JP5440743B1 - 船舶用隔壁 - Google Patents

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    • B63B3/14Hull parts
    • B63B3/56Bulkheads; Bulkhead reinforcements
    • B63B3/60Bulkheads; Bulkhead reinforcements with curved or corrugated plating

Abstract

【課題】隔壁の重量の増大を可及的に抑えながら、該隔壁に必要な上下方向の圧縮荷重に対する耐力を確保して、隔壁の座屈を防止することができる船舶用隔壁を提供する。
【解決手段】船舶の船倉を仕切る金属厚板からなる隔壁であって、鉛直方向に延び且つ隔壁の幅方向に沿う板状に形成された複数の面材部を、隔壁の前面側と後面側に交互に突出させた波形の船舶用隔壁において、少なくとも前記各面材部の鉛直方向高さの上端から95%以上100%以下の範囲の座屈危険部位Aに、リブを設けた、船舶用隔壁が提供される。

Description

本発明は、船舶の船倉を仕切る金属厚板製の隔壁に関するものであり、さらに詳しくは、隔壁の前後方向に作用する荷重によって隔壁に生じる曲げモーメントに伴い、隔壁の面材部に生じる圧縮荷重に対して高い座屈耐力を有する船舶用の隔壁に関する。
例えば、鉄や非鉄金属の原料となる鉱石等を運搬するばら積み船等の船舶は、船舶の船倉を金属厚板で形成された隔壁により船倉が仕切られ、複数の船倉スペースが形成されている。船倉を仕切る隔壁にとしては、隔壁全体としての耐力を確保するため、鉛直方向に延び且つ隔壁の幅方向に沿う平板状に形成された複数の面材部を、隔壁の壁面の前面側と後面側とに交互に突出させた波形の隔壁が採用されているのが一般的である。
ところで、上記鉱石等を運搬するに際して、上記船倉スペースには、運搬先に向かう往路においては鉱石が満載された状態となっている一方、復路においては船舶の船体の浮沈を調整するために海水を積載した状態となるのが通常である。したがって、船倉を仕切る隔壁には、鉱石や海水等の積荷により長時間にわたって曲げモーメントが作用する。特に、海水を積載する場合、船体の重量バランスをとるために複数の船倉に間欠的に海水を積載することが通常である。このような場合において、隔壁には上記曲げモーメントによって実質的に上下方向の圧縮荷重が作用した状態となるため、海水等によって過度の圧縮荷重が隔壁に作用した場合には、該隔壁が座屈する可能性があった。
そのため、上記隔壁の座屈耐力を強化するため、隔壁を形成する金属板自体の板厚を大きくしたり、例えば特許文献1に記載されているように、従来の波形の隔壁の前面側及び後面側の凹部を金属板で塞ぐと共に、この凹部内の空間にコンクリートを充填して隔壁の耐力を向上させたりしている。しかしながら、隔壁を形成する金属板の板厚を増加させたり、特許文献1のような手段を採用したりする場合には、隔壁全体としての耐力を向上させることができるものの、隔壁自体の重量が大幅に上昇するという問題があった。近年の船舶においては、船体の軽量化が最重要課題の一つに挙げられている上、資源材料の節約を図る傾向にあることから、このような板厚増加や特許文献1の技術を採用することには問題がある。
また、隔壁の軽量化を目指し、例えば特許文献2に記載されているように、突出された面材部を隔壁の前後方向に結合する部材(ウェブ部)にリブを設置して、板の面外の曲げ剛性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、特許文献2のような手段を採用する場合、ウェブ部の曲げ剛性を高めることはできるものの、隔壁部材に変形性能が求められることは少なく、耐力が期待されることが一般的であり、隔壁の板厚はウェブ部の曲げ剛性よりも面材部の座屈耐力で決定されることが多いことから、隔壁の軽量化に特許文献2のような技術を採用することは効果が小さいという問題がある。
また、船舶の船倉を仕切る隔壁に鉱石や海水等の積荷によって曲げモーメントが作用する場合に、当該曲げモーメントは隔壁の鉛直方向中央部に比べて、上方及び下方に対して大きく作用する。即ち、隔壁の面材部に生じる圧縮荷重はその長手方向において一定とはならない。特許文献1及び特許文献2においては、そのような船舶の船倉特有の曲げモーメント(あるいは圧縮荷重)の作用分布については考慮されておらず、従来の技術では隔壁の座屈耐力の向上と隔壁の軽量化を、効率的に且つ同時に実現させることができていないという問題がある。
特表2006−507984号公報 特開昭62−227889号公報
本発明の技術的課題は、隔壁の重量の増大を可及的に抑えながら、該隔壁に必要な上下方向の圧縮荷重に対する耐力を確保して、隔壁の座屈を防止することができる船舶用隔壁を提供することにある。具体的には、建築分野の柱材等とは異なる船舶の船倉特有の曲げモーメントの作用分布に合わせて、隔壁の持つ耐力に合わせた好適な範囲について座屈耐力を向上させるといった方法を取ることで、隔壁の軽量化と座屈耐力の向上を同時に実現することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によれば、船舶の船倉を仕切る金属厚板からなる隔壁であって、鉛直方向に延び且つ隔壁の幅方向に沿う板状に形成された複数の面材部を、隔壁の前面側と後面側に交互に突出させた波形の船舶用隔壁において、少なくとも前記各面材部の鉛直方向高さの上端から95%以上100%以下の範囲の座屈危険部位Aに、リブを設け、前記リブは、前記面材部の突出方向とは相反する側の板面に配設されている、船舶用隔壁が提供される。
上記船舶用隔壁において、さらに、少なくとも前記上端から90%以上95%未満の範囲の座屈危険部位B及び前記上端から0%以上10%以下の範囲の座屈危険部位Cに、リブを設け、前記リブは、前記面材部の突出方向とは相反する側の板面に配設されても良い。
また、上記船舶用隔壁において、さらに、少なくとも前記上端から30%以上70%以下の範囲の座屈危険部位Dに、リブを設け、前記リブは、前記面材部の突出方向とは相反する側の板面に配設されても良い。
また、上記船舶用隔壁においては、前記座屈危険部位にのみ、前記リブを設けても良い。なお、ここでの座屈危険部位とは、上記座屈危険部位A〜Dのうち少なくとも1つ以上を指す。
また、前記リブは、前記各面材部の鉛直方向全長に亘って設けられても良い。
また、前記座屈危険部位の少なくとも一部においては、前記面材部の耐力は、前記リブを設けない状態では当該座屈危険部位範囲内における最大発生応力を下回るような構成でも良い。
また、前記座屈危険部位A及びBに設けられるリブは、鉛直方向下方に向かって広幅となるテーパー形状を有していても良い。
また、前記座屈危険部位Cに設けられるリブは、鉛直方向上方に向かって広幅となるテーパー形状を有していても良い。
また、前記リブは、平板状に形成されていて、該リブの板面が前記面材部の板面に対して直角となるように固定されていても良い。
また、前記リブの前記面材部板面からの突出長さは、前記面材部の板厚の2倍以上15倍以下であっても良い。
また、前記リブの板厚は6mm以上24mm以下であっても良い。
また、前記リブは、前記隔壁の幅方向において当該隔壁の幅方向中央部を中心とする幅の60%の範囲内にのみ設けられても良い。
本発明によれば、金属厚板で形成された波形の隔壁における各面材部に、鉛直方向に延びるリブを設けた構成としたことにより、面材部に作用する上下方向の圧縮荷重に対する耐力を向上させ、これにより、該隔壁全体の圧縮荷重に対する耐力を向上させ、隔壁として必要な耐力を容易且つ安定的に確保することができるため、隔壁の座屈を防止することができる。
加えて、各面材部にリブを設けるという従来に比べて比較的簡易な構成としたことにより、隔壁の製造が容易であり、隔壁の重量の大幅な増加も抑えることができる。さらに、船舶の隔壁として剛性を向上させることできるため、隔壁として必要な剛性を確保することができる範囲内で隔壁の板厚を小さくすることも可能であり、船体の軽量化に寄与することができる。
