JP2005270732A - 次亜塩素酸発生装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解時に発生するガスによってスケールを剥離することはもとより、スケールの発生も抑制する次亜塩素酸発生装置を提供する。
【解決手段】直流電圧を印加して次亜塩素酸を発生させる次亜塩素酸発生装置1において、各電極50,51を垂直方向に対して交叉するよう配置するとともに、各電極50,51のうちカソード50をアノード51の上方に位置させ、カソード50には塩素イオン含有水や電解時に発生したガスが通過可能な貫通孔50aを多数形成した構造となっている。これにより、アノード51側からカソード50側への上昇流が起き、これに伴い、アノード側のH+がカソード50側に移動し、カソード50側の水が中和される。この中和作用により、カソード50側における、Ca2+やMg2+とOH-との反応が抑制され、或いは、Ca2+やMg2+とCO3 -2との反応が抑制されるため、カソード50へのスケールの付着が阻止される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、飲料水を貯留する飲料貯水槽、浴槽、水泳用プールなどの殺菌に使用する次亜塩素酸含有水を生成する次亜塩素酸発生装置、並びに、この次亜塩素酸発生装置の制御方法に関するものである。
従来、この種の次亜塩素酸発生装置として、特許文献1,2に記載されたものが提案されている。
この次亜塩素酸装置は、水道水等の塩素イオン含有水を貯留した貯水槽内に陰陽一対の電極を配置したもので、次亜塩素酸を生成するときは、各電極間に直流電圧を印加する。これにより、塩素イオン含有水が電解され、電解により発生した塩素が貯留水に溶解して次亜塩素酸(HClO)が生成される。
一方、電解操作を継続するときは、カソード側に水酸化カルシウム(Ca(OH)2)や水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)等のスケールが付着し、次亜塩素酸の生成効率が低下するおそれがある。また、非特許文献1ではカソード側に炭酸カルシウム(CaCO3)や炭酸マグネシウム(MgCO3)のスケールが付着するおそがある旨が記載されている。
そこで、従来の次亜塩素酸発生装置はスケールを剥離するため、ガス発生装置を有している。即ち、スケール剥離時にガス発生装置を駆動する。これにより、ガス発生装置から貯水槽にガスが放出され、このガスが気泡となって各電極に付着し、この気泡の破裂時にその衝撃でスケールを剥離している。
特開2003−24941号公報 特開2003−62576号公報 「ソーダと塩素」2003年1・2号の「電解百話」第51号,第52号の第36頁(http://www.denkazaika.yic.or.jp/denkai100#b/dk100#c.pdf)
しかしながら、前記従来の次亜塩素酸発生装置では、ガス発生装置が必要不可欠となっており、装置の大型化はもとより、コストが割高となるという問題点を有していた。
このような問題点を解決するため、各電極の極性を交互に切り替え、スケールの付着を防止する構造も提案されているが、各電極の極性切換を頻繁に行うときは、電極自体の素材が早期に劣化し、電極の寿命を短命化させるという問題点を有していた。
本発明の目的は前記従来の課題に鑑み、電解時に発生するガスによってスケールを剥離することはもとより、スケールの付着も抑制し、更には構造も極めて簡単な次亜塩素酸発生装置を提供することにある。
本発明は前記課題を解決するため、請求項1の発明は、水道水等の塩素イオン含有水が給水される貯水槽内に対向配置した板状の電極を少なくとも一組有し、各電極間に直流電圧を印加して次亜塩素酸を発生させる次亜塩素酸発生装置において、各電極を垂直方向に対して交叉するよう配置するとともに、各電極のうちカソードをアノードの上方に位置させ、カソードには塩素イオン含有水や電解時に発生したガスが通過可能な貫通孔を多数形成した構造となっている。
請求項1の発明によれば、各電極間に直流電圧を印加するとき、各電極間の塩素イオン含有水が電気分解され塩素が発生する。この塩素は水に溶解してHClOが生成される。
