JP2013074285A - 太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池モジュールにおいて、光利用効率を向上することができるとともに長期的な性能劣化を抑制して耐久性を向上することができるようにする。
【解決手段】太陽電池セル10を固定する充填層4と、充填層4の光入射側に積層される表面保護シート2と、その反対面側に積層される裏面保護シート25とを備えてなる太陽電池モジュール1であって、裏面保護シート25は、微細な凹凸形状が一方の表面に形成された凹凸形状層と、凹凸形状層の一方の表面に、凹凸形状層の凹凸形状に倣う凹凸状に形成された光反射層と、を備え、凹凸形状層は、光反射層を防食する活性エネルギー線硬化樹脂で形成された構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュールに関する。例えば、裏面保護シートを備えた太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源として太陽電池が注目され、現在種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され様々な分野で利用が促進されている。(特許文献1参照)
この太陽電池は入射した光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、太陽電池のうち主要なものは使用材料の種類によって結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、有機化合物系等に分類される。このうち、現在市場で流通しているものはほとんどが結晶系シリコン太陽電池であり、この結晶系シリコン太陽電池はさらに単結晶型及び多結晶型に分類される。
単結晶型のシリコン太陽電池は基板の品質が良いために高効率化が容易であるという長所を有する反面、基板の製造が高コストになるという短所を有する。これに対して多結晶型のシリコン太陽電池は基板の品質が劣るために高効率化が難しいという短所はあるものの、低コストで製造できるという長所があり、現在の主流となっている。
上記のような太陽電池は、表面シ−ト層、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、裏面保護シ−ト層等の順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して製造された太陽電池モジュールを備えている。
この太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層としては、現在、強度に優れたプラスチック基材等が、最も一般的に使用され、その他、金属板等も使用されている。而して、一般に、太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層としては、例えば、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、光反射性、光拡散性等に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れ、更に、表面硬度が高く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高いこと、その他等の条件を充足することが必要とされている。
また、光利用効率を高めるべく太陽電池モジュールの前面から入射した太陽光のうち、太陽電池モジュール内にてエネルギー変換を行なう太陽電池セルに入射せずに前記太陽電池セルの裏面側に設けた裏面保護シートへ入射する太陽光を再利用する試みが行なわれている。(特許文献2参照)
上記太陽電池モジュールを構成する裏面保護シート層としては、太陽光の反射率を高め太陽電池のエネルギー変換を高めるために、光が散乱する白色の熱可塑性樹脂シートを積層したものが知られている。(特許文献3、4参照)
また、反射材の表面を凹凸構造とする試みも行われている。反射材の表面を凹凸構造とすることで、より光利用効率の向上が望める。(特許文献5参照)
特開2001−295437号公報 特開2000−332279号公報 特開2006−270025号公報 特開2007−177136号公報 特開平11−307791号公報
しかしながら、上記のような従来の太陽電池モジュールには以下のような問題があった。
裏面保護シート層に凹凸構造を有する反射材を用いる場合、反射材として例えばアルミニウムなどの金属が用いられるが、アルミニウムは、水分や酸等による腐食がおこりやすく、自然環境に十数年耐えることが出来ず、経時的に光利用効率向上の効果が低下してしまうという問題がある。
また、凹凸構造は有機質材料で、反射材は無機質材料で、形成されるのが一般的である。有機質材料と無機質材料とは密着強度が低く、長期安定性にも乏しいため、長期的に設置される太陽電池モジュールでは経時的な性能劣化が進行し、長期間にわたる性能維持が難しいというも問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、光利用効率を向上することができるとともに長期的な性能劣化を抑制して耐久性を向上することができる太陽電池モジュールを安定的に提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために本発明は以下の手段を提案している。
本発明は、太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールであって、前記裏面保護シートは、微細な凹凸形状が一方の表面に形成された凹凸形状層と、該凹凸形状層の前記一方の表面に、前記凹凸形状に倣う凹凸状に形成された光反射層と、を備え、前記凹凸形状層は、前記光反射層を防食する活性エネルギー線硬化樹脂で形成されたことを特徴としている。
本発明によれば、太陽電池セルに直接入射せず裏面保護シートに入射してきた本来損失となる入射光を光反射層で反射して表面保護シート側に戻し、表面保護シートにより全反射するなどして反射された光を太陽電池セルに入射させることができるため、発電効率を向上することができる。
また、凹凸形状層は光反射層を防食するものであるため、光反射層の性能劣化を防ぐ働きを持つ。
また、本発明では、前記活性エネルギー線硬化樹脂は、活性エネルギー線重合反応により硬化体を形成するベース樹脂材料からなる第1の成分と、重合開始剤からなる第2の成分と、下記式(1)で表される構成単位を含む金属アルコキシド成分と、を含有することが好ましい。
Figure 2013074285
ただし、式(1)において、Yは各種合成樹脂などの有機質材料と化学結合する有機官能基、Mは金属、OXは加水分解性基、nは0以上2以下の整数を表す。
また、本発明では、前記裏面保護シートは、前記充填層の方から、前記光反射層と前記凹凸形状層とがこの順に積層し、該凹凸形状層の前記光反射層と反対側の表面に、該凹凸形状層を保護する透光性絶縁層が積層されたことが好ましい。
また、本発明では、前記裏面保護シートは、前記光反射層の前記凹凸形状層と反対側の表面に、前記光反射層の凹凸形状に倣う凹凸状に形成されるとともに、前記光反射層を防食する活性エネルギー線硬化樹脂で形成された被覆層を、さらに備えることが好ましい。
この場合、光反射層を凹凸形状層と被覆層とで挟み込む構成になるため、光反射層を片面からだけではなく、両面から防食し、性能劣化をさらに抑制することができる。
また、本発明では、前記凹凸形状層と、前記被覆層とが、同じ構成を有する材料で形成されたことが好ましい。
また、本発明では、前記裏面保護シートは、少なくとも一方の表面に前記光反射層を覆う積層体が形成され、該積層体の可視光線透過率は80%以上であることが好ましい。
また、本発明では、前記活性エネルギー線硬化樹脂は、前記第1の成分および前記第2の成分の含有量に対し、前記金属アルコキシド成分が0.5重量%〜5重量%含有されたことが好ましい。
この場合、凹凸形状層と光反射層との層間密着が良好となり、長期的にも性能劣化がより少なくなる。
また、活性エネルギー線硬化樹脂が金属アルコキシド成分を備える本発明では、前記金属アルコキシド成分は、式(1)で表される前記構成単位のMが、Si(シリコン)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、およびZr(ジルコニウム)のうちのいずれかの金属からなることが好ましい。
