まず、本発明に係る太陽電池モジュール200の一例について説明する。
図1は本発明の太陽電池モジュール200に係る一様態を示す断面図である。本実施例の太陽電池モジュール200は、前面板22と、充填層21と、太陽電池セル30と、光再利用シート20とを有する。
前面板22は、太陽光や照明光などの光源Sの光を透過するものであり、太陽電池セル30を衝撃、汚れ、水分の浸入等から保護するものであり、光の透過率が高い透明な材料からなる。光源Sの光が太陽光・照明光の側Fより入射面110に垂直に入射する光H0は、前面板22に入射後、前面板22を透過し、充填層21に射出する。
尚、入射面110の法線NGは、平面P上に前面板22を水平に置いた状態における平面Pの法線と平行な方向である。また、入射面110に垂直に入射する光H0とは、法線NGに平行に太陽電池モジュール200に入射する光のことである。
前面板22の材質は、強化ガラス、サファイアガラス等のガラスあるいは、PC(ポリカーボネート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等の樹脂シートである。前面板22の厚さは強化ガラスであれば約3〜6mm、樹脂シートであれば100μm〜3000μmのものが用いられる。
前面板22を射出した光H1は充填層21に入射する。充填層21は、矩形平板状の太陽電池セル30を複数面一に並べて封止するものである。前面板22に入射した光H0の一部は、充填層21を透過して太陽電池セル30へと射出される光H10となり、光H0の一部は、充填層21を透過して光再利用シート20に射出される光H1となる。充填層21は、入射した光H0を透過させるため光線透過率が高い材料が用いられ、例えば難燃性のEVA(エチレン・ビニル・アセテート)が広く使用されている。
さらに、太陽電池セル30は、光電効果により受光面Jに入射した光を電気へと変換する機能を持ち、単結晶シリコン型太陽電池、多結晶シリコン型太陽電池、薄膜シリコン型太陽電池、CdTe(Cd・Teの化合物)系、CIGS(Cu・In・Ga・Seの化合物)系等の化合物薄膜太陽電池など多くの種類が存在する。太陽電池セル30は、複数個を電極で接続し、モジュールを形成して用いられる。充填層21から太陽電池セル30に入射した光H10は、太陽電池セル30で電気へと変換される。
通常、入射面110に対し斜めに入射した光は、垂直入射の光H0と比較して入射面110で反射する割合が多く、太陽電池セル30に入射する光が少なく、発電に利用できる光が少ない。そのため、入射光が入射面110に垂直近辺で入射するとき、最も効率が高い。
光再利用シート20は、太陽電池セル30自体を透過した光や、太陽電池セル30の間に入射した光を、反射面100で反射する機能を有する。反射された光H2は、前面板22と大気の間等の界面で再度反射され、太陽電池セル30の受光面Jに入射する光H3となり光電変換される。これにより、光再利用シート20が無い構成と比較して、光利用効率が向上する効果がある。
反射光H2の進む方向は、本発明の反射面100の凹凸構造により制御でき、多くの光を受光面Jに入射させることができる。
以下、図3を参照し、反射面100の凹凸構造について、その法線N0を用いて説明する。反射面100は、例えば互いに平行なステップ状をなすように、直線状かつ平面状に複数設けられる。
尚、反射面100の法線N0は、反射面100上の任意の一点で、その点での接平面に垂面な直線である。また、シート法線NBとは、平面P上に光再利用シート20を安定した状態で置いたときの平面Pの法線と平行な直線である。また、反射面100の平面Pに対する角度θは、反射面100の法線N0とシート法線NBとの交差角度に相当する。
通常、シート法線NBは、入射面110の法線NGに対して平行になるように配置されるため、入射光H1は、シート法線NBに対して平行に入射する。
反射光H2の反射率は、その入射面110への入射角度により大きく変化する。図2に入射角度による反射率の変化を示す。この図2からわかるように、臨界角度θcを境として大きく反射率が変化することが知られている。
この臨界角度θcは、前面板22の屈折率をngとすると、下記数式1で示される。
この臨界角度θc以上の角度で入射面110に入射した光H2は、入射面110で全反射される。
また、充填層21の屈折率をne、反射光H2の法線NGに対する角度をθ2とすると、スネルの法則より、下記数式2が得られる。
上記数式1と数式2により、下記数式3が得られる。
尚、充填材が複数の層からなっていた場合には、反射面100上の材料の屈折率をnoとして、下記数式4が得られる。
このθ2は、反射面100の角度θに対し、下記数式5で示される。
上述より、反射面100の角度θは、下記数式6で示される。
このとき、反射光H2は、前面板22に全反射する。
上述のように、光再利用シート20は、太陽電池セル30の間に入射した光H1を反射面100で反射する機能を有する。反射された光H2は、前面板22と大気の間の界面で再度反射され、太陽電池セル30の受光面Jに入射する光H3となり光電変換される。これにより、光再利用シート20が無い構成と比較して光利用効率が向上する効果がある。
しかし、上述の効果は、太陽電池セル30及び光再利用シート20の寸法・配置と、入射光H1及び射出光H2のなす角度βとの関係が適切な範囲である場合にのみ得られる。
また、上記の条件は、入射光が太陽電池セル30に対して垂直に入射した場合の条件であるが、実際は太陽が一年間動いているため、天候の状況で変わることもある。さらに、太陽電池セル30の地面に対する設置傾斜角度にも影響を受ける。
