JP2012188683A - ガス生成装置およびガス生成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光で効率的に水素、酸素などのガスを発生させることのできる装置を提供する。
【解決手段】ガス生成装置は、水を含む電解液12から酸素ガスおよび/または水素ガスを生成するガス生成装置である。このガス生成装置は、電解液から酸素ガスを生成するアノード電極と、電解液で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成するカソード電極3と、アノード電極およびカソード電極の少なくとも一方に設けられていて、可視光を利用する光触媒反応により、電解液から酸素ガスを生成する第1光触媒および/または水素ガスを生成する第2光触媒を含む光触媒含有層15と、アノード電極またはカソード電極の少なくとも一方に設けられ、電解液を通過させず、かつ生成された酸素ガスまたは水素ガスを通過させる複数の貫通孔113と、貫通孔を通過した酸素ガスまたは水素ガスを収容するガス収容部と、を備える。
【選択図】図49

Description

本発明は、光触媒を用いたガス生成装置およびガス生成方法に関する。
従来、光触媒が水を分解するために広く利用されていた。例えば、光触媒に紫外線を照射することにより、光触媒反応が進行する。光触媒反応により、水が分解されて、水素ガスとともに酸素ガスが得られる。
このような技術としては、非特許文献1に記載されており、光触媒の酸化チタンに波長400nm以下の紫外線を照射している。
図1は、光触媒電極を備えた構造を有し、紫外線を照射することにより水電解を行なう一般的な装置図である。この種の装置として、非特許文献9には、電解液溜め中の電解液に浸され、さらにイオン交換膜の塩橋で隔てられた、n型酸化チタン(TiO)電極と白金(Pt)電極とが通電用ワイヤで接続された装置が記載されている。TiOの表面に400nmよりも短波長の光が照射されると、ワイヤに光電流が流れ、TiOの表面では酸素が発生し、Ptの表面では水素が発生する。酸素は酸素ガス気泡となり酸素ガス収容部に収集される。水素は水素ガス気泡となり水素ガス収容部に収集される。この光触媒による反応式はeとhをそれぞれ光励起で生成した電子と正孔として、以下の式101〜式103で表される。式103は、式101と式102の和である。
2h+HO → (1/2)O+2H(TiO上で) (式101)
2e+2H → H(Pt上で) (式102)
2hν → H+(1/2)O (式103)
特開2005−199187号公報
「水分解光触媒技術」佐藤真理著、荒川裕則監修、シーエムシー出版、第2章「紫外光応答性一段光触媒による水分解の達成」9−21頁 Chun,W.J.et al.;J.Phys.Chem.B,107,1798−1803(2003) 「水分解光触媒技術」工藤昭彦著、荒川裕則監修、シーエムシー出版、第4章「可視光応答性光触媒による水分解の達成」168−172頁、「3.2遷移金属ドーピング系可視光応答性光触媒」 International Journal of Hydrogen Energy35(2010) 1523−1529 J.Phys.Chem.Lett. 2010,1,2607−2612 J.Phys.Chem.C 2009 113 17536−17542 Journal of Catalysis 259(2008) 133−137 J.Phys.Chem.Lett. 2010,1,2655−2661 A.Fujishima,K.Honda Nature,vol.238,P37−38(1972)
しかしながら、従来の装置は、いずれも紫外光を利用するものである。これに対し、可視光で駆動する装置とすれば、自然光で動くなど、応用範囲が広がる。
また、これらの公知文献に記載された装置では、光触媒におけるガス生成の本質的に内在されている以下の問題が解決されない。すなわち、光触媒の励起光が光触媒表面に照射された際に電子と正孔が発生し、光触媒に接している水分子は正孔によって酸化され、酸素分子と水素イオン(プロトン)を生成する。光触媒表面にて酸素分子同士が会合し気泡に成長しやがて光触媒表面から離脱して行く。また、同時に光触媒表面で発生した水素イオン(プロトン)は、水に溶けてカソード電極に移動していくが、残存する酸素分子と会合した場合には再び水に戻る逆反応を辿ることになる。
例えば、白金担時した酸化チタン粉末を、ガラスセルに水を含む電解水中に分散させ、紫外光を照射して水素発生量を測定するという実験を行った場合、紫外光を照射する方向の違いにより、水素ガスの発生量が大きく異なることが確認されている。また、図2(a)に示すように、光触媒である白金担持酸化チタン粉体42が分散する電解液12に対して紫外光7を下から照射すると水素ガス33の発生量は少ないが、逆に図2(b)に示すように紫外光7を電解液12の表面側から照射すると水素ガス33の発生量が増加するということが知られている。光触媒42としては、酸化チタン粉体40に白金微粒子41を担持させたものが例示される。これは、図3に示すように、紫外光7が照射されて担持白金上に形成された水素ガス33の気泡が、白金担持光触媒42の上に形成された酸素ガス23の気泡と白金上で会合することにより、水に戻ってしまう逆反応が生じるためである。
従って、光触媒によって分解された水分子から発生した酸素分子と水素イオンを素早く分離することが必要である。例えば、非特許文献1には、図4に示すように、光触媒42の表面を覆う液膜層の厚みを、紫外光7の照射により形成される気泡(酸素ガス23および水素ガス33)のサイズよりも小さくすることが提案されている。これにより、水素と酸素の会合により水に戻ってしまう逆反応が阻害され、光触媒反応が迅速に行われる。
本発明は、可視光で効率的に水素、酸素などのガスを発生させることのできる装置を提供することを目的とする。
本発明は以下を含む。
[1]
水を含む電解液から酸素ガスおよび/または水素ガスを生成するガス生成装置であって、
前記電解液から酸素ガスを生成するアノード電極と、
前記電解液で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成するカソード電極と、
前記アノード電極および前記カソード電極の少なくとも一方に設けられていて、可視光を利用する光触媒反応により、前記電解液から酸素ガスを生成する第1光触媒および/または水素ガスを生成する第2光触媒を含む光触媒含有層と、
前記アノード電極または前記カソード電極の少なくとも一方に設けられ、前記電解液を通過させず、かつ生成された前記酸素ガスまたは前記水素ガスを通過させる複数の貫通孔と、
前記貫通孔を通過した前記酸素ガスまたは前記水素ガスを収容するガス収容部と、
を備えるガス生成装置。
[2]
[1]に記載のガス生成装置であって、
前記光触媒含有層の平均空孔率が10%以上80%以下である、ガス生成装置。
[3]
[1]または[2]に記載のガス生成装置であって、
層厚方向において550nm波長で測定したときの、前記光触媒含有層の可視光透過率が10%以上90%以下である、ガス生成装置。
[4]
[1]から[3]のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
下記の条件で測定したときの光電流が2μA/cm以上である、ガス生成装置。
<条件>
シリコン基板上に前記光触媒含有層を形成することによりアノード電極を得るとともに、シリコン基板上に白金を形成することによりカソード電極を得る。次いで、前記アノード電極と前記カソード電極とを対向配置させて前記電解液に浸漬させる。次いで、前記アノード電極上に前記光触媒含有層に対して可視光を照射する。このとき、前記アノード電極と前記カソード電極との間に流れる電流を光電流として測定する。
[5]
[1]から[4]のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
前記光触媒含有層が、前記第1光触媒かつ前記第2光触媒を含み、
前記光触媒含有層の平面視において、前記第2光触媒が占有する面積に対する、前記第1光触媒が占有する面積の比率を示す占有面積比率の平均値が0.3以上1.7以下であり、前記平均値の標準偏差が2以下である、ガス生成装置。
[6]
[1]から[5]のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
前記アノード電極および前記カソード電極が一体に設けられた電極を構成しており、
前記電極が、前記第1光触媒及び第2光触媒を含有する前記光触媒含有層を有する、ガス生成装置。
[7]
[1]から[5]のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
前記アノード電極が、前記第1光触媒を含有し、かつ前記第2光触媒を含有しない第1光触媒含有層を有しており、
前記カソード電極が、前記第2光触媒を含有し、かつ前記第1光触媒を含有しない第2光触媒含有層を有する、ガス生成装置。
[8]
[1]から[5]のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
前記アノード電極上に前記第1光触媒及び第2光触媒を含有する前記光触媒含有層を有しており、
前記カソード電極は導電部材を有しており、
前記導電部材を介して、前記光触媒含有層と前記カソード電極とが電気的に接続している、ガス生成装置。
[9]
[1]から[8]のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
前記カソード電極は、前記光触媒含有層が可視光を受光することにより水素ガスを生成する助触媒含有層を有する、ガス生成装置。
[10]
[1]から[9]のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
前記アノード電極が、耐酸性の導電層を有している、ガス生成装置。
[11]
[1]から[10]のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
前記第1光触媒及び前記第2光触媒の少なくとも一方の表面に、導電物質が固着されている、ガス生成装置。
[12]
[1]から[11]のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
前記第1光触媒が可視光を利用する光触媒反応により前記電解液から酸素ガスを生成することに応じて、前記第2光触媒は、当該光触媒反応により前記電解液で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成する、ガス生成装置。
[13]
水を含む電解液から酸素ガスおよび/または水素ガスを生成する方法であって、
前記電解液から酸素ガスを生成するアノード電極と、前記電解液で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成するカソード電極と、に前記電解液を接触させる工程と、
前記アノード電極および前記カソード電極の少なくとも一方に設けられていて、可視光を利用する光触媒反応により、前記電解液から酸素ガスを生成する第1光触媒および/または水素ガスを生成する第2光触媒を含む光触媒含有層に光触媒の可視光を照射する工程と、
前記アノード電極で生成された前記酸素ガスまたは前記カソード電極で生成された前記水素ガスの少なくとも一方を、該アノード電極または該カソード電極に設けられた複数の貫通孔を通じて捕集する工程と、
を含むガス生成方法。
本発明によれば、可視光で効率的に水素、酸素などのガスを発生させることのできる装置を提供することができる。
従来の、アノード電極に光を照射することにより水電解を行う一般的な装置図の模式図である。 (a)、(b)は電解液に紫外線光を照射した場合の状態を示す説明図である。 水素ガス気泡と酸素ガス気泡とが会合する状態を示す説明図である。 光触媒表面を液膜層で覆った状態を示す説明図である。 (a)〜(d)は本実施形態のガス生成装置の基本概念を示す模式図である。 (a)〜(c)はヤング−ラプラスの式を説明する図である。 アノード電極に形成した孔加工部の例を示す平面図である。 (a)は光触媒含有層と、夫々の貫通孔との構造に起因する特徴を説明する模式図であり、(b)は拡大図である。記号Xは、酸素分子の発生箇所を示したものであり、矢印は、発生箇所Xと貫通孔までの最短距離、すなわち界面−反応点距離を示したものである。 (a)〜(d)は対向配置型のガス生成装置の基本構成を示す模式図である。 (a)、(b)は対向配置型のガス生成装置におけるプロトンと電子の移動を示す説明図である。(a)は、電子がリード線を介して、アノード電極からカソード電極に移動する様子を示したものである。(b)は、アノード電極とカソード電極間に設置されたメッシュ状の導電材料を介して電子がアノード電極からカソード電極に移動する様子を示したものである。 (a)は光触媒セル(アノードセル)の側面断面図であり、(b)は正面図である。 (a)はアノード電極自身の正面図であり、(b)は側面断面図であり、(c)は(b)の拡大図である。 アノード電極に形成した孔加工部の一例を示す平面図である。 (a)は助触媒セル(カソードセル)の側面断面図であり、(b)は正面図である。 第1基本構成のガス生成装置の側面断面図である。 図15に示される、第1実施形態のガス生成装置の正面図である。 第2基本構成のガス生成装置の側面断面図である。 第3基本構成のガス生成装置の側面断面図である。 図18に示される第3実施形態のガス生成装置の正面図である。 図18、図19に示される第3実施形態のガス生成装置の上面図である。 第3基本構成のガス生成装置における、光の照射方向をカソード電極側とした例である。 第4基本構成の太陽光対応ガス生成装置の上面図である。 第4実基本構成の太陽光対応ガス生成装置の側面断面図であり、上面から光を照射している様子を示したものである。 第4基本構成の太陽光対応ガス生成装置の下面図である。 第5基本構成の太陽光対応ガス生成装置の側面断面図であり、上面から光を照射している様子を示したものである。 (a)、(b)は第6実施形態のアノードカソード一体型電極の斜視図である。 光触媒含有層と助触媒含有層との位置関係の一例を示す、第7実施形態のアノードカソード一体型電極の概略正面図である。 図27に示したアノードカソード一体型電極の断面図であり、水素と酸素の生成および分離の様子を図示したものである。 光触媒含有層と助触媒含有層との位置関係の一例を示す、第8実施形態のアノードカソード一体型電極の概略正面図である。 (a)は第9基本構成におけるアノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置の側面断面図であり、(b)はその正面図である。 第9基本構成におけるアノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置の透視立体図である。 (a)は第10基本構成におけるアノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置の上面図であり、(b)は短辺側における側面断面図であり、(c)は長辺側における側面断面図であり、(d)は循環ポンプを接続したガス生成装置の側面断面図である。 (a)は、第11基本構成に用いられるアノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置において、ガス生成装置を水平方向に切断した上面図であり、(b)は水素と酸素のガスの流路を側面から見た断面図である。 図33に示すガス生成装置の透視上面図であり、水素ガスと酸素ガスの流路の位置関係を示している。 (a)は第12基本構成の尾根型ガス生成装置の側面図であり、(b)は拡大図である。 (a)は第12基本構成の尾根型ガス生成装置の平面図であり、(b)は拡大図である。 第12基本構成の尾根型ガス生成装置にて光を反射させる様子を示す図である。 第12基本構成の尾根型ガス生成装置にて電解液を下置きした状態を示す図である。 第13基本構成のアーチ型ガス生成装置の側面図である。 第13基本構成のアーチ型ガス生成装置の平面図である。 第13基本構成のアーチ型ガス生成装置にて電解液を下置きした状態を示す図である。 (a)〜(c)は第14実施形態のスリット型ガス生成装置の説明図である。 (a)、(b)は第14実施形態のスリット型ガス生成装置の斜視図である。 第15基本構成のフレキシブル型ガス生成装置の側面図である。 図44の拡大図である。 第15基本構成のフレキシブル型ガス生成装置の使用状態を示す図である。 第15基本構成のフレキシブル型ガス生成装置の斜視図である。 第9基本構成におけるアノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置を用いたガスの生成実験の説明図である。 第1の実施の形態の水素生成用の光カソード一面照射型電極を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第2の実施の形態の水素生成用の光カソード一面照射型電極を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第3の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第4の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第5の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第6の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第7の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第8の実施の形態の酸素生成用の光アノード電極と水素生成用のカソード電極を対向配置した構成を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第9の実施の形態の酸素生成用の光アノード電極と水素生成用のカソード電極を対向配置した構成を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第10の実施の形態の酸素生成用の光アノード電極と水素生成用の光カソード電極を対向配置した構成を備えるガス生成装置の側面断面図である。 第11の実施の形態の酸素生成用の光アノード電極と水素生成用の光カソード電極を対向配置した構成を備えるガス生成装置の側面断面図である。 水分解セルを模式的に示す断面図である。 光電流の簡易測定装置を模式的に示す断面図である。 可視照射光源の発光スペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宣説明を省略する。
まず、本実施の形態のガス発生装置の基本構成について説明する。
本基本構成のガス生成装置は、水を含む電解液から酸素ガスおよび/または水素ガスを生成する装置である。本基本構成のガス生成装置は、アノード電極、カソード電極、複数の貫通孔、およびガス収容部を備えている。
アノード電極(光触媒担持電極)は、光触媒反応により電解液から酸素ガスを生成する光触媒を含む光触媒含有層を有する。カソード電極は、光触媒含有層における光触媒反応により電解液で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成する。貫通孔(第一および/または第二貫通孔)は、アノード電極またはカソード電極の少なくとも一方に設けられ、電解液を通過させず、かつ生成された酸素ガスまたは水素ガスを通過させる。そして、ガス収容部(第一および/または第二ガス収容部)は、貫通孔を通過した酸素ガスまたは水素ガスを収容する。
図5(a)〜(d)は、本基本構成のガス生成装置100の基本概念を示す模式図である。ガス生成装置100は、アノード電極2と、カソード電極3とを備える。アノード電極2は、基材25と、この基材25の一方の主面に積層して設けられた光触媒含有層27とからなる。光触媒含有層27は、光触媒反応により電解液槽10中の電解液12(図9を参照)から酸素ガスを生成する光触媒を含む。
カソード電極3は、光触媒含有層27において光7により誘起された光触媒反応で生成された水素イオンと電子とから、電解液12中で水素ガスを生成する。
アノード電極2およびカソード電極3の少なくとも一方は、複数の貫通孔(第一貫通孔111および/または第二貫通孔113)を備えている。貫通孔は、電解液12を通過させず、光触媒の励起光の照射により電極の表面側で生成されたガス(酸素ガスまたは水素ガス)を、裏面側に選択的に通過させる。
