JP5430817B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
汎用極性樹脂であるポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂やナイロン6などのポリアミド樹脂は耐衝撃性向上のため、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴムを添加する方法、特許文献2(ヨーロッパ特許第73,036号公報)などがあるが、改善効果が不十分である。
Rubber Chem. Technol., 53, 141, 781(1980) Eur. Polym. J., 14, 173, 187(1968)
[1](イ)アルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の群から選ばれた少なくとも1種の基を有する変性共役ジエン系重合体(以下「(イ)変性共役ジエン系重合体」ともいう)0.5〜50重量%と(ロ)極性樹脂50〜99.5重量%(ただし、(イ)+(ロ)=100重量%)を主成分とする熱可塑性樹脂組成物。
[2]上記(イ)変性共役ジエン系重合体が、次に示す方法(a)〜(d)で製造された重合体のいずれかである上記[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(a)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体にアルコキシシラン化合物を反応させることにより製造された重合体。
(b)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、アミノ基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造された重合体。
(c)共役ジエンとアミノ基を有する不飽和単量体またはこれらと芳香族ビニル化合物とを有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造された重合体。
(d)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に下記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより製造された重合体。
R1R2C=N−Y・・・・(1)
[上記一般式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。また、Yは水素原子、炭素数3〜18のトリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。]
(e)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体にケトン化合物および/またはエステル化合物および/またはアルデヒド化合物を反応させた後、酸無水物および/または酸ハライドと反応させることにより製造された重合体。
[3]上記(イ)変性共役ジエン系重合体中のアルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の群から選ばれた少なくとも1種の基の合計含有量が0.0001〜5mmol/gである上記[1]〜[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]上記(ロ)変性共役ジエン系重合体が、下記(A)、(B)、および(C)の重合体ブロックの中から選ばれた1以上の重合体ブロックを含むブロック共重合体である上記[1]〜[3]いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(A)芳香族ビニル化合物が80重量%以上である芳香族ビニル化合物重合体ブロック
(B)共役ジエン重合体ブロック
(C)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体ブロック
[5]上記(ロ)極性樹脂がポリエチレンテレフタレートからなるものである上記[1]〜[4]いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]上記(ロ)極性樹脂がポリブチレンテレフタレートからなるものである上記[1]〜[4]いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]上記(ロ)極性樹脂がポリアミドからなるものである上記[1]〜[4]いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]上記(ロ)極性樹脂がポリカーボネートからなるものである上記[1]〜[4]いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]上記(ロ)極性樹脂がエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂からなるものである上記[1]〜[4]いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(イ)アルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の群から選ばれた少なくとも1種の基を有する変性共役ジエン系重合体0.5〜50重量%と(ロ)極性樹脂50〜99.5重量%とを含有することを特徴とする。
以下、構成要素ごとにさらに具体的に説明する。
本発明の一つであるアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体は、(a)不活性有機溶媒中、共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合し、得られた共役ジエン系重合体にアルコキシシラン化合物を反応させることにより容易に得ることができる。上記「アルコキシシリル基」としては炭素数1〜20のアルキルオキシ、炭素数6〜20のアリールオキシ、炭素数7〜20のアラルキルオキシから選ばれる少なくとも1つのアルコキシ基が珪素原子と結合した基で、具体的にはメトキシ、エトキシ、ブトキシ、プロポキシ、ペンチロキシ、ネオペンチロキシ、ヘキシロキシ、アミロキシ、フェノキシなどのアルコキシ基が挙げられる。この中で、好ましくはメトキシ、エトキシ、アミロキシ、フェノキシなどのアルコキシ基と珪素原子が結合したものが挙げられる。
