JP5438051B2 - 電子キーシステム - Google Patents

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Description

本発明は、錠前側の装置と電子キーとの間の無線キー照合を行う電子キーシステムに関する。
近年、車両には、ユーザが電子キーを携帯していれば、車両ドアに設けられたドアスイッチを操作するだけで、同車両ドアの施解錠を行うことができる電子キーシステムが搭載されている。例えば、特許文献1では、チャレンジレスポンス方式の電子キーシステムが開示されている。このシステムでは、車両から要求信号を車両ドア周辺に発信する。この要求信号には、乱数データが含まれている。電子キーは、要求信号を受信すると、乱数データの暗号演算を行い、その演算結果を含む応答信号を車両に向けて発信する。車両は、応答信号に含まれる演算結果と、車両自身の演算結果との照合を行い、この照合が成立すれば、車両ドアの施解錠を許可する。従って、この電子キーシステムを搭載した車両では、ユーザは、ポケットや鞄等から電子キーを探して取り出さなくとも、車両ドアの施解錠を行うことができる。
特開2009−235668号公報
ところで、図4に示されるように、特許文献1の電子キーシステムでは、電子キーは、要求信号の全体を受信してから暗号演算を開始していた。通常、要求信号には、乱数データの他に、車両固有の情報が含まれる。すなわち、暗号演算に必要のない情報の受信を完了するまで、暗号演算が開始されないでいた。このため、電子キーが応答信号を生成して、それを車両に向けて発信するまでに時間を要していた。その結果、電子キーが要求信号を受信してから車両ドアの施解錠が実行されるまでの時間も長くなっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、要求信号を受信してから応答信号を送信するまでにかかる時間が短い電子キーシステムを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、通信マスタに搭載されて、予め設定される通信エリアに演算対象データを含む要求信号を送信し、同要求信号に対する応答信号を受信した場合に、同応答信号に含まれる認証用データが妥当である旨判断されたときには、同じく通信マスタに搭載された作動装置を作動又は作動を許可するマスタ制御部と、ユーザに携帯される電子キーに搭載されて、前記通信マスタからの前記要求信号に含まれる前記演算対象データの演算を行い、その演算結果を前記認証用データとして含む前記応答信号を送信する電子キー制御部と、同じく前記電子キーに搭載されて、前記要求信号の受信データ量を計測する受信データ量計測部と、同じく前記電子キーに搭載されて、前記電子キー制御部における演算対象データの演算の進捗を計測する進捗計測部と、を備え、前記電子キー制御部は、前記受信データ量計測部を通じて、前記要求信号に含まれる前記演算対象データの受信が完了した旨判断したときに演算対象データの演算を開始するとともに、前記進捗計測部を通じて検出される進捗量が前記応答信号における認証用データ以外のデータの送信を開始しても、その送信中に前記演算が完了するように設定されるしきい値に達した旨判断したときに、前記応答信号の送信を開始することを要旨とする。
従来、電子キー制御部は、要求信号の受信が完了してから、同要求信号に含まれる演算対象データの演算を行っていた。このため、要求信号の受信が開始されてから応答信号の送信が完了するまでに時間を要していた。その結果、通信マスタと電子キーとの通信が開始されてから、通信マスタに搭載された作動装置が作動又は作動を許可されるまでに時間を要していた。この点、同構成によれば、要求信号の受信中に演算対象データの演算を開始する。これにより、要求信号に含まれるデータの演算の開始が従来よりも早くなる分、演算の終了についても従来よりも早くなる。従って、要求信号の受信が開始されてから演算結果を含む応答信号の送信が完了するまでの時間が短縮される。このため、通信マスタと電子キーとの通信が開始されてから、通信マスタに搭載された作動装置が作動又は作動を許可されるまでの時間が短縮される。
また、演算中に応答信号の送信を開始しても、その応答信号の送信中に演算が完了する。従って、送信中のデータに連続して演算結果を含ませた応答信号を送信することができる。これにより、要求信号の受信が開始されてから応答信号の送信が完了するまでの時間が短縮される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信マスタは、車両であって、同車両に搭載される作動装置は、車両ドアの施解錠を行うドアロック装置及び車両の走行用の駆動源であることを要旨とする。