その上、太陽電池モジュール200は太陽電池セル30の2次元アレイとなっているため、光再利用シート20を垂直方向、水平方向、及び斜め方向で設置することが可能であり、太陽電池セル30間の縦方向及び横方向の間隔(隙間)との関係を考慮しながら、最適な角度で光再利用シート20を設置することにより、上述の効果を高めることができる。
以下、図4から図9を参照し、上述の太陽電池セル30及び光再利用シート20の寸法・配置・回転角度として、太陽電池セル30間の横・縦間隔GxとGy及び寸法L、太陽電池セル30の傾斜角度Σ、光再利用シート20の回転角度φを変えた各場合に分けて説明する。
尚、図4から図9では、太陽電池セル30に対する光の説明であるため、光再利用シート20の反射面100の凹凸形状を図示していない場合がある。
図4では、太陽電池セル30を正面(面直方向)から見ており、光再利用シート20の凹凸形状方向(反射面100の延在方向)は、太陽電池セル30の図4における下辺312に沿う方向(横方向、図に示すx方向)に対して、面沿いの回転角度φで設置されている。太陽電池セル30の縦方向(図に示すy方向)の寸法は、横方向の寸法と同じ寸法Lを示している。なお、図中符号311、321、322は、太陽電池セル30の図4における上辺、左辺、右辺をそれぞれ示す。
図5(a)は、図4のA―A’断面構造を表している。太陽電池セル30の真正面(+z方向)から入射した光の一部は、光再利用シート20に入射して、射影状況によると、AA’とzを決める面内では、光がy方向に反射されて、さらに前面板22で再度反射されて、太陽電池セル30に届く。
図5(b)は、図4のB―B’断面構造を表している。太陽電池セル30の真正面(+z方向)から入射した光の一部は、光再利用シート20に入射して、射影状況によると、BB’とzを決める面内では、光がx方向に反射されて、さらに前面板22で再度反射されて、太陽電池セル30に届く。
なお、図5(a)と図5(b)の光再利用シート20の断面は互いに異なるが、その理由は光再利用シート20が回転角度φで設置されているためである。
図6は、地理学的に太陽電池モジュール200の設置パラメーターを示す。図6は太陽電池モジュール200を北半球に設置した場合の一般的な例である。このとき、太陽電池モジュール200は南向きが望ましいと一般的に知られている。図6では、太陽電池モジュール200のパラメーターとして、太陽電池モジュール200の傾斜角度Σと光再利用シート20の回転角度φとを示してある。また、太陽電池モジュール200の横方向をx方向、縦方向をy方向と設定し、太陽電池モジュール200の正面方向はz方向とする。
図7は、北半球での6月と12月における一日中かつ一時間毎の太陽の位置を示す。地球の地軸は公転面に対して傾いているため、地球から空における太陽の位置の天項角と方位角が変わる。また、緯度に対しても太陽の位置が変わる。図7ではアメリカ・アリゾナ州での太陽の位置を示している。
図8と図9は、図6と図7に示しているパラメーターに対して、一年間日射のシミュレーションを行った結果を示すグラフである。図8と図9のシミュレーション結果に使った緯度、経度データは、アメリカのアリゾナ州フィニックスを使用している。また、日射データは、アメリカのNationalSolarRadiationDataBase公文書から、1961年〜1995年の平均データを使用している。尚、図8と図9で示される入射光量比較は、太陽電池セル30のみの場合(光再利用シート20が無い場合)を1としている。また、太陽電池セル30間の間隔の影響を出さない様に、太陽電池セル30を一つにしている。そうすることによって、最大の効率向上を図ることができ、最適な条件(太陽電池セル30間の縦・横間隔等)を得ることができる。
図8は、光再利用シート20のプリズム角度α(図3参照)と傾斜角度Σとの関係を示すグラフである。図8では、光再利用シート20のプリズム回転角度φを0度としている。アリゾナ州フィニックス市の緯度は33度のため、傾斜角度は25度から45度の間でシミュレーション行った。結果としては、太陽電池セル30への入射光量のピークは、プリズム角度にあまり関係なく、太陽電池セル30の傾斜角度が35度近辺にあるときであった。また、一番入射光量を向上させる光再利用シート20のプリズム角度は120度であった(±11%)。すなわち、プリズム角度が120度より大きい130度の場合、及び120度より小さい110度の場合には、何れも入射光量が下がることから、最適なプリズム角度が120度であることがわかった。
図9は、光再利用シート20のプリズム角度αを120度に設定した場合における光再利用シート20のプリズム回転角度φと傾斜角度Σとの関係を示すグラフである。このときにも、太陽電池セル30への入射光量のピークは、プリズム回転角度に関係なく、太陽電池セル30の傾斜角度が35度近辺にあるときであった。また、一番入射光量を向上させる光再利用シート20のプリズム回転角度は0度であり、一番入射光量を下げる光再利用シート20のプリズム回転角度は90度であった。この入射光量比較では、回転角度φが0度から45度の間で変わるときに、ピークの変化が少なくスムーズであることから、回転角度φは0度から30度程度が使用可能といえる。更に、回転角度φは0度から30度程度が望ましい。また、光再利用シート20の傾斜角度Σは、太陽電池モジュール200の設置場所の緯度と±10度で使用可能といえる。
