JP5433136B2 - 保存安定な、農業用又は防疫用乳剤 - Google Patents

保存安定な、農業用又は防疫用乳剤 Download PDF

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Description

本発明は、寒冷地及び/又は冬季におけるような低温で、長時間保存した場合においても、保存安定な、農業用又は防疫用乳剤に関し、更に詳しくは、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムを含有し、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤及び主溶剤としてのキシレンを含有しない、保存不安定な、農業用又は防疫用乳剤に、少量のアルコール類を配合することを特徴とする、保存安定な、農業用又は防疫用乳剤に関し、本発明は、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム等が析出しないために、保存安定性を有する。
従来、水田や畑地、牧草地など農業用地で使用する薬剤、山林や公園、河川敷、鉄道線路、墓地、運動場などの非農耕地で使用する薬剤(以下、「農業用薬剤」という)や人畜・魚類等を害虫や病害から保護するための薬剤(以下、「防疫用薬剤」という)は、粉剤、乳剤、粒剤、水和剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、顆粒状水和剤、水溶性顆粒剤、微粒剤、錠剤、水溶液、水溶剤及びジャンボ剤のような剤型に製剤されてきた。
これらの剤型のうち乳剤は、有効成分を適切な界面活性剤と共に有機溶剤に溶解し、使用時に水で稀釈し、水中に乳化するようにしたもので、以前は大量に使用されていた。
一方、最近は、溶剤の吸入毒性又は大気汚染の問題或いは火災の危険性、更には、乳化剤として最も多く用いられてきたポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤(以下、「AP系界面活性剤」という)に環境ホルモンの疑いがかけられたこと等から徐々に減少しつつある。しかし、有効成分や適用場面によっては、乳剤でなければならない場合も多く、依然として重要な剤型の一つである。
とはいえ、毒性や環境問題に対する世間の評価は厳しく、溶解力や価格などの面から従来最も多く用いられてきた溶剤であるキシレンは使用が難しくなり、より毒性が低く高沸点の溶剤に変わりつつある。
又、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルやポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルで代表されるAP系界面活性剤は、表面張力低下能が強く、有効成分によっては生物効果が向上することがあり、薬害懸念が少なく、安価であり、乳化力に優れているなどの特徴があるため、殆どの乳剤の乳化剤に、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(以下、「DBC」という))と組み合わせて処方されてきた。
ところが、アルキルフェノールに環境ホルモン作用があることが確認されると、AP系界面活性剤が自然環境中で分解し、アルキルフェノールを生成する可能性があることが懸念されるようになった。このため、AP系界面活性剤を含有する乳剤は、市場で受け入れられなくなりつつある。これらの事情から、乳剤の処方は一変し、最近では、溶剤にはキシレンを使わない、また、乳化剤にはAP系界面活性剤を用いない方向へと大きく変化している。
これらの乳剤処方の変化に伴って、これまでの乳剤の検討では想像もしなかった新たな問題点が生じてきた。その一つが、寒冷地及び/又は冬季におけるような低温で、長時間保存した場合に、乳剤中に、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)が析出・沈降し、この析出物は温度が上昇しても短時間では容易に溶解しないことである。従来のキシレンを主溶剤とし、AP系界面活性剤を乳化剤として用いる乳剤処方では、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の析出・沈降が問題になったことはなかった。このため、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)は、通常の溶剤に良くとけるとされ、析出するということは全く考えられていなかった。
ちなみに、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)は、乳剤に自己乳化性を持たせるために、乳化剤中に10〜40%程度配合される。アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)を配合しないと、乳剤の自己乳化性が非常に悪く、乳化安定性も悪いため、殆どの乳剤中に他のノニオン性乳化剤と混合して使用されている。又、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の工業品は、アルキル鎖の異なる多成分よりなる混合物で、硬い蝋状物である。溶剤を除くのが難しいうえ、一旦、固体状にしてしまうと、溶剤に投入しても、溶解に非常に時間がかかるため、単独では製品化されていない。工業的には、製造過程で溶けている状態から他の溶剤に転溶したり、他の乳化剤と混合溶解する等の方法で混合物として利用されている。