同構成によれば、車両と電子キーとの通信が開始されてから、車両に搭載されたドアロック装置及び車両の走行用の駆動源の作動が可能とされるまでの時間が短縮される。
本発明では、要求信号を受信してから応答信号を送信するまでにかかる時間が短い電子キーシステムを提供することができる。
本実施形態の電子キーシステムの概略構成を示すブロック図。 要求信号を受信したときの電子キー制御部11の処理手順を示すフローチャート。 要求信号を受信したときの受信状況と、電子キー制御部11における演算処理及び応答信号の送信のタイミングとを示すタイムチャート。 従来の電子キーシステムにおける要求信号を受信したときの受信状況と、電子キー制御部11における演算処理及び応答信号の送信のタイミングとを示すタイムチャート。
以下、本発明にかかる電子キーシステムを具体化した一実施形態について図1〜図3に従って説明する。
図1に示されるように、電子キーシステム1は、車両2の運転者によって所持される電子キー10と、車両2に配設される車載機20とを備えている。通信マスタとしての車両2は、電子キー10との間で行われる相互無線通信が成立したことを条件に、ドア錠の施解錠及びエンジンの始動を実行又は許可する。
<電子キー>
電子キー10は、無線通信機能を有し、車載機20との相互無線通信を通じて、各種車載機器の制御を行う。電子キー10は、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータユニットによって構成された電子キー制御部11と、その電子キー制御部11に電気的に接続されてLF帯の要求信号を受信するLF受信部14と、UHF帯の応答信号を送信するUHF送信部13とを備えている。本例では、要求信号は車載機20から、応答信号は要求信号に応答して電子キー10から送信される。これら要求信号及び応答信号には、それぞれ車載機20と電子キー10との間で相互に認証するための情報が含まれる。例えば、要求信号には演算対象データとしての乱数データが、応答信号には認証用データとしての乱数データの演算結果が含まれる。
LF受信部14は、車載機20から送信されるLF帯の要求信号を受信すると、この要求信号をパルス信号に復調し、その復調された復調信号を電子キー制御部11へ出力する。
電子キー10には、車載機20との間における相互認証のための情報が記憶されている。また、電子キー制御部11には、受信した要求信号のビット数を計測する受信データ量計測部としてのビット数計測部11aと、応答信号の生成に必要とされる乱数データの暗号演算の進捗を計測する進捗計測部11bとが設けられている。
電子キー制御部11は、要求信号を受信した旨認識すると、この信号に含まれる各種データを読みとる。また、電子キー制御部11は、ビット数計測部11aの計測結果から、乱数データの受信が完了したか否かを判断する。受信が完了していれば、乱数データの暗号演算を開始する。図3に示されるように、電子キー制御部11では、乱数データの受信完了後の一定期間、要求信号(残りの部分)の受信と暗号演算とが並行して行われる。さらに、電子キー制御部11は、進捗計測部11bが計測結果から、暗号演算の進捗が、あらかじめ設定した基準より進んでいるか否か判断する。暗号演算の進捗が基準より進んでいる場合には、電子キー制御部11は、応答信号の生成及びその生成される応答信号のUHF送信部13への出力を開始する。そして、UHF送信部13はUHF帯の応答信号を車両2側へ返信する。すなわち、電子キー制御部11では、応答信号の生成及び送信と、乱数データの暗号演算とが並行して行われる。なお、図3に示されるように、応答信号は、データD3、演算結果、データD4の3部構成とされている。データD3、及びデータD4には、電子キー10と車載機20との間における相互認証のための情報等が含まれている。
<車載機>
車載機20は、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータユニットを備えて構成されている。車載機20は、図1に示されるように、各種の車載機器を制御する車載制御部21と、その車載制御部21に電気的に接続されてLF帯の要求信号を送信するLF送信部24及びUHF帯の応答信号を受信するUHF受信部23とを備えている。
また、図1に示すように、マスタ制御部としての車載制御部21には、ドアハンドルに設けられてユーザの同ドアハンドルへの接触の有無を検出するドアハンドルセンサ32と、自動で車両ドアの施解錠を行うドアロック装置34とが電気的に接続されている。さらに、車載制御部21には、エンジン始動時に操作されるエンジンスイッチ33と、車両2のエンジンの始動制御を行うエンジン制御装置35とが電気的に接続されている。これらドアロック装置34及びエンジン制御装置35は作動装置を構成する。ドアハンドルセンサ32は接触された旨示す電気信号を、エンジンスイッチ33は操作された旨示す電気信号を車載制御部21へ出力する。
