JP5435432B2 - タンパク質、ペプチド、および他の分子のf−18標識のための改良された方法および組成物 - Google Patents

タンパク質、ペプチド、および他の分子のf−18標識のための改良された方法および組成物 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、米国特許出願第11/960,262号(2007年12月19日出願)の一部継続出願であり、左記は米国仮特許出願第60/884,521号(2007年1月11日出願)の米国特許法第119条(e)項の下での恩典を主張する。これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
ある実施形態において、本発明は、インビボ画像化に有用なペプチドをF−18で標識する簡単な方法に関する。F−18標識ペプチドの好ましい比放射能は、患者への投与時に、1,000〜2,000Ci/mmolであると考えられる。100〜数万Ci/mmolの範囲の比放射能も有用であると考えられる。ある画像化用途にはより高い比放射能が好ましいが、他の代替の実施形態では、より低い比放射能のNOTA(l,4,7−トリアザ−シクロノナン−N,N',N''−三酢酸)または別のキレート部分との金属−F−18錯体が、例えば、血流を画像化するための腎血流画像化剤としてまたは心臓および脳の画像化剤のために有用であり得る。好ましくは、F−18標識は、未標識ペプチドを標識ペプチドから分離するための精製工程を必要とせずに達成される。より好ましくは、F−18標識ペプチドは、例えば、ヒト血清中などの、インビボ条件下で安定である。
陽電子放射断層撮影法(PET)による画像化によって、PET画像からの高い解像度と定量性が得られる。ペプチドまたは他の小分子は、陽電子放射体(いくつか挙げると18F、64Cu、66Ga、68Ga、76Br、94mTc、86Y、および124I)で標識することができる。同位体の核から放射される陽電子は、使用する同位体によって異なるエネルギーで放出される。陽電子が1個の電子と反応すると、2個の511keVのガンマ線が反対方向に放射される。放出陽電子のエネルギーは、陽電子が電子に衝突して消滅するまでに移動する平均距離を制御する。放出エネルギーが高ければ高いほど、陽電子は電子と衝突するまでにより大きく移動する。PETカメラで撮影される2個の511keVのガンマ線を発生するまでに陽電子が標的部位から移動する距離を最小にするために、PET同位体に適した低放出エネルギーが望ましい。陽電子を放射する多くの同位体は、その崩壊系列において、ガンマ線、アルファ粒子、またはベータ粒子などの他の放射物をも有する。線量測定上のいかなる問題も最小限に抑えられるように純粋な陽電子放射体であるPET同位体を有することが望ましい。
同位体をターゲッティング分子に付着させ、その産物を分析し、それを患者に注射し、その産物を局在化させ、標的以外の組織から除去し、その後、画像化することができるように、半減期は長くなければならないので、同位体の半減期も重要である。半減期が非常に長い場合、比放射能は、明瞭な画像に十分な光子を得るほど高くなくてもよく、半減期が非常に短い場合、製造、商品流通、および生体分布に必要な時間が足りない可能性がある。F−18(β、635keV、97%、t 110分)は、陽電子放射エネルギーが低く、側方放射がなく、かつ半減期が好適であるために、最も広く使用されているPET放射同位体のうちの1つである。F−18は、高比放射能を伴って生成される。ターゲッティング用の分子に同位体を付着させると、通常それに付随して、何らかの未反応のターゲッティング剤が生じるが、これは、放射性標識産物と比較してモル大過剰で存在することが多い。通常、標識産物と未標識産物はインビボで同じ標的を奪い合うことができるので、コールドのターゲッティング剤の存在によって、ターゲッティング剤の実効比放射能が低下する。非常に取込みが高い分子(例えば、2−フルオロ−2−デオキシグルコース(FDG))にF−18を付着させる場合、実効比放射能はそれほど重要でない。しかしながら、標識ペプチドで受容体をターゲッティングするかまたは利用できる結合部位の数が限られた免疫PETプレターゲッティング研究を実施する場合、コールドのターゲッティング剤は、過剰に存在すると、放射性標識されたターゲッティング剤の取込みを阻止する可能性があると考えられる。
従来のペプチドのF−18標識は、低い比放射能で試薬を標識し、この試薬をHPLC精製し、その後、対象とするペプチドにコンジュゲートする必要がある。コンジュゲートは、所望の比放射能の標識ペプチドを得るためにコンジュゲートした後に再精製されることが多い。1つの例は、Poethkoら(J.Nucl.Med.2004;45:892−902)の標識法であり、この方法では、まず4−[18F]フルオロベンズアルデヒドを合成および精製し(Wilsonら,J.Labeled Compounds and Radiopharm.1990;XXVIII:1189−1199)、その後、ペプチドにコンジュゲートする。その後、ペプチドコンジュゲートをHPLCで精製し、コンジュゲーションを完了させるために使用した過剰なペプチドを除去する。仮にF−18の半減期が長ければ、2つの反応と精製は問題とならないであろう。しかしながら、F−18の半減期はわずか2時間であり、そのため、F−18をペプチドに付着させるのに必要な操作全てが、かなりの負担となる。
これらの方法は、退屈な行為であり、標識産物を産生するように特に設計された装置の使用と専門のプロの化学者の尽力を必要とする。それらは、臨床の場でルーチンに使用し得るキット製剤ではない。検出および/または画像化のための好適な比放射能およびインビボ安定性を有するターゲッティングコンストラクトを生じさせる一方で、特殊な装置または高度に訓練された人員に対する必要性を最小限に抑え、かつ技師の高レベル放射能への被爆を減らす、迅速かつ簡単なターゲッティング部分(例えば、タンパク質またはペプチド)のF−18標識方法が必要とされている。さらに、このような新規の方法を実施するのに必要な組成物を提供し得る包装済みキットが必要とされている。
フッ素は、事実上全ての他の元素に結合し、それらの結合のうちのいくつかは比較的安定である。金属結合配位子を有するペプチドは、安定にかつ非常に高い比放射能で放射性金属に結合することが知られている。本方法で利用された手法は、まずF−18を金属に結合させ、その後、このF−18金属錯体をペプチド上の配位子とキレート化させることであった。次の問題は、どの金属(または他の元素、例えば、ホウ素)を選ぶかということであった。文献を素早く検索した上で、IIIA族の元素(ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、およびタリウム)が第一選択であった。リチウムも有用である可能性がある。
あるいは、まず金属原子または他の原子をペプチドに付着させて、その後、F−18を付加することも可能である。第二の手法は、例えば、フッ化ホウ素結合に、より有利に働く可能性がある。
フッ化アルミニウム錯体は、インビトロで安定であることが報告されている(Martinezら,Inorg.Chem.1999;38:4765−4660;Antonnyら,J.Biol.Chem.1992;267:6710−6718)。フッ化アルミニウムは、骨および歯のエナメル質に取り込まれるようになるので、この錯体は、インビボでも安定であることができる(Li,Crit.Rev.Oral Biol.Med.2003;14:100−114)。
送達分子と細胞または組織の標的受容体の間のリガンド−受容体結合相互作用に影響を及ぼさないで修飾し得る誘導体化可能な基を含む限りにおいて、画像化目的でF−18を付着させるためにほとんど全ての送達分子を使用することができるということを当業者は理解するであろう。下記の実施例はF−18標識されたペプチド部分に関するものであるが、多くの他の種類の送達分子(例えば、オリゴヌクレオチド、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、ケモカイン、血管新生因子、抗血管新生因子、免疫モジュレーター、タンパク質、核酸、抗体、抗体断片、薬物、インターロイキン、インターフェロン、オリゴ糖、多糖、脂質など)をF−18標識し、画像化目的に利用してもよい。同様に、画像化し得る疾患または病気の種類は、この疾患または病気と関連する細胞または組織をターゲッティングするための好適な送達分子の利用可能性によってのみ限定される。下記の実施例で例示するように、多くのこのような送達分子が知られている。例えば、罹患した組織または標的(例えば、癌)に結合する任意のタンパク質またはペプチドを、開示された方法によってF−18で標識し、検出および/または画像化に使用することができる。ある実施形態において、このようなタンパク質またはペプチドとして、腫瘍関連抗原(TAA)に結合する抗体または断片を挙げることができるが、これらに限定されない。任意の公知のTAA結合抗体または抗体断片を、記載された方法によってF−18で標識し、例えば、PET走査または他の公知の技術によって、腫瘍の画像化および/または検出に使用し得る。
下記のある実施例において、例示的なF−18標識ペプチドは、二重特異性抗体もしくは抗体断片または多重特異性抗体もしくは抗体断片を利用するプレターゲッティング法におけるターゲッティング可能なコンストラクトとして、画像化目的のために有用であり得る。この場合、この抗体または断片は、疾患または病気と関連する標的(例えば、腫瘍関連抗原もしくは自己免疫疾患関連抗原、またはウイルス、細菌、真菌、もしくは他の微生物などの病原性微生物によって産生もしくは提示される抗原)のための1つ以上の結合部位を含む。第二の結合部位は、ターゲッティング可能なコンストラクトに特異的に結合する。二重特異性抗体または多重特異性抗体を用いるプレターゲッティング法は、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,962,702号を参照されたく、これは、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)。同様に、HSG(ヒスタミンスクシニルグリシン)に結合する679モノクローナル抗体などの、ターゲッティング可能なコンストラクトに結合する抗体またはその断片も、当技術分野において周知である(同上)。一般に、プレターゲッティング法では、二重特異性抗体または多重特異性抗体をまず投与し、細胞または組織の標的抗原に結合させる。未結合抗体が血液循環から除去されるまでの適当な時間の後、例えば、F−18標識されたターゲッティング可能なコンストラクトが患者に投与され、標的細胞または標的組織に局在化した抗体に結合し、その後、例えば、PET走査によって、画像が撮影される。
例示的な実施形態において、非ペプチド性受容体ターゲッティング剤(例えば、葉酸)をNOTAにコンジュゲートし、その後、例えば、NOTAに結合するF−18金属錯体で標識することができる。このような非ペプチド性受容体ターゲッティング剤としては、例えば、インテグリンαvβ3受容体の非ペプチドアンタゴニストである、TA138を挙げることができる(Liuら,2003,Bioconj.Chem.14:1052−56)。DOTA、NOTA、またはF−18金属錯体用の別のキレート剤にコンジュゲートすることができる当技術分野で公知の類似の非ペプチド性ターゲッティング剤を、特許請求された方法で利用してもよい。ソマトスタチン受容体ターゲッティング剤であるIn−DTPAオクトレオチド(TYCO(登録商標))のような、他の受容体ターゲッティング剤が当技術分野で公知である。以下で考察するように、F−18金属錯体を、潜在的にDTPAを用いてキレート化させ、画像化目的に使用することができる。NODAGATOCペプチドは、ソマトスタチン受容体ターゲッティングのためにAlF−18で標識することができる(Eisenwienerら,Bioconj.Chem.2002,13(3):530−41)。金属キレートを用いる他の受容体ターゲッティングによる画像化法は当技術分野で公知であり、特許請求された方法の実施で利用することができる(例えば、Andreら,2002,J.Inorg.Biochem.88:1−6;Pearsonら,1996,J.Med.,Chem.39:1361−71参照)。
PET走査によるF−18画像化のための画像化技術および装置も当技術分野で周知であり(例えば、米国特許第6,358,489号;同第6,953,567号;Pageら,Nuclear Medicine And Biology,21:911−919,1994;Choiら,Cancer Research 55:5323−5329,1995;Zalutskyら,J.Nuclear Med.,33:575−582,1992を参照)、任意のこのような公知のPET画像化技術または装置を利用し得る。
下記の実施例はPET画像化を目的としたF−18金属錯体の使用を示しているが、安定な金属−フッ素錯体(例えば、非放射性のAl−27錯体およびF−19錯体)を、NOTAまたは他のキレート剤に結合させ、MRI造影剤として使用されるペプチドまたは他のターゲッティング剤に付着させることもできるということを当業者は理解するでろう。AlF
NOTA錯体をMRI画像化用のポリマーに付着させることもできる。AlF NOTA誘導体をPARACEST MRI画像化剤として使用することができる(Woessnerら,Magn.Reson.Med.2005,53:790−99)。
以下の図は、本発明の特定の実施形態を説明するために含まれるものであり、特許請求された内容の範囲に関して限定するためのものではない。
例示的なペプチドIMP272。 例示的なペプチドIMP288。 例示的なペプチドIMP326。 例示的なペプチドIMP329。 例示的なペプチドIMP331。 例示的なペプチドIMP332。 例示的なペプチドIMP333。 例示的なペプチドIMP334。 例示的なペプチドIMP349。 例示的なペプチドIMP368。 例示的なペプチドIMP375。 例示的なペプチドIMP384。 例示的なペプチドIMP386。 例示的なペプチドIMP389。 例示的なペプチドIMP449。 追加の例示的なペプチドIMP422、IMP426、およびIMP428。 例示的なNOTA誘導体。 例示的なNODA−ペプチド構造。 TF2二重特異性抗体を用いた場合またはTF2二重特異性抗体を用いない場合のマウスにおけるIn−111標識IMP449とF−18標識IMP449の比較生体分布。 プレターゲッティングTF10二重特異性抗MUC1抗体を用いた場合またはプレターゲッティングTF10二重特異性抗MUC1抗体を用いない場合の111In−標識diHSGペプチド(IMP288)を用いた腫瘍のインビボ画像化。 124In−標識ペプチドと、TF2二重特異性抗CEA抗体によるプレターゲッティングとを用いた、ヌードマウスの肺内の微小転移性ヒト大腸癌のPET画像化。 F−18標識とともに使用される追加の例示的なキレート部分。
以下に続く説明において、本明細書における開示を理解しやすくするために、多くの用語を使用し、以下の定義を提供する。明確に定義しない用語は、その普通の一般的な意味で使用する。
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つ以上の項目を意味し得る。
本明細書で使用するとき、「および」および「または」という用語は、接続語または離接語のいずれかを意味するために使用し得る。すなわち、両用語は、特に明記しない限り、「および/または」の等価物として理解されるべきである。
本明細書で使用するとき、「約」とは、ある数のプラス10パーセント以内またはマイナス10パーセント以内を意味する。例えば、「約100」は、90〜110の間の任意の数を指すと考えられる。
本明細書で使用するとき、「ペプチド」は、2〜100アミノ酸残基長、より好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6アミノ酸長の天然または非天然のアミノ酸の任意の配列を指す。「アミノ酸」は、L−アミノ酸、D−アミノ酸、アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体、またはアミノ酸模倣体であってもよい。
本明細書で使用するとき、標識分子は、未標識分子から一部または完全に分離されている場合、「精製されて」おり、その結果、この標識分子の画分は、出発混合物と比較して濃縮されている。「精製された」標識分子は、5:95、10:90、15:85、20:80、25:75、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5、97:3、98:2、99:1、または100:0を含むが、これらに限定されない、ほとんどあらゆる比率の標識分子と未標識分子の混合物を含み得る。
本明細書で使用するとき、「病原体」という用語は、真菌、ウイルス、寄生虫、および細菌を含むが、これらに限定されず、このようなものとして、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、サルウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、疣贅ウイルス、ブルー・タングウイルス、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、レジオネラ・ニューモフィリア(Legionella pneumophilia)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、大腸菌(Escherichia coli)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ヘモフィリス・インフルエンザB菌(Hemophilis influenzae B)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ライム病スピロヘータ、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ハンセン菌(Mycobacterium leprae)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、およびクロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用するとき、「放射線分解保護剤」とは、F−18標識された錯体または分子の放射線分解による崩壊速度を減少させるために、F−18標識された錯体または分子に添加し得る任意の分子、化合物、または組成物を指す。アスコルビン酸を含むが、これに限定されない、任意の公知の放射線分解保護剤を使用してもよい。
