JP5430131B2 - 位相差フィルム、積層偏光フィルム、および液晶表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、積層偏光フィルム、および液晶表示装置 Download PDF

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本発明は各種の光学装置、特に液晶表示装置に好適に用いられる位相差フィルム、当該位相差フィルムを用いた積層偏光フィルム、および、液晶表示装置に関する。
従来より、光学的異方性を有するフィルムは、位相差フィルムや光学補償フィルム、視野角拡大フィルム等として広く利用され、液晶表示装置の光学性能の向上に著しく貢献してきた。本明細書においては、位相差フィルム、光学補償フィルム、視野角拡大フィルム等の光学的異方性を有するフィルムであって各種の光学装置に用いうるフィルム全てを、「位相差フィルム」として定義することとする。
このような位相差フィルムについては、要求される各種性能の向上にあたり、すでに各種の提案がなされている。とりわけ、液晶表示装置の視野角を改善する技術は、位相差フィルムにとって重要な位置づけであり、多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1〜4には、位相差フィルムの面内に平行または直交し、互いに直交する3つの方向の主屈折率(n、n、n、以下、三次元屈折率という)を制御することが記載されている。具体的には、特許文献1〜4には、厚さ方向の主屈折率(n)を、面内の2つの主屈折率(n、n)のいずれか一方よりも大きく、かつ、残りの一方よりも小さくすることが記載されている。このように3つの方向の主屈折率(n、n、n)を制御すれば、位相差フィルムの位相差の視野角依存性を制御することができ、結果として、液晶表示装置の広視野角化を実現することができる。
しかしながら、特許文献1〜4に記載された方法は、位相差フィルムを構成する高分子の配向による複屈折(以下、分子配向性複屈折という)を利用するものであるため、得られる位相差フィルムの性能には限界があった。また、厚さ方向の主屈折率(n)を面内の2つの主屈折率(n、n)の中間値とするためには、非常に複雑な延伸方法を採用する必要があった。そして、このような主屈折率を有する位相差フィルムを得るためには、複雑な延伸方法を用いていることから、位相差値の細かな制御には大きな困難性を伴い、また、位相差の波長依存性についても十分に制御できないという問題があった。
液晶表示装置の広視野角化を実現するための別の方法として、複数の位相差フィルムを粘着剤等で貼り合わせることにより、目的の効果を達成しようとする方法も提案されている。例えば特許文献5には、面内に光学軸を有する正の1軸性光学フィルムと、面内に光学軸を有する負の1軸性光学フィルムとを積層することにより、位相差フィルムの視野角依存性を改良する技術が記載されている。特許文献5の方法によれば、複雑な延伸方法を採用することなく、位相差の制御を行うことが可能となる。
しかしながら、特許文献5に記載された方法も、分子配向性複屈折のみを利用した方法であるため、得られる位相差フィルムの性能には限界があった。また、得られる光学特性は、正の1軸性光学フィルムと負の1軸性光学フィルムの2種類の光学特性の混合結果となることから、光学特性、特に位相差の波長分散を自由に制御することは困難であった。
液晶表示装置の広視野角化を実現するためのさらに別の方法として、特許文献6には、単層では位相差を発現しない屈折率の異なる2種の無機材料からなる等方性の層を交互に積層し、繰り返し多層構造を形成することにより、面内と厚さ方向とに位相差を与えて複屈折を発現する(以下、構造性複屈折という)方法が記載されている。特許文献6に記載された積層位相差フィルムは、構造性複屈折を利用して、負のCプレート(すなわち、面内の2つの主屈折率(n、n)が等しく、かつ表面に対する放線方向の主屈折率(n)が面内の2つの主屈折率(n、n)よりも小さいプレート)を液晶表示装置に利用しようとするものであり、特許文献6には、ツイストネマチック(TN)型の液晶表示装置に当該フィルムを採用して、液晶表示装置の視野角を改良する例が記載されている。
しかしながら、特許文献6に記載された方法は、構造性複屈折のみを利用した方法であるため、得られる位相差フィルムの性能には限界があった。また、特許文献6に記載された方法では、負の1軸異方性の多層構造体しか得ることができなかった。
光学分野に用いられる位相差フィルムには、さらなる性能の向上、および、より高度な位相差の制御が強く求められており、これらの要求はいまだ尽きることがない。
特開平02−160204号公報 特開平04−127103号公報 特開平05−157911号公報 特開平07−230007号公報 特開平03−024502号公報 米国特許第5196953号明細書
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明の1つの目的は、位相差を高い制御性で制御することができ、かつ位相差の波長依存性についても十分に制御することができ、それによって液晶表示装置に採用した場合に高いレベルでの広視野角化を実現することのできる位相差フィルムを提供することにある。
また、本発明の他の1つの目的は、広視野角化を実現することのできる積層偏光フィルム、および、視野角が大幅に拡大した液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、下記に示す本発明に想到した。
本発明の位相差フィルムは、構造性複屈折と分子配向性複屈折の両者を同時に使用するものである。具体的には、本発明の位相差フィルムは、平均屈折率の異なる少なくとも2種の層(11、12)を構成単位とする繰り返し多層構造(13)を含み、この繰り返し多層構造は、構造複屈折を発現し、また少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)であり、かつ少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の他の層は、光学的に略等方性である層(i)である。
ここで、この本発明の位相差フィルムでは、(I)負の光学的異方性を有する層(a)が、ポリスチレン系樹脂からなり、かつ光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなり、かつ/または(II)繰り返し多層構造が、繰り返し多層構造を構成する各層の間で組成が変化しているブレンド領域を有し、かつ繰り返し多層構造の1周期の幅に対するブレンド領域の厚みの割合が、0.1〜50%である。
また、本発明の位相差フィルムは、遅相軸方向および遅相軸方向に対する直行方向の破断伸度がいずれも6%以上であり、光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下であり、80<R<350nmであり、かつ0.2<Nz<0.7である位相差フィルムである。
本発明の積層偏光フィルムは、本発明の位相差フィルムと偏光フィルムとが積層されてなる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の位相差フィルムを具備してなる。
本発明の位相差フィルムは、分子配向性複屈折と構造性複屈折との両者を同時に使用しているので、著しく向上した位相差の制御性を有する。
また、本発明の位相差フィルムでは、構造性複屈折を発現するための繰り返し多層構造を構成する層として、少なくとも1種の負の光学的異方性を有する層と、少なくとも別の1種の光学的に略等方性の層とを用いているので、従来得ることが困難であった光学的異方性を実現することが容易となり、また設計にあたって考慮すべきパラメータが少なくなるので位相差制御性が改良される。
したがって例えば本発明の位相差フィルムによれば、複雑な配向処理を行うことなく、厚さ方向の主屈折率(n)を面内の2つの主屈折率(n、n)の中間の値とすることができる。
また例えば、本発明の位相差フィルムによれば、分子配向性複屈折と構造性複屈折との両者を同時に使用することで、位相差の波長依存性についても十分に制御することができ、すわなち、本発明の位相差フィルムによれば、面内位相差値(R(λ)値)と厚さ方向位相差値(Rth(λ)値)とを、別個独立に制御することが可能となる。