また、この電気分解によりカソード側では水素ガスが発生しOH-が多くなる。他方、アノード側では酸素ガスが発生し水素イオン(H+)が多くなる。ここで、水中に含まれているカルシウムイオン(Ca2+)やマグネシウムイオン(Mg2+)等はカソード側のOH-と反応してCa(OH)2やMg(OH)2が生成され易い状況となり、或いは、OH-濃度の上昇により、Ca2+やMg2+と炭酸イオン(CO3 -2)が結合し、CaCO3やMgCO3が生成され易い状況となる。一方、アノード側で発生した酸素ガスが気泡となってカソード側に上昇し、更に、カソードの貫通孔を通って各電極の外に抜け出る。そして、この酸素ガスの上昇によりアノード側からカソード側への上昇水流が形成される。この上昇流によりH+もこの水流にのってアノード側からカソード側に向かって移動する。これにより、カソード側でOH-とH+が混合し、カソード側の水が中和される。従って、Ca2+やMg2+とOH-との反応が抑制され、或いは、Ca2+やMg2+とCO3 -2との反応が抑制され、カソードへのスケールの付着が阻止される。
更に、カソード側で発生した水素ガスやカソードに移動した酸素ガスの一部がカソードの表面で破裂するため、たとえカソードの表面にスケールが付着したとしても、これを剥離することができる。
請求項2の発明は、水道水等の塩素イオン含有水が給水される貯水槽内に対向配置した板状の電極を少なくとも一組有し、各電極間に直流電圧を印加して次亜塩素酸を発生させる次亜塩素酸発生装置において、各電極を垂直方向に対して交叉するよう配置するとともに、各電極のうちカソードをアノードの上方に位置させ、各電極には塩素イオン含有水や電解時に発生するガスが通過可能な貫通孔を多数形成した構造となっている。
請求項2の発明によれば、カソード及びアノードの両者に貫通孔を形成しているため、アノードの下方にある塩素イオン含有水が、アノードの貫通孔→アノードとカソード間の電解通路→カソードの貫通孔→カソードの上方へと順に通過する。従って、各電極間にはアノードの下方から常に未電解の塩素イオン含有水が流入するため、次亜塩素酸が効率良く発生する。また、この水流によりアノード側のH+をカソード側に確実に移動させることができる。
請求項3の発明は、請求項2記載の次亜塩素酸発生装置において、アノードの各貫通孔とカソードの各貫通孔を互いに非対称に配置している。また、請求項4の発明は、カソードの各貫通孔の径をアノードの各貫通孔の径より小さくしている。請求項3,4の発明によれば、アノードからカソードに移動するH+がカソードの各貫通孔から直ちに抜け出ることがないため、カソード側を確実に中和することができる。
請求項5の発明は、請求項2又は請求項3に係る次亜塩素酸発生装置において、塩素イオン含有水が導入される給水口を各電極間の電解通路に対向させている。また、請求項6の発明は、貯水槽に給水される塩素イオン含有水を各電極間の電解通路に案内する導水ダクトを設けている。請求項5,6の発明によれば、貯水槽に塩素イオン含有水を給水する際、この給水力が電解通路に直接に加わり、カソード表面に付着したスケールが水流により剥離される。
請求項7の発明は、請求項2乃至請求項6に係る次亜塩素酸発生装置において、 前記貯水槽内で発生したガスを捕集し、捕集されたガスをアノードの下方に戻すガス戻し手段を設けた構造となっている。
請求項7の発明によれば、ガス戻し手段により、貯水槽内で発生したガスがアノードの下方に戻される。この戻されたガスは、アノードの貫通孔→アノードとカソード間の電解通路→カソードの貫通孔→カソードの上方と順次上昇する。このように、電解通路で上昇するガス量が戻しガスの分増加するため、アノードからカソードへの水流速度が速くなり、アノード側のH+をカソード側に多量に移動させることができる。
なお、ガス戻し手段は貯水槽内で発生したガスを捕集するガス貯留タンクと、ガス貯留タンク内のガスをアノードの下方に送るガス給送手段とを備えた構造でも良いし(請求項8)、また、貯水槽内で発生したガスを捕集するガス貯留タンクと、アノードの下方に配置したガス放出器と、ガス貯留タンク内のガスを該ガス放出器に送るガス給送手段とを備えた構造でも良い(請求項9)。
請求項10の発明は、請求項7に係る次亜塩素酸発生装置において、アノードの周縁に下方に延在した側板を形成した構造となっている。請求項10の発明によれば、アノードの下方に放出されたガスがアノードの下面側に貯留されるため、アノード周縁からのガス漏れが少なくなり、戻しガスを確実にアノードの貫通孔に通過させることができる。