また、本発明では、前記光反射層の厚みが30nm〜60nmであることが好ましい。
また、本発明では、前記光反射層の凹凸形状は、前記光反射層への入射光の反射光の散乱方向を制限して、一定方向に指向性を有する非等方性散乱構造の凹凸形状であることが好ましい。
本発明の太陽電池モジュールによれば、微細な凹凸形状が形成されるとともに光反射層を防食する活性エネルギー線硬化樹脂で形成された凹凸形状層を備え、光反射層が凹凸形状層の凹凸形状に倣う凹凸状に形成されるため、光利用効率を向上することができるとともに長期的な性能劣化を抑制して耐久性を向上することができる。
本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュールの概略構成を示す模式的な断面図である。 本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュールに用いる裏面保護シートの概略構成を示す模式的な断面図である。 本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュールに用いる裏面保護シートの凹凸形状層の例を示す模式的な斜視図である。 自己組織化単分子膜が形成される過程を示す模式説明図である。 本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュールに用いる裏面保護シートの変形例の概略構成を示す模式的な断面図である。 本発明の第2の実施形態の太陽電池モジュールに用いる裏面保護シートの概略構成を示す模式的な断面図である。 実施例における耐性試験を行った測定物の概略構成を示す模式的な断面図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュールについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュールの概略構成を示す模式的な断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュールに用いる裏面保護シートの概略構成を示す模式的な断面図である。図3は、本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュールに用いる裏面保護シートの凹凸形状層の例を示す模式的な斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の太陽電池モジュール1は、表面保護シート2と、充填層4と、充填層4に埋設されて位置が固定された太陽電池セル10と、表面保護シート2に対して充填層4および太陽電池セル10を間に挟んで対向して配置された裏面保護シート25とを備える。
太陽電池モジュール1は、装置外部の光源20から出射され表面保護シート2を通して入射する入射光12と、装置内部における入射光12の反射光14とを太陽電池セル10が受光することにより発電を行う装置である。
なお、光源20は、例えば、太陽でもよいし、室内灯等の人工照明の光源でもよい。
表面保護シート2は、太陽電池モジュール1の最前面に配置されて、表面に入射光12が直接的に入射するものであり、充填層4の光入射側に積層されている。
表面保護シート2は、光線透過率が高い透明な材料からなる板状またはシート状の部材である。具体的には強化ガラスを採用することができる。また、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ETFE(エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体)などの樹脂シートを採用することができる。
また、表面保護シート2の厚みは、強化ガラスであれば、例えば約3mm〜5mm、樹脂シートであれば、例えば約50μm〜250μmに設定されている。
表面保護シート2の材料に強化ガラスを使用する場合、透過率、耐候性、強度に優れる太陽電池モジュール1を構成することができる。
また表面保護シート2の材料に樹脂シートを使用する場合、耐候性、強度では強化ガラスに劣るものの、強化ガラスと異なり落下しても割れない、柔軟性、施工の自由度が大きいなどの利点があり折り曲げられる太陽電池モジュールとして付加価値を高めることができる。
しかしながら耐候性や強度、フレキシブルに対応した高効率の太陽電池セルが発見されていないことより表面保護シートは強化ガラスが主流となっている。
充填層4は、表面保護シート2の裏面側に積層されており、太陽電池セル10を封止する役割を有している。この充填層4は、表面保護シート2から入射した光線を透過させるために透過率が高い材料が用いられ、例えば、難燃性をもつEVA(エチレン・ビニル・アセテート)から形成されている。
このため、表面保護シート2に入射した入射光12は、充填層4に入射して、充填層4内の太陽電池セル10や、充填層4において表面保護シート2と反対側に積層された裏面保護シート25に入射できるようになっている。
太陽電池セル10は、光電効果により受光部に入射した光を電力へと変換する機能を有するデバイスであり、充填層4の内部において、表面保護シート2に沿う方向に間をあけて、複数のものが埋設されている。
この太陽電池セル10としては、シリコン系である単結晶、多結晶の結晶シリコン型、薄膜シリコン型、またその他ではシリコンを使用しないCdTe(Cd(カドミウム)・Te(テルル)の化合物)、CIGS(Cu(銅)・In(インジウム)・Ga(ガリウム)・Se(セレン)の化合物)などの化合物系薄膜型、有機物の色素増感薄膜型等が用いられる。
このような複数の太陽電池セル10は、互いに電極(図示省略)により接続され、該電極によって発電した電力が外部に取り出されるようになっている。
裏面保護シート25は、充填層4内を進んで到達した入射光12等の光を、反射光14として、表面保護シート2側へと反射する機能を有する、全体として板状またはシート状の部材である。ここで、裏面保護シート25が反射する入射光12等の光には、入射光12の他に、反射光14が表面保護シート2や太陽電池セル10などによって再反射されて、再度到達する光が含まれる。
本実施形態では、裏面保護シート25は、図2に示すように、充填層4の方に向かって順に、透光性絶縁層30、凹凸形状層32、および光反射層34が積層されている。
透光性絶縁層30は、耐水性、紫外線に対する耐久性等の耐候性を有していることが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、エポキシン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等から形成されていることが好ましい。
上述の樹脂の中でも、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂は、耐熱性、強度、耐候性、耐久性、水蒸気等に対するガスバリア性等が優れているため、透光性絶縁層30の材料として、より好ましい。
上述のポリエステル系樹脂の例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂の中でも、耐熱性、耐候性等の諸機能面及び価格面のバランスが良好なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
上述のフッ素系樹脂の例としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)やテトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)が特に好ましい。
上述の環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えばa)シクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)、シクロヘキサジエン(及びその誘導体)、ノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンを重合させてなるポリマー、b)当該環状ジエンとエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系モノマーの1種又は2種以上とを共重合させてなるコポリマー等が挙げられる。これらの環状ポリオレフィン系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるシクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)又はノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンのポリマーが特に好ましい。
