JP4639870B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
また、本発明は、補強材として導電性カーボンを用いる場合、導電性に優れるとともに、引張強さ、引張伸び、低温特性および柔軟性などの諸物性のバランスに優れ、ICトレー、エンボステープなどの半導体や電子部品用包装材料などの用途に特に有用な導電性の熱可塑性エラストマー組成物に関する。
[1](イ)アルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の群から選ばれた少なくとも1種の基を有する変性共役ジエン系重合体(以下「(イ)変性共役ジエン系重合体」ともいう)100重量部に対し、(ロ)充填剤1〜300重量部含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
[2](イ)変性共役ジエン系重合体が、次に示す方法(a)〜(d)で製造された重合体のいずれかである上記[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(a)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体にアルコキシシラン化合物を反応させることにより製造された重合体。
(b)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、アミノ基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造された重合体。
(c)共役ジエンとアミノ基を有する不飽和単量体またはこれらと芳香族ビニル化合物とを有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造された重合体。
(d)共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に下記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより製造された重合体。
R1R2C=N−Y・・・・(1)
[上記一般式(1)中、R1およびR2はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。また、Yは水素原子、炭素数3〜18のトリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。]
(e)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体にケトン化合物および/またはエステル化合物および/またはアルデヒド化合物を反応させた後、酸無水物および/または酸ハライドと反応させることにより製造された重合体。
[3]上記(イ)変性共役ジエン系重合体のアルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の合計含有量が0.1〜5mmol/gである上記[1]〜[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4]上記(ロ)変性共役ジエン系重合体が、下記(A)と下記(B)〜(C)の重合体ブロックの中から選ばれた1以上の重合体ブロックを含むブロック共重合体である上記[1]〜[3]いずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(A)芳香族ビニル化合物が80重量%以上である芳香族ビニル化合物重合体ブロック
(B)共役ジエン重合体ブロック
(C)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体ブロック
[5]上記(ロ)充填剤が導電性カーボンからなるものである上記[1]〜[4]いずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6]上記(ロ)充填剤が水酸化マグネシウムおよび/または水酸化アルミニウムからなるものである上記[1]〜[4]いずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7]上記(ロ)充填剤がシリカからなるものである上記[1]〜[4]いずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、(イ)アルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の群から選ばれた少なくとも1種の基を有する変性共役ジエン系重合体100重量部に対し、(ロ)充填剤1〜300重量部を配合してなることを特徴とする。
以下、構成要素ごとにさらに具体的に説明する。
本発明の一つであるアルコキシシリル基を有する変性添共役ジエン系重合体は、(a)不活性有機溶媒中、共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合し、得られた共役ジエン系重合体にアルコキシシラン化合物を反応させることにより容易に得ることができる。
上記「アルコキシシリル基」としては、炭素数1〜20のアルキルオキシ、炭素数6〜20のアリールオキシ、炭素数7〜20のアラルキルオキシから選ばれる少なくとも1つのアルコキシルが珪素原子と結合した基で、具体的にはメトキシ、エトキシ、ブトキシ、プロポキシ、ペンチロキシ、ネオペンチロキシ、ヘキシロキシ、アミロキシ、フェノキシ、好ましくはメトキシ、エトキシ、アミロキシ、フェノキシなどのアルコキシと珪素原子が結合したものが挙げられる。
R3 (4−m−n)Si(OR4)mXn ……(2)
[式中、R3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基であり、R3が複数ある場合は、各R3は同じ基でも異なる基でもよい。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であり、R4が複数ある場合は、各R4は同じ基でも異なる基でもよい。Xは少なくともO原子、Si原子のいずれか1つ以上含む極性基を有する置換基であり、Xが複数ある場合は、各Xは同じ基でも異なる基でもよく、また、各Xは独立の置換基でも環状構造を形成していてもよい。mは1、2または3であり、nは0、1、2または3の整数を示す。mとnの和は1〜4である。特にmは2または3で、nは0または1が好ましい。]
(b)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、アミノ基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造される。
