JP5437794B2 - ガス生成装置、ガス生成方法およびガス生成用炭素電極の製造方法 - Google Patents

ガス生成装置、ガス生成方法およびガス生成用炭素電極の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、ガス生成装置、ガス生成方法およびガス生成用炭素電極の製造方法に関する。
半導体装置製造時のクリーニングガスとして、活性の高いフッ素ガスを用いることが検討されている。また、フッ素ガスは、温暖化係数も低く、オゾン層破壊への影響も低いため、環境に優しいガスとしても注目されている。しかし、フッ素ガスは爆発する危険があるため、ガスボンベに加圧充填する際にもあまり圧をかけることができない。そのため、取り扱いが困難で、また輸送コストがかかるという問題があった。
特許文献1(特開2002−339090号公報)には、フッ素ガスをオンサイトで発生させる装置が記載されている。当該文献には、隔壁によって陽極室と陰極室に分離された電解層と、陽極室と陰極室にそれぞれガスを供給し、陽極室および陰極室内を所定の圧力に維持する圧力維持手段とを備えたフッ素ガス発生装置が記載されている。
また、特許文献2には、ガラス状炭素材からなる不溶性炭素電極が記載されている。
特開2002−339090号公報 特開平11−236693号公報
しかし、従来、電極で生成したガスが電極表面を覆うために、新たな反応が阻害されて反応効率が低下するという問題があった。とくに、陽極の電極材料として炭素を用いてフッ素ガスを生成させる場合、フッ素ガスと炭素とが反応して、電極表面でF−C結合が生成して電極表面の濡れ性が低下するため、発生したフッ素ガスにより電極表面が覆われ、新たな反応が阻害されていた。また、炭素とフッ素ガスとが反応することにより、CF等の副生成物が生成されるという問題もあった。
本発明はこうした点に鑑みてなされたもので、その目的は、電気分解により効率よくガスを生成する技術の提供にある。
(1)陽極または陰極のいずれか一方および他方である第1の炭素電極および第2の電極の間に電圧をかけて電解液を電気分解することにより前記第1の炭素電極で第1のガスを生成し、前記第2の電極で第2のガスを生成するガス生成装置であって、
前記電解液が流れる液体流路と、
前記液体流路にそれぞれ接し、前記液体流路を挟んで設けられた前記第1の炭素電極および前記第2の電極と、
前記液体流路との間に前記第1の炭素電極を挟んで設けられ、前記第1のガスを収容する第1のガス収容部と、
前記液体流路との間に前記第2の炭素電極を挟んで設けられ、前記第2のガスを収容する第2のガス収容部と
前記第1の炭素電極に形成され前記液体流路と前記第1のガス収容部を連通し、前記電解液を通過せず、一方の面において生成された前記第1のガスを他方の面に選択的に通過する複数の第1の気体微細流路と、
前記第2の電極に形成され、前記液体流路と前記第2のガス収容部を連通し、前記第2のガスを選択的に通過する複数の第2の気体微細流路と、
を含み、
前記第1のガス収容部は、不活性ガスが導入される第1のガス入口と、前記不活性ガスとともに前記第1のガスが導出される第1のガス出口と、を有する第1のガス流路であり、
前記第2のガス収容部は、不活性ガスが導入される第2のガス入口と、前記不活性ガスとともに前記第2のガスが導出される第2のガス出口と、を有する第2のガス流路であり、
前記流体流路を流れる前記電解液の圧力P と前記第1のガス流路または前記第2のガス流路を流れる気体の圧力P との差ΔP(=P −P )が、下記式(4)を満たすガス生成装置。
ΔP(=P −P )≦−4γcosθ/w (4)
(ただし、ΔPはヤング−ラプラス圧力、γは前記電解液の表面張力、θは前記電解液の接触角、wは前記第1の気体微細流路または前記第2の気体微細流路となる複数の貫通孔の開口幅を表す。)
)支持基板と、
前記支持基板上に配置された蓋基板と
を有し、
前記液体流路は、
前記支持基板に形成された第1の流路用溝と、
前記第1の流路用溝を覆う前記蓋基板と
から形成され、
前記第1のガス収容部および前記第2のガス収容部は、
前記支持基板の前記第1の流路用溝の両側方に当該第1の流路用溝と間隔を隔てて各々形成された第2の流路用溝および第3の流路用溝と、
前記第2の流路用溝および前記第3の流路用溝を覆う前記蓋基板と
から形成され、
前記第1の炭素電極は、前記支持基板の前記第1の流路用溝と前記第2の流路用溝との間にこれらに接して設けられた第1の電極設置用凹部内に設置され、
前記第2の炭素電極は、前記支持基板の前記第1の流路用溝と前記第3の流路用溝との間にこれらに接するとともに、前記第1の電極設置用凹部と対向する位置に設けられた第2の電極用凹部内に設置された()に記載のガス生成装置。
)前記第1の炭素電極は、前記第1の気体微細流路となる複数の前記貫通孔が設けられた第1の炭素板により構成され、
前記第2の炭素電極は、前記第2の気体微細流路となる複数の前記貫通孔が設けられた第2の炭素板により構成され、
前記第1の炭素電極および前記第2の炭素電極は前記液体流路を介して対向配置され、
前記第1のガス収容部は、前記第1の炭素板において前記第2の炭素電極と対向する面の裏面側に配置され、
第2のガス収容部は、前記第2の炭素板において前記第1の炭素電極と対向する面の裏面側に配置されている)に記載のガス生成装置。
)複数の前記第1の炭素電極と複数の前記第2の炭素電極とが、前記第2の炭素電極、前記第1の炭素電極、前記第1の炭素電極、前記第2の炭素電極の順で配置され、
前記第1の炭素電極と前記第2の炭素電極との間に前記液体流路が配置され、
前記第1の炭素電極と前記第1の炭素電極との間に前記第1のガス収容部が配置されている()乃至()のいずれか1つに記載のガス生成装置。
)前記電解液は、フッ化水素を含む溶融塩であって、
前記第1の炭素電極は陽極であ、前記第1の炭素電極でフッ素ガスが生成し、前記第2の炭素電極で水素ガスが生成する()乃至()のいずれか1つに記載のガス生成装置。
)陽極である第1の炭素電極と陰極である第2の電極との間に電圧をかけて電解液を電気分解することにより、前記第1の炭素電極で第1のガスを生成するガス生成装置であって、
前記電解液が流れる液体流路と、
前記液体流路を挟んで設けられ、対向する面が前記電解液に接触する前記第1の炭素電極および前記第2の電極と、
前記第1の電極の前記電解液に接触する面の裏面を囲繞するように設けられた、前記第1のガスを収容する第1のガス収容部と、
前記第2の電極の前記電解液に接触する面の裏面を囲繞するように設けられた、前記第2のガスを収容する第2のガス収容部と、
を備え、
前記気体微細流路はガス透過用貫通孔であって、
前記液体流路と前記第1のガス収容部とは前記ガス透過用貫通孔を介して連通しており、前記第1の炭素電極の前記電解液に接触する面で生成した前記第1のガスを、前記ガス透過用貫通孔を介して選択的に通過させて前記第1のガス収容部に供給するように構成されており、
前記第2の電極は、一方の面において生成された前記第2のガスを、他方の面に選択的に通過させることができる複数のガス透過用貫通孔が形成された第2の炭素電極であり、
前記液体流路と前記第2のガス収容部とは前記ガス透過用貫通孔を介して連通しており、前記第2の炭素電極の前記電解液に接触する面で生成した前記第2のガスを、前記ガス透過用貫通孔を介して選択的に通過させて前記第2のガス収容部に供給するように構成されていることを特徴とする(1)に記載のガス生成装置。
)前記第1の炭素電極および炭素材により構成された前記第2の電極により構成され、前記第1の気体微細流路および前記第2の気体微細流路それぞれガスを選択的に通過する貫通孔であって、
前記貫通孔の開口幅は1000μm以下であることを特徴とする(1)乃至()のいずれか1つに記載のガス生成装置。
)前記炭素材は、非晶質炭素からなることを特徴とする()に記載のガス生成装置。
)前記炭素材は、有機樹脂を700℃以上3200℃以下の温度で焼成して得られ、
前記有機樹脂は、芳香族ポリイミド樹脂またはアラミド樹脂を含むことを特徴とする()に記載のガス生成装置。
(1)乃至(8)のいずれか1つに記載のガス生成装置に用いられるガス生成用炭素電極の製造方法であって、
有機樹脂材料を準備する工程と、
前記有機樹脂材料を用いて、貫通孔を複数備える有機樹脂膜を調製する工程と、
700℃以上3200℃以下の温度で、前記有機樹脂膜を焼成することにより炭素材を得る工程と、
を含み、
前記有機樹脂材料が、板状またはフィルム状であることを特徴とするガス生成用炭素電極の製造方法。
10)前記貫通孔を複数備える前記有機樹脂膜を調製する前記工程において、
機械加工、エッチング、射出成形、サンドブラスト加工またはレーザ加工により前記貫通孔を形成することを特徴とする()に記載のガス生成用炭素電極の製造方法。
11(1)乃至(8)のいずれか1つに記載のガス生成装置を用いて、ガスを生成する方法であって、
前記第1の炭素電極は、炭素材により構成され、ガスを選択的に通過する開口幅が1000μm以下の貫通孔が複数設けられており、
前記液体流路に前記電解液を流す工程と、
前記第1の炭素電極および前記第2の電極の間に電圧をかけて前記電解液を電気分解し、前記第1の炭素電極で第1のガスを生成する工程と、
を含み、
前記第1のガスを生成する工程において、
前記電気分解を継続するとともに、前記第1の炭素電極で発生した前記第1のガスを前記貫通孔を介して選択的に通過させて前記第1のガス収容部に供給する工程を含む、ガス生成方法。
本発明によれば、電気分解により効率よくガスを生成することができるガス生成装置、それに用いられるガス生成用炭素電極、該炭素電極の製造方法およびガス生成方法を提供することができる。
本発明の実施の形態における電気分解セルの構成を示す模式図である。 本実施形態に係る電気分解装置の概略構成図である。 図3(a)、(b)および(c)は、本実施形態に係る電気分解装置に用いる電極の拡大平面図である。 本実施形態に係る換気ダクト付電極を用いた電気分解装置の概略構成図である。 本実施形態に係るガス放出面に気体流路を配設した電気分解装置の概略構成図である。 本実施形態に係る、対向するガス生成面をいずれも囲繞するガス収容部を備えた電気分解装置の概略構成図である。 本実施形態に係る落し蓋形状の電極を用いた電気分解装置の概略構成図である。 本実施形態に係る陽極および陰極が水平に配設された電気分解装置の概略構成図である。 本実施形態に係る陽極および陰極が水平に配設された電気分解装置の概略構成図である。 本実施形態に係る電気分解セルの(a)上面図、(b)A−A線断面図である。 本実施形態に係る電気分解セルのカソード電極の側面図である。 本実施形態に係る電気分解セルの(a)上面図、(b)A−A線断面図である。 本実施形態に係る電気分解セルの(a)上面図、(b)アノード電極の側面図である。 図13(b)のカソード電極のA−A線断面図である。 本実施形態における電気分解セルの構成を示す図である。 図15の第1の電極および第2の電極を拡大して示す部分拡大平面図である。 図15のA−A'断面図である。 図15のB−B'断面図である。 図15のC−C'断面図である。 図15に示した電気分解セルを取り付けた電気分解セル取付装置の構成を示す図である。 図15に示した電気分解セルを取り付けた電気分解セル取付装置の構成を示す図である。 実施例における電流密度の時間に対する変化量を示す図である。 比較例における電流密度の時間に対する変化量を示す図である。 実施例における電気分解セルの他の例の構成を示す模式図である。 実施例における電気分解セルの構成を示す平面図である。 図25のD−D'断面図である。 図25のE−E'断面図である。 図25の第1の電極の(a)表面と(b)裏面の模式図である。 第1の電極の気体微細流路部分を拡大して示す部分拡大図である。 実施例における電流密度の時間に対する変化量を示す図である。 実施例における電気分解セル取付装置の側面断面図である。 実施例における電気分解セル取付装置の上面断面図である。 実施例における電気分解セルの構造を示す図である。 図33のF−F'断面図である。 実施例における電気分解セルの他の例の構成を示す図である。 図36(a)〜(c)はヤング−ラプラスの式を説明する図である。 実施例で作製した孔切削加工後の樹脂板を示す平面略図である。 図で示した孔加工部の拡大略図である。 実施例で作製した電気分解セルの正面図である。 図39に示す電気分解セルのA−A断面図である。 実施例で作製した電気分解セルに用いられる通電用金属枠の平面略図である。 実施例で使用する電気分解セル実験装置の正面透視図である。 実施例で使用する電気分解セル実験装置の上面透視図である。 実施例における経過時間に対する電流密度の変化量を示すグラフである。 実施例における電気分解セル実験装置(本実験装置)の(a)平面図、(b)正面図である。 本実験装置における電気分解セルの(a)正面図、(b)そのD−D断面図である。 本実験装置における電気分解セル用の(a)電極の正面図、(b)通電用金属枠の正面図である。 実験1において、電気分解する時間と電流密度の関係を示すグラフである。 実験3において、電気分解する時間と電流密度の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
まず、本実施形態のガス生成用炭素電極を、ガス発生装置(電気分解セル)の構成を示す模式図を用いて説明する。
図1は、本実施の形態における電気分解セルの構成を示す模式図である。
電気分解セル100は、電解液114が流れる液体流路102と、液体流路102にそれぞれ接し、液体流路102を挟んで設けられたフィルム状または板状の第1の炭素電極108および第2の炭素電極110(第2の電極)と、液体流路102との間に第1の炭素電極108を挟んで設けられた第1のガス流路104(第1のガス収容部)と、液体流路102との間に第2の炭素電極110を挟んで設けられた第2のガス流路106(第2のガス収容部)とを含む。第1の炭素電極108および第2の炭素電極110として、いずれもガス生成用炭素電極を用いることができる。本実施形態においては、陰極である第2の電極に炭素電極を用いた例によって示すが、金属電極を用いることもできる。
