JP5430131B2 - 位相差フィルム、積層偏光フィルム、および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
本発明の位相差フィルムは、構造性複屈折と分子配向性複屈折の両者を同時に使用するものである。具体的には、本発明の位相差フィルムは、平均屈折率の異なる少なくとも2種の層(11、12)を構成単位とする繰り返し多層構造(13)を含み、この繰り返し多層構造は、構造複屈折を発現し、また少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)であり、かつ少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の他の層は、光学的に略等方性である層(i)である。
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造の構成単位となる各層の厚みは、構造性複屈折を発現するとともに、多層構造に起因する内部反射を可視光領域において実質的に存在させないために、可視光の波長よりも十分に小さくする必要がある。本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造の構成単位となる各層の厚みは非常に薄いので、本発明の位相差フィルムは、繰り返し多層構造を形成して初めて位相差フィルムとしての機能を発現するものである。
本発明における「分子配向性複屈折」とは、分子あるいは原子の配向または配列により発現される、屈折率の光の伝播方向による相違、すなわち複屈折であり、高分子や液晶等の配向、結晶性物質による配向等により発現する光学的異方性である。
以下に、本発明の位相差フィルムの光学的異方性の発現原理を記す。
nx、ny、nz:図1における繰り返し多層構造13の三次元屈折率であり、それぞれ屈折率楕円体14の直交座標のx軸、y軸、z軸方向における三次元屈折率
x軸方向:繰り返し多層構造13の面内に光学的異方性が存在する場合には、面内の遅相軸方向
y軸方向:繰り返し多層構造13の面内におけるx軸方向に垂直な方位(すなわち、x軸およびy軸で形成される平面は、繰り返し多層構造13の表面に平行)
z軸方向:繰り返し多層構造13の面に対する法線方向
n1x、n1y、n1z:図1における負の光学的異方性を有する層11についての、屈折率楕円体15で示される三次元屈折率であり、それぞれ直交座標のx軸、y軸およびz軸方向における屈折率(層11の面内に光学的異方性が存在する場合には、その屈折率が最大の方位となる軸である遅相軸は、x軸またはy軸のいずれかに平行であると定義する)
n2x、n2y、n2z:図1における負または略等方の光学的異方性を有する層12についての、屈折率楕円体16で示される三次元屈折率であり、それぞれ直交座標のx軸、y軸およびz軸方向における屈折率(層12の面内に光学的異方性が存在する場合には、その屈折率が最大の方位となる軸である遅相軸は、x軸またはy軸のいずれかに平行であると定義する)
d1、d2:それぞれ層11および層12の膜厚(nm)
本発明の位相差フィルムは、平均屈折率の異なる少なくとも2種の層を構成単位とする繰り返し多層構造を含む。本発明においては、繰り返し多層構造によって、構造性複屈折を発現する。
本発明の位相差フィルムに含まれる繰返し多層構造は、平均屈折率の異なる少なくとも2種の層を構成単位としていればよく、互いに屈折率の異なる3種以上の層を構成単位として含んでもよい。しかしながら、光学的異方性の制御性の容易さ、特に作成上の容易さの観点から、1つの繰り返し多層構造における平均屈折率の異なる層の種類は、2種であることが好ましい。
nx、ny、nz:図3における繰り返し多層構造34についての、屈折率楕円体35で示される三次元屈折率であり、それぞれ直交座標のx軸、y軸、z軸方向における屈折率
x軸方向:繰り返し多層構造34の面内に光学的異方性が存在する場合には、面内の遅相軸方向
y軸方向:繰り返し多層構造の面内におけるx軸方向に垂直な方位(すなわち、x軸およびy軸で形成される平面は、繰り返し多層構造34の表面に平行となる)
z軸方向:繰り返し多層構造34の面に対する法線方向
nkx、nky、nkz:図3における第k層(例えば、図中31、32または33)についての、屈折率楕円体36で示される三次元屈折率であり、それぞれ直交座標のx軸、y軸、z軸方向における屈折率(第k層の面内に光学的異方性が存在する場合には、その遅相軸は、x軸またはy軸のいずれかに平行であると定義する)
dk:第k層の膜厚(nm)。
繰り返し多層構造の各層の間に、各層を形成する材料が混ざり合ったブレンド領域が存在してもよい。特に多層溶融押出によって繰返し多層構造を作成した場合には、押出条件や用いた材料等によっては、このような領域が存在する場合がある。ただし、ブレンド領域の膜厚は光の波長より十分小さい必要がある。光の波長より十分小さくない場合には内部反射やヘイズを生じる場合がある。
dB:ブレンド領域の膜厚
dB:ブレンド領域の膜厚
dk:第k層の膜厚(nm)
bk:第k層と第k−1層の間に存在するブレンド領域の膜厚(nm)
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造の構成単位となる層の厚みは、位相差制御性の観点から、層の種類の数によらず、1つの繰り返し多層構造における各層の膜厚を層の種類ごとに略同一とすることが好ましい。
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造を構成する層の光学的異方性は、位相差制御性の観点から、層の種類ごとにできるだけ一定であることが好ましい。各層の光学的異方性については、それぞれの膜厚が光の波長よりも十分小さいことから直接観測することは一般に困難ではある。しかしながら、前述したように、各層の膜厚は、電子顕微鏡等による測定平均値を求めることができる。したがって、各層を形成する材料の固有物性である屈折率波長分散、複屈折率波長分散、繰り返し多層構造の各層の膜厚、層数、面内位相差値(R値(nm))、厚み方向位相差値(Rth値(nm))の波長分散データから、上記式(10)〜(12)もしくは上記式(13)〜(15)、またはブレンド層が存在する場合には、上記式(10‘)〜(12’)もしくは上記式(13‘)〜(15’)を用いることにより、各層の平均的な光学的異方性を求めることができる。
