図1は、第1の実施形態に係る画像形成システムの全体構成を模式的に示す説明図である。第1の実施形態に係る画像形成システムは、画像読取装置100と、画像形成装置200と、後処理装置300とを有する複写機である。
画像読取装置100は、画像形成装置200の上部に配置され、原稿に形成された画像を読み取って画像情報を取得する。この画像読取装置100は、原稿を移動させながら画像を読み取る自動原稿送り部を備えている。
画像形成装置200は、画像読取装置100によって取得された画像情報に基づいて用紙P上に画像を形成する。画像形成装置200は、感光ドラム1と、帯電部2と、像露光部3と、現像部4と、転写部5Aと、分離部5Bと、クリーニング装置6と、定着部8とを有する。
感光ドラム1は、帯電部2によりその表面が一様に帯電させられる。像露光部3は、レーザビームを感光ドラム1の表面に照射して、画像読取装置100により取得された画像情報に基づく露光走査を行う。これにより、一様に帯電した感光ドラム1の表面に潜像が形成される。現像部4は当該潜像を反転現像し、これにより、感光ドラム1の表面にトナー像が形成される。
用紙収納部7Aに収納された用紙Pは、転写部5Aへ給紙される。転写部5Aは、感光ドラム1の表面上のトナー像を用紙P上へ転写し、その後、分離部5Bは、トナー像が転写された用紙Pを感光ドラム1から分離する。中間搬送部7Bは、分離された用紙Pを定着部8へ搬送する。定着部8は、用紙Pに対して加熱定着処理を施す。排紙部7Cは、加熱定着処理が施された用紙Pを後処理装置300へ排出する。一方、クリーニング装置6は、転写部5Aによりトナー像が用紙P上へ転写された後の感光ドラム1の表面に残留しているトナーを除去する。
用紙Pの両面に画像形成を行う場合、定着部8により加熱定着処理された用紙Pは、搬送路切換板7Dにより、その搬送方向が排紙部7C側とは異なる反転搬送部7E側へと切替えられる。反転搬送部7Eは、用紙Pをスイッチバックすることにより表裏反転させ、再び、当該用紙Pを転写部5Aへ搬送する。転写部5Aは、用紙Pの裏面に画像を形成し、当該画像形成された用紙Pは、定着部8を経て、排紙部7Cから後処理装置300へ排出される。
図2は、後処理装置300の内部構成を模式的に示す説明図である。後処理装置300は、画像形成装置200から排出される用紙Pに対して、動作モードに応じた種々の後処理を行う装置である。この後処理装置300の動作モードとしては、画像形成装置200から排出された用紙Pに何ら処理を行うことなく排出するノーマルモード、画像形成装置200から排出される用紙Pを所定枚数積層した上で、用紙Pの端部近傍にステープルを行う端部綴じモード、および、画像形成装置200から排出される用紙Pを所定枚数積層した上で、これに中折り処理または中綴じ処理を施すことにより、冊子を作成する冊子モードが挙げられる。ここで、中折り処理は、所定枚数積層された用紙束を中折りすることにより冊子を作成する処理であり、用紙束に対する中折り実行位置は、基本的に、用紙の中央位置に設定されている。一方、中綴じ処理は、所定枚数積層された用紙束を中折りおよび中綴じすることにより冊子を作成する処理であり、中折りおよび中綴じ実行位置は、基本的に、用紙の中央位置に設定されている。
本実施形態の特徴の一つは、後処理装置300が冊子モードで動作する場合において、画像形成装置200から排出されて冊子のベースとなる用紙Pとは異なる用紙サイズ(搬送方向における用紙のサイズ)、例えば、冊子の外形サイズ(すなわち、冊子のベースとなる用紙Pの半分の用紙サイズ)の用紙を、冊子内に挿入した状態で冊子を仕上げることである。以下、冊子内に挿入する用紙を「挿入紙I」という。また、冊子内に挿入する用紙(挿入紙I)との差異を明確にするため、便宜上、画像形成装置200から排出されて冊子のベースとなる用紙Pを「印刷紙P」という。なお、挿入紙Iおよび印刷紙Pを総称する場合には、単に用紙という。
また、後処理装置300は、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を作成する場合、挿入紙Iを含む冊子の仕上がり形態に応じて、用紙束に対する中折り実行位置または中綴じ実行位置のずらし量を演算する。これにより、演算されたずらし量に応じて、中折りまたは中綴じ実行位置を、印刷紙をベースとした用紙束の中央位置からずらした位置に設定することができる。以下、後処理装置300の具体的な構成とともに、その動作について説明する。
後処理装置300は、導入部10と、挿入紙供給ユニット20と、第1の中間スタッカ31と、端部綴じステープラ35と、第2の中間スタッカ41と、中綴じステープラ50と、中折り部55と、断裁ユニット70と、コントローラ81(図1および図2には図示せず)を主体に構成されている。
導入部10は、画像形成装置200から排出された印刷紙Pを後処理装置300の内部に導入する。導入部10は、画像形成装置200の排紙部7Cと位置的に対応するように、その位置が設定されている。
ここで、導入部10から導入された印刷紙Pに関する機内の搬送経路の概略について説明する。導入部10下流の搬送路は、第1の搬送路R1と第2の搬送路R2とに分岐しており、導入部10から導入された印刷紙Pは、切換ゲート(図示せず)の切り換えに応じて、第1の搬送路R1および第2の搬送路R2の一方に供給される。動作モードがノーマルモードまたは端部綴じモードの場合、切換ゲートは、第1の搬送路R1側に切り換えられ、動作モードが冊子モードの場合、切換ゲートは、第2の搬送路R2側に切り換えられる。第1の搬送路R1および第2の搬送路R2は、それぞれ多数の搬送ローラとガイド部材により構成されている。
第1の搬送路R1は、導入部10から導入された印刷紙Pを上段排紙トレイ60または第1の中間スタッカ31に搬送するための経路である。具体的には、第1の搬送路R1は、搬送路下流側において2系統の搬送路R11,R12に分岐しており、切換ゲート(図示せず)の切り換えに応じて、いずれか一方の系統の搬送路R11,R12を選択することができる。この切換ゲートは、動作モードがノーマルモードであって厚紙などの特殊な印刷紙Pを排出する場合には、一方の系統の搬送路R11側に切り換えられ、動作モードがノーマルモードであって通常の印刷紙Pを大量排紙する場合、または、動作モードが端部綴じモードの場合には、他方の系統の搬送路R12に切り換えられる。
第1の搬送路R1において一方の系統の搬送路R11を経て搬送される印刷紙Pは、機外上部に固定された上段排紙トレイ60に排出される。この上段排紙トレイ60は、用紙の積載容量が少ないことから、主として、少量排紙としての利用性が高い厚紙などの特殊な印刷紙Pを排出する際に利用される。