また、船舶の船倉特有の曲げモーメントの作用分布に合わせて、隔壁の持つ耐力に合わせた好適な範囲について座屈耐力を向上させるといった方法を取ることで、隔壁の軽量化と座屈耐力の向上を同時に実現することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る船舶用隔壁を船倉に固定した状態の一部を示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る船舶用隔壁の同横断面図である。 同斜視図である。 互いに隣接する船倉2−1と船倉2−2との間に設けられる隔壁1Aに作用する水圧についての説明図である。 船倉2−1と船倉2−2との間の隔壁1Aに生じる曲げモーメントMの分布を示す説明図である。 船倉と甲板との間の空間の高さlが5.0m、船倉の高さlが13.0mである場合の曲げモーメントの分布曲線を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る船舶用隔壁を船倉に固定した状態の一部を示す正面図であり、(a)は座屈危険部位Aのみ、(b)は座屈危険部位A〜C、(c)は座屈危険部位A〜Dにリブを設けた場合を示す。 本発明の第2の実施の形態に係る船舶用隔壁を船倉に固定した状態の一部を示す斜視図であり、(a)は座屈危険部位Aのみ、(b)は座屈危険部位A〜C、(c)は座屈危険部位A〜Dにリブを設けた場合を示す。 リブを、面材部の特定の箇所のみに設けた場合を示す説明図であり、(a)は座屈危険部位Aのみ、(b)は座屈危険部位A〜C、(c)は座屈危険部位A〜Dにリブを設けた場合を示す。 座屈危険部位A〜Cにテーパー形状のリブを設けた場合を示す概略図である。 船倉に海水を充填させた場合に、任意の隔壁1Aに生じる応力の幅方向分布に関する有限要素解析結果図であり、隔壁1A全体図である。 船倉に海水を充填させた場合に、任意の隔壁1Aに生じる応力の幅方向分布に関する有限要素解析結果図であり、応力が生じる箇所の拡大図である。 図11の解析結果図において、有限要素モデルのメッシュラインを消去したものである。 図12の解析結果図において、有限要素モデルのメッシュラインを消去したものである。 本発明の参考例1における船舶用隔壁の横断面図である。 図13の船舶用隔壁に溶接に供する開先を設けた例を示す横断面図である。 本発明の参考例2における船舶用隔壁の横断面図である。 実施例の実験結果を示すグラフである。 実施例における解析モデルの寸法についての一例を示す説明図であり、(a)は隔壁の一部を拡大した断面図、(b)は隔壁の正面図である。
1A,1B,1C: 隔壁
2(2−1、2−2): 船倉
3A,3B,3C: 前面側面材部
4A,4B,4C: 後面側面材部
5A,5B,5C: リブ
7,8,13,14: 第2のフランジ部
9,10,15,16: 第1のフランジ部
7a〜10a,13a,16a: リップ部
11,12,17,18: 型材
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1〜図3は、本発明に係る船舶用隔壁の第1の実施の形態を示すもので、この第1の実施の形態の船舶用隔壁1Aは、船舶の船倉を、船舶の進行方向に対して直角な方向に仕切るいわゆる横隔壁で、図1に示すように、上部に積荷を出し入れする開口2aを備えた船倉2内において、隔壁台(スツール)2b上に載置、固定されている。
この隔壁1Aは、金属厚板により形成されたもので、鉛直方向に延びる平板状の複数の面材部3A,4Aを、隔壁の壁面の前面側と後面側とに交互に突出させた波形の構成となっており、船倉2の幅方向(左右方向)全幅に亘って延設されている。そして、上記各面材部3A,4Aには、鉛直方向に延びるリブ5Aがそれぞれ設けられている。
なお、本発明において、上記隔壁を形成する金属厚板は、板厚が15〜30mm又は12〜35mm又は10〜40mmのもので、鋼板又は厚鋼板等の各種金属が用いられている。
上記各面材部3A,4Aは、隔壁1A全体の耐力を向上させるためのもので、この実施の形態においては、金属厚板を隔壁の壁面の前面側と後面側とに一定間隔で交互に面外曲げすることにより、隔壁の前面側に突出させた前面側面材部3Aと、隔壁の後面側に突出させた後面側面材部4Aとがそれぞれ形成されたものとなっている。
これらの各面材部3A,4Aは、隔壁1Aの幅方向(左右方向)に沿う板面を有する板体状のもので、いずれの面材部3A,4Aも、相互に平行となるように配設されていると共に、隔壁1Aの下端から上端に亘って延びている。
また、隣接する面材部の間、具体的に、前面側面材部3Aと、それに隣接する後面側面材部4Aとの間には、これらの表側面材部3A及び後面側面材部4Aを連結する、鉛直方向に延びる平板状のウェブ部6が形成されている。このウェブ部6は、平面視において、隔壁1Aの幅方向に対して傾斜した向きとなっており、表面側面材部3Aと後面側面材部4Aとの対向する直近の長手の端部を相互に連結している。
これにより、隔壁1Aは、前面側面材部3Aと後面側面材部4Aとが交互に位置する平面視波形の形状が全幅に亘って形成された格好となっている。
リブ5Aは、上記各面材部3A,4Aを補強して、これらの各面材部3A,4Aの耐力、特に積荷によって生じる曲げモーメントに伴う上下方向の圧縮荷重に対する耐力を向上させるものである。
既に述べたように、船倉を仕切る隔壁には、鉱石や海水等の積荷により長時間にわたって曲げモーメントが作用し、特に、隔壁の上下方向に対しては、この曲げモーメントに起因する圧縮荷重が作用した状態となるため、積荷によって隔壁に過度の圧縮荷重が作用した場合には、該隔壁が座屈する可能性がある。
そのため、上記リブにより各面材部をそれぞれ補強して、これらの面材部に作用する上下方向の圧縮荷重に対する該面材部の耐力を向上させ、これにより、隔壁全体として圧縮荷重に対する十分な耐力を確保し、隔壁の座屈防止を図るようにしている。
具体的に、この実施の形態のリブ5Aは、面材部3A,4Aとは別体として形成された、上記面材部3A,4A及びウェブ部6を形成する金属厚板と同等の板厚を備えた長尺の平板状のもので、板面5Aaが面材部3A,4Aの板面と直交するように配設され、溶接等の各種接合手段によって面材部3A,4Aに一体的に接合、固定されている。
なお、この実施の形態においては、リブ5Aの板厚は、面材部3A,4A及びウェブ部6を形成する金属厚板と同等としている。
ここで、上記リブ5Aは、その幅(即ち、面材部からの突出長さ)等の各種設定を基本的に任意に設定することができる。任意の設定の方法としては、例えば、面材部3A,4Aの断面二次モーメントに対してリブ5Aの断面二次モーメントが十分に大きな値となるようにリブ5Aの長さや突出長さといった形状を決定したり、あるいはリブ5Aの厚さを面材部3A,4Aの厚さと同じとする場合には、リブ5Aの厚さに対して十分に大きな値となるようにリブ5Aの突出長さを決定するといった方法が挙げられる。
また、本実施の形態において上記リブ5Aは、各面材部の鉛直方向全長にわたって配設されており、面材部3A,4Aの下端から上端に亘って各面材部をそれぞれ安定的に補強し、各面材部全体について座屈を確実に防止できるようにしている。
また、上記リブ5Aのうち、前面側面材部3Aに配設されたものについては、該前面側面材部3Aの突出方向とは相反する側、即ち、隔壁1Aの後面側に配設されていて、隔壁1Aの後面側方向に突出する構成となっている。一方、後面側面材部4Aに配設されたものについては、該後面側面材部4Aの突出方向とは相反する側、即ち、隔壁1Aの前面側に配設されていて、隔壁1Aの前面側方向に突出する構成となっている。これにより、それぞれ隔壁1Aの窪み部分のスペースを有効に利用しながら各面材部の補強が図れるようにしている。
さらに、上記リブ5Aは、いずれも、面材部3A,4Aの幅方向(左右方向)の中央に配設されていて、各面材部3A,4Aの軸線に沿って鉛直方向にそれぞれ延びたものとなっている。
上記構成を有する船舶用隔壁1Aは、金属厚板で形成された波形の隔壁における各面材部3A,4Aに、鉛直方向に延びる平板状のリブ5Aを設けた構成としたことにより、面材部3A,4Aに作用する上下方向の圧縮荷重に対する該面材部3A,4Aの耐力、ひいては、該圧縮荷重に対する隔壁1A全体の耐力を向上させることが可能である。これにより、隔壁として必要な圧縮荷重に対する耐力を容易且つ安定的に確保することができるため、隔壁の座屈を確実に防止することができる。