本基本構成のカソード電極3は、光触媒の励起光を受光することにより水素ガスを生成する光触媒含有層43を含む。光触媒含有層27は第一貫通孔111の近傍に配置され、光触媒含有層43は第二貫通孔113の近傍に配置されている。
ガス生成装置100は、貫通孔が開口している裏面を囲繞するガス収容部(第一ガス収容部21および/または第二ガス収容部31)を備えている。
すなわち、ガス生成装置100は、アノード電極2に設けられて電解液12を通過させず酸素ガスを通過させる第一の貫通孔(第一貫通孔111)と、カソード電極3に設けられて電解液12を通過させず水素ガスを通過させる第二の貫通孔(第二貫通孔113)と、を備えている。
そして、ガス生成装置100は、第一貫通孔111の開口に設けられて酸素ガスを収容する第一ガス収容部21と、第二貫通孔113の開口に設けられて水素ガスを収容する第二ガス収容部31と、を備えている。
また、ガス生成装置100は、光触媒の可視光を透過させるとともに該励起光を光触媒含有層に照射する受光窓をさらに備えている。
図5(a)を用いて詳細に説明する。同図はガス生成装置100の側面図である。
光7(可視光)が受光窓4および電解液槽10を通過して、光触媒含有層27に照射されることにより、光触媒反応が生じて電解液12に酸素とプロトンが形成される。ここで、形成されたプロトンは光触媒含有層43の表面にて初めて水素に変化する。
このプロトンから水素に変化する際には電子も必要であるが、この電子の供給ルートはいくつかの手段があり、図示は省略する。プロトンは、光触媒含有層27から光触媒含有層43に電解液12中を泳導することにより到達する。従って、このプロトンの泳導距離は短い方が好ましい。しかし、図5(a)の示す重要な点は、光触媒含有層27および光触媒含有層43にて発生した酸素と水素が相互に出会うことがなく、言い換えると酸素と水素とが会合によって水に逆戻り反応してしまう前に、気液分離を目的とする貫通孔111、113によって分離され、会合する機会を失うことにより、効率よく水素ガスの捕集が行われることにある。なお、光触媒含有層43を含むカソード電極3に光7が照射される。
図5(a)に示す受光窓4は、基材25に対して光触媒含有層27と同じ側に配置されている。言い換えると、光7は基材25を透過することなく光触媒含有層27に照射される。このため、基材25は、透光性の材料または不透光性の材料のいずれを用いることもできる。同図では、不透光性の基材29を例示している。
図5(b)は、図5(a)とほぼ同様であるが、光7の照射方向が逆向きになっている。アノード電極2は、光触媒含有層27を支持する基材25を備えている。この基材25は、励起光7を透過する透光性の材料(透光性基材28)から構成されている。また、第一ガス収容部21を構成する材料も透光性である。
また、光触媒含有層43と受光窓4との間に設けられた第二ガス収容部31も同様に透光性の材料からなる。
これにより、受光窓4を通過した光7は、第一ガス収容部21または第二ガス収容部31を通じて基材25(透光性基材28)に入射し、さらに基材25を通過して光触媒含有層27または光触媒含有層43に至り、電解液槽10に貯留された電解液12に対して電解作用を及ぼす。
図5(c)は、図5(a)に示した光触媒含有層27を有するアノード電極2単独のガス生成装置である。例えば、アノード電極2をこのガス生成装置に取り付け、カソード電極としては白金リボン(図示せず)にて代用するような構造とすることができる。例えば、カソード電極3をこのガス生成装置に取り付け、アノード電極としては白金リボン(図示せず)にて代用するような構造とすることができる。
また、図5(d)は、図5(a)に示した光触媒含有層43を有するカソード電極3単独のガス生成装置である。このような形態を有するものも、ガス生成装置を構成する部材として用いることが可能である。
ここで、電解液12に接した貫通孔に働くヤング−ラプラス圧について説明する。
図6(a)は、ヤング−ラプラスの式を説明する図であり、貫通孔111におけるガス相と電解液12の気液界面52の形成機構についての説明である。図6(b)は貫通孔111の開口部51が矩形形状の場合を示し、図6(c)は貫通孔111の開口部51が略円形の場合を示している。
ヤング−ラプラスの式は、以下の式(1)のように定義される。
ΔP(=P1−P2) ≦ −4γcosθ/W = Δp ・・・ (1)
上記式(1)において、Δpはヤング−ラプラス圧、γは電解液12の表面張力、θは電解液12と貫通孔111(または貫通孔113)の壁面との接触角、Wは貫通孔111の開口部51の径を表す。
図6(a)に示すように、接触角θで接する電解液12を貫通孔111又は貫通孔113の深さ方向に広げるのに必要な力は、−γcosθとなる。ここで、図6(b)に示すように、貫通孔111、113の開口部51がW×Wの矩形形状の場合、表面張力は、電解液12と接している面にかかる。すなわち、このときに電解液12を貫通孔111に押し込むのに必要な力は、−4Wγcosθとなる。これを貫通孔111の面積(W)で除して圧力に換算すると、ヤング−ラプラスの式は上式(1)のようになる。
同様に図6(c)に示すように、貫通孔111、113の開口部51が直径Wの円形状の場合、電解液12を貫通孔111、113の深さ方向に押し込むのに必要な力は、−πWγcosθとなる。これを貫通孔111の面積(π・W/4)で除して圧力に換算すると、この場合もヤング−ラプラスの式は上式(1)のようになる。
なお、スリット状の貫通孔のように、一辺Lが他の一辺Wよりも遥かに長い場合(L≫W)のヤング−ラプラス圧Δpは、式(1)に類似する以下の式(2)によって表すことができる。
Δp = −2γcosθ/W ・・・ (2)
ここで、貫通孔をスリット状とする場合、その開口幅(Wに相当)は、1000μm以下、好ましくは500μm以下、さらに好ましくは100μm以下、最も好ましくは50μm以下である。貫通孔の開口幅は、生成したガスが通過可能である限りにおいて、小さい方がより好ましい。式(1)に示すように、幅Wが小さい方がヤング−ラプラス圧はより大きくなる傾向にあり、ヤング−ラプラス圧がより大きくなることにより電解液12の侵入を抑制する力がより強くなる。
水を主成分とする電解液の表面張力を70[mN/m]とし、電解液12と貫通孔111の内壁面との接触角を110°とした時の、想定した開口幅Wに対するヤング−ラプラス圧Δpの大きさを下に示す。
W=1000μmにおける Δp= 96Pa = 0.9cm−水柱
W= 500μmにおける Δp= 193Pa = 1.9cm−水柱
W= 100μmにおける Δp= 957Pa = 9.6cm−水柱
W= 50μmにおける Δp=1914Pa =19.2cm−水柱
この結果は、カソード電極3を鉛直方向に設置する縦型のガス生成装置100の場合において、拡張可能なカソード電極3の開口幅Wの限界を示したものである。一方、カソード電極3を水平方向に設置する横型のガス生成装置100の場合には、アノード電極2の上方に設置されたカソード電極3の上面から電解液面までの制限高さを示したものである。貫通孔113の開口幅Wをより小さくすることにより、カソード電極3の設計の自由度と操作安定性の向上を達成することができる。
図7は、貫通孔111、113が形成された状況を観察した平面図であり、貫通孔の孔径とピッチの関係を示したものである。ここで、貫通孔のピッチとは、隣接する孔の中心(重心)同士の距離である。
本基本構成においては、複数の貫通孔111、113が、アノード電極2またはカソード電極3に規則的に配置されている。図7に記載したものは千鳥格子状に貫通孔を配したものであり、孔径を記載した貫通孔と、これに隣接する横の貫通孔、および60°傾いた位置にある貫通孔とのピッチは同距離である。なお、千鳥格子状に代えて、正方格子状や斜方格子状に貫通孔111、113を配置してもよい。
隣接する貫通孔111、113の重心間距離は、0.1μm以上800μm以下が好ましい。隣接する他の貫通孔との距離がこの範囲にある貫通孔111、113を含むことで、光触媒反応により生じたガス(酸素ガスまたは水素ガス)を高い収率で捕集することができる。
そして、本基本構成のガス生成装置100は、すべての貫通孔111、113において、隣接する他の貫通孔との重心間距離が0.1μm以上800μm以下であることが好ましい。これにより、アノード電極2またはカソード電極3の場所によらずガスの収率が良好となる。
隣接する貫通孔111、113同士の重心間距離は、貫通孔111、113の開口直径の1.5倍以上かつ5倍以下が好ましい。孔ピッチ間隔は、後述するように、発生した正孔および電子がその移動における距離ができるだけ短いことが好ましいため、上記範囲にあると気体が効率良く生成する。
また、貫通孔111、113の開口直径は300μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。前述のように、孔径は小さい方がヤング−ラプラス圧に基づき、電解液の漏洩に対してより抗しやすくなるため、孔径が上記範囲にあると、電解液を通過せずガスのみを選択的に通過させることができる。
したがって、これらの条件(孔径、孔ピッチ間隔)をいずれも満たすことにより、触媒層(光触媒含有層27、光触媒含有層43)の表面で効率よくガスを生成させることができ、さらに生成ガスが貫通孔111、113を介して裏面側に効率よく移動する。つまり、生成ガスが触媒層表面に付着し、後続のガス生成を抑制することがないので、電解液から所望のガスを効率よく生成することができ、さらに生成ガスの分離回収性にも優れる。
図8(a)は、光触媒含有層27および光触媒含有層43と、夫々の貫通孔(第一貫通孔111と第二貫通孔113)との構造に起因する特徴を説明する模式図である。同図(b)はその拡大図である。
光触媒含有層27(光触媒含有層43)は多数の空孔を含む多孔質材料であり、光触媒(助触媒)は空孔に露出している。光触媒含有層27および光触媒含有層43は、実質的に光触媒および助触媒のみからなる。
光触媒含有層27(光触媒含有層43)の空孔は、貫通孔111、113の内壁面に露出して存在している。すなわち、アノード電極2およびカソード電極3の貫通孔111、113の内壁面には、光触媒または助触媒からなる多数の空孔が開口している。
また、貫通孔111、113の内壁面に露出した光触媒含有層27(光触媒含有層43)の空孔は、他の空孔と互いに連通している。言い換えると、光触媒含有層27、光触媒含有層43は連続気泡タイプの多孔質材料からなる。これにより、光触媒含有層27(光触媒含有層43)に対して厚み方向に含浸した電解液12において発生したガスは、空孔を通じて、近接する貫通孔111、113に至る。貫通孔111、113には、ヤング−ラプラス圧以下の電解液12は侵入しないため、貫通孔111、113の開口近傍が電解液12とガスとの気液界面となっている。したがって、光触媒含有層27(光触媒含有層43)の内部で生じたガスは、貫通孔111、113に至ることで電解液12より離脱し、気泡となってアノード電極2(カソード電極3)の反対面側に捕集される。
すなわち、図8のポイントXで示した位置において、電解液12が沁みこんだ光触媒含有層27中に、あるいは電解液12に触れた状態にある光触媒含有層27において、光照射によって光励起反応が生じて電子と正孔が発生し、次いで上述の(式101)に示したように酸素分子とプロトンが生成される。酸素分子は集合して初めて気泡を形成するが、発生初期の段階では分子として電解液に溶けたままの状態である。ポイントXで発生した酸素分子は、拡散により光触媒含有層27中および電解液12中を漂うが、やがて貫通孔111と電解液12が形成する気液界面52に到達し、気体に取り込まれるようにして酸素ガスを構成する分子になる。このようにして酸素分子は、酸素気体として捕集されていく。
一方、プロトンは電子があって初めて水素分子に変化しうる。プロトンを水素分子に変化させるには、電子の存在の他に、水素ガスを生成する光触媒の存在が欠かせない。従って、プロトンは光触媒含有層27中を拡散し、電解液12に溶け出した後、光触媒含有層43に到達して初めて水素分子になりうる。
しかし、もし光触媒含有層27に貫通孔111がない場合、光触媒含有層27中に形成された酸素分子はプロトンと同じ拡散による動きにより、気泡化できなかったものは光触媒含有層43に到達し、ここで水への逆戻り反応によってプロトンとともに消失してしまう。
従って、本基本構成のように貫通孔111の形成する気液界面52が光触媒含有層27のすぐ近くに存在していることで、生成した酸素を酸素気泡として分離回収することができる。このため、水への逆戻り反応を阻害し、その結果、水素の捕集効率を向上させる。
また、光触媒含有層43に形成された貫通孔113により、水素が気液界面により分離捕集されることを促進する。これにより、酸素の分離捕集のプロセスと同様に水素の捕集効率を向上する。
光触媒含有層27および光触媒含有層43に形成された貫通孔111、113が形成する気液界面52と、酸素分子とプロトンの発生ポイント、もしくは水素分子の発生ポイントとの距離は、近い方が好ましい。この距離を、以下、界面−反応点距離という。界面−反応点距離は、気液分離のプロセスを有効足らしめるのに必要な距離である。貫通孔の径およびピッチ距離の異なる系で繰り返し実験を行ったところ、界面−反応点距離は、400μm以内が望ましいことが明らかとなっている。
したがって、隣接する貫通孔111、113の近接縁間距離は0.1μm以上400μm以下が好ましい。これにより、貫通孔111、113からもっとも遠い位置、すなわち貫通孔111、113同士の中間位置がプロトンの発生ポイントとなった場合でも、界面−反応点距離を400μm以下とすることができる。
また、隣接する貫通孔111、113の重心間距離が100μm以下であることが更に好ましい。隣接する貫通孔同士の距離がこの範囲にあることで、界面−反応点距離を良好に低減することができる。
ここで、貫通孔111、113の内壁面に疎水化処理が施されていることが好ましい。
同様に、アノード電極2またはカソード電極3のうちガス収容部21、31(図5を参照)が設けられた裏面側は、電解液12に対して疎液性であることが好ましい。
これにより、貫通孔111、113に対して電解液12が侵入することが抑制されて貫通孔111、113の内部の略全体が気相となり、気液界面52が貫通孔111、113の開口近傍に形成される。このため、アノード電極2やカソード電極3の内部のみならず表面近傍で発生したガスに関しても、貫通孔111、113に至ることで、ただちにガス(気相)化されて捕集される。
光触媒含有層27およびカソード電極3は、電解液12に対して親液性であることが好ましい。これにより、電解液12が光触媒含有層27およびカソード電極3(光触媒含有層43)と良好に接触して光触媒反応が行われる。
ここで、本基本構成にかかるガス生成方法(以下、本方法という場合がある)を説明する。
本方法は、水を含む電解液から酸素ガスおよび/または水素ガスを生成する方法である。
本方法は、液接触工程と照射工程と捕集工程とを含む。
液接触工程では、光触媒反応により電解液から酸素ガスを生成する光触媒を含む光触媒含有層27を有するアノード電極2と、光触媒含有層27における光触媒反応により生成された電解液中の水素イオンと電子とから水素ガスを生成するカソード電極3と、に電解液を接触させる。
照射工程では、光触媒含有層27に光触媒の励起光を照射する。
そして、捕集工程では、アノード電極2で生成された酸素ガスまたはカソード電極3で生成された水素ガスの少なくとも一方を、このアノード電極2またはカソード電極3に設けられた複数の貫通孔111、113を通じて捕集する。
図9は、アノード電極2とカソード電極3とが対向して設置された、対向配置型のガス生成装置の基本構成を示す模式図である。カソード電極3と、アノード電極2の光触媒含有層27と、は互いに対向して配置されている。
図9(a)は斜視図であり、図9(b)は側面断面図である。これらの図は、光触媒含有層27の背面から光7を照射した場合を示している。光7は、受光窓4、ガス収集部21、透光性基材28を通過して光触媒含有層27に照射される。
一方、図9(c)、(d)は、同じく対向配置型のガス生成装置の基本構成を示す図である。これらの図は、それぞれ斜視図および側面断面図である。光7の照射方向は、同図(a)、(b)の場合とは逆であり、光触媒含有層43の背面から照射されている。
アノード電極2は、光7(可視光)を透過する材料から構成されている。そして、受光窓4はカソード電極3に対向して配置されて、受光窓4を透過した励起光7が、アノード電極2をさらに透過して光触媒含有層27に照射される。この場合、光触媒含有層43は透光性である必要があり、100nm程度の層厚であることが好ましい。また、カソード電極3を構成する基材もまた透光性が好ましく、透光性基材28を用いるとよい。
図9(a)、(b)に示す受光窓4は、基材25を介して光触媒含有層27の反対側に配置されている。受光窓4を透過した励起光は、基材25をさらに透過して光触媒含有層27に照射される。
図9に示す対向配置型のガス生成装置の利点は、構造が簡単であり、またアノード電極2とカソード電極3との間の距離を可能な限り狭くすることができる点にある。これにより、プロトンの移動距離の低減、ひいては水素の捕集効率の向上につながる。
アノード電極2は、光触媒含有層27を支持する基材(透光性基材28)を備えている。透光性基材28は、励起光7を透過する材料から構成されている。そして、図9(a)、(b)に示す照射工程では、透光性基材28を透過させた励起光7を光触媒含有層27に照射する。
カソード電極3は、励起光7を透過する材料から構成されている。そして、図9(c)、(d)に示す照射工程では、カソード電極3を透過させた励起光7を光触媒含有層27に照射する。
図10は、プロトンの移動を示す説明図である。具体的には、図10(a)は、カソード電極3とアノード電極2とを、これらの外部を通るリード線202で結合した状態を示している。光触媒含有層27にて発生した電子8(e)を効率よく、カソード電極3に輸送することができる。プロトン34(H)は、電解液12内を移動して、カソード電極3の光触媒含有層43に至る。同じく発生した酸素ガス23はアノード電極2を貫通して捕集され、水素ガス33はカソード電極3を貫通して捕集される。
なお、光触媒反応の機構を考察すれば、必ずしもこのような外部を通るリード線202は必要ではない。例えば、図10(b)に示すような多孔質チタン206のような、導電性かつ物質輸送性(拡散性)の良好な構造の材料を、アノード電極2とカソード電極3との間に挟みこんでもよい。これにより、水素ガスおよび酸素ガスの発生を損なうことなく、光7の照射によってアノード電極2で発生した電子をカソード電極3に輸送することが可能である。
すなわち、カソード電極3が光触媒の励起光7を受光することにより水素ガスを生成する光触媒含有層43を含むとともに、アノード電極2の光触媒含有層27とカソード電極3の光触媒含有層43との間に、導電性の材料からなり、かつ電解液の透過が可能な電子移動層(多孔質チタン206)を備えてもよい。
<光触媒電解セル>
図11は、本実施の形態における光触媒電解セルの構成を示した模式図である。図11(a)は光触媒電解セルの側面断面図であり、図11(b)は光触媒電解セルの正面図である。光触媒電解セルは、アノード電極2またはカソード電極3の一方を備え、他方(カソード電極3またはアノード電極2)とともに用いることでガス生成装置100を構成する部材である。
図11(a)、(b)に示すように、光触媒電解セル1は、通電用金属枠201によって光触媒電解セル1に固定されたアノード電極2と、受光窓4と、酸素ガスを収容する第一ガス収容部21と、酸素ガス排出管101と、不活性ガス供給管102と、通電用ワイヤ202とを備える。アノード電極2はシートホルダー120に装着されている。
アノード電極2は、基材25と、基材25の一方の面に形成された光触媒含有層27とからなり、平板形状を有する。光触媒含有層27を備える光触媒担持面20は、アノード電極2において受光窓4から光を受光する面の裏面側に位置する。電解液に接することとなる面に形成される光触媒含有層27は、電解液に対して親液性である。電解液は水を含むものであり、光触媒含有層27は親水性であることが好ましい。
本基本構成において、アノード電極2を構成する基材25の形状としては、シート状、基板状、フィルム状等を挙げることができる。
基材25は、光触媒含有層27に含まれる触媒を励起する励起光に対して透明である。これにより、光触媒はガス生成機能を発揮することができる。受光窓4から入射した励起光は、アノード電極2を透過し、裏面側から光触媒担持面20の光触媒含有層27に照射されて、光触媒機能が発揮される。
