JP5440276B2 - セルロースナノファイバーの製造方法、セルロースナノファイバー、及びセルロースナノファイバー分散液 - Google Patents

セルロースナノファイバーの製造方法、セルロースナノファイバー、及びセルロースナノファイバー分散液 Download PDF

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本発明は、分子量が調整されたセルロースナノファイバーの製造方法、セルロースナノファイバー、及びセルロースナノファイバー分散液に関する。
セルロースは植物の細胞壁や微生物の体外分泌物、ホヤの外套膜などに含まれており、地球上でもっとも多く存在する多糖類で、生分解性を有し、結晶性が高く、安定性や安全性に優れているため、環境配慮型の材料として注目されている。そのため様々な分野へ応用展開が期待されている。
しかし、セルロースは分子内の水素結合が強く、結晶性が高いため、水や一般的な溶剤にはほとんど不溶である。これに対しセルロースの溶解性を向上させる研究が盛んに行われている。中でもTEMPO触媒系を用いて、セルロースのもつ3つの水酸基のうち、C6位の一級水酸基のみを酸化し、アルデヒド基あるいはケトン基を経てカルボキシル基に変換する手法が、近年非常に注目されている(特許文献1〜特許文献10を参照)。この手法は、選択的に一級水酸基のみを酸化することができ、また水系や常温下などの温和な条件下で反応を行うことが可能であるため、近年非常に注目されている(特許文献1〜10を参照)。
また、天然のセルロースを用いてTEMPO酸化を行うと、セルロースの結晶性を保ちつつナノオーダーの結晶表面のみを酸化させることができる。そして、洗浄し、水(分散媒)に分散させて、軽微な機械的処理を加えるだけで、微細な改質セルロースを水分散させることができることが知られている。
特開2008−1728号公報 特開2008−308802号公報 特開2009−161613号公報 特開2009−243014号公報 特開2009−161723号公報 特開2009−161893号公報 特開2009−243014号公報 特開2009−298972号公報 特開2009−173909号公報 特開2009−263652号公報
特許文献1から特許文献10の従来技術は、すべてセルロースナノファイバーに関する発明である。そして、これらの従来技術は、セルロースをTEMPO酸化反応によって酸化(改質)し、その後に機械的な処理を加えることでセルロースナノファイバーを製造する方法に関する発明である。
しかし、上記従来技術のように、TEMPO酸化反応後の酸化パルプ(改質されたセルロース)をイオン交換水に分散させた後、単に機械的な処理を加えても、その都度得られるナノファイバーの分子量が安定していないという課題があった。また、分散量が安定しないため、製造されたセルロースナノファイバーの分散液の透明性が十分でない、高粘度化してしまう等の課題があった。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、製造されたナノファイバーの分子量を調整可能なセルロースナノファイバー製造方法及びその製造方法で製造されたセルロースナノファイバー及びその分散液を提供することを目的としている。
発明者らが鋭意検討した結果、TEMPO酸化反応後、酸化パルプをイオン交換水に分散させた後、分散液のpH調整を行ってから機械的な処理を加えることで、製造されるナノファイバーの分子量を安定化できるとの知見を得た、本発明はこのような知見に基づくものである。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、セルロースを、酸化剤としてN−オキシル化合物を用いて改質し洗浄する改質洗浄工程と、改質された上記セルロースを分散媒に分散させ微細化する微細化工程と、を有するセルロースナノファイバーの製造方法であって、
上記微細化工程でのpHを6以上12以下に調整し、
上記改質洗浄工程では、系内を酸性にし、カルボキシル基の対イオンをHにして洗浄を行うことを特徴とするものである。
次に、請求項に記載した発明は、請求項1のセルロースナノファイバーの製造方法で製造された、表面にカルボキシル基を有するセルロースナノファイバーであって、
そのカルボキシル基量が1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下であり、且つその粘度平均分子量が30,000以上70,000以下であり、且つ短方向の平均繊維幅が1nm以上20nm以下であることを特徴とするものである。
次に、請求項に記載した発明は、請求項に記載したセルロースナノファイバーの分散液であって、
固形分が0.1%以上3%以下であり、且つ前記分散液に入射する光の強度に対する前記分散液を透過した光の強度の割合で定義される透過率が、可視域(400〜700nm)において80%以上99%以下であることを特徴とするものである。
