図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシンの射出装置1の要部の構成を示す図である。
射出装置1は、固定金型101及び移動金型103により形成されたキャビティ105に溶湯を射出・充填する装置である。なお、固定金型101及び移動金型103は、ダイカストマシンの不図示の型締装置により型開閉及び型締がなされる。
射出装置1は、キャビティ105に連通する射出スリーブ3と、射出スリーブ3内において溶湯(溶融状態の金属材料)をキャビティ105へ押し出す射出プランジャ5と、射出プランジャ5を駆動する射出シリンダ装置7と、射出シリンダ装置7に作動液(例えば油)を供給する変換シリンダ装置9とを有している。また、射出装置1は、モータ(電動機)11と、モータ11の駆動力を変換シリンダ装置9に伝達する伝達機構13とを有している。さらに、射出装置1は、射出シリンダ装置7及び変換シリンダ装置9における作動液の流れを制御する液圧回路17と、モータ11及び液圧回路17を制御する制御装置19とを有している。
射出スリーブ3は、例えば、固定金型101に挿通されるように設けられている。射出プランジャ5は、射出スリーブ3を摺動するプランジャチップ5aと、プランジャチップ5aに固定されたプランジャロッド5bとを有している。射出スリーブ3に形成された不図示の給湯口から溶湯が射出スリーブ3に供給された状態で、プランジャチップ5aが射出スリーブ3内をキャビティ105に向かって摺動することにより、溶湯はキャビティ105に射出、充填される。
射出シリンダ装置7は、射出プランジャ5のプランジャロッド5bにカップリングを介して連結された射出ピストンロッド21、射出ピストンロッド21が固定された射出ピストン23、及び、射出ピストン23を摺動可能に収容する射出シリンダチューブ25を有している。なお、射出ピストンロッド21及び射出ピストン23は、それぞれ別個に形成されて互いに固定されていてもよいし、一体的に形成されて互いに固定されていてもよい。
射出シリンダチューブ25は、例えば、断面円形である。射出シリンダチューブ25の内部は、射出ピストン23により、射出ピストンロッド21が延出する側のロッド側室25rと、その反対側のヘッド側室25hとに区画されている。ロッド側室25r及びヘッド側室25hに選択的に作動液が供給されることにより、射出ピストン23は射出シリンダチューブ25内を摺動する。
変換シリンダ装置9は、ヘッド側室25hに連通する変換シリンダチューブ27、及び、変換シリンダチューブ27内に摺動可能に収容された変換ピストン29を有している。変換ピストン29が前進(ヘッド側室25hへ移動)することにより、変換シリンダチューブ27の作動液がヘッド側室25hに供給され、射出ピストン23は前進(射出プランジャ5を押し出す方向へ移動)する。
変換シリンダチューブ27は、例えば、断面が円形に、また、前側(ヘッド側室25h側)に凸となるように形成されている。すなわち、変換シリンダチューブ27は、ヘッド側室25hに連通する小径シリンダ部27aと、小径シリンダ部27aに連通し、小径シリンダ部27aよりも大径の大径シリンダ部27bとを有している。
変換ピストン29も、変換シリンダチューブ27の形状に対応して、前側に凸となるように形成されている。すなわち、変換ピストン29は、小径シリンダ部27aを摺動可能な小径部29aと、大径シリンダ部27bを摺動可能な大径部29bとを有している。
変換ピストン29は、2点鎖線で示すように、小径部29aを小径シリンダ部27aに挿入した状態と、小径部29aを小径シリンダ部27aから引き抜いた状態との間で移動可能である。すなわち、変換ピストン29は、小径部29aを大径シリンダ部27b側から小径シリンダ部27aに出し入れ可能に変換シリンダチューブ27に収容されている。
大径シリンダ部27bの内部は、大径部29bにより、小径シリンダ部27a側の前側室27fと、その反対側の後側室27rとに区画されている。
モータ11は、例えば、回転式の電動機により構成されている。モータ11は、直流モータでも交流モータでもよい。また、モータ11は、誘導モータや同期モータ等の適宜なモータにより構成されてよい。モータ11は、例えば、サーボモータとして構成されており、モータ11の回転を検出するエンコーダ31と、モータ11に電力を供給するサーボドライバ(サーボアンプ)33と共にサーボ機構を構成している。
伝達機構13は、モータ11の出力軸に固定されたプーリ35と、プーリ35に掛架されたベルト37と、ベルト37が掛架されたナット39と、ナット39が螺合され、変換ピストン29に固定されたネジ軸41とを有している。
モータ11の回転は、プーリ35及びベルト37を介してナット39に伝達される。ナット39に伝達された回転は、ナット39及びネジ軸41により、ネジ軸41の軸方向の並進運動に変換され、変換ピストン29に伝達される。ナット39及びネジ軸41により構成されるネジ機構は、例えば、ボールネジ機構により構成されている。
