以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、第2実施形態以降において、既に説明した実施形態の構成と同一又は類似する構成については、既に説明した実施形態の構成に付した符号を付すことがあり、また、説明を省略することがある。既に説明した実施形態の構成と類似(対応)する構成について、既に説明した実施形態の構成に付した符号とは異なる符号を付した場合においても、特に断りがない事項については、既に説明した実施形態の構成と同様である。
<第1実施形態>
(ダイカストマシンの全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るダイカストマシン1の要部の構成を示す、一部に断面図を含む側面図である。
ダイカストマシン1は、溶解されて液状となった金属材料(溶湯)を金型101内(キャビティCa等の空間。以下同様。)へ射出し、溶湯を金型101内で凝固させることにより、ダイカスト品(成形品)を製造するものである。金属は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
金型101は、例えば、固定金型103及び移動金型105を含んでいる。本実施形態の説明では、便宜上、固定金型103又は移動金型105の断面を1種類のハッチングで示すが、これらの金型は、直彫り式のものであってもよいし、入れ子式のものであってもよい。また、固定金型103及び移動金型105には、中子などが組み合わされてもよい。
ダイカストマシン1は、例えば、成形のための機械的動作を行うマシン本体3と、マシン本体3の動作を制御する制御ユニット5とを有している。
マシン本体3は、例えば、金型101の開閉及び型締めを行う型締装置7と、金型101内に溶湯を射出する射出装置9と、ダイカスト品を固定金型103又は移動金型105(図1では移動金型105)から押し出す押出装置11とを有している。マシン本体3において、射出装置9以外の構成(例えば型締装置7及び押出装置11の構成)は、公知の種々の構成と同様とされてよい。
成形サイクルにおいて、型締装置7は、移動金型105を固定金型103へ向かって移動させ、型閉じを行う。さらに、型締装置7は、タイバー(符号省略)の伸長量に応じた型締力を金型101に付与して型締めを行う。型締めされた金型101内には成形品と同一形状のキャビティCaが構成される。射出装置9は、そのキャビティCaへ溶湯を射出・充填する。キャビティCaに充填された溶湯は、金型101に熱を奪われて冷却され、凝固する。これにより、成形品が形成される。その後、型締装置7は、移動金型105を固定金型103から離れる方向へ移動させて型開きを行う。この際、又はその後、押出装置11は、移動金型105から成形品を押し出す。
制御ユニット5は、例えば、各種の演算を行って制御指令を出力する制御装置13(図2参照)と、画像を表示する表示装置15と、オペレータの入力操作を受け付ける入力装置17とを有している。また、別の観点では、制御ユニット5は、例えば、電源回路及び制御回路等を有する不図示の制御盤と、ユーザインターフェースとしての操作部19とを有している。
制御装置13は、例えば、不図示の制御盤及び操作部19に設けられている。制御装置13は、適宜に分割乃至は分散して構成されてよい。例えば、制御装置13は、型締装置7、射出装置9及び押出装置11毎の下位の制御装置と、この下位の制御装置間の同期を図るなどの制御を行う上位の制御装置とを含んで構成されてよい。
表示装置15及び入力装置17は、例えば、操作部19に設けられている。操作部19は、例えば、型締装置7の固定的部分に設けられている。表示装置15は、例えば、液晶表示ディスプレイ乃至は有機ELディスプレイを含んだタッチパネルによって構成されている。入力装置17は、例えば、機械式のスイッチ及び前記のタッチパネルによって構成されている。
(射出装置の構成)
射出装置9は、例えば、金型101内に通じるスリーブ21と、スリーブ21内を摺動可能なプランジャ23と、プランジャ23を駆動する射出駆動部25とを有している。なお、射出装置9の説明においては、金型101側を前方、その反対側を後方ということがある。
スリーブ21は、例えば、固定金型103に連結された筒状部材であり、上面には溶湯をスリーブ21内に受け入れるための供給口21aが開口している。プランジャ23は、スリーブ21内を前後方向に摺動可能なプランジャチップ23aと、先端がプランジャチップ23aに固定されたプランジャロッド23bとを有している。
型締装置7による金型101の型締めが完了すると、不図示の給湯装置によって1ショット分の溶湯が供給口21aからスリーブ21内へ注がれる。そして、プランジャ23が図示の位置からスリーブ21内を前方へ摺動することにより、スリーブ21内の溶湯が金型101内に押し出される(射出される)。
(射出駆動部の基本的な構成)
図2は、射出駆動部25の構成を示す模式図である。
図1及び図2に示すように、射出駆動部25は、例えば、液圧式のものであり、プランジャ23に連結された射出シリンダ27と、射出シリンダ27に対する作動液(例えば油)の供給等を行う液圧装置28(図2)とを有している。
図2に示すように、射出シリンダ27は、例えば、いわゆる直結形の増圧式シリンダによって構成されている。具体的には、例えば、射出シリンダ27は、射出シリンダ部29と、射出シリンダ部29の内部を摺動可能な射出ピストン31及び増圧ピストン33と、射出ピストン31に固定され、射出シリンダ部29から延び出る射出ピストンロッド35とを有している。
射出シリンダ部29は、例えば、小径シリンダ部29aと、小径シリンダ部29aの後端(射出ピストンロッド35の延び出る側とは反対側)に接続された大径シリンダ部29bとを有している。小径シリンダ部29a及び大径シリンダ部29bは、例えば、内部の断面形状が円形の筒状体である。大径シリンダ部29bは、小径シリンダ部29aよりも径(断面積)が大きい。
射出ピストン31は、小径シリンダ部29a内に摺動可能に配置されている。小径シリンダ部29aの内部は、射出ピストン31により、射出ピストンロッド35が延び出る側のロッド側室29rと、その反対側のヘッド側室29hとに区画されている。ヘッド側室29h及びロッド側室29rに選択的に作動液が供給されることにより、射出ピストン31は小径シリンダ部29a内を前後方向に移動する。
増圧ピストン33は、小径シリンダ部29aを摺動可能な小径ピストン部33aと、大径シリンダ部29bを摺動可能な大径ピストン部33bとを有している。大径シリンダ部29bの内部は、大径ピストン部33bにより、小径シリンダ部29a側の前側室29fと、その反対側の後側室29gとに区画されている。
従って、前側室29fの圧抜きを行うと、小径ピストン部33aのヘッド側室29hにおける受圧面積に対して大径ピストン部33bの後側室29gにおける受圧面積が大きいことから、増圧ピストン33は、後側室29gの作動液から受ける圧力よりも高い圧力をヘッド側室29hの作動液に加えることが可能である。これにより、射出シリンダ27は、増圧機能を発揮する。
なお、本実施形態の説明でいうピストンの受圧面積は、作動液の圧力がピストンに作用する面積をピストンの移動方向(軸方向)に投影した面積である。従って、受圧面積は、ピストンの、シリンダ室に露出する面の凹凸に基本的に影響されない。また、ピストンの形状が特異なものでない限り、受圧面積は、ピストンの断面積と概ね同一である。ピストンが直径dの円柱状であれば、受圧面積は、π×(d/2)2である。
増圧ピストン33は、小径ピストン部33aから前方へ突出し、射出ピストン31の後端面に当接可能な凸部34を有している。なお、凸部34は、射出ピストン31から後方へ突出し、小径ピストン部33aの前端面に当接可能なものであってもよい。このような凸部34は、例えば、ロッド側室29rに作動液を供給して射出ピストン31を後退させ、射出ピストン31によって増圧ピストン33を後方へ押して増圧ピストン33を後方へ移動させる場合に、両ピストンの位置を好適なものとしたり、両ピストンの間に作動液が入り込む隙間を確保したりすることに役立つ。
ただし、凸部34は省略されてもよい。また、凸部34が射出ピストン31(又は増圧ピストン33)から離れている状態では、凸部34の存在は、増圧ピストン33のヘッド側室29hにおける受圧面積(又は射出ピストン31のヘッド側室29hにおける受圧面積)に影響を及ぼさない。従って、本実施形態の説明では、基本的に、凸部34を無視するものとする。
図1に示すように、射出シリンダ27は、プランジャ23に対して同軸的に配置されている。そして、射出ピストンロッド35は、その先端がプランジャ23の後端にカップリング(符号省略)を介して連結されている。射出シリンダ部29は、不図示の型締装置などに対して固定的に設けられている。従って、射出ピストン31の射出シリンダ部29に対する移動により、プランジャ23はスリーブ21内を前進又は後退する。
液圧装置28は、例えば、作動液を貯留するタンク37と、タンク37の作動液を送出可能なポンプ39と、蓄圧された作動液を放出可能なアキュムレータ41と、これら及び射出シリンダ27を互いに接続する複数の流路(43A〜43H等)と、当該複数の流路における作動液の流れを制御する複数のバルブ(45、47、49、51、53、55及び67等)とを有している。なお、図2等では、図示の都合上、複数個所にタンク37を示すことがあるが、実際には、複数個所に示されたタンク37は、一のタンク37に統合されてよい。
タンク37は、例えば、開放タンクであり、大気圧下で作動液を保持している。タンク37は、例えば、ポンプ39及びアキュムレータ41を介して射出シリンダ27に作動液を供給し、また、射出シリンダ27から排出された作動液を収容する。