本発明の位相差フィルムでは、負の光学的異方性を有する層(a)がポリスチレン系樹脂からなっており、また光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなる。
これによれば、ポリスチレン系樹脂とアクリル系樹脂との相溶性によって、負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との間にブレンド領域または層を形成して、層剥離を抑制しつつ、アクリル系樹脂に脂肪族ポリエステル系樹脂を加えてポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体とすることによって、ブレンド領域または層が過剰に厚くなるのを抑制して、繰り返し多層構造における構造性複屈折の発生を促進できる。すなわち、本発明の位相差フィルムでは、延伸時の層剥離を抑制しつつ、必要な構造性複屈折を得ることが可能になる。
本発明の位相差フィルムでは、繰り返し多層構造が、繰り返し多層構造を構成する各層の間で組成が変化しているブレンド領域を有し、かつ繰り返し多層構造の1周期の幅に対するブレンド領域の厚みの割合が、0.1〜50%である。
これによれば、繰り返し多層構造の1周期の幅に対するブレンド領域の厚みの割合を適切に制御することによって、ブレンド領域の存在によって延伸時等の層剥離を抑制しつつ、必要な構造性複屈折を得ることが可能になる。
ここで、後述するように、構造性複屈折は、繰り返し多層構造の面に対する法線方向の屈折率を小さくするように作用するものである。したがって例えば本発明の位相差フィルムによれば、2軸延伸等によって位相差フィルムを2軸配向させて、位相差フィルムに必要な機械的強度を与えつつ、2軸配向によってもたらされる分子配向複屈折による厚さ方向の主屈折率(n)の増加を、構造性複屈折で打ち消して、厚さ方向の主屈折率(n)を面内の2つの主屈折率(n、n)の中間の値とすることができる。
上記のように、本発明の位相差フィルムは好ましい機械的性質と光学的性質とを併せ持つことができ、したがって例えば本発明の位相差フィルムは、遅相軸方向および遅相軸方向に対する直行方向の破断伸度がいずれも6%以上であり、光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下であり、80<R<350nmであり、かつ0.2<Nz<0.7である、新規な位相差フィルムである。
本発明の位相差フィルムは、多様な光学的特性を提供することを可能にするものである。したがって、本発明の位相差フィルムと偏光フィルムとを積層すれば、高いレベルの視野角拡大性能を有する積層偏光フィルムを得ることができる。
また、本発明の位相差フィルムと液晶セルとを組み合わせることにより、表示性能、特に視野角特性を著しく改善した液晶表示装置を得ることができる。
<位相差フィルム>
本発明の位相差フィルムは、構造性複屈折と分子配向性複屈折の両者を同時に使用するものである。具体的には、本発明の位相差フィルムは、平均屈折率の異なる少なくとも2種の層(11、12)を構成単位とする繰り返し多層構造(13)を含み、この繰り返し多層構造は、構造複屈折を発現し、また少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)であり、かつ少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の他の層は、光学的に略等方性である層(i)である。
ここで、この本発明の位相差フィルムでは、(I)負の光学的異方性を有する層(a)が、ポリスチレン系樹脂からなり、かつ光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなり、かつ/または(II)繰り返し多層構造が、繰り返し多層構造を構成する各層の間で組成が変化しているブレンド領域を有し、かつ繰り返し多層構造の1周期の幅に対するブレンド領域の厚みの割合が、0.1〜50%である。
なお、構造性複屈折を効果的に発現させるためには、各層の膜厚は光の波長よりも十分に小さい必要があり、その結果、本発明の位相差フィルムは、繰り返し多層構造に起因する内部反射が、可視光領域において実質的に存在しない位相差フィルムである。
ここで、本発明においては、位相差フィルム、光学補償フィルム、視野角拡大フィルム等の光学的異方性を有するフィルムであって各種の光学装置に用いうるフィルムの全てを、「位相差フィルム」として定義することとする。
[従来の位相差フィルムとの比較]
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造の構成単位となる各層の厚みは、構造性複屈折を発現するとともに、多層構造に起因する内部反射を可視光領域において実質的に存在させないために、可視光の波長よりも十分に小さくする必要がある。本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造の構成単位となる各層の厚みは非常に薄いので、本発明の位相差フィルムは、繰り返し多層構造を形成して初めて位相差フィルムとしての機能を発現するものである。
また、従来の位相差フィルムにおいても、複数の位相差フィルムを積層させて用いる場合があったが、この場合においても、構造性複屈折と分子配向性複屈折の両方を同時に利用して高度な光学的異方性を制御するものではなかった。したがって、本発明の位相差フィルムと、位相差フィルムを単に複数枚積層させて使用する従来技術の位相差フィルムとでは、設計思想が根本的に異なっている。
[分子配向性複屈折と構造性複屈折]
本発明における「分子配向性複屈折」とは、分子あるいは原子の配向または配列により発現される、屈折率の光の伝播方向による相違、すなわち複屈折であり、高分子や液晶等の配向、結晶性物質による配向等により発現する光学的異方性である。
分子配向性複屈折による光学的異方性を有する場合には、媒質を屈折率楕円体で近似し、三次元屈折率n、nおよびnで表記した場合に、この3つの屈折率のうち少なくとも1つの屈折率が他の2つの屈折率と異なっている状態となる。位相差フィルムでは、この3つの屈折率のうち、面内の屈折率であるnおよびnの値が異なる状態となれば、面内において分子配向性複屈折が存在する状態となる。
一方、「構造性複屈折」とは、上記の分子配向性複屈折とは異なり、分子あるいは原子レベルでは配向していなくても、屈折率の異なる媒体が光の波長よりも十分に小さいサイズの繰り返し構造体を形成することにより発現する光学的異方性を指す。
本発明において、構造性複屈折を発現させるためには、平均屈折率の異なる少なくとも2種の層の繰り返し多層構造を形成する必要がある。さらに、この繰り返し多層構造においては、屈折率の異なる層間の界面が、フィルム表面に略平行であることが好ましい。
[位相差フィルムの光学的異方性発現の原理]
以下に、本発明の位相差フィルムの光学的異方性の発現原理を記す。
なお、本発明に関して、1軸性の位相差フィルムの場合には、屈折率楕円体近似における異常光屈折率方位を「光学軸」方位と定義する。一方で、2軸性の場合には、本発明においては「光学軸」を定義しない。また、いずれの場合においても、媒質面内の最大屈折率方位を「遅相軸」と呼ぶ。
本発明の位相差フィルムは、構造性複屈折と分子配向性複屈折を高度に融合して用いている。このため、本発明の位相差フィルムは、他の従来の位相差フィルム、例えば構造性複屈折を有する部分と分子配向性複屈折を有する部分が同時に存在していたとしても、それらが光学的に独立して存在し、光学的に単純な2つの光学的異方性媒質の組み合わせとなって作用する他の従来の位相差フィルムとは、構造が大きく異なっている。本発明の位相差フィルムでは、構造性複屈折と分子配向性複屈折とが高度に融合し、その結果、得られる繰り返し多層構造は光学的に1つの光学的異方性媒質となる。そしてこれは、本発明のような繰り返し多層構造を用いることで初めて実現することができるものである。
本発明の位相差フィルムは、1つの光学的異方性媒質であることから、測定波長が決定されれば3つの三次元屈折率(n、n、n)のみで光学的異方性を表現することができ、そして、この三次元屈折率を自由に制御することができる。したがって、従来は得ることが困難であった、あるいは、従来は得ることが不可能であった特性の位相差フィルムについても、制御して得ることができる。
