹凸構造を設けることで、太陽電池の変換効率を向上させることは出来る。しかし、高温高湿下での水分、酸等の侵入による劣化等によって、長期的な性能安定性を確保出来ないという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、太陽電池モジュールの効率向上が可能であると共に、長期的な性能劣化を抑えることを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、入射光を反射させて光の利用効率を向上させるために太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用の裏面保護シートであって、
耐候層と、光を反射させる凹凸構造が形成された鏡面反射金属層を有する反射構造層と、透光性絶縁層と、がこの順番に積層され、
上記鏡面反射金属層と耐候層との間、及び上記鏡面反射金属層と透過性絶縁層との間のうちの少なくとも一方の間に、1層以上の防食性金属層を設けたことを特徴とするものである。
防食性金属層を設けることで、特に水分、酸等の浸入を防止することができ、上記鏡面反射金属層の劣化を防ぎ、長期安定性を向上させることができる。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記防食性金属層は、金、銀、白金、プラチナ、銅のいずれかからなる金属、若しくはスズ、鉄、ニッケルの合金からなることを特徴とするものである。
上記材料からなる防食金属は、金属単体の表面が化学的に不安定である状態を防ぎ、空気中で反応しにくい金属が良い。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1に記載された構成に対し、上記防食性金属層は、不動態を形成するアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、及びその合金のうちのいずれかからなることを特徴とするものである。
不動態は金属表面がその金属の酸化皮膜に一様に覆われた状態を示し、優れた防食性を示す。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載された構成に対し、上記防食性金属層の厚みは、5nm以上100nm以下であることを特徴とするものである。
防食性金属層の厚みが5nm未満であると水蒸気透過が激しく、上記金属層の劣化を防ぐことが出来ず、100nmを越えると上記金属層と層間での剥離が起こってしまい、密着性の問題が起こる。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載された構成に対し、上記防食性金属層の水蒸気透過度が、5g/m2/day以下であることを特徴とするものである。
上記水蒸気透過度が5g/m2/dayを越えると上記金属層の劣化が激しく、反射構造層の光の効率が低下してしまい、長期的な安定性を持たない。
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載された構成に対し、上記防食性金属層は、上記鏡面反射金属層の凹凸構造に沿って積層され、その厚みが均一であることを特徴とするものである。
厚みが均一でないと上記反射構造層の凹凸構造の凹凸が不均一になり、光の反射に影響を及ぼし発効効率の低下が起こる。
次に、請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載された構成に対し、上記鏡面反射金属層の厚みは、10nm以上100nm以下であることを特徴とするものである。
上記鏡面反射金属層の厚みが10nm未満だと上記鏡面反射金属層に入射する光を十分に反射させることができない。上記鏡面反射金属層の厚みが100nmを越えると目視でも確認できるほどのクラックが発生する不具合が生じる。
次に、請求項8に記載した発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載された構成に対し、上記鏡面反射金属層の凹凸構造は、プリズム形状、多角錐形状、或いはこれらのいずれかの形状の逆型形状、若しくはそれらの形状に近似した形状が、複数配列されてなることを特徴とするものである。
この鏡面反射金属層の構成により、前面側から入射する光を裏面保護シートで特定方向に反射させて確実に太陽電池セルへと再入射させて光の利用効率の向上を図ることができる。
次に、請求項9に記載した発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載された構成に対し、上記鏡面反射金属層における凹凸構造の凸部のピッチが、10μm以上30μm以下の範囲に設定されていることを特徴とするものである。
鏡面反射金属層の凸部のピッチが30μmより大きい場合には、ピッチの増大にともなって凸部の高さが高くなるため透光性絶縁層と接着層を介して貼り合わせる際に、気泡が入りやすい等の欠点が発生し易くなり好ましくない。また、接着層の厚みを厚くする必要があり形成そのものも困難となってしまう。一方、鏡面反射金属層の凸部のピッチが10μmより小さい場合、光が反射する際に光の回折が起こり得る。回折光は分光して広がった光になるため制御が難しく、特定方向に反射する上で好ましくない。さらに、金型製作時に金型を切削する時間が長くタクトが低下し生産効率が悪くなるため好ましくない。これに対し本発明では、凸部のピッチが10μm〜30μmの範囲に設定されているため、上記不都合を解消することができる。
次に、請求項10に記載した発明は、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載された構成に対し、上記反射構造層における凹凸形状の頂部の頂角の角度が、111°以上137°以下の範囲に設定されていることを特徴とするものである。
太陽電池モジュールに用いられる封止樹脂およびガラスの屈折率を約1.5とした場合に、ガラスと空気との界面において全反射してしまうこと及び該反射光が光反射凹凸部へ入射してしまうことを防ぐことが可能となる。
ここで、上記頂角θが137°を超える場合、ガラスと空気との界面において、全反射が発生し難くなるため再集光効率が落ちる可能性が高くなり好ましくない。また、上記頂角θが111°を下回る場合、反射した光の一部が反射構造層内で衝突する可能性が高くなり、再集光効率が落ちる可能性が高くなり好ましくない。
次に、請求項11に記載した発明は、耐候層と、光を反射させる凹凸構造が形成された鏡面反射金属層を有する反射構造層と、透光性絶縁層と、がこの順番に積層されて、太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用の裏面保護シートであって、
上記鏡面反射金属層の代わりに、1層以上の防食性金属層を設け、防食性金属層は、金、銀、白金、プラチナ、銅のいずれかからなる金属、はスズ、鉄、ニッケルの合金、不動態を形成するアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、及びその合金のうちのいずれかからなることを特徴とするものである。
次に、請求項12に記載した発明は、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載された上記裏面保護シートを裏面側に設けたことを特徴とする太陽電池モジュールを提供するものである。