ところが、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)は、一旦溶媒中に溶解すると、容易に析出・結晶化しない性質を有する。このため、正確な溶解度を測定するのは非常に難しく、文献を検索しても正確な溶解度を測定したデータをみつけることはできなかった。上記のような性質から、一般的な通念として溶剤によく解けると理解されてきたようである。
以上のように、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)は、偶々乳剤中から析出した例がないために、溶剤によく解けるとされてきたが、実際には、乳剤に用いられるような水に難溶性の高沸点溶剤には意外に溶解度が小さいようである。
従来、乳剤中で、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の析出が問題にならなかったのには、溶剤との関係ばかりではなく、AP系界面活性剤とアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の相性の良さも関係しているようで、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の乳剤中からの析出という問題は、キシレンやAP系界面活性剤が使えなくなったという乳剤を取り巻く新事情も関与している可能性もある。
本発明は、寒冷地及び/又は冬季におけるような低温で、長時間保存した場合においても、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム等が析出・沈降しないために、保存安定な、農業用又は防疫用乳剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を加えた結果、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムを含有し、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤及び主溶剤としてのキシレンを含有しない、保存不安定な、農業用又は防疫用乳剤に、少量のアルコール類を配合することにより、寒冷地及び/又は冬季におけるような低温で、長時間保存した場合においても、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム等が析出・沈降しない、保存安定な乳剤が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムを含有し、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤及び主溶剤としてのキシレンを含有しない、保存不安定な、農業用又は防疫用乳剤に、少量のアルコール類を配合することを特徴とする、保存安定な、農業用又は防疫用乳剤である。
本発明の保存安定な、農業用又は防疫用乳剤は、寒冷地及び/又は冬季におけるような低温で、長時間保存した場合においても、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム等が析出・沈降せず、優れた保存安定性を有する。
以下に、本発明を詳細に説明する。なお、以下に記載される「%」又は「部」は、全て質量基準の「%」又は「部」を意味する。
本発明において使用されるアルコール類は、分子中に水酸基を1個以上含有する有機の化合物であり、安定化された農業用又は防疫用乳剤処方中に溶解する常温で液体の化合物であることが必要である。
アルコール類は一価のアルコールであっても良く、又、多価のアルコールであっても良く、第1級、第2級又は第3級アルコールのいずれであっても良い。又、分子中に不飽和結合や分枝鎖を含むものであっても良い。
このようなアルコール類は、例えば、以下の脂肪族系のアルコール類、脂環族系のアルコール類、芳香族系のアルコール類又は多価アルコール類(水酸基の一部がエーテル結合やエステル結合で封鎖されたものを含む)であり得る。
脂肪族系のアルコール類は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、n−ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソアミルアルコール、n-へキシルアルコール、n-オクチルアルコール、2-エチルへキシルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、オレイルアルコール又はアセチレンアルコールであり得、脂環族系のアルコール類は、例えば、シクロへキシルアルコールであり得、また、芳香族系のアルコール類は、例えば、ベンジルアルコールであり得る。
多価アルコール類は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン又はこれらのポリマーであり得る。また、これらグリコール類やグリセリンの水酸基の一部がエーテル結合やエステル結合で封鎖されたものでもよく、例えば、エチレングリコールやジエチレングリコールの一方の水酸基が、メチル、エチル、プロピル及びブチルのようなアルキル基またはフェニルのようなアリール基で封鎖されたセロソルブ類やカルビトール類;又はプロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオールやジプロピレングリコールの一方の水酸基が上記アルキル基やアリール基で封鎖された化合物群(例えば、3−メトキシー3−メチルー1−ブタノール:商品名 ソルフィット、クラレ(株)製)であり得る。
本発明の保存安定な乳剤には、これらアルコール類の中から、1種または2種以上を適宜選択して用いればよいが、毒性の高いものや火災の危険性があるもの、乳剤処方中に溶け難いもの及び高価なものは使いにくい。