次に、請求項に記載した発明は、請求項に記載した構成に対し、せん断粘度(回転式レオメーター:25℃、1s−1)が0.5Pa・s以上150Pa・s以下であることを特徴とするものである。
次に、請求項に記載した発明は、請求項に記載したセルロースナノファイバーの分散液であって、
せん断粘度(回転式レオメーター:25℃、1s−1)が0.5Pa・s以上150Pa・s以下であることを特徴とするものである。
本発明は、TEMPO酸化反応などによる改質洗浄工程で改質したセルロースをイオン交換水などの分散媒に分散させて微細化する際に、上記分散液のpHを適正な値にpH調整を行うことで、分子量が目的とする分子量に調整されたセルロースナノファイバー及びその分散液を製造可能となる。
例えば、酸化パルプ等の改質されたセルロースを水等の分散媒に分散させた後、酸やアルカリを用いて分散媒のpH調整を行い、適当な分散装置で機械的な処理を加える。これによって、得られるセルロースナノファイバーの分子量を随時調整することが可能になる。
また、セルロースナノファイバーの分子量を随時調整可能であるため、セルロースナノファイバーの分散液の透過率や粘度を調整することが可能になり、求められる分散液の用途や性質に応じて、その特性を適応させることが可能になる。例えば、コーティング剤として用いる場合は、求められる塗液の粘度や固形分濃度、成形体の透明性に合わせて、必要に応じて分子量を変化させることが可能になる。
次に、本発明の実施形態について説明する。
(本発明によって製造可能なセルロースナノファイバー及びその分散液の一例)
先に、本発明に基づく製造方法を適用して製造可能なセルロースナノファイバーの例について説明する。
そのセルロースナノファイバーは、カルボキシル基量が1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下であり、且つその粘度平均分子量が30,000以上70,000以下であり、且つ平均繊維幅が1nm以上20nm以下に調整したセルロースナノファイバーである。
ここで、カルボキシル基量が1.0mmol/gに満たない場合、その後に機械的な処理を加えても、十分に静電的な反発が起こらずにセルロースナノファイバーを均一に分散させることは難しい。そのため、分散液の透明性が悪くなる、粘度が増加する等の問題が生じる。また、2.0mmol/gを越える場合は分散時のセルロースの分解が激しく、黄変等の問題を生じやすくなってしまう。
一方、1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下の分散液の場合、セルロースナノファイバー調整時の透明性が優れ、さらに分解等も抑制でき、例えばフィルム化したときに、膜の良好な透明性、強度が期待できる。
また、粘度平均分子量が30,000未満の場合、結晶性を有した高等植物由来セルロースが平衡化する分子量よりも低くなってしまい、ナノファイバー状態にならない恐れがある。また、粘度平均分子量が70,000を越える場合、分散液の固形分濃度を高くしたときの粘度が高すぎるため、流動性が悪くなり、分散時のハンドリング性が悪化したり、例えばコーティング剤として用いたときの塗工性が悪化したりするなどの問題が生じてしまう。
以上から、結晶性を有し、良好な流動性を持ったセルロースナノファイバー分散液を得るためには、粘度平均分子量は30,000以上70,000以下の範囲が適している。
また、平均繊維幅が1nm未満ではセルロースがナノファイバー状態にならず、一方、20nmを越える場合は分散液の透明性が損なわれてしまう。このことから、平均繊維幅は1nm以上20nm以下が好ましい。
また、セルロースナノファイバーの分散液は、固形分が0.1%以上3%以下であり、且つ可視域における透過率が80%以上99%以下であることが好ましい。
分散液中の固形分が0.1%未満である場合、例えばコーティング剤として用いたときの膜厚が薄すぎてしまう等の問題が生じる。一方、固形分が3%を越える場合、分散初期に生じる高粘度化によって分散効率が悪化してしまう。
また、分散液の可視域における透過率が80%未満である場合、分散液が非常に白濁しており、フィルムやコーティング剤等に用いたときの透明性が極度に悪くなってしまう。そのため、良好な透明性を有したフィルムおよびコーティング剤等に用いるためには、透過率80%以上99%以下が適している。
また、セルロースナノファイバーの分散液は、せん断粘度(回転式レオメーター:25℃、1s-1)が0.5Pa・s以上150Pa・s以下であることが好ましい。