(c)共役ジエンとアミノ基を有する不飽和単量体とまたはこれらと芳香族ビニル化合物とを有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造される。
(d)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に下記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより製造される。
R1R2C=N−Y・・・・(1)
[上記一般式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。また、Yは水素原子、炭素数3〜18のトリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。]
一般式(5)または(6)で表される不飽和単量体の使用量は、有機アルカリ金属由来の活性点のモル数に対して0.01〜100倍モル、好ましくは0.01〜10倍モル、特に好ましくは1.0〜3.0倍モルの割合で添加する。
また、反応時間は、1秒〜2時間の範囲で行うのが好ましい。さらに、不飽和単量体は、重合の開始時、重合途中、重合終了前、重合終了後などの任意の時に添加することができる。
(f)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、アミノ基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に上記一般式(2)で表される化合物を反応させた変性重合体とすることにより製造される。
(g)共役ジエンとアミノ基を有する不飽和単量体と芳香族ビニル化合物とを有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に上記一般式(2)で表される化合物を反応させた変性重合体とすることにより製造される。
(h)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に下記一般式(7)で表される化合物を反応させた変性重合体とすることにより製造される。
R12 (4−p−q)Si(OR13)pZq
……(7)
[式中、R12は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基であり、R12が複数ある場合は、各R12は同じ基でも異なる基でもよい。R13は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であり、R13が複数ある場合は、各R13は同じ基でも異なる基でもよい。ZはN原子を含む極性基を有する置換基であり、Zが複数ある場合は、各Zは同じ基でも異なる基でもよく、また、各Zは独立の置換基でも環状構造を形成していてもよい。pは1、2または3であり、qは1、2または3の整数を示す。pとqの和は1〜4である。特にpは2または3で、qは1が好ましい。]
(e)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体にケトン化合物および/またはエステル化合物および/またはアルデヒド化合物を反応させた後、酸無水物および/または酸ハライドと反応させることにより容易に製造される。
上記「酸ハライド」としては、その構造に限定はないが、例えばベンゼンジカルボン酸クロライド、フタル酸クロライド、イソフタル酸ジクロライド、トリメリット酸トリクロライドなどが挙げられる。
また、酸無水物と酸ハライドの両方を有する化合物としては、その構造に限定はないが、例えば無水トリメリット酸クロライドなどが挙げられる。
(A)芳香族ビニル化合物が80重量%以上である芳香族ビニル化合物重合体ブロック
(B)共役ジエン重合体ブロック
(C)芳香族ビニル化合物と共役ジエンのランダム共重合体ブロック
また、上記「(A)と(B)〜(C)の重合体ブロックの中から選ばれた1以上の重合体ブロックを含むブロック共重合体」の例としては、(A)−(B)、(A)−(C)、[(A)−(B)]x―Y’、[(A)−(C)]x―Y’、(A)−(B)−(A)、(A)−(C)−(A)、[(A)−(B)−(C)]x―Y’、[(A)−(B)−(A)]x―Y’、[(A)−(C)−(A)]x―Y’、(A)−(B)−(A)−(B)、(B)−(A)−(B)−(A)、(A)−(C)−(A)−(C)、(C)−(A)−(C)−(A)、(A)−(B)−(C)−(A)などが挙げられる(ただし、xは2〜8の整数であり、Y’はカップリング剤の残基である)。
ペレット形状にする場合は、変性共役ジエン系重合体の外側のブロック成分として少なくとも1つ以上の(A)重合体ブロックを含むことが好ましい。
上記「共役ジエン系重合体」の共役ジエンのビニル結合含有量は80重量%未満、好ましくは3〜60重量%、さらに好ましくは5〜55重量%である。
ビニル結合含有量を調節するのに、通常、エーテル類、第3級アミン類、アルカリ金属アルコキシドなどの極性化合物を使用することができる。
例えば、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシベンゼン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、カリウム−tert−アミルオキシド、カリウム−tert−ブチルオキシドなどが挙げられ、これらの化合物は単独または2種以上の混合物として使用できる。かかる極性化合物の使用量は、有機リチウム化合物1モルに対して0モル以上、好ましくは0〜300モルである。
この中で、(ロ)成分として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化錫の水和物、硼砂などの無機金属化合物の水和物などの無機系難燃剤を用いることで難燃性が向上する。中でも、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが好ましい。
湿式スラリー法は水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムを水中に分散させ、高速攪拌下に、イオン交換水に5重量%以下の濃度になるように溶解させたシランカップリング剤を必要量徐徐に添加し、滴下終了後、約15〜30分間高速攪拌を続ける。処理後のスラリーを濾別し、約120℃で乾燥する、または処理後のスラリーをそのまま噴霧乾燥してもよい。
本発明の組成物の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの公知の混練機、およびそれらを組み合わせた混練機により溶融混練する方法、また射出成形機でドライブレンドする方法などを挙げることができる。