なお、モータ11(並びにエンコーダ31及び伝達機構13)は、射出シリンダ装置7や変換シリンダ装置9とは別個に設けられてもよいし、ビルトインモータとして、射出シリンダ装置7や変換シリンダ装置9と一体的に設けられてもよい。
ネジ軸41と変換ピストン29との固定は、例えば、以下のようになされる。変換ピストン29の小径部29aの前側(ヘッド側室25h側)の端面からは、被駆動部43が突出している。被駆動部43は、例えば、変換ピストン29と同軸状に設けられた断面円形の棒状部材である。被駆動部43は、変換シリンダチューブ27の小径シリンダ部27aの前側(大径シリンダ部27bとは反対側)の端面から変換シリンダチューブ27の外部へ延出している。そして、ネジ軸41は、被駆動部43の変換シリンダチューブ27の外部へ延出した部分に形成されている。
なお、ネジ軸41は、被駆動部43の一部として捉えられてもよいし、被駆動部43に固定された部材として捉えられてもよい。なお、本実施形態では、説明の便宜上、ネジ軸41は被駆動部43に固定された部材であるものとして説明する。ネジ軸41と被駆動部43は、それぞれ別個に形成されて互いに固定されていてもよいし、一体的に形成されて互いに固定されていてもよい。また、被駆動部43と変換ピストン29は、それぞれ別個に形成されて互いに固定されていてもよいし、一体的に形成されて互いに固定されていてもよい。
ナット39が回転することにより、ナット39とネジ軸41との相対回転がなされることから、ネジ軸41は、回り止めがなされる必要がある。本実施形態では、ネジ軸41の回り止めは、ドッグ用ロッド45によってなされる。ドッグ用ロッド45は、変換シリンダ装置9における位置検出に係る構成である。射出装置1は、変換シリンダ装置9における位置検出に係る構成として、ドッグ用ロッド45の他に、ドッグ用ロッド45に設けられるドッグ47と、ドッグ47によって操作されるスイッチ49とを有している。
ドッグ用ロッド45は、変換ピストン29に固定され、変換シリンダチューブ27から変換ピストン29の摺動方向に延出している。より具体的には、大径部29bの後側(小径部29aとは反対側)の端面から突出し、大径シリンダ部27bの後側(小径シリンダ部27aとは反対側)の端面から変換シリンダチューブ27の外部へ延出している。
そして、ドッグ用ロッド45は、変換ピストン29の軸芯に対して偏心した位置において変換シリンダチューブ27から延出している。従って、変換ピストン29の回転は、ドッグ用ロッド45及び変換シリンダチューブ27によって規制される。これにより、ネジ軸41の回り止めがなされる。
ドッグ47は、ドッグ用ロッド45の変換シリンダチューブ27から延出する部分に設けられている。例えば、ドッグ47は、ドッグ用ロッド45の延出側端部において、ドッグ用ロッド45の軸方向に直交する方向に突出して設けられている。
スイッチ49は、例えば、レバー式のスイッチにより構成されている。変換ピストン29が所定位置に到達すると、ドッグ47がスイッチ49のレバーに当接し、スイッチ49はオン状態とされる。所定位置は、本実施形態では、変換ピストン29の後退限である。すなわち、スイッチ49は、変換ピストン29の後退限検出器を構成している。
なお、変換ピストン29及びドッグ用ロッド45は、別個に形成されて互いに固定されていてもよいし、一体的に形成されて互いに固定されていてもよい。また、ドッグ用ロッド45及びドッグ47は、別個に形成されて互いに固定されていてもよいし、一体的に形成されて互いに固定されていてもよい。
液圧回路17は、例えば、ロッド側室25rに接続されたロッド側流路51と、前側室27fに接続された前側流路53と、後側室27rに接続された後側流路55とを有している。これら3本の流路は互いに接続されている。
従って、前側流路53及び後側流路55により、ロッド側室25rと後側室27rとを連通する第1連通路57が構成されている。また、前側流路53及び後側流路55により、前側室27fと後側室27rとを連通する第2連通路58が構成されている。
また、液圧回路17は、小径シリンダ部27a(及びヘッド側室25h)と、前側室27fとを連通するバイパス流路59を有している。従って、小径シリンダ部27aと前側室27fとは、小径部29aが小径シリンダ部27aに挿入された状態においても連通可能である。
バイパス流路59及び前側流路53には、それぞれ、各流路を開閉可能なバイパス弁VLa及び前側弁VLdが設けられている。
バイパス弁VLaは、例えば、流量調整弁としての機能も有するパイロットチェック弁により構成されている。なお、流量調整弁としての機能はなくてもよい。バイパス弁VLaは、パイロット圧力が導入されると閉じられる。また、バイパス弁VLaは、パイロット圧力が導入されていないときには、小径シリンダ部27a(及びヘッド側室25h)から前側室27fへの流れを阻止するとともに、その逆方向の流れを許容する。