分散液のせん断粘度(回転式レオメーター:25℃、1s-1)が0.5Pa・s未満である場合、フィルム化したときやコーティング剤として用いたときの強度が弱くなってしまう。また上記分散液のせん断粘度が150Pa・sを越える場合、コーティング剤として用いたりフィルム化したりする際に、分散液の粘度が非常に高いため、膜の平滑性が失われるなど、均質な膜を作ることが困難になってしまう。
(製造方法について)
本実施形態のセルロースナノファイバーの製造方法は、セルロースを改質し洗浄する改質洗浄工程と、改質された上記セルロースを分散媒に分散させ微細化する微細化工程とを備える。このとき、本実施形態では、上記微細化工程における分散媒のpHを6以上12以下に調整する。
ここで、分散媒のpHが6未満の場合、弱酸である酸化セルロースが完全に解離していないため、十分な静電的反発が起きずに分散性が悪くなり、分散液が白濁してしまう。一方、分散媒のpHが12を越える場合、非常にアルカリ性が強く、セルロースの分解が激しく進んでしまい、任意の分子量に調整することが困難になってしまう。
このため、微細化工程における分散媒のpHを6以上12以下の範囲で調整することで分子量を調整する。すなわち、pHを低くすると分子量が高くなる、またpHを高くすると分子量が低くなるなど、任意の分子量でかつ分子量分布の小さいセルロースを調整することが可能になる。
上記改質洗浄工程において、洗浄時に、系内を酸性にし、カルボキシル基の対イオンをHにして洗浄を行うと良い。
ここで、アルカリと塩を形成したまま洗浄する方法が一般的に広く用いられている。しかし、酸化パルプが膨潤してしまい、脱水が困難になる。また酸化時にすでにナノ化してしまっているセルロースがフィルターを抜けてしまい、収率が低下してしまうなどの問題がある。
これに対し、酸を添加してカルボキシル基の対イオンをHにして洗浄すると、セルロース間の静電的反発が緩和され、水素結合が顕著に現れる。このため、パルプが凝集し、脱水が容易になる。また、ナノ化してしまっているセルロースも凝集するため、収率の低下を抑制することができる。
「改質洗浄工程について」
表面にカルボキシル基を有する改質微細セルロースは、セルロースの酸化により得られる。
酸化されるセルロースの原料としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプ、コットン、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、微細セルロース、微結晶セルロース等を用いることができる。
セルロースを改質する方法としては、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、一級水酸基の酸化に対する選択性が高い、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法が望ましい。上記のN−オキシル化合物としては、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下、TEMPOと呼ぶ。)などが好ましく用いられる。
また、上記の共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
さらに、臭化物やヨウ化物の共存下で行うと、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を改善することができる。
N−オキシル化合物としてはTEMPOが好ましく、触媒として機能する量があれば十分である。また臭化物としては臭化ナトリウムまたは臭化リチウムを用いた系が好ましく、コストや安定性から臭化ナトリウムがより好ましい。
共酸化剤、臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進することができる量があれば十分である。反応は系内のpHはpH9以上pH11以下の環境で実施することがより望ましい。すなわち、酸化が進行するにつれて、カルボキシル基が生成されて系内のpHが低下してしまうため、系内をpH9以上pH11以下に保つ必要がある。
系内をアルカリ性に保つためには、pHを一定にスタットしながらアルカリ水溶液を添加していくことで調整することができる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、さらには水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの有機アルカリなどが用いられるが、コストなどから水酸化ナトリウムが好ましい。
酸化反応を終了させるためには系内のpHを保ちながら他のアルコールを添加し共酸化剤を完全に反応し終える必要がある。添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが望ましい。反応により生成される副産物の安全性などからエタノールがより好ましい。