R=(nx−ny)d (42’)
1つの繰り返し多層構造の膜厚は、1〜300μmであることが好ましく、より好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜150μm、最も好ましくは20〜100μmである。繰り返し多層構造の膜厚が薄すぎると、十分な光学的異方性が得られない場合があり、一方で、厚すぎると、フィルムとしてロール状にできないといった問題が生じる場合がある。
本発明の位相差フィルムにおける繰り返し多層構造の数は、1つのみであってもよいが、異なる材料、異なる各層の厚み比率等を有する繰り返し多層構造が、複数積層されて含まれていてもよい。複数の繰り返し多層構造を含む場合には、材料としては同一の2種の層からなり、繰り返し構造の厚み比率のみが異なるか、厚み比率と層数が異なる複数の繰り返し多層構造が積層された構造であることがより好ましい。
本発明における位相差フィルムの反射は、「外部反射」と「内部反射」とに大別する。ここで「外部反射」とは、位相差フィルムの両表面と屈折率の異なる他の媒質との間で生じる反射であり、一般の位相差フィルムにおいても生じる現象である。一方で、「内部反射」とは、外部反射以外の反射、すなわち、フィルム表面以外における反射を指すものとする。したがって、繰り返し多層構造を含む本発明の位相差フィルムにおいては、「内部反射」とは、その多数の界面において生じる反射や干渉を指す。
本発明の位相差フィルムにおける内部反射を防ぐためには、繰り返し多層構造の構成単位となる各層の厚みを光の波長より十分に小さくする必要があるが、同時に、前述した最小繰り返し単位の厚みについても、光の波長より十分に小さくすることが好ましい。
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造においては、繰り返し多層構造を構成する少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)である。なお、前述の特許文献6に記載されている多層構造のように、繰り返し多層構造の構成単位となる各層の面内が等方性である場合には、式(10)〜(12)または式(13)〜(15)から明らかなように、得られる多層構造の法線方向にのみ光学軸を有する負の1軸性構造体しか作成することができない。
nz≧nx>ny (17)
nnx:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
nny:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸)
0.0003<|nx−ny|<0.05 (24)
0.0005<|nx−ny|<0.01 (25)
0.0007<|nx−ny|<0.007 (26)
上記記載のように、分子分極率異方性が負の高分子を用いて通常の延伸を実施すると、上記式(16)または(17)を満足するフィルムが得られる。これに対して、分子分極率異方性が正の高分子を用いて通常の延伸を実施すると、下記式(18)または(19)を満足するフィルムが得られる。
nx=ny>nz (19)
nx>nz>ny (5’)
nx:繰り返し多層構造のx軸方向における三次元屈折率
ny:繰り返し多層構造のy軸方向における三次元屈折率
nz:繰り返し多層構造のz軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
z軸:繰り返し多層構造の面に対する法線方位の軸。
Nz≦0 (21)
Nz≧1 (22)
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造においては、繰り返し多層構造を構成する少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、光学的に略等方性である層(i)である。
|nix−niy|≦0.0001 (41)
1つの繰り返し多層構造を形成する層の数は、100層以上30000層以下であることが好ましい。層の数が100層未満であると、かなり大きな屈折率差が層間に存在しないと十分な構造性複屈折が得られない場合があり、一方で、想定される目的の達成を考慮した場合に、層の数が30000層を超える光学設計は不要である。より好ましくは300層以上20000層以下であり、さらに好ましくは600層以上15000層以下であり、最も好ましくは1000層以上10000層以下である。
1つの繰り返し多層構造における各層の平均屈折率差(すなわち、負の光学的異方性を有する層(a)の平均屈折率と、光学的に略等方性である層(i)の平均屈折率との差)は、下記式(2)を満足することが好ましい。
0.02<|δn|<0.25 (31)
0.03<|δn|<0.20 (31’)
0.03<|δn|<0.15 (32)
0.05<|δn|<0.13 (32’)
0.07<|δn|<0.13 (32”)
本発明の位相差フィルムに含まれる1つの繰り返し多層構造の光学的異方性について鋭意検討を実施したところ、上記式(5)を満足するためには、繰り返し多層構造が以下の式(3)および(4)を満足することがわかった。この式(3)は、上記式(5)に、構造複屈折に関する式(10)〜(12)を組み合わせることによって得られたものである。なお、ここでの測定波長は、最も人間の視感度の高い波長である550nmとする。
d1:負の光学的異方性を有する層(a)
d2:光学的に略等方性である層(i)の一層の膜厚(nm)
n1x:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
n1y:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