しかも、各面材部3A,4Aに平板状のリブ5Aを接合、固定するという比較的簡易な構成としたことにより、隔壁の製造が容易であり、隔壁に必要な耐力を確保しながらも隔壁の重量の大幅な増加も抑えることができる。
さらに、リブ5Aによって船舶の隔壁として耐力を増大させたことにより、必要な耐力を確保することができる範囲内で隔壁の板厚を可及的に小さくすることが可能であり、これにより、船体の軽量化を図ることができる。例えば、金属厚板を厚くして耐力を高めたリブのない波形の隔壁と同程度の圧縮荷重に対する耐力を確保しようとした場合、リブによって面材部の耐力が向上したことにより、隔壁を形成する金属厚板の厚さを小さくすることが可能となるため、隔壁全体の重量を軽量化でき、船体の軽量化に寄与することとなる。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、リブ5Aを面材部3A,4Aの長手方向全長(下端から上端)に亘って設ける場合を図示して説明した。しかしながら、本発明者らはリブ5Aを設ける範囲については更なる改良の余地があると考え、リブ5Aを設ける範囲について鋭意研究を行った。
そして、本発明者らは、例えば船倉に海水を充填した場合に隔壁の面材部高さ方向に生じる曲げモーメント分布についてより詳細な分析を行い、隔壁1A(面材部3A,4A)の耐力と、当該面材部3A,4Aに生じる曲げモーメントとの関係に応じて、リブ5Aを設ける範囲を好適なものとすることで、隔壁1Aの軽量化と座屈耐力の向上を同時に実現することができる旨の知見を得た。そこで、本実施の形態では本知見について説明し、面材部3A,4Aの好適な範囲にリブ5Aを設ける場合を説明する。
図4は、互いに隣接する船倉2−1と船倉2−2との間に設けられる隔壁1Aに作用する水圧についての説明図である。図4に示すように、船倉2−1、2−2の高さをL、船倉と甲板との間の空間の高さをLとし、一方の船倉2−1のみに海水が充填された場合に、隔壁1Aの甲板からの深さhの位置における水圧wは以下の式(1)で示される。
w=ρ・g・h ・・・(1)
ここで、ρは海水の比重(=1.025)、gは重力加速度(=9.81m/s)である。
そして、図4に示すような水圧wが隔壁1Aのあらゆる部分に作用し、隔壁1Aの長手方向に曲げモーメントMが発生する。この曲げモーメントMが生じる事により、隔壁1Aの断面性能(断面係数Z)に応じて、隔壁1Aの面材部に圧縮応力σ(=M/Z)[N/mm]が発生し、当該圧縮応力σが隔壁1Aの面材部の耐力を上回った場合に座屈が起こることとなる。
図5は、船倉2−1と船倉2−2との間の隔壁1Aに生じる曲げモーメントMの分布を示す説明図である。なお、図5に示す2つの分布曲線(図中の実線及び破線)は、船倉2−1に海水を充填し、船倉2−2を空とした場合と、船倉2−1を空とし、船倉2−2に海水を充填した場合をそれぞれ示している。これら2つの分布曲線は、隔壁1Aの中央部近傍に極値を有し、隔壁1Aを挟んで互いに対称である。
図5に示す隔壁1Aに生じる曲げモーメントMの分布曲線を、隔壁1Aの上端からの距離をxとして数式化(以下、M(x)と表記)すると、以下の式(2)で示される。
M(x)=ρg/60{10x+30L−(30LL+9L)x+L(5L+2L)} ・・・(2)
なお、隔壁1Aは、第1の実施の形態の図1に示したように、船舶の所定箇所(例えば船舶の幅方向端部近傍等)では鉛直方向長さ(即ち、高さ)が短い場合がある。しかしながら、鉛直方向長さが短い隔壁1Aであっても当該隔壁に隣接する船倉の大きさは他箇所と変わらないため、当該隔壁1Aに生じる曲げモーメントMは、隔壁1Aの鉛直方向長さ(高さ)が最も長い場合の上端を基準に上記隔壁上端からの距離xに基いて算出される。即ち、隔壁1Aに生じる曲げモーメントMは、船舶のいずれの箇所においても上記式(2)に基いて算出される。また、隔壁1Aの下端は、図1に示した隔壁台(スツール)2bの上端に位置する。
図5に示す曲げモーメント分布曲線M(x)から分かるように、隔壁1Aには、その高さ方向(鉛直方向)によって異なる大きさの応力が発生している。具体的には、隔壁1Aの下端部に最も大きな応力が生じ、次いで大きな応力が隔壁1Aの上端部に生じ、次いで隔壁1Aの中央部近傍の発生応力が大きく、中央部近傍と上下端部との間の範囲(具体的には、隔壁1A上端部から約25%、約75%近傍の位置)における発生応力が最も小さくなっている。このことから、リブ5Aを設置しない状態での隔壁1Aの耐力がどの程度の値であるかに応じて、隔壁1Aの面材部3A,4Aにおけるリブ5Aを設置すべき範囲が異なることが分かる。
具体的には、隔壁1Aの耐力が、隔壁1Aの下部近傍のみにおいて当該範囲に発生する最大応力より小さい場合(以下、case1)には、少なくとも面材部3A,4Aの下部近傍の範囲(以下、座屈危険部位Aとも呼称する)にリブ5Aを設置する必要がある。
また、隔壁1Aの耐力が、座屈危険部位Aの範囲に加え、隔壁1Aの下部近傍の座屈危険部位Aを超える範囲と、隔壁1Aの上部近傍の範囲においても当該範囲に発生する最大応力より小さい場合(以下、case2)には、座屈危険部位Aに加え、少なくとも面材部3A,4Aの下部近傍において座屈危険部位Aを超える範囲(以下、座屈危険部位Bとも呼称する)と、面材部3A,4Aの上部近傍の範囲(以下、座屈危険部位Cとも呼称する)にもリブ5Aを設置する必要がある。
また、隔壁1Aの耐力が、座屈危険部位A〜Cの範囲に加え、隔壁1Aの中央部近傍の範囲においても当該範囲に発生する最大応力より小さい場合(以下、case3)には、座屈危険部位A〜Cに加え、少なくとも面材部3A,4Aの中央部近傍の範囲(以下、座屈危険部位Dとも呼称する)にもリブ5Aを設置する必要がある。
即ち、case1においては少なくとも座屈危険部位Aにリブ5Aを設置しなくてはならず、case2においては少なくとも座屈危険部位A〜Cにリブ5Aを設置しなくてはならず、case3においては少なくとも座屈危険部位A〜Dにリブ5Aを設置しなくてはならない。
また、近年の造船分野においては、船舶の軽量化や資源材料の節約が最重要課題とされていることから、面材部3A,4Aにおいてリブ5Aを設ける範囲は、できる限り狭い範囲であることが望ましい。従って、case1では座屈危険部位Aにのみリブ5Aを設置することが望ましく、case2では座屈危険部位A〜Cにのみリブ5Aを設置することが望ましく、case3では座屈危険部位A〜Dにのみリブ5Aを設置することが望ましい。なお、船舶の軽量化等を考慮しない場合には、上記第1の実施の形態で説明したように、面材部3A,4Aの長手方向(鉛直方向)全長に亘ってリブ5Aを設けてもよく、この場合には、隔壁1Aに想定外の応力が発生した場合でも座屈が発生しにくいといった利点がある。
次に、一般的に利用されている寸法の船舶における上記座屈危険部位A〜Dの具体的な範囲について説明する。船倉と甲板との間の空間の高さLは5.0mであり、船倉の高さLは13.0mとした。これらの数値を上記式(2)に代入することで、当該船舶の隔壁1Aに生じる高さ方向の曲げモーメントの分布曲線が得られる。この得られた曲げモーメントの分布曲線から上記座屈危険部位A〜Dの具体的な範囲を定めることができる。
図6は、船倉と甲板との間の空間の高さLが5.0m、船倉の高さLが13.0mである場合の曲げモーメントの分布曲線を示すグラフである。なお、図6においても、図5と同様に2つの分布曲線(図中の実線及び破線)は一方の船倉に海水を充填し、他方の船倉を空とした場合を示している。
図6のグラフによれば、上記case1には横軸の曲げモーメントの値が0.8以上の場合が該当し、その際にリブ5Aを設置すべき範囲(即ち、座屈危険部位A)は、面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から約95%以上100%以下(上端を0%と定めた場合)の範囲となる。
また、図6によれば、上記case2には横軸の曲げモーメントの値が0.45以上0.8未満の場合が該当し、その際にリブ5Aを設置すべき範囲(即ち、座屈危険部位B、C)は、上記座屈危険部位Aの範囲に加え、面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から90%以上95%未満の範囲(座屈危険部位B)と、面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から0%以上10%以下の範囲(座屈危険部位C)となる。
