JP2009090321A - 成形機の射出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構成で高性能な成形機の射出装置を提供する。
【解決手段】射出装置1は、射出プランジャ5を駆動する射出シリンダ装置7と、射出シリンダ装置7のヘッド側室19hに連通する変換シリンダチューブ21、及び、変換シリンダチューブ21内に摺動可能に収容された変換ピストン23を有する変換シリンダ装置9とを有し、変換シリンダチューブ21は、前側小径シリンダ部21aと、前側小径シリンダ部21aに連通し、前側小径シリンダ部21aよりも大径の大径シリンダ部21bと、大径シリンダ部21bに連通し、大径シリンダ部21bよりも小径の後側小径シリンダ部21cとを有し、変換ピストン23は、前側小径シリンダ部21aを摺動可能な前側小径部23aと、大径シリンダ部21bを摺動可能な大径部23bと、後側小径シリンダ部21cを摺動可能な後側小径部23cとを有する。
【選択図】図1
【解決手段】射出装置1は、射出プランジャ5を駆動する射出シリンダ装置7と、射出シリンダ装置7のヘッド側室19hに連通する変換シリンダチューブ21、及び、変換シリンダチューブ21内に摺動可能に収容された変換ピストン23を有する変換シリンダ装置9とを有し、変換シリンダチューブ21は、前側小径シリンダ部21aと、前側小径シリンダ部21aに連通し、前側小径シリンダ部21aよりも大径の大径シリンダ部21bと、大径シリンダ部21bに連通し、大径シリンダ部21bよりも小径の後側小径シリンダ部21cとを有し、変換ピストン23は、前側小径シリンダ部21aを摺動可能な前側小径部23aと、大径シリンダ部21bを摺動可能な大径部23bと、後側小径シリンダ部21cを摺動可能な後側小径部23cとを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、成形機の射出装置に関する。成形機は、例えば、ダイカストマシンや射出成形機である。
成形機の射出装置は、射出シリンダ装置により射出プランジャをスリーブ内において前進させ、スリーブ内の成形材料(例えば溶湯)を金型間に形成されたキャビティに押し出すことにより、成形材料をキャビティに射出・充填する。射出・充填工程は、概略、低速射出工程、高速射出工程及び増圧工程からなる。すなわち、射出装置は、射出の初期段階においては、成形材料の空気の巻き込みを防止するために比較的低速で射出プランジャを前進させ、次に、成形サイクルの短縮の観点から比較的高速で射出プランジャを前進させる。その後、射出装置は、成形品のヒケをなくすために、射出プランジャの前進する方向の力によりキャビティ内の成形材料を増圧する。このような射出装置の動作を実現するために、種々の射出シリンダ装置や射出シリンダ装置に作動液を供給するための油圧回路が提案されている。
特許文献1の射出装置は、射出シリンダ装置(50)のヘッド側室に連通し、当該ヘッド側室側を凸とする、凸形状のシリンダチューブ(54)及び凸形状のピストン(53)を有するシリンダ装置(52)を有することにより、高速射出工程と増圧工程とを好適に行っている。すなわち、ピストン(53)全体がシリンダチューブ(54)の大径室(54a)を前進しているときは、大量の作動液を射出シリンダ装置(50)のヘッド側室へ供給して射出プランジャを前進させ、ピストン(53)の小径部(53b)がシリンダチューブ(54)の小径室(54b)に嵌合した後は、ピストン(53)の前後の受圧面積の差から生じる増圧効果により、高い圧力の作動液を射出シリンダ装置(50)のヘッド側室へ供給して増圧を行う。
特開2001−25857号公報
特許文献1の技術では、高速射出工程から増圧工程への切換は、ピストンの受圧面積の変化を利用して行われているものの、低速射出工程から高速射出工程への切換は、射出シリンダ装置(50)に連通する他のシリンダ装置(52)に供給される作動液を増加させることにより、実現されている。従って、所望の高速移動を実現するために比較的高圧のアキュムレータが必要であるとともに、流量を制御するサーボバルブが必要であり、油圧回路が複雑化する。
本発明の目的は、簡素な構成で高性能な成形機の射出装置を提供することにある。
本発明の成形機の射出装置は、射出プランジャにより成形材料をキャビティに押し出す射出装置であって、前記射出プランジャに連結された射出ピストンロッド、当該射出ピストンロッドが固定された射出ピストン、及び、当該射出ピストンを摺動可能に収容する射出シリンダチューブを有し、前記射出シリンダチューブ内が、前記射出ピストンにより、前記射出ピストンロッドが延出する側のロッド側室と、その反対側のヘッド側室とに区画される射出シリンダ装置と、前記ヘッド側室に連通する変換シリンダチューブ、及び、当該変換シリンダチューブ内に摺動可能に収容された変換ピストンを有する変換シリンダ装置と、を有し、前記変換シリンダチューブは、前記ヘッド側室に連通する前側小径シリンダ部と、前記前側小径シリンダ部に連通し、前記前側小径シリンダ部よりも大径の大径シリンダ部と、前記大径シリンダ部に連通し、前記大径シリンダ部よりも小径の後側小径シリンダ部と、を有し、前記変換ピストンは、前記前側小径シリンダ部を摺動可能な前側小径部と、前記大径シリンダ部を摺動可能な大径部と、前記後側小径シリンダ部を摺動可能な後側小径部と、を有する。
好適には、前記大径部の前記大径シリンダ部における前記後側小径シリンダ部側の受圧面積が前記前側小径部の前記前側小径シリンダ部における受圧面積よりも大きい。
好適には、前記変換ピストンは、前記前側小径部を前記大径シリンダ部側から前記前側小径シリンダ部に出し入れ可能に前記変換シリンダチューブに収容されている。
好適には、前記大径部の前記大径シリンダ部における前記後側小径シリンダ部側の受圧面積が前記後側小径部の前記後側小径シリンダ部における受圧面積よりも大きい。
好適には、前記変換シリンダチューブに作動液を供給するための流路であって、前記大径シリンダ部の、前記大径部に対して前記後側小径シリンダ部側となる大径後側室に連通する大径側分岐流路と、前記後側小径シリンダ部の、前記後側小径部に対して前記大径シリンダ部とは反対側となる小径後側室に連通する小径側分岐流路とに分岐する変換側流路と、前記小径側分岐流路に設けられ、パイロット圧力の導入により開かれることが可能であり、パイロット圧力が導入されていないときに、前記小径後側室への流れを阻止するとともに前記小径後側室からの流れを許容する小径後側逆止弁と、を有する。
好適には、前記ロッド側室に連通する射出側流路と、前記変換側流路に連通する変換側ポートと、前記射出側流路に連通する射出側ポートとを有するポンプと、前記ポンプを駆動し、回転方向の切り換えにより前記変換側ポート及び前記射出側ポートの間で吸入口と吐出口とを切り換えるモータと、前記変換側流路と前記射出側流路とを接続する中間流路と、前記中間流路の中途に接続されたタンクと、前記中間流路において前記変換側流路と前記タンクとの間に設けられたパイロット式の逆止弁であって、当該逆止弁を開くためのパイロット圧力として前記射出側流路の圧力が導入され、パイロット圧力が導入されていないときは、前記変換側流路から前記タンクへの流れを阻止するとともに前記タンクから前記変換側流路への流れを許容する変換側逆止弁と、前記中間流路において前記射出側流路と前記タンクとの間に設けられたパイロット式の逆止弁であって、当該逆止弁を開くためのパイロット圧力として前記変換側流路の圧力が導入され、パイロット圧力が導入されていないときは、前記射出側流路から前記タンクへの流れを阻止するとともに前記タンクから前記射出側流路への流れを許容する射出側逆止弁と、を有する。
好適には、前記射出プランジャの位置を検出する検出器と、前記検出器の検出結果に基づいて、前記モータ及び前記小径後側逆止弁を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記キャビティに成形材料を供給するとき、前記小径後側逆止弁にパイロット圧力を導入しない状態で、前記モータを前記変換側流路に作動液を供給する方向へ回転させ、前記大径後側室に作動液を供給して前記射出プランジャの前進を開始し、その後、前記検出器の検出する位置が所定の高速切換位置に到達したときに前記小径後側逆止弁にパイロット圧力を導入し、前記小径後側室に作動液を供給して前記射出プランジャを増速する。
