JP2020045512A - 水素製造装置及び隔膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】純度を高めた水素ガスを製造可能な水素製造装置及び隔膜を提供する。【解決手段】水素製造装置は、電解液を保持する筐体と、前記筐体の内部を陽極側セルと陰極側セルに区画する隔膜と、前記陽極側セル内に設けられた陽極電極と、前記陰極側セル内に設けられた陰極電極と、を備える。前記隔膜の下部における前記電解液の透液性は、前記隔膜の上部における前記電解液の透液性よりも低い。【選択図】図1

Description

実施形態は、水素製造装置及び隔膜に関する。
電解液を用いて水を電気分解することにより、水素ガスを製造できる。水素ガスの製造装置においては、純度を高めた水素ガスを製造することが要求されている。
特開2012−193428号公報
実施形態の目的は、純度を高めた水素ガスを製造可能な水素製造装置及び隔膜を提供することである。
実施形態に係る水素製造装置は、電解液を保持する筐体と、前記筐体の内部を陽極側セルと陰極側セルに区画する隔膜と、前記陽極側セル内に設けられた陽極電極と、前記陰極側セル内に設けられた陰極電極と、を備える。前記隔膜の下部における前記電解液の透液性は、前記隔膜の上部における前記電解液の透液性よりも低い。
実施形態に係る水素製造装置は、電解液を保持する筐体と、前記筐体の内部を陽極側セルと陰極側セルに区画する隔膜と、前記陽極側セル内に設けられた陽極電極と、前記陰極側セル内に設けられた陰極電極と、を備える。前記陽極側セルの下部における前記電解液の流路は、前記陽極側セルの上部における前記電解液の流路よりも狭い。
実施形態に係る隔膜は、水の電気分解に用いる隔膜である。前記隔膜は、第1部分と、第2部分と、を備える。前記第1部分における透液性が前記第2部分における透液性よりも低い。
第1の実施形態に係る水素製造装置を示すブロック図である。 (a)は第1の実施形態に係る隔膜を示す断面図であり、(b)は縦軸に位置をとり横軸に圧力をとって隔膜に印加される電解液の圧力分布を示すグラフ図であり、(c)は縦軸に位置をとり横軸に孔径をとって孔径の位置依存性を示すグラフ図であり、(d)は縦軸に位置をとり横軸に透液量をとって透液量の位置依存性を示すグラフ図であり、(e)は縦軸に位置をとり横軸に水素ガスの不純物濃度をとって水素ガスの不純物濃度の生成位置に対する依存性を示すグラフ図である。 第1の実施形態に係る水素製造装置の隔膜近傍を示す断面図である。 第2の実施形態に係る水素製造装置の電解槽を示す図である。 第3の実施形態に係る水素製造装置の電解槽を示す図である。 第4の実施形態に係る水素製造装置の電解槽を示す図である。 (a)は第4の実施形態における陽極側セルを示す図であり、(b)は縦軸に位置をとり横軸に流速をとって電解液の流速分布を示すグラフ図であり、(c)は縦軸に位置をとり横軸に圧力をとって隔膜に印加される電解液の圧力分布を示すグラフ図であり、(d)は縦軸に位置をとり横軸に透液量をとって透液量の位置依存性を示すグラフ図であり、(e)は縦軸に位置をとり横軸に水素ガスの不純物濃度をとって水素ガスの不純物濃度の生成位置に対する依存性を示すグラフ図である。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る水素製造装置を示すブロック図である。
図2(a)は本実施形態に係る隔膜を示す断面図であり、(b)は縦軸に位置をとり横軸に圧力をとって隔膜に印加される電解液の圧力分布を示すグラフ図であり、(c)は縦軸に位置をとり横軸に孔径をとって孔径の位置依存性を示すグラフ図であり、(d)は縦軸に位置をとり横軸に透液量をとって透液量の位置依存性を示すグラフ図であり、(e)は縦軸に位置をとり横軸に水素ガスの不純物濃度をとって水素ガスの不純物濃度の生成位置に対する依存性を示すグラフ図である。
図2(b)〜(e)の縦軸に示す位置は、図2(a)の断面図における位置と対応している。
図3は、本実施形態に係る水素製造装置の隔膜近傍を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る水素製造装置1においては、電解槽10が設けられている。また、本実施形態では、電解液として、例えばアルカリ性の電解液100を用いる。但し、電解液は中性であってもよく、酸性であってもよい。電解槽10には筐体16が設けられており、筐体16内には隔膜11Aが設けられている。筐体16の内部は、隔膜11Aによって、陽極側セル12と陰極側セル13に区画されている。隔膜11Aは、例えば、樹脂材料からなる多孔質膜であり、水分子及びイオンは通過させるが、大きな気泡は通過させない膜である。隔膜11Aは絶縁性の多孔質材料によって形成されていればよく、例えば、セラミックス材料によって形成されていてもよい。
