JP5434056B2 - 半導体基板の金属汚染評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体基板の金属汚染評価方法に関するものであり、詳しくは、半導体基板の特性に悪影響を与える半導体基板中の金属不純物濃度を正確かつ簡便に評価可能な半導体基板の金属汚染評価方法に関するものである、
半導体製造分野では、回路の高集積化、デバイスの微細化に伴い、デバイスの性能に悪影響を与える半導体基板中に存在する金属不純物量を低減することが重要な課題となっている。そこで、半導体基板中に含まれる金属不純物を高精度かつ簡便に評価可能な分析法の確立が望まれている。
半導体基板中の金属不純物を直接分析する評価方法としては、以下の方法が知られている。
半導体基板を大量の弗酸と硝酸との混合溶液で溶解し、その酸溶液希釈または濃縮して原子吸光光度計(AAS)等で定量分析を行う直接溶解法。
半導体基板を酸蒸気にて分解し、その分解残渣を酸で後処理し、AASや誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)等で定量評価を行う間接溶解法(特許文献1および2参照)。
特許第3832204号明細書 特許第3487334号明細書
しかし、上述した直接分解法では、約1gのシリコン半導体基板を完全に溶解するには、少なくとも約20gの弗酸と硝酸の混酸溶液が必要となる。このときの検出下限は、半導体基板中体積濃度に換算すると1×1012atoms/cc程度であり、高感度分析には不十分である。また、感度向上のために前記約20gの混酸溶液を濃縮すると、混酸中に含まれていた金属不純物も濃縮されてしまう。これにより、前記の混酸中のバックグランド濃度が上昇するため感度向上は非常に困難である。
一方、間接分解法においては、シリコン半導体を酸性蒸気にて分解するため薬品中からの持ち込みによる汚染は低減される。間接分解法では、酸蒸気にて分解されたシリコン半導体の残渣を弗化樹脂製ビーカー中でホットプレートにより加熱処理するため、検出下限は上記ビーカーの清浄度により決定され、通常、半導体基板中体積濃度に換算して1×1011atoms/cc程度と直接分解法に比べて高感度である。しかし、間接分解法では、シリコン半導体を酸性蒸気にて分解するためその分解速度は非常に遅く、シリコン基板を完全に分解するには通常、約12時間以上必要である。更に、シリコン残渣が試料中に多く存在しているので、酸溶液をそのまま高感度分析装置であるICP−MSに導入すると、シリコン分子の干渉により正確な分析が困難となる。また、このシリコン分子の干渉を抑えるためには、分析試料系外にシリコン残渣を除去するために長時間を要する前処理が必要となる。
上記のように従来の方法では、デバイスの高集積化等に伴い更なる品質向上が求められている半導体基板においては検出下限が十分でない、分析に長時間を要する、といった課題があった。
そこで本発明の目的は、半導体基板特性に悪影響を与える金属不純物を簡便かつ高精度に分析するための手段を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、半導体基板にリン拡散熱処理を施すことにより、半導体基板の表層部に高濃度リン含有領域が形成されるとともに、該熱処理によって基板中の金属不純物が高濃度リン含有領域に捕獲(ゲッタリング)されること、そして、この金属不純物を捕獲した高濃度リン含有領域中の金属成分を分析すれば、基板を全溶解することなく基板中の金属汚染を高感度分析できること、を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]半導体基板をリン含有雰囲気中で熱処理することにより、半導体基板の表裏面の少なくとも一方の表層部に他の領域よりも高濃度にリンを含有する高濃度リン含有領域を形成するとともに、該高濃度リン含有領域に上記半導体基板中の金属不純物を捕獲すること、
上記高濃度リン含有領域を、該リン含有領域を溶解可能な溶液と接触させることにより溶解すること、および、
上記高濃度リン含有領域を溶解した溶液中の金属成分を分析すること、
を含む、半導体基板中の金属汚染評価方法。