ここで、本発明との対比説明のために、前述の特許文献6に記載されている多層構造について説明する。図2は、特許文献6に記載されている多層構造の概略図である。特許文献6における多層構造は、各層が光学的に等方性の構造である。ここで図2において、21はH層(光学等方層)であり、22はL層(光学等方層)であり、23は光学等方性である層のみからなる繰り返し多層構造であり、24は多層構造23の屈折率楕円体である。
図2に示される構成の光学的異方性媒質の屈折率異方性は、以下の式(7)および(8)で表される。これらの式の根拠は、「有効媒質近似理論」を基にしている。この理論は、光の波長よりも十分に小さい繰り返し多層構造においては、屈折率が平均化されるというものである。各層の膜厚が光の波長より十分に小さく、かつ、屈折率の異なる2種の層の繰り返し多層構造を形成し、かつ、各層間の界面が媒体の表面に平行である際には、以下の式(7)および(8)が成立することが知られている。
ここで、n、nはそれぞれ、図2の媒質23の常光屈折率、異常光屈折率である。
図2の24は、媒質23の屈折率楕円体を表しており、屈折率楕円体24で示したn、nの方向は、媒質23のn、nの方向と一致する。d、d、n、nはそれぞれ、H層の膜厚21、L層の膜厚22、H層の屈折率、L層の屈折率を示す。式(7)および(8)から数学的に明らかであるが、2つの層の屈折率が異なる条件下においては、以下の式(9)が成り立つ。
式(9)は、図2の媒質23が負の1軸異方性を示すこと、すなわち厚さ方向の屈折率が面方向の屈折率よりも小さくなることを表す。
次に、本発明の位相差フィルムの多層構造の模式図を、図1に記す。ここで図1において、11は第1の層であり、12は第2の層であり、13は本発明の位相差フィルムにおける繰り返し多層構造であって、平均屈折率の異なる2種の層11および12が交互に積層されており、14は繰り返し多層構造13の屈折率楕円体であり、15は、第1の層の屈折率楕円体であり、16は第2の層の屈折率楕円体である。
図1に示すような本発明の繰り返し多層構造において、層を形成するいずれの媒質も光学的異方性が屈折率楕円体により近似でき、かつ、有効媒質近似が適用できる場合、繰り返し多層構造の三次元屈折率は、式(7)および(8)を拡張して、以下の式(10)〜(12)ように導出される。
式中、
、n、n:図1における繰り返し多層構造13の三次元屈折率であり、それぞれ屈折率楕円体14の直交座標のx軸、y軸、z軸方向における三次元屈折率
x軸方向:繰り返し多層構造13の面内に光学的異方性が存在する場合には、面内の遅相軸方向
y軸方向:繰り返し多層構造13の面内におけるx軸方向に垂直な方位(すなわち、x軸およびy軸で形成される平面は、繰り返し多層構造13の表面に平行)
z軸方向:繰り返し多層構造13の面に対する法線方向
1x、n1y、n1z:図1における負の光学的異方性を有する層11についての、屈折率楕円体15で示される三次元屈折率であり、それぞれ直交座標のx軸、y軸およびz軸方向における屈折率(層11の面内に光学的異方性が存在する場合には、その屈折率が最大の方位となる軸である遅相軸は、x軸またはy軸のいずれかに平行であると定義する)
2x、n2y、n2z:図1における負または略等方の光学的異方性を有する層12についての、屈折率楕円体16で示される三次元屈折率であり、それぞれ直交座標のx軸、y軸およびz軸方向における屈折率(層12の面内に光学的異方性が存在する場合には、その屈折率が最大の方位となる軸である遅相軸は、x軸またはy軸のいずれかに平行であると定義する)
、d:それぞれ層11および層12の膜厚(nm)
本発明においては特に断りが無い限り、1つの繰り返し多層構造の三次元屈折率の定義は、上記のとおりとする。
すなわち、上記式(10)〜(12)で示されているように、本発明の位相差フィルムでは、層構造に起因する構造性複屈折と各層の分子配向性複屈折の双方によって繰り返し多層構造の光学的異方性が決定されている。したがって、本発明によれば、これら双方の特性を用いることにより、構造性複屈折が存在しない場合よりもz軸方向(すなわち繰り返し多層構造の面に対する法線方向または厚さ方向)の屈折率を小さくして、従来には実現が非常に困難であった特異的な光学的異方性を得ることが可能となる。
さらに、上記式(10)〜(12)は波長に依存している。層構造による構造性複屈折と各層の分子配向性複屈折とは一般に、互いに異なる波長分散特性を有していることから、これら双方を制御することにより、従来には実現しえなかった波長分散特性を得ることが可能となる。
これに対して、上記記載のように、各層すべてが光学的に等方性である特許文献6に記載された繰り返し多層構造では、式(9)で表される異方性しか得ることができない。このため、特許文献6に記載された繰り返し多層構造では、本発明の繰り返し多層構造と比べて、異方性の制御性に欠けることが理解できる。
なお、本発明によるより具体的な光学的異方性の例については、後述する設計例および実施例において詳述する。
<繰り返し多層構造>
本発明の位相差フィルムは、平均屈折率の異なる少なくとも2種の層を構成単位とする繰り返し多層構造を含む。本発明においては、繰り返し多層構造によって、構造性複屈折を発現する。
[繰り返し多層構造を構成する層の種類の数]
本発明の位相差フィルムに含まれる繰返し多層構造は、平均屈折率の異なる少なくとも2種の層を構成単位としていればよく、互いに屈折率の異なる3種以上の層を構成単位として含んでもよい。しかしながら、光学的異方性の制御性の容易さ、特に作成上の容易さの観点から、1つの繰り返し多層構造における平均屈折率の異なる層の種類は、2種であることが好ましい。
上記した図2および式(10)〜(12)は、2種の平均屈折率の異なる層を構成単位とする繰り返し多層構造の場合について示している。繰り返し多層構造が、2種の屈折率の異なる層Aと層Bのみを含む場合には、層Aと層Bの配列としては、(AB)(AB)(AB)・・・・(AB)のように、常に層Aと層Bの順番が同じ場合、(AB)(BA)(AB)・・・・(BA)のように、層Aと層Bの順番が規則的あるいはランダムに異なる場合が挙げられ、本発明の光学性能を得る上では、いずれの配列であってもよい。ここで、( )内は最小繰り返し単位を示しているが、位相差制御性の観点からは、最小繰り返し単位における層Aと層Bの順列は、1つの繰り返し多層構造では一定であることが好ましい。
図3は、3種の層が構成単位となる繰り返し多層構造を示す図である。ここでこの図3において、31は第1の層であり、32は第2の層であり、33は第3の層であり、34は本発明の位相差フィルムにおける繰り返し多層構造であり、35は繰り返し多層構造34の屈折率楕円体であり、36は第k層(k=1〜3)の屈折率楕円体である。
3種以上の層の繰り返し多層構造の構成は、例えば3種の屈折率の異なる層A、層B、層Cがあるとすれば、(A/B/C)/(A/B/C)/(A/B/C)/・・・(A/B/C)、(A/B/C)/(B/C/A)/(A/B/C)/・・・(C/B/A)等である。すなわち、上記同様に( )内は最小繰り返し単位を示しているが、最小繰り返し単位における層A、層B、層Cの順列は問わない。しかしながら、製造の容易性や位相差制御性の観点から、最小繰り返し単位の順列は、繰り返し多層構造においてすべて同じであることが好ましい。
ここで、平均屈折率の異なる2種の層の繰り返し多層構造についての式である上記式(10)〜(12)を、平均屈折率の異なるn種類の層の繰り返し多層構造に拡張すると、下記の式(13)〜(15)が得られる。
式中、
、n、n:図3における繰り返し多層構造34についての、屈折率楕円体35で示される三次元屈折率であり、それぞれ直交座標のx軸、y軸、z軸方向における屈折率
x軸方向:繰り返し多層構造34の面内に光学的異方性が存在する場合には、面内の遅相軸方向
y軸方向:繰り返し多層構造の面内におけるx軸方向に垂直な方位(すなわち、x軸およびy軸で形成される平面は、繰り返し多層構造34の表面に平行となる)
z軸方向:繰り返し多層構造34の面に対する法線方向
kx、nky、nkz:図3における第k層(例えば、図中31、32または33)についての、屈折率楕円体36で示される三次元屈折率であり、それぞれ直交座標のx軸、y軸、z軸方向における屈折率(第k層の面内に光学的異方性が存在する場合には、その遅相軸は、x軸またはy軸のいずれかに平行であると定義する)
:第k層の膜厚(nm)。
[層間ブレンド領域]
繰り返し多層構造の各層の間に、各層を形成する材料が混ざり合ったブレンド領域が存在してもよい。特に多層溶融押出によって繰返し多層構造を作成した場合には、押出条件や用いた材料等によっては、このような領域が存在する場合がある。ただし、ブレンド領域の膜厚は光の波長より十分小さい必要がある。光の波長より十分小さくない場合には内部反射やヘイズを生じる場合がある。