図10から図12には、1年間日射シミュレーション結果(図9と同じシミュレーション)により、太陽電池セル30の面積の入射光の全放射照度を示す。太陽電池セル30は一般的なサイズ(156mm角)、太陽電池モジュール200は一般的な構成であり、光再利用シート20のプリズム角度αは120度に設定し、傾斜角度Σは35度に設定してある。
図10(a)、図11(a)、図12(a)の三次元グラフでは、x方向とy方向が太陽電池セル30の横方向と縦方向を示し、z方向は太陽電池セル30の任意の縦横位置での放射照度を示す。また、図10(b)、図11(b)、図12(b)では、図10(a)、図11(a)、図12(a)それぞれの三次元グラフの所定のx方向位置及びy方向位置での断面を示す。
図10は光再利用シート20の回転角度を0度(反射面100の凹凸形状方向を太陽電池モジュール200の横方向辺と平行)にした場合の結果を示す。図10(a)から、太陽電池セル30の4辺近辺の放射照度が太陽電池セル30の中心側の放射照度より高いことが分かる。これは、光再利用シート20があるからである。又、光再利用シート20の回転角度を0度に設定しているから、y方向両側の放射照度がx方向両側のそれより高いことが分かる。また、図10(b)から、y方向両側の放射照度のピークがx方向側のそれの約2倍となっていることが分かる。
図11は光再利用シート20の回転角度を45度にした場合の結果を示す。図11(a)から、太陽電池セル30の4辺近辺の放射照度が太陽電池セル30の中心側の放射照度より高いことが分かる。これは、上記同様、光再利用シート20があるからである。又、光再利用シート20の回転角度を45度に設定しているから、y方向両側の放射照度とx方向両側の放射照度とが同等であることが分かる。また、図11(b)から、x方向・y方向両側の放射照度のピークが互いに同等になっていることが分かる。
図12は光再利用シート20の回転角度を90度にした場合(反射面100の凹凸形状方向を太陽電池モジュール200の縦方向辺と平行)にした場合の結果を示す。図12(a)から、太陽電池セル30の4辺近辺の放射照度が太陽電池セル30の中心側の放射照度より高いことが分かる。これは、上記同様、光再利用シート20があるからである。又、光再利用シート20の回転角度を90度に設定しているから、y方向両側の放射照度がx方向両側のそれより低いことが分かる。また、図12(b)から、y方向両側のピークが非常に小さく、x方向両側にだけピークが現れることが分かる。この理由は、太陽の動き(東西方向)が光再利用シート20のプリズム角度αと垂直になっているから、光再利用シート20の機能が薄くなるためである。このことから、回転角度φは概ね0度±45度が好ましいことが分かる。
図10(b)、図11(b)、図12(b)から、太陽電池セル30間の最適な隙間の情報が得られる。図21に示すように、光再利用シート20に垂直入射して太陽電池セル30の受光面Jに至る光の幅(領域)Aは、太陽電池セル30の幅であるときが最大になる。光再利用シート20に垂直入射した光の幅(領域)Bは、太陽電池セル30に干渉して受光面Jに至らない。この幅Bは、反射面100から太陽電池セル30の受光面Jまでの距離(高さ)Cが前面板22の前面(太陽電池前面)から前記光再利用シート20の反射面100までの距離(高さ)Hより小さいことから、実際小さく、一次近似として幅Bを無視した場合には、最適な太陽電池セル30間の隙間が太陽電池セル30に入射した光の幅Aとなる。そうなると、図10から図12のプリズムシート20の回転角度φによる最適な隙間(間隔)がピークの幅となる。各ケースでの縦方向・横方向の隙間を表1に示す。
表1より、回転角度φを0度±45度とすると、太陽電池セル30間の縦方向間隔Gyと横方向間隔Gxとの関係は、Gx≦Gy≦2Gxの式を概ね満たすことが分かる。
また、φ=0度の場合には、凹凸形状方向との直交方向での太陽電池セル30間の間隔は前記縦方向間隔Gyとなり、この間隔Gyと前記太陽電池前面から光再利用シート20の反射面100までの高さHとの関係は、2H≦Gy≦8Hの式を概ね満たすことが分かる。
上述の太陽電池モジュール200で用いられる光再利用シート20は、図13に示すように、構造層3、反射層4、基材2から構成される。
構造層3に凹凸形状を形成する方法として、型に反射面100の凹凸形状を形成した面に熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等を塗布または注入し、その上に基材2を配置して、硬化処理後にスタンパから離型する方法が挙げられる。
また、図14に示すように、基材2を用いずに構造層3及び反射層4からなる光再利用シート20の作製方法としては、型を用いたプレス法・キャスティング法・射出成形法等により一体成形する方法が挙げられる。上述の方法によれば、シート形成と同時に、凹凸形状を形成することができる。
反射面100を形成する型としては、機械切削により作製されたものを用いることができる。また、上述の型をもとにさらに複版した型を用いることができる。この際、凹凸形状の先端形状は、凹凸形状の先端に傷が付くのを防止するため、凹凸形状の先端が丸みを帯びた形状のものが望ましい。
また、反射面100の凹凸形状は周期構造を有していてもよい。さらに、上述の反射面100の凹凸形状は、三角形、台形、多角形のプリズム状の形状やシリンドリカルレンズのような、各種レンズ・プリズム形状、あるいは半球状でも良い。このとき、反射面100の凹凸形状の構造の周期のピッチとしては、300μm以下であることが望ましく、より望ましくは、200μm以下である。上述の構造の周期のピッチが300μmより大きい場合には、反射面100を成型するときの凹凸形状の先端部分の型に樹脂が十分に入らないため成型性が悪い。上述の構造の周期のピッチが200μm以下であれば、比較的粘度の高い樹脂でも成型が可能となる。