第1の炭素電極108および第2の炭素電極110が、液体流路102と第1のガス流路104との間、および液体流路102と第2のガス流路106との間にそれぞれ配置されている。第1の炭素電極108および第2の炭素電極110には、ガスを選択的に透過し、電解液114を通過させない気体微細流路(ガス透過用貫通孔、貫通孔ともいう)112が厚さ方向に複数設けられている。ガス透過用貫通孔112を介して液体流路102と第1のガス流路104、および液体流路102と第2のガス流路106がそれぞれ連通している。
次に、本実施の形態における電気分解セル100の動作を説明する。
ここで、電解液114としてフッ化水素を含む溶融塩を用い、電気分解により陽極でフッ素ガス、陰極で水素ガスをそれぞれ生成する場合を例として説明する。
この場合、電気分解セル100では以下の式(1)〜(3)反応が起こる。
2HF → F + H (1)
陽極での反応は、以下のようになる。
2F → F + 2e (2)
また、陰極での反応は、以下のようになる。
2H + 2e → H (3)
このような構成の電気分解セル100において、液体流路102に図中左から右に溶融液である電解液114を流す。また、第1のガス流路104および第2のガス流路106には、それぞれ図中左から右にたとえば窒素ガスである不活性ガス116,118を流す。この状態で、第1の炭素電極108が陽極、第2の炭素電極110が陰極となるように第1の炭素電極108と第2の炭素電極110との間に電圧をかけ、溶融塩を電気分解する。これにより、液体流路102の電解液114に接する、第1の炭素電極108の表面ではフッ素ガスが生成し、第2の炭素電極110の表面では水素ガスが生成する。
ここで、第1の炭素電極108にはガス透過用貫通孔112が設けられているので、第1の炭素電極108表面で生成したフッ素ガスは、ガス透過用貫通孔112を通過して第1のガス流路104に移動し、不活性ガス116とともに第1のガス流路104内を図中左から右に移動する。同様に、第2の炭素電極110にはガス透過用貫通孔112が設けられているので、第2の炭素電極110表面で生成した水素ガスは、ガス透過用貫通孔112を通過して第2のガス流路106に移動し、不活性ガス118とともに、第2のガス流路106内を図中左から右に移動する。これにより、第1のガス流路104および第2のガス流路106で、生成したフッ素ガスおよび水素ガスをそれぞれ回収することができる。
このようなガス生成装置は、後述するガス生成用炭素電極を用いており、電極表面で生成したガスが速やかに電極表面から除去され、新たな電解液が電極表面に供給されるので、効率よく電気分解を行うことができる。また、それぞれの電極表面で生成したガスがガス透過用貫通孔112を通過して第1のガス流路104または第2のガス流路106に移動して分離されるので、スカート等で隔離する必要がなくなる。
<ガス生成用炭素電極>
以下、本実施形態に係るガス生成用炭素電極について説明する。
本実施形態の第1の炭素電極108と第2の炭素電極110としては、ガスを選択的に透過する気体微細流路(ガス透過用貫通孔112)が複数設けられたガス生成用炭素電極が用いられる。ガス透過用貫通孔112の位置は特に限定されず、千鳥状、格子状、斜格子状に形成されていてもよい。また、ガス透過用貫通孔112の開口形状は特に限定されず、円形、正方形を含む矩形、多角形でもよく、スリット状であっても良い。電解の安定性の観点から、ガス透過用貫通孔112の開口寸法はできるだけ均一な方が好ましい。ガス透過用貫通孔112が、ガスを選択的に通過させる点について説明する。
液体流路102を流れる電解液114の圧力Pと第1のガス流路104または第2のガス流路106を流れる気体の圧力Pとの差ΔP(=P−P)が以下のヤング−ラプラスの式(式(4))で求められるヤング−ラプラス圧力以下となるようにすることで、電解液114がガス透過用貫通孔112を通過せず、気体を選択的に通過させることができる。
ΔP(=P−P) ≦ −4γcosθ/w ・・・ (4)
(ただし、ΔPはヤング−ラプラス圧力、γは電解液114の表面張力、θは電解液114の接触角、wはガス透過用貫通孔112の幅を表す。)
図36も参照して、ヤング−ラプラスの式を説明する。図36(a)に示すように、接触角θで接する電解液114をガス透過用貫通孔112の方向に広げるのに必要な力は、−γcosθとなる。ここで、図36(b)に示すように、ガス透過用貫通孔112の開口部が、w×wの矩形形状の場合、表面張力は、電解液114と接している辺にかかる。すなわち、このときに電解液114をガス透過用貫通孔112に押し込むのに必要な力は、−4wγcosθとなる。これをガス透過用貫通孔112の面積(w)で除して圧力に換算すると、ヤング−ラプラスの式は上記のようになる。同様に、図36(c)に示すように、ガス透過用貫通孔112の開口部が、直径wの円形状の場合、電解液114をガス透過用貫通孔112に押し込むのに必要な力は、−wπγcosθとなる。これをガス透過用貫通孔112の面積(πw/4)で除して圧力に換算すると、この場合もヤング−ラプラスの式は上記のようになる。これにより、第1の炭素電極108が液体流路102と接する面、第2の炭素電極110が液体流路102と接する面にそれぞれ気液界面が形成される。
なお、ガス透過用貫通孔112がw×l(l≫w)の長方形の場合、つまり開口部の形状がスリット状である場合は、ΔP=−2γcosθ/wと表すことができる。
本実施の形態において、ガス透過用貫通孔112の開口幅wは、圧力Pおよび圧力Pが取り得る値、および電解液114の表面張力および接触角に基づき、上記式(4)が満たされるように決定される。
本実施形態において、ガス透過用貫通孔112の開口幅wは、1000μm以下とすることができる。
ガス生成用炭素電極が溶融塩の上面と略水平となるように浸漬される横型のガス生成装置の場合には、ガス透過用貫通孔112の開口幅wは、1000μm以下、好ましくは50μm以上500μm以下、さらに好ましくは100μm以上300μm以下とすることができる。
横型のガス生成装置の場合、溶融塩に浸漬させる電極の深さは浅いので、ガス透過用貫通孔112の開口幅wを大きくすることができる。そのため、電極の加工が容易になるという効果が得られる。例えば、溶融塩の表面張力が9.4×10−2N/m、溶融塩の比重が2.0g/cm、溶融塩とガス生成用炭素電極の接触角が140°としたとき、ガス透過用貫通孔112の開口幅wが1000μmであれば計算上深さ1.4cmまで浸漬することが可能となり、溶融塩がガス透過用貫通孔112内に浸入することはない。
ガス生成用炭素電極が電解液の液面と略直角となるように浸漬される縦型のガス生成装置の場合には、ガス透過用貫通孔112の開口幅wは、300μm以下、好ましくは30μm以上200μm以下、さらに好ましくは50μm以上150μm以下とすることができる。
縦型のガス生成装置の場合、電解液の液面と略直角となるように炭素電極を浸漬させるため、深さに比例して炭素電極にかかる圧力が増加する。そのため、ガス透過用貫通孔112の開口幅wを小さくする必要がある、一方で、複数の電極を平行に電解液に差し込むことで、より電極面積を増加させることができ、コンパクトな装置とすることができるという効果がある。
例えば、溶融塩の表面張力が9.4×10−2N/m、溶融塩の比重が2.0g/cm、溶融塩とガス生成用炭素電極の接触角が140°としたとき、ガス透過用貫通孔112の開口幅wが300μmであれば計算上深さ4.8cmまで溶融塩がガス透過用貫通孔112に浸入することはない。ガス透過用貫通孔112の開口幅wが小さくなるほど、電極をより深く溶融塩に浸漬することができるようになるが、貫通孔を小さくするに従い高い技術が必要となり、加工費も高くなるため限界がある。
このような構成により、ガス生成用炭素電極表面で生成したガスが、選択的にガス透過用貫通孔112を通って除去されるので、新たな電解液が電極表面に供給される。そのため、このようなガス生成用炭素電極によれば、電界性能に優れ、電気分解を効率よく行うことができる。
本実施形態において、図1に示す第1の炭素電極108および第2の炭素電極110の厚みaは3mm以下、好ましくは20μm以上1mm以下とすることができる。なお、炭素電極108および第2の炭素電極110の厚みaは同一でなくてもよい。
ガス透過用貫通孔112の対向する内壁面は、ガスの透過する方向に向かってテーパー状に拡径するように構成されていてもよい。このような構成により、溶融塩と発生ガスとの界面を良好に保つことができるので、発生ガスの分離性能に優れる。
また、本実施形態におけるガス生成用炭素電極は、非晶質炭素からなる炭素材から構成することができる。この炭素材は、ガラス状炭素材であることが好ましい。このような構成のガス生成用炭素電極を用いることにより、長時間に亘って電気分解を効率よく行うことができる。
陽極の電極材料として黒鉛を用いた場合、炭素とフッ素が反応して層状化合物を形成して電気的な絶縁性が高まり、電解性能が低下するため、比較的短期間で電極としての性能が低下する場合があった。
これに対し、非晶質炭素からなる炭素材、好ましくはガラス状炭素材を炭素電極として用いた場合、電解性能が維持され、長期間電極として使用することができる。
本実施形態のガス生成用炭素電極が非晶質炭素からなる炭素材により構成される場合、レーザーラマン法のラマンスペクトルにおいて、G1バンドの半値幅は40cm−1以上100cm−1以下である。このようにガス生成用炭素電極は、黒鉛化度の低い炭素材により構成されている。
また、本実施形態のガス生成用炭素電極が非晶質炭素からなる炭素材により構成される場合、X線回折(XRD)により、22°〜27°付近に測定される黒鉛の002面に対応するピークの半値幅が1.0°以上15.0°以下である。このようにガス生成用炭素電極は、黒鉛の積層構造に規則性が少ない乱層構造を有する炭素材により構成されている。
このようなガス生成用炭素電極を用いたガス生成装置(図1)によれば、電極表面で生成したガスが速やかに電極表面から除去されるので、ガスが電極表面を覆い滞留することなく、効率よく電気分解を行うことができる。さらに、陽極表面で生成したフッ素ガスが速やかに電極表面から除去されるので、陽極の電極材料として炭素を用いた場合でも、フッ素ガスと炭素との反応が抑えられ、新たな電解液が電極表面に供給されるので、効率よく電気分解を行うことができる。また、CF等の副生成物の生成も抑えることができる。
また、本実施形態のガス生成用炭素電極は、後述する本実施形態のガス生成装置に好適に用いることができる。
このようなガス生成用炭素電極は、以下の工程により製造することができる。
(a)有機樹脂材料を準備する工程
(b)前記有機樹脂材料を用いて、ガス透過用貫通孔を複数備える有機樹脂膜を調製する工程
(c)700℃以上3200℃以下の温度で、有機樹脂膜を焼成することにより炭素材を得る工程
以下、各工程に沿って説明する。
(有機樹脂材料を準備する工程(a))
後述する工程(b)において、機械加工、エッチング、サンドブラスト加工またはレーザ加工によりガス透過用貫通孔を複数有する有機樹脂膜を調製する場合には、板状またはフィルム状の有機樹脂材料を準備する。この場合、有機樹脂材料を別途調製することもできるし、市販品を用いることもできる。一方、工程(b)において、射出成形によりガス透過用貫通孔を複数有する有機樹脂膜を調製する場合には、有機樹脂材料として、所定の温度に加温することにより得られた流動性を備える熱硬化性樹脂を用いることができる。
有機樹脂としては、ポリイミド樹脂、感光性ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フェノール樹脂、フルフリルアルコール樹脂、フラン樹脂、ポリパラフェニレンビニレン樹脂、ポリオキサジアゾール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等を用いることができる。本実施形態においては、窒素原子を含む芳香族系樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、芳香族ポリイミド樹脂またはアラミド樹脂等を挙げることができる。窒素原子を含むことにより、焼成過程において炭化焼成が迅速に進むため好ましい。なお、窒素原子を含む樹脂を用いた場合においても、後述する工程(c)における焼成後、炭素材中に窒素が含まれていてもよい。
(ガス透過用貫通孔を複数備える有機樹脂膜を調製する工程(b))
ガス透過用貫通孔を複数備える有機樹脂膜を調製する方法としては、機械加工、エッチング、射出成形、サンドブラスト加工、レーザ加工を挙げることができる。なお、工程(c)の焼成において、ガス透過用貫通孔の開口幅が縮径する場合には、その縮径の程度を考慮してガス透過用貫通孔を形成することが好ましい。
機械加工によりガス透過用貫通孔を複数形成するには、板状またはフィルム状の有機樹脂膜の厚さ方向に、ドリル、プレス加工、マイクロインプリント等の方法により穴開け加工を施すことができる。マイクロインプリントによりガス透過用貫通孔を複数形成する場合には、金型に形成された複数の突起を,基板上に塗布した樹脂材料に押し付けて形状を転写することにより行うことができる。
エッチングによりガス透過用貫通孔を複数形成するには、まず板状またはフィルム状の有機樹脂膜の表面に、フォトレジスト膜を形成する。そして、フォトレジスト膜に所定のパターンを形成した後に、通常のエッチング方法により有機樹脂膜にガス透過用貫通孔を複数形成する。エッチング方法としては、ドライエッチングまたはウェットエッチングの何れの方法も用いることができる。エッチングによりガス透過用貫通孔を形成する場合、ガス透過用貫通孔の内壁面が裏面側に向かってテーパー状に拡径した形状とすることができる。
また、有機樹脂膜の両面からエッチングによりガス透過用貫通孔を形成することもできる。
射出成形によりガス透過用貫通孔を複数形成するには、所望の形状の金型内に流動性を有する有機樹脂材料を射出充填し、硬化させる。この方法によれば、ガス透過用貫通孔の形状を所望の形状となるように調製することができる。射出成型に用いる樹脂には、炭素微粉を混合することもできる。炭素微粉はフィラーとして働き、射出成型の際に成型性を向上させるなどの効果がある。
レーザ加工によりガス透過用貫通孔を複数形成するには、エキシマレ−ザ等を用いたレーザ加工により行うことができる。これにより、ガス透過用貫通孔の内壁面が裏面側に向かってテーパー状に拡径した形状とすることができる。