ブレンド領域の厚みは、走査電子顕微鏡や透過電子顕微鏡などの電子顕微鏡で繰返し多層構造の断面を観察することによって、確認することができる。例えば、透過電子顕微鏡による透過電子数の厚み方向のラインプロファイルによって、各層厚みとブレンド領域厚みを確認することができる。
各層厚みとブレンド領域厚みについての具体例を図7に示す。ここで、図7(a)は、繰り返し多層構造の厚さ方向断面についての、透過電子顕微鏡写真であり、図7(b)は、図7(a)の領域Pについての透過電子数のラインプロファイルである。
ブレンド領域、すなわち繰り返し多層構造を構成する各層の間で組成が変化している領域においては、2つの材料のブレンド比率は厚み方向に対してほぼ線形に変化していると考えることができる。したがって、この図7(b)において、ラインプロファイルのフラットな部分の幅(tおよびt)が、負の光学的異方性を有する層(a)および光学的に略等方性である層(i)の厚みとなり、かつ傾斜している部分の幅(tおよびt)がブレンド領域の厚みとなる。なお、ここでは、ブレンド領域の中間の位置における接線を用いて、ブレンド領域における2つの材料のブレンド比率の変化を直線近似している。
ブレンド領域の比率は、多層構造の1周期の幅(t+t+t+t)に対するブレンド領域の厚み(tおよびt)の割合{(t+t)/(t+t+t+t)}として表すことができる。ここで、この割合の値は、意図する剥離強度、構造性複屈折の大きさ等に依存して決定することができる。すなわち、多層構造の1周期の幅に対するブレンド領域の厚みの割合が大きい場合には、各層間の密着性が向上して剥離強度が大きくなり、反対にブレンド領域の厚みの割合が小さい場合には、比較的大きい構造性複屈折を得ることができる。本発明の位相差フィルムでは、ブレンド領域の厚みの割合は、例えば、0.1〜50%、0.3〜40%、0.5〜30%、0.7〜25%、1〜20%、1〜15%、または1〜10%とすることができる。
上記のように、ブレンド領域においては2つの材料のブレンド比率は厚み方向に対してほぼ線形に変化していると考えることができる。したがって、ブレンド領域の光学異方性は線形に変化する構成分率により記述できることから、ブレンド領域が存在する場合においては式(7)および(8)はそれぞれ、下記式(7‘)および(8’)のように表される。
式中、
:ブレンド領域の膜厚
上記式(7‘)および(8’)から数学的に理解されるように、ブレンド領域の膜厚dが大きくなるにしたがって、nとnとの差(n−n)、すなわち得られる構造性複屈折の程度が小さくなる。
ブレンド領域比率Bと構造性複屈折n−nとの関連について例示するために、上記式(7‘)および(8’)において、下記の関係を仮定する。
この場合、ブレンド領域比率Bと構造性複屈折n−nとの関連は下記のようになることが、計算によって示される:
この具体的な計算例からも、ブレンド領域比率B又はブレンド領域の膜厚dが大きくなるにしたがって、nとnとの差(n−n)、すなわち得られる構造性複屈折の程度が小さくなることが理解される。
ブレンド領域を考慮した場合、式(7)および(8)と同様に、式(10)〜(12)もそれぞれ下記式(10‘)〜(12‘)のように変形できる。下記式(10‘)〜(12‘)においても、ブレンド領域の膜厚dが大きくなるにしたがって、nとnとの差、すなわち得られる構造性複屈折の程度が小さくなることが、数学的に理解される。
式中、
:ブレンド領域の膜厚
この考え方はさらにn種類の層の繰返し多層構造においても各層間にブレンド領域があるとして適用することができ、上記式(13)〜(15)はそれぞれ、下記式(13‘)〜(15’)のように変形できる。下記式(13‘)〜(15’)においても、ブレンド領域の膜厚dが大きくなるにしたがって、nとnとの差、すなわち得られる構造性複屈折の程度が小さくなることが、数学的に理解される。
式中、
:第k層の膜厚(nm)
:第k層と第k−1層の間に存在するブレンド領域の膜厚(nm)
ブレンド領域の存在により密着性が向上したり、各層の層厚の変動に対して位相差フィルム全体の光学特性が変動しにくくなったりする効果がある。しかし、上式(10’)〜(12’)、および(13’)〜(15’)について記載のように、ブレンド領域が多くなるにつれて、構造性複屈折は小さくなるため、各層を形成する材料の屈折率や目的とする光学特性を満足する範囲でブレンド領域の厚みを調整することが好ましい。
本発明の位相差フィルムでは、負の光学的異方性を有する層(a)および光学的に略等方性である層(i)のための材料を適切に選択することによって、ブレンド領域の膜厚を調節することができる。すなわち本発明の位相差フィルムでは、上記記載のように、ポリスチレン系樹脂とアクリル系樹脂との相溶性によって、負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との間にブレンド領域または層を形成して、層剥離を抑制しつつ、アクリル系樹脂に脂肪族ポリエステル系樹脂を加えてポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体とすることによって、ブレンド領域または層が過剰に厚くなるのを抑制して、繰り返し多層構造における構造性複屈折の発生を促進できる。
また、ブレンド領域の膜厚は、例えば多層溶融押出法を用いて繰り返し多層構造を作る場合、多層化した後でダイから押し出すまでの滞留時間、層流の状態等により調整可能である。
また、ブレンド領域が多くなった結果、単独材料の層がなくなりブレンド領域のみとなり、繰り返し多層構造が、屈折率勾配の連続体となってもよい。その場合においても式(7’)および(8’)は、ブレンド領域の中で高屈折率材料のブレンド比率が最も高い部分の屈折率をnとし、低屈折率材料のブレンド比率が最も高い部分の屈折率をnとすることにより、同様に扱う事ができる。式(10‘)〜(12’)および式(13‘)〜(15’)においても同様に扱える。
[繰り返し多層構造の構成単位となる層の厚み]
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造の構成単位となる層の厚みは、位相差制御性の観点から、層の種類の数によらず、1つの繰り返し多層構造における各層の膜厚を層の種類ごとに略同一とすることが好ましい。
また、同じ種類の層については、同じ種類の層の膜厚の平均である平均値からのずれが、±50%以下の範囲となるようにすることが好ましい。この平均値からのずれは、より好ましくは±40%以下、さらに好ましくは30%以下、最も好ましくは10%以下である。
なお、各層の厚みは、走査電子顕微鏡や透過電子顕微鏡等の電子顕微鏡により、繰り返し多層構造の断面を観察することで確認することができる。また、上記式(10)〜(12)、および式(13)〜(15)から明らかなように、繰り返し多層構造における異なる種類の層の厚みの比は、繰り返し多層構造全体の三次元屈折率にとって重要である。
[繰り返し多層構造の構成単位となる層の光学的異方性]
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造を構成する層の光学的異方性は、位相差制御性の観点から、層の種類ごとにできるだけ一定であることが好ましい。各層の光学的異方性については、それぞれの膜厚が光の波長よりも十分小さいことから直接観測することは一般に困難ではある。しかしながら、前述したように、各層の膜厚は、電子顕微鏡等による測定平均値を求めることができる。したがって、各層を形成する材料の固有物性である屈折率波長分散、複屈折率波長分散、繰り返し多層構造の各層の膜厚、層数、面内位相差値(R値(nm))、厚み方向位相差値(Rth値(nm))の波長分散データから、上記式(10)〜(12)もしくは上記式(13)〜(15)、またはブレンド層が存在する場合には、上記式(10‘)〜(12’)もしくは上記式(13‘)〜(15’)を用いることにより、各層の平均的な光学的異方性を求めることができる。
なお、面内位相差値(R値(nm))は、下記の式(42’)で定義される。
R=(n−n)d (42’)
また、厚み方向位相差値(Rth(nm))は、下記式(42)で定義される。