ポンプ39は、ポンプ電動機40によって駆動され、作動液を送出する。ポンプ39は、ロータリポンプ、プランジャポンプ、定容量ポンプ、可変容量ポンプ、1方向ポンプ、双方向(2方向)ポンプ等の適宜な方式のものとされてよい。ポンプ電動機40は、直流モータ、交流モータ、誘導モータ、同期モータ、サーボモータ等の適宜な方式のものとされてよい。ポンプ39(ポンプ電動機40)は、ダイカストマシン1の稼働中において常時駆動されてもよいし、必要なときだけ駆動されてもよい。ポンプ39は、例えば、アキュムレータ41に対する作動液の供給(アキュムレータ41の蓄圧)、及び、射出シリンダ27に対する作動液の供給に寄与する。
アキュムレータ41は、例えば、重量式、ばね式、気体圧式(空気圧式含む)、シリンダ式又はプラダ式のものである。図示の例では、アキュムレータ41は、シリンダ式のものであり、シリンダ部41aと、シリンダ部41aを液体室41eと気体室41fとに区画するピストン41bとを有している。液体室41eには作動液が収容され、気体室41fには気体(例えば空気又は窒素)が充填される。液体室41eに作動液が供給され、ピストン41bが気体室41f側へ移動することにより、気体室41fの気体が圧縮され、アキュムレータ41は蓄圧される。また、その気体の圧力を利用して、液体室41eから作動液が放出される。アキュムレータ41は、例えば、射出シリンダ27に対する作動液の供給に寄与する。
第1流路43Aは、ポンプ39とアキュムレータ41(液体室41e)とを接続している。これにより、例えば、ポンプ39からアキュムレータ41へ作動液を供給してアキュムレータ41を蓄圧することができる。
第2流路43Bは、アキュムレータ41(液体室41e)とヘッド側室29hとを接続している。これにより、例えば、アキュムレータ41からヘッド側室29hへ作動液を供給して、射出ピストン31を前進させることができる。
第3流路43Cは、アキュムレータ41(液体室41e)と後側室29gとを接続している。これにより、例えば、アキュムレータ41から後側室29gへ作動液を供給して、増圧ピストン33によってヘッド側室29hの作動液を加圧することができる。
第4流路43Dは、ロッド側室29rとタンク37とを接続している。これにより、例えば、射出ピストン31の前進に伴って容積が縮小するロッド側室29rの作動液をタンク37へ排出することができる。
第5流路43Eは、一端がロッド側室29rに接続されており、他端が後述する切換バルブ51によってポンプ39又はタンク37に接続される。
第6流路43Fは、一端がヘッド側室29hに接続されており、他端が後述する切換バルブ51によってポンプ39又はタンク37に接続される。
複数の流路(43A〜43H等)は、例えば、鋼管、可撓性のホース又は金属ブロックにより構成されている。複数の流路は、適宜に一部が共通化されてよい。例えば、図2の例では、第1流路43A〜第3流路43Cは、アキュムレータ41側の一部が共通化され、第4流路43D及び第5流路43Eは、ロッド側室29r側の一部が共通化されている。
射出用バルブ45は、例えば、第2流路43B(そのうち他の流路(43A,43C及び43G)と共通化されていない部分)に設けられており、アキュムレータ41からヘッド側室29hへの作動液の流れを許容又は禁止する。射出用バルブ45は、例えば、パイロット式の逆止弁により構成されており、パイロット圧が導入されていないときは、アキュムレータ41からヘッド側室29hへの作動液の流れを許容するとともに、その反対方向の流れを禁止し、パイロット圧が導入されているときは、双方の流れを禁止する。なお、射出用バルブ45は、ヘッド側室29hからの作動液の逆流防止にも寄与する。
増圧用バルブ47は、例えば、第3流路43C(そのうち他の流路(43A、43B及び43G)と共通化されていない部分)に設けられており、アキュムレータ41から後側室29gへの作動液の流れを許容又は禁止する。増圧用バルブ47は、例えば、流量制御弁によって構成されている。増圧用バルブ47は、圧力補償を行うもの(流量調整弁)であってもよし、圧力補償を行わないものであってもよい。また、増圧用バルブ47の制御方式は、例えば、ばね式、電磁式及びパイロット式並びにこれらの2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。増圧用バルブ47は、フィードバック制御がなされるサーボバルブであってもよいし、オープン制御がなされる比例弁であってもよい。図2では、増圧用バルブ47として、ばねによりノーマル位置で閉位置とされ、電磁力とパイロット圧力とが順次作動して開かれる流量調整弁が図示されている。
速度用バルブ49は、例えば、第4流路43D(そのうち他の流路(43E)と共通化されていない部分)に設けられており、例えば、ロッド側室29rからタンク37へ排出される作動液の流量の制御に寄与する。この流量の制御により、射出ピストン31の前進速度が制御される。すなわち、速度用バルブ49は、いわゆるメータアウト回路を構成している。速度用バルブ49は、圧力補償を行うもの(流量調整弁)であってもよし、圧力補償を行わないものであってもよい。また、速度用バルブ49の制御方式は、例えば、ばね式、電磁式及びパイロット式並びにこれらの2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。速度用バルブ49は、フィードバック制御がなされるサーボバルブであってもよいし、オープン制御がなされる比例弁であってもよい。図2では、速度用バルブ49として、ばねによりノーマル位置で閉位置とされ、電磁力とパイロット圧力とが順次作動して開かれる流量調整弁が図示されている。
切換バルブ51は、例えば、4ポート3位置の切換弁によって構成されている。切換バルブ51は、紙面中央の位置(中立位置及び/又はノーマル位置)では、4ポートの接続を遮断する。
また、切換バルブ51は、紙面左側に示す位置では、第5流路43E(ロッド側室29r)とポンプ39とを接続し、第6流路43F(ヘッド側室29h)とタンク37とを接続する。これにより、ポンプ39からロッド側室29rに作動液を供給して、射出ピストン31を後退させることができる。
また、切換バルブ51は、紙面右側に示す位置では、第5流路43E(ロッド側室29r)とタンク37とを接続し、第6流路43F(ヘッド側室29h)とポンプ39とを接続する。これにより、ポンプ39からヘッド側室29hに作動液を供給して、射出ピストン31を前進させることができる。ただし、本実施形態では、この作動液の流れは必須ではなく、切換バルブ51は、紙面中央の位置と紙面左側の位置との2位置弁であってもよい。
切換バルブ51の制御方式は、例えば、ばね式、電磁式及びパイロット式並びにこれらの2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。図2では、切換バルブ51として、ばねによりノーマル位置で閉位置(紙面中央の位置)とされ、電磁力とパイロット圧力とが順次作動して制御されるものが図示されている。
なお、特に図示しないが、前側室29fは、適宜な流路を介してタンク37と接続されている。従って、前側室29fは、増圧ピストン33の前進に伴って作動液をタンク37に排出可能である。また、前側室29fは、増圧ピストン33の後退に伴って負圧によって作動液をタンク37から補給可能である。ポンプ39によって前側室29fに作動液が補給されてもよい。また、前側室29fは、作動液が満たされるのではなく、大気開放されてもよい。
液圧装置28は、例えば、ポンプ39への逆流を防止するために設けられた逆止弁からなるバルブ53及び55、タンク37からポンプ39への作動液を濾過するフィルタ57、速度用バルブ49を介してタンク37へ流れる作動液を冷却する冷却器59等を有している。
(ジャンピング抑制のための構成)
上記のような構成においては、例えば、射出用バルブ45を開き、アキュムレータ41からヘッド側室29hへ作動液が供給されて射出が行われる。ロッド側室29rからの作動液の排出は、例えば、速度用バルブ49のみによって許容され、射出ピストン31の速度は、速度用バルブ49の流量制御によって制御される。
このような場合において、既に述べたように、アキュムレータ41からヘッド側室29hへ作動液の供給を開始したときに、ロッド側室29rにおける作動液の圧縮に起因して、ロッド側室29rから排出される作動液の流量に相当する速度を超える速度で射出ピストン31が駆動される(ジャンピングが生じる)おそれがある。
そこで、本実施形態では、例えば、ヘッド側室29hへ作動液を供給する前に、予めロッド側室29rの作動液を圧縮しておき、これにより、ジャンピングが生じるおそれを低減する。具体的には、以下のような構成により、ジャンピングを抑制する。
射出駆動部25は、圧縮シリンダ61を有している。圧縮シリンダ61は、圧縮シリンダ部63と、圧縮シリンダ部63に摺動可能に収容される圧縮ピストン65とを有している。
圧縮シリンダ61は、増圧機能を有する構成とされている。例えば、圧縮シリンダ部63は、第1シリンダ部63aと、第1シリンダ部63aよりも径(断面積)が大きい第2シリンダ部63bとを有している。一方、圧縮ピストン65は、第1シリンダ部63aを摺動可能な第1ピストン部65aと、第2シリンダ部63bを摺動可能な第2ピストン部65bとを有している。第1シリンダ部63aの内部は、第1ピストン部65aの先端面(第2ピストン部65bとは反対側の面)が露出する第1シリンダ室63eとなっている。第2シリンダ部63bの内部は、第2ピストン部65bによって、第1シリンダ室63e側の第2シリンダ室63fと、その反対側の第3シリンダ室63gとに区画されている。
従って、例えば、第2シリンダ室63fの圧抜きを行うと、第2ピストン部65bの第3シリンダ室63gにおける受圧面積が第1ピストン部65aの第1シリンダ室63eにおける受圧面積よりも大きいことから、圧縮ピストン65は、第3シリンダ室63gの作動液から受ける圧力よりも高い圧力を第1シリンダ室63eに付与することができる。
