以下図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1及び2は、本発明を適用したコンバインの側面図及び平面図である。図示するコンバインでは、左右一対のクローラ式走行装置(走行部)1L,1Rによって支持された機体フレーム2の左側半部に脱穀部3を設置し、該機体フレーム2の右側半部の前側に運転席4を設け且つ後側にグレンタンク6を配設することにより走行機体7を構成し、該走行機体7の前方に穀稈の刈取作業を行う前処理部8を昇降駆動可能に連結支持している。
前処理部8で刈取られた穀稈は、前処理部8の搬送装置9によって走行機体7の脱穀部3まで搬送され、前後方向のフィードチェーン11に渡される。フィードチェーン11によって、脱穀部3に沿うように後方に搬送される穀稈は、脱穀処理され、排藁となって走行機体7の後端部から機外に排出される一方で、脱穀処理された処理物は、籾等の穀粒と、それ以外の藁屑等とに選別され、穀粒はグレンタンク6に収容され、藁屑等は走行機体7の後端部から機外に排出される。
グレンタンク6内に収容された穀粒は、走行機体7の後部の右側に基端部が支持されたオーガ(排出オーガ)12の先端部に形成された排出口13(図5乃至7参照)から機外に排出される。
このオーガ12は、走行機体7の後端部右側に自身の軸回りに回動駆動可能に支持された上下方向の縦筒14と、縦筒14の上端部に基端部が上下揺動駆動可能に支持されて該基端部から先端部に向かって直線状に延びる排出筒16と、によって構成されている。すなわち、姿勢変更可能なように基端側が支持されたオーガ12は、縦筒14を軸周りに回動させることより水平旋回され、排出筒16を縦筒14に対して上下揺動させることにより昇降される。
そして、グレンタンク6内の穀粒は、縦筒14内に支持された上下方向の上昇ラセン(図示しない)によって、排出筒16の基端側まで搬送され、排出筒16の基端側の穀粒は、排出筒16内において軸方向に延びる排出ラセン17(図5及び6参照)によって、排出筒16内の先端側まで搬送され、上記排出口13から下方側に排出される。
オーガ12の先端部からは、排出口13の真下側を囲繞して覆う断面視方形状をなす筒状の排出カバー体18が、下方に向かって一体的に延設されている。この排出カバー体18は、排出口13から下方側に排出された穀粒の周囲をカバーし飛散を防止しつつ、該穀粒を下方側に案内するように構成されている。
図3,4は、排出オーガの先端側の側面図及び正面図であり、図5は、排出オーガの先端側の分解斜視図である。オーガ12の先部下面側には、方形状に開口された上述の排出口13が穿設されており、該排出口13のオーガ12基端側により近い側の縁である基端縁からは下方に向かって補助カバー19が一体的に突設され、排出口13の先端縁はオーガ12の先端(排出筒16の先端)に至っている。
補助カバー19の上端は溶着等により排出筒16に固着され、補助カバー19の水平旋回方向両端はオーガ12の基端側に向かって屈曲されて全体形状がU字溝状をなし、オーガ12周面からの補助カバー19の延出量は、排出カバー体18の延出量よりもかなり少なくなっている。
排出カバー体18は、オーガ12周面に溶着等で上端が固着されたメインカバー21と、サブカバー22とにより構成されている。メインカバー21は、オーガ12の基端側により近い側の側壁である基端側側壁23と、オーガ12の先端側により近い側の側壁である先端側側壁24と、基端側側壁23と先端側側壁24とを連結する側壁である連接壁26とを有するように方形板状部材を屈曲形成することによりなるU字溝状部材である。サブカバー22は、基端側側壁23及び先端側側壁24を挟んで連接壁26の反対側に位置して、基端側側壁23と先端側側壁24との間に架設固定される側壁であって、このサブカバー22と上述のメインカバー21によって、断面視方形状の排出カバー18を形成している。