前側弁VLdは、例えば、パイロットチェック弁により構成されている。前側弁VLdには、閉じるパイロット圧力及び開くパイロット圧力を選択的に導入可能である。また、前側弁VLdは、開くパイロット圧力及び閉じるパイロット圧力の双方が導入されていないときには、前側室27fからの流れを阻止するとともに、その逆方向の流れを許容する。
制御装置19は、例えば、CPU61、ROMやRAM等のメモリ63、入力回路65、及び、出力回路67を含んで構成されている。CPU61は、メモリ63に記憶されたプログラムを実行し、入力回路65を介して入力される入力信号に基づいて、モータ11や各種の弁を制御するための制御信号を出力回路67を介して出力する。
入力回路65に信号を入力するのは、例えば、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置69、ヘッド側室25hの圧力を検出するヘッド側圧力センサ71、ロッド側室25rの圧力を検出するロッド側圧力センサ73、射出プランジャ5の位置を検出する位置センサ75、及び、上述のスイッチ49である。
出力回路67が信号を出力するのは、例えば、サーボドライバ33、ユーザに情報を表示する表示器77、パイロット式のチェック弁(VLa及びVLd)にパイロット圧力を導入するための不図示の液圧回路である。
位置センサ75は、例えば、射出シリンダ装置7に設けられ、射出ピストンロッド21の射出シリンダチューブ25に対する変位量を測定するものであり、射出プランジャ5の位置を間接的に検出するものである。なお、射出シリンダ装置7は、測長機能付きのシリンダ装置により構成されていると捉えられることができる。位置センサ75は、例えば、射出ピストンロッド21の延びる方向に沿って射出ピストンロッド21に設けられたスケール部91と、スケール部91に対向配置され、スケール部91の移動を検出するセンサ部93とを有するリニアエンコーダにより構成されている。
ヘッド側圧力センサ71及びロッド側圧力センサ73は、溶湯をキャビティ105に射出するときに射出プランジャ5が溶湯に加える圧力(射出圧力)等の射出プランジャ5が溶湯に加える圧力を間接的に検出するものである。すなわち、ヘッド側圧力センサ71の検出した圧力と射出ピストン23のヘッド側室25hにおける受圧面積との積と、ロッド側圧力センサ73の検出した圧力と射出ピストン23のロッド側室25rにおける受圧面積との積との差により、射出プランジャ5が溶湯に加えている力を算出することができ、ひいては、射出圧力等を検出できる。
以上の構成を有する射出装置1の動作を説明する。
図2は、射出装置1における射出圧力P及び射出速度Vの変化を示すグラフである。
射出装置1は、概観すると、低速射出制御、高速射出制御、及び、増圧制御を順に行う。すなわち、射出装置1は、射出の初期段階においては、成形材料の空気の巻き込みを防止するために比較的低速で射出プランジャを前進させ、次に、成形サイクルの短縮等の観点から比較的高速で射出プランジャを前進させる。その後、射出装置1は、成形品のヒケをなくすために、射出プランジャの前進する方向の力によりキャビティ内の成形材料を増圧する。
図3は、図2の動作を実現する、モータ11、パイロットチェック弁(VLa及びVLd)、変換ピストン29及び射出ピストン23の動作を示す図表である。
図3において、各行は、上方側から下方側への順が時系列順になっている。図3の最も左側の「射出動作」の欄は、各行の動作の概略を説明している。「射出速度」及び「射出圧力」の欄は、図2に付した符号を示すことにより、図3と図2との対応関係を示している。ただし、溶湯の凝固後、射出ピストン23や変換ピストン29が後退するときにおける速度や圧力については、図3において記載されているのみである。
「モータ」の欄は、モータ11の変換ピストン29を前進(ヘッド側室25h側へ移動)させる方向の回転を「D」により、モータ11の変換ピストン29を後退させる方向の回転を「U」により、モータ11の停止を「−」により示している。なお、モータ11の停止は、トルクフリーの状態であっても、制動トルクが生じている状態であってもよい。
「パイロットチェック弁」の欄では、バイパス弁VLa及び前側弁VLdの符号からVLを省略して、これらの弁に対応する「a」及び「d」の欄が設けられている。「パイロットチェック弁」の欄において、「N」は、パイロット圧力が導入されていない状態を示し、「C」は、閉じるパイロット圧力が導入されていることを示し、「O」は、開くパイロット圧力が導入されていることを示し、「−」は、適宜に選択されてよいことを示している。
「変換ピストン位置」の欄は、スイッチ49がオンとされることを「ON」で示し、オフされていることを「−」で示している。
「射出ピストン後退限」の欄は、射出ピストン23が後退限に位置することを丸(○)により、後退限に位置しないことを「−」により示している。