液圧装置28は、第3シリンダ室63gに作動液を供給可能である。例えば、液圧装置28は、第3シリンダ室63gとアキュムレータ41(液体室41e)とを接続する第7流路43Gを有しており、アキュムレータ41から第3シリンダ室63gへ作動液を供給可能である。なお、図示の例では、第7流路43Gは、アキュムレータ41側の一部が第2流路43Bと共通化されている。
第1シリンダ室63eは、ロッド側室29rに通じており、その圧力をロッド側室29rに付与可能である。例えば、液圧装置28は、第1シリンダ室63eとロッド側室29rとを接続する第8流路43Hを有しており、これにより、第1シリンダ室63e及びロッド側室29rは連通されている。なお、第1シリンダ部63aの適宜な部位と小径シリンダ部29aの適宜な部位とが直接的に連結されることによって第1シリンダ室63e及びロッド側室29rが連通されてもよい。
特に図示しないが、第2シリンダ室63fは、適宜な流路を介してタンク37と接続されている。従って、第2シリンダ室63fは、圧縮ピストン65の前進に伴って作動液をタンク37に排出可能である。また、第2シリンダ室63fは、圧縮ピストン65の後退に伴って負圧によって作動液をタンク37から補給可能である。ポンプ39によって第2シリンダ室63fに作動液が補給されてもよい。また、第2シリンダ室63fは、作動液が満たされるのではなく、大気開放されてもよい。
従って、液圧装置28から第3シリンダ室63gに作動液を供給することにより、その作動液の圧力を増圧して第1シリンダ室63eからロッド側室29rに圧力を付与することができる。この圧力の付与を、例えば、ヘッド側室29hへの作動液の供給前に行うことにより、ジャンピングが生じるおそれを低減できる。
ここで、射出ピストン31のロッド側室29rにおける受圧面積は、射出ピストンロッド35によって減じられている。すなわち、射出ピストン31は、ロッド側室29rにおける受圧面積よりもヘッド側室29hにおける受圧面積が大きい。従って、射出ピストン31は、ヘッド側室29hの圧力を増圧してロッド側室29rに付与する増圧作用を生じ得る。この増圧作用もジャンピングを生じさせる一因である。
そして、圧縮ピストン65における増圧比は、上記の射出ピストン31における増圧比以上であることが好ましい。すなわち、圧縮ピストン65の第3シリンダ室63gにおける受圧面積(S2)を圧縮ピストン65の第1シリンダ室63eにおける受圧面積(S1)で割った比(S2/S1,ただしS2>S1)は、射出ピストン31のヘッド側室29hにおける受圧面積(S4)を射出ピストン31のロッド側室29rにおける受圧面積(S3)で割った比(S4/S3,ただしS4>S3)に対して同等以上である(S2/S1≧S4/S3)ことが好ましい。
さらに好ましくは、圧縮ピストン65における増圧比(S2/S1)は、射出ピストン31における増圧比(S4/S3)よりも大きい(S2/S1>S4/S3)。例えば、前者は、後者に対して、後者の増圧比の1割以上2割以下の差で大きい。
液圧装置28は、第3シリンダ室63gへの作動液の供給を制御する圧縮用バルブ67を有している。圧縮用バルブ67は、例えば、第7流路43G(他の流路(43B)と共通化されていない部分)に設けられ、アキュムレータ41から第3シリンダ室63gへの作動液の流れを許容又は禁止する。圧縮用バルブ67は、例えば、パイロット式の逆止弁により構成されており、パイロット圧が導入されていないときは、アキュムレータ41から第3シリンダ室63gへの作動液の流れを禁止するとともに、その反対方向の流れを許容し、パイロット圧が導入されているときは、双方の流れを許容する。
(制御装置の機能部及びセンサ)
制御装置13は、例えば、特に図示しないが、CPU、RAM、ROM及び外部記憶装置を含むコンピュータによって構成されている。CPUがROM及び外部記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、種々の制御乃至は演算を担う複数の機能部が構成される。複数の機能部は、例えば、圧縮シリンダ制御部13a及び射出シリンダ制御部13bである。
圧縮シリンダ制御部13aは、圧縮シリンダ61の動作の制御を行う。具体的には、例えば、圧縮シリンダ制御部13aは、入力装置17及び各種のセンサ等からの信号に基づいて、圧縮用バルブ67へパイロット圧力を導入する不図示の液圧回路へ制御信号を出力する。
射出シリンダ制御部13bは、射出シリンダ27の動作の制御を行う。具体的には、例えば、射出シリンダ制御部13bは、入力装置17及び各種のセンサ等からの信号に基づいて、射出用バルブ45へパイロット圧力を導入する不図示の液圧回路、増圧用バルブ47を駆動する不図示のドライバ、速度用バルブ49を駆動する不図示のドライバ及び切換バルブ51を駆動する不図示のドライバへ制御信号を出力する。
制御装置13へ信号を入力するセンサは、例えば、プランジャ23の位置を検出する位置センサ69、及びアキュムレータ41の圧力を検出する圧力センサ71である。
位置センサ69は、例えば、リニアエンコーダを構成している。例えば、位置センサ69は、不図示のスケール部に対して当該スケール部の軸方向に直交する方向において対向し、スケール部との軸方向における相対移動に応じてパルスを生成する。そして、位置センサ69及び/又は制御装置13は、生成されたパルスの数を積算することによって位置センサ69とスケール部との相対位置を特定可能であり、また、時間当たりのパルスの数を特定することによって速度を特定可能である。
そして、位置センサ69は、射出シリンダ部29に対して固定的に設けられ、スケール部は、射出ピストンロッド35又は射出ピストンロッド35に固定的な部材に設けられる。従って、射出ピストンロッド35の位置及び/又は速度が検出されることによって、間接的にプランジャ23の位置及び/又は速度が検出される。
なお、位置センサ69は、パルスを出力するだけであってもよいし、位置及び/又は速度を特定し、その特定した位置及び/又は速度に応じた信号を出力してもよい。前者であっても、位置に応じてパルスの総数が異なるから位置に応じた信号を出力しているといえ、また、速度に応じて単位時間当たりのパルス数が異なるから速度に応じた信号を出力しているといえる。後者の場合の信号は、例えば、位置及び/又は速度の変化に応じて信号レベルが変化する信号である。
位置センサ69は、上記のようなリニアエンコーダの他、例えば、射出シリンダ部29に対して固定的に設けられ、射出ピストンロッド35又は射出ピストンロッド35に対して固定的な部材との距離を測定するレーザ測長器であってもよい。
圧力センサ71は、例えば、液体室41eの圧力に応じた信号を出力する。圧力に応じた信号は、例えば、圧力の変化に対応して信号レベルが変化する信号である。圧力センサ71は、ダイヤフラム式など、公知の適宜なものが用いられてよい。また、圧力センサ71として、液体室41eの圧力を検出するものに加えて、又は代えて、気体室41fの圧力を検出するものが用いられてもよい。
(射出装置の動作)
図3は、射出装置9の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3の上部は、射出速度V(プランジャ23の前進速度)及び射出圧力P(プランジャ23が溶湯に付与する圧力)の経時変化を示している。この図3の上部において、横軸は時間tを示し、縦軸は、射出速度V及び射出圧力Pを示している。線LV及びLPは、それぞれ時間tの経過に対する射出速度V及び射出圧力Pの変化を示している。
図3の下部は、図3の上部の時間経過に対応する射出用バルブ45、増圧用バルブ47、速度用バルブ49及び圧縮用バルブ67の動作を示している。図3の下部において、実線は本実施形態における動作を示しており、2点鎖線は後述する変形例について示している。増圧用バルブ47及び速度用バルブ49の「開」は、これらのバルブが開かれているとともに開度が適宜に制御されている状態を示している。なお、制御装置13が制御信号を出力するタイミングは、バルブの制御遅れ等を考慮して、図示のタイミングよりも早くされてもよい。
まず、射出装置9の基本的な動作を説明し、次に、ジャンピング防止のための動作(圧縮シリンダ61及び圧縮用バルブ67の動作)について説明する。
射出装置9は、基本的な動作として、例えば、低速射出(概ね時点t0〜t1)、高速射出(概ね時点t1〜t2)、及び増圧(昇圧、概ね時点t3〜)を順に行う。これらの工程の動作は、例えば、以下のとおりである。
(低速射出)
射出開始前において、射出装置9は、例えば、図2に示すような状態とされている。すなわち、射出ピストン31及び増圧ピストン33は、例えば、後退限に位置している。アキュムレータ41は、例えば、所定の圧力まで充填が完了している。ポンプ39は、既に述べたように、常時駆動されていてもよいし、必要なときだけ駆動されてもよく、後者の場合においては、例えば、停止されている。射出用バルブ45は、パイロット圧力が導入されて閉じられている。増圧用バルブ47、速度用バルブ49及び切換バルブ51は、閉位置とされている。
制御装置13は、射出開始条件が満たされると(時点t0)、プランジャ23の前進を開始し、比較的低速の低速射出速度VLでプランジャ23を前進させる。これにより、溶湯による空気の巻き込みが抑制されつつ、スリーブ21内の溶湯がキャビティCaへ向かって押し出されていく。
射出開始条件は、例えば、型締装置7によって固定金型103及び移動金型105の型締めが完了し、不図示の給湯装置によるスリーブ21への溶湯の供給が完了したことである。また、後述するジャンピング抑制のための動作が完了したことが射出開始条件として加えられてもよい。
低速射出速度VLは、適宜に設定されてよいが、例えば、1m/s未満である。低速射出速度VLは、例えば、一定の値である。ただし、適宜な変速制御がなされてもよい。低速射出において、射出圧力は、射出速度が比較的低速であることから、比較的低圧である。