また、前述の「有効媒質近似理論」の考え方によれば、1つの繰り返し多層構造については、式(10)〜(12)もしくは式(13)〜(15)、または式(10‘)〜(12’)もしくは式(13‘)〜(15’)で表されるように、波長を特定すれば、1組の三次元屈折率により、その光学的異方性を表すことができる。したがって、本発明において、繰り返し多層構造の面内位相差値(R値)、厚み方向位相差値(Rth値)、厚み方向の配向指標(Nz値)等の三次元屈折率を用いたパラメータは、特に断りの無い限り、1つの繰り返し多層構造についての数値であるとする。
[繰り返し多層構造の厚み]
1つの繰り返し多層構造の膜厚は、1〜300μmであることが好ましく、より好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜150μm、最も好ましくは20〜100μmである。繰り返し多層構造の膜厚が薄すぎると、十分な光学的異方性が得られない場合があり、一方で、厚すぎると、フィルムとしてロール状にできないといった問題が生じる場合がある。
[繰り返し多層構造の数]
本発明の位相差フィルムにおける繰り返し多層構造の数は、1つのみであってもよいが、異なる材料、異なる各層の厚み比率等を有する繰り返し多層構造が、複数積層されて含まれていてもよい。複数の繰り返し多層構造を含む場合には、材料としては同一の2種の層からなり、繰り返し構造の厚み比率のみが異なるか、厚み比率と層数が異なる複数の繰り返し多層構造が積層された構造であることがより好ましい。
図4は、層の材料として、A、Bの2種のみを用い、厚み比率がαの繰り返し多層構造41と、厚み比率がβの繰り返し多層構造42が積層された位相差フィルム43である。
図4においては、繰り返し多層構造を2つとしたが、本発明においては2つ以上の繰り返し多層構造を含んでいてもよく、用途に応じて最適化すればよい。ただし、多層構造の数が増加するに伴って位相差フィルムの厚みが増加してしまうことから、繰り返し多層構造の数としては、好ましくは5つ以下、より好ましくは3つ以下、最も好ましくは2つ以下である。
なお、複数の繰り返し多層構造を有する位相差フィルムであっても、例えば、公知のフィードブロックを用いた多層溶融押出法にて膜厚を制御することで、一度に成形することが可能である。
[繰り返し多層構造に起因する内部反射]
本発明における位相差フィルムの反射は、「外部反射」と「内部反射」とに大別する。ここで「外部反射」とは、位相差フィルムの両表面と屈折率の異なる他の媒質との間で生じる反射であり、一般の位相差フィルムにおいても生じる現象である。一方で、「内部反射」とは、外部反射以外の反射、すなわち、フィルム表面以外における反射を指すものとする。したがって、繰り返し多層構造を含む本発明の位相差フィルムにおいては、「内部反射」とは、その多数の界面において生じる反射や干渉を指す。
本発明の位相差フィルムは、繰り返し多層構造に起因する内部反射が、可視光領域において実質的に存在しないことが必要である。具体的には、内部反射率で2%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
なお、本発明における「内部反射率」は、測定波長550nmでの値をいい、例えば、分光光度計を用いた反射率および透過率の測定結果に基づき、表面起因の外部反射を差し引いて求めることができる。
また、本発明の位相差フィルムは、可視光領域において、吸収が生じないことが好ましい。吸収は、用いる材料の吸収係数の波長依存性に依存するため、可視光に吸収がない材料を選択することが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムは、可視光領域において、散乱が生じないことが好ましい。散乱は、位相差フィルムの偏光特性を劣化させるものであり、一般に、光の波長に近いサイズの構造に起因して発現する。本発明においては、繰り返し多層構造の界面が位相差フィルム表面に平行でなく、すなわち、繰り返し多層構造の界面が乱れている場合には、散乱が生じる場合がある。したがって、本発明においては、繰り返し多層構造を形成する各界面が、位相差フィルム表面に平行に揃うことが好ましい。なお、散乱を観察する手法としてはヘイズ測定が挙げられ、ヘイズ値としては好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下、最も好ましくは0.8%以下である。
[繰り返し多層構造の構成単位となる層の光学的厚み(nd(nm))]
本発明の位相差フィルムにおける内部反射を防ぐためには、繰り返し多層構造の構成単位となる各層の厚みを光の波長より十分に小さくする必要があるが、同時に、前述した最小繰り返し単位の厚みについても、光の波長より十分に小さくすることが好ましい。
ここで、干渉効果は、層の屈折率nと厚みdとの積nd(光学的厚み)に依存するため、繰り返し多層構造の構成単位となる各層の光学的厚みnd(nm)は、可視光の下限である400nmの1/4である100nm以下であることが好ましい。より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは70nm以下、特に好ましくは60nm以下、最も好ましくは50nm以下である。
[分子配向複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)]
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造においては、繰り返し多層構造を構成する少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)である。なお、前述の特許文献6に記載されている多層構造のように、繰り返し多層構造の構成単位となる各層の面内が等方性である場合には、式(10)〜(12)または式(13)〜(15)から明らかなように、得られる多層構造の法線方向にのみ光学軸を有する負の1軸性構造体しか作成することができない。
ここで、本発明において「負の光学的異方性を有する」とは、三次元屈折率が下記式(16)または(17)を満足するものと定義する。
>n=n (16)
≧n>n (17)
式(16)および(17)において、nおよびnは、層の面内に平行で、かつ、互いに直交する方向における屈折率であって、nは、面内における最大の屈折率(遅相軸方位の屈折率)と定義する。また、nは、層の面に対する法線方向における屈折率と定義する。なお、本発明においてより好ましくは、より複雑な光学的異方性が得られることから、層の面内に光学的異方性を有する状態を示す式(17)を満足する。
上記式(9)で示されるように、単純な光学等方性の層のみを構成単位とする繰り返し多層構造の構造体は、構造体の面内方向の屈折率よりも、面に対する法線方向における屈折率のほうが小さい。すわなち、繰り返し多層構造による構造性複屈折だけでは、法線方向における屈折率を面内方向における屈折率よりも大きくすることはできない。
これに対して本発明においては、式(16)または(17)、好ましくは式(17)のような負の光学的異方性を有する層(a)を繰り返し多層構造の構成単位として導入することで、法線方向と面内方向の屈折率差を自由に制御することが可能となる。
さらに、負の光学的異方性を有する層(a)の三次元屈折率が、上記式(17)を満足する場合には、負の光学的異方性を有する層(a)のnnx、nnyの関係が下記式(1)を満足することが好ましい。|nnx−nny|が0.0001以下の場合には、繰り返し多層構造において十分な面内異方性が得られず、0.1以上の場合には、位相差制御性が悪化する場合があるため好ましくない。
0.0001<|nnx−nny|<0.1 (1)
(式中、
nx:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
ny:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸)
|n−n|の値は、より好ましくは、下記式(24)を満足する範囲であり、さらに好ましくは、下記式(25)を満足する範囲であり、最も好ましくは、下記式(26)を満足する範囲である:
0.0003<|n−n|<0.05 (24)
0.0005<|n−n|<0.01 (25)
0.0007<|n−n|<0.007 (26)
[繰り返し多層構造の厚さ方向の配向指標(Nz値)]
上記記載のように、分子分極率異方性が負の高分子を用いて通常の延伸を実施すると、上記式(16)または(17)を満足するフィルムが得られる。これに対して、分子分極率異方性が正の高分子を用いて通常の延伸を実施すると、下記式(18)または(19)を満足するフィルムが得られる。