請求項11の発明は、アノードの上方にカソードが対向配置された各電極を垂直方向に対して交叉するように貯水槽内に配置するとともに、各電極のうち少なくともカソードにガスや塩素イオン含有水が通過可能な貫通孔を形成し、各電極間に直流電圧を印加することにより次亜塩素酸を発生させる次亜塩素酸発生装置の制御方法において、貯水槽内に塩素イオン含有水を給水するとともに貯水槽内の塩素イオン含有水を導出する水導出入工程と、各電極間に直流電圧を印加して貯水槽内の次亜塩素酸を発生させる次亜塩素酸発生工程とを備え、各工程を交互に行うよう制御する制御方法となっている。
請求項11の発明によれば、次亜塩素酸発生工程と水導出入工程を別個に行うため、次亜塩素酸発生工程時に生じるアノードからカソードへの上昇水流が水導出入工程により乱されることがない。
本発明によれば、アノード側のH+をカソード側に移動させてカソード側の水を中和させることができるため、カソードへのスケールの付着が抑制され、次亜塩素酸の発生効率の低下を防止できる。
図1及び図3は本発明に係る次亜塩素酸発生装置の第1実施形態を示すもので、図1は次亜塩素酸発生装置の全体斜視図、図2は次亜塩素酸発生装置の断面図、図3はガス及び水素イオンの移動状態を示す要部拡大断面図である。
この第1実施形態に係る次亜塩素酸発生装置1は、水道水等の塩素イオン含有水を貯留する貯水槽10を有している。この貯留槽10は外形が略直方体形状となっており、その対向する側板の一方には塩素イオン含有水が導入される給水口11を有し、他方には貯留槽10内の水が導出される導出口12を有している。ここで、給水口11は下位で、また、導出口12は上位となっている。また、この給水口11は扁平略方形状となっており、後述する電解通路の流通断面積と対応するようが形成されている。なお、この給水口11には扁平状の給水管20が連結され、また、導出口12には同じく扁平状の取水管30が連結されている。
貯水槽10の上板13は給水口11側の側板から導出口12側の側板に向かって斜め上方に傾斜してなり、上板13の上端寄りにガス貯留タンク40が設置されている。このガス貯留タンク40は円筒状に形成されており、下端が貯水槽10内に向かって開口して貯水槽10で発生したガスAを捕集できるようになっている。一方、ガス貯留タンク40の上端にはダイヤフラム等で形成された逆止弁41が設置されており、ガス貯留タンク40内の圧力が所定圧力となったとき(圧力は小さく設定されている)、図2に示すように、ガス貯留タンク40内のガスを外に放出するようになっている。
貯水槽10の下部寄りには一対の板状の電極50,51が設置されている。各電極50,51は水平に設置されており(垂直方向と交叉するよう配置しており)、互いに所定間隙(電解通路53)をおいて対向している。この電解通路53の一端は給水口11に近接して対向し、他端は導出口12が形成された側板に近接するよう配置されている。各電極50,51のうち、上方の電極50がカソードとなっており、下方の電極51がアノードとなっており、カソード50及びアノード51には通電配線52を通じて給電され、電解通路53に直流電圧が印加されるようになっている。また、カソード50には上下に貫通する貫通孔50aが多数穿設されており、各貫通孔50aを通じてガスAや水が通過可能となっている。
本実施形態に係る次亜塩素酸発生装置1においてHClOを生成させるときは、まず、図2の実線矢印に示すように、給水管20を通じて水道水を導入する一方、貯水槽10内の塩素イオン含有水を取水管30から導出し、貯水槽10内の水を入れ替える(水導出入工程)。その後、以下のような次亜塩素酸発生工程に移行する。
即ち、次亜塩素酸発生工程では、電解通路53の水にカソード50及びアノード51を通じて直流電圧を印加する。これにより、塩素イオン含有水が電気分解され塩素(Cl2)が発生する。このCl2は水に溶解してHClOが生成される。
また、図3に示すように、水の電気分解により、カソード50側では水素ガスが発生しOH-が多くなる。他方、アノード51側では酸素ガスが発生しH+が多くなる。ここで、水中に含まれているCa2+やMg2+等はカソード50側のOH-と反応してCa(OH)2やMg(OH)2が生成され易い状況、或いは、OH-濃度の上昇により、Ca2+やMg2+と炭酸イオン(CO3 -2)が結合し、CaCO3やMgCO3が生成され易い状況となる。一方、アノード51側で発生したガスAが気泡となってカソード50側に上昇し、更に、カソード50の貫通孔50aを通ってカソード50の上方に抜け出る。このガスAの上昇流によりアノード51からカソード50側への上昇水流が形成される。これにより、図3の破線矢印に示すように、H+も上昇水流にのってアノード51側からカソード50側に向かって移動する。このH+の移動により、カソード50側でOH-とH+が混合し、カソード50側の水が中和される。従って、Ca2+やMg2+とOH-との反応が抑制され、或いは、Ca2+やMg2+とCO3 -2との反応が抑制されるため、カソード50へのスケールの付着が阻止され、HClOの生成効率の低下が阻止される。