また、上述の構造の周期のピッチが小さいと型の作製が難しくなるため、25μm以上であることが望ましく、より望ましくは50μm以上であることが望ましい。上述の構造の周期のピッチが25μmより小さいと、型を切削する時間が長くタクトが落ち生産効率が悪い。上述の構造の周期のピッチが50μmより小さいと、反射面100を成形する際に樹脂がうまく凹凸形状の溝に入らず凹凸形状の先端部分の形状を型どおり作製することができない。
さらに、構造層3の厚さは、特には限定されないが、例えば30μm以上、500μm以下である。
上述の製造法は、以下の材料との適性により適宜選択するのが良い。
構造層3を形成するポリマー組成物中には、ポリマー組成物の他に例えば散乱反射体、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
上述のポリマー組成物としては、特に限定されるものではなく、例えばポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル―(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。
上述のポリウレタン系樹脂の原料であるポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールや、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2―ヒドロキシエチル、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2―ヒドロキシエチル、メタクリル酸2―ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4―ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM―1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
また、上述のポリオールは、アクリル酸エチル、アクリル酸n―プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n―ブチル、アクリル酸tert―ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n―プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n―ブチル、メタクリル酸tert―ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1―メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N―メチロールアクリルアミド、N―ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上述の(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合することで製造することもできる。
水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5―ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4―トリメチル―1,3―ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノルA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
上述の水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
当該ポリマー組成物のポリマー材料として用いられるポリオールとしては、上述のポリエステルポリオール、及び、上述の水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールをポリマー材料とすれば耐候性が高く、構造層3の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
なお、上述のポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
構造層3を形成するポリマー組成物中に散乱反射体を反射性能、耐熱性能を向上させるため含有すると良い。ポリマー組成物中に散乱反射体を含有することで、構造層3ひいては光再利用シート20の耐熱性が向上させることができ、かつ屈折率がポリマー組成物と大きく異なるものを用いれば、光を反射させることができる。
尚、これにより十分な反射率が得られる場合には、図15、図16に示すように反射層(金属反射層)4を設けなくても良い。この散乱反射体剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、シリカ等を用いることができ、シリカの中空粒子を用いることもできる。また、ZnS等の金属化合物を用いることもできるが、特にTiO2、ZrO、Al2O3等の金属酸化物が望ましい。このうち、TiO2は、屈折率が高く、分散性も得られやすいため好ましい。さらに、散乱反射体の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