詳細を説明すると、基端側側壁23及び先端側側壁24のサブカバー22を当接させる端部には、それぞれ取付座23a,24aが形成されるとともに、オーガ12周面の上記取付座23a,24aの上側近傍には、オーガ12の軸方向の延びるカバーブラケット27が形成される一方で、サブカバー22の上端部は外側に屈曲形成されて当接部22aを構成している。サブカバー22を一対の取付座23a,24aの間に架設するとともに、当接部22aをカバーブラケット27に当接させた状態で、サブカバー22を上記取付座23a,24a及びカバーブラケット27にボルト固定することにより、サブカバー22がメインカバー21及びオーガ12に取付けられる。
また、基端側側壁23が排出口13の上記基端縁よりも、さらにオーガ12の基端側寄りに配置されているため、上記排出カバー体18は、排出口13の真下側箇所と、排出口から排出オーガ18基端側に向かって斜め下方側に位置する箇所とからなる領域を囲繞するように構成されている。そして、この排出カバー体18内における先端側側壁24側には、排出口13からの穀粒の排出方向を変更する方形板状のガイド体であるガイド板28が支持されている。
次に、図3乃至7に基づいて、ガイド板28の構成を説明する。
ガイド板28は、サブカバー22と連接壁26との間に軸回りに回動可能に架設支持された回動軸29を介して回動可能に排出カバー体18に支持されており、ガイド板28のサブカバー22側の端部は、基端側側壁23側に屈曲形成されてサブカバー22に近接状態で対向している一方で、ガイド板28の連接壁26側の端部も、基端側側壁23側に屈曲形成されて連接壁26に近接状態で対向している。
ガイド板28の具体的な支持構造について説明すると、サブカバー22と連接壁26の対向面に対して垂直な方向に向けられ且つ排出カバー体18内における先端側側壁24上端部の近傍に配置された回動軸29を、ガイド板28の上端部となる基端部側に一体的に形成された筒状部28aに挿通させて固定し、この状態で、該回動軸29の両端部を連接壁26及びサブカバー22の挿通孔18a,18bにそれぞれ自身の軸回りに回動自在に挿通させて支持することにより、ガイド板28の先端側(下部)が先端側側壁24に対して離間・近接するように、ガイド板28全体が回動自在に支持される。言い換えると、ガイド板28は、オーガ12の基端側に近づく側及び遠ざかる側に回動調整可能に支持されている。
このような支持構造を有するガイド板28は、駆動装置31によって、回動駆動される。駆動装置31は、サブカバー22の外面に溶接等で固着される支持部材32と、モータ33と、モータ33を支持部材32に取付支持する取付ブラケット34と、回動軸29におけるサブカバー22の挿通孔18bから排出カバー体18の外面側に突出した部分に取付けられて該回動軸29と一体で回動するセクタギヤ36と、を備えている。
支持部材32は、オーガ12の先端側に内面側が向けられたU字溝状部材であって、コの字状をなす一方側端部がオーガ12の外周面に固着される。取付ブラケット34はオーガ12側に内面側が向けられたU字溝状部材であって、取付ブラケット34の内面側に支持部材32の外面側が嵌合挿入された状態で、該取付ブラケット34が支持部材32にボルト固定されている。
セクタギヤ36は、扇の中心部分に形成された取付孔36aに上述の回動軸29が挿通され、Cリング37によって回動軸29からの抜け止めがされている。
上述の取付ブラケット34の外面側に上記モータ33が取付固定されており、オーガ12の外周面と支持部材32の内面と取付ブラケット34の内面とによって囲繞されてオーガ12の先端側に向かって開放された設置スペースSに、該モータ33で発生された動力が伝動されてセクタギヤ36と常時噛合う伝動ギヤ(図示しない)が支持されている。