また、上記case3については、リブ5Aを設置すべき範囲(即ち、座屈危険部位A〜Dを含む範囲)を、隔壁1Aの耐力と、リブ5Aの設置に伴う重量増について検討した上で、適宜定める事ができる。例えば図6の横軸の曲げモーメントの値が0.2以上の範囲を考えた場合、リブ5Aを設置すべき範囲は、面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から約0%以上20%以下の範囲、約30%以上70%以下の範囲及び約80%以上100%以下の範囲が望ましい。また、リブ5Aの設置範囲が過大になると隔壁1Aの全体重量が増加することに加え、溶接作業の負荷の増大や溶接による部材の変形量の過大化等が生じ、リブ5Aを設置するメリットが小さくなってしまう。このような観点からも、リブ5Aを設置すべき範囲は、隔壁1A全体において面材部3A,4Aの鉛直方向長さの約80%以下(座屈危険部位A〜Dを含んで)とすることが好ましい。但し、図6に示すように、隔壁1Aの鉛直方向高さの中央部近傍では、中央に近づくほど水圧による曲げモーメントが大きくなるため座屈危険部位Dには隔壁1Aの鉛直方向高さの中央部を含むことが必要である。
上記座屈危険部位A〜Cの範囲に加え、面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から30%以上70%以下の範囲を座屈危険部位Dとした場合、例えば曲げモーメントの値が0.2以上の範囲において、少なくとも座屈危険部位A〜Dにはリブ5Aを設置すべきである。前述したように、この時のリブ5A設置範囲は面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から約0%以上20%以下の範囲、約30%以上70%以下の範囲及び約80%以上100%以下の範囲(即ち、高さ全長の約80%以下)、又は、約0%以上15%以下の範囲、約30%以上70%以下の範囲及び約85%以上100%以下の範囲(即ち、高さ全長の約70%以下)としても良い。また、座屈危険部位A〜Dのみ(即ち、高さ全長の約60%)としても良い。
更には、隔壁1Aの軽量化や溶接作業等の負荷の増大・部材の変形量の過大化等を回避するといった点から、リブ5Aを設置する範囲を隔壁1A全体において面材部3A,4Aの鉛直方向長さの約50%以下とすることも有効である。図6を参照して換言すると、水圧による曲げモーメントの値が約0.35以上である範囲にリブ5Aを設置することが有効である。
なお、図6によれば、面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から22%近傍(例えば20〜25%)の範囲と、上端から80%近傍(例えば78〜82%)の範囲では、曲げモーメントの値がほぼ0となっている。このことから、面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から22%近傍の範囲と、80%近傍の範囲においては、リブ5Aを設置しないような構成とすることも可能である。
以上説明したように、リブ5Aを設置しない状態での隔壁1Aの耐力が比較的大きい場合(case1)には、面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から約95%以上100%以下の範囲にリブ5Aを設置する必要がある。また、リブ5Aを設置しない状態での隔壁1Aの耐力が中程度の場合(case2)には、さらに面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から90%以上95%未満の範囲と、面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から0%以上10%以下の範囲にリブ5Aを設置する必要がある。また、リブ5Aを設置しない状態での隔壁1Aの耐力が比較的小さい場合(case3)には、さらに面材部3A,4Aの鉛直方向高さの上端から例えば30%以上70%以下の範囲にリブ5Aを設置する必要がある。
以下では、リブ5Aを特定の箇所のみに設けた場合を図示し説明する。図7は本発明の第2の実施の形態に係る船舶用隔壁の概略正面図であり、(a)は座屈危険部位Aのみ、(b)は座屈危険部位A〜C、(c)は座屈危険部位A〜Dにリブ5Aを設けた場合を示している。また、図8は本発明の第2の実施の形態に係る船舶用隔壁の概略斜視図であり、図7と同様、(a)は座屈危険部位Aのみ、(b)は座屈危険部位A〜C、(c)は座屈危険部位A〜Dにリブ5Aを設けた場合を示している。更に、図9は本発明の第2の実施の形態に係る船舶用隔壁の概略断面図であり、(a)は座屈危険部位Aのみ、(b)は座屈危険部位A〜C、(c)は座屈危険部位A〜Dにリブ5Aを設けた場合を示している。
図4〜図6に基づく知見により、本実施の形態によれば図7〜図9に示すような特定の箇所にのみリブ5Aを設けた隔壁1Aが構成される。ここで、上述したように、隔壁1Aの耐力に応じて場合分け(case1〜3)を行い、それぞれの場合についてリブ5Aを設けなくてはならない隔壁1Aの範囲を定めることにより、リブ5Aを設置する範囲を隔壁1Aの耐力に応じた最小限の範囲とすることができる。これにより、リブ5Aとして用いる資源材料の節約や、船舶の軽量化が図られる。また当然、隔壁1Aの耐力を予め求めておき、当該耐力に応じた好適な範囲にリブ5Aを設ける構成としているため、隔壁1Aの座屈耐力の向上も効率的に実現される。
なお、上記座屈危険部位A〜Dの一部において、リブ5Aを設けない状態で、当該座屈危険部位の耐力が当該座屈危険部位での最大発生応力を下回る場合にリブ5Aを設置しても良く、上回る場合にリブ5Aを設置しても良い。座屈危険部位の耐力が当該座屈危険部位における最大発生応力を下回る場合には、当該座屈危険部位にリブ5Aを設置することにより鋼材重量の低減といった効果が見込まれる。また、座屈危険部位の耐力が当該座屈危険部位における最大発生応力を上回る場合には、最も危険な部位のみを考慮してリブを設置することにより、座屈危険部位に対して断続的にリブ5Aを設置することによる設計コストや製作コストの増大を回避できるといった効果が見込まれる。
(第3の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、リブ5Aの板面形状は例えば略矩形であるものとして図示しているが、本発明におけるリブ5Aの板面形状はかかるものに限定されるものではない。そこで、本発明者らは、船倉に海水を充填させた場合の面材部3A,4Aに生じる曲げモーメントが均一分布ではない(図5、6参照)ことから、リブ5Aの板面形状は必ずしも略矩形が最適であるとは限らないと考え、図6を参照してリブ5Aの好適な板面形状について鋭意検討を行い、本実施の形態に至った。
図6に示すように、面材部3A,4Aに生じる曲げモーメントは、長手方向(高さ方向)に均一分布ではない。具体的には、上記第2の実施の形態で説明した面材部3A,4Aの座屈危険部位A及び座屈危険部位Bに生じる曲げモーメントは、下方に向かうにしたがって大きくなる。一方で、面材部3A,4Aの座屈危険部位Cに生じる曲げモーメントは、上方に向かうにしたがって大きくなる。
そこで、本実施の形態では、面材部3A,4Aの座屈危険部位A、Bに設けるリブ5Aの板面形状を、鉛直方向下方に向かって広幅となるテーパー形状(先細る略三角形状)としており、座屈危険部位Cに設けるリブ5Aの板面形状を、鉛直方向上方に向かって広幅となるテーパー形状としている。図10は座屈危険部位A〜Cにテーパー形状のリブ5Aを設けた場合を示す概略図である。
座屈危険部位A〜Cに設けるリブ5Aの傾斜角度は、当該それぞれの範囲に生じる曲げモーメント分布に応じて適宜定める事が好ましい。
ここで、具体的なテーパーの傾斜角度の定め方の一例を説明する。先ず、座屈危険部位A〜Cのそれぞれにおいて、発生する曲げモーメントが最大となる位置での必要なリブ高さを算定する。一方で、座屈危険部位A〜Cのぞれぞれにおいて、発生する曲げモーメントが最小となる位置のリブ高さ(基本的にはリブ高さ0mm)を算定する。そして、それぞれの座屈危険部位A〜Cにおいて、算定した曲げモーメントが最大となる位置でのリブ高さと、曲げモーメントが最小となる位置でのリブ高さとを線形補完し、座屈危険部位A〜Cごとに設けるリブ5Aのテーパー形状の傾斜角度を定める。