好適には、ガスアキュムレータと、前記ガスアキュムレータと、前記大径シリンダ部の、前記大径部に対して前記後側小径シリンダ部側となる大径後側室との間に設けられ、パイロット圧力が導入されることにより開かれることが可能であり、パイロット圧力が導入されていないときに、前記アキュムレータから前記大径後側室への流れを阻止するとともに前記大径後側室から前記アキュムレータへの流れを許容する大径後側逆止弁と、前記ガスアキュムレータと、前記大径シリンダ部の、前記大径部に対して前記前側小径シリンダ部側となる大径前側室との間に設けられ、パイロット圧力が導入されることにより開かれることが可能であり、パイロット圧力が導入されていないときに、前記アキュムレータから前記大径前側室への流れを阻止するとともに前記大径前側室から前記アキュムレータへの流れを許容する大径前側逆止弁と、前記ガスアキュムレータと、前記ロッド側室との間に設けられ、前記アキュムレータから前記ロッド側室への流れを阻止するとともに前記ロッド側室から前記アキュムレータへの流れを許容するロッド側逆止弁と、を有する。
好適には、前記ガスアキュムレータに保持されるガスは1MPa未満である。
本発明によれば、簡素な構成で高性能な成形機の射出装置を提供できる。
図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシンの射出装置1の構成を示す図である。
射出装置1は、固定金型101及び移動金型103により形成されたキャビティ105に溶湯を射出・充填する装置である。なお、固定金型101及び移動金型103は、ダイカストマシンの不図示の型締装置により型開閉及び型締がなされる。
射出装置1は、キャビティ105に連通する射出スリーブ3と、射出スリーブ3内を摺動可能な射出プランジャ5と、射出プランジャ5を駆動する射出シリンダ装置7と、射出シリンダ装置7に連通する変換シリンダ装置9と、射出シリンダ装置7及び変換シリンダ装置9を制御する油圧回路11と、油圧回路11を制御する制御装置13とを有している。
射出スリーブ3は、例えば、固定金型101に挿通されるように設けられている。射出プランジャ5は、射出スリーブ3を摺動するプランジャチップ5aと、プランジャチップ5aに固定されたプランジャロッド5bとを有している。射出スリーブ3に形成された不図示の給湯口から溶湯が射出スリーブ3に供給された状態で、プランジャチップ5aが射出スリーブ3内をキャビティ105に向かって摺動することにより、溶湯はキャビティ105に射出、充填される。
射出シリンダ装置7は、射出プランジャ5のプランジャロッド5bにカップリングを介して連結された射出ピストンロッド15、射出ピストンロッド15が固定された射出ピストン17、及び、射出ピストン17を摺動可能に収容する射出シリンダチューブ19を有している。
射出シリンダチューブ19は、例えば、断面円形である。射出シリンダチューブ19の内部は、射出ピストン17により、射出ピストンロッド15が延出する側のロッド側室19rと、その反対側のヘッド側室19hとに区画されている。ロッド側室19r及びヘッド側室19hに選択的に作動油が供給されることにより、射出ピストン17は射出シリンダチューブ19内を摺動する。
変換シリンダ装置9は、ヘッド側室19hに連通する変換シリンダチューブ21、及び、変換シリンダチューブ21内に摺動可能に収容された変換ピストン23を有している。変換シリンダ装置9は、変換ピストン23の前進(図1の紙面下方への移動)により、ヘッド側室19hに作動油を供給して、射出ピストン17を前進(図1の紙面左側への移動)させることが可能に構成されている。また、変換シリンダ装置9は、射出ピストン17が後退(図1の紙面右側への移動)すると、ヘッド側室19hから変換シリンダチューブ21に作動油が供給されて変換ピストン23が後退(図1の紙面上方への移動)するように構成されている。具体的には、以下のとおりである。
変換シリンダチューブ21は、例えば、断面が円形に、また、前側(図1の紙面下方側)及び後側(図1の紙面上方側)に凸となるように形成されている。すなわち、変換シリンダチューブ21は、ヘッド側室19hに連通する前側小径シリンダ部21aと、前側小径シリンダ部21aに連通し、前側小径シリンダ部21aよりも大径の大径シリンダ部21bと、大径シリンダ部21bに連通し、大径シリンダ部21bよりも小径の後側小径シリンダ部21cとを有している。
前側小径シリンダ部21aの径d3、大径シリンダ部21bの径d2、後側小径シリンダ部21cの径d1、射出シリンダチューブ19の径d4は、所望の効果を得ることができる範囲で適宜に設定されてよいが、例えば、d1<d3=d4<d2、d12<d22−d12である。
変換ピストン23も、変換シリンダチューブ21の形状に対応して、前側及び後側に凸となるように形成されている。すなわち、変換ピストン23は、前側小径シリンダ部21aを摺動可能な前側小径部23aと、大径シリンダ部21bを摺動可能な大径部23bと、後側小径シリンダ部21cを摺動可能な後側小径部23cとを有している。
変換ピストン23は、2点鎖線で示すように、前側小径部23aを前側小径シリンダ部21aに挿入した状態と、前側小径部23aを前側小径シリンダ部21aから引き抜いた状態との間で移動可能である。すなわち、変換ピストン23は、前側小径部23aを大径シリンダ部21b側から前側小径シリンダ部21aに出し入れ可能に変換シリンダチューブ21に収容されている。
なお、後側小径部23cは、変換ピストン23が前進したときに、後側小径シリンダ部21cから引き抜かれても引き抜かれなくてもよいが、後述するように、高速射出動作は後側小径部23cが後側小径シリンダ部21cに挿入された状態で行われ、高速射出動作の後の増圧動作は前側小径部23aが前側小径シリンダ部21aに挿入された状態で行われるから、前側小径部23aが前側小径シリンダ部21a内に到達するまでは、後側小径シリンダ部21cから引き抜かれない長さであることが好ましい。
後側小径シリンダ部21cの、後側小径部23cに対して大径シリンダ部21bとは反対側(図1の紙面上方側)となる小径後側室21ch、及び/又は、大径シリンダ部21bの、大径部23bに対して後側小径シリンダ部21c側となる大径後側室21bhに作動油が供給されることにより、変換ピストン23は前進する。また、前側小径シリンダ部21aの、前側小径部23aに対して大径シリンダ部21bとは反対側(図1の紙面下方側)となる小径前側室21ar、及び/又は、大径シリンダ部21bの、大径部23bに対して前側小径シリンダ部21a側となる大径前側室21brに作動油が供給されることにより、変換ピストン23は後退する。
ここで、後側小径シリンダ部21cは、径が比較的小さく形成されているから、小径後側室21chのみに作動油を供給して変換ピストン23を前進させる場合、比較的少量の作動油で高速に変換ピストン23を前進させることができる。
また、変換ピストン23の前進時において前側小径部23aが前側小径シリンダ部21aに挿入された後は、大径前側室21brの作動油を排出可能とすれば、大径部23bの大径後側室21bhにおける受圧面積(若しくは、この受圧面積に後側小径部23cの小径後側室21chにおける受圧面積を加算した受圧面積)と、前側小径部23aの小径前側室21arにおける受圧面積の差に起因する増圧効果により、高い圧力の作動油をヘッド側室19hに供給することができる。
なお、ヘッド側室19hと小径前側室21arとは、適宜な構成により連通されてよい。例えば、射出シリンダチューブ19と変換シリンダチューブ21とが互いに固定されることにより直接的に連通されてもよいし、剛体の部材により形成された流路を介して連通されてもよいし、可撓性を有する部材により形成された流路を介して連通されてもよい。射出シリンダ装置7と変換シリンダ装置9との相対位置及び向きも適宜に設定されてよい。
油圧回路11は、ポンプ25と、ポンプ25及び射出シリンダチューブ19を連通する射出側流路27と、ポンプ25及び変換シリンダチューブ21を連通する変換側流路29とを有している。
ポンプ25は、いわゆる双方向回転ポンプにより構成されており、射出側流路27に接続された射出側ポート25a、及び、変換側流路29に接続された変換側ポート25bを有している。
ポンプ25は、アキシャル式又はラジアル式のピストンポンプ、歯車ポンプ、ベーンポンプ等の適宜なポンプにより構成されてよい。ポンプ25は、特に図示しないが、射出側ポート25a及び変換側ポート25bが形成されたケーシングと、ケーシング内に配置されたロータ又はピストンを有している。ポンプ25に回転力が入力されると、ポンプ25は、その回転力により駆動されるロータ又はピストンの作用により、射出側ポート25a及び変換側ポート25bの一方から作動油をケーシング内に吸入し、吸入した作動油を射出側ポート25a及び変換側ポート25bの他方からケーシング外に吐出する。
射出側ポート25a及び変換側ポート25bのいずれが吸入口又は吐出口となるかは、ポンプ25に入力される回転力の方向により決定される。すなわち、ポンプ25に一方向の回転力が入力されたときは、射出側ポート25aが吸入口に、変換側ポート25bが吐出口になり、ポンプ25に他方向の回転力が入力されたときは、変換側ポート25bが吸入口に、射出側ポート25aが吐出口になる。