基材25は、照射する励起光に対して透明である基材から構成することができる。基材25としては、ガラスなども使用できるが、可視光に対して透明性が必要であれば、石英板が好ましい。またプラスチックフィルムを用いることも可能であるが、可視光に対しても透明性を有するものが好ましい。プラスチックフィルムであれば、微細な孔を多数形成することは容易であり、ガス生成装置および生成ガスの低コスト化が可能になる。
なお、本基本構成においては、基材25と光触媒含有層27とを積層したアノード電極2を例示しているが、本発明はこれに限られない。光触媒含有層27のみでアノード電極2を構成してもよく、基材25を使用は任意である。なお、本基本構成のガス生成装置100を地面または設置台(図示せず)に搭載する際の土台として、アノード電極2(光触媒含有層27)または他の部材を載置するための基材(基台)を用いてもよい。
基材25として用いられる透明基材としては、上述したガラス、石英の他、プラスチックフィルムであれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィンコポリマーなどのポリオレフィン樹脂フィルム、メタクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、セルロースアセテート樹脂フィルム、透明性ポリイミド樹脂フィルム、透明性フッ素樹脂フィルム、シリコーン樹脂フィルム、また一部の生分解性ポリマーなどを用いることができる。
また、透明な基材25は、導電性を有するものであることが好ましいが、一般には絶縁性である。この場合、後述する図12(c)に示すように、基材25と光触媒含有層27との間に透明導電膜24を形成することによって、その表面に導電性を付与することも可能である。
本基本構成においては、光触媒担持面20の裏面に対向する位置に設けられた受光窓4から、励起光が照射される例によって説明する。なお、励起光が光触媒担持面20側から直接照射される場合、基材25は励起光に対して透明である必要はない。この場合、アノード電極2に用いる基材25は、金属基板や黒鉛板などから構成することができる。また、メッシュ状やすだれ状のものをアノード電極2に用いる場合には、金属製や黒鉛製のファイバーなどを用いることも可能である。これらの材料からなる基材25は導電性であるので、透明導電膜24を設ける必要はない。
なお、アノード電極2の基材25が励起光に対して不透明である場合、アノード電極2に対向するカソード電極3を励起光に対して透明な材料から形成し、光触媒含有層27に励起光を照射可能に構成することが好ましい。
透明導電膜24は、インジウム錫酸化鉄(ITO)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等から形成することができる。透明導電膜24は、真空蒸着、化学気相蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、ゾルゲルコーティング等の方法により形成することができる。
光触媒含有層27に含まれる光触媒は、可視光により光触媒反応を発揮する触媒であれば特に限定されず、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ジルコニア、酸化ネビジウム、酸化モリブデン、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化鉛および酸化ビスマスよりなる群から選択される少なくとも1種から選択された金属に、元素をドープしたものが用いられる。代表的な可視光型光触媒としては、酸化セリウムを担持した酸化チタンや、タンタル酸ナトリウム複合酸化物、ビスマス酸化物系とロジウムをドーピングしたストロンチウム系酸化チタンなどの研究が進められており、これらの光触媒を用いることもできる。
これらの光触媒を含む光触媒含有層27の形成方法としては、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。
また、光触媒がシート基板を侵食しない溶剤に溶ける場合は、スピンコート法、スクリーン印刷法、スプレー法などの形成方法が好適に採用される。上記の形成直後、これらの光触媒はアモルファス状態であるので、光励起で生成した電子・正孔が反応表面に達する前に欠陥やディスオーダーで捕捉されてしまい、触媒機能が期待できない。そこで結晶化を進めるために、加熱処理が行なわれる。加熱温度は200℃〜700℃の範囲が好ましい。
このほか、光触媒含有層27の形成方法としては、光触媒を分散させた触媒分散溶液を金型に流し込み、これを加熱焼成または溶剤処理して触媒分散溶液を除去するキャスト法を用いてもよい。具体的には、触媒分散溶液として樹脂組成物(バインダ)を用い、これを加熱焼成することで、実質的に光触媒のみからなる多孔質材料を製造することができる。触媒分散溶液を流し込む金型には、貫通孔に対応する箇所が突出した、光触媒含有層27の反転金型を用いる。光触媒含有層43の製造に関しても同様である。
光触媒含有層27(光触媒含有層43)の層厚は0.25μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上かつ10μm以下の範囲がより好ましい。光励起で発生した正孔や電子が電解液と効率良く反応するためには光触媒の微粒子と電解液の接触面積を大きくする必要がある。そのため、表面だけでなく膜の深さ方向にも距離が長い方がより微粒子と接触する機会が増える。層厚が過小の場合は、電解が起きず触媒活性が低下することがあり、一方、層厚が過大の場合は電極膜の剥離が発生することがあり電解が中断する可能性がある。
酸素ガス排出管101は、ガス収容部21に連通しており、このガス収容部21内に回収された酸素ガスを排出することができる。通電用ワイヤ202は通電用金属枠201に接続しており、光触媒含有層27で生成された電子を、通電用ワイヤ202を介してカソード電極(同図には図示せず)に供給することができる。このような構成は、アノード電極2に代えてカソード電極3に適用可能である。
図11(b)は光触媒電解セル1の正面図である。図11(b)において、電解を行なう光触媒担持面20側を正面にしており、励起光が照射される面は裏面となる。図11(b)に示すように、光触媒電解セル1は、酸素ガス排出管101と不活性ガス供給管102を備え、これらはガス収容部21に連通している。窒素ガス等の不活性ガスを、不活性ガス供給管102からガス収容部21に供給することにより、酸素ガスの回収を促進することができる。
図12は、酸素ガスを選択的に通過させる複数の貫通孔111を有するアノード電極2の一例を示す模式図である。なお、図12において、基材25は、励起光に対して透明な材料から構成されている。
図12(a)は、アノード電極2の正面図であり、図12(b)は、アノード電極2の側面断面図である。さらに、図12(c)は、アノード電極2の中心部分を拡大した図である。拡大部分は正方形の破線で囲まれた部分である。アノード電極2は、基材25、透明導電膜24、光触媒含有層27が順に積層された構造を有する。
アノード電極2は、光触媒電解セル1に固定するための支持具であるシートホルダー120に装着されている。なお、シートホルダー120は図11および図12以外の図面においては記載を省略する。アノード電極2には、複数の貫通孔111が形成されている。貫通孔111の形状は、ヤング−ラプラスの式を満たす範囲において自由に設計することができる。また、アノード電極2自身が、複数の貫通孔111を備える多孔構造であるほか、メッシュ状のものや、すだれ状のものであってもよい。すなわち、アノード電極2は、電解液12を通過させず、かつ生成された酸素ガスを裏面側に選択的に通過させる貫通孔が形成されていればよい。このような構成は、アノード電極2に代えてカソード電極3に適用可能である。
図13は、アノード電極2(カソード電極3)に形成した孔加工部の一例を示す平面図である。本基本構成において、貫通孔111の孔径は100μmとし、孔のピッチ間隔(重心間距離)は150μmとしている。この孔径およびピッチ間隔は適宣決定することができるが、前述するように、孔径が小さい方がヤング−ラプラス圧に基づき、電解液の漏洩がより抑制される。
基材25に貫通孔111を形成する方法としては、ドリル加工、レーザー加工、サンドブラスト加工等を用いることが可能である。なお、貫通孔111を形成した後に透明導電膜24および光触媒含有層27を形成してもよく、透明導電膜24および光触媒含有層27を基材25に形成した後に貫通孔111を穿設してもよい。
貫通孔111の内壁面は、電解液に対して疎液性であることが好ましい。さらに、アノード電極2の光触媒担持面20の裏面も電解液に対して疎液性であることが望ましい。これにより、電解液の貫通孔111内への浸入をより効果的に抑制することができる。電解液は水を主成分として含むものであり、貫通孔111の内壁面とアノード電極2の裏面は疎水性であることが好ましい。
貫通孔111の内壁面を疎水化する方法として、予め疎水性の基板を用いることの他、疎水性のコーティング剤を塗布する方法を用いることができる。例えば、CYTOP(旭硝子製)などのテフロン(登録商標)製樹脂コーティング剤等を用いることが可能である。また、フッ素系のガスを用いたプラズマ処理による疎水化も可能である。
アノード電極2の光触媒含有層27を電解液12に接触させ、さらに受光窓4を透過した光触媒の励起光をさらに基材25を透過して光触媒含有層27に照射させることにより、光触媒含有層27における光触媒反応により酸素ガスを発生する。なお、貫通孔111のうち、基材25の厚み部分に対応する内壁面には光触媒が担持されておらず、当該箇所では酸素ガスは発生しない。貫通孔111はヤング−ラプラスの式に基づいて形成されており、電解液は貫通孔111への深さの侵入が抑制される。貫通孔111の開口部には、電解液面とガス相の境界面である気液界面が形成される。この気液界面52は、前述したヤング−ラプラス圧に起因して形成される。なお、貫通孔111の内壁面が疎水性である場合、貫通孔111内への電解液の浸入をより効果的に抑制することができる。
そして、光触媒含有層27にて発生した酸素ガスは、気泡に成長すると同時に気液界面52に接触し、破泡現象によって貫通孔111内部のガス相に吸収されることになる。この結果、酸素ガスが発生すると同時に貫通孔111内に吸い込まれ、アノード電極2の裏面側に移動する現象が連続して生じる。そして、アノード電極2の光触媒含有層27にて発生した酸素ガスは、貫通孔111を介して裏面側に移動し、ガス収容部21に蓄積されることになる。
<水素ガス生成用電解セル>
図14は、水素ガス生成用電解セル6の模式図である。図14(a)は、水素ガス生成用電解セルの側面断面図である。図14(b)は水素ガス生成用電解セルの正面図である。
図14(a)、(b)に示す水素ガス生成用電解セル6は、通電用金属枠201によって水素ガス生成用電解セル6に固定されたカソード電極3と、受光窓4と、水素ガスを収容するガス収容部31と、水素ガス排出管103と、通電用ワイヤ202とを備える。
カソード電極3は透明基材から構成されていてもよい。透明基材としては、例えばアルカリガラス、石英ガラス等を挙げることができる。また、透明なプラスチックフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィンコポリマーなどのポリオレフィン樹脂フィルム、メタクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、セルロースアセテート樹脂フィルム、透明性ポリイミド樹脂フィルム、透明性フッ素樹脂フィルム、シリコーン樹脂フィルム、また一部の生分解性ポリマーなどを用いることができる。
受光窓4は、対向して設けられるカソード電極3の光触媒含有層43に励起光を照射するためのものである。光触媒電解セル1(図11を参照)に受光窓4が設けられ、さらに基材25が励起光に対して透明であれば、水素ガス生成用電解セル6に受光窓4は必ずしも必要ではなく、さらにカソード電極3は励起光に対して透明でなくてもよい。この場合、カソード電極3は、白金、ニッケル、等から構成されるとよい。なお、光触媒含有層43に効率的に励起光を照射し水素ガスの生成を促進するためには、水素ガス生成用電解セル6に受光窓4を設け、さらにカソード電極3を可視光に対して透明とすることが好ましい。
カソード電極3は、シート状、基板状、フィルム状等の形状を有しており、図12(c)、図13に示すものと同様の貫通孔が設けられている。カソード電極3には、メッシュ状のもの、すだれ状のものなど、貫通孔を隔てて離散的に配置された複数の電極部分を備えるカソード電極3を用いることができる。カソード電極3における貫通孔(第二貫通孔)は、電解液を通過せず、カソード電極3におけるアノード電極2と対向する面において発生した水素ガスを、裏面側に選択的に通過させる。
通電用ワイヤ202は通電用金属枠201に接続している。カソード電極3表面において、通電用ワイヤ202を介してカソード電極3に供給された電子と、光触媒反応により生成された電解液中の水素イオンとにより水素ガスが生成する。水素ガス生成用電解セル6の通電用ワイヤ202と、光触媒電解セル1(図11を参照)の通電用ワイヤ202とを電気的に接続することにより、光触媒含有層27において生成した電子をカソード電極3に供給し、ガス生成を連続的に行うことができる。通電用ワイヤ202は、図14(a)に示すように通電用金属枠201に電気的に接続されており、不活性ガス供給管102の中を通ってアノード電極2からの電子を供給可能に構成されている。
図14(b)は水素ガス生成用電解セル6の正面図である。図14(b)において、電解が行われる面を正面にしており、可視光が照射される面は裏面となる。図14(b)に示すように、水素ガス生成用電解セル6は、水素ガス排出管103と不活性ガス供給管102を備え、これらは第二ガス収容部31に連通している。窒素ガス等の不活性ガスを、不活性ガス供給管102から第二ガス収容部31に供給することにより、酸素ガスの回収を促進することができる。
以下、上記の光触媒電解セルおよび/または上記の水素ガス生成用電解セルを用いたガス生成装置の基本構成について、図面を用いて説明する。
[第1基本構成]
本基本構成のガス生成装置100は、図11に示した光触媒電解セル1を用いている。図15は、図11に示した光触媒電解セル1を電解液槽10内に装着したガス生成装置100の側面断面図であり、図16はガス生成装置100の正面図である。本基本構成のガス生成装置100は、アノード電極2を有する光触媒電解セル1を、白金電極を有する電解液槽10内に装着したものである。
電解液槽10は、蓋部材11により水素ガスが漏洩しないように密閉されている。蓋部材11には、光触媒電解セル1の酸素ガス排出管101および不活性ガス供給管102が貫通しており、これにより光触媒電解セル1が固定されている。不活性ガス供給管102は、蓋部材11の上面において通電用ワイヤ挿入口203を備える。通電用ワイヤ挿入口203を介して、不活性ガス供給管102内に通電用ワイヤ202が通っている。さらに、通電用ワイヤ202は支持棒301内を通ってカソード電極3と電気的に接続されている。
蓋部材11には、支持棒301が貫通している。支持棒301にはカソード電極3が固定されており、アノード電極2の光触媒担持面20と対向している。蓋部材11には、さらに、熱電対挿入口303が形成されており、熱電対挿入口303を介して温度計測用の熱電対302が電解液槽10内に挿入されている。蓋部材11には、電解液槽10内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給管102と、水素ガス排出管103とを備える。
触媒の励起光は、受光窓4を介してアノード電極2における光触媒担持面20の裏面側から照射される。本基本構成においては、電解液槽10自体も励起光に対して透明な材料から構成される。励起光は、電解液槽10および基材25を透過し、基材25上の光触媒含有層27に照射される。そして、電解液12と接する光触媒含有層27の表面にて酸素ガスと水素イオンが発生する。酸素ガスは、アノード電極2の貫通孔を通って光触媒担持面20から裏面側に移動してガス収容部21に蓄積され、酸素ガス排出管101を介して回収される(図11を参照)。
一方、水素イオンは、光触媒含有層27(図11を参照)で発生した後、電解液12に溶け込み、カソード電極3に到達する。また、光触媒含有層27で発生した電子は、通電用ワイヤ202を介して同じくカソード電極3に到達する。カソード電極3の表面において、電子と水素イオンとから水素ガスが生成する。生成した水素ガスは、浮力によってカソード電極3から離脱し、水素ガス排出管103を経て回収される。
本基本構成において、電解液12は水を主成分として含むものであり、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等を含む弱酸水溶液、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の弱アリカリ水溶液、メタノールやエタノール、プロパノールなどのアルコール類の水溶液、アクリル酸、フタル酸などのカルボン酸類等の水溶液を用いることができる。また電子輸送剤として鉄やヨウ素などのイオンを添加しても良い。
[第2基本構成]
本基本構成のガス生成装置100は、図14に示した水素ガス生成用電解セル6を用いている。図17は、図14に示した水素ガス生成用電解セル6を電解液槽10内に装着したガス生成装置100の側面断面図である。本基本構成のガス生成装置100は、カソード電極3を有する光触媒電解セル1を、アノード電極2を有する電解液槽10内に装着したものである。
第1基本構成と異なり、カソード電極3に第二貫通孔が形成され、アノード電極2には貫通孔が形成されていない。蓋部材11には、水素ガス生成用電解セル6の水素ガス排出管103および不活性ガス供給管102が貫通しており、これにより水素ガス生成用電解セル6が固定されている。不活性ガス供給管102は、蓋部材11の上面において通電用ワイヤ挿入口を備える。通電用ワイヤ挿入口を介して、不活性ガス供給管102内に通電用ワイヤ202が通っている。さらに、通電用ワイヤ202は支持棒304内を通ってアノード電極2と電気的に接続されている。
蓋部材11には、支持棒304が貫通している。支持棒304にはアノード電極2が固定されており、アノード電極2の光触媒担持面20がカソード電極3と対向するように配置されている。蓋部材11には、電解液槽10内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給管102と、酸素ガス排出管101とを備える。
触媒の励起光は、受光窓4およびカソード電極3を透過し、アノード電極2の光触媒含有層27に照射される。本基本構成においては、電解液槽10自体も励起光に対して透明な材料から構成される。本基本構成において、アノード電極2は励起光に対して不透明な材料から構成することができる。そして、電解液12と接する光触媒含有層27の表面にて酸素ガスと水素イオンが発生する。光触媒含有層27で生成した酸素ガスは、浮力によってアノード電極2から離脱し、酸素ガス排出管101を経て回収される。
一方、水素イオンは、光触媒含有層27で発生した後、電解液12に溶け込み、カソード電極3に到達する。また、光触媒含有層27で発生した電子は、通電用ワイヤ202を介して同じくカソード電極3に到達する。カソード電極3の表面において、電子と水素イオンとから水素ガスが生成する。生成した水素ガスは、カソード電極3の第二貫通孔を通ってガス生成面から裏面側に移動し、ガス収容部31に蓄積され、水素ガス排出管103を介して回収される。
[第3基本構成]
本基本構成のガス生成装置100は、図11に示した光触媒電解セル1と、図14に示した水素ガス生成用電解セル6とを用いて構成されている。
図18は本基本構成のガス生成装置の側面断面図であり、図19はカソード電極3側からの正面図であり、図20は上面図である。
図18に示すように、光触媒電解セル1と、水素ガス生成用電解セル6とは、電極間スペーサー61を挟んだ構成で、平行に設置された構成となっている。電極間スペーサーによるアノード電極2の光触媒担持面20と、カソード電極3とは対向して設置されている。アノード電極2と、カソード電極3とにより、空間(電極間隙部)が形成され、その電極間隙部には電解液12が満たされた状態になっている。
図19の正面図に示すように、ガス生成装置100の一方には、電解液供給細管133と電解液供給管131とが配置されており、上記の空間に外部より電解液を供給することができる。そして、他方には電解液排出細管134と電解液排出管132とが配置されており、上記の空間(電極間隙部)において光触媒反応に供された電解液12を外部に排出することができる。つまり、アノード電極2と、カソード電極3とにより形成された電極間隙部は、電解液流路の一部を構成する。