以下に記載の1)〜4)の方法により、変性共役ジエン系重合体を製造した。
なお、各種の測定は下記の方法に拠った。
赤外吸収スペクトル法(モレロ法)によって求めた。
(ii)結合スチレン含量
赤外吸収スペクトル法により、検量線を作成し求めた。
(iii)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー社製、HLC−8120)を用いてポリスチレン換算で求めた。
(iv)カルボキシ基および/または酸無水物基含量(mmol/g)
特開昭59−98106号公報の第6頁右下欄第10行〜第7頁左下欄下から第5行に記載のクロマトグラフ分析による定量により求めた。
(v)アルコキシル基含量(mmmol/g)
赤外吸収スペクトルにより、変性剤に存在するSi−OC6H5結合に起因する1,250cm−1付近の吸収量により作成した検量線から定量した。また、変性剤に存在するアルコキシシリル基がSi−OCH3、Si−OC2H5、Si−OC(CH3)2(C2H5)結合の場合は、1,100cm−1付近の吸収量により作成した検量線から定量した。ただし、定量された値をGPC法で得られたポリスチレン換算数平均分子量Mnと、アルコキシシリル基の分子量で除して、アルコキシシリル基のモル数とした。
(vi)アミノ基含量(mmmol/g)
Analy.Chem.564頁(1952)記載のアミン滴定法による定量により求めた。すなわち、変性重合体を精製後、有機溶剤に溶解し、指示薬としてメチルバイオレットを用い、溶液の色が紫から水色に変化するまでHCLO4/CH3COOHを滴定することにより求めた。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン1.25kgおよびsec−ブチルリチウム7.0gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃として1,3−ブタジエン7.4kgを添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン1.25kgを添加し3段目重合し、反応完結後、1,3−ブタジエン0.1kgを添加してさらに4段目重合を行った。この系内にメチルトリフェノキシシラン31.7gを加え、30分反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって重合体(イ−1)を得た。得られた重合体(イ−1)はビニル結合を12%含有し、GPCで測定した重量平均分子量は約15万であった。アルコキシシリル基含量は0.0125mmol/gであった。
また、重合体(ヒ−1)は、メチルトリフェノキシシランを使用しない以外は、重合体(イ−1)に準じて重合して得た未変性共役ジエン系重合体である。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン1.25kgおよび3−リチオ−1−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロパン22.9gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃として1,3−ブタジエン7.5kgを添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン1.25kgを添加し3段目重合を行った。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、表1に示す重合体(イ−12)を得た。得られた重合体(イ−2)のアミノ基含量は0.0061mmol/gであった。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン1.25kg、および2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを22.7g加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃として1,3−ブタジエン7.5kgを添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン1.25kgを添加し3段目重合を行った。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、表1に示す重合体(イ−3)を得た。得られた重合体(イ−3)のアミノ基含量は0.0060mmol/gであった。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン1.25kgおよびsec−ブチルリチウム7.0gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃として1,3−ブタジエン7.5kgを添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン1.25kgを添加し3段目重合を行った。その後、該重合体の活性点にp−{2−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン64gを加え、30分反応させた。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、表1に示す重合体(イ−4)を得た。得られた重合体(イ−4)のアミノ基含量は0.014mmol/gであった。
重合開始剤にsec−BuLiを用いて、表2の(イ−5)に示す共重合体構造になるように重合開始剤の量、単量体種類、単量体量、重合温度、重合時間などを変化させて、上記1)の製法に準じ重合体を得た。次いで、該重合体の活性点にN−ベンジリデンエチルアミン11.7gを加え、30分反応させた。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、重合体(イ−5)を得た。得られた重合体(イ−5)のアミノ基含量は0.0063mmol/gであった。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン1.25kgおよびsec−ブチルリチウム7gを加え、重合開始温度50℃にて重合した。反応完結後、温度を80℃としてブタジエン7.5kgをゆっくり添加して等温にて2段目重合した。30分後、スチレン1.25kgを添加し3段目重合した。反応完結後、ケトン化合物および/またはエステル化合物および/またはアルデヒド化合物としてベンズアルデヒドをリビングリチウムの橙色が無色になるまで添加し、10.4g必要であった。