ポンプ25は、モータ59により回転駆動される。モータ59は、直流モータでも交流モータでもよい。また、モータ59は、誘導モータや同期モータ等の適宜なモータにより構成されてよい。モータ59は、モータ59が直流モータである場合にはモータ59に印加される電圧の正負が切り換えられることにより回転方向が切り換えられ、モータ59が交流モータである場合には印加される電圧の正相・逆相が切り換えられることにより回転方向が切り換えられる。モータ59は、回転方向の切り換えにより射出側ポート25a及び変換側ポート25bの間で吸入口と吐出口とを切り換え可能である。
モータ59は、例えば、サーボモータとして構成されており、モータ59の回転を検出するエンコーダ61と、モータ59に電力を供給するサーボアンプ(サーボドライバ)63と共にサーボ機構を構成している。エンコーダ61は、例えば、モータ59の回転に同期してパルス信号を出力する。サーボアンプ63は、例えば、エンコーダ61からのパルス信号を計数してモータ59の回転数を検出する。そして、サーボアンプ63は、制御装置13からサーボアンプ63に入力された制御信号とエンコーダ61の検出結果との偏差に基づいて、モータ59の回転が、入力された制御信号に追従するようにフィードバック制御を行う。
射出側流路27は、ポンプ25の射出側ポート25aと、射出シリンダ装置7のロッド側室19rとを接続している。従って、ロッド側室19rは、射出側流路27を介して、ポンプ25から吐出された作動油が供給され、また、排出した作動油がポンプ25により吸入される。
変換側流路29は、大径後側室21bhに連通する大径側分岐流路29aと、小径後側室21chに連通する小径側分岐流路29bとに分岐している。小径側分岐流路29bには、パイロット式の逆止弁(チェック弁)により構成された小径後側逆止弁VLdが設けられている。
小径後側逆止弁VLdは、パイロット圧力が導入されると開かれるものである。また、小径後側逆止弁VLdは、パイロット圧力が導入されていないときに、小径後側室21chへの流れを阻止するとともに小径後側室21chからの流れを許容するように、配置されている。
従って、ポンプ25から変換側流路29へ作動油が吐出されている場合、パイロット圧力が導入されていないときは、大径側分岐流路29aを介して大径後側室21bhのみに作動油が供給され、変換ピストン23は比較的低速で前進し、パイロット圧力が導入されているときは、小径後側室21chにも作動油が供給されることになり、変換ピストン23は比較的高速で前進する。なお、小径側分岐流路29bは、このような効果を奏するように、大径側分岐流路29aと同等以上の流量で作動油を流すことができるなど、大径側分岐流路29aに対して十分な大きさの断面積に形成されている。
ポンプ25の吸入量と吐出量とは同じでなければならない。しかし、変換側流路29に作動油を供給しているときにおいて、変換側流路29から変換シリンダ装置9に供給される油量と、射出シリンダ装置7から射出側流路27に排出される油量とは同一ではなく、また、射出側流路27に作動油を供給しているときにおいて、射出側流路27から射出シリンダ装置7に供給される油量と、変換シリンダ装置9から変換側流路29に排出される油量とは同一ではない。すなわち、ポンプ25において、油量の過不足が生じることになる。これは、各シリンダ装置内におけるピストン前後の受圧面積の差や、射出シリンダ装置7及び変換シリンダ装置9間のシリンダ面積差に起因するものである。
そこで、油圧回路11は、油量の過不足を補償するための自給弁回路31を有している。自給弁回路31は、射出側流路27と変換側流路29とを接続する中間流路33と、中間流路33に接続されたタンク35と、中間流路33において、射出側流路27とタンク35との間に設けられた射出側逆止弁37と、中間流路において、変換側流路29とタンク35との間に設けられた変換側逆止弁39とを有している。
射出側逆止弁37は、パイロット圧力が導入されることにより開状態となるパイロット式の逆止弁により構成されている。射出側逆止弁37は、パイロット圧力が導入されていないときは、射出側流路27からタンク35への流れを阻止するとともにタンク35から射出側流路27への流れを許容するように設けられている。また、パイロット圧力として変換側流路29の圧力が導入されている。
変換側逆止弁39は、パイロット圧力が導入されることにより開状態となるパイロット式の逆止弁により構成されている。変換側逆止弁39は、パイロット圧力が導入されていないときは、変換側流路29からタンク35への流れを阻止するとともにタンク35から変換側流路29への流れを許容するように設けられている。また、パイロット圧力として射出側流路27の圧力が導入されている。
なお、図1では、射出側逆止弁37のパイロット圧力の導入のための流路が変換側流路29に接続されている場合を例示しているが、変換側流路29の圧力の導入は、パイロット圧力の導入のための流路を、中間流路33のうち変換側逆止弁39よりも変換側流路29側の部分に接続すること等によっても可能である。同様に、変換側逆止弁39への射出側流路27の圧力の導入は、適宜な位置から行われてよい。
自給弁回路31は、以下のように動作する。
ポンプ25が、射出側ポート25aから作動油を吸入し、変換側ポート25bから作動油を吐出しているとき、変換側逆止弁39は、変換側流路29からタンク35への流れを阻止する。一方、射出側逆止弁37は、変換側流路29から導入されるパイロット圧力により開状態となる。
このとき、射出シリンダ装置7から射出側流路27に排出される油量が変換側流路29から変換シリンダ装置9に供給される油量よりも少ない場合、すなわち、ポンプ25において吸入される油量が吐出される油量よりも少なく、油量が不足する場合は、負圧によりタンク35の作動油が、射出側逆止弁37を介して、射出側流路27経由で射出側ポート25aに供給され、不足分が補償される。一方、射出シリンダ装置7から射出側流路27に排出される油量が変換側流路29から変換シリンダ装置9に供給される油量よりも多い場合、すなわち、ポンプ25において吸入される油量が吐出される油量よりも多く、油量が過剰となる場合は、射出側流路27の過剰な作動油が射出側逆止弁37を介してタンク35に排出される。
これとは逆に、ポンプ25が、変換側ポート25bから作動油を吸入し、射出側ポート25aから作動油を吐出しているときは、上述の動作における、変換側逆止弁39と射出側逆止弁37の役割が逆となり、ポンプ25における油量の過不足が補償される。
油圧回路11は、油圧系を過度な圧力から保護するために、射出側流路27に接続された射出側安全弁41と、変換側流路29に接続された変換側安全弁43とを有している。射出側安全弁41は、射出側流路27の圧力が所定の設定圧力に到達すると、射出側流路27の作動油を二次側(例えばタンク)に排出する。同様に、変換側安全弁43は、変換側流路29の圧力が所定の設定圧力に到達すると、変換側流路29の作動油を二次側(例えばタンク)に排出する。なお、二次側のタンクは、タンク35と共通化されていてもよいし、共通化されていなくてもよい。
油圧回路11は、変換シリンダ装置9の大径前側室21brと、小径前側室21arとを連通するバイパス流路45と、バイパス流路45に設けられたパイロット式のバイパス逆止弁VLaとを有している。
バイパス流路45は、前側小径部23aが前側小径シリンダ部21aに挿入されている状態においても、大径前側室21brと小径前側室21arとが連通されるように設けられている。なお、バイパス流路45の小径前側室21arに連通する部分は、射出シリンダ装置7のヘッド側室19hや、ヘッド側室19hと小径前側室21arとを連通する連通路等に開口することにより、間接的に小径前側室21arに連通していてもよい。
バイパス逆止弁VLaは、パイロット圧力が導入されると閉じられるものである。また、バイパス逆止弁VLaは、パイロット圧力が導入されていないときに、小径前側室21arから大径前側室21brへの流れを阻止するとともに大径前側室21brから小径前側室21arへの流れを許容するように、配置されている。
従って、前側小径部23aが小径前側室21arに挿入されている状態で変換ピストン23が前進している場合、パイロット圧力が導入されていないときは、大径前側室21brの作動油はバイパス流路45を介して小径前側室21arに流れ込み、パイロット圧力が導入されているときは、小径前側室21arは密閉される。また、前側小径部23aが小径前側室21arに挿入されている状態で変換ピストン23が後退している場合、小径前側室21arは密閉される。
油圧回路11は、射出シリンダ装置7や変換シリンダ装置9の作動油の補給や背圧のサージ除去のために、アキュムレータ47と、アキュムレータ47と射出シリンダ装置7のロッド側室19rとを連通するロッド側流路49と、ロッド側流路49に設けられたロッド側逆止弁VLbと、アキュムレータ47と変換シリンダ装置9の大径前側室21brとを連通する大径前側流路51と、大径前側流路51に設けられた大径前側逆止弁VLeと、アキュムレータ47と変換シリンダ装置9の大径後側室21bhとを連通する大径後側流路53と、大径後側流路53に設けられた大径後側逆止弁VLcとを有している。