なお、図10には、座屈危険部位A〜C全てにテーパー形状のリブ5Aを設けた場合を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、所定の1箇所の座屈危険部位のみにテーパー形状のリブ5Aを設ける構成や、隔壁1Aの全長にわたってテーパー形状のリブ5Aを設ける構成も考えられる。リブ5Aを設けるべき範囲は、例えば上記第2の実施の形態のcase1〜case3として述べた場合分けに応じた範囲であり、隔壁1Aの耐力に応じて適宜変更することが好ましい。
以上説明したように、面材部3A,4Aの座屈危険部位A〜Cに設けるリブ5Aの板面形状を所定の勾配角度を有するテーパー形状とすることで、隔壁1Aに必要な座屈耐力は担保しつつ、板面形状が略矩形等である場合に比べリブ重量が軽量化され、資源材料の節約が実現される。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記第1の実施の形態において、リブ5Aの面材部3A,4Aからの突出長さ(幅)は任意に設定することができると説明したが、本発明においては、リブ5Aの突出長さを好適に定めることも可能である。具体的には、リブ5Aの突出長さは、面材部3A,4Aの板厚の2倍以上15倍以下であることが好ましい。以下、この理由について簡単に説明する。
リブ5Aの面材部3A,4Aからの突出長さは、面材部3A,4Aの板厚の2倍以上とすることが好ましいのは、当該突出長さが面材部3A,4Aの板厚の2倍未満であると、リブ5Aの溶接作業が困難となり、溶接作業負荷の増大や溶接に伴う部材の変形が大きくなってしまうといった問題が生じるからである。一方、リブ5Aの突出長さがを面材部3A,4Aの板厚の15倍以下することが好ましいのは、リブ5Aの突出長さが過大であると、座屈耐力の向上効果が飽和することに加え、部材が余剰となり重量増となってしまうといった問題や、リブ5Aが船倉の内部空間にせり出してくることにより貨物倉庫としての船倉の機能が損なわれてしまうといった問題があるからである。
また、上記実施の形態では、船舶用隔壁1Aを構成する各面材部3A,4Aの全てにリブ5Aを設けるものとして説明したが、本発明はこれに限られるものではない。ここで、本発明者らは、隔壁1Aの幅方向において生じる応力(曲げモーメント)は均一ではないと考え、隔壁1Aの幅方向における応力のかかり方について検討を行った。
図11〜図14は、船倉に海水を充填させた場合に、任意の隔壁1Aに生じる応力の幅方向分布を解析した解析図であり、図11は隔壁1A全体図、図12は応力が生じる箇所の拡大図である。また、図13、14についても同様である。なお、図11〜図14において、図のY方向が隔壁幅方向であり、また、図中の色彩の濃淡は応力分布を表しており、色彩の濃い部分は薄い部分に比べて、より応力が生じている箇所となっている。
図11〜図14に示すように、隔壁1Aに生じる応力は、当該隔壁1Aの幅方向中央部が大きく、幅方向端部に向かうにつれて生じる応力は小さくなっている。これは、隔壁1Aの両端部が船倉に固定された状態で設置されていることに起因する。
図11〜図14に示した解析結果から、隔壁1Aの幅方向において応力が生じているのは、当該隔壁1Aの幅方向中央部を中心とする隔壁の幅(幅長さ)の60%の範囲内である。従って、例えば隔壁1Aにリブ5Aを設ける場合に、応力が生じている範囲内にのみ設けることとし、隔壁1Aの幅方向中央部を中心とする幅(幅長さ)の60%の範囲内にリブを設けることが望ましい。なお、リブ5Aを設ける範囲は任意に設定可能であり、図11〜図14に示すように、隔壁1Aの幅方向中央部に近接するにつれて、生じる応力は大きくなるため、リブ5Aを設ける範囲は、例えば隔壁1Aの幅方向中央部を中心とする幅長さの20%あるいは40%の範囲内であっても良い。
また、上記第1の実施の形態においてリブ5Aは、面材部等の板厚と同じ金属鋼板からなり、ほぼ同じ厚さであるものとしたが、本発明におけるリブ5Aは、面材部等の金属鋼板と同じである必要はなく、その板厚は面材部等と異なっていても良い。具体的には、本発明におけるリブ5Aの板厚は6mm以上24mm以下であることが好ましい。このリブ5Aの板厚範囲の6mm以上24mm以下とは、一般的な船舶の隔壁板厚として使用される板厚範囲であり、例えば文献「鋼船規則、CSR−B編 ばら積貨物船のための共通構造規則 日本海事協会」に基づいて定められる。
(参考例1)
次に、本発明の変形例としての態様を参考例1として図面を参照して説明する。
上記第1の実施の形態では、隔壁1Aの上下方向の圧縮荷重に対する補強に供するリブ5Aについて、面材部3A,4Aとは別体の平板状のリブ5Aを、該リブ5Aの板面5Aaが面材部3A,4Aの板面に対して直角となるように接合し、固定した構成としているが、以下に述べる参考例1では、所定の形状を有する同形の型材を複数接合して、上記リブを含めた隔壁全体を形成した構成としている。
即ち、図15は本発明の参考例1の態様を示すもので、この参考例1の隔壁1Bは、鉛直方向に延び且つ隔壁1Bの幅方向に突出する平板状に形成されて、該隔壁1Bの前面側に突出する面材部、即ち前面側面材部3Bの半部を構成する第1のフランジ部9,10と、鉛直方向に延び且つ該第1のフランジ9,10とは相反する方向に突出する平板状に形成されて、隔壁1Bの後面側に突出する面材部、即ち後面側面材部4Bの半部を構成する第2のフランジ部7,8とを有する、金属厚板で形成された複数の同形の型材11,12を幅方向(左右方向)に直列状に並べた構成となっている。
そして、隔壁1Bの各面材部3B,4Bは、隣接する一対の型材11,12の第1のフランジ部9,10同士、第2のフランジ部7,8同士が相互に接合されることにより形成されていて、これにより、波形の隔壁1Bを船倉の全幅に亘って延設させたものとしている。
上記各型材11,12は、上記第1のフランジ部9,10と第2のフランジ部7,8との対向する直近の幅方向の端部が、鉛直方向に延びる平板状のウェブ部11a,11bにより相互に連結されている。
また、各第1のフランジ9,10及び各第2のフランジ部7,8の幅方向の各先端には、これらの第1のフランジ部9,10及び第2のフランジ部7,8の板面と直交する方向に突出し、且つ鉛直方向に延びる平板状のリップ部9a,10a・7a,8aがそれぞれ形成されている。そして、型材11については、第1のフランジ部9及び第2のフランジ部7、ウェブ部11a、リップ部9a,7aが、型材12については、第1のフランジ部10及び第2のフランジ部8、ウェブ部12a、リップ部10a,8aが、それぞれ一体に形成された構成となっている。
上記各リップ部9a,10a・7a,8aは、基端部分が、対応する各フランジ部9,10・7,8の先端にそれぞれ連結されていて、第1のフランジ部9,10の各リップ部9a,10aは、該第1のフランジ部9,10における第2のフランジ部7,8側の方向、即ち、前面側面材部3Bの突出方向とは相反する方向(つまり隔壁の後面側方向)に向けて突出させたものとなっている。
一方、第2のフランジ部7,8のリップ部7a,8aは、該第2のフランジ部7,8における第1のフランジ部側の方向、即ち、後面側面材部4Bの突出方向とは相反する方向(つまり隔壁の前面側方向)に向けて突出させたものとなっている。
これらの各リップ部9a,10a・7a,8aは、上下方向の圧縮荷重に対して各面材部3B,4Bを補強するリブ5Bの半部となる部分である。そして、隣接する一対の型材11,12の相対する第1のフランジ部9,10の各リップ部9a,10a、及び第2のフランジ部7,8の各リップ部7a,8a同士が、相互に重なった状態で位置不動に接合されることにより上記リブ5Bが形成される。
本参考例では、隣接する一対の型材11,12における第1のフランジ部9,10の各リップ部9a,10aの対向する板面同士、及び第2のフランジ部7,8の各リップ部7a,8aの対向する板面同士がそれぞれ溶接されることにより、実質的に、それらの一対の型材11,12の第1のフランジ部9,10同士及び第2のフランジ部7,8同士の接合がなされている。これにより、リブ5Bの形成及び型材11,12同士の接合、並びに面材部3B,4Bの形成が同時に行われた態様となっている。