又、大きな分子中に水酸基が1個しかないようなアルコール類は、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の析出を防止する効果が弱くなる。従って、本発明において使用されるアルコール類は、好適には、分子中の炭素数1〜5個につき、水酸基を1個以上有するようなアルコール類であるが、このことは、必ずしもアルコール類が炭素数5個以下の低分子量のアルコール類であるということを意味するものではなく、例えば、炭素数が6〜10個の場合には、水酸基が2個以上(好適には、10個以下)、炭素数が11個〜15個の場合には、水酸基が3個以上(好適には、15個以下)のものが、好適であることを意味する。
分子中の炭素数1〜5個につき、水酸基を1個以上有するようなアルコール類の中、好適なものは、プロピルアルコール(以下、特定の表示のないものは異性体を含む)、ブチルアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール及びヘキシレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のアルコール類であり、より好適なものは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジオール及びへキシレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のアルコール類であり、最も好適なものは、プロピレングリコール及びブチルアルコールからなる群から選ばれる1種又は2種のアルコール類である。これらは、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の析出防止効果等に優れている。
使用されるアルコール類の、保存安定な乳剤中への配合量は、乳剤中の有効成分、溶剤、乳化剤などの種類及び配合量或いは乳剤中のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の含有量によって異なるが、ごく少量で十分な効果を発揮することができ、一般的には、0.01〜10.0%であり、好適には、0.01〜5.0%であり、より好適には、0.1〜5.0%である。また、組み合わせによっては、0.01〜1.0%といったごく少量で、安定化の目的を達することができる。
使用されるアルコール類の添加方法は、予め、乳化剤又は原体或いは他の溶剤と共に混合してプレミックスとし、これを、保存安定な乳剤の製造時に成分の一部として添加して、均一に混合溶解しても良く、保存安定な乳剤を製造する際に他の成分と共に単独で添加した後、混合溶解しても良い。
使用されるアルコール類が配合され、所期の目的である、保存安定性を発揮する乳剤は、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)を含有し、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(AP)系界面活性剤を含有しない、農業用又は防疫用乳剤である。
ここで、AP系界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルで代表されるアルキルフェノール(時としては、ジアルキルフェノールの場合もある)にエチレンオキサイド、場合によっては、プロピレンオキサイドをも混合付加させたノニオン界面活性剤であり得、これらをホルマリンで重縮合させた2量体、これらの末端水酸基を硫酸または燐酸でエステル化したもの、又は、これらのエステルをアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア又はアミン類で中和したアニオン界面活性剤をも含む。
又、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)は、乳剤を水で稀釈する際、自己乳化性を付与するために添加されるアニオン性界面活性剤であり、アルキルはドデシル基であるものが一般的で、農業用や防疫用乳剤には最もよく用いられる。このアルキル基は、直鎖のもの(いわゆる、ソフトタイプ)と分枝のあるもの(いわゆる、ハードタイプ)とがあり、ソフトタイプの方が生分解性がよいため一般的な用途には多く用いられるようになったが、乳剤の自己乳化性を良くするという性能の点では若干劣るため、この目的ではいまだにハードタイプが用いられることが多い。本願においては、これらをすべて含む。
通常、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)は、乳剤の自己乳化性を改良するために、乳化剤中に10〜40%配合される。乳剤中の乳化剤の配合量は、マシン油製剤のように、2〜3%しか用いない場合もあるが、通常は、5〜30%配合するから、乳剤中のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)含量は、0.5〜10%強になり、特に好適には、1.5〜6%である。