散乱反射体の平均粒子径の下限としては、0.1μmが好ましく、上限としては30μmが好ましい。平均粒子径が0.1μmより小さいと光を十分に反射しない。また、平均粒子径が30μmより大きいと粒子に起因する凹凸が表面にでてしまい、所望の凹凸形状を形成することが難しい。
散乱反射体のポリマー組成物100部に対する配合量の下限としては固形分換算で30部が好ましい。一方、散乱反射体の上述の配合量の上限としては100部が好ましい。これは、無機充填剤の配合量が30部より少ないと、充填層21から構造層3に入射する光を十分に反射することができない。逆に、配合量が100部を越えると、成型性が悪い。
上述の散乱反射体としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定の散乱反射体を用いることで、ポリマー組成物での分散性やポリマー組成物との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
上述の有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル―スチレン系樹脂、(メタ)アクリル―ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上述のポリマー組成物と相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物と同じ組成であるものが最も好ましい。
上述のポリマー組成物としてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。ポリマー組成物としてのポリオール中にシクロアルキル基を導入することで、ポリマー組成物の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での構造層3ひいては光再利用シート20の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、構造層3の耐候性、硬度、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された散乱反射体との親和性及び散乱反射体の分散性がさらに良好になる。
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、構造層3の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上述の多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
なお、散乱反射体は、内部に有機ポリマーを包含していてもよい。これにより、散乱反射体のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
上述の有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量は特に限定されないが、散乱反射体1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。アルコキシ基により、ポリマー組成物との親和性や、ポリマー組成物中での分散性を向上させることができる。
上述のアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n―プロピル、イソプロピル、n―ブチル等が挙げられる。散乱反射体を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、散乱反射体がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
有機ポリマーを固定した散乱反射体の有機ポリマーの含有率については、特に制限されないが、散乱反射体を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
光再利用シート20において、反射層4を用いる場合には、その密接着性等を向上させるため、反射層4の蒸着対象面(構造層3の表面)に表面処理を施すとよい(図示せず)。このような表面処理としては、例えば(a)コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理、及び(b)プライマーコート処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理、蒸着アンカーコート処理などが挙げられる。これらの表面処理の中でも、反射層4との接着強度が向上し、緻密かつ均一な反射層4の形成に寄与するコロナ放電処理及びアンカーコート処理が好ましい。
上述のアンカーコート処理に用いるアンカーコート剤としては、例えばポリエステル系アンカーコート剤、ポリアミド系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤、エポキシ系アンカーコート剤、フェノール系アンカーコート剤、(メタ)アクリル系アンカーコート剤、ポリ酢酸ビニル系アンカーコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系アンカーコート剤、セルロース系アンカーコート剤などが挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、反射層4の接着強度をより向上することができるポリエステル系アンカーコート剤が特に好ましい。