n1z:負の光学的異方性を有する層(a)のz軸方向における三次元屈折率
n2x:光学的に略等方である層(i)のx軸方向における三次元屈折率
n2y:光学的に略等方である層(i)のy軸方向における三次元屈折率
n2z:光学的に略等方である層(i)のz軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
z軸:繰り返し多層構造の面に対して法線方位の軸
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造の面内位相差値(R値(nm))は、位相差フィルムの液晶表示装置への適用を考慮した場合、下記式(6)を満足することが好ましい。
30nm<R<600nm (34)
40nm<R<400nm (35)
本発明に関して、位相差フィルムが厚さ方向のリタデーションに関して逆分散性を有することは、下記の式によって示すことができる。
{λ、λ’: 測定波長(400nm≦λ<λ’≦700nmであり、好ましくはλ=450nm、かつλ’=550nm)}
上記記載のように、本発明の位相差フィルムによれば、面内位相差値(R(λ)値)と厚さ方向位相差値(Rth(λ)値)とを、別個独立に制御することが可能となる。
これに関して、例えば本発明の位相差フィルムによれば、面内位相差値(R(λ)値)に関する波長分散性{R(λ)/R(λ’)}と、厚さ方向位相差値(Rth(λ)値)に関する波長分散性{Rth(λ)/Rth(λ’)}との差が、下記の式を満たすようにすることができる。
{λ、λ’: 測定波長(400nm≦λ<λ’≦700nmであり、好ましくはλ=450nm、かつλ’=550nm)}。
d1:負の光学的異方性を有する層(a)の一層の膜厚(nm)
d2:光学的に略等方性である層(i)の一層の膜厚(nm)
n1x:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
n1y:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
n1z:負の光学的異方性を有する層(a)のz軸方向における三次元屈折率
n2x:光学的に略等方である層(i)のx軸方向における三次元屈折率
n2y:光学的に略等方である層(i)のy軸方向における三次元屈折率
n2z:光学的に略等方である層(i)のz軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
z軸:繰り返し多層構造の面に対する法線方位の軸)。
また更に、例えば本発明の位相差フィルムによれば、R(λ)/R(λ’)が1より大きく、かつRth(λ)/Rth(λ’)が1より小さい値であるようにすること、すなわち面方向のリタデーションが通常の波長分散性を示し、かつ厚さ方向のリタデーションが逆波長分散性を示すようにすることができる。ここで、測定波長λ、λ’は、400nm≦λ<λ’≦700nmであり、好ましくはλ=450nm、かつλ’=550nm)である。
d1:負の光学的異方性を有する層(a)の一層の膜厚(nm)
d2:光学的に略等方性である層(i)の一層の膜厚(nm)
n1x:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
n1y:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
n1z:負の光学的異方性を有する層(a)のz軸方向における三次元屈折率
n2x:光学的に略等方である層(i)のx軸方向における三次元屈折率
n2y:光学的に略等方である層(i)のy軸方向における三次元屈折率
n2z:光学的に略等方である層(i)のz軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
z軸:繰り返し多層構造の面に対する法線方位の軸)。
本発明の位相差フィルムでは、負の光学的異方性を有する層(a)がポリスチレン系樹脂からなっていてよい。ポリスチレン系樹脂は、光学特性、耐熱性等に関して好ましい光学材料として知られている。
本発明の位相差フィルムでは、光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなっていてよい。アクリル系樹脂は、透明性等の光学特性に関して好ましい光学材料として知られている。
本発明の位相差フィルムでは、光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなっていてよい。
本発明の位相差フィルムでは、光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなっていてよい。
上記記載のように、光学的に略等方性である層(i)のための脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂を用いることができる。ここでこのポリ乳酸系樹脂例えば、光弾性係数が、15×10−12Pa−1以下、特に12×10−12Pa−1以下、より特に8×10−12Pa−1以下である。
本発明の位相差フィルムは、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)および光学的に略等方性である層(i)以外の層を有していてもよい。すなわち、繰り返し多層構造以外に他の層を有していてもよいし、あるいは、繰り返し多層構造において、負の光学的異方性を有する層(a)および光学的に略等方性である層(i)以外に他の層を有していてもよい。
|R(X)|≦20nm、特に10nm、より特に5nm
(式中、
Re(X):波長400〜700nmの光で測定した保護層(X)の面内レターデーション(位相差フィルム用保護層が複数存在する場合には全ての位相差フィルム用保護層の面内レターデーションの総和))。