これに対して、第1の搬送路R1において他方の系統の搬送路R12を経て搬送される印刷紙Pは、第1の中間スタッカ31に排出される。動作モードがノーマルモードの場合、第1の中間スタッカ31に排出された印刷紙Pは、印刷紙Pが排出される毎に排紙ローラ61側へと押し出され、その後、排紙ローラ61によって中段排紙トレイ62に排出される。一方、動作モードが端部綴じモードの場合、第1の中間スタッカ31に排出された印刷紙Pは、所定枚数積層された上で端部綴じが行われる。その後、端部綴じが行われた複数の印刷紙Pは、排紙ローラ61側へと押し出され、排紙ローラ61によって中段排紙トレイ62に排出される。中段排紙トレイ62は、機外中段部に配置されており、大量排紙を可能にするために積載方向に移動することができるように構成されている。
第2の搬送路R2は、導入部10から導入された印刷紙P、または、後述する挿入紙供給ユニット20からの挿入紙Iを第2の中間スタッカ41に搬送するための経路である。第2の搬送路R2の最後段位置である、第2の搬送路R2の排紙部には排紙ローラ12が配置されている。この排紙ローラ12は、第2の中間スタッカ41(具体的には、後述する用紙トレイ42)の上方に配置されており、第2の搬送路R2を経て機内を搬送された印刷紙Pまたは挿入紙Iを用紙トレイ42に排出する。
第2の中間スタッカ41に排出された印刷紙Pおよび挿入紙Iは、冊子状の印刷紙Pの頁間に挿入紙Iが挿入された状態の冊子として作成され、当該冊子は、断裁ユニット70を経由した上で、機外の下段排紙トレイ64に排出される。下段排紙トレイ64は、機外下部に固定されている。
挿入紙供給ユニット20は、挿入紙Iを後処理装置300内に供給する機能を担っており、挿入紙載置部21と、用紙送り部22とから構成されている。挿入紙載置部21には、挿入紙Iが積層載置され、挿入紙載置部21に載置された挿入紙Iは、用紙送り部22によって最上面の一枚が取り込まれ、第3の搬送路R3に供給される。本実施形態では、二組の挿入紙載置部21および用紙送り部22が設けられており、個々の挿入紙載置部21に載置された挿入紙Iをそれぞれ供給することができるようになっている。
第3の搬送路R3は、多数の搬送ローラとガイド部材により構成されている。第3の搬送路R3は、用紙送り部22から供給された挿入紙Iを第2の搬送路R2へと搬送する。そして、第3の搬送路R3によって搬送された挿入紙Iは、導入部10から導入された印刷紙Pと同様に、第2の搬送路R2を経由して、第2の中間スタッカ41へと搬送される。
なお、後処理装置300に対する挿入紙Iの供給手法としては、挿入紙供給ユニット20を用いる以外にも、画像形成装置200を用いることも可能である。具体的には、画像形成装置200は、用紙収納部7Aの印刷紙Pとは異なる給紙トレイに挿入紙Iを収納しておき、後処理装置300へ印刷紙Pを順次排出する過程で、その中の一枚として挿入紙Iを介在させるといった如くである。この場合、画像形成装置200により、挿入紙Iに所定の画像形成を行うことも可能である。そのため、挿入紙供給ユニット20は後処理装置300に対して選択的に取り付け可能な構成としてもよい。もっとも、ステッカーなどの糊付きの用紙のように、画像形成装置200内の定着部8を通過させることに適さないような用紙を挿入紙Iとして利用する場合には、挿入紙供給ユニット20を設けることにより、後処理装置300としての利便性の向上を図ることができる。
第1の中間スタッカ31は、用紙トレイ32と、後端規制部33と、整合部材34とで構成されている。用紙トレイ32は、第1の搬送路R1,R12を経て機内を搬送された印刷紙Pを載置するトレイである。以下、用紙トレイ32に用紙が載置される動作を説明するにあたり、排紙ローラ12から用紙トレイ32上へ用紙が排出された時において、用紙の搬送方向に対して先端側を用紙の先端、用紙搬送方向に対して後端側を用紙の後端という。また、用紙トレイ32に用紙が載置された状態において、用紙先端側に対応する用紙トレイ32の端部をトレイ先端といい、用紙後端側に対応する用紙トレイ32の端部をトレイ後端という(後述する第2の中間スタッカ41の用紙トレイ42においても同様)。
後端規制部33は、用紙トレイ32のトレイ後端側に設けられており、用紙トレイ32上に載置された印刷紙Pの後端が当接することで印刷紙Pの後端位置を整合する。また、後端規制部33は、必要に応じて、用紙トレイ32上をトレイ先端方向へと移動することで用紙トレイ32に載置された印刷紙Pを排紙ローラ61へと押し出すことができる。整合部材34は、例えば、回転することにより印刷紙Pの後端を後端規制部43に押し当てて印刷紙Pの後端位置を整合する。
端部綴じステープラ35は、用紙トレイ32上で整合された複数の印刷紙Pの端部近傍を、予め定めた位置および向きに従いステープルを施すことにより、端部綴じを行う。例えば、端部綴じステープラ35は、印刷紙Pの後端近傍において端部綴じを行う。端部綴じステープラ35によって端部が綴じられた複数の印刷紙Pは、排紙ローラ61により機外へと排出され、中段排紙トレイ62へ排出される。
第2の中間スタッカ41は、用紙トレイ42と、後端規制部43と、巻き戻し部44とを主体に構成されている。用紙トレイ42は、第2の搬送路R2を経て排紙ローラ12から排出される用紙を積載収容する。この用紙トレイ42に積載される用紙としては、画像形成装置200から排出される印刷紙Pと、挿入紙供給ユニット20(または画像形成装置200)から供給される挿入紙Iとが該当する。用紙トレイ42は、トレイ先端側がトレイ後端側よりも上方に位置するように傾斜した格好で配置されている。
用紙トレイ42において、トレイ後端側には、後端規制部43が配置されている。後端規制部43は、排紙ローラ12から排出された用紙の後端が当接することで用紙トレイ42に積載される用紙束の後端位置を整合する。また、後端規制部43は、駆動手段(後述する後端駆動部83(図3参照))によって駆動されることにより、用紙トレイ42上をトレイ先端側へまたはトレイ後端側へ移動することができる。これにより、後端規制部43は、自身の移動に伴い用紙トレイ42に積載される用紙束を移動させることができる。この後端規制部43は、用紙トレイ42に用紙を積載する際に、排紙ローラ12から用紙トレイ42に排出される印刷紙Pの後端位置が、用紙トレイ42に載置される挿入紙Iの先端位置と後端規制部43との間に位置するような関係に配置されている。