なお、透光性絶縁層30の形成材料としては、上述の合成樹脂を1種又は2種以上混合して使用することができる。
また、透光性絶縁層30の形成材料中には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。この添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。上述の透光性絶縁層30の成形方法としては、特に限定されず、例えば押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の公知の方法を採用することができる。
また、透光性絶縁層30中に、紫外線安定剤又は分子鎖に紫外線安定基が結合したポリマーを含有することも可能である。この紫外線安定剤又は紫外線安定基により、紫外線で発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、裏面保護シート25の紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。この紫外線安定剤又は紫外線安定基としては、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤又はヒンダードアミン系紫外線安定基を好適に用いることができる。
凹凸形状層32と光反射層34とは、充填層4を通して裏面保護シート25に到達する入射光12等の光を特定の方向へと反射するための構造である。
凹凸形状層32は、透光性絶縁層30に密着して形成され、充填層4側の表面(透光性絶縁層30と反対側の表面)に、微細な凹凸形状が形成されている。
本実施形態では、微細な凹凸形状は、単位形状を構成する凹凸部33が1以上の隣接方向に多数隣接して形成される。
凹凸部33の形状は、太陽電池モジュール1の種類及び設置場所にもよるが、図3(a)に示すような四角錐型、図3(b)に示すV字溝型等が効果的な形状の例として挙げられる。
例えば、凹凸部33の一例である凹凸部33Aは、図3(a)に示すように、四角錐状の単位形状を有する突起33aが隣接されて構成されている。
この凹凸部33Aは、突起33aの各頂点をこの1つの隣接方向であるA−A線に沿う断面と、これに直交する他の隣接方向であるB−B線に沿う断面とが、ともに図2に示すようなV字状溝が隣接する凹凸形状を構成している。
また、凹凸部33の他の一例である凹凸部33Bは、図3(b)に示すように、山形断面が一方向に延ばされた単位形状を有する突起33bが隣接されて構成されている。
この凹凸部33Bは、各突起33bの隣接方向(突起33bの延在方向に直交する方向)であるC−C線に沿う断面が、図2に示すようなV字状溝が隣接する凹凸形状を構成している。
ここで、凹凸部33A、33Bの頂角θ(図2参照)は、いずれも、116°から137°の範囲に設定されていることが好ましい。120°から135°の範囲に設定されていることがより好ましい。
なお、突起33aの四角錐を、例えば、三角錐、五角錘、六角錘などの多角錐や、円錐に置き換えた形状や、これらの形状を反転した形状なども好適に採用することができる。ここで、反転した形状とは、凹凸部33Aが、平面上に四角錐状の突起33aが配列された形状であるのに対して、平面上に突起33aと同形の四角錐状の凹穴部が形成された形状を意味する。すなわち、反転した形状とは、例えば四角錐等の元となる形状を成形型で成形する際の成形型の成形面の形状に相当している。
裏面保護シート25に使用する凹凸形状層32は、凹凸部33の単位形状の配列ピッチは10μm以上30μm以下の範囲に設定されていることが望ましい。
凹凸部33の単位形状の配列ピッチが30μmより大きい場合には、ピッチが増大するにともなって凹凸部33の頂部の高さが高くなるため充填層4を介して貼り合せる際に、凹凸部33に入り込むことが困難であり、製造しにくくなる。
このように、凹凸部33A、33Bは、平面の組合せの凹凸形状の例になっている。
光源20が太陽である場合、太陽光は太陽電池モジュール1から無限遠に位置する光源に近似される。このため、太陽光である入射光12は、太陽電池モジュール1が設置されるような屋上、屋根などでは平行光として太陽電池モジュール1へ入射することになる。なお、入射光12の全てが平行光ということではなく、周辺物に当たり反射する散乱光も存在するが、大部分が平行光として入射する。
このような平行光を特定方向に反射するには、凹凸部33A、33Bのように平面の組合せからなる凹凸形状が有効である。
凹凸形状層32は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線による重合反応によって硬化体が形成される活性エネルギー線硬化樹脂であって、光反射層34を防食する活性エネルギー線硬化樹脂の硬化体によって形成されている。
凹凸形状層32の形成に用いる活性エネルギー線硬化樹脂は、例えば、その組成が、活性エネルギー線重合反応により硬化体を形成するベース樹脂材料からなる第1の成分(以下、成分〔A〕と称する場合がある)と、重合開始剤からなる第2の成分(以下、成分〔B〕と称する場合がある)と下記式(1)で表される構成単位を含む金属アルコキシド成分(以下、成分〔C〕称する場合がある)と、を含有することが好ましい。
Figure 2013074285
ただし、式(1)において、Yは各種合成樹脂などの有機質材料と化学結合する有機官能基、Mは金属、OXは加水分解性基、nは0以上2以下の整数を表す。
また、この活性エネルギー線硬化樹脂の他の成分としては、例えば、可塑剤、分散剤、加水分解防止剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
上述の成分〔A〕は、特に限定されるものではなく、活性エネルギー線重合反応により硬化体を構成し得る樹脂のモノマー(単量体)、オリゴマーであれば、公知の何れの合成樹脂の組成でも使用可能である。
例えばポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂のモノマー、オリゴマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。
上述のポリウレタン系樹脂の原料であるポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールや、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
また上述のポリオールは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上述の(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合することで製造することもできる。
水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール0、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノルA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
上述の水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
成分〔A〕として用いられるポリオールとしては、上述のポリエステルポリオール、及び、上述の水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールをポリマー材料とすれば耐候性が高く、光反射層34の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
なお、上述のポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
