JP5424125B2 - 光照射装置および変調マスク - Google Patents

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Description

本発明は、光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置に関する。また本発明は、光照射装置に用いられる変調マスクに関する。
近年、電子機器などで用いられる部品において、部品(被照射物)を様々な形状に高精度で光加工することが求められている。例えば、プリンタなどに使用されるインクジェットヘッドにおいては、良好なインクの吐出性能を得るために、インクジェットヘッドのノズルまたはインク流路などを精密に光加工することが求められる。
被照射物を精密に加工する方法として、アブレーションを利用したレーザ加工方法が知られている。例えば特許文献1において、レーザ光源と、レーザ光を整形するビーム整形光学系と、被照射物の加工形状に対応した所定のパターンを有するマスクと、マスクのパターン像を被照射物の照射面上に所定の倍率で結像させる結像光学系と、を用いたレーザ加工方法が提案されている。特許文献1に記載のレーザ加工方法において、マスクは、結像光学系での分解能を上記の所定の倍率で割った値よりも小さい減光部を有している。このため、減光部の配置の仕方によって、マスクを通って被照射物に照射される光の強度分布を任意に設定することが可能となっている。
特開平10−118782号公報
ところで、レーザ加工においては、略円形の等強度線を有する光を被照射物に対して照射することにより、被照射物を円形に加工することが求められる場合がある。例えばインクジェットヘッドのノズルにおいては、良好なインクの吐出性能を得るため、ノズルの断面の輪郭が円形であることが求められる。
しかしながら、特許文献1に記載のレーザ加工方法においては、減光部が格子状に配置されている。このため、マスク上に仮想的な円環状の円周方向線を配置した場合、当該円上における減光部のパターンは、円周方向線に沿った周期的なパターンとはなっていない。従って、マスクから出射される光の等強度線は、完全な円形にはならず、このため、当該マスクから出射される光によってノズルを作製した場合、ノズルの断面の輪郭が完全な円形にはならないと考えられる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置を提供することを目的とする。また本発明は、当該光照射装置に用いられる変調マスクを提供することを目的とする。
第1の本発明は、光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、前記変調領域は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の第1変調単位領域と、各第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する第2変調領域と、を有し、前記第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの第1変調単位領域の面積は略一定となっていることを特徴とする光照射装置である。また第1の本発明は、当該光照射装置に用いられる変調マスクである。
第1の本発明によれば、変調マスクの変調領域において、多数の第1変調単位領域は、円周方向線上で隣り合う2つの第1変調単位領域の中心間の円周方向距離が略一定となるよう配置されている。このため、変調領域のパターンは、円周方向における周期性を有している。また、各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの第1変調単位領域の面積は略一定となっている。このため、円周方向線に沿って見た場合の第1変調単位領域の占有率が略一定となっている。このことにより、略円形の等強度線を有する光を被照射物に照射することができる。
第2の本発明は、光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、前記変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部を含み、前記変調マスク傾斜部は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調単位領域と、各傾斜部第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する傾斜部第2変調領域と、を有し、前記傾斜部第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの傾斜部第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの傾斜部第1変調単位領域の面積は略一定となっており、前記傾斜部第1変調単位領域の面積は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする光照射装置である。また第2の本発明は、当該光照射装置に用いられる変調マスクである。
第2の本発明によれば、変調マスクの変調領域の変調マスク傾斜部において、多数の傾斜部第1変調単位領域は、円周方向線上で隣り合う2つの傾斜部第1変調単位領域の中心間の円周方向距離が略一定となるよう配置されている。このため、変調領域の変調マスク傾斜部のパターンは、円周方向における周期性を有している。また、各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの傾斜部第1変調単位領域の面積は略一定となっている。このため、円周方向線に沿って見た場合の傾斜部第1変調単位領域の占有率が略一定となっている。また、傾斜部第1変調単位領域の面積は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少している。このことにより、略円形の等強度線を有するとともに、外方に向かうにつれて強度が単調に増加または減少する光を被照射物に照射することができる。
第2の本発明において、前記変調マスク傾斜部は、所定の面積を有するとともに、各々が、1つの前記傾斜部第1変調単位領域と、傾斜部第2変調領域とを含む、複数の変調単位領域に区画され得る。この場合、前記傾斜部第1変調単位領域の第1の変調量および前記傾斜部第2変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、前記変調単位領域における前記傾斜部第1変調単位領域の占有率と前記傾斜部第2変調領域の占有率との差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少していてもよい。
第2の本発明において、前記傾斜部第1変調単位領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含み、前記傾斜部第1変調単位領域の面積が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加していてもよい。
第3の本発明は、光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、前記変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部を含み、前記変調マスク傾斜部は、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調スポーク領域と、各傾斜部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調スポーク領域と、を有し、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっており、前記傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする光照射装置である。また第3の本発明は、当該光照射装置に用いられる変調マスクである。
第3の本発明によれば、変調マスクの変調領域の変調マスク傾斜部において、多数の傾斜部第1変調スポーク領域は、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離が略一定となるよう配置されている。このため、変調領域の変調マスク傾斜部のパターンは、円周方向における周期性を有している。また、各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の面積は略一定となっている。このため、円周方向線に沿って見た場合の傾斜部第1変調スポーク領域の占有率が略一定となっている。また、傾斜部第1変調スポーク領域の面積は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少している。このことにより、略円形の等強度線を有するとともに、外方に向かうにつれて強度が単調に増加または減少する光を被照射物に照射することができる。
第2の本発明において、前記変調マスク傾斜部は、前記傾斜部第1変調単位領域および前記傾斜部第2変調領域よりも外側に配置され、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調スポーク領域と、各傾斜部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調スポーク領域と、をさらに有していてもよい。この場合、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっており、前記傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少している。
第2および第3の本発明において、前記傾斜部第1変調スポーク領域の第1の変調量および前記傾斜部第2変調スポーク領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さと、当該傾斜部第1変調スポーク領域に円周方向において隣接するよう形成された傾斜部第2変調スポーク領域の円周方向長さとの差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少していてもよい。
第2および第3の本発明において、前記傾斜部第1変調スポーク領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含み、前記傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さが、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加していてもよい。
第4の本発明は、光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、前記変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部を含み、前記変調マスク傾斜部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調リング領域と、各傾斜部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調リング領域と、を有し、隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、前記傾斜部第1変調リング領域の半径方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする光照射装置である。また第4の本発明は、当該光照射装置に用いられる変調マスクである。
第4の本発明によれば、変調マスクの変調領域の変調マスク傾斜部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調リング領域を有している。このため、変調領域の変調マスク傾斜部のパターンは、円周方向における周期性を有している。また、傾斜部第1変調リング領域の面積は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少している。このことにより、略円形の等強度線を有するとともに、外方に向かうにつれて強度が単調に増加または減少する光を被照射物に照射することができる。
第2の本発明において、前記変調マスク傾斜部は、前記傾斜部第1変調単位領域および前記傾斜部第2変調領域よりも外側に配置され、かつ半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調リング領域と、各傾斜部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調リング領域と、をさらに有していてもよい。この場合、隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、前記傾斜部第1変調リング領域の半径方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少している。
第2および第4の本発明において、前記傾斜部第1変調リング領域の第1の変調量および前記傾斜部第2変調リング領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、傾斜部第1変調リング領域の半径方向長さと、当該傾斜部第1変調リング領域に隣接して形成された傾斜部第2変調リング領域の半径方向長さとの差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少していてもよい。
第2および第4の本発明において、前記傾斜部第1変調リング領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含み、前記傾斜部第1変調リング領域の半径方向長さが、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加していてもよい。
第2乃至第4の本発明において、前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部をさらに含んでいてもよい。この場合、前記変調マスク周縁部は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調単位領域と、各周縁部第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する周縁部第2変調領域と、を有し、前記周縁部第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、前記変調マスク周縁部の各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの周縁部第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、前記変調マスク周縁部において、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、各周縁部第1変調単位領域の面積は略同一となっていてもよい。
第2乃至第4の本発明において、前記周縁部第1変調単位領域の第1の変調量および前記周縁部第2変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、前記変調マスク周縁部において、前記周縁部第1変調単位領域の占有率と前記周縁部第2変調領域の占有率とが略同一となっていてもよい。
第2乃至第4の本発明において、前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部をさらに含んでいてもよい。この場合、前記変調マスク周縁部は、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調スポーク領域と、各周縁部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調スポーク領域と、を有し、円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっていてもよい。
第2乃至第4の本発明において、前記周縁部第1変調スポーク領域の第1の変調量および前記周縁部第2スポーク変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さと、各周縁部第2変調スポーク領域の円周方向長さとが略同一となっていてもよい。
第2乃至第4の本発明において、前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部をさらに含んでいてもよい。この場合、前記変調マスク周縁部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調リング領域と、各周縁部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調リング領域と、を有し、隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さは略同一となっていてもよい。
第2乃至第4の本発明において、前記周縁部第1変調リング領域の第1の変調量および前記周縁部第2リング変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さと、各周縁部第2変調リング領域の半径方向長さとが略同一となっていてもよい。
第2乃至第4の本発明において、前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部をさらに含み、前記変調マスク周縁部は、光を遮蔽する光遮蔽層を含んでいてもよい。
第5の本発明は、光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、前記変調領域は、変調領域と同一の外側の輪郭を有する変調マスク周縁部を含み、前記変調マスク周縁部は、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調スポーク領域と、各周縁部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調スポーク領域と、を有し、円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっていることを特徴とする光照射装置である。また第5の本発明は、当該光照射装置に用いられる変調マスクである。
第5の本発明によれば、変調マスクの変調領域の変調マスク周縁部において、多数の周縁部第1変調スポーク領域は、円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離が略一定となるよう配置されている。このため、変調領域の変調マスク周縁部のパターンは、円周方向における周期性を有している。また、各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっている。このことにより、略円形の等強度線を有する光を被照射物に照射することができる。
第5の本発明において、前記周縁部第1変調スポーク領域の第1の変調量および前記周縁部第2スポーク変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さと、各周縁部第2変調スポーク領域の円周方向長さとが略同一となっていてもよい。
第6の本発明は、光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、光を出射する光源と、前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、前記変調領域は、変調領域と同一の外側の輪郭を有する変調マスク周縁部を含み、前記変調マスク周縁部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調リング領域と、各周縁部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調リング領域と、を有し、隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さは略同一となっていることを特徴とする光照射装置である。また第6の本発明は、当該光照射装置に用いられる変調マスクである。
第6の本発明によれば、変調マスクの変調領域の変調マスク周縁部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調リング領域を有している。このため、変調領域の変調マスク周縁部のパターンは、円周方向における周期性を有している。また、各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さは略同一となっている。このことにより、略円形の等強度線を有する光を被照射物に照射することができる。
第6の本発明において、前記周縁部第1変調リング領域の第1の変調量および前記周縁部第2リング変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さと、各周縁部第2変調リング領域の半径方向長さとが略同一となっていてもよい。
第2乃至第6の本発明において、前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部または前記変調マスク周縁部の内縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク中央部をさらに含んでいてもよい。この場合、前記変調マスク中央部は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の中央部第1変調単位領域と、各中央部第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する中央部第2変調領域と、を有し、前記中央部第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、前記変調マスク中央部の各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの中央部第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、前記変調マスク中央部において、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、各中央部第1変調単位領域の面積が略同一となっていてもよい。
第2乃至第6の本発明において、前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部または前記変調マスク周縁部の内縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク中央部をさらに含み、前記変調マスク中央部における変調量は、変調マスク中央部の全域にわたって均一となっていてもよい。
第1乃至第6の本発明において、前記変調マスクの前記変調領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含む非変調領域により囲まれていてもよい。
本発明によれば、光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置を提供することができる。