ターゲッティング可能なコンストラクトペプチド
ある実施形態において、F−18標識部分は、ペプチドまたは他のターゲッティング可能なコンストラクトを含んでもよい。画像化および/または検出用のターゲッティングされる細胞、組織、病原生物、または他の標的に直接結合するように、F−18標識ペプチド(またはタンパク質)を選択してもよい。他の実施形態において、例えば、ターゲッティング可能なコンストラクトペプチドに対する1つ以上の結合部位と疾患または病気と関連する標的抗原に対する1つ以上の結合部位とを有する二重特異性抗体を用いて、間接的に結合するように、F−18標識ペプチドを選択してもよい。二重特異性抗体を、例えば、最初に抗体を対象に投与し得るプレターゲッティング技術で使用してもよい。二重特異性抗体が標的抗原に結合し、未結合抗体が血液循環から除去されるまで十分な時間をかけてもよい。その後、ターゲッティング可能なコンストラクト(例えば、F−18標識ペプチド)を対象に投与し、二重特異性抗体に結合させ、罹患した細胞または組織に局在化させてもよく、その後、F−18標識されたターゲッティング可能なコンストラクトの分布をPET走査または他の公知の技術によって明らかにしてもよい。
このようなターゲッティング可能なコンストラクトは、多様な構造であることができるし、また、このターゲッティング可能なコンストラクトに高い親和性で結合する抗体または断片が利用可能であるという理由からだけでなく、プレターゲッティング法と二重特異性抗体(bsAb)または多重特異性抗体とともに使用された場合に迅速にインビボでクリアランスされるという理由からも選択される。疎水性の薬剤が強い免疫応答を誘発するのに最も優れているのに対して、親水性の薬剤は、迅速なインビボでのクリアランスに好ましい。したがって、疎水性と親水性とのバランスを確立させる。これは、親水性キレート剤を用いて、多くの有機部分の固有の疎水性を相殺することによって、ある程度は達成することができる。反対の溶液特性を有するターゲッティング可能なコンストラクトのサブユニット、例えば、様々なアミノ酸を含有し、その中には疎水性のアミノ酸もあれば、親水性のアミノ酸もあるペプチドを選択することもできる。ペプチドの他に、炭水化物を使用してもよい。
わずか2アミノ酸残基、好ましくは2〜10残基を有するペプチドを使用してもよく、これを他の部分(例えば、キレート剤)と連結させてもよい。リンカーは、キレート中の金属イオンを含む、好ましくは50,000ダルトン未満、有利には約20,000ダルトン、10,000ダルトン、または5,000ダルトン未満の分子量を有する、低分子量コンジュゲートであるべきである。より通常としては、ペプチドDOTA−Phe−Lys(HSG)−Tyr−Lys(HSG)−NH(配列番号1)(式中、DOTAは1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン四酢酸であり、HSGはヒスタミンスクシニルグリシル基である)などの、ターゲッティング可能なコンストラクトペプチドは、4個以上の残基を有する。あるいは、DOTAを、NOTA(1,4,7−トリアザ−シクロノナン−N,N',N''−三酢酸)部分またはTETA(p−ブロモアセトアミド−ベンジル−テトラエチルアミン四酢酸)部分に置き換えてもよい。
ターゲッティング可能なコンストラクトはまた、インビボでのペプチドの安定性を増大させるために骨格構造中に非天然のアミノ酸(例えば、D−アミノ酸)を含んでもよい。代替の実施形態において、非天然アミノ酸およびペプトイドから構築される骨格構造のような他の骨格構造。
ターゲッティング可能なコンストラクトとして使用されるペプチドは、固相支持体と反復直交脱保護・カップリング(repetitive orthogonal deprotection and coupling)の標準的な技術とを用いる自動化ペプチド合成機で好都合に合成される。ペプチドの遊離アミノ基は、キレートとのコンジュゲーションのために後で使用されることになるが、これを標準的な保護基(例えば、Boc基)で有利にブロッキングする一方で、血清安定性を増大させるためにN末端残基をアセチル化してもよい。このような保護基は当業者に公知である。GreeneおよびWuts Protective Groups in Organic Synthesis,1999(John Wiley and Sons,N.Y.)を参照されたい。後から二重特異性抗体システムで使用するためにペプチドを調製する場合には、インビボのカルボキシペプチダーゼ活性を阻害するために、ペプチドを樹脂から有利に切断し、対応するC末端アミドを生成させる。
免疫原のハプテンは、認識部分、例えば、化学的ハプテンを含む。化学的ハプテン、好ましくは、HSGハプテンを使用することにより、リンカーの抗体に対する高い特異性が示される。HSGハプテンに対して惹起された抗体が知られており、それらを適当な二重特異性抗体の中に容易に組み込むことができる(例えば、米国特許第6,962,702号、同第7,138,103号、および同第7,300,644号を参照されたく、これらはその各々のテキスト全体が参照により本明細書に組み入れられる)。したがって、リンカーを付着ハプテンと結合すれば、抗体または抗体断片に対して極めて特異的になると考えられる。
キレート部分
いくつかの実施形態において、F−18標識分子は、1つ以上の親水性キレート部分を含んでもよく、これは、金属イオンに結合することができ、迅速なインビボでのクリアランスを確実にするよう役立つこともできる。キレート剤は、その特定の金属結合特性から選択されてもよく、容易に取り替えられてもよい。
特に有用な金属−キレートの組合せとしては、2−ベンジル−DTPAとそのモノメチル類似体およびシクロヘキシル類似体が挙げられる。NOTA(1,4,7−トリアザ−シクロノナン−N,N',N''−三酢酸)、DOTA、およびTETA(p−ブロモアセトアミド−ベンジル−テトラエチルアミン四酢酸)などの大環状キレート剤も、種々の金属に関して有用であり、F−18コンジュゲーションのための配位子として潜在的に使用し得る。
DTPA型キレート剤およびDOTA型キレート剤は、その配位子が硬い塩基キレート官能基(例えば、カルボキシラート基またはアミン基)を含むが、これらは、硬い酸カチオン、特に、IIa族およびIIIa族の金属カチオンをキレート化させるのに最も有効である。このような金属−キレート錯体は、環のサイズを対象となる金属に合わせることによって非常に安定なものにすることができる。大環状ポリエーテルなどの他の環型キレート剤は、核種と安定に結合するために注目されている。ポルフィリンキレート剤を多くの金属錯体とともに使用することができる。2種類以上のキレート剤を、複数の金属イオンと結合させるために担体にコンジュゲートすることができる。キレート剤、例えば、米国特許第5,753,206号に開示されたキレート剤、特に、チオセミカルバゾニルグリオキシルシステイン(Tscg−Cys)キレート剤およびチオセミカルバジニル−アセチルシステイン(Tsca−Cys)キレート剤は、軟らかい塩基配位子と強固に結合するTc、Re、Bi、および他の遷移金属、ランタニド類、ならびにアクチニド類という軟らかい酸カチオンと結合させるために有利に使用される。2種類以上のキレート剤をペプチドに結合させるのは有用であり得る。di−DTPAハプテンに対する抗体は公知であり(Barbetら,米国特許第5,256,395号)、二重特異性抗体を形成するようにターゲッティング抗体に容易に連結されるので、プレターゲッティングプロトコルにおいて、ペプチドハプテンを、コールドのdi−DTPAキレート剤およびF−18錯体と結合させるための別のキレート剤とともに使用することが可能である。このようなペプチドの1つの例は、Ac−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−Lys(Tscg−Cys)−NH(配列番号2)である。他の硬い酸キレート剤(例えば、DOTA、TETAなど)を、DTPA基および/またはTscg−Cys基に代用することができ、抗di−DTPA
MAbを作製するのに使用される技術と類似の技術を用いて、これらに特異的なMAbを産生することができる。
別の有用なキレート剤は、例えば、Chongら(参照により本明細書に組み入れられる、Rational design and generation of a bimodal bifunctional ligand for antibody−targeted radiation cancer therapy,J.Med.Chem.,e−published on 12−7−07)に開示されているような、NOTA型の部分を含むことができる。Chongらは、177Luまたは205/206Biと錯体形成した場合に最大14日間の血清中安定性を示す、NOTA構造をベースにした、二官能性のC−NETA配位子の産生および使用を開示している。
カチオンの異なるサイズ、キレート環の形状、およびカチオンの好ましい錯体イオン構造によって、2つの異なる硬い酸カチオンまたは軟らかい酸カチオンに優先的に結合させるために、2つの異なる硬い酸キレート剤または軟らかい酸キレート剤を組み込んで、例えば、異なるキレート環サイズを有するターゲッティング可能なコンストラクトにすることができるということが理解されるであろう。これにより、プレターゲッティングされた二重特異性抗体によって最終的に捕捉されるターゲッティング可能なコンストラクトに2つの異なる金属が組み込まれるようになり、この2つの異なる金属のうちの一方または両方をF−18に付着させることができる。
投与の方法
様々な実施形態において、二重特異性抗体およびターゲッティング可能なコンストラクトは、正常な組織または器官および罹患した組織または器官を画像化するために利用し得る(例えば、米国特許第6,126,916号;同第6,077,499号;同第6,010,680号;同第5,776,095号;同第5,776,094号;同第5,776,093号;同第5,772,981号;同第5,753,206号;同第5,746,996号;同第5,697,902号;同第5,328,679号;同第5,128,119号;同第5,101,827号;および同第4,735,210号を参照されたく、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
二重特異性抗体(bsAb)およびF−18標識されたターゲッティング可能なコンストラクトの投与は、ターゲッティング可能なコンストラクトを投与する前のある時点でbsAb抗体を投与することにより実施され得る。試薬の用量および時機は、当業者によって容易に分割されることができ、利用される試薬の特定の性質によって決定される。bsAb−F(ab')誘導体が最初に投与される場合には、ターゲッティング可能なコンストラクトを投与するまでに24〜72時間(あるいは48〜96時間)の待機時間が適当であると考えられる。IgG−Fab' bsAbコンジュゲートが主たるターゲッティング可能なベクターである場合には、ターゲッティング可能なコンストラクトを投与するまでに、3〜10日の範囲の、より長い待機期間が示されると考えられる。bsAbが罹患組織をターゲッティングするのに十分な時間が経った後、F−18標識されたターゲッティング可能なコンストラクトが投与される。ターゲッティング可能なコンストラクトが投与された後、画像化を実施することができる。
ある実施形態は、特許出願第60/220,782号に記載されているような少なくとも3つの異なる標的結合部位を有する多価の標的結合タンパク質の使用に関する。多価の標的結合タンパク質は、化学的リンカーを介していくつかのFab様断片を架橋することによって作製されている。米国特許第5,262,524号;同第5,091,542号、およびLandsdorpら,Euro.J.Immunol.16:679−83(1986)を参照されたい。多価の標的結合タンパク質は、いくつかの単鎖Fv分子(scFv)を共有結合させて単一のポリペプチドを形成することによっても作製されている。米国特許第5,892,020号を参照されたい。基本的にscFv分子の凝集体である多価の標的結合タンパク質は、米国特許第6,025,165号および同第5,837,242号に開示されている。3つのscFv分子を含む三価の標的結合タンパク質は、Krottら,Protein Engineering 10(4):423−433(1997)に記載されている。
あるいは、「ドック・ロック」(dock−and−lock)(DNL)として知られる技術が、2つ以上の異なる抗体または抗体断片を含む複合体を含む、種々の多価複合体の簡単でかつ再現性のある構築について示されている(例えば、米国特許出願第11/389,358号(2006年3月24日出願);同第11/391,584号(2006年3月28日出願);同第11/478,021号(2006年6月29日出願);同第11/633,729号(2006年12月5日出願);および同第11/925,408号(2007年10月26日出願)を参照されたく、これらのテキストは各々、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)。このようなコンストラクトも、本明細書に記載の特許請求された方法および組成物の実施に有用である。
二重特異性抗体(bsAb)の投与とターゲッティング可能なコンストラクトの投与の間に投与される除去剤を使用してもよい。新規の機械的作用の除去剤、すなわち、bsAbの疾患ターゲッティングアームをターゲッティングするグリコシル化された抗イディオタイプFab'断片を使用してもよい。1つの例において、抗CEA(MN−14Ab)×抗ペプチドbsAbを投与し、疾患標的に最大限まで付着させる。残存するbsAbを除去するために、WI−2と呼ばれる、MN−14に対する抗イディオタイプAbを、好ましくはグリコシル化されたFab'断片として投与する。除去剤は、多価形式でbsAbに結合するが、その付加されたグリコシル残基によって複合体全体が肝臓に向かい、そこで迅速な代謝が起こる。その後、F−18標識されたターゲッティング可能なコンストラクトを対象に投与する。WI2−Fab'が一価の部分であるために、架橋を必要としないので、bsAbのMN−14アームに対するWI2 Abは高親和性を有し、そのクリアランス機構は他の開示されている機構(Goodwinら,前記を参照)と異なる。しかしながら、除去剤についての代替の方法および組成物が公知であり、任意のそのような公知の除去剤を使用し得る。
製剤および投与
F−18標識分子は、1つ以上の薬学的に好適な賦形剤、1つ以上の追加の成分、またはこれらのある組合せを含む組成物を得るように処方し得る。これらを公知の方法により達成し、1つ以上の薬学的に好適な賦形剤との混合物に活性成分(すなわち、F−18標識分子)を組み合わせた、薬学的に有用な投薬を調製することができる。滅菌リン酸緩衝化生理食塩水は、薬学的に好適な賦形剤の一例である。他の好適な賦形剤は当業者に周知である。例えば、Anselら,PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS,第5版(Lea & Febiger 1990)、およびGennaro(編),REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,第18版(Mack Publishing Company 1990)、ならびにそれらの改訂版を参照されたい。
本明細書に記載された組成物の好ましい投与の経路は、非経口注射である。注射は、静脈内、動脈内、リンパ管内、髄腔内、または体腔内(すなわち、非経口)であってもよい。非経口投与において、組成物は、薬学的に許容される賦形剤と関連した、溶液、懸濁液、または乳濁液などの単位投薬量の注射可能な形態で処方される。このような賦形剤は、本質的に非毒性かつ非治療的である。このような賦形剤の例は、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、およびハンクス溶液である。固定油およびエチルオレエートなどの非水性賦形剤を使用してもよい。好ましい賦形剤は、生理食塩水中の5%デキストロースである。賦形剤は、等張性および化学的安定性を増強する物質などの少量の添加剤を含有してもよく、これには緩衝剤および防腐剤が含まれる。経口投与を含む、他の投与方法も企図される。
F−18標識分子を含む処方組成物は、例えば、ボーラス注射または連続注入を介する静脈内投与に使用することができる。注射用組成物は、例えば、アンプルまたは複数用量容器中の単位投薬量形態として、添加された防腐剤とともに提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、または乳濁液のような形態を取ることもでき、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤のような処方剤を含有することができる。あるいは、組成物は、使用前に、好適なビヒクル(例えば、滅菌パイロジェンフリー水)で構成される粉末形態とすることができる。
組成物は、溶液として投与してもよい。溶液のpHは、pH5〜9.5、好ましくは6.5〜7.5の範囲にあるべきである。その製剤は、薬学的に許容される好適な緩衝剤(例えば、リン酸塩、TRIS(ヒドロキシメチル)アミノメタン−HCl、またはクエン酸塩など)を有する溶液中にあるべきである。緩衝剤の濃度は、1〜100mMの範囲にあるべきである。処方溶液はまた、濃度50〜150mMの塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)を含有してもよい。有効量の安定化剤(例えば、グリセロール、アルブミン、グロブリン、界面活性剤、ゼラチン、プロタミン、またはプロタミンの塩)が含まれてもよい。組成物は、皮下に、静脈内に、筋肉内に、または他の非経口経路で哺乳動物に投与してもよい。さらに、投与は、連続注入によるかまたは単回もしくは複数回ボーラスによるものであってもよい。