>n≧n (18)
=n>n (19)
ここで、本発明においては、式(18)または(19)を満足することを、「正の光学的異方性を有する」と定義する。なお、式(18)および(19)における三次元屈折率の定義は、上記式(16)および(17)における定義と同一とする。
ここで、上記記載のように、当該技術分野では、液晶表示装置の広視野角化に関して、下記の式(5’)に示すように、位相差フィルムの厚さ方向の主屈折率(n)を、位相差フィルムの面内の2つの主屈折率(n、n)の一方よりも大きくし、かつ残りの一方よりも小さくすることが行われている。
>n>n (5’)
この式(5’)で示される関係は、以下の式(20)に示すようにして定義される厚さ方向の配向指標(Nz値)を用いると、式(5)で示すことができる。
式中、
:繰り返し多層構造のx軸方向における三次元屈折率
:繰り返し多層構造のy軸方向における三次元屈折率
:繰り返し多層構造のz軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
z軸:繰り返し多層構造の面に対する法線方位の軸。
1>Nz>0 (5)
ここで、厚さ方向の配向指標(Nz値)を用いて、フィルムが「負の光学的異方性を有する」ことを意味する式(16)および(17)表すと、下記式(21)が得られる。
Nz≦0 (21)
また、厚さ方向の配向指標(Nz値)を用いて、フィルムが「正の光学的異方性を有する」ことを意味する式(18)および(19)表すと、下記式(22)が得られる。
Nz≧1 (22)
したがって、上記式(5)で特定される範囲の厚さ方向の配向指標(Nz値)は、通常の高分子フィルムの延伸では得られないこととなる。そこで、現在では、厚さ方向の配向指標(Nz値)が上記式(5)を満足する位相差フィルムを得るためには、フィルム面に対する法線方向に応力を加えるといった特殊な延伸方法を実施しなければならない。このため、下記式(5)を満足する位相差フィルムは、現在では、延伸が困難である上、位相差の制御も大変困難であり、その結果、生産性に著しく劣り、かつ、位相差の波長分散制御も非常に困難なフィルムとなっている。
しかしながら、上記式(5)の特性を満足する位相差フィルムは、様々なタイプの液晶表示装置において、視野角拡大について絶大な効果を有することが知られている。そこで、産業界においては、位相差制御を容易に行える手段の提案が望まれていた。
これに対して、本発明の位相差フィルムは、平均屈折率の異なる少なくとも2種の層を構成単位として構造性複屈折を発現する繰り返し多層構造を含み、これら少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層が、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)であり、かつこれら少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の他の層が、光学的に略等方性である層(i)であることによって、位相差の制御性がよく、上記式(5)を満足させる光学的異方性を有する位相差フィルムを得ることが可能となる。
[光学的に略等方性である層(i)]
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造においては、繰り返し多層構造を構成する少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、光学的に略等方性である層(i)である。
負の光学的異方性を有する層(a)の面内の光学的異方性を、繰り返し多層構造の面内の光学的異方性として、ほぼそのまま使用できるといった位相差制御性の観点からは、光学的に略等方性である層(i)の面内の屈折率異方性が、下記式(27)を満足することが好ましい。より好ましくは、光学的に略等方性である層(i)の面内の屈折率異方性は、上記式(27)と下記式(28)を同時に満足する。
|nix−niy|≦0.0003 (27)
|nix−niy|の値は、より好ましくは、下記式(40)を満足する範囲であり、最も好ましくは、下記式(41)を満足する範囲である。
|nix−niy|≦0.0002 (40)
|nix−niy|≦0.0001 (41)
式(27)および(28)に示すように、光学的に略等方性である層(i)は、分子配向性複屈折による多少の光学的異方性は有していてもよい。式(27)で示す程度の光学的異方性を有する場合の層(i)を層(i’)とした場合には、位相差制御性や位相差の大きさ確保の観点から、負の光学的異方性を有する層(a)と光学的異方性を有する層(i’)の遅相軸は、互いに略直交または略平行に配置されることが好ましい。
略直交の場合には、負の光学的異方性を有する層(a)と光学的異方性を有する層(i’)の遅相軸のなす角度は、90±3°の範囲であることが好ましく、より好ましくは90±2°、さらに好ましくは90±1°、最も好ましくは90±0.5°の範囲である。
略平行の場合には、負の光学的異方性を有する層(a)と光学的異方性を有する層(i’)の遅相軸のなす角度は、0±3°の範囲であることが好ましく、より好ましくは0±2°、さらに好ましくは0±1°、最も好ましくは0±0.5°の範囲である。
[繰り返し多層構造を形成する層の数]
1つの繰り返し多層構造を形成する層の数は、100層以上30000層以下であることが好ましい。層の数が100層未満であると、かなり大きな屈折率差が層間に存在しないと十分な構造性複屈折が得られない場合があり、一方で、想定される目的の達成を考慮した場合に、層の数が30000層を超える光学設計は不要である。より好ましくは300層以上20000層以下であり、さらに好ましくは600層以上15000層以下であり、最も好ましくは1000層以上10000層以下である。
本発明の位相差フィルムは、複数の繰り返し多層構造を含むものであってもよいが、その場合の全層数は、同様の理由で、200層以上100000層以下が好ましく、500層以上50000層以下がより好ましく、1000層以上30000層以下がさらに好ましく、2000層以上20000層以下が最も好ましい。
[繰り返し多層構造における層間の平均屈折率の差]
1つの繰り返し多層構造における各層の平均屈折率差(すなわち、負の光学的異方性を有する層(a)の平均屈折率と、光学的に略等方性である層(i)の平均屈折率との差)は、下記式(2)を満足することが好ましい。
0.001<|δn|<0.5 (2)
平均屈折率差が0.001以下では、十分な構造性複屈折を得るために層数を前述の好ましい範囲よりも増加させねばならない場合があり、一方で、平均屈折率差を0.5以上とすることは、特に高分子材料同士の組み合わせの場合には難しく、無機材料と有機材料との組み合わせ等が必要になり現実的ではない。さらに、構造性複屈折の大きさは、主として、層間膜厚比率と屈折率差に依存するが、平均屈折率差が0.5以上の値では、構造性複屈折の影響が分子配向性複屈折の影響に比べて大きくなりすぎ、このため、繰り返し多層構造の三次元屈折率の制御が困難となる。なお、平均屈折率nと三次元屈折率の関係は下記式(29)で表される。
|δn|の値は、より好ましくは下記式(30)を満足する範囲であり、より好ましくは下記式(31)を満足する範囲であり、より好ましくは下記式(31’)を満足する範囲であり、より好ましくは下記式(32)を満足する範囲であり、より好ましくは下記式(32’)を満足する範囲であり、最も好ましくは下記式(32”)を満足する範囲である。
0.01<|δn|<0.3 (30)
0.02<|δn|<0.25 (31)
0.03<|δn|<0.20 (31’)
0.03<|δn|<0.15 (32)
0.05<|δn|<0.13 (32’)
0.07<|δn|<0.13 (32”)
なお、平均屈折率は、各層を形成する材料を光学的に等方としたフィルム状態で、アッベ屈折計やエリプソメータにより測定することができる。光学的異方性を有する状態であれば、同様の方法で三次元屈折率を測定し、上記式(29)から平均屈折率を求めることができる。なお、ここでの測定波長は、最も人間の視感度の高い波長である550nmとする。
[上記式(5)を満足するための繰り返し多層構造の好ましいパラメータ]