陰極側セル13の厚さ、すなわち、陽極側セル12及び陰極側セル13の配列方向における長さは、陽極側セル12の厚さよりも短い。このため、陰極側セル13の容積は、陽極側セル12の容積よりも小さい。陽極側セル12内には陽極電極14が設けられており、陰極側セル13内には陰極電極15が設けられている。陽極電極14及び陰極電極15は隔膜11Aに接しており、隔膜11Aを挟んでいる。
陽極側セル12内には、アルカリ性の電解液100、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液が保持されている。一方、陰極側セル13内には、電解液100はごく少量しか存在しておらず、陰極側セル13の大部分は気相101が占めている。例えば、陽極側セル12の容積の半分以上には電解液100が存在し、陰極側セル13の容積の半分以上には気相101が存在する。このため、陽極電極14における隔膜11に接していない側の表面の大部分、少なくとも半分以上は電解液100に接し、陰極電極15における隔膜11Aに接していない側の表面の大部分、少なくとも半分以上は気相101に接している。
陰極電極15の形状は例えばメッシュ状であり、多数の開口部15a(図3参照)が形成されている。陽極電極14の形状も、陰極電極15と同様なメッシュ状であり、多数の開口部14a(図3参照)が形成されている。なお、陰極電極15及び陽極電極14の形状は、多数の開口部が形成された形状であればよく、メッシュ状には限定されない。
図2(a)に示すように、隔膜11Aの孔71は、電解槽10の上部に位置する部分ほど大きく、下部に位置する部分ほど小さくなっている。このため、隔膜11Aにおける電解槽10の上部に位置する部分ほど透液性が高く、下部に位置する部分ほど透液性が低い。なお、本明細書において、「透液性」とは、隔膜11Aを水平方向に沿って設置した状態で、隔膜11Aの両側の圧力差、電解液100の組成及び温度等の諸条件が一定であるときの透液量をいう。「透液量」とは、単位面積の隔膜11Aを通過する液体の量をいう。図2(a)は模式的な図であり、孔71は実際よりも大きくかつ少なく描かれている。
孔71の径にはバラツキがあるが、隔膜11Aにおける電解槽10の下部に位置する部分の孔71の平均直径は、隔膜11Aにおける電解槽10の上部に位置する部分の孔71の平均直径よりも小さい。例えば、隔膜11Aを上下方向に沿って同じ長さの3つの部分に分けて、一番上に配置される部分(上部)と一番下に配置される部分(下部)をそれぞれ顕微鏡で観察したときに、下部における10個の孔71の平均直径は、上部における10個の孔71の平均直径よりも小さい。孔71の直径は、例えば、顕微鏡画像において孔71の外接円を描画し、この外接円の直径とすることができる。
以下、水素製造装置1における電解槽10以外の部分について説明する。
図1に示すように、水素製造装置1には、整流器19が設けられている。整流器19は水素製造装置1の外部から電力が供給されて、陽極電極14と陰極電極15の間に直流電力を印加する。
水素製造装置1には、陽極側電解液タンク21が設けられている。陽極側セル12の上部と陽極側電解液タンク21の上部との間には、配管22が接続されている。なお、本明細書において「接続」とは、内部間を流体が流通可能なように機械的に連結されていることをいう。陽極側電解液タンク21の下部と陽極側セル12の下部との間には、配管23が接続されている。配管23の途中には、ポンプ24が介在している。陽極側セル12、配管22、陽極側電解液タンク21、配管23及びポンプ24により、ループ状の流路25が形成されている。ポンプ24が作動することにより、電解液100は流路25に沿って循環する。