例えば、プレターゲッティング技術において、二重特異性抗体を投与する場合、ヒトについての投与される抗体の投薬量は、患者の年齢、体重、身長、性別、全身の医学的状態、および過去の病歴のような因子によって様々に異なる。典型的には、画像化目的のために、約1mg〜200mgの範囲の投薬量の二重特異性抗体を単回静脈内注入としてレシピエントに提供することが望ましいが、状況によっては、より低い投薬量またはより高い投薬量を投与してもよい。典型的には、典型的な成人に対して抗体が体表面積1平方メートル当たり約10mgまたは17ないし18mgの範囲の投薬量でレシピエントに提供することが望ましいが、状況によっては、より低い投薬量またはより高い投薬量を投与してもよい。画像化目的のためにヒト対象に投与し得る二重特異性抗体の投薬量の例は、1〜200mg、より好ましくは1〜70mg、最も好ましくは1〜20mgであるが、より高い用量またはより低い用量を使用してもよい。
一般に、投与するF−18標識の投薬量は、患者の年齢、体重、身長、性別、全身の医学的状態、および過去の病歴のような因子によって様々に異なる。好ましくは、飽和用量のF−18標識分子を患者に投与する。F−18標識分子の投与については、投薬量をミリキュリー単位で測定してもよい。F−18画像化研究のための典型的な範囲は、5〜10mCiであると考えられる。
ペプチドの投与
特許請求された方法および/または組成物の様々な実施形態は、対象に投与される1つ以上のF−18標識ペプチドに関するものであってもよい。投与は、当技術分野で公知の任意の経路で起こることができ、それには、経口、鼻腔内、口腔内、吸入、直腸、膣、局所、同所、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、動脈内、髄腔内、または静脈内注射が含まれるが、これらに限定されない。例えば、F−18標識ペプチドがプレターゲッティングプロトコルで投与される場合、ペプチドは好ましくは静脈内投与されると考えられる。
対象に経口投与される未修飾ペプチドは消化管で分解され得るが、配列および構造によっては、腸の内層への吸収不良を示す場合がある。しかしながら、ペプチドを化学修飾して、内在性プロテアーゼによる分解を受けにくくするかまたは消化管を通って吸収されやすくする方法が周知である(例えば、Blondelleら,1995,Biophys.J.69:604−11;EckerおよびCrooke,1995,Biotechnology 13:351−69;GoodmanおよびRo,1995,BURGER'S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG DISCOVERY,第I巻,Wollf編,John Wiley & Sons;GoodmanおよびShao,1996,Pure & Appl.Chem.68:1303−08参照)。ペプチド類似体(例えば、D−アミノ酸を含有するペプチド;ペプチドの構造を模倣する有機分子からなるペプチド模倣体;またはビニル性ペプトイドなどのペプトイド)のライブラリーを調製する方法も記載されており、対象への経口投与に好適なペプチドベースのF−18分子を構築するのに使用し得る。
ある実施形態において、標準的なペプチド結合連結を、1つ以上の代替の連結基(例えば、CH−NH、CH−S、CH−CH、CH=CH、CO−CH、CHOH−CHなど)に置き換えてもよい。ペプチド模倣体を調製する方法は周知である(例えば、各々参照により本明細書に組み入れられる、Hruby,1982,Life Sci 31:189−99;Holladayら,1983,Tetrahedron Lett.24:4401−04;Jennings−Whiteら,1982,Tetrahedron Lett.23:2533;Almquiestら,1980,J.Med.Chem.23:1392−98;Hudsonら,1979,Int.J.Pept.Res.14:177−185;Spatolaら,1986,Life Sci 38:1243−49;米国特許第5,169,862号;同第5,539,085号;同第5,576,423号、同第5,051,448号、同第5,559,103号)。ペプチド模倣体は、それらのペプチド類似体と比較して増強されたインビボでの安定性および/または吸収を示し得る。
あるいは、エキソペプチダーゼ活性を抑制するために、N末端および/またはC末端キャッピングを用いて経口送達によってペプチドを投与してもよい。例えば、アミドペプチドを用いてC末端をキャッピングしてもよく、ペプチドのアセチル化を用いてN末端をキャッピングしてもよい。また、エキソペプチダーゼを阻止するために、例えば、環状アミド、ジスルフィド、エーテル、スルフィドなどの形成によって、ペプチドを環化してもよい。
ペプチドの安定化は、特にエンドペプチダーゼが作用することが知られている位置で、天然のL−アミノ酸をD−アミノ酸と置換することによっても生じさせることもできる。エンドペプチダーゼの結合配列および切断配列は当技術分野で公知であり、D−アミノ酸を取り込んでいるペプチドを作製および使用する方法は記載されている(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、McBrideらの米国特許出願公開第20050025709号(2004年6月14日出願))。ある実施形態において、ペプチドおよび/またはタンパク質は、プロテイナーゼ阻害剤および/またはペプチダーゼ阻害剤を一緒に処方することによって経口投与してもよい。
治療的ペプチドの経口送達のための他の方法は、Mehta(「Oral delivery and recombinant production of peptide hormones」,2004年6月,BioPharm International)に開示されている。ペプチドは、腸のタンパク質分解活性を調節しかつ腸壁の向こう側へのペプチド輸送を増強する賦形剤とともに腸溶性被覆された固体投薬形態で投与される。この技術を用いたインタクトなペプチドの相対的バイオアベイラビリティーは、投与された投薬量の1%〜10%の範囲であった。インスリンは、コール酸ナトリウムとプロテアーゼ阻害剤とともに腸溶性被覆マイクロカプセルを用いて、イヌで投与が成功している(Zivら,1994,J.Bone Miner.Res.18(Suppl.2):792−94)。ペプチドの経口投与は、アシルカルニチンを透過増強剤および腸溶性被覆として用いて行なわれている(Eudragit L30D−55,Rohm Pharma Polymers、Mehta,2004参照)。経口投与ペプチドに有用な賦形剤としては、一般に、ペプチドの溶解性または吸収を向上させる界面活性剤または他の薬剤(これらは腸溶性被覆されたカプセルまたは錠剤の中に詰め込み得る)と一緒にした、腸のプロテアーゼ/ペプチダーゼの1つ以上の阻害剤を挙げることができる(Mehta,2004)。カプセルが腸で溶けたときに、腸を酸性化し、腸のプロテアーゼ活性を阻害するように、有機酸がカプセルに含まれてもよい(Mehta,2004)。ペプチドの経口送達のための別の代替法としては、吸収および酵素的分解に対する抵抗性を増大させる、ポリエチレングリコール(PEG)ベースの両親媒性オリゴマーへのコンジュゲーションが挙げられる(SolteroおよびEkwuribe,2001,Pharm.Technol.6:110)。
抗体を惹起する方法
ペプチド骨格に対するAbは、Ab産生のための周知の方法によって作製し得る。例えば、完全フロイントアジュバント中の(ペプチド)−KLH(ここで、KLHはキーホールリンペットヘモシアニンであり、n=1〜30である)のような免疫原を注射し、その後2回、不完全フロイントアジュバントに懸濁した同じ免疫原を免疫適格動物に注射した後、抗原を静脈内に追加免疫してから3日後に脾臓細胞を採取する。その後、採取された脾臓細胞をSp2/0−Ag14骨髄腫細胞と融合させ、得られたクローンの培養上清を、直接結合ELISAを用いて抗ペプチド反応性について解析する。作製されたAbの特異性は、もとの免疫原のペプチド断片を用いることによって解析することができる。これらの断片は、自動ペプチド合成機を用いて容易に調製することができる。Ab産生のために、酵素欠損ハイブリドーマを単離して、融合細胞株の選択をできるようにする。この技術を用いて、ターゲッティング可能なコンストラクト(例えば、In(III)−DTPAキレート)を含むキレートの1つまたは複数に対する抗体を惹起することもできる。In(III)−di−DTPAに対するモノクローナルマウス抗体が公知である(Barbet、上記の‘395号)。
例えば、二重特異性抗体の成分として有用なターゲッティング抗体は、マーカー物質としての種々の細胞表面腫瘍関連抗原または細胞内腫瘍関連抗原に特異的であり得る。これらのマーカーは、腫瘍によって産生される物質であってもよく、または腫瘍部位で、腫瘍細胞表面に、もしくは腫瘍細胞内(細胞質、核、もしくは様々な細胞小器官もしくは細胞内構造体を問わない)に蓄積する物質であってもよい。このような腫瘍関連マーカーの中には、各々参照により本明細書に組み入れられる、Fleisher編,「The Clinical Biochemistry of Cancer」,347ページのHerberman,「Immunodiagnosis of Cancer」(American Association of Clinical Chemists,1979)によって開示されている腫瘍関連マーカーならびに米国特許第4,150,149号;同第4,361,544号;および同第4,444,744号に開示されている腫瘍関連マーカーが含まれる。腫瘍関連抗原に関する最近の報告としては、各々参照により本明細書に組み入れられる、Mizukamiら(2005,Nature Med.11:992−97);Hatfieldら(2005,Curr.Cancer Drug Targets 5:229−48);Vallbohmerら(2005,J.Clin.Oncol.23:3536−44);およびRenら(2005,Ann.Surg.242:55−63)が挙げられる。
腫瘍関連マーカーは、Herberman(上記)によって、腫瘍胎児性抗原、胎盤抗原、発癌ウイルスまたは腫瘍ウイルス関連抗原、組織関連抗原、器官関連抗原、異所性ホルモン、および正常な抗原、またはそれらの変異体を含む多数のカテゴリーに分類されている。時には、腫瘍関連マーカーのサブユニットを有利に用いて、より高い腫瘍特異性(例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のβ−サブユニットまたは癌胎児性抗原(CEA)のγ領域)を有する抗体を惹起し、それによって、米国特許第4,361,644号および同4,444,744号に開示されているような非腫瘍物質に対する交差反応性が大幅に減少した抗体の産生を刺激する。
対象となる別のマーカーは、膜貫通アクチベーターおよびCAML−インタラクター(TACI)である。Yuら,Nat.Immunol.1:252-256(2000)を参照されたい。簡潔に説明すると、TACIはB細胞悪性腫瘍(例えば、リンパ腫)のマーカーである。さらに、TACIおよびB細胞成熟抗原(BCMA)は、腫瘍壊死因子ホモログである増殖誘導性リガンド(APRIL)によって結合される。APRILは、初代B細胞および初代T細胞のインビトロ増殖を刺激し、インビボでのB細胞の蓄積によって脾臓重量を増大させる。APRILはまた、TALL−I(BLySまたはBAFFとも呼ばれる)と受容体結合を競合する。可溶性のBCMAおよびTACIは、APRILの結合を特異的に妨げ、APRILによって刺激される初代B細胞の増殖を阻止する。BCMA−Fcも、マウスでのキーホールリンペットヘモシアニンおよびニューモバックス(Pneumovax)に対する抗体の産生を阻害し、BCMAおよび/またはTACIを介するAPRILおよび/またはTALL−Iシグナル伝達が、液性免疫の生成に必要であることを示している。したがって、APRIL−TALL−IおよびBCMA−TACIは、B細胞機能およびT細胞機能の刺激に関与する2リガンド−2受容体経路を形成する。
様々な疾患または病気(例えば、悪性疾患、心血管疾患、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、または神経学的疾患)を画像化するのに有用な例示的な標的抗原としては、大腸特異的抗原p(CSAp)、癌胎児性抗原(CEA)、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD79a、CD80、HLA−DR、Ia、Ii、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、NCA(CEACAM6もしくはCD66a〜dおよびCD67、ならびにCD138)、EGFR、HER2/neu、TAG−72、EGP−1、EGP−2、A3、KS−1、Le(y)、S100、PSMA、PSA、テネイシン、葉酸受容体、VEGFR、PlGF,ILGF−1、壊死抗原、IL−2、IL−6、T101、MAGE、またはこれらの抗原の組合せを挙げることができる。特に、抗原としては、癌胎児性抗原(CEA)、テネイシン、上皮増殖因子受容体、血小板由来増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子受容体、血管内皮細胞増殖因子受容体、ガングリオシド、HER2/neu受容体、およびこれらの抗原の組合せを挙げることができる。
画像化または検出が、リンパ腫、白血病、または自己免疫障害を要件とする場合、ターゲッティングされる抗原は、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD67、CD74、CD79a、CD80、CD126、CD138、CD154、B7、MUCl、Ia、Ii、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PlGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、CD66a〜d、壊死抗原、IL−2、T101、TAG、IL−6、MIF、TRAIL−R1(DR4)、およびTRAIL−R2(DR5)からなる群より選択され得る。
免疫原に対する抗体を最初に惹起させた後、抗体を配列決定し、その後、組換え技術によって調製することができる。マウス抗体および抗体断片のヒト化およびキメラ化は当業者に周知である。例えば、マウス免疫グロブリンの重可変鎖および軽可変鎖に由来するマウス相補性決定領域をヒト可変ドメインに移し、その後、マウス対応物のフレームワーク領域中にヒト残基を代入することによって、ヒト化モノクローナル抗体が産生される。ヒト化モノクローナル抗体に由来する抗体成分の使用により、マウス定常領域の免疫原性と関連する潜在的な問題が回避される。マウス免疫グロブリン可変ドメインをクローン化するための一般的な技術は、例えば、Orlandiら,Proc.Nat'l Acad.Sci.USA 86:3833(1989)という刊行物に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。ヒト化MAbを産生するための技術は、例えば、Jonesら,Nature 321:522(1986)、Riechmannら,Nature 332:323(1988)、Verhoeyenら,Science 239:1534(1988)、Carterら,Proc.Nat'l Acad.Sci.USA 89:4285(1992)、Sandhu,Crit.Rev.Biotech.12:437(1992)、およびSingerら,J.Immun.150:2844(1993)によって記載されており、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
あるいは、完全ヒト抗体は、ヒト以外のトランスジェニック動物から得ることができる。例えば、Mendezら,Nature Genetics,15:146−156(1997);米国特許第5,633,425号を参照されたい。例えば、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を有するトランスジェニックマウスから回収することができる。内在性の免疫グロブリン遺伝子を不活化し、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することによって、マウスの液性免疫系はヒト化される。ヒト免疫グロブリン遺伝子座は、非常に複雑であり、合わせるとヒトゲノムのほぼ0.2%を占める多数の不連続セグメントを含む。トランスジェニックマウスが十分な抗体レパートリーを産生できることを確実にするためには、ヒトの重鎖遺伝子座および軽鎖遺伝子座の大部分をマウスのゲノムに導入しなければならない。これは、ヒトの重鎖免疫グロブリン遺伝子座または軽鎖免疫グロブリン遺伝子座のいずれかを生殖系列配置で含有する酵母人工染色体(YAC)の形成から始まる段階的プロセスにおいて達成される。各々の挿入物はサイズがおよそ1Mbであるので、YACコンストラクトは、免疫グロブリン遺伝子座の重複する断片の相同組換えを必要とする。YACを含有する酵母のスフェロブラストをマウス胚性幹細胞と融合することによって、2つのYAC(重鎖遺伝子座を含有するYACと軽鎖遺伝子座を含有するYAC)を別々にマウスに導入する。その後、胚性幹細胞クローンを、マウスの胚盤胞にマイクロインジェクションする。得られたキメラのオスを、その生殖系列を通じてYACを伝えるその能力についてスクリーニングし、マウス抗体の産生に欠陥があるマウスと交配させる。これらの2つのトランスジェニック系統、すなわち、ヒト重鎖遺伝子座を含有する一方と、ヒト軽鎖遺伝子座を含有するもう一方とを交配することにより、免疫化に応答してヒト抗体を産生する子孫が得られる。
再配置されていないヒト免疫グロブリン遺伝子を、ミクロセル媒介性染色体移入(MMCT)によってマウス胚性幹細胞に導入することもできる。Tomizukaら,Nature Genetics,16:133(1997)を参照されたい。この方法論では、ヒト染色体を含有するミクロセルをマウス胚性幹細胞と融合させる。移入された染色体は安定に保持され、成体キメラは適切な組織特異的発現を示す。