また、本実施形態において、後端規制部43は、用紙トレイ42に積載された用紙束に対する処理の形態に応じて、必要に応じて移動する。第1のケースとしては、中綴じステープラ50によって中綴じを行う際の位置であり、後端規制部43は、用紙トレイ42上の用紙束に対する中綴じ実行位置が中綴じステープラ50と対応するように、その位置が設定される。この中綴じ実行位置は、原則として、印刷紙Pを基準とした用紙束の中央位置(基準位置)に設定されるものであるが、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を仕上げる場合には、必要に応じて、基準位置からずらした位置に設定される。また、第2のケースとしては、中折り部55によって中折りを行う際の位置であり、後端規制部43は、用紙トレイ42上の用紙束に対する中折り実行位置が中折り部55による処理位置と対応するように、その位置が設定される。この中折り実行位置は、原則として、印刷紙Pを基準とした用紙束の中央位置(基準位置)に設定されるものであるが、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を仕上げる場合には、必要に応じて、基準位置から適宜ずらした位置に設定される。
巻き戻し部44は、固定端を中心に上下方向に回動可能に構成された可動アームで構成されており、用紙トレイ42の上方に配置されている。この巻き戻し部(可動アーム)44は、駆動手段(後述するアーム駆動部86(図3参照))によって駆動されることにより、排紙ローラ12から用紙が排出される度に、以下に示す動作を行う。具体的には、可動アームは、通常、用紙トレイ42から離間した上方位置(ホームポジション)にスタンバイしており、用紙トレイ42に用紙が排出されると、下方向(用紙トレイ42方向)へと回動する。可動アームが下方へと回動し、その先端部が最上面の用紙に押し当たることで、排出された用紙が後端規制部43側に付勢される。これにより、排出された用紙の後端に対する整合性が確保される。用紙に対する一連の付勢動作が終了すると、可動アームはホームポジションへと復帰する。
中綴じステープラ50は、用紙トレイ42のトレイ先端側に配置されている。この中綴じステープラ50は、後端規制部43の位置設定に伴い用紙束に対する中折り実行位置と中綴じステープラ50の処理位置とが対応した状態において、当該用紙束に対してステープルを行い、これにより、中綴じを行う。中綴じステープラ50は、ドライバ51とクリンチャ52とで構成されており、この両ユニットは用紙トレイ42を介して対向配置されている。中綴じステープラ50は、ドライバ51が用紙束にステープル(針)を刺入し、クリンチャ52がドライバ51によって印刷紙Pに刺入した針先を折り曲げる。これにより、印刷紙Pに対するステープルが行われる。なお、用紙トレイ42には、中綴じステープラ50によってステープルを行うためにステープルが挿入可能なスリット(図示せず)が形成されている。
中折り部55は、用紙トレイ42の略中央部に配置されている。中折り部55は、後端規制部42の位置設定に伴い用紙束に対する中折り位置と中折り部55の処理位置が対応した状態において、当該用紙束に対して中折りを行う。この中折り部55は、用紙トレイ42の下方側に配置される一対の折りローラ56と、一対の折りローラ56と対向するように用紙トレイ42の上方側に配置される折り板57とで構成される。一対の折りローラ56の軸方向および折り板57の配置方向は搬送方向に対して直交方向である。また、用紙トレイ42には中折りを行うために折り板57を挿入するスリット(図示せず)が形成されている。
一対の折りローラ56は、駆動手段(後述する折りローラ駆動部85(図3参照))によって駆動されることにより、互いの回転方向が向き合うように回転することができる。また、折り板57は、駆動手段(後述する折り板駆動部84(図3参照))によって駆動されることにより、用紙トレイ42に対して垂直方向に昇降動作することができる。この中折り部55により中折りを行う場合には、折り板57を下降させることで、用紙中央部を一対の折りローラ56の間に押し込み、かつ、当該ローラ56を矢印方向に回転させることで用紙束を中折りする。中折りされた用紙束は排紙ローラ63によって搬送され、断裁ユニット70に供給される。
断裁ユニット70は、例えば、冊子を搬送する搬送手段(図示せず)と、断裁手段(図示せず)とを備え、作成された冊子における前小口側端縁の所定位置を断裁刃により断裁する。搬送手段は、冊子を搬送する搬送ベルトや、当該搬送ベルトが巻回される駆動ローラおよび従動ローラで構成されており、中折り部55から供給される冊子を断裁手段へと搬送するとともに、断裁手段により前小口側が断裁された冊子を下段排紙トレイ64へと搬送する。断裁手段は、必要に応じて、搬送手段によって搬送された冊子を対象に、所定の断裁実行位置(例えば、前小口側端縁から所定距離の位置(断裁基準位置))を断裁する。断裁手段は、例えば、可動刃、固定刃、可動刃を昇降可能に駆動するモータなどで構成されており、下降する可動刃の刃先と、固定刃の刃先とにより、冊子の前小口側の端縁部分が断裁される。
図3は、後処理装置300の機能的構成を示すブロック図であり、特に、冊子作成に関わる要部を示すブロック図である。コントローラ81は、後処理装置300を統合的に制御する機能を担っている。コントローラ81としては、CPU、ROM、RAMを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。このコントローラ81は、ROMに格納された制御プログラムに従い、各種の演算を行い、この演算結果に基づいて後処理装置300の動作状態を制御する。コントローラ81は、これを機能的に捉えた場合、取得部81aと、制御部81bとを有している。
取得部81aは、インターフェース部82を介して、画像形成装置200との間で信号の送受信を行うことができる。これにより、取得部81aは、画像形成装置200が保有する各種の情報(後述する入力部210を通じてユーザから指示される情報)を取得することができる。
上述した画像形成装置200には、例えば、ディスプレイ上に表示された情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネル式の入力部210が備えられている。ユーザはこの入力部210を介して画像形成システム(画像形成装置200および後処理装置300)に対する動作指令を入力することができる。