なお、図15に示すように、図中において前面側面材部3Bの左半部及び後面側面材部4Bの右半部をなす型材11は、前面側面材部3Bの右半部及び後面側面材部4Bの左半部をなす型材12を上下反転(つまり、型材12の前面側と後面側とを反転)させたものであり、各型材11,12は、基本的にいずれも相互に同じ断面形状である。
この実施の形態においては、各型材11,12の第1のフランジ部9,10同士、及び第2のフランジ部7,8同士はそれぞれ同じ幅に設定されており、これにより、上記リブ5Bは前面側面材部3B及び後面側面材部4Bの幅方向の中央に位置することになる。
上記構成を有する船舶用隔壁1Bは、基本的には上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
しかしながら、面材部3B,4Bのリブ5Bは、隣接する一対の型材11,12における第1のフランジ部9,10の各リップ部9a,10a同士、及び第2のフランジ部7,8の各リップ部7a,8a同士がそれぞれ接合された構成、つまり2つのリップ部で形成されているため、面材部3B,4Bに作用する上下方向の圧縮荷重に対する補強効果が、第1の実施の形態の場合に比べて高い。したがって、隔壁として必要な圧縮荷重に対する耐力を一層安定的に確保することができ、隔壁の座屈を確実に防止することができる。
また、この実施の形態の隔壁1Bは、所定の形状に形成された隣接する一対の型材11,12の第1のフランジ部9,10同士、第2のフランジ部7,8同士が接合された構成であるため、隔壁全体の形成が比較的に容易である。
また、上記参考例1においては、第1のフランジ部9,10のリップ部9a,10aは前面側面材部3Bの突出方向とは相反する方向に突出させる一方、第2のフランジ部7,8のリップ部7a,8aは後面側面材部4Bの突出方向とは相反する方向に突出させることにより、リブ5Bが各面材部3B,4Bの突出方向とは相反する方向に向けて突出した構成となっている。
しかしながら、各面材部に対するリブの配設位置は、前面側面材部、後面側面材部いずれの場合であっても、隔壁の前面側と後面側とのどちら側に設けても良く、各型材におけるリップ部の突出方向を変えることによりリブの配設位置を適宜設定することができる。
なお、上記実施の形態においては、隣接する一対の型材11,12における各第1のフランジ部9,10のリップ部9a,10a同士、あるいは各第2のフランジ部7,8のリップ部7a,8a同士は、いずれも同じ方向に突出させているが、各第1のフランジ部のリップ部同士、あるいは各第2のフランジ部のリップ部同士を相反する方向に突出させ、対向するリップ部の基端部分同士を相互に接合することにより、リブが面材部の前面側と後面側との両面側に形成されるようにしてもよい。
さらに、上記参考例1においては、同形の型材11,12によって隔壁1Bを形成することにより、上記リブ5Bがいずれも面材部3B,4Bの幅方向の中央に配設されるようにしているが、第1の各フランジ部及び第2の各フランジ部の幅が相互に異なる複数の非同形の型材を用いて、リブが面材部の中央から偏寄した位置に配設されるようにしてもよい。
また、図15に示す例では、各リップ部9a,10a・7a,8aは、各フランジ部9,10・7,8の先端からほぼ直角に屈曲させることにより、リップ部9a,10a・7a,8aの板面が各フランジ部9,10・7,8の板面と直交する方向に突出させた態様となっている。
しかしながら、例えば図16に示すように、接合する第1のフランジ部9,10同士及び第2のフランジ部7,8の間に、各フランジ部同士の溶接に供する開先13が形成されるよう、各リップ部9a,10a・7a,8aの基端側に開先形成用の傾斜面14が形成されるように屈曲させた上で、各リップ部9a,10a・7a,8aを、その板面が各フランジ部9,10・7,8の板面と直交する方向に突出させた態様とすることができる。
なお、図15及び図16に記載した参考例においても、上記実施の形態の変形例にて述べたように、リブ5Bの突出長さは、面材部3B,4Bの板厚の2倍以上15倍以下であることが好ましい。このときの面材部3B,4Bの板厚としては、リップ部7a及び8a(あるいはリップ部9a及び10a)の板厚の合計を基準とすれば良い。
(参考例2)
上記参考例1においては、前面側面材部3Bの一部を構成する第1のフランジ部9,10、及び後面側面材部4Bの一部を構成する第2のフランジ部7,8の各先端にそれぞれリップ部9a,10a・7a,8aが設けられた型材11,12を複数用い、隣接する一対の型材11,12の第1の各フランジ部9,10のリップ部9a,10a及び第2の各フランジ部7,8のリップ部7a,8aによって各面材部3B,4Bのリブ5Bをそれぞれ形成した構成としていた。
しかしながら、以下に述べる参考例2においては、隣接する一対の型材のうちのいずれか一方の型材のみの第1のフランジ部、あるいは第2のフランジ部にリップ部を設け、そのリップ部が単独で面材部のリブをなす構成としている。
即ち、図17は、本発明の船舶用隔壁の参考例2の態様を示すもので、この参考例2の隔壁1Cは、鉛直方向に延び且つ隔壁の幅方向に突出する平板状に形成されて、該隔壁1Cの前面側に突出する面材部、即ち前面側面材部3Cの半部を構成する第1のフランジ部15,16と、鉛直方向に延び且つ該第1のフランジ15とは相反する方向に突出する平板状に形成されて、隔壁1Cの後面側に突出する面材部、即ち後面側面材部4Cの半部を構成する第2のフランジ部13,14とを有する、金属厚板で形成された複数の同形の型材17,18を幅方向(左右方向)に直列状に並べた構成となっている。
そして、隔壁1Cの各面材部3C,4Cは、隣接する一対の型材17,18の第1のフランジ部15,16同士、第2のフランジ部13,14同士が相互に接合されることにより形成されていて、これにより、波形の隔壁1Cを船倉の全幅に亘って延設させたものとしている。
なお、上記各型材17,18は、上記第1のフランジ部15,16と第2のフランジ部13,14との対向する直近の幅方向の端部が、鉛直方向に延びる平板状のウェブ部17a,18aにより相互に連結されており、これら第1のフランジ部15,16及び第2のフランジ部13,14、ウェブ部17a,18aが一体に形成された構成となっている。
上記各前面側面材部3Cを形成する一対の型材17,18の第1のフランジ部15,16のうち、一方の型材18の第1のフランジ部16には、その幅方向の先端に、該第1のフランジ部16の板面と直交する方向に突出し且つ鉛直方向に延びる板状のリップ部16aが、その第1のフランジ部16と一体に設けられている。
また、各後面側面材部4Cを形成する一対の型材の第2のフランジ部13,14のうち、一方の型材17の第2のフランジ部13には、その幅方向の先端に、該第2のフランジ部13の板面と直交する方向に突出し且つ鉛直方向に延びる板状のリップ部13aが、その第2のフランジ部13と一体に設けられている。
この参考例2においては、上記リップ部13a,16aは、基端部分がフランジ部13,16の先端にそれぞれ連結されている。そして、前面側面材部3Cのリブ5Cとなるリップ部16aについては、第1のフランジ部16における第2のフランジ部13側の方向、即ち、前面側面材部3Cの突出方向とは相反する方向(つまり隔壁の後面側方向)に向けて突出させている。
一方、後面側面材部4Cのリブ5Cとなるリップ部13aについては、第2のフランジ部13における第1のフランジ部15側の方向、即ち、後面側面材部4Cの突出方向とは相反する方向(つまり隔壁の前面側方向)に向けて突出させている。
そして、上記型材17,18は、リップ部を有する側の型材の該リップ部の基端部分とリップ部を有しない側の型材のフランジ部の先端とが溶接され、これにより、これらの型材17,18の第1のフランジ部15,16同士、及び第2のフランジ部13,14同士が接合されている。
具体的には、前面側面材部3Cにおいては、型材18の第1のフランジ部16のリップ部16aの基端部分と、型材17の第1のフランジ部15の先端とが、後面側面材部4Cにおいては、型材17の第2のフランジ部13のリップ部13aの基端部分と、型材18の第2のフランジ部14の先端とが、それぞれ溶接されている。したがって、これらの一対の型材17,18の第1のフランジ部15,16同士、及び第2のフランジ部13,14同士の各接合と、面材部3C,4Cの形成とが同時に行われたものとなっている。