上記のように、本発明の位相差フィルムは好ましい機械的性質と光学的性質とを併せ持つことができ、したがって例えば本発明の位相差フィルムは、遅相軸方向および遅相軸方向に対する直行方向の破断伸度がいずれも6%以上、例えば7%以上または8%以上であり、光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下、例えば10×10−12Pa−1以下または5×10−12Pa−1以下であり、80<R<350nm、例えば100<R<320nmまたは130<R<300nmであり、かつ0.2<Nz<0.7、例えば0.25<Nz<0.6または0.3<Nz<0.55である、新規な位相差フィルムである。
本発明の位相差フィルムにおける分子配向性複屈折による光学的異方性の発現にあたっては、光学的異方性の制御が容易となる観点から、延伸処理を採用することが好ましい。
[積層位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、それ単独でも十分に位相差フィルムとして機能するが、必要に応じて他の位相差フィルムと組合せて用いても良い。
本発明の位相差フィルムは、偏光フィルムと積層して、積層偏光フィルムとしてもよい。図5に、積層偏光フィルムの例を示す。ここで、この図5において、51は偏光フィルムであり、52は本発明の位相差フィルムであり、53は本発明の積層偏光フィルムの光学配置であり、54は吸収軸であり、55は位相差フィルム面内の遅相軸であり、56は本発明の積層偏光フィルムである。
偏光フィルムのために保護フィルムを用い、かつこの保護フィルムとして、例えばR<10nmかつRth=30〜60nm程度の位相差特性を有するトリアセチルセルロースを用いる場合、偏光板の偏光軸と本発明の位相差フィルムの遅相軸とが、保護フィルム上において直交して配置され、かつ本発明の位相差フィルムが、下記式(351)および(352)を満足することが好ましい:
130nm<R<230nm (351)
0.2<Nz<0.5 (352)
また、本発明の位相差フィルムや積層偏光フィルムを液晶表示装置に用いることで、視野角特性等が著しく向上した液晶表示装置を得ることができる。用いることのできる液晶表示装置としては、特に限定されるものではなく、IPS、VA、TN、OCBモード等各種方式に適用することが可能である。
本発明の位相差フィルムの光弾性係数は、公知のエリプソメータ等を用いて測定される。光弾性係数の絶対値が大きいと液晶表示装置に組み込んだ場合に、位相差値のずれが発生し、コントラスト低下や液晶表示装置の暗状態において光漏れが画面においてまばらに生じ、光学的な斑が発生する場合がある。波長550nmの光で測定して、光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下であることが好ましい。より好ましくは10×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは5×10−12Pa−1以下である。繰返し多層構造において用いられる層を形成する材料の光弾性係数の符号が互いに異なっていること、例えば負の光学的異方性を有する層(a)を形成する材料と光学的に略等方性である層(i)を形成する材料の光弾性係数の符号が互いに異なっていることがより好ましい。これは、これらの層を形成する材料の光弾性係数の符号が互いに異なっていることによって、互いの層の光弾性係数を相殺して、光弾性係数の絶対値を小さくできることによる。
実施例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
面内位相差値(R(λ)値)、厚み方向位相差値(Rth(λ)値)、および、厚み方向の配向指標(Nz値)は、分光エリプソメータ(日本分光(株)製、商品名:M150)を用いた測定により求めた。R値は、入射光線とフィルム表面とが直交する状態で測定した。また、Rth値およびNz値を求めるにあたっては、入射光線とフィルム表面とがなす角度を変化させ、各角度における位相差値を測定し、公知の屈折率楕円体の式を用いてカーブフィッティングすることにより、三次元屈折率であるnx、ny、nzの数値演算を行った。なお、その際、別のパラメータとして平均屈折率nが必要となるが、これはアッベ屈折計((株)アタゴ社製、商品名:アッベ屈折計2−T)または、プリズムカプラ法(プリズムカプラメトリコン社製、商品名:プリズムカプラ MODEL2010)により測定した値を使用した。得られた三次元屈折率を、下記式(20)および(42)に代入することにより、それぞれRth値およびNz値を得た。なお、本実施例においては、特に断りが無い場合には測定波長は550nmとする。
ガラス転移点温度(Tg)は、示差走査熱量計(TA Instruments社製、商品名:DSC Q10)により測定した。
電子マイクロ膜厚計(アンリツ社製)により測定した。
ミクロトーム(ライカマイクロシステムズ(株)製、商品名:ULTRACUT−S)で位相差フィルムの断面の薄膜切片(厚さ約60nm)を作成した。次にこの切片を透過型電子顕微鏡(FEI製、商品名:TECNAI−G2)を用いて加速電圧120kVにて観察・撮影し、フィルムの厚み方向の透過電子数のラインプロファイルから、各層の厚みおよびブレンド領域の厚みについて測定した。また、ここでは例えば図72示すようにして、ブレンド領域の中間の位置における接線を用いて、ブレンド領域における2つの材料のブレンド比率の変化を直線近似した。
破断伸度は、JIS C2151−1990に準拠した方法で、23℃において幅10mmの試料フィルムについて、試長間100mmおよび引張り速度200mm/分の条件で引っ張り試験を行って、フィルムが破断した時の歪み(伸び率)から求められる値である。
溶融粘度の測定は、(株)東洋精機製作所製の商品名キャピログラフ1Bを用いて実施した。試験温度250℃、せん断速度は180sec−1とした。
フィルムに張力をかけた場合の面内位相差Rを測定し、面内位相差Rを厚みで割ることにより算出される面内複屈折Δnをy軸に、フィルムにかかる応力をx軸としてプロットした場合の傾きを光弾性定数とした。