AP系乳化剤及びキシレンを含有しない処方においては、一般的に、乳剤中のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)含量が1%以下の場合には、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の析出の危険性は少ないが、それ以上になると、低温での長期間の保存により、濁りが生じる場合がある。又、乳剤中のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)含量が1.5%以上になると、処方によっては、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の析出・沈降の危険性が生じ、乳剤中のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)含量が2%以上では、条件によって、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)が析出・沈降する場合が生じる。更に、乳剤中のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)含量が2.5%以上では、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の沈降危険性はかなり高くなり、乳剤中のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)含量が3%以上では、かなりの確率で、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)が析出することを覚悟する必要がある。
一方、先述したように、乳剤中でのアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)の析出・沈降は、極めて時間がかかり、同一条件でも析出したりしなかったりするので、通常の冷却試験では予見するのが極めて難しいが、本発明の乳剤は、高用量のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)を含有する場合でも、極めて顕著な析出防止効果を発揮することができるので、安心して製剤化することができる。
本発明の乳剤は、農業用(農薬)の有効成分又は防疫用の有効成分を含有する。
乳剤が農業用である場合、その有効成分は、農業用地、牧草地、山地及び非農耕地のような広義の農業用場面で用いられる薬剤であり、殺虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤及び倒伏防止剤のような狭義の農業用有効成分の他、野性動物の忌避剤、肥料及び/又は植物栄養剤をも含む。又、乳剤が防疫用である場合、その有効成分は、人、家畜、プール、ため池、ペット及び養殖漁業のような適用場面において、防疫目的で用いられる消毒剤、殺菌剤、殺虫剤又は駆虫剤であり得る。
好適な農業用(農薬)又は防疫用の有効成分は、殺虫剤では、例えば、クロマノフェノジド及びクロルフズアズロンのようなIGR剤;ペルメトリン、シペルメトリン、シクロプロトリン、シラフルオフェン、トラロメトリン、エトフェンプロックス及びフェンバレレートのような合成ピレスロイド剤;イソキサチオン、マラソン、ジメトエート、チオメトン、エストックス、ダイアジノン、プロチオホス、メチダチオン、クロールピリホス、ピリダフェンチオン、CVP、PAP、CYAP 、ECP、MPP、DEP、DDVP及びMEPのような有機リン剤;エチオフェンカルブ、PHC及びBPMCのような有機カーバメート剤;又はミルベメクチンのようなマクロライド系化合物であり、殺菌剤では、例えば、メタラキシルのようなフェニルアマイド系化合物;エクロメゾールのようなチアジアゾール系化合物;トルクロホスメチル及びEDDPのような有機リン剤;トリホリン、プロクロラズ及びトリフルミゾールのようなDMI剤;イソプロチオラン;又はポリオキシンであり、除草剤では、例えば、プレチラクロール、ブタクロール、メトラクロール、アラクロール及びペトキサミドのような酸アミド系化合物;デスメデイファム及びフェンメデイファムのようなビスカーバメート系化合物;DCPA及びIPCのような有機カーバメート剤;トリフルラリン及びペンディメタリンのようなジニトロアニリン系化合物;セトキシジム及びクレトジムのようなシクロヘキサンジオンオキシム系化合物;プロメトリンのようなトリアジン系化合物;フェノキサプロップエチルのようなアリロキシフェノキシプロピオネート系化合物;イオキシニルのようなヒドロキシベンゾニトリル系化合物;又はチオベンカルブ及びピリブチカルブのようなチオカーバメート系化合物である。
これらの農業用又は防疫用の有効成分の含量は、有効成分の種類及びその使い方によって多きく変化するので一概には言えないが、乳剤は大量の水で稀釈して使用するか、或いは大量の水の中に投入して、その水で稀釈されて効力を発揮するものであるから、通常は、濃厚液になっている。よって、乳剤中の有効成分の含量は、可能な限り高いほうが良いが、あまり高すぎると、使いにくい、十分な生物効果が得られない、といった欠陥が生ずる。従って、有効成分の種類及び乳剤の用途によって、自ずから制限はあるが、農業用又は防疫用の有効成分の含量は、通常、0.1〜98%であり、マシン油乳剤や極めて高活性な有効成分を除けば、好適には、1〜70%である。
本発明の乳剤は、必須成分として乳化剤を含有する(ただし、乳化剤として、従来多く用いられてきたAP系界面活性剤を含まない)。
乳化剤は、多くの場合、適切な溶剤を用いて溶液状とした有効成分を水中で安定な乳化状態に保たせるために配合する。乳化剤は、通常、乳化力を有するノニオン界面活性剤と上記のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)を混合したもので、必要に応じて溶剤で稀釈する。