以下、図3の時系列に沿って(図3の上方側から下方側へ)、射出装置1の動作を説明する。
(低速射出動作)
低速射出動作の開始直前において、変換ピストン29及び射出ピストン23は後退限に位置している。従って、小径部29aは、小径シリンダ部27aに挿入されておらず、前側室27fと小径シリンダ部27aとは直接的に連通されている。なお、変換ピストン29及び射出ピストン23を後退限以外の適宜な位置に配置した状態で、低速射出動作を開始することも可能である。
固定金型101及び移動金型103の型締が終了し、溶湯が射出スリーブ3に供給されるなど、所定の低速射出開始条件が満たされると、制御装置19は、変換ピストン29を前進させる方向にモータ11を比較的低速で回転させるように、サーボドライバ33を介してモータ11に制御信号を出力する。
変換ピストン29が比較的低速で前進することにより、変換シリンダチューブ27から射出シリンダチューブ25のヘッド側室25hへ、比較的緩やかに作動液が供給され、射出ピストン23も比較的低速で前進する。射出ピストン23の前進により、射出プランジャ5は、比較的低速の速度VLで前進し、射出圧力はPLとなる。
バイパス弁VLaは、パイロット圧力が導入されない。すなわち、前側室27fから小径シリンダ部27aへの流れが許容される。なお、低速射出においては、前側室27fと小径シリンダ部27aとは直接的に連通されるから、バイパス弁VLaは、閉じるパイロット圧力が導入されてもよい。
前側弁VLdは、パイロット圧力が導入されない、若しくは、閉じるパイロット圧力が導入される。すなわち、前側室27fからの作動液の排出は禁止される。従って、変換ピストン29によって押し出された作動液は全て射出ピストン23を押し出すことに利用される。
射出ピストン23が前進すると、ロッド側室25rの作動液は、第1連通路57を介して後側室27rに排出される。
ここで、変換シリンダ装置9においては、被駆動部43が変換シリンダチューブ27の前端面(射出シリンダ装置7側の面)から変換シリンダチューブ27の外部へ延出していることから、変換ピストン29の後側室27rにおける受圧面積は、前側室27fにおける受圧面積よりも大きい。従って、変換ピストン29の前進時においては、後側室27rにおける容積の増加量は、前側室27fからの作動液の排出量よりも大きい。
また、射出シリンダ装置7においては、射出ピストンロッド21が射出シリンダチューブ25の前端面(射出プランジャ5側の面)から射出シリンダチューブ25の外部へ延出していることから、射出ピストン23のヘッド側室25hにおける受圧面積は、ロッド側室25rにおける受圧面積よりも大きい。従って、射出ピストン23の前進時においては、ヘッド側室25hへの作動液の供給量がロッド側室25rからの作動液の排出量よりも多い。
すなわち、変換シリンダ装置9及び射出シリンダ装置7全体において、後側室27rにおける容積の増加量は、ロッド側室25rからの作動液の排出量よりも多い。換言すれば、後側室27rにおいては、作動液の必要量が、ロッド側室25rからの作動液の供給量を上回り、作動液が不足する。
一方、ロッド側室25r、第1連通路57及び後側室27rは、密閉されており、タンクに接続されていない。
従って、図4の模式図に示すように、後側室27rにおいては、作動液の不足分に応じて、作動液が存在しない空間SPが形成される。空間SPは真空である。
(高速射出動作)
制御装置19は、位置センサ75の検出値に基づく射出プランジャ5の位置が所定の高速切換位置に到達すると、モータ11の回転数を比較的高速な回転数に切り換えるように、サーボドライバ33を介してモータ11に制御信号を出力する。
従って、変換ピストン29の速度が高速に切り換えられ、ひいては、射出ピストン23の速度も高速に切り替えられる。そして、射出プランジャ5は、比較的高速の速度VHで前進し、射出圧力はPHとなる。
変換ピストン29の速度と、射出ピストン23(射出プランジャ5)の速度との比は、変換ピストン29の前側室27fにおける受圧面積と、射出ピストン23のヘッド側室25hにおける受圧面積との比により決定され、低速射出から高速射出に亘って一定である。従って、モータ11の低速射出における回転数と高速射出における回転数との比は、射出プランジャ5の低速射出における速度と高速射出における速度との比に比例する。
バイパス弁VLa及び前側弁VLdの動作は、低速射出と同様である。すなわち、制御装置19は、液圧回路17の制御を一定としたまま、モータ11の制御の変更のみにより、低速射出から高速射出に切り換える。
(減速射出動作)