代替として、抗体または抗体断片は、コンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーから単離されたヒト抗体断片に由来してもよい。例えば、Barbasら,METHODS:A Companion to Methods in Enzymology 2:119(1991)、およびWinterら,Ann.Rev.Immunol.12:433(1994)を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み入れる。B細胞の不死化によってモノクローナル抗体を作製することに関連する困難の多くは、ファージディスプレーを用いて、大腸菌内で抗体断片を改変し、発現させることよって克服することができる。
同様の戦略を利用して、高親和性のscFvを得ることができる。例えば、Vaughnら,Nat.Biolechnol.,14:309−314(1996)を参照されたい。大きいレパートリーを有するscFvライブラリーは、全て公知のV、Vκ、およびV80遺伝子ファミリーに対応するPCRプライマーを用いて、免疫化されていないヒトのドナーからV−遺伝子を単離することによって構築することができる。増幅後、VκとVλのプールを組み合わせて、1つのプールを形成させる。これらの断片をライゲートして、ファージミドベクターに入れる。その後、scFvリンカー、(Gly、Ser)をライゲートして、ファージミド中、V断片の上流に入れる。V断片およびリンカー−V断片を増幅し、J領域上で組み合わせる。得られたV−リンカー−V断片をライゲートして、ファージミドベクターに入れる。ファージミドライブラリーを、上記のように、フィルターを用いて、またはイムノチューブ(NUNC(登録商標);MAXISORP(登録商標))を用いてパニングすることができる。同様の結果は、免疫化されたウサギのリンパ球または脾臓細胞由来のコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーを構築することによって、およびピキア・パストリス(P.pastoris)でscFvコンストラクトを発現させることによって達成することができる。例えば、Ridderら,Biotechnology,13:255−260(1995)を参照されたい。さらに、適当なscFvを単離した後、CDR3突然変異誘発および鎖シャッフリングなどの親和性成熟プロセスを通じて、より高い結合親和性およびより遅い解離速度を有する抗体断片を得ることができる。例えば、Jacksonら,Br.J.Cancer,78:181−188(1998);Osbournら,Immunotechnology,2:181−196(1996)を参照されたい。
抗体断片の別の形態は、単一のCDRをコードするペプチドである。対象となる抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって、CDRペプチド(「最小認識単位」)を得ることができる。そのような遺伝子は、例えば、抗体産生細胞のRNAから可変領域を合成するポリメラーゼ連鎖反応を用いることによって調製される。例えば、Larrickら,Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:106(1991);MONOCLONAL ANTIBODIES:PRODUCTION,ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATION,Ritterら(編),166−179ページのCourtenay−Luck,「Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies」(Cambridge University Press 1995);およびMONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND APPLICATIONS,Birchら(編),137−185ページのWardら,「Genetic Manipulation and Expression of Antibodies」(Wiley−Liss,Inc.1995)を参照されたい。
二重特異性抗体は当技術分野で公知の技術によって調製することができ、例えば、抗CEA腫瘍Abと抗ペプチドAbをともに、ペプシンでそれぞれのF(ab')まで個別に消化する。抗CEA−Ab−F(ab')をシステインで還元して、Fab'モノマー単位を生成し、これをさらに、架橋剤のビス(マレイミド)ヘキサンと反応させて、Fab'−マレイミド部分を生成する。抗ペプチドAb−F(ab')をシステインで還元し、精製して回収した抗ペプチドFab'−SHを抗CEA−Fab'−マレイミドと反応させて、Fab'×Fab'二重特異性Abを生成する。あるいは、抗ペプチドFab'−SH断片を抗CEA−F(ab')と連結して、F(ab')×Fab'コンストラクトを生成してもよく、または抗CEA Igと連結して、IgG×Fab'二重特異性コンストラクトを生成してもよい。1つの実施形態において、IgG×Fab'コンストラクトは、過ヨウ素酸酸化を行なった後、市販のヒドラジド−マレイミド架橋剤と反応させることによって活性化した抗CEA IgG重鎖炭水化物に抗ペプチドFab'チオール基を付着させることによって部位特異的な様式で調製することができる。使用する成分Abは、公知の技術によってキメラ化またはヒト化することができる。キメラ抗体は、齧歯類抗体に由来する可変ドメインと相補性決定領域を含有する組換えタンパク質であるが、この抗体分子の残りはヒト抗体に由来する。ヒト化抗体は、モノクローナル抗体のマウス相補性決定領域がマウス免疫グロブリンの重可変鎖および軽可変鎖からヒト可変ドメインに移されている組換えタンパク質である。
キメラAbは、マウスの軽可変ドメインおよび重可変ドメインをコードするcDNA断片を、ヒト抗体のCドメインをコードする断片にライゲートすることによって構築される。Cドメインは抗原結合に寄与しないので、キメラ抗体は、もとのマウスAbと同じ抗原特異性を保持するが、配列はヒト抗体により近い。しかしながら、キメラAbは依然としていくらかのマウス配列を含み、依然として免疫原性であり得る。ヒト化Abは、抗原を認識するのに必要なマウスアミノ酸だけを含む。この産物は、マウス相補性決定領域由来のアミノ酸をヒト抗体フレームワークに組み込むことによって構築される。
二重特異性抗体を産生するための他の最近の方法は、より一般的な免疫グロブリンアイソタイプよりも強く架橋するように追加のシステイン残基を有する改変された組換えAbを含む。例えば、FitzGeraldら,Protein Eng.10:1221−1225,1997を参照されたい。別の手法は、必要とされる二重の特異性を有する2つ以上の異なる単鎖抗体または抗体断片セグメントを連結した組換え融合タンパク質を改変することである。例えば、Colomaら,Nature Biotech.15:159−163,1997を参照されたい。種々の二重特異性融合タンパク質を、分子工学を用いて産生することができる。1つの形態では、二重特異性融合タンパク質は一価であり、例えば、ある抗原に対する単一の結合部位を有するscFvと、第二の抗原に対する単一の結合部位を有するFab断片とからなる。別の形態では、二重特異性融合タンパク質は二価であり、例えば、ある抗原に対する2つの結合部位を有するIgGと、第二の抗原に対する2つの結合部位を有する2つのscFvとからなる。
ダイアボディーとも呼ばれる、機能的な二重特異性単鎖抗体(bscAb)を、組換え法を用いて哺乳動物細胞で産生することができる。例えば、Mackら,Proc.Natl.Acad.Sci.,92:7021−7025,1995を参照されたい。
好ましい二重特異性抗体は、MAb
Mu−9のFvとMAb 679のFvまたはMAb MN−14のFvとMAb 679のFvを組み込んだ二重特異性抗体、およびそれらのヒト対応物、キメラ化対応物、またはヒト化対応物である。MN−14、ならびにそのキメラ化対応物およびヒト化対応物は、米国特許第5,874,540号に開示されている。Mu−9または679のCDRの1つまたは複数を組み込んだ二重特異性抗体も好ましい。抗体は、クラスIII抗CEA抗体および679のFvを組み込んだ融合タンパク質または二重特異性抗体であることもできる。クラスIII抗CEAを含む、クラスIII抗体は、米国特許第4,818,709号で詳細に考察されている。
当業者は、二重特異性抗体が、疾患状態または病気と関連することが知られている標的抗原に対する結合特異性を有する当技術分野で公知の任意の抗体または断片を組み込み得るということを理解するであろう。そのような公知の抗体としては、LL1(抗CD74)、LL2およびRFB4(抗CD22)、hA20(抗CD20)、RS7(抗上皮糖タンパク質−1(EGP−1))、PAM−4およびKC4(ともに抗ムチン)、MN−14(抗癌胎児性抗原(CEA、CD66eとしても公知))、MN−3またはMN−15(NCAまたはCEACAM6)、Mu−9(抗大腸特異的抗原−p)、Immu31(抗α−フェトタンパク質)、TAG−72(例えば、CC49)、Tn、J591(抗PSMA(前立腺特異的膜抗原))、G250(抗炭酸脱水酵素IX
MAb)、ならびにL243(抗HLA−DR)が挙げられるが、これらに限定されない。このような抗体は当技術分野で公知である(例えば、米国特許第5,686,072号;同第5,874,540号;同第6,107,090号;同第6,183,744号;同第6,306,393号;同第6,653,104号;同第6,730.300号;同第6,899,864号;同第6,926,893号;同第6,962,702号;同第7,074,403号;同第7,230,084号;同第7,238,785号;同第7,238,786号;同第7,256,004号;同第7,282,567号;同第7,300,655号;同第7,312,318号;および米国特許出願公開第20040185053号;同第20040202666号;同第20050271671号;同第20060193865号;同第20060210475号;同第20070087001号;これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)。このような公知の抗体は、種々の疾患状態または病気の検出および/または画像化に有用である(例えば、hMN−14またはTF2
bsMAb(CEAを発現する癌腫)、hA20 bsMab(TF−4リンパ腫)、hPAM4(TF−10膵癌)、RS7 bsMAb(肺癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌)、hMN−15またはhMN3
bsMAb(炎症)、ヒトgp120および/またはgp41 bsMAb(HIV)、抗血小板bsMabおよび抗トロンビンbsMAb(血餅画像化)、抗ミオシンbsMAb(心臓壊死))。
候補抗HIV抗体としては、Johanssonら(AIDS.2006 Oct 3;20(15):1911−5)によって記載されている抗エンベロープ抗体、ならびにPolymun(Vienna,Austria)によって記載および販売されており、米国特許第5,831,034号、米国特許第5,911,989号、ならびにVcelarら,AIDS 2007;21(16):2161−2170、およびJoosら,Antimicrob.Agens Chemother.2006;50(5):1773−9にも記載されている抗HIV抗体が挙げられ、これらの文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
ある実施形態において、上で考察されているbsAb
F−18標識されたターゲッティング可能なコンストラクトは、米国特許第6,096,289号に記載されているような手術中の腫瘍および病変の検出、生検、および治療、血管内での腫瘍および病変の検出、生検、および治療、ならびに/または内視鏡による腫瘍および病変の検出、生検、および治療で使用し得る。
標識分子を用いた画像化
標識分子を用いた画像化の方法は当技術分野で周知であり、任意のそのような公知の方法を、本明細書に開示されているフッ素標識分子とともに使用し得る。例えば、米国特許第6,241,964号;同第6,358,489号;同第6,953,567号、および公開されている米国特許出願公開第20050003403号;同第20040018557号;同第20060140936号を参照されたく、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。Pageら,Nuclear Medicine And Biology,21:911−919,1994;Choiら,Cancer Research 55:5323−5329,1995;Zalutskyら,J.Nuclear Med.,33:575−582,1992;Woessnerら,Magn.Reson.Med.2005,53:790−99も参照されたい。
ある実施形態において、F−18標識分子は、例えば、各々参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,126,916号;同第6,077,499号;同第6,010,680号;同第5,776,095号;同第5,776,094号;同第5,776,093号;同第5,772,981号;同第5,753,206号;同第5,746,996号;同第5,697,902号;同第5,328,679号;同第5,128,119号;同第5,101,827号;および同第4,735,210号に記載されている方法を用いて、正常な組織および器官または罹患した組織および器官を画像化する際に有用であり得る。追加の方法は、米国出願第09/337,756号(1999年6月22日出願)および米国出願第09/823,746号(2001年4月3日出願)に記載されている。このような画像化は、Goldenbergら(2007,Update Cancer Ther.2:19−31);Sharkeyら(2008,Radiology 246:497−507);Goldenbergら(2008,J.Nucl.Med.49:158−63);Sharkeyら(2007,Clin.Cancer Res.13:5777s−5585s);McBrideら(2006,J.Nucl.Med.47:1678−88);Goldenbergら(2006,J.Clin.Oncol.24:823−85)に記載されているように、適当なターゲッティング分子の直接的なF−18標識によるか、またはプレターゲッティングによる画像化方法によって実施することができ、また、米国特許公開第20050002945号、同第20040018557号、同第20030148409号、および同第20050014207号を参照されたく、これらの文献は各々、参照により本明細書に組み入れられる。
標識されたペプチドまたはMAbを用いる診断的画像化の方法は周知である。例えば、免疫シンチグラフィー技術では、リガンドまたは抗体を、ガンマ線を放射する放射性同位体で標識し、患者に導入する。ガンマ線カメラを用いて、ガンマ線を放射する放射性同位体の位置および分布を検出する。例えば、Srivastava(編),RADIOLABELED MONOCLONAL ANTIBODIES FOR IMAGING AND THERAPY(Plenum Press 1988)、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,第18版,Gennaroら(編),624−652ページのChase,「Medical Applications of Radioisotopes」(Mack Publishing Co.,1990)、およびBIOTECHNOLOGY AND PHARMACY 227−49,Pezzutoら(編)(Chapman & Hall 1993)のBrown,「Clinical Use of Monoclonal Antibodies」を参照されたい。陽電子を放射する放射性核種(PET同位体)、例えば、511keVのエネルギーを持つもの(例えば、18F、68Ga、64Cu、および124I)の使用も好ましい。このような放射性核種は、周知のPET走査技術によって画像化し得る。
実施例
実施例1.ペプチドIMP272のF−18標識
使用した最初のペプチドは、IMP272:
DTPA−Gln−Ala−Lys(HSG)−D−Tyr−Lys(HSG)−NH(MH1512)
であった。
酢酸緩衝溶液
− 酢酸1.509gを約160mLの水に溶かし、1M NaOHの添加によってpHを調整し、その後、250mLまで希釈すると、0.1M溶液(pH4.03)が得られた。
酢酸アルミニウム緩衝溶液
− 0.1028gのAlCl六水和物を42.6mLのDI水に溶かすことによって、アルミニウムの溶液を調製した。このアルミニウム溶液の4mLアリコートを、16mLの0.1M
NaOAc溶液(pH4)と混合すると、2mM Alストック溶液が得られた。
IMP272酢酸緩衝溶液
− ペプチド(0.0011g、7.28×10−7mol IMP272)を、364μLの0.1M酢酸緩衝溶液(pH4)に溶かすと、2mMのペプチドストック溶液が得られた。
IMP272のF−18標識
− アルミニウムストック溶液の3μLアリコートをREACTI−VIAL(商標)中に入れ、50μLのF−18(受け取ったままの状態)および3μLのIMP272溶液と混合した。この溶液を加熱ブロック中、110℃で15分間加熱し、逆相HPLCで分析した。HPLCトレース(図示せず)により、93%が遊離のF−18標識であり、7%がペプチドに結合していることが示された。この反応物に、さらに10μLのIMP272溶液を添加し、それを再び加熱し、逆相HPLCで分析した(図示せず)。HPLCトレースにより、8%のF−18がボイド容量にあり、92%の活性がペプチドに付着していることが示された。このペプチド溶液の残りを、150μLのPBSとともに、室温で約1時間インキュベートし、その後、逆相HPLCで調べた。HPLC(図示せず)により、58%のF−18がペプチドに結合しておらず、42%が依然としてペプチドに付着していることが示された。このデータから、リン酸塩と混合した場合、F−18−Al−DTPA錯体が不安定となり得るということが示される。