このような駆動装置31によれば、モータ33で発生させた回転動力が伝動ギヤ及びセクタギヤ36を介して回動軸29に伝動されることにより、ガイド板28を回動駆動させ、先端側側壁24に対してガイド板28の傾斜角を変更し、これによって排出口13からの穀粒の排出方向が変更される。
なお、これらの部材の組立工程を簡単に説明すると、メインカバー21の挿通孔18aに回動軸29の一端側を挿通させた状態で、該回動軸29の他端側がサブカバー22の挿通孔18bの挿通されるようにして、サブカバー22をメインカバー21及びオーガ12にボルト固定する。その後、サブカバー22から突出した回動軸29の上記他端側にセクタギヤ36を挿通固定し、Cリング37によって抜け止めをした後、取付ブラケット34を介してモータ33をサブカバー22側に取付けて、組付けを完了させる。
図6は、ガイド板を作用させない状態を示す排出オーガ先端側の側断面図であり、図7は、ガイド板を作用させた状態を示す排出オーガ先端側の側断面図である。本コンバインでは、ガイド板28を先端側側壁24に最も近接する全開位置P1に下方回動駆動させると(図11参照)、該ガイド板28が先端側側壁24に略平行に近接状態で対向し、ガイド板28の先端側が排出カバー体18の下端部近傍まで臨む全開姿勢に切換えられ、該全開姿勢では排出口13が全開されて穀粒の排出方向を変更する作用を殆どしない非作用状態となる(図6参照)。
また、ガイド板28を先端側が補助カバー19に近接又は接触する全閉位置(最閉位置)P2に上方回動駆動されると(図11参照)、該ガイド板28が排出筒16の軸方向に略平行になる全閉姿勢(最閉姿勢)に切換えられ、該全閉姿勢では、ガイド板28によって排出口13が全閉されて排出口13から穀粒が排出されない又は殆ど排出されない非排出状態になる。
すなわち、ガイド板28は、排出口13を閉塞可能な位置まで上方回動可能に構成されることにより、排出口13を開閉自在に閉塞するシャッターとしても機能している。言い換えると、ガイド板28は、穀粒を排出させる排出状態と、排出させない非排出状態との何れかに排出口13の状態を切換える切換手段を構成している。
このため、ガイド板28の基端から先端までの長さは、排出口13の排出筒16軸方向の長さに応じて設定され、この設定された長さに応じて、排出カバー体18のオーガ12から下方への延出長さも設定される。
さらに、ガイド板28を全開位置P1と全閉位置P2との間で回動駆動させると、その回動位置によって、先端側側壁24に対して、ガイド板28の傾斜角が変更され、排出口13からの穀粒の排出方向が変更され、該変更に伴って排出口13の開度も変化する(図7参照)。
なお、穀粒の排出口13からの排出時、ガイド板28と先端側側壁24との間の隙間に穀粒が入り込んで、ガイド板28による排出方向の変更ができない穀粒が排出カバー体18から漏れ落ちることを防止するため、ガイド板28の基端部と先端側側壁24との間に形成された隙間を上方からカバーして穀粒を補助カバー19とガイド板28との間に案内する補助ガイドカバー35が、排出筒12内の先端側面から延設されている。
上記構成のガイド板28の回動位置と、排出オーガの昇降位置及び水平旋回位置とが、マイコン等から構成される制御部38(図8参照)によって制御される。
次に、図8乃至12に基づき、制御部の構成を説明する。
図8は、制御部の構成を示すブロック図である。制御部38の入力側には、オーガ12を手動操作するオーガ手動操作手段であるオーガ操作レバー39と、オーガ12を所定の水平旋回位置に自動的に水平旋回させるオーガ自動旋回操作手段であるオーガ自動旋回スイッチ41と、オーガ12の穀粒の排出駆動の入切操作を行う排出駆動入切操作手段である排出スイッチ42と、オーガ12が最上方位置(上限位置)に上昇されたことを検出するオーガ上限位置検出手段である上限センサ43と、オーガ12の水平旋回位置を検出する旋回位置検出手段である旋回ポテンショ44と、ガイド板28の回動位置を検出する回動位置検出手段である回動ポテンショ46と、ガイド板28の先端側側壁24に対する相対的な傾斜角を変更操作する操作手段47と、が接続されている。