減速射出動作は、適宜な事象の発生により開始される。例えば、減速射出動作は、溶湯がキャビティ105にある程度充填され、その充填された溶湯から射出プランジャ5が反力を受けて減速されることにより開始される。若しくは、減速射出動作は、後述するように、小径部29aが小径シリンダ部27aへ挿入され、射出ピストン23が減速されることにより、開始される。若しくは、減速射出動作は、射出プランジャ5が所定の減速位置に到達するなど所定の減速開始条件が満たされたときに、モータ11が減速制御されることにより、開始される。又は、上記に例示した事象が2以上同時に発生することにより開始される。なお、上記に例示した事象は、いずれが先に生じてもよいが、概ね同時に生じるように、1回の射出における溶湯の量等が調整されることが好ましい。
減速射出動作では、射出速度は、高速射出速度VHから減速されて速度Vdとなる。ただし、キャビティ105には、ある程度溶湯が充填されていることから、射出圧力は、高速射出における高速射出圧力PHから上昇して圧力Pdとなる。
また、小径部29aが小径シリンダ部27aに挿入されることにより、前側室27fと小径シリンダ部27aとは、直接的には遮断され、バイパス流路59を介して間接的に接続されるのみとなる。その結果、変換シリンダチューブ27からヘッド側室25hに供給される作動液が減少し、射出ピストン23は減速される。
制御装置19は、モータ11の回転数を低下させるように、サーボドライバ33を介してモータ11に制御信号を出力する。ただし、上述のように、射出プランジャ5が溶湯から反力を受けたり、小径部29aが小径シリンダ部27aに挿入されたりすることによって、射出プランジャ5は減速されるから、制御装置19は、モータ11の目標回転数を低下させずに、若しくは、射出プランジャ5の減速加速度よりも小さい減速加速度で目標回転数を低下させることもできる。
バイパス弁VLa及び前側弁VLdの動作は、低速射出と同様である。ただし、バイパス弁VLaは、パイロット圧力が導入されない。従って、小径部29aが小径シリンダ部27aに挿入された後は、前側室27fの作動液は、バイパス流路59を介して小径シリンダ部27aへ流れる。なお、バイパス弁VLaにおける流量調整によって射出ピストン23の速度、ひいては、射出プランジャ5の速度を調整可能であるから、バイパス弁VLaを可変流量調整弁の機能を有するように構成し、流量調整がなされてもよい。
(増圧動作)
制御装置19は、所定の増圧開始条件が満たされると、バイパス弁VLaにパイロット圧力を導入してバイパス弁VLaを閉じる。これにより、前側室27fから小径シリンダ部27aへの作動液の流れが遮断される。また、制御装置19は、前側弁VLdに開くためのパイロット圧力を導入して前側弁VLdを開く。これにより、前側室27fから後側室27rへの作動液の流れが許容される。
従って、変換ピストン29は、射出動作における、大径部29bの前側室27fにおける受圧面積と、小径部29aの小径シリンダ部27aにおける受圧面積の和でヘッド側室25hの作動液を加圧していた状態から、増圧動作における、小径部29aの小径シリンダ部27aにおける受圧面積のみでヘッド側室25hの作動液を加圧する状態に変化する。その結果、パスカルの原理より、モータ11のトルクが一定であっても、ヘッド側室25hにおける圧力は上昇し、射出ピストン23がヘッド側室25hから受ける力は大きくなる。
すなわち、射出プランジャ5が溶湯を加圧する力は増大する。そして、射出圧力は、圧力Ptを経てPmaxに到達する。また、射出速度は、キャビティ105に溶湯が完全に充填されることにより、速度Vtを経て0となる。
なお、増圧開始条件は、例えば、ヘッド側圧力71及びロッド側圧力センサ73により検出される射出圧力が所定の値に到達したこと、又は、射出プランジャ5が所定の位置に到達したことである。
モータ11は、例えば、増圧動作の開始とともに、所望の回転速度を得るための速度制御から所望のトルクを得るためのトルク制御に切り換えられる。ただし、上述のように、変換ピストン29の作用により、射出プランジャ5により溶湯に加える圧力を増加可能であることから、減速射出動作から増圧動作にかけてモータ11の制御を一定とすることも可能である。
なお、変換シリンダ装置9においては、前側室27fの作動液が後側室27rに還流される。しかし、射出時と同様の理由により、後側室27rにおける容積の増加量(作動液の必要量)は、前側室27f及びロッド側室25rからの作動液の排出量よりも多い。そして、射出時に引き続き、空間SPは拡大していく。
(保圧動作)
射出圧力が所定の鋳造圧力(終圧)Pmaxに到達すると、その鋳造圧力Pmaxが保たれるように保圧動作が行われる。例えば、制御装置19は、ヘッド側圧力センサ71及びロッド側圧力センサ73により検出される射出圧力が一定に保たれるように、モータ11のトルク制御を行う。
バイパス弁VLa及び前側弁VLdの動作は、増圧時と同様である。従って、変換シリンダ装置9による増圧作用は維持される。
(射出ピストン後退)
溶湯が凝固すると、制御装置19は、変換ピストン29を後退させる方向にモータ11を駆動するようにサーボドライバ33を介してモータ11に制御信号を出力する。なお、制御装置19における、溶湯が凝固したか否かの判定は、例えば、鋳造圧力Pmaxに達した時点等の所定の基準時点から、所定の時間が経過したか否かにより行われる。
