JP5440913B2 - テーパ穴形成装置、およびテーパ穴形成装置で用いられる振幅変調マスクまたは位相変調マスク - Google Patents

テーパ穴形成装置、およびテーパ穴形成装置で用いられる振幅変調マスクまたは位相変調マスク Download PDF

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本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置に関する。さらに具体的には、本発明は、エキシマレーザを用いたレーザ加工により、インクジェットヘッドのノズルを形成するためのテーパ穴形成装置に関する。また本発明は、テーパ穴形成装置で用いられる振幅変調マスクまたは位相変調マスクに関する。
従来、プリンタなどに使用されるインクジェットヘッドのノズルは、良好なインクの吐出性能を得るために、インクの吐出口が基端部よりも細くなるようテーパがつけられた形状を有している。
図17に、従来のインクジェットヘッドのノズル形成方法における光学装置100を示す。光学装置100のステージ109上には、ポリイミド等の樹脂プレートからなり、レーザ加工によりノズルが形成されるノズル形成用シート108が載置されている。レーザ光源102から出射されるパルス状のレーザ光は、光強度分布を均一化する照明光学系103を通過した後、マスク104に入射される。マスク104は、光を透過させる石英ガラス層105と、光を遮蔽する金属からなる光遮蔽膜106とを積層することにより形成されており、また、光遮蔽膜106はその中央部に円形の開口部106aを有している。このため、マスク104に入射したレーザ光のうち、光遮蔽膜106の開口部106aに対応する領域に入射したレーザ光のみがマスク104を透過し、その他の光はマスク104の光遮蔽膜106により遮蔽される。マスク104を透過したレーザ光は、結像光学系107によりノズル形成用シート108上に結像される。ノズル形成用シート108上に結像され照射された光は、光遮蔽膜106の開口部106aに対応する円形パターンを有しており、このため、ノズル形成用シート108が円形に加工される。これによって、テーパがつけられた形状を有するノズル110が作製される。
レーザ加工により作製されるノズル110のテーパ角と、照射されるレーザ光のエネルギ密度との間には、図18に示すように、照射エネルギ密度を小さくするとテーパ角が大きくなる関係があることが知られている。この関係を利用することにより、照射されるレーザ光のエネルギ密度を調整して所望角度のテーパ部110bを形成することが可能となる。例えば特許文献1において、所定の角度を有するテーパ部110bを形成するよう、照射されるレーザ光のエネルギ密度を調整してノズル110を形成する装置が開示されている。
特開2002−67333号公報
しかしながら、上記のようなノズルの形成方法においては、大きなテーパ角を得るために照射エネルギ密度を小さくすることにより、アブレーションレート( 一回のパルス光照射で除去される被加工物の深さ) が低下する。このため、同じ深さのテーパ穴を加工する場合でも、大きなテーパ角を得るためには、レーザ光の照射回数を増やす必要があり、これによって、テーパ穴を形成するのに必要な加工時間が長くなるという問題が生じる。また、レーザ光源102の寿命はレーザ光を出射した回数により決まるため、被加工物へのレーザ光の照射回数を増やすと、レーザ光源102の寿命が短くなり、これによって、レーザ光源101の交換頻度が増加するという問題も生じる。さらに、大きなテーパ角を得るために照射エネルギ密度を小さくすると、作製されたノズル110の先端部110cにおける内径のばらつきが大きくなるという問題が生じる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、短い加工時間で精度良くインクジェットヘッドのノズル用テーパ穴を形成することができるテーパ穴形成装置を提供することを目的とする。また本発明は、当該テーパ穴形成装置で用いられる振幅変調マスクまたは位相変調マスクを提供することを目的とする。
第1の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、振幅変調マスクまたは位相変調マスクからなり、被加工物に照射される光の光強度は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光の中央部と、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光の傾斜部と、被加工物においてテーパ穴が形成されない領域に照射される光の周縁部とで異なり、前記光の中央部の光強度は、前記光の傾斜部の光強度よりも大きく、前記光の傾斜部の光強度は、前記光の周縁部の光強度よりも大きく、前記光の傾斜部における光強度の分布は、光の傾斜部のうち前記光の中央部に隣接する領域から前記光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第2の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、振幅変調マスクまたは位相変調マスクからなり、被加工物に照射される光の光強度は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光の中央部と、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光の傾斜部と、被加工物においてテーパ穴が形成されない領域に照射される光の周縁部とで異なり、前記光の中央部の光強度は、前記光の傾斜部の光強度よりも大きく、前記光の傾斜部の光強度は、前記光の周縁部の光強度よりも大きく、光強度の分布は、前記光の中央部と前記光の傾斜部との間の境界において、光の中央部から降下する段部を含むとともに、光の傾斜部において、光の中央部に隣接する領域から前記光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第2の本発明において、光の傾斜部における光強度の分布は、光の中央部に隣接する領域から前記光の周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布しているとともに、光の傾斜部における光強度の分布の減少率は、光の中央部に隣接する領域から光の周縁部に隣接する領域に向かうにつれて小さくなっていてもよい。
第1および第2の本発明において、好ましくは、前記変調マスクは、複数の変調単位領域からなり、前記変調マスクにより変調され出射された光は、前記変調単位領域に基づく光強度分布を有し、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義される。
第2の本発明において、好ましくは、前記変調マスクは、複数の変調単位領域からなり、前記変調マスクにより変調され出射された光は、前記変調単位領域に基づく光強度分布を有し、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、光強度の分布は、前記光の中央部と前記光の傾斜部との間の境界において、光の中央部から光の傾斜部に向って一定の幅をもって降下する段部を含み、当該段部の幅は、2×Rよりも小さい。
第3の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を振幅変調して出射する平板状の振幅変調マスクと、前記振幅変調マスクの出射側に設けられ、振幅変調マスクにより振幅変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、前記振幅変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、前記振幅変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、前記振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域と、からなり、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部における第1振幅変調単位領域の占有率をCa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1振幅変調単位領域の占有率をTa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係を満たし、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部におけるTaの分布は、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かってTaが減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第4の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を振幅変調して出射する平板状の振幅変調マスクと、前記振幅変調マスクの出射側に設けられ、振幅変調マスクにより振幅変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、前記振幅変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、前記振幅変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、前記振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域と、からなり、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部における第1振幅変調単位領域の占有率をCa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1振幅変調単位領域の占有率をTa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係を満たし、第1振幅変調単位領域の占有率の分布は、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含むとともに、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第4の本発明において、好ましくは、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部のうち、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部に隣接する領域における第1振幅変調単位領域の占有率をCa10とし、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域における第1振幅変調単位領域の占有率をTa10とするとき、
(Ca10−(Ta10≧0.05×(Ca10
の関係が満たされている。
第3および第4の本発明において、前記第1振幅変調単位領域の第1の光透過率は1であり、前記第2振幅変調単位領域の第2の光透過率は0であってもよい。
第3および第4の本発明において、前記第1振幅変調単位領域は、光透過性基板からなり、前記第2振幅変調単位領域は、光透過性基板に金属もしくは金属酸化物もしくは金属と金属酸化物の積層体からなる光遮蔽膜をパターンニングした積層体からなっていてもよい。
第5の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を位相変調して出射する平板状の位相変調マスクと、前記位相変調マスクの出射側に設けられ、位相変調マスクにより位相変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、前記位相変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部と、各位相変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、前記位相変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、前記位相変調マスクの前記変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域と、からなり、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部における第1位相変調単位領域の占有率をCp、第2位相変調単位領域の占有率をCpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1位相変調単位領域の占有率をTp、第2位相変調単位領域の占有率をTpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域の占有率をFp、第2位相変調単位領域の占有率をFpとするとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係を満たし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部におけるTpおよびTpの分布は、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって{(Tp−Tp)の絶対値}が減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第6の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を位相変調して出射する平板状の位相変調マスクと、前記位相変調マスクの出射側に設けられ、位相変調マスクにより位相変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、前記位相変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部と、各位相変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、前記位相変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、前記位相変調マスクの前記変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域と、からなり、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部における第1位相変調単位領域の占有率をCp、第2位相変調単位領域の占有率をCpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1位相変調単位領域の占有率をTp、第2位相変調単位領域の占有率をTpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域の占有率をFp、第2位相変調単位領域の占有率をFpとするとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係を満たし、{(第1位相変調単位領域の占有率−第2位相変調単位領域の占有率)の絶対値}の分布は、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部と前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含むとともに、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第6の本発明において、好ましくは、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部のうち、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部に隣接する領域における第1位相変調単位領域の占有率をCp10、第2位相変調単位領域の占有率をCp20とし、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域における第1位相変調単位領域の占有率をTp10、第2位相変調単位領域の占有率をTp20とするとき、
(Cp10−Cp20−(Tp10−Tp20≧0.05×(Cp10−Cp20
の関係が満たされている。
第5および第6の本発明において、前記第1位相変調単位領域の第1の位相変調量と、前記第2位相変調単位領域の第2の位相変調量とが180度異なっていてもよい。
第6の本発明において、前記第1位相変調単位領域の第1の位相変調量と、前記第2位相変調単位領域の第2の位相変調量とが180度の奇数倍だけ異なっていてもよい。
第7の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置であって、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を振幅変調して出射する平板状の振幅変調マスクと、前記振幅変調マスクの出射側に設けられ、振幅変調マスクにより振幅変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備えたテーパ穴形成装置に組み込まれた振幅変調マスクにおいて、前記振幅変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、前記振幅変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、前記振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域と、からなり、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部における第1振幅変調単位領域の占有率をCa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1振幅変調単位領域の占有率をTa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係を満たし、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部におけるTaの分布は、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かってTaが減少するよう分布していることを特徴とする振幅変調マスクである。
第8の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置であって、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を振幅変調して出射する平板状の振幅変調マスクと、前記振幅変調マスクの出射側に設けられ、振幅変調マスクにより振幅変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備えたテーパ穴形成装置に組み込まれた振幅変調マスクにおいて、前記振幅変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、
前記振幅変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、前記振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域と、からなり、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部における第1振幅変調単位領域の占有率をCa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1振幅変調単位領域の占有率をTa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係を満たし、第1振幅変調単位領域の占有率の分布は、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含むとともに、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布していることを特徴とする振幅変調マスクである。
第8の本発明において、好ましくは、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部のうち、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部に隣接する領域における第1振幅変調単位領域の占有率をCa10とし、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域における第1振幅変調単位領域の占有率をTa10とするとき、
(Ca10−(Ta10≧0.05×(Ca10
の関係が満たされている。
第7および第8の本発明において、前記第1振幅変調単位領域の第1の光透過率が1であり、前記第2振幅変調単位領域の第2の光透過率が0であってもよい。
第7および第8の本発明において、前記第1振幅変調単位領域は、光透過性基板からなり、前記第2振幅変調単位領域は、光透過性基板に金属もしくは金属酸化物もしくは金属と金属酸化物の積層体からなる光遮蔽膜をパターンニングした積層体からなっていてもよい。
第9の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置であって、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を位相変調して出射する平板状の位相変調マスクと、前記位相変調マスクの出射側に設けられ、位相変調マスクにより位相変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備えたテーパ穴形成装置に組み込まれた位相変調マスクにおいて、前記位相変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部と、各位相変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、前記位相変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、前記位相変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域と、からなり、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部における第1位相変調単位領域の占有率をCp、第2位相変調単位領域の占有率をCpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1位相変調単位領域の占有率をTp、第2位相変調単位領域の占有率をTpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域の占有率をFp、第2位相変調単位領域の占有率をFpとするとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係を満たし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部におけるTpおよびTpの分布は、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって{(Tp−Tp)の絶対値}が減少するよう分布していることを特徴とする位相変調マスクである。
第10の本発明は、光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置であって、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を位相変調して出射する平板状の位相変調マスクと、前記位相変調マスクの出射側に設けられ、位相変調マスクにより位相変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備えたテーパ穴形成装置に組み込まれた位相変調マスクにおいて、前記位相変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部と、各位相変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、前記位相変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、前記位相変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域と、からなり、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部における第1位相変調単位領域の占有率をCp、第2位相変調単位領域の占有率をCpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1位相変調単位領域の占有率をTp、第2位相変調単位領域の占有率をTpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域の占有率をFp、第2位相変調単位領域の占有率をFpとするとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係を満たし、{(第1位相変調単位領域の占有率−第2位相変調単位領域の占有率)の絶対値}の分布は、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部と前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含むとともに、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布していることを特徴とする位相変調マスクである。