逆相HPLC
− 逆相HPLC分析を以下の条件下で行なった。
カラム:WATERS(登録商標)
XTERRA(商標) MS C18 5μm、4.6×250mm
流速:1mL/分
勾配緩衝液:緩衝液C(DI水中の0.1%NHOAc)、緩衝液D(90%アセトニトリル、10%水、および0.1%NHOAc)
勾配:線形勾配を用いて30分かけて100%緩衝液Cから100%緩衝液Dへ
操作時間:30分
サイズ排除HPLC
− サイズ排除HPLCを以下の条件下で行なった。
カラム:BIORAD(登録商標)
BIO−SIL(商標) SEC250、300×7.8mm
勾配:均一濃度(Isocratic)
溶出緩衝液:0.2Mリン酸塩(pH6.8)
流速:1mL/分
操作時間:30分
PERKIN
ELMER(登録商標) 610Trを用いて、全ての放射計トレースを得、F−18の放射をモニタリングした。表1〜3は、表形式でデータを表示したものである。
Figure 0005435432
Figure 0005435432
Figure 0005435432
標識ペプチドの溶液を1cc(30mg)WATERS(登録商標)
HLBカラム(品番186001879)に適用し、300μLの水で洗浄して、未結合のF−18を除去することにより、標識ペプチドを精製した。このカラムを100μLのMeOH/HO(1:1)で2回洗浄することにより、ペプチドを溶出した。精製ペプチドを水中、25℃でインキュベートし、逆相HPLCで分析した(図示せず)。HPLC分析により、F−18標識IMP272が水中で安定でないことが示された。水中で40分インキュベートした後、83%は保持されたが、約17%のF−18がペプチドから放出された(図示せず)。
実施例2.F−18
IMP272の免疫反応性
ペプチド(16μLの2mM
IMP272、48μg)をF−18で標識し、抗体結合についてサイズ排除HPLCで分析した。サイズ排除HPLCにより、このペプチドは、hMN−14×679に結合するが、関連する二重特異性抗体hMN−14×734に結合しないということが示された(図示せず)。
実施例3.他の金属を用いたIMP272のF−18標識
金属ストック溶液の約3μLアリコート(6×10−9mol)を、ポリプロピレン円錐形バイアル中に入れ、75μLのF−18(受け取ったままの状態)と混合し、室温で約2分間インキュベートした後、0.1M
NaOAc緩衝液(pH4)中の20μLの2mM(4×10−8mol) IMP272溶液と混合した。この溶液を、加熱ブロック中、100℃で15分間加熱し、逆相HPLCで分析した。IMP272は、インジウム(24%)、ガリウム(36%)、ジルコニウム(15%)、ルテチウム(37%)、およびイットリウム(2%)で標識された(図示せず)。
実施例4.他のペプチドのAl−18F結合をスクリーニングするために使用された標準的なF−18ペプチド標識条件
2mMアルミニウムストック溶液の3μLアリコートをポリプロピレン円錐形バイアル中に入れ、50μLのF−18(受け取ったままの状態)と混合し、室温で約2分間インキュベートした後、0.1M
NaOAc緩衝液(pH4)中の16〜20μLの2mMペプチド溶液と混合した。この溶液を、加熱ブロック中、100℃で15分間加熱し、逆相HPLC(PHENOMENEX(商標)、GEMINI(登録商標)、5μ、C−18、110A、250×4.6mm
HPLCカラム)で分析した。
検査したペプチド
IMP272:DTPA−Gln−Ala−Lys(HSG)−D−Tyr−Lys(HSG)−NH(MH1512)(図1)
IMP288:DOTA−D−Tyr−D−Lys(HSG)−D−Glu−D−Lys(HSG)−NH(MH1453)(図2)
IMP326:DTPA−ITC−NH−NH−Phe−CO−D−Tyr−D−Lys(HSG)−D−Glu−D−Lys(HSG)−NH(MH1477)(図3)IMP329:デフェロキサミン−NH−CS−NH−NH−Ph−CO−D−Tyr−D−Lys(HSG)−D−Glu−D−LyS(HSG)−NH(MH1804)(図4)
IMP331:NTA−iAsp−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH(MH1240)(図5)
IMP332:EDTADpr−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lsy(HSG)−NH(MH1327)(図6)
IMP333:DTPA−Dpr(DTPA)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1845)(図7)
IMP334:(HP)−C(OH)−(CH2)−NH−Gly−D−Lys(HSG)−D−Glu−D−Lys(HSG)−NH(MH1192)(図8)
IMP337:Ac−D−Ser(PO)−D−Ser(PO)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1291)
IMP338:Ac−D−Ser(PO)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1126)
IMP345:DTPA−D−Ser(PO)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1459)
IMP349:DTPA−D−Cys((HP)−CH−CH−S)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1583)(図9)
IMP361:DTPA−Dpr(BrCHCO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1498)
IMP366:DTPA−Dpr(Ph−S−CHCO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1528)
IMP368:Sym−DTPA−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1292)(図10)
IMP369:Sym−DTPA−NH−CH(2−Br−Phe−)−CH−CO−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1517)
IMP370:Sym−DTPA−NH−CH(2−ON−Phe−)−CH−CO−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1484)
IMP371:DTPA−NH−CH(2−ON−Phe−)−CH−CO−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1484)
IMP372:DTPA−Dpr(Ser)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1465)
IMP373:DTPA−Dpr(Sym−DTPA)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1753)
IMP374:DTPA−Dpr(Cl−CH2CO−Cys(Et)−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1585)
IMP375:DTPA−Dpr(2−Br−Phe−CHNH−CH−CO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1603)(図11)
IMP376:DTPA−Cys(HOS−S)−D−Tyr−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1558)
IMP379:DTPA−Dpr(2−HN−Phe−CO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1497)
IMP382:DTPA−Dpr(H)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1378)
IMP383:DTPA−Dpr(Gla−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1507)
IMP384:DTPA−Dpr(2−HO−Phe−CHNH−CH−CO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1541)(図12)
IMP385:DTPA−Dpr(Dpr)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1464)
IMP386:DTPA−Dpr(2−ピリジル−CH−CHNH−CO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1526)(図13)
IMP387:DTPA−Dpr(D−9−アントリルアラニン)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1625)
IMP389:DTPA−Dpr(2−カルボキシピペリジニル)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH(MH1490)(図14)
IMP460:NODA−GA−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH(MH1366)
有用である可能性があるペプチドのさらなる例を図15および図16に示す。図16は、IMP422、IMP426、およびIMP428の構造を示す。以下で考察するように、IMP449(図15)は、標識技術および画像化技術に有用な、F−18コンジュゲートされたペプチドのインビボ条件下での特段の安定性を示す。
図17は、NOTA型配位子の代替の形状を示す。NOTA部分は、DパラニトロフェニルアラニンまたはLパラニトロフェニルアラニンから作ることができ、イミノ二酢酸部分は、ジアミノプロピオン酸(これはD体またはL体であり得る)に由来する。さらに、エチレン架橋の部分をジアミノプロピオン酸と入れ替えて、この配位子上に異なる形状の基を生じさせることができる。これらの修飾は全て、後に形成される錯体の結合反応速度および安定性に影響を及ぼし得る。図18は、例えば、Ga−68またはF−18で標識し得る、NODA−Gaペプチドの構造を示す。
ある実施形態において、代替のキレート部分を用いて、18F−金属錯体または18F−ホウ素錯体に結合させ得る。図22A〜Dは、NETAの構造をベースにしたいくつかの例示的な潜在的キレート部分を示す。上で考察したように、Chongら(2007)は、様々な金属と錯体を形成したときに、NETA配位子が血清安定性の向上を示し得るということを報告している。18F−金属に対するペプチドの結合親和性を増大させるように、キレート剤の設計も最適化し得る。
ペプチド標識スクリーニング研究の結果
ほとんどのDTPA誘導体は、IMP272の標識に匹敵する標識を示した。例外もあり、システイン側鎖上にビスホスホン酸基を持つIMP349は、非常に標識されにくかった。DOTA配位子は、Al−18Fに結合しなかった。IMP326のITC DTPA配位子は、DTPAと同じぐらい十分にはAl−18Fに結合しなかった。IMP331のNTA配位子は、Al−18Fに結合しなかった。IMP332のEDTA配位子は、Al−18Fに結合したが、DTPAほどではなかった。対称DTPA配位子は、Al−18Fに結合しなかった。検査したホスホン酸基およびリン酸基は、検査した条件の下では十分にAl−18Fに結合しなかった。このスクリーニングにより、DTPAの近くに付着している基が、Al−18F−DTPA錯体の安定性に影響を及ぼし得るということが実際に示された。このスクリーニングにより、IMP375がより良く標識され、IMP272よりも著しく安定な錯体を形成することが示された。IMP375は十分に標識され、水中で安定であり、25℃で5時間経った後、95.4%が結合したままであることが示された(図示せず)。インビボでの使用のためには、高い血清安定性を有するペプチドが好ましいと考えられる。
ペプチド標識スクリーニング研究では、Al−18Fの結合だけを調べた。Al−18Fで十分に標識されなかったペプチドの中には、F−18に結合した別の金属でより良く標識されるものがある可能性もある。
ペプチド合成
ペプチドは、Fmoc戦略を用いて固相ペプチド合成によって合成した。Fmoc/Aloc保護基を用いることによって基をジアミノアミノ酸の側鎖に付加し、示差的に脱保護した。使用する酢酸に対して1:1の比でピペリジンを添加することを除き、Danglesら(J.Org.Chem.1987,52:4984−4993)の方法によって、Aloc基を除去した。非対称テトラ−t−ブチルDTPAは、McBrideら(米国特許出願公開第2005/0002945 A1号、米国特許出願第10/776,470号(公開日2005年1月6日))に記載されている通りに作製した。トリ−t−ブチルDOTA、対称テトラ−t−ブチルDTPA、およびITC−ベンジルDTPAは、MACROCYCLICS(登録商標)から入手した。Aloc/FmocリジンおよびDap(ジアミノプロピオン酸誘導体(Dprとも呼ばれる))は、CREOSALUS(登録商標)またはBACHEM(登録商標)から入手した。Sieberアミド樹脂は、NOVABIOCHEM(登録商標)から入手した。残りのFmocアミノ酸は、CREOSALUS(登録商標)、BACHEM(登録商標)、PEPTECH(登録商標)、またはNOVABIOCHEM(登録商標)から入手した。
IMP272を記載されている通りに合成した(McBrideら,米国特許出願公開第20040241158 A1号、米国特許出願第10/768,707号(2004年12月2日出願))。IMP288を記載されているように作製した(McBrideら,J.Nucl.Med.2006,47:1678−1688)。
IMP326:Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Glu(OBut)−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Tyr(But)−OH、および4−(Boc−NH−NH−)C−COHをこの順に用いて、ヒドラジンペプチド(IMP319)をSieberアミド樹脂上で作製した。4−(Boc−NH−NH−)C−COHは、ジオキサン水酸化ナトリウム溶液中の4−ヒドラジノ安息香酸に二炭酸Bocを添加することにより作製した。
Boc−ヒドラジドを添加した後、側鎖Aloc基を除去し、トリチル−HSG−OH基をリジンの側鎖に付加した。その後、TFAを用いてこのペプチドを樹脂から切断し、HPLCで精製すると、所望のヒドラジンビス−HSGペプチドIMP319(MH1201)が得られた。その後、このヒドラジドペプチド(0.0914g)を、3mLの0.1Mリン酸ナトリウム(pH8.2)中の0.0650gのITC−ベンジルDTPAと混合した。この溶液のpHを1M
NaOHを用いて調整し、pHをpH8.2に保った。ペプチドとITC−ベンジルDTPAとの反応が終了した後、ペプチドコンジュゲートをHPLCで精製した。
IMP329:10mLのメタノール/水(1:1)中で1.0422gのメシル酸デフェロキサミン(1.59×10−3mol)を0.2835g(1.59×10−3mol)のチオカルボニルジイミダゾールと混合することによって、デフェロキサミンイソチオシアネートを調製した。トリエチルアミン0.23mLを添加し、2.5時間後、この反応物を逆相HPLCで精製すると、デフェロキサミンイソチオシアネート(MNa625)が得られた。
ヒドラジンペプチドIMP319(0.0533g、4.4×10−5mol、MH1201)を、リン酸ナトリウム緩衝液(pH8.1)中で0.0291gのデフェロキサミンイソチオシアネートと2時間混合し、その後、HPLCで精製すると、所望の生成物(MH+1804)が得られた。
IMP331:以下のアミノ酸を、以下に示す順に、すなわち、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Tyr(But)−OH、およびFmoc−D−Lys(Aloc)−OHの順に、Sieberアミド樹脂(0.58mmol/g)に付着させた。Aloc基を除去し、Trt−HSG−OHをリジンの側鎖に付加した。Fmocを除去した後、Fmoc−D−Ala−OHとFmoc−Asp−OButをこの順に付加した(樹脂0.5g)。Fmocを除去し、3.4mLのNMP中で3mLブロモ酢酸t−ブチルおよび3.6mLジイソプロピルエチルアミンを用いてAspの窒素を一晩アルキル化した。ペプチドを、TFAを用いて樹脂から切断し、逆相HPLCで精製すると、所望のペプチド(MH1240)が得られた。
IMP332:ペプチドを3gのSieberアミド樹脂(0.58mmol/g)上で作製した。以下のアミノ酸を、以下に示す順に、すなわち、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Tyr(But)−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、およびFmoc−Dpr(Fmoc)−OHの順に樹脂に付加した。後の合成のために、この樹脂をいくつかの部分に分けた。樹脂1gを取り除き、ジアミノプロピオン酸からFmoc基を除去した。3mLブロモ酢酸t−ブチル、3.6mLジイソプロピルエチルアミン、および3.4mL
NMPを用いて、ペプチドを一晩アルキル化した。その後、側鎖Aloc基を除去し、Trt−HSG−OH基を付加した。その後、このペプチドを樹脂から切断し、HPLCで精製すると、生成物(MH1327)が得られた。
IMP333:IMP332を作製するのに使用したのと同じ樹脂1gを用いてペプチドを作製した。DTPAテトラ−t−ブチルエステル(米国特許公開第20050002945号)をDpr基の両方のアミンに付加した。その後、Aloc基を除去し、Trt−HSG−OH基を付加した。その後、このペプチドを切断し、HPLCで精製すると、所望の生成物(MH1845)が得られた。