本実施形態との関係において、ユーザは入力部210を通じて、後処理装置300の動作モードを指示したり、動作モードとして冊子モードを指示した場合には、冊子のベースとなる印刷紙Pの用紙サイズを指示したりすることができる。また、図4に示すように、動作モードとして冊子モードを指示した場合には、ユーザは入力部210を通じて、冊子内に挿入紙Iを挿入するか否かを指示することができる(例えば、操作領域A1)。また、ユーザは入力部210を通じて、挿入紙Iを含む冊子の仕上げ形態として、冊子作成を中綴じ処理で行うのか、もしくは中折り処理で行うのか指示したり(例えば、操作領域B1,B2)、中綴じ処理で行う場合には、挿入紙Iを併せて中綴じするのか否かを指示したりすることができる(例えば、操作領域C1,C2)。
さらに、ユーザは入力部210を通じて、作成する冊子の総頁数、挿入紙Iを挿入する頁、挿入紙Iの用紙サイズ、挿入紙Iの種別、オーバーラップ量といった情報を指示することができる(操作領域D1〜D4)。例えば、冊子の総頁数および挿入紙Iを挿入する頁は、任意の数値の中から選択することができるようになっており、また、用紙サイズは、A3,B5といった規定の用紙サイズの中から選択したり、規定サイズ以外の用紙を用いる場合には、任意の数値の中から選択したりすることができるようになっている。また、用紙の種別は、80g紙、300g紙といった規定の種別の中から選択可能となっている。オーバーラップ量は、中綴じ処理により冊子を作成する場合であって、挿入紙Iを併せて中綴じする際に、挿入紙Iの先端部を基準として中綴じ実行位置を指定する量であり、任意の数値として選択することができる。
制御部81bは、取得部81aが取得した情報に基づいて、用紙トレイ42に対する挿入紙Iまたは印刷紙Pの排出タイミングを制御したり、各駆動部83〜86および中綴じステープラ50および断裁ユニット70の動作をそれぞれ制御したりする。ここで、後端駆動部83は、後端規制部43をトレイ先端方向またはトレイ後端方向に駆動する。折り板駆動部84は、折り板57を昇降駆動し、折りローラ駆動部85は、一対の折りローラ56を回転駆動する。また、アーム駆動部86は、巻き戻し部(可動アーム)44を駆動する。
また、制御部81bは、冊子作成時には、ユーザが指示した条件(取得部81aが取得した情報)から規定される挿入紙Iを含む冊子の仕上げ形態に応じて、用紙束に対する中綴じ実行位置のずらし量、または用紙束に対する中折り実行位置のずらし量を演算することができる。また、制御部81bは、中綴じ実行位置または中折り実行位置のずらし量に応じて、断裁ユニット70による断裁実行位置のずらし量を演算したり、画像形成装置による印刷紙Pに対する画像形成位置のずらし量を演算したりすることができる。
以下、挿入紙Iの挿入を伴う冊子の作成に関する後処理装置300の具体的な動作について説明する。なお、以下に示す例では、二枚の印刷紙Pによる冊子作成を例に挙げ、図5に示すように、冊子中央の見開き頁ではなく、一枚目の印刷紙Pと二枚目の印刷紙Pとで構成される頁に挿入紙Iを挿入するケースについて説明する。ここで、図6は、本実施形態にかかる後処理装置300による冊子作成に関する一連の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、後処理装置300のコントローラ81によって実行される。
まず、ステップ1(S1)において、取得部81aは、画像形成装置200から必要な情報を取得する。具体的には、取得部81aは、後処理装置300の動作モードが冊子モードであること、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を仕上げること、冊子作成を中綴じ処理で行うのかそれとも中折り処理で行うのか、挿入紙Iを併せて中綴じするか否か、冊子の総頁数、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズ、挿入紙Iを挿入する頁、挿入紙Iの用紙サイズおよび挿入紙Iの種別を含む情報を取得する。
ステップ2(S2)において、制御部81bは、取得部81aが取得した情報に基づいて、挿入紙Iがあるか否か、すなわち、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を作成するか否かを判断する。このステップ2において肯定判定された場合、すなわち、挿入紙Iがある場合には、ステップ3(S3)に進む。一方、ステップ2において否定判定された場合、すなわち、挿入紙Iがない場合には、ステップ3およびステップ4(S4)の処理をスキップした上で、後述するステップ5(S5)の処理に進む。
ステップ3において、制御部81bは、挿入紙Iの挿入を伴う冊子作成に関連するパラメータを決定する(パラメータ決定処理)。ここで、図7は、ステップ3におけるパラメータ決定処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、ステップ10(S10)において、制御部81bは、取得部81aが取得した情報に基づいて、中綴じ処理で冊子を作成するのか否かを判断する。このステップ10において否定判定された場合、すなわち、中折り処理で冊子を作成する場合には、後述するステップ11(S11)に進み、中折り処理に対応するパラメータを決定する(中折りモード)。一方、ステップ10において肯定判定された場合、すなわち、中綴じ処理で冊子を作成する場合には、ステップ12(S12)に進む。
ステップ12において、制御部81bは、取得部81aが取得した情報に基づいて、中綴じ処理において、挿入紙Iを併せて中綴じするか否かを判断する。このステップ12において否定判定された場合、すなわち、挿入紙Iを中綴じしない場合には、ステップ13(S13)に進み、中綴じ処理(挿入紙Iの中綴じなし)に対応するパラメータを決定する(第1中綴じモード)。一方、ステップ12において肯定判定された場合、すなわち、挿入紙Iを併せて中綴じする場合には、ステップ14(S14)に進み、中綴じ処理(挿入紙Iの中綴じあり)に対応するパラメータを決定する(第2中綴じモード)。
ステップ11において、制御部81bは、中折りモードに対応するパラメータを決定する。このステップ11の処理の実行により、中折りずらし量、画像ずらし量および断裁ずらし量がそれぞれ決定される。ここで、中折りずらし量は、基準位置、具体的には、印刷紙Pを基準とする用紙束の中央位置からの中折り実行位置のずらし量である。また、画像ずらし量は、画像形成装置200による印刷紙Pに対する画像形成位置のずらし量であり、断裁ずらし量は、断裁実行位置のずらし量である。ここで、図8は、ステップ11の処理の詳細を示すフローチャートであり、図9は、中折りモードの具体例を示す説明図である。