上記のような動作のために、制御装置13は、具体的には、例えば、射出用バルブ45への閉じるパイロット圧力の導入を停止することにより、アキュムレータ41からヘッド側室29hへ作動液を供給する。また、制御装置13は、例えば、速度用バルブ49を適宜な開度で開き、ロッド側室29rからタンク37への作動液の排出を許容する。これにより、射出ピストン31は前進し、ひいてはプランジャ23が前進する。
この際、プランジャ23の速度は、例えば、速度用バルブ49の開度を制御することによって制御される。この速度制御は、オープン制御であってもよいし、位置センサ69の検出する速度に基づくフィードバック制御であってもよい。速度フィードバック制御は、速度自体の偏差を求めるようなものであってもよいし、速度の目標値から求められる時々刻々の(経過時間毎の)目標位置と、検出された位置との偏差を求め、時々刻々と位置フィードバック制御を行うことによって実質的に速度フィードバック制御を行うものであってもよい。
(高速射出)
プランジャ23が所定の高速切換位置に到達すると(時点t1)、制御装置13は、比較的高速の高速射出速度VHでプランジャ23を前進させる。これにより、例えば、溶湯の凝固に遅れずに速やかに溶湯がキャビティCaに充填される。高速射出速度VHは適宜に設定されてよいが、例えば、1m/s以上である。高速射出速度VHは、例えば、一定の値である。ただし、適宜な変速制御がなされてもよい。高速射出において、射出圧力は、射出速度が比較的高速であることから、低速射出のときの圧力よりも高い圧力となる。
上記のような動作のために、制御装置13は、具体的には、例えば、低速射出から引き続いてアキュムレータ41からヘッド側室29hへの作動液の供給を継続しつつ、速度用バルブ49の開度を大きくする。このように速度用バルブ49の開度を大きくするだけの場合、制御装置13は、例えば、低速射出から引き続いてオープン制御又はフィードバック制御を行い、単に速度の目標値を低速射出のものから高速射出のものへ変化させるだけでよい。
制御装置13は、例えば、プランジャ23の移動範囲を複数に分けた区間毎に設定された目標速度を経過時間毎のプランジャ23の位置の目標値に変換して位置フィードバック制御(実質的な速度フィードバック制御)を行っており、プランジャ23が高速切換位置に到達したか否か検知しない。ただし、制御装置13は、位置センサ69からの信号に基づいてプランジャ23が所定の高速切換位置に到達したことを検知して速度の目標値を切り換えてもよい。
(減速、増圧及び保圧)
高速射出の結果、キャビティCaに溶湯が概ね充填されると(時点t2)、溶湯の圧力は上昇し、これによりプランジャ23は減速する。なお、適宜な時期に、速度用バルブ49の開度を絞ることによって減速制御が行われてもよい。減速の結果、プランジャ23は概ね停止する(時点t4)。図示の例のように、プランジャ23が概ね停止した後も溶湯が昇圧されてもよい。その後、溶湯の圧力は、鋳造圧力(終圧)に到達する。このようにして、減速及び増圧が行われる。その後、鋳造圧力が維持される(保圧工程)。
上記のような動作のために、制御装置13は、具体的には、例えば、適宜な時期(t3)に増圧用バルブ47を開く。これにより、アキュムレータ41から後側室29gに作動液が供給され、増圧された圧力がヘッド側室29hへ付与され、ひいては、増圧が行われる。射出用バルブ45は、ヘッド側室29hの圧力がアキュムレータ41の圧力よりも高くなることによって自閉する。ただし、射出用バルブ45は、適宜な時期に閉じるパイロット圧力が導入されて閉じられてもよい。また、制御装置13は、適宜な昇圧曲線が得られるように、速度用バルブ49の開度を増圧用の適宜な開度とする。
その後、増圧されたヘッド側室29hの圧力による力と、プランジャ23が溶湯から受ける圧力による力とが釣り合うことによって、射出圧力は一定となる(鋳造圧力となる。)。このとき、ロッド側室29rの圧力は、例えば、タンク圧とされる(概ね0とされる。)。なお、適宜な時期に速度用バルブ49を閉じることなどによってロッド側室29rからの作動液の排出を禁止し、ロッド側室29rの圧力をタンク圧よりも高い適宜な圧力とし、これにより、任意の鋳造圧力を得てもよい。制御装置13は、保圧工程においては、鋳造圧力が得られたときの状態を維持する。例えば、増圧用バルブ47及び速度用バルブ49は開かれたままとされる。
(押出追従、プランジャ後退及びアキュムレータ充填)
キャビティCaに充填された溶湯が凝固すると、制御装置13は、型締装置7による型開きに追従して、プランジャ23を前進させる。これにより、ビスケットが押され、成形品が固定金型103から離れる。具体的には、例えば、制御装置13は、アキュムレータ41若しくはポンプ39からヘッド側室29h若しくは後側室29gへ作動液を供給するように液圧装置28を制御する。
押出追従の後、制御装置13は、例えば、切換バルブ51によって、ポンプ39とロッド側室29rとを接続し、ヘッド側室29hとタンク37とを接続する。また、制御装置13は、射出用バルブ45、増圧用バルブ47及び速度用バルブ49を閉じる。これにより、ポンプ39からロッド側室29rへ作動液が供給されて射出ピストン31が後退し、ひいては、プランジャ23が後退する。
また、射出ピストン31がある程度の位置まで後退すると、増圧ピストン33は、射出ピストン31によって押されて射出ピストン31と共に後退する。後側室29gの作動液は、例えば、不図示の流路を介してタンク37へ排出される。後側室29gから排出された作動液が増圧用バルブ47を介してアキュムレータ41に充填されるようにしてもよい。なお、増圧ピストン33は、射出ピストン31に押されるのではなく、ヘッド側室29hからの作動液の排出を禁止して射出ピストン31を後退させることによって後退させたり、ヘッド側室29h又は前側室29fに作動液を供給することによって後退させたりしてもよい。
プランジャ23の後退が完了した後、制御装置13は、射出用バルブ45、増圧用バルブ47及び切換バルブ51等を閉じた状態で、ポンプ39を駆動する。これにより、ポンプ39からアキュムレータ41へ作動液が供給され、アキュムレータ41が充填される。そして、制御装置13は、圧力センサ71の検出する圧力が所定の設定圧力に到達すると、例えば、ポンプ39の駆動を停止する。
(ジャンピング抑制のための動作)
制御装置13は、低速射出の開始前(時点t0前)の適宜な時期に、圧縮用バルブ67を開くように、圧縮用バルブ67にパイロット圧力を導入する不図示の液圧回路を制御する。これにより、アキュムレータ41から圧縮シリンダ61の第3シリンダ室63gに作動液が供給され、圧縮シリンダ61によって増圧された圧力がロッド側室29rに付与される。ひいては、ロッド側室29rの作動液が圧縮される。その結果、その後(時点t0)、アキュムレータ41からヘッド側室29hへ作動液を供給しても、ロッド側室29rの作動液の圧縮は生じず、又は抑制され、ジャンピングが生じるおそれが低減される。
また、制御装置13は、上記のように圧縮用バルブ67を開いてロッド側室29rの作動液を圧縮した後、圧縮用バルブ67へのパイロット圧力の導入を停止するように不図示の液圧回路を制御する。圧縮用バルブ67を閉じても、ロッド側室29r及び第1シリンダ室63eからの作動液の排出は禁止されているから、ロッド側室29rにおける作動液の圧縮は基本的には維持される。そして、その後、射出用バルブ45及び速度用バルブ49が開かれると、ヘッド側室29hの圧力が上昇するとともにロッド側室29rの圧力が低下することによって射出ピストン31は前進を開始する。
なお、圧縮シリンダ61からロッド側室29rに圧力を付与しているとき、後退限に位置している射出ピストン31は、例えば、射出シリンダ部29に設けられた不図示のストッパに当接していることにより後退が規制され、及び/又は射出シリンダ部29に設けられた不図示のストッパに当接していることにより後退が規制されている増圧ピストン33に当接していることにより後退が規制されている。また、射出ピストン31は、ヘッド側室29hからの作動液の排出が禁止されていることによって後退が規制されていてもよい。
圧縮用バルブ67を開いておく時間は、圧縮シリンダ61によってロッド側室29rの作動液の圧縮が完了するように、又は圧縮がある程度進むように、適宜に設定されてよい。
圧縮用バルブ67を開くタイミングは、低速射出の開始前の適宜な時点とされてよい。例えば、ヘッド側室29hへ作動液が供給される前に、上記の圧縮用バルブ67を開いておく時間が確保される時点とされてよい。また、圧縮用バルブ67を開くタイミングは、型締め完了の前であってもよいし、後であってもよいし、溶湯のスリーブ21への供給前であってもよいし、後であってもよい。
なお、プランジャ23、射出ピストンロッド35及び射出ピストン31の質量及び摺動抵抗が比較的大きかったり、射出用バルブ45が徐々に開かれる構成及び制御とされたりする場合においては、圧縮シリンダ61によるロッド側室29rへの圧力の付与が、ヘッド側室29hへの圧力の付与に対して同時とされたり、若干遅れたりしても、ジャンピング抑制の効果はある程度得られる。従って、圧縮用バルブ67を開くタイミングは、射出用バルブ45を開くタイミングに対して、基本的には前の時点であるが、同時又は僅かに後の時点とされてもよい。また、制御装置13が圧縮用バルブ67及び射出用バルブ45へ制御信号を出力する時期は、両バルブの制御遅れの相違等を考慮して設定されてよく、必ずしも両バルブを開く順で両バルブへの制御信号が出力されなくてもよい。
圧縮用バルブ67を閉じるタイミングは、射出の開始前であってもよいし、射出の開始と同時であってもよいし、射出の開始後であってもよい。ただし、圧縮用バルブ67を閉じるタイミングが射出開始に対して早過ぎると、例えば、圧縮シリンダ61によって高くしたロッド側室29rの圧力が作動液の漏れ等によって低下し、ジャンピング抑制の効果が低下するおそれがある。また、圧縮用バルブ67を閉じるタイミングが射出開始に対して遅いと、圧縮シリンダ61によってロッド側室29rに付与する圧力の大きさにもよるが、速度用バルブ49を開いてからロッド側室29rの圧力が低下し始めるまでに遅れが生じ、ひいては、プランジャ23の前進開始が遅れる。従って、圧縮用バルブ67を閉じるタイミングは、射出開始と概ね同時であることが好ましい。
