JP5442553B2 - 軸受の損傷検出方法 - Google Patents
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Description
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の軸受の損傷検出方法において、設定された周波数範囲のそれぞれにおいて最大となるピークの周波数を求め、得られた最大となるピークの周波数同士の差と、内輪または外輪の可動側の回転周波数frのk倍とを比較し、比較した両者が一致すると見なせるか否かを判断し、比較した両者が一致すると見なせると判断されると軸受が損傷していると判断することを特徴とする。
(3) 請求項3の発明による軸受の損傷検出方法は、内輪および外輪と、内輪および外輪と接して転動する転動体と、転動体を保持する保持器とを有する軸受の損傷検出方法において、内輪または外輪の可動側が回転している時の軸受の振動をセンサで測定し、センサで測定して得られた軸受の振動波形を周波数分析し、周波数分析した結果に基づいて、内輪または外輪の可動側の回転周波数frと略等しい範囲を有し、それぞれが互いに重複せず、かつ、回転周波数frの整数倍を含まない周波数範囲をY個(Yは2以上の整数)設定し、Y個の設定された周波数範囲のそれぞれにおける最大ピークの周波数を求め、u番目(uは1以上Y以下の整数)の周波数範囲における最大ピークの周波数をf(u)とした時のuが1からYまでの次数パラメータg(u)=f(u)/fr−(n+u−1)について標準偏差を求め、この標準偏差が基準値よりも小さい場合には、軸受が損傷していると判断することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項3に記載の軸受の損傷検出方法において、最大ピークの周波数f(u)の振幅をa(u)とした時のuが1からYまでのa(u)について平均値を求め、この平均値が時間の経過とともに増加した場合には、軸受の損傷が進展したと判断することを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の軸受の損傷検出方法において、周波数分析した結果に基づいて得られる周波数のピークのうち、内輪の1点の損傷部分を転動体が通ることによって生じる振動に起因する周波数のピークと、外輪の1点の損傷部分を転動体が通ることによって生じる振動に起因する周波数のピークとのいずれか一つを、設定された周波数範囲のいずれか1つに含まれていることを特徴とする。
(6) 請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の軸受の損傷検出方法において、転動体直径をd、転動体ピッチ円直径をD、転動体数をZ、転動体接触角をα、内輪または外輪の回転数をNとし、内輪および外輪と転動体との間にすべりが生じないとした時に、内輪の1点を転動体が通る内輪特徴周波数fi=(D+d×cosα)×Z×N/(120×D)と、外輪の1点が転動体を通る外輪特徴周波数fo=(D−d×cosα)×Z×N/(120×D)のいずれか一つをt倍(tは1以上の整数)して回転周波数fr=N/60のr倍(rは整数)を足した値が、設定された周波数範囲に含まれていることを特徴とする。
(7) 請求項7の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の軸受の損傷検出方法において、設定された周波数範囲は、fr×n(nは1以上の整数)より大きくfr×(n+1)より小さい周波数範囲であることを特徴とする。
(8) 請求項8の発明は、請求項6に記載の軸受の損傷検出方法において、設定された周波数範囲は、fr×n(nは1以上の整数)より大きくfr×(n+1)より小さい周波数範囲であることを特徴とする。
(9) 請求項9の発明は、請求項8に記載の軸受の損傷検出方法において、設定された周波数範囲を(2s+1)個(sは1以上の整数)とし、それぞれの周波数範囲をfr×nより大きくfr×(n+1)より小さい周波数範囲、fr×(n+1)より大きくfr×(n+2)より小さい周波数範囲・・・fr×(n+2s)より大きくfr×(n+2s+1)より小さい周波数範囲としたことを特徴とする。
(10) 請求項10の発明は、請求項9に記載の軸受の損傷検出方法において、fi×tおよびfo×tのいずれか1つが、fr×(n+s)より大きくfr×(n+s+1)より小さい範囲に含まれていることを特徴とする。
図1〜4を参照して、本発明による軸受の損傷検出方法の第1の実施の形態を説明する。図1は、本発明による軸受の損傷検出方法に係る軸受の損傷検出装置の構成を示す図であり、図2は、軸受の一例としてラジアル玉軸受である単列深みぞ玉軸受の構造を示す断面図である。本実施の形態の軸受の損傷検出装置は、振動加速度を計測する加速度センサ7と、加速度センサ7から出力される信号を増幅するアンプ8と、アンプ8を介して入力される加速度センサ7からの信号を受信する計測装置9とを備えている。本実施の形態の軸受の損傷検出装置は、軸受損傷の検出対象である軸受が設けられている機器に常設されていてもよく、複数の機器にそれぞれ設けられた軸受の損傷検出ができるように可搬型の装置でもよい。以下の説明では、損傷の検出対象である軸受が設けられている機器に軸受の損傷検出装置が常設されているものとして説明する。
fi=(D+d×cosα)×Z×N/(120×D) ・・・(2)