上述の成分〔B〕は、主に、紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射で進行する重合反応の開始効率を向上させる等の目的で用いるものである。
成分〔B〕としては、成分〔A〕の活性エネルギー線重合反応の開始効率を向上できる重合開始剤であれば、特に限定されるものはなく、公知の何れの重合開始剤成分でも使用可能である。このような重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物である光ラジカル重合開始剤が一般的である。また成分〔B〕の重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光増感剤との併用系であってもよい。
光ラジカル重合開始剤は、具体的には、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられる。
これら光ラジカル重合開始剤の中で、硬化速度が速く架橋密度を十分に上昇できる点から、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、及び、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが更に好ましい。
また、成分〔A〕にラジカル重合性基と共にエポキシ基等のカチオン重合性基を有する化合物が含まれる場合は、成分〔B〕に上記した光ラジカル重合開始剤と共に光カチオン重合開始剤が含まれていてもよい。光カチオン重合開始剤は特に限定されず、本発明の効果を損なわない限り公知の何れのものも可能である。
光増感剤は、具体的には例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知のものが挙げられる。光増感剤は1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分〔C〕は、凹凸形状層32の表面が成分〔C〕の化学結合によって守られ、水の浸入を防ぎ、光反射層34との接着性を向上させるために加えている成分である。このため、特に湿潤時において接着力が強力となる。
また成分〔C〕は、同時に凹凸形状層32の耐久性、耐熱性、耐候性を向上することができる。またその他に付加価値として、成分〔C〕により、凹凸形状層32の表面に疎水性の官能基が配向するため、凹凸形状層32の表面が撥水性をもつようになる。このため、光反射層34が、例えば金属層であったとしても腐食しにくく、長期に渡りその性能を保持することができる。
成分〔C〕の金属アルコキシド成分は、上記式(1)の構成単位を含んでいれば、特に限定されるものはなく、公知の何れの金属アルコキシド成分でも使用可能である。
具体的には式(1)の構成単位にあるMがSiを用いた金属の場合、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ(2−メタクリロキシエトキシ)シラン、テトラ(2−アクリロキシエトキシ)シラン、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、キシリルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルフェニルトチメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビフェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また式(1)の構成単位にあるMについてはSiの他にもTi、Al、Zrなどの金属から構成される金属アルコキシド成分でも良い。
本実施形態に用いる活性エネルギー線硬化樹脂の組成は、成分〔A〕および成分〔B〕の合計の含有量に対し、成分〔C〕が0.5重量%〜5重量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.7重量%〜4重量%の割合が望ましい。
成分〔C〕が少な過ぎると光反射層34との密着性が十分に発現され難い。これは後述する金属酸化皮膜と反応する官能基の量が十分でないためと考えられる。逆に成分〔C〕が過剰に存在すると、活性エネルギー線硬化皮膜の耐アルカリ性が低下するようになることがある。これは金属酸化皮膜と反応しない成分〔C〕が、多量に残存し、これがアルカリと反応するためと考えられる。
成分〔C〕は加水分解反応や縮合反応の反応メカニズムを持っており、無機物の酸化表面あるいは水酸基とも類似のメカニズムで反応する。水分によってアルコキシ基が加水分解し、無機物表面にある水酸基との水素結合を介して凹凸形状層32の表面に移行し、さらに脱水縮合反応を経て無機物表面と強固な共有結合を生成する。よって後述する無機物である光反射層34と凹凸形状層32とは強固に接着する。
このような構成の凹凸形状層32の形成方法としては、形状が切削された金型を用いたプレス法、他にもキャスティング法、射出成形法、UV成形法などが挙げられる。
光反射層34は、入射してきた光を反射する機能を有する層である。本実施形態では、凹凸形状層32の凹凸部33上に、略一定の膜厚で形成されている。このため、光反射層34は、凹凸形状層32の凹凸形状に倣う凹凸状に形成されている。
光反射層34に用いられる材料としては、反射性を有しかつ蒸着が可能である無機物であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)等の金属や、これらの合金等が挙げられる。また、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の高屈折率材料を含んでも良い。
上記に例示した金属の中でも、アルミニウムは、紫外、可視、近赤外領域において、反射率が高く、表面に酸化皮膜を生成することにより、内部の侵食を防ぐことが可能となる。また、高い水蒸気バリア性を有するという利点がある。
また、銀は、可視、近赤外領域においてアルミニウムと比較しても反射率が高いという利点がある。
また、金は、可視領域の短波長側に吸収があるものの、600nm以上の波長においてはアルミニウムよりも反射率が高い。
さらに、これらアルミニウム、銀、金は、水に侵食されにくいという利点があるため、光反射層34に用いる材料として望ましい。このように水に浸食されにくい材料で光反射層34を構成した場合、光反射層34は、凹凸形状層32に対する保護層の機能を有している。
また、光反射層34の材料は、前述した酸化皮膜を有した材料であると、凹凸形状層32に含有している成分〔C〕の官能基と反応するため、好ましい。この場合、凹凸形状層32と光反射層34は強固に接着する。
光反射層34を形成方法は、凹凸形状層32の凹凸部33の形状に倣う薄膜が形成できれば、特に限定されない。例えば、光反射層34の材料である金属を蒸着することで形成することができる。
光反射層34の蒸着手段としては、凹凸形状層32に収縮、黄変等の劣化を招来することなく金属が蒸着できれば特に限定されるものではないが、例えば、(ア)真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)、(イ)プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)などを好適に採用することができる。これらの蒸着法の中でも、生産性が高く良質な反射層が形成できる点で、真空蒸着法やイオンプレーティング法は特に好ましい。
なお、光反射層34は、単層構造でもよく、2層以上の多層構造でもよい。
光反射層34を多層構造とすることで、蒸着の際に懸かる熱負担が軽減されるため、凹凸形状層32の劣化が低減され、さらに凹凸形状層32と光反射層34との密着性を改善することができる。
また、単層では反射できなかった波長の光を多層構造にすることで単層よりも広い波長領域で高い反射率を保持できる。
光反射層34を多層構造とする場合、金属膜の上に酸化金属層を設けても良い。
光反射層34の厚みの下限としては、30nmが好ましく、一方、上限としては、60nmが特に好ましい。
光反射層34の厚みが下限値の30nmより小さいと、光反射層34に入射する光を十分に反射することができない。
一方、光反射層34の厚みが上限値の60nmを超えると、凹凸形状層32と光反射層34の層間密着が弱まることや、光反射層34にクラックが発生するおそれがある。