速度用バルブ49を閉じたまま射出用バルブ45を開いた場合、例えば、射出ピストン31による増圧比以上の比で、圧縮シリンダ61によってロッド側室29rの圧力がヘッド側室29hの圧力よりも大きくされていれば、基本的にはプランジャ23は前進しない(ジャンピングは生じない)。従って、射出用バルブ45を開いた後に、速度用バルブ49を開いてもよい。この場合、速度用バルブ49を開いたときに射出が開始される。
プランジャ23を後退させるためにロッド側室29rに作動液が供給されるとき、圧縮シリンダ61の第1シリンダ室63eにも作動液が供給される。この際、第3シリンダ室63gの作動液は、例えば、不図示の流路を介してタンク37へ排出される。これにより、圧縮ピストン65は初期位置(後退限)に復帰する。なお、第3シリンダ室63gから排出される作動液は、アキュムレータ41に充填されてもよい。
(第1変形例)
特に図示しないが、ポンプ39からヘッド側室29hへ作動液を供給しつつ、ロッド側室29rから速度用バルブ49を介してタンク37へ作動液を排出できるように液圧装置28を変形してもよい。例えば、切換バルブ51を、図2の紙面右側の位置において、ポンプ39と第6流路43Fとを接続し、第5流路43Eとタンク37とを遮断するように構成する。
そして、低速射出においては、ポンプ39からヘッド側室29hへ作動液を供給して射出ピストン31を前進させ、速度用バルブ49によってロッド側室29rのプランジャ23の速度を制御する。また、図3の射出用バルブ45に係る線図において2点鎖線で示すように、射出用バルブ45は、高速射出の開始時に開かれる。
このようにポンプ39からヘッド側室29hへ作動液を供給する場合においても、圧縮シリンダ61によって予めロッド側室29rの作動液を圧縮しておくことにより、ジャンピングが抑制される。
(第2変形例)
図3の圧縮用バルブ67に係る線図において2点鎖線で示すように、圧縮用バルブ67は、射出用バルブ45及び速度用バルブ49を開いた後まで開いた状態が維持されてもよい。
ここで、射出用バルブ45及び速度用バルブ49が開かれると、ヘッド側室29hに作動液が供給され、射出ピストン31は、ロッド側室29rの容積を縮小しつつ前進しようとする。その一方でロッド側室29rからの作動液の排出は速度用バルブ49によって制限されている。従って、例えば、圧縮シリンダ61が設けられていない場合であっても、ロッド側室29rの圧力はタンク圧よりも高くなる。この圧力の大きさによって、圧縮シリンダ61の動作は異なるものとなる。
(第2変形例の1)
例えば、第1シリンダ室63eの圧力が、射出用バルブ45及び速度用バルブ49が開かれた後におけるロッド側室29rの圧力よりも高い場合においては、第1シリンダ室63eからロッド側室29rへ作動液が流れる。従って、圧縮ピストン65は前進する。また、射出ピストン31は概ね停止を維持するか、ロッド側室29rからタンク37へ排出される作動液の流量に相当する速度よりも低い速度で前進する。その後、圧縮ピストン65が前進限に到達すると、圧縮シリンダ61からロッド側室29rへの圧力の付与が終了し、射出ピストン31は、ロッド側室29rからタンク37へ排出される作動液の流量に相当する速度で前進する。
このような動作においても、最初から圧縮ピストン65が前進限に到達するまでの時間を射出開始の制御遅れとして考慮して、各バルブを開くタイミングを早めておけば、実施形態と同様の射出速度及び射出圧力が得られる。また、実施形態と同様に、ロッド側室29rが予圧されることから、ジャンピングが生じるおそれが低減される。
なお、圧縮ピストン65が前進限に到達した後は、基本的には、圧縮用バルブ67の開閉は、射出及び増圧に影響を及ぼさない。従って、圧縮用バルブ67は、適宜な時期に閉じられてよい。
(第2変形例の2)
また、例えば、上記の第2変形例の2とは逆に、第1シリンダ室63eの圧力が、射出用バルブ45及び速度用バルブ49が開かれた後におけるロッド側室29rに付与しようとする圧力よりも低い場合においては、第1シリンダ室63eからロッド側室29rへは作動液は流れない。従って、射出用バルブ45及び速度用バルブ49が開かれると、射出ピストン31は前進を開始する。ただし、ロッド側室29rから第1シリンダ室63eへ作動液が流れることから、射出ピストン31の速度は、圧縮ピストン65が後退限まで後退するまでの間において、ロッド側室29rからタンク37へ排出される作動液の流量に相当する速度よりも高い。
このような動作においても、実施形態と同様に、ロッド側室29rが予圧されることから、ジャンピングが生じるおそれが低減される。ただし、ヘッド側室29hに作動液が供給されたときに、ロッド側室29rは、圧縮シリンダ61によって付与されていた圧力よりも高い圧力を射出ピストン31によって付与されることになるから、若干の作動液の圧縮は生じ得る。
なお、増圧開始時にロッド側室29rの圧力を下げるために、圧縮用バルブ67は、増圧開始時に閉じられることが好ましい。ただし、プランジャ23が溶湯から受ける力によって射出ピストン31が減速及び停止すると、速度用バルブ49によって作動液の排出が許容されているロッド側室29rの圧力は低下し、圧縮ピストン65は前進して前進限に到達し、圧縮シリンダ61はロッド側室29rに圧力を付与しなくなる。その状態を待ってもよい。
(第2変形例の3)
また、例えば、第1シリンダ室63eの圧力が、射出用バルブ45及び速度用バルブ49が開かれた後における圧力と同等の場合、上記の第2変形例の2と概ね同様の動作となる。
ただし、ヘッド側室29hに作動液が供給されても、ロッド側室29rは、圧縮シリンダ61によって付与されていた圧力が維持されることになるから、基本的に作動液の圧縮は生じない。また、ロッド側室29rの作動液は基本的に第1シリンダ室63eに流れ込まない。従って、上記の第2変形例の2よりも好適な動作となる。
以上のとおり、本実施形態では、射出装置9は、射出シリンダ27と、液圧装置28とを有している。射出シリンダ27は、金型101内に通じるスリーブ21内を摺動可能なプランジャ23に連結される射出ピストンロッド35、射出ピストンロッド35に固定されている射出ピストン31、及び射出ピストン31を摺動可能に収容している射出シリンダ部29を有している。射出シリンダ部29の内部は、射出ピストン31によって射出ピストンロッド35が延び出る側のロッド側室29rと、その反対側のヘッド側室29hとに区画されている。液圧装置28は、ヘッド側室29hに作動液を供給可能である。さらに、射出装置9は、圧縮シリンダ61を有している。圧縮シリンダ61は、圧縮ピストン65と、圧縮ピストン65を摺動可能に収容している圧縮シリンダ部63を有している。圧縮シリンダ部63は、圧縮ピストン65を挟んで第3シリンダ室63g(低圧室)及び第1シリンダ室63e(高圧室)を有している。圧縮ピストン65の第3シリンダ室63gにおける受圧面積は、圧縮ピストン65の第1シリンダ室63eにおける受圧面積よりも大きい。第1シリンダ室63eは、ロッド側室29rに通じている。液圧装置28は、が第3シリンダ室63gに作動液を供給可能である。
従って、第3シリンダ室63gに作動液を供給し、ひいては、圧縮シリンダ61によってロッド側室29rに圧力を付与することができる。そして、例えば、射出開始前などにロッド側室29rの作動液を圧縮しておき、ジャンピングが生じるおそれを低減することができる。既に述べたように、ヘッド側室29hに圧力が付与されるとき、射出ピストン31の増圧作用によってロッド側室29rにはヘッド側室29hに付与される圧力よりも高い圧力が付与され易い。また、ヘッド側室29hには、実施形態のようにアキュムレータ41から作動液が供給されるなど比較的高い圧力が付与される。しかし、圧縮シリンダ61が増圧作用を有していることにより、ロッド側室29rの圧力を十分に高くして、ジャンピングが生じるおそれをより確実に抑制することができる。また、圧縮シリンダ61の増圧作用を利用してロッド側室29rの作動液の圧力を相対的に高くすることから、例えば、アキュムレータ41よりも高い圧力を付与可能な液圧源を新たに設けてロッド側室29rの圧力を相対的に高くする場合に比較してコスト削減が期待される。
また、本実施形態では、圧縮ピストン65の第3シリンダ室63gにおける受圧面積(S2)を圧縮ピストン65の第1シリンダ室63eにおける受圧面積(S1)で割った増圧比は、射出ピストン31のヘッド側室29hにおける受圧面積(S4)を射出ピストン31のロッド側室29rにおける受圧面積(S3)で割った増圧比以上である(S2/S1≧S4/S3)。
従って、射出ピストン31の増圧作用によって生じるロッド側室29rの圧力以上の圧力を、圧縮シリンダ61によってロッド側室29rに付与することが容易化される。また、このような射出ピストン31がロッド側室29rに付与する圧力以上の圧力を圧縮シリンダ61によってロッド側室29rに付与することを、同一の液圧源(アキュムレータ41)からヘッド側室29h及び第3シリンダ室63gへ作動液を供給して実現することも可能となる。
なお、既に述べたように、圧縮ピストン65における増圧比(S2/S1)は、射出ピストン31における増圧比(S4/S3)よりも大きいことが好ましい。圧縮ピストン65によって予め高くされたロッド側室29rの圧力が静圧であるのに対して、作動液が供給されるヘッド側室29hの圧力は動圧である。従って、ジャンピングが生じるおそれを確実に低減する観点からは、圧縮ピストン65によってロッド側室29rに付与される圧力が、ヘッド側室29hの圧力に基づいて射出ピストン31がロッド側室29rに付与する圧力よりも上回っていることが好ましいからである。
また、本実施形態では、液圧装置28は、作動液を送出可能なアキュムレータ41(液圧源)と、アキュムレータ41とヘッド側室29hとを接続する第2流路43Bと、アキュムレータ41と第3シリンダ室63gとを接続する第7流路43Gと、を有している。
