JP6401975B2 - フォトマスクおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
これに対し、従来の近接露光法は、装置コストが安く、大面積の露光が可能であるという特徴を有しているが、焦点深度が浅く、解像度が低い問題があった。
このような課題に鑑み、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、従来の安価な近接露光系を用いつつ、マスク部分に多焦点レンズ効果を含ませることで、近接露光プロセスによって三次元露光を行って焦点深度と解像度を向上させることができるフォトマスクおよびその製造方法を発明するに至った。
前記位相調整部は、前記透光性基板の出射面に形成された複数の溝を有してなり、前記透光性基板の入射面に入射した光の位相を調整すると共に、結像位置が異なる複数の光束を前記位相調整部の同一の前記出射面から外部へ放出するように構成されており、
前記位相調整部の複数の溝は、前記出射面から所定距離離れた面上で前記複数の光束によって得られるべき光強度分布を複素フーリエ変換して得られた複数の位相分布を重ね合わせかつ前記複数の位相分布を任意の量でシフトした位相分布に基づいて形成されており、
前記遮光膜の一部に光を通過させるように前記複数の溝の位置で開口する開口および前記複数の溝を有さない位置で任意に開口する開口を有する透過率調整部が形成されており、
複数の光束を同一の光軸上に異なる焦点距離で集光させるように前記位相調整部の複数の溝および前記透過率調整部の前記遮光膜の複数の開口が形成されているフォトマスクが提供される。
前記出射面から所定距離離れた面上で前記複数の光束によって得られるべき光強度分布を複素フーリエ変換して得られた複数の位相分布を重ね合わせかつ前記複数の位相分布を任意の量でシフトした位相分布に基づいて前記透光性基板の出射面に複数の溝を形成して前記位相調整部を形成する工程と、
前記透光性基板の一面または他面に遮光膜を積層する工程と、
前記遮光膜の一部に光を通過させるように前記複数の溝の位置で開口する開口および前記複数の溝を有さない位置で任意に開口する開口を有する透過率調整部を形成する工程とを含み、
前記位相調整部を形成する工程および前記透過率調整部を形成する工程において、複数の光束を同一の光軸上に異なる焦点距離で集光させるように前記位相調整部の複数の溝および前記透過率調整部の前記遮光膜の複数の開口を形成するフォトマスクの製造方法が提供される。
例えば、同一の光軸上における30μm、50μmおよび70μmの結像距離で集光させる場合、所定の幅または径を高精度に保ちながら深い凹部(溝あるいは孔)または高い凸部(突条または円柱)をレジスト膜に形成することができる。あるいは、深さが連続的に異なる断面、例えば、お椀形の凹部または凸部をレジスト膜に形成することができる(図13参照)。あるいは、棒を捻って回転させたような形状、ネジ形状、瓢箪のように途中で断面が変化する形状等の凹部または凸部を形成することができる。
例えば、異なる光軸上における30μm、50μmおよび70μmの結像距離で集光させる場合、屈曲した形状(図14参照)、スパイラル形状、アリの巣形状等の3次元的な孔をレジスト膜中に形成することができる。
例えば、異なる光軸上における30μmの結像距離で集光させる場合、同じ30μmの深さの凹部または同じ30μmの高さの凸部をレジスト膜の複数箇所に形成することができる。
(IV)透光性基板における位相調整部の周囲から光を放出させないよう遮光膜にて覆い、開口の領域に位相調整部を設けることができる。これにより、設計結像位置以外の部分に結像する不要な光を取り除くことができる。なお、透光性基板に遮光膜を設けない場合は、例えば、位相調整部に対応するサイズのフォトマスクの外周部をホルダーにて保持することにより、位相調整部の周囲部に光源からの光が入射しないようにすればよい。
(V)前記光強度分布を複素フーリエ変換して得られた透過率分布を考慮した、より解像度の高いフォトマスクを得ることが可能となる。
前記位相調整部は、前記透光性基板の出射面に形成された複数の溝を有してなり、前記透光性基板の入射面に入射した光の位相を調整すると共に、結像位置が異なる複数の光束を前記位相調整部の同一の前記出射面から外部へ放出するように構成されており、