このような構成の裏面保護シート25において、光反射層34と凹凸形状層32との密着性、接着性をより向上させるため、光反射層34を形成する前に、凹凸形状層32の表面に表面処理を施すことが好ましい。
このような表面処理としては、例えば(I)コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理、及び(II)プライマーコート処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理、蒸着アンカーコート処理などが挙げられる。
これらの表面処理の中でも、凹凸形状層32との接着強度が向上し、緻密かつ均一な光反射層34の形成に寄与するコロナ放電処理及びアンカーコート処理が好ましい。
上述のアンカーコート処理に用いるアンカーコート剤としては、例えばポリエステル系アンカーコート剤、ポリアミド系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤、エポキシ系アンカーコート剤、フェノール系アンカーコート剤、(メタ)アクリル系アンカーコート剤、ポリ酢酸ビニル系アンカーコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系アンカーコート剤、セルロース系アンカーコート剤などが挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、光反射層34の接着強度をより向上することができるポリエステル系アンカーコート剤が特に好ましい。
上述のアンカーコート剤のコーティング量(固形分換算)は、1g/m以上、3g/m以下が好ましい。
アンカーコート剤のコーティング量が1g/mより少ないと、光反射層34の密着性向上効果が小さくなる。一方、当該アンカーコート剤のコーティング量が3g/mより多いと、裏面保護シート25の強度、耐久性等が低下するおそれがある。
以上のような裏面保護シート25を作製する方法の例について、例えば、凹凸形状層32の材料が紫外線(UV)硬化樹脂である場合の例で説明する。
まず、上述した方法によって透光性絶縁層30を形成し、透光性絶縁層30上に、上述の活性エネルギー硬化樹脂から選ばれたUV硬化樹脂を塗布する。次に、凹凸部33の凹凸形状を反転した形状が形成された金属版を成形型として、UV成形法により凹凸形状層32を成形する。そして凹凸形状層32が硬化した後、成形型から離型し、凹凸部33に蒸着等により光反射層34を形成する。
なお、これらの各工程は、透光性絶縁層30を長尺のシート状に形成し、成形型を回転支持されたロール型とすることで、ロール・トゥ・ロールの連続成形工程として行うことができる。
このような構成による本実施形態の太陽電池モジュール1は、表面保護シート2、裏面保護シート25をそれぞれ形成した後、太陽電池セル10を充填層4で挟み込み、太陽電池セル10の受光面側に表面保護シート2、他方面に裏面保護シートを積層して、充填層4を熱硬化によって封止することによって形成することができる。
次に、本実施形態の太陽電池モジュール1の作用について説明する。
図4は、自己組織化単分子膜が形成される過程を示す模式説明図である。
本実施形態の太陽電池モジュール1は、表面保護シート2を光源20に向けて配置すると、図1に示すように、光源20からの入射光12が、表面保護シート2に入射する。太陽電池モジュール1は、発電効率を高めるために、入射光12の入射角がなるべく小さくなる姿勢で配置される。また、例えば、光源20が太陽である場合、入射光12の大部分は平行光である。このため、以下では、大部分の入射光12が、平行光であって、かつ表面保護シート2に対し例えば垂直入射した場合を中心に説明する。
表面保護シート2に入射した入射光12は、充填層4を透過して、太陽電池セル10の受光面、または太陽電池セル10の間の裏面保護シート25に、入射する。
太陽電池セル10の受光面に入射した入射光12は、発電に用いられ、図示略の電極に電力を発生させる。
一方、裏面保護シート25に入射した入射光12は、光反射層34によって反射され、反射光14として充填層4内を進む。
反射の際、光反射層34は、凹凸形状層32の凹凸部33に倣った凹凸形状を有しているため、光反射層34に対する入射角に応じた方向に反射光14として反射される。その際、本実施形態では、光反射層34は、表面保護シート2の法線方向に対して傾斜した平面の反射面からなるため、表面保護シート2に小さな入射角で入射した入射光12は、表面保護シート2の法線に対してより大きく傾斜する方向に反射されて、表面保護シート2の裏面側に大きな入射角で再入射する。このため、大部分の反射光14は、表面保護シート2の裏面で全反射されて、太陽電池セル10上に入射し、発電に用いられることになる。このため、発電の光利用効率を向上することができる。
これに対して、裏面保護シートの表面が、平坦な反射面になっていたり、等方的な散乱を起こす散乱面になっていたりすると、表面保護シートの法線方向に対して浅い入射角となるように反射される反射光の成分が多くなるため、表面保護シートを外部側に透過する光が多くなり、本実施形態の太陽電池モジュール1に比べて、発電に利用される効率が低下してしまう。
例えば、太陽電池モジュール1に用いられる充填層4および表面保護シート2の屈折率を約1.5とした場合に、光反射層34の凸部の頂角θが凹凸部33の頂角θと同じく116°から137°の範囲に設定されている場合には、裏面保護シート25に入射した入射光12は光反射層34によって反射され、太陽電池セル10同士の隙間を進んだ反射光14は、表面保護シート2の裏面で全反射される。また、反射した光の一部が反射面に隣接する他の凹凸部33の反射面に直接到達して、凹凸部33のV字状溝内で、反射を繰り返してから表面保護シート2に向かって進む可能性がほぼ無く、再集光効率を高く維持することができる。
また、頂角θが116°を下回る場合、反射した光の一部が反射面に隣接する他の凹凸部33の反射面に直接到達して、凹凸部33のV字状溝内で、反射を繰り返してから表面保護シート2に向かって進む可能性が高くなる。このため、反射光14が太陽電池セル10に入射するとしても、反射を繰り返す過程で光量が低減してしまう。このため、光利用効率が落ちる可能性が高くなり好ましくない。
また、光反射層34の頂角θが、120°から135°の範囲に設定されている場合には、安定してガラスと空気との界面において全反射する範囲の角度に形成することができるとともに、反射光14が光反射層34に直接再入射することは完全に無くなり、再集光効率を高く維持することができる。
また、反射光14の反射方向は、凹凸部33の単位形状の配列方向によっても規制される。例えば、凹凸部33として、凹凸部33Bの構成を採用して光反射層34を形成した場合、図3(b)のC−C断面において、上述のように反射する。一方、C−C断面に直交する方向には、光反射層34が傾斜していないため、C−C断面に直交する方向(突起33bが延びる方向)では、反射光14はほとんど散乱されない。したがって、入射光12の反射方向は、C−C断面の方向において特に斜め方向に傾斜することになる。
このため、凹凸形状層32Bの凹凸形状である凹凸部33Bは、光反射層34への入射光12の反射光14の散乱方向を制限して、一定方向に指向性を有する非等方性散乱構造の凹凸形状になっている。
また、例えば、凹凸部33として、凹凸部33Aを採用した場合、容易に分かるように、指向性を有する方向が2方向に増えた非等方性散乱構造の例になっている。
また、裏面保護シート25では、凹凸形状層32の凹凸部33の形状に倣う光反射層34を備えるため、表面反射により反射方向を規制することができる。このため、光利用効率を高めることができる。
例えば、凹凸形状層として、光反射層34を設けることなく、高アスペクト比の非球面レンズを多数設けて指向性を有する散乱構造を採用することも考えられるが、このような散乱構造では、レンズ内部における光の吸収が起こるため、光反射層34を設ける場合に比べて、再帰反射率の低下を招いてしまう。
凹凸形状層32を形成する活性エネルギー線硬化樹脂の硬化体は、光反射層34を防食するため、光反射層34の耐食性が向上し、太陽電池モジュール1の長期的な性能劣化を抑制して耐久性を向上することができる。
凹凸形状層32の具体的な作用について、図4(a)、(b)、(c)、(d)を参照して説明する。
図4(a)には、活性エネルギー線硬化樹脂の組成の成分〔C〕の一例として、上記式(1)において、n=0の場合の構成を示す。