[2]前記熱処理を、2枚の半導体基板を重ね合わせることにより得られた積層体に対して行い、該積層体の表裏面に前記高濃度リン含有領域を形成する[1]に記載の方法。
[3]前記溶液は、弗化水素酸および硝酸を含む混酸である[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記高濃度リン含有領域のリン濃度は1×1018atoms/cc以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記溶液との接触により、表面から1μm以下の深さの高濃度リン含有領域を溶解する[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記熱処理を800〜900℃の熱処理温度で30〜90分間行い、かつ前記金属成分としてFeを分析する[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記金属成分として、FeとともにNiおよび/またはCuを分析する[6]に記載の方法。
[8]前記熱処理を750〜850℃の熱処理温度で15〜90分間行い、かつ前記金属成分としてNiおよび/またはCuを分析する[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[9]前記金属成分の分析を、原子吸光分光法または誘導結合プラズマ質量分析法により行う[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]前記半導体基板は、工程汚染の把握を行うための基板である[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、半導体基板特性に悪影響を与える半導体基板の金属汚染を高感度かつ簡便に評価することができる。評価対象の半導体基板を、工程汚染の把握を行う半導体基板とすることで、工程の金属汚染を把握することができ、これにより高品質な半導体基板を提供することが可能となる。
本発明の半導体基板の金属汚染評価方法は、以下の工程を含む。
(1)半導体基板にリン拡散熱処理を施し、該基板の表裏面の少なくとも一方の表層部にリン含有領域を形成すること、
(2)上記リン含有領域を、該リン含有領域を溶解可能な溶液と接触させることにより溶解すること、および、
(3)上記リン含有領域を溶解した溶液中の金属成分を分析すること。
以下、各工程の詳細を順次説明する。
工程(1)
工程(1)は、分析対象の半導体基板にリン拡散熱処理を施し、該基板の表裏面の少なくとも一方の表層部にリン含有領域を形成する工程である。形成されるリン含有領域はゲッタリング層として機能し、本工程における熱処理により基板中の金属不純物が外方拡散することによってゲッタリング層に捕獲されると考えられる。こうして本発明によれば、基板中の金属不純物を捕獲可能な領域(ゲッタリング層)の形成と、金属不純物のゲッタリング層への捕獲を一工程で行うことができる。
本発明において、「リン含有領域」とは、該領域以外の基板中と比べてリン濃度が高い領域をいい、「リン拡散熱処理」とは、リン(P)を基板中に気相拡散させるために行う、リン含有雰囲気中での熱処理をいう。リン含有雰囲気とは、例えばオキシ塩化リン(POCl3)、ホスフィン(PH3)、PBr3、P25等のリン拡散源ガスを含む雰囲気であり、リン拡散源ガス100%雰囲気でもよく、リン拡散源ガスに加えて、キャリアーガスまたは希釈ガスとして、例えば酸素ガス、窒素ガス等を含んでいてもよい。リン含有雰囲気中のリン拡散源ガス濃度は特に限定されるものではないが、例えば10〜1000ppm程度である。
リン拡散熱処理は、密閉された加熱炉内で実施してもよく、通気可能な加熱炉内で実施してもよい。密閉された加熱炉の場合、所定量のリン拡散源ガスを含む加熱炉内に処理対象の半導体基板を一定時間保持することにより、リン拡散熱処理を行うことができる。一方、通気可能な加熱炉の場合は、処理対象の半導体基板を配置した加熱炉内に、所定量のリン拡散源ガスを含んだ混合ガスを炉内に通気することにより、リン拡散熱処理を行うことができる。上記リン拡散熱処理は、大気圧下で行うこともでき、減圧下で行うこともできる。