第10の本発明において、好ましくは、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部のうち、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部に隣接する領域における第1位相変調単位領域の占有率をCp10、第2位相変調単位領域の占有率をCp20とし、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域における第1位相変調単位領域の占有率をTp10、第2位相変調単位領域の占有率をTp20とするとき、
(Cp10−Cp20−(Tp10−Tp20≧0.05×(Cp10−Cp20
の関係が満たされている。
第9および第10の本発明において、前記第1位相変調単位領域の第1の位相変調量と、前記第2位相変調単位領域の第2の位相変調量とが180度異なっていてもよい。
第10の本発明において、前記第1位相変調単位領域の第1の位相変調量と、前記第2位相変調単位領域の第2の位相変調量とが180度の奇数倍だけ異なっていてもよい。
第1の本発明によれば、被加工物に照射される光の光強度は、被加工物においてテーパ穴の貫通部が形成される領域に照射される光の中央部と、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光の傾斜部と、被加工物においてテーパ穴が形成されない領域に照射される光の周縁部とで異なり、光の中央部の光強度は、光の傾斜部の光強度よりも大きく、光の傾斜部の光強度は、光の周縁部の光強度よりも大きく、光の傾斜部における光強度の分布は、光の傾斜部のうち光の中央部に隣接する領域から光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布している。このため、テーパ穴の貫通部が形成される領域には高いエネルギを有する光が照射され、テーパ穴のテーパ部が形成される領域にはそれよりも低いエネルギを有する光が照射される。このことにより、短い加工時間で精度良くテーパ穴を形成することが可能となる。
第2の本発明によれば、変調マスクにより変調されて被加工物に照射される光の光強度は、被加工物においてテーパ穴の貫通部が形成される領域に照射される光の中央部と、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光の傾斜部と、被加工物においてテーパ穴が形成されない領域に照射される光の周縁部とで異なり、光の中央部の光強度は、光の傾斜部の光強度よりも大きく、光の傾斜部の光強度は、光の周縁部の光強度よりも大きく、光の傾斜部の光強度は、光の周縁部の光強度よりも大きく、光強度の分布は、光の中央部と光の傾斜部との間の境界において、光の中央部から降下する段部を含むとともに、光の傾斜部において、光の中央部に隣接する領域から光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布している。このため、テーパ穴の貫通部が形成される領域には高いエネルギを有する光が照射され、テーパ穴のテーパ部が形成される領域にはそれよりも不連続的に低いエネルギを有する光が照射される。このことにより、1つの変調マスクにより、被加工物に、光の照射方向に平行に延びるストレート部と、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部となめらかにつなげられたテーパ部とを有するテーパ穴を短い加工時間で精度良く形成することができる。
第3および第7の本発明によれば、振幅変調マスクの振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、振幅変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さい。また、振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域とからなる。このため、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率を各々所定の値に設定することにより、振幅変調マスクから出射される光の強度分布を、被加工物のうちテーパ穴の貫通部が形成される領域には高いエネルギを有する光が照射され、テーパ穴のテーパ部が形成される領域にはそれよりも低いエネルギを有する光が照射されるように調整することができる。このことにより、短い加工時間で精度良くテーパ穴を形成することが可能となる。
第4および第8の本発明によれば、振幅変調マスクの振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、振幅変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さい。また、振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域とからなる。また、第1振幅変調単位領域の占有率の分布は、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含んでいる。このため、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率を各々所定の値に設定することにより、テーパ穴の貫通部が形成される領域には高いエネルギを有する光が照射され、テーパ穴のテーパ部が形成される領域にはそれよりも不連続的に低いエネルギを有する光が照射されるように調整することができる。このことにより、1つの振幅変調マスクにより、被加工物に、光の照射方向に平行に延びるストレート部と、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部となめらかにつなげられたテーパ部とを有するテーパ穴を短い加工時間で精度良く形成することができる。
第5および第9の本発明によれば、位相変調マスクの位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、位相変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さい。また、位相変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域とからなる。このため、位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域および第2位相変調単位領域の占有率を各々所定の値に設定することにより、位相変調マスクから出射される光の強度分布を、被加工物のうちテーパ穴の貫通部が形成される領域には高いエネルギを有する光が照射され、テーパ穴のテーパ部が形成される領域にはそれよりも低いエネルギを有する光が照射されるように調整することができる。このことにより、短い加工時間で精度良くテーパ穴を形成することが可能となる。
第6および第10の本発明によれば、位相変調マスクの位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、位相変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さい。また、位相変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域とからなる。また、{(第1位相変調単位領域の占有率−第2位相変調単位領域の占有率)の絶対値}の分布は、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含んでいる。このため、位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域および第2位相変調単位領域の占有率を各々所定の値に設定することにより、位相変調マスクから出射される光の強度分布を、被加工物のうちテーパ穴の貫通部が形成される領域には高いエネルギを有する光が照射され、テーパ穴のテーパ部が形成される領域にはそれよりも不連続的に低いエネルギを有する光が照射されるように調整することができる。このことにより、1つの振幅変調マスクにより、被加工物に、光の照射方向に平行に延びるストレート部と、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部となめらかにつなげられたテーパ部とを有するテーパ穴を短い加工時間で精度良く形成することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるテーパ穴形成装置を示す図。 図2は、本発明の第1の実施の形態において、振幅変調マスクの出射側を示す図。 図3は、図2に示す振幅変調マスクのうち太枠で囲んだ領域を拡大して示す図。 図4は、本発明の第1の実施の形態における振幅変調マスクの側面を示す図。 図5(a)は、本発明の第1の実施の形態において、結像光学系から出射された光の被加工物に対する結像面を示す図、図5(b)は、結像面における点像分布関数を示す図、図5(c)は、結像面における点像分布関数と振幅変調マスクにおける振幅変調単位領域との関係を示す図、図5(d)は、結像面の点像分布関数内における光強度の概念を示す図。 図6(a)は、本発明の第1の実施の形態において、結像光学系における瞳関数を示す図、図6(b)は、結像面における点像分布関数を示す図。 図7は、本発明の第1の実施の形態において、振幅変調マスクの設計フローチャートを示す図。 図8(a)は、本発明の第1の実施の形態において、被加工物に形成されるテーパ穴を示す側面図、図8(b)は、被加工物に形成されるテーパ穴を示す平面図。 図9は、本発明の第2の実施の形態における位相変調マスクの出射側を示す図。 図10は、図9に示す位相変調マスクのうち太枠で囲んだ領域を拡大して示す図。 図11は、本発明の第2の実施の形態における位相変調マスクの側面を示す図。 図12は、本発明の第2の実施の形態において、位相変調マスクの設計フローチャートを示す図。 図13(a)は、実施例1において、被加工物に形成されるテーパ穴の形状を示す図、図13(b)は、被加工物に照射されるレーザ光の強度分布Iを示す図、図13(c)は、被加工物に形成されたテーパ穴を示す平面図。 図14は、実施例1における振幅変調マスクを示す図。 図15(a)は、従来のテーパ穴形成装置を用いた場合において、被加工物に形成されるテーパ穴を示す図、図15(b)は、被加工物に照射されるレーザ光の強度分布Iを示す図、図15(c)は、被加工物に形成されたテーパ穴を示す平面図。 図16は、実施例2における位相変調マスクを示す図。 図17は、従来のテーパ穴形成装置を示す図。 図18は、テーパ角度と照射エネルギの関係を示す図。 図19は、本発明の第3の実施の形態において、被加工物に形成されるテーパ穴を示す側面図。 図20は、本発明の第3の実施の形態において、振幅変調マスクの出射側を示す図。 図21は、本発明の第3の実施の形態において、振幅変調マスクにおける第1振幅変調単位領域の占有率の分布を示す図。 図22(a)は、本発明の第3の実施の形態において、被加工物に形成されるテーパ穴を示す側面図、図22(b)は、被加工物に照射されるレーザ光の強度分布Iを示す図。 図23は、比較例としてのテーパ穴形成方法を示す図。 図24(a)は、本発明の第3の実施の形態の変形例において、被加工物に形成されるテーパ穴を示す側面図、図24(b)は、被加工物に照射されるレーザ光の強度分布Iを示す図、図24(c)は、被加工物に照射されるレーザ光の強度の減少率を示す図。 図25は、本発明の第3の実施の形態のその他の変形例において、振幅変調マスクにおける第1振幅変調単位領域の占有率の分布を示す図。 図26(a)は、本発明の第3の実施の形態のその他の変形例において、被加工物に形成されるテーパ穴を示す側面図、図26(b)は、被加工物に照射されるレーザ光の強度分布Iを示す図。 図27は、本発明の第4の実施の形態において、位相変調マスクの出射側を示す図。 図28は、本発明の第4の実施の形態において、位相変調マスクにおける第1および第2位相変調単位領域の占有率の分布を示す図。 図29は、実施例3における振幅変調マスクを示す図。 図30は、実施例4における位相変調マスクを示す図。
第1の実施の形態
以下、図1乃至図8を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。
(テーパ穴形成装置)
はじめに、図1を参照して、テーパ穴形成装置10全体について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態におけるテーパ穴形成装置10を示す図である。図1に示すように、テーパ穴形成装置10は、被加工物18を載置する加工台19と、光を出射する光源11と、光源11の出射側に設けられ、光源11からの光を振幅変調して出射する振幅変調マスク14と、振幅変調マスク14の出射側に設けられ、振幅変調マスク14により振幅変調された光を結像して被加工物18に照射し、被加工物18に貫通部20aとテーパ部20bとを有する少なくとも1つの後述するテーパ穴20を形成する結像光学系17と、を備えている。
このうち光源11は、パルス状のレーザ光を出射するレーザ光源12と、レーザ光源12からのレーザ光の光強度分布を均一化する照明光学系13とを有している。具体的には、レーザ光源12は、アブレーションにより被加工物18を加工するための308nmの波長を有する光を供給するXeClエキシマレーザ光源12からなる。また照明光学系13は、レーザ光源12からの光の面内強度分布を均一化するとともに、照明光学系13から振幅変調マスク14に入射される光の入射角度分布を均一化するものであり、フライアイレンズ(図示せず)と、コンデンサ光学系(図示せず)とを有している。
振幅変調マスク14は、前述のとおり、光源11の出射側に設けられ、光源11からの光を変調して出射するものである。詳細については後述する。
振幅変調マスク14において振幅変調されたレーザ光は、振幅変調マスク14の出射側に設けられた結像光学系17に入射される。結像光学系17は、振幅変調マスク14により振幅変調された光を結像して被加工物18に照射するものであり、図1に示すように、凸レンズ17aと、凸レンズ17bと、両レンズ17a、17bの間に設けられた開口絞り17cとを有している。なお開口絞り17cの開口部17kの大きさは、実質的に結像光学系17の像側開口数NAに対応している。後述するように、当該開口部17kの大きさは被加工物18において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。
結像光学系17により結像されたレーザ光は、被加工物18に照射される。この被加工物18は、308nmの波長を有するレーザ光によるアブレーションが発生しやすい物質から形成されており、例えばポリイミドなどの高分子材料から形成されている。なお被加工物18は、振幅変調マスク14と光学的に共役な面、すなわち結像光学系17の後述する結像面17f上に配置されている。
(振幅変調マスク)
次に、図2乃至図4を参照して、本実施の形態における振幅変調マスク14について説明する。図2は、振幅変調マスク14の出射側から見た場合の振幅変調マスク14を示す図である。なお本実施の形態において、振幅変調マスク14は、平板状の形状を有し、その平面部とレーザ光の入射および出射方向とが直交するよう配置されている。また図3は、図2に示す振幅変調マスク14のうち太枠で囲んだ領域を拡大して示す図であり、図4は、平板状の形状を有する振幅変調マスク14の側面を示す図である。
はじめに、図2を参照して、振幅変調マスク14の出射側から見た場合の振幅変調マスク14の構造について説明する。図2に示すように、振幅変調マスク14は、テーパ穴20の貫通部20aに照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aの周縁に位置し、テーパ穴20のテーパ部20bに照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bと、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bの周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cとからなる。また、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cはそれぞれ、複数の振幅変調単位領域14eからなる。なお、振幅変調マスク14には、被加工物18に形成されるテーパ穴20の数に対応する数の振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aおよび振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bがそれぞれ設けられるが、本実施例においては、振幅変調マスク14に振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aおよび振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bがそれぞれ1つ設けられている場合について説明する。
次に、振幅変調単位領域14eについて詳述する。振幅変調マスク14のうち、例えば振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bは、図3に示すように、振幅変調単位領域14e〜14eを有している。またこれらの振幅変調単位領域14e〜14eを結像光学系17の後述する結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域が結像光学系17の後述する点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう、振幅変調マスク14が設計されている。
また図3に示すように、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bの各振幅変調単位領域14e〜14eはそれぞれ、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域15a〜15aと、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域15b〜15bとからなる。ここで図3から明らかなように、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bの各振幅変調単位領域14e〜14eにおいて、第1振幅変調単位領域15a〜15aの占有率(各振幅変調単位領域14e〜14eにおける第1振幅変調単位領域15a〜15aの面積率)はそれぞれ異なっている。例えば振幅変調単位領域14eにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率は0.80であり、振幅変調単位領域14eにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率は0.10である。
なお、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bの各振幅変調単位領域14e〜14eについて図3を参照して説明したが、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cにおいても同様に、各々の振幅変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域が結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう、振幅変調マスク14が設計されている。また、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cにおける各振幅変調単位領域はそれぞれ、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域15aと、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域15bと、からなる。
次に、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率について説明する。本実施の形態において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をCa、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をTa、振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係が満たされるよう振幅変調マスク14が設計されている。さらに、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおけるTaの分布は、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bのうち振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aに隣接する領域から振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cに隣接する領域に向かってTaが減少するよう分布している。
次に、図4を参照して振幅変調マスク14の側面部の構造について説明する。図4に示すように、第2振幅変調単位領域15b〜15bは、光透過性基板、例えば石英ガラス16aからなる振幅変調マスク14の本体の主表面上に、金属からなる光遮蔽膜16bを部分的にパターニングにより積層させることにより形成されている。また、石英ガラス16aの光透過率は約1であり、光遮蔽膜16bの光透過率は約0である。このため、光遮蔽膜16bが積層されていない領域、すなわち第1振幅変調単位領域15aにおける第1の光透過率は約1となる。また、光遮蔽膜16bが積層されている領域、すなわち第2振幅変調単位領域15bにおける第2の光透過率は約0となる。なお本実施の形態において、光遮蔽膜16bは、金属酸化物もしくは金属と金属酸化物の積層体から形成されていてもよい。
(レーザ光による加工の原理)
次に、図5および図6を参照して、レーザ光を用いて被加工物18に先細状テーパ穴20を形成する原理について説明する。ここで図5(a)は、結像光学系17から出射された光の被加工物18に対する結像面3fを示す図であり、図5(b)は、結像面17fにおける点像分布関数を示す図である。図5(c)は、結像面17fにおける点像分布関数と振幅変調マスク14における振幅変調単位領域14eとの関係を示す図であり、図5(d)は、結像面17fの点像分布関数内における光強度の概念を示す図である。図6(a)は、結像光学系17における瞳関数を示す図であり、図6(b)は、結像面17fにおける点像分布関数を示す図である。
はじめに、レーザ光の強度とアブレーション深さとの関係について説明する。被加工物18に照射されるレーザ光の強度と、被加工物18のうちアブレーションにより除去される部分の深さ(アブレーションレート)との間には、一般に〔数1〕の関係式が成り立つことが知られている。
Figure 0005440913
ここで、dはパルス状のレーザ光を被加工物18に一回照射したときのアブレーションレート、αは被加工物の光吸収率、Iはレーザ光のエネルギ密度、Ithは被加工物18におけるアブレーション発生閾値を示す。
〔数1〕により明らかなように、アブレーションレートdはレーザ光のエネルギ密度Iに依存する。また、レーザ光照射を複数回繰り返した場合、被加工物18のうちレーザ光照射によって除去される部分の深さの合計は、レーザ光の照射回数に比例することが知られている。従って、被加工物18に照射されるレーザ光のエネルギ密度Iを被加工物18の場所に応じて任意に設定することにより、被加工物18を任意の形状に加工することが可能となる。
なお、レーザ光のエネルギ密度Iが所定の値、例えばIupperを超えると、アブレーションにより被加工物18の一部が除去された際に発生する飛散物によって、被加工物18に照射されるレーザ光が吸収・散乱されるという現象が発生する。この場合、被加工物18に照射されるレーザ光のエネルギが、被加工物18のアブレーションと飛散物によるレーザ光の吸収・散乱とに使用されることになり、このため、レーザ光のエネルギ密度Iを大きくしても、アブレーションレートdがある値で飽和するようになる。すなわち、〔数1〕の関係式が成立しなくなる。従って、本実施の形態において、レーザ光のエネルギ密度IはIupperを超えないよう設定される。
次に、結像光学系17における物体面(振幅変調マスク14)と結像面17f(被加工物18)との関係について説明する。