図4(a)のような金属アルコキシドは不安定であり、図4(b)に示すように、加水分解される。
加水分解された化合物は、図4(c)に示すように、縮合し、近傍に水酸化化合物を含む無機材料50があると、無機材料50のヒドロキシ基と水素結合する。その後、水素結合した部分の水分子が失われ、図4(d)に示すように、縮合した化合物が無機材料50との間で共有結合が形成される。
このように、金属アルコキシド成分は、無機材料50と化学反応を起こして、縮合した化合物分子が無機材料50の表面に化学吸着する。この化学吸着過程は、ある条件では成分〔C〕にある有機分子同士の相互作用によって吸着分子が密に集合し、分子の配向性のそろった有機単分子膜が無機材料50の表面上に形成される。
こうして、無機材料50が分子によって被膜され、無機材料50の表面の反応サイトがなくなるとそれ以上の吸着反応が発生しないため、単分子膜が出来たところで膜の成長が停止する。このような有機分子が自発的に集合して形成される有機薄膜を、自己組織単分子膜と呼ぶ。
このような自己組織単分子膜は、図6(d)に示すように、隣接する分子同士も固定化されているため、安定性が高く、機械的強度や化学的安定性が優れる。
本実施形態では、裏面保護シート25では、透光性絶縁層30上に凹凸形状層32を形成してから、光反射層34を蒸着すると、光反射層34と凹凸形状層32との密着面において、凹凸形状層32内の成分〔C〕による自己組織単分子膜が形成され、光反射層34が凹凸形状層32に強固に密着する。
また、自己組織単分子膜が形成されることで、凹凸形状層32との密着部分において、凹凸形状層32内の水分などによる光反射層34の腐食の進行が抑制されるため、光反射層34が防食される。
このように、本実施形態によれば、光反射層34が凹凸形状層32に対して強固に固定され、凹凸形状層32側からの腐食が抑制されるため、長期にわたって、安定した光反射層34が形成される。
したがって、太陽電池モジュール1では、光利用効率を長期的に安定させることができるため、発電効率を経時的に安定させることができる。
[変形例]
次に、本実施形態の変形例に係る太陽電池モジュールについて説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュールに用いる裏面保護シートの変形例の概略構成を示す模式的な断面図である。
本変形例の太陽電池モジュール1Aは、図1に示すように、上記第1の実施形態の太陽電池モジュール1の裏面保護シート25に代えて、裏面保護シート35を備える。
裏面保護シート35は、図5に示すように、上記第1の実施形態の裏面保護シート25の光反射層34上に、接着層36を介して透光性絶縁層37を積層したものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
裏面保護シート35に使用する凹凸形状層32は、上記第1の実施形態と同様の構成を採用することができるが、凹凸部33の単位形状の配列ピッチは10μm以上30μm以下の範囲に設定されていることが望ましい。
凹凸部33の単位形状の配列ピッチが30μmより大きい場合には、ピッチが増大するにともなって凹凸部30の頂部の高さが高くなるため透光性絶縁層37と接着層36を介して貼り合せる際に、気泡が入りやすくなるおそれがある。また、接着層36の厚みを厚くする必要があり貼り合わせに必要な許容量を大幅に超えることや、均一に厚膜に塗工することが困難になってしまうため、製造しにくくなる。
一方、単位形状の配列ピッチが10μmより小さい場合、光反射層34の配列ピッチも同様に10μmより小さくなるため、入射光12が反射する際に光の回折が起こり得る。 回折光は分光して広がった光になるため制御が難しく、特定方向に反射する上で好ましくない。
さらに、凹凸形状層32を成形する金型製作時に金型を切削する時間が長くなる。このため、タクトが低下し生産効率が低下してしまう。
接着層36は、透光性絶縁層37を固定するとともに、光反射層34を凹凸形状層32と反対側から密着して覆って、光反射層34の耐久性を向上するための層である。
このため接着層36は、透過率が良好であって、かつ光反射層34と透光性絶縁層37との間の密着性が良好であり、外力の伝達を軽減する柔軟性(クッション性)を有することが望ましい。
接着層36の一例としては、耐熱性、耐候性、柔軟性を有するシリコーン系樹脂を好適に採用することができる。
このような接着層36を設けることで、上記第1の実施形態の裏面保護シート25に比べて、耐久性、クッション性などを向上することができる。
特に、太陽電池モジュール1Aを屋外で使用する場合、日照時の太陽電池モジュール1Aの熱上昇が著しいため、樹脂材料から作製された裏面保護シート35に反りが発生するおそれがあるが、接着層36によって反り変形が緩和されるため、反り変形による故障を抑制することができる。
接着層36の厚みとしては、光反射層34の凹凸形状を覆うことができる厚みであれば、適宜の厚みを採用することができるが、3μm〜10μmであることが好ましい。
接着層36の厚みが、3μm未満であると密着性が劣ってしまい、光反射層34および透光性絶縁層37との間で剥離が起こりやすくなってしまう。
また、厚みを増すと、密着性は良くなるが、材料費が増大して製造コストが高くなるので、10μmを越えないことが望ましい。
透光性絶縁層37は、透過率が良好であれば、適宜の材料、厚みを採用することができる。
本変形例では、接着層36と透光性絶縁層37とは、裏面保護シート25の一方の表面を覆う積層体を構成している。接着層36と透光性絶縁層37とからなる積層体は、光利用効率を良好にするため、可視光透過率が80%以上100%以下となるように、材料や厚みの組合せを選定することが好ましい。
また、本変形例では、凹凸形状層32と透光性絶縁層30とは、裏面保護シート25の他方の表面を覆う積層体を構成している。凹凸形状層32と透光性絶縁層30とからなる積層体は、光利用効率を良好にするため、可視光透過率が80%以上100%以下となるように、材料や厚みの組合せを選定することが好ましい。
本変形例では、透光性絶縁層37は、上記第1の実施形態の透光性絶縁層30と同様な材料で、同様な厚みを有する構成を採用している。
ただし、透光性絶縁層37は、透光性絶縁層30に採用可能な材料、厚みのうちから、透光性絶縁層30と異なる材料、厚みを選択した構成としてもよい。
このような構成の裏面保護シート35は、上記第1の実施形態の裏面保護シート25と同様にして、透光性絶縁層30、凹凸形状層32、および光反射層34の積層体を形成し、その後、光反射層34上に接着層36を介して透光性絶縁層37を接着して形成することができる。
本変形例における裏面保護シート35は、上記第1の実施形態の裏面保護シート25と同様に、凹凸形状層32に倣って光反射層34が形成されているため、裏面保護シート25と同様にして、太陽電池モジュール1Aの光利用効率を向上することができるとともに長期的な性能劣化を抑制して耐久性を向上することができる。
さらに、裏面保護シート35は、光反射層34を凹凸形状層32と反対側の面から接着層36で覆っているため、太陽電池モジュール1Aにおける光反射層34の耐久性をより向上することができる。
また、裏面保護シート35は、光反射層34が、透光性絶縁層30、接着層36によって挟まれたシート状、または板状に形成されているため、光反射層34が、透光性絶縁層30、接着層36によって保護されている。このため取り扱いが容易となる。
また、接着層36と透光性絶縁層37とからなる積層体と、凹凸形状層32と透光性絶縁層30とからなる積層体との可視光透過率がともに80%以上とする場合に、裏面保護シート35の各積層体による光透過特性が良好になるため、透光性絶縁層30、37のどちらを充填層4に接着しても、同様な特性を有する太陽電池モジュール1Aを製造することができる。
このような裏面保護シート35の表裏の互換性をより良好にするためには、透光性絶縁層37を透光性絶縁層30と同様の材料および厚みとし、接着層36を凹凸形状層32と略同様の透過率を有する材料で構成することが好ましい。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の太陽電池モジュールについて説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態の太陽電池モジュールに用いる裏面保護シートの概略構成を示す模式的な断面図である。