モータ11により変換ピストン29が後退し、後側室27rが作動液で満たされると(空間SPがなくなると)、後側室27rの作動液がロッド側室25rに排出される。これにより、射出ピストン23も後退する。
なお、バイパス弁VLa及び前側弁VLdは、変換ピストン29及び射出ピストン23が円滑に後退するように、適宜に制御される。
例えば、変換ピストン29の後退開始時において、バイパス弁VLaは、閉じるパイロット圧力が導入される。すなわち、バイパス流路59を介した前側室27fから小径シリンダ部27aへの流れは禁止される。これにより、ヘッド側室25hに負圧が生じ、射出ピストン23は後退し易くなる。
また、例えば、前側弁VLdは、ロッド側室25rへの作動液の補給を前側室27fへの作動液の補給よりも優先させるように、閉じるパイロット圧が適宜なタイミングで適宜な時間で導入される。これにより、前側室27fと小径シリンダ部27a(ヘッド側室25h)とが連通された後も、ヘッド側室25hの負圧が維持され、射出ピストン23が後退し易くなる。
(射出ピストン後退限及び変換ピストン後退限)
制御装置19は、位置センサ75の検出結果に基づいて、射出ピストン23が後退限に到達したことを検出する。また、制御装置19は、スイッチ49からのオン信号に基づいて、変換ピストン29が後退限に到達したことを検出する。
なお、上述のように、ロッド側室25rへの作動液の補給を前側室27fへの作動液の補給よりも優先させた場合などには、射出ピストン23が変換ピストン29よりも先に後退限に到達する。
その後、変換ピストン29が後退限に到達すると、前側弁VLdには、開くパイロット圧力が導入される。これにより、作動液の圧力が装置全体に亘って均一化される。
(次サイクル準備)
制御装置19は、射出ピストン23及び変換ピストン29の双方が後退限に到達したと判定すると、次サイクルの準備を行う。例えば、各種の弁に閉じるパイロット圧力を導入し、複数のシリンダ室間の作動液の流れを抑制し、射出プランジャ5の位置を一定位置に保持する。ただし、前側室27fと小径シリンダ部27aとは直接的に連通されていることから、バイパス弁VLaは、パイロット圧力が導入されていても、導入されていなくてもよい。
以上の実施形態によれば、射出装置1は、射出プランジャ5を駆動可能な射出シリンダ装置7と、射出シリンダ装置7に作動液を供給する変換シリンダ装置9と、射出シリンダ装置7のロッド側室25rと変換シリンダ装置9の後側室27rとを連通する第1連通路57と、変換シリンダ装置9の変換ピストン29を駆動可能なモータ11とを有する。射出装置1の射出動作においては、ロッド側室25rの作動液が第1連通路57を介して後側室27rに排出され、後側室27rに、作動液の不足分に応じて作動液が存在しない空間SPが形成される。
従って、後側室27rは、ロッド側室25rから排出される作動液を貯蓄するタンクとして機能する。また、後側室27rにおける作動液の不足は、後側室27r内に空間SPが形成されることにより補償される。その結果、射出装置1は、タンクを必要とせず、構成が簡素化される。
なお、通常のシリンダ装置は、後側室(27r)に作動液が供給されなければ、ピストン(29)は前側室(27f)側に前進しない。換言すれば、通常のシリンダ装置は、後側室(27r)に作動液が満たされることが前提とされている。本願発明は、変換ピストン29をモータ11により駆動するハイブリッド式の駆動装置においては、後側室27rに作動液が満たされることは必須ではないことに着目し、空間SPを形成する構成としたものであり、通常のシリンダ装置の概念に捉われない斬新な構成となっている。
空間SPは真空であることから、後側室27rに気体(例えば空気)を導入して空間SPを形成するような態様(この態様も本発明に含まれる)に比較して、構成が簡素化される。例えば、後側室27rと変換シリンダ装置9の外部との間における空気の流れを許容するとともに作動液の流れを禁止する、空気抜き弁を設ける必要がない。
射出の後、モータ11により変換ピストン29が後側室27r側へ駆動され、空間SPが無くなって後側室27rが作動液で満たされ、後側室27rからロッド側室25rへ作動液が供給され、射出ピストン23が後退する。すなわち、モータ11により、モータ11とは直接的には接続されていない射出ピストン23が後退する。従って、射出装置1の構成の簡素化が図られる。
変換シリンダチューブ27は、ヘッド側室25hに連通する小径シリンダ部27aと、小径シリンダ部27aに連通し、小径シリンダ部27aよりも大径の大径シリンダ部27bとを有する。変換ピストン29は、小径シリンダ部27aを摺動可能な小径部29aと、大径シリンダ部27bを摺動可能な大径部29bとを有する。