アキュムレータ47は、いわゆるガス式のアキュムレータであり、蓄圧シリンダチューブ55と、蓄圧シリンダチューブ55内を摺動可能な蓄圧ピストン57とを有している。蓄圧シリンダチューブ内は、蓄圧ピストン57によりガス室55gと液室55oとに区画されている。ガス室55gには、ガス、例えば、空気や窒素が圧縮されて保持されている。液室55oには、射出シリンダ装置7や変換シリンダ装置9に供給される作動液が保持されており、ロッド側流路49、大径前側流路51及び大径後側流路53が連通している。
ガス室55gのガスは、比較的低圧に保持されている。例えば、ガス室55gのガスは、1MPa未満に保持されている。なお、高圧ガス保安法では、1MPa以上を高圧と定義している。アキュムレータ47には、ガス室55gの圧力を所定の圧力に保つように、ガス室55gと大気とを連通する流路、当該流路を開閉するコック、ガス室55gの圧力を検出する圧力計等が設けられている。
ロッド側逆止弁VLbは、パイロット圧力が導入されると閉じられるパイロット式の逆止弁により構成されている。また、ロッド側逆止弁VLbは、パイロット圧力が導入されていないときに、アキュムレータ47からロッド側室19rへの流れを阻止するとともにロッド側室19rからアキュムレータ47への流れを許容するように、配置されている。
従って、射出ピストン17が前進する場合において、パイロット圧力が導入されていないときは、ロッド側室19rからアキュムレータ47への流れが許容されることによりサージ圧の発生が抑制され、パイロット圧力が導入されているときは、ロッド側室19rからアキュムレータ47への流れが阻止されて、ロッド側室19rの作動油は射出側流路27を介してポンプ25に全て回収される。
大径前側逆止弁VLeは、閉状態とするパイロット圧力と、開状態とするパイロット圧力とを導入可能なパイロット式の逆止弁により構成されている。また、大径前側逆止弁VLeは、パイロット圧力が導入されていないときに、アキュムレータ47から大径前側室21brへの流れを阻止するとともに大径前側室21brからアキュムレータ47への流れを許容するように、配置されている。
従って、変換ピストン23が後退する場合において、開状態とするパイロット圧力の導入により、アキュムレータ47から大径前側室21brへ作動油を補給することができる。また、変換ピストン23が前進又は後退する場合等において、閉状態とするパイロット圧力を導入することにより、又は、パイロット圧力が導入されていなくてもアキュムレータ47の圧力により、アキュムレータ47と大径前側室21brとの間の流れを阻止し、大径前側室21brと小径前側室21arとの間で、無駄なく作動油を流すことができる。なお、大径前側逆止弁VLeは、固定絞りを含んでいる。
大径後側逆止弁VLcは、閉状態とするパイロット圧力と、開状態とするパイロット圧力とを導入可能なパイロット式の逆止弁により構成されている。また、大径後側逆止弁VLcは、パイロット圧力が導入されていないときに、アキュムレータ47から大径後側室21bhへの流れを阻止するとともに大径後側室21bhからアキュムレータ47への流れを許容するように、配置されている。
従って、変換ピストン23が前進する場合において、開状態とするパイロット圧力の導入により、アキュムレータ47から大径後側室21bhへ作動油を補給することができる。また、変換ピストン23が前進又は後退する場合等において、閉状態とするパイロット圧力を導入することにより、又は、パイロット圧力が導入されていなくてもアキュムレータ47の圧力により、大径後側室21bhとアキュムレータ47との間の流れを阻止し、大径後側室21bhとポンプ25との間で作動油を無駄なく流すことができる。なお、大径後側逆止弁VLcは、固定絞りを含んでいる。
制御装置13は、例えば、CPU65、ROMやRAM等のメモリ67、入力回路69、及び、出力回路71を含んで構成されている。CPU65は、メモリ67に記憶されたプログラムを実行し、入力回路69を介して入力される入力信号に基づいて、モータ59や各種の弁を制御するための制御信号を出力回路71を介して出力する。
入力回路69に信号を入力するのは、例えば、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置73、変換側流路29の圧力を検出する変換側圧力センサ75、射出シリンダ装置7のヘッド側室19hの圧力を検出するヘッド側圧力センサ77、射出側流路27の圧力を検出する射出側圧力センサ79、アキュムレータ47の液室55oの圧力を検出する蓄圧側圧力センサ81、変換ピストン23が後退限に到達したか否かを検出する後退限検出器83、射出プランジャ5の位置を検出する測長センサ85である。
出力回路71が信号を出力するのは、例えば、サーボアンプ63、ユーザに情報を表示する表示器87、パイロット式のチェック弁(バイパス逆止弁VLa、ロッド側逆止弁VLb、大径後側逆止弁VLc、小径後側逆止弁VLd、大径前側逆止弁VLe)にパイロット圧力を導入するための不図示の油圧回路である。
後退限検出器83は、例えば、レバー式のスイッチにより構成されている。変換ピストン23には、変換シリンダチューブ21の後側小径シリンダ部21cから延出する操作部材89が固定されている。変換ピストン23が後退限に到達すると、操作部材89が後退限検出器83のレバーに当接し、後退限検出器83はオン状態とされる。変換ピストン23が後退限から前進すると、操作部材89がレバーから離間し、後退限検出器83はオフ状態とされる。
測長センサ85は、例えば、射出シリンダ装置7に設けられ、射出ピストンロッド15の射出シリンダチューブ19に対する変位量を測定するものであり、射出プランジャ5の位置を間接的に検出するものである。なお、射出シリンダ装置7は、測長機能付きのシリンダ装置により構成されていると捉えられることができる。
測長センサ85は、例えば、射出ピストンロッド15の延びる方向に沿って射出ピストンロッド15に設けられたスケール部91と、スケール部91に対向配置され、スケール部91の移動を検出するセンサ部93とを有するリニアエンコーダにより構成されている。
具体的には、例えば、測長センサ85が磁気式のリニアエンコーダにより構成されている場合には、スケール部91は、射出ピストンロッド15の長手方向に沿ってN極、S極が交互に配列されることにより構成される。センサ部93は、例えば、MR素子やホールICを含んで構成される。また、例えば、測長センサ85が光学式のリニアエンコーダにより構成されている場合には、スケール部91は、射出ピストンロッド15の長手方向に沿って透過部や反射部等が配列されることにより構成される。センサ部93は、受光素子により構成される。
以上の構成を有する射出装置1の動作を説明する。
図2は、射出装置1における射出圧力P及び射出速度Vの変化を示すグラフである。
射出装置1は、概観すると、射出プランジャ5を比較的低速で前進させる低速射出制御、射出プランジャ5を比較的高速で前進させる高速射出制御、射出プランジャ5によりキャビティ105内の溶湯を増圧する増圧制御を順に行う。
図3は、図2の動作を実現する、ポンプ25、パイロットチェック弁(VLa〜VLe)、アキュムレータ47、変換ピストン23及び射出ピストン17の動作を示す図表である。
図3において、各行は、上方側から下方側への順が時系列順になっている。図3の最も左側の「射出動作」の欄は、各行の動作の概略を説明している。「射出速度」及び「射出圧力」の欄は、図2に付した符号を示すことにより、図3と図2との対応関係を示している。ただし、溶湯の凝固後、射出ピストン17や変換ピストン23が後退するときにおける速度や圧力については、図3において記載されているのみである。
「双方向回転ポンプ」の欄は、ポンプ25の変換側ポート25bへの吐出を「R」により、ポンプ25の射出側ポート25aへの吐出を「L」により、ポンプ25が駆動されていない状態を「−」により示している。
「パイロットチェック弁」の欄では、各種の逆止弁の符号VLa〜VLeからVLを省略して、各種の逆止弁(VLa〜VLe)に対応する「a」〜「e」の欄が設けられている。「パイロットチェック弁」の欄において、基本的には、丸(○)は、逆止弁が開かれていることを示し、バツ(×)は、逆止弁が閉じられていることを示し、三角(△)は、逆止弁が適宜に開閉されることを示している。なお、各印とパイロット圧との関係は、以下のとおりである。
パイロット圧力が導入されることにより閉じられる逆止弁(バイパス逆止弁VLa、ロッド側逆止弁VLb)においては、丸(○)によりパイロット圧力が導入されていない状態を、バツ(×)によりパイロット圧力が導入されている状態を、三角(△)によりパイロット圧力が適宜に導入されることを示している。