結像光学系17における物体面分布と結像面分布の関係は、一般にフーリエ結像論により扱うことができる。また、コヒーレンスファクタが0.5程度以下の場合は、コヒーレント結像として近似できる。この場合、結像面、すなわち被加工物18における複素振幅分布U(x,y)は、以下の〔数2〕に示すように、振幅変調マスク14の複素振幅透過率分布T(x,y)と、結像光学系17の複素振幅点像分布関数ASF(x,y)の畳み込み積分で与えられる
Figure 0005440913
ここで、*はコンボリューション(たたみ込み積分)を表す。
上記の点像分布関数ASF(x,y)は、結像光学系17の瞳関数のフーリエ変換で与えられる。この場合、瞳が円形で無収差の場合は、良く知られたエアリーパターンとなる(〔数3〕)。
Figure 0005440913
ここで、rは以下の〔数4〕により表される関数である。また、Jはベッセル関数、λは光の波長、NAは結像光学系17の結像側開口数を表す。
Figure 0005440913
次に、結像光学系17の点像分布関数ASF(x,y)について説明する。図5(a)は、結像光学系17から出射されたレーザ光の被加工物18に対する結像面17fを示す図であり、図5(b)は、結像光学系17の点像分布関数ASF(x,y)を示す。なお図5(b)において、横軸は、結像面17fにおける位置に相当する。また図5(b)において破線で示されている直径2Rの円筒形17eは、結像光学系17の点像分布関数ASF(x,y)を円筒形で近似したものである。ここで、直径2Rの円筒形17eの内側にある領域を、点像分布範囲17lと呼ぶことにする。図5(c)は、振幅変調マスク14上の振幅変調単位領域14eと点像分布範囲17lの関係を示している。
結像面17f、すなわち被加工物18の複素振幅分布U(x,y)は、前述のとおり、振幅変調マスク14の複素振幅透過率分布T(x,y)と、結像光学系17の点像分布関数ASF(x,y)との畳み込み積分により与えられる。ここで、前述のように点像分布関数ASF(x,y)を円筒形17eで近似して考えると、図5(c)に示す円形の点像分布範囲17lにおいて振幅変調マスク14の複素振幅透過率を均一重みで積分した結果が、被加工物18における複素振幅になる。そして、被加工物18における複素振幅の絶対値の二乗が、被加工物18に照射されるレーザ光の強度となる。
点像分布範囲17lでの振幅変調マスク14の複素振幅透過率の積分は、図5(d)に示すように、単位円17g内における複素振幅透過率をあらわす複数のベクトル17hの和として考えることができる。これらの複数のベクトル17hの和の絶対値を二乗することにより、対応する被加工物18上の位置における光照射強度が算出される。
図6(a)(b)に、結像光学系17における瞳関数と点像分布関数ASF(x,y)との関係を示す。一般に、図5(b)に示す点像分布関数ASF(x,y)は、図6(a)に示す瞳関数のフーリエ変換により与えられる。また、結像光学系17が均一円形瞳を有し、かつ収差がない場合は、上述のように、点像分布関数ASF(x,y)は〔数3〕により表される。しかしながら、結像光学系17に収差が存在する場合や、結像光学系17が均一円形瞳以外の瞳関数を有する場合はこの限りではない。
結像光学系17における瞳関数が均一円形瞳であり、かつ結像光学系17に収差がない場合、点像分布関数ASF(x,y)が最初に0となるまでの中央領域(すなわちエアリーディスク)の半径Rは、以下の〔数5〕により与えられる。
Figure 0005440913
ここで前述の点像分布範囲17lは、図5(b)または図6(b)に示すように、点像分布関数ASF(x,y)が最初に0となるまでの円形状の中央領域、即ちエアリーディスク内側を意味することになる。なお本実施の形態において、例えばレーザ光の波長λ=308nm、結像光学系17の結像側の開口数NA=0.15とすると、R=1.25μmとなる。
図5(a)〜(d)から明らかなように、結像光学系17の点像分布範囲17lに光学的に対応する円の中に複数の振幅変調単位領域14eが含まれている場合、すなわち図5(d)に示す単位円17gの中に複数のベクトル17hが存在する場合、複数のベクトル17hの和により光の振幅が表される。従って、各振幅変調単位領域14eにおける複素振幅透過率を調整することにより、光の強度分布を解析的にかつ簡単な計算に従って制御することが可能となる。
上述の説明から明らかなように、光の強度分布を自由に制御するためには、図5(c)に示すように、前述の振幅変調マスク14の振幅変調単位領域14eが、結像光学系17の点像分布範囲17lの半径Rよりも光学的に小さいことが好ましい。すなわち、振幅変調マスク14の振幅変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域が、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さいことが好ましい。
ここで、例えば結像光学系17の振幅変調マスク14側の面と結像面17fとの倍率が1/5である場合、振幅変調単位領域14eを前述の結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域が、結像光学系17の点像分布範囲の半径R=1.25μmよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう、振幅変調マスク14が設計される。本実施の形態においては、振幅変調マスク14の振幅変調単位領域14eが5μm×5μmの正方形からなるよう、振幅変調マスク14が設計されている。この場合、5μm×5μmの正方形からなる振幅変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域は、(5μm×5μm)×1/5、すなわち1μm×1μmの正方形からなり、結像光学系17の点像分布範囲の半径R=1.25μmよりも小さい。
次に、振幅変調マスク14とレーザ光の強度Iとの関係について説明する。点像分布関数ASF(x,y)を、エアリーディスク内側で定数値1、その外側で0となる関数で近似すると、〔数2〕はエアリーディスク内側での積分に近似される(〔数6〕)。
Figure 0005440913
〔数6〕中、Cは定数であり、積分は点(x,y)を中心とする半径Rの内側の積分を示している。
ここで、振幅変調単位領域14eの作用を再度考える。この振幅変調単位領域14eは、同じ形状・大きさの領域が敷き詰められていてもよいし、また場所毎に変化してもよい。ここで、エアリーディスクの範囲内にある複数の振幅変調単位領域14eの間で複素振幅透過率が大きく変化しない場合、〔数6〕の積分範囲を、エアリーディスク内側から、(x,y)を含む振幅変調単位領域14eの内側に置き換えることができる。
次に、図5、図6を参照しながら、光強度分布の導出方法について説明する。振幅変調マスク14は、透過率1の第1振幅変調単位領域15aと、金属膜等の光遮蔽膜16bがパターニングされた構造を持つ透過率0の第2振幅変調単位領域15bからなる。従って、振幅変調マスク14における複素振幅透過率分布T(x,y)は、点(x,y)が第1振幅変調単位領域15a内にある場合はT(x,y)=1、点(x,y)が第2振幅変調単位領域15b内にある場合はT(x,y)=0となる。従って、〔数6〕の積分範囲を(x,y)を含む振幅変調単位領域14eの内側に置き換えて計算を行うことにより、以下の〔数7〕が得られる。
Figure 0005440913
ここで、D(a)は、振幅変調マスク14のうち第i番目の振幅変調単位領域14eにおける開口率(振幅変調単位領域14eに対する第1振幅変調単位領域15aの面積比)、Uは結像面17fのうちこの第i番目の領域に対応する位置における複素振幅透過率である。
結像面17f、すなわち被加工物18に照射されるレーザ光の強度Iは複素振幅透過率Uの絶対値の二乗で与えられることから、以下の〔数8〕、〔数9〕が導かれる。
Figure 0005440913
Figure 0005440913
ここでレーザ光の強度Iについては、被加工物18に形成するテーパ穴の大きさ、テーパ角度などに応じて、〔数1〕に基づき、被加工物18に照射されるレーザ光強度分布Iを設定することができる。さらに、所望のレーザ光強度分布Iが得られるよう、〔数9〕に従い、振幅変調マスク14の各振幅変調単位領域14eにおける開口率を設定することができる。従って、所定の振幅変調マスク14を準備することにより、所望の大きさ、テーパ角度などを有するテーパ穴を被加工物18に形成することが可能となる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
(振幅変調マスクの設計手順)
はじめに、図7を参照して、振幅変調マスク14の設計手順について説明する。図7は、振幅変調マスク14を設計するためのフローチャートを示す図である。
(イ)予め振幅変調マスク14を、振幅変調単位領域14eを単位として区分けしておく。上述のとおり、この振幅変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さい領域である。
(ロ)はじめに、被加工物18に形成するテーパ穴20の形状を入力する(S101)。例えば、被加工物18のうちレーザ光が入射される側の面における位置を(x,y)座標で表す場合の、位置(x,y)における加工深さS(x,y)を入力する。
(ハ)次に、レーザ光の照射回数mを入力する(S102)。
(ニ)次に、加工深さS(x,y)とレーザ光の照射回数mとに基づき、アブソレーションレートd(x,y)が算出される(S103)。
(ホ)その後、アブソレーションレートd(x,y)と〔数1〕とに基づき、所望形状を有するテーパ穴20を形成するために被加工物18に照射されるレーザ光の強度分布I(x,y)が算出される(S104)。
(ヘ)次に、レーザ光の強度分布I(x,y)と〔数9〕とに基づき、振幅変調マスク14の開口率D(a)が算出される(S105)。開口率D(a)は、振幅変調単位領域14eを単位として区分けされた領域ごとに算出される。
(ト)最後に、開口率D(a)に基づいて、振幅変調マスク14のパターンが決定される(S106)。例えば、振幅変調単位領域14eが一辺1μmの正方形からなり、ある振幅変調単位領域14eにおける開口率D(a)が0.43と算出されている場合、当該振幅変調単位領域14e内には一辺0.75μm(=(1−0.43)1/2×1.0μm)の正方形からなる第2振幅変調単位領域15bがパターンニングされる。
なおレーザ光を照射することにより被加工物18に図8に示すテーパ穴20を形成する場合、パルス状のレーザ光を照射するたびにアブレーションにより被加工物18の一部が除去される。このため、レーザ光が多数回照射された後、被加工面18が結像光学系17の焦点面から離れるという現象が発生し(デフォーカス)、これによって、被加工物18に照射されるレーザ光の強度分布が変化する。また、アブレーションの際に生じる飛散物の影響によっても、被加工物18に照射されるレーザ光の強度が低下する。このため、レーザ光を照射することにより被加工物18にテーパ穴20を実際に形成した場合、形成されたテーパ穴20のテーパ角度φは、前述のS101において入力したテーパ穴20の形状に対応するテーパ角度φ(図13参照)よりも大きくなる傾向がある。すなわち、背景技術の説明において既に述べたように、テーパ穴20を形成する部分に照射するレーザ光の強度が一定の場合でも、図18に示す関係に基づいて一定のテーパ角度φが形成される。このため、振幅変調マスク14の設計は、テーパ穴20の所望のテーパ角度φに基づいて行われるのではなく、実施例にて後述するように、図18に示す関係に基づいて形成される一定のテーパ角度φを考慮したテーパ角度φ(=φ−φ)に基づいて行われる。
(テーパ穴の形成方法)
次に、本実施の形態におけるテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にテーパ穴20を形成する方法について、図8を参照して説明する。図8(a)は、被加工物18に形成されるテーパ穴20を示す側面図であり、図8(b)は、被加工物18に形成されるテーパ穴20を示す平面図である。
まず、加工台19上に被加工物18を予め載置しておく。次に、光源11から、面内強度分布が均一化されたレーザ光を出射させる。その後、光源11から出射された光を前述の振幅変調マスク14に入射させる。振幅変調マスク14に入射されたレーザ光は、前述の手順により決定された振幅変調マスク14のパターンに応じて変調される。
振幅変調マスク14から出射されたレーザ光は、結合光学系17に入射される。前述のとおり、振幅変調マスク14の変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう設計されている。このため、結像光学系17から出射され被加工物18上に結像されるレーザ光の光強度分布は、振幅変調マスク14の各変調単位領域14eにおける開口率に対応する強度分布を有している。
図8は、レーザ光により被加工物18に形成されるテーパ穴20を示す図である。結像光学系17により結像され、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度は、前述のとおり、振幅変調マスク14の各変調単位領域14eにおける開口率に対応する強度分布を有している。例えば、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域18aに照射される光の中央部と、被加工物18においてテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域18bに照射される光の傾斜部と、被加工物18においてテーパ穴20が形成されない領域18cに照射される光の周縁部とで異なっている。このうち光の中央部の光強度は、光の傾斜部の光強度よりも大きく、光の傾斜部の光強度は、光の周縁部の光強度よりも大きい。また、当該光の傾斜部における光強度の分布は、光の傾斜部のうち前記光の中央部に隣接する領域から前記光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布している。
レーザ光が被加工物18に照射されると、被加工物18がアブレーションにより加工され、所望の形状を有するテーパ穴20が形成される。なおこの際、被加工物18の加工が全てアブレーションにより行われることが好ましいが、被加工物18の加工が部分的にレーザ光照射により生じた熱により行われても構わない。
このように、本実施の形態によれば、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域18aに照射される光の中央部と、被加工物18においてテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域に照射される光の傾斜部と、被加工物18においてテーパ穴20が形成されない領域18cに照射される光の周縁部とで異なる。このうち光の中央部の光強度は、光の傾斜部の光強度よりも大きく、また光の傾斜部の光強度は、光の周縁部の光強度よりも大きい。そして光の傾斜部における光強度の分布は、光の傾斜部のうち光の中央部に隣接する領域から光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布している。このため、被加工物18のうちテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域18aには高いエネルギを有する光が照射され、被加工物18のうちテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域18bにはそれよりも低いエネルギを有するレーザ光が照射される。これによって、光エネルギーを低下させることなく、任意のテーパ角を有するテーパ穴を形成することが可能となる。このことにより、光エネルギーを低下させる従来技術の場合と比べ、形成されるテーパ穴20の先端部20cにおける内径のばらつきを小さくするとともに、加工に要する時間を短くすることが可能となる。
また本発明によれば、振幅変調マスク14の振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cはそれぞれ複数の振幅変調単位領域14eからなり、振幅変調マスク14により振幅変調され出射された光は、結像光学系17の結像面17fに振幅変調単位領域14eに基づく光強度分布を生成する。この振幅変調単位領域14eは、振幅変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域が結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう設計されている。また、振幅変調単位領域14eは、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域15aと、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域15bとからなる。このため、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率Ca、TaおよびFaを、Ca>Ta>Faとなるよう設計することにより、被加工物18のうちテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域18aには高いエネルギを有する光を照射させ、被加工物18のうちテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域18bにはそれよりも低いエネルギを有するレーザ光を照射させることができる。これによって、光エネルギーを低下させることなく、任意のテーパ角を有するテーパ穴を形成することが可能となる。このことにより、光エネルギーを低下させる従来技術の場合と比べ、形成されるテーパ穴20の先端部20cにおける内径のばらつきを小さくするとともに、加工に要する時間を短くすることが可能となる。
なお本実施の形態において、レーザ光のエネルギ密度IはIupperを超えないよう設定される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、レーザ光のエネルギ密度IをIupperを超える値に設定してもよい。この場合、レーザ光のエネルギ密度Iは、被加工物18の一部が除去された際に発生する飛散物に起因するレーザ光の吸収・散乱を考慮して設定される。
また本実施の形態において、レーザ光源12は、308nmの波長を有する光を供給するXeClエキシマレーザ光源12からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、レーザ光源12として308nm以外の波長を有する光を供給するレーザ光源12を用いても良い。この場合、レーザ光源12の波長は、被加工物18の材料、結像光学系17の振幅変調マスク14側の面と結像面との倍率、および結像光学系17の会効率NAなどを考慮して決定される。
さらに本実施の形態において、テーパ穴形成装置10により被加工物18に貫通部20aとテーパ部20bとを有するテーパ穴20が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、テーパ穴形成装置10により被加工物18に非貫通のテーパ穴20、すなわち底部分とテーパ部20bとを有するテーパ穴20を形成してもよい。
また本実施の形態において、振幅変調マスク14の振幅変調単位領域14eが5μm×5μmの正方形からなるよう、振幅変調マスク14が設計される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、振幅変調単位領域14eが0.61λ/NAよりも少なくとも一方向に関して小さくなる限りは、振幅変調マスク14を任意に設計することが可能である。
さらに本実施の形態において、振幅変調マスク14の各振幅変調単位領域14eはそれぞれ、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域15aと、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域15bとからなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、振幅変調マスク14の各振幅変調単位領域14eは、さらに第3の光透過率を有する第3振幅変調単位領域を有していてもよい。
また本実施の形態において、第1振幅変調単位領域15aにおける第1の光透過率は約1であり、第2振幅変調単位領域15bにおける第2の光透過率は約0である例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1振幅変調単位領域15aにおける第1の光透過率が第2振幅変調単位領域15bにおける第2の光透過率よりも大きければよい。
第2の実施の形態
次に、図9乃至図12を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図9乃至図12に示す第2の実施の形態は、図1乃至図8に示す第1の実施の形態におけるテーパ穴形成装置10の振幅変調マスク14が位相変調マスク24に置き換えられたものであり、他の構成は、図1乃至図8に示す第1の実施の形態と略同一である。図9乃至図12に示す第2の実施の形態において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(位相変調マスク)
はじめに、図9乃至図11を参照して、本実施の形態における位相変調マスク24について説明する。図9は、位相変調マスク24の出射側から見た場合の位相変調マスク24を示す図である。なお本実施の形態において、位相変調マスク24は、平板状の形状を有し、その平面部とレーザ光の入射および出射方向とが直交するよう配置されている。また図10は、図9に示す位相変調マスク24のうち太枠で囲んだ領域を拡大して示す図であり、図11は、平板状の形状を有する位相変調マスク24の側面を示す図である。
はじめに、図9を参照して、位相変調マスク24の出射側から見た場合の位相変調マスク24の構造について説明する。図9に示すように、位相変調マスク24は、テーパ穴20の貫通部20aに照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aと、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aの周縁に位置し、テーパ穴20のテーパ部20bに照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bと、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bの周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cとからなる。また、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24a、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bおよび位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cはそれぞれ、複数の位相変調単位領域24eからなる。なお、位相変調マスク24には、被加工物18に形成されるテーパ穴20の数に対応する数の位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aおよび位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bがそれぞれ設けられるが、本実施例においては、位相変調マスク24に位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aおよび位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bがそれぞれ1つ設けられている場合について説明する。
次に、位相変調単位領域24eについて詳述する。位相変調マスク24のうち、例えば位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bは、図10に示すように、位相変調単位領域24e〜24eを有している。またこれらの位相変調単位領域24e〜24eを結像光学系17の結像面17fに換算した位相変調単位換算領域が結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう、位相変調マスク24が設計されている。例えば、位相変調マスク24の位相変調単位領域24eが5μm×5μmの正方形からなるよう、位相変調マスク24が設計されている。
また図10に示すように、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bの各位相変調単位領域24e〜24eはそれぞれ、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域25a〜25aと、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域25b〜25bとからなる。ここで図10から明らかなように、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bの各位相変調単位領域24e〜24eにおいて、第1位相変調単位領域25a〜25aの占有率(各位相変調単位領域24e〜24eにおける第1位相変調単位領域25a〜25aの面積率)、および第2位相変調単位領域25b〜25bの占有率(各位相変調単位領域24e〜24eにおける第2位相変調単位領域25b〜25bの面積率)はそれぞれ異なっている。例えば位相変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は0.90であり、第2位相変調単位領域25bの占有率は0.10である。また位相変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は0.55であり、第2位相変調単位領域25bの占有率は0.45である。