ノニオン界面活性剤は、例えば、ポリオキシアルキレンジ−及び/又はトリ−スチレン化フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンひまし油エーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのコポリマー、ポリオキシアルキレンソルビタンのアルキルエステル、ソルビタンのアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビットのアルキルエステル、ソルビットのアルキルエステル、グリセリン又はペンタエリスリットの脂肪族エステル、脂肪酸アルカノールアミド、並びに高級脂肪族アミン又は脂肪族アミドのエチレンオキシド付加物からなる群から選ばれる1種又は2種以上のノニオン界面活性剤であり得、好適には、ポリオキシアルキレンジ−及び/又はトリ−スチレン化フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンひまし油エーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタンのアルキルエステル、ソルビタンのアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビットのアルキルエステル、並びにソルビットのアルキルエステルからなる群から選ばれる1種又は2種以上のノニオン界面活性剤であり、より好適には(乳化力の点等からも)、ポリオキシアルキレンジ−及び/又はトリ−スチレン化フェニルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上のノニオン界面活性剤である。
又、ノニオン界面活性剤に、これらノニオン界面活性剤の末端水酸基を燐酸または硫酸エステル化したもの又はこれらをアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアミン類で中和したアニオン界面活性剤を配合することもできる。
ここで、ポリオキシアルキレンは、一部プロピレンを含むこともあるポリオキシエチレンを意味する。
通常、これらの乳化剤は、乳剤に自己乳化性を持たせるために配合するアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)と共に、被乳化物の所要HLBに合わせて、1種または2種以上を混合して使用する。
乳剤中に配合する乳化剤の含量は、通常、5〜30%であり、環境問題や価格の面から、好適には、5〜20%である。
本発明の保存安定な乳剤は、多くの場合、有効成分及び乳化剤並びにその他の成分を均一に溶解し、取り扱いやすい物理性質を維持するために、水以外の溶剤を含有する。
使用される溶剤は、水に可溶性のものでも難溶性のものでもよいが、水溶性のものだけでは、水に稀釈した場合に、安定な乳化液を維持することができず、有効成分が晶出したり、乳化粒子の合一が生じたりするので、好適には、少なくとも1種類は水に難溶性の溶剤を使用する。また、沸点が低かったり、引火点が低いと生産や輸送・保管の過程で蒸発したり、火災の発生や作業者に吸入毒性の問題が生じたりすることから、好適には、第2石油類以上の引火点を有するものを使用する。
このような観点から、従来はキシレンが好んで使用されてきた。しかし、キシレンは最近その吸入毒性が懸念されるようになり、乳剤の溶剤として使用することが難しくなってきた。
使用される溶剤は、主溶剤としてのキシレンを除くものであり、第2石油類以上の引火点を有するものであり、かつ寒冷地及び/又は冬季におけるような低温で、長時間保存した場合において、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(特に、DBC)が析出・沈降する、保存不安定な、農業用又は防疫用乳剤を調製するために使用されるものであれば特に限定されないが(通常、主溶剤としてのキシレンを除く、第2石油類以上の引火点を有するものが含まれるが)、例えば、ソルベッソ100、ソルベッソ150若しくはソルベッソ200(いずれも商品名、エクソン化学(株)製)で代表されるような、キシレンより多い炭素数(好適には、炭素数9個〜12個)を有するアルキルベンゼン類及びメチルナフタレン(主成分とする)のような芳香族炭化水素類;流動パラフィン、リグロイン、ケロシン、灯油、n-デカン、イソドデカン、テトラリン及びデカリンのような脂肪族又は脂環式炭化水素類;テレピン油、パイン油及び樟脳油のようなテルペン類;アジピン酸、グルコン酸、マレイン酸、乳酸、安息香酸、フタール酸、リンゴ酸、フマール酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、フタール酸、ラウリン酸、オレイン酸及びやし油脂肪酸のようなカルボン酸のアルキル(好適には、炭素数1個〜18個)エステル類;シクロヘキサノン、シクロへキセニルシクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン及びメチルブチルケトンのようなケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールのようなグリコール類の両末端水酸基を、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、デシル及びドデシルのような炭素数1個〜12個のアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基)又はアシル基(例えば、アセチル基)で封鎖したグリコールのエーテル又はエステル類;エピクロールヒドリン、ジグリシジールエーテル及びジオキサンのようなエーテル類;リン酸トリエチル又はリン酸トリブチルのようなリン酸アルキル(好適には、炭素数1個〜12個)エステル類;大豆油、なたね油、ゴマ油、コメ油、やし油、サンフラワー油、いわし油及び鯨油のような動植物油;並びにジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンのような非プロトン性極性溶媒からなる群から選ばれる1種又は2種以上の溶媒であり得、好適には、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、カルボン酸のアルキルエステル類、ケトン類、グリコール類の両末端水酸基を封鎖したグリコールのエーテル又はエステル類及び非プロトン性極性溶媒からなる群から選ばれる1種又は2種以上の溶媒であり、より好適には、カルボン酸のアルキル(炭素数1個〜4個)エステル;シクロヘキサノン;シクロへキセニルシクロヘキサノン;アセチルアセトン;メチルブチルケトン;エチレングリコール、ジエチレングリコール又はプロピレングリコールのジアルキル(炭素数3個〜8個)エーテル;及び非プロトン性極性溶媒からなる群から選ばれる1種又は2種以上の溶媒であり、最も好適には、カルボン酸のアルキル(炭素数1個〜3個)エステル;シクロヘキサノン;シクロへキセニルシクロヘキサノン;エチレングリコール、ジエチレングリコール又はプロピレングリコールのジアルキル(炭素数4個〜8個)エーテル及び非プロトン性極性溶媒からなる群から選ばれる1種又は2種以上の溶媒である。
なお、ここでいう主溶剤としてのキシレンは、乳剤を調製するために故意に配合する場合のキシレンであり、例えば、混合乳化剤の溶剤や有効成分のプレミックスとして予め少量添加されているキシレン、或いは、他の溶剤中に少量混入するキシレンを指すものではない。具体的には、最終の、保存安定な乳剤処方中のキシレンの含有量は、10%以下であり、好適には、7%以下である。また、上記溶剤の好適なもの等には、主溶剤としてではないキシレン(又は芳香族炭化水素類)を含有してもよい。
又、芳香族炭化水素類は、昨近の毒性の問題から、可能な限り排除する方が望ましい。
乳剤に用いる溶剤の種類や含量は、主として有効成分の種類及び含量によってまちまちであるが、経済性を考えると、多くの場合、できるだけ有効成分の含量を高くしたいから、少量の溶剤で多量の有効成分を溶かすものが有利である。必然的に、乳剤中の溶剤の含有量は低いのが望ましい。とはいえ、有効成分の種類や乳剤の用途によっては、有効成分含量を高められない場合もある。逆に、有効成分が液状で乳化させやすい場合などでは、溶剤は有効成分の含量補正用に少量添加すればよい。従って、乳剤中の溶剤の含量は、製剤ごとに大差があるが、通常は、5〜90%であり、好適には、20〜80%である。溶剤は1種であっても良く、2種以上を混合使用しても良い。
本発明の保存安定な乳剤は、pH調整剤、酸化防止剤、キレート剤、色素及び/又は安定剤のようなその他の成分を配合することができる。
これらその他成分の乳剤中の含量は、その他成分の種類及び添加の目的によって大きく変動するが、一般的にはごく少量であり、通常、0.001〜5%である。
上記成分を用いて乳剤を調製する方法は、各成分を個別にタンクの中に秤りこみ、全量を混合溶解して、均一な溶液としても良く、一部の成分を予め混合溶解し、いわゆるプレミックスとしたうえで、他の成分と均一に混合溶解しても良い。
使用するタンクは、金属製でも木製でも樹脂製でもよく、その材質は問わないが、攪拌機を有していることが必要であり、適切な加温装置を有していることが望ましい。攪拌機は、通常、プロペラ式のようなもので十分である。加温装置は、タンクの周囲を蒸気又は温水で加温するジャケットタイプでも良く、ヒーターをタンクの中に投入するいわゆる投げ込みヒーターのタイプでも良い。
かくして調製された乳剤は、適切な容器に小分けされて製品化される。容器の材質は、プラスチック、ガラス、金属又は樹脂加工された紙箱のような、乳剤が漏れたり蒸発したりしないものであれば、特に限定はないが、価格や使用後の容器の処理などを考えると、焼却できるものが望ましく、この意味では、好適には、プラスチックボトルである。
本発明の保存安定な乳剤を使用する際には、水で数倍〜数十万倍に稀釈して、噴霧、散布、潅注又は塗布のような方法で目的とする使用対象に処理する。また、場合によっては、乳剤を原液のまま、水田、プール、養魚池、溜池又は水溜りに直接潅注処理することもできる。
以下、実施例及び試験例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜21
アルコール類を含有する、フェンメデイファム13.0%乳剤
下記の処方の混合液を、室温で2時間攪拌して、均一にして、アルコール類を含有し、フェンメデイファム13.0%を含有する乳剤を調製した。この乳剤はDBCを6.0%含有する。
処方
フェンメデイファム原体 13.5%
シクロヘキセニルシクロヘキサノン 30.0
ジメチルスルホキサイド 5.0
シクロヘキサノン 26.5
乳化剤 20.0
アルコール類(A) 5.0
合計 100.0
乳化剤は、次の組成を有する。
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(DBC) 30.0%
ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル 45.0
ポリオキシエチレンひまし油エーテル 10.0
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル 15.0
合計 100.0
又、使用したアルコール類(A)を、表1に示す。
Figure 0005433136
実施例22〜29
プロピレングリコール(PG)を含有する、フェンメデイファム13.0%乳剤
下記処方の混合液を用いて、実施例1〜21と同様にして、プロピレングリコール(PG)を含有し、フェンメデイファム13.0%を含有する乳剤を調製した。この乳剤はDBCを6.0%含有する。
処方
フェンメデイファム原体 13.5%
シクロヘキセニルシクロヘキサノン 30.0
ジメチルスルホキサイド 5.0
シクロヘキサノン (31.5−α)
乳化剤 20.0
プロピレングリコール α
合計 100.0
乳化剤は、実施例1〜21において、用いたものと同一である。