R3 (4−m−n)Si(OR4)mXn・・・(2)
[式中、R3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基であり、R3が複数ある場合は、各R3は同じ基でも異なる基でもよい。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であり、R4が複数ある場合は、各R4は同じ基でも異なる基でもよい。Xは少なくともO原子、Si原子のいずれか1つ以上含む極性基を有する置換基であり、Xが複数ある場合は、各Xは同じ基でも異なる基でもよく、また、各Xは独立の置換基でも環状構造を形成していてもよい。mは1、2または3であり、nは0、1、2または3の整数を示す。mとnの和は1〜4である。特にmは2または3で、nは0または1が好ましい。]
(b)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、アミノ基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造される。
(c)共役ジエンとアミノ基を有する不飽和単量体とまたはこれらと芳香族ビニル化合物とを有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造される。
(d)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に下記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより製造される。
R1R2C=N−Y・・・・(1)
[上記一般式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。また、Yは水素原子、炭素数3〜18のトリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。]
一般式(5)または(6)で表される不飽和単量体の使用量は、有機アルカリ金属由来の活性点のモル数に対して0.01〜100倍モル、好ましくは0.01〜10倍モル、特に好ましくは1.0〜3.0倍モルの割合で添加する。
また、反応時間は、1秒〜2時間の範囲で行うのが好ましい。さらに、不飽和単量体は、重合の開始時、重合途中、重合終了前、重合終了後などの任意の時に添加することができる。
(f)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、アミノ基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に上記一般式(2)で表される化合物を反応させた変性重合体とすることにより製造される。
(g)共役ジエンとアミノ基を有する不飽和単量体またはこれらとと芳香族ビニル化合物とを有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に上記一般式(2)で表される化合物を反応させた変性重合体とすることにより製造される。
(h)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に下記一般式(7)で表される化合物を反応させた変性重合体とすることにより製造される。
R12 (4−p−q)Si(OR13)pZq (7)
[式中、R12は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基であり、R12が複数ある場合は、各R12は同じ基でも異なる基でもよい。R13は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であり、R13が複数ある場合は、各R13は同じ基でも異なる基でもよい。ZはN原子を含む極性基を有する置換基であり、Zが複数ある場合は、各Zは同じ基でも異なる基でもよく、また、各Zは独立の置換基でも環状構造を形成していてもよい。pは1、2または3であり、qは1、2または3の整数を示す。pとqの和は1〜4である。特にpは2または3で、qは1が好ましい。]
(e)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体にケトン化合物、エステル化合物、およびアルデヒド化合物の群から選ばれた1種以上の化合物を反応させた後、酸無水物および/または酸ハライドと反応させることにより容易に製造される。
上記「酸ハライド」としては、その構造に限定はないが、例えばベンゼンジカルボン酸クロライド、フタル酸クロライド、イソフタル酸ジクロライド、トリメリット酸トリクロライドなどが挙げられる。
また、酸無水物と酸ハライドの両方を有する化合物としては、その構造に限定はないが、例えば無水トリメリット酸クロライドなどが挙げられる。
(A)芳香族ビニル化合物が80重量%以上である芳香族ビニル化合物重合体ブロック(B)共役ジエン重合体ブロック
(C)芳香族ビニル化合物と共役ジエンのランダム共重合体ブロック
また、上記「(A)と(B)〜(C)の重合体ブロックの中から選ばれた1以上の重合体ブロックを含むブロック共重合体」の例としては、(A)−(B)、(A)−(C)、[(A)−(B)]x―Y’、[(A)−(C)]x―Y’、(A)−(B)−(A)、(A)−(C)−(A)、[(A)−(B)−(C)]x―Y’、[(A)−(B)−(A)]x―Y’、[(A)−(C)−(A)]x―Y’、(A)−(B)−(A)−(B)、(B)−(A)−(B)−(A)、(A)−(C)−(A)−(C)、(C)−(A)−(C)−(A)、(A)−(B)−(C)−(A)などが挙げられる(ただし、xは2〜8の整数であり、Y’はカップリング剤の残基である。)。
ペレット形状にする場合は、変性共役ジエン系重合体の外側のブロック成分として少なくとも1つの(A)重合体ブロックを含むことが好ましい。