なお、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bの各位相変調単位領域24e〜24eについて図11を参照して説明したが、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aおよび位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cにおいても同様に、各々の位相変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した位相変調単位換算領域が結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう、位相変調マスクが設計されている。また、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aおよび位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cにおける各位相変調単位領域はそれぞれ、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域25aと、第1の光学距離よりも大きい第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域25bと、からなる。
次に、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24a、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bおよび位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cにおける第1位相変調単位領域25aの占有率、および第2位相変調単位領域25bの占有率について説明する。本実施の形態において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aにおける第1位相変調単位領域25aの占有率をCp、第2位相変調単位領域25bの占有率をCpとする。同様に、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bにおける第1位相変調単位領域25aの占有率をTp、第2位相変調単位領域25bの占有率をTpとし、位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cにおける第1位相変調単位領域25aの占有率をFp、第2位相変調単位領域25bの占有率をFpとする。このとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係が満たされるよう位相変調マスク24が設計されている。さらに、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bにおけるTpおよびTpの分布は、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bのうち位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域から位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cに隣接する領域に向かって{(Tp−Tp)の絶対値}が減少するよう分布している。
次に、図11を参照して位相変調マスク24の側面部の構造について説明する。図11に示すように、位相変調マスク24は、その表面に凹凸が設けられている透過性基板、例えば屈折率nの石英ガラス26から形成されている。ここで、位相変調マスク24のうち第1位相変調単位領域25a〜25aに対応する領域における石英ガラス26の高さと、位相変調マスク24のうち第2位相変調単位領域25b〜25bに対応する領域における石英ガラス26の高さとの差をΔhとする。この場合、空気の屈折率を1とすると、位相変調マスク24において、第1位相変調単位領域25a〜25aにおける位相変調マスク24の入射面から出射面24hまでの光学距離と、第2位相変調単位領域25b〜25bにおける位相変調マスク24の入射面から出射面24hまでの光学距離との差は、Δh×(n−1)になる。
本実施の形態においては、前記の光学距離の差Δh×(n−1)がλ/2となるよう、すなわち、第1位相変調単位領域25a〜25aにおける位相変調量と第2位相変調単位領域25b〜25bにおける位相変調量の差が180度となるよう、Δhが設定されている。例えば、光源11から出射されるレーザ光の中心波長λが308nm、位相変調マスク24の屈折率nが1.45の場合、Δhが342nmとなるよう位相変調マスク24が設計されている。
(レーザ光による加工の原理)
次に、本実施の形態において、レーザ光を用いて被加工物18に先細状テーパ穴20を形成する原理について説明する。なお、レーザ光の強度とアブレーション深さとの関係、および結像光学系17における物体面と結像面17fとの関係については、第1の実施の形態において説明した加工の原理の場合と同一であるので、詳細な説明は省略する。
位相変調マスク24を通過したレーザ光の強度Iについて説明する。前述のとおり、位相変調マスク24は、その表面に凹凸が設けられている屈折率nの石英ガラス26から形成されている。この場合、レーザ光がこの凹部(凸部)を透過するとき、石英ガラス26の屈折率nと空気の屈折率1の差だけ波面にずれが生じて位相変調となる。このときの位相変調量θは、以下の〔数10〕により表される。
Figure 0005440913
ここで、Δhは位相変調マスク24に形成された凹部の深さ(凸部の高さ)を表している。
ここで、凹部の深さ(凸部の高さ)Δhが離散的である、すなわち多段加工されているものとし、ある位相変調単位領域24e内でのk番目の位相変調領域の面積率と位相変調量をそれぞれD(p)、θと表すとする。この場合、第1の実施の形態の場合と同様に、前述の〔数6〕に基づき、当該位相変調単位領域24eに対応する結像光学系17の結像面17fにおける複素振幅透過率U、およびレーザ光の強度Iが以下のように求められる。
Figure 0005440913
Figure 0005440913
ここで、Σは当該位相変調単位領域24eにおけるすべての位相変調領域に関する和を表している。
簡単のため、位相変調マスク24が図9乃至図11に示す位相変調マスク24からなる場合、すなわち、位相変調マスク24の各位相変調単位領域24eが2つの位相変調領域(第1位相変調単位領域25a、第2位相変調単位領域25b)からなる場合について考える。第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調単位領域25bにより変調されたレーザ光の位相をそれぞれθ(=0)、θ(=θ)と表す場合、レーザ光の強度Iは以下の〔数13〕により表される。
Figure 0005440913
ここでD(p)は、各位相変調単位領域24eにおける第2位相変調単位領域25bの面積率を表している。この式をD(p)に関して解くと、以下の〔数14〕が得られる。
Figure 0005440913
上述のように、被加工物18に形成するテーパ穴20の大きさ、テーパ角度などに応じて、〔数1〕に基づき、被加工物18に照射されるレーザ光強度分布Iを設定することができる。さらに、所望のレーザ光強度分布Iが得られるよう、〔数14〕に従い、各位相変調単位領域24eにおける第2位相変調単位領域25bの面積率を設定することができる。すなわち、所定の位相変調マスク24を準備することにより、所望の大きさ、テーパ角度などを有するテーパ穴20を被加工物18に形成することが可能となる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
(位相変調マスクの設計手順)
まず、図12を参照して、位相変調マスク24の設計手順について説明する。図12は、位相変調マスク24を設計するためのフローチャートを示す図である。
(イ)予め位相変調マスク24を、位相変調単位領域24eを単位として区分けしておく。この位相変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した位相変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さい領域である。
(ロ)はじめに、被加工物18に形成するテーパ穴20の形状を入力する(S201)。例えば、被加工物18のうちレーザ光が入射される側の面における位置を(x,y)座標で表す場合の、位置(x,y)における加工深さD(x,y)を入力する。
(ハ)次に、レーザ光の照射回数mを入力する(S202)。
(ニ)次に、加工深さS(x,y)とレーザ光の照射回数mとに基づき、アブソレーションレートd(x,y)が算出される(S203)。
(ホ)その後、アブソレーションレートd(x,y)と〔数1〕とに基づき、所望形状を有するテーパ穴20を形成するために被加工物18に照射されるレーザ光の強度分布I(x,y)が算出される(S204)。
(ヘ)次に、レーザ光の強度分布I(x,y)と〔数14〕とに基づき、位相変調マスク24における第2位相変調単位領域25bの面積率D(p)が算出される(S205)。面積率D(p)は、位相変調単位領域24eを単位として区分けされた領域ごとに算出される。
(ト)最後に、面積率D(p)に基づいて、位相変調マスク24のパターンが決定される。例えば、位相変調単位領域24eが一辺1μmの正方形からなり、ある位相変調単位領域24eにおける面積率D(p)が0.57と算出されている場合、当該位相変調単位領域24e内には一辺0.75μm(=(0.57)1/2×1.0μm)の正方形からなる凸部が第2位相変調単位領域25bとして形成される。
(テーパ穴の形成方法)
次に、本実施の形態における位相変調マスク24を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にテーパ穴20が形成される。本実施の形態におけるテーパ穴形成方法は、第1の実施の形態におけるテーパ穴形成方法と同一であるので、詳細な説明は省略する。
このように本発明によれば、位相変調マスク24の位相変調マスクテーパ穴形成中央部24a、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bおよび位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cはそれぞれ複数の位相変調単位領域24eからなり、位相変調マスク24により位相変調され出射された光は、結像光学系17の結像面17fに位相変調単位領域24eに基づく光強度分布を生成する。この位相変調単位領域24eは、位相変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した位相変調単位換算領域が結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう設計されている。また、位相変調単位領域24eは、第1の光学距離を有する第1位相変調単位領域25aと、第1の光学距離よりも大きい第2の光学距離を有する第2位相変調単位領域25bとからなる。このため、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係が満たされるよう位相変調マスク24を設計することにより、被加工物18のうちテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域18aには高いエネルギを有する光が照射され、被加工物18のうちテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域18bにはそれよりも低いエネルギを有するレーザ光を照射させることができる。これによって、光エネルギーを低下させることなく、任意のテーパ角を有するテーパ穴を形成することが可能となる。このことにより、光エネルギーを低下させる従来技術の場合と比べ、形成されるテーパ穴20の先端部20cにおける内径のばらつきを小さくするとともに、加工に要する時間を短くすることが可能となる。
なお本実施の形態において、位相変調マスク24の位相変調単位領域24eが5μm×5μmの正方形からなるよう、位相変調マスク24が設計される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、位相変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した位相変調単位換算領域が、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなる限りは、位相変調マスク24を任意に設計することが可能である。
また本実施の形態において、第1位相変調単位領域25aの第1の位相変調量と、第2位相変調単位領域25bの第2の位相変調量とが180度異なるよう位相変調マスク24が設計される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、〔数14〕に示すように、位相変調量の差を任意に設定することが可能である。
さらに本実施の形態において、位相変調マスク24の各位相変調単位領域24eが2つの位相変調領域(第1位相変調単位領域25a、第2位相変調単位領域25b)からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、位相変調マスク24の各位相変調単位領域24eを3つまたはそれ以上の位相変調領域から形成してもよい。
第3の実施の形態
次に、図19乃至図23を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図19乃至図23に示す第3の実施の形態においては、被加工物に照射される光の光強度の分布は、光の中央部と光の傾斜部との間の境界において、光の中央部から降下する段部を含むとともに、光の傾斜部において、光の中央部に隣接する領域から光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布している。図19乃至図23に示す第3の実施の形態において、他の構成は、図1乃至図8に示す第1の実施の形態と略同一である。図19乃至図23に示す第3の実施の形態において、図1乃至図8に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(テーパ穴)
はじめに、図19を参照して、本実施の形態において被加工物18に形成されるテーパ穴20について説明する。図19は、本実施の形態において、被加工物に形成されるテーパ穴を示す側面図ある。
図19に示すように、本実施の形態において、被加工物18に形成される先細状のテーパ穴20は、先端部20cからレーザ光の照射方向に平行に延びる円柱状のストレート部20eと、基端部20dからストレート部20eに向って先細になるとともにストレート部eとなめらかにつなげられたテーパ部20bとを有している。このようなテーパ穴20をインクジェットヘッドのノズルとして用いる場合、テーパ部20bは、インク滴(図示せず)の寸法および吐出速度を適切に制御するよう機能する。またテーパ部20bは、インク供給源(図示せず)からインクとともに侵入する微小な気泡がテーパ穴20内でトラップされ、時間の経過とともに気泡が成長して貫通部20aが閉塞されるのを防ぐため、基端部20dと先端部20cとを滑らかにつなげるという役割も果たしている。一方、ストレート部20eは、先端部20cから噴射されるインク滴の噴射方向を安定にし、被噴射物(図示せず)におけるインク滴の着弾精度を向上させるよう機能する。このようなストレート部20eの長さhは、ノズル(テーパ穴20)の全長hの5%以上であることが好ましい。
(テーパ穴形成装置)
本実施の形態におけるテーパ穴形成装置10は、振幅変調マスク14の各振幅変調単位領域14eにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布が、後述するように、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bとの間の境界14fにおいて、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aから降下する段部14gを含む点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図8に示す第1の実施の形態におけるテーパ穴形成装置10と略同一である。以下、本実施の形態における振幅変調マスク14について詳述する。
(振幅変調マスク)
図20および図21を参照して、本実施の形態における振幅変調マスク14について説明する。図20は、本実施の形態において、振幅変調マスクの出射側を示す図であり、図21は、本実施の形態において、振幅変調マスクにおける第1振幅変調単位領域の占有率の分布を示す図である。
図20に示すように、振幅変調マスク14は、テーパ穴20の貫通部20aに照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aの周縁に位置し、テーパ穴20のテーパ部20bに照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bと、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bの周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cとからなる。図20に示すように、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bとは隣接しており、2つの間の境界が境界14fとなっている。同様に、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bと振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cとは隣接しており、2つの間の境界が境界14gとなっている。
また、図1乃至8に示す第1の実施の形態の場合と同様に、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cは、それぞれ複数の振幅変調単位領域14eからなり、各振幅変調単位領域14eは、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域15aと、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域15bとからなる。本実施の形態における振幅変調単位領域14e、第1振幅変調単位領域15aおよび第2振幅変調単位領域15bは、図1乃至8に示す第1の実施の形態における振幅変調単位領域14e、第1振幅変調単位領域15aおよび第2振幅変調単位領域15bと同一であるので、詳細な説明は省略する。
次に図21を参照して、中央部14a、傾斜部14bおよび周縁部14cにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率について説明する。図21は、中央部14a、傾斜部14bおよび周縁部14cのうち図20のラインA上にある領域における第1振幅変調単位領域15aの占有率を符号□でプロットし、各符号□の間を線で結んだグラフを示す図である。図21に示すグラフにおいて、縦軸が第1振幅変調単位領域15aの占有率、横軸が中央部14a、傾斜部14bおよび周縁部14cを表している。
振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をCa、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をTa、振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をFaとするとき、図21に示すように、Ca>Ta>Faの関係が満たされるよう振幅変調マスク14が設計されている。さらに、第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布は、図21に示すように、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bとの間の境界14fにおいて、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aから降下する段部31bを含むとともに、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおいて、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aに隣接する領域から振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cに隣接する領域に向かって減少する減少部31cを含むよう分布している。
なお、図21に示すように、減少部31cは上に凸の形状を有しており、このため後述するように、振幅変調マスク14の振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにより変調され、被加工物18においてテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域に照射される光の傾斜部51bにおける光強度の分布は、直線状の減少部53cを含むことができる(図22(b)参照)。なお本実施の形態において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布は、高位平坦部31aを含んでおり、振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布は、低位平坦部31dを含んでいる。
また、図21に示すように、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aのうち、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bに隣接する領域における第1振幅変調単位領域15aの占有率をCa10とし、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bのうち、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aに隣接する領域における第1振幅変調単位領域15aの占有率をTa10とするとき、
(Ca10−(Ta10≧0.05×(Ca10
の関係が満たされるよう振幅変調マスク14が設計されている。
(テーパ穴の形成方法)
次に、本実施の形態におけるテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にテーパ穴20を形成する方法について、図22を参照して説明する。図22(a)は、本実施の形態において、被加工物に形成されるテーパ穴を示す側面図であり、図22(b)は、被加工物に照射されるレーザ光の強度分布Iを示す図である。なお本実施の形態において、レーザ光による加工の原理、および振幅変調マスク14の設計手順は、図1乃至図8に示す第1の実施の形態の場合と同一であるため、説明は省略する。
まず、加工台19上に被加工物18を予め載置しておく。次に、光源11から、面内強度分布が均一化されたレーザ光を出射させる。その後、光源11から出射された光を振幅変調マスク14に入射させる。振幅変調マスク14に入射されたレーザ光は、振幅変調マスク14のパターンに応じて変調される。
振幅変調マスク14から出射されたレーザ光は、結合光学系17に入射される。振幅変調マスク14の変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう設計されている。このため、結像光学系17から出射され被加工物18上に結像されるレーザ光の光強度分布は、振幅変調マスク14の各変調単位領域14eにおける開口率(振幅変調単位領域14eに対する第1振幅変調単位領域15aの面積比)に対応する強度分布を有している。
