JP5434158B2 - 半導体装置の製造方法及び半導体装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来、この二つのプロセスを同時に実現することが困難であるという課題があった。これは、上記のプロセスがそれぞれ相反する関係(トレードオフの関係)にあるからである。例えば、短チャネル効果を抑制する場合は、SOI−MOSFETに含まれるソース及びドレイン端からの空乏層の伸びを抑制する必要がある。このため、SOI層の深い部位(例えば、SOI層とBOX層との境界近傍)に導電型不純物を導入し、不純物濃度の高い層(即ち、パンチスルーストッパー領域)を形成する必要がある。しかしながら、このような導電型不純物の導入はSOI層の浅い部位を介して行われるため、SOI層の表面近傍における不純物濃度に影響を与える。このため、所望のVth値が得られない、もしくはVth値のばらつき度合いが大きいといった不都合が生じる場合がある。
そこで、本発明の幾つかの態様は、このような課題に鑑みてなされたものであって、短チャネル効果を抑制すると共に、Vth値の制御性を高めることを可能とした半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的としている。
上記の方法によれば、第1の閾値領域、または、第2の閾値領域よりもVth値の低い第3の閾値領域を形成することができる。これにより、短チャネル効果を抑制すると共に、Vth値の制御性を高めた複数種類の閾値領域を1チップ内の所望の位置に形成することができる。
上記の方法によれば、第1の閾値領域を形成する工程後に実施する熱処理工程を省略することができる。前記第2の閾値領域を形成した後にのみ熱処理工程を実施することで、製造工程数を一工程分減らすことができる。これにより、製造コストを抑えつつ、短チャネル効果を抑制すると共に、Vth値の制御性を高めた半導体装置を生産することができる。
上記の方法によれば、第1及び第2の閾値領域を形成する工程後に実施する熱処理工程を省略することができる。前記第3の閾値領域を形成した後にのみ熱処理工程を実施することで、形成する閾値領域の数に関わらず、実施する熱処理工程を一回とすることができる。これにより、製造工程を増やすことなく製品を製造することができる。したがって、短チャネル効果が抑制され、且つ、Vth値の制御性が高められた半導体装置を低い製造コストで生産することができる。
上記の方法によれば、ソース及びドレインが形成される領域の下方に第2導電型の不純物を導入しないようにすることができる。これにより、ソース及びドレインにおける第1導電型の不純物の実質的な濃度低下(即ち、カウンタードープによる濃度低下)を防ぐことができ、ソース及びドレインの高抵抗化を防ぐことができる。これにより、短チャネル効果の抑制性を向上させることができるだけでなく、半導体装置の駆動電力の低電圧化も図ることができる。
上記の方法によれば、パンチスルーストッパー領域及び第1の閾値領域を形成するに際し、素子分離領域を形成する際の熱履歴や不純物拡散の影響を考慮しなくて済む。したがって、パンチスルーストッパー領域及び第1の閾値領域の位置や濃度等を予め設定した値に精度良く合わせ込むことが容易となる。
(1)第一の実施形態
図1(a)〜(e)及び図2(a)〜(f)は、本発明の第一の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。また、図3(a)〜(e)は、本発明の第一の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。なお、図中に示されるX軸方向及びY軸方向は基板水平方向を、Z軸方向は基板垂直方向を、それぞれを示している。
初めに、図1(a)において、バルクのシリコン(Si)基板3上に絶縁層4(BOX層)が形成され、その上に半導体層5が形成されたSOI基板を用意する。ここで、絶縁層4は例えばSi酸化膜であり、半導体層5は例えば単結晶のSi層である。このSOI基板は、例えばSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)法や、貼り合わせ法により形成されたものである。次に、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を用いて、半導体層5に素子分離領域6を形成する。ここで、図3(a)に示すように、この素子分離領域6により囲まれた領域(即ち、素子分離領域6が形成されていない領域)が、素子領域となる。
また、上記の実施形態によれば、素子分離領域6を形成した後で、第1の閾値領域8と、第2の閾値領域9と、第3の閾値領域10とを形成している。これにより、素子分離領域6を形成する際の熱履歴や不純物拡散の影響を考慮しなくて済む。したがって、パンチスルーストッパー領域7の位置や各閾値領域の位置、及びそれらの濃度等を予め設定した値に精度良く合わせ込むことが容易である。
上記の実施形態では、第1の閾値領域8の一部又は全部に第1導電型の不純物1を導入して第3の閾値領域10を形成する場合(図1(e))について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
図4(a)〜(e)は、本発明の第二の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。例えば、図4(a)〜(e)に示すように、第1の閾値領域8ではなく、第2の閾値領域9の一部又は全部に第1導電型の不純物1を再度導入して第4の閾値領域11を形成しても良い。この場合、第3の閾値領域10と第4の閾値領域11を同時に形成しても良いし、第3の閾値領域10を形成せずに、第4の閾値領域11のみを形成しても良い。なお、本明細書では、形成した第4の閾値領域11が示す閾値をVth4と表す。
また、この第二の実施形態では、第1の閾値領域8、第2の閾値領域9、第3の閾値領域10、第4の閾値領域11の4つの領域について例示したが、本発明は、この領域の数に制限されない。つまり、第1導電型の不純物1を導入する工程を複数回実施することで、より多くの閾値領域を形成することができる。
上記の実施形態では、例えば図1(b)に示したように、素子領域の半導体層5をマスクで覆わない状態で、第2導電型の不純物2を導入する場合について説明した。しかしながら、本発明では、例えばフォトレジスト又は絶縁膜からなるマスク16を用いて不純物2を導入しても良い。