上記リン拡散熱処理は、高濃度でリンを含有する領域を基板表層部に形成でき、かつ基板中の金属不純物を該領域に向かって外方拡散させるに足る熱処理温度および時間で行うことが好ましい。上記リン含有領域は、通常、リン含有雰囲気中で750℃以上の温度で基板を10分程度熱処理することにより形成することができる。そして、例えば750〜900℃の温度で10分以上熱処理を行うことにより、上記リン含有領域に基板中の金属不純物を捕獲することができる。本発明における分析対象金属としては、半導体基板の汚染金属として知られる各種金属を挙げることができるが、回収率の点からFe、NiおよびCuが好ましい。各金属の拡散速度を考慮すると、分析対象金属がFeの場合、800〜900℃の温度で30〜90分間、リン拡散熱処理を行うことが好ましい。FeとともにNiおよび/またはCuを分析する場合の好ましいリン拡散熱処理条件も同様である。また、分析対象金属がNiおよび/またはNiの場合、750〜850℃の温度で15〜90分間、リン拡散熱処理を行うことが好ましい。なお、上記熱処理温度は、リン拡散熱処理を行う雰囲気の温度をいい、例えば加熱炉内でリン拡散熱処理を行う場合は該加熱炉内の雰囲気温度をいう。また、リン拡散熱処理を行う前、前処理としてリン拡散源ガス未含有雰囲気中での熱処理(予熱)を行うこともできる。
リン拡散熱処理は、1枚の半導体基板に対して行うこともでき、2枚の半導体基板を重ね合わせることにより得られた積層体に対して行うこともできる。後者の方法は、半導体基板1枚あたりに含まれる金属不純物を、基板片面から選択的に回収できるため、簡便性の点から好ましい。以下、この点を図面を参照し説明する。
図1は、2枚の半導体基板の積層体に対して、リン拡散熱処理から金属成分の分析までの工程を実施する態様の説明図であり、図2は、1枚の半導体基板に対して、リン拡散熱処理から金属成分の分析までの工程を実施する態様の説明図である。
図2に示すように、1枚の半導体基板に対してリン拡散熱処理を施すと、リン含有領域が基板の表裏面に形成されるため、基板中の金属不純物は、基板両面に向かって片面約50%ずつ外方拡散する。したがって、基板片面での金属不純物の回収率は、基板中の金属不純物の50%程度となるため、基板中の金属不純物の定量分析のためには、基板両面において金属成分の回収・分析を行うことになる。
これに対し、図1に示すように2枚の半導体基板の積層体に対してリン拡散熱処理を施すと、リン含有領域は各基板の片面のみに形成されるため、各基板中の金属不純物を、基板片面のリン含有領域に選択的にゲッタリングすることができる。したがって、基板片面において金属不純物の回収・分析を行うことにより、基板中の金属不純物の定量分析を行うことが可能となる。なお、図1に示すように、重ね合わせた2枚の半導体基板を、それぞれ評価することも可能であるが、一方の半導体基板を被評価基板とし、他方は被評価基板の片面へのリン含有領域形成を防ぐためのダミー基板とすることも可能である。この場合、ダミー基板は、新たな分析において再利用してもよい。なお、重ね合わせる2枚の半導体基板は、貼り合わせ面が鏡面であれば、接着剤を使用せず押圧により貼り合わせることができる。
上記リン拡散熱処理により形成されるリン含有領域は、基板中の金属不純物のゲッタリング能の点から、好ましくはリン濃度が1×1018atoms/cc以上の領域をいい、より好ましくはリン濃度が1×1020atoms/cc以上の領域をいう。上記領域のリン含有量は、リンの固溶度を考慮すると、1×1022atoms/cc以下程度である。リン濃度が好ましくは1×1018atoms/cc以上、より好ましくは1×1020atoms/cc以上であれば、熱処理により、リン含有領域に基板中の金属不純物を高回収率で捕獲することができる。金属不純物を捕獲した領域が広いほど、工程(2)において金属不純物回収のために多量の領域を溶解しなければならない。工程(2)において適切な溶解量で金属成分を高回収率で回収する点からは、リン含有領域を形成する表層部は、基板表面から深さ1.5μm以内の領域であることが好ましく、基板表面から深さ1μm以内の領域であることがより好ましい。