本発明による裏面保護シート及び太陽電池モジュールによれば、凹凸構造をなす鏡面反射金属層を備えた反射構造層を有することにより、太陽電池裏面シートの光入射側から反射構造層に入射する光を凹凸構造の鏡面反射金属層によって、効率よく、太陽電池セルが配置された特定方向へ到達するように反射させることができる。この結果、太陽電池モジュールにおける光の利用効率を向上させて発電量を増加させることができる。
また、本発明に係る裏面保護シート及び太陽電池モジュールによれば、凹凸構造を形成した鏡面反射金属層が高温高湿下での水分やEVAによって発生する酢等により劣化し性能低下することを防止し、非価値の利用効率向上効率を長期に維持できる。
特に加水分解やEVAによって発生する酸等を防止し、極めて耐久性に富み、かつ、より低コストで太陽電池モジュールを構成する裏面保護シート及びそれを使用した太陽電池モジュールを安定的に提供することができるようになる。
本発明に基づく実施形態に係る太陽電池モジュールの概略構成を示す縦断面図である。 本発明に基づく第1実施形態に係る裏面保護シートの概略構成を示す縦断面図である。 本発明に基づく第2実施形態に係る裏面保護シートの概略構成を示す縦断面図である。 本発明に基づく第3実施形態に係る裏面保護シートの概略構成を示す縦断面図である。 本発明に基づく第4実施形態に係る裏面保護シートの概略構成を示す縦断面図である。 実施例1における実施サンプルとの比較用の裏面保護シートの概略構成を示す縦断面図である。 実施例1における耐性試験を行った測定物の概略構成を示す縦断面図である。 実施例2における格子における粘着テープの位置を示す上断面図である。 実施例2における格子から取り外し直前の縦断面図である。
以下に、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
「第1実施形態」
図1は本発明に基づく裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールの縦断面図である。図2は、本第1実施形態の太陽電池モジュール用の裏面保護シートの層構成例を例示する概略的断面図である。
(太陽電池モジュール)
本実施形態の太陽電池モジュール1は、図1に示すように、前面板2と充填層4とセル10とから構成されている。その太陽電池モジュール1の裏面側に凹凸形状6のある裏面保護シート8の層である裏面保護シート25が積層されている。このような太陽電池モジュール1及び裏面保護シート25を備える太陽電池装置は、光線を受光することにより発電を行なう装置である。なお、光線としては、通常、太陽光20や室内灯等の人工照明の光が採用される。
太陽電池モジュール1では、例えば太陽光20が光線として入射し、その入射してきた入射光12や反射して入射する反射光14が、太陽電池のセル10で受光されて発電するようなしくみである。
このとき、太陽電池モジュール1では、凹凸形状6の制御により、特定の方向に反射させることによって損失する反射光を低減して、セル10に入射する反射光14を増加させて、今まで以上に発電効率が向上する。
上記前面板2は、太陽電池モジュール1の最前面に配置されて、表面に光線が直接的に入射するものである。この前面板2には、光線透過率が高い透明な材料が用いられる。前面板2は、具体的には強化ガラス、PEN(ポリエチレンナフタレート)などの樹脂シートが使用されている。また、前面板2の厚みは、強化ガラスであれば約3〜5mm、樹脂シートであれば数十〜数百μmに設定されている。
前面板2に入射した光は充填層4へと入射する。充填層4は、前面板2の裏面側に積層されており、セル10を封止する役割を有している。この充填層4は、前面板2から入射した光線を透過させるために、光線透過率が高い材料が用いられる。例えば、充填層4は、難燃性をもつEVA(エチレン・ビニル・アセテート)から形成されている。
充填層4を透過した光はセル10へと入射する。このセル10は、充填層4内部に複数埋設されており、光電効果より受光部に入射した光を電力へと変換する機能を有している。このセル10としては、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、薄膜シリコン型、CIGS(Cu・In・Ga・Seの化合物)系薄膜型等のものが用いられる。このような複数のセル10は、互いに電極(図示省略)により接続され、該電極を通じて、発電した電力が外部に取り出されるようになっている。
充填層4及びセル10を透過した光は、太陽電池モジュール1の裏面に配された裏面保護シート8へ入射する。
この裏面保護シート8は、入射した光を太陽電池モジュール1へと反射する機能を有している。裏面保護シート8で反射された光は、太陽電池モジュール1における前面板2と大気との界面等でさらに反射され、セル10の受光面に反射光14として到達することで、該セル10の光電変換により電力へと変換される。これにより光利用効率の向上が図られている。
(裏面保護シート100)
図2は本実施構成例1の裏面保護シートの概略構成を示す縦断面図である。
この裏面保護シート100は、図2に示すように、透光性絶縁層34、凹凸形状構造層42、鏡面反射金属層40、防食性金属層44、接着層32、耐候層30が順に積層されることで構成されている。そして、凹凸形状構造層42、及び鏡面反射金属層40が、反射構造層50を構成する。
透光性絶縁層34は、裏面保護シート100における最背面側に設けられ、反射構造層50を背面側から保護する役割を有している。
透光性絶縁層34は、耐候層30と共に設置されることを鑑み、耐水性、紫外線に対する耐久性等の耐候性を有しているものが望ましく、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、エポキシン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等から形成されていることが好ましい。
上述の樹脂の中でも、高い耐熱性、強度、耐候性、耐久性、水蒸気等に対するガスバリア性等を有したものとして、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂が好ましい。
上述のポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂の中でも、耐熱性、耐候性等の諸機能面及び価格面のバランスが良好なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
上述のフッ素系樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)やテトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)が特に好ましい。