図5(a)〜(f)は、本発明の第三の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。例えば、図5(a)及び(b)に示すように、半導体層5の一部分をマスク16で覆った状態で、P+を導入し、パンチスルーストッパー領域7と第1の閾値領域8とを半導体層5に形成しても良い。ここで、このマスク16をソース14及びドレイン15が形成される部分に施すと、図5(c)〜(f)に示すように、ソース14及びドレイン15領域の下部にはパンチスルーストッパー領域7が形成されない。これにより、ソース14及びドレイン15の高抵抗化を防ぐことができる。なお、図5(c)〜(f)に示した第1の閾値領域8、第2の閾値領域9、第3の閾値領域10、第4の閾値領域11の形成方法は、図1及び図4で示した形成方法に準ずる。
また、本発明は、上記p型の電界効果トランジスターの形成に限定されるものではなく、n型の電界効果トランジスターの形成においても同様な作用及び効果を発揮することができる。n型電界効果トランジスターを形成する際には、第1導電型の不純物1をn型とし、第2導電型の不純物2をp型とする。この場合、パンチスルーストッパー領域7及び第1の閾値領域8を形成する際には、例えば、B+を第2導電型の不純物2として、ボディイオン導入する。その際、B+の入射エネルギーを50keV程度、導入量を1.2×1013/cm2程度とするのが好適である。また、第2の閾値領域9を形成する場合には、例えば、P+を第1導電型の不純物1として、カウンターイオン導入する。その際、P+の入射エネルギーを20keV程度、導入量を4.6×1012/cm2程度とするのが好適である。
図6は、n型及びp型トランジスターにおける、パンチスルーストッパー領域の有無による短チャネル効果の違いを示す図である。図6の縦軸は測定したVth値を、横軸はチャネル長をそれぞれ示す。図中において、◆を実線で結んだものはパンチスルーストッパー領域を設けたn型トランジスターの場合の短チャネル効果を示し、◇を実線で結んだものはパンチスルーストッパー領域を設けなかったn型トランジスターの場合の短チャネル効果を示す。また、◆を破線で結んだものはパンチスルーストッパー領域を設けたp型トランジスターの場合の短チャネル効果を示し、◇を破線で結んだものはパンチスルーストッパー領域を設けなかったp型トランジスターの場合の短チャネル効果を示している。
これと同様な結果は、パンチスルーストッパー領域を有するp型トランジスターに対しても得られた。次に、得られた結果を図8に示す。
まず、同一ロット内における測定値とそのばらつき度合いに着目する。図8に示すように、測定値は、それぞれの設定値と概ね一致している。さらに、各測定値には、その値のばらつき度合いを示すエラーバーが付けられている。このエラーバーの値は、概ね±0.01Vである。
つまり、図7及び図8は、本発明に係る製造方法によりn型及びp型トランジスターを製造することで、所望のVth値を有し、且つ、短チャネル効果を抑制したトランジスターを繰り返し、精度を高く(即ち、高い製品歩留りで)製造することができることを示している。
Claims (7)
- 絶縁層上に設けられた半導体層に、第1導電型の不純物を含むソース及びドレインを有する半導体装置の製造方法であって、
第2導電型の不純物を、前記半導体層の深い部分に導入してパンチスルーストッパー領域を形成すると同時に、前記半導体層の浅い部分に導入して第1の閾値領域を形成する工程と、
前記第1導電型の不純物を、前記第2導電型の不純物が導入されている前記半導体層の浅い部分に導入して前記第1の閾値領域の少なくとも一部に第2の閾値領域を形成する工程、又は、前記第1導電型の不純物を、前記第2導電型の不純物が導入される予定の前記半導体層の浅い部分に、前記第2導電型の不純物の導入に先立って導入して前記第1の閾値領域の少なくとも一部に第2の閾値領域を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記第1導電型の不純物を、前記半導体層の浅い部分に導入して前記第1の閾値領域の少なくとも一部、または、前記第2の閾値領域の少なくとも一部に第3の閾値領域を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第2の閾値領域を形成する工程後に、前記半導体層に熱処理を施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第3の閾値領域を形成する工程後に、前記半導体層に熱処理を施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記パンチスルーストッパー領域及び前記第1の閾値領域を形成する工程は、前記ソース及びドレインが形成される領域上をマスクで覆った状態の前記半導体層に対して行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記パンチスルーストッパー領域及び前記第1の閾値領域を形成する工程は、素子分離領域が形成された後の前記半導体層に対して行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
- 絶縁層上に半導体層が形成された基板と、
前記半導体層上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極の両側下方の前記半導体層に設けられた第1導電型の不純物を含むソース及びドレインと、を有するトランジスターを含む半導体装置であって、
前記ゲート電極の下方であって、前記半導体層の深い部分に設けられた第2導電型の不純物を含むパンチスルーストッパー領域と、
前記ゲート電極の下方であって、前記半導体層の浅い部分に設けられた第1の閾値領域及び第2の閾値領域と、を有し、
前記パンチスルーストッパー領域の前記半導体層の表面に沿った方向の位置は、前記第1の閾値領域及び前記第2の閾値領域と重なっており、
前記第1の閾値領域は第2導電型の不純物のみを含み、
前記第2の閾値領域は第1導電型の不純物及び第2導電型の不純物を含むことを特徴とする半導体装置。
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