まず、ステップ20(S20)において、制御部81bは、挿入紙Iの用紙サイズが規定サイズよりも小さいか否かを判断する。ここで、規定サイズとは、中折り実行位置を変更する必要があるか否かを判断するためのサイズであり、具体的には、冊子のベースとなる印刷紙Pを基準に決定されている(例えば、印刷紙Pの半分のサイズ)。
このステップ20において肯定判定された場合、すなわち、挿入紙Iの用紙サイズが規定サイズよりも小さい場合には、本ルーチンを抜ける。この場合、中折りずらし量はゼロとなり、図9(a)に示すように、中折り実行位置は、挿入紙Iがないケースと同様に、基準位置(印刷紙Pを基準とする用紙束の中央位置)のままで変更無しと判断される。また、画像ずらし量および断裁ずらし量もゼロとなり、画像形成位置および断裁実行位置も変更なしと判断される。一方、ステップ20において否定判定された場合、すなわち、挿入紙Iの用紙サイズが規定サイズ以上の場合には、ステップ21(S21)以降の処理に進む。この場合、図9(a)に示すように、中折り実行位置は、基準位置から位置変更が必要と判断され、また、中折り実行位置の変更にともにない、画像形成位置および断裁実行位置も位置変更が必要と判断される。
ステップ21において、制御部81bは、中折り実行位置が挿入紙Iの先端位置よりも前側に設定されるように、中折りずらし量を算出する。この中折りずらし量は、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入頁、冊子頁、挿入紙Iの用紙サイズおよび挿入紙Iの種類に基づいて決定される。図9(b)に示すように、中折りずらし量は、挿入頁に応じたマージン(例えば、頁毎に0.1mmを確保)と、挿入紙Pの用紙サイズに応じたマージン(例えば、挿入紙Iが印刷紙Pの半分の用紙サイズである場合には、2.5mm)と、挿入紙Iの種類(すなわち、挿入紙Iの厚み)に応じたマージン(例えば、挿入紙Iが300g紙であれば1.0mm、挿入紙Iが80g紙であれば0.5mm)の総和として演算される。ケース1に示す例では、中折りずらし量は、4.5mmとして算出され、ケース2に示す例では、中折りずらし量は、3.2mmとして算出される。中折りずらし量が正の値として算出された場合、中折り実行位置は、基準位置よりも印刷紙先端側へとずれた位置に設定されることとなる。
ステップ22(S22)において、制御部81bは、演算された中折りずらし量に基づいて、画像ずらし量および断裁ずらし量を決定する。具体的には、図9(c)に示すように、画像ずらし量は、中折りずらし量と同一の値として決定され、断裁ずらし量は、中折りずらし量を2倍した値として決定される。
一方、ステップ13において、制御部81bは、第1中綴じモードに対応するパラメータを決定する。このステップ13の処理の実行により、中綴じずらし量、中折りずらし量、画像ずらし量および断裁ずらし量がそれぞれ決定される。ここで、中綴じずらし量は、基準位置、具体的には、印刷紙Pを基準とする用紙束の中央位置からの中綴じ実行位置のずらし量である。ここで、図10は、ステップ13の処理の詳細を示すフローチャートであり、図11は、第1中綴じモードの具体例を示す説明図である。
まず、ステップ30(S30)において、制御部81bは、挿入紙Iの用紙サイズが規定サイズよりも小さいか否かを判断する。ここで、規定サイズとは、中綴じ実行位置を変更する必要があるか否かを判断するためのサイズであり、具体的には、冊子のベースとなる印刷紙Pを基準に決定されている(例えば、印刷紙Pの半分のサイズ)。
このステップ30において肯定判定された場合、すなわち、挿入紙Iの用紙サイズが規定サイズよりも小さい場合には、本ルーチンを抜ける。この場合、中綴じずらし量はゼロとなり、図11(a)に示すように、中綴じ実行位置は、挿入紙Iが無いケースと同様に、基準位置のままで変更無しと判断される。また、中折りずらし量、画像ずらし量および断裁ずらし量もゼロとなり、中折り実行位置、画像形成位置および断裁実行位置も変更なしと判断される。一方、ステップ30において否定判定された場合、すなわち、挿入紙Iの用紙サイズが規定サイズ以上の場合には、ステップ31(S31)以降の処理に進む。この場合、図11(a)に示すように、中綴じ実行位置は、基準位置から位置変更が必要と判断され、また、中綴じ実行位置の変更にともにない、中折り実行位置、画像形成位置および断裁実行位置も位置変更が必要と判断される。
ステップ31において、制御部81bは、中綴じ実行位置が挿入紙Iの先端位置よりも前側に設定されるように、中綴じずらし量を算出する。この中綴じずらし量は、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズおよび挿入紙Iの種類に基づいて決定される。図11(b)に示すように、中綴じずらし量は、挿入紙Pの用紙サイズに応じたマージン(例えば、挿入紙Iが印刷紙Pの半分の用紙サイズである場合には、2.5mm)と、挿入紙Iの種類(すなわち、挿入紙Iの厚み)に応じたマージン(例えば、挿入紙Iが300g紙であれば1.0mm、挿入紙Iが80g紙であれば0.5mm)の総和として演算される。ケース1に示す例では、中綴じずらし量は、3.0mmとして算出される。中綴じずらし量が正の値として算出された場合、中綴じ実行位置は、基準位置よりも印刷紙先端側へとずれた位置に設定される。
ステップ32(S32)において、制御部81bは、演算された中綴じずらし量に基づいて、中折りずらし量、画像ずらし量および断裁ずらし量を決定する。具体的には、中折りずらし量および画像ずらし量は、中折りずらし量と同一の値として決定され、断裁ずらし量は、中折りずらし量を2倍した値として決定される。
これに対して、ステップ14において、制御部81bは、第2中綴じモードに対応するパラメータを決定する。このステップ14の処理の実行により、中折りずらし量、中綴じずらし量、画像ずらし量および断裁ずらし量がそれぞれ決定される。ここで、図12は、ステップ14の処理の詳細を示すフローチャートであり、図13は、第2中綴じモードの具体例を示す説明図である。
まず、ステップ40(S40)において、制御部81bは、挿入紙Iの用紙サイズが規定サイズよりも大きいか否かを判断する。ここで、規定サイズとは、ステップ30と同様に、中綴じ実行位置を変更する必要があるか否かを判断するための用紙サイズである(例えば、印刷紙Pの半分のサイズ)。