パイロット圧力が導入されることにより開かれる逆止弁(小径後側逆止弁VLd)においては、丸(○)によりパイロット圧力が導入されている状態を、バツ(×)によりパイロット圧力が導入されていない状態を示している。
閉じるパイロット圧力と開くパイロット圧力とが導入される逆止弁(大径後側逆止弁VLc、大径前側逆止弁VLe)においては、丸(○)により開くパイロット圧力が導入されている状態を、バツ(×)により開くパイロット圧力及び閉じるパイロット圧力の双方が導入されていない状態又は閉じるパイロット圧力が導入されている状態を、三角(△)により開くパイロット圧力が適宜に導入されることを示している。
「アキュムレータ」の「放出」の欄では、アキュムレータ47から作動油が放出されることを丸(○)により、アキュムレータ47から作動油が放出されないことをバツ(×)により、アキュムレータ47から作動油が適宜に放出されることを三角(△)で示している。「アキュムレータ」の「充填」の欄では、アキュムレータ47に作動油が充填されることを丸(○)により、アキュムレータ47に作動油が充填されないことをバツ(×)により、アキュムレータ47に作動油が適宜に充填されることを三角(△)で示している。
「変換ピストン位置」の欄は、後退限検出器83がオンとされることを「ON」で示し、オフされていることを「−」で示している。「射出ピストン後退限」の欄は、射出ピストン17が後退限に位置することを丸(○)により、後退限に位置しないことを「−」により示している。
以下、図3の時系列に沿って(図3の上方側から下方側へ)、射出装置1の動作を説明する。
(低速射出動作)
低速射出動作の開始前において、変換ピストン23及び射出ピストン17は後退限に位置している。そして、制御装置13は、ポンプ25から変換側流路29へ作動油を供給するように、サーボアンプ63を介してモータ59に制御信号を出力し、低速射出動作を開始する。このとき、小径後側逆止弁VLdは、パイロット圧力が導入されておらず、変換側流路29から小径後側室21chへの流れを阻止するから、変換側流路29に供給された作動油は、大径後側室21bhにのみ供給される。大径後側室21bhにおける大径部23bの受圧面積は比較的大きく設定されているから、変換ピストン23は、比較的低速で前進する。
低速射出動作の開始前において、変換ピストン23及び射出ピストン17は後退限に位置している。そして、制御装置13は、ポンプ25から変換側流路29へ作動油を供給するように、サーボアンプ63を介してモータ59に制御信号を出力し、低速射出動作を開始する。このとき、小径後側逆止弁VLdは、パイロット圧力が導入されておらず、変換側流路29から小径後側室21chへの流れを阻止するから、変換側流路29に供給された作動油は、大径後側室21bhにのみ供給される。大径後側室21bhにおける大径部23bの受圧面積は比較的大きく設定されているから、変換ピストン23は、比較的低速で前進する。
変換ピストン23が比較的低速で前進することにより、変換シリンダチューブ21から射出シリンダチューブ19のヘッド側室19hへ、比較的緩やかに作動液が供給され、射出ピストン17も比較的低速で前進する。ただし、大径シリンダ部21bの径d2は、ヘッド側室19hの径d4よりも大きく設定されているから、射出ピストン17は、変換ピストン23よりも高速(d22/d42倍)で前進する。射出ピストン17の前進により、射出プランジャ5は、比較的低速の速度VLで前進し、射出圧力はPLとなる。
なお、小径後側室21chには、例えば、変換ピストン23が前進することにより小径後側室21chに生じる負圧により、タンクの作動油が負圧制御用逆止弁95を介して供給される。また、バイパス逆止弁VLaは、パイロット圧力が導入されていない。
ロッド側逆止弁VLbは、パイロット圧力が導入されて閉じられている。従って、射出ピストン17により押し出されるロッド側室19rの作動油は全て射出側流路27を介してポンプ25に吸入される。なお、低速射出時におけるロッド側室19rの圧力は、基本的には、アキュムレータ47の圧力よりも低いから、ロッド側逆止弁VLbにパイロット圧力を導入しないようにしてもよい。
大径後側逆止弁VLcは、閉じるパイロット圧力が導入されている。従って、変換側流路29から大径後側室21bhに供給された作動油は、アキュムレータ47には流れず、全て大径部23bに圧力を付与することに利用される。なお、大径後側室21bhの圧力は、基本的には、アキュムレータ47の圧力よりも低いから、大径後側逆止弁VLcにパイロット圧力を導入しないようにしてもよい。
大径前側逆止弁VLeは、閉じるパイロット圧力が導入されている。従って、変換ピストン23により押し出される大径前側室21br及び小径前側室21arの作動油は、アキュムレータ47には流れず、全て射出ピストン17に圧力を付与することに利用される。なお、大径前側室21br及び小径前側室21arの圧力は、基本的には、アキュムレータ47の圧力よりも低いから、大径前側逆止弁VLeにパイロット圧力を導入しないようにしてもよい。
(高速射出動作)
制御装置13は、測長センサ85の検出値に基づく射出プランジャ5の位置が所定の高速切換位置に到達すると、小径後側逆止弁VLdにパイロット圧力を導入して、小径後側逆止弁VLdを開く。これにより、ポンプ25からの作動液は変換側流路29を介して小径後側室21chに供給される。小径後側室21chの断面積は、大径後側室21bhの、後側小径部23cを除く断面積よりも小さいから、変換ピストン23は、比較的高速で前進し、ひいては、射出ピストン17も比較的高速で前進する。これにより、射出プランジャ5は、比較的高速の速度VHで前進し、射出圧力は上昇してPHとなる。
制御装置13は、測長センサ85の検出値に基づく射出プランジャ5の位置が所定の高速切換位置に到達すると、小径後側逆止弁VLdにパイロット圧力を導入して、小径後側逆止弁VLdを開く。これにより、ポンプ25からの作動液は変換側流路29を介して小径後側室21chに供給される。小径後側室21chの断面積は、大径後側室21bhの、後側小径部23cを除く断面積よりも小さいから、変換ピストン23は、比較的高速で前進し、ひいては、射出ピストン17も比較的高速で前進する。これにより、射出プランジャ5は、比較的高速の速度VHで前進し、射出圧力は上昇してPHとなる。
このとき、ロッド側逆止弁VLbは、閉じるためのパイロット圧力が導入されていない。従って、射出ピストン17の高速移動により、ロッド側室19rにサージ圧が発生し、ロッド側室19rの圧力がアキュムレータ47の圧力を超えた場合には、ロッド側室19rの作動油がロッド側逆止弁VLbを押し開いてアキュムレータ47に流れ込み、サージ圧が除去される。なお、アキュムレータ47は、サージ圧を除去した分だけ、蓄圧されることになる。
大径後側逆止弁VLcは、開くパイロット圧力が導入されている。従って、大径後側室21bhには、アキュムレータ47から作動油が補給される。補給される作動油には、アキュムレータ47の蓄圧した圧力が付与されるから、変換ピストン23の前進に伴って大径後側室21bhに生じる負圧のみによりタンクから作動油を補給する場合に比較して、効率的に作動油の補給がなされる。
バイパス逆止弁VLa及び大径前側逆止弁VLeは、低速射出動作時における状態のままである。なお、大径前側逆止弁VLeは、低速射出動作時と同様に、閉じるパイロット圧力が導入されて確実に閉じられていることが好ましいが、大径前側室21br及び小径前側室21arの圧力は、基本的には、アキュムレータ47の圧力よりも低いから、パイロット圧力が導入されていなくてもよい。
(減速射出動作)
制御装置13は、所定の減速開始条件が満たされると、逆止弁(VLa〜VLe)を、低速射出時の状態と同様の状態とする。これにより、変換ピストン23は減速され、ひいては、射出ピストン17も減速される。そして、射出プランジャ5は、速度Vdとなる。ただし、キャビティ105には溶湯がある程度充填されているから、射出圧力は、概ねPHのまま維持される(図3)。換言すれば、溶湯がキャビティ105にある程度充填された後も射出圧力が高速射出動作における圧力PHに維持されるように、射出プランジャ5は減速される。減速開始条件は、例えば、測長センサ85の検出する射出プランジャ5の位置が所定の減速開始位置に到達したことである。
制御装置13は、所定の減速開始条件が満たされると、逆止弁(VLa〜VLe)を、低速射出時の状態と同様の状態とする。これにより、変換ピストン23は減速され、ひいては、射出ピストン17も減速される。そして、射出プランジャ5は、速度Vdとなる。ただし、キャビティ105には溶湯がある程度充填されているから、射出圧力は、概ねPHのまま維持される(図3)。換言すれば、溶湯がキャビティ105にある程度充填された後も射出圧力が高速射出動作における圧力PHに維持されるように、射出プランジャ5は減速される。減速開始条件は、例えば、測長センサ85の検出する射出プランジャ5の位置が所定の減速開始位置に到達したことである。