上述の環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えばa)シクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)、シクロヘキサジエン(及びその誘導体)、ノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンを重合させてなるポリマー、b)当該環状ジエンとエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系モノマーの1種又は2種以上とを共重合させてなるコポリマー等が挙げられる。これらの環状ポリオレフィン系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるシクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)又はノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンのポリマーが特に好ましい。
なお、透光性絶縁層34の形成材料としては、上述の合成樹脂を1種又は2種以上混合して使用することができる。また、透光性絶縁層34の形成材料中には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。この添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。上述の透光性絶縁層34の成形方法としては、特に限定されず、例えば押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の公知の方法が採用される。
上記透光性絶縁層34中に紫外線安定剤又は分子鎖に紫外線安定基が結合したポリマーを含有することも可能である。この紫外線安定剤又は紫外線安定基により、紫外線で発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、裏面保護シート100の紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。この紫外線安定剤又は紫外線安定基としては、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤又はヒンダードアミン系紫外線安定基が好適に用いられる。
反射構造層50は、凹凸形状構造層42と鏡面反射金属層40とから構成されている。すなわち、凹凸形状構造層42は、入射してきた光を特定の方向へと反射するための凹凸構造を決定する構造であり、略プリズム形状、略多角錐形状等をなす凹凸形状構造層42が複数配列されている。さらに凹凸形状構造層42の表面に、鏡面反射金属層40が積層される。なお、凹凸形状構造層42は、反射構造層50の表面全域にわたって形成されていてもよいし、セル10に対応する箇所にのみ形成されていてもよい。
反射構造層50を形成する材料は、耐候層30との密着性が高いことが望ましい。反射構造層50に用いられる材料としては、ポリマー組成物や、金属等が挙げられる。また、凹凸形状構造層42にポリマー組成物を用いる場合、ポリマー組成物の他に例えば硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
上述のポリマー組成物としては、特に限定されるものではなく、例えばポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。
上述のポリウレタン系樹脂の原料であるポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールや、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
水酸基含有不飽和単量体としては、例えば次の(a)及び(b)などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体
(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体
また上述のポリオールは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上述の(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合することで製造することもできる。
水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、例えば(c)に記載のような多価アルコールと、(d)に記載のような多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が上記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノルA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコール
(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸
上述の水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は、500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
当該ポリマー組成物のポリマー材料として用いられるポリオールとしては、上述のポリエステルポリオール、及び、上述の水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールをポリマー材料とすれば耐候性が高く、反射構造層15の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
なお、上述のポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
凹凸形状構造層42の形成方法としては、プラスチック原料をスクリュまたはプランジャで加熱シリンダ内で送り込み、加熱流動化させ、先端のダイを通過させて形を与え、これを水または空気で冷却固化させて、長尺品を作る押出成形法がある。他にも形状が切削された金型を用いたプレス法、キャスティング法、射出成形法、UV成形法などが挙げられる。これらの方法によれば、シート形成と同時に凹凸構造の前面を形成することが可能である。
また、裏面保護シート100において、反射構造層50の凹凸形状構造層42が略プリズム形状、略多角錐形状、あるいは、これらの逆型形状のいずれかをなす場合には、光反射効率を最大限に高めることができる。この点、例えば、反射構造層50の凹凸形状構造層42が高アスペクト比の非球面レンズの場合、散乱性はあるが構造による光の吸収が起こり、再帰反射率の低下を招く可能性がある。したがって、反射構造層50の凹凸形状構造層42を上記のような形状とすることにより、再帰反射率の低下を防ぎ、光を効果的に太陽電池モジュール1に反射することができる。
上記凹凸形状構造層42は頂部の頂角の角度θが、111°以上137°以下の範囲に設定されている場合には、太陽電池モジュール1に用いられる封止樹脂およびガラスの屈折率を約1.5とした場合に、ガラスと空気との界面において全反射してしまうこと、及び該反射光が光反射凹凸部に再度、入射してしまうことを防ぐことが可能となる。
ここで、上記頂角θが137°を超える場合、ガラスと空気との界面において、全反射が発生し難くなるため再集光効率が落ちる可能性が高くなり好ましくない。また、上記頂角θが111°を下回る場合、反射構造層50で反射した光の一部が該反射構造層50内で衝突する可能性が高くなり、再集光効率が落ちる可能性が高くなり好ましくない。