このステップ40において肯定判定された場合、すなわち、挿入紙Iの用紙サイズが規定サイズよりも大きい場合には、本ルーチンを抜ける。この場合、中綴じずらし量はゼロとなり、図13(a)に示すように、中綴じ実行位置は、挿入紙Iが無いケースと同様に、基準位置のままで変更無しと判断される。また、中折りずらし量、画像ずらし量および断裁ずらし量もゼロとなり、中折り実行位置、画像形成位置および断裁実行位置も変更なしと判断される。一方、ステップ40において否定判定された場合、すなわち、挿入紙Iの用紙サイズが規定サイズ以上の場合には、ステップ41(S41)以降の処理に進む。この場合、図13(a)に示すように、中綴じ実行位置は、基準位置から位置変更が必要と判断され、また、中綴じ実行位置の変更にともにない、中折り実行位置、画像形成位置および断裁実行位置も位置変更が必要と判断される。
ステップ41において、制御部81bは、中綴じ実行位置を、挿入紙Iの先端位置よりも後側に設定するように、中綴じずらし量を算出する。この中綴じずらし量は、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズ、挿入紙Iの種類およびオーバーラップ量に基づいて決定される。図13(b)に示すように、中綴じずらし量は、挿入紙Pの用紙サイズに応じたマージン(例えば、挿入紙Iが印刷紙Pの半分の用紙サイズである場合には、−2.5mm)と、挿入紙Iの種類(すなわち、挿入紙Iの厚み)に応じたマージン(例えば、挿入紙Iが300g紙であれば−1.0mm、挿入紙Iが80g紙であれば−0.5mm)と、オーバーラップ量(例えば、ユーザによる指定量)との総和として演算される。ケース1に示す例では、中綴じずらし量は、−6.5mmとして算出され、ケース2に示す例では、中綴じずらし量は、−9.0mmとして算出される。中綴じずらし量が負の値として算出された場合、中折り実行位置は、基準位置よりも印刷紙後端側へとずれた位置に設定される。
ステップ42(S42)において、制御部81bは、演算された中綴じずらし量に基づいて、中折りずらし量、画像ずらし量および断裁ずらし量を決定する。具体的には、中折りずらし量および画像ずらし量は、中折りずらし量と同一の値として決定され、断裁ずらし量は、中折りずらし量を2倍した値(絶対値)として決定される。
再び図6を参照するに、ステップ4において、制御部81bは、パラメータ決定処理(ステップ3)において決定されたパラメータを設定する。具体的には、制御部81bは、演算された画像ずらし量を画像形成装置200に指示することにより、冊子作成に供される印刷紙Pに対する画像形成位置を、通常時の画像形成位置よりも画像ずらし量だけずらすように画像形成装置200に要求する。また、制御部81bは、演算結果に基づいて、中折りずらし量、中綴じずらし量、断裁ずらし量を制御パラメータとして設定する。
ステップ5において、制御部81bは、画像形成装置200により画像ずらし量に応じて画像形成位置がずらされた印刷紙Pおよび挿入紙Iを用紙トレイ42に積載した上で、冊子形成を行う(後処理)。
中折り処理による冊子作成を行う場合、まず、制御部81bは、後端駆動部83を制御して後端規制部43を移動させ、これにより、後端規制部43の位置を設定する。この場合、実験やシミュレーションを通じ、印刷紙Pの中央位置と、中折り部55の処理位置(折り板57の下降位置)とが対応する後端規制部43の位置関係を、種々の用紙サイズの印刷紙Pに応じて予め取得しておく。そして、制御部81bは、当該位置関係と、実際に中綴じを行う印刷紙Pの用紙サイズと、中折りずらし量とに基づいて、後端規制部43の位置を設定する。図14(a)に示すように、後端規制部43は、通常、印刷紙Pをベースとした用紙束の中央位置が中折り部55の処理位置となる位置Pfに設定されるが、中折りずらし量ΔP1がゼロ以外の場合には、位置Psから中折りずらし量ΔP1だけずれた位置に設定される。
そして、制御部81bは、折りローラ駆動部85を制御することにより、一対の折りローラ56を互いに向き合う方向に回転させるとともに、折り板駆動部84を制御することにより、折り板57を下降させる。これにより、折り板57により用紙束を一対の折りローラ56の間に押し込み、かつ、当該ローラ56の回転により用紙束が中折りされる。ここで、折り板57は用紙トレイ42の上方に配置されている関係上、この折り板57を下降することにより、中折りされた用紙束(冊子)は、折り側の端部を下側にして一対の折りローラ56から排出される。一対の折りローラ56から排出された冊子は、排紙ローラ63によって搬送され、断裁ユニット70に供給される。
一方、中綴じ処理による冊子作成を行う場合、まず、制御部81bは、中綴じ処理の一過程である中綴じを行う。具体的には、制御部81bは、後端駆動部83を制御して後端規制部43を移動させ、これにより、後端規制部43の位置を設定する。この場合、実験やシミュレーションを通じ、印刷紙Pの中央位置と、中綴じステープラ50の処理位置(ステープルの刺入位置)とが対応する後端規制部43の位置関係を、種々の用紙サイズの印刷紙Pに応じて予め取得しておく。そして、コントローラ81は、当該位置関係と、実際に中綴じを行う印刷紙Pの用紙サイズと、中綴じずらし量とに基づいて、後端規制部43の位置を設定する。図14(b)に示すように、後端規制部43は、通常、印刷紙Pをベースとした用紙束の中央位置が、中綴じステープラ50の処理位置と対応する位置Psに設定されるが、中綴じずらし量ΔP2がゼロ以外の場合には、この位置Psから中綴じずらし量ΔP2だけずれた位置に設定される。そして、制御部81bは、中綴じステープラ50を制御して用紙束にステープルを行う。
つぎに、制御部81bは、中綴じ処理の一過程である中折りを行う。制御部81bは、後端駆動部83を制御して後端規制部43を移動させ、これにより、後端規制部43の位置を設定する。図14(a)に示すように、後端規制部43は、通常、印刷紙Pをベースとした用紙束の中央位置が中折り実行位置となる位置Pfに設定されるが、中折りずらし量ΔP2がゼロ以外の場合には、位置Psから中折りずらし量ΔP2だけずれた位置に設定される。
中折り処理または中綴じ処理により挿入紙Iが挿入された状態で冊子が仕上げられると、この冊子は断裁ユニット70に供給される。断裁ユニット70に冊子が供給されると、制御部81bは、冊子の前小口側を断裁する。具体的には、制御部81bは、断裁ユニット70を制御して、前小口側の断裁基準位置(例えば、前小口側の最端縁)から断裁ずらし量ずらした位置において断裁を実行する。断裁された冊子は、下段排紙トレイ64上に排出される。