一方、制御部38の出力側には、縦筒14を軸回りの回動させることによりオーガ12を水平旋回駆動させる旋回手段であるオーガ旋回モータ48と、油圧による伸縮作動によって排出筒16を縦筒14に対して上下揺動させることによりオーガ12を昇降駆動させる昇降手段であるオーガ昇降シリンダ49と、エンジンから上昇ラセン及び排出ラセン17への動力伝動を断続する排出クラッチ(図示しない)を上述の排出スイッチ42の入切操作検出等に基づいて断続作動させるオーガ排出駆動入切手段である排出クラッチ駆動モータ51と、上述のモータ33と、が接続されている。
上記オーガ操作レバー39は、運転席4のオペレータが着座する座席52の後方に前後揺動操作可能且つ左右揺動操作可能に設置されており、後を向いた運転席4のオペレータのオーガ操作レバー39の前後揺動によってオーガ12の昇降操作を行うとともに、オーガ操作レバー39の左右揺動によってオーガ12の水平旋回操作を行う。
上記オーガ自動旋回スイッチ41は、オーガ操作レバー39の側方に押し可能に配置されている。オーガ12は、基端側から先端側に向かって平面視で前方斜め右方向を向いて走行機体7の上側に収納される収納姿勢と、基端側から先端側に向かって平面視で右斜め後方を向いて走行機体7の側方に突出する排出姿勢とを基本姿勢として有するが、上記オーガ自動旋回スイッチ41を1回押し操作する度に、収納姿勢から排出姿勢又は排出姿勢から収納姿勢への姿勢切換が行われる。
上記排出スイッチ42は、オーガ操作レバー39の側方に押し操作可能に配置されている。制御部38は、後述する所定条件を満たした場合、排出スイッチ42の1回の押し操作毎に、排出クラッチ駆動モータ51を介して、排出クラッチの断続切換を行うように構成されている。そして、排出クラッチが接続された場合には、グレンタンク6内の穀粒がオーガ12の排出口13から排出される一方で、排出クラッチが切断された場合には、オーガ12の排出口13からの穀粒の排出が停止される。
図9(A)はオーガの水平旋回範囲を示すコンバインの平面図であり、(B)はオーガの昇降範囲を示すコンバインの背面図である。同図(A)に示すように、本コンバインでは、オーガ12の収納姿勢時の水平旋回位置(収納姿勢位置)C1から、オーガ12を平面視で時計回りに水平旋回させ、オーガ12先端側が右側方を向く水平旋回位置(排出可能位置)C2を通過し、さらにオーガ12が排出姿勢時の水平旋回位置(排出姿勢位置)C3を通過して、オーガ12先端側が収納姿勢位置よりも後寄りの前方斜め左方向を向く水平旋回位置(旋回限界位置)C4に至り、この範囲(C1〜C4の範囲)がオーガ12の水平旋回範囲(旋回範囲)Dに設定されている。
制御部38は、この旋回範囲D中、収納姿勢位置C1から排出可能位置C2に至る直前の範囲を、排出クラッチを接続作動させず(穀粒を排出させず)且つオーガ12を上限位置から下降させない非排出範囲(オーガ下降禁止範囲)d1に設定している一方で、この旋回範囲D中、非排出範囲d1以外の範囲である排出可能位置C2から排出姿勢位置C3を通過し旋回限界位置C4に至る範囲を、排出クラッチを接続作動させることが可能であって且つオーガ12を上限位置から下降させることが可能な排出範囲(排出可能範囲)d2に設定している。