上記「共役ジエン系重合体」の共役ジエンのビニル結合(1,2−および3,4−結合)含有量は80重量%未満、好ましくは3〜60重量%、さらに好ましくは5〜55重量%である。
ビニル結合含有量を調節するのに、通常、エーテル類、第3級アミン類、アルカリ金属アルコキシドなどの極性化合物を使用することができる。
例えば、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシベンゼン、トリエチルアミン、N,N,N‘,N’−テトラメチルエチレンジアミン、カリウム−tert−アミルオキシド、カリウム−tert−ブチルオキシドなどが挙げられ、これらの化合物は単独または2種以上の混合物として使用できる。かかる極性化合物の使用量は、有機リチウム化合物1モルに対して0モル以上、好ましくは0〜300モルである。
本発明の(ロ)極性樹脂としては、カルボキシル基(酸無水物、金属塩となっているカルボキシル基も含む。)、ヒドロキシル基、ハロゲン基、エポキシ基、オキサゾリン基、スルホン酸基、イソシアネート基、チオ−ル基、エステル結合、カーボネート結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、尿素結合から選ばれる少なくとも1種を有する重合体が好ましい。これらを有する重合体としては、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMA)、エチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体(EGMA)、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸含有量7〜15mol%であるエチレンと(メタ)アクリル酸共重合体で、且つNa、Zn、Mgなどの金属イオンにより中和度が20%以上であるアイオノマー(IO)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)や、ナイロン4,6(PA46)、ナイロン6(PA6)、ナイロン6,6(PA66)、ナイロン6,10(PA610)、ナイロン6,12(PA612)、ナイロン12(PA12)、ナイロン6,T(PA6T)、ナイロン9,T(PA9T)、強化ポリアミド、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸からつくられた変性ポリアミドなどのポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリラクトンなどのポリエステル樹脂、液晶性ポリエステル(LCP)、ポリ−2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンカーボネートなどのポリカーボネート(PC)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン・アクリル酸2−エチルへキシル共重合体、エチレン・メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体(HEMA)、エチレン・メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル共重合体、エチレン・メタクリル酸アミノアルキル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸ブチル共重合体、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)、メタクリル−スチレン共重合体(MS Resin)などのアクリル系重合体、ポリアセタール(POM)、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ジアリルフタレート樹脂(DAP)、EVA樹脂、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、フェノール樹脂(PF)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアリレート(PAR)、ノルボルネン樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)などのポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、α,β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−不飽和ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン・アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン・エチレンオキシドゴム、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、オキサゾリン変性ポリスチレン、オキサゾリン変性スチレン・アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの公知の混練機、およびそれらを組み合わせた混練機により溶融混練する方法、また射出成形機でドライブレンドする方法などを挙げることができる。
以下に記載の1)〜4)の方法により、変性共役ジエン系重合体を製造した。
なお各種の測定は下記の方法に拠った。
赤外吸収スペクトル法(モレロ法)によって求めた。
(ii)結合スチレン含量
赤外吸収スペクトル法により、検量線を作成し求めた。
(iii)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー社製、HLC−8120)を用いてポリスチレン換算で求めた。
(iv)カルボキシ基および/または酸無水物基含量(mmol/g)
特開昭59−98106号公報の第6頁右下蘭第10行〜第7頁左下蘭下から5行に記載のクロマトグラフ分析による定量により求めた。
(v)アルコキシシリル基含量(mmol/g)