水蒸気透過度は、フィルム厚さ100μm、温度40℃、及び相対湿度90%において、JIS K7129に準拠した赤外センサ法で評価して得られる値である。
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が85/15であるノヴァケミカル社製ダイラークD332(Tg133℃、光弾性定数5×10−12Pa−1、溶融粘度500Pa・s)を、ポリスチレン系樹脂(N1)として用いた。この樹脂からなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.006であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
アクリル系樹脂(クラレ製パラペットG、Tg103℃)60重量部とポリ乳酸(ネイチャーワークス社製の4032D、Tg60℃)40重量部とのポリマーブレンド(Tg99℃、光弾性定数−1×10−12Pa−1、溶融粘度420Pa・s)を、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンド(I1)として用いた。このポリマーブレンドからなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
それぞれの高分子材料(N1)および(I1)を、押出機にて240℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、251層のフィードブロックにて合流させ、さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることによって、各層の厚みが等しくかつ高分子材料(I1)が最表層である1501層の構造を得た。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N1)と(I1)が交互に積層された総数1501層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N1)と(I1)の押出し量が50:50になるように調整した。
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が85/15であるノヴァケミカル社製ダイラークD332(Tg133℃、光弾性定数5×10−12Pa−1、溶融粘度500Pa・s)をポリスチレン系樹脂(N2)として用いた。この樹脂からなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.006であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
アクリル系樹脂(クラレ製パラペットG、Tg103℃)90重量部とポリ乳酸(ネイチャーワークス社製の4032D、Tg60℃)10重量部とのポリマーブレンド(Tg99℃、光弾性定数−4×10−12Pa−1、溶融粘度480Pa・s)を、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンド(I2)として用いた。このポリマーブレンドからなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
それぞれの高分子材料(N2)および(I2)を、押出機にて240℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、201層のフィードブロックにて合流させ、さらに幅方向に4分割したものを厚み方向に再配置させるような4分割ダブリングを2回通過させることによって、各層の厚みが等しくかつ高分子材料(I2)が最表層である3201層の構造を得た。この構造のさらに最表層に保護層(X2)として日本ゼオン社製ゼオノア1020R(Tg105℃、水蒸気透過度1g/m2・day)を、接着層(B2)である三菱化学社製モディックAP A543を介して積層し、この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N2)と(I2)が交互に積層された保護層と接着層を含む総数3205層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N2)と(I2)の押出し量が60:40になるように調整した。
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が74/26であるポリスコープ社製SMA SZ26180(Tg160℃、光弾性定数3×10−12Pa−1、溶融粘度480Pa・s)をポリスチレン系樹脂(N3)として用いた。この樹脂からなるフィルムを165℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.004であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
武蔵野化学研究所社製L−ラクチド100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリL−乳酸(PLLA1)を得た。
それぞれの高分子材料(N3)および(I3)を、押出機にて240℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、301層のフィードブロックにて合流させた。この時、高分子材料(I3)が最表層となるようにし、最表層は調整層(Y3)として他の層の100倍の厚みとした。さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることによって、調整層以外の各層の厚みが等しい1801層の構造とした。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N3)と(I3)が交互に積層された調整層を含む総数1801層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき調整層を除く部分での高分子材料(N3)と(I3)の押出し量が40:60になるように調整した。