さらに、本反射構造層50における凹凸形状構造層42の頂部の頂角の角度θが、120°以上135°以下の範囲に設定されている場合には、安定してガラスと空気との界面において全反射する範囲の角度に形成することができるとともに、反射構造で反射した光の一部が反射構造層50内で衝突することがないため、反射率が落ちることがなく、再集光効率を高く維持することができる。
上記反射構造層50における凹凸形状構造層42つまり鏡面反射金属層40の凸部のピッチが、10μm以上30μm以下の範囲に設定されている。鏡面反射金属層40の凸部のピッチが30μmより大きい場合には、ピッチの増大にともなって凸部の高さが高くなるため透光性絶縁層34と接着層32を介して貼り合わせる際に、気泡が入りやすい等の欠点が発生し易くなり好ましくない。また、接着層32の厚みを厚くする必要があり形成そのものも困難となってしまう。一方、鏡面反射金属層40の凸部のピッチが10μmより小さい場合、光が反射する際に光の回折が起こり得る。回折光は分光して広がった光になるため制御が難しく、特定方向に反射する上で好ましくない。さらに、金型製作時に金型を切削する時間が長くタクトが低下し生産効率が悪くなるため好ましくない。これを踏まえて本実施形態では、凸部のピッチを10μm以上30μm以下の範囲に設定することで、上記不都合を解消している。
また、反射構造層50を形成する材料に、フィラーを含有させることによって散乱性を付与し、光線の入射角による再集光効率の影響を減少させることが可能となる。また、フィラーの含有によって耐熱性が向上させることが可能となる。フィラーに用いられる材料としては、アクリル、アクリルスチレン、酸化ケイ素、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化アルミニウム等が挙げられる。
また、反射構造層50に、その凹凸形状構造層42に沿って配置された鏡面反射金属層40が配設されているため、反射構造層50における光の反射効率を向上させることができる。
さらに、本実施形態の太陽電池モジュール1によれば、上記裏面保護シート100を備えているため、効率よく太陽電池モジュール1のセル10に光を入射することができ、且つ良好な再現性を得ることが可能となる。
鏡面反射金属層40は入射してきた光を反射する機能を有する金属の層である。鏡面反射金属層40に用いられる材料としては、反射性を有しかつ蒸着が可能であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)等の金属や、これらの合金等が挙げられる。また、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の高屈折率材料を含んでも良い。中でも、アルミニウムは紫外、可視、近赤外領域において、反射率が高く、表面に酸化皮膜を生成することにより、内部の侵食を防ぐことが可能となる。また、高い水蒸気バリア性を有するという利点がある。また、銀は可視、近赤外領域においてアルミニウムと比較しても反射率が高いという利点がある。また、金は可視領域の短波長側に吸収があるものの、600nm以上の波長においてはアルミニウムよりも反射率が高い。さらに、これら3種の金属は非常に侵食されにくいという利点があるため、鏡面反射金属層40に用いる材料として望ましい。
鏡面反射金属層40を形成する際には、凹凸形状構造層42に沿って金属を蒸着することで形成される。この鏡面反射金属層40の蒸着手段としては、凹凸形状構造層42に収縮、黄変等の劣化を招来することなく金属が蒸着できれば特に限定されるものではない。例えば、下記(a)や(b)の蒸着法を採用すればよい。これらの蒸着法の中でも、生産性が高く良質な反射層が形成できる真空蒸着法やイオンプレーティング法が好ましい。
(a)真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)
(b)プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)
なお、鏡面反射金属層40は、単層構造でもよく、2層以上の多層構造でもよい。鏡面反射金属層40を多層構造とすると、蒸着の際に掛かる熱負担の軽減により凹凸形状構造層42の劣化が低減され、さらに凹凸形状構造層42と鏡面反射金属層40との密着性等を改善することができる。このとき、金属膜の上に酸化金属層を設けても良い。また、上述の物理気相成長法及び化学気相成長法における蒸着条件は、反射構造層50や耐候層30の樹脂種類、鏡面反射金属層40の厚み等に応じて適宜設計される。
鏡面反射金属層40の厚みの下限としては10nmが好ましく、20nmが特に好ましい。一方、鏡面反射金属層40の厚みの上限としては200nmが好ましく、100nmが特に好ましい。鏡面反射金属層40の厚みが下限である10nmより小さいと、鏡面反射金属層40に入射する光を十分に反射することができない。また、20nm以上の厚みであっても、鏡面反射金属層40で反射される光は増えないため、20nmであれば十分な厚みといえる。一方、鏡面反射金属層40の厚みが上限である100nmを超えると、鏡面反射金属層40に目視でも確認できるクラックが発生する。また、100nm以下であれば、目視で確認できないようなクラックも発生しない。
裏面保護シート100において、鏡面反射金属層40を用いる場合にはその密接着性等を向上させるため、鏡面反射金属層40の蒸着対象面である反射構造層50の凹凸形状構造層42の表面に表面処理を施すとよい。このような表面処理としては、例えば下記の(a)、(b)などが挙げられる。これらの表面処理の中でも、凹凸形状構造層42との接着強度が向上し、緻密かつ均一な鏡面反射金属層40の形成に寄与するコロナ放電処理及びアンカーコート処理が好ましい。
(a)コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理
(b)プライマーコート処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理、蒸着アンカーコート処理
上述のアンカーコート処理に用いるアンカーコート剤としては、例えばポリエステル系アンカーコート剤、ポリアミド系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤、エポキシ系アンカーコート剤、フェノール系アンカーコート剤、(メタ)アクリル系アンカーコート剤、ポリ酢酸ビニル系アンカーコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系アンカーコート剤、セルロース系アンカーコート剤などが挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、鏡面反射金属層40の接着強度をより向上することができるポリエステル系アンカーコート剤が特に好ましい。
上述のアンカーコート剤のコーティング量(固形分換算)は、1g/m2以上、3g/m2以下が好ましい。アンカーコート剤のコーティング量が1g/m2より少ないと、鏡面反射金属層40の密着性向上効果が小さくなる。一方、当該アンカーコート剤のコーティング量が3g/m2より多いと、裏面保護シート100の強度、耐久性等が低下するおそれがある。