又、使用したプロピレングリコールの量を表2に示す。

Figure 0005433136
実施例30
n−ブタノールを含有し、フェンメデイファム10.0%、デスメデイファム2.3%及びメトラクロール12.0%を含有する乳剤
以下に示す処方の混合液を用いて、n−ブタノールを含有し、フェンメデイファム10.0%、デスメデイファム2.3%及びメトラクロール12.0%を含有する乳剤を調製した。この乳剤は2.63%のDBCを含有する。
処方
フェンメデイファム原体 10.4%
デスメデイファム原体 2.4
メトラクロール原体 12.5
シクロヘキセニルシクロヘキサノン 20.0
ジメチルスルホキサイド 5.0
シクロヘキサノン 27.0
ソルベッソ150 6.7
乳化剤 13.0
n−ブタノール 3.0
合計 100.0
乳化剤は、次の組成を有する。
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(DBC) 20.2%
ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル 28.9
ポリオキシエチレンオレイン酸エステル 42.3
キシレン 8.6
合計 100.0
実施例31
プロピレングリコールを含有し、プロメトリン15.0%及びIPC25.0%を含有する乳剤
以下に示す処方の混合液を用いて、実施例1〜21と同様にして、プロピレングリコールを含有し、プロメトリン15.0%及びIPC25.0%を含有する乳剤を調製した。この乳剤は4.8%のDBCを含有する。
処方
プロメトリン原体 15.5%
IPC原体 25.5
シクロヘキセニルシクロヘキサノン 10.0
N−メチルピロリドン 6.0
シクロヘキサノン 25.0
乳化剤 15.0
プロピレングリコール 3.0
合計 100.0
乳化剤は、次の組成を有する。
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(DBC) 32.0%
ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル 48.0
キシレン 20.0
合計 100.0
比較例1〜9
アルコール類を含有しない、フェンメデイファム13.0%乳剤
実施例1〜21の処方において、アルコール類(A)の代わりに、表3に示す溶剤を用いて、実施例1〜21と同様にして、フェンメデイファム13.0%を含有する乳剤を調製した。
Figure 0005433136
比較例10
n−ブタノールを含有せず、フェンメデイファム10.0%及びデスメデイファム2.3%、メトラクロール12.0%を含有する乳剤
実施例30の処方において、n−ブタノールの代わりに、シクロヘキサノンを用いて、実施例30と同様にして、フェンメデイファム10.0%、デスメデイファム2.3%、メトラクロール12.0%を含有する乳剤を調製した。この乳剤は2.63%のDBCを含有する。
比較例11
プロピレングリコールを含有せず、プロメトリン15.0%及びIPC25.0%を含有する乳剤
実施例31の処方において、プロピレングリコールの代わりに、シクロヘキサノンを用いて、実施例31と同様にして、プロメトリン15.0%及びIPC25.0%を含有する乳剤を調製した。この乳剤は4.8%のDBCを含有する。
参考例1
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(AP系乳化剤)及び主溶剤としてのキシレンを含有する、フェンメデイファム13.0%乳剤
下記の処方を用いて、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(AP系乳化剤)及び主溶剤としてのキシレンを含有し、フェンメデイファム13.0%を含有する乳剤を調製した。この乳剤はDBCを6.4%含有する。
処方
フェンメデイファム原体 13.5%
キシレン 36.5
ジメチルスルホキサイド 5.0
シクロヘキサノン 25.0
乳化剤 20.0
合計 100.0
乳化剤は次の組成を有する。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 48.0%
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(DBC) 32.0
キシレン 20.0
合計 100.0
試験例1
実施例1〜21の乳剤についての冷却試験
試験乳剤約15mlを容量20mlの試験管に入れ、各温度に設定した恒温器中に、150日間保存した。適当な日数を空けて試験管を取り出し、液中、管壁及び底部を注意深く観察し、液の外観及び析出物の有無を調べた。評価は以下のとおりとした。
−:液の濁りや固形物の析出は認められない。
±:析出があるかどうか判らない程度のごく薄い濁りがある。
+:よく見ると、ごく微量の固形物の析出が認められる。20℃の室温下で短時間に均一な溶液になる。実使用上問題にはならない。
++:少量ではあるが、はっきりと固形物の析出が認められる。20℃の室温下で、均一な溶液になるのに数時間かかる。実用上問題が有る。
+++:一見して大量の固形物が析出している。20℃の室温下で均一な溶液になるのに1昼夜以上かかる。使用に耐えない。
実施例1〜21、比較例1〜9及び参考例1の乳剤を上記試験に供試した。恒温器の温度は、−5℃(保持)、−10℃(保持)、−15℃(保持)、−20℃(保持)及び0℃(2時間保持)〜−20℃(22時間かけて冷却し、2時間保持)〜0℃(22時間かけて加温し、2時間保持)(以下繰り返し)の往復変温条件に設定した。初めて沈殿の析出を認めた日(試験開始からの日数)及び析出物の量を表4に示す。
なお、析出物の量に変化が見られた場合の析出物の量は、初めて析出を認めた日の析出量 → (から)150日目に見られた析出物の量で示した。