水素製造装置1には、陰極側電解液タンク26が設けられている。陰極側セル13の下部、例えば、底面と陰極側電解液タンク26の上部との間には、配管27が接続されている。配管27の途中には、ポンプ28が介在している。ポンプ28が作動することにより、陰極側セル13の下部に溜まった電解液100が、配管27を介して陰極側電解液タンク26に排出される。但し、水素製造装置1には、電解液100を陰極側電解液タンク26から陰極側セル13に移動させるポンプは設けられていない。このため、電解液100は、陰極側セル13と陰極側電解液タンク26との間を循環はせず、陰極電極15の開口部15aからしみ出す電解液100を除けば、陰極側セル13から陰極側電解液タンク26に一方的に移動するのみである。
図1に示すように、水素製造装置1には、酸素ガス洗浄塔31、水素ガス洗浄塔32、圧縮器33、及び、配管35〜40が設けられている。水素製造装置1の外部には、水素貯蔵タンク120が設けられている。配管35は陽極側電解液タンク21の上部と酸素ガス洗浄塔31の下部との間に接続されており、配管36は酸素ガス洗浄塔31の上部から水素製造装置1の外部に引き出されている。配管37は陰極側セル13の上部と水素ガス洗浄塔32の下部との間に接続されており、配管38は水素ガス洗浄塔32の上部と圧縮器33との間に接続されており、配管39は圧縮器33と外部の水素貯蔵タンク120との間に接続されている。配管40は、陽極側電解液タンク21と陰極側電解液タンク26との間に接続されている。配管27、ポンプ28、陰極側電解液タンク26及び配管40は、陰極側セル13の底部から陽極側電解液タンク21に電解液100を移動させる手段である。
次に、本実施形態に係る水素製造装置の動作について説明する。
図1に示すように、電解槽10の陽極側セル12、及び、陽極側電解液タンク21内に、電解液100を注入する。一方、陰極側セル13内には電解液100を注入せず、気相101としておく。電解液100はアルカリ性水溶液であり、例えば、水酸化カリウム水溶液である。また、酸素ガス洗浄塔31及び水素ガス洗浄塔32内には、洗浄液、例えば、純水を注入する。ポンプ24が作動することにより、流路25に沿って、(陽極側電解液タンク21→配管23→陽極側セル12→配管22→陽極側電解液タンク21)の順に、電解液100が循環する。
このとき、図3に示すように、陽極側セル12内に充填された電解液100が、陽極電極14の開口部14a、隔膜11Aの孔71、及び、陰極電極15の開口部15aを介して、陰極電極15と気相101との界面付近までしみ出し、電解液100の表面張力により、開口部15aの出口付近で停止する。このため、陽極電極14と陰極電極15が、共に電解液100に接触する。
この状態で、図1に示すように、外部から整流器19に電力を供給すると、整流器19が陽極電極14と陰極電極15の間に直流電力を供給する。これにより、電解液100における陽極電極14と陰極電極15の間で、以下の反応が生じる。
陽極側:2OH → (1/2)O+HO+2e
陰極側:2HO+2e → H+2OH
この結果、水が電気分解されて、陽極側セル12においては、水(HO)と酸素ガス(O)が発生し、陰極側セル13においては、水が消費されて水素ガス(H)が発生する。発生した酸素ガスは、陽極電極14の開口部14a付近に小さな気泡として付着するが、循環する電解液100によって陽極電極14から引き剥がされて、陽極側セル12の上部に移動する。一方、発生した水素ガスは、陰極電極15の開口部15aを介して、そのまま気相101中に拡散し、陰極側セル13の上部に移動する。
陽極側セル12において発生した酸素ガスは、電解液100と共に配管22を介して陽極側電解液タンク21に流入し、陽極側電解液タンク21内において電解液100から分離される。分離された酸素ガスは、配管35を介して酸素ガス洗浄塔31内に引き込まれ、洗浄液と接触することにより電解液100が更に除去された後、配管36を介して水素製造装置1の外部に排出される。
一方、陰極側セル13においては発生した水素ガスは、配管37を介して水素ガス洗浄塔32内に引き込まれ、洗浄液と接触することにより不純物が除去された後、配管38を介して圧縮器33に供給される。圧縮器33は水素ガスを圧縮し、配管39を介して水素貯蔵タンク120に供給する。水素貯蔵タンク120は、水素ガスを貯蔵する。
また、上述の電気分解過程において、少量の電解液100が陰極電極15の開口部15aからしみ出し、陰極電極15の表面を伝わって落下し、陰極側セル13の底部に溜まることがある。この場合は、ポンプ28を作動させることにより、配管27を介して、電解液100を陰極側電解液タンク26内に移動させる。陰極側電解液タンク26内に保持された電解液100は、配管40を介して、陽極側電解液タンク21に戻される。