車載機20には、自身に対応する電子キー10を特定するための情報、及び乱数データを生成するための情報が記憶されている。車載制御部21は、これら情報を利用して乱数データを含む要求信号を生成するとともに、この要求信号に対する応答信号を受信した際には、この応答信号が自身に対応した電子キー10のものかを判断する。なお、図3に示されるように、要求信号は、データD1、乱数データ、データD2の3部構成とされている。データD1、及びデータD2には、車載機20と電子キー10との間における照合のための情報等が含まれている。
ユーザが車両に乗車するとき等、車両2が停車且つ施錠状態において、車載制御部21は、LF送信部24から車両外側のあらかじめ設定された所定の通信エリアに向けて要求信号を送信する。UHF受信部23は、電子キー10から先の要求信号に対する応答信号を受信すると、これをパルス信号に復調し、その復調された復調信号を車載制御部21へ出力する。
車載制御部21は、UHF受信部23から応答信号の復調信号が入力されると、その復調信号に含まれる受信データを読み取る。そして、車載制御部21は、自ら生成した乱数データの演算結果及びデータD1,D2を使用して応答信号に含まれるデータ(演算結果、データD3,D4)の妥当性を判定する車外照合を行う。この車外照合が成立すると、車載制御部21は、ドアハンドルセンサ32を起動させる。この状態において、車載制御部21は、ドアハンドルセンサ32を介してユーザの操作を検出すると、ドアロック装置34を作動させる。
また、LF送信部24は、車両室内においてもあらかじめ設定された所定のエリアに向けて要求信号を送信する。車両2に搭載される図示しない駆動源としてのエンジンが停止された状態において、車載制御部21は、この要求信号を契機とした車内照合が成立した状態で、エンジンスイッチ33が操作された場合は、エンジン制御装置35を通じてエンジンを作動させる。
<相互無線通信の概略>
次に、車載制御部21と電子キー制御部11との間で行われる相互無線通信の概略について説明する。ここでは、エンジン停止状態、且つ車両ドアは施錠されているものとする。
車載制御部21は、車両周辺に設定された所定の通信エリアに間欠で要求信号を送信する。電子キー10がこの通信エリアに入り込み、要求信号を受信した電子キー制御部11は、この信号に含まれるデータD1,D2の妥当性を判定するとともに暗号演算を行い、データD1,D2が妥当である旨判定されるとき、暗号演算の結果を含む応答信号の発信を行う。このとき、電子キー制御部11は、これら照合及び暗号演算を実行しながら応答信号を生成し、これをUHF送信部13を通じて車両2に発信する。なお、電子キー制御部11における要求信号のデータ処理、及び乱数データの暗号演算、並びに応答信号の生成及び発信処理のタイミングについては後述する。
車載制御部21は、UHF受信部23を通じて電子キー10から応答信号を受信すると、これに含まれるデータ及び演算結果の妥当性の判定を行う。車載制御部21は、データが妥当である旨判定されるとき、ドアロック装置34を通じて車両ドアのロックの解錠を実行する。
<電子キーの処理動作>
次に、電子キー制御部11における要求信号のデータ処理、及び乱数データの暗号演算、並びに応答信号の生成及び発信処理のタイミングについて図2に示すフローチャートを参照して説明する。このフローチャートに示される処理は、電子キー制御部11が要求信号の受信開始を検出されたことをトリガとして実行される。なお、このフローチャートは、電子キー制御部11に予め記憶されたプログラムに従い実行される。
図2に示されるように、電子キー制御部11は、ビット数計測部11aを通じて受信した要求信号の受信ビット数Bxが、データD1の受信完了の有無の判断基準として設定されている第1の基準ビット数B1に達したか否かを判断する(ステップS1)。ステップS1においてNO、すなわち、受信ビット数Bxが第1の基準ビット数B1に達していない場合は、受信ビット数Bxが第1の基準ビット数B1に達するまでこのステップを繰り返す。ステップS1においてYES、すなわち、受信ビット数Bxが第1の基準ビット数B1に達している場合は、電子キー制御部11は、受信したデータD1から要求信号が自身に対応するものか否かを判断する(ステップS2)。なお、この照合は、要求信号の受信と並行して行われる。