酸化し終わった酸化パルプ(改質されたセルロース)の洗浄方法としては、アルカリと塩を形成したまま洗浄する方法、酸を添加してカルボン酸にして洗浄する方法、有機溶剤を添加して不要化して洗浄する方法等がある。ハンドリング性や収率等から酸を添加してカルボン酸にして洗浄する方法が好ましい。なお洗浄溶媒としては水が好ましい。
粘度法を用いて分子量測定を行う場合、銅アンモニアや銅エチレンジアミンなどにセルロースを一度完全に溶解させる必要がある。その際にセルロース表面に反応性が高い酸化時の中間体(アルデヒド基)が残存していると低分子化が進行してしまう恐れがある。そのため、TEMPO酸化よりも柔和な条件でアルデヒド基のみを再度完全に酸化を行う必要がある。
アルデヒド基のみを酸化する手法としては酸化剤として亜塩素酸塩と酢酸緩衝液を水に溶解させセルロースを添加し、室温で十分反応させ、その後完全に水洗することで再酸化セルロースを得た。
「微細化工程について」
(pH調整)
酸化セルロースに微細化処理を施す前に、まず、酸化セルロースを、分散媒としての水に浸漬してから分散液のpHを調整する。
例えば、酸洗浄した酸化パルプを水に分散させたときは分散液のpHは4〜6程度であるため、アルカリを用いてpHを6〜12に調整する。このとき調整するpHを低くした際には得られるセルロースナノファイバーの分子量は大きくなり、pHを高くした際には得られるセルロースナノファイバーの分子量は小さくなる。
用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、さらには水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどから水酸化ナトリウムが好ましい。
(微細化処理)
続いて物理的に解繊する方法としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などを用いることで微細化することができる。これらのような微細化処理を任意の時間行うことで、C6位にカルボキシル基を有する改質微細セルロース分散水溶液を得ることができる。
以上の製造方法によって得られるセルロースナノファイバーは、分子量を目的の分子量に安定して製造される。このため、分散液の透過率や粘度を調整することが可能になり、求められる分散液の用途や性質に応じて、その特性を適応させることが可能になる。例えば、コーティング剤として用いる場合は、求められる塗液の粘度や固形分濃度、成形体の透明性に合わせて、必要に応じて分子量を変化させることが可能になる。
たとえば、熱安定性やガスバリア性に優れたセルロースナノファイバーを安定して製造出来るため、パッケージ材料などの様々な分野へ応用することも可能である。
以下、本発明に基づく実施例について詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
次の製造例1〜3に、パルプのTEMPO酸化および再酸化の実施例を示す。
「製造例1」
針葉樹晒クラフトパルプ30gを蒸留水1800gに懸濁し、蒸留水200gにTEMPOを0.3g、臭化ナトリウムを3g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。
ここに2mol/l、密度1.15g/mlの次亜塩素酸ナトリウム水溶液172gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが2.85mmol/gになったところで十分量のエタノールを添加し反応を停止させた。その後、pH3になるまで塩酸を添加した後、蒸留水で十分洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。
次に、亜塩素酸ナトリウム2.72gを水85.5gに溶解させ、5Mの酢酸30mlを混合した。そこに上記酸化パルプ3gを添加し、0.5N水酸化ナトリウムでpHを4に調整し、室温で2日間攪拌した。その後十分に水洗し、再酸化パルプを得た。
「製造例2」
TEMPO酸化反応時の水酸化ナトリウム添加量を2.00mmol/gにした以外は、製造例1と同様にして酸化パルプを得た。
「製造例3」
TEMPO酸化反応時の水酸化ナトリウム添加量を4.00mmol/gにした以外は、製造例1と同様にして酸化パルプを得た。
「酸化パルプのカルボキシル基測定について」
製造例1〜3で得た酸化パルプおよび再酸化パルプを、固形分重量で0.1gだけ量り取り、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを3とした。その後0.5N水酸化ナトリウム水溶液を用いて電導度滴定法により、カルボキシル基量(mmol/g)を求めた。結果を表1に示す。
表1に示すように、上記製造によって、カルボキシル基量を1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下に設定できることが分かる。