なお、図2に示すように、減速射出動作において、射出圧力が高速射出圧力PHから上昇して圧力Pdとなってもよい。この場合、逆止弁(VLa〜VLe)を、低速射出時の状態と同様の状態とするのは、溶湯がキャビティにある程度充填され、射出プランジャ5が溶湯から受ける反力により減速し始めてから行ってもよい。このような場合、上述のように測長センサ85の検出値が所定の減速開始位置に到達したことを減速開始条件としてもよいし、測長センサ85の検出値に基づく速度が減速を開始したり、ヘッド側圧力センサ77と射出側圧力センサ79の圧力差から特定される射出圧力がPHから上昇したことを減速開始条件としてもよい。
高速射出動作又は減速射出動作において、変換ピストン23の前側小径部23aは、変換シリンダチューブ21の前側小径シリンダ部21aに挿入される。これにより、大径前側室21brと小径前側室21arとは、前側小径部23aにより分離される。しかし、バイパス逆止弁VLaは、閉じるためのパイロット圧力が導入されていないから、大径前側室21brの作動油は、バイパス流路45を介して、変換ピストン23により小径前側室21arに押し出される。すなわち、変換ピストン23の前進速度に対する射出ピストン17の増速(理想的にはd22/d42倍)は、前側小径部23aの挿入後も引き続き行われる。
なお、バイパス流路45の断面積は、一般には前側小径シリンダ部21aの断面積よりも小さく、その一方で、高速射出動作においては、比較的大流量の作動油が大径前側室21brから小径前側室21arへ押し出されるから、高速射出動作において射出プランジャ5の減速が生じないように、前側小径部23aの前側小径シリンダ部21aへの挿入は、減速射出動作において行われることが好ましい。
(増圧動作)
制御装置13は、所定の増圧開始条件が満たされると、バイパス逆止弁VLaにパイロット圧力を導入してバイパス逆止弁VLaを閉じる。これにより、大径前側室21brから小径前側室21arへの作動油の流れが遮断される。また、大径前側逆止弁VLeは、閉じるためのパイロット圧力及び開くためのパイロット圧力が導入されていない状態とされる。そして、変換ピストン23は、大径前側室21brの作動油を大径前側逆止弁VLeを介してアキュムレータ47に排出しつつ前進し、さらには、大径部23bの大径後側室21bhにおける受圧面積と前側小径部23aの小径前側室21arにおける受圧面積との比に応じた増圧比で、大径後側室21bhの作動油の圧力を増幅した圧力を小径前側室21arの作動油に付与する。これにより、射出圧力は、圧力Ptを経てPmaxに到達する。また、射出速度は、速度Vtを経て0となる。
制御装置13は、所定の増圧開始条件が満たされると、バイパス逆止弁VLaにパイロット圧力を導入してバイパス逆止弁VLaを閉じる。これにより、大径前側室21brから小径前側室21arへの作動油の流れが遮断される。また、大径前側逆止弁VLeは、閉じるためのパイロット圧力及び開くためのパイロット圧力が導入されていない状態とされる。そして、変換ピストン23は、大径前側室21brの作動油を大径前側逆止弁VLeを介してアキュムレータ47に排出しつつ前進し、さらには、大径部23bの大径後側室21bhにおける受圧面積と前側小径部23aの小径前側室21arにおける受圧面積との比に応じた増圧比で、大径後側室21bhの作動油の圧力を増幅した圧力を小径前側室21arの作動油に付与する。これにより、射出圧力は、圧力Ptを経てPmaxに到達する。また、射出速度は、速度Vtを経て0となる。
なお、増圧動作の後、射出装置1は、保圧動作を行う。すなわち、射出装置1は、射出圧力をPmaxに保持する。このとき、変換ピストン23は前進しないから、ポンプ25の吐出量は少なくてもよい。従って、制御装置13は、モータ59の負荷を下げるようにモータ59を制御してよい。
(射出ピストン後退)
溶湯が凝固すると、制御装置13は、ポンプ25から射出側流路27へ作動油を供給するように、サーボアンプ63を介してモータ59に制御信号を出力する。これにより、ロッド側室19rに作動油が供給され、射出ピストン17は後退を開始する。射出ピストン17の後退により、ヘッド側室19hの作動油は、小径前側室21arに押し出され、変換ピストン23も後退する。
溶湯が凝固すると、制御装置13は、ポンプ25から射出側流路27へ作動油を供給するように、サーボアンプ63を介してモータ59に制御信号を出力する。これにより、ロッド側室19rに作動油が供給され、射出ピストン17は後退を開始する。射出ピストン17の後退により、ヘッド側室19hの作動油は、小径前側室21arに押し出され、変換ピストン23も後退する。
このとき、小径後側逆止弁VLdはパイロット圧力が導入されて開かれている。又、パイロット圧力が導入されていないとしても、小径後側逆止弁VLdは、大径後側室21bhから変換側流路29への流れを許容している。従って、変換ピストン23が後退すると、大径後側室21bhの作動油が変換側流路29を介してポンプ25に吸入されるだけでなく、小径後側室21chの作動油も変換側流路29を介してポンプ25に吸入される。
また、大径前側逆止弁VLeは、パイロット圧力が導入されて開かれている。従って、大径前側室21brにはアキュムレータ47から作動油が補給される。なお、補給される作動油には、アキュムレータ47の蓄圧した圧力が付与されるから、変換ピストン23の後退に伴って大径前側室21brに生じる負圧のみによりタンクから作動油を補給する場合に比較して、効率的に作動油の補給がなされる。
なお、当該補給は、前側小径部23aが前側小径シリンダ部21aに挿入されている間は必要であるが、前側小径部23aが前側小径シリンダ部21aから引き抜かれた後は不要である。また、アキュムレータ47から補給する代わりに、バイパス逆止弁VLaを、開くパイロット圧力を導入可能な逆止弁により構成し、前側小径室21arからバイパス流路45を経由して大径前側室21brに作動油を供給するようにしてもよい。
バイパス逆止弁VLaはパイロット圧力の導入が停止される。ロッド側逆止弁VLb及び大径後側逆止弁VLcは、パイロット圧力が導入されて閉じられている。ただし、アキュムレータ47の圧力がこれらの逆止弁により連通されるシリンダ室の圧力よりも低い場合には、パイロット圧力が導入されていなくてもよい。
(射出ピストン後退限)
射出ピストン17が後退限に到達した後においては、ロッド側逆止弁VLbへのパイロット圧力の導入を停止するとともに、ポンプ25によりロッド側室19rに作動油を供給することにより、ロッド側室19rからロッド側逆止弁VLbを介してアキュムレータ47に作動油を供給して、アキュムレータ47を蓄圧することができる。なお、制御装置13は、測長センサ85の検出値に基づいて、射出ピストン17が後退限に到達したか否かを判断できる。
射出ピストン17が後退限に到達した後においては、ロッド側逆止弁VLbへのパイロット圧力の導入を停止するとともに、ポンプ25によりロッド側室19rに作動油を供給することにより、ロッド側室19rからロッド側逆止弁VLbを介してアキュムレータ47に作動油を供給して、アキュムレータ47を蓄圧することができる。なお、制御装置13は、測長センサ85の検出値に基づいて、射出ピストン17が後退限に到達したか否かを判断できる。
(変換ピストン後退限)
射出ピストン17が後退限に到達する前に、変換ピストン23が後退限に到達した場合、大径前側逆止弁VLeに開くパイロット圧力を導入し、又は、開くパイロット圧力及び閉じるパイロット圧力の双方を導入しないようにし、小径前側室21ar及び大径前側室21brからアキュムレータ47への作動油の排出を許容することにより、射出ピストン17の後退を許容することができる。そして、「射出ピストン後退」で述べたように、ロッド側室19rに作動油を供給して射出ピストン17を後退させる。
射出ピストン17が後退限に到達する前に、変換ピストン23が後退限に到達した場合、大径前側逆止弁VLeに開くパイロット圧力を導入し、又は、開くパイロット圧力及び閉じるパイロット圧力の双方を導入しないようにし、小径前側室21ar及び大径前側室21brからアキュムレータ47への作動油の排出を許容することにより、射出ピストン17の後退を許容することができる。そして、「射出ピストン後退」で述べたように、ロッド側室19rに作動油を供給して射出ピストン17を後退させる。
また、変換ピストン23が後退限に到達する前に、射出ピストン17が後退限に到達した場合、ロッド側逆止弁VLbにおけるパイロット圧力の導入を停止するとともに、大径前側逆止弁VLeに開くためのパイロット圧力を導入する。これにより、ポンプ25からロッド側室19r及びロッド側逆止弁VLbを介してアキュムレータ47に作動油を供給するとともに、アキュムレータ47から大径前側逆止弁VLeを介して大径前側室21brに作動油を供給することができ、変換ピストン23を後退させることができる。