言い換えると、オーガ12が非排出範囲d1内に位置している場合には、該オーガ12が上限位置に位置し、排出スイッチ42により排出クラッチの接続操作を行っても排出クラッチは接続されずに切断状態が保持されるとともに、オーガ操作レバー39によるオーガ12の下降操作を行ってもオーガ12は下降しないように制御部38が構成されている。一方、オーガ12が排出範囲d2に位置している場合には、排出スイッチ42により排出クラッチの断続操作に伴って排出クラッチは断続されるとともに、オーガ操作レバー39によるオーガ12の下降操作が可能な状態になるように制御部38が構成されている。このため、上述した収納姿勢から排出姿勢への姿勢切換時には、収納姿勢位置C1においてオーガ12が上限位置まで上昇駆動された後、排出姿勢位置C3への水平旋回駆動が実行される。
また、同図(B)に示すように、図示する例では、上限センサ43によって、オーガ12の上限位置が水平方向から上方に45度上方回動させた位置に設定されている。
図10は、切換手段として機能するガイド板による排出口の開閉制御の構成を示す概念図である。制御部38は、旋回ポテンショ44のセンシング結果に基づいて、オーガ12が排出範囲d2内から非排出範囲d1内へ水平旋回されたことを検出した場合には、モータ33及び回動ポテンショ46によって、ガイド板28を全閉位置P2に上方回動させることにより排出口13を非排出状態に切換える。
一方、制御部38は、排出口13から穀粒が排出されるように排出オーガ12を排出駆動させる動力の断続を行う上述の排出クラッチの接続操作を排出スイッチ42により検出している最中、オーガ12が排出範囲d2内に位置していることが旋回ポテンショ44により検出されると、モータ33及び回動ポテンショ46によりガイド板28を全開位置P1に下方回動させて排出口13を排出状態に切換える。
このようにオーガ12の水平旋回に伴い、排出口13の排出状態と非排出状態との切換を制御部38によって自動的に行うように本コンバインを構成すれば、穀粒の排出を本来行わないような状態時に排出口13が排出状態に切換えられ、排出口13に溜まった穀粒が排出口13から不測に漏れ出すという自体が防止できる一方で、排出クラッチを接続作動させて穀粒の排出口13からの排出を行う際に、排出口13が非排出状態になっている事態も防止される。
なお、図示する例では、排出口13からの穀粒の排出方向を変更するガイド板28によって、排出口13の排出状態と非排出状態との切換を行う切換手段を構成しているが、排出筒16の排出口13を含む先端部をその他の部分に対して別体形成して該その他の部分に対して排出筒16の軸回りに回動可能に支持して切換手段を構成してもよい。この場合には、該先端部の上記軸周り回動により排出口13を上に向け、排出口13を非排出状態に切換える一方で、先部の上記軸周り回動により排出口13を下に向け、排出口13を排出状態に切換える。
また、上述の排出クラッチの接続操作が排出スイッチ42により検出された際、オーガ12が排出範囲d2内に位置していることが旋回ポテンショ44により検出されても、ガイド体28が全閉位置P2よりも全開位置P1寄りの回動位置に位置し、排出口13が排出状態になっている場合には、ガイド板28を全開位置P1に回動させずに、その位置で保持するように制御部38を構成してもよい。
図11(A)はガイド板の回動制御の構成を示すオーガ先端側の側断面図であり、(B)は操作手段の要部平面図である。制御部38は、オーガ12が非排出範囲d1に位置している場合には、排出口13の非排出状態を保持する一方で、オーガ12が排出範囲d2に位置している場合には、操作手段47によりガイド板28の回動位置を変更できるように構成されている。
具体的には、操作手段47がダイヤル操作具から構成され、全開位置P1から全閉位置P2の間の範囲において、ダイヤル操作具47の回動操作位置に対応した位置にガイド板28が回動駆動されるように制御部38を構成している。言い換えると、上述のように切換手段47によって排出口13が排出状態に自動的に切換えられた後でも、穀粒排出中等に、ダイヤル操作具47によって、ガイド板28の回動位置を変更できる。