赤外吸収スペクトルにより、変性剤に存在するSi−OC6H5結合に起因する1,250cm−1付近の吸収量により作成した検量線から定量した。また、変性剤に存在するアルコキシシリル基がSi−OCH3、Si−OC2H5、Si−OC(CH3)2(C2H5)結合の場合は、1,100cm−1付近の吸収量により作成した検量線から定量した。ただし、アルコキシシリル基の含量は定量された値をGPC法で得られたポリスチレン換算数平均分子量Mnと、アルコキシシリル基の分子量で除して、アルコキシシリル基のモル数(含量)とした。
(vi)アミノ基含量(mmol/g)
Analy.Chem.564頁(1952)記載のアミン滴定法による定量により求めた。すなわち、変性重合体を精製後、有機溶剤に溶解し、指示薬としてメチルバイオレットを用い、溶液の色が紫から水色に変化するまでHCLO4/CH3COOHを滴定することにより求めた。
(vii)MFR(メルトフローレート)
JIS K7210に従い、230℃、21.2N荷重の条件で測定した。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン2.5kgおよびsec−ブチルリチウム7.5gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃として1,3−ブタジエン4.9kgを添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン2.5kgを添加し3段目重合し、反応完結後、1,3−ブタジエン0.1kgを添加してさらに4段目重合を行った。この系内にメチルトリフェノキシシラン34.0gを加え、30分反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって重合体(イ−1)を得た。得られた重合体(イ−1)はビニル結合を12%含有し、GPCで測定した重量平均分子量は約12万であった。アルコキシシリル基含量は0.0161mmol/gであった。
また、重合体(ヒ−1)は、メチルトリフェノキシシランを使用しない以外は重合体(イ−1)に準じて重合して得た未変性共役ジエン系重合体である。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン2.5kgおよび3−リチオ−1−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロパン24.5gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃として1,3−ブタジエン5.0kgを添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン2.5kgを添加し3段目重合を行った。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、表1に示す重合体(イ−2)を得た。得られた重合体(イ−2)のアミノ基含量は0.0079mmol/gであった。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン2.5kg、および2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン24.3gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃として1,3−ブタジエン5.0kgを添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン2.5kgを添加し3段目重合を行った。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、表1に示す重合体(イ−3)を得た。得られた重合体(イ−3)のアミノ基含量は0.0076mmol/gであった。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン2.5kgおよびsec−ブチルリチウム7.5gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃として1,3−ブタジエン5.0kgを添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン2.5kgを添加し3段目重合を行った。その後、該重合体の活性点にp−{2−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン69gを加え、30分反応させた。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、表1に示す重合体(イ−4)を得た。得られた重合体(イ−4)のアミノ基含量は0.0153mmol/gであった。
重合開始剤にsec−ブチルリチウムを用いて、表2の(イ−5)に示す共重合体構造になるように重合開始剤の量、単量体種類、単量体量、重合温度、重合時間などを変化させて、上記1)の製法に準じ重合体を得た。次いで、該重合体の活性点にN−ベンジリデンエチルアミン12.6gを加え、30分反応させた。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、重合体(イ−5)を得た。得られた重合体(イ−5)のアミノ基含量は0.0078mmol/gであった。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン2.5kgおよびsec−ブチルリチウム7.5gを加え、重合開始温度50℃にて重合した。反応完結後、温度を80℃としてブタジエン5.0kgをゆっくり添加して等温にて2段目重合した。30分後、スチレン2.5kgを添加し3段目重合した。反応完結後、ケトン化合物、エステル化合物およびアルデヒド化合物の群から選ばれた1種以上の化合物としてベンズアルデヒドをリビングリチウムの橙色が無色になるまで添加し、11.5g必要であった。その後、無水フタル酸16.1g添加した。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、重合体(イ−6)を得た。このブロック重合体はビニル結合を12%含有し、GPCで測定した重量平均分子量は約12万、カルボキシル基含量は0.0075mmol/gであった。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン2.5kg、およびsec−ブチルリウム7.5gを加え、重合開始温度50℃にて重合した。反応完結後、温度を80℃としてブタジエン5.0kgをゆっくり添加して等温にて2段目重合した。30分後、スチレン2.5kgを添加し3段目重合した。反応完結後、ケトン化合物、エステル化合物およびアルデヒド化合物の群から選ばれた1種以上の化合物としてアセトンをリビングリチウムの橙色が無色になるまで添加し、6.1g必要であった。その後無水トリメリット酸クロリド22.2g添加した。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、重合体(イ−7)を得た。このブロック重合体はビニル結合を12%含有し、GPCで測定した重量平均分子量は約12万、0.0158mmol/gであった。