前記位相調整部の複数の溝は、前記出射面から所定距離離れた面上で前記複数の光束によって得られるべき光強度分布を複素フーリエ変換して得られた複数の位相分布を重ね合わせかつ前記複数の位相分布を任意の量でシフトした位相分布に基づいて形成されており、
前記遮光膜の一部に光を通過させるように前記複数の溝の位置で開口する開口および前記複数の溝を有さない位置で任意に開口する開口を有する透過率調整部が形成されており、
複数の光束を同一の光軸上に異なる焦点距離で集光させるように前記位相調整部の複数の溝および前記透過率調整部の前記遮光膜の複数の開口が形成されている。
(1)前記位相調整部の複数の溝は、前記光強度分布を複素フーリエ変換して得られた位相分布を離散化して得られた離散化位相分布に対応する幅と深さを有してもよい。
すなわち、位相調整部の複数の溝は、位相分布が表現される連続位相波形を離散化して、例えば二値化位相分布を作成し、その二値化位相分布の幅と深さに対応する幅と深さで透光性基板に形成されたものとすることができる。そのため、位相調整部を構成する複数の溝は、透光性基板への加工が容易なものとなる。
例えば、溝の深さは、溝を通る光の位相と溝間を通る光の位相との位相差がπシフトする深さに設定されてもよい。このとき、閾値は、連続位相波形が二値化位相分布に最も反映される深さに設定することが好ましく、それによって各光束の結像位置を設計結像位置に近づけることができる。なお、位相シフト量は任意の値であり、πに限定されない。
このようにすれば、フォトマスクの解像度をより高めることができる。
前記透光性基板の一面または他面に遮光膜を積層する工程と、
前記遮光膜の一部に光を通過させるように前記複数の溝の位置で開口する開口および前記複数の溝を有さない位置で任意に開口する開口を有する透過率調整部を形成する工程とを含み、
前記位相調整部を形成する工程および前記透過率調整部を形成する工程において、複数の光束を同一の光軸上に異なる焦点距離で集光させるように前記位相調整部の複数の溝および前記透過率調整部の前記遮光膜の複数の開口を形成する。
(A)前記位相調整部を形成する工程において、前記光強度分布を複素フーリエ変換して得られた位相分布を離散化して得られた離散化位相分布に対応する幅と深さを有する前記複数の溝を形成してもよい。
この方法によれば、前記(1)のフォトマスクを製造することができる。
この方法によれば、前記(2)のフォトマスクを製造することができる。
この方法によれば、前記(3)のフォトマスクを製造することができる。
<フォトマスクについて>
図1は本発明の実施形態1のフォトマスクを用いた近接露光の状態を説明する図である。
図1に示すように、本発明の実施形態1のフォトマスクM1は、位相調整部11Aを有する透光性基板11と、透光性基板11の一面11aに積層された遮光膜12と、遮光膜12の一部に形成されて光Lを通過させる少なくとも1つの開口を有する透過率調整部12Aとを備える。
なお、フォトレジストとしては、光源に応じたポジ型およびネガ型フォトレジストを用いればよい。
屈折率nの透光性基板11中を通過する光の波長はλ/nである。そして、光が透光性基板11中を深さΔL進むと、位相が(2πn/λ)ΔL変化する。
一方、空気の屈折率をn=1とすると、空気中では光が深さΔL進むと、位相が(2π/λ)ΔL変化する。
したがって、屈折率nの透光性基板11中と空気中を通過する光の位相は、光が深さΔL進んだとき、(2πn/λ)ΔL−(2π/λ)ΔL=(2π/λ)ΔL(n−1)シフトする。ここで、シフト量をπとすると、π=(2π/λ)ΔL(n−1)であり、π、λおよびnは既知であるため、溝11A1の深さΔLを求めることができる。なお、シフト量は任意の値であり、πに限定されず、1/2π、1/4π等もあり得る。
また、複数の開口12A1は、複数の光束Lf1、Lf2、Lf3の強度位置分布を複素フーリエ変換して得られた透過率分布の離散化図に対応する幅を有している。これについて詳しくは後述する。なお、開口12A1に対応する位置の溝11A1の幅は、開口12A1と同じ幅とされている。
図2〜図4は実施形態1のフォトマスクの製造方法を説明する第1〜第4の概念図である。図1〜図4を参照しながら、本発明のフォトマスクの製造方法について説明する。