また、この水流により電解通路53内の水が、図3の一点鎖線矢印に示すように、カソード50から上方に向かって抜けるため、図2及び図3の一点鎖線矢印に示すように、その抜けた分、電解通路53内に未電解の塩素イオン含有水が流入する。これにより、貯水槽10に貯留されている塩素イオン含有水全体が電気分解され、HClO濃度の均一な殺菌水が生成される。
更に、カソード50側で発生した水素ガスやカソード50に移動した酸素ガスの一部がカソード50の表面で破裂するため、たとえカソード50の表面にスケールが付着したとしても、これを剥離することができる。従って、この点でもHClOの生成効率の低下を防止することができる。
このような次亜塩素酸発生工程が終了したときは水導出入工程に再び戻ることとなる。ここで、次亜塩素酸発生工程と水導出入工程とを別個とし、次亜塩素酸発生工程中には水導出入工程を禁止しているので、次亜塩素酸発生工程において電解通路53で生ずる上昇水流が乱されることがないし、また、貯水槽10内のHClO濃度が低下することがない。
また、水導出入工程において、貯水槽10に塩素イオン含有水を給水する際、この給水力が電解通路53に直接に加わる。従って、たとえカソード50の内面にスケールが付着していたとしても、この水流によりスケールが剥離される。
図4乃至図6は本発明に係る次亜塩素酸発生装置の第2実施形態を示すもので、図4は次亜塩素酸発生装置の全体斜視図、図5は次亜塩素酸発生装置の断面図、図6はガス及び水素イオンの移動状態を示す要部拡大断面図である。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号を用いて示し、その説明を省略する。
前記第1実施形態では貫通孔50aをカソード50にのみ形成したが、本実施形態ではアノード51にも同径の貫通孔51aを多数形成している。また、アノード51の各貫通孔51aとカソード50の貫通孔50aは、図5及び図6に示すように、電解通路53を挟んで互いに非対称に配置されている。
本実施形態によれば、電解通路53にカソード50及びアノード51を通じて直流電圧を印加する際、ガスAの上昇流に起因して電解通路53内にアノード51からカソード50に向かって上昇水流が形成される。この水流により、図6に示すように、アノード51の下方の水が各貫通孔51aを通じて電解通路53内に流入し、次いで、電解通路53を上方に向かって流れ、更にカソード50の貫通孔50aを通じてカソード50の上方に流出する。
このように、電解通路53内の水流がアノード51の上面から形成されるため、アノード51の上面又はその近傍に浮遊するH+が効率よくカソード50側に移動し、カソード50側の水を確実に中和することができる。
また、アノード51の外側の塩素イオン含有水が、図5及び図6に示すように、貫通孔51aを通じて電解通路53内に導入されるため、貯水槽10に貯留されている塩素イオン含有水が図5の1点鎖線矢印に示すように循環し、塩素イオン含有水全体が確実に電気分解される。
更に、上下の各貫通孔50a,51aが互いに非対称となっているため、アノード51からカソード50に向かって流れた水(及びH+)が直ちにカソード50の貫通孔50aから抜け出ることがなく、カソード50側の水を確実に中和することができる。なお、その他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
図7は本発明に係る次亜塩素酸発生装置の第3実施形態を示すものである。なお、前記第2実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
前記第2実施形態ではカソード50及びアノード51に形成された各貫通孔50a,51aは同径となっており、かつ、各貫通孔50aと各貫通孔51aとを互いに非対称に配置している。これに対して、第3実施形態ではカソード50の各貫通孔50bとアノード51の各貫通孔51bが電解通路53を挟んで対向し、かつ、各貫通孔50bの径を各貫通孔51bの径より小さく形成している。