言い換えると、ガス生成装置100は、電解液12を貯留してアノード電極2およびカソード電極3をこの電解液12に接触させる電解液貯留部(電極間隙部)と、この電解液貯留部に電解液12を供給する電解液供給管131と、触媒反応に供された電解液12を電解液貯留部から排出する電解液排出管132と、をさらに備えている。
触媒の励起光は、受光窓4を介してアノード電極2における光触媒担持面20の裏面側から照射される。励起光は基材25をさらに透過し、基材25上の光触媒含有層27に照射される。そして、電解液12と接する光触媒含有層27の表面にて酸素ガスと水素イオンが発生する。酸素ガスは、アノード電極2の貫通孔を通って光触媒担持面20から裏面側に移動し、第一ガス収容部21に蓄積され、酸素ガス排出管101を介して回収される。
一方、水素イオンは、光触媒含有層27で発生した後、電解液12に溶け込み、カソード電極3に到達する。また、光触媒含有層27で発生した電子は、図20に示すように、通電用ワイヤ202を介して同じくカソード電極3に到達する。カソード電極3の表面において、電子と水素イオンとから水素ガスが生成する。生成した水素ガスは、カソード電極3の第二貫通孔を通ってガス生成面から裏面側に移動し、第二ガス収容部31に蓄積され、水素ガス排出管103を介して回収される。
このように、アノード電極2で発生した酸素ガスと、カソード電極3で発生した水素ガスは、互いに交じり合うことなく、第一ガス収容部21と第二ガス収容部31に別々に蓄積される。これにより、アノード電極2とカソード電極3との間隔は従来の電極構造では達成し得ない間隔にまで近接配置することが可能になる。
また、酸素ガス、水素ガスの移動は、後述するように重力によらない表面張力によって行なわれるので、上下左右の配置を気にせず、自由に電極配置を行なうことができるようになる。例えば、アノード電極2とカソード電極3とを上下に向き合うように水平に配置することも可能になる。
図21は、図18と同じく二つの電解セルを連結させたものであるが、光の照射は図17とは正反対にカソード電極3側の受光窓4より照射される。この場合、カソード電極3は励起光に対して透明であり、照射された光はアノード電極2の光触媒含有層27に照射される。この場合も、図18に示すガス生成装置100と同様に、酸素ガスと水素ガスは夫々のガス収容部に蓄積された後、夫々のガス排出管によって外部に供出される。
図18に示すガス生成装置100においては、カソード電極3を励起光に対して不透明な部材から構成することができ、図21に示すガス生成装置100においては、アノード電極2を励起光に対して不透明な部材から構成することができる。この場合には、両方から励起光を照射してもよい。本基本構成においては、励起光の照射を効率よく行う観点から、アノード電極2およびカソード電極3を励起光に対して透明な部材から構成することも好ましい。
[第4基本構成]
本基本構成のガス生成装置100は、水平に配置されたカソード電極3の上方にアノード電極2を平行に配置し、太陽光等の上方向から照射される励起光に対して略直角になるようにアノード電極2を設けられたガス生成装置100(太陽光対応ガス生成装置)である。本基本構成のガス生成装置100は、水平に設置されたアノード電極2と、その下方に平行に設置されたカソード電極3とを備えている。
図22は本基本構成の太陽光対応のガス生成装置100の上面図であり、図23は側面断面図であり、図24は下面図である。
図23に示すように、カソード電極3の上方に、カソード電極3と平行となるようにアノード電極2が配置されている。アノード電極2の光触媒担持面20が、カソード電極3と対向している。図22、23に示すように、アノード電極2の上方には受光窓4が配置されており、広い面積にて太陽光等をアノード電極2に受光できる構造になっている。
アノード電極2とカソード電極3との間の空間に、電解液12が満たすことができる。電解液12は、電解液供給管131より電解液溜め17に供給され、さらに電解液供給細管133を介して、電極間の空間に供給される。そして、光触媒反応に供された電解液12は、電解液排出細管134を介して電解液溜め17に移動し、電解液排出管132により外部に放出される。このようにして、電解液12の供給と太陽光の照射により、水素と酸素を継続して発生することができるようになる。
アノード電極2の上方には、光触媒担持面20の裏面を囲繞するように第一ガス収容部21が配置されている。アノード電極2には第一貫通孔111が形成されており、酸素ガスは第一貫通孔111を通って光触媒担持面20から裏面側に移動し、第一ガス収容部21に蓄積される。そして、酸素ガス排出管101を介して回収される。
一方、カソード電極3の下方には第二ガス収容部31が配置されている。カソード電極3には第二貫通孔が形成されており、水素ガスは第二貫通孔を通ってガス生成面から裏面側に移動し、第二ガス収容部31に蓄積される。そして、水素ガス排出管103を介して回収される。
なお、この太陽光対応ガス生成装置は、傾きを替えて使用することが可能である。ただし、電解液が供給側から排出側に流れるように供給側が高くなるように配置することは不可欠である。図24は、太陽光対応ガス生成装置を下面から見た図である。
[第5基本構成]
図25に示す第5基本構成は、第4基本構成とは逆に、カソード電極3をアノード電極2の上に設置した場合の太陽光対応のガス生成装置100の側面断面図である。本基本構成のガス生成装置100は、水平に設置されたカソード電極3と、その下方に平行に設置されたアノード電極2とを備える。
太陽光は、上方に設置された受光窓4よりカソード電極3を透過して、アノード電極2の光触媒含有層27に入射される。アノード電極2の光触媒含有層27は、上向きに配置されている。相互の電極に電解液12が満たされた状態になっている。
カソード電極3の上方には第二ガス収容部31が配置されている。カソード電極3には第二貫通孔が形成されており、水素ガスは第二貫通孔を通ってガス生成面から裏面側に移動し、第二ガス収容部31に蓄積される。そして、水素ガス排出管103を介して回収される。
一方、アノード電極2の下方には、光触媒担持面20の裏面を囲繞するように第一ガス収容部21が配置されている。アノード電極2には第一貫通孔111が形成されており、酸素ガスは第一貫通孔111を通って光触媒担持面20から裏面側に移動し、第一ガス収容部21に蓄積される。そして、酸素ガス排出管101を介して回収される。
[第6基本構成]
図26(a)、(b)は、第6基本構成のガス生成装置100の斜視図である。
本基本構成のガス生成装置100においては、カソード電極3とアノード電極2とが、共通の基材25に支持されて横並びに配置されている。
ここで、アノード電極2とカソード電極3とが横並びであるとは、平面方向に互いにずれあった位置にあることをいい、両電極が完全に同一平面内にあることを必ずしも要するものではない。
複数のカソード電極3と複数のアノード電極2とは、互いに隣接して配置されている。
本基本構成のカソード電極3およびアノード電極2は、それぞれ帯状をなしている。アノード電極2には複数の第一貫通孔111がそれぞれ形成され、またカソード電極3には複数の第二貫通孔113がそれぞれ形成されている。第一貫通孔111と第二貫通孔113とは千鳥格子状などに規則配置されている。
帯状のアノード電極2およびカソード電極3は、図26(a)のように貫通孔(第一貫通孔111、第二貫通孔113)をそれぞれ一列ずつ有してもよく、または図26(b)のように貫通孔をそれぞれ複数列ずつ有してもよい。
また、第一貫通孔111および第二貫通孔113の内壁面は、電解液に対して疎水性であることが好ましい。さらに、アノード電極2の光触媒含有層27およびカソード電極3の光触媒含有層43からなる受光面に対して、その裏面は疎水性であることが望ましい。これにより、電解液が第一貫通孔111および第二貫通孔113を介して裏面側に移動するのを効果的に抑制することができる。
[第7基本構成]
本基本構成におけるガス生成装置100は、図27の概略上面図に示すように、光触媒含有層27が第一貫通孔111の周縁部に沿ってリング状に形成されている。リング状に形成された光触媒含有層27の幅は1μm以上である。
すなわち、本基本構成の光触媒含有層27(光触媒担持面20)は第一貫通孔111の開口部の周縁部にリング状に設けられている。また、光触媒含有層43は第二貫通孔113の開口部の周縁部にリング状に設けられている。
また、光触媒含有層43が第二貫通孔113の周縁部に沿ってリング状に形成されている。リング状に形成された光触媒含有層43の幅は1μm以上である。ただし光触媒含有層27と光触媒含有層43は、基材25の厚み範囲内においては、貫通孔111、113の内壁には形成されていない。光触媒含有層27の幅が1μm以上であり、光触媒含有層43の幅が1μm以上であることにより、ガス生成に優れる。
すなわち、アノード電極2はリング状の光触媒含有層27によって構成され、カソード電極3はリング状の光触媒含有層43によって構成されている。そして、カソード電極3とアノード電極とは電気絶縁性の材料(シート110)を介して横並びに隣接して設けられ、カソード電極3とアノード電極2との隣接距離は0.1μm以上である。
図28を参照して、光触媒含有層27および光触媒含有層43におけるガス生成、さらに生成ガスの収集方法について説明する。まず、光触媒含有層27における酸素ガスの発生および収集方法について説明する。なお、図28は、図27中に示した破線における断面図である。
光触媒含有層27が、受光窓4から照射された励起光を受光すると、電解液12(ここでは水:HOとして示す)に接している光触媒含有層27上で光励起によって電子eと正孔hが生成される。
2個の正孔hは、HOを酸化し2個のH(プロトン)と2分の1個のO(酸素分子)を生成する(上式101)。このOは気体状態のまま直ちに第一貫通孔111を通過し、裏面側に移動する。水は前述するヤング−ラプラス圧のために気液界面52を形成し第一貫通孔111内部へは侵入しない(上式2)。
一方、光触媒含有層27において生成された2個のHは、水中を拡散して2個の電子eと光触媒含有層43上で反応し1個のH(水素分子)を生成する(上式102)。このHは気体状態のまま直ちに第二貫通孔113を通過し、裏面側に移動する。水は前述するヤング−ラプラス圧のために気液界面52を形成し第二貫通孔113内部へは侵入しない(上式2)。
酸素を通過させる第一貫通孔111と水素を通過させる第二貫通孔113とは空間的に隔てられており、酸素と水素が水へ戻る逆反応の確率は非常に小さくなる。本基本構成のガス生成装置において、光触媒含有層27は第一貫通孔111の開口部の周縁部に設けられ、光触媒含有層43は第二貫通孔113の開口部の周縁部に設けられている。したがって、本基本構成のガス生成装置は、酸素ガスおよび水素ガスの生産効率が向上するとともにこれらのガスの分離性に優れる。
本基本構成においては、第一貫通孔111の内壁に光触媒が担持されておらず、内壁において酸素ガスは発生しない。そして、第一貫通孔111の内壁が疎水性であるので、電解液12は侵入することができず、第一貫通孔111の開口部に電解液12面とガス相の面である気液界面52(図28に記載)が形成される。この気液界面52が形成される機構は、前述するヤング−ラプラス圧によるものである。
したがって、光触媒含有層27にて発生した酸素ガスは、気泡に成長すると同時に気液界面52に接触し、破泡現象によって第一貫通孔111内部のガス相に吸収されることになる。この結果、酸素ガスが発生すると同時に第一貫通孔111に吸い込まれ、裏面側に移動する現象が継続して生じることなる。ガス生成装置100にて発生した酸素ガスは、その背面に設けられた第1ガス収容部から酸素ガス排出管101を介して送出されることになる。このように、酸素ガス排出管101(後述する図30(a)および(b)を参照)を介して酸素ガスを回収することができる。
次に、光触媒含有層43における水素ガスの発生および収集方法について説明する。
受光窓4からの励起光を光触媒含有層27が受光すると、光触媒含有層27は光触媒反応により、Hと電子eを生成する。そして、光触媒含有層43には、電解液中のHと電子eから水素ガスを生成する。本基本構成において、第二貫通孔113の内壁には光触媒が担持されていないことが好ましい(ただし、ガスの捕集に妨げにならない程度に、光照射側の開口周辺の内壁の一部に光触媒含有層が形成されることは許容され得る)。そして、第二貫通孔113の内壁が疎水性であるので、電解液12は侵入することができず、貫通孔の開口部に電解液12面とガス相の面である気液界面52(図28を参照)が形成される。この気液界面52が形成される機構は、前述するヤング−ラプラス圧によるものである。
したがって、光触媒含有層43にて発生した水素ガスは、気泡に成長すると同時に気液界面52に接触し、破泡現象によって第二貫通孔113内部のガス相に吸収されることになる。この結果、水素ガスが発生すると同時に第二貫通孔113に吸い込まれ、裏面側に移動する現象が継続して生じることなる。このようにして、ガス生成装置100にて発生した水素ガスがその裏面に設けられた第2ガス収容部から水素ガス排出管103(図30(b)を参照)を介して水素ガスを回収することができる。
[第8基本構成]
本基本構成のガス生成装置を、図29を参照して説明する。なお、本基本構成においては、ガス生成装置が光触媒セルに装着された例を省略しているが、本明細書に記載のいずれの光触媒セルにも用いることができる。
本基本構成におけるガス生成装置100は、図29の概略上面図に示すように、光触媒含有層27からなる領域に、複数の第一貫通孔111が開口している。一方、光触媒含有層43は、第二貫通孔113の周縁部に沿ってリング状に形成されている。光触媒含有層43は光触媒含有層27上に積層されていてもよく、酸素と水素が反応し水に戻る逆反応を抑制する観点から、光触媒含有層43のみが第二貫通孔113の周縁部に沿ってリング状に形成されていてもよい。
なお、光触媒含有層27と光触媒含有層43は貫通孔の内壁には形成されておらず、内壁において酸素ガスおよび水素ガスは発生しない。そして、第二貫通孔113の内壁が疎水性であるので、電解液12の侵入を抑制することができる。
[第9基本構成]
図30は、本基本構成における光触媒セル1の構成を示す模式図であり、図30(a)は光触媒セル1の側面断面図である。図30(b)は、電解が行なわれる面側(光を受光する面側)から見た光触媒セルの正面図である。
図30(a)および(b)に示す光触媒セル1は、ガス生成装置100と、触媒層81(光触媒含有層27および光触媒含有層43)を備えるガス生成装置100の光触媒担持面20に対向して設けられた受光窓4と、ガス生成装置100の光触媒担持面20の裏面側に設けられた第一ガス収容部21と、ガス生成装置100の光触媒担持面20の裏面側に設けられた第二ガス収容部31と、を備える。本基本構成においては、光触媒担持面20を囲繞する電解液収容部10を備える。
すなわち、本基本構成のガス生成装置100は、光触媒の励起光を透過させるとともにこの励起光を光触媒含有層27に照射する受光窓4を備えている。そして、受光窓4は、光触媒含有層27および光触媒含有層43(図27を参照)に対してともに対向する位置に配置されて、受光窓4を透過した励起光が光触媒含有層27および光触媒含有層43に照射される。
また、受光窓4に対して光触媒含有層27に含まれる光触媒の励起光を照射する照射光源が別途設けられていてもよい。照射光源としては、高圧水銀ランプやキセノンランプ等を用いることができる。光触媒の励起光としては、可視光(例えば、380nm以上から750nm以下の波長を有する光)を用いることができる。例えば、380nm以上未満の波長又は750nmを超える波長の光を除去するカットフィルターを用いても良い。
ガス生成装置100は、基材25(シート110)の一方の面に触媒層81が設けられている。ガス生成装置100はシートホルダー120に装着され、シートホルダー120を介して光触媒セル1に固定されている。受光窓4は、励起光を透過することができる材料から構成され、具体的には、ガラス等の無機材料、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料などを用いることができる。
本基本構成においては、受光窓4が電解液収容部10の側壁の一部を構成している例によって示すが、受光窓4とガス生成装置100との間に、励起光を透過することができ、電解液収容部10の側壁を構成する隔壁を別途設けることもできる。
光触媒セル1は底壁26を備え、ガス生成装置100の光触媒担持面20の裏面側を囲繞するガス収容部30を構成する。ガス収容部30は、隔壁により区画されており、第一ガス収容部(不図示)と、第二ガス収容部(不図示)とが設けられている。
電解液収容部10には、電解液供給管131および電解液排出管132が接続され、図示しない循環ポンプ等により電解液を循環可能に構成することができる。図30(a)においては、電解液収容部10に電解液12が充填されている。
本基本構成において、電解液12は水を主成分として含むものであり、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等を含む弱酸水溶液、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の弱アリカリ水溶液、メタノールやエタノール、プロパノールなどのアルコール類の水溶液、アクリル酸、フタル酸などのカルボン酸類等の水溶液を用いることができる。
第一ガス収容部は、ガス生成装置100の第一貫通孔と連通している。後述するように、光触媒含有層27で生成された酸素ガスは、第一貫通孔を介して第一ガス収容部に移動し収容される。第一ガス収容部には、酸素ガス排出管101が接続されており、酸素ガス排出管101を介して酸素ガスを回収することができる。
第二ガス収容部は、ガス生成装置100の第二貫通孔と連通している。後述するように、光触媒含有層43で生成された水素ガスは、第二貫通孔を介して第二ガス収容部に移動し収容される。第二ガス収容部には、水素ガス排出管103が接続されており、水素ガス排出管103を介して水素ガスを回収することができる。
本基本構成においては、酸素ガス排出管101と水素ガス排出管103とが設置されているが、これらを併用することも可能である。また、窒素ガスやアルゴンガスなどのイナートガスを、必要に応じて酸素ガス排出管101および水素ガス排出管103から導入して、生成ガスを容易に排出することができる。
本基本構成のガス生成装置100は、光触媒の励起光を照射することにより水を含む電解液から酸素ガスと水素ガスとを生成することができる。
ガス生成装置100は、基材25(シート110)と、シート110の一方の面に設けられた、酸素ガスを生成する光触媒含有層27および水素ガスを生成する光触媒含有層43とを備える。シート110は、複数の第一貫通孔111と、複数の第二貫通孔113と、を備える。第一貫通孔111の開口部における周縁部には光触媒含有層27を備え、第二貫通孔113の開口部における周縁部には光触媒含有層43を備える。この第一貫通孔111と第二貫通孔113は隣接して設けられている。
シート110は、光触媒を担時可能であり、電解液に溶解せずまたその液圧力に耐えられる程度の機械強度を有する材料から構成される。例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料や金属膜などが好適に使用される。
本基本構成においては、基材としてシート110を用いた例によって説明するが、基材の形状としては、シート状、基板状、フィルム状等を挙げることができる。本基本構成においてシート110は、厚さ0.5mm程度である。
本基本構成では、アノード電極2およびカソード電極3の光触媒担持面20(光触媒含有層27、光触媒含有層43)に対向させて受光窓4を配置したが、本発明はこれに限られない。アノード電極2およびカソード電極3を装着するシート110を、励起光7の透過性材料で構成し、アノード電極2およびカソード電極3の裏面から励起光7を照射してもよい。
すなわち、アノード電極2およびカソード電極3を、光触媒の励起光7を透過する材料からそれぞれ構成し、励起光7を透過させるとともに光触媒含有層27に照射する受光窓4を、アノード電極2およびカソード電極3に対向して、光触媒担持面20(光触媒含有層27および光触媒含有層43)の反対側に配置してもよい。そして、受光窓4を透過した励起光7を、アノード電極2およびカソード電極3をさらに透過させて光触媒含有層27および光触媒含有層43に照射してもよい。
[第10実施形態]
本基本構成のガス生成装置100の構造を、図31および図32を参照して説明する。図31(a)は孔加工が施されているガス生成装置100の正面図であり、図31(b)はその側面断面図であり、図31(c)は図31(b)の部分拡大図である。図32は、ガス生成装置100に形成された貫通孔(第一貫通孔111および第二貫通孔113)相互の位置関係を示す概略正面図である。