図22(a)は、レーザ光により被加工物18に形成されるテーパ穴20を示す図であり、図22(b)は、このようなテーパ穴20を形成するために被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布を示す図である。図22(b)に示すように、結像光学系17により結像され、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度は、振幅変調マスク14の各変調単位領域14eにおける開口率に対応する強度分布を有している。このため、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域18aに照射される光の中央部51aと、被加工物18においてテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域18bに照射される光の傾斜部51bと、被加工物18においてテーパ穴20が形成されない領域18cに照射される光の周縁部51cとで異なっている。このうち光の中央部51aの光強度は、光の傾斜部51bの光強度よりも大きく、光の傾斜部51bの光強度は、光の周縁部51cの光強度よりも大きい。
また、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布は、図22(b)に示すように、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから降下する段部53bを含むとともに、光の傾斜部51bにおいて、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって光強度が減少する減少部53cを含むよう分布している。
なお本実施の形態において、図22(b)に示すように、光強度の分布の減少部53cは直線形状を有している。また第1の実施の形態において説明したように、被加工物18に照射されるレーザ光の強度Iは、振幅変調マスク14における第1振幅変調単位領域15aの占有率(開口率)の二乗に比例する。この場合、前述のように、振幅変調マスク14の第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布において、減少部31cの形状を適宜上に凸の形状にすることにより、減少部53cにおける直線形状が実現されている。
また本実施の形態において、光の中央部51aにおける光強度の分布は、高位平坦部53aを含んでおり、周縁部51cにおける光強度の分布は、低位平坦部53cを含んでいる。
このような光強度の分布を有するレーザ光が被加工物18に照射されることにより、被加工物18がアブレーションにより加工され、テーパ穴20が形成される。この場合、レーザ光の光強度の分布が、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから降下する段部53bを含んでいることにより、図22(a)に示すように、先端部20cからレーザ光の照射方向に平行に延びる円柱状のストレート部20eと、基端部20dからストレート部20eに向って先細になるテーパ部20bとを有するテーパ穴20を形成することができる。
このように本実施の形態によれば、振幅変調マスク14により変調されて被加工物18に照射されるレーザ光の光強度は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域18aに照射される光の中央部51aと、被加工物18においてテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域に照射される光の傾斜部51bと、被加工物18においてテーパ穴20が形成されない領域18cに照射される光の周縁部51cとで異なる。このうち光の中央部51aの光強度は、光の傾斜部51bの光強度よりも大きく、また光の傾斜部51bの光強度は、光の周縁部51cの光強度よりも大きい。また、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布は、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから降下する段部53bを含むとともに、光の傾斜部51bにおいて、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって光強度が減少する減少部53cを含むよう分布している。このため、テーパ穴20の貫通部20aが形成される領域には高いエネルギを有する光が照射され、テーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域にはそれよりも不連続的に低いエネルギを有する光が照射される。このことにより、1つの振幅変調マスク14により、被加工物18に、光の照射方向に平行に延びるストレート部20eと、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部20eとなめらかにつなげられたテーパ部20bとを有するテーパ穴20を短い加工時間で精度良く形成することができる。
また本実施の形態によれば、振幅変調マスク14の振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cはそれぞれ複数の振幅変調単位領域14eからなり、振幅変調マスク14により振幅変調され出射された光は、結像光学系17の結像面17fに振幅変調単位領域14eに基づく光強度分布を生成する。この振幅変調単位領域14eは、振幅変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域が結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう設計されている。また、振幅変調単位領域14eは、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域15aと、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域15bとからなり、振幅変調マスク14は、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をCa、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をTa、振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係が満たされるよう設計されている。さらに、第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布は、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bとの間の境界14fにおいて、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aから降下する段部31bを含むとともに、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおいて、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aに隣接する領域から振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cに隣接する領域に向かって減少する減少部31cを含むよう分布している。このため、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布を、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから降下する段部53bを含むとともに、光の傾斜部51bにおいて、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって光強度が減少する減少部53cを含むよう分布させることができる。このことにより、1つの振幅変調マスク14により、被加工物18に、光の照射方向に平行に延びるストレート部20eと、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部20eとなめらかにつなげられたテーパ部20bとを有するテーパ穴20を短い加工時間で精度良く形成することができる。
また本実施の形態によれば、振幅変調マスク14は、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aのうち、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bに隣接する領域における第1振幅変調単位領域15aの占有率をCa10とし、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bのうち、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aに隣接する領域における第1振幅変調単位領域15aの占有率をTa10とするとき、
(Ca10−(Ta10≧0.05×(Ca10
の関係が満たされるよう設計されている。このため、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布を、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから降下する段部53bを含むよう分布させることができる。このことにより、1つの振幅変調マスク14により、被加工物18に、光の照射方向に平行に延びるストレート部20eと、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部20eとなめらかにつなげられたテーパ部20bとを有するテーパ穴20を短い加工時間で精度良く形成することができる。
次に、本願発明の効果を比較例と比較して説明する。比較例として、図23(a)に示す第1の変調マスク111と図23(b)に示す第2の変調マスク112を用いてテーパ穴20を形成する方法について説明する。なお図23(a)(b)においては、簡単のため、光源101および結像光学系107は省略されている。
比較例においては、はじめに図23(a)に示すように、第1の変調マスク111により変調されたレーザ光により、被加工物18にテーパ穴20のテーパ部20bを形成する。ここで、第1の変調マスク111は、図23(a)に示すように、石英ガラス層111aと光遮蔽膜111bとからなり、光遮蔽膜111bには、テーパ穴20のテーパ部20bに対応する開口部111cが形成されている。また、第1の変調マスク111に入射されるレーザ光の強度は、テーパ部20bの所望のテーパ角に応じて、図18に示すテーパ角とエネルギ密度の関係に基づいて決定される。
次に、第1の変調マスク111を取り除き、その後、図23(b)に示すように第2の変調マスク112を設置する。この際、被加工物18に形成されるストレート20eが、先に形成されたテーパ部20bとなめらかにつながるよう、第2の変調マスク112の設置位置を精密に調整する。
次に、第2の変調マスク112によりレーザ光を変調し、これによって、被加工物18にテーパ穴20のストレート20eを形成する。ここで、第2の変調マスク111は、図23(b)に示すように、石英ガラス層112aと光遮蔽膜112bとからなり、光遮蔽膜112bには、テーパ穴20のストレート20eに対応する開口部112cが形成されている。また、第2の変調マスク112に入射されるレーザ光の強度としては、レーザ光の照射方向に平行に延びるストレート20eを形成するよう、第1の変調マスク111に入射された際のレーザ光の強度よりも大きな強度が設定される。
このように比較例によれば、テーパ穴20のテーパ部20bを形成するために使用されるマスク(第1の変調マスク111)と、テーパ穴20のストレート部20eを形成するために使用されるマスク(第2の変調マスク112)が異なるため、テーパ穴20の形成工程中にマスクを交換する必要がある。また、テーパ穴20のテーパ部20bを形成する際のレーザ光の強度と、テーパ穴20のストレート部20eを形成する際のレーザ光の強度が異なるため、光源101の再調整が必要となる。さらに、第2の変調マスク112を設置する際、被加工物18に形成されるストレート20eが、先に形成されたテーパ部20bと滑らかにつながるよう、第2の変調マスク112の設置位置を精密に調整する必要がある。マスク交換作業、光源101の再調整作業、および第2の変調マスク112の設置位置の調整作業には、多大な時間を要する。
また比較例によれば、ストレート20eとテーパ部20bとをなめらかにつなげるとともに、ストレート20eの長さを所望の長さにするためには、テーパ部20bを形成する際に形成される底部分20f(図23(a)参照)の面積と深さを精密に調整する必要がある。すなわち、テーパ部20bを形成する際のレーザ光の照射回数を精密に制御する必要がある。
また比較例によれば、大きなテーパ角を得るためには、第1の変調マスク111に入射させるレーザ光の強度を小さくする必要があり、この場合、アブレーションレートが低下する。このため、同じ深さのテーパ部20bを加工する場合でも、大きなテーパ角を得るためには、レーザ光の照射回数を増やす必要があり、これによって、テーパ部20bを形成するのに必要な加工時間が長くなる。また、光源101の寿命はレーザ光を出射した回数により決まるため、被加工物18へのレーザ光の照射回数を増やすと、光源101の寿命が短くなり、これによって、光源101の交換頻度が増加するという問題も生じる。さらに、大きなテーパ角を得るためにレーザ光の強度を小さくすると、形成されたテーパ部20bの底部分20fにおける内径のばらつきが大きくなるということが考えられ、これによって、テーパ部20bとストレート部20eのなめらかな接続が妨げられる。このことにより、テーパ穴20をインクジェットヘッドのノズルとして用いる場合、インクの吐出性能のばらつきが生じる。
これに対して、本実施の形態によれば、振幅変調マスク14の振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cはそれぞれ複数の振幅変調単位領域14eからなり、振幅変調マスク14により振幅変調され出射された光は、結像光学系17の結像面17fに振幅変調単位領域14eに基づく光強度分布を生成する。この振幅変調単位領域14eは、振幅変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域が結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう設計されている。また、振幅変調単位領域14eは、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域15aと、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域15bとからなり、振幅変調マスク14は、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をCa、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をTa、振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係が満たされるよう設計されている。さらに、第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布は、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bとの間の境界14fにおいて、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aから降下する段部31bを含むとともに、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおいて、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aに隣接する領域から振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cに隣接する領域に向かって減少する減少部31cを含むよう分布している。このため、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布を、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから降下する段部53bを含むとともに、光の傾斜部51bにおいて、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって光強度が減少する減少部53cを含むよう分布させることができる。
このことにより、被加工物18に、光エネルギを低下させることなく、任意のテーパ角を有するテーパ穴20を形成することができるとともに、先端部20cからレーザ光の照射方向に平行に延びる円柱状のストレート部20eと、基端部20dからストレート部20eに向って先細になるテーパ部20bとを有するテーパ穴20を形成することができる。
このように、1枚の振幅変調マスク14を用いることによりテーパ穴20を形成することができるため、マスク交換作業は不要である。このため、工程に要する時間を短縮できるとともに、テーパ穴20のテーパ部20bとストレート部20eとをなめらかにつなげることができる。また、光エネルギを低下させることなく任意のテーパ角を有するテーパ穴20を形成することができるため、より少ない照射回数かつ短時間でテーパ穴20を形成することができる。
なお本実施の形態において、テーパ穴形成装置10により被加工物18に貫通部20aとテーパ部20bとストレート部20eとを有するテーパ穴20が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、テーパ穴形成装置10により被加工物18に非貫通のテーパ穴20、すなわち底部分とテーパ部20bとストレート部20eとを有するテーパ穴20を形成してもよい。
また本実施の形態において、振幅変調マスク14の振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布が、高位平坦部31aを含む例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、例えば図21において二点鎖線31eで示すように、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布が平坦でなくてもよい。すなわち、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bとの間の境界14fにおいて、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aから降下する段部14gが形成されていればよく、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布の形状は特には限定されない。
また本実施の形態において、光の中央部51aにおける光強度の分布が、高位平坦部53aを含む例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、例えば図22において二点鎖線53eで示すように、光の中央部51aにおける光強度の分布が平坦でなくてもよい。すなわち、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから降下する段部53bが形成されていればよく、光の中央部51aにおける光強度の分布の形状は特には限定されない。
第3の実施の形態の変形例
次に図24(a)(b)(c)を参照して、本発明の第3の実施の形態の変形例について説明する。図24(a)(b)(c)に示す第3の実施の形態の変形例は、被加工物18に照射される光強度の分布が、光の中央部と光の傾斜部との間の境界において、光の中央部から光の傾斜部に向って一定の幅をもって降下する段部を含む点が異なるのみであり、他の構成は、図19乃至図22に示す第3の実施の形態と略同一である。図24(a)(b)(c)に示す第3の実施の形態の変形例において、図19乃至図22に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本変形例において、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布は、図24(b)に示すように、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから光の傾斜部51bに向って一定の幅wをもって降下する段部53bを含むとともに、光の傾斜部51bにおいて、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって光強度が減少する減少部53cを含むよう分布している。ここで、段部53bが幅wを有するのは、結像光学系17の解像限界に起因している。この場合、結像光学系の点像分布範囲の半径をRとするとき、段部53bの幅wは2×Rよりも小さくなっている。
図24(b)に示すように、レーザ光の光強度の分布は、光の中央部51aから光の傾斜部51bおよび光の周縁部51cに向かうにつれて減少する。このときの、光の中央部51a、光の傾斜部51bおよび光の周縁部51cにおける光強度の減少率を表すグラフを図24(c)に示す。図24(c)に示すように、光強度の分布の減少率を表すグラフは、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいてピーク値Pを含むピーク55を有している。この場合、ピーク値Pを0.9倍した高さにおけるピーク55の幅wは2×Rよりも小さくなっている。
このように本変形例によれば、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布は、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから光の傾斜部51bに向って一定の幅wをもって降下する段部53bを含むとともに、光の傾斜部51bにおいて、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって光強度が減少する減少部53cを含むよう分布している。このため、テーパ穴20の貫通部20aが形成される領域には高いエネルギを有する光が照射され、テーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域にはそれよりも不連続的に低いエネルギを有する光が照射される。このことにより、1つの振幅変調マスク14により、被加工物18に、光の照射方向に平行に延びるストレート部20eと、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部20eとなめらかにつなげられたテーパ部20bとを有するテーパ穴20を短い加工時間で精度良く形成することができる。
第3の実施の形態のその他の変形例
次に図25および図26を参照して、本発明の第3の実施の形態のその他の変形例について説明する。図25および図26に示す第3の実施の形態のその他の変形例は、光の傾斜部における光強度の分布が、光の中央部に隣接する領域から光の周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布しているとともに、光の傾斜部における光強度の分布の減少率が、光の中央部に隣接する領域から光の周縁部に隣接する領域に向かうにつれて小さくなる点が異なるのみであり、他の構成は、図19乃至図22に示す第3の実施の形態と略同一である。図25および図26に示す第3の実施の形態のその他の変形例において、図19乃至図22に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図25は、本変形例における振幅変調マスク14において、中央部14a、傾斜部14bおよび周縁部14cのうち図20のラインA上にある領域における第1振幅変調単位領域15aの占有率を符号□でプロットし、各符号□の間を線で結んだグラフを示す図である。図25に示すように、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布は、直線形状を有する減少部31fを有している。
図26(a)は、本変形例において、レーザ光により被加工物18に形成されるテーパ穴20を示す図であり、図26(b)は、このようなテーパ穴20を形成するために被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布を示す図である。前述のとおり、被加工物18に照射されるレーザ光の強度Iは、振幅変調マスク14における第1振幅変調単位領域15aの占有率(開口率)の二乗に比例する。このため、本変形例において、図26(b)に示すように、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにより変調されて光の傾斜部51bに照射されるレーザ光の光強度の分布は、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって減少するよう分布しているとともに、光の傾斜部51bにおける光強度の分布の減少率が、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かうにつれて小さくなっている。このことにより、図26(a)に示すように、テーパ部20bが曲面を有するようテーパ穴20を形成することができる。