本実施形態によれば、各貫通孔50bの径を各貫通孔51bの径より小さく形成しているので、アノード51からカソード50に向かう上昇水流の速度がカソード50側で遅くなり、カソード50側の水が確実に中和される。なお、前記第2実施形態と同様に各貫通孔50bを各貫通孔51bと非対称に配置し、上昇水流を更に遅くするようにしても良い。その他の構成、作用は前記第2実施形態と同様である。
図8は本発明に係る次亜塩素酸発生装置の第4実施形態を示すものである。なお、前記第2実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
前記第2実施形態ではカソード50及びアノード51を水平に配置している。これに対して、本実施形態に係るカソード50及びアノード51は給水口11側の側板から導出口12側の側板に向かって下方に傾斜している(垂直方向と交叉するよう配置している)。また、給水口11に連結された給水管21は電解通路53の傾斜に合わせて傾斜し、その給水方向が電解通路53と対向するよう設計されている。
本実施形態によれば、カソード50及びアノード51が斜めに配置されているため、カソード50及びアノード51の横方向寸法を長く取ることができ、これにより、電極対向面積を大きくすることができ、HClOの発生量を増大させることができる。なお、その他の構成、作用は前記第2実施形態と同様である。
図9は本発明に係る次亜塩素酸発生装置の第5実施形態を示すものである。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
第1実施形態〜第4実施形態ではガス貯留タンク40を貯水槽11の上板13に設置しているが、本実施形態では取水管30に設置している。また、この取水管30は貯水槽10の側板最上部の導水口12に設置されている。
本実施形態によれば、貯水槽10内で発生したガスAが貯水槽10の最上部から取水管30に流入し、更にガス貯留タンク40内に捕集される。このガス貯留タンク40の圧力が所定圧力以上となったとき、逆止弁41が開いて外に排出される。このように、ガス貯留タンク40を取水管30に設置するときも同様にガス抜きができる。なお、その他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
図10は本発明に係る次亜塩素酸発生装置の第6実施形態を示すものである。なお、前記第2実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
前記第1実施形態では給水口11と電解通路53を対向配置しているが、本実施形態では給水口11と電解通路53との間に導水ダクト60を設け、給水管20から導入された塩素イオン含有水を電解通路53に直接に導くようになっている。
本実施形態によれば、貯水槽10に塩素イオン含有水を給水する際、この給水力が実線矢印に示すように電解通路53に直接に加わり、カソード50の表面に付着したスケールが確実に剥離される。なお、その他の構成、作用は前記第2実施形態と同様である。
図11及び図12は本発明に係る次亜塩素酸発生装置の第7実施形態を示すものである。なお、前記第2実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
本実施形態に係る次亜塩素酸発生装置1は貯水槽10で発生したガスをアノード50の下方に戻すガス戻し機構70を有している。このガス戻し機構70は、ガス貯留タンク71と、ガス放出器72と、ガス給送機構73とから構成されている。
ガス貯留タンク71は上板13の上端寄りに設置されている。また、ガス貯留タンク71は円筒状に形成されており、下端が貯水槽10内に向かって開口して貯水槽10で発生したガスAを捕集するようになっている。
ガス放出器72は図12に示すように横長筒状に形成されたもので、アノード51の下方に設置されている。また、ガス放出器72の上部には多数のガス放出孔72aが形成されている。
ガス給送機構73は、ポンプ73aと、ガス吸入管73bと、ガス吐出管73cとから構成されている。ガス吸入管73bの一端はガス貯留タンク71の上端に接続し、他端はポンプ73aの吸入口側に接続している。ガス吐出管73cの一端はガス放出器72の長手方向中央に接続し、他端はポンプ73aの吐出側に接続している。