Figure 0005433136
表4の結果から分かるように、本発明のアルコール類を添加した乳剤は、沈殿の発生が全く認められないか、発生までの期間が大幅に遅くなり、生成する沈殿の量も少なかった。
一方、アルコール類を添加していない比較例の乳剤では、数日後から異常を認めるものが出始め、いずれの乳剤でも150日後には大量の沈殿の生成が認められた。
又、乳化剤にポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを用い、キシレンを主溶剤として用いた参考例1の乳剤は、どの温度条件においても異常は認められなかった。
生成した沈殿は、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、IRスペクトラム及び質量分析を用いて、ドデシルベンゼンスルホン酸残基を有することを確認し、原子吸光にかけ、カルシウム塩であることを確認した。
試験例2
実施例22〜29の乳剤についての冷却試験
実施例22〜29及び比較例4乳剤を試験例1と同一条件で冷却試験に供試した。評価方法は試験例1と同じである。その結果を表5に示す。
Figure 0005433136
表5の結果から分かるように、プロピレングリコールを配合した実施例22〜29の乳剤は、ごく少量のプロピレングリコールの配合(例えば、配合量:0.01%、0.05%等)で沈殿の生成が大幅に遅延され、150日後の沈殿生成量も問題にならない程度であった。特に、プロピレングリコールを0.10%以上配合した乳剤においては、150日後でもまったく沈殿の生成は見られず、プロピレングリコールを配合しない比較例4に比して明らかな改良が見られた。
試験例3
実施例30及び31の乳剤を用いる冷却試験
実施例30及び31並びに比較例10及び11の乳剤を試験例1と同一条件で冷却試験に供試した。評価方法は試験例1と同じである。結果を表6に示す。
Figure 0005433136
アルコール類(n−ブタノール又はプロピレングリコール)を含有する実施例30及び31の乳剤は、各条件で150日後まで異常を認めなかったが、アルコールを含有しない比較例10及び11の乳剤は、数日後から沈殿の生成が見られ始め、150日後には大量の沈殿が生じた。
本発明の乳剤は、寒冷地及び/又は冬季におけるような低温で、長時間保存した場合においても、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム等が析出・沈降しない、優れた保存安定性を有する製剤であり、農業用又は防疫用として、有用な製剤である。

Claims (9)

  1. アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムを含有し、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤を含有せず、かつキシレンの含有量が10%以下である、保存不安定な、農業用又は防疫用乳剤に、分子中の炭素数1〜5個につき、2個以上の水酸基を有する多価アルコール類を0.01〜5.0%の量で配合することを特徴とする、保存安定な、農業用又は防疫用乳剤。
  2. 多価アルコール類が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール及びへキシレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上の多価アルコール類である請求項1記載の保存安定な、農業用又は防疫用乳剤。
  3. 多価アルコール類がプロピレングリコールである請求項1記載の保存安定な、農業用又は防疫用乳剤。
  4. 多価アルコール類の配合量が、0.1〜5.0%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の保存安定な、農業用又は防疫用乳剤。
  5. アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムの含量が、0.5〜10%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の保存安定な、農業用又は防疫用乳剤。
  6. アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムの含量が1.5〜6%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の保存安定な、農業用又は防疫用乳剤。
  7. 保存不安定な、農業用又は防疫用乳剤における溶剤が、芳香族炭化水素類を含有しない請求項1〜6のいずれか1項に記載の保存安定な、農業用又は防疫用乳剤。
  8. 保存不安定な、農業用又は防疫用乳剤における溶剤が、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、カルボン酸のアルキルエステル類、ケトン類、グリコール類の両末端水酸基を封鎖したグリコールのエーテル又はエステル類及び非プロトン性極性溶媒からなる群から選ばれる1種又は2種以上の溶媒である請求項1〜6のいずれか1項に記載の保存安定な、農業用又は防疫用乳剤。
  9. 保存不安定な、農業用又は防疫用乳剤における乳化剤が、ポリオキシアルキレンジ−及び/又はトリ−スチレン化フェニルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上のノニオン界面活性剤を含有する乳化剤である請求項1〜8のいずれか1項に記載の保存安定な、農業用又は防疫用乳剤。
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