このとき、上記各リップ部16a,13aは、それぞれ単独で各前面側面材部3C、各後面側面材部4Cのリブとなり、各面材部3C,4Cに作用する上下方向の圧縮荷重に対して補強する機能を発揮する。
なお、この参考例2においては、図17に示すように、図中において前面側面材部3Cの左半部及び後面側面材部4Cの右半部をなす型材17は、前面側面材部3Cの右半部及び後面側面材部4Cの左半部をなす型材18を上下反転(つまり、型材18の前面側と後面側とを反転)させたものであり、各型材は基本的にいずれも同じ断面形状である。このとき、各型材17,18の第1のフランジ部15,16同士、及び第2のフランジ部13,14同士はそれぞれ同じ幅に設定されているため、リップ部13a,16a、即ちリブ5Cは、前面側面材部3C及び後面側面材部4Cの幅方向のほぼ中央にそれぞれ位置していることになる。
上記構成を有する船舶用隔壁は、基本的には上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、この参考例2の場合、リブ5Cとなるリップ部13a,16aを、各面材部3C,4Cを形成する一対の型材17,18のうちの一方の型材のフランジ部、即ち、前面側面材部3Cの場合は第1のフランジ部16、後面側面材部4Cの場合は第2のフランジ部13にのみ設けた構成であるため、型材の形成に際しては上述した参考例1に比べて手数が少なく、この結果、隔壁の形成が比較的容易であるという利点がある。
また、上記参考例2においても、面材部3C,4Cに対するリブ5Cの配設位置は、前面側面材部3Cでも後面側面材部4Cでも、隔壁の前面側と後面側とのどちら側に設けても良く、リップ部の突出方向を変えることによりリブの配設位置を適宜設定することができる。
さらに、上記参考例2においては、実質的に同形の型材17,18によって隔壁を形成することにより、上記リブ5Cがいずれも面材部3C,4Cの幅方向のほぼ中央に配設されるようにしているが、第1のフランジ部15,16の幅、第2のフランジ部13,14の幅がそれぞれ異なる複数の非同形の型材を用いて、リブが面材部の中央から偏寄した位置に配設されるようにしてもよいことは、上記参考例1と同様である。
また、図17に示す例では、リップ部13a,16bについては、各フランジ部13,16の先端からほぼ直角に屈曲させることにより、リップ部13a,16aの板面が各フランジ部の板面と直交する方向に突出させる一方、該リップ部13a,16aの基端側と接合されるフランジ部14,15については板厚一定の平板状に形成された態様となっている。しかしながら、接合するリップ部の基端部分とフランジ部の先端との間に溶接に供する開先が形成されるよう、リップ部の基端部分側に開先形成用の傾斜面が形成されるように屈曲させた上で、リップ部の板面が各フランジ部の板面と直交する方向に突出させたり、あるいは、接合するフランジ部の先端に開先形成用の傾斜面を設けたりすることができる。
(実施例1)
本発明の効果を確認するため、本発明の上記第1の実施の形態に係る構成の船舶用隔壁、即ち、図1〜図3に示すような、各面材部に平板状に形成されたリブが該リブの板面が面材部の板面に対して直角となるようにそれぞれ固定された構成の隔壁と、本発明の構成に依らない従来の隔壁、即ち、本発明に係るリブを備えていない隔壁とについて、上下方向の圧縮荷重に対する耐力を調べた。
具体的には、隔壁を形成する1つの面材部について、上下方向の圧縮荷重を作用させてその荷重と鉛直方向の変形量との関係を調べ、この圧縮荷重に対する耐力を比較する実験を行った。
本発明に係る隔壁の面材部(以下「本発明例」という。)及び、従来の隔壁の面材部(以下「比較例」という。)は、いずれも、同じ鋼材によって高さ8000mm、幅1050mm、厚さ14.5mmに形成されたものを用いた。
また、本発明例におけるリブは、厚さ14.5mm、突出長さ(短手方向の長さ)が100mmに形成された鋼板である。
実験に際しては、本発明例及び比較例に係る面材部を4辺単純支持した上で、各面材部の上端側から下方向けに荷重を付加することにより、面材部に上下方向の圧縮荷重が作用するようにして、荷重に伴う面材部の鉛直方向(面材部の軸線方向)の変形量をそれぞれ測定した。
結果を図18に示す。図18のグラフ中において、黒点のプロット点は本発明例を、白点のプロット点は比較例をそれぞれ示している。
この結果、比較例の場合は、荷重が約2700kN程度を超えたあたりが降伏点となり、座屈が発生したのに対し、本発明例の場合は荷重が約4600kN程度まで座屈が生じないことがわかった。
これにより、本発明に係る構成を有する船舶用隔壁は、従来のものに比べて上下方向の圧縮荷重に対して著しく高い耐力を備えていることがわかり、面材部のリブの上下方向に対する圧縮荷重に対する補強効果が実証された。
(実施例2)
実施例2においては、本発明における隔壁でのリブ設置の有効性を確認し、リブの好適な設置範囲について実際の船舶の隔壁寸法等に照らし合わせて有限要素法解析に基く検討を行った。表1は、その検討結果を示したものである。以下では、表1に基いて説明する。
ここで、表1に記載した甲板までの高さとは図4に示すL+Lであり、隔壁の高さとは図4に示すLである。また、危険部位A、B、C、Dは、上記第2の実施の形態等で説明した座屈危険部位A、B、C、Dに相当し、その他は危険部位A〜D以外の箇所を示す。具体的には、隔壁上端を0として、危険部位Aは95〜100%の範囲、危険部位Bは90〜95%の範囲、危険部位Cは0〜10%の範囲、危険部位Dは30〜70%の範囲を示し、その他は10〜30%の範囲及び70〜90%の範囲を示し、それぞれの範囲におけるリブの設置の有無を表中に記載している。なお、その他の範囲についてはリブ設置の有無に加え、リブ設置有の場合にはその設置範囲についても記載している。
また、表中の座屈発生の有無については、符号○が座屈が発生しない場合、符号×が座屈が発生する場合を示している。なお、本実施例における解析は、隔壁を挟んで一方の船倉に海水を充填し、他方の船倉を空にした状態に基いたものである。
図19は本実施例における解析に用いた隔壁等の寸法についての一例を示す説明図であり、図19(a)は隔壁の一部を拡大した断面図、図19(b)は隔壁の正面図である。但し、図19(b)に示した解析モデルの寸法は一例であり、表1に示したように解析条件に応じて適宜各寸法は変化させている。また、表1には、リブの形状(リブ厚さ、矩形状高さ、テーパー形状)や、リブと面材部の角度、リブの配設方向についても記載しており、一部検討ケースにおいては、リブの形状、リブと面材部の角度やリブの配設方向を変化させている。
なお、表1における検討ケース44は、リブを設けていない状態で座屈が生じない基本条件を示すものであり、検討ケース1〜43、45、46は、種々の条件(表1中に記載した各条件)での解析結果を示している。ここで、検討ケース1〜43は本発明の実施例にあたり、検討ケース44〜46は比較例にあたる。以下、検討ケース1〜46のそれぞれについて説明する。
検討ケース1〜17は、甲板までの高さ、隔壁の高さ、隔壁の寸法を表1に示した条件とし、危険部位A〜Dの全てにリブを設けた場合の解析結果である。なお、検討ケース1〜17においては危険部位A〜Dに加え、その他の範囲についても表1に記載した範囲にリブを設置した構成としている。
表1に示すように、検討ケース1〜3は、甲板までの高さ及び隔壁の高さが異なる3種類の隔壁についての解析結果である。これら検討ケース1〜3においては、甲板までの高さと隔壁の高さとの比率については同じであるものとしている。この時、検討ケース1〜3において座屈は発生しない(座屈の発生:無、表中の符号○)。また、危険部位A〜D以外のその他の範囲におけるリブ設置範囲は検討ケース1〜3それぞれで異なっているが、座屈の有無に影響はない。