本発明の位相差フィルムに含まれる1つの繰り返し多層構造の光学的異方性について鋭意検討を実施したところ、上記式(5)を満足するためには、繰り返し多層構造が以下の式(3)および(4)を満足することがわかった。この式(3)は、上記式(5)に、構造複屈折に関する式(10)〜(12)を組み合わせることによって得られたものである。なお、ここでの測定波長は、最も人間の視感度の高い波長である550nmとする。
1x≦n1z (4)
式中、
:負の光学的異方性を有する層(a)
:光学的に略等方性である層(i)の一層の膜厚(nm)
1x:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
1y:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
1z:負の光学的異方性を有する層(a)のz軸方向における三次元屈折率
2x:光学的に略等方である層(i)のx軸方向における三次元屈折率
2y:光学的に略等方である層(i)のy軸方向における三次元屈折率
2z:光学的に略等方である層(i)のz軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
z軸:繰り返し多層構造の面に対して法線方位の軸
なお、繰り返し多層構造の各層の各パラメータにはある程度のばらつきが存在してもよい。このため、上記式(3)および(4)は、各層の平均的な膜厚、光学的異方性により満足されればよい。平均的な膜厚は、例えば、透過電子顕微鏡で断面を観察し、各層について平均100点の測定から求めることができる。また、各層の平均的な光学的異方性は、前述した通り、得られた平均膜厚等のデータから、上記式(10)〜(12)を用いて求めることができる。
さらに、光学的に略等方性である層(i)は、完全に等方性であることが好ましいが、上記式(27)で示されるように、ある程度の光学的異方性を有することは許容される。
[繰り返し多層構造の面内位相差値(R値(nm))]
本発明の位相差フィルムに含まれる繰り返し多層構造の面内位相差値(R値(nm))は、位相差フィルムの液晶表示装置への適用を考慮した場合、下記式(6)を満足することが好ましい。
10nm<R<1000nm (6)
Rの値は、より好ましくは、下記式(33)を満足し、さらに好ましくは下記式(34)を満足し、最も好ましくは下記式(35)を満足する。
20nm<R<800nm (33)
30nm<R<600nm (34)
40nm<R<400nm (35)
[厚さ方向のリタデーションに関する波長分散性]
本発明に関して、位相差フィルムが厚さ方向のリタデーションに関して逆分散性を有することは、下記の式によって示すことができる。
Rth(λ)/Rth(λ’)<1
{λ、λ’: 測定波長(400nm≦λ<λ’≦700nmであり、好ましくはλ=450nm、かつλ’=550nm)}
[面内および厚さ方向のリタデーションに関する波長分散性]
上記記載のように、本発明の位相差フィルムによれば、面内位相差値(R(λ)値)と厚さ方向位相差値(Rth(λ)値)とを、別個独立に制御することが可能となる。
[面内および厚さ方向のリタデーションに関する波長分散性−独立制御1]
これに関して、例えば本発明の位相差フィルムによれば、面内位相差値(R(λ)値)に関する波長分散性{R(λ)/R(λ’)}と、厚さ方向位相差値(Rth(λ)値)に関する波長分散性{Rth(λ)/Rth(λ’)}との差が、下記の式を満たすようにすることができる。
|{Rth(λ)/Rth(λ’)}−{R(λ)/R(λ’)}|≧0.1
{λ、λ’: 測定波長(400nm≦λ<λ’≦700nmであり、好ましくはλ=450nm、かつλ’=550nm)}。
また、例えば本発明の位相差フィルムによれば、面内位相差値に関する波長分散性{R(λ)/R(λ’)}と、厚さ方向位相差値に関する波長分散性{Rth(λ)/Rth(λ’)}との差が、0.15以上、0.2以上、または0.25以上とすることができる。
これに関し、本発明の位相差フィルムに含まれる1つの繰り返し多層構造の光学的異方性について鋭意検討を実施したところ、下記の式(200)を満たす測定波長λ(nm)およびλ’(nm)(400nm≦λ<λ’≦700nm)を有することが好ましいことが分かった。この式(200)は、上記式に、構造複屈折に関する式(10)〜(12)を組み合わせることによって得られたものである。またこの右辺の値は、例えば0.15以上、0.2以上、または0.25以上である。
(式中、
:負の光学的異方性を有する層(a)の一層の膜厚(nm)
:光学的に略等方性である層(i)の一層の膜厚(nm)
1x:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
1y:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
1z:負の光学的異方性を有する層(a)のz軸方向における三次元屈折率
2x:光学的に略等方である層(i)のx軸方向における三次元屈折率
2y:光学的に略等方である層(i)のy軸方向における三次元屈折率
2z:光学的に略等方である層(i)のz軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
z軸:繰り返し多層構造の面に対する法線方位の軸)。
[面内および厚さ方向のリタデーションに関する波長分散性−独立制御2]
また更に、例えば本発明の位相差フィルムによれば、R(λ)/R(λ’)が1より大きく、かつRth(λ)/Rth(λ’)が1より小さい値であるようにすること、すなわち面方向のリタデーションが通常の波長分散性を示し、かつ厚さ方向のリタデーションが逆波長分散性を示すようにすることができる。ここで、測定波長λ、λ’は、400nm≦λ<λ’≦700nmであり、好ましくはλ=450nm、かつλ’=550nm)である。
これに関し、本発明の位相差フィルムに含まれる1つの繰り返し多層構造の光学的異方性について鋭意検討を実施したところ、下記式(100)が1より大きく、かつ(100’)が1未満である測定波長λ(nm)およびλ’(nm)(400nm≦λ<λ’≦700nm)を有することが好ましいことが分かった。この式(100)および(100’)は、上記式に、構造複屈折に関する式(10)〜(12)を組み合わせることによって得られたものである。
(式中、
:負の光学的異方性を有する層(a)の一層の膜厚(nm)
:光学的に略等方性である層(i)の一層の膜厚(nm)
1x:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
1y:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
1z:負の光学的異方性を有する層(a)のz軸方向における三次元屈折率
2x:光学的に略等方である層(i)のx軸方向における三次元屈折率
2y:光学的に略等方である層(i)のy軸方向における三次元屈折率
2z:光学的に略等方である層(i)のz軸方向における三次元屈折率
x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
z軸:繰り返し多層構造の面に対する法線方位の軸)。
<位相差フィルムの材料>
本発明の位相差フィルムでは、負の光学的異方性を有する層(a)がポリスチレン系樹脂からなっていてよく、また光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなっていてよい。
また、本発明の位相差フィルムにおいては、その効果を損なわない範囲において、層を形成する材料に、イルガノックス1010、1076(チバガイギー社製)等の公知の酸化防止剤、滑剤、リン酸エステル等の可塑剤、界面活性化剤、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェノン、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収剤、帯電防止剤、ブルーイング剤、相溶化剤等の添加剤を加えてもよい。また、ガラス転移点温度や複屈折率を調整する目的で、相溶性に優れる添加剤を添加してもよい。
[負の光学的異方性を有する層(a)の材料]
本発明の位相差フィルムでは、負の光学的異方性を有する層(a)がポリスチレン系樹脂からなっていてよい。ポリスチレン系樹脂は、光学特性、耐熱性等に関して好ましい光学材料として知られている。