従って、射出動作から増圧動作へ移行するときに、変換ピストン29の前方の受圧面積を大きいもの(小径部29aの受圧面積と大径部29bの受圧面積との和)から小さいもの(小径部29aの受圧面積)に切り換えることができる。その結果、射出動作においては、増圧動作に比較して、モータ11の回転数に対するヘッド側室25hへの作動液の流入量を多くし、増圧動作においては、射出動作に比較して、モータ11のトルクに対するヘッド側室25hの圧力を高くできる。すなわち、モータ11の負担を軽減しつつ、高速射出及び増圧が可能となる。さらに、アキュムレータを設ける必要がなくなるから、保守管理が容易化されるとともに、異なる駆動限からの駆動力を同期制御する必要がなくなり、制御が容易化される。
なお、モータ11を有さず、アキュムレータから後側室27rに作動液を供給する構成では、小径部29aが小径シリンダ部27aに挿入された増圧動作において、大径部29bの後側室27rにおける受圧面積と、小径部29aの小径シリンダ部27aにおける受圧面積との比によって、後側室27rの圧力が増加されて前側室27fに伝達される増圧作用が生じる。従って、小径部29aの受圧面積(換言すれば径d2)に対する大径部29bの受圧面積(換言すれば径d1)の変更が増圧動作に影響する。従って、径d1の設定においては、径d1が高速射出動作に及ぼす影響と増圧動作に及ぼす影響との双方が考慮されなければならない。
一方、本実施形態では、小径部29aの径d2に対する大径部29bの径d1の変更は、増圧動作に影響しない。すなわち、前側室27fに生じる圧力は、モータ11の駆動力を小径部29aの前側の受圧面積により除したものであり、小径部29aの径d2のみに影響され、大径部29bの径d1に影響されない。従って、増圧動作を考慮せずに、高速射出動作のみを考慮して大径部29bの径d1を設定することができ、設計の自由度が高い。
なお、射出ピストン23(射出プランジャ5)は、変換ピストン29の速度の(d12−d32)/d42倍の速度で駆動される。一例として、d1=180mm、d3=30mm、d4=90mmとすると、射出ピストン23は、変換ピストン29の速度の約4倍の速度で駆動される。
被駆動部43は、小径部29aから突出し、小径シリンダ部27aにおける、大径シリンダ部27bとは反対側の端面(前端面)から変換シリンダチューブ27の外部へ延出する。従って、本実施形態とは異なり、被駆動部43が変換シリンダチューブ27の後端面から露出する態様(この態様も本発明に含まれる)に比較して、各種の径d1〜d5の設定が容易である。例えば、被駆動部43が変換シリンダチューブ27の後端面から露出する場合には、各種の径d1〜d5の設定次第では、後側室27rにおいて作動液が過剰となる場合もあるが、そのような場合を想定する必要がない。
射出装置1は、被駆動部43に設けられたネジ軸41と、ネジ軸41に螺合し、モータ11により回転駆動されるナット39とを有し、ネジ軸41は、変換ピストン29に対して同軸に設けられている。従って、モータ11からの駆動力によって、変換ピストン29を変換シリンダチューブ27に対して傾かせる力が生じることが抑制される。その結果、摺動抵抗が増減したり、作動液の漏れが生じたり、変換シリンダ装置9の破損を招いたりすることが抑制される。
射出装置1は、変換ピストン29に固定され、変換シリンダチューブ27から変換ピストン29の摺動方向に延出するドッグ用ロッド45と、ドッグ用ロッド45の、変換シリンダチューブ27の外部に延出した部分に設けられたドッグ47と、ドッグ47により操作されるスイッチ49とを有する。ドッグ用ロッド45は、変換ピストン29の軸芯に対して偏心した位置において変換シリンダチューブ27から延出している。従って、ドッグ用ロッド45が変換ピストン29の回り止めに兼用されることになり、構成が簡素化される。
なお、以上の実施形態において、ダイカストマシンは本発明の成形機の一例であり、溶湯は本発明の成形材料の一例であり、小径シリンダ部27aの内部及び前側室27fは本発明の第1シリンダ室の一例であり、後側室27rは本発明の第2シリンダ室の一例であり、前側弁VLdは本発明の方向制御弁の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、プラスチック射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、射出装置は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、横型締縦射出であってもよい。作動液は、油に限定されず、例えば水でもよい。
また、実施形態では、射出シリンダ装置7と、変換シリンダ装置9とが直交するように配置された場合を例示した。より具体的には、射出シリンダ装置7が水平に、変換シリンダ装置9が鉛直に配置された場合を例示した。ただし、射出シリンダ装置及び変換シリンダ装置は、平行等の適宜な位置関係に配置されてよい。