本基本構成のガス生成装置100は、光触媒セル1に固定するための支持具であるシートホルダー120に装着されている。ガス生成装置100は、基材25(シート110)と、その一方の面に設けられた触媒層81とからなる。触媒層81は、光触媒含有層27と光触媒含有層43とからなる。光触媒含有層43は光触媒含有層27上に積層されていてもよく、光触媒含有層27および光触媒含有層43が積層されず触媒層81を単層構造としていてもよい。また、光触媒含有層27を構成する第1光触媒及び光触媒含有層43を構成する第2光触媒が互いに分散することにより光触媒含有層を構成してもよい。さらに、光触媒含有層27および光触媒含有層43は電解液12に対して、親液性であることが必要である。
シート110は、複数の第一貫通孔111と、複数の第二貫通孔113とを有する。シート110は、複数の貫通孔を備える多孔構造である他、メッシュ状のものやすだれ状のものであってもよい。すなわち、電解液12を通過せず、生成された水素ガスまたは酸素ガスを裏面側に選択的に通過させる貫通孔が形成されていればよい。第一貫通孔111および第二貫通孔113は、生成ガスを選択的に通過させる。
[第11基本構成]
本基本構成におけるガス生成装置100は、図32に示すようにガス生成装置(光触媒セル)に装着された例より説明する。
本基本構成におけるガス生成装置100は、図32(a)の光触媒セル1の概略上面図に示すように、光触媒含有層27からなる領域に、複数の第一貫通孔111が開口しており、光触媒含有層43からなる領域に、複数の第二貫通孔113が開口している。図32(b)は、第一貫通孔111および第二貫通孔113の位置関係を示す光触媒セル1の短辺側における側面断面図を示し、図32(c)は長辺側における側面断面図を示す。
図32(a)〜(c)に示すように、光触媒セル1は、ガス生成装置100の裏面側に酸素ガス排出管101と、水素ガス排出管103を備える。さらに、ガス生成装置100の光触媒担持面20側に設けられた電解液収容部10に電解液供給管131、電解液排出管132を備える。
図32(b)、(c)に示すように、ガス生成装置100は、光照射側の透明ガラス板(受光窓)71と側壁板72と底板73で囲まれ支持された光触媒セル筐体内部に固定されている。ガス生成装置100の裏面側に、酸素ガス収集用の空隙(第1ガス収容部104)と、水素ガス収集用の空隙(第2ガス収容部105)が設けられている。図32(b)に示される第1ガス収容部104は連通しており、第一貫通孔111を介して第1ガス収容部104内に収容された酸素ガスは酸素ガス排出管101を通して外部へ排出される。同様に、第2ガス収容部105は連通しており第二貫通孔113を介して第2ガス収容部105内に収容された水素ガスは水素ガス排出管103を通して外部へ排出される。なお、図32(b)と、図32(c)、(d)とでは、酸素ガス排出管101および水素ガス排出管103の接続位置が異なるが、装置の構成に合わせて適宜変更することができる。
電解液は電解液供給管131から電解液収容部10内に供給され、ガス生成装置100とガラス板71の間を通過し、電解液排出管132から排出される。
図32(d)の光触媒セルは、図32(c)とは異なり、電解液供給管131と電解液排出管132が循環ポンプに接続され、電解液収容部10内の電解液が循環可能に構成されている。
まず、新しい電解液は図示しない貯留槽に保管されており、開けられた保給水バルブ137を通り電解液ポンプ135によって電解液フィルタ槽136に送液され、異物などが除去される。
次に、電解液フィルタ槽136の液面が一定値まで達すると、その圧力によって電解液供給管131を介して電解液収容部10内部へ送液される。ガス生成装置100上で反応が終了した電解液は電解液排出管132へ送液されポンプ135に戻る。空になった電解液フィルタ槽136の液面が一定値に達するとこのサイクルが再び繰り返される。
電解液が消費されるとバルブ137を通して排液され、再度新しい電解液が供給される。
[第12基本構成]
本基本構成のガス生成装置を、ガス生成装置が装着されたガス生成装置(光触媒セル)の構成を示す模式図を用いて説明する。
本基本構成におけるガス生成装置100は、第3基本構成におけるガス生成装置100に比べ、第1ガス収容部104および第2ガス収容部105の配置のみが異なるため、相違点のみ説明する。
図33(a)は、本基本構成における光触媒セル1において、ガス生成装置100の面と平行となるようにガス生成装置100を切断した場合の概略上面図であり、水素ガスと酸素ガスの流路の位置関係を示している。図33(b)は、第一貫通孔111および第二貫通孔113の位置関係を示す光触媒セル1の短辺側の側面断面図である。図33(c)は、水素ガスと酸素ガスの流路の位置関係を示す、ガス生成装置の透視上面図である。
ガス生成装置100の裏面側において、第一貫通孔111の下方に第1ガス収容部104が櫛歯状に設けられており、第二貫通孔113の下方に第2ガス収容部105が櫛歯状に設けられている。第1ガス収容部104と第2ガス収容部105は、相互に入り組んで配置されている。第1ガス収容部104は全ての第一貫通孔111と連通している。第1ガス収容部104は、酸素ガス排出管101に接続され、酸素ガスを回収することができる。第2ガス収容部105は全ての第二貫通孔113と連通している。第2ガス収容部105は、水素ガス排出管103に接続され、水素ガスを回収することができる。
<ガス生成装置100の製造方法>
次に、ガス生成装置100の作成方法について説明する。
まず、シートに貫通孔を設ける。加工方法は、シート一面に均一な孔形状を周期的に形成できる方法を用いることができる。例えば回転ドリルによる切削やエッチング法などで好適に形成される。
貫通孔の開口部の形状は、特に規定しないが周囲の孔から電子、プロトンがどの方向からも等方的に相互移動するためには円形が好ましい。この貫通孔の開口部の直径は300μm以下であり、開口部のピッチ間隔は直径の1.5倍以上5倍以下であることが好ましい。
本基本構成のガス生成装置100により生成されたガスの発生量は、以下のように測定することができる。図48に示すような簡易的に構成されたガス生成装置において説明する。
図48に示すように、ガス生成装置は、光触媒セル301に、さらにガス収集手段(気相側ガスバッグ307,液相側ガスバッグ308)と、光源310とを設けて構成されている。光源310には高圧水銀ランプやキセノンランプが好適に採用される。気相側ガスバッグ307,液相側ガスバッグ308としては酸素・水素などの無機ガスを遮断するガスバリア性の高い材質であれば何でも良いが、アルミニウムバッグが好適に採用される。
光触媒セル301は、本基本構成のガス生成装置100の固定・支持と酸素ガスと水素ガスの収集を兼ねた光触媒セルであり、電解液12を入れたビーカー309に浸され、ガス生成装置100の光触媒担持面20の表面が電解液12に接する。
シート110には貫通孔(第一貫通孔111,第二貫通孔113)が設けられている。第一貫通孔111,第二貫通孔113は、前述したラプラス圧によりシート110裏面側への電解液12の侵入が抑制される。光源310からの励起光を、ガス生成装置100の触媒層81が受光して発生した酸素・水素ガスの大半は、第一貫通孔111,第二貫通孔113を通じて裏面側のガス溜め空洞部に溜まり、気相側セル内排出口313及び気相側排出管305を通過し、気相側ガスバッグ307に収集・蓄積される。
一方、第一貫通孔111,第二貫通孔113を通過しなかった気体は、液相側で気泡に成長し、液相側セル内排出口314及び液相側排出管306を通過し、液相側ガスバッグ308に収集・蓄積される。
この光触媒セル301に対し、光源310から可視光を一定時間照射する。気相側ガスバッグ307,液相側ガスバッグ308を光触媒セル301から外してガスクロマトグラフに接続し、発生気体のリテンションタイムとピーク面積を測定する。尚、校正のために予め純水素と純酸素のそれぞれリテンションタイムとピーク面積を測定しておく。
例えば水素発生量を定量化する場合、光分解による発生水素の濃度をX、ピーク面積をAとすれば、純水素(100%濃度)のピーク面積をApとして、X=100*A/Apとなる。
容器の体積をV0とすれば、発生水素の体積Vは、V=V0*X、従ってこの発生水素の気体発生量(分子数)は、気体の状態方程式:P*V=n*R*T(P:圧力、V:体積、n:分子数、R:気体定数、T:絶対温度)から求めることができる。
[第13基本構成]
図35は、本基本構成のガス生成装置100の側面図である。図36は、このガス生成装置100の平面図である。
光触媒含有層(アノード電極2)または光触媒含有層(カソード電極3)の少なくとも一方は、基材に対して傾斜して配置されている。
さらに、光触媒含有層(アノード電極2)または光触媒含有層(カソード電極3)は、基材から突出する凸面部を含む。
本基本構成のガス生成装置100は、アノード電極2およびカソード電極3を交互に配置するとともに、夫々の電極に相互の角度がつけられて、かつアノード電極2とカソード電極3とが向き合うような位置で折りたたむように配置された、立体配置型(尾根型)をなしている。
また、本基本構成のガス生成装置100には、ガス収容部21、31が夫々の電極に設置されている。これにより、受光窓4を介して入射する光7を有効に捕捉するとともに、発生する酸素と水素の分離回収を効率よく行うことが可能である。
図35は、側面からその断面構造を見たものであり、図36はアノード電極2およびカソード電極3の配置を表すため、電極部分に限ってその上面からの配置を示したものである。また、図35(b)および図36(b)は、各図(a)の破線で囲った部分を拡大して図示したものである。
アノード電極2およびカソード電極3は、夫々がガス収容部21,31を取り囲むように、かつ尾根を形成しており、夫々の電極の上に電解液12が配置されている。アノード電極2およびカソード電極3の夫々には、貫通孔111、113が形成されている。貫通孔111、113の内壁は撥水化(疎液化)処理が施されており、貫通孔111、113に電解液が沁み込んで漏洩することはない。アノード電極2からは貫通孔111を介してガス収容部21を経て酸素ガスを取り出すことができる。一方、カソード電極3からは貫通孔113を介してガス収容部31を経て水素ガスを取り出すことができる。
アノード電極2は2つで一組になって一つの尾根を形成している。アノード電極2は、隣接する同じく2つ一組になって一つの尾根を形成しているカソード電極3とは傾いて配置されている。アノード電極2とカソード電極3とは相対向している。その様子を示したものが図35(b)である。アノード電極2とカソード電極3とは、電解液12を挟んで傾きながらも対向している。これは2つの意味で、酸素および水素の発生を促進することに貢献している。一つ目はアノード電極2とカソード電極3との距離が近くなることで、カソード電極3にて発生したプロトンの移動距離を低減させることができる。このため、プロトンの捕集効率が向上する。2つ目は、入射してきた光を反射させることで、対向する電極に照射、さらに反射を行わしめることにより、入射光の有効利用を図ることができる。この光を反射させる様子を図37に示す。このような構造は、特に集光タイプの場合に有効であり、入射光を最大限に有効活用することができるようになる。また、集光型の場合に、電極が加熱されるという問題があるが、常に電解液に浸されているので、温度上昇を抑制しやすいという特徴も有している。
すなわち、カソード電極3は、励起光7を受光することにより水素ガスを生成する光触媒含有層43を含んでいる。そして、本方法の照射工程では、アノード電極2またはカソード電極3で反射した励起光7を、他のアノード電極2の光触媒含有層27またはカソード電極3の光触媒含有層43に照射する。
図38に示したものは、電解液が下置きで、発生した酸素や水素ガスを上側に捕集する構成となっているものである。この場合にも、アノード電極2とカソード電極3は、傾いた配置を取りながらも相対する構成となっている。但し、図示していないが、アノード電極2の有する光触媒含有層およびカソード電極の有する光触媒含有層は夫々下向きになっているので、光は基材を通過して光触媒含有層に照射される必要があることから、少なくともカソード電極3を構成する基材は透光性であることが要件である。
アノード電極2の光触媒含有層の面と、カソード電極3の光触媒含有層を有した面とがなす角度が、0°より大きく180°未満の角度にて配置されていることが望ましい。両者のなす角度が0°の場合にはアノード電極2とカソード電極3とが互いに平行に向き合う形で配置されていることを意味する。同じく、両者のなす角度が180°の場合にはアノード電極2とカソード電極3とが平面を構成していることを意味する。なお、本基本構成において、アノード電極2の光触媒含有層とカソード電極3の光触媒含有層とのさらに望ましい角度は、20°よりも大きく90°未満である。
[第14基本構成]
図39は、本基本構成のガス生成装置100の側面図である。図40は、このガス生成装置100の平面図である。
本基本構成の光触媒含有層(アノード電極2)と光触媒含有層(カソード電極3)は、基材から突出する凸面部を含み、立体配置型(アーチ型)をなしている。
この凸面部は、互いに対向する一対の立面を含む箱状をなしている。そして、ガス収容部21、31は、この凸面部の内部に形成されている。
本基本構成のガス生成装置100は、アノード電極2およびカソード電極3の夫々がアーチ形状を有しており、図35から図38に示した尾根形の構成の変形とも言うべきガス生成装置である。本基本構成の構造はより緻密なものとなっている。図39に示すように、貫通孔111を有したアノード電極2は、一片が開いた矩形の構造を有している。開いた一片はガス収容部21と連通しており、かつ矩形の中もガス収容部21の一部を形成している。電解液12はアーチ形状を有したアノード電極2の上部に配置されている。貫通孔111の内壁面は疎水化処理が施されている。このため、上部にある電解液12がガス収容部21に漏洩することはない。また、カソード電極3も同じくアーチ形状を有しており、アノード電極2と同様の箱状構造を有している。図40は、アノード電極2およびカソード電極3の配置を上から見たものである。
アノード電極2およびカソード電極3は、夫々が隣接した箱状(矩形)構造を有しているので、対向する面と同じ方向を向いている面とが存在する。しかし、アーチ形状の高さ方向を高くとることで、対向する面を広く取ることができ、かつアノード−カソード間距離が相対的に短くなる。このため本基本構成のガス生成装置100は、アノード電極2で発生するプロトンの移動距離を短く取ることができるという大きな利点がある。
さらに、本基本構成のアーチ型の構造を有したガス生成装置100は、光の閉じ込め効果に優れている。夫々の電極が構成するアーチの狭間に入射した光はアーチ側面に反射され、対向面に再び照射される。カソード電極3の有する光触媒含有層43は光を吸収する必要はなく反射させるだけでいいので、反射光を再びアノード電極の有する光触媒含有層27(図39には図示せず)に照射させることができる。また、アノード電極2を構成する基材(図示せず)が透光性である場合には、電解液12を通過して裏側に存在する同じくアノード電極2の光触媒含有層27に裏側から入射することも可能であり、光の有効利用を図ることができるようになる。
図41は、電解液が下置きで、発生した酸素や水素ガスを上側に捕集する構成となっているものである。
[第15基本構成]
図42各図は、本基本構成のガス生成装置100の説明図である。本基本構成のガス生成装置100は、アノード電極2に縦長の貫通スリット115を形成し、この貫通スリット115に気液分離機能を持たせたスリット型である。
すなわち、本基本構成のカソード電極3またはアノード電極2に設けられた貫通孔(貫通スリット115、117)はスリット形状である。
カソード電極3およびアノード電極2は、ともにスリット形状の貫通孔(貫通スリット117、115)を備えている。そして、カソード電極3とアノード電極2とが対向して配置された状態で、スリット形状の貫通孔は互いにずれあっている。
本基本構成のガス生成装置100は、光触媒機能により発生したガス(酸素)を、貫通スリット115、117により有効に捕集するものである。図42(b)に示すように、光7は、ガス収集部21を経て、透光性基材28を有したアノード電極2に入射する。これにより、光触媒含有層27の裏面から入射した光7によって、電解液12に酸素とプロトンが発生する。発生した酸素は、貫通スリット115を介してガス収集部21に回収される。一方、発生したプロトンは電解液12を泳道して光触媒含有層43に到達し、水素ガスとなり、基材29に形成された貫通スリット117を通って、ガス収容部31に捕集される。図42(a)、図42(c)は夫々、図42(b)の左側面と右側面を図示したものである。
すなわち、本基本構成のカソード電極3は、励起光7を受光することにより水素ガスを生成する光触媒含有層43を含んでいる。そして、本方法の照射工程では、アノード電極2またはカソード電極3に設けられた貫通孔(貫通スリット115、117)を通過した励起光7を、他のカソード電極3の光触媒含有層43またはアノード電極2の光触媒含有層27に照射する。
これにより、光7の一部は光触媒含有層27に照射され、他の一部は貫通スリット115を通過して光触媒含有層43にて反射され、再び光触媒含有層27の電解液に接している面に照射される。このようにして、光7は有効利用される。
図43は、図42にて示したガス生成装置の斜視図である。図43(a)は、図42に示した構造のまま、アノード電極2(光触媒含有層27)の側から光7を照射したものである。一方、図43(b)は、逆にカソード電極3(光触媒含有層43)の側から照射したものである。同図の場合、貫通スリット117をすり抜けた光は、光触媒含有層27に照射されることにより、酸素と水素を発生する光触媒機能を果たすことになる。
すなわち、本基本構成のガス生成装置100は、カソード電極3に設けられた貫通孔(貫通スリット117)と対向する位置に、アノード電極2の光触媒含有層27が形成されている。カソード電極3は、光触媒の励起光を受光することにより水素ガスを生成する光触媒含有層43を含んでいる。そして、アノード電極2に設けられた貫通孔(貫通スリット115)と対向する位置に、カソード電極3の光触媒含有層43が形成されている。
[第16基本構成]
図44は、本基本構成のガス生成装置100の側面図である。本基本構成のガス生成装置100は、円弧状に形成されて可撓性を有するフレキシブル型である。
ガス生成装置100は、所定の間隔をあけて互いに平行に配置されたカソード電極3およびアノード電極2からなる電極対を備えている。そして、この電極対は、面直方向に湾曲または屈曲可能な可撓性を有している。
ガス生成装置100のアノード電極2は、円弧の外周側に配置され、カソード電極3は内周側に配置されている。これは外周側に酸素を放出し、内周側に捕集すべき水素を集めるためであり、内周側に水素を捕集するためのガス収容部31を設置している。但し、外周側に水素を捕集する機能を持たせる場合には、アノード電極2は円弧の内周側に配置し、カソード電極3は外周側に配置しても良い。
図45は、図44に示したガス生成装置の破線で囲んだ一部を拡大したものである。アノード電極2は透光性基材28と光触媒含有層27とから形成されており、光触媒含有層43と不透光過性基材29とから形成されているカソード電極3に挟まれた電解液である水を光分解して酸素と水素を発生する構造となっている。発生した酸素は、貫通孔111を通って外に放出されるが、同じく発生した水素は貫通孔113を通過してガス収容部31に捕集される。
図46は、本基本構成のガス生成装置100の使用状態を示す図である。図47は、本基本構成のガス生成装置100の斜視図である。図46では、ガス生成装置100を、屋外で太陽光を利用して水素ガスを発生させるように配した様子を示している。ガス生成装置100は、太陽光をできるだけ垂直に照射できるよう、傾けて配置されている。この装置は、電解液となる貯水槽138、水を送り出す循環ポンプ135、水の清浄さを維持するためのフィルタ槽136を備えている。
本基本構成のガス生成装置は、燃料電池や、燃料電池の原料となる水素製造装置などに利用することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態に用いる基本構成について述べたが、これらは例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、本基本構成におけるガス生成装置は、アノード電極2とカソード電極3の1組の電極対だけでなく、並列に複数組の電極対を配置して使用することも可能である。さらに、アノード電極2、カソード電極3ともに照射光に対して透明であれば、直列に配置して使用することも可能である。