また、排出クラッチが接続作動してオーガ12の排出口13から穀粒が排出されている際、ガイド板28を所定以上全閉位置P寄り(基端側側壁23側)に回動させると、排出口13の開度が低くなり過ぎて、排出口13付近で穀粒の詰まりが生じる等の不具合が生じる。
このため、制御部38は、全開位置P1から全閉位置P2に向けて所定角度回動させた位置を禁止位置P3とし、全開位置P1から禁止位置P3に至る範囲を排出可能範囲X1に設定し、禁止位置P3よりも全閉位置P2寄りの範囲を排出禁止範囲X2に設定している。そして、排出クラッチが接続作動している最中は、ダイヤル操作具47によりガイド体28が排出禁止範囲X2内に回動されるような操作が行われても、ガイド体28を排出可能範囲X1内で保持し、排出禁止範囲X2に回動されないように制御部38を構成している。すなわち、制御部38によって、基端側側壁23側へのガイド板28の所定以上の回動を規制する規制手段を構成している。また、ダイヤル操作具47の周囲には、目盛りとともに全開位置P1と全閉位置P2と禁止位置P3とにガイド板28を回動させることが可能なように印が設けられている。そしてダイヤル操作具47は、ガイド板28を排出禁止範囲X2に位置させる操作位置では停止できないように構成され、その位置で手を離した場合には、ガイド板28を全閉位置P2に位置させる操作位置又はガイド板28を禁止位置P3に位置させる操作位置の何れかにダイヤル操作具47が回動作動される。
ちなみに、図示する例では、全開位置P1から全閉位置P2に向けて略45度回動させた位置が禁止位置P3に設定されており、この禁止範囲P3は、排出口13の基端縁から排出カバー体18の基端側側壁23までの距離がどの程度かによっても変化し、図示する例では、排出口13の基端縁から排出カバー体18の基端側側壁23までの距離が、排出カバー体18の基端側側壁23と先端側側壁24との間の距離の4割から3割程度の長さに設定されている。
図12(A)はコンバインからトラックの荷台に穀粒を投入する際のオーガの水平旋回調整の状態を示すトラック及びコンバインの平面図であり、(B)はコンバインからトラックの荷台に穀粒を投入する際のガイド板による穀粒の排出方向調整の状態を示す図であり、(C)は、コンバインからトラックの荷台に穀粒を投入する際の状態を示すトラック及びコンバインの正面図である。
同図に示す通り、上記構成のコンバインは、圃場内において刈取作業によってグレンタンク6内に穀粒を収納した後、圃場外に駐車されたトラック53に、圃場内から横付けする。続いて、トラック53の荷台54の真上に排出口13が位置するようにオーガ12を排出範囲d2内で水平旋回させ、位置を微調整する。続いて、排出クラッチの接続操作を行いコンバイン側の穀粒をオーガ12の排出口13からトラック53の荷台54に投入する。この際、荷台54内のコンバインに対して手前側の奥側に対して均等に穀粒が投入されるように、ガイド板28の回動位置を操作手段47により変更して、穀粒の排出方向をオーガ12の排出筒16の軸方向に沿って変化させる。
該構成のコンバインによれば、オーガ12の水平旋回位置調整及びガイド板28の回動位置調整を行うことにより、トラック53の荷台54内に均等に穀粒を排出させることが可能になるため、利便性が高い。
なお、本コンバインでは、操作手段47によるガイド板28の回動位置変更操作時に、ガイド板28が排出禁止範囲X2内に位置した場合には、全閉位置P2まで自動的にガイド板28を回動作動させるように制御部38を構成してもよい。
また、ガイド板28が排出禁止範囲X2内に位置している場合には、排出クラッチの接続作動を規制して切断状態を保持されるように制御部38を構成してもよい。
ただし、何れの場合でも、排出クラッチが切断状態であってオーガ12から穀粒が排出されていない場合にのみ、ガイド板28の排出禁止範囲X2内への回動を許容し、それ以外の場合には許容しないように制御部38が構成されている。