本実施形態においては、量産性の観点からエッチングによりガス透過用貫通孔を形成することが好ましい。
(700℃以上3200℃以下の温度で、有機樹脂膜を焼成することにより炭素材を得る工程(c))
本工程においては、まず、前記工程においてガス透過用貫通孔が複数形成された有機樹脂膜を所定の焼成温度となるように0.1℃/分以上30℃/分以下で、昇温する。そして、700℃以上3200℃以下、好ましくは900℃以上2000℃以下で焼成を行うことにより炭素材を得ることができる。焼成時間は、有機樹脂膜を構成する樹脂の種類やその膜厚により適宜最適な範囲が異なるが、所定の焼成温度に到達した後、30分間以上24時間以下程度である。
本工程において得られる炭素材は、非晶質炭素からなる炭素材、好ましくはガラス状炭素材として得ることができる。
また、有機樹脂膜の焼成は、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、アルゴンまたは窒素を挙げることができる。炭化焼成の観点からは、アルゴンを用いることが好ましい。また、有機樹脂膜の焼成は、0.1Pa以下に減圧して行うこともできる。
なお、焼成時における有機樹脂膜の湾曲を抑制するために、有機樹脂膜は耐熱性の補強部材により両面から狭持されていてもよい。
工程(c)における焼成により、工程(b)により作成されたガス透過用貫通孔の開口径が小さくなるので、より小さな開口径を有する電極を容易に作成することが可能となる。
その後、必要に応じて所定の形状となるように切断等を行い、本実施形態におけるガス生成用炭素電極を得ることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、本実施形態のガス生成装置においては、第1の炭素電極108および第2の炭素電極110のいずれにも本実施形態のガス生成用炭素電極を用いた例によって説明したが、少なくとも、フッ素ガスが生成する第1の炭素電極108として本実施形態のガス生成用炭素電極を用いればよい。
<ガス生成装置>
次に、本発明のガス生成装置に係る実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態のガス生成装置は、第1の炭素電極(陽極)および第2の電極(陰極)を備え、これらの間に電圧をかけて電解液を電気分解することにより陽極で第1のガスを生成することができる。
陽極には、電解液を通過せず、一方の面において生成された第1のガスを、他方の面に選択的に通過する複数の気体微細流路が形成されている。
なお、本実施形態において、陽極および/または陰極としては、前述のガス生成用炭素電極を用いることができる。
以下、第1実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本実施形態に係るガス生成装置は、電解液7に接する陽極5aおよび陰極5bを備える。
図2は本実施形態に係るガス生成装置の概略断面図である。図2に示すように、ガス生成装置は、貯留槽である電解槽70に、溶融塩を含む電解液7を満たし、その電解液7中に、直流電源に接続された電極5が浸漬している。電極5は、陽極(アノード電極)5a、陰極(カソード電極)5bとからなる。
電解槽70の一端には、気体流路入口(以下、「原材料ガス入口」ともいう)1が配設されている。原材料ガス入口1を介して、電解槽70の電解液7中に原材料ガス80が吹き込まれ、電解槽70の底部の一角から電解液7中に気泡81として導入される(バブリング)。これにより、電解液7の濃度を維持することができるとともに電解液7の濃度を均一にすることができる。なお、電解槽70は、別途、電解液7を撹拌することにより電解液7の濃度を均一にすることができる撹拌手段が設けられていてもよい。
また、電解槽70のほぼ中央の上部には仕切10が設けられている。この仕切10の両側に陽極5a、陰極5bが配設されており、電気分解の進行に伴って所望の気体が仕切10の両側において、混合することなく区別されながら得られるように構成されている。
電解槽70は、電解液7の上部空間から所望の気体を排出することができる気体流路出口(以下、「ガス出口」ともいう)2A,2Bを備える。
ガス出口2Aは、陽極5aにおいて発生した第1のガス(気泡8a,8A)を効率良く回収することができるように構成されている。ガス出口2Bは、陰極5bにおいて発生した第2のガス(気泡8b,8B)を効率良く回収することができるように構成されている。
図3は本実施形態に係るガス生成装置に用いる電極5の部分拡大平面図である。図3に示すように、電極5には直径100μmの気体微細流路(貫通孔6)が150μmピッチに60度の角度で千鳥状に規則正しく開口している。
本実施形態においては、取り扱うガスや電解液7の種類、電解槽70の形態、電解液7の撹拌方式によっては、例えば、直径が0.5〜1mm程度の貫通孔6が多数形成された構造とし、電気分解の結果発生した気泡8a,8A,8b,8Bが、この貫通孔6を通過する構成とすることもできる。
なお、陽極5a、陰極5bのいずれにおいても、ガス生成面における電極の劣化等が問題になり、速やかな気泡の除去が要求される場合は、本実施形態のように陽極5aおよび陰極5bのいずれも上記のガス生成用炭素電極を用いることができる。これに対し、一方の電極の劣化等が問題にならない場合、その電極は通常の棒状、板状あるいは、他方の電極を取り囲むような円筒状であってもよい。
本実施形態において、電解液7としては、フッ化水素を含む溶融塩を挙げることができ、原材料ガス80としては、フッ化水素ガスを用いることができる。さらにこの場合、陽極5aのガス生成面で発生する第1のガスはフッ素ガスであり、陰極5bのガス生成面で発生する第2のガスは水素ガスである。
以下に、本実施形態のガス生成装置における効果を説明する。
本実施形態におけるガス生成装置において、電極5の貫通孔6は、ガス生成面で発生した気体を選択的に通過させる。つまり、電解液7にその深さに応じた圧力(液圧)が発生した場合においても、ガス生成面からガス放出面への電解液7の流出が抑制されている。
これにより、電解液7が貫通孔6を介してガス放出面側に移動するのを抑制することができ、気泡8a,8bの移動が阻害されず、効率よく電気分解を行うことができる。
また、本実施形態のガス生成装置は、貯留槽(電解槽70)に電解液7が充填されている。
本実施形態においては、上記のような表面処理が施された電極5を用いており、ガス生成面αから気泡8a,8bを容易に除去することができるので、生成ガスによる電気分解の阻害を抑制することができる。そのため、比較的大型の装置構成とすることができ、所望のガスを効率よくかつ多量に供給することができる。
本実施形態においては、陽極5aおよび陰極5bは並行に設けられ、陽極5aのガス生成面および陰極5bのガス生成面は対向している。
これにより、ガス生成装置における面積効率が向上し、電極構造および電解槽の設計の自由度が向上する。
本実施形態において、陽極5aおよび陰極5bの少なくとも一方は、電解液7の液面に対し垂直方向に浸漬している。
これにより、ガス生成面からの気泡8a,8bの剥離が促進されるため、電極の単位面積あたりの電流密度が長時間に亘り均一なものとなる。そのため、電気分解において効率的に所望のガスを得ることができる。
本実施形態においては、原材料ガス供給部から電解液7に原材料ガス80を供給可能に構成されている。
これにより、継続して電気分解を行うことができるとともに、原材料の濃度を一定に保つことができるので効率よく所望のガスを得ることができる。
また、原材料ガス供給部から電解液7に原材料ガス80を供給する際に、電解槽70の底部から原材料ガス80をバブリングにより電解液7中に導入することができる。
そのため、電解槽70の容積不足や、陽極5a,陰極5bの間隔が狭い等の理由で、電解液7の撹拌が不完全であっても、電解槽70の内部や電極5の近傍において原材料濃度を均一にすることができ、そして電極5の表面における電流密度を均一にすることができる。これにより、効率よく電気分解を行って所望のガスを得ることができる。この際、電解槽70を局所的に加熱することによって電解液7に自然対流を起こすことが好ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るガス生成装置について、図4に沿って説明する。
図4に示すように、電極5のガス放出面βを覆い、ガス放出面βから放出された気体を収容する気体流路3A,3Bを内部に有するガス収容部(以下、換気ダクトともいう)12が設けられている。
これにより、図4に示すように、電気分解に伴ってガス生成面αで発生した気泡8a,8bが、ガス放出面βにあるガス収容部12の気体流路3A,3Bへ速やかに放出される。ガス収容部12は上部に開口部を有し、開口部から放出されたガスは気体流路出口(排出口)2A,2Bから排出され回収される。
図5は、本実施形態の他の態様のガス生成装置であり、図4に示されたガス生成装置と異なり、陽極5aと陰極5b間においてのみ電解液7が充填されている。電解槽71には、不活性ガス供給部が設けられており、気体流路入口(導入口)1A,1Bより気体流路3A,3Bに窒素やヘリウム等の不活性ガスを供給することができるように構成されている。これにより、気体流路出口(排出口)2A,2Bから生成された気体が排出され回収される。
図5のガス生成装置においては、不活性ガスに変えて、原材料ガスを陽極5aおよび/または陰極5bの貫通孔6を介して電解液7に供給されるように構成することができる。
気体を選択的に通過可能な貫通孔6を通して、原材料ガスはガス収容部12から電解液7に供給され、電解液7に溶解する。そして、電気分解によって生成された気泡8a,8bはガス生成面αからガス収容部12内に移動する。原材料ガスは電解液7に容易に溶解するので、原材料ガスが選択的に貫通孔6を通過して電解液7に溶解される。すなわち、目的生成ガスは電極5のガス生成面αからガス放出面βの向きに電極の貫通孔6を通過して分離され、原材料ガスは電極5のガス放出面βからガス生成面αの向きに、電極5の貫通孔6を通過して電解液7中に分散され、原材料が補充される。
本実施形態においては、電解液としてフッ化水素を含む溶融塩を用い、原材料ガスとしてのフッ化水素ガスを、水素ガスが発生する陰極側のガス収容部12に供給した例によって示す。
図6は、本実施形態の他の態様の電気分解装置であり、図4に示された電気分解装置と異なり、対向するガス放出面β,βをいずれも囲繞するようにガス収容部12が設けられている。ガス放出面βから放出されたガスは、ガス収容部12の気体流路3A,3Bへ速やかに放出される。ガス収容部12は上部に気体流路出口(排出口)2A,2Bを備え、気体流路出口2A,2Bから生成ガスが排出され回収される。
以下に、本実施形態のガス生成装置における効果を説明する。
本実施形態のガス生成装置は、陽極5aおよび陰極5bの少なくとも一方のガス放出面βを覆い、ガス放出面βから放出された気体を収容するガス収容部12を備える。
ガス放出面βが気体で覆われている場合、気泡8a,8bが貫通孔6を介して効果的にガス放出面β側に移動するため、電極5の劣化を抑制するとともに、生成ガスを回収する能力を高めることもできる。そのため、本実施形態のガス生成装置を、比較的大型の装置においても好ましく用いることができる。
また、本実施形態のガス生成装置は、ガス収容部12内に、不活性ガス供給部から不活性ガスを供給することにより換気可能に構成されている。
不活性ガスの供給により気体流路3A,3B内に気体の流れが形成されるので、気体8a,8bを気体流路3A,3B内へ吸引する表面張力が働く。そのため、効率よく電気分解を行うことができる。
本実施形態のガス生成装置は、陽極5aまたは陰極5bのガス収容部12にガス供給部が設けられており、該ガス供給部から供給された原材料ガスを貫通孔6を介して電解液7に供給可能に構成されている。
これにより、継続して電気分解を行うことができるとともに、原材料の濃度を一定に保つことができるので効率よく電気分解を行うことができる。
本実施形態の電気分解装置は、少なくとも2対の陽極5aおよび陰極5bを備え、陽極5aのガス放出面β同士および陰極5bのガス放出面β同士の少なくとも一方のガス放出面β同士が対向している。そして、対向する一対のガス放出面β,βのいずれも覆うガス収容部12を備える。
これにより、装置構成を簡略化することでき、電解槽の設計の自由度が向上する。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るガス生成装置について、図7に沿って説明する。
図7は、電解液7の液面に対して水平に配設されるとともに、ガス生成面が電解液7の液面に接触する陽極または陰極を備えるガス生成装置である。
図7は、貫通孔6を有する陽極52aのみが、そのガス生成面αで電解液7の液面に接触するガス生成装置の概略構成図である。なお、陰極50としては、貫通孔が形成されていない電極が用いられている。陽極52aの位置決めは、電極を電解液7液面に浮かせる方法、または液面を常時管理する方法等を挙げることができる。このような構成によれば、気泡8aを速やかに回収することができる。陰極50は、棒状や板状であってもよい。陰極50において生成される気体が電気分解を阻害しない場合、このような構成を採用することもできる。
本実施形態において、電解液7としては、フッ化水素を含む溶融塩を挙げることができ、陽極52aのガス生成面αで発生する気体はフッ素ガスであり、陰極50で発生する気体は水素ガスである。
以下に、本実施形態のガス生成装置における効果を説明する。
本実施形態のガス生成装置(図7)は、陽極52aおよび陰極50の少なくとも一方が、電解液7の液面に対して水平に配設されるとともに、ガス生成面αが電解液7の液面に接触する。
これにより、ガス放出面βの全面が気体に覆われ、気泡8aはより迅速にガス放出面β側へ移動するので、気泡8aを回収する効率を高めることができる。さらに、電解液7と接するガス生成面αの親液性が低下しても、貫通孔6を介して電解液7がガス放出面β側に移動することがないので、気相と液相との分離が容易であり、ガス回収能力は低下しない。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係るガス生成装置について、図8,図9に沿って説明する。