すなわち、圧縮シリンダ61によって予めロッド側室29rに圧力を付与するための液圧源として、射出においてヘッド側室29hへ作動液を供給する液圧源が利用されている。従って、新たに液圧源を設ける必要がなく、コスト削減が図られる。
また、本実施形態では、射出装置9は、第3シリンダ室63gへ作動液を供給した後、ヘッド側室29hへ作動液を供給するように液圧装置28を制御する制御装置13を更に有している。すなわち、制御装置13は、第3シリンダ室63gへ作動液を供給するように液圧装置28(圧縮用バルブ67)を制御する圧縮シリンダ制御部13aと、その制御の後、ヘッド側室29hへ作動液を供給するように液圧装置28(射出用バルブ45)を制御する射出シリンダ制御部13bとを有している。
従って、ヘッド側室29hへの作動液の供給前にロッド側室29rに予め圧力を付与して、より確実にジャンピングが生じるおそれを低減することができる。なお、ここでいう作動液の供給の前後は、実際に圧縮用バルブ67及び射出用バルブ45が開かれる(例えば開かれ始める)タイミングで判定されてよいし、両バルブの制御遅れの差が殆ど無視できる場合においては、制御装置13から出力される制御信号のタイミングで判定されてもよい。
なお、第1実施形態において、ダイカストマシン1は成形機の一例であり、第1シリンダ室63eは高圧室の一例であり、第3シリンダ室63gは低圧室の一例であり、アキュムレータ41は液圧源の一例であり、第2流路43B及び第7流路43Gは液圧源に接続される流路の一例である。
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る射出装置209の構成を模式的に示す、図2に相当する図である。
第1実施形態の射出駆動部25では、アキュムレータ41から圧縮シリンダ61の第3シリンダ室63gに作動液が供給された。これに対して、本実施形態の射出駆動部225では、ポンプ39から第3シリンダ室63gに作動液が供給される。本実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
具体的には、射出駆動部225の液圧装置228は、第1実施形態の第7流路43Gに代えて、ポンプ39と第3シリンダ室63gとを接続する第7流路243Gを有している。なお、第7流路243Gのポンプ39側の一部は、例えば、ポンプ39と接続される他の流路の一部と共通化されている。
射出駆動部225の動作(制御装置13の制御)は、圧縮シリンダ61によってロッド側室29rに圧力を付与するときに、アキュムレータ41からの作動液の供給に代えて、ポンプ39からの作動液の供給が行われることを除いて、第1実施形態の射出駆動部25の動作と同様である。なお、ポンプ39は、第2実施形態においても、常時駆動されてもよいし、必要なときだけ駆動されてもよい。
本実施形態においても、増圧機能を有する圧縮シリンダ61が設けられ、第1シリンダ室63eがロッド側室29rに接続され、液圧装置228が第3シリンダ室63gに作動液を供給可能であることから、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、ロッド側室29rを予圧してジャンピングが生じるおそれを好適に低減することができる。
<第3実施形態>
(射出駆動部の構成)
図5は、本発明の第3実施形態に係る射出装置309の構成を示す模式図である。
第1実施形態の射出駆動部25は、液圧式のものであった。これに対して、本実施形態の射出駆動部325は、液圧式と電動式とを組み合わせた、いわゆるハイブリッド式とされている。また、この相違に対応して、本実施形態の射出駆動部325の制御(制御装置313の構成)も、第1実施形態のものとは異なっている。なお、本実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
具体的には、射出駆動部325は、第1実施形態と同様の射出シリンダ27に加えて、電動式駆動部381を有している。
第1実施形態の説明では省略したが、プランジャ23の後端と、射出ピストンロッド35の先端とは、例えば、カップリング24によって連結されている。カップリング24は、例えば、プランジャ23の後端及び射出ピストンロッド35の先端を収容するケース部材(符号省略)を有しており、ケース部材は、プランジャ23及び射出ピストンロッド35の間にこれらに対して拡径する部分を構成している。
電動式駆動部381は、例えば、回転式の駆動用電動機383と、駆動用電動機383の回転を伝達する伝達機構385と、伝達機構385から伝達される回転を並進運動に変換する変換機構387と、変換機構387からの駆動力によってプランジャ23の移動方向に駆動される被駆動部391とを有している。そして、被駆動部391からプランジャ23へ駆動力が伝達されることによって、プランジャ23は駆動される。
駆動用電動機383は、例えば、特に図示しないが、公知のように、電機子又は界磁の一方を構成するステータと、電機子又は界磁の他方を構成するロータとを有している。駆動用電動機383の配置位置及び向きは適宜に設定されてよい。図示の例では、駆動用電動機383は、出力軸383aが射出ピストンロッド35に平行になるように配置されている。
駆動用電動機383は、直流モータでも交流モータでもよいし、誘導モータでも同期モータでもよい。駆動用電動機383は、ブレーキ付きの電動機であってもよい。駆動用電動機383は、例えば、サーボモータとして構成されており、駆動用電動機383の回転を検出するエンコーダ383bと、駆動用電動機383に電力を供給する不図示のサーボドライバと共にサーボ機構を構成している。
伝達機構385は、例えば、プーリ・ベルト機構により構成されており、駆動用電動機383の出力軸383aに固定された第1プーリ385aと、変換機構387に固定された第2プーリ385bと、第1プーリ385a及び第2プーリ385bに架け渡されたベルト385cとを有している。従って、駆動用電動機383が回転されると、その回転は伝達機構385を介して変換機構387に伝達される。
変換機構387は、例えば、ボールねじ機構により構成されており、ねじ軸387aと、ねじ軸387aに不図示のボールを介して螺合するナット387bとを有している。
ねじ軸387aは、射出ピストンロッド35に平行に配置されている。また、ねじ軸387aは、軸方向の移動が規制されているとともに軸回りの回転が許容されている。一方、ナット387bは、軸方向の移動が許容されるとともに軸回りの回転が規制されている。従って、ねじ軸387aが回転されると、ナット387bは射出ピストンロッド35に平行な方向において移動する。
上述の第2プーリ385bは、ねじ軸387aと同心又は同軸に固定されている。従って、駆動用電動機383から伝達機構385を介して伝達された回転は、ねじ軸387aに伝達される。ひいては、駆動用電動機383の駆動力によってナット387bが射出ピストンロッド35に平行な方向において移動する。
被駆動部391は、係合及び/又は着脱等によって、射出ピストンロッド35に対する相対的な前進が規制されるとともに、射出ピストンロッド35に対する相対的な後退が許容されるものである。なお、射出ピストンロッド35とプランジャ23とは連結されているから、ここでいう射出ピストンロッド35に対する相対的な前進の規制及び後退の許容は、プランジャ23に対する相対的な前進の規制及び後退の許容と同義である。
具体的には、例えば、被駆動部391は、基部391aと、基部391aに揺動可能に支持されたフック391bと、フック391bを駆動する不図示のアクチュエータとを有している。
基部391aは、例えば、ナット387bに固定されている。また、基部391aは、例えば、カップリング24(被当接部)に対して後方から当接可能である。従って、基部391aは、カップリング24に対する当接により、射出ピストンロッド35に対する相対的な前進が規制されるとともに、その当接位置から後方における射出ピストンロッド35に対する相対的な後退が許容される。
従って、基部391aがカップリング24に対して当接した状態で基部391aを前進させることにより、プランジャ23を前進させることができる。すなわち、駆動用電動機383の駆動力によりプランジャ23を前進させることができる。また、ヘッド側室29hへ作動液を供給して射出ピストンロッド35を比較的高速に移動させることなどにより、プランジャ23を基部391aに対して相対的に前進させることが可能である。
フック391bは、例えば、概ねL字状に形成されるとともに、一端が基部391aによって回転可能に支持されている。そして、フック391bは、カップリング24(被当接部、被係合部)に対してプランジャ23の後退方向に係合可能な位置(図示の位置)と、当該係合が解除される位置(図示の位置から紙面下方へ移動した位置)との間で移動可能である。なお、フック391bは、係合位置において、基部391aとでカップリング24を挟持可能である。
フック391bが係合されることにより、プランジャ23の被駆動部391に対する相対的な前進が規制される。従って、例えば、電動式駆動部381によってプランジャ23を前進させているときに減速制御を行ったり、射出後のプランジャ23の後退を電動式駆動部381によって行ったりすることができる。
フック391bを駆動する不図示のアクチュエータは、エアシリンダ又はリニアモータ等の適宜なものによって実現されてよい。なお、フック391b及びアクチュエータは設けられなくてもよい。また、被駆動部391は、基部391aの係合に加えて、又は代えて、例えば、電磁石で射出ピストンロッド35と着脱されたり、射出ピストンロッド35の径方向における挟持(ひいては摩擦抵抗)によって着脱されたりしてもよい。