ステップS2においてYES、すなわち、受信したデータD1が自身と対応するものである場合には、電子キー制御部11は、ビット数計測部11aを通じて受信した要求信号の受信ビット数Bxが、乱数データの受信完了の有無の判断基準として設定されている第2の基準ビット数B2に達したか否かを判断する(ステップS3)。ステップS3においてNO、すなわち、受信ビット数Bxが第2の基準ビット数B2に達していない場合は、受信ビット数Bxが第2の基準ビット数B2に達するまでこのステップを繰り返す。
ステップS3においてYES、すなわち、受信ビット数Bxが第2の基準ビット数B2に達している場合は、受信した乱数データの暗号演算を開始する(ステップS4)。なお、この暗号演算は、要求信号の受信と並行して行われる。そして、電子キー制御部11は、ビット数計測部11aを通じて受信した要求信号の受信ビット数Bxが、要求信号(データD2)の受信完了の有無の判断基準として設定されている第3の基準ビット数B3に達したか否かを判断する(ステップS5)。ステップS5においてNO、すなわち、受信ビット数Bxが第3の基準ビット数B3に達していない場合は、受信ビット数Bxが第3の基準ビット数B3に達するまでこのステップを繰り返す。なお、要求信号における各データの受信完了の有無の判断基準としての第1〜第3の基準ビット数B1,B2,B3は電子キー制御部11に予め記憶されている。
ステップS5においてYES、すなわち、受信ビット数Bxが第3の基準ビット数B3に達している場合には、電子キー制御部11は、進捗計測部11bを通じて、乱数データの暗号演算の進捗割合Exが、応答信号の生成及び発信を開始するタイミングであるか否かの判断基準として設定された進捗割合Esに達しているか否か判断する(ステップS6)。このしきい値としての進捗割合Esは、要求信号の受信完了と応答信号の発信開始との間の時間が短くなるように予め設定されている。なお、進捗割合Esは、電子キー制御部11に予め記憶されているとともに、百分率で設定されている(例えば50%)。進捗割合Esは、応答信号の一部(ここでは、データD3)の送信を開始しても、その送信中、あるいは、送信が完了するタイミングで乱数データの暗号演算が完了するように100%未満の値で設定される。暗号演算が終了したときに、すぐにその演算結果を応答信号に含ませられる観点で設定されている。本例では、データD3の送信が完了するタイミングで暗号演算が完了するように、進捗割合Esは、50%に設定されている。ステップS6においてNO、すなわち、乱数データの暗号演算の進捗割合Exが、所定の進捗割合Esに達していない場合は、進捗割合Exが所定の進捗割合Esに達するまでこのステップS6を繰り返す。
ステップS6においてYES、すなわち、進捗割合Exが所定の進捗割合Esに達している場合には、受信した応答信号に含まれるデータD2の妥当性を判断する(ステップS7)。ステップS7においてYES、すなわち、応答信号のデータD2が妥当である旨判定される場合には、電子キー制御部11は、応答信号のデータD3についての設定を開始する(ステップS8)。そして、電子キー制御部11は、ステップS7において設定した応答信号におけるデータD3の部分を車両2へ発信する(ステップS9)。なお、これらステップS7〜S9は、乱数データの暗号演算と並行して行われる。
次に電子キー制御部11は、乱数データの暗号演算が完了したか否か、すなわち進捗割合Exが100%であるか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10においてNO、すなわち、乱数データの暗号演算が完了していない場合は、進捗割合Exが100%となるまでこのステップS10を繰り返す。
ステップS10においてYES、すなわち、乱数データの暗号演算が完了した旨判断される場合には、電子キー制御部11は、車両2へ引き続き発信する応答信号の一部として乱数データの演算結果を設定する(ステップS11)。そして、電子キー制御部11は、データD3に引き続き応答信号の演算結果の部分を発信させる(ステップS12)。本例では、データD3の送信を完了するタイミングで暗号演算が完了するように進捗割合Esが設定されている(ここでは、50%)。このため、暗号演算の完了後、すぐに演算結果の送信が可能である。次に、電子キー制御部11は、車両2へ発信中の応答信号にデータD4を設定し、(ステップS13)この設定したデータD4を演算結果に引き続き送信される応答信号の一部として発信させ(ステップS14)、この一連の処理を終了する。