このようにして、水素製造装置1においては、電解液100中の水が電気分解されて水素ガス及び酸素ガスが生成される。このうち、水素ガスは水素貯蔵タンク120に貯蔵されて、適宜回収され、利用される。
しかしながら、図2(b)に示すように、電解槽10内における電解液100の圧力(水圧)は、重力の作用により、下部ほど高くなる。このため、仮に、図2(c)に破線で示すように、隔膜11Aの孔71の径が均一であると、図2(d)に破線で示すように、隔膜11Aの孔71を通過する電解液100の透液量は、電解槽10の下部ほど多くなる。電解液100には陽極側セル12において発生した酸素が含まれているため、電解液100が陰極側セル13内に流入すると、電解液100と共に酸素も陰極側セル13内に流入する。この結果、図2(e)に破線で示すように、電解槽10の下部で生成される水素ガスほど、不純物濃度が高くなってしまう。水素ガスの不純物の大部分は酸素ガスである。
そこで、本実施形態においては、図2(a)及び(c)に示すように、隔膜11Aにおける電解槽10の下部に配置される部分ほど、孔71の直径を小さくしている。孔71の直径が小さいほど、隔膜11Aの透液性は低い。これにより、電解槽10の下部ほど水圧が高くなることと、電解槽10の下部ほど透液性が低くなることが相殺されて、図2(d)に実線で示すように、隔膜11Aの透液量は略均一になる。この結果、図2(e)に実線で示すように、生成された水素ガスの不純物濃度は、電解槽10中の位置に関して略均一になる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
図1に示すように、電解槽10の陽極側セル12においては、水の電気分解によって発生した酸素が、電解液100中に混入する。電解液100中に混入した酸素の大部分は、陽極側電解液タンク21内において電解液100から分離されるが、一部は電解液100に溶解した状態、又は、ナノバブルの状態で、電解液100中に残留する。仮に、このようにして酸素が残留した電解液100が、陰極側セル13内に混入すると、この酸素が水素ガス中に混入し、水素ガスの純度が低下する。
しかしながら、本実施形態に係る水素製造装置1においては、上述の如く、陰極側セル13は流路25から切り離されており、電解液100自体が陰極側セル13に漏出することがほとんどない。このため、電解液100内の酸素が水素ガス中に混入することもほとんどなく、純度を高めた水素ガスを得ることができる。
また、水素製造装置1においては、図2(a)及び(c)に示すように、隔膜11Aにおける電解槽10の下部に配置される部分ほど、孔71の直径を小さくして、透液性を低くしている。このため、図2(e)に実線で示すように、生成された水素ガスの不純物濃度が電解槽10中の位置に関して略均一になる。これにより、水素ガスの純度をより一層高めることができる。
なお、隔膜11A全体において孔71の直径を均一に小さくして、透液性を均一に低下させることも考えられる。しかしながら、この場合は、電解槽10の上部においては電解液100の圧力が低いため、透液量が過度に少なくなってしまう。このため、陰極電極15の開口部15a内において、電気分解により消費される水に対して、陽極側セル12から陽極電極14の開口部14a及び隔膜11Aの孔71を介して開口部15a内に供給される電解液100が不足する場合があり、開口部15a内に電解液100が確実に充填されなくなる。この結果、電気分解の効率が低下してしまう。
更に、本実施形態によれば、陰極側電解液タンク26における気液分離が不要となるため、水素製造装置1の構成を簡略化できる。そして、気液分離が不要な分だけ、水素ガスの製造に要する消費電力量を抑えることが可能となる。また、同じ電力供給量であれば、従来よりも水素ガスの製造量を多くすることが可能となる。更に、陰極側セル13内に所定量の電解液100を保持する必要がないため、陰極側セル13の容積を陽極側セル12の容積よりも小さくできる。これにより、水素製造装置1の小型化が可能となる。この結果、水素製造装置1の設備コスト、運搬コスト及び設置コストを低減できる。又は、水素製造装置1のサイズを維持したまま、陽極側セル12及び陰極側セル13の対の数を増加させることができるため、製造できる水素量が増加する。