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
アクリル系樹脂(旭化成製デルペット980N、Tg115℃)80重量部とポリ乳酸(ネイチャーワークス社製の4032D、Tg60℃)20重量部とのポリマーブレンド(Tg102℃、光弾性定数−2×10−12Pa−1、溶融粘度510Pa・s)を、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンド(I4)として用いた。このポリマーブレンドからなるフィルムを137℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
それぞれの高分子材料(N4)および(I4)を、押出機にて260℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、299層のフィードブロックにて合流させた。この時、高分子材料(I4)が最表層となるようにし、さらにその最表層両面に保護層(X4)かつ調整層(Y4)としてクラレ製パラペットG(Tg103℃、水蒸気透過度27g/m2・day)を他の層の100倍の厚みとして形成した。さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることにより、調整層以外の各層の厚みが等しい1801層の構造とした。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N4)と(I4)が交互に積層された保護層と調整層を含む総数1801層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N4)と(I4)の押出し量が50:50になるように調整した。
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が85/15であるノヴァケミカル社製ダイラークD332(Tg133℃、光弾性定数5×10−12Pa−1、溶融粘度500Pa・s)を、ポリスチレン系樹脂(N5)として用いた。この樹脂からなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.006であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
アクリル系樹脂(クラレ製パラペットG、Tg103℃、光弾性定数−4×10−12Pa−1、溶融粘度490Pa・s)を光学的に略等方性である材料(I5)として用いた。このポリマーからなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
それぞれの高分子材料(N5)および(I5)を、押出機にて260℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、251層のフィードブロックにて合流させ、さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることによって、各層の厚みが等しくかつ高分子材料(I5)が最表層である1501層の構造を得た。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N5)と(I5)が交互に積層された総数1501層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N5)と(I5)の押出し量が60:40になるように調整した。
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が85/15であるノヴァケミカル社製ダイラークD332(Tg133℃、光弾性定数5×10−12Pa−1、溶融粘度500Pa・s)を、ポリスチレン系樹脂(N6)として用いた。この樹脂からなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.006であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
ポリ乳酸(ネイチャーワークス社製の4032D、Tg60℃、光弾性定数3×10−12Pa−1、溶融粘度320Pa・s)を光学的に略等方性である材料(I6)として用いた。このポリマーからなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
それぞれの高分子材料(N6)および(I6)を、押出機にて240℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、251層のフィードブロックにて合流させ、さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることによって、各層の厚みが等しくかつ高分子材料(I6)が最表層である1501層の構造を得た。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N6)と(I6)が交互に積層された総数1501層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N6)と(I6)の押出し量が50:50になるように調整した。
比較例1で示すようにして得られた未延伸多層フィルムを、138℃で縦2.9倍延伸した後、横3.2倍延伸することにより、繰返し多層構造を有する位相差フィルムを得た。ここでこの延伸条件は、破断伸度が小さい遅相軸に平行な方向での破断伸度が実施例の位相差フィルムの破断伸度(6.1%〜7.7%)と同様な値を有するように選択した。
以下では参考のために、設計例を記して、本発明を実施するための最良の形態をさらに詳細に説明する。各設計例においては、材料として実在の高分子を用い、当該高分子のパラメータを用いて設計を行った。