重合体(イ−3)に準じて重合後、この系内にメチルトリフェノキシシラン34.0gを加え、30分反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって重合体(イ−8)を得た。得られた重合体(イ−8)のアルコキシシリル基含量は0.0155mmol/g、アミノ基含量は0.0077mmol/gであった。
重合体(イ−1)に準じて、表2、3に示すようなアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体になるように変性剤種類、単量体などを変化させて重合体(イ−9)〜(イ−12)を得た。なお、重合体(ヒ−2)は、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを使用しない以外は重合体(イ−12)に準じて重合して得た未変性共役ジエン系重合体である。
共役ジエンとしてブタジエンの代わりにイソプレンを使用し、その他は重合体(イ−1)に準じて、表3に示すようなアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体になるように変性剤種類、単量体などを変化させて重合体(イ−13)を得た。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン2.5kg、エチレングリコールジエチルエーテル12.9gおよびsec−ブチルリチウム6.0gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃としてブタジエン4.9kgをゆっくり添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン2.5kgを添加し3段目重合し、反応完結後、1,3−ブタジエン0.1kgを添加してさらに4段目重合を行った。この系内にメチルジエトキシ(t−アミロキシ)シラン23.2gを加え、30分反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって重合体(イ−14)を得た。得られた重合体(イ−14)のビニル結合は50%、重量平均分子量は約15万、アルコキシシリル基含量は0.0124mmol/gであった。
(イ−15)は(イ−14)に準じて、表4に示すようなアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体になるようにエチレングリコールジエチルエーテル、変性剤種類、単量体などを変化させて重合体(イ−15)を得た。なお、重合体(ヒ−3)は、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを使用しない以外は重合体(イ−15)に準じて重合して得た未変性共役ジエン系重合体である。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン2.5kgおよびsec−ブチルリチウム7.0gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を80℃としてブタジエン3.9kgおよびスチレン1kgをゆっくり添加して等温にて2段目重合した。30分後、スチレン2.5kgを添加し3段目重合し、反応完結後、1,3−ブタジエン0.1kgを添加してさらに4段目重合を行った。そして、この系内にメチルトリフェノキシシラン31.7gを加え、30分反応させた。反応後、常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、重合体(イ−16)を得た。得られた重合体(イ−16)の重量平均分子量は約12万、アルコキシシリル基含量は0.0160mmol/gであった。なお、重合体(ヒ−4)は、メチルトリフェノキシシランを使用しない以外は重合体(イ−16)に準じて重合して得た未変性共役ジエン系重合体である。
(b)3−リチオ−1−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロパン
(c)2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン
(d)p−{2−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン
(c)2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン
(e)N−ベンジリデンエチルアミン
(f)無水フタル酸
(g)無水トリメリット酸クロリド
(h)メチルジエトシキ(t−アミロキシ)シラン
(i)N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン
(j)N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン
(k)N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン
(h)メチルジエトシキ(t−アミロキシ)シラン
(k)N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン
実施例および比較例において用いた各種の成分は、以下のとおりである。
(イ)変性共役ジエン系重合体