fo=(D−d×cosα)×Z×N/(120×D) ・・・(3)
(1) 周波数分析の結果に対して、fr×nより大きくfr×(n+1)より小さい第1の周波数範囲と、fr×mより大きくfr×(m+1)より小さい第2の周波数範囲を設け、第1および第2の周波数範囲におけるピークの周波数f(n),f(m)を求めるように構成した。そして、周波数間隔d=f(m)―f(n)と回転周波数frの(m−n)倍との差の絶対値が基準値jより小さい時には両者が一致しているものとみなして、軸受10に損傷があると判定するように構成した。これにより、内輪2および外輪1と転動体3との間ですべりが生じても、損傷による振動の周波数を検出できるので、軸受10の損傷を確実に検出できる。
図5,6を参照して、本発明による軸受の損傷検出方法の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、後述する次数に基づいて軸受10の損傷の有無の判定する点で、第1の実施の形態と異なる。
(1) 設ける周波数範囲を(2s+1)個とし、それぞれの周波数範囲をfr×nより大きくfr×(n+1)より小さい周波数範囲、fr×(n+1)より大きくfr×(n+2)より小さい周波数範囲・・・fr×(n+2s)より大きくfr×(n+2s+1)より小さい周波数範囲とした。そして、(2s+1)個の周波数範囲のうち中心の周波数範囲となるfr×(n+s)より大きくfr×(n+s+1)より小さい周波数範囲に理論上の内輪特徴周波数fiをt倍して回転周波数frのw倍を足した値を含むようにnを設定するようにした。これにより、実際の特徴周波数および実際の特徴周波数の振動が振幅変調された振動の周波数を精度よく検出できるので、軸受10の損傷の有無の判定精度を向上できる。
図7,8を参照して、本発明による軸受の損傷検出方法の第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1および第2の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1または第2の実施の形態と同じである。本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に次数パラメータg(u)に基づいて軸受10の損傷の有無を判定する他に、主に、各周波数範囲における最大ピークの周波数f(u)の振幅値の平均値が経時的に変化したか否かによって、軸受10の損傷が進展しているか否かを判定する点で、第1および第2の実施の形態と異なる。
(1) 各周波数範囲における最大ピークの周波数f(u)の振幅値の平均値が経時的に変化したか否かによって、軸受10の損傷が進展しているか否かを判定するようにした。これにより、軸受10の損傷の進展度合を判定できるので、軸受10の適切な交換時期が分かるようになり、軸受10を効率的に使用および交換できる。
(1) 上述した第1の実施の形態では、周波数間隔dを算出する周波数範囲が2つであったが、本発明はこれに限定されない。たとえば、周波数間隔dを算出する周波数範囲が3つ以上であってもよい。たとえば、周波数間隔dを算出する周波数範囲が第1〜第3の周波数範囲の3つであり、第1〜第3の周波数範囲におけるピークの周波数f(n),f(m),f(l)である場合について考える。周波数間隔d1をd1=f(m)―f(n)とし、周波数間隔d2をd2=f(n)―f(l)とし、周波数間隔d3をd3=f(l)―f(m)とする。そして、たとえば、すべての周波数間隔d1〜d3に関して、d1−fr×(m−n)の絶対値、d2−fr×(n−l)の絶対値、d3−fr×(l−m)の絶対値がすべて基準値jより小さい時に軸受10に損傷があると判定するようにしてもよい。また、たとえば、d1−fr×(m−n)の絶対値、d2−fr×(n−l)の絶対値、d3−fr×(l−m)の絶対値のうち、2つの絶対値(すなわち過半数の絶対値)が基準値jより小さい時に軸受10に損傷があると判定するようにしてもよい。
(5) 上述の説明では、加速度センサ7が3軸加速度センサであるが、本発明はこれに限定されない。少なくとも1つの軸線方向の振動加速度を計測できる加速度センサであればよい。
(7) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
また、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、内輪および外輪と、内輪および外輪と接して転動する転動体と、転動体を保持する保持器とを有する軸受の損傷検出方法において、内輪または外輪の可動側が回転している時の軸受の振動をセンサで測定し、センサで測定して得られた軸受の振動波形を周波数分析し、周波数分析した結果に基づいて、内輪または外輪の可動側の回転周波数frと略等しい範囲を有し、それぞれが互いに重複せず、かつ、回転周波数frの整数倍を含まない周波数範囲をY個(Yは2以上の整数)設定し、Y個の設定された周波数範囲のそれぞれにおける最大ピークの周波数を求め、u番目(uは1以上Y以下の整数)の周波数範囲における最大ピークの周波数をf(u)とした時のuが1からYまでの次数パラメータg(u)=f(u)/fr−(n+u−1)について標準偏差を求め、この標準偏差が基準値よりも小さい場合には、軸受が損傷していると判断することを特徴とする各種の軸受の損傷検出方法を含むものである。