図8,図9に示すように、陽極5aおよび陰極5bは対向して配置されるとともに、水平に配設されている。これらの電極の間には、電解液7が充填されている。
図8のガス生成装置においては、電解槽76に設けられた気体流路入口(導入口)1Aを介してガス収容部内に原材料ガス80を供給することができ、原材料ガス80を陰極5bの貫通孔6を介して電解液7に供給されるように構成されている。なお、原材料ガス80は、陽極5aの貫通孔6を介して電解液7に供給されるように構成することもできる。
気体を選択的に通過可能な貫通孔6を通して、原材料ガス80はガス収容部から電解液7に供給され、電解液7に溶解する。そして、電気分解によって生成された気泡8aはガス生成面αからガス収容部に移動する。原材料ガス80は電解液7に容易に溶解するので、原材料ガス80が選択的に貫通孔6を通過して電解液に溶解される。すなわち、目的生成ガスは電極5のガス生成面αからガス放出面βの向きに電極の貫通孔6を通過する。一方、原材料ガス80は電極5のガス放出面βからガス生成面αの向きに、電極5の貫通孔6を通過して電解液7中に分散される。これにより、電解液7に原材料を補充することができる。
気泡8a,8bのいずれかが所望の気体である場合には、所望の気体が生成する電極の貫通孔6を介して原材料ガス80を補充せず、目的生成ガスのみを回収するように構成することができる。本実施形態においては、電解液としてフッ化水素を含む溶融塩を用い、原材料ガス80としてフッ化水素ガスを、水素ガスが発生する陰極側のガス収容部に供給した例によって示す。
図9は、図8に示されるガス生成装置において、電解液7へ原材料ガス80をバブリングするガス生成装置の概略構成図である。
図9に示すガス生成装置は、図8に沿って前述したガス生成装置において、電極5の貫通孔6を通して原材料ガス80を供給していたことに代えて、電解液7へ直接バブリングさせて供給するように構成されている。具体的には、電解槽77の気体流路入口1から電解液7に直接原材料ガス80を供給する。
陽極5aおよび陰極5bの間隔が離れている場合は、電解電圧が高くなる等の弊害が生じる場合があり、所望の電解電圧とするために陽極5aおよび陰極5bの間隔を狭くする場合がある。
陽極5aおよび陰極5bの間隔が狭くなると、これらの電極間においては加熱による対流や、バブリングによる対流が起き難くなり、電極間において電解液7の濃度が低くなり、もしくは濃度が不均一となり、電界が一定でなくなる場合がある。また、電解槽77の深さ(陽極5aと陰極5bとの距離)が、電極5の幅および面積や電解槽77の幅および面積と比較して浅い場合は、加熱による対流や、バブリングによる対流が起き難くなり、電極間において電解液7の濃度が低くなり、もしくは濃度が不均一となり、電界が一定でなくなる場合がある。この現象を解決するために、図9において、陽極5aおよび陰極5bのガス放出面βから原材料ガス80を供給する方法を採用することもできる。
以下に、本実施形態のガス生成装置における効果を説明する。
本実施形態のガス生成装置は、陽極5aまたは陰極5bのガス収容部にガス供給部が設けられており、該ガス供給部から供給された原材料ガス80を貫通孔6を介して電解液7に供給可能に構成されている。
これにより、継続して電気分解を行うことができるとともに、原材料の濃度を一定に保つことができるので効率よく電気分解を行うことができる。
なお、図9のように、電解槽77の気体流路入口1から電解液7に直接原材料ガス80を供給する構成であれば、図8の構成と比較して、原材料ガスの混入しない目的生成ガスのみを、陽極5aおよび/または陰極5bから取得することが可能である。
(第5実施形態)
第5実施形態に係るガス生成装置は、陽極のガス生成面αにおいて発生する気体が電解液7の電気分解を阻害する場合に、陽極に貫通孔6を備える通気性構造の電極を用いたものである。このガス生成装置(電気分解セル)について、図10〜14に沿って説明する。なお、本実施形態においては、電解液としてフッ化水素を含む溶融塩を用い、陽極からフッ素ガス、陰極から水素ガスが生成する例によって示す。
図10〜14は、フィルム状または板状の電気導電体の厚さ方向に多数の貫通孔が設けられた電極を陽極として用いたガス生成装置を示す。
図10は、陽極92のガス生成面αが電解液の液面に接触するように配置されるガス生成装置の概略構成図である。なお、電解液槽および電解液の図示を省略する。
図10(a)は、ガス生成装置の概略上面図であり、図10(b)は図10(a)のA−A断面図である。図11は、陰極82の平面図である。
図10(a)(b)に示すように、ガス収容部83は、陽極92のガス放出面βを覆っている。陽極92は接続部86,86を介して陰極82と電気的に接続されており、これらの電極間に電圧を印加できるように構成されている。さらに、ガス収容部83の上面には不活性ガス導入口88、ガス排出口90が設けられている。これにより、陽極92において発生したガスを回収することができる。
ガス収容部83の両脇には2つの陰極82,82が配置されている。陽極92は接続部84,84を介して陽極92と電気的に接続されており、これらの電極間に電圧を印加できるように構成されている(図11)。
図10〜11に示すガス生成装置において、陽極92のガス生成面αにて発生したガスは、貫通孔6を介してガス収容部83内に移動する。そして、不活性ガス導入口88からガス収容部83内に不活性ガスを導入し、そしてガス排出口90から不活性ガスとともに所望のガスを回収する。
一方、図10(a)に示すように、2つの陰極82、82は、陽極92の両サイドに配置され、電解液の液面に対して垂直に設置されている。陰極82は貫通孔6を有しておらず、陰極82で発生するガスはガス生成面αにおいて気泡となって成長する。そして、気泡は、所定の大きさとなるとガス生成面αから浮上し、回収される。
図12は、陽極95と陰極96が対向して並行に配置され、これらの電極間に電解液7を充填して水平に設けられているガス生成装置の概略構成図である。
図12(a)は、ガス生成装置の概略上面図であり、図12(b)は図12(a)のA−A断面図である。
図12(b)に示すように、陽極95と陰極96は対向して並行に配置され、これらの電極間に電解液7を充填して水平に設けられている。陽極95は陰極96の下方に位置する。ガス収容部94は、陽極95のガス放出面βを覆っている。ガス収容部94には不活性ガス導入口98が設けられており、図示しないガス排出口から所望のガスを回収することができるように構成されている。
ガス生成装置において、陽極95のガス生成面αにて発生したガスは、貫通孔6から表面張力によって下方に位置するガス収容部94内に移動する。そして、不活性ガス導入口98からガス収容部94に不活性ガスを導入し、そして図示しないガス排出口から不活性ガスとともに所望のガスを回収する。
一方、陰極96は、ガス生成面αが電解液に接しており、ガス生成面αで発生した気体は気体微細流路を通って、上方に抜けるように構成されている。陰極96の上面にも図示しないガス収容部が設けられており、陰極96において生成した気体を回収することができる。陰極96にて発生した気体は、浮力によって気体微細流路を通り上方に抜けるので、例えばニッケル網のような構造を使用することも可能である。
図13は、陽極99のガス放出面βのみがガス収容部に覆われているガス生成装置の概略構成図である。図13(a)は、ガス生成装置の概略上面図であり、図13(b)は図13(a)の陽極の側面図である。なお、電解液槽および電解液の図示を省略する。
図13に示すように、陽極99と陰極82は対向して並行に配置され、これらの電極は電解液面に対していずれも垂直に設けられる。図14は図13(b)に示す陽極99のA−A断面図である。図14に示すように、ガス収容部97は、陽極99のガス放出面βを覆っている。ガス収容部97には不活性ガス導入口88が設けられており、ガス排出口90から所望のガスを回収することができるように構成されている。
ガス生成装置において、陽極99のガス生成面αにて発生したガスは、貫通孔6から表面張力によってガス収容部97内に移動する。そして、不活性ガス導入口88からガス収容部97に不活性ガスを導入し、そしてガス排出口90から不活性ガスとともに所望のガスを回収する。
一方、陰極82で発生するガスはガス生成面において気泡となって成長する。そして、気泡は、所定の大きさとなるとガス生成面から浮上し、回収される。
なお、本実施形態においては、陽極に貫通孔6を備えた構造の電極を用いた例によって示したが、陰極において生成するガスが電気分解を阻害する場合には、陰極に貫通孔6を備えた構造の電極を用いこともできる。
以下に、本実施形態のガス生成装置における効果を説明する。
本実施形態のガス生成装置は、電解液の電気分解を阻害する気体が発生する電極のみ(陽極)を、貫通孔6を備える通気性構造の電極としている。これにより、他方の電極(陰極)の設計の自由度が向上し、ひいてはガス生成装置の設計の自由度が向上する。
(第6実施形態)
第6実施形態に係るガス生成装置は、支持基板(流路基板150)と、流路基板150上に配置された蓋基板152とを有する。流路基板150に形成された第1の流路用溝と、前記第1の流路用溝を覆う蓋基板152とから形成された液体流路102を備える。
第1のガス収容部104および第2のガス収容部106は、流路基板150の前記第1の流路用溝の両側方に当該第1の流路用溝と間隔を隔てて各々形成された第2の流路用溝および第3の流路用溝と、前記第2の流路用溝および前記第3の流路用溝を覆う蓋基板152とから形成される。
第1の炭素電極108は、流路基板150の第1の流路用溝と第2の流路用溝との間にこれらに接して設けられた第1の電極設置用凹部内に設置されている。第2の炭素電極110は、流路基板150の第1の流路用溝と第3の流路用溝との間にこれらに接するとともに、前記第1の電極設置用凹部と対向する位置に設けられた第2の電極設置用凹部内に設置される。
本実施形態における電気分解セルの構成を図15から図19に示す。また、図15から図19に示した電気分解セルを電気分解セル取付装置に取り付けた構成を図20および図21に示す。本実施形態では、電気分解セル100は、支持基板(流路基板150)および流路基板150上に配置された蓋基板152により構成される。以下では、電気分解セル100がマイクロリアクタである場合の例を示す。
図15は、電気分解セル100の平面図(蓋基板152を図示しない状態)を示す。図16は、図15の第1の電極108および第2の電極110を拡大して示す部分拡大平面図である。図17は、図15のA−A'断面図である。図18は、図15のB−B'断面図である。図19は、図15のC−C'断面図である。図17〜図19では、蓋基板152も含む構成を示している。
本実施例では、液体流路102、第1のガス流路104、および第2のガス流路106は、流路基板150に形成された溝(流路用溝)により構成される。また、流路基板150には、炭素基板である第1の電極108および第2の電極110をそれぞれはめ込む凹部も形成されており、第1の電極108および第2の電極110は、それぞれ凹部内にはめ込まれている。
第1の電極108および第2の電極110には、第1のガス流路104および第2のガス流路106の一部をそれぞれ構成する溝と、気体微細流路112となる複数の微細溝が形成されている。ここで、第1の電極108と第2の電極110とは、液体流路102を挟んで対向して設けられている。また、第1の電極108および第2の電極110が設けられた領域において、液体流路102、第1のガス流路104、および第2のガス流路106は、互いに略平行に設けられている。また、第1のガス流路104および第2のガス流路106の端部同士は、互いに離反するように屈曲し、流路基板150の四隅にそれぞれ位置している。
以下に、本実施形態のガス生成装置における効果を説明する。
本実施形態のガス生成装置において、電極に、気体が通過可能で電解液が通過できない複数の気体微細流路を形成し、電極の一方側に電解液が流れる液体流路102、他方側にガスを収容するガス収容部104(106)を設け、電極表面で生成したガスを気体微細流路112を介してガス収容部104(106)に収容するようにしている。
このような構成によれば、電極表面で生成したガスが速やかに電極表面から除去されるので、新たな電解液が電極表面に供給され、効率よく電気分解を行うことができる。また、電極表面で生成したガスがそのまま電極に形成された気体微細流路112を通過してガス収容部に移動して分離されるので、生成したガスが混合しないように電極間に隔壁等を設置する必要がなくなる。
本実施形態のガス生成装置において、第1の電極108および第2の電極110の間に電圧をかけて電解液114を電気分解することにより第2の電極110で第2のガスが生成される。液体流路102との間に第2の電極110を介して設けられ、第2のガスを収容する第2のガス収容部106をさらに含むことができる。第2の電極110には、気体が通過可能で電解液114が通過できない複数の気体微細流路112が形成されており、気体微細流路112を介して液体流路102と第2のガス収容部106とが連通された構成とすることができる。
このような構成によれば、それぞれの電極表面で生成したガスがそのまま電極に形成された気体微細流路112を通過して第1のガス流路104または第2のガス流路106に移動して分離されるので、スカート等で隔離する必要がなくなる。
本実施形態のガス生成装置において、第1のガス収容部104は、不活性ガスが導入されるガス入口104aと、前記不活性ガスとともに前記第1のガスが導出されるガス出口104bと、を有する第1のガス流路とすることができる。さらに、第2のガス収容部106は、不活性ガスが導入されるガス入口106aと、前記不活性ガスとともに前記第2のガスが導出されるガス出口106bと、を有する第2のガス流路とすることができる。