上記リン拡散熱処理を施される半導体基板は、好ましくはシリコン基板であり、ホウ素等のドーパントがドープされたシリコン基板であってもよい。
工程(2)
上記工程(1)の後に必要に応じて放冷等により基板を冷却した後、工程(2)を行う。工程(2)は、リン含有領域に選択的に捕獲された基板中の金属不純物を溶液(以下、「回収溶液」ともいう)中に回収するために、リン含有領域を、該領域を溶解可能な溶液と接触させることにより溶解する工程である。リン含有領域を上記溶液と接触させ溶解することにより、該領域に捕獲されていた金属成分を溶液中に回収することができる。
上記回収溶液は、リン含有領域を溶解可能な溶液であればよく、好ましくは酸溶液である。酸溶液としては、弗化水素酸、硝酸、弗化水素酸と硝酸との混酸等を挙げることができ、弗化水素酸と硝酸との混酸が好ましい。上記酸溶液の酸濃度および混酸の混合比は、適宜設定することができる。
リン含有領域と上記回収溶液との接触は、該接触によりリン含有領域を均一な厚さで溶解し得る方法により行うことが好ましい。そのような方法としては、例えば、図1および2に示すように、使用する回収液に溶解しない樹脂製のプレート、例えば弗化樹脂(テフロン(登録商標)等)製のプレート上に回収溶液を滴下し、その上にリン含有領域表面を押し付けた状態で半導体基板を回転させる方法を挙げることができる。
リン拡散熱処理により形成したリン含有領域は、回収溶液により全量を溶解してもよいが、本発明においてリン含有領域を全量溶解することは必須ではない。適切な溶解量で金属成分を回収する点からは、表面から深さ1μm以内の領域を溶解することが好ましい。基板中の金属不純物を高濃度で捕獲している領域を溶解することにより、基板中の金属不純物を高回収率で回収することができる。リン拡散熱処理による基板中へのリンの拡散は、基板表面から深さ方向へ向かって進行するため、通常、リン拡散熱処理後の基板表層部ではリン濃度に勾配があり、基板表面に近いほどリン濃度が高い。したがって、通常、基板表面に近いほど金属不純物を高濃度で捕獲しているため表面から深さ1μm以内の領域を溶解することにより、基板中の金属不純物を回収溶液中に高回収率で回収することが可能である。
工程(3)
工程(3)は、リン含有領域を溶解した溶液中の金属成分を分析する工程である。上記接触によりリン含有領域を溶解した回収液中には、リン拡散熱処理によりリン含有領域に捕獲された、基板中の金属不純物が含まれる。したがって、上記接触後の回収溶液中の金属成分を分析することにより、基板中の金属不純物を定性および/または定量分析することができる。このように本発明によれば、基板全体を溶解することなく、基板中の金属汚染を分析することができるため、基板を全溶解する方法と比べ分析時間を大きく短縮することができる。また、基板を全溶解する直接溶解法と比べて使用する酸溶液は少量でよいため、酸溶液中の金属不純物の検出感度に対する影響を低減することができる。また、基板を全溶解する方法に比べ、回収溶液中のシリコン残渣が少ないため、分析精度に対するシリコン分子の干渉の影響を低減することができる。したがって、回収溶液をそのまま高感度分析装置であるICP−MSに導入することにより高感度分析を行うことが可能である。
前記回収溶液中に回収された金属成分は、溶液中の金属成分の定量分析および/または定性分析するために通常使用される各種分析方法によって分析することができる。そのような方法としては、原子吸光分光法(AAS法:Atomic Absorption Spectrometry)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS法:Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)等を挙げることができる。