なお、上述のアンカーコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、ブロッキングを防止するためのブロッキング防止剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤等の各種添加剤を適宜混合することができる。
上記防食性金属層44に用いられる材料としては、防錆・防食・防水効果があり、かつ蒸着が可能であれば特に限定されるものではない。防食性金属層44に用いられる材料として、例えば金、銀、白金、プラチナ、銅などの金属、またはスズ、鉄、ニッケルの合金などを採用すればよい。中でも、アルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛やその合金は、不動態を持ち、金属表面がその金属の酸化皮膜に一様に覆われて、酸に対する防食が特に良く、内部の侵食を防ぐことが可能となる。また、高い水蒸気バリア性を有するという利点がある。さらに、これら3種の金属は非常に侵食されにくいという利点があるため、防食性金属層44に用いる材料として望ましい。
上記鏡面反射金属層40の劣化は太陽電池モジュール1への反射に顕著に影響し、効率低下の原因になる。裏面保護シート100の構成で鏡面反射金属層40に沿って防食性金属層44が積層している構造となり、該防食性金属層44が耐候層30側の外部から侵入する水分の透過を防ぎ、該鏡面反射金属層40の劣化を防ぐ働きを持つ。
上記防食性金属層44は、鏡面反射金属層40と同一の膜厚、蒸着法を採用すれば良い。
上記防食性金属層44は、耐候層30側からの入り込んでくる水蒸気透過を防ぎ、反射構造層50の劣化を防ぎ、該耐候層30側が背面側に配設される太陽電池モジュール1内部へ水蒸気の透過を防止して、該太陽電池モジュール1に用いられる電極の腐食や、封止樹脂の劣化を防ぐことが可能となる。なお、水蒸気透過度が5g/m2 を超えてしまうと、電極の腐食や、封止樹脂の劣化が発生する場合がある為、望ましくない。この点、水蒸気透過密度を上記範囲に設定することで、電極の腐食及び封止樹脂の劣化を確実に回避することができる。さらに、当該防食金属が反射構造層50にある凹凸形状構造層42に沿うように形成されているので、反射構造層50に入射光が到達するまでの光の吸収を極力抑えることが可能となる。
接着層32は、該接着層32が接する2つの層との密着性が良好であることが望ましい。この接着層32は、耐久性、クッション性などの諸特性を補うために用いられ、一例としてシリコーン系樹脂等が用いられる。この接着層32を設けることで、その他の層のみでは不足する性能を補うことができる。例えば、耐久性、クッション性などを高めるためにはシリコーン系樹脂を用いる。特に屋外使用の太陽電池モジュールの場合、日照時の太陽電池モジュールの熱上昇は著しく、樹脂材料から作製した裏面保護シート100に反りが発生し、太陽電池モジュールの故障を招く恐れもある。この接着層32の厚みとしては、3μm以下だと密着性が劣ってしまい、層間で剥離が起こってしまう。また、厚みを増す事に密着性は良くなるが、コストの面で高くなるので、10μm程度が望ましい。
耐候層30は、反射構造層50を形成する材料との密着性が高い材質から形成されていることが望ましい。
以上のような裏面保護シート100を作製する方法の例としては、透光性絶縁層34上に金属版を用いたUV成形法により凹凸形状構造層42を成形するとともに、蒸着等により鏡面反射金属層40、防食性金属層44を形成した反射構造層50を積層する。その後、防食性金属層44と耐候層30を接着層32で介し接着する。
このようにして、本実施の形態の裏面保護シート100は、光透過性を有し、一方の面が光入射面とされ他方の面が光出射面とされた透光性絶縁層34と、光出射面側に設けられ光出射面から出射した光を透光性絶縁層34に向けて反射する反射機能を有する反射構造層50と、反射構造層50裏面側から保護する耐候層30とを有している。そして、反射構造層50には、その表面又は裏面のいずれか一方に凹凸形状構造層42が設けられ、該凹凸形状構造層42は、凹凸形状構造層42上に鏡面反射金属層40、防食性金属層44が配設されることで構成されている。
以上のような構成の裏面保護シート100を有する太陽電池モジュールにおいては、図1のように、太陽電池モジュール1の充填層4及びセル10を透過した光は、該太陽電池モジュール1の裏面に配された裏面保護シート100へ入射する。そして、裏面保護シート100に入射した光は、透光性絶縁層34及び接着層32を透過して、反射構造層50の表面の凹凸形状構造層42によって、セル10側に反射される。そして、太陽電池モジュール1内に再帰させられた光はセル10に受光されることで発電に寄与し、光の利用効率の向上が図られる。
本実施形態の裏面保護シート100によれば、反射構造層50に密着する層である接着層32によって凹凸形状構造層42を十分に埋めることができる。この点、凹凸形状構造層42がしっかり形成されていなければ、凹凸形状構造層42を充分に埋める事ができなくなり、層間剥離が生じたり、凹凸形状に追随した形状が表面に露呈してしまう。したがって、凹凸形状構造層42の成形が層間剥離や塵や埃の巻き込みを防止することが可能となる。
「第2実施形態」
(第2の裏面保護シート110)
次に、第2実施形態としての裏面保護シート110について説明する。なお、裏面保護シート110において、第1実施形態の裏面保護シート100と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図3は、本実施形態の裏面保護シートの概略構成を示す縦断面図である。
この第2の裏面保護シート110における反射構造層60は、凹凸形状構造層42に沿うようにして防食性金属層44が積層されている。さらに、該防食性金属層44に沿うようにして鏡面反射金属層40が積層されている。
鏡面反射金属層40の劣化は太陽電池モジュール1への反射に顕著に影響し、効率低下の原因になる。裏面保護シート110の構成で凹凸形状構造層42と鏡面反射金属層40の間に防食性金属層44が挟まれる構造となる。該防食性金属層44が凹凸形状側の透光性絶縁層34からの加水分解による水の透過を防ぎ、鏡面反射金属層40の劣化を防ぐ働きを持つ。
上述防食性金属層44は鏡面反射金属層40と同一の膜厚、蒸着法を採用するので省略する。
「第3実施形態」
(第3の裏面保護シート120)
次に、第3実施形態としての裏面保護シート110について説明する。なお、裏面保護シート110において、第1実施形態の裏面保護シート100と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図4は本実施形態の裏面保護シートの概略構成を示す縦断面図である。
この第3の裏面保護シート120における反射構造層70は、凹凸形状構造層42に沿うようにして防食性金属層44が形成されている。その防食性金属層44に沿うようにして鏡面反射金属層40が形成され、さらに該鏡面反射金属層40に沿うようにして該防食性金属層44が形成されている。
裏面保護シート120の反射構造層70は、裏面保護シート100の反射構造層50、裏面保護シート110の反射構造層60の二つの構成を組み合わせた構造となる。