表1〜表4に示す構造を有する変性共役ジエン系重合体(イ−1)〜(イ−16)
(ロ)極性樹脂
(ロ−1):ポリエチレンテレフタレート 日本ユニペット社製 RT523C
(ロ−2):ポリブチレンテレフタレート ポリプラスチックス社製 ジュラネックス2002
(ロ−3):ポリアミド ナイロン6 東洋紡社製 T−802
(ロ−4):ポリカーボネート 帝人化成社製 パンライトLV−2225L
(ロ−5):エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂 日本合成化学社製 ソアノールDC3212B
引張破断強度および引張破断伸び
ASTM D−638に従って、23℃の温度条件下で試験片の引張試験を行い測定した。
(1) 曲げ強度および曲げ弾性率
ASTM D−790に従って、三点曲げ試験法により、23℃の温度条件下で曲げ試験を行い測定した。
(2) 耐衝撃性
ASTM D−256に従って、アイゾッド衝撃試験機により、23℃の温度条件下でアイゾッド衝撃強度を測定し、耐衝撃性の指標とした。
(3) 面衝撃性
耐衝撃性を表すもう一つの指標として、面衝撃性を測定した。面衝撃性は、射出成型して得られた3.2mmの平板試験片を25mmΦの打撃棒を用いて2.4m/sの速度で打撃し、試験片が破壊するまでの変位と荷重の測定から破壊エネルギーを算出し、その大きさを面衝撃性の指標とした。
(4) 鏡面性
射出成形により平板状に成形した試験片の表面を下記の基準によって、目視にて判断した。
○:試験片に映り込んだ映像の歪みが少ない。
△:試験片に映り込んだ映像の歪みが○と×の中間
×:試験片に映り込んだ映像の歪みが大きい。
(5) 層間剥離
射出成形により平板状に成形した試験片にカッターで切れ目を入れ、その切れ目に粘着テープを貼り付け、すぐに粘着テープと試験片のなす角が90度となるように粘着テープをゆっくり引っ張ってはがし、試験片の表面層の少なくとも一部が剥離するか否かを目視で確認し、下記の基準に従って評価した。
○:表面が剥離しない。
×:表面が剥離する。
(イ)成分として(イ−1)を10部、(ロ)成分として(ロ−1)を90部、および酸化防止剤としてチバ製Irganox1010を2部とを260℃に設定した二軸押出機を用いて溶融混練りしてペレットを得た。このペレットを射出成形により物性評価用の試験片を射出成形により物性評価用の試験片を作製し、上記記載の方法により物性評価を行った。結果を表5に示す。
表5〜表8に示す配合処方を用い実施例1と同様に試験片を作製し、物性評価を行った。結果を以下の表5〜表8に示す。
これに対し、表9より、本発明の変性共役ジエン系重合体ではない未変性重合体を用いた組成物である比較例1〜4では、衝撃強度は低く、鏡面性、層間剥離性に劣る熱可塑性樹脂組成物であることが分かる。
Claims (3)
- (イ)次に示す方法で製造された(a)〜(e)重合体のいずれかであって、アルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の群から選ばれた少なくとも1種の基を有する変性共役ジエン系重合体0.5〜50重量%と
(ロ)ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、およびポリカーボネートから選ばれた極性樹脂50〜99.5重量%(ただし、(イ)+(ロ)=100重量%)
とを主成分とする熱可塑性樹脂組成物。
(a)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体にアルコキシシラン化合物を反応させることにより製造された重合体。
(b)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、アミノ基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造された重合体。
(c)共役ジエンとアミノ基を有する不飽和単量体またはこれらと芳香族ビニル化合物とを有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造された重合体。
(d)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に下記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより製造された重合体。
R1R2C=N−Y・・・・(1)
[上記一般式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。また、Yは水素原子、炭素数3〜18のトリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。]
(e)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体にケトン化合物、エステル化合物、およびアルデヒド化合物の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を反応させた後、酸無水物および/または酸ハライドと反応させることにより製造された重合体。 - (イ)変性共役ジエン系重合体中のアルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の群から選ばれた少なくとも1種の基の合計含有量が0.0001〜5mmol/gである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (イ)変性共役ジエン系重合体が、下記(A)、(B)、および(C)の重合体ブロックの中から選ばれた1以上の重合体ブロックを含むブロック共重合体である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(A)芳香族ビニル化合物が80重量%以上である芳香族ビニル化合物重合体ブロック
(B)共役ジエン重合体ブロック
(C)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体ブロック
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