図1は、本発明による光照射装置を示す図。 図2は、本発明の第1の実施の形態における変調マスクを示す平面図、図2(b)は、図2(a)の変調マスクをIIb−IIb方向から見た断面図。 図3は、本発明の第1の実施の形態における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図4は、図3の変調領域において枠IVで囲まれた部分を拡大して示す図。 図5は、図4の変調領域を複数の仮想的な変調単位領域に区画した場合を示す図。 図6は、図5の変調領域をVI−VI方向から見た断面図。 図7(a)は、結像光学系から出射された光の被加工物に対する結像面を示す図、図7(b)は、結像面における点像分布関数を示す図、図7(c)は、結像面における点像分布関数と、変調マスクの変調領域における変調単位領域との関係を示す図、図7(d)は、結像面の点像分布関数内における光強度の概念を示す図。 図8(a)は、結像光学系における瞳関数を示す図、図8(b)は、結像面における点像分布関数を示す図。 図9(a)は、本発明の第1の実施の形態において、被照射物に形成されるテーパ穴を示す縦断面図、図9(b)は、被照射物に形成されるテーパ穴を示す平面図。 図10(a)(b)は、被照射物に照射される光と、被照射物に形成されるテーパ穴との対応を示す図、図10(c)は、被照射物に照射される光のエネルギー密度と、被照射物に形成されるテーパ穴のテーパ角度との関係を示す図。 図11は、本発明の第1の実施の形態において、変調マスクの変調領域を設計する手順を示すフローチャート。 図12は、本発明の第1の実施の形態において、変調マスクの変調領域のパターンを設計するための手順を詳細に示すフローチャート。 図13は、本発明の第1の実施の形態において、被照射物に照射される光の強度分布を示す図。 図14は、本発明の第2の実施の形態における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図15は、図14の変調領域において枠XVで囲まれた部分を拡大して示す図。 図16は、図15の変調領域をXVI−XVI方向から見た断面図。 図17(a)は、本発明の第3の実施の形態において、被照射物に形成される多数のマイクロレンズを示す平面図、図17(b)は、被照射物に形成される多数のマイクロレンズを示す断面図、図17(c)は、図17(b)のマイクロレンズを形成するために被照射物に照射される光の強度分布を示す図。 図18は、本発明の第3の実施の形態における変調マスクを示す平面図、図18(b)は、図18(a)の変調マスクをXVIIIb−XVIIIb方向から見た断面図。 図19は、本発明の第3の実施の形態における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図20は、図19の変調領域において枠XXで囲まれた部分を拡大して示す図。 図21は、図20の変調領域をXXI−XXI方向から見た断面図。 図22は、本発明の第3の実施の形態において、変調マスクの変調領域を設計する手順を示すフローチャート。 図23は、本発明の第3の実施の形態において、被照射物に照射される光の強度分布を示す図。 図24は、比較の形態における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図25は、比較の形態において、被照射物に照射される光の強度分布を示す図。 図26は、本発明の第3の実施の形態の変形例における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図27は、図26の変調領域において枠XXVIIで囲まれた部分を拡大して示す図。 図28は、本発明の第3の実施の形態の変形例において、被照射物に照射される光の強度分布を示す図。 図29は、本発明の第3の実施の形態のその他の変形例における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図30は、図29の変調領域において枠XXXで囲まれた部分を拡大して示す図。 図30Aは、図30に示す第1位相変調リング領域の変形例を示す図。 図31は、本発明の第3の実施の形態のその他の変形例において、被照射物に照射される光の強度分布を示す図。 図32は、変調マスク傾斜部のさらなる変形例を示す図。 図33は、変調マスク傾斜部のさらなる変形例を示す図。 図34(a)は、本発明の第4の実施の形態における変調マスクを示す平面図、図34(b)は、図34(a)に示す変調マスクと、被照射物に形成されるテーパ穴との対応を示す図、図34(c)は、図34(b)のテーパ穴を形成するために被照射物に照射される光の強度分布を示す図。 図35は、本発明の第4の実施の形態における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図36は、本発明の第4の実施の形態において、変調マスクの非変調領域を形成する方法を示す図。 図37は、本発明の第4の実施の形態において、変調マスクの変調領域を形成する方法を示す図。 図38(a)(b)(c)は、本発明の第4の実施の形態において、被照射物に形成されるテーパ穴と、被照射物に照射される光の強度分布との対応を示す図。 図39は、本発明の第4の実施の形態における変調マスクの変調領域の変形例を示す平面図。 図40は、本発明の第4の実施の形態における変調マスクの変調領域の変形例を示す平面図。 図41は、本発明の第4の実施の形態における変調マスクの変調領域の変形例を示す平面図。 図42は、本発明の第4の実施の形態における変調マスクの変調領域の変形例を示す平面図。 図43は、本発明の第4の実施の形態における変調マスクの変調領域の変形例を示す平面図。 図44(a)は、実施例1において、被照射物に形成されたテーパ穴の形状を示す縦断面図、図44(b)は、図44(a)に示すテーパ穴を形成するために被照射物に照射された光の強度分布を示す図、図44(c)は、光の強度分布を図44(b)の線XXXXIVcに沿って示す図。 図45は、実施例1における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図46(a)は、実施例2において、被照射物に形成されたテーパ穴の形状を示す縦断面図、図46(b)は、図46(a)に示すテーパ穴を形成するために被照射物に照射された光の強度分布を示す図、図46(c)は、光の強度分布を図46(b)の線XXXXVIcに沿って示す図。 図47は、実施例2における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図48(a)は、実施例3において、被照射物に形成されたテーパ穴の形状を示す縦断面図、図48(b)は、図48(a)に示すテーパ穴を形成するために被照射物に照射された光の強度分布を示す図、図48(c)は、光の強度分布を図48(b)の線XXXXVIIIcに沿って示す図。 図49は、実施例3における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図50は、実施例4における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図51は、実施例5における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図52は、実施例6における変調マスクの変調領域を示す平面図。
第1の実施の形態
以下、図1乃至図13を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。
(被照射物およびテーパ穴)
はじめに、図9を参照して、本実施の形態における光照射装置10からの光が照射される被照射物18、および、光照射装置10を加工装置として用いた場合に、被照射物18に形成されるテーパ穴20について説明する。図9(a)は、被照射物18に形成されるテーパ穴20を示す縦断面図であり、図9(b)は、被照射物18に形成されるテーパ穴20を示す平面図である。
図9(a)(b)に示すように、被照射物18は、平板状の形状を備えるとともに、基本樹脂18dと、当該基本樹脂18dに添加されたフィラー18eとを有している。また図9(a)(b)に示すように、被照射物18に形成されるテーパ穴20は、貫通部20aと、テーパ穴20の基端部20dから先端部20cに向って貫通部20aが先細となるよう傾斜した面からなる傾斜部20bとを有している。ここで傾斜部20bの傾斜角度は、図9(a)に示すように角度φとなっている。なお図9(a)においては、被照射物18の上面側にのみフィラー18eが添加されている例を示したが、これに限られることはなく、被照射物18の下面側にフィラー18eが添加されていてもよい。また、被照射物18全体にわたってフィラー18eが添加されていてもよい。または、フィラー18eが添加されていなくてもよい。
被照射物18の基本樹脂18dの材料としては、加工性および物理的安定性の良い材料が用いられる。例えば被照射物18を加工してインクジェットヘッドのノズルを製造する場合、基本樹脂18dとしてポリイミドなどが用いられる。また、基本樹脂18dに添加されるフィラー18eとしては、被照射物18の易滑性を高めることができる材料が用いられ、例えばシリカや炭酸カルシウムの粒子などが用いられる。このようなフィラー18eを基本樹脂18dに添加することにより、被照射物18同士の滑りを良くすることができ、これによって、被照射物18にテーパ穴20を形成する際の作業性などを向上させることができる。
光照射装置10から被照射物18に照射される光の強度分布を図10(a)に示す。図10(a)(b)に示すように、被照射物18のテーパ穴20が形成されるべき領域には所定の高いエネルギー密度を有する光が照射され、一方、被照射物18のそれ以外の領域には、被照射物18のアブレーション閾値よりも小さいエネルギー密度を有する光が照射される。このような2値のエネルギー密度からなる強度分布を有する光が被照射物18に照射される場合、被照射物18に形成されるテーパ穴20のテーパ角度φと、テーパ穴20が形成されるべき領域に照射される光の照射エネルギー密度との間に、図10(c)に示す関係が成立することが知られている(例えば、特開2002−67333号公報参照)。従って、被照射物18に照射される光のエネルギー密度を調整することにより、所望のテーパ角度φを有するテーパ穴を形成することが可能となる。
(光照射装置)
次に、図1を参照して、光照射装置10全体について説明する。図1は、本発明における光照射装置10を示す図である。図1に示すように、光照射装置10は、被照射物18を載置する載置台19と、光を出射するマスク照明系11と、マスク照明系11の出射側に設けられ、マスク照明系11からの光を変調して出射する変調マスク21と、変調マスク21の出射側に設けられ、変調マスク21により変調された光を結像して、略円形の等強度線を有する光を被照射物18に照射する結像光学系17と、を備えている。
このうちマスク照明系11は、パルス状のレーザ光を出射するレーザ光源12と、レーザ光源12からのレーザ光の光強度分布を均一化する照明光学系13とを有している。具体的には、レーザ光源12は、308nmの波長を有する光を供給するXeClエキシマレーザ光源12からなる。また照明光学系13は、レーザ光源12からの光の面内強度分布を均一化するとともに、照明光学系13から変調マスク21に入射される光の入射角度分布を均一化するものであり、フライアイレンズ(図示せず)と、コンデンサ光学系(図示せず)とを有している。
変調マスク21は、前述のとおり、マスク照明系11の出射側に設けられ、マスク照明系11からの光を変調して出射するものである。詳細については後述する。
変調マスク21において変調されたレーザ光は、変調マスク21の出射側に設けられた結像光学系17に入射される。結像光学系17は、変調マスク21により変調された光を結像して被照射物18に照射するものであり、図1に示すように、凸レンズ17aと、凸レンズ17bと、両レンズ17a、17bの間に設けられた開口絞り17cとを有している。なお開口絞り17cの開口部17kの大きさは、実質的に結像光学系17の像側開口数NAに対応している。後述するように、当該開口部17kの大きさは、被照射物18において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。
結像光学系17により結像されたレーザ光は、被照射物18に照射される。光照射装置10が加工装置として用いられる場合、被照射物18は、レーザ光によるアブレーションにより加工しやすい物質から形成されており、例えばポリイミドなどの高分子材料から形成されている。なお被照射物18は、変調マスク21と光学的に共役な面、すなわち結像光学系17の後述する結像面17f上に配置されている。
(変調マスク)
次に、図2乃至図6を参照して、本実施の形態における変調マスク21について説明する。変調マスク21は、平板状の形状を有し、その平面部とレーザ光の入射および出射方向とが直交するよう配置されている。また図2(a)に示すように、変調マスク21は、円形の輪郭からなる変調領域22と、各変調領域22間を埋めるよう形成された非変調領域23と、を有している。後述するように、変調領域22に入射された光は、被照射物18に対して照射される際に円形の等強度線を有するよう、変調領域22によって変調される。
(非変調領域)
非変調領域23は、非変調領域23に入射した光を遮蔽するよう構成されている。具体的には、図2(b)に示すように、非変調領域23は、変調マスク本体部21aと、変調マスク本体部21a上に設けられた光遮蔽層21bと、を含んでいる。光遮蔽層21bは、光を透過させない材料から形成されている。このため、照明光学系13から変調マスク21の非変調領域23に入射した光は、結像光学系17側から取り出されることなく、光遮蔽層21bによって遮蔽される。
光照射装置10が加工装置として用いられる場合、光遮蔽層21bの光透過率は、非変調領域23を通って被照射物18に照射される光の強度が被照射物18のアブレーション閾値を超えないよう適宜選択される。例えば、光遮蔽層21bの光透過率は0.00001以下となっており、好ましくは0となっている。光遮蔽層21bの材料としては、所望の光透過率を実現することができる材料を適宜用いることができ、例えば、クロム、アルミニウム、シリコン酸化物または誘電体多層膜など様々な遮光材料を用いることができる。
(変調領域)
次に、変調マスク21の変調領域22について、図3乃至図6を参照して詳細に説明する。
図3に示すように、変調領域22は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調単位領域(第1変調単位領域)25aと、各第1位相変調単位領域25aを埋めるよう形成され、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調領域25bと、を有している。図3における横方向をx方向とし、x方向に直交する方向であって、図3における縦方向をy方向とした場合、各第1位相変調単位領域25aは、図3に示すように、x方向に延びる一対のx方向側縁28aと、y方向に延びる一対のy方向側縁28bと、を有している。後述するように、全ての第1位相変調単位領域25aを構成する側縁を、x方向およびy方向のいずれかの方向にのみ延びる側縁(x方向側縁28aまたはy方向側縁28b)によって構成することにより、変調領域22の作製を容易化することができる。
ここで、各第1位相変調単位領域25aは、図3に示すように、所定の円周方向線上において周期的に並ぶとともに、変調領域22の全域にわたって第1位相変調単位領域25aの占有率が略一定となるよう配置されている。ここで第1位相変調単位領域25aの占有率とは、後述するように、変調領域22を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域に区画した場合の、位相変調単位領域の面積に対する第1位相変調単位領域25aの面積率のことである。
ところで、所定の円周方向線上で各第1位相変調単位領域25aを完全に周期的に並べるためには、各第1位相変調単位領域25aの側縁が変調領域22の半径方向または円周方向のいずれかに沿って延びている必要がある。すなわち、第1位相変調単位領域25aが配置される場所に応じて、側縁が延びる方向を変える必要がある。このため、各第1位相変調単位領域25aの側縁が上述のようにいずれもx方向およびy方向に沿って延びている場合、所定の円周方向線上において各第1位相変調単位領域25aを完全に周期的に並べることはできず、わずかな不完全さが生じる。
しかしながら、後述するように、第1位相変調単位領域25aの側縁の長さを結像光学系17の結像面17fに換算した長さが、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rと比べて十分に小さい場合、変調マスク21の変調領域22により位相変調され出射された光は、結像光学系17の結像面に、第1位相変調単位領域25aの占有率に基づく光強度分布を生成する。この場合、結像光学系17の結像面における光強度分布が円形の等強度線を有するかどうかは、変調マスク21の変調領域22の所定の円周方向線上において第1位相変調単位領域25aの占有率の分布が周期的となっているかどうかにより決定される。従って、変調領域22の所定の円周方向線上において第1位相変調単位領域25aの占有率の分布が周期的となるよう、各第1位相変調単位領域25aを配置することが重要となる。すなわち、各第1位相変調単位領域25aの側縁がx方向またはy方向に沿って延びていることによる周期性のわずかな不完全さが、結像光学系17の結像面における光強度分布に与える影響は、無視され得る。
一方、変調マスク21を作製する上では、感光材料に対するレーザビームや電子線ビームの走査露光が直交座標系に基づき行われることを考えると、各第1位相変調単位領域25aの側縁がx方向およびy方向に延びていることが好ましい。なぜなら、各第1位相変調単位領域25aの側縁が様々な方向に延びている場合に比べて、各第1位相変調単位領域25aの側縁がx方向およびy方向の2方向のいずれかにのみ延びている場合の方が、走査露光のために用いるデータ量が少なく、また露光時間も短くなるからである。従って、本実施の形態においては、その側縁がx方向およびy方向の2方向のいずれかにのみ延びている第1位相変調単位領域25aが採用されている。しかしながら、本発明の技術的思想から考えると、各第1位相変調単位領域25aがx方向またはy方向以外の方向、例えば半径方向および円周方向に延びていてもよい。
なお、第1位相変調単位領域25aの長さを結像光学系17の結像面17fに換算した長さが、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rと比べて無視できないくらいに大きい場合、各第1位相変調単位領域25aの側縁がx方向またはy方向に沿って延びていることによる周期性のわずかな不完全さが、結像光学系17の結像面における光強度分布に与える影響が、無視できなくなってくる。具体的には、結像光学系17の結像面における等強度線が、完全な円形ではなく、若干うねった円形になることが考えられる。このような場合は、後に第3の実施の形態の変形例または第3の実施の形態のその他の変形例において詳細に説明するように、第1位相変調スポーク領域または第1位相変調リング領域を用いることが好ましい。
次に、各第1位相変調単位領域25aの具体的な配置パターンについて説明する。図3に示すように、変調領域22内に、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27を考える。この場合、各第1位相変調単位領域25aは、円周方向線27に沿って設けられている。具体的には、各第1位相変調単位領域25aは、その中心が円周方向線27上に位置するよう配置されている。
図4を参照して、各第1位相変調単位領域25aの配置パターンについてより詳細に説明する。図4は、図3の変調領域22において枠IVで囲まれた部分を拡大して示す図である。図4に示すように、第1位相変調単位領域25aが配置された円環状の各円周方向線27間の半径方向距離Lは、略一定となっている。また図4に示すように、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの中心間の円周方向距離Lは、略一定となっている。また、図4に示すように、同一の円周方向線27上に配置された第1位相変調単位領域25a間だけではなく、すべての同一円周方向線27上に配置された第1位相変調単位領域25a間において、上記中心間の円周方向距離Lが略一定となっている。このことにより、所定の円周方向線27上において周期的に並ぶとともに、変調領域22の全域にわたって第1位相変調単位領域25aの占有率が略一定となるよう、第1位相変調単位領域25aを配置することが可能となる。
本願の発明者が見出した、上述の第1位相変調単位領域25aの配置方法によれば、変調領域22を、円周方向線27に沿って所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24e(後述)に区画することが可能となっている。一方、上述のように第1位相変調単位領域25aを配置しない場合、同一円周方向線27上における変調単位領域24eの面積を一定にすることができない。この場合、後述する[数13]の関係(または後述する第2の実施の形態における[数16]の関係)が成立しなくなってしまう。このため、上述のように第1位相変調単位領域25aを配置することなく、結像光学系17の結像面に目的とする光強度分布を生成するためには、第1位相変調単位領域25aの面積を位置ごとに個別に計算して求める必要があり、変調領域22の設計が複雑になるので好ましくない。また、結像光学系17の結像面において均一な光強度分布を生成する場合であっても、第1位相変調単位領域25aの面積を様々に変化させる必要がある。このように第1位相変調単位領域25aの面積を変化させることは、変調マスク21の作製が困難になるため好ましくない。
これに対して本願発明によれば、上述のように第1位相変調単位領域25aを配置することにより、結像光学系17の結像面に円形の等強度線を有する光強度分布を生成することができる変調マスク21の変調領域22を、簡易な計算により設計することが可能となっている。また、同一円周方向線27上における各第1位相変調単位領域25aの面積は一定となっており、このため、変調マスク21を容易に作製することができる。
次に、上述の半径方向距離Lおよび円周方向距離Lについて説明する。結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、レーザ光源12からの光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離のうち少なくとも一方がRよりも小さくなるよう、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lが設定されている。ここで、「半径方向距離Lおよび円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離」とは、変調マスク21における半径方向距離Lおよび円周方向距離Lに、結像光学系17の倍率をそれぞれ掛けた値のことである。
次に、図5を参照して、第1位相変調単位領域25aの占有率について説明する。はじめに、図5において点線で示すように、変調領域22を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画する。
変調単位領域24eを画定する図5の点線は、例えば、隣接する2つの円周方向線27間の中間点に沿って延びる円周方向の線と、円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの中心を結ぶ線に直交するよう延びる半径方向の線と、からなっている。このようにして図5に示す点線を描くことにより、変調領域22を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画することができる。ここで、各変調単位領域24eを長方形で近似した場合、この長方形の長さはほぼL,Lに等しい。従って、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、上述の結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。
図5に示すように、各変調単位領域24eは、1つの第1位相変調単位領域25aと、第1位相変調単位領域25aを取り囲む第2位相変調領域25bと、からなっている。図3乃至図5に示す変調領域22において、各第1位相変調単位領域25aの面積は略一定となっている。このため、変調領域22の全域にわたって、第1位相変調単位領域25aの占有率は略同一となっている。このため、後述するように、変調マスク21の変調領域22により位相変調され出射された光は、結像光学系17の結像面に、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率に基づく光強度分布を生成する。
次に、図6を参照して、変調領域22の第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bの構造について説明する。図6は、図5の変調領域22をVI−VI方向から見た断面を示す図である。図6に示すように、変調領域22において、変調マスク本体部21aは、その表面に凹凸を有している。変調マスク本体部21aは、光を透過させる材料、例えば屈折率nの石英ガラスから形成されている。
図6に示すように、第1位相変調単位領域25aに対応する領域における変調マスク本体部21aの高さと、第2位相変調領域25bに対応する領域における変調マスク本体部21aの高さとは異なっている。ここで、高さの差をΔhとし、空気の屈折率を1とすると、変調領域22において、第1位相変調単位領域25aにおける変調マスク21の入射面から出射面までの光学距離と、第2位相変調領域25bにおける変調マスク21の入射面から出射面までの光学距離との差は、Δh×(n−1)になる。
本実施の形態においては、前記の光学距離の差Δh×(n−1)が{λ/2}の奇数倍となるよう、すなわち、第1位相変調単位領域25aにおける位相変調量と第2位相変調単位領域25bにおける位相変調量との差が180度の奇数倍となるよう、Δhが設定されている。例えば、マスク照明系11から出射されるレーザ光の中心波長λが308nm、変調マスク本体部21aを形成する石英ガラスの屈折率nが1.49の場合、Δhが317nmとなるよう変調マスク本体部21aの表面の凹凸形状が設計されている。
(光強度分布の生成原理)
次に、図7および図8を参照して、変調マスク21の変調領域22により位相変調され出射された光が、結像光学系17の結像面に、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率に基づく光強度分布を生成する原理について説明する。
はじめに、レーザ光の強度とアブレーション深さとの関係について説明する。被照射物18に照射されるレーザ光の強度と、被照射物18のうちアブレーションにより除去される部分の深さ(アブレーションレート)との間には、一般に[数1]の関係式が成り立つことが知られている。
Figure 0005424125
ここで、dはパルス状のレーザ光を被照射物18に一回照射したときのアブレーションレート、αは被照射物18の光吸収率、Iはレーザ光のエネルギー密度、Ithは被照射物18におけるアブレーション発生閾値を示す。
[数1]により明らかなように、アブレーションレートdはレーザ光のエネルギー密度Iに依存する。また、レーザ光照射を複数回繰り返した場合、被照射物18のうちレーザ光照射によって除去される部分の深さの合計は、レーザ光の照射回数に比例することが知られている。従って、被照射物18に照射されるレーザ光のエネルギー密度Iを被照射物18の場所に応じて任意に設定することにより、被照射物18を任意の形状に加工することが可能となる。