反射構造層70は、耐候層30側からの入り込んでくる水蒸気透過や凹凸形状側の透光性絶縁層34からの加水分解による水の透過を防ぎ、該反射構造層70の劣化を防ぎ、該耐候層30が背面側に配設される太陽電池モジュール1内部へ水蒸気の透過を防止して、該太陽電池モジュール1に用いられる電極の腐食や、封止樹脂の劣化を防ぐことが可能となる。
上述防食性金属層44は鏡面反射金属層40と同一の膜厚、蒸着法を採用するので省略する。
「第4実施形態」
(第4の裏面保護シート130)
次に、第3実施形態としての裏面保護シート110について説明する。なお、裏面保護シート110において、第1実施形態の裏面保護シート100と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5は、本実施形態の裏面保護シートの概略構成を示す縦断面図である。
この第4の裏面保護シート130における反射構造層80は、凹凸形状構造層42に沿うようにして防食性金属層44が構成されており、即ち、第1実施形態の裏面保護シート100における反射構造層50から鏡面反射金属層40を省略した構成となっている。
なお、裏面保護シート130において、第1実施形態の裏面保護シート100と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、本実施形態構成においても第1実施形態と同様、反射構造層80と耐候層30の間に位置する接着層32が、反射構造層80に密着する層とされている。
このように鏡面反射金属層40が設けられていない第4実施形態の裏面保護シート130においては、反射構造層80の材料自体に反射性が付与されていることが望ましい。具体的には、反射構造層80を形成する材料へのフィラー、顔料などの混合や、金属材料などの反射性を有する材料を用いる方法等が挙げられる。すなわち、本例では、反射構造層60は、光反射性を有する光反射層から構成され、凹凸形状構造層46は、該光反射層の表面に一体に形成されている。
反射構造層80を形成する材料中にフィラーを混合する場合、反射構造層80の耐熱性を向上させることができ、かつ、屈折率がポリマー組成物と大きく異なるものを用いることが望ましい。これによって、光を反射させることができる。このフィラーを構成する無機物としては、特に限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、酸化ケイ素等や、硫化亜鉛等の金属化合物を用いることもできるが特に、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物が望ましい。また酸化ケイ素の中空粒子を用いることもできる。このうち、酸化チタンは、屈折率が高く、分散性も得られ易いため好ましい。また、フィラーの形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
フィラーの平均粒子径の下限としては、0.1μmが好ましく、上限としては30μmが好ましい。平均粒子径が0.1μmより小さいと光を十分に反射しない。また、平均粒子径が30μmより大きいと成型性が悪い。
フィラーのポリマー組成物100部に対する配合量の下限としては固形分換算で30部が好ましい。一方、フィラーの上述の配合量の上限としては100部が好ましい。これは、フィラーの配合量が30部より少ないと光を十分に反射することができない為である。逆に、配合量が上述の範囲を越えると、成型性が悪い。
上述のフィラーとしては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定のフィラーを用いることで、ポリマー組成物での分散性やポリマー組成物との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
上述の有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上述のポリマー組成物と相溶性を有する樹脂が好ましい。
上述の反射構造層80を形成する材料としては、シクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。ポリマー組成物としてのポリオール中にシクロアルキル基を導入することで、ポリマー組成物の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での反射構造層80の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、反射構造層80の耐候性、硬度、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定されたフィラーとの親和性及びフィラーの分散性がさらに良好になる。
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、反射構造層80の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上述の多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
なお、フィラーは、内部に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、フィラーのコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
上述の有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量は特に限定されないが、フィラー1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。アルコキシ基により、ポリマー組成物との親和性や、ポリマー組成物中での分散性向上させることができる。
上述のアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。フィラーを構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、フィラーがコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
有機ポリマーを固定したフィラーの有機ポリマーの含有率については、特に制限されないが、フィラーを基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
このような第4実施形態の裏面保護シート130においても、反射構造層80において光を太陽電池モジュール1に反射することにより、光の利用効率を向上させて、太陽電池モジュール1のセル10における発電量を増大させることができる。また、層間剥離や塵や埃の巻き込みを防止するとともに、太陽電池モジュール1への光の反射効率を最大限に高めて、発電効率を向上させることができる。
ここで、上記全実施形態において、凹凸形状構造層42に、その凹凸形状構造層42に沿って配置された鏡面反射金属層40が配設、または凹凸形状構造層46に該光反射層の表面に一体に形成されているため、光反射凹凸における光の反射効率を向上させることができる。