設計例1では、繰り返し多層構造が負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との2種の層からなる位相差フィルムを設計する。ここでは、負の光学的異方性を有する層(a)をA層とし、且つ光学的に略等方性である層(i)はB層とする。
ポリスチレンは負の分子分極率異方性を有するため、延伸により負の光学的異方性を発現する。計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E1に示す。
エチレン−ノルボルネン共重合体は光学的に等方性であり、得られる層は光学的に等方である。計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E2に示す。
表E3に記載した条件にて、A層とB層からなる交互多層膜(A/B/A/B/・・・・A/B)を有効媒質近似理論に基づいて計算した。計算結果を表E3および表E4に示す。ここで、表E4中のa、bは、それぞれ、A層、B層の膜厚である。なお、A層の面内の遅相軸方位と繰り返し多層構造の面内の遅相軸方位は、一致するように設定した。
表E3および表E4の計算結果から明らかなように、Nz値はすべての計算波長において上記式(5)を満足している、また、上記式(3)および(4)についても満足している。
設計例2では、繰り返し多層構造が負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との2種の層からなる位相差フィルムを設計する。ここでは、負の光学的異方性を有する層(a)をA層とし、且つ光学的に略等方性である層(i)はB層とする。
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E5に示す。
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E6に示す。
表E7に記載した条件にて、A層とB層からなる交互多層膜(A/B/A/B/・・・・A/B)を有効媒質近似理論に基づいて計算した。計算結果をが表E7および表E8に示す。ここで、表E8中のa、bは、それぞれ、A層、B層の膜厚である。なお、A層の面内の遅相軸方位と繰り返し多層構造の面内の遅相軸方位は、一致するように設定した。
設計例3では、繰り返し多層構造が負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との2種の層からなる位相差フィルムを設計する。ここでは、負の光学的異方性を有する層(a)をA層とし、且つ光学的に略等方性である層(i)はB層とする。
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E9に示す。
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E10に示す。
表E11に記載した条件にて、A層とB層からなる交互多層膜(A/B/A/B/・・・・A/B)を有効媒質近似理論に基づいて計算した。計算結果を表E11および表E12に示す。ここで、表E12中のa、bは、それぞれ、A層、B層の膜厚である。なお、A層の面内の遅相軸方位と繰り返し多層構造の面内の遅相軸方位は、一致するように設定した。
設計例4では、繰り返し多層構造が負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との2種の層からなる位相差フィルムを設計する。ここでは、負の光学的異方性を有する層(a)をA層とし、且つ光学的に略等方性である層(i)はB層とする。
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E13に示す。
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E14に示す。
表E15に記載した条件にて、A層とB層からなる交互多層膜(A/B/A/B/・・・・A/B)を有効媒質近似理論に基づいて計算した。計算結果を表E15および表E16に示す。ここで、表E16中のa、bは、それぞれ、A層、B層の膜厚である。なお、A層の面内の遅相軸方位と繰り返し多層構造の面内の遅相軸方位は、一致するように設定した。
12 第2の層
13 本発明の位相差フィルムにおける繰り返し多層構造
14 繰り返し多層構造13の屈折率楕円体
15 第1の層の屈折率楕円体
16 第2の層の屈折率楕円体
21 H層(光学等方層)
22 L層(光学等方層)
23 光学等方性である層のみからなる繰り返し多層構造
24 多層構造23の屈折率楕円体
31 第1の層
32 第2の層
33 第3の層
34 本発明の位相差フィルムにおける繰り返し多層構造
35 繰り返し多層構造34の屈折率楕円体
36 第k層(k=1〜3)の屈折率楕円体
41 厚み比率がαの繰り返し多層構造
42 厚み比率がβの繰り返し多層構造
43 2つの異なる繰り返し多層構造からなる本発明の位相差フィルム
51 偏光フィルム
52 本発明の位相差フィルム
53 本発明の積層偏光フィルムの光学配置
54 吸収軸
55 位相差フィルム面内の遅相軸
56 本発明の積層偏光フィルム
61 偏光フィルム
62 IPS液晶セル
63 本発明の位相差フィルム
64 偏光フィルム
65 吸収軸
66 液晶層の遅相軸
67 本発明の位相差フィルムの遅相軸
68 吸収軸
t1、t3 多層構造における各層の厚さ
t2、t4 多層構造におけるブレンド領域の厚さ
Claims (19)
- 平均屈折率の異なる少なくとも2種の層を構成単位とする繰り返し多層構造を含み、
前記繰り返し多層構造は、構造性複屈折を発現し、
前記少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)であり、かつ前記少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の他の層は、下記式(27)を満たす光学的に略等方性である層(i)であり:
|n ix −n iy |≦0.0003 (27)
(式中、