AAS法、特に黒鉛炉加熱型AAS法(GF−AAS:Graphite Furnace AAS)は、装置が簡単で操作も容易であることから、広く用いられている。GF−AAS法では、試料溶液を黒鉛電気炉に導入し、その後、比較的低温で溶媒を気化してから、これを2000〜2800℃に加熱して金属元素を原子化する。次いで、原子化された金属を、外部光源から照射された各元素固有の光の吸収割合を測定することによって定量する。通常、光源としてはホローカソードランプが用いられる。測定元素ごとに光源を変更する必要はあるものの、このGF−AAS法は、試料溶液中濃度で〜数十ppt(pg/ml)の分析感度を得ることができる。また、吸収測定時に磁場をかけ、Zeeman効果の利用によりバックグランドを補正することにより、検出感度を更に向上することができる。
ICP−MS法では、試料溶液をネブライザによってガス化またはエアロゾル化し、これを誘導結合コイルで印加した高周波電力によるアルゴンプラズマ中へ導入する。試料は、大気圧プラズマ中で6000〜7000K程度に加熱され、各元素は原子化、さらには90%以上の効率でイオン化される。イオンは、スキマー(インターフェイス)を通過した後、イオンレンズ部によりエネルギー収束され、次いで<10-6Paの高真空状態に維持された質量分析計へ導かれ、質量分析される。これにより、溶液中の金属成分を定量することができる。前述のように、本発明によればシリコン残渣の影響を低減することができるため、ICP−MS法によって金属成分を高感度分析することができる。
金属不純物は、半導体基板製造工程中の酸化、拡散等の各種熱処理において基板内部へ容易に拡散し、析出物、転位、酸素有機積層欠陥(OSF:Oxidation−induced Stacking Fault)等の結晶欠陥、少数キャリアのライフタイム低下、リーク電流の増大、酸化膜の絶縁破壊電圧劣化等を引き起こすおそれがある。そのため、熱処理プロセス等の製造工程における金属汚染を低減するために、通常、製品を熱処理する前に、使用する加熱炉のプロセス汚染量を評価用基板を用いて試験的に評価し、この評価値に基づいて汚染を改善した後に、本格的な製品熱処理を行っている。また、日常の工程汚染の把握のため、例えば1ロットあたり1枚、1日あたり1枚、または1週間あたり1枚の評価用基板をサンプリングすることにより、工程汚染を評価することも行われている。本発明の評価方法は、上記のような工程汚染の把握を行うための基板の評価方法として用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に記載の「%」は、質量%を示す。
[実施例1]
図1に示す方法により、既知濃度汚染されたシリコンウェーハ中の金属汚染量を分析した。以下、具体的な手順を説明する。
(a)ウェーハの既知濃度汚染
はじめに、表裏面が鏡面加工された直径200mmのシリコンウェーハを同一ロットより6枚準備した。6枚のシリコンウェーハのうち4枚のシリコンウェーハ内部にFe、Ni、Cuの既知汚染を行った。既知汚染水準は1×1011atoms/cc、1×1013atoms/ccで、それぞれ2枚ずつFe、Ni、Cuにより同時に既知汚染を行った。準備した6枚シリコンウェーハのうち、2枚は汚染を行わず、リファレンス試料とした。
(b)リン拡散熱処理
各汚染水準から2枚のウェーハを取り出し、同一汚染水準のウェーハ2枚の表面(鏡面)同士をノッチ部分が合うように重ね合わせた。また、リファレンス試料2枚も汚染が無きように同様に表面(鏡面)同士を重ね合わせた。
次に、リン拡散層(リン含有領域)を形成させるために、2枚重ね合わせウェーハのリファレンス試料と各汚染水準の計3セットに対し、以下の手順で、リン拡散熱処理炉内で熱処理(リン拡散熱処理)を施した。
炉内温度および加熱時間
1.入炉:850℃(所要時間5分程度)
2.保持:850℃、3分
3.リン拡散:850℃、60分
4.出炉:850℃
炉内ガス流量
1、2、4:酸素0.36l/min、窒素6.12l/min
3:図4に示すガス供給装置にて酸素0.36l/min、酸素用キャリアガス(窒素)7.38l/min、POCl3用キャリアガス(窒素)1.26l/min、炉内のPOCl3ガス濃度10〜1000ppm
(c)リン拡散層の溶解