なお、レーザ光のエネルギー密度Iが所定の値、例えばIupperを超えると、アブレーションにより被照射物18の一部が除去された際に発生する飛散物によって、被照射物18に照射されるレーザ光が吸収・散乱されるという現象が発生する。この場合、被照射物18に照射されるレーザ光のエネルギーが、被照射物18のアブレーションと飛散物によるレーザ光の吸収・散乱とに使用されることになり、このため、レーザ光のエネルギー密度Iを大きくしても、アブレーションレートdがある値で飽和するようになる。すなわち、[数1]の関係式が成立しなくなる。従って、本実施の形態において、レーザ光のエネルギー密度IはIupperを超えないよう設定される。
次に、結像光学系17における物体面(変調マスク21)と結像面17f(被照射物18)との関係について説明する。
結像光学系17における物体面分布と結像面分布の関係は、一般にフーリエ結像論により扱うことができる。また、コヒーレンスファクタが0.5程度以下の場合は、コヒーレント結像として近似できる。この場合、結像面、すなわち被照射物18における複素振幅分布U(x,y)は、以下の[数2]に示すように、変調マスク21の複素振幅透過率分布T(x,y)と、結像光学系17の複素振幅点像分布関数ASF(x,y)の畳み込み積分で与えられる
Figure 0005424125
ここで、*はコンボリューション(たたみ込み積分)を表す。
上記の点像分布関数ASF(x,y)は、結像光学系17の瞳関数のフーリエ変換で与えられる。この場合、瞳が円形で無収差の場合は、良く知られたエアリーパターンとなる([数3])。
Figure 0005424125
ここで、rは以下の[数4]により表される関数である。また、Jはベッセル関数、λは光の波長、NAは結像光学系17の結像側開口数を表す。
Figure 0005424125
次に、結像光学系17の点像分布関数ASF(x,y)について説明する。結像面17f、すなわち被照射物18の複素振幅分布U(x,y)は、前述のとおり、変調マスク21の複素振幅透過率分布T(x,y)と、結像光学系17の点像分布関数ASF(x,y)との畳み込み積分により与えられる。ここで、前述のように点像分布関数ASF(x,y)を円筒形17eで近似して考えると、図7(c)に示す円形の点像分布範囲17lにおいて変調マスク21の複素振幅透過率を均一重みで積分した結果が、結像面17fにおける複素振幅になる。そして、結像面17fにおける複素振幅の絶対値の二乗が、被照射物18に照射されるレーザ光の強度となる。
点像分布範囲17lでの変調マスク21の複素振幅透過率の積分は、図7(d)に示すように、単位円17g内における複素振幅透過率をあらわす複数のベクトル17hの和として考えることができる。これらの複数のベクトル17hの和の絶対値を二乗することにより、対応する被照射物18上の位置における光照射強度が算出される。
図8(a)(b)に、結像光学系17における瞳関数と点像分布関数ASF(x,y)との関係を示す。一般に、図8(b)に示す点像分布関数ASF(x,y)は、図8(a)に示す瞳関数のフーリエ変換により与えられる。また、結像光学系17が均一円形瞳を有し、かつ収差がない場合は、上述のように、点像分布関数ASF(x,y)は[数3]により表される。しかしながら、結像光学系17に収差が存在する場合や、結像光学系17が均一円形瞳以外の瞳関数を有する場合はこの限りではない。
結像光学系17における瞳関数が均一円形瞳であり、かつ結像光学系17に収差がない場合、点像分布関数ASF(x,y)が最初に0となるまでの中央領域(すなわちエアリーディスク)の半径Rは、以下の[数5]により与えられる。
Figure 0005424125
ここで前述の点像分布範囲17lは、図7(b)または図8(b)に示すように、点像分布関数ASF(x,y)が最初に0となるまでの円形状の中央領域、即ちエアリーディスク内側を意味することになる。なお本実施の形態において、例えばレーザ光の波長λ=308nm、結像光学系17の結像側の開口数NA=0.15とすると、R=1.25μmとなる。
図7(a)〜(d)から明らかなように、結像光学系17の点像分布範囲17lに光学的に対応する円の中に複数の変調単位領域24eが含まれている場合、すなわち図7(d)に示す単位円17gの中に複数のベクトル17hが存在する場合、複数のベクトル17hの和により光の振幅が表される。従って、各変調単位領域24eにおける複素振幅透過率を調整することにより、光の強度分布を解析的にかつ簡単な計算に従って制御することが可能となる。
上述の説明から明らかなように、変調マスク21の変調領域22を通過した光の強度分布を自由に制御するためには、図7(c)に示すように、変調領域22の変調単位領域24eが、結像光学系17の点像分布範囲17lの半径Rよりも光学的に小さいことが好ましい。すなわち、変調領域22の変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域が、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さいことが好ましい。
ここで、例えば結像光学系17の倍率が1/5である場合、変調単位領域24eを前述の結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域が、結像光学系17の点像分布範囲の半径R=1.25μmよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう、変調マスク21の変調領域22が設計される。すなわち、このような条件を満たす変調単位領域24eによって変調領域22が区画され得るよう、上述の半径方向距離Lおよび円周方向距離Lが設定される。
本実施の形態においては、上述の半径方向距離Lおよび円周方向距離Lがともに5μmに設定されている。すなわち、各第1位相変調単位領域25aが、上述の半径方向距離Lおよび円周方向距離Lがともに5μmとなるよう配置されている。この場合、図5に示す変調単位領域24eを正方形で近似すると、当該矩形の一辺が約5μmとなっている。この場合、5μm×5μmの正方形からなる変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、(5μm×5μm)×1/5、すなわち1μm×1μmの正方形からなり、結像光学系17の点像分布範囲の半径R=1.25μmよりも小さい。
次に、変調マスク21の変調領域とレーザ光の強度Iとの関係について説明する。点像分布関数ASF(x,y)を、エアリーディスク内側で定数値1、その外側で0となる関数で近似すると、[数2]はエアリーディスク内側での積分に近似される([数6])。
Figure 0005424125
[数6]中、Cは定数であり、積分は点(x,y)を中心とする半径Rの内側の積分を示している。
ここで、変調単位領域24eの作用を再度考える。この変調単位領域24eは、同じ形状・大きさの領域が敷き詰められていてもよいし、また場所毎に変化してもよい。ここで、エアリーディスクの範囲内にある複数の変調単位領域24eの面積が等しく、かつそれらの間で複素振幅透過率の構造が大きく変化しない場合、[数6]の積分範囲を、エアリーディスク内側から、(x,y)を含む変調単位領域24eの内側に置き換えることができる。
次に、図7、図8を参照しながら、変調マスク21の変調領域22を通過した光の光強度分布の導出方法について説明する。前述のとおり、変調領域22は、その表面に凹凸が設けられている屈折率nの石英ガラスから形成されている。この場合、レーザ光がこの凹部(凸部)を透過するとき、石英ガラスの屈折率nと空気の屈折率1の差だけ波面にずれが生じて位相変調となる。このときの位相変調量θは、以下の[数7]により表される。
Figure 0005424125
ここで、Δhは変調領域22に形成された凹部の深さ(凸部の高さ)を表している。
ここで、凹部の深さ(凸部の高さ)Δhが離散的である、すなわち多段加工されているものとし、ある変調単位領域24e内でのk番目の位相変調領域の面積率と位相変調量をそれぞれD(p)、θと表すとする。この場合、前述の[数6]に基づき、当該変調単位領域24eに対応する結像光学系17の結像面17fにおける複素振幅透過率U、およびレーザ光の強度Iが以下のように求められる。
Figure 0005424125
Figure 0005424125
ここで、Σは当該変調単位領域24eにおけるすべての位相変調領域に関する和を表している。
簡単のため、変調マスク21の変調領域22が2種類の位相変調領域(第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25b)からなる場合について考える。第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bにより変調されたレーザ光の位相をそれぞれθ(=θ)、θ(=0)と表す場合、レーザ光の強度Iは以下の[数10]により表される。
Figure 0005424125
ここでD(p)は、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積率を表している。この式をD(p)に関して解くと、以下の[数11]が得られる。
Figure 0005424125
本実施の形態においては、上述のように、第1位相変調単位領域25aにおける位相変調量と第2位相変調単位領域25bにおける位相変調量との差が180度の奇数倍となるよう、Δhが設定されている。すなわち、θ=180度となっている。この場合、上記の[数10]および[数11]が以下の[数12]および[数13]のように表される。
Figure 0005424125
Figure 0005424125
上述のように、被照射物18に形成するテーパ穴20の大きさ、傾斜部20bの傾斜角度などに応じて、[数1]に基づき、被照射物18に照射されるレーザ光強度分布Iを設定することができる。さらに、所望のレーザ光強度分布Iが得られるよう、[数13]に従い、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積率を設定することができる。すなわち、所定の変調マスク21を準備することにより、所望の大きさ、傾斜角度などを有するテーパ穴20を被照射物18に形成することが可能となる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、披照射物18に、テーパ角度が互いに異なる6つのテーパ穴20を形成する方法について説明する。
(変調マスクの設計手順)
まず、変調マスク21の設計手順について説明する。はじめに図11および図12を参照して、変調マスク21の変調領域22の設計手順について説明する。図11は、変調マスク21の変調領域22を設計する手順を示すフローチャートであり、図12は、変調領域22の設計のうち、変調領域22のパターンを設計するための手順を詳細に示すフローチャートである。
(イ)まず、被照射物18に形成する各テーパ穴20の位置、半径およびテーパ角度を入力する(S101)。
(ロ)次に、各テーパ穴20のテーパ角度を実現するために求められる光照射エネルギー密度が、図10(c)に示す関係に基づいて算出される(S102)。例えば、テーパ角度が12度であるテーパ穴に対しては、求められる光照射エネルギー密度として400mJ/cmが算出される。このようにして、テーパ角度が互いに異なる6つのテーパ穴20に対して、光照射エネルギー密度I〜Iが算出される。
(ハ)次に、変調マスク21の各変調領域22における第1位相変調単位領域25aの占有率(各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積率D(p))が、[数13]に基づいて算出される(S103)。
(ニ)最後に、算出された面積率D(p)に基づいて、変調マスク21の各変調領域22における第1位相変調単位領域25aの配置パターンが決定される(S104)。
このようにして、変調マスク21の変調領域22が設計される。
次に、各変調領域22における第1位相変調単位領域25aの配置パターンを設計するための手順について、図12を参照して詳細に説明する。
(ホ)まず、上述の半径方向距離Lを入力し(S111)、次に、上述の円周方向距離Lを入力する(S112)。このとき、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離がRよりも小さくなるよう、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lを設定する。
(ヘ)次に、各変調領域22内に、複数の円環状の仮想的な円周方向線27が、隣接する円周方向線27間の半径方向距離がLとなるよう設けられる(S113)。その後、各円周方向線27上に、多数の第1位相変調単位領域25aが、隣接する第1位相変調単位領域25a間の中心間の円周方向距離がLとなるよう配置される(S114)。
(ト)次に、変調領域22が、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画される(S115)。この場合、例えば上述のように、隣接する2つの円周方向線27間の中間点に沿って延びる円周方向の線と、円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの中心を結ぶ線に直交するよう延びる半径方向の線と、を描くことにより、変調領域22が複数の変調単位領域24eに区画される。
(チ)次に、ステップ103において算出された面積率D(p)と、各変調単位領域24eの面積とに基づいて、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積が決定される(S116)。
このようにして、各変調領域22において、第1位相変調単位領域25aの配置パターンが設計される。その後、設計されたパターンに従って、フォトリソグラフィー法などにより、変調マスク本体部21a上に第1位相変調単位領域25aが形成される。この際、上述のように、第1位相変調単位領域25aを構成する側縁は、x方向に延びる一対のx方向側縁28aと、y方向に延びる一対のy方向側縁28bとからなっている。このため、第1位相変調単位領域25aを構成する側縁が様々な方向に延びる場合に比べて、フォトリソグラフィー法によって変調マスク本体部21a上に第1位相変調単位領域25aを形成する際に用いられる露光マスクの構造が単純になっている。従って、露光マスクの製造コストが低くなっており、このことにより、第1位相変調単位領域25aをより容易に低コストで形成することが可能となっている。
次に、変調マスク21の非変調領域23の設計手順について説明する。図2(b)に示すように、非変調領域23は、変調マスク本体部21aと、変調マスク本体部21a上に設けられた光遮蔽層21bと、を含んでいる。この場合、非変調領域23の光透過率は、光遮蔽層21bの光透過率により決定される。すなわち、非変調領域23の光透過率は、光遮蔽層21bの光透過率とほぼ等しくなっている。
上述のように、非変調領域23の光遮蔽層21bの光透過率は、非変調領域23を通って被照射物18に照射される光の強度が被照射物18のアブレーション閾値を超えないよう適宜選択される。例えば、非変調領域23に光遮蔽層21bが設けられていない場合の像面における光の強度が1000mJ/cmであり、被照射物18のアブレーション閾値が50mJ/cmである場合、光透過率が0.05よりも小さくなるよう光遮蔽層21bが選択される。このため、被照射物18のうちテーパ穴20が形成されない領域を加工し得る強度を有する光が非変調領域23から出射されるのを防ぐことができ、このことにより、被照射物18のうちテーパ穴20が形成されない領域が加工されるのを確実に防ぐことができる。
(テーパ穴の形成方法)
次に、本実施の形態における変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、被照射物18にテーパ穴20を形成する方法について説明する。
まず、載置台19上に被照射物18を予め載置しておく。次に、マスク照明系11から、面内強度分布が均一化されたレーザ光を出射させる。その後、マスク照明系11から出射された光を前述の変調マスク21に入射させる。変調マスク21に入射されたレーザ光は、前述の手順により決定された変調マスク21のパターンに応じて変調または遮蔽される。
変調マスク21から出射されたレーザ光は、結像光学系17に入射される。前述のとおり、変調マスク21の各変調領域22における仮想的な変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、各変調領域22を通った後に結像光学系17から出射され被照射物18上に結像されるレーザ光の光強度分布は、各変調領域22の各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積率に対応する強度分布を有している。
図13は、各変調領域22を通った後に結像光学系17から出射され被照射物18上に結像されるレーザ光の光強度分布を示す図である。図13に示すように、被照射物18には、光エネルギー密度I=I(k=1〜6)からなる略円形の等強度線を有する光が照射される。これによって、被照射物18に、テーパ角度が互いに異なる6つのテーパ穴20を形成することができる。
このように本実施の形態によれば、変調マスク21は、略円形の輪郭からなる変調領域22を有し、各変調領域22は、円環状に設けられた複数の円周方向線27に沿って配置され、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調単位領域25aと、各第1位相変調単位領域25aを埋めるよう形成され、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調領域25bと、を有している。ここで、第1位相変調単位領域25aが配置された円環状の各円周方向線27間の半径方向距離Lは略一定となっており、また、各円周方向線27において、円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの中心間の円周方向距離Lは略一定となっており、かつ、この円周方向距離Lはすべての円周方向線27上で略一定となっている。このため、各第1位相変調単位領域25aが所定の円周方向線上において周期的に並んでいる。
さらに、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、上記の半径方向距離Lまたは円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっている。このため、変調領域22を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画した場合、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このことにより、被照射物18に、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積率に基づいた強度分布を有する光を照射することができる。
さらに、各円周方向線27において、円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの面積は略一定となっている。このため、円周方向線27に沿って見た場合の第1位相変調単位領域25aの占有率が略一定となっている。
本実施の形態によれば、これらのことにより、被照射物18に対して、略円形の等強度線を有する光を照射することができる。
また本実施の形態によれば、変調マスク21の非変調領域23は、光を遮蔽する光遮蔽層21bを含んでいる。このため、マスク照明系11から変調マスク21に入射する光のうち非変調領域23に入射する光は、その大半が光遮蔽層21bにより遮蔽される。これによって、マスク照明系11から変調マスク21に入射した光が、被照射物18うちテーパ穴20が形成されない領域に照射されるのを防ぐことができ、このことにより、被照射物18うちテーパ穴20が形成されない領域が加工されるのを確実に防ぐことができる。
また本実施の形態によれば、光を遮蔽する非変調領域23を光遮蔽層21bによって構成することにより、円形の輪郭からなる各変調領域22間を非変調領域23で容易に埋めることが可能となる。
また本実施の形態によれば、上述のように、第1位相変調単位領域25aを構成する側縁が、x方向に延びる一対のx方向側縁28aと、y方向に延びる一対のy方向側縁28bと、からなっている。このため、第1位相変調単位領域25aを構成する側縁が様々な方向に延びる場合に比べて、変調マスク21の作成が容易になる。このように本実施の形態によれば、第1位相変調単位領域25aの配置パターンを工夫することにより、被照射物18に対して略円形の等強度線を有する光を照射することを可能にするとともに、作製が容易な変調マスク21を提供することができる。
第2の実施の形態
次に、図14乃至図16を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図14乃至図16に示す第2の実施の形態は、変調マスク21の変調領域22の各変調単位領域が、光を振幅変調する第1振幅変調単位領域と第2振幅変調領域とからなる点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図13に示す第1の実施の形態と略同一である。図14乃至図16に示す第2の実施の形態において、図1乃至図13に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(変調領域)
図14乃至図16を参照して、本実施の形態における変調マスク21の変調領域22について説明する。図14は、本発明の形態における変調マスク21の変調領域22を示す平面図であり、図15は、図14の変調領域22において枠XVで囲まれた部分を拡大して示す図である。図16は、図15の変調領域22をXVI−XVI方向から見た断面図である。
図14に示すように、変調領域22は、光を第1の振幅変調量で変調する多数の第1振幅変調単位領域(第1変調単位領域)26aと、各第1振幅変調単位領域間26aを埋めるよう形成され、光を第2の振幅変調量で変調する第2振幅変調領域26bと、を有している。
図15に示すように、各第1振幅変調単位領域間26aは、円周方向線27上において周期的に並ぶとともに、変調領域22の全域にわたって第1振幅相変調単位領域26aの占有率が略一定となるよう配置されている。各第1振幅変調単位領域間26aの具体的な配置パターンは、図1乃至図13に示す第1の実施の形態における各第1位相変調単位領域25aの配置パターンと略同一であるので、詳細な説明は省略する。また、図1乃至図13に示す第1の実施の形態の場合と同様に、図15に示すように、変調領域22を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1振幅変調単位領域間26aを含む複数の変調単位領域24eに区画することができる。
次に、図16を参照して、変調領域22の第1振幅変調単位領域26aおよび第2振幅変調領域26bの構造について説明する。図16に示すように、変調領域22において、変調マスク本体部21a上には、部分的に光遮蔽層29が設けられており、この光遮蔽層29と、変調マスク本体部21aとにより、各第1振幅変調単位領域26aが構成されている。一方、第2振幅変調領域26bは、変調マスク本体部21aのうち光遮蔽層29が設けられていない領域からなっている。この場合、第1振幅変調単位領域26aにおける光の透過率は略0となっており、第2振幅変調領域26bにおける光の透過率は略1となっている。
第1振幅変調単位領域26aの光遮蔽層29は、光を透過させない材料から形成されている。このため、変調マスク21の変調領域22の第1振幅変調単位領域26aに入射した光は、変調マスク21の結像光学系17側から取り出されることなく、光遮蔽層29によって遮蔽される。光遮蔽層29の材料としては、例えば、クロム、アルミニウム、シリコン酸化物または誘電体多層膜など様々な遮光材料を用いることができる。
次に、変調マスク21の変調領域22により振幅変調され出射された光が、結像光学系17の結像面に、各変調単位領域24eにおける第1振幅変調単位領域26aの面積率に基づく光強度分布を生成する原理について説明する。
本実施の形態における変調領域22は、透過率0の第1振幅変調単位領域26aと、透過率1の第2振幅変調領域26bからなる。従って、変調領域22における複素振幅透過率分布T(x,y)は、点(x,y)が第1振幅変調単位領域26a内にある場合はT(x,y)=0、点(x,y)が第2振幅変調領域26b内にある場合はT(x,y)=1となる。従って、上述の[数6]の積分範囲を、(x,y)を含む変調単位領域24eの内側に置き換えて計算を行うことにより、以下の[数14]が得られる。
Figure 0005424125
ここで、D(a)は、変調領域22のうち第i番目の変調単位領域24eにおける開口率(変調単位領域24eに対する第2振幅変調領域26bの面積比)、Uは結像面17fのうちこの第i番目の領域に対応する位置における複素振幅透過率である。
結像面17f、すなわち被照射物18に照射されるレーザ光の強度Iは複素振幅透過率Uの絶対値の二乗で与えられることから、以下の[数15]、 [数16]が導かれる。
Figure 0005424125
Figure 0005424125
ここでレーザ光の強度Iについては、被照射物18に形成するテーパ穴20の大きさ、テーパ角度などに応じて、[数1]に基づき、被照射物18に照射されるレーザ光強度分布Iを設定することができる。さらに、所望のレーザ光強度分布Iが得られるよう、[数16]に従い、変調領域22の各変調単位領域24eにおける開口率を設定することができる。従って、所定の変調領域22を有する変調マスク21を準備することにより、所望の大きさ、テーパ角度などを有するテーパ穴20を被照射物18に形成することが可能となる。