なお本変形例において、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布が、直線形状を有する減少部31fを有する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図25において二点鎖線31gで示すように、減少部31fが下に凸の形状を有していてもよい。この場合も、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにより変調されて光の傾斜部51bに照射されるレーザ光の光強度の分布を、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって減少するよう分布させるとともに、光の傾斜部51bにおける光強度の分布の減少率を、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かうにつれて小さくすることができる。
第4の実施の形態
次に、図27および図28を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。図27および図28に示す第4の実施の形態は、図19乃至図22に示す第3の実施の形態におけるテーパ穴形成装置10の振幅変調マスクが位相変調マスクに置き換えられたものであり、他の構成は、図19乃至図22に示す第3の実施の形態と略同一である。図27および図28に示す第4の実施の形態において図19乃至図22に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
また、本実施の形態における位相変調マスクは、後述するように、{(第1位相変調単位領域の占有率−第2位相変調単位領域の占有率)の絶対値}の分布が、位相変調マスクテーパ穴形成中央部と位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含むとともに、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から位相変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布している点が異なるのみであり、他の構成は、図9乃至図12に示す第2の実施の形態における位相変調マスクと略同一である。図27および図28に示す第4の実施の形態における位相変調マスクにおいて、図9乃至図12に示す第2の実施の形態における位相変調マスクと同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(位相変調マスク)
はじめに、図27および図28を参照して、本実施の形態における位相変調マスクについて説明する。図27は、本発明の第4の実施の形態において、位相変調マスクの出射側を示す図であり、図28は、本発明の第4の実施の形態において、位相変調マスクにおける第1および第2位相変調単位領域の占有率の分布を示す図である。
図27に示すように、位相変調マスク24は、テーパ穴20の貫通部20aに照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aと、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aの周縁に位置し、テーパ穴20のテーパ部20bに照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bと、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bの周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cとからなる。図27に示すように、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aと位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bとは隣接しており、2つの間の境界が境界24fとなっている。同様に、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bと位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cとは隣接しており、2つの間の境界が境界24gとなっている。
また、図9乃至12に示す第2の実施の形態の場合と同様に、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24a、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bおよび位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cは、それぞれ複数の位相変調単位領域24eからなり、各位相変調単位領域24eは、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域25aと、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域25bとからなる。本実施の形態における位相変調単位領域24e、第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調単位領域25bは、図9乃至図12に示す第2の実施の形態における位相変調単位領域24e、第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調単位領域25bと略同一であるので、詳細な説明は省略する。
次に図28を参照して、中央部24a、傾斜部24bおよび周縁部24cにおける第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調単位領域25bの占有率について説明する。図28は、中央部24a、傾斜部24bおよび周縁部24cのうち図27のラインB上にある領域において、第1位相変調単位領域25aの占有率を符号○でプロットし、各符号○の間を線で結ぶとともに、第2位相変調単位領域25bの占有率を符号×でプロットし、各符号×の間を線で結んだグラフを示す図である。図27に示すグラフにおいて、縦軸が各単位領域25a、25bの占有率、横軸が中央部24a、傾斜部24bおよび周縁部24cを表している。また図28において、{(第1位相変調単位領域25aの占有率−第2位相変調単位領域25bの占有率)の絶対値}の分布が符号□により併せて示されている。
位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aにおける第1位相変調単位領域25aの占有率をCp、第2位相変調単位領域25bの占有率をCpとし、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bにおける第1位相変調単位領域25aの占有率をTp、第2位相変調単位領域25bの占有率をTpとし、位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cにおける第1位相変調単位領域25aの占有率をFp、第2位相変調単位領域25bの占有率をFpとするとき、図28に示すように、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係が満たされるよう位相変調マスク24が設計されている。
さらに、{(第1位相変調単位領域25aの占有率−第2位相変調単位領域25bの占有率)の絶対値}の分布は、図28に示すように、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aと位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bとの間の境界24fにおいて、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aから降下する段部41bを含むとともに、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bにおいて、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域から位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cに隣接する領域に向かって減少する減少部41cを含むよう分布している。
また、図28に示すように、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aのうち、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bに隣接する領域における第1位相変調単位領域25aの占有率をCp10、第2位相変調単位領域25bの占有率をCp20とし、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bのうち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域における第1位相変調単位領域25aの占有率をTp10、第2位相変調単位領域25bの占有率をTp20とするとき、
(Cp10−Cp20−(Tp10−Tp20≧0.05×(Cp10−Cp20
の関係が満たされるよう位相変調マスク24が設計されている。
(テーパ穴の形成方法)
次に、本実施の形態における位相変調マスク24を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にテーパ穴20を形成する。本実施の形態におけるテーパ穴形成方法は、図19乃至図22に示す第3の実施の形態におけるテーパ穴形成方法と同一であるので、詳細な説明は省略する。
このように本実施の形態によれば、位相変調マスク24の位相変調マスクテーパ穴形成中央部24a、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bおよび位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cはそれぞれ複数の位相変調単位領域24eからなり、位相変調マスク24により位相変調され出射された光は、結像光学系17の結像面17fに位相変調単位領域24eに基づく光強度分布を生成する。この位相変調単位領域24eは、位相変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した位相変調単位換算領域が結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう設計されている。また、位相変調単位領域24eは、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域25aと、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域25bとからなり、位相変調マスク24は、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aにおける第1位相変調単位領域25aの占有率をCp、第2位相変調単位領域25bの占有率をCpとし、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bにおける第1位相変調単位領域25aの占有率をTp、第2位相変調単位領域25bの占有率をTpとし、位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cにおける第1位相変調単位領域25aの占有率をFp、第2位相変調単位領域25bの占有率をFpとするとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係が満たされるよう設計されている。さらに、{(第1位相変調単位領域25aの占有率−第2位相変調単位領域25bの占有率)の絶対値}の分布は、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aと位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bとの間の境界24fにおいて、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aから降下する段部41bを含むとともに、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bにおいて、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域から位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cに隣接する領域に向かって減少する減少部41cを含むよう分布している。このため、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布を、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから降下する段部53bを含むとともに、光の傾斜部51bにおいて、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって光強度が減少する減少部53cを含むよう分布させることができる。このことにより、1つの位相変調マスク24により、被加工物18に、光の照射方向に平行に延びるストレート部20eと、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部20eとなめらかにつなげられたテーパ部20bとを有するテーパ穴20を短い加工時間で精度良く形成することができる。
また本実施の形態によれば、位相変調マスク24は、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aのうち、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bに隣接する領域における第1位相変調単位領域25aの占有率をCp10、第2位相変調単位領域25bの占有率をCp20とし、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bのうち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域における第1位相変調単位領域25aの占有率をTp10、第2位相変調単位領域25bの占有率をTp20とするとき、
(Cp10−Cp20−(Tp10−Tp20≧0.05×(Cp10−Cp20
の関係が満たされるよう設計されている。このため、被加工物18に照射されるレーザ光の光強度の分布を、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから降下する段部53bを含むよう分布させることができる。このことにより、1つの位相変調マスク24により、被加工物18に、光の照射方向に平行に延びるストレート部20eと、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部20eとなめらかにつなげられたテーパ部20bとを有するテーパ穴20を短い加工時間で精度良く形成することができる。
なお本実施の形態において、位相変調マスク24の位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aにおける{(第1位相変調単位領域25aの占有率−第2位相変調単位領域25bの占有率)の絶対値}の分布が、高位平坦部41aを含む例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、例えば図28において二点鎖線41eで示すように、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aにおける{(第1位相変調単位領域25aの占有率−第2位相変調単位領域25bの占有率)の絶対値}の分布が平坦でなくてもよい。すなわち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aと位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bとの間の境界24fにおいて、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aから降下する段部24gが形成されていればよく、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aにおける{(第1位相変調単位領域25aの占有率−第2位相変調単位領域25bの占有率)の絶対値}の分布の形状は特には限定されない。
なお本実施の形態において、第1位相変調単位領域25aの第1の位相変調量と、第2位相変調単位領域25bの第2の位相変調量とを任意に設定することができる。例えば、第1の位相変調量と第2の位相変調量とが180度の奇数倍だけ異なるよう設定することができる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例について説明する。はじめに、第1の実施の形態における振幅変調マスク14を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にテーパ穴20を形成した例(実施例1)について、図13乃至図15を参照して説明する。
図13(a)は、実施例1において、被加工物18に形成されるテーパ穴20の形状を示す図であり、図13(b)は、図13(a)に示すテーパ穴20を形成するために被加工物18に照射されるレーザ光の強度分布Iを示す図であり、図13(c)は、実施例1において、被加工物18に形成されたテーパ穴20を示す平面図である。図14は、実施例1における振幅変調マスク14を示す図である。図15(a)(b)(c)は、従来のテーパ穴形成装置100を用いた場合におけるテーパ穴110を示す図である。
本発明における振幅変調マスク14を用いて、被加工物18に、基端部20dの直径が50μm、テーパ部20bのテーパ角度φが11度であるテーパ穴20を作製した(図13(a))。被加工物18としては、厚さが50μm、吸収係数αが1.43μm−1、アブレーション閾値Ithが100mJ/cmであるポリミドフィルムを用いた。
実施例1において用いたテーパ穴形成装置10の光学特性の詳細は以下のとおりである。
(1) 光源 レーザ光源:XeClエキシマレーザ、波長:308nm、発振時間(1パルスあたり):30ns 光強度:1110mJ/cm
(2) 振幅変調マスク 第1振幅変調単位領域の光透過率:1、第2振幅変調単位領域の光透過率:0
(3) 結像光学系 結像光学系倍率:1/5、結像側開口数(NA):0.15、コヒーレント
(4) コヒーレントファクタ 0.5
この場合、結像光学系17の点像分布範囲の半径R=1.25μmとなる。従って、振幅変調マスク14の振幅変調単位領域14eを結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域が、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう、振幅変調マスク14の振幅変調単位領域14eを一辺5μmの正方形(結像光学系17の結像面17fに換算した振幅変調単位換算領域は一辺1μmの正方形)に設定した。
まず、図7に示すフローチャートに基づき、実施例1において用いられる振幅変調マスク14の設計を行った。はじめに、被加工物18に形成するテーパ穴20の形状を入力した(S101)。なお、アブレーションの際に生じる飛散物の影響などにより生じるテーパ角度φとして5度が見積もられるため、S101において入力するテーパ角度φ(=φ−φ)は6度とした。次に、レーザ光の照射回数mを入力した(S102)。本実施例1において、レーザ光の照射回数mは35回とした。これによって、アブソレーションレートdが算出される(S103)。このアブソレーションレートdと〔数1〕とに基づき、所望形状を有するテーパ穴20を形成するために被加工物18に照射されるレーザ光の強度分布Iを算出した。算出したレーザ光の強度分布Iを図13(b)に示す。
次に、算出したレーザ光の強度分布Iと〔数9〕とに基づき、振幅変調マスク14の開口率D(a)を算出した(S105)。開口率D(a)は、振幅変調単位領域14eを単位として区分けされた領域ごとに算出された。その後、算出された開口率D(a)に基づいて、振幅変調マスク14のパターンを決定した(S106)。次に、決定されたパターンを有する振幅変調マスク14を作製した。得られた振幅変調マスク14のうち、その左上部分を図15に示す。
得られた振幅変調マスク14について詳細に説明する。図14に示すように、振幅変調マスク14は、テーパ穴20の貫通部20aに照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aの周縁に位置し、テーパ穴20のテーパ部20bに照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bと、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bの周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cとからなる。また、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cはそれぞれ、複数の振幅変調単位領域14eからなる。
このうち振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aの各振幅変調単位領域14eにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率は0.90である。このため、光源11から出射された光強度1110mJ/cmのレーザ光は、振幅変調マスク14の振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、結合光学系17を通過した後、約1000mJ/cmの光強度を有するレーザ光として被加工物18に照射される。
また振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cの各振幅変調単位領域14eにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率は0.05である。このため、光源11から出射された光強度1110mJ/cmのレーザ光は、振幅変調マスク14の振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14c、結合光学系17を通過した後、約60mJ/cmの光強度を有するレーザ光として被加工物18に照射される。なお、被加工物18のアブレーション閾値Ithは100mJ/cmであり、このため、約60mJ/cmの光強度を有するレーザ光が照射されても、被加工物18がアブレーションにより加工されることはない。
また図14に示すように、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bのうち、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aに隣接する領域にある振幅変調単位領域14eにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率は0.80である。そして、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率は、外方、すなわち振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cに向かうにつれて減少する。この結果、振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cに隣接する領域にある振幅変調単位領域14eにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率は0.10である。
次に、得られた振幅変調マスク14を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にテーパ穴20を形成した。得られたテーパ穴20を図13(c)に示す。このようにして、先端部20cにおける内径のばらつきが小さいテーパ穴20を、短い時間で作製することができた。
次に、図15を参照して、従来のテーパ穴形成装置10を用いた場合に得られたテーパ穴20を比較例として説明する。実施例1の場合と同様に、基端部20dの直径が50μm、テーパ部20bのテーパ角度φが11度のテーパ穴20を作製した(図15(a))。この場合のレーザ光の強度分布Iを図15(b)に示す。照射エネルギのピーク値400mJ/cmは、図18に示すテーパ角度と光強度の関係に基づいて算出された値である。
従来のテーパ穴形成装置10を用いた場合に得られたテーパ穴20を図15(c)に示す。この場合、得られたテーパ穴20の先端部20cにおける内径のばらつきが大きいことが確認された。これは、大きなテーパ角度を得るために照射エネルギ密度を小さくしたことに起因する。また、照射エネルギ密度を小さくしたため、テーパ穴20の作製に要する時間も長かった。
これに比べて、本発明の振幅変調マスク14を備えたテーパ穴形成装置10を用いた場は、先端部20cにおける内径のばらつきが小さいテーパ穴20を、短い時間で作製することができた。
(実施例2)