上述のアンカーコート剤のコーティング量(固形分換算)は、1g/m2以上、3g/m2以下が好ましい。アンカーコート剤のコーティング量が1g/m2より少ないと、反射層4の密着性向上効果が小さくなる。一方、当該アンカーコート剤のコーティング量が3g/m2より多いと、光再利用シート20の強度、耐久性等が低下するおそれがある。
なお、上述のアンカーコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、ブロッキングを防止するためのブロッキング防止剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤等の各種添加剤を適宜混合することができる。かかる添加剤の混合量としては、添加剤の効果発現とアンカーコート剤の機能阻害とのバランスから0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。上述の添加剤が、0.1重量%未満では、ブロッキングを十分に防止できず、耐候性が十分に得られず、10重量%より多いと、トップコート剤の機能を阻害してしまう。
反射層4は、光再利用シート20に入射する光を反射するものであり、例えば構造層3の凹凸形状が形成された面に沿って金属を蒸着することで形成される。反射層4の蒸着手段としては、構造層3に収縮、黄変等の劣化を招来することなく金属を蒸着できれば特に限定されるものではなく、(a)真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法 PVD法)、(b)プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法 CVD法)が採用される。これらの蒸着法の中でも、生産性が高く良質な反射層4が形成できる真空蒸着法やイオンプレーティング法が好ましい。
反射層4に用いられる金属としては、金属光沢を有しかつ蒸着が可能であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム、銀、金、ニッケル、スズ、ジルコニウム等が挙げられる。中でも、反射性が高く、緻密な反射層4が比較的容易に形成されるアルミニウムが好ましい。
なお、反射層4は、単層構造でもよく、二層以上の多層構造でもよい。反射層4を多層構造とした場合には、蒸着の際に懸かる熱負担の軽減により構造層3の劣化が低減され、さらに構造層3と反射層4との密着性等を改善することができる。このとき、金属膜の上に酸化金属層を設けても良い。また、上述の物理気相成長法及び化学気相成長法における蒸着条件は、構造層3や基材2の樹脂種類、反射層4の厚さ等に応じて適宜設計される。
反射層4の厚さの下限としては、10nmが好ましく、20nmが特に好ましい。一方、反射層4の厚さの上限としては、200nmが好ましく、100nmが特に好ましい。反射層4の厚さが10nmの下限より小さいと、充填層21から反射層4に入射する光を十分に反射することができない。また、20nm以上の厚さであっても、上述の反射層4で反射される光は増えないため、20nmであれば十分な厚さといえる。一方、反射層4の厚さが200nmの上限を超えると、反射層4に目視でも確認できるクラックが発生してしまう。
また、反射層4の外面には、トップコート処理を施すとよい(図示せず)。このように反射層4の外面にトップコート処理を施すことで、反射層4が封止及び保護され、その結果、光再利用シート20のハンドリング性が良くなる。また、反射層4の経年劣化も抑えられる。
上述のトップコート処理に用いるトップコート剤としては、例えばポリエステル系トップコート剤、ポリアミド系トップコート剤、ポリウレタン系トップコート剤、エポキシ系トップコート剤、フェノール系トップコート剤、(メタ)アクリル系トップコート剤、ポリ酢酸ビニル系トップコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系トップコート剤、セルロース系トップコート剤などが挙げられる。かかるトップコート剤の中でも、反射層4との接着強度が高く、反射層4の表面保護、欠陥の封止等に寄与するポリエステル系トップコート剤が特に好ましい。
上述のトップコート剤のコーティング量(固形分換算)は、3g/m2以上、7g/m2以下が好ましい。トップコート剤のコーティング量が3g/m2より小さいと、反射層4を封止及び保護する効果が小さくなるおそれがある。一方、当該トップコート剤のコーティング量が上7g/m2を超えても、上述の反射層4の封止及び保護効果があまり増大せず、かえって光再利用シート20の厚さが増大してしまう。
なお、上述のトップコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤、耐熱性等を向上させるための無機フィラー等の各種添加剤を適宜混合することができる。かかる添加剤の混合量としては、添加剤の効果発現とトップコート剤の機能阻害とのバランスから0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。上述の添加剤が、0.1重量%未満では、密接着性、耐候性、耐熱性が十分に得られず、10重量%より多いと、トップコート剤の機能を阻害してしまう。