本実施形態のガス生成装置は、支持基板(流路基板150)と、流路基板150上に配置された蓋基板152とをさらに含むことができ、液体流路102は、流路基板150に形成された第1の流路用溝により構成することができる。第1のガス収容部104および第2のガス収容部106は、それぞれ、流路基板150の第1の流路用溝の両側方に当該第1の流路用溝と間隔を隔てて形成された第2の流路用溝および第3の流路用溝および蓋基板152により構成することができる。第1の電極108は、流路基板150の前記第1の流路用溝と前記第2の流路用溝との間にこれらに接して設けられた第1の電極設置用凹部内に設置することができ、第2の電極110は、流路基板150の前記第1の流路用溝と前記第3の流路用溝との間にこれらに接するとともに、前記第1の電極設置用凹部と対向する部分を有するように設けられた第2の電極用凹部内に設置することができる。
このような構成によれば、簡易な構成で、マイクロリアクタを構成することができる。
本実施形態のガス生成装置において、第1の電極108および第2の電極110は、それぞれ、気体微細流路112を構成する溝が形成された板状電極板により構成することができる。
本実施形態のガス生成装置において、第1の電極108および第2の電極110は、それぞれ、炭素板により構成することができる。
本実施形態のガス生成装置において、第1の電極108を、気体微細流路112となる複数の貫通孔が設けられた第1の炭素板により構成し、第2の電極110を、気体微細流路112となる複数の貫通孔が設けられた第2の炭素板により構成し、第1の電極108の表面および第2の電極110の表面を対向配置し、第1の電極108と第2の電極110との間に液体流路102を設け、第1の電極108の裏面側に第1のガス収容部104を設け、第2の電極110の裏面側に第2のガス収容部106を設けた構成とすることができる。
本実施形態のガス生成装置において、複数の第1の電極108と複数の第2の電極110とを、第2の電極110、第1の電極108、第1の電極108、第2の電極110の順で配置することができ、第1の電極108と第2の電極110との間の領域を液体流路102とし、第1の電極108と第1の電極108との間の領域を第1のガス収容部104とすることができる。
本実施形態のガス生成装置において、電解液114は、フッ化水素を含む溶融塩とすることができ、第1の電極108は陽極であって、第1の電極108でフッ素ガスが生成し、第2の電極110で水素ガスが生成することができる。
このような構成とすると、陽極である第1の電極108として炭素電極を用いるとともに、フッ素ガスを生成させるようにした場合でも、陽極表面で生成したフッ素ガスが速やかに電極表面から除去されるので、フッ素ガスと炭素との反応が抑えられる。さらに、新たな電解液が電極表面に供給されるので、効率よく電気分解を行うことができる。また、CF等の副生成物の生成も抑えることができる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例A1)
本実施例においては、図15〜19に示されるガス発生装置(電気分解セル100)を用いた。本実施例の電気分解セル100は、以下の手順で製造した。
第1の電極108と第2の電極110とは同じ構成を有するため、ここでは第1の電極108の製造手順を説明する。第2の電極110も同様に製造した。第1の電極108となる炭素板(新日本テクノカーボン社製 IMF307 1mmt)を機械加工し、12mm×10mm(r=1mm)にくりぬいた。つづいて、第1のガス流路104の一部となる溝(幅1.0mm、深さ500μm、図18の第1のガス流路104に対応する部分)と、気体微細流路112となる溝(図17の気体微細流路112に対応する部分)を加工した。気体微細流路112は、直径100μmのエンドミル(サイトウ製作所製 超硬ソリッドスクエアエンドミルAMEL−0.1×1)を用いて機械加工して形成した。ここで、気体微細流路112は、液体流路102および第1のガス流路104に対して直交する矩形溝構造とした。気体微細流路112の寸法は、幅100μm、深さ100μm、長さ400μmとし、隣接する気体微細流路112との幅が75μmとなるように一定間隔で形成した。第1の電極108が液体流路102と接する部位の長さは10mmとなるようにした。また、液体流路102と接する第1の電極108の電極面積が、0.05cmとなるようにした。
つづいて、流路基板150となるポリカーボネート板(30mm×70mm、2mmt)を機械加工し、液体流路102、ならびに液体流路102の両側方に第1のガス流路104および第2のガス流路106となる溝(それぞれ幅1.0mm、深さ500μm、図19の液体流路102、第1のガス流路104および第2のガス流路106に対応する部分)を形成した。各溝の断面が矩形となるようにした。さらに、第1の電極108および第2の電極110をはめ込むための凹部(図18の第1の電極108および第2の電極110に対応する部分)を加工した。この凹部に第1の電極108および第2の電極110をそれぞれ取り付けた。これにより、第1の電極108に形成された第1のガス流路104となる溝と流路基板150に形成された第1のガス流路104となる溝とがつながり、第1のガス流路104が形成された。同様に、第2の電極110に形成された第2のガス流路106となる溝と流路基板150に形成された第2のガス流路106となる溝とがつながり、第2のガス流路106が形成された。
次いで、蓋基板152となるポリカーボネート板(30mm×70mm、2mmt)を機械加工し、流路基板150の液体流路102、第1のガス流路104、および第2のガス流路106の末端に相当する位置に、それぞれ貫通孔を設けた。貫通孔の直径は、それぞれ1mmとした。液体流路102に設けられた貫通孔は、液体入口102aおよび液体出口102bとなる。第1のガス流路104に設けられた貫通孔は、ガス入口104aおよびガス出口104bとなる。第2のガス流路106に設けられた貫通孔は、ガス入口106aおよびガス出口106bとなる。流路基板150および蓋基板152をこの順で積層し、ビス等で固定することにより、電気分解セル100を製造した。
以上のようにして製造した電気分解セル100を図20および図21に示した電気分解セル取付装置200に取り付けた。ここでは、電解液114として、KF・2.3HF(融点約80℃)の溶融塩を用いた。
電気分解セル取付装置200は、ヒーターブロック212と、その上に形成された溶融塩流路板208とを含む。ヒーターブロック212と溶融塩流路板208との間には、セパレータ210が設けられている。ヒーターブロック212には、ロッドヒーター214と熱電対216とが挿入されている。熱電対216で温度を測定してロッドヒーター214を制御することにより温度制御が行われる。溶融塩流路板208上には、溶融塩を収容する溶融塩槽202およびギアポンプであるポンプ206が配置され、電気分解セル100が取り付けられるようになっている。溶融塩流路板208には、溶融塩槽202からポンプ206を介して電気分解セル100の液体入口102aに接続される溶融塩流路204が形成されている。
電気分解セル100を押さえ板218により押さえ、溶融塩槽202、ポンプ206および電気分解セル100を、溶融塩流路板208とセパレータ210とを挟んで、ヒーターブロック212にねじを用いて圧着した。また、ヒーターブロック212の温度を100℃に温度制御した。
この状態で、ポンプ206を用いて、溶融塩槽202から電気分解セル100の液体入口102aに溶融塩を1.0mL/minの流量で供給した。また、第1のガス流路104および第2のガス流路106にそれぞれガス入口104aおよびガス入口106aから窒素を10mL/minの流量で供給した。本実施例において、電解液114の表面張力γが94[mN/m]、接触角θが140°、気体微細流路112の幅wが100μmであるので、このとき電解液114を気体微細流路112に押し込むのに必要な圧力は、2.88[kPa]と計算される。また、電解液114にかかる圧力Pが1.03[kPa](計算値)、第1のガス流路104および第2のガス流路106の圧力Pがそれぞれ1.58×10−2[kPa](計算値)となり、電気分解セル100は、上記式(4)を満たすように構成されている。このとき、顕微鏡による観察により、電解液114が液体流路102から第1のガス流路104や第2のガス流路106に漏れていないことを確認した。また、顕微鏡による観察により、液体流路102と第1のガス流路104および第2のガス流路106との境界近傍で気液界面が形成されていることを確認した。
この状態で、第1の電極108が陽極、第2の電極110が陰極となるように、第1の電極108と第2の電極110との間に電圧をかけ6.0Vで定電圧電解した。第1の電極108および第2の電極110において、電気分解により生じた気体は、最初は各電極に付着したが、気液界面に接触するとそれぞれ速やかに第1のガス流路104および第2のガス流路106の気体と合体し消滅する様子が確認できた。
また、陽極である第1の電極108側の第1のガス流路104のガス出口104bから出てきた気体をテドラーパックに採集し、フッ素ガス検知管(株式会社ガステック社製ガス検知管No.17)を使って測定した。その結果、検知管の指示薬が白色に脱色した。これによりフッ素ガスが発生したことが確認できた。また、陰極では水素ガスを回収することができた。
本実施例における電流密度の時間に対する変化量を図22に示す。電圧印加直後は400mA/cm程度の電流密度で電流が流れ、次第に電流密度が減少したが、その後約75mA/cm程度の電流密度で安定した。
(比較例A1)
第1の電極108および第2の電極110として炭素板に気体微細流路112を形成しなかった点以外は、実施例A1と同様にした。第1の電極108と第2の電極110との間に電圧6.0Vを印加して、電流密度の時間に対する変化量を測定した。結果を図23に示す。電圧印加直後は400mA/cm程度の電流密度で電流が流れたが、次第に減少し約15秒後にはほとんど流れなくなった。この原因は、各電極で発生した気泡が電極に付着し、電極が溶融塩と接触できなくなったためと考えられる。
(実施例A2−1)
本実施例における電気分解セルの構成を図24から図29に示す。本実施例では、電気分解セル100は、第2の電極基板154、その上に配置された流路基板156、その上に配置された第1の電極基板158およびその上に配置された蓋基板160により構成される。図25は、電気分解セル100の平面図である。ここでは、構成を分かりやすくするために、流路基板156、第1の電極基板158、および蓋基板160を透過的に示している。図26は、図25のD−D'断面図である。図27は、図25のE−E'断面図である。
本実施例では、液体流路102、第1のガス流路104、および第2のガス流路106がそれぞれ異なる基板に形成されている。図26に示すように、液体流路102は流路基板156に、第1のガス流路104は第1の電極基板158に、第2のガス流路106は第2の電極基板154にそれぞれ形成されている。また、第1の電極108および第2の電極110は、それぞれ第1の電極基板158および第2の電極基板154に設けられる。図27に示すように、液体流路102は、第2の電極基板154にも設けられる。
図28は、図25の第1の電極108の表面と裏面の模式図である。第1の電極108および第2の電極110は同じ構成を有するため、ここでは第1の電極108の構成を説明する。図28(a)は、第1の電極108が液体流路102と接する面、すなわち第1の電極108が電解液114と接する面(以下表面108aという。)を示す。図28(b)は、第1の電極108が液体流路102と接する面の反対面、すなわち第1のガス流路104と接する面(以下裏面108bという。)を示す。第1の電極108には、複数の気体微細流路112が設けられている。また、第1の電極108の裏面108bには、凹部(ざぐり部)120が設けられている。
図29は、第1の電極108の気体微細流路112部分を拡大して示す部分拡大図である。気体微細流路112は、たとえば、150μmピッチで60°千鳥状に配することができる。
本実施例の電気分解セル100は、以下の手順で製造した。
第1の電極108と第2の電極110とは同じ構成を有するため、ここでは第1の電極108の製造手順を説明する。第2の電極110も同様に製造した。第1の電極108となる炭素板(新日本テクノカーボン社製 IMF307 1mmt)を機械加工し、12mm×10mm(r=1mm)にくりぬいた。つづいて、図28(b)に示した凹部120を形成した。凹部の深さは0.6mmとした。また、第1の電極108の凹部120を形成した部分に気体微細流路112となる孔を加工した。気体微細流路112は、直径100μmのドリル(サイトウ製作所製 超硬ソリッドルーマドリルADR−0.1)を用いて機械加工して形成した。気体微細流路112の寸法は、直径100μmとした。また、図29に示したように、複数の気体微細流路112を150μmピッチで60°千鳥状に配した。気体微細流路112が形成された部分と液体流路102の電解液114とが接する領域が幅1mm、長さ10mmとなるようにした。
第1の電極基板158および第2の電極基板154は同じ構成を有するため、ここでは第1の電極基板158の製造手順を説明する。第2の電極基板154もほぼ同様に製造した。第1の電極基板158となるポリカーボネート板(30mm×100mm、2mmt)を機械加工し、第1の電極108をはめ込むための凹部を形成した。また、第1の電極基板158に、第1の電極108の凹部120とつながる第1のガス流路104を形成した。気体微細流路112と接する部分の第1のガス流路104の寸法は、幅1.0mm、長さ10mm、深さ600μmであった。なお、第2の電極基板154には、液体流路102となる接続孔を形成した。
つづいて、流路基板156となるポリカーボネート板(30mm×70mm、1mmt)を機械加工し、液体流路102を形成した。液体流路102の両末端は、第2の電極基板154に形成された貫通孔を通じて液体入口102aおよび液体出口102bにそれぞれ接続している。貫通孔の直径は、それぞれ1mmとした。
次いで、蓋基板160となるポリカーボネート板(30mm×70mm、2mmt)を機械加工し、第1の電極基板158の第1のガス流路104の両末端に相当する位置にそれぞれ貫通孔を形成した。貫通孔の直径は、それぞれ1mmとした。第2の電極基板154、流路基板156、第1の電極基板158、および蓋基板160をこの順で積層してビス等で固定することにより、電気分解セル100を製造した。