次に、実施例1における振幅変調マスク14を第2の実施の形態における位相変調マスク24に置き換えて、被加工物18にテーパ穴20を形成した例について、図16を参照して説明する。なお本実施例において、第1位相変調単位領域25aを通過したレーザ光と第2位相変調単位領域25bを通過したレーザ光との間の位相差が180度となるよう、位相変調マスク24の凹部の深さが設計されている。
図12に示すフローチャートに基づき、位相変調マスク24の設計を行った。はじめに、被加工物18に形成するテーパ穴20の形状を入力した(S201)。次に、レーザ光の照射回数m=35を入力した(S202)。これによって、アブソレーションレートdが算出され(S203)、このアブソレーションレートdと〔数1〕とに基づき、所望形状を有するテーパ穴20を形成するために被加工物18に照射されるレーザ光の強度分布Iを算出した。
次に、レーザ光の強度分布Iと〔数14〕とに基づき、位相変調マスク24の各位相変調単位領域24eにおける第2位相変調単位領域25bの面積率D(p)を算出した(S205)。面積率D(p)は、位相変調単位領域24eを単位として区分けされた領域ごとに算出された。その後、算出された面積率D(p)に基づいて、位相変調マスク24のパターンを決定した(S206)。次に、決定されたパターンを有する位相変調マスク24を作製した。得られた位相変調マスク24のうち、その左上部分を図16に示す。
得られた位相変調マスク24について詳細に説明する。図16に示すように、位相変調マスク24は、テーパ穴20の貫通部20aに照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aと、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aの周縁に位置し、テーパ穴20のテーパ部20bに照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bと、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bの周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cとからなる。また、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24a、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bおよび位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cはそれぞれ、複数の位相変調単位領域24eからなる。
このうち位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aの各位相変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は0.95であり、第2位相変調単位領域25bの占有率は0.05である。このため、光源11から出射された光強度1110mJ/cmのレーザ光は、位相変調マスク24の位相変調マスクテーパ穴形成中央部24a、結合光学系17を通過した後、約1000mJ/cmの光強度を有するレーザ光として被加工物18に照射される。
また位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cの各位相変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は0.5であり、第2位相変調単位領域25bの占有率は0.5である。このため、光源11から出射された光強度1110mJ/cmのレーザ光は、位相変調マスク24の位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24c、結合光学系17を通過した後、その光強度が0mJ/cmとなる。
また図16に示すように、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bのうち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域にある位相変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は0.90であり、第2位相変調単位領域25bの占有率は0.10である。そして、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は、外方、すなわち位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cに向かうにつれて減少する。この結果、位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cに隣接する領域にある位相変調単位領域14eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は0.55であり、第2位相変調単位領域25bの占有率は0.45である。
次に、得られた位相変調マスク24を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にテーパ穴20を形成した。これによって、実施例1の場合と同様に、先端部20cにおける内径のばらつきが小さいテーパ穴20を、短い時間で作製することができた。
(実施例3)
次に、実施例1における振幅変調マスク14を第3の実施の形態における振幅変調マスク14に置き換えて、図19に示すテーパ穴20を被加工物18に形成した例について説明する。
図19に示すテーパ穴20を形成するための振幅変調マスク14を設計した。なお図19に示すテーパ穴20の形状として、l=50μm、l=20μm、h=50μm、h=25μmを選択した。被加工物18の吸収係数およびアブレーション閾値は、実施例1の場合と同一である。また、レーザ光の照射回数を75回とし、レーザ光源12から出射される光の光強度を1000mJ/cmとした点を除いて、テーパ穴形成装置10の光学特性は実施例1の場合と同一である。
前述の実施例1の場合と同様にして、図7に示すフローチャートに基づき、本実施例において用いられる振幅変調マスク14の設計を行った。これによって得られた振幅変調マスク14のうち、その左上部分を図29に示す。
得られた振幅変調マスク14について詳細に説明する。図29に示すように、振幅変調マスク14は、テーパ穴20の貫通部20aに照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aの周縁に位置し、テーパ穴20のテーパ部20bに照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bと、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bの周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cとからなる。また、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14a、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bおよび振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cはそれぞれ、複数の振幅変調単位領域14eからなる。
この場合、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aのうち、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bに隣接する領域における第1振幅変調単位領域15aの占有率Ca10は0.90であり、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bのうち、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aに隣接する領域における第1振幅変調単位領域15aの占有率Ta10は0.50である。このため、振幅変調マスク14における第1振幅変調単位領域15aの占有率の分布において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aと振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bとの間の境界14fに、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aから降下する段部31bが形成されるとともに、
(Ca10−(Ta10≧0.05×(Ca10
の関係が満たされている。
また図29に示すように、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部14bにおける第1振幅変調単位領域15aの占有率は、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部14aに隣接する領域から振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部14cに隣接する領域に向かって減少している。
次に、得られた振幅変調マスク14を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にレーザ光を照射した。このときのレーザ光の光強度の分布は図24(b)に示すとおりである。また、照射されたレーザ光により被加工物18に形成されたテーパ穴は図24(a)に示すとおりである。図24(b)に示すように、被加工物18照射されたレーザ光の光強度は、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから光の傾斜部51bに向って一定の幅wをもって降下する段部53bを含むとともに、光の傾斜部51bにおいて、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって光強度が減少する減少部53cを含むよう分布している。このため、テーパ穴20の貫通部20aが形成される領域には高いエネルギを有する光を照射し、テーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域にはそれよりも不連続的に低いエネルギを有する光を照射することができた。このことにより、1つの振幅変調マスク14により、被加工物18に、光の照射方向に平行に延びるストレート部20eと、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部20eとなめらかにつなげられたテーパ部20bとを有するテーパ穴20を短い加工時間で精度良く形成することができた。
(実施例4)
次に、実施例2における位相変調マスク24を第4の実施の形態における位相変調マスク24に置き換えて、被加工物18にテーパ穴20を形成した例について、図30を参照して説明する。なお本実施例において、第1位相変調単位領域25aを通過したレーザ光と第2位相変調単位領域25bを通過したレーザ光との間の位相差が180度の奇数倍となるよう、位相変調マスク24の凹部の深さが設計されている。
図19に示すテーパ穴20を形成するための位相変調マスク24を設計した。なお図19に示すテーパ穴20の形状として、l=50μm、l=20μm、h=50μm、h=25μmを選択した。その他の条件、すなわち被加工物18の吸収係数およびアブレーション閾値、およびテーパ穴形成装置10の光学特性は実施例3の場合と同一である。
前述の実施例2の場合と同様にして、図12に示すフローチャートに基づき、本実施例において用いられる位相変調マスク24の設計を行った。これによって得られた位相変調マスク24のうち、その左上部分を図30に示す。
得られた位相変調マスク24について詳細に説明する。図30に示すように、位相変調マスク24は、テーパ穴20の貫通部20aに照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aと、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aの周縁に位置し、テーパ穴20のテーパ部20bに照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bと、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bの周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cとからなる。また、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24a、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bおよび位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cはそれぞれ、複数の位相変調単位領域24eからなる。
この場合、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aのうち、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bに隣接する領域における第1位相変調単位領域25aの占有率Cp10は0.95であり、第2位相変調単位領域25bの占有率Cp20は0.05である。また、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bのうち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域における第1位相変調単位領域25aの占有率Tp10は0.75であり、第2位相変調単位領域25bの占有率Tp20は0.25である。このため、位相変調マスク24における{(第1位相変調単位領域25aの占有率−第2位相変調単位領域25bの占有率)の絶対値}の分布において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aと位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bとの間の境界24fに、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aから降下する段部41bが形成されるとともに、
(Cp10−Cp20−(Tp10−Tp20≧0.05×(Cp10−Cp20
の関係が満たされている。
なお上式において、(Cp10−Cp20は、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aのうち、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bに隣接する領域により変調されたレーザ光の強度に比例している。このことは、上述の〔数14〕にθ=180度の奇数倍、D(p)=Cp20=1−Cp10を代入することにより得られる以下の〔数15〕から自明である。
Figure 0005440913
同様に、(Tp10−Tp20は、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bのうち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域により変調されたレーザ光の強度に比例している。また、位相変調マスク24のその他の領域についても、〔数15〕と同様の関係が成り立つのは自明である。すなわち、所定の位相変調単位領域24eにより変調されたレーザ光の光強度は、当該位相変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調単位領域25bの占有率の差の二乗に比例する。また、この関係はθが180度の奇数倍以外の場合においても成立する。
また図30に示すように、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域から位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cに隣接する領域に向かって減少している。一方、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部24bにおける第2位相変調単位領域25bの占有率は、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域から位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cに隣接する領域に向かって増加している。このため、{(第1位相変調単位領域25aの占有率−第2位相変調単位領域25bの占有率)の絶対値}は、位相変調マスクテーパ穴形成中央部24aに隣接する領域から位相変調マスクテーパ穴形成周縁部24cに隣接する領域に向かって減少している。
次に、得られた位相変調マスク24を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にレーザ光を照射した。このときのレーザ光の光強度の分布は図24(b)に示すとおりである。また、照射されたレーザ光により被加工物18に形成されたテーパ穴は図24(a)に示すとおりである。図24(b)に示すように、被加工物18照射されたレーザ光の光強度は、光の中央部51aと光の傾斜部51bとの間の境界51dにおいて、光の中央部51aから光の傾斜部51bに向って一定の幅wをもって降下する段部53bを含むとともに、光の傾斜部51bにおいて、光の中央部51aに隣接する領域から光の周縁部51cに隣接する領域に向かって光強度が減少する減少部53cを含むよう分布している。このため、テーパ穴20の貫通部20aが形成される領域には高いエネルギを有する光を照射し、テーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域にはそれよりも不連続的に低いエネルギを有する光を照射することができた。このことにより、1つの位相変調マスク24により、被加工物18に、光の照射方向に平行に延びるストレート部20eと、任意のテーパ角で先細になるとともにストレート部20eとなめらかにつなげられたテーパ部20bとを有するテーパ穴20を短い加工時間で精度良く形成することができた。
10 テーパ穴形成装置
11 光源
12 レーザ光源
13 照明光学系
14 振幅変調マスク
14a 振幅変調マスクテーパ穴形成中央部
14b 振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部
14c 振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部
14e 振幅変調単位領域
14f 中央部と傾斜部との間の境界
14g 傾斜部と周縁部との間の境界
15a 第1振幅変調単位領域
15b 第2振幅変調単位領域
16a 石英ガラス
16b 光遮蔽膜
17 結像光学系
17a 凸レンズ
17b 凸レンズ
17c 開口絞り
17e 円筒形
17f 結像面
17g 単位円
17h ベクトル
17k 開口部
17l 点像分布範囲
18 被加工物
18a テーパ穴の貫通部が形成される領域
18b テーパ穴のテーパ部が形成される領域
18c テーパ穴が形成されない領域
19 加工台
20 テーパ穴
20a テーパ穴の貫通部
20b テーパ穴のテーパ部
20c テーパ穴の先端部
20d テーパ穴の基端部
20e テーパ穴のストレート部
20f 底部分
24 位相変調マスク
24a 位相変調マスクテーパ穴形成中央部
24b 位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部
24c 位相変調マスクテーパ穴形成周縁部
24e 位相変調単位領域
24f 中央部と傾斜部との間の境界
24g 傾斜部と周縁部との間の境界
25a 第1位相変調単位領域
25b 第2位相変調単位領域
26 石英ガラス
31a 高位平坦部
31b 段部
31c 減少部
31d 低位平坦部
31e 二点鎖線
31f 減少部
31g 二点鎖線
41a 高位平坦部
41b 段部
41c 減少部
41d 低位平坦部
41e 二点鎖線
43a 高位平坦部
43b 段部
43c 減少部
43d 低位平坦部
44a 低位平坦部
44b 段部
44c 増加部
44d 高位平坦部
51a 光の中央部
51b 光の傾斜部
51c 光の周縁部
51d 中央部と傾斜部との間の境界
51e 傾斜部と周縁部との間の境界
53a 光強度の高位平坦部
53b 光強度の段部
53c 光強度の減少部
53d 光強度の低位平坦部
53e 二点鎖線
55 ピーク
100 従来のテーパ穴形成装置
101 光源
102 レーザ光源
103 照明光学系
104 マスク
105 石英ガラス層
106 光遮蔽膜
106a 開口部
107 結像光学系
108 ノズル形成用シート
109 ステージ
110 ノズル
110b ノズルのテーパ部
110c ノズルの先端部
111 第1の変調マスク
111a 石英ガラス層
111b 光遮蔽膜
111c 開口部
112 第2の変調マスク
112a 石英ガラス層
112b 光遮蔽膜
112c 開口部

Claims (25)

  1. 光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、振幅変調マスクまたは位相変調マスクからなり、
    前記変調マスクは、複数の変調単位領域からなり、
    前記変調マスクにより変調され出射された光は、前記変調単位領域に基づく光強度分布を有し、
    被加工物に照射される光の光強度は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光の中央部と、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光の傾斜部と、被加工物においてテーパ穴が形成されない領域に照射される光の周縁部とで異なり、
    前記光の中央部の光強度は、前記光の傾斜部の光強度よりも大きく、
    前記光の傾斜部の光強度は、前記光の周縁部の光強度よりも大きく、
    前記光の傾斜部における光強度の分布は、光の傾斜部のうち前記光の中央部に隣接する領域から前記光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布しており、
    前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義されることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  2. 光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、振幅変調マスクまたは位相変調マスクからなり、
    前記変調マスクは、複数の変調単位領域からなり、
    前記変調マスクにより変調され出射された光は、前記変調単位領域に基づく光強度分布を有し、
    被加工物に照射される光の光強度は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光の中央部と、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光の傾斜部と、被加工物においてテーパ穴が形成されない領域に照射される光の周縁部とで異なり、
    前記光の中央部の光強度は、前記光の傾斜部の光強度よりも大きく、
    前記光の傾斜部の光強度は、前記光の周縁部の光強度よりも大きく、
    光強度の分布は、前記光の中央部と前記光の傾斜部との間の境界において、光の中央部から降下する段部を含むとともに、光の傾斜部において、光の中央部に隣接する領域から前記光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布しており、
    前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義されることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  3. 光の傾斜部における光強度の分布は、光の中央部に隣接する領域から前記光の周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布しているとともに、光の傾斜部における光強度の分布の減少率は、光の中央部に隣接する領域から光の周縁部に隣接する領域に向かうにつれて小さくなることを特徴とする請求項2に記載のテーパ穴形成装置。
  4. 光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、振幅変調マスクまたは位相変調マスクからなり、
    前記変調マスクは、複数の変調単位領域からなり、
    前記変調マスクにより変調され出射された光は、前記変調単位領域に基づく光強度分布を有し、
    被加工物に照射される光の光強度は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光の中央部と、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光の傾斜部と、被加工物においてテーパ穴が形成されない領域に照射される光の周縁部とで異なり、