なお、本実施形態においては、孔71の孔径を位置に応じて連続的に変化させる例を示したが、これには限定されず、孔71の直径は段階的に変化させてもよい。例えば、隔膜11Aを上部と下部の2つの部分に分けて、下部の孔径を上部の孔径よりも小さくしてもよく、又は、隔膜11Aを上部、中部、下部の3つの部分に分けて、中部の孔径を上部の孔径よりも小さくし、下部の孔径を中部の孔径よりも小さくしてもよい。隔膜11Aをいくつの部分に分けるかは、電解槽10の大きさ及び隔膜11Aの作製コストを考慮して、決定することができる。
また、本実施形態においては、隔膜11Aの位置に応じて孔71の孔径を異ならせることにより、隔膜11Aの透液性を異ならせる例を示したが、透液性を異ならせる方法は、これには限定されない。例えば、孔径は一定とし、隔膜11Aに選択的に表面処理を施すことにより、隔膜11Aの透液性を異ならせてもよい。又は、孔径は一定とし、隔膜11Aの下部ほど孔71の密度、すなわち、単位面積当たりの数を少なくすることにより、透液性を低くしてもよい。又は、これらの方法を組み合わせてもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係る水素製造装置の電解槽を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係る水素製造装置2においては、電解槽10内に隔膜11Bが設けられている。隔膜11Bは、下部74が上部75よりも厚い。例えば、隔膜11Bの上部75は1枚の膜からなり、下部74は2枚の膜が積層されている。一方、隔膜11Bにおいては、孔71(図3参照)の直径は略均一である。
本実施形態においても、隔膜11Bの下部74における透液性を上部75における透液性よりも低くすることができる。これにより、隔膜11Bの透液量を電解槽10内の位置に関して略均一にすることができる。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係る水素製造装置の電解槽を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係る水素製造装置3においては、陽極電極14Cの厚さが不均一になっており、陽極電極14Cの下部76は上部77よりも厚い。例えば、陽極電極14Cの上部77は1枚のメッシュ板からなり、下部76は2枚のメッシュ板が積層されている。一方、水素製造装置3の隔膜11Cの厚さは均一である。また、隔膜11Cにおいては、孔71(図3参照)の直径は略均一である。
本実施形態においては、陽極電極14Cの下部76の透液性が上部77の透液性よりも低い。隔膜11Cの透液性は均一である。これによっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る水素製造装置の電解槽を示す図である。
図7(a)は本実施形態における陽極側セルを示す図であり、(b)は縦軸に位置をとり横軸に流速をとって電解液の流速分布を示すグラフ図であり、(c)は縦軸に位置をとり横軸に圧力をとって隔膜に印加される電解液の圧力分布を示すグラフ図であり、(d)は縦軸に位置をとり横軸に透液量をとって透液量の位置依存性を示すグラフ図であり、(e)は縦軸に位置をとり横軸に水素ガスの不純物濃度をとって水素ガスの不純物濃度の生成位置に対する依存性を示すグラフ図である。
図7(b)〜(e)の縦軸に示す位置は、図7(a)の図における位置と対応している。
図6に示すように、本実施形態に係る水素製造装置4においては、電解槽10の陽極側セル12Dの形状が逆四角錐台形となっており、陽極側セル12Dの厚さ、すなわち、陽極側セル12Dから陰極側セル13に向かう方向の長さが、下部ほど短くなっている。一方、陽極側セル12Dの幅、すなわち、図6の紙面に垂直な方向における長さは一定である。この結果、陽極側セル12においては、下部ほど電解液100の流路が狭くなっている。このような形状の陽極側セル12は、筐体16の形状を逆四角錐台形とすることによって実現してもよく、筐体16の形状は通常の直方体形とし、陽極側セル12内に電解液100の流通を妨げる障害物を配置することによって実現してもよい。
水素製造装置4においては、隔膜11Cの厚さは均一である。また、隔膜11Cにおいては、孔71(図3参照)の孔径は電解槽10の位置に関して一定である。また、隔膜11Cにおいては、孔71(図3参照)の直径は略均一である。
次に、本実施形態に係る水素製造装置の動作について説明する。