そして、これらの一連の行程を通じて、挿入紙Iが挿入された状態の冊子が作成される。図15(a)に示すように、中折り処理により冊子を作成する場合であって、例えば、印刷紙Pに対して半分の用紙サイズの挿入紙Iを挿入する場合には、中折り実行位置は、印刷紙Pを基準とした用紙束の中央位置Pc1よりも用紙先端側(図中左側)へと中折りずらし量ΔP1だけずらした位置に設定される。この場合、印刷紙Pに対する画像形成位置も、画像ずらし量(ΔP1)だけずらされ、さらに、断裁実行位置も、冊子の前小口側の最端縁から断裁ずらし量(ΔP1×2)だけずらされた位置Pc2に設定される。
また、図15(b)に示すように、中綴じ処理により冊子を作成し、かつ、挿入紙Iを併せて中綴じしない場合であって、例えば、印刷紙Pに対して半分の用紙サイズの挿入紙Iを挿入する場合には、中綴じ実行位置は、印刷紙Pを基準とした用紙束の中央位置Pc1よりも用紙先端側(図中左側)へと中綴じずらし量ΔP2だけずらした位置に設定される。この場合、中綴じ実行位置は、印刷紙Pを基準とした用紙束の中央位置Pc1よりも用紙先端側(図中左側)へと中折りずらし量(ΔP2)だけずらした位置に設定される。また、印刷紙Pに対する画像形成位置も、画像ずらし量(ΔP2)だけずらされ、さらに、断裁実行位置も、冊子の前小口側の最端縁から断裁ずらし量(ΔP2×2)だけずらされた位置Pc2に設定される。
さらに、図15(c)に示すように、中綴じ処理により冊子を作成し、かつ、挿入紙Iを併せて中綴じする場合であって、例えば、印刷紙Pに対して半分の用紙サイズの挿入紙Iを挿入する場合には、中綴じ実行位置は、印刷紙Pを基準とした用紙束の中央位置Pc1よりも用紙後端側(図中右側)へと中綴じずらし量ΔP2だけずらした位置に設定される。この場合、中綴じ実行位置は、印刷紙Pを基準とした用紙束の中央位置Pc1よりも用紙後端側(図中右側)へと中折りずらし量(ΔP2)だけずらした位置に設定される。また、印刷紙Pに対する画像形成位置も、画像ずらし量(ΔP2)だけずらされ、さらに、断裁実行位置も、冊子の前小口側の端縁から断裁ずらし量(ΔP2×2)だけずらされた位置Pc2に設定される。
このように本実施形態によれば、第2の搬送路R2を経て挿入紙Iを用紙トレイ42に供給することにより、冊子作成の一連の工程として、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を仕上げることができる。また、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を作成する場合、挿入紙Iを含む冊子の仕上がり形態に応じて、用紙束に対する中折りまたは中綴じ実行位置のずらし量が演算される。これにより、用紙束に対する中折り実行位置または中綴じ実行位置を、必要に応じてずらすことができるので、挿入紙を含む冊子の仕上がり形態に種々のバリエーションを持たせることが可能となる。これにより、ユーザに様々なニーズに応じた状態で挿入紙Iを挿入した状態で冊子を作成することが可能となる。
また、本実施形態において、制御部81bは、取得部81aの取得結果(冊子作成を中折り処理により行うこと、印刷紙Pの用紙サイズおよび挿入紙Iの用紙サイズの情報)に基づいて、印刷紙Pを基準とする用紙束の中央位置を中折り実行位置とするのか、もくしは、用紙束の中央位置からずらした位置を中折り実行位置とするのかを判断する。中折り処理により冊子を作成する場合には、挿入紙Iを併せて中折りしたくないという要望がある。この場合、挿入紙Iが中折りされるか否かは、印刷紙Pの用紙サイズおよび挿入紙Iの用紙サイズに起因する。そこで、これらの情報から、中折り実行位置をずらすか否かを判断することにより、中折り実行位置をずらす必要があるシーンを自動的に判断することができる。
ここで、中折り実行位置をずらすことを判断した場合、制御部81bは、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズ、作成する冊子の総頁数、挿入紙を挿入する頁および挿入紙の種別に基づいて、用紙束の中央位置からの中折り実行位置のずらし量を演算する。かかる構成によれば、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズ、作成する冊子の総頁数、挿入紙を挿入する頁および挿入紙の種別を考慮することにより、中折り実行位置を適切に演算することができる。すなわち、挿入紙Iが中折りされることなく、かつ、過度に位置をずらし過ぎることなく、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を作成することができる。また、この中折り実行位置のずらし量は、画像形成位置および断裁実行位置のずらし量にも関わるパラメータであるため、中折り実行位置のずらし量を適切に演算することで、これらのずらし量も最適に演算することができる。
また、本実施形態において、制御部81bは、取得部81aの取得結果(冊子作成を中綴じ処理で行うこと、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズおよび挿入紙Iを併せて中綴じするか否かの情報)に基づいて、印刷紙Iを基準とする用紙束の中央位置を中綴じおよび中折り実行位置とするのか、もしくは用紙束の中央位置からずらした位置を中綴じおよび中折り実行位置とするのかを判断する。中綴じ処理により冊子を作成する場合、挿入紙Iを併せて中綴じしたいという要望と、挿入紙Iを併せて中綴じしたくないという要望がある。この場合、挿入紙Iが中綴じされるか否かは、印刷紙Pの用紙サイズおよび挿入紙Iの用紙サイズに起因する。そこで、これらの情報から、中綴じおよび中折り実行位置をずらす必要があるシーンを自動的に判断することができる。
ここで、制御部81bは、挿入紙Iを併せて中綴じしない場合において、中綴じおよび中折り実行位置をずらすことを判断した場合には、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズおよび挿入紙Iの種別に基づいて、用紙束の中央位置からの中綴じおよび中折り実行位置のずらし量を演算する。かかる構成によれば、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズおよび挿入紙Iの種別を考慮することにより、中綴じおよび中折り実行位置のずらし量を適切に演算することができる。すなわち、挿入紙Iが中綴じおよび中折りされることなく、かつ、過度に位置をずらし過ぎることなく、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を作成することができる。また、この中綴じおよび中折り実行位置のずらし量は、画像形成位置および断裁実行位置のずらし量にも関わるパラメータであるため、中綴じおよび中折り実行位置のずらし量を適切に演算することで、これらのずらし量も最適に演算することができる。