なお、制御装置13は、測長センサ85及び後退限検出器83の検出結果に基づいて、射出ピストン17及び変換ピストン23のいずれが先に後退限に到達したか判断し、上記のいずれかの動作を実行するように、各種の逆止弁を制御できる。
(次サイクル準備)
制御装置13は、射出ピストン17及び変換ピストン23の双方が後退限に到達すると、ポンプ25を停止するとともに、各逆止弁(VLa〜VLe)を低速射出動作における状態にする。
制御装置13は、射出ピストン17及び変換ピストン23の双方が後退限に到達すると、ポンプ25を停止するとともに、各逆止弁(VLa〜VLe)を低速射出動作における状態にする。
なお、上述の各動作に亘って、ポンプ25が駆動されているときの回転速度は、基本的には一定である。ただし、高速射出動作や増圧動作におけるポンプ25の回転速度を低速射出動作や減速射出動作におけるポンプ25の回転速度よりも速く設定するなど、各動作に応じた回転速度が設定されてもよい。
以上の実施形態によれば、射出装置1は、射出プランジャ5を駆動する射出シリンダ装置7と、射出シリンダ装置7のヘッド側室19hに連通する変換シリンダチューブ21、及び、変換シリンダチューブ21内に摺動可能に収容された変換ピストン23を有する変換シリンダ装置9とを有し、変換シリンダチューブ21は、ヘッド側室19hに連通する前側小径シリンダ部21aと、前側小径シリンダ部21aに連通し、前側小径シリンダ部21aよりも大径の大径シリンダ部21bと、大径シリンダ部21bに連通し、大径シリンダ部21bよりも小径の後側小径シリンダ部21cとを有し、変換ピストン23は、前側小径シリンダ部21aを摺動可能な前側小径部23aと、大径シリンダ部21bを摺動可能な大径部23bと、後側小径シリンダ部21cを摺動可能な後側小径部23cとを有することから、大径シリンダ部21bの大径後側室21bhに作動油を供給することにより、低速で射出プランジャ5を前進させ、後側小径シリンダ部21cに作動油を供給することにより、高速で射出プランジャ5を前進させ、前側小径部23aを前側小径シリンダ部21aに挿入した状態で大径後側室21bhに作動油を供給することにより、増圧を行うことができる。
その結果、後側小径シリンダ部21cへの作動油の供給を阻止又は許容するだけで、3段変化の射出動作が可能であるから、射出装置1の簡素化及び高機能化が図られる。例えば、小径側分岐流路29bにパイロット式の逆止弁(VLd)を設けるだけで、低速射出動作から高速射出動作への切換ができる。
また、例えば、高圧アキュムレータなしでも十分な増速や増圧が可能である。具体的には以下のとおりである。一例として、d1=20mm、d2=160mm、d3=d4=80mmとした場合、高速射出速度VHは、後側小径シリンダ部21cが設けられていない構成において大径後側室(21bhに相当)にポンプ25から作動油を供給したときに比較して、又は、変換シリンダ装置9が設けられていない構成においてヘッド側室19hにポンプ25から直接作動油を供給したときに比較して、同一のポンプ25の吐出量に対して、(d2/d1)2=64倍となる。VH=10m/secとする所要ポンプ吐出量Pfは、Pf=(VH×60sec×π/4×d4×d4)/(d2/d1)2=47L/minとなる。また、増圧比ρ=(d22−d12)/d32=約3.9であるから、射出圧力の最大値Pmax=30MPaとすると、所要ポンプ圧力は、Pmax/ρ=約8MPaとなる。従って、高圧アキュムレータなしで、十分に高速射出や増圧が可能となる。さらに、作動油の極小化や省エネルギーを図ることもできる。
射出装置1は、変換側流路29に連通する変換側ポート25bと、射出側流路27に連通する射出側ポート25aとを有するポンプ25と、ポンプ25を駆動し、回転方向の切り換えにより変換側ポート25b及び射出側ポート25aの間で吸入口と吐出口とを切り換えるモータ59と、ポンプ25における作動油の過不足を補償する自給弁回路31とを有することから、ポンプ25の回転方向の切換により前進及び後退を制御でき、構成が一層簡素化される。また、ポンプ25の回転速度の制御と、上述の変換シリンダ装置9による3段変速とを組み合わせることにより、簡素な構成で多様な制御が可能となる。射出シリンダ装置7や変換シリンダ装置9において作動油が必要なときだけモータ59を回転して作動油を送り出せばよいから、省エネルギーも図られる。
なお、射出シリンダ装置7のみにおいては、射出ピストン17は、ロッド側室19r側の受圧面積がヘッド側室19h側の受圧面積よりも小さいから、射出ピストン17が前進するときに作動油が不足し、射出ピストン17が後退するときに作動油が過剰となる。しかし、後述するように、射出シリンダチューブ19の径d4に対して、変換シリンダチューブ21の各部の径d1〜d3は適宜に設定可能であるから、例えば、変換側流路29に作動油を供給して射出ピストン17を前進させる場合、小径後側室21ch及び大径後側室21bhのいずれに作動油を供給するか等により、不足及び過剰のいずれが発生するかが異なることがある。本実施形態の自給弁回路31は、変換側流路29及び射出側流路27のいずれに作動油を供給しているときに、過剰及び不足のいずれが発生しても対応可能である。
射出装置1は、ガス式のアキュムレータ47と、パイロット圧力が導入されることにより開かれることが可能であり、パイロット圧力が導入されていないときに、アキュムレータ47から大径後側室21bhへの流れを阻止するとともに大径後側室21bhからアキュムレータ47への流れを許容する大径後側逆止弁VLcと、パイロット圧力が導入されることにより開かれることが可能であり、パイロット圧力が導入されていないときに、アキュムレータ47から大径前側室21brへの流れを阻止するとともに大径前側室21brからアキュムレータ47への流れを許容する大径前側逆止弁VLeと、アキュムレータ47からロッド側室19rへの流れを阻止するとともにロッド側室19rからアキュムレータ47への流れを許容するロッド側逆止弁VLbとを有することから、変換シリンダ装置9への作動油の供給を迅速に行いつつ、射出シリンダ装置7の背圧のサージ除去を確実に行うことができる。しかも、上述のように、高速射出動作及び増圧動作は、アキュムレータなしで可能であるから、アキュムレータ47は、負圧の発生を抑制すること等を目的とした作動油の補給やサージ除去に十分な低圧のものでよく、小型化、低コスト化、安全性の向上が図られる。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、プラスチック射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、射出装置は、横型締横射出に限定されず、縦型締縦射出、横型締縦射出であってもよい。作動液は、油に限定されず、例えば水でもよい。
変換シリンダチューブの前側小径シリンダ部の径(d3)、大径シリンダ部の径(d2)、後側小径シリンダ部の径(d1)は、適宜に設定されてよい。
例えば、後側小径シリンダ部の径(d1)は、大径シリンダ部の径(d2)よりも小さければ、従来の後側小径シリンダ部(21c)がない構成のものに比較して、又は、変換シリンダ装置(9)がない構成のものに比較して、少量の作動液で変換ピストン(23)を前進させることができる(同量の作動液に対して(d2/d1)2倍の高速で前進させることができる)という効果を奏するのであるから、射出シリンダチューブの径(d4)や前側小径シリンダ部の径(d3)よりも小さくなくてもよい。
また、例えば、大径シリンダ部の径(d2)は、射出シリンダチューブの径(d4)よりも大きくなくてもよいし、前側小径シリンダ部の径(d3)は、射出シリンダチューブの径(d4)よりも大きくても小さくてもよい。上述のように、変換シリンダ装置(9)による射出シリンダ装置(7)の増速比は、(d2/d1)2により決定され、d2及びd3とd4との大小関係は関係しておらず、また、変換シリンダ装置(9)による射出シリンダ装置(7)の増圧比ρは、ρ=(d22−d12)/d32により決定され、d2及びd3とd4との大小関係は関係していないからである。
なお、実施形態のように、増圧時に、大径後側室(21bh)にのみ作動油を供給し、後側小径室(21ch)に作動油を供給していない場合には、増圧比ρ=(d22−d12)/d32であるから、この要件を満たすように、d1〜d3が決定されなければならない。すなわち、大径部(23b)の大径シリンダ部(21b)における後側小径シリンダ部(21c)側の受圧面積が前側小径部(23a)の前側小径シリンダ部(21a)における受圧面積よりも大きくなければならない。しかし、大径後側室(21bh)及び後側小径室(21ch)の双方に作動液を供給するのであれば、増圧比ρ=d22/d32であり、d2>d3を満たせばよい。