Figure 0005440276
次に、上記製造した酸化パルプのナノファイバー化の実施例を説明する。
「実施例1」
上記製造例1の再酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10に調整した。調整した分散液をジューサーミキサーで60分間微細化処理し、1%セルロースナノファイバー水分散液を得た。
「実施例2」
pH8に調整した以外は、実施例1と同様にして1%セルロースナノファイバー水分散液を得た。
「実施例3」
pH12に調整した以外は、実施例1と同様にして1%セルロースナノファイバー水分散液を得た。
「実施例4」
再酸化パルプ2gを蒸留水98gに分散させた以外は、実施例1と同様にして2%セルロースナノファイバー水分散液を得た。
「実施例5」
製造例2を用いた以外は、実施例1と同様にして1%セルロースナノファイバー水分散液を得た。
「実施例6」
製造例3を用いた以外は、実施例1と同様にして1%セルロースナノファイバー水分散液を得た。
「比較例1」
上記製造例1の再酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、pH調整せずにジューサーミキサーで60分間微細化処理し、1%セルロースナノファイバー水分散液を得た。
「粘度平均分子量測定」
製造例1〜3、実施例1〜6および比較例1のセルロース40mgを、それぞれ0.5M銅エチレンジアミン20mlに溶解させ、オストワルド型粘度計に5ml流し入れ、その流出時間を測定し、粘度平均分子量を算出した。結果を表2に示す。
「透過率測定」
実施例1〜6および比較例1のセルロースナノファイバー分散液の透過率をUv−vis分光光度計を用いて測定した。600nmの結果を表2に示す。
「せん断粘度測定」
実施例1〜6および比較例1のセルロースナノファイバー分散液のせん断粘度を、コーンプレートを用いた回転式レオメーターで25℃、せん断速度0.01〜100s-1の範囲で測定した。1s-1の結果を表2に示す。
「形状観察 」
実施例1〜6および比較例1のセルロースナノファイバー分散液の形状観察は原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。1000倍に希釈した実施例1〜6および比較例1のセルロースナノファイバー分散液をマイカへき開面上にキャストし、乾燥させ、タッピングAFMで、セルロースナノファイバーの高さを10点計測し平均を繊維幅とした。
Figure 0005440276
表2の結果から、酸化セルロースを微細化する工程時にpHを調整することで、本発明のセルロースナノファイバーの範囲内の透過率や粘度を維持したまま、分子量を調整できることが確認できた。

Claims (5)

  1. セルロースを、酸化剤としてN−オキシル化合物を用いて改質し洗浄する改質洗浄工程と、改質された上記セルロースを分散媒に分散させ微細化する微細化工程と、を有するセルロースナノファイバーの製造方法であって、
    上記微細化工程でのpHを6以上12以下に調整し、
    上記改質洗浄工程では、系内を酸性にし、カルボキシル基の対イオンをHにして洗浄を行うことを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法。
  2. 請求項1のセルロースナノファイバーの製造方法で製造された、表面にカルボキシル基を有するセルロースナノファイバーであって、
    そのカルボキシル基量が1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下であり、且つその粘度平均分子量が30,000以上70,000以下であり、且つ短方向の平均繊維幅が1nm以上20nm以下であることを特徴とするセルロースナノファイバー。
  3. 請求項2に記載したセルロースナノファイバーの分散液であって、
    固形分が0.1%以上3%以下であり、且つ前記分散液に入射する光の強度に対する前記分散液を透過した光の強度の割合で定義される透過率が、可視域(400〜700nm)において80%以上99%以下であることを特徴とするセルロースナノファイバー分散液。
  4. せん断粘度(回転式レオメーター:25℃、1s −1 )が0.5Pa・s以上150Pa・s以下であることを特徴とする請求項3に記載のセルロースナノファイバー分散液。
  5. 請求項2に記載したセルロースナノファイバーの分散液であって、
    せん断粘度(回転式レオメーター:25℃、1s −1 )が0.5Pa・s以上150Pa・s以下であることを特徴とするセルロースナノファイバー分散液。
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