上記方法により形成したシリコンウェーハ表面のリン拡散層を、弗酸と硝酸の混酸溶液にて溶解させるために、弗化樹脂製プレート中央に38%弗酸700μlと68%硝酸1100μlの組成を持つ混酸溶液を滴下した。この滴下した混酸溶液を前記プレートと前記リン拡散層を形成させた被評価シリコンウェーハで挟み込み、1分間前記シリコンウェーハを回転させ、前記混酸溶液で前記リン拡散層を約1μmを面内均一に溶解させ、リン拡散層にゲッタリングされた被評価シリコンウェーハ中の金属不純物を前記混酸溶液に溶解させた。また、重ね合わせたもう一枚のリン拡散層も、同様の操作で溶解させた。
(d)金属成分の分析
前記シリコンウェーハ中の金属不純物が溶解した混酸溶液中の金属成分を、誘導結合プラズマ質量分析計にて定量評価した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
図2に示す方法により、既知濃度汚染されたシリコンウェーハ中の金属汚染量を分析した。以下、具体的な手順を説明する。
(a)ウェーハの既知濃度汚染
はじめに、表裏面が鏡面加工された直径200mmのシリコンウェーハを、実施例1と同一ロットより6枚準備した。6枚のシリコンウェーハのうち4枚のシリコンウェーハ内部にFe、Ni、Cuの既知汚染を行った。既知汚染水準は1×1011atoms/cc、1×1013atoms/ccで、それぞれ2枚ずつFe、Ni、Cuにより同時に既知汚染を行った。準備した6枚シリコンウェーハのうち、2枚は汚染を行わず、リファレンス試料とした。
(b)リン拡散熱処理
次に、リン拡散層(リン含有領域)を形成させるために、リファレンス試料2枚と各汚染水準の4枚の計6枚に対し、以下の手順で、リン拡散熱処理炉内で熱処理(リン拡散熱処理)を施した。
炉内温度および加熱時間
1.入炉:900℃(所要時間5分程度)
2.保持:900℃、3分
3.リン拡散:900℃、60分
4.出炉:900℃
炉内ガス流量
1、2、4:酸素0.36l/min、窒素6.12l/min
3:図4に示すガス供給装置にて酸素0.36l/min、酸素用キャリアガス(窒素)7.38l/min、POCl3バブリング用キャリアガス(窒素)1.26l/min、炉内のPOCl3ガス濃度10〜1000ppm
(c)リン拡散層の溶解
上記方法により形成したシリコンウェーハ表面のリン拡散層を、弗酸と硝酸の混酸溶液にて溶解させるために、弗化樹脂製プレート中央に38%弗酸700μlと68%硝酸1100μlの組成を持つ混酸溶液を滴下した。この滴下した混酸溶液を前記プレートと前記リン拡散層を形成させた被評価シリコンウェーハで挟み込み、1分間前記シリコンウェーハを回転させ、前記混酸溶液で前記リン拡散層を約1μmを面内均一に溶解させ、リン拡散層にゲッタリングされた被評価シリコンウェーハ中の金属不純物を前記混酸溶液に溶解させた。また、前記シリコンウェーハ裏面のリン拡散層も、同様の操作で溶解させた。
(d)金属成分の分析
前記シリコンウェーハ中の金属不純物が溶解した混酸溶液中の金属成分を、誘導結合プラズマ質量分析計にて定量評価した。その結果を表2に示す。
評価結果
表1および表2に示すように、リファレンス試料では検出下限以下で汚染がないことが示された。これに対し、実施例1および2によれば、既知汚染試料について、汚染量とほぼ同等量の金属成分を検出することができた。この結果から、本発明によれば、基板を全溶解することなく、間接溶解法と同等以上の検出感度で半導体基板中の金属汚染を評価することができることが示された。特に、実施例1により、基板片面から基板汚染金属を高回収率で選択的に回収することができた。
[SIMSによるリンの深さプロファイル測定]
実施例1および2と同一ロットから取り出した表裏面が鏡面加工された直径200mmのシリコンウェーハ3枚に対し、リン拡散における熱処理時間を90分、熱処理温度を800℃、850℃、または900℃に変更した点以外は実施例1および2と同様の方法でリン拡散熱処理を施した。リン拡散熱処理後のシリコンウェーハ中の深さ方向におけるリン濃度分布をSIMSにより測定した。結果を図3に示す。
図3に示すように、いずれの条件においてもウェーハ表面から深さ1μmまでの領域にリン濃度10×1018atoms/cc以上の高濃度リン含有領域を形成することができた。この結果から、リン拡散熱処理により、ウェーハ表層部に高濃度リン含有領域を形成可能であることが確認された。
[回収率の確認]