    前記光の中央部の光強度は、前記光の傾斜部の光強度よりも大きく、
    前記光の傾斜部の光強度は、前記光の周縁部の光強度よりも大きく、
    光強度の分布は、前記光の中央部と前記光の傾斜部との間の境界において、光の中央部から降下する段部を含むとともに、光の傾斜部において、光の中央部に隣接する領域から前記光の周縁部に隣接する領域に向かって光強度が減少するよう分布しており、
    前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、
    光強度の分布に含まれる前記段部の幅は、2×Rよりも小さいことを特徴とするテーパ穴形成装置。
  5. 光の傾斜部における光強度の分布は、光の中央部に隣接する領域から前記光の周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布しているとともに、光の傾斜部における光強度の分布の減少率は、光の中央部に隣接する領域から光の周縁部に隣接する領域に向かうにつれて小さくなることを特徴とする請求項に記載のテーパ穴形成装置。
  6. 光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を振幅変調して出射する平板状の振幅変調マスクと、
    前記振幅変調マスクの出射側に設けられ、振幅変調マスクにより振幅変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記振幅変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、
    前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、
    前記振幅変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、
    前記振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域と、からなり、
    前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部における第1振幅変調単位領域の占有率をCa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1振幅変調単位領域の占有率をTa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係を満たし、 前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部におけるTaの分布は、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かってTaが減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  7. 光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を振幅変調して出射する平板状の振幅変調マスクと、
    前記振幅変調マスクの出射側に設けられ、振幅変調マスクにより振幅変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記振幅変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、
    前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、
    前記振幅変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、
    前記振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域と、からなり、
    前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部における第1振幅変調単位領域の占有率をCa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1振幅変調単位領域の占有率をTa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係を満たし、 第1振幅変調単位領域の占有率の分布は、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含むとともに、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  8. 前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部のうち、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部に隣接する領域における第1振幅変調単位領域の占有率をCa10とし、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域における第1振幅変調単位領域の占有率をTa10とするとき、
    (Ca10−(Ta10≧0.05×(Ca10の関係を満たすことを特徴とする請求項7に記載のテーパ穴形成装置。
  9. 前記第1振幅変調単位領域の第1の光透過率は1であり、
    前記第2振幅変調単位領域の第2の光透過率は0であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のテーパ穴形成装置。
  10. 前記第1振幅変調単位領域は、光透過性基板からなり、
    前記第2振幅変調単位領域は、光透過性基板に金属もしくは金属酸化物もしくは金属と金属酸化物の積層体からなる光遮蔽膜をパターンニングした積層体からなることを特徴とする請求項9に記載のテーパ穴形成装置。
  11. 光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を位相変調して出射する平板状の位相変調マスクと、
    前記位相変調マスクの出射側に設けられ、位相変調マスクにより位相変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記位相変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部と、各位相変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、
    前記位相変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、
    前記位相変調マスクの前記変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域と、からなり、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部における第1位相変調単位領域の占有率をCp、第2位相変調単位領域の占有率をCpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1位相変調単位領域の占有率をTp、第2位相変調単位領域の占有率をTpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域の占有率をFp、第2位相変調単位領域の占有率をFpとするとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係を満たし、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部におけるTpおよびTpの分布は、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって{(Tp−Tp)の絶対値}が減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  12. 光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を位相変調して出射する平板状の位相変調マスクと、
    前記位相変調マスクの出射側に設けられ、位相変調マスクにより位相変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記位相変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部と、各位相変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、
    前記位相変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、
    前記位相変調マスクの前記変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域と、からなり、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部における第1位相変調単位領域の占有率をCp、第2位相変調単位領域の占有率をCpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1位相変調単位領域の占有率をTp、第2位相変調単位領域の占有率をTpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域の占有率をFp、第2位相変調単位領域の占有率をFpとするとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係を満たし、
    {(第1位相変調単位領域の占有率−第2位相変調単位領域の占有率)の絶対値}の分布は、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部と前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含むとともに、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布していることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  13. 前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部のうち、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部に隣接する領域における第1位相変調単位領域の占有率をCp10、第2位相変調単位領域の占有率をCp20とし、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域における第1位相変調単位領域の占有率をTp10、第2位相変調単位領域の占有率をTp20とするとき、
    (Cp10−Cp20−(Tp10−Tp20≧0.05×(Cp10−Cp20
    の関係を満たすことを特徴とする請求項12に記載のテーパ穴形成装置。
  14. 前記第1位相変調単位領域の第1の位相変調量と、前記第2位相変調単位領域の第2の位相変調量とが180度異なることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のテーパ穴形成装置。
  15. 前記第1位相変調単位領域の第1の位相変調量と、前記第2位相変調単位領域の第2の位相変調量とが180度の奇数倍だけ異なることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のテーパ穴形成装置。
  16. 光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を振幅変調して出射する平板状の振幅変調マスクと、
    前記振幅変調マスクの出射側に設けられ、振幅変調マスクにより振幅変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置、
    に組み込まれた振幅変調マスクにおいて、
    前記振幅変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、
    前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、
    前記振幅変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、
    前記振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域と、からなり、
    前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部における第1振幅変調単位領域の占有率をCa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1振幅変調単位領域の占有率をTa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係を満たし、 前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部におけるTaの分布は、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かってTaが減少するよう分布していることを特徴とする振幅変調マスク。
  17. 光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を振幅変調して出射する平板状の振幅変調マスクと、
    前記振幅変調マスクの出射側に設けられ、振幅変調マスクにより振幅変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置、
    に組み込まれた振幅変調マスクにおいて、
    前記振幅変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、
    前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部および振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の振幅変調単位領域からなり、振幅変調マスクにより振幅変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記振幅変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、
    前記振幅変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した振幅変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、
    前記振幅変調単位領域は、第1の光透過率を有する第1振幅変調単位領域と、第1の光透過率よりも小さい第2の光透過率を有する第2振幅変調単位領域と、からなり、
    前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部における第1振幅変調単位領域の占有率をCa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1振幅変調単位領域の占有率をTa、前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1振幅変調単位領域の占有率をFaとするとき、Ca>Ta>Faの関係を満たし、 第1振幅変調単位領域の占有率の分布は、前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部と前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含むとともに、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部において、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記振幅変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布していることを特徴とする振幅変調マスク。
  18. 前記振幅変調マスクテーパ穴形成中央部のうち、前記振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部に隣接する領域における第1振幅変調単位領域の占有率をCa10とし、振幅変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち、振幅変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域における第1振幅変調単位領域の占有率をTa10とするとき、
    (Ca10−(Ta10≧0.05×(Ca10の関係を満たすことを特徴とする請求項17に記載の振幅変調マスク。
  19. 前記第1振幅変調単位領域の第1の光透過率が1であり、
    前記第2振幅変調単位領域の第2の光透過率が0であることを特徴とする請求項16乃至18のいずれかに記載の振幅変調マスク。
  20. 前記第1振幅変調単位領域は、光透過性基板からなり、
    前記第2振幅変調単位領域は、光透過性基板に金属もしくは金属酸化物もしくは金属と金属酸化物の積層体からなる光遮蔽膜をパターンニングした積層体からなることを特徴とする請求項19に記載の振幅変調マスク。
  21. 光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を位相変調して出射する平板状の位相変調マスクと、
    前記位相変調マスクの出射側に設けられ、位相変調マスクにより位相変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置、
    に組み込まれた位相変調マスクにおいて、
    前記位相変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部と、各位相変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、
    前記位相変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、
    前記位相変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域と、からなり、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部における第1位相変調単位領域の占有率をCp、第2位相変調単位領域の占有率をCpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1位相変調単位領域の占有率をTp、第2位相変調単位領域の占有率をTpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域の占有率をFp、第2位相変調単位領域の占有率をFpとするとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係を満たし、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部におけるTpおよびTpの分布は、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって{(Tp−Tp)の絶対値}が減少するよう分布していることを特徴とする位相変調マスク。
  22. 光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を位相変調して出射する平板状の位相変調マスクと、
    前記位相変調マスクの出射側に設けられ、位相変調マスクにより位相変調された光を結像して被加工物に照射し、被加工物にテーパ穴を形成する結像光学系と、を備え、
    前記光源から出射された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する少なくとも1つの先細状テーパ穴を形成するテーパ穴形成装置、
    に組み込まれた位相変調マスクにおいて、
    前記位相変調マスクは、前記テーパ穴の貫通部若しくは底部分に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成中央部と、各位相変調マスクテーパ穴形成中央部の周縁に位置し、テーパ穴のテーパ部に照射される光を変調する位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部と、各位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部の周縁に位置する位相変調マスクテーパ穴形成周縁部と、からなり、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部および位相変調マスクテーパ穴形成周縁部はそれぞれ複数の位相変調単位領域からなり、位相変調マスクにより位相変調され出射された光は、前記結像光学系の結像面に前記位相変調単位領域に基づく光強度分布を生成し、
    前記位相変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した位相変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さく、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rは、光の中心波長をλとし、結像光学系の出射側の開口数をNAとするとき、R=0.61λ/NAで定義され、
    前記位相変調単位領域は、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域と、第2の位相変調量を有する第2位相変調単位領域と、からなり、
    前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部における第1位相変調単位領域の占有率をCp、第2位相変調単位領域の占有率をCpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部における第1位相変調単位領域の占有率をTp、第2位相変調単位領域の占有率をTpとし、前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部における第1位相変調単位領域の占有率をFp、第2位相変調単位領域の占有率をFpとするとき、{(Cp−Cp)の絶対値}>{(Tp−Tp)の絶対値}>{(Fp−Fp)の絶対値}の関係を満たし、
    {(第1位相変調単位領域の占有率−第2位相変調単位領域の占有率)の絶対値}の分布は、前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部と前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部との間の境界において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部から降下する段部を含むとともに、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部において、位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域から前記位相変調マスクテーパ穴形成周縁部に隣接する領域に向かって減少するよう分布していることを特徴とする位相変調マスク。
  23. 前記位相変調マスクテーパ穴形成中央部のうち、前記位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部に隣接する領域における第1位相変調単位領域の占有率をCp10、第2位相変調単位領域の占有率をCp20とし、位相変調マスクテーパ穴形成傾斜部のうち、位相変調マスクテーパ穴形成中央部に隣接する領域における第1位相変調単位領域の占有率をTp10、第2位相変調単位領域の占有率をTp20とするとき、
    (Cp10−Cp20−(Tp10−Tp20≧0.05×(Cp10−Cp20
    の関係を満たすことを特徴とする請求項22に記載の位相変調マスク。
  24. 前記第1位相変調単位領域の第1の位相変調量と、前記第2位相変調単位領域の第2の位相変調量とが180度異なることを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の位相変調マスク。
  25. 前記第1位相変調単位領域の第1の位相変調量と、前記第2位相変調単位領域の第2の位相変調量とが180度の奇数倍だけ異なることを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の位相変調マスク。
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