本実施の形態によれば、変調マスク21は、略円形の輪郭からなる変調領域22を有し、各変調領域22は、円環状に設けられた複数の円周方向線27に沿って配置され、光を第1の振幅変調量で変調する多数の第1振幅変調単位領域26aと、各第1振幅変調単位領域間26aを埋めるよう形成され、光を第2の振幅変調量で変調する第2振幅変調領域26bと、を有している。第1の実施の形態の場合と同様に、第1振幅変調単位領域26aが配置された円環状の各円周方向線27間の半径方向距離Lは略一定となっており、また、各円周方向線27において、円周方向線27上で隣り合う2つの第1振幅変調単位領域26aの中心間の円周方向距離Lは略一定となっており、かつ、この円周方向距離Lはすべての円周方向線27上で略一定となっている。このため、各第1振幅変調単位領域間26aが所定の円周方向線上において周期的に並んでいる。
さらに、第1の実施の形態の場合と同様に、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、上記の半径方向距離Lまたは円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっている。このため、変調領域22を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1振幅変調単位領域26aを含む複数の変調単位領域24eに区画した場合、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このことにより、被照射物18に、各変調単位領域24eにおける開口率(変調単位領域24eに対する第2振幅変調領域26bの面積比)に基づいた強度分布を有する光を照射することができる。
さらに、各円周方向線27において、円周方向線27上で隣り合う2つの第1振幅変調単位領域26aの面積は略一定となっている。このため、円周方向線27に沿って見た場合の第1振幅変調単位領域26aの占有率が略一定となっている。
本実施の形態によれば、これらのことにより、被照射物18に対して、略円形の等強度線を有する光を照射することができる。
第3の実施の形態
次に、図17乃至図23を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図17乃至図23に示す第3の実施の形態は、変調マスク21の変調領域22の各第1位相変調単位領域の面積が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加する点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図13に示す第1の実施の形態と略同一である。図17乃至図23に示す第3の実施の形態において、図1乃至図13に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(マイクロレンズ)
はじめに、図17を参照して、本実施の形態における光照射装置10を用いて、被照射物18に形成されるマイクロレンズ30について説明する。図17(a)は、被照射物18に形成される多数のマイクロレンズ30を示す平面図であり、図17(b)は、図17(a)のマイクロレンズ30をXVIIb−XVIIb方向から見た断面図であり、図17(c)は、図17(b)のマイクロレンズを形成するために被照射物に照射される光の強度分布を示す図である。
図17(a)(b)に示すように、被照射物18に形成される多数のマイクロレンズ30は、各々半球形状を有しており、また、各マイクロレンズ30は、被照射物18に凹型で形成されている。なお図10(a)(b)(c)に示す第1の実施の形態においては、被照射物18に照射される光の強度分布がHigh/Lowの二値である例を示したが、本実施の形態においては、図17(c)に示すように、被照射物18に照射される光の強度分布が、マイクロレンズ30の形状に応じて連続的に変化している。このような光強度の連続的な変化は、後述するように、変調マスク21の変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率を、変調領域22の外方に向かうにつれて変化させることにより実現される。
なお、光照射装置10を用いて被照射物18に形成されるマイクロレンズが凹型に限られることはなく、光照射装置10を用いて被照射物18に凸型のマイクロレンズを形成してもよい。
(変調マスク)
次に、図18乃至図21を参照して、マイクロレンズ30を形成するために用いられる光照射装置10の変調マスク21について説明する。はじめに図18(a)(b)を参照して、本実施の形態における変調マスク21全体について説明する。図18(a)は、本実施の形態における変調マスク21を示す平面図であり、図18(b)は、図18(a)の変調マスク21をXVIIIb−XVIIIb方向から見た断面図である。
図18(a)に示すように、変調マスク21は、円形の輪郭からなる多数の変調領域22と、各変調領域22間を埋めるよう形成された非変調領域23と、を有している。各変調領域22が、被照射物18に形成されるマイクロレンズ30にそれぞれ対応している。すなわち、変調領域22に入射された光は、結像光学系17を経て被照射物18に対して照射される際、円形の等強度線を有するとともに外方に向かうにつれて照射エネルギー密度が連続的に小さくなるよう、変調領域22によって変調される。
次に、図19乃至図21を参照して、変調マスク21の変調領域22について説明する。図19は、本実施の形態における変調マスク21の変調領域22を示す平面図であり、図20は、図19の変調領域21において枠XXで囲まれた部分を拡大して示す図である。図21は、図20の変調領域22をXXI−XXI方向から見た断面図である。なお図19においては、円形の輪郭からなる変調領域22のうち、その左上部分のみが示されている。
図19に示すように、変調領域22は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調単位領域25aと、各第1位相変調単位領域25a間を埋めるよう形成され、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調領域25bと、を有している。図1乃至図13に示す第1の実施の形態の場合と同様に、各第1位相変調単位領域25aは、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27に沿って周期的に並べられている。また、各円周方向線27において、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの面積は略一定となっている。
一方、図19に示すように、本実施の形態による変調領域22において、第1位相変調単位領域25aの面積は、変調領域22の半径方向における外側(変調領域22の外方)に向かうにつれて単調に増加している。ここで、変調領域22のうち、その半径方向に沿って第1位相変調単位領域25aの面積が変化する領域を、特に変調マスク傾斜部32と呼ぶ。また、変調マスク傾斜部32に含まれる第1位相変調単位領域25aにより、傾斜部第1変調単位領域が構成され、変調マスク傾斜部32に含まれる第2位相変調領域25bにより、傾斜部第2変調領域が構成されている。
図20に示すように、第1位相変調単位領域25aが配置された円環状の各円周方向線27間の半径方向距離Lは、略一定となっている。また図20に示すように、各円周方向線27において、円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの中心間の円周方向距離Lは、略一定となっている。また、図20に示すように、同一の円周方向線27上に配置された第1位相変調単位領域25a間だけではなく、すべての同一円周方向線27上に配置された第1位相変調単位領域25a間において、上記中心間の円周方向距離Lが略一定となっている。このことにより、所定の円周方向線27上において周期的に並ぶよう、第1位相変調単位領域25aを配置することが可能となる。
図1乃至図13に示す第1の実施の形態の場合と同様に、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、レーザ光源12からの光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離のうち少なくとも一方がRよりも小さくなるよう、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lが設定されている。
ここで、図1乃至図13に示す第1の実施の形態の場合と同様にして、変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画する。このようにして形成された各変調単位領域24eを長方形で近似した場合、この長方形の長さはほぼL,Lに等しい。従って、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、上述の結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、変調マスク傾斜部32により変調されて被照射物18に照射される光は、第1位相変調単位領域25aの占有率(各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積率)に基づいた強度分布を有することになる。
図21に示すように、第1位相変調単位領域25aに対応する領域における変調マスク本体部21aの高さと、第2位相変調領域25bに対応する領域における変調マスク本体部21aの高さとは異なっている。ここで、高さの差をΔhとし、空気の屈折率を1とすると、変調領域22において、第1位相変調単位領域25aにおける変調マスク21の入射面から出射面までの光学距離と、第2位相変調領域25bにおける変調マスク21の入射面から出射面までの光学距離との差は、Δh×(n−1)になる。本実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、前記の光学距離の差Δh×(n−1)が{λ/2}の奇数倍となるよう、Δhが設定されている。すなわち、第1位相変調単位領域25aにおける位相変調量と第2位相変調領域25bにおける位相変調量の差が180度の奇数倍となるよう、Δhが設定されている。
次に、変調マスク傾斜部32の各変調単位領域24eにおける、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差について説明する。
図19乃至図21に示すように、第1位相変調単位領域25aの占有率は、変調マスク傾斜部32の半径方向における外側(変調マスク傾斜部32の外方)に向かうにつれて単調に増加している。具体的には、変調マスク傾斜部32の中心点(または内縁)32a近傍において、第1位相変調単位領域25aの占有率が略0となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において、第1位相変調単位領域25aの占有率が略0.5となっている。一方、変調マスク傾斜部32の中心点(または内縁)32a近傍において、第2位相変調領域25bの占有率が略1となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において、第2位相変調領域25bの占有率が略0.5となっている。すなわち、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の中心点(または内縁)32a近傍において略1となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において略0となっている。このように、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、披照射物18に多数のマイクロレンズ30を形成する方法について説明する。
(変調マスクの設計手順)
まず図22を参照して、変調マスク21の設計手順について説明する。図22は、変調マスク21の変調マスク傾斜部32を設計する手順を示すフローチャートである。
(イ)まず、被照射物18に形成するマイクロレンズ30の形状を入力する(S301)。例えば、被照射物18のうちレーザ光が入射される側の面における位置を(x,y)座標で表す場合の、位置(x,y)における加工深さS(x,y)を入力する。
(ロ)次に、レーザ光の照射回数mを入力する(S302)。
(ハ)次に、加工深さS(x,y)とレーザ光の照射回数mとに基づき、アブレーションレートd(x,y)が算出される(S303)。
(ニ)その後、アブレーションレートd(x,y)と[数1]とに基づき、所望形状を有するマイクロレンズ30を形成するために被照射物18に照射されるレーザ光の強度分布I(x,y)が算出される(S304)。
(ホ)次に、レーザ光の強度分布I(x,y)と[数13]とに基づき、変調マスク21の各変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率(各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積率D(p))が算出される(S305)。面積率D(p)は、変調単位領域24eを単位として区分けされた領域ごとに算出される。
(ヘ)最後に、算出された面積率D(p)に基づいて、変調マスク21の各変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの配置パターンが決定される(S306)。
算出された面積率D(p)に基づいて第1位相変調単位領域25aの配置パターンを決定する手順については、図12に示す第1の実施の形態における手順と略同一であるため、詳細な説明は省略する。
このようにして、変調マスク21の各変調マスク傾斜部32が設計される。
なおレーザ光を照射することにより被照射物18にマイクロレンズ30を形成する場合、パルス状のレーザ光を照射するたびにアブレーションにより被照射物18の一部が除去される。このため、レーザ光が多数回照射された後、被照射物18の加工面が結像光学系17の焦点面から離れるという現象が発生し(デフォーカス)、これによって、被照射物18に照射されるレーザ光の強度分布が変化する。また、アブレーションの際に生じる飛散物の影響によっても、被照射物18に照射されるレーザ光の強度が低下する。このため、レーザ光を照射することにより被照射物18にマイクロレンズ30を実際に形成した場合、形成されたマイクロレンズ30の深さは、前述のS301において入力したマイクロレンズ30の形状よりも浅くなりまた形状も変形する傾向がある。前述のS301においては、このような傾向を考慮して、加工深さS(x,y)を補正することが好ましい。
変調マスク21の非変調領域23の設計手順は、図1乃至図13に示す第1の実施の形態における非変調領域23の設計手順と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
(マイクロレンズの形成方法)
次に、本実施の形態における変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、被照射物18にマイクロレンズ30を形成する方法について説明する。
まず、載置台19上に被照射物18を予め載置しておく。次に、マスク照明系11から、面内強度分布が均一化されたレーザ光を出射させる。その後、マスク照明系11から出射された光を前述の変調マスク21に入射させる。変調マスク21に入射されたレーザ光は、前述の手順により決定された変調マスク21のパターンに応じて変調または遮蔽される。
変調マスク21から出射されたレーザ光は、結像光学系17に入射される。前述のとおり、変調マスク21の各変調マスク傾斜部32における仮想的な変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、各変調マスク傾斜部32を通った後に結像光学系17から出射され被照射物18上に結像されるレーザ光の光強度分布は、各変調マスク傾斜部32の各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積率に対応する強度分布を有している。
図23は、変調マスク傾斜部32を通った後に結像光学系17から出射され被照射物18上に結像されるレーザ光の光強度分布を示す図である。上述のように、変調マスク傾斜部32において、各第1位相変調単位領域25aは、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27に沿って周期的に並べられている。また、各円周方向線27において、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの面積は略一定となっている。さらに、第1位相変調単位領域25aの占有率は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に増加している。このことにより、図23に示すように、被照射物18に、円形の等強度線を有するとともに、外方に向かうにつれて照射エネルギー密度が連続的に小さくなる光を照射することができる。
ここで、上述のように、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の中心点(または内縁)32a近傍において略1となっている。また、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している。そして、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において略0となっている。このため、図23に示すように、被照射物18に照射される光のエネルギー密度は、光の中心点近傍で最大(Imax)となっている。また、被照射物18に照射される光のエネルギー密度は、光の外方に向かうにつれて小さくなり、そして、変調マスク傾斜部32の外縁に対応する領域の近傍でIminとなっている。
また第1の実施の形態の場合と同様に、非変調領域23は、光を遮蔽する光遮蔽層21bを含んでいる。このため、変調マスク傾斜部32の外縁に対応する領域よりも外方において、図23に示すように、被照射物18に照射される光のエネルギー密度を略0とすることができる。
(比較の形態)
次に、図24および図25を参照して、本実施の形態の効果を、比較の形態と比較して説明する。図24は、比較の形態における変調マスクの変調マスク傾斜部132を示す平面図であり、図25は、比較の形態において、被照射物18に照射される光の強度分布を示す図である。
図24および図25に示す比較の形態における変調マスクの変調マスク傾斜部132は、各第1位相変調単位領域25aが格子状のパターンで配置されている点が異なるのみであり、他の構成は、図17乃至図23に示す第3の実施の形態と略同一である。図24および図25に示す比較の形態において、図17乃至図23に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図24に示すように、変調マスク傾斜部132は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調単位領域25aと、各第1位相変調単位領域25a間を埋めるよう形成され、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調領域25bと、を有している。図24に示すように、各第1位相変調単位領域25aは格子状のパターンで配置されている。また、隣接する2つの第1位相変調単位領域25a間の距離はMとなっている。
結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、レーザ光源12からの光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、上記の距離Mを結像光学系17の結像面17fに換算した距離は、Rよりも小さくなっている。このため、変調マスク傾斜部132により変調されて被照射物18に照射される光は、第1位相変調単位領域25aの占有率に基づいた強度分布を有することになる。
ここで、図24に示すように、変調マスク傾斜部132において、仮想的な円周方向線127を考える。図24から明らかなように、変調マスク傾斜部132において、各第1位相変調単位領域25a間は、円周方向線127上において周期的には並んでいない。このため、円周方向線127に沿って第1位相変調単位領域25aの占有率を見た場合、第1位相変調単位領域25aの占有率が場所によって異なっている。このため、図25に示すように、変調マスク傾斜部132により変調されて被照射物18に照射される光の等強度線は、完全な円形にはならないと考えられる。このことにより、被照射物18に形成されるマイクロレンズ30の形状も、完全な半球形状にはならず、表面に多数の凹凸が形成された半球形状になると考えられる。
これに対して、本実施の形態によれば、上述のように、各第1位相変調単位領域25a間は、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27に沿って周期的に並べられている。このため、変調マスク傾斜部32により変調されて被照射物18に照射される光の等強度線を、完全な円形とすることができる。このことにより、被照射物18に、表面に凹凸の無い半球形状のマイクロレンズ30を形成することができる。
なお本実施の形態の変調マスク傾斜部32において、第1位相変調単位領域25aの面積が、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に増加し、このことにより、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差が、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1位相変調単位領域25aの面積が、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少し、このことにより、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差が、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少していてもよい。
また本実施の形態の変調マスク傾斜部32において、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差が、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差が、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に増加していてもよい。この場合、被照射物18に照射される光のエネルギー密度が、光の外方に向かうにつれて大きくなる。このことにより、被照射物18に、凸型のマイクロレンズを形成することが可能となる。
また、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差が、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に増加または減少している例を示したが、これに限られることはない。例えば、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差が、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて増加と減少とを繰り返してもよい。これによって、被照射物18を、波状など様々な形状に加工することができる。
また本実施の形態の変調マスク傾斜部32において、光を第1の変調量で変調する傾斜部第1変調単位領域が、第1の位相変調量を有する第1位相変調単位領域25aからなり、光を第2の変調量で変調する傾斜部第2変調領域が、第2の位相変調量を有する第2位相変調領域25bからなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、光を第1の変調量で変調する傾斜部第1変調単位領域が、第1の振幅変調量を有する第1振幅変調単位領域からなり、光を第2の変調量で変調する傾斜部第2変調領域が、第2の振幅変調量を有する第2振幅変調領域からなっていてもよい。第1振幅変調単位領域および第2振幅変調領域の形状および構造は、図14乃至図16に示す第2の実施の形態における第1振幅変調単位領域26aおよび第2振幅変調領域26bの形状および構造と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
第3の実施の形態の変形例
次に、図26乃至図28を参照して、本発明の第3の実施の形態の変形例について説明する。図26乃至図28に示す第3の実施の形態の変形例は、変調マスク傾斜部が、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調スポーク領域(傾斜部第1変調スポーク領域)と、各第1位相変調スポーク領域間に形成され、光を第2の位相変調量で変調する多数の第2位相変調スポーク領域(傾斜部第2変調スポーク領域)と、を有する点が異なるのみであり、他の構成は、図17乃至図23に示す第3の実施の形態と略同一である。図26乃至図28に示す第3の実施の形態の変形例において、図17乃至図23に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(変調マスク)
図26および図27を参照して、本形態における変調マスク21の変調マスク傾斜部32について説明する。図26は、本発明の第3の実施の形態の変形例における変調マスク21の変調マスク傾斜部32を示す平面図であり、図27は、図26の変調マスク傾斜部32において枠XXVIIで囲まれた部分を拡大して示す図である。なお図26においては、円形の輪郭からなる変調マスク傾斜部32のうち、その左上部分のみが示されている。