また、検討ケース4、5は、他のケースに比べ隔壁の深さaを変えたものであり、検討ケース6、7はウェブ幅bを変えたものである。また、これら検討ケース4〜7はいずれも危険部位A〜Dに全てリブが設けられた条件である。ここで、検討ケース4〜7では隔壁に座屈は生じない。これは、例えば隔壁の深さaやウェブ幅bを変えたことで、隔壁の耐力が、発生する最大応力より小さい範囲が存在しても、リブを設けたことで座屈の発生が回避されていることを示している。
また、検討ケース8〜17は、他のケースに比べ隔壁における面材部の幅c、ウェブ板厚tw、面材部の板厚tfを変えたものである。これら検討ケース8〜17はいずれも危険部位A〜Dに全てリブが設けられた条件である。これら検討ケース8〜17においても、隔壁に座屈は生じない。即ち、危険部位A〜Dの全てにリブを設けたことで座屈の発生が回避されている。
また、検討ケース18〜24は、隔壁においてリブを設置する範囲を変えたものであり、検討ケース18〜20は危険部位Aのみにリブを設置した構成、検討ケース21は危険部位A〜Cのみにリブを設置した構成、検討ケース22〜24は危険部位A〜Dのみにリブを設置した構成である。これら検討ケース18〜24では、隔壁に座屈は生じない。
また、検討ケース25〜31は表1に示した条件でリブの厚さと矩形状高さを変えたものである。これら検討ケース25〜31はいずれも危険部位A〜Dに全てリブが設けられた条件であり、これらの条件では隔壁に座屈は生じない。
また、検討ケース32〜37は表1に示した条件にてリブ下端高さとリブ上端高さを定め、設置したリブの所定範囲にテーパー形状を付与した場合である。これら検討ケース32〜37はいずれも危険部位A〜D全てにリブが設けられた条件であり、それら設けられたリブの一部にテーパー形状を付与している。これらの条件では隔壁に座屈は生じない。
また、検討ケース38〜40は、リブと面材部との角度θを他のケースとは異なる70°とした場合である。これら検討ケース38〜40はいずれも危険部位A〜D全てにリブが設けられた条件である。これらの条件では隔壁に座屈は生じない。なお、リブと面材部との角度θとしては、上記実施の形態で説明したように90°とすることが好ましいが、例えば本ケース38〜40に示すように、座屈が生じない範囲内で当該角度θを変更する(例えば70°)ことで、船倉の内部空間へのリブ突出量を低減させることができ、空間の活用性の向上を図ることができる。
また、検討ケース41〜43は、リブの配設方向を他のケースとは異なる、面材部が突出する方向と逆方向とした場合である。これら検討ケース41〜43はいずれも危険部位A〜D全てにリブが設けられた条件である。これらの条件では隔壁に座屈は生じない。
一方、検討ケース44はリブを一切設置しない条件を示しており、本発明を適用していない構成である。また、検討ケース45、46は、危険部位A〜Cのみにリブを設置した構成である。これら検討ケース45、46の構成では、隔壁に座屈が生じている(座屈の発生:有、表中の符号×)。
表1に示すように、検討ケース13と検討ケース45を比較すると、検討ケース13の構成では危険部位A〜D全てにリブが設置されているのに対し、検討ケース45の構成では危険部位A〜Cにリブが設置され、危険部位Dにはリブが設置されていない。そして、検討ケース13の構成では隔壁に座屈が発生していない(表中符号○)のに対し、検討ケース45の構成では隔壁に座屈が発生している(表中符号×)。この両者の比較から、検討ケース13の構成において危険部位Dにリブを設置しない構成とすると、当該危険部位Dにおいて座屈が発生することが分かる。
即ち、検討ケース13及び45の構成では、危険部位Dにおいて面材部の耐力はリブを設置しない状態での当該危険部位D範囲内における最大発生応力を下回っている。このような場合に、当該危険部位Dにリブを設置することで隔壁の座屈耐力を向上させ、船舶用隔壁として必要な耐力を容易且つ安定的に確保できることが示された。
また、同様に、表1に示す検討ケース14と検討ケース46を比較すると、検討ケース14の構成では危険部位A〜D全てにリブが設置されているのに対し、検討ケース46の構成では危険部位A〜Cにリブが設置され、危険部位Dにはリブが設置されていない。そして検討ケース14の構成では隔壁が座屈していないのに対し、検討ケース46の構成では隔壁に座屈が発生している。この両者の比較から、検討ケース14の構成において危険部位Dにリブを設置しない構成とすると、当該危険部位Dにおいて座屈が発生することが分かる。
この検討ケース14と検討ケース46との比較によっても、危険部位Dにリブを設置することで隔壁の座屈耐力が向上することが分かる。具体的には、リブを設置しない状態では座屈していた隔壁において、所定の範囲(危険部位D)にリブを設置することで、当該範囲での座屈を回避し、船舶用隔壁として必要な耐力が確保される。
以上説明したように、検討ケース1〜43に示す種々の条件の隔壁においてリブを設けた場合に、座屈の発生が防止され、船舶用隔壁として必要な耐力を容易且つ安定的に確保することができ、隔壁の座屈を防止することができることが分かった。
また、特に検討ケース18〜21によれば、隔壁の所定範囲(例えば危険部位A等)のみにリブを設けた場合でも、隔壁の座屈が防止されることが分かった。加えて、検討ケース13、14と検討ケース45、46との比較によれば、寸法等の各条件が同一である隔壁であっても、所定範囲(危険部位D)にリブを設けない場合には座屈が生じ、リブを設けることで座屈が防止されることが分かり、特定の範囲にリブを設けることによる作用効果が確認された。
本発明は、船舶の船倉を仕切る金属厚板製の隔壁に適用でき、さらに詳しくは、隔壁の前後方向に作用する荷重によって隔壁に生じる曲げモーメントに伴い、隔壁の面材部に生じる圧縮荷重に対して高い座屈耐力を有する船舶用の隔壁に適用できる。

Claims (12)

  1. 船舶の船倉を仕切る金属厚板からなる隔壁であって、
    鉛直方向に延び且つ隔壁の幅方向に沿う板状に形成された複数の面材部を、隔壁の前面側と後面側に交互に突出させた波形の船舶用隔壁において、
    少なくとも前記各面材部の鉛直方向高さの上端から95%以上100%以下の範囲の座屈危険部位Aに、リブを設け
    前記リブは、前記面材部の突出方向とは相反する側の板面に配設されている、船舶用隔壁。
  2. さらに、少なくとも前記上端から90%以上95%未満の範囲の座屈危険部位B及び前記上端から0%以上10%以下の範囲の座屈危険部位Cに、リブを設け、
    前記リブは、前記面材部の突出方向とは相反する側の板面に配設されている、請求項1に記載の船舶用隔壁。
  3. さらに、少なくとも前記上端から30%以上70%以下の範囲の座屈危険部位Dに、リブを設け、
    前記リブは、前記面材部の突出方向とは相反する側の板面に配設されている、請求項2に記載の船舶用隔壁。
  4. 前記座屈危険部位にのみ、前記リブを設けた、請求項1〜3のいずれかに記載の船舶用隔壁。
  5. 前記リブは、前記各面材部の鉛直方向全長に亘って設けられる、請求項1〜3のいずれかに記載の船舶用隔壁。
  6. 前記座屈危険部位の少なくとも一部においては、前記面材部の耐力は、前記リブを設けない状態では当該座屈危険部位範囲内における最大発生応力を下回る、請求項1〜5のいずれかに記載の船舶用隔壁。
  7. 前記座屈危険部位A及びBに設けられるリブは、鉛直方向下方に向かって広幅となるテーパー形状を有する、請求項2〜6のいずれかに記載の船舶用隔壁。
  8. 前記座屈危険部位Cに設けられるリブは、鉛直方向上方に向かって広幅となるテーパー形状を有する、請求項2〜7のいずれかに記載の船舶用隔壁。
  9. 前記リブは、平板状に形成されていて、該リブの板面が前記面材部の板面に対して直角となるように固定されている、請求項1〜6のいずれかに記載の船舶用隔壁。
  10. 前記リブの前記面材部板面からの突出長さは、前記面材部の板厚の2倍以上15倍以下である、請求項9に記載の船舶用隔壁。
  11. 前記リブの板厚は6mm以上24mm以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の船舶用隔壁。
  12. 前記リブは、前記隔壁の幅方向において当該隔壁の幅方向中央部を中心とする幅の60%の範囲内にのみ設けられる、請求項1〜11のいずれかに記載の船舶用隔壁。
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