次に、図13に基づき、本コンバインの別実施形態について上述の形態と異なる点を説明する。
図13は、本コンバインの別実施形態に関し、切換手段として機能するガイド板による排出口の開閉制御の構成を示す概念図である。同図に示す例では、旋回ポテンショ44のセンシング結果に基づいて、オーガ12が非排出範囲d1内から排出範囲d2内へ水平旋回されたことを検出した場合には、モータ33及び回動ポテンショ46によって、ガイド板28を全開位置P1に上方回動させ、排出口13を排出状態に切換えるように制御部38が構成されている。
次に、図14に基づき、本コンバインの別実施形態について上述の形態と異なる点を説明する。
図14は、本コンバインの別実施形態に関し、(A)はガイド板の回動制御の構成を示すオーガ先端側の側断面図であり、(B)は操作手段の要部平面図である。同図に示す例では、操作手段47が押し操作可能なモーメンタリスイッチである開ボタン47a及び閉ボタン47bによって構成されている。両ボタン47a,47bは上下に近接配置されており、上述した所定条件下においては、開ボタン47aが押し操作されている間は、ガイド板28が全開位置P1に向かって回動駆動される一方で、閉ボタン47bが押し操作されている間は、ガイド板28が全閉位置P2に向かって回動駆動されるように制御部38が構成されている。
なお、操作手段47をこのようにした場合、操作手段47によってガイド板28が排出禁止範囲X2で停止されると、ガイド板28を全閉位置P2又は禁止位置P3の内で近い方に自動的に回動させるように制御部38を構成してもよい。
次に、図15に基づき、本コンバインの別実施形態について上述の形態と異なる点を説明する。
図15は、本コンバインの別実施形態に関し、オーガの先部側の構成を示す側断面図である。上述の例では、オーガ12の排出筒16に対して垂直方向に延びる基端側側壁23に対して先端側側壁24が平行な状態で対向しているが、図15に示す例では、先端側側壁24が基端側側壁23に対し、下方に向かって徐々に離間するように傾斜している。このために排出口13からの穀粒を、排出筒16の先端よりもさらに先端側(図15における右側)に排出せしめることが可能になる。
次に、図16乃至19に基づき、本コンバインの別実施形態について上述の形態と異なる点を説明する。
図16乃至18は、本コンバインの別実施形態に関し、排出オーガの先端側の構成を示す側面図、側断面図及び斜視図であり、図19(A)は図16のA矢視図であり、(B)は図16のB矢視図である。
図示する排出カバー体18は、メインカバー21及びサブカバー22のオーガ12からの延出量が上述の形態の略半分程度に設定され、これらのカバー21,22の下端部からは、断面視方形状をなす環状の合成樹脂製の弾性変形可能な透明カバー56が上記メインカバー21及びサブカバー22の延出量と同程度、下方に向かって延設されている。すなわち、排出カバー体18の上側半部はメインカバー21及びサブカバー22によって構成され、下側半部は可撓性を有する部材からなる透明カバー56によって構成されている。その他、排出筒16の先端面には、オーガ操作部57及びオーガ12の下方を撮影するカメラ(図示しない)が設置され、取付ブラケット34には下方側を照らす作業灯58がステー59を介して取付支持され、モータ33等の外側方はサイドカバー61によってカバーされて保護されている。
上記透明カバー56は、透明でフレキシブルに弾性変形可能な合成樹脂製の方形状シートの両端部同士を重ね合せることにより、断面視方形状をなす筒状に形成されている。そして、上記重ね合せた部分を基端側側壁23側に位置させた状態で、透明カバー56の上端部内周面を、メインカバー21及びサブカバー22の下端部外周面に接触されてボルト固定することにより、透明カバー56をメインカバー21及びサブカバー22に取付ける。