上述の光再利用シート20を構成する基材2は、合成樹脂を材料とするシート成形により形成されている。かかる基材2に用いられる合成樹脂としては、屋外に設置されることを鑑み、耐水性、紫外線に対する耐久性等の耐候性を有しているものが望ましく、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル―(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、エポキシン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
上述の樹脂の中でも、高い耐熱性、強度、耐候性、耐久性、水蒸気等に対するガスバリア性等を有したものとして、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂が好ましい。
上述のポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂の中でも、耐熱性、耐候性等の諸機能面及び価格面のバランスが良好なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
上述のフッ素系樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)やテトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)が特に好ましい。
上述の環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、a)シクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)、シクロヘキサジエン(及びその誘導体)、ノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンを重合させてなるポリマー、b)当該環状ジエンとエチレン、プロピレン、4―メチル―1―ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系モノマーの1種又は2種以上とを共重合させてなるコポリマー等が挙げられる。これらの環状ポリオレフィン系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるシクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)又はノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンのポリマーが特に好ましい。
なお、基材2の形成材料としては、上述の合成樹脂を1種又は2種以上混合して使用することができる。また、基材2の形成材料中には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。この添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填材、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。上述の基材2の成形方法としては、特に限定されず、例えば押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の公知の方法が採用される。
基材2を用いる場合には、その厚さは25μm以上、500μm以下が好ましく、250μm以下が特に好ましい。基材2の厚さが25μmより薄いと、紫外線硬化樹脂等の硬化収縮の影響により、構造層3の塗工加工際にカールが発生し、太陽電池モジュール200に組み込む際に不具合が発生する。逆に、基材2の厚さが500μmを超えると、フィルム重量が増してしまい、太陽電池モジュール200の重量も増してしまう。250μm以下であれば、より軽量の太陽電池モジュール200を実現できる。
また、基材2、構造層3、基材2中に紫外線安定剤又は分子鎖に紫外線安定基が結合したポリマーを含有することも可能である。この紫外線安定剤又は紫外線安定基により、紫外線で発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、光再利用シート20の紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。この紫外線安定剤又は紫外線安定基としては、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤又はヒンダードアミン系紫外線安定基が好適に用いられる。
このような特徴の光再利用シート20を用いた太陽電池モジュール200によれば、隣り合う太陽電池セル30の間の間隔Gに入射する光を光再利用シート20の反射面100で反射し、太陽電池セル30に入射させることができる。これにより、隣り合う太陽電池セル30の間の間隔Gに入射する光も利用することができ、太陽電池モジュール200の発電効率を向上させることが可能となる。
光再利用シート20は、図17のように光再利用シート20の反射面100の裏面を充填層21側に向けて配置することもできる。
また、図18のように、この光再利用シート20に10μmから30μmのアルミ層や10nmから100nmのシリカ層からなるバリア層40を有したものを用いることができる。
また耐久性を上げるために、PVF(ポリフッ化ビニル樹脂)を塗布または、ポリフッ化ビニル樹脂を有したフィルムを張り合わせて、太陽電池モジュール200を保護するようにしてもよい。このようにすることにより、太陽電池モジュール200をバックシートして用いることもできる。