本実施形態の太陽電池モジュール1Bは、図1に示すように、上記第1の実施形態の太陽電池モジュール1の裏面保護シート25に代えて、裏面保護シート45を備える。
裏面保護シート45は、図6に示すように、上記第1の実施形態の裏面保護シート25の光反射層34上に、凹凸形状層40(被覆層)を積層したものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
凹凸形状層40は、凹凸形状層32と同じ材料によって、光反射層34の凹凸形状に倣って、光反射層34を略均一膜厚(均一の場合を含む)で覆うものである。
凹凸形状層40は、凹凸形状層32と同様に、成形型を用いたUV成形法によって形成することができる。
このような構成の裏面保護シート45は、上記第1の実施形態の裏面保護シート25と同様にして、凹凸形状層40上に、充填層4、太陽電池セル10、および表面保護シート2を積層させることにより、太陽電池モジュール1Bを製作することができる。
本実施形態における裏面保護シート45は、上記第1の実施形態の裏面保護シート25と同様に、凹凸形状層32に倣って光反射層34が形成されているため、裏面保護シート25と同様に、太陽電池モジュール1Bの光利用効率を向上することができるとともに長期的な性能劣化を抑制して耐久性を向上することができる。
さらに、裏面保護シート45は、光反射層34が、凹凸形状層32、40に挟まれているため、凹凸形状層32と同様な凹凸形状層40の作用が相俟って、太陽電池モジュール1Bにおける光反射層34の耐久性をより向上することができる。
なお、上記の各実施形態、変形例の説明では、凹凸形状層32および光反射層34が、表面保護シート2に対向して設けられ、場所により太陽電池セル10を間に挟むように設けられた場合の例で説明したが、凹凸形状層32および光反射層34は、太陽電池セル10の裏面側(表面保護シート2と反対側)には形成しない構成としてもよい。
また、上記の各実施形態、変形例の説明では、光反射層34を防食する活性エネルギー線硬化樹脂として、成分〔A〕、〔B〕、〔C〕を備える場合の例で説明したが、光反射層34を防食できる活性エネルギー線硬化樹脂であれば、組成はこれに限定されない。
また、上記の第1の実施形態の説明では、透光性絶縁層30が裏面保護シート25の表面を構成する場合の例で説明したが、光反射層34は、凹凸形状層32を水の浸食から保護する保護層の機能を有しているため、裏面保護シート25を反転して取り付けることができる。すなわち、透光性絶縁層30を充填層4と積層させて、光反射層34が太陽電池モジュール1の表面保護シート2と反対側の表面を形成する構成も可能である。
また、上記の各実施形態、変形例の説明では、裏面保護シートが、透光性絶縁層を備えている場合の例で説明したが、光反射層34によって太陽電池モジュール1の表面保護シート2と反対側の表面を形成する構成の場合、透光性絶縁層30を削除した構成とすることができる。すなわち、光反射層34、凹凸形状層32がこの順に積層された裏面保護シートを形成し、凹凸形状層32を充填層4にさせて、太陽電池モジュールを構成することも可能である。
また、上記各実施形態、変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせを代えたり、削除したりして実施することができる。
次に、本発明の実施形態の太陽電池モジュールの実施例の耐性試験を行った結果について、比較例の耐性試験の結果とともに説明する。
ただし、この耐性試験では、太陽電池モジュールにおける光反射層の耐久性を検証するため、実施例、比較例の評価サンプルは、いずれも太陽電池モジュールから太陽電池セルを除いた構成で製作した。
図7は、実施例における耐性試験を行った測定物の概略構成を示す模式的な断面図である。
[実施例1]
実施例1は、図7に示すように、上記第1の実施形態の変形例の太陽電池モジュール1Aから、太陽電池セル10を除いた層状構成を有する評価サンプルS1として作製した。 すなわち、評価サンプルS1は、透光性絶縁層30、凹凸形状層32、光反射層34、接着層36、および透光性絶縁層37がこの順に積層された裏面保護シート35の透光性絶縁層37上に、充填層4と表面保護シート2とがこの順に積層されたものである。
具体的には、凹凸形状層32の凹凸部33の凹凸形状の高さ(谷底部から頂部までの高さ)を6μmとし、頂角部分の平均間隔(単位形状の配列ピッチ)を15μmとし、頂角θ(図2参照)を120°とした。
また、凹凸形状層32を形成した活性エネルギー線硬化樹脂成分のうち、成分〔A〕はアクリル系樹脂、成分〔B〕は光ラジカル重合開始剤、成分〔C〕は、上記式(1)におけるnが0、MがSiからなるシランカップリング剤とした。
また、この活性エネルギー線硬化樹脂の成分〔C〕の含有量は、成分〔A〕および成分〔B〕の合計の含有量に対し、0.1重量%とした。
透光性絶縁層30、37はPETフィルム基材、接着層36は熱硬化樹脂であるウレタン接着剤(厚み10μm)を採用した。また、光反射層34としては、凹凸形状層32の表面にアルミニウムを蒸着して、アルミニウム単層膜(膜厚45nm)を形成した。
また、充填層4は太陽電池の封止材として用いられているEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)を使用し、表面保護シート2は厚み3mmの強化ガラスを使用した。
裏面保護シート35、充填層4、および表面保護シート2の接合には、真空ラミネータ装置を使用した。
具体的には、表面保護シート2上に充填層4、裏面保護シート35を積み重ねたものを、真空ラミネート装置内に配置し、3分間真空引きした後、真空中で150℃10分間熱をかけてプレスし、封止した。
このように、150℃の温度で加熱してプレスすることで、充填層4を構成するEVA樹脂に架橋構造を持たせ、充填層4の耐熱性、耐薬品性を向上させることができる。
[実施例2〜9]
実施例2〜9は、上記実施例における成分〔C〕の含有量を、それぞれ、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、1重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%に変更した以外は、上記実施例1と同様の構成を有するものであり、上記実施例1と同様の方法で製作した。
[実施例10〜19]
実施例10〜19は、上記実施例6(成分〔C〕の含有量が3重量%)の光反射層34の膜厚を、それぞれ、10nm、15nm、20nm、30nm、35nm、40nm、50nm、55nm、60nm、65nmに変更した以外は、上記実施例6と同様の構成を有するものであり、上記実施例6と同様の方法で製作した。
[比較例1]
比較例1は、上記実施例1の凹凸形状層32に代えて、実施例1と同形状の凹凸形状層を、実施例1に用いた活性エネルギー線硬化樹脂から成分〔C〕を除去した活性エネルギー線硬化樹脂によって形成した以外は実施例と同様の構成を有するものであり、上記実施例1と同様の方法で製作した。
[耐性試験]
裏面保護シート35の機能としては太陽電池モジュール1Aの背面を保護する機能があり、例えば、十数年の間、自然環境に耐え得る構成でなければならない。
そこでこのような耐性の有無を検査するために、恒温恒湿試験機を用い、耐性試験を実施した。
実施例1〜19、比較例1の各評価サンプルの耐性試験は、各評価サンプルを、105℃、100%RHの環境下に192時間放置して行った。
[評価]
この耐性試験後、各評価サンプルの接着力(剥離強度)測定と、透過率測定とを行った。
接着力(剥離強度)測定では、カッターを用いて各評価サンプルの表面保護シート2を除く裏面保護シート35と充填層4とを10mm幅のサイズに裁断した。そして、裁断された評価サンプルに、光反射層34と接着層36との間で剥離するように剥離のキッカケを設け、25℃、50%RH環境下で、ピール速度300mm/minにて剥離し、その際の接着力を測定した。
透過率測定は、光反射層34が腐食していないかどうかを確認するために行うもので、分光光度計を使用して各評価サンプルの透過率を測定した。
なお、外観の観察からもアルミ腐食の有無を確認することができるように、入射光は、可視光を照射し、透過率の測定は、波長450nmで行った。
これらの評価結果を、下記表1、表2に示す。
Figure 2013074285