図26に示すように、変調マスク傾斜部32は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調スポーク領域35a(傾斜部第1変調スポーク領域)と、各第1位相変調スポーク領域35a間に形成され、光を第2の位相変調量で変調する多数の第2位相変調スポーク領域35b(傾斜部第2変調スポーク領域)と、を有している。第1位相変調スポーク領域35aおよび第2位相変調スポーク領域35bは、変調マスク傾斜部32を平面図で示した場合の形状および配置パターンが異なるのみであり、その他の構成は、図17乃至図23に示す第3の実施の形態における第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bと略同一となっている。
第1位相変調スポーク領域35aの配置パターンについて説明する。図26に示すように、各第1位相変調スポーク領域35aは、各々の中心が同一円環上に位置するよう配置されている。具体的には、図26に示すように、各第1位相変調スポーク領域35aは、その中心が、変調マスク傾斜部32内に仮想的に設けられた複数の仮想的な円周方向線27上に位置するよう配置されている。
次に、第1位相変調スポーク領域35aの形状について説明する。図26に示すように、各第1位相変調スポーク領域35aは、各々が変調マスク傾斜部32の半径方向に延びる略一定長さの2側縁35c,35cを含んでいる。このため、後述するように変調マスク傾斜部32を複数の単位変調領域24eに区画した場合、各単位変調領域24eにおける第1位相変調スポーク領域35aの面積率を容易に大きくすることができる。
なお図26に示す例において、隣接する円周方向線27間の半径方向距離Lは略一定となっており、このため、各第1位相変調スポーク領域35aの側縁35cの長さも略一定の長さ(=L)となっている。
次に、図27を参照して、第1位相変調スポーク領域35aの配置パターンについてより詳細に説明する。図27に示すように、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調スポーク領域35aの中心間の円周方向距離Lは、略一定となっている。また、図27に示すように、同一の円周方向線27上に配置された第1位相変調スポーク領域35a間だけではなく、すべての同一円周方向線27上に配置された第1位相変調スポーク領域35a間において、上記中心間の円周方向距離Lが略一定となっている。また、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調スポーク領域35aの円周方向長さLは略同一となっている。このことにより、円周方向線27に沿って見た場合の第1位相変調スポーク領域35aの占有率(後述)を略一定とすることができる。
次に、上述の円周方向距離Lについて説明する。結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、レーザ光源12からの光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっている。ここで、「円周方向距離Lを結像光学系17の結像面17fに換算した距離」とは、変調マスク21における円周方向距離Lに、結像光学系17の倍率を掛けた値のことである。
次に、図27を参照して、第1位相変調スポーク領域35aの占有率について説明する。はじめに、図27において点線で示すように、変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調スポーク領域35aを含む複数の変調単位領域24eに区画する。
変調単位領域24eを画定する図27の点線は、例えば、隣接する2つの円周方向線27間の中間点に沿って延びる円周方向の線と、円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調スポーク領域35aの中心を結ぶ線に直交するよう延びる半径方向の線と、からなっている。このようにして図27に示す点線を描くことにより、変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調スポーク領域35aを含む複数の変調単位領域24eに区画することができる。この場合、第1位相変調スポーク領域35aの占有率は、各変調単位領域24eにおける第1位相変調スポーク領域35aの面積率として定義される。
ここで、各変調単位領域24eを長方形で近似した場合、この長方形の一辺の長さはほぼLに等しい。従って、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、上述の結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、変調マスク傾斜部32により変調されて被照射物18に照射される光は、第1位相変調スポーク領域35aの占有率に基づいた強度分布を有することになる。
次に、変調マスク傾斜部32の各変調単位領域24eにおける、第1位相変調スポーク領域35aの占有率と第2位相変調スポーク領域35bの占有率との差について考える。
図26に示すように、第1位相変調スポーク領域35aの円周方向長さLは、変調マスク傾斜部32の半径方向における外側(変調マスク傾斜部32の外方)に向かうにつれて単調に増加している。すなわち、図19乃至図21に示す第3の実施の形態における第1位相変調単位領域25aの場合と同様に、第1位相変調スポーク領域35aの占有率は、変調マスク傾斜部32の半径方向における外側(変調マスク傾斜部32の外方)に向かうにつれて単調に増加している。具体的には、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において、第1位相変調スポーク領域35aの占有率が略0.3となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において、第1位相変調スポーク領域35aの占有率が略0.5となっている。一方、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において、第2位相変調スポーク領域35bの占有率が略0.7となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において、第2位相変調スポーク領域35bの占有率が略0.5となっている。すなわち、第1位相変調スポーク領域35aの占有率と第2位相変調スポーク領域35bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において略0.4となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において略0となっている。このように、第1位相変調スポーク領域35aの占有率と第2位相変調スポーク領域35bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している。言い換えると、第1位相変調スポーク領域35aの円周方向長さLと、当該第1位相変調スポーク領域35aに円周方向において隣接するよう形成された第2位相変調スポーク領域35bの円周方向長さLとの差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少している。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
変調マスク21から出射されたレーザ光は、結像光学系17に入射される。前述のとおり、変調マスク21の各変調マスク傾斜部32における仮想的な変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、各変調マスク傾斜部32を通った後に結像光学系17から出射され被照射物18上に結像されるレーザ光の光強度分布は、各変調マスク傾斜部32の各変調単位領域24eにおける第1位相変調スポーク領域35aの面積率に対応する強度分布を有している。
図28は、変調マスク傾斜部32を通った後に結像光学系17から出射され被照射物18上に結像されるレーザ光の光強度分布を示す図である。上述のように、変調マスク傾斜部32において、各第1位相変調スポーク領域35aは、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27に沿って周期的に並べられている。また、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調スポーク領域35aの円周方向長さLは略一定となっている。さらに、第1位相変調スポーク領域35aの円周方向長さLと、当該第1位相変調スポーク領域35aに円周方向において隣接するよう形成された第2位相変調スポーク領域35bの円周方向長さLとの差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少している。このことにより、図28に示すように、被照射物18に、円形の等強度線を有するとともに、外方に向かうにつれて照射エネルギー密度が連続的に小さくなる光を照射することができる。
ここで、上述のように、第1位相変調スポーク領域35aの占有率と第2位相変調スポーク領域35bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している。このため、図28に示すように、被照射物18に照射される光のエネルギー密度は、変調マスク傾斜部32の内縁32aに対応する領域の近傍で最大(Imax)となる。
また、第1位相変調スポーク領域35aの占有率と第2位相変調スポーク領域35bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において略0となっている。このため、被照射物18に照射される光のエネルギー密度は、光の外方に向かうにつれて小さくなり、そして、変調マスク傾斜部32の外縁に対応する領域の近傍でIminとなる。
また第3の実施の形態の場合と同様に、非変調領域23は、光を遮蔽する光遮蔽層21bを含んでいる。このため、変調マスク傾斜部32の外縁に対応する領域よりも外方において、図28に示すように、被照射物18に照射される光のエネルギー密度を略0とすることができる。
また本実施の形態によれば、各第1位相変調スポーク領域35aは、各々が変調マスク傾斜部32の半径方向に延びる略一定長さの2側縁35c,35cを含んでいる。このため、各単位変調領域24eが上述の第3の実施の形態における第1位相変調単位領域25aを有する場合に比べて、隣接する第1位相変調スポーク領域35aが重なり合う、若しくは変調マスク21の作製が困難になる程度に近接するのを避けるとともに、円周方向線27上において周期的であることを完全に保ちながら、各単位変調領域24eにおける第1位相変調領域(第1位相変調単位領域25aまたは第1位相変調スポーク領域35a)の面積率を大きくすることができる。
好ましくは、変調マスク傾斜部32において、第1位相変調領域(第1位相変調単位領域25aまたは第1位相変調スポーク領域35a)の占有率が小さい場合には第1位相変調単位領域25aが用いられ、第1位相変調領域の占有率が大きい場合には第1位相変調スポーク領域35aが用いられる。より具体的には、一例として、第1位相変調領域の占有率が0〜0.3の範囲内においては第1位相変調単位領域25aが用いられ、第1位相変調領域の占有率が0.3〜0.50の範囲内においては第1位相変調スポーク領域35aが用いられる。
また本実施の形態の変調マスク傾斜部32において、光を第1の変調量で変調する傾斜部第1変調スポーク領域が、第1の位相変調量を有する第1位相変調スポーク領域35aからなり、光を第2の変調量で変調する傾斜部第2変調スポーク領域が、第2の位相変調量を有する第2位相変調スポーク領域35bからなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、光を第1の変調量で変調する傾斜部第1変調スポーク領域が、第1の振幅変調量を有する第1振幅変調スポーク領域(図示せず)からなり、光を第2の変調量で変調する傾斜部第2変調スポーク領域が、第2の振幅変調量を有する第2振幅変調スポーク領域(図示せず)からなっていてもよい。この場合、変調マスク傾斜部32を平面図で示した場合の第1振幅変調スポーク領域および第2振幅変調スポーク領域の形状は、第1位相変調スポーク領域35aおよび第2位相変調スポーク領域35bの形状と略同一であるので、詳細な説明は省略する。また、変調マスク傾斜部32を断面図で示した場合の第1振幅変調スポーク領域および第2振幅変調スポーク領域の構造は、図16に示す第2の実施の形態における第1振幅変調単位領域26aおよび第2振幅変調領域26bの構造と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
第3の実施の形態のその他の変形例
次に、図29乃至図31を参照して、本発明の第3の実施の形態のその他の変形例について説明する。図29乃至図31に示す第3の実施の形態のその他の変形例は、変調マスク傾斜部が、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調リング領域(傾斜部第1変調リング領域)と、各第1位相変調リング領域間に形成され、光を第2の位相変調量で変調する多数の第2位相変調リング領域(傾斜部第2変調リング領域)と、を有する点が異なるのみであり、他の構成は、図17乃至図23に示す第3の実施の形態と略同一である。図29乃至図31に示す第3の実施の形態のその他の変形例において、図17乃至図23に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(変調マスク)
図29および図30を参照して、本形態における変調マスク21の変調マスク傾斜部32について説明する。図29は、本発明の第3の実施の形態のその他の変形例における変調マスク21の変調マスク傾斜部32を示す平面図であり、図30は、図29の変調マスク傾斜部32において枠XXXで囲まれた部分を拡大して示す図である。なお図29においては、円形の輪郭からなる変調マスク傾斜部32のうち、その左上部分のみが示されている。
図29に示すように、変調マスク傾斜部32は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調リング領域45a(傾斜部第1変調リング領域)と、各第1位相変調リング領域45a間に形成され、光を第2の位相変調量で変調する多数の第2位相変調リング領域45b(傾斜部第2変調リング領域)と、を有している。第1位相変調リング領域45aおよび第2位相変調リング領域45bは、変調マスク傾斜部32を平面図で示した場合の形状および配置パターンが異なるのみであり、その他の構成は、図17乃至図23に示す第3の実施の形態における第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bと略同一となっている。
第1位相変調リング領域45aの形状および配置パターンについて説明する。図29に示すように、各第1位相変調リング領域45aは、半径方向に多列に並べられるとともに各々が円環状に延びるよう形成されている。具体的には、図29に示すように、各第1位相変調リング領域45aは、変調マスク傾斜部32内に仮想的に設けられた複数の仮想的な円周方向線27を半径方向に均等に覆うよう形成されている。このことにより、円周方向線27に沿って見た場合の第1位相変調リング領域45aの占有率(後述)を略一定とすることができる。
次に、図30を参照して、第1位相変調リング領域45aの配置パターンについてより詳細に説明する。図30に示すように、隣り合う2つの第1位相変調リング領域45aの半径方向距離L(隣り合う2つの円周方向線27間の半径方向距離)は、略一定となっている。ここで、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、レーザ光源12からの光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの第1位相変調リング領域45aの半径方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっている。ここで、「半径方向距離Lを結像光学系17の結像面17fに換算した距離」とは、変調マスク21における半径方向距離Lに、結像光学系17の倍率を掛けた値のことである。
次に、図30を参照して、第1位相変調リング領域45aの占有率について説明する。はじめに、図30において点線で示すように、変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調リング領域45aを半径方向に横切る複数の変調単位領域24eに区画する。
変調単位領域24eを画定する図30の点線は、例えば、隣接する2つの円周方向線27間の中間点に沿って延びる円周方向の線と、円周方向における所定の距離、例えば0.8R’(R’は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを変調マスク21上に換算した長さ)ごとに第1位相変調リング領域45aを半径方向に横切る半径方向の線と、からなっている。このようにして図30に示す点線を描くことにより、変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調リング領域45aを半径方向に横切る複数の変調単位領域24eに区画することができる。この場合、第1位相変調リング領域45aの占有率は、各変調単位領域24eにおける第1位相変調リング領域45aの面積率として定義される。
ここで、各変調単位領域24eを長方形で近似した場合、この長方形の一辺の長さはほぼLに等しい。従って、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、上述の結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、変調マスク傾斜部32により変調されて被照射物18に照射される光は、第1位相変調リング領域45aの占有率に基づいた強度分布を有することになる。
次に、変調マスク傾斜部32の各変調単位領域24eにおける、第1位相変調リング領域45aの占有率と第2位相変調リング領域45bの占有率との差について考える。
図29および図30に示すように、第1位相変調リング領域45aの半径方向長さLは、変調マスク傾斜部32の半径方向における外側(変調マスク傾斜部32の外方)に向かうにつれて単調に増加している。すなわち、図19乃至図21に示す第3の実施の形態における第1位相変調単位領域25aの場合と同様に、第1位相変調リング領域45aの占有率は、変調マスク傾斜部32の半径方向における外側(変調マスク傾斜部32の外方)に向かうにつれて単調に増加している。具体的には、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において、第1位相変調リング領域45aの占有率が略0.3となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において、第1位相変調リング領域45aの占有率が略0.5となっている。一方、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において、第2位相変調リング領域45bの占有率が略0.7となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において、第2位相変調リング領域45bの占有率が略0.5となっている。すなわち、第1位相変調リング領域45aの占有率と第2位相変調リング領域45bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において略0.4となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において略0となっている。このように、第1位相変調リング領域45aの占有率と第2位相変調リング領域45bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している。言い換えると、第1位相変調リング領域45aの半径方向長さLと、当該第1位相変調リング領域45aに半径方向において隣接するよう形成された第2位相変調リング領域45bの半径方向長さLとの差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少している。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
変調マスク21から出射されたレーザ光は、結像光学系17に入射される。前述のとおり、変調マスク21の各変調マスク傾斜部32における仮想的な変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、変調マスク傾斜部32を通った後に結像光学系17から出射され被照射物18上に結像されるレーザ光の光強度分布は、変調マスク傾斜部32の各変調単位領域24eにおける第1位相変調リング領域45aの面積率に対応する強度分布を有している。
図31は、変調マスク傾斜部32を通った後に結像光学系17から出射され被照射物18上に結像されるレーザ光の光強度分布を示す図である。上述のように、変調マスク傾斜部32において、各第1位相変調リング領域45aは、各々が円環状に延びている。また、隣り合う2つの第1位相変調リング領域45aの半径方向距離Lは、略一定となっている。さらに、第1位相変調リング領域45aの半径方向長さLと、当該第1位相変調リング領域45aに半径方向において隣接するよう形成された第2位相変調リング領域45bの半径方向長さLとの差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少している。このことにより、図31に示すように、被照射物18に、円形の等強度線を有するとともに、外方に向かうにつれて照射エネルギー密度が連続的に小さくなる光を照射することができる。
ここで、上述のように、第1位相変調リング領域45aの占有率と第2位相変調リング領域45bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している。このため、図31に示すように、被照射物18に照射される光のエネルギー密度は、変調マスク傾斜部32の内縁32aに対応する領域の近傍で最大(Imax)となる。
また、第1位相変調リング領域45aの占有率と第2位相変調リング領域45bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において略0となっている。このため、被照射物18に照射される光のエネルギー密度は、光の外方に向かうにつれて小さくなり、そして、変調マスク傾斜部32の外縁に対応する領域の近傍でIminとなる。
また第3の実施の形態の場合と同様に、非変調領域23は、光を遮蔽する光遮蔽層21bを含んでいる。このため、変調マスク傾斜部32の外縁に対応する領域よりも外方において、図31に示すように、被照射物18に照射される光のエネルギー密度を略0とすることができる。
また本実施の形態によれば、各第1位相変調リング領域45aは、各々が円環状に延びるよう形成されている。このため、各単位変調領域24eが上述の第3の実施の形態における第1位相変調単位領域25aを有する場合に比べて、隣接する第1位相変調領域が重なり合う、若しくは変調マスク21の作製が困難になる程度に近接するのを避けるとともに、円周方向線27上において周期的であることを完全に保ちながら、各単位変調領域24eにおける第1位相変調領域(第1位相変調単位領域25aまたは第1位相変調リング領域45a)の面積率を大きくすることができる。
好ましくは、変調マスク傾斜部32において、第1位相変調領域(第1位相変調単位領域25aまたは第1位相変調リング領域45a)の占有率が小さい場合には第1位相変調単位領域25aが用いられ、第1位相変調領域の占有率が大きい場合には第1位相変調リング領域45aが用いられる。より具体的には、第1位相変調領域の占有率が0〜0.3の範囲内においては第1位相変調単位領域25aが用いられ、第1位相変調領域の占有率が0.3〜0.50の範囲内においては第1位相変調リング領域45aが用いられる。
なお本実施の形態の変調マスク傾斜部32において、光を第1の変調量で変調する傾斜部第1変調リング領域が、第1の位相変調量を有する第1位相変調リング領域45aからなり、光を第2の変調量で変調する傾斜部第2変調リング領域が、第2の位相変調量を有する第2位相変調リング領域45bからなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、光を第1の変調量で変調する傾斜部第1変調リング領域が、第1の振幅変調量を有する第1振幅変調リング領域(図示せず)からなり、光を第2の変調量で変調する傾斜部第2変調リング領域が、第2の振幅変調量を有する第2振幅変調リング領域(図示せず)からなっていてもよい。この場合、変調マスク傾斜部32を平面図で示した場合の第1振幅変調リング領域および第2振幅変調リング領域の形状は、第1位相変調リング領域45aおよび第2位相変調リング領域45bの形状と略同一であるので、詳細な説明は省略する。また、変調マスク傾斜部32を断面図で示した場合の第1振幅変調リング領域および第2振幅変調リング領域の構造は、図16に示す第2の実施の形態における第1振幅変調単位領域26aおよび第2振幅変調領域26bの構造と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
また本実施の形態の変調マスク傾斜部32において、各第1位相変調リング領域45a(各傾斜部第1変調リング領域)が、円形の輪郭からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図30Aに示すように、各第1位相変調リング領域45a(各傾斜部第1変調リング領域)が、多角形の輪郭を有していてもよい。この場合、好ましくは、多角形の一辺の長さLを結像光学系17の結像面17fに換算した長さは、上述の結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっている。このことにより、各第1位相変調リング領域45aが多角形の輪郭を有している場合であっても、変調マスク傾斜部32により変調されて結像光学系17の結像面に生成される光強度分布の等強度線を円形にすることができる。