さらに、本実施形態の太陽電池モジュールによれば、上記裏面保護シート25を備えているため、効率よく太陽電池モジュールのセル10に光を入射することができ、且つ良好な再現性を得ることが可能となる。
次に、上記実施形態に基づく実施例について説明する。
図2に示す、第1実施形態に基づく裏面保護シート100を実施例として作製した。
具体的には、反射構造層50の最大凹凸形状の高さを約4.5μm、凹凸形状構造層42の最大凹凸高さを約6μmとし、該凹凸形状構造層42の頂角部分の平均間隔pが15μm、鏡面反射金属層40の最大凹凸高さ50nm、防食性金属層44の最大凹凸高さ5nm、10nm、50nm、100nm、150nm、200nmと異なる計6種の裏面保護シート100を作製した。
また、これら裏面保護シート100においては、反射構造層50はPETフィルムを成形基材として、紫外線硬化型のアクリル系樹脂を用いて作製し、該鏡面反射金属層40としてアルミ蒸着、防食性金属層44としてニッケル蒸着を施した。また、透光性絶縁層34及び耐候層30にはPETフィルムを用いた。そして、これら裏面保護シート100について、透光性絶縁層34側からの入り込んでくる水蒸気透過を防ぎ該鏡面反射金属層40の劣化の防食を確認する為恒温恒湿試験機を用いて耐性試験を実施した。
凹凸形状構造層42に沿って積層する鏡面反射金属層40は蒸着する前に密着性を上げる為コロナ処理を施した。また、鏡面反射金属層40に沿って積層する防食性金属層44も同じようにコロナ処理を施した。
裏面保護シート100の用途としては太陽電池モジュール1の背面を保護する用途があり、十数年自然環境に耐え得る構成でなければならない。恒温恒湿試験機では温度変化、湿度変化への耐性を確認する温度サイクル・温湿度サイクル試験が試行でき、耐性の有無を検査する為に実施した。
実施例における耐性試験を行った測定物の概略構成を、縦断面図である図6に示す。この測定物は、前面板2、充填層4、裏面保護シート100から構成されており、図1の構成からセル10を抜いた構成となっている。前面板2は、強化ガラスを使用し厚み3mm、充填層4は太陽電池の封止材として用いられているEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)を使用した。
真空ラミネータ装置を使用し強化ガラス上に充填層4、裏面保護シート100を積み重ねたものを3分間真空引き後真空中で150℃10分間熱をかけてプレスし、封止したものが実施サンプル1〜6である。
EVA樹脂に架橋構造を持たせる事で、EVA樹脂の耐熱性、耐薬品性を向上させる為150℃の温度での加熱を行った。
また、比較例として、図7に示すような、耐性試験用の測定物を作製した。
この裏面保護シート140における反射構造層90は、凹凸形状構造層42に沿うようにして鏡面反射金属層40が構成されている。即ち本実施構成例として使用している防食性金属層44を積層しない構成をなしている。なお、裏面保護シート140において、第1実施形態の裏面保護シート100と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。裏面保護シート140は図6の実施サンプル1〜6の比較サンプル1として作製した。作製条件としては実施サンプル1〜6と同様にして作製したので省略する。
比較サンプル1は真空ラミネータ装置の使用条件も実施サンプル1〜6と同様の条件で行ったので省略する。
恒温恒湿試験では温度85℃湿度85%の条件で実施サンプル1〜6、比較サンプル1を500時間耐性試験を行った。
500時間耐性試験後の上述鏡面反射金属層40のアルミ劣化を確認する為、透過率の測定を用いて確認した。
透過率の測定は、分光器MPC−2200(島津社製)を用いて実施した。
外観としてサンプルを光に照射してアルミの劣化を確認することもできるので、外観で確認する劣化と相違が無いかを確認する為に450nmの可視光領域での透過率を確認した。
可視光領域での測定はアルミの透過率は1%以下となり劣化すれば透過率が上昇するので顕著にわかりやすいことが要因となる。よって外観による確認でも光の透過が目視でも認識できる。
実施サンプル1〜4と比較サンプル1を比較すると、全ての実施サンプルにおいて透過率が低い結果が確認され、比較サンプル1は透過率が上昇する結果となった。
また、外観としても光に照射した実施サンプル1〜6は光の透過が無く、比較サンプル1は光の透過が確認された。このことより、比較サンプル1のアルミの劣化具合が顕著にわかり、実施サンプル1〜6より防食性金属層44のニッケルが防食の効果を得た。
表1に耐性試験実施前の透過率を、表2に耐性試験500時間経過後透過率をそれぞれ示す。
Figure 2012023122
Figure 2012023122
表1及び表2から分かるように、比較サンプル1における透過率の増大に比べて、実施サンプル1〜6の透過率の増大は低い。これは外観と示し合わせても上述の鏡面反射金属層40のアルミの劣化が防食されたことを意味する。
また、実施サンプル1〜6から分かるように、防食性金属層44のニッケルの厚みが増えれば増えるほど劣化の度合いが低くなる傾向が確認された。
表2から分かるように、実施サンプル1の防食性金属層44のニッケルがかなり比較サンプル1に近い値が確認された。このことから、防食性金属層44のニッケルは5nm未満であると効果を示さないことが言える。
表2から分かるように、実施サンプル4〜6はかなり低い透過率を示した。鏡面反射金属層40のアルミに沿うように防食性金属層44のニッケルが積層されるが、アルミとニッケルの密着性の面で層間剥離が起こってしまい、該防食性金属層44のニッケルは100nm以上であると密着性の問題が起こる。
以上から防食性金属層として用いられたニッケルは鏡面反射金属として用いたアルミを防食し、光効率の低下を防ぐことが実証された。
また実施例2として上記凹凸形状構造層42と上記鏡面反射金属層40の密着性を確認するために実施サンプルを作製した。
鏡面反射金属層40の凹凸の高さ3nm、5nm、7nm、10nm、30nm、70nm、100、120nm、200nm、500nmと異なる計10種を凹凸形状構造層42に沿って蒸着した実施サンプル20〜29を作製した。
実施サンプルの密着性を確認するため付着性試験を行った。
前述付着試験とはクロスカット法に準じて行い、碁盤目テープ法を用いて密着性を評価した。
前述クロスカット法とは隙間間隔1mm間隔カッターガイドを用いて格子にカットを行った。
前述クロスカット法よりカットされた格子は100mm×100mmとする。
図8は実施例2における格子における粘着テープの位置を示す上断面図である。カットされた格子に粘着テープを平行な方向で格子上に置き、格子の部分にかかった箇所と最低20mmを超える長さで、指でテープを平らになるようにする。
正しく接触させる為に、指先でしっかりとテープをこすり、テープを通して見られる鏡面反射金属層40の色は接触全体がきちんとしているかどうかを示す有効な目安である。
図9は実施例2における格子から取り外し直前の縦断面図である。テープを付着して5分以内にテープを引き剥がすが、できるだけ60°に近い角度でテープの端をつかみ、0.5〜1秒で確実に引き離し、剥がれの評価を行う。
実施サンプルの作製条件として実施サンプル1〜6と同様の条件で行い、該裏面保護シート100の構成で耐候層30、接着層32、防食性金属層44を積層せず、最表面に鏡面反射金属層40を出す構成を用いた。