また、sin(θn)は、レンズ効果を模擬する際の露光系の開口数(NA)を表し,Znはマスクと像面の距離、w/2はマスク中心の光軸からマスクパターン端部までの最大半径である(図1参照)。
また、λは光源の波長、znはマスク面とレジスト面の距離を表す。
そして、複素フーリエ変換によってマスクの複素振幅gn(X,Y)を次の式(4)により求める。
一方、結像に必要ないと判断した位相の部分は、遮光膜12により遮光する(透過率は0)。
このように、レジスト膜Rに形成すべきパターン(凹部または凸部)についての複素フーリエ変換した後、それによって得られたマスク面上での連続的な透過率と位相に閾値を設定して離散化し、転写像を形成する上で十分なパターンのみを利用することでレンズ効果を生成する。フォトマスク面で等位相面を生成し、光の干渉を利用することで焦点面での高解像度な結像を可能としている。
光路差=屈折率×長さ
位相差=光路差×2π/λ
で表されるため、波長がλ=365nmの場合、透光性基板11を石英基板としたときの屈折率をn=1.54とすると、次の式(9)で溝11A1の深さΔLを求めることができる。
図5は実施形態2のフォトマスクの内部構造を示す概略断面図である。なお、図5において、図1中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態2のフォトマスクM2は、遮光膜112の透過率調整部112Aが透光性基板11の位相調整部11Aの全領域に亘って設けられた1つの開口112A1からなること以外は、実施形態1のフォトマスクM1(図1参照)と同様である。
1.実施形態1および2では、透光性基板11の一面11a(光の放出面側)に遮光膜12、112を積層した場合を例示したが、透光性基板11の他面(光の入射側)に遮光膜12、112を積層してもよい。
2.実施形態1および2では、遮光膜12、112を有するフォトマスクM1、M2を例示したが、透光性基板11に遮光膜12、112を設けなくてもよい。この場合、透光性基板の位相調整部の全領域を露出させる1つの開口を有するホルダー内に透光性基板を収容し、位相調整部の周囲から光が放出しないようにする。
図6は一焦点および多焦点のフォトマスクの概念図である。図6中、左から順に設計結像位置30μmの一焦点フォトマスク(比較例1)、設計結像位置70μmの一焦点フォトマスク(比較例2)、設計結像位置30μmと70μmの多焦点フォトマスク(比較例3)、設計結像位置30μmとπシフトさせた70μmの多焦点フォトマスク(実施例1)の概念が示されている。
比較例2の場合、70μmの位置で結像する分布の特徴は崩れていなかったが、30μmの結像位置へ向かうにつれてパターンが崩れることがわかった。
図12は比較例4〜5および実施例2のフォトマスク(図示省略)を用いて転写シミュレーションを行って得られた光強度の結果を示す図である。なお、図12中の各グラフについて、横軸は横位置であり、縦軸は光強度(任意単位)である。
比較例4のフォトマスクについては、設計結像位置を20μmとすること以外は、比較例1に準じて作製した。
比較例5のフォトマスクについては、設計結像位置を50μmとすること以外は、比較例1に準じて作製した。
比較例6のフォトマスクについては、設計結像位置50μmのマスクの位相をπシフトさせたこと以外は実施例2に準じて作製した。
比較例5の場合、50μmおよび35μmの位置で結像する分布の特徴は崩れていなかったが、20μmの結像位置のパターンが崩れることがわかった。
しかしながら、実施例2の場合、設計結像位置20μmのマスクの位相と設計結像位置50μmのマスクの位相とを単純に重ね合わせたところ、20μm、35μmおよび50μmの位置で結像する分布の特徴は崩れていなかった。
図13は実施例3のフォトマスクを用いた露光を示す説明図である。
実施例3の場合、設計結像位置50μm、60μmおよび69μmで作製したフォトマスクを用いて、複数の光束を同一の光軸上に異なる焦点距離50μm、60μmおよび69μmで集光させて、断面お椀形の孔を形成することができる。この際、設計結像位置50μmでは位相シフトなし、設計結像位置60μmでは位相180°シフト、設計結像位置69μmでは位相シフトなしとした。