図6及び図7(a)に示すように、水素製造装置4の陽極側セル12Dにおいては、下部ほど電解液100の流路が狭くなっている。これにより、図7(b)に示すように、陽極側セル12Dの下部ほど電解液100の流速が高くなる。ベルヌーイの法則により、流速が高いほど圧力は低くなる。このため、図7(c)に示すように、陽極側セル12Dにおいては、電解液100の圧力が略均一になる。この結果、図7(d)に示すように、透液量が略均一になり、図7(e)に示すように、水素ガスの不純物濃度が略均一になる。
このように、本実施形態によれば、陽極側セル12Dの下部ほど流路を狭くすることにより、重力の作用と流速による作用が相殺されて、陽極側セル12内において電解液100の圧力が略均一になる。この結果、電解槽10の下部における電解液100の過剰な浸透と、上部における電解液の透液量100の不足の双方を回避し、純度が高い水素ガスを製造することができる。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
以上説明した実施形態によれば、純度を高めた水素ガスを製造可能な水素製造装置及び隔膜を実現することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、前述の実施形態は、相互に組み合わせて実施することもできる。
1、2、3、4:水素製造装置
10:電解槽
11、11A、11B、11C:隔膜
12、12D:陽極側セル
13:陰極側セル
14、14C:陽極電極
14a:開口部
15:陰極電極
15a:開口部
16:筐体
19:整流器
21:陽極側電解液タンク
22、23:配管
24:ポンプ
25:流路
26:陰極側電解液タンク
27:配管
28:ポンプ
31:酸素ガス洗浄塔
32:水素ガス洗浄塔
33:圧縮器
35〜40:配管
71:孔
74:下部
75:上部
76:下部
77:上部
100:電解液
101:気相
120:水素貯蔵タンク

Claims (12)

  1. 電解液を保持する筐体と、
    前記筐体の内部を陽極側セルと陰極側セルに区画する隔膜と、
    前記陽極側セル内に設けられた陽極電極と、
    前記陰極側セル内に設けられた陰極電極と、
    を備え、
    前記隔膜の下部における前記電解液の透液性は、前記隔膜の上部における前記電解液の透液性よりも低い水素製造装置。
  2. 前記隔膜には複数の孔が形成されており、
    前記隔膜の下部における前記孔の径は、前記隔膜の上部における前記孔の径よりも小さい請求項1記載の水素製造装置。
  3. 前記隔膜の下部は前記隔膜の上部よりも厚い請求項1記載の水素製造装置。
  4. 電解液を保持する筐体と、
    前記筐体の内部を陽極側セルと陰極側セルに区画する隔膜と、
    前記陽極側セル内に設けられた陽極電極と、
    前記陰極側セル内に設けられた陰極電極と、
    を備え、
    前記陽極側セルの下部における前記電解液の流路は、前記陽極側セルの上部における前記電解液の流路よりも狭い水素製造装置。
  5. 前記陽極側セルの形状が逆四角錐台形である請求項4記載の水素製造装置。
  6. 前記陽極電極の表面の半分以上が前記電解液に接し、前記陰極電極の表面の半分以上が気相に接する請求項1〜5のいずれか1つに記載の水素製造装置。
  7. 前記陽極側セルの容積の半分以上には前記電解液が保持され、前記陰極側セルの容積の半分以上には気相が存在する請求項1〜6のいずれか1つに記載の水素製造装置。
  8. 前記陰極側セルの容積は前記陽極側セルの容積よりも小さい請求項1〜7のいずれか1つに記載の水素製造装置。
  9. 前記陽極側セルとの間で前記電解液を循環させる陽極側電解液タンクと、
    前記陽極側電解液タンクから前記陽極側セルに前記電解液を供給するポンプと、
    をさらに備え、
    前記陰極側セルに前記電解液を供給するポンプは設けられていない請求項1〜8のいずれか1つに記載の水素製造装置。
  10. 水の電気分解に用いる隔膜であって、
    第1部分と、
    第2部分と、
    を備え、
    前記第1部分における透液性が前記第2部分における透液性よりも低い隔膜。
  11. 前記隔膜には複数の孔が形成されており、
    前記第1部分における前記孔の径は、前記第2部分における前記孔の径よりも小さい請求項10記載の隔膜。
  12. 前記第1部分は前記第2部分よりも厚い請求項10記載の隔膜。
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