その後、無水フタル酸14.5g添加した。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、重合体(イ−6)を得た。このブロック重合体はビニル結合を12%含有し、GPCで測定した重量平均分子量は約15万、カルボキシル基含量は0.0062mmol/gであった。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン1.25kg、およびsec−ブチルリウム7gを加え、重合開始温度50℃にて重合した。反応完結後、温度を80℃としてブタジエン7.5kgをゆっくり添加して等温にて2段目重合した。30分後、スチレン1.25kgを添加し3段目重合した。反応完結後、ケトン化合物および/またはエステル化合物および/またはアルデヒド化合物としてアセトンをリビングリチウムの橙色が無色になるまで添加し、5.7g必要であった。その後、無水トリメリット酸クロリド20.7g添加した。反応後、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、重合体(イ−7)を得た。このブロック重合体はビニル結合を12%含有し、GPCで測定した重量平均分子量は約15万、0.012mmol/gであった。
重合体(イ−3)に準じて重合後、この系内にメチルトリフェノキシシラン31.7gを加え、30分反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって重合体(イ−8)を得た。得られた重合体(イ−8)のアルコキシシリル基含量は0.0125mmol/g、アミノ基含量は0.0060mmmol/gであった。
重合体(イ−1)に準じて、表1,2に示すようなアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体になるように変性剤種類、単量体などを変化させて重合体(イ−9)〜(イ−12)を得た。
なお、重合体(ヒ−2)は、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを使用しない以外は重合体(イ−12)に準じて重合して得た未変性共役ジエン系重合体である。
共役ジエンとしてブタジエンの代わりにイソプレンを使用し、その他は重合体(イ−1)に準じて、表3に示すようなアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体になるように変性剤種類、単量体などを変化させて重合体(イ−13)を得た。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン1.25kg、エチレングリコールジエチルエーテル12.0gおよびsec−ブチルリチウム7.0gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を70℃としてブタジエン6.9kgをゆっくり添加して断熱にて2段目重合した。30分後、スチレン1.25kgを添加し3段目重合し、反応完結後、1,3−ブタジエン0.1kgを添加してさらに4段目重合を行った。この系内にメチルジエトキシ(t−アミロキシ)シラン21.7gを加え、30分反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって重合体(イ−14)を得た。得られた重合体(イ−14)のビニル結合は50%、重量平均分子量は約15万、アルコキシシリル基含量は0.0062mmol/gであった。
(イ−15)は、(イ−14)に準じて、表4に示すようなアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体になるようにエチレングリコールジエチルエーテル、変性剤種類、単量体などを変化させて重合体(イ−15)を得た。
なお、重合体(ヒ−3)は、メチルジエトキシ(t−アミロキシ)シランを使用しない以外は重合体(イ−14)に準じて重合して得た未変性共役ジエン系重合体である。
窒素置換された内容積100リットルの反応容器に、シクロヘキサン50kg、スチレン1.0kgおよびsec−ブチルリチウム6.5gを加え、重合開始温度50℃にて1段目重合し、反応完結後、温度を80℃としてブタジエン6.9kgおよびスチレン1kgをゆっくり添加して等温にて2段目重合した。30分後、スチレン1.0kgを添加し3段目重合し、反応完結後、1,3−ブタジエン0.1kgを添加してさらに4段目重合を行った。一部取り出したこのブロック重合体の2段目のビニル結合は12%含有し、GPCで測定した重量平均分子量は15万であった。そして、この系内にメチルトリフェノキシシラン29.4gを加え、30分反応させた。反応後、常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留除去することによって、重合体(イ−16)を得た。得られた重合体(イ−16)の重量平均分子量は約15万、アルコキシシリル基含量は0.0125mmol/gであった。
なお、重合体(ヒ−4)は、メチルトリフェノキシシランを使用しない以外は、重合体(イ−16)に準じて重合して得た未変性共役ジエン系重合体である。
(b)3−リチオ−1−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロパン
(c)2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン
(d)p−{2−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン
(c)2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン
(e)N−ベンジリデンエチルアミン
(f)無水フタル酸
(g)無水トリメリット酸クロリド
(h)メチルジエトシキ(t−アミロキシ)シラン
(i)N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン
(j)N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン
(k)N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン
(h)メチルジエトシキ(t−アミロキシ)シラン
(k)N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン
実施例および比較例において用いた各種の成分は、以下のとおりである。
変性共役ジエン系重合体