図5(a)は、射出シリンダ装置7及び変換シリンダ装置9の配置の変形例を示している。この変形例では、射出シリンダ装置7及び変換シリンダ装置9の双方が水平に配置されている。実施形態の配置では、変換ピストン29の重量や後側室27rの作動液の重量を利用できるメリットがある。変形例では、変換ピストン29等の重量を利用できないが、それと引き換えに、射出圧力等の算出において変換ピストン29等の重量を考慮する必要がなく、設計や制御が容易化される。
射出シリンダ装置及び変換シリンダ装置における各種の径(d1〜d5)の相対的な大きさは、適宜に設定されてよい。
例えば、変換ピストン(29)の前側室(27f)における受圧面積(π×(d12−d32))は、射出ピストン(23)のヘッド側室(25h)における受圧面積(π×d42)よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同一でもよい。換言すれば、射出動作において、射出ピストン(23)は、変換ピストン(29)に対して、増速されてもよいし、減速されてもよいし、同一速度とされてもよい。
また、例えば、実施形態において、小径部(29a)の小径シリンダ室(27a)における受圧面積(π×(d22−d32))は、射出ピストン(23)のヘッド側室(25h)における受圧面積(π×d42)よりも小さくてもよいし、大きくてもよいし、同一でもよい。換言すれば、増圧動作及び保圧動作において、モータ11からのトルクを増幅してもよいし、減衰させてもよいし、その双方をしなくてもよい。
また、例えば、変換シリンダ装置において、実施形態のように被駆動部(43)を前方に延出させる場合には、径d3が径d2よりも小さくなることが必須であるが、実施形態とは逆に、被駆動部(43)を後方に延出させる場合には、径d3が径d2よりも小さくなることは必須ではない。すなわち、径d3は、径d2と同一でもよいし、径d2よりも大きくてもよい。
変換シリンダ装置は、パスカルの原理を利用した増圧作用を奏しないものであってもよい。
図5(b)は、そのような変形例に係る変換シリンダ装置109を示している。変換シリンダ装置109の変換シリンダチューブ127及び変換ピストン129は、軸方向に一様の断面積となっている。
射出動作においては、実施形態と同様に、ロッド側室25rの作動液は、第2シリンダ室109rに排出される。そして、第2シリンダ室109rにおいては、作動液の不足分に応じて空間SPが形成される。
変換シリンダ装置がパスカルの原理を利用した増圧作用を奏するものである場合、小径部(29a)は、小径シリンダ部(27a)に出し入れ可能でなくてもよい。すなわち、小径シリンダ部に挿入されたままでもよい。この場合であっても、バイパス流路(59)により前側室(27f)と小径シリンダ部(27a)とが連通されていれば、バイパス流路(59)の開閉により、変換ピストンの前方の受圧面積を切り換え可能である。
また、小径部(29a)が、小径シリンダ部(27a)に出し入れ可能である場合、前側室(27f)と小径シリンダ部(27a)とを連通するバイパス流路(59)及びバイパス弁(VLa)は省略可能である。
電動機は、回転式のものに限定されない。また、伝達機構(13)は、省略されてもよい。例えば、電動機としてリニアモータを利用し、電動機により直接的に変換ピストンを駆動してもよい。
回転式の電動機が用いられる場合において、回転運動を並進運動に変換する変換機構は、ネジ機構に限定されない。例えば、変換機構は、ラックピニオン機構であってもよい。また、回転運動を伝達する回転伝達機構は、プーリ及びベルトに限定されない。例えば、回転伝達機構は、歯車機構であってもよい。また、ネジ軸は、変換ピストンと同軸に設けられることが好ましいが、変換ピストンと並列に設けられるなどしてもよい。
変換ピストンの位置検出は、ドッグ、ドッグ用ロッド及びスイッチによってなされるものに限定されない。例えば、変換ピストンの位置は、電動機のエンコーダによって間接的に検出されてもよいし、被駆動部(43)の位置を検出するリニアスケールが設けられることによって検出されてもよい。
ネジ軸が変換ピストンの軸芯と同軸に設けられた場合に必要となる回り止めは、ドッグ用ロッドによってなされるものに限定されない。例えば、変換ピストンの回り止めは、ネジ機構のネジ軸としてスプラインネジが用いられることによりなされてもよい。
ドッグにより操作されるスイッチは、変換ピストンの後退限を検出するものに限定されない。例えば、スイッチは、小径部が小径シリンダ部に挿入される位置を検出するものであってもよいし、複数位置に対応して設けられてもよい。また、スイッチは、ドッグが所定位置に到達したときにオフされるものであってもよい。
本発明の効果を得るための液圧回路は適宜に構成可能であり、実施形態において示した流路や弁以外にも流路や弁が設けられてよい。また、本発明は、タンク、アキュムレータ又はポンプを省略することを可能とするが、これらの構成要素が設けられていてもよい。