特に図示しないが、射出駆動部325は、電動式駆動部381を左右対称又は上下対称に1対有していてもよい。また、1対の電動式駆動部381は、1つの駆動用電動機383を共用していてもよい。伝達機構385を省略して駆動用電動機383の回転を直接的にねじ軸387aに伝達してもよい。また、図示の例とは逆に、ナット387bが軸方向に移動不可能かつ軸回りに回転可能とされ、ねじ軸387aが軸方向に移動可能かつ軸回りに回転不可能とされ、被駆動部391がねじ軸387aに固定され、駆動用電動機383の回転がナット387bに伝達されてもよい。
(液圧系の構成)
図6は、射出駆動部325の液圧系の構成を模式的に示す、図2に相当する図である。
射出駆動部325の液圧系は、例えば、第9流路343I及びリリーフ弁393が設けられている点のみが第1実施形態の射出駆動部25の液圧系と相違する。
第9流路343Iは、ロッド側室29rとタンク37とを接続している。なお、第9流路343Iのロッド側室29r側の一部は、他の流路(43D及び43E)の一部と共通化されている。第9流路343Iのタンク37側の一部は、他の流路(43D)の一部と共通化されている。
リリーフ弁393は、第9流路343Iに設けられている。リリーフ弁393は、ロッド側室29rの圧力が所定の設定圧を超えるとロッド側室29rからタンク37への作動液の流れを許容する。これにより、ロッド側室29rの圧力は所定の設定圧以下に維持される。リリーフ弁393は、ロッド側室29rの圧力が弁体に直接に作用するものであってもよいし、ロッド側室29rの圧力がパイロット圧として利用されるものであってもよい。また、リリーフ弁393は、設定圧が手動で調整されるものであってもよいし、ソレノイド等によって調整されるものであってもよい。
リリーフ弁393の設定圧は、適宜に設定されてよい。例えば、アキュムレータ41からヘッド側室29hへ作動液を供給するとともにロッド側室29rから速度用バルブ49を経由して排出される作動液の流量を高速射出用の流量としたと仮定したときにロッド側室29rに生じる圧力と同程度とされてよい。また、これよりも高い圧力とされてもよいし、低い圧力とされてもよい。
(制御装置の機能部)
第1実施形態と同様に、制御装置313においては、CPUがプログラムを実行することによって各種の機能部が構成される。具体的には、第1実施形態と同様に、圧縮シリンダ61を制御するための圧縮シリンダ制御部313a及び射出シリンダ27を制御するための射出シリンダ制御部313bが構成されるとともに、電動式駆動部381を制御するための電動制御部313cが構成される。
圧縮シリンダ制御部313a及び射出シリンダ制御部313bは、バルブの制御タイミングが第1実施形態と相違するものの、制御対象等は第1実施形態と同様でよい。電動制御部313cは、例えば、位置センサ69及び/又はエンコーダ383b等からの信号に基づいて、駆動用電動機383を駆動するドライバ及びフック391bを駆動する不図示のアクチュエータのドライバに制御信号を出力する。
(射出装置の動作)
図7は、射出装置309の動作を説明するためのタイミングチャートであり、第1実施形態の図3に対応する図である。
図7の横軸及び縦軸等は、図3のものと同様である。ただし、図7では、図3で示した制御対象に加えて、駆動用電動機383が追加されている。
まず、射出装置309の基本的な動作を説明し、次に、ジャンピング防止のための動作(圧縮シリンダ61及び圧縮用バルブ67の動作)について説明する。射出装置309は、基本的な動作として、例えば、第1実施形態と同様に、低速射出(概ね時点t0〜t1)、高速射出(概ね時点t1〜t2)、及び増圧(昇圧、概ね時点t3〜)を順に行う。
(低速射出)
射出開始前において、射出装置309の液圧系の状態は、第1実施形態の射出開始前の状態と同様である。すなわち、各種のピストン(31、33)は後退限に位置し、各種バルブ(45、47、49及び51)は基本的に閉じられ、アキュムレータ41は充填が完了している。また、電動式駆動部381の基部391aは、後退限に位置する射出ピストンロッド35に後方から係合しており、また、フック391bは係合位置とされている。
そして、制御装置313は、第1実施形態と同様に、射出開始条件が満たされると(時点t0)、低速射出を開始する。ただし、第1実施形態とは異なり、低速射出は、電動式駆動部381の駆動力によって行われる。
具体的には、制御装置313は、駆動用電動機383のドライバへ制御信号を出力して駆動用電動機383を駆動する。駆動用電動機383の駆動力は、伝達機構385、変換機構387及び被駆動部391を介してカップリング24に伝達される。これにより、プランジャ23及び射出ピストンロッド35が前進する。
この際、射出ピストン31の前進に伴って容積が縮小するロッド側室29rの作動液は、リリーフ弁393を介してタンク37へ排出される。リリーフ弁393の作用によって、ロッド側室29rの圧力は、基本的に設定圧に保たれる。射出用バルブ45及び速度用バルブ49は、第1実施形態と異なり、低速射出では閉じられた状態が維持される。
射出ピストン31の前進に伴って容積が拡大するヘッド側室29hへの作動液の補給は、適宜になされてよい。例えば、不図示の流路によってヘッド側室29hとタンク37とを接続して負圧によって作動液を補給してよい。また、例えば、第1変形例において説明したような構成によって、ポンプ39からヘッド側室29hへ作動液を補給してもよい。このとき、ヘッド側室29hの作動液の圧力は、負圧が生じない程度とされてもよいし、タンク圧以上の圧力とされ、ポンプ39が電動式駆動部381をアシストしてもよい。
プランジャ23の速度は、駆動用電動機383の回転数の調整により制御される。具体的には、制御装置313(電動制御部313c)は、位置センサ69からの信号に基づいて駆動用電動機383の回転数をフィードバック制御する。なお、この速度フィードバック制御が、速度自体を偏差とするものであってもよいし、時々刻々の位置フィードバック制御であってもよいことは、第1実施形態と同様である。
なお、低速射出において、フック391bは、カップリング24に係合していてもよいし、係合していなくてもよい。係合している場合においては、例えば、減速を含む多段制御を行ったときに、慣性力によってプランジャ23が基部391aから離間して前進してしまうおそれを低減できる。
(高速射出)
高速射出は、第1実施形態と同様に行われる。すなわち、射出用バルブ45が開かれてアキュムレータ41からヘッド側室29hへ作動液が供給されるとともに、速度用バルブ49が開かれてロッド側室29rからタンク37への作動液の排出が許容される。プランジャ23の速度は、速度用バルブ49における流量によって制御され、また、位置センサ69からの信号に基づいてフィードバック制御される。
リリーフ弁393からの作動液の排出は、設定圧が高くされることにより、又は第9流路343Iに設けられた不図示の弁が閉じられることによって禁止される。
高速射出において、フック391bは、係合が解除される位置とされる。従って、射出シリンダ27によって駆動されたプランジャ23は、被駆動部391を置き去りにして前進する。これにより、電動式駆動部381は、プランジャ23の前進を妨げる負荷とはならない。
なお、図7では、高速射出において電動式駆動部381の駆動を停止する場合を例示している。ただし、例えば、電動式駆動部381は、押出追従及び/又はプランジャ23の後退に寄与するために、低速射出に引き続いて被駆動部391を前進させてもよい。また、例えば、電動式駆動部381は、低速射出後の適宜な時期に被駆動部391を後退させ、次の射出に備えてもよい。
(減速、増圧、保圧、押出追従及びプランジャ後退)
減速、増圧、保圧、押出追従及びプランジャ後退は、第1実施形態と同様に行われてよい。また、低速射出に引き続いて被駆動部391を前進させ、溶湯からの力等によって減速されたプランジャ23に被駆動部391を追い付かせ、電動式駆動部381を増圧、保圧及び押出追従のいずれかに寄与させてもよい。また、フック391bをカップリング24に係合させて、電動式駆動部381の駆動力によってプランジャ23を後退させてもよい。
(ジャンピング抑制のための動作)
上記のように、高速射出においては、アキュムレータ41からヘッド側室29hへ作動液が供給され、また、射出速度は、ロッド側室29rから排出される作動液の流量の制御によって制御される。従って、高速射出の開始時においては、ジャンピングが生じるおそれがある。そこで、第3実施形態では、以下のような動作を行う。
制御装置313は、第1実施形態と同様に、低速射出の開始前(時点t0前)の適宜な時期に圧縮用バルブ67を開く。これにより、第1実施形態と同様に、ロッド側室29rに圧力が付与され、ロッド側室29rの作動液が圧縮される。ただし、リリーフ弁393が設けられていることから、ロッド側室29rの圧力は、リリーフ弁393の設定圧以上とはならない。
その後、低速射出において電動式駆動部381の駆動力によって射出ピストン31が前進しているとき、ロッド側室29rの作動液はリリーフ弁393の設定圧以下に維持される。圧縮シリンダ61によってロッド側室29rに付与される圧力がリリーフ弁393の設定圧以上であれば、低速射出の開始後、ロッド側室29rの圧力は基本的に一定(設定圧)である。また、圧縮シリンダ61によってロッド側室29rに付与される圧力が設定圧よりも小さくても、低速射出の開始時にロッド側室29rの圧力がタンク圧とされている場合に比較して、射出開始後のロッド側室29rの圧力上昇及び作動液の圧縮は低減される。
そして、高速射出が開始されると、ヘッド側室29hに作動液が供給され、射出ピストン31によって増圧された圧力がロッド側室29rに付与される。ただし、低速射出においてロッド側室29rの圧力はリリーフ弁393の設定圧に維持されていたことから、低速射出においてロッド側室29rの圧力がタンク圧とされていた場合に比較して、ジャンピングが生じるおそれが低減される。
なお、この実施形態においても、第2変形例において説明したように、圧縮用バルブ67は、開いた状態のままとされてもよい。この場合の圧縮シリンダ61の動作は、第2変形例において説明したとおりである。