また、本基本構成においては励起光を照射する光源を別途設けることもできる。すなわち、ガス生成装置100は、励起光を照射する光源をさらに備えてもよい。
また、本基本構成においては、同サイズのアノード電極2とカソード電極3とを平行に配置し、光触媒担持面20とカソード電極3のガス生成面とが対向する例によって示したが、アノード電極2およびカソード電極3のサイズを変更し、カソード電極3を複数設けてもよく、アノード電極2に対しカソード電極3を垂直となるように複数配置してもよい。なお、この場合、カソード電極3には第二貫通孔は形成されない。
本基本構成のガス生成装置は、酸素ガスと水素ガスを分離回収しているが、混成ガスとして回収するように構成されていてもよい。また、本基本構成のガス生成装置は、酸素ガスと水素ガスのいずれも回収しているが、一方の生成ガスのみを回収するように構成されていてもよい。
以下、本実施の形態について説明する。下記の実施の形態のガス生成装置の構成は、上記基本構成が適用されていてもよい。
本実施の形態のガス生成装置は、水を含む電解液から酸素ガスおよび/または水素ガスを生成するガス生成装置である。このガス生成装置は、電解液から酸素ガスを生成するアノード電極と、電解液12で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成するカソード電極と、アノード電極およびカソード電極の少なくとも一方に設けられていて、可視光を利用する光触媒反応により、電解液から酸素ガスを生成する第1光触媒および/または水素ガスを生成する第2光触媒を含む光触媒含有層と、アノード電極またはカソード電極の少なくとも一方に設けられ、電解液を通過させず、かつ生成された酸素ガスまたは水素ガスを通過させる複数の貫通孔と、貫通孔を通過した酸素ガスまたは水素ガスを収容するガス収容部と、を備える。
<第1の実施の形態>
図49(a)は、第1の実施の形態の水素生成用の光カソード一面照射型電極を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図49(b)は、助触媒8が水素生成触媒9に担持された助触媒担持水素生成光触媒15を示す。
本実施の形態のガス生成装置100は、水を含む電解液12から水素ガスを生成するガス生成装置である。このガス生成装置100は、電解液12から酸素ガスを生成するアノード電極(図示せず)と、電解液12で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成するカソード電極3と、カソード電極3に設けられていて、可視光を利用する光触媒反応により、電解液12から水素ガスを生成する第2光触媒(助触媒担持水素生成光触媒15)を含む光触媒含有層43と、カソード電極3に設けられ、電解液12を通過させず、かつ生成された水素ガスを通過させる複数の貫通孔(第二貫通孔113)と、貫通孔(第二貫通孔113)を通過した酸素ガスまたは水素ガスを収容するガス収容部(図示せず)と、を備える。
ガス生成装置100は、不図示のアノード電極とカソード電極3とを備える。カソード電極3は、基材29、基材29の一方の主面に積層して設けられた光触媒含有層43から構成される。光触媒含有層43は、可視光7を利用した、光触媒反応により電解液12から水素ガスを生成する光触媒(以下、第2光触媒と称することもある)を含む。例えば、光触媒含有層43は、アノード電極の光触媒反応で生成された水素イオンと電子とから、又は、水素イオン供給能を有する電解液12(例えば、硫酸等を含有していて、pHが1〜5と低い電解液)から生成された水素イオンと自身が生成した電子とから、水素ガスを生成する。
光触媒含有層43は、助触媒担持水素生成光触媒15(第2光触媒)から構成される積層体である。助触媒担持水素生成光触媒15は、助触媒8及び水素生成触媒9から構成される。
図49に示されるガス生成装置100は、Fe2+イオンを犠牲試薬として電解液12に使用した水素生成用のガス生成装置である。電解液12は、例えば、FeCl(2mM)を含有する。電解液12中でFe2+イオンは、光触媒含有層43の光触媒反応により生成された正孔と反応して、Fe3+イオンになる。また、鉄イオンが触媒膜上に析出しないようにHSOを微量加えることにより、電解液12のpHを調整することが好ましい。例えば、水素採取量を最大にするにはpHは2.4付近が好ましい(非特許文献7)。
続いて、水素ガスが生成されるメカニズムについて説明する。まず、可視光7が電解液12通過して、カソード電極3の主面上の光触媒含有層43に照射される。水素生成触媒9(RhドープSrTiO)中に電子(e)と正孔(h)との対が励起される。水素生成触媒9に助触媒8(Ru)が担持されている場合には、助触媒8上で励起電子が電解液12中のプロトンと結合して、水素分子に還元さる。水素分子は、光触媒含有層43の中まで拡散して、基材29の一面から他面まで貫通する貫通孔(第二貫通孔113)を通過して、基材29の他面まで移動される。一方、Fe2+イオンは、水素生成触媒9から生成された正孔により酸化されてFe3+となる。この酸化に応じて、水素生成触媒9は還元されて元の基底状態に戻る。
助触媒8としては、特に限定されないが、白金、ニッケル、酸化ニッケル、ルテニウムおよび酸化ルテニウムなどが挙げられる。ルテニウム等の助触媒8は、Hの逆反応を抑制することにより、安定したHガスの発生を促すことができる。
水素生成触媒9(第2光触媒)としては、特に限定されないが、RhがドープされたSrTiO、や元素がドープされた酸化チタン等を用いることができる。元素がドープされた酸化チタンは、酸化チタンと、酸化チタンの表面に担持された金属と、を有し、酸化チタンの内部に、ルテニウム、クロム、ロジウム、イリジウムおよびマンガンからなる群から選択される少なくとも一種の元素がドープされている。金属は、銅、鉄または白金からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む。
第2光触媒に用いる元素は、酸化チタンの内部にドープされている。ここで、ドープするとは、準位を形成し、可視光を一定程度吸光する構造を実現するように含有させることをいう。すなわち、元素を酸化チタンの内部及び/またはその表面に含有させた状態で、加熱処理を行うことにより、元素が、酸化チタンの内部にドープされ、準位を形成し、酸化チタン由来の吸収帯とは、別の吸収帯を形成することができる。この点で、ドープと単なる含有とは異なる。また、固溶もドープの一態様であるが、固溶に限定されない。
このように、酸化チタンに特定元素をドープすることにより、第2光触媒において可視光の吸収を実現することができる。
次に、第2光触媒の製造方法について説明する。
第2光触媒の製造工程においては、ドープする工程は、元素または元素成分を含む化合物を、酸化チタンに混合させる工程と、得られた結果物を焼成する工程とを含む。ドープする工程により、元素ドープ酸化チタンが得られる。また、担持する工程は、金属または金属成分を含む化合物を、元素ドープ酸化チタンに担持させる工程と、得られた結果物を乾燥させる工程とを含む。担持する工程により、ドープ元素および担持金属を備える酸化チタンを含む光触媒が得られる。
まず、元素または元素成分を含む化合物(以下、元素化合物と称する)を、酸化チタンに混合させる。元素を酸化チタンに混合するには、種々の方法を用いることができる。例えば、溶液中で混合する方法、気相中で混合する方法や固相中で混合する方法が用いられる。溶液混合方法としては、例えば、(1)元素化合物の存在下、必要に応じて結晶種の存在下、チタン化合物を加水分解あるいは中和する方法、(2)元素化合物の溶液に、酸化チタン粒子を浸漬する方法や酸化チタン粒子に元素化合物の溶液を含浸する方法、(3)元素化合物を酸化チタン粒子の懸濁液に加えた後、得られた化合物を加水分解、中和、または酸化する方法等がある。
一方、気相混合方法としては、上記元素の塩化物を塩化チタンに添加し、これを高温気相酸化する方法がある。また、化学気相反応法(chemical vapor deposition;CVD)により、無機化合物や金属有機化合物を気化させ、気相中あるいは気相/基板界面での化学反応により、酸化チタン結晶の内部に、元素または元素化合物を含有する酸化チタンを製造することも可能である。一方、固相混合方法としては、上記元素の化合物を酸化チタンに添加し、乳鉢やジェットミルで混合する方法がある。
続いて、元素を含有する酸化チタンを焼成する。元素を含有する酸化チタンには水分、硝酸、塩酸、硫酸などの酸、アンモニアなどのアルカリおよびエタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を含んでいてもよい。
焼成温度としては、例えば、500℃〜1100℃であり、好ましくは550℃〜1100℃であり、より好ましくは600℃〜1000℃、最も好ましくは650℃〜900℃である。
また、焼成における昇温条件としては、特に限定されないが、例えば1h〜40hの間に、室温(20℃)から、500℃〜1100℃の温度領域までに昇温させてもよい。
また、焼成雰囲気としては、空気、酸素、水蒸気、窒素、アルゴン、ヘリウム、真空、窒素などの不活性ガスで希釈した水素雰囲気などが挙げられる。好ましくは、空気や酸素雰囲気で焼成することにより、光触媒活性を高くすることができる。これは、酸化チタンの酸素欠陥が減少するためであると考えられる。以上のようにして、元素がドープされた酸化チタンが得られる。
続いて、このドープ元素を備える酸化チタンの表面に、金属または金属成分を含む化合物(以下、金属化合物と称する)を少なくとも一種、担持させる。担持方法としては、各種の方法を用いることができる。一例としては、金属化合物の溶液に、元素がドープされた酸化チタン粒子または、この酸化チタン粒子を保持した支持体を浸漬する方法、元素がドープされたチタン化合物粒子の懸濁液または、このチタン化合物粒子を保持した支持体を入れた液に、金属化合物を添加し、溶液のpHを調整する方法等がある。
以上のようにして、ドープ元素および担持金属を備える酸化チタンが生成物として得られる。得られた生成物を本発明の光触媒として用いることができる。必要に応じて生成物を分別し、洗浄し、乾燥してもよい。分別は、通常のろ過や傾斜法などの方法によって行うことができる。乾燥は、任意の温度、圧力で行うことができるが、例えば20℃や室温(25℃)〜300℃の温度、常圧あるいは減圧下が適当である。その他の乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥、噴霧乾燥、などが好適に利用できる。また、光触媒の用途によっては、乾燥工程を省略することも可能である。
光触媒含有層43の形成方法として、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、イオンプレート法などの乾式法の他に、フィルム基材(基材29)を侵さない溶剤に光触媒が溶解又は分散する場合は、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、スプレー法などの湿式法も挙げられる。
光触媒含有層43の膜厚は、通常0.01μm〜20μmの範囲が好ましいが、光励起で発生した正孔や電子が電解液と効率良く反応するためには光触媒の微粒子と電解液の接触面積を大きくする必要がある。そのため、表面だけでなく膜の深さ方向にも距離が長い方がより微粒子と接触する機会が増えるので、1μm〜10μmの範囲がより好ましい。膜厚を0.01μm以上とすることにより、電解が起きず触媒活性が低下することを抑制でき、一方、20μm以下とすることにより、電極膜の剥離が発生することを抑制することができる。
助触媒はその表面でプロトンと電子が効率良く結合して水素を発生させて、また水への逆反応が起き難いことが要求される。
光触媒含有層43に含まれる助触媒は、白金、ニッケル、酸化ニッケルおよび酸化ルテニウムよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。これらの助触媒を含む光触媒含有層43は、第二貫通孔113の周囲に1μm以上の幅で形成されることが好ましい。
光触媒含有層43の形成方法は、例えばポジ型フォトレジストをシート全面に塗布し、孔直径より1μm以上大きい直径の円形開口を設けたフォトマスクを助触媒電極の位置と一致させて固定する。そして、レジストが感光する波長の光で露光することで、第二貫通孔113周囲のレジストだけが可溶になり、現像時に除去される。
次に光触媒含有層27と同様にイオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法、スパッタ法、スピンコート法、スクリーン印刷法、スプレー法、キャスト法などで光触媒含有層43を成膜し、最後に残ったレジストをレジスト部分に付着した助触媒と共に剥離することで光触媒含有層43を選択的にパターニングすることが可能になる。
またスパッタ膜用のマスクを用いてスパッタしても同様のパターニングが可能である。この光触媒含有層43の膜厚は、パターニングの際のレジスト剥離時の応力で剥離しないように、20nm〜200nmの範囲が好ましい。また、光触媒含有層27と光触媒含有層43との間に外部から電圧を印加して電解を促進しても良い。
次に貫通孔の内壁とシート110裏面の疎水化の方法について述べる。
固体表面の分散性や濡れ性、接着性、吸着性などの界面化学的性質を制御するための代表的な表面修飾の方法として、(1)カップリング剤修飾法、(2)高分子のグラフト共重合法、(3)カプセル化法、(4)ゾル−ゲル法、などが挙げられる。
カップリング剤修飾法ではシラン系またはチタン系カップリング剤が広く用いられており、これらの分子の末端が固体表面の水酸基と化学反応することで、他端が表面側に向いた配向単分子膜を形成することを利用しており、目的に応じて様々な官能基を固体表面に導入できる。特に、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)は好適に樹脂表面を疎水化することができる。
高分子のグラフト修飾法は、固体表面の官能基とモノマーとの化学反応により、高分子を固体表面で成長させる方法である。カップリング剤で導入された官能基を利用して高分子をグラフトしたり、電解重合反応やメカノケミカル反応、放射線、プラズマを利用して重合反応を誘起したりすることもある。
カプセル化法は、固体粒子を高分子膜で被覆する方法で、一般にグラフト重合化法に比べて厚い膜が形成されるのが特徴であり、膜と固体表面間に化学結合が形成される必要はない。
ゾル−ゲル法では、アルコキシドを原料として固体表面を無機ガラスによって被覆する。
光触媒含有層43の膜厚は、一回のスプレー噴霧量で足りない場合は何回かに分けて吹き付けることで調整する。このようにして形成された光触媒含有層43は、膜中に空孔が適度に含有され、この空孔中に電解液12が浸透しやすく、かつ照射された励起光7が膜内部まで到達することが可能であり、光触媒の反応表面積を非常に大きくできる利点を有している。
また、基材29中の第二貫通孔113と光触媒含有層43中の空孔が連結していてもよい。第二貫通孔113と空孔とを連通させることにより、電解液12中で生成された水素ガスを第二貫通孔113に即座に排出することができる。第二貫通孔113のピーク径は、好ましくは0.1μm以上1000μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。第二貫通孔113は、基材29の全面に多数設けられており、その内壁面が撥水性を示すことが好ましい。
第二貫通孔113の内壁面上を撥水性とすることにより、第二貫通孔113の内部に電解液26が浸入することを抑制することができる。第二貫通孔113の一面には、電解液面とガス相の面である気液界面が形成される。気液界面が形成される機構は、ヤング−ラプラス圧によるものである。従って、助触媒担持水素生成光触媒15の表面にて発生した水素ガスは、気泡に成長すると同時に気液界面に接触し、破泡現象によって第二貫通孔113の内部のガス相に吸収されることになる。この結果、水素ガスは、発生すると同時に第二貫通孔113に吸い込まれる。そして、水素ガスは、第二貫通孔113を通過して、基材29の他面側に設けられた水素ガス収容部に回収される。本実施の形態では、このような水素ガスの発生から移動までのサイクルが継続して生じることなる。
本実施の形態では、光触媒は粒子形状であるために、光触媒粒子間に空孔が生じることがある。ここで、光触媒粒子間の空孔の広さの度合いを空孔率と定義する。空孔率の測定方法としては、例えば、光触媒含有層(触媒膜)の断面を電子顕微鏡(SEM)で観察し、触媒粒子間の隙間の面積を画像処理して求め、その隙間の合計面積を光触媒含有層全体の合計面積で割ることで得ることができる。この場合のSEM試料は、基材上に形成した光触媒含有層をFIB(Focused Ion Beam)法で裁断し断面を露出させ、5000倍の全視野(膜に平行な方向24μm×膜に垂直な厚さ方向6μm)から任意に5ブロック(1ブロック当たり膜平行3μm×膜垂直3μm)を選択し、それぞれのブロックを画像解析し、空孔率は5ブロックを平均して求める。電子顕微鏡の機能として膜の断層を掃引することが可能な場合は、面積より体積で計算ができるため、より正確な空孔率を求めることが可能になる。
光触媒含有層の平均空孔率は、好ましくは10%以上80%以下であり、より好ましくは30%以上60%以下である。平均空孔率を下限値以上とすることにより、電解液が浸透せず又は光が透過せずに、反応効率が低下することを抑制することができる。一方、平均空孔率を上限値以下とすることにより、触媒量が少なくなり、反応量が減少することを抑制することができる。
また、照射された可視光は、光触媒粒子間の隙間を触媒表面において乱反射を繰り返しながら透過する。光透過率が大きいほど空孔率も大きくなると見做すことができる。このため、上記の空孔率を光透過率によって把握することも可能である。空孔率に対応した光透過率を測定するにあたり、例えば、照射光として可視光の代表的な波長である550nmを選択できる。本実施の形態では、層厚方向において550nm波長で測定したときの、光触媒含有層の可視光透過率は、特に限定されないが、10%以上90%以下が好ましく、20%以上がより好ましい。
また、光触媒含有層の表面粗さを小さくしたり、光触媒含有層の膜厚を薄くしたり、又は、光触媒含有層の面内方向において触媒凝集度を高くすること(触媒粒子の間隙を大きくすること)により、光触媒含有層の可視光透過率を向上させることができる。
また、触媒粒子間を溶着(ネッキングともいう)することにより、バンドギャップ中に新たなエネルギー準位が形成される。電子は、新たに形成されたエネルギー準位をトラップ・デトラップしながらホッピング伝導によって触媒粒子間を移動する。ネッキングの方法は、光触媒含有層(触媒膜)を、例えば、200〜700℃の温度で加熱・焼成して行う方法等が挙げられる。この場合、フィルム基材としては、PETよりも耐熱温度の高いポリイミドなどの高分子基材が好ましい。
また、触媒粒子間の固体接合だけでなく、酸化グラフェンのような電子受容体をバインダーとして光触媒に混合して、光触媒含有層を成膜してもよい(非特許文献5参照)。例えば、酸化グラフェンは、触媒粒子から電子を受け取り、還元された酸化グラフェン(RGO:Reduced Graphene Oxide)になる。このため、RGO中を電子が移動して、フィルム基材の表層に達することになる。これにより、電子の触媒粒子間移動を促進させる電子輸送効果が得られる。このような電子輸送の効果は、例えば光触媒を含有する電極と対抗配置させた助触媒電極を電解液に浸し、光触媒の励起光を照射して電極間を流れる光電流を測定することで把握することができる。光電流の下限値は、好ましくは2μA/cm以上、より好ましくは30μA/cm以上である。一方、光電流の上限値は、特に限定されないが、例えば、100mA/cmとすることができる。光電流を下限値以上とすることにより、抵抗が小さくなり、電子輸送を効率的に生じさせることができる。
ここで、光触媒含有層の光電流は次のようにして測定することができる。例えば、シリコン基板上に光触媒含有層を形成することによりアノード電極を得るとともに、シリコン基板上に白金を形成することによりカソード電極を得る。次いで、アノード電極とカソード電極とを対向配置させて電解液に浸漬させる。次いで、アノード電極上に光触媒含有層に対して可視光を照射する。このとき、アノード電極とカソード電極との間に流れる電流を光電流として測定する。
ここで、本実施の形態にかかるガス生成方法(以下、本方法という場合がある)を説明する。
本方法は、水を含む電解液から酸素ガスおよび/または水素ガスを生成する方法である。