なお、ステップS2においてNO、すなわち、受信した応答信号のデータD1が、自身に対応するものでない場合、及びステップS7においてNO、すなわち、応答信号のデータD2が妥当である旨判定されない場合には、継続中の処理を停止させて(ステップS15)、この一連の処理を終了する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)電子キー制御部11は、要求信号の受信中に、同要求信号に含まれる乱数データの暗号演算を行うようにした。これにより、乱数データの暗号演算の開始は、従来あるように要求信号の受信を完了してから乱数データの暗号演算を開始する場合に比べて早くなる。従って、この乱数データの暗号演算が完了するまでの時間が早まる。このため、従来と比較して、電子キー制御部11が要求信号を受信してから応答信号を送信するまでの時間、ひいては、電子キー10と車両2との間で無線通信が開始されてから、ドアロック装置34又はエンジン制御装置35の作動が可能とされるまでの時間が短縮される。
(2)電子キー制御部11に要求信号の受信したビット数を計測できるビット数計測部11aを設けた。そして、電子キー制御部11は、受信したビット数に基づき乱数データの受信が完了したか否かを容易に判断することができる。
(3)電子キー制御部11に乱数データの暗号演算の進捗を計測する進捗計測部11bを設けた。そして、電子キー制御部11は、進捗計測部11bを通じて乱数データの暗号演算の進捗が、応答信号の一部の送信を開始しても、その送信中に乱数データの暗号演算が完了するように設定される所定のしきい値に設定された進捗割合Esに達した旨判断されるときに応答信号の送信を開始するようにした。これにより、応答信号の一部の送信中に乱数データの暗号演算が完了する。従って、送信中のデータに連続して演算結果を応答信号の一部として送信することができる。これにより、従来と比較して、要求信号の受信が開始されてから応答信号の送信が完了するまでの時間が短縮される。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、電子キー制御部11は、要求信号の受信状況をビット数計測部11aが計測したビット数で乱数データ等の受信が完了したか否かを判断したが、これ以外の計測値で、乱数データ等の受信が完了したか否かを判断することも可能である。例えば、ビット数計測部11aは要求信号の受信時間を計測するカウンタ等の計時手段を備えて構成する。この場合、電子キー制御部11は、計測手段を通じて計測される受信時間で乱数データ等の受信が完了したか否かを判断する。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、電子キー制御部11は、進捗計測部11bにより計測される乱数データの暗号演算の進捗状況の値で応答信号の送信を開始するタイミングを判断したが、これ以外の計測値で、応答信号の送信を開始するタイミングを判断することも可能である。例えば、進捗計測部11bは演算時間を計測するようにしてもよい。この場合、電子キー制御部11は、計測した演算時間で応答信号の送信を開始するタイミングを判断する。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、電子キー10が車両2との間で相互無線通信を行う電子キーシステムにおいて説明したが、電子キー10が相互無線通信を行う対象は、車両2以外であってもよい。例えば、電子キー10と住宅との間で相互無線通信を行う電子キーシステムであってもよい。この場合、玄関ドアには、ドアハンドルセンサと、ドアロック装置とを設ける。そして、相互無線通信が成立した場合に、ドアハンドルセンサにより接触が検出されるとき、ドアロック装置が作動する。このように構成した場合であっても、従来と比較して、ドアハンドルセンサが操作されて住宅と電子キー10との通信が開始されてから、ドアロック装置が作動するまでの時間が短縮される。
・上記実施形態では、電子キー10(電子キー制御部11)は、常時、要求信号を受信した場合にすぐに暗号演算及びデータの照合を行えるものとして説明したが、次のようにしてもよい。すなわち、電子キーの中には、電力の浪費を抑制するために、無線電波のみ受信可能とされ、データの処理等を行わない待機状態を有するものがある。この種の電子キーでは、車両から起動信号を受信して初めてデータの処理等を行うことのできる起動状態に移行するとともに、起動したことを示す確認信号を送信する。この後、上記実施形態と同様に、電子キーと車両との間において相互認証のための通信を行う。このような待機状態と起動状態とを有する電子キーに適用する場合は、上記実施形態における車載制御部21と電子キー制御部11との間で行われる要求信号と応答信号との相互無線通信の前に、起動信号と確認信号との相互無線通信を行うようにする。このように、上記実施形態は、待機状態と起動状態とを有する電子キーにも適用することができる。