ガイド板28を全開位置P1に回動させた際、該ガイド板28の先端側半部は、透明カバー56の内周側に臨んでおり、少なくとも排出可能範囲X1内においてガイド板28の回動位置調整を行っている間は、透明カバー56を介して、該ガイド板28がオペレータや作業者から目視可能な状態な状態になる。すなわち、排出カバー体18に設けられた透明カバー56は、ガイド板28の傾斜状態(穀粒排出方向調整状態)を目視する目視手段を構成している。なお、本コンバインでは、排出口13の基端縁から基端側側壁23までの距離が殆どなく、禁止位置P3は、全開位置P1から全閉位置P2に向かって30度回動させた位置に設定されている。
取付ブラケット34は、オーガ12の先端側及び基端側に向けって一体的に延設されて先端側取付部34a及び基端側取付部34bを構成している。先端側取付部34aはセクタギヤ36の外側方の一部をカバーするように構成され、この先端側取付部34aには回動軸29の回動位置を直接検知することによりガイド板28の回動位置を検出する上述の回動ポテンショ46がボルト固定されている。ちなみに、回動ポテンショ46は、検出軸であるポテンショ軸46aが回動軸29の軸心上に配置され、ポテンショ軸46aと回動軸29が一体回動するように、該ポテンショ軸46aが回動軸29の端部に凹凸係合されている。
基端側取付部34bの延出側端部には、平面視でオーガ12の外側方に向かって開放されたコの字状をなす上述のステー59の中心部が取付支持されており、このコの字状のステー59の両端部間に作業灯58が回動調整可能に取付支持されている。作業灯58は、ステー59の両端部間を結ぶ軸62回りに回動可能に支持されており、作業灯58を回動調整することにより、該作業灯58の照射箇所が排出筒16の軸方向と直交する方向に沿って変更される。
サイドカバー61は、サブカバー22にボルト固定され、サブカバー22における作業灯58設置箇所以外の部分の外側方をカバーして保護するように構成されている。
オーガ操作部57は、左右及び上下に4つのオーガ操作ボタン57a,57b,57c,57dを備え、この4つのオーガ操作ボタン57a,57b,57c,57dの隣にオーガ排出ボタン57eを設けている。そして、左右のオーガ操作ボタン57a,57bによってオーガ12の水平旋回操作を行うとともに、上下のオーガ操作ボタン57c,57dによってオーガ12の昇降操作を行う他、排出ボタン57eによって上述した排出クラッチの断続操作を行うように制御部38が構成されている。このオーガ操作部57によって運転席4以外の位置にいる作業者からオーガ12の水平旋回操作及び昇降操作と、穀粒排出駆動の入切操作とを行うことが可能になる。ちなみに、上述のカメラはオーガ操作部57の下方に配置されている。
上記構成のコンバインによれば、穀粒の排出口13からの排出時、透明カバー56を介して、ガイド板28による穀粒の排出方向制御の様子を目視できるため、穀粒の排出方向の変更を迅速且つ正確に行うことが容易になる。
また、透明カバー56はフレキシブルに変形可能であって、透明カバー56を重ね合せた端部同士も接着等はせずにフリーな状態で基端側側壁23側に位置させているいため、回動調整によりガイド板28が基端側側壁23側に近づき過ぎて穀粒が詰りそうになった場合には、穀粒からの圧力によって透明カバー56が捲れ、穀粒の排出口13付近での詰りが防止される。
また、ガイド板28が全閉位置P2に回動された場合には、ガイド板28全体がメインカバー21とサブカバー22との内周面側に位置するため、オーガ12の先端側が障害物に衝突しても、ガイド体28は、メインカバー21及びサブカバー22によって保護され、破損が防止される。
さらに、作業灯58を支持する支持部材が、モータ33を取付支持するための取付ブラケット34であるため、上記支持部材を別途設ける必要は無く、部品点数が減少して製造コストを低く抑えることが可能になる。