本方法は、電解液12から酸素ガスを生成するアノード電極と、電解液12で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成するカソード電極と、に電解液12を接触させる工程と、アノード電極およびカソード電極の少なくとも一方に設けられていて、可視光を利用する光触媒反応により、電解液12から酸素ガスを生成する第1光触媒および/または水素ガスを生成する第2光触媒を含む光触媒含有層に光触媒の可視光を照射する工程と、アノード電極で生成された酸素ガスまたはカソード電極で生成された前記水素ガスの少なくとも一方を、該アノード電極または該カソード電極に設けられた複数の貫通孔を通じて捕集する工程と、を含む。
本実施の形態では、可視光で効率的に水素、酸素などのガスを発生させる装置を提供できる。このような可視光で駆動する装置は、自然光で動くなど、応用範囲が広がるものとなる。
また、本実施の形態において、発生した酸素ガスまたは水素ガスを貫通孔に導かせることにより捕集できる。このため、光触媒含有層の表面からガスを素早く取り除くことが可能となる。従って、迅速な光触媒反応を行うことができる。また、実質的な電極面積の減少を抑制できるので、触媒反応効率を高めることができる。
<第2の実施の形態>
図50(a)は、第2の実施の形態の水素生成用の光カソード一面照射型電極を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図49(b)は、水素生成触媒9を示す。
第2の実施の形態は、カソード電極3は光触媒含有層が可視光を受光することにより水素ガスを生成する助触媒含有層(助触媒層13)を有する点が異なる以外は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、カソード電極3において、水素生成触媒9が助触媒8を担持されておらず、基材29(多孔フィルム)の一面上に助触媒層13が形成されている。
助触媒層13は、光触媒含有層43の形成方法と同様にして、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、イオンプレート法、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、スプレー法等を用いて、基材29上に形成される。図50に示すように、光励起された電子は水素生成触媒9の粒子間を移動してから、基材29にフィルム表面に到達する。この電子は助触媒層13の表面でプロトンを還元する。これにより、水素ガスが得られる。
<第3の実施の形態>
図51(a)は、第3の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図51(b)は、助触媒8が担持された水素生成触媒9と酸素生成光触媒14との間で、鉄イオンの酸化還元により電子伝達されることを示す。
第3の実施の形態は、アノード電極およびカソード電極が一体に設けられた電極6を構成しており、電極6が、第1光触媒及び第2光触媒を含有する光触媒含有層5を備える点が異なる以外は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態では、第1光触媒及び第2光触媒として、Zスキーム型可視光応答光触媒を用いる。また、光触媒含有層5は、これらの第1光触媒及び第2光触媒等の2種以上の光触媒を含有する混合膜である。
(Zスキーム型可視光応答光触媒の適用)
Zスキームとは、自然の光合成を模倣した2段階光励起システムのことである。2段階光励起システムにおいては、酸素生成反応を水の酸化に十分な正側の価電子帯ポテンシャルを持つ可視光応答性の半導体酸化物で行わせ、レドックス媒体の還元反応を進行させる。一方、水の還元に十分な負の伝導帯ポテンシャルを持つ別の水素生成反応用の可視光応答性光触媒でレドックス還元体を酸化させている。これらの2段階光励起システムを用いることにより、全体として水の完全分解が可能になる。
以下、Zスキーム型可視光応答性光触媒を気液分離多孔フィルム(前述のガス生成装置の基本構成)へ適用するための具体的な手段について述べる。ただし、本実施の形態は、これらの適用例に何ら限定されるものではなく、他の可視光応答性光触媒にも適用できるものである。本実施の形態では、一例として、水素生成触媒として、Ru(助触媒8)を担時したRhドープSrTiO(助触媒担持水素生成光触媒15)を用い、酸素生成触媒として、BiVO(酸素生成光触媒14)を用いる。これらの助触媒担持水素生成光触媒15及び酸素生成光触媒14は、Fe2+/Fe3+イオンレドックスの電子伝達体で電気的に結合されるZスキーム型可視光応答性光触媒である。また、図51に示された電極6は、可視光応答性光触媒を多孔フィルム(基材29)上に薄膜形成することにより得られる。
図51に示すように、可視光7が照射されると、水素生成触媒9(RhドープSrTiO)、又は酸素生成光触媒14(BiVO)中に電子(e)と正孔(h)との電子正孔対が励起される。水素生成触媒9に担持されている助触媒8上で励起電子が電解液12中のプロトンと結合して、水素分子に還元される。一方、酸素生成光触媒14上で励起正孔が水分子を酸化することにより酸素ガスが生成される。また、電解液12中のFe3+は、酸素生成光触媒14から電子を奪うことにより、酸素生成光触媒14を酸化して元の基底状態に戻す。Fe3+は、還元されFe2+となる。Fe2+は、助触媒担持水素生成光触媒15から励起を奪うことにより、水素生成触媒9を還元させて元の基底状態に戻す。Fe2+は酸化されFe3+になる。このように、鉄イオン(Fe3+/Fe2+)は自身の酸化還元を繰り返しながら、第1光触媒(酸素生成光触媒14)と第2光触媒(水素生成触媒9)との間を、電気的に循環する。
ここで、Ru等の助触媒8は、水への逆反応を抑制することにより、生成した水素と酸素が再結合して再び水へ変化することを抑制することができる。
第一光触媒としては、例えば、酸化タングステン(WO)、バナジル酸ビスマス(BiVO)、モリブデン酸ビスマス(BiMoO)などから選択することができる。一方、第2光触媒としては、RhがドープされたSrTiOの他に、前述の元素がドープされた酸化チタンを用いることができる。このほか、特許文献1に例示される光触媒を用いることができる。
また、非特許文献8は、GaNとZnOの固溶体からなる母体半導体ナノ粒子上に、酸素生成助触媒としてMn(第1光触媒)を、水素生成助触媒としてRh/Cr(第2光触媒)を同時に担持させることにより、可視光による1段階反応で水分解を達成し、酸素と水素を同じ光触媒粒子から生成させることが可能であることを示している。非特許文献8に記載の光触媒を、第3の実施の形態に適用することも可能である。
また、光触媒含有層5は、互いに分散している酸素生成光触媒14(第1光触媒)及び助触媒担持水素生成光触媒15(第2光触媒)を有する。光触媒含有層5において、第1光触媒と第2光触媒との相互の分散性は高いほうが好ましい。なぜなら、分散性を高くすることにより、光触媒反応効率を高めることができるためである。このため、酸素生成光触媒(第1光触媒)と水素生成光触媒(第2光触媒)の異種粒子間の混合分散状態を示す指標として分散性の把握が重要である。分散性の測定方法としては、例えば、次の方法を採用することができる。
まず、触媒膜(光触媒含有層5)において、異種光触媒は、含有される金属原子の違いによって区別できる。なぜなら、例えば、触媒膜の断面または表面を反射電子線で撮影した画像において、異種光触媒が含有する金属原子の種類に応じて濃淡の度合いが異なるためである。
5000倍の全体視野(膜に平行な方向24μm×膜に垂直な厚さ方向6μm)から任意の5ブロック(1ブロック当たり、膜平行3μm×膜垂直3μmの視野)を選択し、例えば一方の水素生成光触媒粒子の単位ブロック中の第1占有面積比、他方の酸素生成光触媒粒子の第2占有面積比、及び、第2占有面積に対する第1占有面積の割合を示す、2種の触媒粒子の面積比率を画像解析から計算して求め、5ブロックのそれらの平均値と標準偏差を求める。2種の触媒粒子の面積比率の平均値(以下、平均面積比率という)、及びその標準偏差は、2種触媒間の混合分散度合いを表す指標となる。なお、第1占有面積比の平均値を、平均第1占有面積比と呼称し、第2占有面積比の平均値を、平均第2占有面積比と呼称する。
本実施の形態では、第1光触媒の平均第1占有面積比は、好ましくは10%以上60%以下であり、より好ましくは20%以上50%以下である。また、第2触媒の平均第2占有面積比は、好ましくは10%以上60%以下であり、より好ましくは20%以上50%以下である。また、占有面積比の平均値の標準偏差は、好ましくは0.001%以上1%以下である。また、光触媒含有層5の平面視において、第2光触媒が占有する面積に対する、第1光触媒が占有する面積の比率を示す平均面積比率は、好ましくは0.3以上1.7以下であり、より好ましくは0.8以上1.2以下である。また、平均面積比率の標準偏差は、好ましくは0.001以上2以下であり、より好ましくは0.01以上1.6以下である。平均面積比率及びその標準偏差を上記範囲内とすることにより、酸素または水素の発生に偏りが生じる。これにより、反応が制限されることを抑制して、触媒反応効率を高めることができる。
また、第1光触媒と第2光触媒との相互の分散性を高めるには、次の手法を用いて光触媒含有層5を形成することができる。例えば、第1光触媒を分散媒に分散させて得られた第1分散液、第2光触媒を分散媒に分散させて得られた第2分散液を準備する。これらの第1分散液及び第2分散液を基材上に、例えば、スプレーを用いて、第1光触媒層と第2光触媒層とを交互に積層する。これにより、第1光触媒と第2光触媒とを含有する混合溶液を基材にスプレーして得られた触媒層と比較して、第1光触媒と第2光触媒との相互分散特性に優れた光触媒含有層5が得られる。また、これらの第1分散液及び第2分散液に界面活性剤を添加してもよい。
一方で、混合溶液には、比重の違いにより、第1光触媒と第2光触媒との間で相分離が生じるおそれがある。このため、相分離が生じた状態の混合溶液を基材にスプレーすると、相互分散特性が低下することがあり得る。
ここで、特許文献1の記載によると、水素生成側としてPtに比べ水への逆反応が起き難い助触媒であるRuを担時したRhドープSrTiOと、酸素生成側としてWO、BiMoO、BiVOなどを電子伝達剤である、+2価と+3価のFeイオンレドックスで結合したZスキーム型可視光応答性光触媒が検討されており、440nmの可視光での量子効率が最大4%にて水の完全分解が達成されている。しかしながら、特許文献1に記載のZスキーム型可視光応答性光触媒のガス発生装置は、水素生成用と酸素生成用の2種類の光触媒粉体を一つの槽の溶液中に分散させて得られたものである。このため、本発明者らが検討した結果、特許文献1に記載のガス発生装置には、実用化を考慮した場合、水素と酸素が混在したガスが発生するため最終的には水素と酸素を分離する手段が必要となる。
これに対して、本実施の形態のガス生成装置100は、電解液を通過させず、かつ生成された酸素ガスまたは水素ガスを通過させる複数の貫通孔が、少なくとも一方に設けられているアノード電極またはカソード電極を備える。このため、生成された酸素ガスまたは水素ガスを充分に分離することができる。このため、歩留まり特性に優れたガス生成装置が得られる。
引き続き、水素生成光触媒9(RhドープSrTiO)と酸素生成光触媒14(BiVO)をZスキーム型で組み合わせ、混合塗布あるいは空間的に分離塗布して形成した触媒膜(光触媒含有層5)について図52〜図55を用いて説明する。
<第4の実施の形態>
図52(a)は、第4の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図51(b)は、水素生成触媒9と酸素生成光触媒14との間で、鉄イオンの酸化還元により電子伝達されることを示す。
第4の実施の形態は、図52に示すように、基材29上に助触媒層13が形成されており、一方で、水素生成触媒9上に助触媒8が担持されていない点を除いて、第3の実施の形態と同様である。RhドープSrTiO(水素生成触媒9)にRu(助触媒8)が担持されない場合は、第1の実施の形態と同様に、同種触媒粒子間の電子移動の効率化を目的として、粒子間のネッキング処理を行うことが好ましい。また、本実施の形態において、電解液12に鉄イオンを添加しなくてもよい。例えば、非特許文献6にはRu担持したRhドープSrTiOとBiVOが電解液中に電子伝達剤の鉄イオンが無い状態で混合されていても電解液がある酸性条件では、固体間接触によって電子移動が行われ酸素と水素が生成できる例が示されている。第4の実施の形態は、第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第5の実施の形態>
図53(a)は、第5の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図53(b)は、助水素生成触媒9と酸素生成光触媒14との間で、異種触媒間溶接(ネッキング)により電子伝達されることを示す。
第5の実施の形態は、図53に示すように、基材29上に助触媒層13が形成されており、一方で、水素生成触媒9上に助触媒8が担持されていない点を除いて、第3の実施の形態と同様である。本実施の形態では、Fe2+/Fe3+(鉄イオン)の代わりに、RhドープSrTiO(水素生成触媒9)BiVO(酸素生成光触媒14)間の異種触媒間の固体結合によって、電子移動を行う。第1光触媒及び第2光触媒の少なくとも一方の表面に導電物質(例えば、助触媒8)が固着されている。導電物質は、第1光触媒と第2光触媒とを結合させることができる。このため、導電物質は、異種触媒間での電子移動を促すことができる。この場合も異種触媒間の固体接合のため、光触媒含有層5に対して200〜700℃の温度範囲での焼成処理を行うことが好ましい。第5の実施の形態は、第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第6の実施の形態>
図54(a)は、第6の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図54(b)は、助水素生成触媒9と酸素生成光触媒14との間で、異種触媒間溶接(ネッキング)により電子伝達されることを示す。
第6の実施の形態は、図54に示すように、図29に示された第8基本構成が適用されている点を除いて、第5の実施の形態と同様である。すなわち、第一貫通孔111の周囲の基材29の一面上には、助触媒層13が形成されていないが、第二貫通孔113の周囲の基材29の一面上には、助触媒層13が形成されている。また、アノード電極の機能を果たす部分は、基材29と、基材29を貫通する第一貫通孔111と、第一貫通孔111の周囲に設けられた光触媒含有層5を有する。一方、カソード電極の機能を果たす部分は、基材29と、基材29を貫通する第二貫通孔113と、第二貫通孔113の周囲に設けられていて、助触媒層13と接する光触媒含有層5を有する。本実施の形態において、例えば、平面視において、第一貫通孔111の列と、周囲に助触媒層13が形成された第二貫通孔113の列とが交互に基材29に形成されている。これにより、酸素ガスと水素ガスとを別々に収集することができる。また、第6の実施の形態は、第5の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第7の実施の形態>
図55(a)は、第7の実施の形態の酸素・水素生成用の光アノード・カソード混載一面照射型電極を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図55(b)は、助水素生成触媒9と酸素生成光触媒14との間で、異種触媒間溶接(ネッキング)により電子伝達されることを示す。
第7の実施の形態は、図55に示すように、第一貫通孔111の周囲における酸素生成光触媒14の存在比率(水素生成触媒9に対する)を高くし、一方、第二貫通孔113の周囲における水素生成触媒9の存在比率(酸素生成光触媒14に対する)を高くしている点を除いて、第6の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、光触媒含有層5の全体において、酸素生成光触媒14及び水素生成触媒9が均一に分散しておらず、特定の領域に対して分散比率に重み付けを行っている。すなわち、酸素ガスを排出する第一貫通孔111の周縁部には、酸素ガスを生成する第1光触媒の存在比率を高くしている。一方で、水素ガスを排出する第二貫通孔113の周縁部には、水素ガスを生成する第2光触媒の存在比率を高くしている。このため、孔が排出するガス種、生成されるガス種及びガスの生成位置を合わせることにより、孔周辺において、孔に対応するガス種の存在比率を高めることができる。従って、ガスの分離特性に優れたガス生成装置100が得られる。また、第7の実施の形態は、第6の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第8の実施の形態>
図56(a)は、第8の実施の形態の酸素生成用の光アノード電極と水素生成のカソード電極を対向配置した構成を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図56(b)は、助水素生成触媒9と酸素生成光触媒14との間で、異種触媒間溶接(ネッキング)により電子伝達されることを示す。
第8実施の形態は、図56に示すように、アノード電極2とカソード電極3とが離間して対向配置されている点、アノード電極2が耐酸性の導電膜を有している点を除いて、第3の実施の形態と同様である。本実施の形態では、水素ガス及び酸素ガスの分離採取を容易にするために、アノード電極2とカソード電極3を分離して対向させる構成が用いられている。アノード電極2は、透光性基材28、透光性基材28上に設けられた透明導電膜24と、透光性基材28の一面から他面に貫通する第一貫通孔111と、透光性基材28の一面上に設けられた光触媒含有層5とを有する。透光性基材28は、可視光を透過させることができる。また、透明導電膜24は、可視光を透過させつつも、耐酸性を有する。一方で、カソード電極3は、基材29と、基材29の一面上に設けられた助触媒層13と、基材29の一面から他面に貫通する第二貫通孔113とを有する。
透光性基材28としては、特に限定されないが、例えば、透明性を維持しつつ導電性を有する、ITO、TiO、ZnO、SiTiO、FTO等が挙げられる。一方、透明導電膜24としては、特に限定されないが、耐酸性、耐久性を有する、ITO、FTO等が挙げられる。
透光性基材28の他面側から照射された可視光7は、透光性基材28及び透明導電膜24を透過して、光触媒含有層5に入射する。水素生成触媒9(RhドープSrTiO)、又は酸素生成光触媒14(BiVO)中に電子(e)と正孔(h)との電子正孔対が励起される。発生した電子は、透明導電膜24、リード線16を介して、助触媒層13に電子移動する。助触媒層13上で、移動してきた電子が電解液12中のプロトンと結合して、水素分子に還元さる。一方、酸素生成光触媒14上で励起正孔が水分子を酸化することにより酸素ガスが生成される。水分子を酸化されることにより、アノード電極2の近傍では、プロトンが発生する。このため、アノード電極2は、耐酸性を有していることが好ましく、とくに、透光性基材28の表面は、耐酸性を有する透明導電膜24で覆われていることが好ましい。また、第8の実施の形態は、第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第9の実施の形態>
図57(a)は、第9の実施の形態の酸素生成用の光アノード電極と水素生成のカソード電極を対向配置した構成を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図57(b)は、助水素生成触媒9と酸素生成光触媒14との間で、異種触媒間溶接(ネッキング)により電子伝達されることを示す。
第9の実施の形態は、アノード電極2とカソード電極3と電気的に接続する導電部材(多孔質チタン37)が間に形成されている点を除いて、第8の実施の形態と同様である。図57に示すように、アノード電極2は透光性基材28の一面上に設けられた光触媒含有層5を有する。一方、カソード電極3は、基材29の一面上に設けられた助触媒層13と、助触媒層13の一面上に設けられていて、光触媒含有層5と助触媒層13とを電気的に接続する多孔質チタン37とを有する。本実施の形態では、電解液12やプロトンが、膜内を連通する空孔を通して、多孔質チタン37を通過してカソード電極3に到達する。本実施の形態では、アノード電極2の透光性基材28は、導電性は無くても良い。また、透光性基材28は、耐酸性を有していることが好ましい。また、第9の実施の形態は、第8の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第10の実施の形態>