また、図19のように、この光再利用シート20は、LEDやEL素子等の固体の発光素子50からの光を再利用するのにも利用可能である。
図19に本発明の光源モジュール210に係る一様態の断面図を示す。光源モジュール210は、充填層21と、発光素子50と、光再利用シート20とを有する。
発光素子50は、エレクトロルミネッセンスにより電気を光へと変換する機能を持ち、受発光面160から射出する。発光素子50は、LED、有機EL、無機EL等の固体の発光ダイオードが好ましく用いられる。
充填層21は、発光素子50を封止するものである。発光素子50から射出した光は、充填層21を透過し、一部は射出面150に入射する光M30となり、一部は射出面150で反射する光M31となる。充填層21の材料は、充填層21に入射する光を透過させるため光線透過率が高い材料が用いられ、透過性の高いアクリル樹脂等が好ましく用いられる。なお、射出面150から外部に射出する光を符号M0で示す。
発光素子50から射出した光のうち、射出面150で反射する光M31は、発光素子50間の隙間(間隔)R2を経て光再利用シート20の反射面100に入射する。反射面100に入射した光M2は、反射面100で再度反射して射出面150に入射し、この光M1が射出面150から外部に射出する。これにより、光再利用シート20が無い構成と比較して光利用効率が向上する効果がある。
しかし、上述の効果は、発光素子50及び光再利用シート20の寸法・配置と、反射光M1及び反射面100に入射する光M2のなす角度βとの関係が、適切な範囲である場合にのみ得られる。この関係は、前記数式1を満たすのが好ましく、さらに数式2、3を満たすのがより好ましい。
実施例1は、基材2として250μmのPETフィルムを用い、構造層3として紫外線硬化アクリル系樹脂からなるピッチが200μmの反射面100の頂角が120°である三角プリズム状の凹凸構造を形成したものを積層し、金属反射層4として100nmのアルミ層を蒸着法により形成して光再利用シート20を得た。このようにして作製された光再利用シート20を用いて、太陽電池モジュール200を作製した。前面板22として約3mmのガラス板、前面板22から0.5mmの位置に、太陽電池セル30が配置されるように、厚さ約0.5mmになるようにEVAを充填し充填層21を形成した。太陽電池セル30として150mm角、厚み0.2mmの多結晶型シリコン太陽電池を用い、太陽電池セル30の受光面Jから0.5mmの位置に、太陽電池セル30の周辺部に約25mm幅の上述の光再利用シート20を配置した。このとき、光再利用シート20の三角プリズム状の凹凸方向は、太陽電池セル30の端部と平行(横方向辺と平行)に設置して、用意されたゴニオステージに設置し、三角プリズム状の凹凸方向はゴニオステージ回転軸と垂直に設置した。光源の光はゴニオステージの0度で太陽電池モジュール200に垂直に入射するように設置し、ゴニオステージを−45度〜45度で回転させながら、5度刻みで発電効率の測定を行った。すなわち、太陽の東西への移動を再現するように測定を行った。このとき、光再利用シート20の凹凸方向は東西方向と平行をなすこととなる。表2にその総発電効率の結果を示す。
実施例2は、基材2として250μmのPETフィルムを用い、構造層3として紫外線硬化アクリル系樹脂からなるピッチが200μmの反射面100の頂角が120°である三角プリズム状の凹凸構造を形成したものを積層し、金属反射層4として100nmのアルミ層を蒸着法により形成して光再利用シート20を得た。このようにして作製された光再利用シート20を用いて、太陽電池モジュール200を作製した。前面板22として約3mmのガラス板、前面板22から0.5mmの位置に、太陽電池セル30が配置されるように、厚さ約0.5mmになるようにEVAを充填し充填層21を形成した。太陽電池セル30として150mm角、厚み0.2mmの多結晶型シリコン太陽電池を用い、太陽電池セル30の受光面Jから0.5mmの位置に、太陽電池セル30の周辺部に約25mm幅の上述の光再利用シート20を配置した。このとき、光再利用シート20の三角プリズム状の凹凸方向は、太陽電池セル30の端部と平行に設置して、用意されたゴニオステージに設置し、三角プリズム状の凹凸方向はゴニオステージ回転軸と平行に設置した。光源の光はゴニオステージの0度で太陽電池モジュール200に垂直に入射するように設置し、ゴニオステージを−45度〜45度で回転させながら、5度刻みで発電効率の測定を行った。表2にその総発電効率の結果を示す。
比較例1は、基材2として250μmのPETフィルムを用い、構造層3を形成せず、金属反射層4として100nmのアルミ層を蒸着法により形成して光再利用シート20を得た。このようにして作製された光再利用シート20を用いて、太陽電池モジュール200を作製した。前面板22として約3mmのガラス板、前面板22から0.5mmの位置に、太陽電池セル30が配置されるように、厚さ約0.5mmになるようにEVAを充填し充填層21を形成した。太陽電池セル30として150mm角、厚み0.2mmの多結晶型シリコン太陽電池を用い、太陽電池セル30の受光面Jから0.5mmの位置に、太陽電池セル30の周辺部に約25mm幅の上述の光再利用シート20を配置して、用意されたゴニオステージに設置した。光源の光はゴニオステージの0度で太陽電池モジュール200に垂直に入射するように設置し、ゴニオステージを−45度〜45度で回転させながら、5度刻みで発電効率の測定を行った。表2にその総発電効率の結果を示す。