各金属の既知汚染量を1.0×1012atoms/ccに変更するとともに、リン拡散における熱処理温度および時間を表3〜表5に示すように変更した点以外、実施例1と同様の方法でウェーハ中の汚染金属量を定量し、既知汚染量からの回収率を求めた。結果を表3〜5に示す。
評価結果
表3および表4に示すように、CuおよびNiについては、750〜900℃での15〜90分のリン拡散熱処理により、回収率100%と効率よく汚染金属を回収できた。これは、CuおよびNiは、シリコン中での拡散速度が速いため、比較的低温領域でもリン拡散層まで短時間で拡散できるからである。この結果から、分析対象金属がCuおよびNiのみであれば、900℃より低温、例えば750〜850℃での15〜90分のリン拡散熱処理により、きわめて良好な回収率で基板中の汚染金属を定量分析することができることがわかる。
これに対し、表5に示すようにFeについては、800〜900℃で30〜90分のリン拡散熱処理により、80%以上の高回収率で汚染金属を回収することができた。基板中のCu、NiをFeと同時評価する場合には、リン拡散熱処理条件は、Fe評価に好適な上記条件(熱処理温度800〜900℃、熱処理時間30〜90分間)とすることが好ましい。
本発明は、半導体基板の製造分野に有用である。
2枚の半導体基板の積層体に対してリン拡散熱処理から金属成分の分析までの工程を実施する態様の説明図である。 1枚の半導体基板に対してリン拡散熱処理から金属成分の分析までの工程を実施する態様の説明図である。 シリコンウェーハ中(リン拡散熱処理後)のSIMSによるリンの深さプロファイル測定結果を示す。 実施例で使用したガス供給装置の概略図である。

Claims (10)

  1. 半導体基板をリン含有雰囲気中で熱処理することにより、半導体基板の表裏面の少なくとも一方の表層部に他の領域よりも高濃度にリンを含有する高濃度リン含有領域を形成するとともに、該高濃度リン含有領域に上記半導体基板中の金属不純物を捕獲すること、
    上記高濃度リン含有領域を、該リン含有領域を溶解可能な溶液と接触させることにより溶解すること、および、
    上記高濃度リン含有領域を溶解した溶液中の金属成分を分析すること、
    を含む、半導体基板中の金属汚染評価方法。
  2. 記熱処理を、2枚の半導体基板を重ね合わせることにより得られた積層体に対して行い、該積層体の表裏面に前記高濃度リン含有領域を形成する請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶液は、弗化水素酸および硝酸を含む混酸である請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記高濃度リン含有領域のリン濃度は1×1018atoms/cc以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記溶液との接触により、表面から1μm以下の深さの高濃度リン含有領域を溶解する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 記熱処理を800〜900℃の熱処理温度で30〜90分間行い、かつ前記金属成分としてFeを分析する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記金属成分として、FeとともにNiおよび/またはCuを分析する請求項6に記載の方法。
  8. 記熱処理を750〜850℃の熱処理温度で15〜90分間行い、かつ前記金属成分としてNiおよび/またはCuを分析する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記金属成分の分析を、原子吸光分光法または誘導結合プラズマ質量分析法により行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記半導体基板は、工程汚染の把握を行うための基板である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
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