本実施形態によれば、次亜塩素酸発生工程において、電解通路53への電圧印加と同時にポンプ73aを駆動する。これにより、前記第2実施形態と同様に電解通路53で発生したガスAが上方に上昇する。また、これと同時にガス貯留タンク71内のガスが、図11の破線矢印に示すように、ガス吸入管73b→ポンプ73a→ガス吐出管73c→ガス放出器72→ガス放出孔72aと順次流れ、アノード51の下面側に気泡となって給送される。このアノード51の下面に至ったガスAはアノード51の各貫通孔51aを通じて電解通路53内に流入する。
このように、アノード51で発生したガスAはもとより、ガス貯留タンク71内のガスAも電解通路53内を上昇するため、電解通路53内の上昇流が速くなり、アノード51側のH+が多量にカソード50側に移動し、カソード50側の水を確実に中和することができる。
また、ガス放出孔72aからアノード51に向かって上昇するガスAによって、アノード51の下方に位置する水にも上昇流が起き、貯水槽10の下部の水が円滑に電解通路53内に導入され、貯水槽10のHClO濃度を短時間で上昇させることができる。
更に、電解通路53内のガスAの量が増大するため、その分、気泡破裂によるスケール剥離作用が更に向上する。その他の構成、作用は前記第2実施形態と同様である。
なお、本実施形態に係るガス貯留タンク71は貯水槽10に設置されたものを使用しているが、図9に示すように、取水管30に設置したガス貯留タンク(図示せず)からガスを導入するようにしてもよい。また、本実施形態に係るカソード50及びアノード51としては水平に配置された例を説明したが、図8に示すように、カソード(図示せず)及びアノード(図示せず)が傾斜したタイプに適用するようにしても良い。
図13及び図14は本発明に係る次亜塩素酸発生装置の第8実施形態を示すものである。なお、前記第7実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
前記第7実施形態に係るアノード51は全体が面一の板状電極で形成されている。これに対して、本実施形態に係るアノード51はその周縁から下方に向かって延在した側板51bを有している。
本実施形態によれば、アノード51の側板51bが堰として機能するため、アノード51の周縁からのガスAの漏れが少なくなり、ガス放出器72から放出された戻しガスを貫通孔51aに確実に通過させることができる。なお、その他の構成、作用は前記第7実施形態と同様である。
図15は本発明に係る次亜塩素酸発生装置の第9実施形態を示すものである。なお、前記第8実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
前記第8実施形態ではガス放出器72を用いてガスAを放出するようになっているが、本実施形態ではガス放出器を用いることなくガス吐出管73cをアノード51の下方に延在し、ガスをアノード51の下方に直接に放出する構造になっている。
本実施形態によれば、ガス放出器を用いない分、ガス戻し機構が簡単な構造になっている。なお、図示しないが、ガス貯留タンク、ポンプ及びガス吸入管は図11に示す構造と同一の構成となっている。その他の構成、作用は前記第8実施形態と同様である。
なお、前記各実施形態では各電極(カソード50及びアノード51)を一組設置した例を掲げて説明したが、図示しない各電極を上下に複数組配置するようにしてもよい。
第1実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の全体斜視図 第1実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の断面図 第1実施形態に係る次亜塩素酸発生装置のガス及び水素イオンの移動状態を示す要部拡大断面図 第2実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の全体斜視図 第2実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の断面図 第2実施形態に係る次亜塩素酸発生装置のガス及び水素イオンの移動状態を示す要部拡大断面図 第3実施形態に係る次亜塩素酸発生装置のガス及び水素イオンの移動状態を示す要部拡大断面図 第4実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の断面図 第5実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の要部断面図 第6実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の要部断面図 第7実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の断面図 ガス放出器の斜視図 第8実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の要部断面図 アノードの斜視図 第9実施形態に係る次亜塩素酸発生装置の要部断面図