一方、制御部81bは、挿入紙Iを併せて中綴じする場合において、中綴じおよび中折り実行位置をずらすことを判断した場合には、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズ、挿入紙Iの種別およびオーバーラップ量に基づいて、用紙束の中央位置からの中綴じおよび中折り実行位置のずらし量を演算する。かかる構成によれば、印刷紙Pの用紙サイズ、挿入紙Iの用紙サイズ、挿入紙Iの種別およびオーバーラップ量を考慮することにより、中綴じおよび中折り実行位置のずらし量を適切に演算することができる。すなわち、挿入紙Iが中綴じおよび中折りされ、かつ、過度に位置をずらし過ぎることなく、挿入紙Iを挿入した状態で冊子を作成することができる。
また、本実施形態において、制御部81bは、演算されたずらし量に基づいて、画像形成装置200による印刷紙Pに対する画像形成位置のずらし量を演算する。画像形成装置200は、通常、印刷紙Pの中央位置を基準として各頁に画像を形成する関係上、上述の如く、中折り実行位置または中綴じ実行位置がずらされた場合には、冊子の各頁における画像の形成位置が頁中心からずれた状態となる。しかしながら、画像形成位置のずらし量を演算することで、これを画像形成装置200の処理に反映させることができるので、頁中心からの画像のずれを抑制することができる。
また、本実施形態において、後処理装置300は、作成された冊子の前小口側端縁を断裁する断裁ユニット70を更に有する。この場合、制御部81bは、演算されたずらし量に基づいて、冊子に対する断裁実行位置のずらし量を設定する。上述の如く、中折り実行位置または中綴じ実行位置がずらされた場合には、冊子の前小口側端縁は、冊子の左右頁において各々の長さがずれた状態となる。しかしながら、断裁ユニット70による断裁実行位置のずらし量を設定することで、冊子の前小口側端縁の整合性を確保することができる。
また、本実施形態において、後端規制部43は、用紙トレイ42に用紙を積載する際に、排紙ローラ12から用紙トレイ42に排出される用紙の後端位置が、用紙トレイ42に載置される挿入紙Iの先端位置と後端規制部43との間に位置するような関係に配置されている。
例えば、印刷紙Pと用紙サイズ違いの挿入紙Iとを用紙トレイ42に積載する場合、用紙積載時の後端規制部43と排紙ローラ12との位置関係によっては以下に示すような不都合が生じる可能性がある。具体的には、排紙ローラ12から用紙トレイ42に排出される用紙の後端位置が、用紙トレイ42に載置される挿入紙Iの先端位置よりもトレイ先端側となるケースである。このケースでは、挿入紙Iの次に印刷紙Pが排出された場合、当該印刷紙Pの後端が、挿入紙Iの先端よりも前方に位置し、この印刷紙Pを後端規制部43へと整合する際に、印刷紙Pの後端と挿入紙Iの先端とが干渉し、紙詰まりや、用紙間の整合不良を起こす可能性がある。
しかしながら、本実施形態によれば、排紙ローラ12から用紙トレイ42に排出される用紙の後端位置は、用紙トレイ42に載置される挿入紙Iの先端位置と後端規制部43との間、すなわち、挿入紙Iの紙面上となる。そのため、挿入紙Iの先端と印刷紙Pの後端との干渉が抑制されることとなり、紙詰まりや整合不良を抑制しつつ用紙サイズが異なる印刷紙Pと挿入紙Iとを用紙トレイ42に積載収容することができる。その結果、用紙トレイ42に積載された用紙束(印刷紙Pおよび挿入紙I)に処理を施すことが可能となり、挿入紙Iが冊子内のページに挿入された状態で冊子を仕上げることが可能となる。
なお、上述した実施形態では、中綴じ処理により冊子作成を行う場合、中折りよりも中綴じを先行して行う関係上、中綴じ実行位置のずらし量を演算し、これをベースに、各パラメータ(中折り実行位置、画像形成位置および断裁実行位置のずらし量)を決定している。しかしながら、中折りの後に中綴じを実行してもよく、この場合には、中綴じ実行位置のずらし量と同一の要件で、中折り実行位置のずらし量を決定し、これをベースに各パラメータ(中綴じ実行位置、画像形成位置および断裁実行位置のずらし量)を決定してもよい。もっとも、中綴じ処理では、中綴じ実行位置と中折り実行位置とは対応する関係となるため、双方のずらし量を同時に決定してもよいし、中折りおよび中綴じの実行順序に関わらず、いずれか一方のずらし量を決定した後で、これに応じて残りのずらし量を決定してもよい。
また、画像形成装置200から挿入紙Iを供給し、かつ、挿入紙Iに画像形成装置200により画像形成を行う場合には、挿入紙Iの挿入頁に応じて、挿入紙Iの印刷位置をずらしてもよい。すなわち、冊子の総頁数が多い場合には、複数の印刷紙Pの積層分の厚さに起因して、冊子の最終頁側または最初頁側よりも、冊子の中央頁側に挿入される場合の方が、断裁ユニット70による断裁量が少なくなる。そのため、挿入紙Iの挿入頁によっては、挿入紙Iに形成された画像が断裁されてしまう可能性がある。そこで、挿入紙Iの挿入頁に応じて、挿入紙Iの印刷位置をずらすことにより、このような不都合を抑制することができる。
また、上述した実施形態では、画像形成システムは、後処理装置300の一機能として断裁ユニット70を備える構成であったが、この断裁ユニット70が後処理装置300から独立した装置(断裁装置)として、画像形成システムを構成してもよい。
また、上述した実施形態では、後処理装置300の制御部81bが、中折り実行位置または中綴じ実行位置のずらし量に応じて画像形成位置のずらし量を演算し、これを画像形成装置200に指示する構成である。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、例えば、後処理装置300の制御部81bが画像形成装置200に中折り実行位置または中綴じ実行位置のずらし量のみを指示してもよい。この場合、画像形成装置200が、後処理装置300からのずらし量に基づいて、印刷紙Pに対する画像形成位置のずらし量を演算し、この画像形成位置のずらし量に応じて、印刷紙Pに形成される画像位置をずらしてもよい。
また、中折り実行位置のずらし量または中綴じ実行位置のずらし量を演算する場合には、印刷紙Iに形成される画像の範囲を上限としてもよい。これにより、各頁に割り当てられる画像に、中折りまたは中綴じが干渉するという事態を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態にかかる後処理装置およびその制御方法並びに画像形成システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。