IMP334:以下のアミノ酸を以下に示す順に、すなわち、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Glu(But)−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Boc−Ser(But)−OHの順に付加して、1gのRinkアミド樹脂(0.7mmol/g)上でペプチドを作製した。Aloc基を除去し、トリチル−HSG−OHを付加した。TFAを用いて、このペプチドを樹脂から切断した。エーテルから沈殿させて粗ペプチドを回収し、乾燥させた。過ヨウ素酸ナトリウム0.33gを15mLの水に溶かした。粗ペプチドを、1mLの0.5Mリン酸ナトリウム(pH7.6)、3mLの水、および1mLの過ヨウ素酸溶液に溶かした。さらに3mLの過ヨウ素酸を1mLずつ約2時間かけて添加した。その後、この混合物を逆相HPLCで精製し、凍結乾燥すると、アルデヒドIMP289
HCO−CO−D−Lys(HSG)−D−Glu−D−Lys(HSG)−NH(MH959)が得られた。アレンドロン酸塩(0.0295g、CALBIOCHEM(登録商標))を150μLの0.1M NaOAc(pH4)に溶かした。このペプチドIMP289(0.0500g)を100μLの水中13%イソプロパノールに溶かした。シアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、その混合物をHPLCで精製すると、所望の生成物(MH1192)が得られた。
IMP337&IMP338:以下のアミノ酸を以下に示す順に付加して用いて、すなわち、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Ser(PO(OBzl)OH)−OH、Fmoc−D−Ser(PO(OBzl)OH)−OH、およびAcOの順に、Sieberアミド樹脂上でペプチドを作製した。Aloc基を除去し、Trt−HSG−OH基をリジンの側鎖に付加した。このペプチドを樹脂から切断し、HPLCで精製すると、所望の生成物IMP337(MH1291)とIMP338(MH1126)が得られた。
IMP345:以下のアミノ酸を以下に示す順に付加して用いて、すなわち、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Ser(PO(OBzl)OH)−OH、およびテトラ−t−ブチルDTPAの順に、Sieberアミド樹脂上でペプチドを作製した。Aloc基を除去し、Trt−HSG−OH基をリジンの側鎖に付加した。このペプチドを樹脂から切断し、HPLCで精製すると、所望の生成物IMP345(MH1459)が得られた。
IMP349:以下のアミノ酸を以下に示す順に付加して用いて、Sieberアミド樹脂上で、ペプチドIMP347
DTPA−D−Cys−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NHを作製した。すなわち、Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OHを付加し、Alocを切断し、Fmoc−D−Ala−OH、Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OHを付加し、Alocを切断し、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Cys(Trt)−OH、およびテトラ−t−ブチルDTPAを付加した。このペプチドを樹脂から切断し、HPLCで精製すると、所望の生成物IMP347(MH1395)が得られた。このペプチドIMP347、0.0446g(3.2×10−5mol)を、3mLの水中の0.4605g(2.4×10−3mol)のエテニリデンビス(ホスホン酸)(Degenhardtら,J.Org.Chem.1986,51:3488−3490)と混合し、1M
NaOHを1滴ずつ添加してこの溶液をpH6.5に合わせた。この反応物を一晩撹拌し、その反応溶液を、過剰なエテニリデンビス(ホスホン酸)を添加することによってpH1.49に合わせた。この混合物を室温で一晩撹拌した後、HPLCで精製すると、所望のペプチドIMP349(MH1583)が得られた。
IMP361:以下のアミノ酸を以下に示す順に付加して用いて、Sieberアミド樹脂上でペプチドを作製した。すなわち、Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OHを付加し、Alocを切断し、Fmoc−D−Ala−OH、Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OHを付加し、Alocを切断し、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−Dap(Aloc)−OH、およびテトラ−t−ブチルDTPAを付加した。Dapの側鎖上のAlocを除去し、無水ブロモ酢酸を用いてブロモアセチルを付加した。粗生成物をHPLCで精製すると、所望のペプチドIMP361(MH1498)が得られた。
IMP366:フェニルチオ酢酸を最後に添加してIMP361と同じ方法でペプチドを作製した。粗生成物をHPLCで精製すると、生成物IMP366(MH1528)が得られた。
IMP368:システイン残基を付加しないで、非対称DTPAの代わりに対称テトラ−t−ブチルDTPA(MACROCYCLICS(登録商標))を使用することを除き、IMP349について記載されているようにペプチドを作製し、精製した後、所望の生成物IMP368(MH1292)が得られた。
IMP369:D−Cysの代わりにFmoc−R−3−アミノ−3−(2−ブロモフェニル)プロピオン酸を付加し、DTPAテトラ−t−ブチルエステルの非対称バージョンの代わりに対称テトラ−t−ブチルDTPAを付加して、IMP349について記載されているようにペプチドを作製した。粗ペプチドを精製すると、所望の生成物(MH1517)が得られた。
IMP370:Fmoc−R−3−アミノ−3−(2−ブロモフェニル)プロピオン酸の代わりにFmoc−R−3−アミノ−3−(2−ニトロフェニル)プロピオン酸を使用することを除き、IMP369について記載されているようにペプチドを作製した。HPLCで精製した後、所望の生成物(MH1484)が得られた。
IMP371:非対称テトラ−t−ブチルDTPAをその対称バージョンの代わりに使用することを除き、IMP370について記載されているようにペプチドを作製した。HPLCで精製した後、所望の生成物(MH1484)が得られた。
IMP372:Fmoc−Ser(But)−OHを用いてSerをDap側鎖に付着させ、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。Fmocを除去し、このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1465)が得られた。
IMP373:対称テトラ−t−ブチルエステルDTPAを用いてSym−DTPAをDap側鎖に付着させ、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1753)が得られた。
IMP374:Fmoc−S−エチルシステインをDap側鎖に付加し、その後、クロロ酢酸無水物を介して(システイン窒素上の)クロロアセチルを付加して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1585)が得られた。
IMP375:Fmoc−R−3−アミノ−3−(2−ブロモフェニル)プロピオン酸をDap側鎖に付加し、その後、Fmoc基を切断して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1603)が得られた。
IMP376:Fmoc−D−Tyr(But)−OHを2番目のアラニンの後ろに付加し、その後、Fmoc−Cys(SOH)およびテトラ−t−ブチルDTPAを付加して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1558)が得られた。
IMP379:Boc−2−Abz−OHをDapの側鎖に付加して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1497)が得られた。
IMP382:AlocをDapの側鎖から除去して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1378)が得られた。
IMP383:Fmoc−Gla(OBut)−OHをDapの側鎖に付加して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH−CO1507)が得られた。
IMP384:Fmoc−Boc−S−3−アミノ−3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸をDapの側鎖に付加して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1541)が得られた。
IMP385:Fmoc−Dpr(Fmoc)−OHをDapの側鎖に付加して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1464)が得られた。
IMP386:Boc−D−2−ピリジルアラニン−OHをDapの側鎖に付加して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1526)が得られた。
IMP387:Fmoc−D−9−アントリルアラニン−OHをDapの側鎖に付加して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1625)が得られた。
IMP389:ビス−Boc−ピペラジン−2−カルボキシレートをDapの側鎖に付加して、IMP361について記載されているようにペプチドを作製した。このペプチドを樹脂から切断し、精製すると、所望の生成物(MH1664)が得られた。
実施例5.F−18標識ペプチドを調製および分離する代替の方法
ある実施形態において、加熱を用いて、Al−F−18錯体をNOTAキレート基に入れる。あるいは、ITCベンジルNOTA(Macrocyclics)をAl−F−18で標識し、標識後、他の熱感受性分子(例えば、タンパク質)にコンジュゲートすることができる。高比放射能が必要な場合、ITCベンジルNOTA錯体を精製して、コールドの配位子を除くことができる。
Alをペプチドに付加し、そのHPLCプロファイルを空のNOTAペプチドおよびAl−F−18ペプチドと比較した。AlペプチドとAl−F−18ペプチドは、HPLCでほとんど同じ保持時間を有し、未標識ペプチドに対して約1分長い保持時間を有する。3mL/分の流速を用いてPHENOMENEX(商標)
ONYX(登録商標)モノリシックC−18 100×4.5mmカラムでペプチドを精製した。緩衝液Aは、水中の0.1%TFAであり、緩衝剤Bは、90%CHCN、10%水、および0.1%TFAであった。線形勾配は、100%緩衝剤Aから75:25のA/Bへと15分かけて移行した。Al錯体はAl−F−18錯体と共溶出されるので、添加されるAlおよびF−18の量が比放射能を決定すると考えられる。
IMP449を下記の実施例7に従って調製し、以下のように標識した。水中(約325μL)に15mCiのF−18を含有する2.0mL
Fisher微小遠心管バイアル(02−681−374)にF−18を入れた。0.1M NaOAc(pH4)中の3μLの2mM AlClをこのF−18溶液に添加し、その後、ボルテックスで混合した。約4分後、0.5M
NaOAc(pH4)中の10μLの0.05M IMP449を添加した。この試料を再びボルテックスで混合し、102℃の加熱ブロック中で17分間加熱した。その後、この反応物を短く冷却し、その後、バイアルの中身を取り去り、上記のようにHPLCで精製した。
別々に、WATERS(登録商標)
ALLIANCE(商標)分析システムで溶出条件を決定し、標識ペプチドを7.5分〜8.5分の間で溶出した。分析的HPLCにより、標識ペプチドは、Al−F
IMP449(UV 220nm)を含有し、錯体を形成しないペプチドを含有せず、結果として比放射能の増大をもたらすことが示された。
ペプチドを水に希釈し、その後、WATERS(登録商標)OASIS
PLUS HLB(商標)抽出カラムに通した。標識ペプチドを3mLのEtOH/HO(1:1)で溶出した。溶出物のHPLC分析により、このカラムが標識ペプチドを効率的に捕捉し、これによって、このペプチドからアセトニトリルとTFAを洗い流すことができることが確認された。HPLCにより、EtOH/HO(1:1)溶出物が、希釈後のインジェクションに好適な溶媒中に遊離したF−18を含まない所望の生成物を含有することも示された。精製後の見かけの収率は11%であった。
実施例6.インビボ研究
GW−39ヒト大腸異種移植片腫瘍を担持するヌードマウス(100〜500mg)に二重特異性抗体hMN−14×m679(1.5×10−10mol)を注射する。抗体を24時間除去した後、F−18標識HSGを有するペプチド(8.8μCi、1.5×10−11mol)を注射する。注射してから3時間、24時間、および48時間後に、動物を画像化する。hMN−14の腫瘍抗原への結合により腫瘍に局在化する二重特異性hMN−14×m679に結合したF−18標識ペプチドのPET走査検出によって、異種移植片腫瘍を明瞭に画像化する。
実施例7.血清安定性F−18標識ペプチドの産生および使用
IMP449
NOTA−ITCベンジル−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH(MH1459)(図15)
以下のアミノ酸を以下に示す順序でSieberアミド樹脂に付加することによって、この樹脂上でペプチドIMP448
D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH(MH1009)を作製した。すなわち、Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OHを付加し、Alocを切断し、Fmoc−D−Tyr(But)−OH、Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OHを付加し、Alocを切断し、Fmoc−D−Ala−OHを付加し、最後にFmocを切断して、所望のペプチドを作製した。その後、このペプチドを樹脂から切断し、HPLCで精製すると、IMP448が生成され、その後、これをITCベンジルNOTAに結合させた。ペプチドIMP448(0.0757g、7.5×10−5mol)を、0.0509g(9.09×10−5mol)のITCベンジルNOTAと混合し、1mLの水に溶かした。その後、撹拌したペプチド/NOTA溶液に無水炭酸カリウム(0.2171g)をゆっくりと添加した。炭酸塩を全て添加した後、この反応溶液はpH10.6であった。この反応物を室温で一晩撹拌した。14時間後、1M
HClで慎重に反応を静め、HPLCで精製すると、所望の生成物IMP449が48mg得られた(図15)。
IMP449のF−18標識
ペプチドIMP449(0.002g、1.37×10−6mol)を、686μL(2mMペプチド溶液)の0.1M NaOAc(pH4.02)に溶かした。3μLの2mM
Alの酢酸緩衝液(pH4)溶液を、15μLの1.3mCi F−18と混合した。その後、この溶液を20μLの2mM IMP449溶液と混合し、105℃で15分間加熱した。逆相HPLC分析により、放射能の35%(保持時間約10分)がペプチドに付着し、放射能の65%がカラムのボイド容量(3.1分、図示せず)で溶出されることが示され、放射能の大部分がペプチドと結合しないことが示された。粗標識混合物(5μL)をヒトプール血清と混合し、37℃でインキュベートした。15分後にアリコートを取り去り、HPLCで分析した。放射能の9.8%が依然としてペプチドに付着している(35%から減少)ことがHPLCにより示された。1時間後に別のアリコートを取り去り、HPLCで分析した。放射能の7.6%が依然としてペプチドに付着している(35%から減少)ことがHPLCにより示されたが、これは15分での量と本質的に同じであった(データは示さない)。
高線量F−18標識
精製IMP449を用いたさらなる研究により、F−18標識ペプチドが、ヒト血清中、37℃で少なくとも1時間、極めて安定であり(91%、図示せず)、かつヒト血清中、37℃で少なくとも4時間、ある程度安定である(76%、図示せず)ことが示された。これらの結果により、本明細書に開示されたF−18標識ペプチドが、F−18画像化研究に使用されるインビボに近似した条件下で十分な安定性を示すことが示されている。
約400μLの水中のF−18(約21mCi)を、0.1M
NaOAc(pH4)中の9μLの2mM AlClと混合した。60μLのペプチドIMP449(0.5 NaOH(pH4.13)中に0.01M、6×10−7mol)を添加し、この溶液を110℃で15分間加熱した。その後、この反応溶液を1cc
WATERS(登録商標)HLBカラム筒に入れ、水で溶出して、未結合のF−18を除去し、次いでEtOH/H20(1:1)でF−18標識ペプチドを溶出することによって、粗標識ペプチドを精製した。粗反応溶液をカラムに通して廃棄バイアルに入れ、カラムを1mLずつの水で3回洗浄した(18.97mCi)。その後、HLBカラムを新しいバイアルの上に置き、200μLのEtOH/HO(1:1)で2回溶出し、標識ペプチドを回収した(1.83mCi)。全ての溶出が終了した後、カラムは0.1mCiの放射能を保持していた。精製されたF−18標識ペプチドのアリコート(20μL)を、200μLのヒトプール血清と混合し、37℃で加熱した。(上記のように)逆相HPLCでアリコートを分析した。この結果により、ヒト血清中でインキュベートしてから0時間、1時間(91%標識ペプチド)、2時間(77%標識ペプチド)、および4時間(76%標識ペプチド)の時点におけるF−18標識された精製IMP449の37℃での相対的な安定性が示された(図示せず)。F−18標識IMP449は、逆相HPLCクロマトグラフィーで使用されることもあるTFA溶液中で安定であることも観察された。本明細書に記載の例示的なF−18標識分子について観察されたTFA中での安定性とヒト血清中での安定性の間には一般的相関があるように思われる。これらの結果により、本明細書に開示された方法によって生成されるF−18標識ペプチドが、例えば、標識された細胞または組織を検出するのにPET走査を使用する、インビボでの標識研究および画像化研究に首尾よく使用されるのに十分なヒト血清中での安定性を示すことが示されている。