以上のようにして製造した電気分解セル100を実施例A1で図20および図21を参照して説明したのと同様の電気分解セル取付装置200に取り付け、電解液を電気分解することによりガスを生成させた。ここでは、電解液114として、KF・2.3HF(融点 約80℃)の溶融塩を用いた。
電気分解セル100を押さえ板218により押さえ、溶融塩槽202、ポンプ206および電気分解セル100を、溶融塩流路板208とセパレータ210とを挟んで、ヒーターブロック212にねじを用いて圧着した。また、ヒーターブロック212の温度を100℃に温度制御した。
この状態で、ポンプ206を用いて、溶融塩槽202から電気分解セル100の液体入口102aに溶融塩を1.0mL/minの流量で供給した。また、第1のガス流路104および第2のガス流路106にそれぞれガス入口104aおよびガス入口106aから窒素を10mL/minの流量で供給した。本実施例において、電解液114の表面張力γが94[mN/m]、接触角θが140°、気体微細流路112の幅(直径)wが100μmであるので、このとき電解液114を気体微細流路112に押し込むのに必要な圧力は、2.88[kPa]と計算される。また、電解液114にかかる圧力Pが0.48[kPa](計算値)、第1のガス流路104および第2のガス流路106の圧力Pがそれぞれ1.58×10−2[kPa](計算値)となり、電気分解セル100は、上記式(4)を満たすように構成されている。このとき、電解液114が液体流路102から第1のガス流路104や第2のガス流路106に漏れていないことを確認した。
この状態で、第1の電極108が陽極、第2の電極110が陰極となるように、第1の電極108と第2の電極110との間に電圧をかけ、7.0Vで定電圧電解した。第1の電極108と第2の電極110から生じた気体の様子は、電極配置の関係から観察することができなかった。しかし、陽極である第1の電極108側の第1のガス流路104のガス出口104bから出てきた気体をテドラーパックに採集し、フッ素ガス検知管(株式会社ガステック社製ガス検知管No.17)を使って測定した。その結果、検知管の指示薬が白色に脱色した。これによりフッ素ガスが発生したことが確認できた。
本実施例における電流密度の時間に対する変化量を、図30中の(a)に示す。安定時の平均電流密度は約150mA/cmであった。
(実施例A2−2)
第1の電極108および第2の電極110の気体微細流路112をレーザー(YAG4次高調波)を用いて加工した以外は、実施例A2−1と同様にした。レーザーで加工した気体微細流路112の寸法は、電解液に接する面(図28(a)の表面108a)では直径約20μm、反対面(図28(b)の裏面108b)では直径約5μmで、50μmピッチであった。
電気分解セル100を電気分解セル取付装置200に取り付け、ヒーターブロック212の温度を100℃に温度制御した。この状態で、ポンプ206を用いて、溶融塩槽202から電気分解セル100の液体入口102aに溶融塩を1.0mL/minの流量で供給した。また、第1のガス流路104および第2のガス流路106にそれぞれガス入口104aおよびガス入口106aから窒素を10mL/minの流量で供給した。本実施例において、電解液114の表面張力γが94[mN/m]、接触角θが140°、気体微細流路112の幅(直径)wが20μmであるので、このとき電解液114を気体微細流路112に押し込むのに必要な圧力は、14.40[kPa]と計算される。また、電解液114にかかる圧力Pが0.48[kPa](計算値)、第1のガス流路104および第2のガス流路106の圧力Pがそれぞれ1.58×10−2[kPa](計算値)となり、電気分解セル100は、上記式(4)を満たすように構成されている。
実施例A2−1と同様に、第1の電極108と第2の電極110との間に電圧をかけ、7.0Vで定電圧電解した。第1の電極108と第2の電極110から生じた気体の様子は、電極配置の関係から観察することができなかった。しかし、陽極である第1の電極108側の第1のガス流路104のガス出口104bから出てきた気体をテドラーパックに採集し、フッ素ガス検知管(株式会社ガステック社製ガス検知管No.17)を使って測定したところ、検知管の指示薬が白色に脱色した。これによりフッ素ガスが発生したことが確認できた。また、本実施例における電流密度の時間に対する変化量を、図30中の(b)に示す。安定時の平均電流密度は約50mA/cmであった。
(実施例A2−3)
第1の電極108および第2の電極110の気体微細流路112の直径を50μmとし、ピッチを100μmとした以外は、実施例A2−1と同様にした。
電気分解セル100を電気分解セル取付装置200に取り付け、ヒーターブロック212の温度を100℃に温度制御した。この状態で、ポンプ206を用いて、溶融塩槽202から電気分解セル100の液体入口102aに溶融塩を1.0mL/minの流量で供給した。また、第1のガス流路104および第2のガス流路106にそれぞれガス入口104aおよびガス入口106aから窒素を10mL/minの流量で供給した。本実施例において、電解液114の表面張力γが94[mN/m]、接触角θが140°、気体微細流路112の幅(直径)wが50μmであるので、このとき電解液114を気体微細流路112に押し込むのに必要な圧力は、5.76[kPa]と計算される。また、電解液114にかかる圧力Pが0.48[kPa](計算値)、第1のガス流路104および第2のガス流路106の圧力Pがそれぞれ1.58×10−2[kPa](計算値)となり、電気分解セル100は、上記式(4)を満たすように構成されている。
実施例A2−1と同様に、第1の電極108と第2の電極110との間に電圧をかけ、7.0Vで定電圧電解した。第1の電極108と第2の電極110から生じた気体の様子は、電極配置の関係から観察することができなかった。しかし、陽極である第1の電極108側の第1のガス流路104のガス出口104bから出てきた気体をテドラーパックに採集し、フッ素ガス検知管(株式会社ガステック社製ガス検知管No.17)を使って測定したところ、検知管の指示薬が白色に脱色した。これによりフッ素ガスが発生したことが確認できた。また、本実施例における電流密度の時間に対する変化量を、図30中の(c)に示す。安定時の平均電流密度は約70mA/cmであった。
(実施例A3)
本実施例における電気分解セルの構成を図31から図35に示す。図31および図32は、複数の電気分解セルが取り付けられた電気分解セル取付装置の構成を示す図である。図31は、電気分解セル取付装置200の側面断面図、図32は、電気分解セル取付装置200の上面断面図である。
電気分解セル取付装置200は、第1の室232、第2の室234、および第3の室236に分割された溶融塩タンク230を含む。第2の室234には、3つの電気分解セル300a、電気分解セル300b、および電気分解セル300cが取り付けられる。第2の室234には、スリットが形成されており、このスリットに沿って電気分解セル300a〜300cを挿入する。第3の室236には、水電解用のニッケル電極による電極板238および電極板240と、HFガスを供給するための導入管245とが設けられている。第1の室232と第3の室236とは、ポンプ206を介して溶融塩流路204で接続されている。電気分解セル取付装置200の構成は後述する。
本実施例において、電気分解セルは、開口窓が設けられた容器と、当該開口窓を覆うように設けられた炭素板電極とにより構成される。炭素板電極には、気体微細流路112となる複数の貫通孔が設けられる。これにより、容器外から炭素板電極表面に電解液114を供給し、電気分解を行うことにより、炭素板電極表面で生成したガスが容器内に取り込まれるようにすることができる。すなわち、第1の電極108および第2の電極110をそれぞれ気体微細流路112となる複数の貫通孔が設けられた第1の炭素板および第2の炭素板により構成し、第1の炭素板の表面および第2の炭素板の表面を対向配置し、第1の炭素板と第2の炭素板との間に液体流路を設け、第1の炭素板の裏面側に容器である第1のガス収容部を設け、第2の炭素板の裏面側に容器である第2のガス収容部を設けるようにすることができる。
電気分解セル300bは、炭素板電極である第2の電極110を6枚備えた構成とした。各炭素板電極には、図29を参照して説明したのと同様の複数の貫通孔である複数の気体微細流路112が形成された構成とした。また、電気分解セル300aおよび電気分解セル300cは、同様の炭素板電極である第1の電極108を3枚備えた構成とした。電気分解セル300a〜300cは、電気分解セル300bの第2の電極110と、電気分解セル300aの第1の電極108、および電気分解セル300cの第1の電極108とがそれぞれ対向するように第2の室234内に配置される。
図33および図34は、図31および図32に示した3つの電気分解セル300a〜300cのうち、中心に取り付けられた電気分解セル300bの構造を示す図である。図34は、図33のF−F'断面図である。図34に示すように、電気分解セル300bは、電気分解セル取付装置200に取り付けられたときにそれぞれ電気分解セル300aと電気分解セル300cの第1の電極108と対向するように、両面に第2の電極110が形成された構造を有する。電気分解セル300bは、凹部164aが設けられたセル容器164と、第2の電極110を取り付ける窓162aが設けられた電極押さえ板162と、第2の電極110に電気を通電するための通電用金属枠122と、通電用のワイヤ124とを含む。電極押さえ板162は、ビス166により、セル容器164に取り付けられる。また、セル容器164の上部にはそれぞれテフロン(登録商標)ジョイント126を介してテフロン管128およびテフロン管130が取り付けられている。テフロン管128およびテフロン管130には、それぞれ三方弁132が取り付けられている。ここでは、テフロン管130からガスが流入し、テフロン管128からガスが流出するようになっている。このような構成において、セル容器164内の空間が第2のガス流路106となる。
本実施例の電気分解セルは、以下の手順で製造した。以下では、例として電気分解セル300bの製造手順を示す。
第2の電極110として炭素板(東海カーボン社製 G348 1mmt)を機械加工し、24mm×14mm(r=1mm)にくりぬいた。つづいて、炭素板をざぐり、凹部(10mm×20mm、深さが0.6mm)を形成した。また、炭素板の凹部を形成した部分に気体微細流路112となる孔を加工した。気体微細流路112は、直径100μmのドリル(サイトウ製作所製 超硬ソリッドルーマドリルADR−0.1)を用いて機械加工して形成した。気体微細流路112の寸法は、直径100μmとした。本実施例でも、図29に示したように、複数の気体微細流路112を150μmピッチで60°千鳥状に配した。気体微細流路112が形成された部分と電解液114とが接する領域が10mm×20mmとなるようにした。このような炭素板を6枚準備した。
また、Ni板を機械切削加工し、24mm×14mm×2mmt(r=1mm)の大きさに加工し、20mm×10mm(r=0.5mm)のくり貫きを設け、通電用金属枠122を作成した。
また、電極押さえ板162となるPTFE板(50mm×70mm、1mmt)を機械加工し、第2の電極110をはめ込む凹部と、第2の電極110と電解液114とが接触できる窓162aを3個形成した。このような電極押さえ板162を2枚準備した。
セル容器164となるPTFE板(50mm×70mm、10mmt)を機械加工し、第1のガス流路104となる凹部164aを形成した。ここで、凹部164aの深さは10mmとした。また、通電用金属枠122をはめ込む凹部を形成し、通電用金属枠122をはめ込んだ。通電用金属枠122には、ワイヤ124として直径0.5mmのNiワイヤを接続した。セル容器164の通電用金属枠122に第2の電極110を重ね、電極押さえ板162で押さえた。もう一方の面にも同様に通電用金属枠122および電極押さえ板162を設けた。セル容器164の上部に、2つのテフロンジョイント126を接続し、さらにそれぞれのテフロンジョイント126にテフロン管128およびテフロン管130を接続した。テフロン管128にはワイヤ124を通して、セル外部の直流電源と接続できるようにした。
電気分解セル300aおよび電気分解セル300cは、一方の面にのみ第1の電極108が形成されているという点を除いて、電気分解セル300bと同様に製造した。
以上のようにして製造した電気分解セル300a〜300bを電気分解セル取付装置200に取り付けた。電気分解セル取付装置200におけるガス生成のメカニズムを図31および図32も参照して以下で説明する。ここでは、電解液114として、KF・2.3HF(融点 約80℃)の溶融塩を用いる。なお、図示していないが、溶融塩タンク230はセパレータ等を挟んでヒーターブロック上に配置される。ヒーターブロック212の温度を100℃に温度制御した。
第1の室232に電解液114がたまると、第1の室232と第2の室234との間の堰244をこえて、電解液114が、第2の室234の上から注ぎ入れられる。このとき第1の室と第2の室を隔てる堰244によってその液面が保たれる。第2の室234に流れ込んだ電解液114は、電気分解セル間の隙間を落下するようにして流れる。すなわち、本実施例では、電気分解セル間の隙間および電気分解セルの下部分が液体流路102となる。対向した第1の電極108と第2の電極110との間に、第1の電極108を陽極、第2の電極110を陰極として電圧を印加することにより、これらの間で電気分解が行われる。ここで、電解液114は、電気分解を行なうのに充分なHF濃度を備えた溶融塩とすることができる。また、電解液114が絶えず電極表面を流れるので電気分解を行なった際に新鮮なHFを供給することができる。第1の電極108表面で生成した第1のガス116は第1の電極108に設けられた気体微細流路112を通過して電気分解セル300aおよび電気分解セル300c内に取り込まれる。また、第2の電極110表面で生成した第2のガス118は第2の電極110に設けられた気体微細流路112を通過して電気分解セル300c内に取り込まれる。テフロン管130から窒素ガス等を導入することにより、第1のガス116および第2のガス118をそれぞれの電気分解セルのテフロン管128から取り出すことができる。