・上記実施形態において、受信ビット数Bxが第3の基準ビット数B3に到達する時間と、進捗割合Exが所定の進捗割合Esに到達する時間とが重なる場合には、図2のフローチャートに示されるステップS6の処理を省略してもよい。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態において、進捗割合Esは、応答信号におけるデータD3の送信が完了する前に暗号演算が完了するという条件下で、0<Es<100%の範囲で自由に設定してよい。このように設定すれば、電子キー制御部11における暗号演算中に応答信号の発信が開始されるので、上記実施形態の(3)の効果と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態において、ステップS2における要求信号(データD1)が自身に対応するものか否かの判断は、ステップS7における要求信号(データD2)の判断と一緒に行ってもよい。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、要求信号(データD2)が自身に対応するものか否かの判断(ステップS7)を、応答信号(データD3)の設定前に行ったが、このタイミングに限定されるものではなく、応答信号におけるデータD4を発信する前であればよい。すなわち、ステップS6〜S12のうち何れかの直後のタイミングであればよい。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態において、ビット数計測部11a及び進捗計測部11bは、電子キー10に設けられていれば、必ずしも電子キー制御部11に設ける必要はない。
・上記実施形態において、ドアハンドルに設けられてユーザの同ドアハンドルへの接触の有無を検出するドアハンドルセンサ32は、ユーザの操作を検出するスイッチであってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項2に記載の電子キーシステムにおいて、前記要求信号は、前記通信マスタ固有の認証用データを含み、前記電子キー制御部は、前記受信データ量計測部を通じて、前記要求信号に含まれる認証用データの受信が完了した旨判断したときに、同認証用データの妥当性の判断を開始する電子キーシステム。
同構成によれば、妥当性の判断が必要とされるデータの受信が完了した時点で、その判断が開始される。これにより、要求信号の全てのデータの受信が完了してから、妥当性の判断を開始する場合に比べて、要求信号の受信が開始されてから応答信号の送信が完了するまでの時間が短縮される。
B1…第1の基準ビット数、B2…第2の基準ビット数、B3…第3の基準ビット数、Bx…受信ビット数、Es…所定の進捗割合、Ex…進捗割合、1…電子キーシステム、2…車両、10…電子キー、11…電子キー制御部、11a…ビット数計測部、11b…進捗計測部、13…UHF送信部、14…LF受信部、20…車載機、21…車載制御部、23…UHF受信部、24…LF送信部、32…ドアハンドルセンサ、33…エンジンスイッチ、34…ドアロック装置、35…エンジン制御装置。

Claims (2)

  1. 通信マスタに搭載されて、予め設定される通信エリアに演算対象データを含む要求信号を送信し、同要求信号に対する応答信号を受信した場合に、同応答信号に含まれる認証用データが妥当である旨判断されたときには、同じく通信マスタに搭載された作動装置を作動又は作動を許可するマスタ制御部と、
    ユーザに携帯される電子キーに搭載されて、前記通信マスタからの前記要求信号に含まれる前記演算対象データの演算を行い、その演算結果を前記認証用データとして含む前記応答信号を送信する電子キー制御部と、
    同じく前記電子キーに搭載されて、前記要求信号の受信データ量を計測する受信データ量計測部と、
    同じく前記電子キーに搭載されて、前記電子キー制御部における演算対象データの演算の進捗を計測する進捗計測部と、を備え、
    前記電子キー制御部は、前記受信データ量計測部を通じて、前記要求信号に含まれる前記演算対象データの受信が完了した旨判断したときに演算対象データの演算を開始するとともに、前記進捗計測部を通じて検出される進捗量が前記応答信号における認証用データ以外のデータの送信を開始しても、その送信中に前記演算が完了するように設定されるしきい値に達した旨判断したときに、前記応答信号の送信を開始する電子キーシステム。
  2. 請求項1に記載の電子キーシステムにおいて、
    前記通信マスタは、車両であって、同車両に搭載される作動装置は、車両ドアの施解錠を行うドアロック装置及び車両の走行用の駆動源であることを特徴とする電子キーシステム。
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