実施例8.SCIDマウスにおけるF−18標識IMP449のインビボ生体分布
F−18標識IMP449を上記のように調製した(実施例7)。この物質をOASIS(登録商標)HLBカラム(WATERS(登録商標),Milford,MA)で精製した。未結合の物質を水で洗い流し、カラムに結合した標識ペプチドを、エタノールと水の1:1混合物で溶出した。両方の画分を逆相C18
HPLCで分析した。精製ペプチドは、逆HPLCカラムでいくつかのピークとして溶出した(図示せず)。OASIS(登録商標)カラムから回収された未結合画分は、C18カラムからの少ない回収(7%)を示した(図示せず)。
「未結合」画分および精製18F−IMP449を、SU−DHL6リンパ腫細胞が先に皮下注射されているSCIDマウスに注射した。ほんの数匹のマウスしか目に見える腫瘍を有していなかった。生体分布データにより、「未結合の」F−18画分と精製18F−IMP449との間の顕著な違いが示された。データを下記の表4〜6に示す。この研究では、標識ペプチドの前に、プレターゲッティング二重特異性抗体が動物に投与されなかったということに留意されたい。これらの結果は、インビボでの遊離のF−18と対比した標識ペプチドの分布を示す。
コンジュゲートしていないF−18は、インビボで骨組織への高レベルの分布を示す。注射20分後の取込みは、予想通り、主として骨(脊椎)に見られ(約12〜15%注射用量/グラム(ID/g))、腎臓がそれに次いだ(約4%ID/g)。F−18標識の骨組織への局在化は、ターゲッティングペプチドへのコンジュゲーションによって実質的に減少した。IMP449に結合させた場合、骨への取込みは、注射20分後に約1%ID/g、1時間後に0.3%ID/gまで低下し、腎臓への取込みは、注射20分後に11%ID/g、1時間後に3.3%ID/gである。ペプチド単体の腎臓への取込みは、プレターゲッティングされた18F−IMP449ペプチドの腎臓への取込み(以下の実施例参照)と類似しており、その取込みが、動物が18時間前にbsMAbを投与されていることの結果ではなく、ペプチドの機能であることが示唆された。未結合のF−18と比較して、比較的低い非特異的取込みが、F−18標識ペプチドについて脊椎と大腿骨で観察された。
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本発明者らは、F−18標識ペプチドが、標識研究および画像化研究を首尾よく実施するのに十分なインビボでの安定性を示したと結論付けている。
実施例9.プレターゲッティング抗体を用いたインビボ研究
F−18標識IMP449を以下のように調製した。F−18(約0.5mL中に54.7mCi)を0.1M
NaOAc緩衝液(pH4)中の3μLの2mM Alと混合した。3分後、0.5M NaOAc緩衝液(pH4)中の10μLの0.05M IMP449を添加し、反応物を96℃の加熱ブロック中で15分間加熱した。この反応物の中身をシリンジで取り除いた。その後、Phenomenex
OnyxモノリシックC18、100×4.6mmカラム(品番CH0−7643)を用いたHPLCで粗標識ペプチドを精製した。流速は3mL/分であった。緩衝液Aは水中の0.1%TFAであり、緩衝液Bは、水中の0.1%TFAを含む90%アセトニトリルであった。勾配は、100%のAから75/25のA:Bへと15分かけて移行した。最初に溶出する標識ペプチドと未標識ペプチドとの間に保持時間の差が約1分あった。HPLC溶出物を0.5分ずつの画分で回収した。使用したHPLCにもよるが、標識ペプチドは6〜9分の間に溶出された。目的の画分を水に2倍希釈し、その溶液を1cc Waters HLBカラム筒に入れることによって、HPLC精製したペプチド試料をさらに処理した。このカートリッジを3×1mLの水で溶出して、アセトニトリルとTFAを除去し、次いで400μLのEtOH/H20(1:1)でF−18標識ペプチドを溶出した。
分析的HPLC
C18カラムで単一ピークとして溶出される精製18F−IMP449
4つの増殖の遅い皮下のCaPan1異種移植片を担持するTaconic社製のヌードマウスを使用した。3匹のマウスにTF10(162μg)、次いで18時間後に18F−IMP449を注射した。TF10は、腫瘍画像化研究に有用なヒト化二重特異性抗体であり、PAM−4で規定されるMUC1腫瘍抗原に二価結合し、HSGに一価結合する(例えば、Goldら,2007,J.Clin.Oncol.25(18S):4564参照)。1匹のマウスにはペプチドのみを注射した。ペプチドを注射してから1時間後に、全てのマウスを解剖した。すぐに組織をカウントした。動物#2は、大腿骨に高いカウントを示した。この大腿骨を新しいバイアルに移し、古い空のバイアルとともに再カウントした。再カウントにより、このカウントが組織に含まれることが示された。この大腿骨を破砕すると、それには大きな筋肉片が付着していた。平均分布を比較することにより、腫瘍ターゲッティング二重特異性抗体の存在下では、どの正常組織よりも実質的に高いレベルのF−18標識ペプチドが腫瘍に局在化することが示された。
組織への取込みは、18F−IMP449のみを投与された動物またはプレターゲッティング設定の動物で同様であった。1時間でのヒト膵癌異種移植片CaPan1への取込みは、ペプチドのみと比較した場合、プレターゲッティング動物で5倍に増大した(4.6±0.9%ID/g対0.89%ID/g)。抜群の腫瘍/非腫瘍比はこの時点で達成された(例えば、腫瘍/血液比および腫瘍/肝臓比は、それぞれ、23.4±2.0および23.5±2.8であった)。
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実施例10.プレターゲッティング抗体を用いた111In−IMP449対18F−IMP449の生体分布の比較
この研究の目的は、二重特異性抗体TF2をプレターゲッティングした後に、皮下にLS174T異種移植片を担持するヌードマウスにおける111In−IMP449と18F−IMP449の生体分布を比較することであった。TF2抗体はドック・ロック法により作製されたが、これは、CEA腫瘍抗原とHSGハプテンに対する結合部位を含有する(例えば、Sharkeyら,Radiology 2008,246:497−507;Rossiら,PNAS USA 2006,103:6841−46参照)。一度に十分な数の担腫瘍マウスがいなかったので、この研究は2週に分けて行なった。
111In−IMP449:より低い比放射能で標識することを除き、IMP228を標識するのに用いられた手順と同様の手順を用いて111In標識を行なった。ITLCおよびC−18逆相HPLCにより、約30%が未結合であることが示された(図示せず)。HLBカラムで標識ペプチドを精製した(1mL、30mg)。この精製された生成物の分析から、飽和塩化ナトリウム中で発色させたITLCによって33%が未結合である(ストリップの上部20%)ことが再び示された。逆相HPLCにより、精製の前後の複数のピークが示された(図示せず)。精製後のサイズ排除HPLCにより、20倍モル過剰のTF2と混合したとき、放射能の47%が高分子量に移動することが示された(図示せず)。
18F−IMP449:他者によって記載されている(Kimら,Applied Radiation and Isotopes 61,2004,1241−46)ように標識前にF−18をQMAカートリッジで精製することを除き、上記のように標識を行なった。簡潔に説明すると、Sep−Pak(登録商標)
Light Waters Accell(商標) Plus QMAカートリッジを用意し、10mLの0.4M KHCOで洗い流し、その後、10mLのDI水で洗浄した。2mLの水中の18F(42mCi)をQMAカートリッジに充填した。このカートリッジを10mLのDI水で溶出して、不純物を除去した。その後、このカラムを、200μLずつ分割して1mLの0.4M
KHCOで溶出した。画分#2が放射能の大半(33mCi)を含有していた。その後、F−18溶液のpHを10μLの氷酢酸で調整した。その後、画分#2由来の18Fを、0.1M NaOAc緩衝液(pH4)中の3μLの2mM Alと混合した。その後、この試料を、0.5M
NaOAc緩衝液(pH4)中の10μLの0.05M IMP449と混合し、この反応溶液を94℃で15分間加熱した。18F−IMP449を逆相HPLCで精製した。生成物を含有する画分をHLBカラムに通して緩衝液を交換した。試料を充填した後、カラムを水で洗浄した。この生成物を400μLの容量の水:エタノール(1:1)で溶出した。この生成物の逆相HPLCは、肩がある1つの主要ピークを示した(図示せず)。収率が低かったので、比放射能は低く、より多くのペプチドがマウスに注射されたために、bsMAb:ペプチドの比が、10:1ではなく、6.9:1になった。
結果
In−111でIMP449を標識すると複数の生成物が生じた。おそらくいつくかは二核錯体であると考えられる。111In−IMP449は、高い腎臓への取込みおよび高い血中濃度を示した。しかしながら、多重種としてでさえも、111In−IMP449は、TF2でプレターゲッティングされたときに腫瘍への局在化を示した(図19)。
図19は、マウスにおけるIn−111標識IMP449とF−18標識IMP449の比較生体分布を示す。両方の標識ペプチドは、二重特異性TF2抗体の存在下において高レベルの腫瘍組織への局在化を同様に示した。In−111標識種は、TF2抗体の存在下または非存在下においてF−18標識種よりも高い腎臓中濃度を示した。データを以下の表8〜11にまとめる。
Figure 0005435432
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要約すると、種々の疾患状態のインビボ画像化で使用するのに好適なF−18標識ターゲッティングペプチドを産生するための、簡単で、再現性のある方法および組成物が本明細書において記載されている。上で開示された二重特異性抗体は限定的ではなく、多種多様な疾患または病原体の標的抗原に対する任意の公知の抗体を含み得るということを当業者は理解するであろう。本方法は、二重特異性抗体でのプレターゲッティングに限定されるものでもない。他の実施形態において、画像化される標的細胞、組織、または生物体に直接結合する分子または錯体を本明細書に開示された方法を用いてF−18で標識し、PET画像化用に対象に投与してもよい(下記の実施例参照)。
IMP449で例示される、Al−F−18標識ペプチドは、PET走査などの公知の画像化プロトコルで利用されるインビボ条件下で十分に安定である。上記のように調製される放射性標識ペプチドの現在の収率は5〜20%であり、未標識ペプチドから標識ペプチドを分離するための短時間のHPLC精製工程でさえも、最終的な収率は約5%である。さらに、特許請求された方法により、調製時から1時間以内(これは、十分にF−18の崩壊時間の範囲内である)に注射する準備が整ったF−18標識ターゲッティングペプチドが調製され、好適な画像化手順を実施することが可能になる。最後に、記載され、特許請求された方法により、画像化研究用にF−18標識化合物を調製する公知の方法と比較して、技師の放射性同位体への被爆が最小限に抑えられる。
実施例11.F−18標識キット
8.0mgのIMP449を0.1549gのアスコルビン酸と混合することにより、F−18標識キットを作製した。2つの試薬を10.5mLの水に溶かし、この溶液を1.0mLアリコートずつ10本のバイアルに分注した。pHは調整しなかった。この溶液を凍結し、凍結乾燥し、真空下で密封した。
実施例12.標識ペプチドと二重特異性抗体によるプレターゲッティングとを用いたインビボでの腫瘍の画像化
本実施例は、二重特異性抗体によるプレターゲッティングと標識ターゲッティングペプチドを用いたインビボ画像化技術を用いて比較的小さいサイズの腫瘍を首尾よく検出し得るということを示す。利用されたプレターゲッティング抗体は、上記のTF2抗体か、またはTF10抗体のどちらかであった。
製剤緩衝液:
0.3023gのアスコルビン酸、18.4mLのDI水、および1.6mLの1M
NaOHを混合して、pHをpH6.61に合わせることにより、製剤緩衝液を作製した。この緩衝液を1mLアリコートずつ20本のバイアルに分注し、凍結乾燥した。
文献の手順に従って、WATERS(登録商標)
ACCELL(商標) Plus QMA軽量カートリッジでF−18を精製した。この手順では、カートリッジを、10mLの0.4M KHCOで洗浄し、次いで10mLのDI水で洗浄した。2mLの水中のF−18をカートリッジに通し、その後、10mLの水で洗浄した。その後、カートリッジから、0.4M
KHCOで200μLアリコートずつ5回、F−18を溶出した。大部分の放射能は2番目の画分に溶出した。2番目の画分中の放射能を、酢酸緩衝液(pH4)中の3μLの2mM
Alと混合した。その後、Al−F−18溶液を、アスコルビン酸IMP449標識バイアルに注入し、105℃で15分間加熱した。この反応溶液を冷却し、0.8mLのDI水と混合した。この反応物の中身をWATERS(登録商標)
OASIS(登録商標) Ice HLBカラムに入れ、廃棄バイアルに溶出した。カラムを1mLのDI水で3回洗浄した。カラムを、アスコルビン酸を含有する製剤バイアルに移した。カラムを200μLのEtOH/HO(1:1)で2回溶出し、標識ペプチドを溶出した。
DNL技術を用いたTF10二重特異性抗体の産生
TF10の癌ターゲッティング抗体成分は、hPAM4(放射性標識MAbとして詳細に研究されているヒト化抗MUC1
MAb)に由来する(例えば、Goldら,Clin.Cancer Res.13:7380−7387,2007)。ハプテン結合成分は、h679(上で考察されたヒト化抗ヒスタミニル−スクシニル−グリシン(HSG)MAb)に由来する。(抗CEA)×抗HSG bsAb TF2の産生について開示された方法(Rossiら,2006)を用いて、TF10二重特異性([hPAM4]×h679)抗体を産生した。このTF10コンストラクトは、2つのヒト化PAM4
Fabと1つのヒト化679 Fabを持つ。
TF10のために、ペプチドスペーサーを用いてヒト化hPAM4抗体の1つのFabをα−配列に連結した。α−配列は、別のα−配列と自発的に会合して二量体を形成するので独特である。TF10において、この構造体は、2つのα−配列によって1つに連結された2つのhPAM4抗MUC1
Fab(hPAM4−DDDと呼ぶ)を含有する。TF10の他の成分は、β−配列をヒト化抗HSG抗体のFab'に連結することによって産生される。α−配列とは異なり、β−配列は自己会合しないが、その代わり、2つのα−配列によって形成された二量体構造に結合する(h679−AD)。したがって、これら2つの別々に産生されるタンパク質を一緒に混合した場合、これらは直ちに、その抗原にスムーズに結合することができるように各々のFab'を配向させて、「ab」構造を形成する。この結合相互作用の安定性は、α−配列およびβ−配列の各々に(β−配列中に2つ、α−配列中に1つ)戦略的にシステインを配置することによって、さらに向上する。「b」は、極めて特異的な配向で「a」に結合するので、abが会合すると同時に、α−部分とβ−部分の間でジスルフィド架橋が形成され、それによりこれら2つのタンパク質が共有結合することができる。α−配列とβ−配列は両方とも、ヒトタンパク質中に見られるので、この複合体の免疫原性を増すものとは予想されていない。
Fd鎖のC末端にα配列を融合させることによって、抗MUC1融合タンパク質hPAM4−αを作製した。Fd鎖のC末端にβ配列を連結させることによって、抗HSG融合タンパク質h679−βを形成させた。hPAM4−αとh679−βを対合させることによって安定に連結された多価のbsMAb
TF10を形成させた。
安定にトランスフェクトされた骨髄腫細胞で2つの融合タンパク質(hPAM4−DDDおよびh679−AD2)を独立に発現させた。これらの組織培養上製液を組み合わせて、hPAM4−αを2倍モル過剰にした。この反応混合物を、1mMの還元グルタチオンを用いた穏やかな還元条件下、室温で24時間インキュベートした。還元後、2mMの酸化グルタチオンを用いた穏やかな酸化によってDNL反応を終了させた。極めて特異的にh679
Fabに結合するIMP291アフィゲル樹脂を用いた親和性クロマトグラフィーによってTF10を単離した。
hPAM4
IgGと、臨床試験に入っている抗CEA×抗HSG bsMAbについては、組織の組織学と血液細胞結合の完全なパネルが既に調べられている。hPAM4結合は、3分の1の標本における膀胱および胃への非常に弱い結合に限られており(インビボでは結合が見られなかった)、抗CEA×抗HSG
bsMAbによる正常組織への結合は見られなかった。さらに、H1ヒスタミン受容体およびH2ヒスタミン受容体を有する細胞株に対するインビトロ研究では、IMP−288
di−HSGペプチドによるアンタゴニスト活性もアゴニスト活性も示されず、2つの異なる種での動物研究では、画像化に使用される用量よりも20,000倍高い用量で、このペプチドのヒスタミン成分に関連した薬理学的活性が示されなかった。したがって、このHSG−ヒスタミン誘導体は、薬理学的活性を有さない。
TF10二重特異性抗体の生体分布、ターゲッティング、および投薬量の研究
TF10用量の増加に伴うTF10の生体分布および腫瘍ターゲッティングを明らかにする。これらの研究により、様々な用量範囲のTF10についての基礎的なPkデータが提供される。初回用量範囲から、70kgの患者に投与される1.0〜50mgでヒト等価用量(HED)をシミュレートする。動物への投与用量のHEDへの換算[すなわち、(マウスにおけるmg/kgを12.3で割ったもの)=mg/kg