図14は実施例4のフォトマスクを用いた露光を示す説明図であり、図15は実施例4のアナログマスクを用いて転写シミュレーションを行って得られた光強度の結果を示す図であり、図16は実施例4の二値化マスクを用いて転写シミュレーションを行って得られた光強度の結果を示す図である。なお、図15および図16中の各グラフについて、横軸は横位置であり、縦軸は光強度(任意単位)である。
(計算条件)
波長λ=365nm
NA=1.0
(二値化条件)
透過率閾値Tc=1.0
位相閾値Δθ=π/6
11A 位相調整部
11A1 溝
11a 一面
12 遮光膜
12A 透過率調整部
12A1 開口
ΔL 深さ
L 光
La 光軸
Lf1、Lf2、Lf3 光束
M1、M2 フォトマスク
Claims (8)
- 位相調整部を有する透光性基板と、前記透光性基板に積層された遮光膜とを備え、
前記位相調整部は、前記透光性基板の出射面に形成された複数の溝を有してなり、前記透光性基板の入射面に入射した光の位相を調整すると共に、結像位置が異なる複数の光束を前記位相調整部の同一の前記出射面から外部へ放出するように構成されており、
前記位相調整部の複数の溝は、前記出射面から所定距離離れた面上で前記複数の光束によって得られるべき光強度分布を複素フーリエ変換して得られた複数の位相分布を重ね合わせかつ前記複数の位相分布を任意の量でシフトした位相分布に基づいて形成されており、
前記遮光膜の一部に光を通過させるように前記複数の溝の位置で開口する開口および前記複数の溝を有さない位置で任意に開口する開口を有する透過率調整部が形成されており、
複数の光束を同一の光軸上に異なる焦点距離で集光させるように前記位相調整部の複数の溝および前記透過率調整部の前記遮光膜の複数の開口が形成されていることを特徴とするフォトマスク。 - 前記位相調整部の複数の溝は、前記光強度分布を複素フーリエ変換して得られた位相分布を離散化して得られた離散化位相分布に対応する幅と深さを有する請求項1に記載のフォトマスク。
- 前記深さは、前記離散化位相分布の位相シフト量に対応する請求項2に記載のフォトマスク。
- 前記透過率調整部の複数の開口は、前記光強度分布を複素フーリエ変換して得られた透過率分布を離散化して得られた離散化透過率分布の変動に対応する幅を有する請求項1に記載のフォトマスク。
- 請求項1に記載のフォトマスクを製造する方法であって、
前記出射面から所定距離離れた面上で前記複数の光束によって得られるべき光強度分布を複素フーリエ変換して得られた複数の位相分布を重ね合わせかつ前記複数の位相分布を任意の量でシフトした位相分布に基づいて前記透光性基板の出射面に複数の溝を形成して前記位相調整部を形成する工程と、
前記透光性基板の一面または他面に遮光膜を積層する工程と、
前記遮光膜の一部に光を通過させるように前記複数の溝の位置で開口する開口および前記複数の溝を有さない位置で任意に開口する開口を有する透過率調整部を形成する工程とを含み、
前記位相調整部を形成する工程および前記透過率調整部を形成する工程において、複数の光束を同一の光軸上に異なる焦点距離で集光させるように前記位相調整部の複数の溝および前記透過率調整部の前記遮光膜の複数の開口を形成するフォトマスクの製造方法。 - 前記位相調整部を形成する工程において、前記光強度分布を複素フーリエ変換して得られた位相分布を離散化して得られた離散化位相分布に対応する幅と深さを有する前記複数の溝を形成する請求項5に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記位相調整部を形成する工程において、前記複数の溝の深さを、前記離散化位相分布の位相シフト量に対応させる請求項6に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記透過率調整部を形成する工程において、前記光強度分布を複素フーリエ変換して得られた透過率分布を離散化して得られた離散化透過率分布の変動幅に基づいて複数の開口を形成する請求項5〜7のいずれか1つに記載のフォトマスクの製造方法。
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