また上記第3の実施の形態、第3の実施の形態の変形例、および第3の実施の形態のその他の変形例において、変調マスク傾斜部32が、第1位相変調単位領域25a、第1位相変調スポーク領域35aまたは第1位相変調リング領域45aのいずれかを有する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、変調マスク傾斜部32は、第1位相変調単位領域25a、第1位相変調スポーク領域35aおよび第1位相変調リング領域45aのうちの2種または3種を有していてもよい。
例えば、図32に示すように、変調マスク傾斜部32は、第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bと、第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bよりも外方に配置された第1位相変調スポーク領域35aおよび第2位相変調スポーク領域35bとを有していてもよい。
若しくは、図33に示すように、変調マスク傾斜部32は、第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bと、第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bよりも外方に配置された第1位相変調リング領域45aおよび第2位相変調リング領域45bとを有していてもよい。
図32または図33に示すように、変調マスク傾斜部32のうち、第1位相変調領域(第1位相変調単位領域25a、第1位相変調スポーク領域35aまたは第1位相変調リング領域45a)の占有率が小さい領域を第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bによって構成することにより、変調マスク傾斜部32の作製を容易化することができる。
また上述のように、第1位相変調単位領域25aの長さを結像光学系17の結像面17fに換算した長さが、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rと比べて無視できないくらいに大きい場合(すなわち、第1位相変調単位領域25aの占有率が大きい場合)、各第1位相変調単位領域25aの側縁がx方向またはy方向に沿って延びていることによる周期性のわずかな不完全さが、結像光学系17の結像面における光強度分布の周期性に与える影響が、無視できなくなってくる。すなわち上述のように、結像光学系17の結像面における等強度線が、完全な円形ではなく、若干うねった円形になることが考えられる。このような場合、変調マスク傾斜部32のうち、第1位相変調領域(第1位相変調単位領域25a、第1位相変調スポーク領域35aまたは第1位相変調リング領域45a)の占有率が大きい領域を、第1位相変調スポーク領域35aおよび第2位相変調スポーク領域35b、または、第1位相変調リング領域45aおよび第2位相変調リング領域45bによって構成することが好ましい。これによって、変調マスク傾斜部32の作製を容易化するとともに、円周方向線27上において周期的であることを保つことができる。
第4の実施の形態
次に、図34乃至図38を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。図34乃至図38に示す第4の実施の形態において、変調マスクの変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部と、変調マスク傾斜部の外縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部と、変調マスク傾斜部の内縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク中央部と、を有している。図34乃至図38に示す第4の実施の形態において、図1乃至図13に示す第1の実施の形態、または図17乃至図23に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(変調マスク)
はじめに、図34(a)(b)および図35を参照して、本実施の形態における変調マスク21について説明する。図34(a)は、本実施の形態における変調マスク21を示す平面図であり、図34(b)は、図34(a)に示す変調マスク21と、被照射物18に形成されるテーパ穴20との対応を示す図であり、図34(c)は、図34(b)のテーパ穴を形成するために被照射物に照射される光の強度分布を示す図である。図35は、本実施の形態における変調マスク21の変調領域22を示す平面図である。
本実施の形態においては、複数の変調領域22を有する変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、被照射物18に複数のテーパ穴20が形成される。図34(a)(b)は、被照射物18に形成されるテーパ穴20と、当該テーパ穴20を形成するよう被照射物18に照射される光を変調する変調マスク21の変調領域22と、の対応を示す図である。
図34(a)に示すように、変調マスク21の変調領域22は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部32と、変調マスク傾斜部32の外縁32bに位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部33と、変調マスク傾斜部32の内縁32aに位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク中央部34と、を有している。図34(a)(b)に示すように、変調マスク中央部34は、被照射物18のうちテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域に照射される光を変調するものである。また、変調マスク傾斜部32は、被照射物18のうちテーパ穴20の傾斜部20bが形成される領域に照射される光を変調するものであり、変調マスク周縁部33は、被照射物18のうちテーパ穴20が形成されない領域に照射される光を変調するものである。
なお図10(a)(b)(c)に示す第1の実施の形態においては、被照射物18に照射される光の強度分布がHigh/Lowの二値である例を示したが、本実施の形態においては、図34(c)に示すように、被照射物18に照射される光の強度分布が、テーパ穴20のテーパ角度に応じて連続的に変化している。このような光強度の連続的な変化は、後述するように、変調マスク21の変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率を、変調領域22の外方に向かうにつれて変化させることにより実現される。
(変調領域)
次に、図35を参照して、変調マスク21の変調領域22について詳細に説明する。図35においては、円形の輪郭からなる変調領域22のうち、その左上部分のみが示されている。
(変調マスク傾斜部)
図35に示すように、変調マスク傾斜部32は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調単位領域(傾斜部第1変調単位領域)25aと、各第1位相変調単位領域25a間を埋めるよう形成され、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調領域(傾斜部第2変調領域)25bと、を有している。また図35に示すように、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの面積は、変調領域22の外方に向かうにつれて単調に増加している。
(変調マスク周縁部)
図35に示すように、変調マスク周縁部33は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調単位領域(周縁部第1変調単位領域)25aと、各第1位相変調単位領域25a間を埋めるよう形成され、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調領域(周縁部第2変調領域)25bと、を有している。また図35に示すように、変調マスク周縁部33における第1位相変調単位領域25aの面積は、変調マスク周縁部33の全域にわたって略同一となっている。
(変調マスク中央部)
図35に示すように、変調マスク中央部34は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調単位領域(中央部第1変調単位領域)25aと、各第1位相変調単位領域25a間を埋めるよう形成され、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調領域(中央部第2変調領域)25bと、を有している。また図35に示すように、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの面積は、変調マスク中央部34の全域にわたって略同一となっている。
図35に示すように、変調マスク傾斜部32、変調マスク周縁部33および変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aは、円環状に設けられた複数の円周方向線27に沿って配置されている。ここで、第1位相変調単位領域25aが配置された円環状の各円周方向線27間の半径方向距離Lは略一定となっており、また、各円周方向線27において、円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの中心間の円周方向距離Lは略一定となっており、かつ、この円周方向距離Lはすべての円周方向線27上で略一定となっている。このことにより、所定の円周方向線27上において周期的に並ぶよう、第1位相変調単位領域25aを配置することが可能となる。
図1乃至図13に示す第1の実施の形態の場合と同様に、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、レーザ光源12からの光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離のうち少なくとも一方がRよりも小さくなるよう、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lが設定されている。このため、変調マスク傾斜部32、変調マスク周縁部33および変調マスク中央部34を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画した場合、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、上述の結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。従って、変調マスク傾斜部32、変調マスク周縁部33および変調マスク中央部34により変調されて被照射物18に照射される光は、第1位相変調単位領域25aの占有率(各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積率)に基づいた強度分布を有することになる。
次に、変調マスク傾斜部32、変調マスク周縁部33および変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率について説明する。
はじめに、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率について説明する。上述のように、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの面積は、変調マスク中央部34の全域にわたって略同一となっている。このため、第1位相変調単位領域25aの占有率も、変調マスク中央部34の全域にわたって略同一となっている。
具体的には、図35に示す変調マスク中央部34の各変調単位領域24eにおいて、第1位相変調単位領域25aの占有率が略0.1となっており、第2位相変調領域25bの占有率が略0.9となっている。すなわち、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差が略0.8となっている。この場合、変調マスク中央部34により変調されて被照射物18に照射される光の規格化された強度の設計値は略0.8となる。なお規格化においては、第1位相変調単位領域25aの占有率が1(若しくは、第2位相変調領域25bの占有率が1)である変調マスクにより変調されて被照射物18に照射される光の強度を1としている。
次に、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率について説明する。図35に示すように、第1位相変調単位領域25aの占有率は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に増加している。具体的には、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において、第1位相変調単位領域25aの占有率が略0.15となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において、第1位相変調単位領域25aの占有率が略0.45となっている。このため、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において略0.7となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において略0.1となっている。このように、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している。
この場合、変調マスク傾斜部32により変調されて被照射物18に照射される光の規格化された強度の設計値は、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において略0.7となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において略0.1となっている。また、変調マスク傾斜部32により変調されて被照射物18に照射される光の規格化された強度の設計値は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している。このことにより、被照射物18に、所定の角度で傾斜するテーパ穴20の傾斜部20bを形成することができる。
なお上述の例において、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差が、変調マスク傾斜部32の内縁32a近傍において略0.7となっており、変調マスク傾斜部32の外縁32b近傍において略0.1となっている例を示したが、これに限られることはない。変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差は、被照射物18に形成されるテーパ穴20の傾斜部20bの形状に応じて適宜設定される。
次に、変調マスク周縁部33における第1位相変調単位領域25aの占有率について説明する。上述のように、変調マスク周縁部33における第1位相変調単位領域25aの面積は、変調マスク周縁部33の全域にわたって略同一となっている。このため、第1位相変調単位領域25aの占有率も、変調マスク周縁部33の全域にわたって略同一となっている。
具体的には、図35に示す変調マスク周縁部33の各変調単位領域24eにおいて、第1位相変調単位領域25aの占有率と、第2位相変調領域25bの占有率とが略同一となっている。すなわち、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調領域25bの占有率との差が略0となっている。この場合、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18に照射される光の規格化された強度の設計値は略0となる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、はじめに変調マスク21の作製方法について説明し、次に、変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、披照射物18にテーパ穴20を形成する方法について説明する。
変調マスクの作製方法
図36および図37を参照して、変調マスク21の作製方法について説明する。図36は、図36は、変調マスク21の非変調領域23を形成する方法を示す図であり、図37は、変調マスク21の変調領域22を形成する方法を示す図である。
図36を参照して、変調マスク21の非変調領域23を形成する方法について説明する。はじめに、図36(a)に示すように、屈折率nの石英ガラスからなる変調マスク本体部21aを準備する。次に、図36(b)に示すように、変調マスク本体部21aに光遮蔽層21bを設ける。光遮蔽層21bを設ける方法が限られることはなく、例えばスパッタリング法などが用いられる。
次に、図36(c)に示すように、光遮蔽層21b上に、光に対する光溶解型の感光性を有する第1感光層51を設ける。その後、図36(d)に示すように、第1感光層51のうち、変調マスク本体部21aにおいて変調領域22が形成される部分に対応する領域に、レーザビーム若しくは電子線ビームを照射する(以下、第1の走査露光処理と称する)。その後、第1感光層51に対して現像処理を施すことにより、図36(e)に示すように、変調領域22が形成される部分における第1感光層51が除去される。
次に、図36(f)に示すように、第1感光層51をマスクとして光遮蔽層21bをエッチングし、その後、残っている第1感光層51を除去する。これによって、図36(g)に示すように、変調マスク本体部21aと光遮蔽層21bとからなる非変調領域23が形成される。
次に、図37を参照して、変調マスク21の変調領域22を形成する方法について説明する。はじめに、図37(a)に示すように、光遮蔽層21b上に、光に対する光溶解型の感光性を有する第2感光層53を設ける。その後、図37(b)に示すように、第3感光層53のうち、変調マスク本体部21aの変調領域22において第1位相変調単位領域25aが形成される部分に対応する領域、レーザビーム若しくは電子線ビームを照射する(以下、第2の走査露光処理と称する)。その後、第2感光層53に対して現像処理を施すことにより、図37(c)に示すように、第1位相変調単位領域25aが形成される部分における第2感光層53が除去される。
次に、図37(d)に示すように、第2感光層53をマスクとして変調マスク本体部21aをエッチングし、その後、残っている第2感光層53を除去する。これによって、図37(e)に示すように、第1位相変調単位領域25aと第2位相変調領域25bとからなる変調領域22が形成される。このようにして、変調領域22と非変調領域23とを有する変調マスク21が作製される。
テーパ穴の形成方法
次に、得られた変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、被照射物18にテーパ穴20を形成する。図38(b)は、変調マスク21を通った後に結像光学系17から出射され被照射物18上に結像されるレーザ光の光強度分布を示す図である。図38(b)において、等強度線55により、変調マスク21の変調領域22の変調マスク中央部34により変調されて被照射物18上に結像される光の強度分布が示されている。また、等強度線57により、変調マスク21の変調領域22の変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光の強度分布が示されている。また、等強度線55と等強度線57との間に位置する等強度線56a〜56fにより、変調マスク21の変調領域22の変調マスク傾斜部32により変調されて被照射物18上に結像される光の強度分布が示されている。また、等強度線58により、変調マスク21の非変調領域23を通って被照射物18上に結像される光の強度分布が示されている。
上述のように、変調領域22の変調マスク傾斜部32、変調マスク周縁部33および変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aは、所定の円周方向線27上において周期的に並ぶよう配置されている。このため、図38(b)に示すように、被照射物18に照射される光の等強度線が円形となっている。このことにより、被照射物18に、円形の輪郭を有するテーパ穴20を形成することができる。
図38(c)は、被照射物18に照射される光の規格化された強度を、図38(b)の線XXXVIIIに沿って示す図である。また図38(a)は、被照射物18に照射される光の強度分布と、被照射物18に形成されるテーパ穴20との対応を示す図である。図38(c)に示すように、変調マスク中央部34により変調されて被照射物18上に結像される光の規格化された強度は略0.8となっている。また図38(a)に示すように、変調マスク中央部34により変調されて被照射物18上に結像される光によって、テーパ穴20の貫通部20aが形成されるとともに、テーパ穴20の先端部20cの円形の輪郭が画定されている。
また図38(c)に示すように、変調マスク傾斜部32により変調されて被照射物18上に結像される光の規格化された強度は、外方に向かうにつれて単調に減少している。また図38(a)に示すように、変調マスク傾斜部32により変調されて被照射物18上に結像される光によって、テーパ穴20の傾斜部20bが形成されている。
また図38(c)に示すように、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光の規格化された強度は、略0であり、かつ、フィラー18eのアブレーション閾値および基本樹脂18dのアブレーション閾値よりも小さくなっている。このため、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光によって、被照射物18が加工されることはない。従って、図38(a)に示すように、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光によって、テーパ穴20の基端部20dの円形の輪郭が画定される。
次に、被照射物18に形成されたテーパ穴20における、先端部20cの輪郭と基端部20dの輪郭との関係について説明する。上述のように、変調マスク21の変調領域22において、変調マスク中央部34および変調マスク周縁部33は、いずれも、第2の走査露光処理に基づいて形成されている。従って、変調マスク中央部34に対して、変調マスク周縁部33を精度良く配置することが可能となっている。このため、変調マスク中央部34の第1位相変調単位領域25aが配置される円周方向線27の中心と、変調マスク周縁部33の第1位相変調単位領域25aが配置される円周方向線27の中心とを、容易に精度良く一致させることができる。従って、変調マスク中央部34により変調されて被照射物18上に結像される光による円形の等強度線55と、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光による円形の等強度線57と、を精度良く同心にすることができる。このことにより、先端部20cの円形の輪郭と、基端部20dの円形の輪郭と、を精度良く同心にすることができる。
ところで、上述のように、変調マスク21において、変調領域22の輪郭は第2の走査露光処理により画定され、一方、非変調領域23と変調領域22との間の境界は、第1の走査露光処理により画定されている。このため、第1の走査露光処理時のアライメントと、第2の走査露光処理時のアライメントとがずれていた場合、第2の走査露光処理により画定される変調領域22の輪郭と、第1の走査露光処理により画定される非変調領域23と変調領域22との間の境界と、が相違することが考えられる。この場合、図38(b)に示すように、変調領域22により変調されて被照射物18上に結像される光による円形の等強度線55〜57と、非変調領域23を通って被照射物18上に結像される光による円形の等強度線58と、が同心にならないことが考えられる。
しかしながら、本実施の形態によれば、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光の規格化された強度は、略0であり、かつ、フィラー18eのアブレーション閾値および基本樹脂18dのアブレーション閾値よりも小さくなっている。このため、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光によって、被照射物18が加工されることはない。従って、図38(a)に示すように、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光によって、テーパ穴20の基端部20dの円形の輪郭が画定されている。このため、円形の等強度線55〜57と円形の等強度線58とが同心となっていない場合であっても、先端部20cの円形の輪郭と、基端部20dの円形の輪郭と、を精度良く同心にすることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、変調マスク傾斜部32において、各第1位相変調単位領域25aは、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27に沿って周期的に並べられている。また、各円周方向線27において、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの面積は略一定となっている。さらに、第1位相変調単位領域25aの占有率は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に増加している。このことにより、被照射物18に、円形の等強度線を有するとともに、外方に向かうにつれて照射エネルギー密度が連続的に小さくなる光を照射することができる。このことにより、被照射物18に、所望のテーパ角度を有するテーパ穴20の傾斜部20bを精度良く形成することができる。