図58は、第10の実施の形態の酸素生成用の光アノード電極と水素生成のカソード電極を対向配置した構成を備えるガス生成装置100の側面断面図である。
第10の実施の形態は、アノード電極2は、第1光触媒を含有し、かつ第2光触媒を含有しない第1光触媒含有層(光触媒含有層27)を有しており、かつ、カソード電極3が、第2光触媒を含有し、かつ第1光触媒を含有しない第2光触媒含有層(光触媒含有層43)を有する点を除いて、第8の実施の形態と同様である。図58に示すように、アノード電極2は、透光性基材28、透光性基材28の一面上に形成された透明導電膜24、光触媒含有層27の一面上に形成された光触媒含有層27を有する。一方、カソード電極3は、透明性を有する基材29、基材29の一面上に形成された助触媒層13、助触媒層13の一面上に形成された光触媒含有層43を有する。アノード電極2及びカソード電極3は、透明導電膜24と助触媒層13とに接触して形成されたリード線16を介して電気的に結合されている。
また、アノード電極2とカソード電極3とは対向配置されている。本実施の形態では、アノード電極2の他面及びカソード電極3の他面の両面に可視光7が照射されてもよく、2つの可視光7の照射タイミング、及び照射時間は適切に制御できる。いずれも同一でもよいし異なっていてもよい。このため、透光性基材28及び基材29は、可視光7が透過する部材で構成されていることが好ましい。また、第10の実施の形態は、第8の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第11の実施の形態>
図59(a)は、第9の実施の形態の酸素生成用の光アノード電極と水素生成のカソード電極を対向配置した構成を備えるガス生成装置100の側面断面図である。図59(b)は、水素生成触媒9と酸素生成光触媒14との間で、鉄イオンの酸化還元により電子伝達されることを示す。
第11の実施の形態は、Fe2+/Fe3+からなるレドックス対により、アノード電極2とカソード電極3とが電気的に接続している点を除いて、第10の実施の形態と同様である。図59に示すように、アノード電極2とカソード電極3との間には、リード線16が形成されておらず、電解液12にFe2+/Fe3+(鉄イオン)が含有されている。これにより、アノード電極2とカソード電極3と間の電子移動が可能となる。また、第11の実施の形態は、第10の実施の形態と同様の効果が得られる。
さらに、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<可視光応答性光触媒の実施例>
(実施例1)
本実施例では、図61に示す装置を用いて、光触媒含有層の光電流を測定した。
まず、厚さ1mmのシリコンウエハ上に、厚さ50nmのチタンをスパッタで形成して積層体を得た。この積層体を4端子法で抵抗を測定した。その結果、表面抵抗値は、8.3オーム/□であった。積層体を外形1cm×3cmに裁断して、図61に示すアノード電極及びカソード電極に用いるシリコン基板333を得た。
続いて、Rhを1%ドープしたSrTiO触媒をIPA(イソプロピルアルコール)溶液に1%分散させ、10分間超音波揺動させて安定させ光触媒の分散媒を準備した。アノード側のシリコン基板333にこの分散媒をピペットで数滴滴下し常温で10分間乾燥させ300℃で1時間焼成し、シリコン基板333上に光触媒含有層が形成された光触媒多孔電極34を得た。光触媒含有層の触媒重量を測定すると0.5mgであった。光触媒含有層のSEM画像解析で求めた平均空孔率は23%であった。
ここで、平均空孔率は次のようにして測定した。すなわち、光触媒含有層(触媒膜)の断面を電子顕微鏡(SEM)で観察し、触媒粒子間の隙間の面積を画像処理して求め、その隙間の合計面積を光触媒含有層全体の合計面積で割ることで得た。この場合のSEM試料は、基材上に形成した光触媒含有層をFIB(Focused Ion Beam)法で裁断し断面を露出させ、5000倍の全視野(膜に平行な方向24μm×膜に垂直な厚さ方向6μm)から任意に5ブロック(1ブロック当たり膜平行3μm×膜垂直3μm)を選択し、それぞれのブロックを画像解析し、空効率は5ブロックを平均して求めた。
続いて、カソード側のシリコン基板333上に10nmの白金をスパッタで形成して対向カソード電極335を得た。光触媒多孔電極334及び対向カソード電極335のそれぞれに銀ペーストを介してリード線16を接続した。光触媒多孔電極334と対向カソード電極335とを対向配置し、その電極の間隔が1.5mmになるように固定した。続いて、ビーカ332(容量100cc)に犠牲試薬として塩化第二鉄(FeCl:濃度2mM)を含有する電解液12を80cc導入し、作成した電極対(光触媒多孔電極334、対向カソード電極335)をそれに浸漬させて、電解液12の水温を室温25℃に保った。
次に、光触媒多孔電極334の光触媒含有層の一面に、キセノンランプ320(ウシオ電機製ソーラーシミュレーター:型名Optical Modulex)を用いて可視光322を照射した。図63は、使用したキセノンランプ320の発光スペクトルを示す。光源(キセノンランプ320)から光触媒含有層までの距離は、10cm、触媒面における照射強度は15mW/cmであった。このとき、電極間の光励起短絡電流を電流計336(アドバンテスト社製デジタルマルチメーターTR6845)を用いて、GPIBインターフェースを介してパーソナルコンピュータに自動的にデータをサンプリングして取り込んで測定した。得られた光触媒含有層の光電流は、3.1μA/cmであった。
(実施例2)
光触媒含有層を形成するための焼成温度を400℃にした以外は実施例1と同様に光電流を測定したところ、12.8μA/cmであった。光触媒含有層のSEM画像解析で求めた平均空孔率は25%であった。
(実施例3)
光触媒含有層を形成するための焼成温度を500℃にした以外は実施例1と同様に光電流を測定したところ、12.3μA/cmであった。光触媒含有層のSEM画像解析で求めた平均空孔率は24%であった。
(実施例4)
光触媒含有層を形成するための焼成温度を600℃にした以外は実施例1と同様に光電流を測定したところ、16.4μA/cmであった。光触媒含有層のSEM画像解析で求めた平均空孔率は23%であった。
表1には、実施例1〜4の評価結果を示す。
Figure 2012188683
(実施例5)
次に、本実施例では、図60に示す装置を用いて、光触媒含有層のガス発生能及びそのガス分離能を評価した。
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材の外形を2cm×2cmの正方形にカットし、このフィルム片の内側の1cm×1cmの正方形の領域に、NC加工機(FANUC製、型番Series 21i−MB)で80μm直径の孔を160μmピッチで貫通・形成し、貫通孔を有する多孔シートを作成した。続いて、固相法で調整したチタン酸ストロンチウム(Rhを1%ドープしたSrTiO)に光析出法で酸化ルテニウムRuを担持させた水素生成光触媒粉体を調整した。続いて、水素生成光触媒粉体をIPA溶剤に1%濃度で分散させたスラリーを準備した。多孔シートの片面の貫通孔を形成した領域にスプレーガンで上方から、スラリーを噴霧・塗布して1時間室温で自然乾燥させた。これにより、多孔シート上に光触媒含有層が形成された光触媒含有カソード電極(カソード電極3)を得た。多孔シートに塗布された光触媒含有層の重量は1.4mgであった。また、光触媒含有層の厚さは、マイクロメータで測定したところ30μmであった。光触媒含有層のSEM画像解析で求めた平均空孔率は、40%であった。また、光触媒含有層の550nmでの光透過率は41%であった。
次いで、生成水素ガスの採取用光触媒セルについて図60を元に説明する。基本的な材料として、透明なアクリルを用いた。しかし、材料について限定する必要はなく、電解液に対して溶解性がなければあらゆる材料を用いることができる。受光窓325には石英ガラスを用いた。前述で得られたカソード電極3を装着して、光触媒水素ガス回収セル324を完成させた。電解液供給管327から塩化第二鉄(FeCl:濃度2mM)に、0.1規定の希硫酸を微量添加してpHを2.4に調整した電解液12を供給した。尚、装着後にパージガス供給管329にアルゴンガスを流して、ガス収容部331の内部を十分にパージして、系内の不要なガスを追い出してから使用した。
次いで、受光窓325からキセノンランプ320(ウシオ電機製ソーラーシミュレーター;Optical Modulex)の可視光322を照射することにより、カソード電極3を作動させた。光の照射強度は、30mW/cmで1時間照射し、発生した水素ガスを水素ガス排出管328から10ccのガスタイトシリンジに0.17cc/minの吸引速度で採取して、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、型番GC−8A)で水素濃度を分析した。水素濃度は、461ppmであった。水素濃度を単位時間当たりの水素生成量に換算すると、0.206μmol/hrになり、水素生成光触媒の単位重量当たりでは147μmol/g/hrに相当する。
(実施例6)
光触媒含有層の重量を2.4mg、厚さを24μmとした以外は実施例5と同じにした。水素生成量を測定したところ、水素濃度が190ppmで触媒の単位重量当たりでは35μmol/g/hrであった。また、光触媒含有層のSEM画像解析で求めた平均空孔率が15%であった。また、550nmでの光透過率は26%であった。
(実施例7)
多孔シートとして、ポリエチレンナフタレート(PEN)基材上に透明導電膜であるITO(インジウム錫酸化物)膜をスパッタ法で形成したものを用い、光触媒含有層の重量を1.1mg、厚さを11.1μmにした以外は実施例5と同じにした。水素生成量を測定したところ、水素濃度が478ppmであり、触媒の単位重量当たりでは194μmol/g/hrであった。また、光触媒含有層のSEM画像解析で求めた平均空孔率は25%であった。550nmでの光透過率は32%であった。
(実施例8)
Rhを1%ドープしRuを担持したSrTiOとBiVOとを交互にスプレー塗布することにより得られた、Ruを担持したSrTiOを重量0.7mg、BiVOを重量0.5mgを有しており、厚さ10.8μmの光触媒含有層を用いること、塩化第二鉄(FeCl、濃度2mM)と塩化第三鉄(FeCl、濃度2mM)を2:5の体積比率で混合し、0.1規定の希硫酸を微量添加してpHを2.4に調整した溶液を電解液12として用いること以外は実施例5と同じにした。水素生成量を測定したところ、水素濃度が76ppmであり、水素生成触媒の単位重量当たりでは48μmol/g/hrであった。光触媒含有層のSEM画像解析で求めた平均空孔率は50%であった。また、Ru/SrTiO:Rhが占める平均面積比が28.3%であり、標準偏差は0.09%であり、BiVOが占める平均面積比が21.9%であり、標準偏差は0.08%であり、BiVOに対するSrTiOの平均面積比率が1.66であり、標準偏差が1.42であった。
ここで、平均面積比、平均面積比率、及びこれらの標準偏差は、次の手法により算出した。すなわち、5000倍の全体視野(膜に平行な方向24μm×膜に垂直な厚さ方向6μm)から任意の5ブロック(1ブロック当たり、膜平行3μm×膜垂直3μmの視野)を選択し、例えば一方の水素生成光触媒粒子の単位ブロック中の第1占有面積比、他方の酸素生成光触媒粒子の第2占有面積比、及び、第2占有面積に対する第1占有面積の割合を示す、2種の触媒粒子の面積比率を画像解析から計算して求め、5ブロックのそれらの平均値と標準偏差を求めた。
(実施例9)
基材(PEN)にITOをスパッタし、ITO上に、Rhを1%ドープしRuを担持したSrTiOとBiVOとを交互にスプレー塗布することにより得られた、Ruを担持したSrTiOを重量0.8mg、BiVOを重量0.4mgを有しており、厚さ11.8μmの光触媒含有層を用いること以外は実施例8と同じにした。水素生成量を測定したところ、水素濃度が61ppmであり、水素生成触媒の単位重量当たりでは34μmol/g/hrであった。光触媒含有層のSEM画像解析で求めた平均空孔率は33%であった。Ru/SrTiO:Rhが占める平均面積比が20.1%であり、標準偏差は0.14%であり、BiVOが占める平均面積比が47.4%であり、標準偏差は0.15%であり、BiVOに対するSrTiO平均面積比率が0.55であり、標準偏差は0.52だった。
(実施例10)
基材(PEN)にITOをスパッタした上に更にPtを厚さ50nmでスパッタし、Rhを1%ドープしたSrTiOとBiVOとを交互にスプレー塗布することにより得られた、RhドープSrTiOを重量0.7mg、BiVOを重量0.5mgを有しており、厚さ11.6μmの光触媒含有層を用いた以外は実施例8と同じにして水素生成量を測定したところ、濃度が97ppmで水素生成触媒の単位重量当たりでは62μmol/g/hrであった。
表2には、実施例5〜10の評価結果を示す。
Figure 2012188683
1 光触媒電解セル
2 アノード電極
3 カソード電極
4 受光窓
5 光触媒含有層
6 電極
7 光
8 助触媒
9 水素生成触媒
10 電解液槽
11 蓋部材
12 電解液
13 助触媒層
14 酸素生成光触媒
15 助触媒担持水素生成光触媒
16 リード線
17 電解液溜め13
20 光触媒担持面
21 第一ガス収容部
23 酸素ガス
24 透明導電膜
25 基材
26 底壁
27 光触媒含有層
28 透光性基材
29 基材
31 第二ガス収容部
33 水素ガス
34 プロトン
37 多孔質チタン
40 酸化チタン粉体
41 白金微粒子
42 光触媒
43 光触媒含有層
51 開口部
52 気液界面
61 電極間スペーサー
71 ガラス板
72 側壁板
73 底板
81 触媒層
100 ガス生成装置
101 酸素ガス排出管
102 不活性ガス供給管
103 水素ガス排出管
104 ガス収容部
105 ガス収容部
110 シート
111 第一貫通孔
113 第二貫通孔
115 貫通スリット
117 貫通スリット
120 シートホルダー
131 電解液供給管
132 電解液排出管
133 電解液供給細管
134 電解液排出細管
135 ポンプ
136 フィルタ槽
137 バルブ
138 貯水槽
201 通電用金属枠
202 通電用ワイヤ
203 通電用ワイヤ挿入口
206 多孔質チタン
301 支持棒
301 光触媒セル
302 熱電対
303 熱電対挿入口
304 支持棒
305 気相側排出管
306 液相側排出管
307 気相側ガスバッグ
308 液相側ガスバッグ
309 ビーカー
310 光源
313 気相側セル内排出口
314 液相側セル内排出口
320 キセノンランプ
322 可視光
324 光触媒水素ガス回収セル
325 受光窓
327 電解液供給管
328 水素ガス排出管
329 パージガス供給管
330 パージガス
331 ガス収容部
332 ビーカ
333 シリコン基板
334 光触媒多孔電極
335 対向カソード電極
336 電流計

Claims (13)

  1. 水を含む電解液から酸素ガスおよび/または水素ガスを生成するガス生成装置であって、
    前記電解液から酸素ガスを生成するアノード電極と、
    前記電解液で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成するカソード電極と、
    前記アノード電極および前記カソード電極の少なくとも一方に設けられていて、可視光を利用する光触媒反応により、前記電解液から酸素ガスを生成する第1光触媒および/または水素ガスを生成する第2光触媒を含む光触媒含有層と、
    前記アノード電極または前記カソード電極の少なくとも一方に設けられ、前記電解液を通過させず、かつ生成された前記酸素ガスまたは前記水素ガスを通過させる複数の貫通孔と、
    前記貫通孔を通過した前記酸素ガスまたは前記水素ガスを収容するガス収容部と、
    を備えるガス生成装置。
  2. 請求項1に記載のガス生成装置であって、
    前記光触媒含有層の平均空孔率が10%以上80%以下である、ガス生成装置。
  3. 請求項1または2に記載のガス生成装置であって、
    層厚方向において550nm波長で測定したときの、前記光触媒含有層の可視光透過率が10%以上90%以下である、ガス生成装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
    下記の条件で測定したときの光電流が2μA/cm以上である、ガス生成装置。
    <条件>
    シリコン基板上に前記光触媒含有層を形成することによりアノード電極を得るとともに、シリコン基板上に白金を形成することによりカソード電極を得る。次いで、前記アノード電極と前記カソード電極とを対向配置させて前記電解液に浸漬させる。次いで、前記アノード電極上に前記光触媒含有層に対して可視光を照射する。このとき、前記アノード電極と前記カソード電極との間に流れる電流を光電流として測定する。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
    前記光触媒含有層が、前記第1光触媒かつ前記第2光触媒を含み、
    前記光触媒含有層の平面視において、前記第2光触媒が占有する面積に対する、前記第1光触媒が占有する面積の比率を示す占有面積比率の平均値が0.3以上1.7以下であり、前記平均値の標準偏差が2以下である、ガス生成装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
    前記アノード電極および前記カソード電極が一体に設けられた電極を構成しており、
    前記電極が、前記第1光触媒及び第2光触媒を含有する前記光触媒含有層を有する、ガス生成装置。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
    前記アノード電極が、前記第1光触媒を含有し、かつ前記第2光触媒を含有しない第1光触媒含有層を有しており、
    前記カソード電極が、前記第2光触媒を含有し、かつ前記第1光触媒を含有しない第2光触媒含有層を有する、ガス生成装置。
  8. 請求項1から5のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
    前記アノード電極上に前記第1光触媒及び第2光触媒を含有する前記光触媒含有層を有しており、
    前記カソード電極は導電部材を有しており、
    前記導電部材を介して、前記光触媒含有層と前記カソード電極とが電気的に接続している、ガス生成装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
    前記カソード電極は、前記光触媒含有層が可視光を受光することにより水素ガスを生成する助触媒含有層を有する、ガス生成装置。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
    前記アノード電極が、耐酸性の導電層を有している、ガス生成装置。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
    前記第1光触媒及び前記第2光触媒の少なくとも一方の表面に、導電物質が固着されている、ガス生成装置。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載のガス生成装置であって、
    前記第1光触媒が可視光を利用する光触媒反応により前記電解液から酸素ガスを生成することに応じて、前記第2光触媒は、当該光触媒反応により前記電解液で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成する、ガス生成装置。
  13. 水を含む電解液から酸素ガスおよび/または水素ガスを生成する方法であって、
    前記電解液から酸素ガスを生成するアノード電極と、前記電解液で生成された水素イオンおよび電子から水素ガスを生成するカソード電極と、に前記電解液を接触させる工程と、
    前記アノード電極および前記カソード電極の少なくとも一方に設けられていて、可視光を利用する光触媒反応により、前記電解液から酸素ガスを生成する第1光触媒および/または水素ガスを生成する第2光触媒を含む光触媒含有層に光触媒の可視光を照射する工程と、
    前記アノード電極で生成された前記酸素ガスまたは前記カソード電極で生成された前記水素ガスの少なくとも一方を、該アノード電極または該カソード電極に設けられた複数の貫通孔を通じて捕集する工程と、
    を含むガス生成方法。
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