符号の説明
1…次亜塩素酸発生器、10…貯水槽、11…給水口、12…導出口、20…給水管、30…取水管、40…ガス貯留タンク、50…カソード、51…アノード、50a,51b…貫通孔、53…電解通路、60…導水ダクト、70…ガス戻し機構、71…ガス貯留タンク、72…ガス放出器、73…ガス給送機構、A…ガス。

Claims (11)

  1. 水道水等の塩素イオン含有水が給水される貯水槽内に対向配置した板状の電極を少なくとも一組有し、該各電極間に直流電圧を印加して次亜塩素酸を発生させる次亜塩素酸発生装置において、
    前記各電極を垂直方向に対して交叉するよう配置するとともに、該各電極のうちカソードをアノードの上方に位置させ、該カソードには塩素イオン含有水や電解時に発生したガスが通過可能な貫通孔を形成した
    ことを特徴とする次亜塩素酸発生装置。
  2. 水道水等の塩素イオン含有水が給水される貯水槽内に対向配置した板状の電極を少なくとも一組有し、該各電極間に直流電圧を印加して次亜塩素酸を発生させる次亜塩素酸発生装置において、
    前記各電極を垂直方向に対して交叉するよう配置するとともに、該各電極のうちカソードをアノードの上方に位置させ、該各電極には塩素イオン含有水や電解時に発生するガスが通過可能な貫通孔を多数形成した
    ことを特徴とする次亜塩素酸発生装置。
  3. 前記アノードの各貫通孔と前記カソードの各貫通孔を互いに非対称に配置した
    ことを特徴とする請求項2記載の次亜塩素酸発生装置。
  4. 前記カソードの各貫通孔の径を前記アノードの各貫通孔の径より小さく形成した
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の次亜塩素酸発生装置。
  5. 塩素イオン含有水が導入される給水口を前記各電極間の電解通路に対向させた
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の次亜塩素酸発生装置。
  6. 前記貯水槽に給水される塩素イオン含有水を前記各電極間の電解通路に案内する導水ダクトを設けた
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の次亜塩素酸発生装置。
  7. 前記貯水槽内で発生したガスを捕集し、捕集されたガスを前記アノードの下方に戻すガス戻し手段を有する
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項6の何れか一項に記載の次亜塩素酸発生装置。
  8. 前記ガス戻し手段は、
    前記貯水槽内で発生したガスを捕集するガス貯留タンクと、
    前記ガス貯留タンク内のガスを前記アノードの下方に送るガス給送手段とを備えた
    ことを特徴とする請求項7記載の次亜塩素酸発生装置。
  9. 前記ガス戻し手段は、
    前記貯水槽内で発生したガスを捕集するガス貯留タンクと、
    前記アノードの下方に配置したガス放出器と、
    前記ガス貯留タンク内のガスを該ガス放出器に送るガス給送手段とを備えた
    ことを特徴とする請求項7記載の次亜塩素酸発生装置。
  10. 前記アノードの周縁に下方に延在した側板を有する
    ことを特徴とする請求項8又は請求項9記載の次亜塩素酸発生装置。
  11. アノードの上方にカソードが対向配置された各電極を垂直方向に対して交叉するように貯水槽内に配置するとともに、該各電極のうち少なくとも該カソードにガスや塩素イオン含有水が通過可能な貫通孔を多数形成し、該各電極間に直流電圧を印加することにより次亜塩素酸を発生させる次亜塩素酸発生装置の制御方法において、
    前記貯水槽内に塩素イオン含有水を給水するとともに該貯水槽内の塩素イオン含有水を導出する水導出入工程と、前記各電極間に直流電圧を印加して該貯水槽内の次亜塩素酸を発生させる次亜塩素酸発生工程とを備え、該各工程を交互に行うよう制御する
    ことを特徴とする次亜塩素酸発生装置の制御方法。
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