また本実施の形態によれば、変調マスク中央部34において、各第1位相変調単位領域25aは、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27に沿って周期的に並べられている。また、変調マスク中央部34全域にわたって、各第1位相変調単位領域25aの面積は略同一となっている。このことにより、被照射物18に、円形の等強度線を有する光を照射することができ、これによって、円形の輪郭を有するテーパ穴20の先端部20cを精度良く形成することができる。
また本実施の形態によれば、変調マスク周縁部33において、各第1位相変調単位領域25aは、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27に沿って周期的に並べられている。また、各円周方向線27において、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの面積は略一定となっている。さらに、変調マスク周縁部33において、第1位相変調単位領域25aの占有率と、第2位相変調領域25bの占有率とが略同一となっている。このことにより、被照射物18に、円形の等強度線を有するとともに、規格化された強度の設計値が0となる光を照射することができる。これによって、円形の輪郭を有するとともに、先端部20cと同心の基端部20dを精度良く形成することができる。
また本実施の形態によれば、変調マスク21の非変調領域23は、光を遮蔽する光遮蔽層21bを含んでいる。このため、マスク照明系11から変調マスク21に入射する光のうち非変調領域23に入射する光は、その大半が光遮蔽層21bにより遮蔽される。これによって、マスク照明系11から変調マスク21に入射した光が、被照射物18のうちテーパ穴20が形成されない領域に照射されるのを防ぐことができ、このことにより、被照射物18うちテーパ穴20が形成されない領域が加工されるのを確実に防ぐことができる。
また本実施の形態によれば、光を遮蔽する非変調領域23を光遮蔽層21bによって構成することにより、円形の輪郭からなる各変調領域22間を非変調領域23で容易に埋めることが可能となる。
なお本実施の形態において、変調領域22の変調マスク周縁部33が、第1位相変調単位領域25aと第2位相変調領域25bとからなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図39に示すように、変調マスク周縁部33が、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調スポーク領域35a(周縁部第1変調スポーク領域)と、各第1位相変調スポーク領域35a間に形成され、光を第2の位相変調量で変調する多数の第2位相変調スポーク領域35b(周縁部第2変調スポーク領域)と、を有していてもよい。
図39に示すように、変調マスク周縁部33において、各第1位相変調スポーク領域35aの円周方向長さLと、各第2位相変調スポーク領域35bの円周方向長さLとは略同一となっている。円周方向長さLおよび円周方向長さL以外の点において、変調マスク周縁部33の第1位相変調スポーク領域35aおよび第2位相変調スポーク領域35bの配置および形状は、図26乃至図28に示す第3の実施の形態の変形例における第1位相変調スポーク領域35aおよび第2位相変調スポーク領域35bの配置および形状と略同一であるので、詳細な説明は省略する。なお、図39に示す変調マスク周縁部33は、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調スポーク領域35aを円周方向に横切る複数の変調単位領域24eによって区画され得る。
上述のように、各第1位相変調スポーク領域35aの円周方向長さLと、各第2位相変調スポーク領域35bの円周方向長さLとは略同一となっている。このため、第1位相変調スポーク領域35aの占有率と第2位相変調スポーク領域35bの占有率との差が略0となっている。従って、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光の規格化された強度は、略0であり、かつ、フィラー18eのアブレーション閾値および基本樹脂18dのアブレーション閾値よりも小さくなっている。このことにより、円形の輪郭を有するとともに、先端部20cと同心の基端部20dを精度良く形成することができる。
さらに、各第1位相変調スポーク領域35aは、各々が変調マスク周縁部33の半径方向に延びる略一定長さの2側縁35c,35cを含んでいる。このため、変調マスク周縁部33が第1位相変調単位領域25aを有する場合に比べて、隣接する第1位相変調領域が重なり合う、若しくは変調マスク21の作製が困難になる程度に近接するのを避けるとともに、円周方向線27上において周期的であることを完全に保ちながら、各単位変調領域24eにおける第1位相変調領域(第1位相変調単位領域25aまたは1位相変調スポーク領域35a)の面積率を大きくすることができる。
若しくは、本実施の形態において、図40に示すように、変調マスク周縁部33が、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調リング領域45a(周縁部第1変調リング領域)と、各第1位相変調リング領域45a間に形成され、光を第2の位相変調量で変調する多数の第2位相変調リング領域45b(周縁部第2変調リング領域)と、を有していてもよい。
図40に示すように、変調マスク周縁部33において、各第1位相変調リング領域45aの半径方向長さLと、各第2位相変調リング領域45bの半径方向長さLとは略同一となっている。半径方向長さLおよび半径方向長さL以外の点において、変調マスク周縁部33の第1位相変調リング領域45aおよび第2位相変調リング領域45bの配置および形状は、図29乃至図31に示す第3の実施の形態のその他の変形例における第1位相変調リング領域45aおよび第2位相変調リング領域45bの配置および形状と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
上述のように、各第1位相変調リング領域45aの半径方向長さLと、各第2位相変調リング領域45bの半径方向長さLとは略同一となっている。このため、第1位相変調リング領域45aの占有率と第2位相変調リング領域45bの占有率との差が略0となっている。従って、変調マスク周縁部33により変調されて被照射物18上に結像される光の規格化された強度は、略0であり、かつ、フィラー18eのアブレーション閾値および基本樹脂18dのアブレーション閾値よりも小さくなっている。このことにより、円形の輪郭を有するとともに、先端部20cと同心の基端部20dを精度良く形成することができる。
さらに、各第1位相変調リング領域45aは、各々が円環状に延びるよう形成されている。このため、変調マスク周縁部33が第1位相変調単位領域25aを有する場合に比べて、隣接する第1位相変調領域が重なり合う、若しくは変調マスク21の作製が困難になる程度に近接するのを避けるとともに、円周方向線27上において周期的であることを完全に保ちながら、各単位変調領域24eにおける第1位相変調リング領域45aの面積率を大きくすることができる。
さらに本実施の形態において、図41に示すように、変調マスク周縁部33が、円形の輪郭を有するとともに、光を遮蔽する光遮蔽層29を含んでいてもよい。これによって、変調マスク周縁部33を通って被照射物18上に結像される光の規格化された強度を、略0とすることができる。
また本実施の形態において、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率が略0.1となっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、テーパ穴20の深さや光照射回数などに応じて、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率を適宜設定することができる。この場合、図42に示すように、変調マスク中央部34が第1位相変調単位領域25aを有していなくてもよい。すなわち、変調マスク中央部34が第2位相変調領域25bのみからなっていてもよい。このことにより、変調マスク中央部34により変調されて被照射物18に照射される光の規格化された強度の設計値を1とすることができる。
また本実施の形態において、変調領域22の変調マスク傾斜部32が、第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bから構成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図26乃至図28に示す本発明の第3の実施の形態の変形例の場合と同様に、変調マスク傾斜部32が、第1位相変調スポーク領域35aと第2位相変調スポーク領域35bとから構成されていてもよい。若しくは、図29乃至図31に示す本発明の第3の実施の形態のその他の変形例の場合と同様に、変調マスク傾斜部32が、第1位相変調リング領域45aと第2位相変調リング領域45bとから構成されていてもよい。
また本実施の形態において、変調マスク21の変調領域22が、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部32と、変調マスク傾斜部32の外縁32bに位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部33と、変調マスク傾斜部32の内縁32aに位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク中央部34と、からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図43に示すように、変調領域22が、略円形の輪郭を有する変調マスク中央部34と、変調マスク中央部34の外縁34bに位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部33と、からなっていてもよい。この場合、変調マスク周縁部33を構成する第1位相変調領域が、図43に示す第1位相変調リング領域45aおよび第2位相変調リング領域45bに限られることはない。変調マスク周縁部33が、第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調領域25bから構成されていてもよく、または、第1位相変調スポーク領域35aおよび第2位相変調スポーク領域35bから構成されていてもよい。
また、上記各実施の形態において、被照射物18に光を照射してしてテーパ穴20またはマイクロレンズ30を形成する際、被照射物18の加工が全てアブレーションにより行われることが好ましいが、しかしながら、被照射物18の加工が部分的にレーザ光照射により生じた熱により行われても構わない。
また上記各実施の形態において、レーザ光のエネルギー密度IはIupperを超えないよう設定される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、レーザ光のエネルギー密度Iを、Iupperを超える値に設定してもよい。この場合、レーザ光のエネルギー密度Iは、被照射物18の一部が除去された際に発生する飛散物に起因するレーザ光の吸収・散乱を考慮して設定される。
また上記各実施の形態において、レーザ光源12は、308nmの波長を有する光を供給するXeClエキシマレーザ光源12からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、レーザ光源12として308nm以外の波長を有する光を供給するレーザ光源12を用いても良い。この場合、レーザ光源12の波長は、被照射物18の材料、結像光学系17の倍率、および結像光学系17の開口率NAなどを考慮して決定される。
また上記各実施の形態において、光照射装置10により被照射物18に貫通部20aと傾斜部20bとを有するテーパ穴20が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、光照射装置10により被照射物18に非貫通のテーパ穴20、すなわち底部分と傾斜部20bとを有するテーパ穴20を形成してもよい。
また上記各実施の形態において、光照射装置10が、被照射物18を加工するために用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、光照射装置10を、加工以外の用途、例えば感光材料に対する露光や、材料改質などの用途において用いてもよい。
また上記各実施の形態において、変調マスク21の変調領域22が、円形の輪郭からなる例を示したが、これに限られることはない。変調領域22により変調され、その後に被照射物18に対して照射される光が円形の等強度線を少なくとも部分的に有する限りにおいて、変調領域22の輪郭を任意の形状とすることができる。
本発明による変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、被照射物18にテーパ穴20を形成した例について説明する。なお、以下の実施例1乃至6において用いられる変調マスク21は、複数の変調領域22と、各変調領域間22を埋める非変調領域23とからなっている。非変調領域23は、上述の場合と同様に、変調マスク本体部21aと、変調マスク本体部21a上に設けられた光遮蔽層21bと、を含んでいる。このため、照明光学系13から変調マスク21の非変調領域23に入射した光は、結像光学系17側から取り出されることなく、光遮蔽層21bによって遮蔽される。
(実施例1)
図44(a)は、実施例1において、被照射物18に形成されたテーパ穴20の形状を示す縦断面図であり、図44(b)は、図44(a)に示すテーパ穴20を形成するために被照射物18に照射された光の強度分布を示す図であり、図44(c)は、光の強度分布を図44(b)の線XXXXIVcに沿って示す図である。図45は、実施例1における変調マスク21の変調領域22を示す平面図である。
実施例1による変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、被照射物18に、基端部20dの直径wが30μm、傾斜部20bの傾斜角度φが8.3度、傾斜部20bの半径方向における幅wが5.5μmであるテーパ穴20を作製した(図44(a))。被照射物18としては、厚さが38μm、吸収係数αが1.43μm−1、アブレーション閾値Ithが50mJ/cmであるポリミドフィルムからなる基本樹脂18dによって構成された被照射物18を用いた。
実施例1において用いた光照射装置10の光学特性の詳細は以下のとおりである。
(1) 光源 レーザ光源:XeClエキシマレーザ、波長:308nm、パルス幅:30nS、光強度:結像面上で1000mJ/cm
(2) 位相変調量 第1の位相変調量と第2の位相変調量の差:180度
(3) 結像光学系 結像光学系倍率:1/5、結像側開口数(NA):0.13
(4) コヒーレントファクタ 0.5
この場合、結像光学系17の点像分布範囲の半径R=1.45μmとなる。
上述のテーパ穴20を形成するために被照射物18に照射された光の強度分布を図44(b)(c)に示す。図44(c)に示すように、被照射物18にテーパ穴20の貫通部20aを形成するため、等強度線55により表される、規格化された光強度が1である光が照射された。また、被照射物18にテーパ穴20の傾斜部20baを形成するため、等強度線56a,56b,57により表される、テーパ穴20の外方に向かうにつれて規格化された光強度が1から0まで単調に減少する光が照射された。なお、アブレーションにより被照射物18の一部が除去された際に発生する飛散物の影響や、加工途中の形状変化に伴うデフォーカスや回折の影響により、上述の[数1]に示す光強度とアブレーションレートとの関係が厳密には成立しないことを考慮して、規格化された光強度が1となる円形の領域の半径(円形の等強度線55の半径)wを12μmとし、光強度が単調に減少する領域の幅wを3μmとした。
図44(b)(c)に示す光の強度分布を実現するために用いた変調マスク21の変調領域22を図45に示す。以下、変調領域22の設計方法について説明する。
はじめに、変調領域22における仮想的な円環状の円周方向線27間の半径方向距離Lを5μmに設定した。この場合、上述のように、変調領域22を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24e、または、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調リング領域45aを半径方向に横切る複数の変調単位領域24eに区画した場合、半径方向における変調単位領域24eの長さは上述の半径方向距離Lにほぼ等しくなっている。すなわち、半径方向における変調単位領域24eの長さは略5μmとなっている。この場合、半径方向における変調単位領域24eの長さを結像光学系17の結像面17fに換算した距離は、5μm×結像光学系倍率(=1/5)=1μmとなる。すなわち、結像光学系17の点像分布範囲の半径R=1.45μmよりも小さくなっている。このため、変調領域22により変調されて被照射物18に照射される光は、図45に示す第1位相変調単位領域25aまたは第1位相変調リング領域45aの占有率に基づいた強度分布を有することになる。
次に、変調領域22における第1位相変調単位領域25aまたは第1位相変調リング領域45aの占有率を設定した。
変調マスク中央部34においては、テーパ穴20の貫通部20aを形成するために照射される光の規格化された強度が1となるよう、第1位相変調単位領域25aの占有率を0に設定した。
変調マスク傾斜部32においては、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率が、内縁32a側から外縁32b側に向かって0.303から0.406に増加するよう設定した。
変調マスク周縁部34においては、変調マスク周縁部34により変調されて被照射部18に照射される光の規格化された強度が略0となるよう、第1位相変調リング領域45aの占有率を0.5に設定した。すなわち、第1位相変調リング領域45aの半径方向長さLと第2位相変調リング領域45bの半径方向長さLとを略等しくした。
このようにして設計した変調マスク21を用いることにより、所望のテーパ角度を有するテーパ穴20を精度良く作製することができた。
(実施例2)
図46(a)は、実施例2において、被加工物18に形成されたテーパ穴20の形状を示す縦断面図であり、図46(b)は、図46(a)に示すテーパ穴20を形成するために被照射物18に照射された光の強度分布を示す図であり、図46(c)は、光の強度分布を図46(b)の線XXXXVIcに沿って示す図である。図47は、実施例2における変調マスク21の変調領域22を示す平面図である。
実施例2による変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、被照射物18に、基端部20dの直径wが30μm、傾斜部20bの傾斜角度φが12.1度、傾斜部20bの半径方向における幅wが8.1μmであるテーパ穴20を作製した(図46(a))。この場合、円形の等強度線55の規格化された光強度を0.71、半径wを9μmとし、光強度が単調に減少する領域の幅wを6μmとした。その他の条件は上述の実施例1の場合と同一であるので、詳細な説明は省略する。
図46(b)(c)に示す光の強度分布を実現するために用いた変調マスク21の変調領域22を図47に示す。ここで、第1位相変調単位領域25aおよび第1位相変調リング領域45aの配置パターンは、上述の実施例1の場合と同一であるので、詳細な説明は省略する。
変調領域22における第1位相変調単位領域25aまたは第1位相変調リング領域45aの占有率について説明する。
変調マスク中央部34においては、テーパ穴20の貫通部20aを形成するために照射される光の規格化された強度が0.71となるよう、第1位相変調単位領域25aの占有率を0.145に設定した。
変調マスク傾斜部32においては、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率が、内縁32a側から外縁32b側に向かって0.145から0.5に単調に増加するよう設定した。
変調マスク周縁部34においては、変調マスク周縁部34により変調されて被照射部18に照射される光の規格化された強度が略0となるよう、第1位相変調リング領域45aの占有率を0.5に設定した。
このようにして設計した変調マスク21を用いることにより、所望のテーパ角度を有するテーパ穴20を精度良く作製することができた。
(実施例3)
図48(a)は、実施例3において、被加工物18に形成されたテーパ穴20の形状を示す縦断面図であり、図48(b)は、図48(a)に示すテーパ穴20を形成するために被照射物18に照射された光の強度分布を示す図であり、図48(c)は、光の強度分布を図48(b)の線XXXXVIIIcに沿って示す図である。図49は、実施例3における変調マスク21の変調領域22を示す平面図である。
実施例3による変調マスク21を備えた光照射装置10を用いて、被照射物18に、基端部20dの直径wが30μm、傾斜部20bの傾斜角度φが4.5度、傾斜部20bの半径方向における幅wが3.0μmであるテーパ穴20を作製した(図48(a))。この場合、円形の等強度線55の規格化された光強度を0.84、半径wを略15μmとした。その他の条件は上述の実施例1の場合と同一であるので、詳細な説明は省略する。
図48(b)(c)に示す光の強度分布を実現するために用いた変調マスク21の変調領域22を図49に示す。ここで、第1位相変調単位領域25aおよび第1位相変調リング領域45aの配置パターンは、上述の実施例1の場合と同一であるので、詳細な説明は省略する。
変調領域22における第1位相変調単位領域25aまたは第1位相変調リング領域45aの占有率について説明する。
変調マスク中央部34においては、テーパ穴20の貫通部20aを形成するために照射される光の規格化された強度が0.84となるよう、第1位相変調単位領域25aの占有率を0.08に設定した。
変調マスク周縁部34においては、変調マスク周縁部34により変調されて被照射部18に照射される光の規格化された強度が略0となるよう、第1位相変調リング領域45aの占有率を0.5に設定した。
このようにして設計した変調マスク21を用いることにより、所望のテーパ角度を有するテーパ穴20を精度良く作製することができた。
(実施例4)
被照射物18にテーパ穴20を形成するために用いられる変調マスク21の変調領域22の一形態例を図50に示す。図50に示す変調領域22において、変調マスク中央部34の半径は60μm(結像光学系17の結像面17fに換算した半径は12μm)となっている。また、変調マスク傾斜部32の幅は10μmとなっており、変調マスク周縁部33の幅は15μmとなっている。
図50に示すように、変調マスク中央部34は、第2位相変調領域25bのみからなっている。すなわち、第1位相変調単位領域25aの占有率が0となっている。
変調マスク傾斜部32においては、第1位相変調単位領域25aの占有率が、内縁32a側から外縁32b側に向かって単調に増加している。
変調マスク周縁部34においては、変調マスク周縁部34により変調されて被照射部18に照射される光の規格化された強度が略0となるよう、第1位相変調スポーク領域35aの占有率が0.5に設定されている。すなわち、第1位相変調スポーク領域35aの円周方向長さLと第2位相変調スポーク領域35bの円周方向長さLとが略等しくなっている。
(実施例5)
被照射物18にテーパ穴20を形成するために用いられる変調マスク21の変調領域22の一形態例を図51に示す。図51に示す変調領域22において、変調マスク中央部34の半径は60μm(結像光学系17の結像面17fに換算した半径は12μm)となっている。また、変調マスク傾斜部32の幅は10μmとなっている。
図51に示すように、変調マスク中央部34は、第2位相変調領域25bのみからなっている。すなわち、第1位相変調単位領域25aの占有率が0となっている。
変調マスク傾斜部32においては、第1位相変調単位領域25aの占有率が、内縁32a側から外縁32b側に向かって単調に増加している。
(実施例6)
被照射物18にテーパ穴20を形成するために用いられる変調マスク21の変調領域22の一形態例を図52に示す。図52に示す変調領域22において、変調マスク中央部34の半径は45μm(結像光学系17の結像面17fに換算した半径は9μm)となっている。また、変調マスク傾斜部32の幅は30μmとなっている。
図52に示すように、変調マスク中央部34は、第2振幅変調領域26bのみからなっている。すなわち、開口率が1となっている。
図52に示すように、変調マスク傾斜部32の内縁32a側の領域は、第1振幅変調単位領域26aと第2振幅変調領域26bとからなっている。また、変調マスク傾斜部32の外縁32a側の領域は、第1振幅変調スポーク領域36aと第2振幅変調スポーク領域36bとからなっている。図52に示すように、変調マスク傾斜部32における開口率が、内縁32a側から外縁32b側に向かって単調に減少するよう、第1振幅変調単位領域26aまたは第1振幅変調スポーク領域36aの形状が設定されている。
10 光照射装置
11 マスク照明系
12 レーザ光源
13 照明光学系
17 結像光学系
17a 凸レンズ
17b 凸レンズ
17c 開口絞り
17e 円筒形
17f 結像面
17g 単位円
17h ベクトル