また、実施形態では、d12<d22−d12であるから、小径後側室(21ch)に作動液を供給した場合に、大径後側室(21bh)に作動液を供給する場合よりも高速となった。しかし、d12>d22−d12となるように変換シリンダチューブ(21)を構成し、小径後側室(21ch)に作動液を供給して低速移動を行い、大径後側室(21bh)に作動液を供給して高速移動を行ってもよい。ただし、d12<d22−d12としたほうが、後側小径シリンダ部(21c)の径d1が小さくなり、変換シリンダ装置9の小型化が図られし、後側小径部(23c)の摺動面積を小さくして摺動抵抗を低減できる。
前側小径部(23a)は、前側小径シリンダ部(21a)に挿入されたままでもよい。この場合でも、実施形態のように、小径前側室(21br)からバイパス流路(45)を介してヘッド側室(19h)に作動液を供給することができる。ただし、実施形態のように、前側小径部(23a)が前側小径シリンダ部(21a)に挿入されていない状態で、小径前側室(21br)からヘッド側室(19h)へ作動油を押し出した方が作動油に加えられる抵抗を少なくして、確実に高速射出動作を行うことができる。
各シリンダ室(19r、19h、21ar、21br、21bh、21ch)には、適宜な構成の油圧回路により、適宜なタイミングで作動油が供給されてよい。例えば、実施形態において、大径側分岐流路29aにもパイロット式の逆止弁を設け、高速射出動作では、大径後側室21bhへの作動油の流れを阻止して、小径後側室のみにポンプ25から作動油を供給し、大径後側室21bhへはタンクから負圧により作動油を供給したり、低圧のアキュムレータから作動油を供給するようにしてもよい。この場合、ポンプ25からの作動液を小径後側室のみに供給することにより、一層の高速化を図ることができる。
また、例えば、各逆止弁は切換弁等の他の方向制御弁であってもよい。逆止弁として、閉じるパイロット圧力を導入可能なもの、開くパイロット圧力を導入可能なもの、閉じるパイロット圧力及び開くパイロット圧力の双方を導入可能なもの、パイロット式でないものが適宜に用いられてよい。油圧源はポンプに限定されず、アキュムレータであってもよいし、作動油の補給用等のアキュムレータに代えてタンクが設けられてもよい。
1…射出装置、5…射出プランジャ、15…射出ピストンロッド、7…射出シリンダ装置、9…変換シリンダ装置、17…射出ピストン、19…射出シリンダチューブ、19r…ロッド側室、19h…ヘッド側室、21…変換シリンダチューブ、21a…前側小径シリンダ部、21b…大径シリンダ部、21c…後側小径シリンダ部、23…変換ピストン、23a…前側小径部、23b…大径部、23c…後側小径部、105…キャビティ。
Claims (9)
- 射出プランジャにより成形材料をキャビティに押し出す射出装置であって、
前記射出プランジャに連結された射出ピストンロッド、当該射出ピストンロッドが固定された射出ピストン、及び、当該射出ピストンを摺動可能に収容する射出シリンダチューブを有し、前記射出シリンダチューブ内が、前記射出ピストンにより、前記射出ピストンロッドが延出する側のロッド側室と、その反対側のヘッド側室とに区画される射出シリンダ装置と、
前記ヘッド側室に連通する変換シリンダチューブ、及び、当該変換シリンダチューブ内に摺動可能に収容された変換ピストンを有する変換シリンダ装置と、
を有し、
前記変換シリンダチューブは、
前記ヘッド側室に連通する前側小径シリンダ部と、
前記前側小径シリンダ部に連通し、前記前側小径シリンダ部よりも大径の大径シリンダ部と、
前記大径シリンダ部に連通し、前記大径シリンダ部よりも小径の後側小径シリンダ部と、
を有し、
前記変換ピストンは、
前記前側小径シリンダ部を摺動可能な前側小径部と、
前記大径シリンダ部を摺動可能な大径部と、
前記後側小径シリンダ部を摺動可能な後側小径部と、
を有する
成形機の射出装置。 - 前記大径部の前記大径シリンダ部における前記後側小径シリンダ部側の受圧面積が前記前側小径部の前記前側小径シリンダ部における受圧面積よりも大きい
請求項1に記載の成形機の射出装置。 - 前記変換ピストンは、前記前側小径部を前記大径シリンダ部側から前記前側小径シリンダ部に出し入れ可能に前記変換シリンダチューブに収容されている
請求項1又は2に記載の成形機の射出装置。 - 前記大径部の前記大径シリンダ部における前記後側小径シリンダ部側の受圧面積が前記後側小径部の前記後側小径シリンダ部における受圧面積よりも大きい
請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形機の射出装置。 - 前記変換シリンダチューブに作動液を供給するための流路であって、前記大径シリンダ部の、前記大径部に対して前記後側小径シリンダ部側となる大径後側室に連通する大径側分岐流路と、前記後側小径シリンダ部の、前記後側小径部に対して前記大径シリンダ部とは反対側となる小径後側室に連通する小径側分岐流路とに分岐する変換側流路と、
前記小径側分岐流路に設けられ、パイロット圧力の導入により開かれることが可能であり、パイロット圧力が導入されていないときに、前記小径後側室への流れを阻止するとともに前記小径後側室からの流れを許容する小径後側逆止弁と、
を有する請求項4に記載の成形機の射出装置。 - 前記ロッド側室に連通する射出側流路と、
前記変換側流路に連通する変換側ポートと、前記射出側流路に連通する射出側ポートとを有するポンプと、
前記ポンプを駆動し、回転方向の切り換えにより前記変換側ポート及び前記射出側ポートの間で吸入口と吐出口とを切り換えるモータと、
前記変換側流路と前記射出側流路とを接続する中間流路と、
前記中間流路の中途に接続されたタンクと、
前記中間流路において前記変換側流路と前記タンクとの間に設けられたパイロット式の逆止弁であって、当該逆止弁を開くためのパイロット圧力として前記射出側流路の圧力が導入され、パイロット圧力が導入されていないときは、前記変換側流路から前記タンクへの流れを阻止するとともに前記タンクから前記変換側流路への流れを許容する変換側逆止弁と、
前記中間流路において前記射出側流路と前記タンクとの間に設けられたパイロット式の逆止弁であって、当該逆止弁を開くためのパイロット圧力として前記変換側流路の圧力が導入され、パイロット圧力が導入されていないときは、前記射出側流路から前記タンクへの流れを阻止するとともに前記タンクから前記射出側流路への流れを許容する射出側逆止弁と、
を有する請求項5に記載の成形機の射出装置。 - 前記射出プランジャの位置を検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて、前記モータ及び前記小径後側逆止弁を制御する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、前記キャビティに成形材料を供給するとき、前記小径後側逆止弁にパイロット圧力を導入しない状態で、前記モータを前記変換側流路に作動液を供給する方向へ回転させ、前記大径後側室に作動液を供給して前記射出プランジャの前進を開始し、その後、前記検出器の検出する位置が所定の高速切換位置に到達したときに前記小径後側逆止弁にパイロット圧力を導入し、前記小径後側室に作動液を供給して前記射出プランジャを増速する
請求項6に記載の成形機の射出装置。 - ガスアキュムレータと、
前記ガスアキュムレータと、前記大径シリンダ部の、前記大径部に対して前記後側小径シリンダ部側となる大径後側室との間に設けられ、パイロット圧力が導入されることにより開かれることが可能であり、パイロット圧力が導入されていないときに、前記アキュムレータから前記大径後側室への流れを阻止するとともに前記大径後側室から前記アキュムレータへの流れを許容する大径後側逆止弁と、
前記ガスアキュムレータと、前記大径シリンダ部の、前記大径部に対して前記前側小径シリンダ部側となる大径前側室との間に設けられ、パイロット圧力が導入されることにより開かれることが可能であり、パイロット圧力が導入されていないときに、前記アキュムレータから前記大径前側室への流れを阻止するとともに前記大径前側室から前記アキュムレータへの流れを許容する大径前側逆止弁と、
前記ガスアキュムレータと、前記ロッド側室との間に設けられ、前記アキュムレータから前記ロッド側室への流れを阻止するとともに前記ロッド側室から前記アキュムレータへの流れを許容するロッド側逆止弁と、
を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形機の射出装置。 - 前記ガスアキュムレータに保持されるガスは1MPa未満である
請求項8に記載の成形機の射出装置。
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Cited By (5)
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-
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