表1〜表4に示す構造を有する水添共役ジエン系重合体(イ−1)〜(イ−16)
充填剤
(ロ−1):導電性カーボン 花王製 ケッチェンブラックEC
(ロ−2):水酸化マグネシウム 協和化学工業社製 キスマ5A
(ロ−3):水酸化マグネシウム 協和化学工業社製 キスマ5L
(ロ−4):水酸化マグネシウム 協和化学工業社製 キスマ5P
(ロ−5):シリカ 東ソー・社製 ニップシールER
(ロ−6):タルク 日本タルク社製 SS
引張破断強度および引張破断伸び
JIS K6251に従って、23℃の温度条件下で3号ダンベルにて引張試験を行い測定した。
硬度
柔軟性の指標としてJIS K6253に準拠して測定した。
導電性
JIS K7194に準じて、低抵抗率計を用いて、表面抵抗値を測定した。
難燃性
JIS C3005に従って、傾斜試験にて測定した。60秒以内に自然に消えたものを合格とした。
(イ)成分として(イ−1)を100部、(ロ)成分として(ロ−1)を10部、および酸化防止剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製Irganox1010を1部とを160℃に設定した東洋精機製ラボプラストミルを用いて80rpmで10分溶融混練りした。そのサンプルを加熱プレス機にて2mmシートを作製し、上記記載の方法により物性評価を行った。結果を表5に示す。
表5〜表9に示す配合処方を用い実施例1と同様に試験片を作製し、物性評価を行った。結果を以下の表5〜表9に示す。
これに対し、表9より、本発明の変性共役ジエン系重合体ではない未変性重合体を用いた比較例1、3引張強度、導電性に劣り、比較例2、4では引張強度、難燃性に劣る熱可塑性エラストマー組成物であることが分かる。
Claims (5)
- (イ)次に示す方法(b)〜(f)、(h)で製造されたブロック共重合体のいずれかであって、アルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の群から選ばれた少なくとも1種の基を有する変性共役ジエン−芳香族ビニル化合物ブロック共重合体(ただし、該共重合体を構成する単量体の割合は、共役ジエン5〜95重量%、芳香族ビニル化合物95〜5重量%である)100重量部に対し、
(ロ)導電性カーボンからなる充填剤1〜300重量部を配合してなる導電性熱可塑性エラストマー組成物。
(b)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、アミノ基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造されたブロック共重合体。
(c)共役ジエンと下記一般式(5)または一般式(6)で表されるアミノ基を有する不飽和単量体と芳香族ビニル化合物とを有機アルカリ金属化合物の存在下で重合することにより製造されたブロック共重合体。
(d)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共重合体に下記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより製造されたブロック共重合体。
R1R2C=N−Y・・・・(1)
[上記一般式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。また、Yは水素原子、炭素数3〜18のトリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。]
(e)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共重合体にケトン化合物および/またはエステル化合物および/またはアルデヒド化合物を反応させた後、酸無水物および/または酸ハライドと反応させることにより製造されたブロック共重合体。
(f)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、アミノ基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共重合体にアルコキシシラン化合物を反応させて製造されたブロック共重合体。
(h)共役ジエンと芳香族ビニル化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に下記一般式(7)で表される化合物を反応させて製造されたブロック共重合体。
R12 (4−p−q)Si(OR13)pZq……(7)
[式中、R12は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基であり、R12が複数ある場合は、各R12は同じ基でも異なる基でもよい。R13は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であり、R13が複数ある場合は、各R13は同じ基でも異なる基でもよい。ZはN原子を含む極性基を有する置換基であり、Zが複数ある場合は、各Zは同じ基でも異なる基でもよく、また、各Zは独立の置換基でも環状構造を形成していてもよい。pは1、2または3であり、qは1、2または3の整数を示す。pとqの和は1〜4である。]
- (イ)変性共役ジエン−芳香族ビニル化合物ブロック共重合体中の基の含量が、(b)〜(d)の場合はアミノ基の含量が、(e)の場合は酸無水物基および/またはカルボキシル基の含量が、(f)、(h)の場合はアルコキシシリル基とアミノ基との含量が、それぞれ、0.0001〜5mmol/gである請求項1に記載の導電性熱可塑性エラストマー組成物。
- (イ)変性共役ジエン−芳香族ビニル化合物ブロック共重合体が、下記(A)と下記(B)〜(C)の重合体ブロックの中から選ばれた1以上の重合体ブロックを含むブロック共重合体である請求項1または2に記載の導電性熱可塑性エラストマー組成物。
(A)芳香族ビニル化合物が80重量%以上である芳香族ビニル化合物重合体ブロック
(B)共役ジエン重合体ブロック
(C)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体ブロック
- 導電性カーボンブラックが、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ガスブラック、アセチレンブラック、およびアークブラックから選ばれた請求項1〜3いずれかに記載の導電性熱可塑性エラストマー組成物。
- 半導体包装材料用または電子部品包装材料用である請求項1〜4いずれかに記載の導電性熱可塑性エラストマー組成物。
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