HED]に関するFDAガイドラインに基づいて、70kgのヒトに投与されるTF10用量1mg(6.37nmol)は、20gのマウスにおける3.5μg(0.022nmol)用量と等価であると考えられる。
簡潔に説明すると、3.5、17.5、35、および70
TF10(微量の125I−TFl0を添加する) を静脈内注射で動物に投与する。17.5μg、35μg、および70μg用量(HED=1、5、10、および20mg)を投与された動物を、1時間、6時間、16時間、48時間、および72時間で解剖する(観察当たりn=5、合計N=75動物/細胞株)。現在のロットのTF10を用いた研究により、上記のTF2抗CEAコンストラクトのクリアランスと類似した、マウスでの非常に迅速なクリアランスが示されている。
Pk研究を、131I−TFl0を用いてウサギでも実施する。TF2抗CEA bsMAbを用いた先行研究により、患者で観察されるPk挙動がウサギからより良く予測される可能性があるということが示されている。というのは、マウスがより速い速度でヒト化IgGを除去するのに対し、ウサギは患者で見られるのと同じようにヒト化抗CEA
IgGを除去するからである。これらの研究では4匹のウサギを必要とし、131I−TF10(〜700μCi)をスパイクした5mg HEDのTF10を2匹に投与し、20mg
HEDを2匹に投与する。5分、1時間、3時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、および168時間でウサギを採血する。高エネルギーコリメータを備えたADAC
Solusガンマカメラを用いて、体全体の画像も撮影する。3時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、および168時間で行なわれる各々の画像化セッションの間、各々のウサギとともに131I−標準品(10mLシリンジ中、約20μCi)を視野に置く。その後、標準品を用いて、131I−TFl0の分布に関する半定量的データを提供する。
TF2およびTF10二重特異性抗体によるプレターゲッティングと標識ペプチドを用いた画像化研究
以下の研究は、二重特異性抗体によるプレターゲッティング技術と標識ペプチドを用いたインビボ画像化の実行可能性を示す。画像は、上記のような18F−金属標識ペプチドを用いて得られなかったが、二重特異性抗体によるプレターゲッティング技術を、一般に、任意の種類の標識と一緒に使用するように適合させ得る。したがって、この研究は、特許請求されたF−18標識ペプチドを用いて得られると考えられる結果の代表例である。
図20および図21は、111In−標識di−HSGペプチド、IMP−288とともに、bsMAbプレターゲッティング法を用いる動物モデルにおいて、線で示した腫瘍がどれほど明瞭に検出され得るかということ示している。図20では、TF10によるプレターゲッティングと111In−IMP−288ペプチドを用いて、0.2〜0.3gのヒト膵癌異種移植片を担持するヌードマウスを画像化した。図の上の6匹の動物に2つの異なる用量のTF10(投与したペプチドのモルに対して10:1および20:1のモル比)を与え、翌日、111In−標識di−HSGペプチド(IMP288)を投与した。他の3匹の動物には、111In−IMP−288(プレターゲッティングなし)のみを与えた。標識ペプチドを注射してから3時間後に画像を撮影した。この画像により、0.2〜0.3gの腫瘍が、111In−ペプチドのみを投与された動物に局在しないが、プレターゲッティングされた動物に局在することが明瞭に示されている。
この研究において、腫瘍への取込みは、平均すると、20〜25% ID/gであり、腫瘍/血液比は2000:1を上回り、腫瘍/肝臓比は170:1、腫瘍/腎臓比は18/1であった。Al−18F−標識IMP449について上記の実施例で示された腫瘍への取込みは、同じCaPan1異種移植モデルで、平均すると、わずか約4〜5%ID/gであったので、18F−標識ペプチドのより低い取込みは、Al−18F−標識IMP449のより低い比放射能を反映しているにすぎないと考えられている。それでもなお、Al−18F−IMP449のデータは、TF10 bsMAbの特異性と組み合わせた場合に、膵癌または他の癌を画像化するための優れた道具となるプレターゲッティングされるフッ素化ペプチドの並外れた可能性を示す。18F−標識ペプチドの生体分布データは、直接放射性標識された抗体および直接18Fで標識された小型の改変抗体コンストラクトのターゲッティング能力を遥かに上回る(Caiら,J.Nucl.Med.48:304−310,2007)。
図21に示すデータは、癌を検出するプレターゲッティング法の感度をさらに強調している。ここでは、ヒト大腸癌細胞株が静脈内注射され、肺に0.2〜0.3mmの微小転移性腫瘍を有するヌードマウスから、マイクロPET画像のパネルが得られた。抗CEA bsMAb
TF2、次いで、プレターゲッティングされる124I−標識ペプチドが動物に投与された。これら画像は、横断面および冠状断面の両方において1.5時間での強い取込みを示しており、これは21時間でも持続した。冠状断面は、124I−ペプチドが、注射の1.5時間後に胃と腎臓でも見られたことを示すためのより後方の像である。これらの画像は、肺で個々の病変のように見えるもの(矢印)が示しているが、これらは解剖したときに直径わずか0.3mmであった(上のパネル、胸部の横断面)(Sharkeyら,Radiology,246(2):497−507,2008)。抗CD22
TF6 bsMAbをプレターゲッティングされ、同じ124I−標識ペプチドを投与された対照動物(左側、真ん中のパネル)は、このケースでは、抗CEA bsMAbによる局在化の特異性を図説するために示されている。抗CEAがプレターゲッティングされた動物の冠状断面は、胸部、および腎臓での取込みと、胃でのいくらかの放射能を示している。重要なことに、肺での同じ大きさの病変は、18F−FDGが投与された動物では見られなかった。したがって、プレターゲッティング抗体の使用により、癌のPET画像化に現在使用されている標準的なF−18標識フルオロデオキシグルコースプローブと比較してより大きい検出特異性と検出感度が提供される。
これらのデータにより、二重特異性抗体によるプレターゲッティングと18F-標識ペプチドを用いる画像化の実行可能性がさらに示されている。
実施例13.葉酸NOTAコンジュゲートの合成
葉酸を記載されている通りに活性化し(Wangら,Bioconjugate Chem.1996,7,56−62)、Boc−NH−CH−CH−NHにコンジュゲートさせる。このコンジュゲートをクロマトグラフィーで精製する。その後、TFAで処理することにより、Boc基を除去する。その後、アミノ葉酸誘導体を、炭酸緩衝液中のp−SCN−Bn−NOTA(Macrocyclics)と混合する。その後、生成物をHPLCで精製する。葉酸−NOTA誘導体を、実施例10に記載の通りにAl−18Fで標識し、その後、HPLCで精製する。18F−標識された葉酸塩を対象に静脈内注射し、例えば、癌または炎症性疾患における葉酸受容体の分布を画像化するために首尾よく使用する(例えば、Keら,Advanced Drug Delivery Reviews,56:1143−60,2004参照)。
実施例14.ヒトにおけるプレターゲッティングされたPET画像化
腫瘍再発が疑われる患者(1.7m体表面積)に17mgの二重特異性モノクローナル抗体(bsMab)を注射する。このbsMabを標的に局在化させ、血液から除去する。このbsMabの99%が血液から除去されたときに、F−18標識ペプチド(5.7×10−9molに5〜10mCi)を注射する。PET画像化により、微小転移性腫瘍の存在が示される。
実施例15.F−18標識による血管新生受容体の画像化
例えば、αβインテグリンが関与する虚血組織での血管新生の画像化に標識Arg−Gly−Asp(RGD)ペプチドが使用されている(Jeongら,J.Nucl.Med.2008,Apr.15 epub)。Jeongら(2008)に従って、RGDをSCN−Bz−NOTAにコンジュゲートさせる。アルミニウムストック溶液をF−18および誘導体化されたRGDペプチドと混合し、110℃で15分間加熱し、実施例10で開示されているように過剰なペプチドを使用して標識反応を終了させることによって、上記の実施例10に記載の通りに、Al−18FをNOTAで誘導体化されたRGDペプチドに付着させる。このF−18標識RGDペプチドを、Jeongら(2008)に開示されているようなインビボ生体分布およびPET画像化に使用する。RGD−NOTAのAl−18Fコンジュゲートは、虚血組織に取り込まれ、血管新生のPET画像化を提供する。
実施例16.F−18標識ボンベシンを用いた腫瘍の画像化
Prasanphanichら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2007,104:12462−467)に従って、NOTAがコンジュゲートされたボンベシン誘導体(NOTA−8−Aoc−BBN(7−14)NH)を調製する。上記の実施例10に従って、NOTA−ボンベシン誘導体をAl−18Fで標識する。このF−18標識ボンベシン誘導体を、実施例10に記載の通りに、OASIS(登録商標)カラム(Waters,Milford,MA)で未標識ボンベシンから分離する。Prasanphanichら(2007)に従って、Al−18F標識されたNOTA−ボンベシンコンジュゲートを、ガストリン放出ペプチド受容体を発現する腫瘍のPET画像化に首尾よく使用する。
実施例17.F−18標識されたターゲッティング可能なコンジュゲートを用いた腫瘍の画像化
米国特許第7,011,816号(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に従って、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、サイトカイン、ホルモン、または細胞受容体結合剤のNOTA誘導体を調製する。NOTAで誘導体化されたターゲッティング可能なコンジュゲートを、実施例10で開示されているようにAl−18Fで標識する。このコンジュゲートをインビボで投与し、腫瘍のF−18
PET画像化に首尾よく使用する。
実施例18.二重特異性抗体を用いた腫瘍の画像化
米国特許第7,052,872号(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に従って、ターゲッティングされる組織に特異的に結合する少なくとも1つのアームとターゲッティング可能なコンジュゲートに特異的に結合する少なくとも1つの他のアームとを有する二重特異性抗体を調製する。ターゲッティング可能なコンジュゲートは1つ以上のNOTAキレート部分を含む。このターゲッティング可能なコンジュゲートを、実施例10に記載の通りにAl−18Fで標識する。疾患状態を有する対象に二重特異性抗体を注射する。遊離の二重特異性抗体が血液循環から除去されるのに十分な時間を取った後、この対象に、F−18標識されたターゲッティング可能なコンジュゲートを注射する。F−18標識の分布の画像化をPET走査により実施する。
別の例示的な実施形態において、米国特許第7,312,318号に記載されているように、ヒト化されているかまたはキメラの内在化抗CD74抗体を調製する。p−SCN−bn−NOTA前駆体を、実施例7に記載の通りにAl−18Fで標識する。その後、標準的な技術を用いて、Al−18F NOTAを抗体にコンジュゲートさせる。CD74発現腫瘍を有する対象に静脈内注射した後、抗CD74抗体は腫瘍に局在化し、PET走査による腫瘍の画像化を可能にする。代替の実施形態において、米国特許第7,300,655号;同第第7,282,567号;同第第7,238,786号;同第第7,238,785号;同第第7,151,164号;同第第7,109,304号;同第第6,676,924号;同第第6,306,393号、および同第第6,183,744号に記載されているように、α−フェトタンパク質結合抗体Immu31、hPAM4、cPAM4、RS7、抗CD20、抗CD19、抗CEA、および抗CD22を用いて、F−18標識抗体を調製する。標準的な技術を用いて、抗体をNOTAにコンジュゲートさせ、抗CD74抗体について記載されているようにAl−18Fで標識する。F−18標識抗体を対象に注射し、これによってPET走査による腫瘍の画像化を成功させる。
実施例19.腎血流画像化のための18F−標識NOTAの使用
アルミニウムストック溶液(20μL、NaOAc緩衝液(pH4)中に0.05M)を、QMAで精製した200μLのF−18(実施例10と同様)と混合する。その後、AlF−18溶液を500μLの0.2M
NOTA(pH4)と混合し、15分間加熱する。その後、注射用に試料を5mLのPBSに希釈する。F−18標識NOTAを腎血流の画像化を成功させるために直接使用する。
実施例20.Al−18Fを用いたさらなるペプチド標識研究
IMP361について上で記載したのと同様の方法でIMP460
NODA−GA−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NHを合成した。NODA−Ga配位子をChematechから購入し、他のアミノ酸のようにペプチド合成機で付着させた。粗ペプチドを精製すると、所望のペプチド(MH+1366)が得られた。
IMP460の放射性標識
IMP460(0.0020g)を732μLの0.1M
NaOAc(pH4)に溶かした。F−18を実施例10に記載の通りに精製し、氷酢酸で中和し、Al溶液と混合した。その後、ペプチド溶液20μLを添加し、この溶液を99℃で25分間加熱した。その後、粗生成物を上記のようにWaters
HLBカラムで精製した。Al−F−18標識ペプチドは、EtOH/HO(1:1)カラム溶出物中にあった。0.1%TFA緩衝液中の逆相HPLCトレースにより、標識ペプチドに期待される位置できれいな単一のHPLCピークが示された。
実施例21.炭水化物の標識
p−SCN−bn−NOTAをヒドラジンと反応させ、その後、配位子をHPLCで精製することによって、NOTAチオセミカルバジド誘導体を調製する。Al−F−18を実施例10に記載の通りに調製し、このAl−F−18をNOTAチオセミカルバジドに添加して、15分間加熱する。任意で、Al−F−18−チオセミカルバジド錯体をHPLCで精製する。Al−F−18−チオセミカルバジドを公知の方法で酸化炭水化物にコンジュゲートさせる。F−18標識炭水化物を、PET走査を用いる画像化研究に首尾よく使用する。
実施例22.脂質の標識
アルデヒドを含む脂質を、実施例21のAl−F−18NOTAチオセミカルバジドにコンジュゲートさせ、このF−18標識脂質を、PET走査を用いた画像化研究の成功のために使用する。
代替の実施形態において、アミノ基を含む脂質をp−SCN−bn−NOTAと反応させる。このNOTA標識脂質を上記の実施例に記載の通りにAl−F−18と反応させる。このF−18標識脂質を、PET走査を用いた画像化研究の成功のために使用する。
実施例23.アプタマーの標識
アルデヒドを含むアプタマーを、実施例21のAl−F−18NOTAチオセミカルバジドにコンジュゲートさせる。F−18標識アプタマーを対象に投与し、PET走査を用いた画像化研究の成功のために使用する。

Claims (8)

  1. 送達分子をF−18で標識する方法であって、
    a)前記F−18を金属と反応させてF−18金属錯体を形成させる工程と、b)前記F−18金属錯体を送達分子に付着させて1つ以上のF−18標識送達分子を形成させる工程とを含み、
    前記F−18金属錯体が前記送達分子上の、DOTA、TETA、NETA、またはNOTAからなる群より選択されるキレート部分に付着しており、かつ前記金属が、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ルテニウム、およびタリウムからなる群より選択される、方法。
  2. 前記送達分子がタンパク質またはペプチドである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記F−18標識送達分子が血清中で安定である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ペプチドが、IMP449(NOTA−ITCベンジル−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH、NOTA−8−Aoc−BBN(7−14)NH およびSCN−Bz−NOTAにコンジュゲートさせたArg−Gly−Asp(RGD)ペプチドからなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
  5. 前記F−18標識送達分子が、本方法の開始から1時間未満で生成される、請求項1に記載の方法。
  6. タンパク質またはペプチドに付着したF−18金属錯体を含み、
    前記F−18金属錯体が前記タンパク質またはペプチド上の、DOTA、TETA、NETA、またはNOTAからなる群より選択されるキレート部分に付着しており、かつ前記金属が、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ルテニウム、およびタリウムからなる群より選択される、F−18標識タンパク質またはペプチド。
  7. a)F−18との錯体を形成する金属と、b)前記F−18錯体に結合するDOTA、TETA、NETA、またはNOTAからなる群より選択される1つ以上のキレート部分を含むターゲッティングペプチドと、c)F−18とを含み、
    前記金属が、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ルテニウム、またはタリウムである、F−18標識用のキット。
  8. 放射線分解保護剤としてアスコルビン酸をさらに含む、請求項7に記載のキット。
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