第2の室234の下方に流れ落ちた電解液114は、第2の室234と第3の室236との間に設けられた排出口242から第3の室236に流入する。第3の室236において、電極板238および電極板240により、溶融塩に含まれるHFの量が常時監視される。電極板238と電極板240との間には、常に5V以下の電圧が印加されており、溶融塩の液面レベルを監視している。溶融塩の液面レベルが下がると第3の室236に導入管245を通して無水HFガスを供給し、一定レベル液面になった時点で無水HFの供給を停止することによりHFの濃度を一定に維持することができる。第3の室236に流れ込んだ電解液114は、溶融塩タンク230外に排出されるが、ポンプ206によって再び第1の室232に供給される。
以上のような構成の電気分解セル取付装置200において、ポンプ206を用いて、第3の室236から電解液114である溶融塩を300mL/minの流量で供給した。また、電気分解セル300a、電気分解セル300b、および電気分解セル300cにそれぞれ取り付けられたテフロン管130には、窒素を100mL/minの流量で供給した。
本実施例において、電解液114の表面張力γが94[mN/m]、接触角θが140°、気体微細流路112の幅(直径)wが100μmであるので、このとき電解液114を気体微細流路112に押し込むのに必要な圧力は、2.88[kPa]と計算される。また、電極最下部では電解液の深さ4cmに位置するので、電極最下部にかかる圧力Pは0.80[kPa](計算値)、第1のガス流路104および第2のガス流路106の圧力Pがそれぞれ6.68×10−3[kPa](計算値)となり、電気分解セル300は、上記式(4)を満たすように構成されている。このとき、電解液114が第1のガス流路104や第2のガス流路106に漏れていないことを確認した。
このような状態で、第1の電極108が陽極、第2の電極110が陰極となるように、第1の電極108と第2の電極110との間に電圧をかけ電気分解を行った。テフロン管128から各電気分解セルで生成したガスを採集して分析を行なった。この結果、電気分解セル300aおよび電気分解セル300cでフッ素ガスが発生したことが確認できた。
本実施例では、電解液114を巡回させるとともに第3の室236でHFが供給されるので、溶融塩中のHF濃度を電気分解を行なうために充分高く維持できる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
また、以上の実施の形態では、フッ化水素の電気分解反応を生じさせるための物質としてフッ化水素を含むフッ化カリウム溶融塩を用いる例を示したが、たとえば、フッ化セシウム溶融塩等の他の物質や、上記溶融塩に添加剤としてフッ化リチウムなどを添加して用いてもよい。また、以上の実施の形態では、陽極でフッ素ガス、陰極で水素ガスが生成される例を示したが、本発明のガス生成装置は、電気分解により、たとえば三フッ化窒素、塩素、酸素、アルシン等、他のガスを生成するのに用いることもできる。
以上の実施の形態においては、基板をポリカーボネート板により構成し、電極を炭素板により構成する例を示した。しかし、他の例において、基板をシリコンにより構成し、シリコン基板に流路となる溝や、電極の気体微細流路112となる溝を形成し、電極部分にスパッタリングや蒸着等の薄膜技術等により成膜した薄膜金属をマイクロマシン技術によりパターンニングするか、またはシリコンに不純物をドープする等してガス生成装置を形成することもできる。
さらに、以上の実施の形態においては、液体流路102、第1のガス流路104、および第2のガス流路106がそれぞれ1つずつ設けられた構成を示したが、これらを複数設けた構成とすることもできる。図24に、液体流路102およびその液体流路102を挟んで設けられた一組の第1の電極108および第2の電極110をセットとして、このセットを3つ設けた例を示す。このような構成において、第1のガス流路104は、2つの第1の電極108で共有することができる。また、第2のガス流路106も、2つの第2の電極110で共有することができる。すなわち、複数の第1の電極と複数の第2の電極とを、第2の電極、第1の電極、第1の電極、第2の電極の順で配置し、第1の電極と第2の電極との間の領域を液体流路とし、第1の電極と第1の電極との間の領域を第1のガス収容部とすることができる。
また、実施例A3で示した構成においても、図35に示すように、溶融塩タンク230内にさらに多数の電気分解セルを設けた構成とすることができる。
(実施例B1)
以下のようにして、ガス生成用炭素電極を用いた電気分解セルの実験装置を作製するとともに電気分解実験を行った。
なお、図37は、実施例B1で作製した孔切削加工後の樹脂板を示す平面略図である。図38は、図37で示した孔加工部401の拡大略図である。図39は、実施例B1で作製した電気分解セルを示す正面図である。図40は、図39に示すA−A断面図である。図41は、実施例B1で作製した電気分解セルに使用する、通電用金属枠505の平面略図である。図42は、実施例B1で使用する電気分解セル実験装置の正面透視図である。図43は、実施例B1で使用する電気分解セル実験装置の上面透視図である。
(1)図37,38に示したように、ポリイミド板400(宇部興産製 UPLEX ADシート 20mm×20mm,0.5mmt)の中央部の孔加工部401(14mm×14mm)に、直径100μmのドリル(サイトウ製作所製 超硬ソリッドルーマドリルADR−0.1)を用いて、図38に示したように複数の微細孔(ガス透過用貫通孔)402を200μmピッチで60°千鳥状に穴あけ加工をした。
(2)(1)で作成した多孔加工されたポリイミド板400を、焼成時で湾曲変形を抑制するため、2枚の黒鉛板(150mm×150mm×30mm)に挟んで、オーブンに入れた。アルゴンで十分置換し、アルゴン気流下(1L/分)で加熱昇温し、1時間かけて1500℃に昇温した。その温度で1時間保って焼成した後、加熱を停止し自然冷却し、200℃まで冷却してから取り出し、多孔電極(ガス生成用炭素電極)403を完成した。
多孔電極403の大きさは20%程度収縮しており、同時に孔直径も同程度収縮しており約80μmとなっていた。また、厚み方向にも収縮しており、厚さは430μmであった。この多孔電極403のラマンスペクトルのG1バンドの半値幅は58cm−1であり、XRD測定での22°〜27°付近に測定されるピークの半値幅は7.8°であり、四端子法で測定した体積抵抗率は、6.5×10μΩcmであった。
ラマンスペクトルは、測定装置としてJRS-SYSTEM 2000(RENISHAW社製 顕微ラマンシステム)を用い、レーザー波長532nm、レーザーパワー100%、グレーティング1800L/mm、対物レンズ50倍、測定時間30秒、積算回数3回の条件で測定した。測定スペクトルをガウス関数を使ってカーブフィッティングし、1610cm−1近傍のピークをG1バンドとした。G1バンドの半値幅が小さいほど黒鉛化度が高く、反対に半値幅が大きいほど黒鉛化度が低いとされる。
XRD測定は、測定装置にはRINT−1500(理学社製)を用い、X線はCu K−α線、印加電圧は50kV、印加電流は200mA、スキャンスピードは4°/分、スキャンステップ0.2°の条件で行った。22°〜27°付近に測定されるピークの半値幅から、黒鉛化度を評価した。22°〜27°付近に測定されるピークは、黒鉛の002面由来であり、このピークの半値幅が狭いほど、高度に配向された黒鉛とみなされ、通常の黒鉛材の測定結果は1.0°以下である。反対に、黒鉛層が小さかったり、黒鉛層の規則性が低下したりすれば、半値幅は大きくなる。
(3)(2)で作成した多孔電極403を、図39に示した電気分解セルに設置し、KF・2HF溶融塩の電気分解実験を行った。電気分解セルは、フッ素樹脂(PTFE)を機械加工して作成した。図40に示すように、電気分解セルには、多孔電極403の裏側に空間509が設けられている。
多孔電極403は、押さえ板504と通電用金属枠505に挟み込み、押さえ板504を介してフッ素樹脂製ボルトにより電気分解セル本体508に押さえつけられ、通電を確保している。押さえ板504には、多孔電極103がKF・2HF溶融塩と接触するための窓510(10mm×10mm)が開けられており、このときの電極面積は1cmとなる。
通電用金属枠505は、図41に示したように、電極と溶融塩が接触する中央部に10mm×10mmの窓が開けられており、発生したガスを空間509に逃がすことが可能な構造となっている。また、通電用金属枠505には、通電用ワイヤー506が接続されており、通電用ワイヤー506は外部に設置した直流電源装置と接続されている。
電気分解セル本体508には、窒素ガス供給用管501とガス排出用管502がフッ素樹脂製コネクタ507を使って接続されており、両管ともに電気分解セル本体508にあけられた貫通穴503を通じて、電極裏側の空間509と通じている。窒素ガス導入口1Aより導入された窒素ガスは、貫通穴503を通って、電極裏側の空間509に通じ、電極で発生したガスを伴って、導出口1Bより系外に排出される。
(4)図39に示した電気分解セルは、図42に示した電気分解セル実験装置に組み込まれている。電気分解セル実験装置は、溶融塩518を蓄える槽515と、蓋516に大きく分けられる。
電気分解セルは蓋516にフッ素樹脂製コネクタ507を介して設置されており、窒素ガス供給用管501とガス排出用管502が、電気分解セル実験装置外部に通じている。電気分解セル実験装置の蓋516には、フッ素樹脂製コネクタ507を介して、φ6mmのニッケル棒からなるカソード電極511と、熱電対514、窒素ガス供給用管512、ガス排出用管513が設置されている。窒素ガス導入口2Aより導入された窒素ガスは、多孔電極403で発生したガスを伴って、導出口2Bより系外に排出される。電気分解セルの電極面とカソード電極511の最短部の距離は30mmであった。KF・2HF溶融塩518を、電極の最深部より30mm上のライン517まで入れて実験した。
(5)(4)で作成した電気分解セル実験装置を、100℃に調整したオイルバスに浸し、窒素ガス供給用管501と512に窒素ガスを10mL/minの流速で流通させ、通電用ワイヤー506を直流電源の陽極にカソード電極511を陰極に接続し、電気分解実験を行った。
作製した電気分解セル実験装置に、7Vの直流電流を印加して実験したところ、5日以上安定して電気分解が継続した。導出口1Bから出た気体をテドラーパックに採集し、フッ素ガス検知管(株式会社ガステック社製ガス検知管No.17)を使って測定したところ、検知管の指示薬が白色に脱色しフッ素ガスが発生したことを確認した。このときの電流密度の時間に対する変化量を示すグラフを図44に示す。安定時の平均電流密度は約30mA/cmであった。
(実施例B2)
多孔電極403の焼成温度を1300℃に変えた以外は、実施例B1と同様に実験した。この多孔電極403のラマンスペクトルのG1バンドの半値幅は62cm−1であり、XRD測定で22°〜27°付近に測定されるピークの半値幅は7.4°であり、四端子法で測定した体積抵抗率は、4.7×10μΩcmであった。7Vの直流電流を印加して実験したところ、平均電流密度5mA/cmで1日以上安定して流れた。電気分解開始直後に、導出口1Bから出た気体をテドラーパックに採集し、フッ素ガス検知管(株式会社ガステック社製ガス検知管No.17)を使って測定したところ、検知管の指示薬が白色に脱色しフッ素ガスが発生したことを確認した。
(実施例B3)
多孔電極403の焼成条件において1300℃に達する時間を5時間に変えた以外は、実施例B2と同様に実験した。この多孔電極403のラマンスペクトルのG1バンドの半値幅は61cm−1であり、XRD測定で22°〜27°付近に測定されるピークの半値幅は7.3°であり、四端子法で測定した体積抵抗率は、4.7×10μΩcmであった。7Vの直流電流を印加して実験したところ、平均電流密度15mA/cmで一日以上安定して流れた。電気分解開始直後に、導出口1Bから出た気体をテドラーパックに採集し、フッ素ガス検知管(株式会社ガステック社製ガス検知管No.17)を使って測定したところ、検知管の指示薬が白色に脱色しフッ素ガスが発生したことを確認した。
(実施例B4)
多孔電極403の焼成条件において1300℃に達してから5時間その温度で保持した以外は、実施例B2と同様に実験した。この多孔電極403のラマンスペクトルのG1バンドの半値幅は60cm−1であり、XRD測定で22°〜27°付近に測定されるピークの半値幅は7.4°であり、四端子法で測定した体積抵抗率は、4.5×10μΩcmであった。7Vの直流電流を印加して実験したところ、平均電流密度10mA/cmで1日以上安定して流れた。電気分解開始直後に、導出口1Bから出た気体をテドラーパックに採集し、フッ素ガス検知管(株式会社ガステック社製ガス検知管No.17)を使って測定したところ、検知管の指示薬が白色に脱色しフッ素ガスが発生したことを確認した。
(比較例B1)
穴あけ加工をせずに実施例B1と同様に焼成した炭素板を、多孔電極403の代わりに用いた以外は、実施例B1と同様に実験した。この炭素板のラマンスペクトルのG1バンドの半値幅は57cm−1であり、XRD測定で22°〜27°付近に測定されるピークの半値幅は7.5°であり、四端子法で測定した体積抵抗率は、6.8×10μΩcmであった。7Vの直流電流を印加して実験したところ、電解初期は約200mA/cmの電流密度で電流が流れたが、1時間後にはほとんど電流が流れなくなった。
(実施例C1)
以下に、図45〜図47に沿って、電気分解セル実験装置(以下、「本実験装置」という)による実験結果を説明する。
図45(a)は本実験装置の上面図、図45(b)は正面図である。
図45(a)、図45(b)に示す電気分解セル実験装置は、溶融塩槽35の中央部に電気分解セルEを組み込んで電気分解の実験を行なう装置である。溶融塩槽35は図示する便宜上、内部を透視した状態で図示している。
溶融塩槽35の上部を覆う天蓋36には、予備も含めて複数のテフロン(登録商標)管22,23が、テフロン(登録商標)ジョイント28により垂直に固定されている。