n ix :光学的に略等方性である(i)のx軸方向における三次元屈折率
n iy :光学的に略等方性である(i)のy軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸)
前記負の光学的異方性を有する層(a)が、ポリスチレン系樹脂からなり、かつ前記光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなる、
位相差フィルム。 - 光学的に略等方性である層(i)において、前記ポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体におけるアクリル系樹脂の割合が50質量%以上である、請求項1に記載の位相差フィルム。
- 前記繰り返し多層構造の構成単位となる各層の光学的厚み(nd(nm))が、100nm以下である、請求項1または2に記載の位相差フィルム。
- 前記繰り返し多層構造を形成する層の数が、100層以上30000層以下である、請求項1〜3いずれか一項に記載の位相差フィルム。
- 前記繰り返し多層構造が、下記式(2)を満足する、請求項1〜4いずれか一項に記載の位相差フィルム:
0.001<|δn|<0.5 (2)
(式中、δnは、負の光学的異方性を有する層(a)の平均屈折率と、光学的に略等方性である層(i)との平均屈折率との差を示す)。 - 前記負の光学的異方性を有する層(a)が、下記式(1)を満足する、請求項1〜5いずれか一項に記載の位相差フィルム:
0.0001<|nnx−nny|<0.1 (1)
(式中、
nnx:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
nny:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸) - 前記繰り返し多層構造の厚み方向の配向指標(Nz値(λ))が、下記式(5)を満足する、請求項1〜6いずれか一項に記載の位相差フィルム。
0<Nz<1 (5)
{式中、
ny:繰り返し多層構造のy軸方向における三次元屈折率
nz:繰り返し多層構造のz軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
z軸:繰り返し多層構造の面に対する法線方位の軸} - 前記繰り返し多層構造の面内位相差値(R値(nm))が、下記式(6)を満足する請求項1〜7いずれか一項に記載の位相差フィルム。
10nm<R<1000nm (6) - 高分子の多層溶融押出により多層膜を成形し、引き続き、当該多層膜を延伸して得られる、請求項1〜8いずれか一項に記載の位相差フィルム。
- 光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下であることを特徴とする、請求項1〜9いずれか一項に記載の位相差フィルム。
- 前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ乳酸系樹脂である、請求項1〜10いずれか一項に記載の位相差フィルム。
- 前記ポリスチレン系樹脂が、スチレンと無水マレイン酸との共重合体を含むポリスチレン系樹脂から作られており、前記ポリスチレン系樹脂におけるスチレン/無水マレイン酸の共重合モル比が70/30〜95/5であり、かつ前記ポリスチレン系樹脂の光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下である、請求項1〜11いずれか一項に記載の位相差フィルム。
- 下記の関係を満たす測定波長λ(nm)およびλ’(nm)(400nm≦λ<λ’≦700nm)を有する、請求項1〜12いずれか一項に記載の位相差フィルム:
|{Rth(λ)/Rth(λ’)}−{R(λ)/R(λ’)}|≧0.1 - {R(λ)/R(λ’)}が1より大きく、かつ{Rth(λ)/Rth(λ’)}が1未満である測定波長λ(nm)およびλ’(nm)(400nm≦λ<λ’≦700nm)を有する、請求項1〜13いずれか一項に記載の位相差フィルム。
- 前記繰り返し多層構造が、前記繰り返し多層構造を構成する各層の間で組成が変化しているブレンド領域を有し、かつ前記繰り返し多層構造の1周期の幅に対する前記ブレンド領域の厚みの割合が、0.1〜50%である、請求項1〜14いずれか一項に記載の位相差フィルム。
- 平均屈折率の異なる少なくとも2種の層を構成単位とする繰り返し多層構造を含み、
前記繰り返し多層構造は、構造性複屈折を発現し、
前記少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)であり、かつ前記少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の他の層は、下記式(27)を満たす光学的に略等方性である層(i)であり:
|n ix −n iy |≦0.0003 (27)
(式中、
n ix :光学的に略等方性である(i)のx軸方向における三次元屈折率
n iy :光学的に略等方性である(i)のy軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸)
前記繰り返し多層構造が、前記繰り返し多層構造を構成する各層の間で組成が変化しているブレンド領域を有し、かつ前記繰り返し多層構造の1周期の幅に対する前記ブレンド領域の厚みの割合が、0.1〜50%である、
位相差フィルム。 - 前記位相差フィルムの両面に、光学的に略等方性である保護層(X)が積層されており、かつ前記保護層(X)が、100μmのフィルム厚さについて水蒸気透過度50g/m2・day以下の熱可塑樹脂組成物(P)で作られている、請求項1〜16いずれか一項に記載の位相差フィルム。
- 請求項1〜17いずれか一項に記載の位相差フィルムと偏光フィルムとが積層された積層偏光フィルム。
- 請求項1〜17いずれか一項に記載の位相差フィルムを具備する液晶表示装置。
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