Figure 2013074285
表1には、成分〔C〕の含有量を変えた実施例1〜9と、比較例1との評価結果をまとめた。表2には、光反射層34の膜厚を変えた実施例10〜19の評価結果を実施例6の評価結果とともにまとめた。
上記表1、2に示す評価の基準について説明する。
接着力に関しては、本耐性試験における許容値を2.0N/10mmとしている。
このため、接着力の測定値が、4.0N/10mm以上の場合を「◎」で表し、2.0N/10mm以上4.0N/10mm未満の場合を「○」で表し、1.0N/10mm以上2.0N/10mm未満の場合を「△」で表し、1.0N/10mm未満の場合を「×」で表した。
透過率に関しては、光反射層34の腐食が発生しない場合には、透過率が0.5%以下になるが、光反射層34の腐食が進むと反射性能が悪化し透過率が上昇していく。本耐性試験における透過率の許容値は1.5%としている。
このため、透過率の測定値が、1.0%以下の場合を「◎」で表し、1.0%を越え1.5%以下の場合を「○」で表し、1.5%を越え2.0%以下の場合を「△」で表し、2.0%を越える場合を「×」で表した。
表1に示すように、成分〔C〕であるシランカップリング剤の含有量が、0.1重量%の実施例1では、本耐性試験の許容値では、許容範囲外の「△」であるが、比較例1(「×」)と比べると接着力は優れている。これに対して、成分〔C〕の含有量が0.4重量%〜6重量%の実施例2〜9では、接着力が許容範囲内となった。また、0.5重量%〜5重量%の実施例3〜8では、接着力の評価がすべて「◎」となっており、特に優れた評価結果が得られた。
これは、成分〔C〕が少なすぎると、光反射層34のアルミニウムと反応する官能基の量が十分でないために接着力に不良が発生していると考察される。また成分〔C〕が過剰に存在する場合では活性エネルギー線重合反応により硬化体を形成する凹凸形状層32と透光性絶縁層30との層間接着に影響が発生し、接着力に不良が発生していると考察される。
また、透過率については、表1に示すように、比較例1、実施例1では、許容範囲外となった。実施例2〜9はいずれも良好(「◎」)であった。
これは、成分〔C〕であるシランカップリング剤が光反射層34のアルミニウム表面に配向し、撥水性をもったため耐熱性、耐湿性等の耐久性に優れ、アルミニウムの腐食が抑制され、透過率に影響がなかったと考察される。
以上のことから耐熱性、耐湿性等の耐久性に優れた裏面保護シート35を得るためには活性エネルギー線硬化樹脂の組成分には成分〔C〕が必要不可欠であることが分かる。また、好ましくは、成分〔C〕の含有量が0.5〜5重量%であることが望ましい。
表2に示すように、光反射層34の膜厚と対照させた評価結果によれば、膜厚65nmの実施例19のみで接着力がやや劣る結果となった(「○」)。
これは、蒸着物であるアルミニウムが厚くなることで、クラックが生じその隙間に接着層36が侵食などして接着層36が接する表面積が大きくなり密着不良が発生したと考察される。
また、透過率については、表2に示すように、膜厚15nm以下の実施例10、11では許容範囲外となった。これに対して、膜厚20nm〜65nmの実施例12〜19では許容範囲内となった。
これは、アルミニウムの蒸着膜厚が薄いと、腐食がなくても透過率が上昇するためと考察される。
以上のことから反射に利用できる光を十分に活用でき層間密着も特に良好となる範囲として光反射層34の厚みは30〜60nmであることが望ましい。
なお、本耐性試験で設定した許容値は、太陽電池モジュールの耐久仕様の一例に対応した許容値である。したがって、太陽電池モジュールの耐久仕様によっては、本耐性試験で許容範囲外となった成分〔C〕の含有量、光反射層34の膜厚の条件を採用することが可能である。
本発明の太陽電池モジュールは太陽電池の分野では強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、光反射性等の諸堅牢性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高く、光の効率向上に利用が期待される。また太陽電池モジュールに備えられた裏面保護シートはディスプレイ部材や照明装置などの各種光学機器にも利用が可能である。
1、1A、1B 太陽電池モジュール
2 表面保護シート
4 充填層
10 太陽電池セル
12 入射光
14 反射光
20 光源
25、35、45 裏面保護シート
30、37 透光性絶縁層
32 凹凸形状層
33、33A、33B 凹凸部
34 光反射層
36 接着層
40 凹凸形状層(被覆層)

Claims (10)

  1. 太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールであって、
    前記裏面保護シートは、
    微細な凹凸形状が一方の表面に形成された凹凸形状層と、
    該凹凸形状層の前記一方の表面に、前記凹凸形状に倣う凹凸状に形成された光反射層と、
    を備え、
    前記凹凸形状層は、
    前記光反射層を防食する活性エネルギー線硬化樹脂で形成された
    ことを特徴とする太陽電池モジュール。
  2. 前記活性エネルギー線硬化樹脂は、
    活性エネルギー線重合反応により硬化体を形成するベース樹脂材料からなる第1の成分と、
    重合開始剤からなる第2の成分と、
    下記式(1)で表される構成単位を含む金属アルコキシド成分と、
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
    Figure 2013074285
    ただし、式(1)において、Yは各種合成樹脂などの有機質材料と化学結合する有機官能基、Mは金属、OXは加水分解性基、nは0以上2以下の整数を表す。
  3. 前記裏面保護シートは、
    前記充填層の方から、前記光反射層と前記凹凸形状層とがこの順に積層し、
    該凹凸形状層の前記光反射層と反対側の表面に、該凹凸形状層を保護する透光性絶縁層が積層された
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記裏面保護シートは、
    前記光反射層の前記凹凸形状層と反対側の表面に、前記光反射層の凹凸形状に倣う凹凸状に形成されるとともに、前記光反射層を防食する活性エネルギー線硬化樹脂で形成された被覆層を、さらに備える
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記凹凸形状層と、前記被覆層とが、同じ構成を有する材料で形成された
    ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール。
  6. 前記裏面保護シートは、
    少なくとも一方の表面に前記光反射層を覆う積層体が形成され、該積層体の可視光線透過率は80%以上である
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  7. 前記活性エネルギー線硬化樹脂は、
    前記第1の成分および前記第2の成分の合計の含有量に対し、前記金属アルコキシド成分が0.5重量%〜5重量%含有された
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  8. 前記金属アルコキシド成分は、
    式(1)で表される前記構成単位のMが、Si、Ti、Al、およびZrのうちのいずれかの金属からなる
    ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池モジュール。
  9. 前記光反射層の厚みが30nm〜60nmである
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  10. 前記光反射層の凹凸形状は、
    前記光反射層への入射光の反射光の散乱方向を制限して、一定方向に指向性を有する非等方性散乱構造の凹凸形状である
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107994860A (zh) * 2017-12-08 2018-05-04 中天科技精密材料有限公司 一种耐腐蚀的光伏组件用的光全反射膜

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