図45(b)に示すように、棒状の電極32が、電解液7に浸漬するとともに、その上部が溶融塩槽35外に存在している。電極32は、図示せぬ導線を通じて直流電源の陰極に接続されている。さらに、溶融塩槽35の中央部には、電気分解セルEが天蓋36から吊り下げられて電解液7に浸されている。以下に、図46を参照して、電気分解セルEについて説明する。
図46(a)は、本実験装置における電気分解セルEの断面図、図46(b)は図46(a)のD−D断面図である。図46(a)、図46(b)に示すように、電気分解セルEは、絶縁材料による電気分解セル本体29の前面中央に電極51が配設されている。電極51は、電極押さえ板27で固定されている。電極押さえ板27により電極51のガス発生面αを電解液7に接触させることができる。電極51は通電用金属ワイヤ(ニッケルワイヤ)26を通じて直流電源の陽極に接続されている。
電気分解セル本体29は、PTFE板からなり、35mm×40mm×15mmtの形状を有する。さらに、その中央部に深さ10mmの凹部31を備える。電極51のガス放出面βは凹部31内にさらされている。さらに、電気分解セル本体29には、気体流路3がテフロン(登録商標)管22,23内に設けられ、外部から凹部31の空間37に気体を導入、排出することができる。
凹部31の前縁部には凹部が形成されており、この凹部に、通電用金属枠30がはめ込まれている。一方、電極押さえ板27の凹部31には、電極51がはめ込まれており、電極押さえ板27を電気分解セル本体29に接続することにより、電極51は電気分解セルEに固定される。
電気分解セルEに接続されたテフロン(登録商標)管22により、窒素ガスを凹部31の空間37内に導入し、排出管23から排出する。排出管23から流出するガスを採集して分析することができる。
負の電極32は直径3mmのニッケル棒2本により構成されている。この電極32は、電極51を観察する視界を遮らないように、電極51の正面を避けて脇に寄せ、かつ、正負の電極間距離を均等にするため、左右対称な位置に2本設置されている。
溶融塩液面レベル34は、電気分解セルEの電極51が電解液7に浸る高さに維持する。なお、電解液7の液面が、電極51の最下部より4cm以上上方に存在している状態で、電解液7が貫通孔を介して凹部31の空間37内に浸潤・透過・漏洩しないことが必須要件である。
溶融塩槽35の底部は銅製のヒータブロック18にテフロン(登録商標)シート(t=0.2mm)を挟んで載置されるように構成さている。そのヒータブロック18にはロッドヒータ20および熱電対21が配設され、溶融塩槽35の底部から電解液7を適宜に加熱する。電解液7の温度は、熱電対21の検出する温度情報を図示せぬサーモスタット等にフィードバックし、指定の温度に保持することが可能である。
本実施例において、Fガスを得るために、HFを含む電解液を電気分解する。一般的に、無水HFは電気抵抗が高く、電気分解し難いが、例えばKFとHFを反応させて、HF・nHFの電解液7を作製すると、電解液7の電気抵抗は低く、電解液7中のHFの電気分解が可能となる。
2HF→H+F
この反応において、KFは消費されず、原材料としてのHFのみが消費される。したがって、生成されたFガスの量に応じてHFガスを電解液7中に供給する必要がある。そこで電解槽35内の電解液7にHFガスをバブリングする等して、電解液7にHFを供給する。電解液7はその融点以上に加熱されており、その内部には対流が発生し、さらにバブリングにより発生する対流の効果と合わせて電解液7は撹拌されている。したがって、電解液7に供給されたHFは電解液7内にほぼ均一に拡散する。
図47(a)は本実験装置における電気分解セルE用の電極51の正面図、図47(b)は、通電用金属枠30の正面図である。図47(a)に示す電極51は、炭素板(東海カーボン社製 G348 1mmt)を、24mm×14mm(r=1mm)とした後、ざぐり面14に深さ0.6mmだけ凹部を形成し、このざぐり面14の凹部に、炭素板の厚さ方向に貫通孔を設けることにより製造される。
貫通孔6は、図29にも示したように、ドリル(超硬ソリッドルーマドリルADR−0.1)によって、直径100μm、150μmピッチで60度の千鳥に穿設した。また、気体微細流路112の加工された面と電解液7の接する有効電極面は10mm×20mmとした。
図47(b)に示す通電用金属枠30は、図46(b)に示すように、電極51を支えると共に正の電圧を印加するように通電するための金属枠である。通電用金属枠30は、外側寸法24mm×14mm×2mmt(r=1mm)のニッケル板に、20mm×10mm(r=0.5mm)の窓が切削加工により形成されたニッケル枠である。
この通電用金属枠30から正の電源までの間は、通電用金属ワイヤ26である直径0.5mmのニッケルワイヤを介して接続されている。電気分解セル本体29の上部にテフロン(登録商標)ジョイント28が配設され、このテフロン(登録商標)ジョイント28にテフロン(登録商標)管22,23が固定されている。このテフロン(登録商標)管22内を通電用金属ワイヤ26が通り抜けて、電気分解セルEの外部の直流電源と接続できるように電気分解セルEおよび電気分解セル実験装置が構成されている。
この電気分解セル実験装置において、電極51を陽極、電極32を陰極として、これら両極間に直流電圧7.0Vを印加して定電圧電解した。それぞれの気体流路入口(導入口)であるテフロン(登録商標)管22より窒素を10mL/minの流量で供給した。この状態で電極51から生じたガスは、貫通孔を通して凹部31の空間37内に排出され、気体流路出口(導出口)であるテフロン(登録商標)管23から窒素ガスとともに排出された。なお、電極51の表面から電解液7の液面に浮き上がる気泡が存在しないことが観察された。
気体流路出口(導出口)23から排出された気体をテドラーパックに採集し、フッ素ガス検知管(株式会社ガステック社製ガス検知管No.17)を使って測定したところ、検知管の指示薬が白色に脱色しフッ素ガスが生成されたことを確認した。このときの電流密度の時間に対する変化量は、安定時の平均電流密度は約50mA/cmであった。電圧を8Vにしたときの平均電流密度は約120mA/cmであり、電圧を9Vにしたときの平均電流密度は約250mA/cmであった。このことは図48のグラフに示すとおりである。
(実施例C2)
電極51に設けた貫通孔6のピッチを1mmにした以外は、実施例C1と同様にして電気分解を行った。電解液7の液面を電極51の最下部から4cm上の位置まで満たしたが、電解液7は貫通孔6を通して凹部31の空間37に漏れることがないことを、実施例C1同様に確認した。また、電圧を7Vにしたときの安定時の平均電流密度は約80mA/cmであり、電圧を8Vにしたときの平均電流密度は約150mA/cmであった。そして、電圧を9Vにしたときの平均電流密度は約200mA/cmであった。
(実施例C3)
電極51に貫通孔6を形成しなかったこと以外は、実施例C1と同様にして電気分解を行った。電圧7Vを印加した直後は、約90mA/cmの電流密度で電流が流れたが、しだいに減少し、約20分経過した時点でほとんど電流が流れなくなった。このことは図49のグラフに示すとおりである。
なお、上述のいずれの実施例も、フッ化水素の電気分解反応により、フッ素と水素に分解され、それぞれ回収することができた。また、本実験では、フッ化水素の電気分解反応をさせるための物質としてフッ化水素を含有する電解液を用いて例示したが、この電解液は他の物質であっても構わない。

Claims (11)

  1. 陽極または陰極のいずれか一方および他方である第1の炭素電極および第2の電極の間に電圧をかけて電解液を電気分解することにより前記第1の炭素電極で第1のガスを生成し、前記第2の電極で第2のガスを生成するガス生成装置であって、
    前記電解液が流れる液体流路と、
    前記液体流路にそれぞれ接し、前記液体流路を挟んで設けられた前記第1の炭素電極および前記第2の電極と、
    前記液体流路との間に前記第1の炭素電極を挟んで設けられ、前記第1のガスを収容する第1のガス収容部と、
    前記液体流路との間に前記第2の炭素電極を挟んで設けられ、前記第2のガスを収容する第2のガス収容部と
    前記第1の炭素電極に形成され前記液体流路と前記第1のガス収容部を連通し、前記電解液を通過せず、一方の面において生成された前記第1のガスを他方の面に選択的に通過する複数の第1の気体微細流路と、
    前記第2の電極に形成され、前記液体流路と前記第2のガス収容部を連通し、前記第2のガスを選択的に通過する複数の第2の気体微細流路と、
    を含み、
    前記第1のガス収容部は、不活性ガスが導入される第1のガス入口と、前記不活性ガスとともに前記第1のガスが導出される第1のガス出口と、を有する第1のガス流路であり、
    前記第2のガス収容部は、不活性ガスが導入される第2のガス入口と、前記不活性ガスとともに前記第2のガスが導出される第2のガス出口と、を有する第2のガス流路であり、
    前記流体流路を流れる前記電解液の圧力P と前記第1のガス流路または前記第2のガス流路を流れる気体の圧力P との差ΔP(=P −P )が、下記式(4)を満たすガス生成装置。
    ΔP(=P −P )≦−4γcosθ/w (4)
    (ただし、ΔPはヤング−ラプラス圧力、γは前記電解液の表面張力、θは前記電解液の接触角、wは前記第1の気体微細流路または前記第2の気体微細流路となる複数の貫通孔の開口幅を表す。)
  2. 支持基板と、
    前記支持基板上に配置された蓋基板と
    を有し、
    前記液体流路は、
    前記支持基板に形成された第1の流路用溝と、
    前記第1の流路用溝を覆う前記蓋基板と
    から形成され、
    前記第1のガス収容部および前記第2のガス収容部は、
    前記支持基板の前記第1の流路用溝の両側方に当該第1の流路用溝と間隔を隔てて各々形成された第2の流路用溝および第3の流路用溝と、
    前記第2の流路用溝および前記第3の流路用溝を覆う前記蓋基板と
    から形成され、
    前記第1の炭素電極は、前記支持基板の前記第1の流路用溝と前記第2の流路用溝との間にこれらに接して設けられた第1の電極設置用凹部内に設置され、
    前記第2の炭素電極は、前記支持基板の前記第1の流路用溝と前記第3の流路用溝との間にこれらに接するとともに、前記第1の電極設置用凹部と対向する位置に設けられた第2の電極用凹部内に設置された請求項に記載のガス生成装置。
  3. 前記第1の炭素電極は、前記第1の気体微細流路となる複数の前記貫通孔が設けられた第1の炭素板により構成され、
    前記第2の炭素電極は、前記第2の気体微細流路となる複数の前記貫通孔が設けられた第2の炭素板により構成され、
    前記第1の炭素電極および前記第2の炭素電極は前記液体流路を介して対向配置され、
    前記第1のガス収容部は、前記第1の炭素板において前記第2の炭素電極と対向する面の裏面側に配置され、
    第2のガス収容部は、前記第2の炭素板において前記第1の炭素電極と対向する面の裏面側に配置されている請求項に記載のガス生成装置。
  4. 複数の前記第1の炭素電極と複数の前記第2の炭素電極とが、前記第2の炭素電極、前記第1の炭素電極、前記第1の炭素電極、前記第2の炭素電極の順で配置され、
    前記第1の炭素電極と前記第2の炭素電極との間に前記液体流路が配置され、
    前記第1の炭素電極と前記第1の炭素電極との間に前記第1のガス収容部が配置されている請求項乃至のいずれか一項に記載のガス生成装置。
  5. 前記電解液は、フッ化水素を含む溶融塩であって、
    前記第1の炭素電極は陽極であ、前記第1の炭素電極でフッ素ガスが生成し、前記第2の炭素電極で水素ガスが生成する請求項乃至のいずれか一項に記載のガス生成装置。
  6. 前記第1の炭素電極および炭素材により構成された前記第2の電極により構成され、前記第1の気体微細流路および前記第2の気体微細流路それぞれガスを選択的に通過する貫通孔であって、
    前記貫通孔の開口幅は1000μm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のガス生成装置。
  7. 前記炭素材は、非晶質炭素からなることを特徴とする請求項に記載のガス生成装置。
  8. 前記炭素材は、有機樹脂を700℃以上3200℃以下の温度で焼成して得られ、
    前記有機樹脂は、芳香族ポリイミド樹脂またはアラミド樹脂を含むことを特徴とする請求項に記載のガス生成装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のガス生成装置に用いられるガス生成用炭素電極の製造方法であって、
    有機樹脂材料を準備する工程と、
    前記有機樹脂材料を用いて、貫通孔を複数備える有機樹脂膜を調製する工程と、
    700℃以上3200℃以下の温度で、前記有機樹脂膜を焼成することにより炭素材を得る工程と、
    を含み、
    前記有機樹脂材料が、板状またはフィルム状であることを特徴とするガス生成用炭素電極の製造方法。
  10. 前記貫通孔を複数備える前記有機樹脂膜を調製する前記工程において、
    機械加工、エッチング、射出成形、サンドブラスト加工またはレーザ加工により前記貫通孔を形成することを特徴とする請求項に記載のガス生成用炭素電極の製造方法。
  11. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のガス生成装置を用いて、ガスを生成する方法であって、
    前記第1の炭素電極は、炭素材により構成され、ガスを選択的に通過する開口幅が1000μm以下の貫通孔が複数設けられており、
    前記液体流路に前記電解液を流す工程と、
    前記第1の炭素電極および前記第2の電極の間に電圧をかけて前記電解液を電気分解し、前記第1の炭素電極で第1のガスを生成する工程と、
    を含み、
    前記第1のガスを生成する工程において、
    前記電気分解を継続するとともに、前記第1の炭素電極で発生した前記第1のガスを前記貫通孔を介して選択的に通過させて前記第1のガス収容部に供給する工程を含む、ガス生成方法。
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