3 転動体 4 保持器
5 保持部材 7 加速度センサ
8 アンプ 9 計測装置
10 軸受
Claims (10)
- 内輪および外輪と、前記内輪および前記外輪と接して転動する転動体と、前記転動体を保持する保持器とを有する軸受の損傷検出方法において、
前記内輪または前記外輪の可動側が回転している時の前記軸受の振動をセンサで測定し、
前記センサで測定して得られた前記軸受の振動波形を周波数分析し、
前記周波数分析した結果に基づいて、前記内輪または前記外輪の可動側の回転周波数frと略等しい範囲を有し、それぞれが互いに重複せず、かつ、前記回転周波数frの整数倍を含まない周波数範囲を少なくとも2つ以上設定し、
複数の前記設定された周波数範囲のそれぞれにおけるピークの周波数を求め、
得られたピークの周波数同士の差と、前記回転周波数frのk倍(kは1以上の整数)とを比較し、比較した両者が一致すると見なせるか否かを判断し、比較した両者が一致すると見なせると判断されると前記軸受が損傷していると判断することを特徴とする軸受の損傷検出方法。 - 請求項1に記載の軸受の損傷検出方法において、
前記設定された周波数範囲のそれぞれにおいて最大となるピークの周波数を求め、
得られた最大となるピークの周波数同士の差と、前記内輪または前記外輪の可動側の回転周波数frのk倍とを比較し、比較した両者が一致すると見なせるか否かを判断し、比較した両者が一致すると見なせると判断されると前記軸受が損傷していると判断することを特徴とする軸受の損傷検出方法。 - 内輪および外輪と、前記内輪および前記外輪と接して転動する転動体と、前記転動体を保持する保持器とを有する軸受の損傷検出方法において、
前記内輪または前記外輪の可動側が回転している時の前記軸受の振動をセンサで測定し、
前記センサで測定して得られた前記軸受の振動波形を周波数分析し、
前記周波数分析した結果に基づいて、前記内輪または前記外輪の可動側の回転周波数frと略等しい範囲を有し、それぞれが互いに重複せず、かつ、前記回転周波数frの整数倍を含まない周波数範囲をY個(Yは2以上の整数)設定し、
Y個の前記設定された周波数範囲のそれぞれにおける最大ピークの周波数を求め、
u番目(uは1以上Y以下の整数)の前記周波数範囲における最大ピークの周波数をf(u)とした時のuが1からYまでの次数パラメータg(u)=f(u)/fr−(n+u−1)について標準偏差を求め、この標準偏差が基準値よりも小さい場合には、前記軸受が損傷していると判断することを特徴とする軸受の損傷検出方法。 - 請求項3に記載の軸受の損傷検出方法において、
前記最大ピークの周波数f(u)の振幅をa(u)とした時のuが1からYまでのa(u)について平均値を求め、この平均値が時間の経過とともに増加した場合には、前記軸受の損傷が進展したと判断することを特徴とする軸受の損傷検出方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の軸受の損傷検出方法において、
前記周波数分析した結果に基づいて得られる周波数のピークのうち、内輪の1点の損傷部分を転動体が通ることによって生じる振動に起因する周波数のピークと、外輪の1点の損傷部分を転動体が通ることによって生じる振動に起因する周波数のピークとのいずれか一つを、前記設定された周波数範囲のいずれか1つに含まれていることを特徴とする軸受の損傷検出方法。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の軸受の損傷検出方法において、
転動体直径をd、転動体ピッチ円直径をD、転動体数をZ、転動体接触角をα、内輪または外輪の回転数をNとし、内輪および外輪と転動体との間にすべりが生じないとした時に、内輪の1点を転動体が通る内輪特徴周波数fi=(D+d×cosα)×Z×N/(120×D)と、外輪の1点が転動体を通る外輪特徴周波数fo=(D−d×cosα)×Z×N/(120×D)のいずれか一つをt倍(tは1以上の整数)して回転周波数fr=N/60のr倍(rは整数)を足した値が、前記設定された周波数範囲に含まれていることを特徴とする軸受の損傷検出方法。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の軸受の損傷検出方法において、
前記設定された周波数範囲は、fr×n(nは1以上の整数)より大きくfr×(n+1)より小さい周波数範囲であることを特徴とする軸受の損傷検出方法。 - 請求項6に記載の軸受の損傷検出方法において、
前記設定された周波数範囲は、fr×n(nは1以上の整数)より大きくfr×(n+1)より小さい周波数範囲であることを特徴とする軸受の損傷検出方法。 - 請求項8に記載の軸受の損傷検出方法において、
前記設定された周波数範囲を(2s+1)個(sは1以上の整数)とし、それぞれの周波数範囲をfr×nより大きくfr×(n+1)より小さい周波数範囲、fr×(n+1)より大きくfr×(n+2)より小さい周波数範囲・・・fr×(n+2s)より大きくfr×(n+2s+1)より小さい周波数範囲としたことを特徴とする軸受の損傷検出方法。 - 請求項9に記載の軸受の損傷検出方法において、
fi×tおよびfo×tのいずれか1つが、fr×(n+s)より大きくfr×(n+s+1)より小さい範囲に含まれていることを特徴とする軸受の損傷検出方法。
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