以上のとおり、本実施形態においても、増圧機能を有する圧縮シリンダ61が設けられ、第1シリンダ室63eがロッド側室29rに接続され、液圧装置328が第3シリンダ室63gに作動液を供給可能であることから、有利な効果が奏される。例えば、低速射出開始時の圧力上昇(圧力変動)を抑制して、電動式駆動部381による速度制御を安定化させることができる。
また、本実施形態では、射出装置309は、射出ピストンロッド35を射出シリンダ部29に対して駆動可能な電動式駆動部381と、ロッド側室29rの圧力が所定の圧力を超えたときにロッド側室29rから作動液を排出させるリリーフ弁393と、を有している。
従って、例えば、電動式駆動部381によってプランジャ23を前進させているときの圧力変動を低減して速度制御を安定化させることができる。
また、本実施形態では、射出装置309は、第3シリンダ室63g(低圧室)へ作動液を供給した後、電動式駆動部381によりプランジャ23を前進させるように液圧装置328及び電動式駆動部381を制御する制御装置313を更に有している。すなわち、制御装置313は、第3シリンダ室63gへ作動液を供給するように液圧装置28(圧縮用バルブ67)を制御する圧縮シリンダ制御部313aと、その制御の後、プランジャ23を前進させるように電動式駆動部381(駆動用電動機383)を制御する電動制御部313cとを有している。
従って、例えば、電動式駆動部381による射出ピストン31の駆動の前にロッド側室29rに予め圧力を付与して、より確実に射出開始時から電動制御部313cによる速度制御を安定化させることができる。
また、本実施形態では、制御装置313は、電動式駆動部381によりプランジャ23を前進させた後、ヘッド側室29hへ作動液を供給するように電動式駆動部381及び液圧装置328を制御する。すなわち、制御装置313は、プランジャ23を前進させるように電動式駆動部381(駆動用電動機383)を制御する電動制御部313cと、その制御の後、ヘッド側室29hへ作動液を供給するように液圧装置328(射出用バルブ45)を制御する射出シリンダ制御部313bとを有している。
従って、例えば、電動式駆動部381によって低速射出を行いつつリリーフ弁393によってロッド側室29rの圧力を設定圧に維持し、ロッド側室29rの圧力がタンク圧とされている場合に比較して、高速射出に切り換えたときにジャンピングが生じるおそれを低減できる。
<圧縮シリンダの変形例>
図8(a)〜図8(c)は、圧縮シリンダの変形例を示している。なお、以下の圧縮シリンダは、第1〜第3実施形態のいずれに適用されてもよいが、以下の説明では、第1実施形態の流路の符号等を用いる。
図8(a)に示す圧縮シリンダ61は、便宜的に第1実施形態の圧縮シリンダ61と同一の符号を付していることから理解されるように、第1実施形態の圧縮シリンダ61と同様の形状のものである。ただし、第1実施形態とは異なり、第1シリンダ室63eがタンク37に接続され、第2シリンダ室63fが第8流路43H(ロッド側室29r)に接続されている。なお、第1シリンダ室63eは、作動液が満たされずに、大気開放とされてもよい。
このような構成においても、圧縮ピストン65(第2ピストン部65b)の第3シリンダ室63gにおける受圧面積(S12)が、圧縮ピストン65(第2ピストン部65b)の第2シリンダ室63fにおける受圧面積(S11)よりも大きいことから、圧縮シリンダ61は、増圧作用を有する。すなわち、この変形例では、第3シリンダ室63gが低圧室の一例であり、第2シリンダ室63fが高圧室の一例である。なお、圧縮ピストン65による増圧比(S12/S11)は、実施形態と同様に、射出ピストン31による増圧比(S4/S3)と同等又はこれよりも大きいことが好ましい。
図8(b)に示す圧縮シリンダ501は、圧縮ピストン65に第1実施形態及び第1変形例の圧縮ピストン65と同一の符号を付していることから理解されるように、第1変形例において、第1シリンダ室63eを無くしたものである。すなわち、第1ピストン部65aは、圧縮シリンダ部503から外部へ延び出ている。なお、増圧比は、第1変形例と同様である。
図8(c)に示す圧縮シリンダ511は、圧縮ピストン65に第1実施形態及び第1変形例の圧縮ピストン65と同一の符号を付していることから理解されるように、第1実施形態において、圧縮シリンダ部を2つに分離したものである。すなわち、本変形例に係る圧縮シリンダ部513は、第1ピストン部65aが挿入される第1シリンダ部513aと、第2ピストン部65bを収容する第2シリンダ部513bとを有している。
第1シリンダ部513aの内部には第1シリンダ室513eが構成され、第8流路43H(ロッド側室29r)が接続されている。第2シリンダ部513bの内部は、第2ピストン部65bによって第2シリンダ室513fと第3シリンダ室513gとに区画されている。第2シリンダ室513fはタンク37に接続され、第3シリンダ室513gは第7流路43G(アキュムレータ41)に接続されている。なお、第2シリンダ室513fは大気開放されていてもよい。
この変形例においても、第1実施形態と同様に、圧縮ピストン65(第2ピストン部65b)の第3シリンダ室513gにおける受圧面積(S2)は、圧縮ピストン65(第1ピストン部65a)の第1シリンダ室513eにおける受圧面積(S1)よりも大きいことから、圧縮シリンダ511は増圧作用を有する。その増圧比(S4/S3)は、第1実施形態と同様である。なお、第1シリンダ室513eの径(断面積)は、例えば、第1ピストン部65aの径(断面積、受圧面積)よりも大きくなっている。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、樹脂を成形する射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。成形材料は、液状のものに限定されず、ある程度の粘度を有するものであってもよい。例えば、金属材料は、固液共存金属(半凝固金属又は半溶融金属)であってもよい。
また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、横型締縦射出、縦型締横射出であってもよい。成形機がダイカストマシンである場合において、ダイカストマシンは、コールドチャンバマシンに限定されず、ホットチャンバマシンであってもよい。
型締装置等の射出装置以外の構成は、公知の種々の構成とされてよい。例えば、実施形態では、型締装置としてトグル式のものを示したが、型締装置は、型開閉と型締めとで別個の駆動源を用いる複合式のものであってもよい。また、例えば、型締装置は、全電動式であってもよいし、全液圧式であってもよい。
射出シリンダは、増圧式のものに限定されず、増圧機能を有さない、いわゆる単胴式(単動式)のものであってもよい。また、増圧式射出シリンダは、直結形に限定されず、射出ピストンを収容するシリンダ部と、増圧ピストンを収容するシリンダ部とが分離された分離形のものであってもよい。直結形又は分離形の増圧式射出シリンダにおいて、増圧ピストンの小径部の径が射出ピストンの径よりも小さくなるようにピストン及びシリンダ部が構成されてもよい。
圧縮用バルブ67は、設けられなくてもよい。例えば、第1実施形態において、射出開始前にロッド側室29rからの作動液の排出が禁止されていれば、圧縮用バルブ67がなくても、圧縮ピストン65は、第1シリンダ室63eに圧力を付与しつつ停止した状態を維持する。そして、速度用バルブ49が開かれた後は、圧縮シリンダ61は、第2変形例において説明した動作と同様の動作を行う。圧縮ピストン65の後退は、第1実施形態と同様に行い、その後、速度用バルブ49を閉じて、次のサイクルに備えればよい。また、圧縮用バルブは、逆止弁に限定されず、例えば、切換弁又は圧力制御弁であってもよい。
圧縮シリンダの低圧室へ作動液を供給可能な液圧源は、アキュムレータ又はポンプに限定されない。例えば、液圧源は、ピストンと当該ピストンを収容するシリンダ部とが電動機によって相対移動され、容積が縮小されるシリンダ室から作動液を送出するものであってもよい。射出シリンダのヘッド側室への作動液の供給と圧縮シリンダの低圧室への作動液への供給に兼用される液圧源についても同様である。
ロッド側室の作動液は、タンクではなく、流量制御弁(速度用バルブ)を介してヘッド側室へ還流されてもよい。すなわち、ランアラウンド回路が設けられてもよい。液圧装置は、メータアウト回路に加えて、メータイン回路を有していてもよい。
実施形態で示した構成は、メータアウト回路によってロッド側室から排出される作動液の流量が制限される場合において生じるジャンピングの抑制という課題から着想されている。ただし、その課題を解決するために得られた構成(例えば圧縮シリンダ)は、メータアウト回路を前提としないし、ジャンピングの抑制という用途に用いられなくてもよい。例えば、第3実施形態の低速射出の動作から理解されるように、メータアウト回路が機能しておらず、リリーフ弁が設けられているような状態において、圧縮シリンダは、ロッド側室を予圧して低速射出開始時の圧力上昇を抑制することに寄与する。
なお、実施形態からは、圧縮シリンダを要件としない以下の射出装置を抽出可能である。
金型内に通じるスリーブ内を摺動可能なプランジャに連結される射出ピストンロッド、前記射出ピストンロッドに固定されている射出ピストン、及び前記射出ピストンを摺動可能に収容している射出シリンダ部を有しており、前記射出シリンダ部の内部が前記射出ピストンによって前記射出ピストンロッドが延び出る側のロッド側室と、その反対側のヘッド側室とに区画されている射出シリンダと、
前記ヘッド側室に作動液を供給可能な液圧装置と、
前記射出ピストンロッドを前記射出シリンダ部に対して駆動可能な電動式駆動部と、
を有しており、
前記液圧装置は、前記ロッド側室の圧力が所定の圧力を超えたときに前記ロッド側室から作動液を排出させるリリーフ弁を有している
射出装置。