17k 開口部
17l 点像分布範囲
18 被照射物
18d 基本樹脂
18e フィラー
19 載置台
20 テーパ穴
20a テーパ穴の貫通部
20b テーパ穴の傾斜部
20c テーパ穴の先端部
20d テーパ穴の基端部
21 変調マスク
21a 変調マスク本体部
21b 光遮蔽層
22 変調領域
23 非変調領域
24e 変調単位領域
25a 第1位相変調単位領域
25b 第2位相変調領域
26a 第1振幅変調単位領域
26b 第2振幅変調領域
27 円周方向線
28a x方向側縁
28b y方向側縁
29 光遮蔽層
30 マイクロレンズ
32 変調マスク傾斜部
32a 変調マスク傾斜部の内縁(中心点)
32b 変調マスク傾斜部の外縁
33 変調マスク周縁部
33a 変調マスク周縁部の内縁
33b 変調マスク周縁部の外縁
34 変調マスク中央部
34b 変調マスク中央部の外縁
35a 第1位相変調スポーク領域
35b 第2位相変調スポーク領域
35c 第1位相変調スポーク領域の側縁
36a 第1振幅変調スポーク領域
36b 第2振幅変調スポーク領域
45a 第1位相変調リング領域
45b 第2位相変調リング領域
51 第1感光層
53 第2感光層

Claims (32)

  1. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の第1変調単位領域と、各第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する第2変調領域と、を有し、
    前記第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、
    各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの第1変調単位領域の面積は略一定となっていることを特徴とする光照射装置。
  2. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部を含み、
    前記変調マスク傾斜部は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調単位領域と、各傾斜部第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する傾斜部第2変調領域と、を有し、
    前記傾斜部第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、
    各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの傾斜部第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの傾斜部第1変調単位領域の面積は略一定となっており、
    前記傾斜部第1変調単位領域の面積は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする光照射装置。
  3. 前記変調マスク傾斜部は、所定の面積を有するとともに、各々が、1つの前記傾斜部第1変調単位領域と、傾斜部第2変調領域とを含む、複数の変調単位領域に区画され、
    前記傾斜部第1変調単位領域の第1の変調量および前記傾斜部第2変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    前記変調単位領域における前記傾斜部第1変調単位領域の占有率と前記傾斜部第2変調領域の占有率との差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少することを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
  4. 前記傾斜部第1変調単位領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含み、
    前記傾斜部第1変調単位領域の面積が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加することを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
  5. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部を含み、
    前記変調マスク傾斜部は、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調スポーク領域と、各傾斜部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調スポーク領域と、を有し、
    円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっており、
    前記傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする光照射装置。
  6. 前記変調マスク傾斜部は、前記傾斜部第1変調単位領域および前記傾斜部第2変調領域よりも外側に配置され、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調スポーク領域と、各傾斜部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調スポーク領域と、をさらに有し、
    円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっており、
    前記傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
  7. 前記傾斜部第1変調スポーク領域の第1の変調量および前記傾斜部第2変調スポーク領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さと、当該傾斜部第1変調スポーク領域に円周方向において隣接するよう形成された傾斜部第2変調スポーク領域の円周方向長さとの差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少することを特徴とする請求項5または6に記載の光照射装置。
  8. 前記傾斜部第1変調スポーク領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含み、
    前記傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さが、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加することを特徴とする請求項5または6に記載の光照射装置。
  9. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部を含み、
    前記変調マスク傾斜部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調リング領域と、各傾斜部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調リング領域と、を有し、
    隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    前記傾斜部第1変調リング領域の半径方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする光照射装置。
  10. 前記変調マスク傾斜部は、前記傾斜部第1変調単位領域および前記傾斜部第2変調領域よりも外側に配置され、かつ半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調リング領域と、各傾斜部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調リング領域と、をさらに有し、
    隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    前記傾斜部第1変調リング領域の半径方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
  11. 前記傾斜部第1変調リング領域の第1の変調量および前記傾斜部第2変調リング領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    傾斜部第1変調リング領域の半径方向長さと、当該傾斜部第1変調リング領域に隣接して形成された傾斜部第2変調リング領域の半径方向長さとの差が、変調領域の外方に向かうにつれて単調に減少することを特徴とする請求項9または10に記載の光照射装置。
  12. 前記傾斜部第1変調リング領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含み、
    前記傾斜部第1変調リング領域の半径方向長さが、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加することを特徴とする請求項9または10に記載の光照射装置。
  13. 前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部をさらに含み、
    前記変調マスク周縁部は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調単位領域と、各周縁部第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する周縁部第2変調領域と、を有し、
    前記周縁部第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、
    前記変調マスク周縁部の各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの周縁部第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、
    前記変調マスク周縁部において、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各周縁部第1変調単位領域の面積は略同一となっていることを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載の光照射装置。
  14. 前記周縁部第1変調単位領域の第1の変調量および前記周縁部第2変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    前記変調マスク周縁部において、前記周縁部第1変調単位領域の占有率と前記周縁部第2変調領域の占有率とが略同一となっていることを特徴とする請求項13に記載の光照射装置。
  15. 前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部をさらに含み、
    前記変調マスク周縁部は、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調スポーク領域と、各周縁部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調スポーク領域と、を有し、
    円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっていることを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載の光照射装置。
  16. 前記周縁部第1変調スポーク領域の第1の変調量および前記周縁部第2スポーク変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さと、各周縁部第2変調スポーク領域の円周方向長さとが略同一となっていることを特徴とする請求項15に記載の光照射装置。
  17. 前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部をさらに含み、
    前記変調マスク周縁部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調リング領域と、各周縁部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調リング領域と、を有し、
    隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さは略同一となっていることを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載の光照射装置。
  18. 前記周縁部第1変調リング領域の第1の変調量および前記周縁部第2リング変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さと、各周縁部第2変調リング領域の半径方向長さとが略同一となっていることを特徴とする請求項17に記載の光照射装置。
  19. 前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク周縁部をさらに含み、
    前記変調マスク周縁部は、光を遮蔽する光遮蔽層を含むことを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載の光照射装置。
  20. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、変調領域と同一の外側の輪郭を有する変調マスク周縁部を含み、
    前記変調マスク周縁部は、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調スポーク領域と、各周縁部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調スポーク領域と、を有し、
    円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっていることを特徴とする光照射装置。
  21. 前記周縁部第1変調スポーク領域の第1の変調量および前記周縁部第2スポーク変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さと、各周縁部第2変調スポーク領域の円周方向長さとが略同一となっていることを特徴とする請求項20に記載の光照射装置。
  22. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置において、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、変調領域と同一の外側の輪郭を有する変調マスク周縁部を含み、
    前記変調マスク周縁部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調リング領域と、各周縁部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調リング領域と、を有し、
    隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さは略同一となっていることを特徴とする光照射装置。
  23. 前記周縁部第1変調リング領域の第1の変調量および前記周縁部第2リング変調領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さと、各周縁部第2変調リング領域の半径方向長さとが略同一となっていることを特徴とする請求項22に記載の光照射装置。
  24. 前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部または前記変調マスク周縁部の内縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク中央部をさらに含み、
    前記変調マスク中央部は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の中央部第1変調単位領域と、各中央部第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する中央部第2変調領域と、を有し、
    前記中央部第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、
    前記変調マスク中央部の各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの中央部第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、
    前記変調マスク中央部において、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各中央部第1変調単位領域の面積が略同一となっていることを特徴とする請求項2乃至23のいずれかに記載の光照射装置。
  25. 前記変調領域は、前記変調マスク傾斜部または前記変調マスク周縁部の内縁に位置するとともに、略円形の輪郭を有する変調マスク中央部をさらに含み、
    前記変調マスク中央部における変調量は、変調マスク中央部の全域にわたって均一となっていることを特徴とする請求項2乃至23のいずれかに記載の光照射装置。
  26. 前記変調マスクの前記変調領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含む非変調領域により囲まれていることを特徴とする請求項2乃至25のいずれかに記載の光照射装置。
  27. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置に用いられる変調マスクにおいて、
    光照射装置は、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の第1変調単位領域と、各第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する第2変調領域と、を有し、
    前記第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、
    各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの第1変調単位領域の面積は略一定となっていることを特徴とする変調マスク。
  28. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置に用いられる変調マスクにおいて、
    光照射装置は、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部を含み、
    前記変調マスク傾斜部は、円環状に設けられた複数の円周方向線に沿って配置され、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調単位領域と、各傾斜部第1変調単位領域間を埋めるよう形成され、光を第2の変調量で変調する傾斜部第2変調領域と、を有し、
    前記傾斜部第1変調単位領域が配置された円環状の各円周方向線間の半径方向距離は略一定となっており、
    各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの傾斜部第1変調単位領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、かつ、前記中心間の円周方向距離はすべての円周方向線上で略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記円周方向線間の半径方向距離または前記中心間の円周方向距離をそれぞれ前記結像光学系の結像面に換算した距離のうち少なくとも一方は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各円周方向線において、円周方向線上で隣り合う2つの傾斜部第1変調単位領域の面積は略一定となっており、
    前記傾斜部第1変調単位領域の面積は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする変調マスク。
  29. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置に用いられる変調マスクにおいて、
    光照射装置は、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部を含み、
    前記変調マスク傾斜部は、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調スポーク領域と、各傾斜部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調スポーク領域と、を有し、
    円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    円周方向において隣り合う2つの傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっており、
    前記傾斜部第1変調スポーク領域の円周方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする変調マスク。
  30. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置に用いられる変調マスクにおいて、
    光照射装置は、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、略円形の輪郭を有する変調マスク傾斜部を含み、
    前記変調マスク傾斜部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の傾斜部第1変調リング領域と、各傾斜部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の傾斜部第2変調リング領域と、を有し、
    隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの傾斜部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    前記傾斜部第1変調リング領域の半径方向長さは、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする変調マスク。
  31. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置に用いられる変調マスクにおいて、
    光照射装置は、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、変調領域と同一の外側の輪郭を有する変調マスク周縁部を含み、
    前記変調マスク周縁部は、各々の中心が同一円環上に位置するとともに各々が半径方向に延びる略一定長さの2側縁を含み、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調スポーク領域と、各周縁部第1変調スポーク領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調スポーク領域と、を有し、
    円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、円周方向において隣り合う2つの周縁部第1変調スポーク領域の中心間の円周方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各周縁部第1変調スポーク領域の円周方向長さは略同一となっていることを特徴とする変調マスク。
  32. 光源からの光を変調して、略円形の等強度線を有する少なくとも1つの光を被照射物に対して照射する光照射装置に用いられる変調マスクにおいて、
    光照射装置は、
    光を出射する光源と、
    前記光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    前記変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被照射物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、少なくとも1つの変調領域を有し、
    前記変調領域は、変調領域と同一の外側の輪郭を有する変調マスク周縁部を含み、
    前記変調マスク周縁部は、半径方向に多列に並べられるとともに各々が略円環状に延び、光を第1の変調量で変調する多数の周縁部第1変調リング領域と、各周縁部第1変調リング領域間に形成され、光を第2の変調量で変調する多数の周縁部第2変調リング領域と、を有し、
    隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離は略一定となっており、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの周縁部第1変調リング領域間の半径方向距離を前記結像光学系の結像面に換算した距離は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっており、
    各周縁部第1変調リング領域の半径方向長さは略同一となっていることを特徴とする変調マスク。
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