次に上記鏡面反射金属層40と防食性金属層44の密着性を確認する為に実施サンプルを作製した。
鏡面反射金属層40の最大凹凸高さを50nm、防食性金属層44の凹凸高さ3nm、5nm、7nm、10nm、30nm、70nm、100nm、120nm、200nm、500nmと異なる計10種を鏡面反射金属層40に沿って蒸着した実施サンプル30〜39を作製した。
上述実施サンプル30〜39の作製条件は実施サンプル20〜29と同様の条件で行い、該裏面保護シート100の構成で耐候層30、接着層32を積層せず、最表面に防食性金属層44を出す構成を用いた。
上述実施サンプル30〜39の評価条件は実施サンプル20〜29と同様の条件で行ったので省略する。
実施サンプル20〜29、30〜39ともに最大凹凸高さ100nm以上を超えると密着性が悪くなる結果となった。
表3に最大凹凸高さによる密着性の評価、表4に密着性の判断基準を示す。
Figure 2012023122
Figure 2012023122
表4の判断基準として、分類の1に示される条件までを合格とし、密着性の評価を行った。
表3から分かるように、上記凹凸形状構造層42と鏡面反射金属層40は凹凸高さ5nmでも密着性が良いが、鏡面反射金属層40に入射する光を十分に反射させることができない。また凹凸高さ100nm以上だとクラックが目視でも確認され、密着性の低下が激しくなる。
表3から上記鏡面反射金属層40と防食性金属層44は凹凸高さ5〜100nmの範囲で密着が良いことが確認され、100nmを越えるとクラックが目視でも確認され、密着性の低下が激しくなる。
以上から上記防食性金属層の厚みが5〜100nm、鏡面反射金属層の厚みが10〜100nmと設定するのが望ましい。
本発明の裏面保護シートはディスプレイ部材や照明装置などの各種光学機器に用いる裏面保護シートに利用が可能である。特に太陽電池の分野では強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、光反射性、光拡散性等の諸堅牢性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高く、光の効率向上に利用が期待される。
1 太陽電池モジュール
2 前面板
4 充填層
6 凹凸形状
8 裏面保護シート
10 セル
15 反射構造層
25 裏面保護シート
30 耐候層
32 接着層
34 透光性絶縁層
40 鏡面反射金属層
42 凹凸形状構造層
44 防食性金属層
46 凹凸形状構造層
50 反射構造層
60 反射構造層
70 反射構造層
80 反射構造層
90 反射構造層
100 裏面保護シート
140 裏面保護シート

Claims (12)

  1. 入射光を反射させて光の利用効率を向上させるために太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用の裏面保護シートであって、
    耐候層と、光を反射させる凹凸構造が形成された鏡面反射金属層を有する反射構造層と、透光性絶縁層と、がこの順番に積層され、
    上記鏡面反射金属層と耐候層との間、及び上記鏡面反射金属層と透過性絶縁層との間のうちの少なくとも一方の間に、1層以上の防食性金属層を設けたことを特徴とする裏面保護シート。
  2. 上記防食性金属層は、金、銀、白金、プラチナ、銅のいずれかからなる金属、若しくはスズ、鉄、ニッケルの合金からなることを特徴とする請求項1に記載された裏面保護シート。
  3. 上記防食性金属層は、不動態を形成するアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、及びその合金のうちのいずれかからなることを特徴とする請求項1に記載された裏面保護シート。
  4. 上記防食性金属層の厚みは、5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載された裏面保護シート
  5. 上記防食性金属層の水蒸気透過度が、5g/m2/day以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載された裏面保護シート。
  6. 上記防食性金属層は、上記鏡面反射金属層の凹凸構造に沿って積層され、その厚みが均一であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載された裏面保護シート。
  7. 上記鏡面反射金属層の厚みは、10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載された裏面保護シート。
  8. 上記鏡面反射金属層の凹凸構造は、プリズム形状、多角錐形状、或いはこれらのいずれかの形状の逆型形状、若しくはそれらの形状に近似した形状が、複数配列されてなることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載された裏面保護シート。
  9. 上記鏡面反射金属層における凹凸構造の凸部のピッチが、10μm以上30μm以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載された裏面保護シート。
  10. 上記反射構造層における凹凸形状の頂部の頂角の角度が、111°以上137°以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載された裏面保護シート。
  11. 耐候層と、光を反射させる凹凸構造が形成された鏡面反射金属層を有する反射構造層と、透光性絶縁層と、がこの順番に積層されて、太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用の裏面保護シートであって、
    上記鏡面反射金属層の代わりに、1層以上の防食性金属層を設け、防食性金属層は、金、銀、白金、プラチナ、銅のいずれかからなる金属、スズ、鉄、ニッケルの合金、不動態を形成するアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、及びその合金のうちのいずれかからなることを特徴とする裏面保護シート。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載された上記裏面保護シートを裏面側に設けたことを特徴とする太陽電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106206789A (zh) * 2016-07-29 2016-12-07 浙江晶科能源有限公司 一种具有选择性交联胶膜的光伏组件及其制作方法
CN108598202A (zh) * 2018-06-01 2018-09-28 晶科能源有限公司 一种光伏胶膜以及光伏组件
CN109716537A (zh) * 2016-09-29 2019-05-03 松下知识产权经营株式会社 太阳能电池组件
JP2021055540A (ja) * 2021-01-07 2021-04-08 株式会社Lixil 透明基材およびブラインド

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