負の光学的異方性を有する層(a)のために使用されるポリスチレン系樹脂のガラス転移温度は、配向の長期保持性の観点から、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、最も好ましくは130℃以上のガラス転移点温度を有する。また、このポリスチレン系樹脂のガラス転移温度は、成形性の観点から、200℃以下であることが好ましく、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下、最も好ましくは150℃以下である。なお、ここでいうガラス転移点温度は、高分子だけではなく添加剤等を含めたみかけのガラス転移点温度を指す。ガラス転移点温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
本発明におけるポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を50モル%以上含む樹脂を意味し、共重合体であっても、単独重合体であってもよい。ここで、スチレン系単量体とは、その構造中にスチレン骨格を有する単量体をいう。また、ポリスチレン系樹脂におけるスチレン系単量体の含有率は、60mol%以上、70mol%以上、80mol%以上、90mol%以上、または約100mol%であってもよい。
スチレン系単量体の具体例としては、芳香族ビニル化合物単量体、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の芳香核アルキル置換スチレン;α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレンが挙げられ、代表的なものはスチレンである。
また上記記載のように、本発明におけるポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体に他の単量体成分を共重合した共重合体であってもよい。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、メチルメタクリレ−ト、シクロヘキシルメタクリレ−ト、メチルフェニルメタクリレ−ト、イソプロピルメタクリレ−ト等のアルキルメタクリレ−ト;メチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、ブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト、シクロヘキシルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−ト;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エチルマレイン酸、無水メチルイタコン酸、無水クロルマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン;およびこれらのうちの2種以上の組み合わせを挙げることができる。
本発明で好適に用いることができるポリスチレン系樹脂は、耐熱性が高いという理由から、スチレン/メタクリル酸共重合体、またはスチレン/無水マレイン酸共重合体である。
また、スチレン/メタクリル酸共重合体、およびスチレン/無水マレイン酸共重合体は、光学的に略等方性である層(i)に用いられるアクリル系樹脂との相溶性が高いため、界面密着性や透明性の観点からも好ましい。これらの共重合体の使用は特に、アクリル系樹脂としてメタクリル酸メチルを単量体成分として含む重合体を用いる場合に好ましい。
スチレン/メタクリル酸共重合体の場合、スチレン/メタクリル酸の共重合モル比が70/30〜95/5であることが好ましい。
スチレン/無水マレイン酸共重合体の場合、スチレン/無水マレイン酸の共重合モル比が70/30〜95/5、例えば70/30〜86/14であることが好ましい。また、このスチレン/無水マレイン酸共重合体は例えば、光弾性係数が、15×10−12Pa−1以下、特に8×10−12Pa−1以下である。
例えば、スチレン/無水マレイン酸の共重合モル比が85/15のときには、ガラス転移温度133℃かつ光弾性係数5.4×10−12Pa−1にすることができ、この比が78/22のときには、ガラス転移温度150℃かつ光弾性係数4.3×10−12Pa−1にすることができ、またこの比が74/26のときには、ガラス転移温度150℃かつ光弾性係数2.8×10−12Pa−1にすることができる。
負の光学的異方性を有する層(a)のために使用されるポリスチレン系樹脂としては、組成、分子量等が異なる複数種類のポリスチレン系樹脂を併用することができる。負の光学的異方性を有する層(a)のために使用されるポリスチレン系樹脂には、光学特性、耐熱性、光弾性係数などに問題がなく、また本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分が、共重合および/またはブレンドされていてもよい。
ポリスチレン系樹脂は、公知のアニオン、塊状、懸濁、乳化または溶液重合方法により得ることができる。また、ポリスチレン系樹脂においては、共役ジエンやスチレン系単量体のベンゼン環の不飽和二重結合が水素添加されていてもよい。水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
[光学的に略等方性である層(i)の材料]
本発明の位相差フィルムでは、光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなっていてよい。アクリル系樹脂は、透明性等の光学特性に関して好ましい光学材料として知られている。
ここで、アクリル系樹脂は、ポリスチレン系樹脂に対して相溶性である場合が多く、それによって負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との間にブレンド領域または層を形成して、層剥離を抑制することができる。また他方で、脂肪族ポリエステル系樹脂は、ポリスチレン系樹脂に対する相溶性が低い場合が多く、それによってアクリル系樹脂に脂肪族ポリエステル系樹脂を加えてポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体としたときに、ブレンド領域または層が過剰に厚くなるのを抑制して、繰り返し多層構造における構造性複屈折の発生を促進できる。なお、脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂とは相溶性である場合が多く、したがってポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体としたときに、ヘイズの発現が少なく、それによって比較的大きい透明性を有することができる。
ポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体におけるアクリル系樹脂の割合は、特に50質量%以上であり、これは意図するブレンド領域または層の厚さ、脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂との相溶性の程度等に基づいて決定することができる。したがって例えば、ポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体におけるアクリル系樹脂の割合は例えば、50質量%〜99.9質量%、60質量%〜99.5質量%、65質量%〜99.3質量%、または70質量%〜99質量%とすることができる。
アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体は、アクリル系樹脂を50質量%以上含み、したがって脂肪族ポリエステル系樹脂は50質量%未満である。なお、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体には、光学特性、耐熱性、光弾性係数などに問題がなく、また本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分が、共重合および/またはブレンドされていてもよい。
アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体のガラス転移点温度は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)を構成する高分子のガラス転移点温度よりも低く、それによって負の光学的異方性を有する層(a)を構成する樹脂のガラス転移点温度の近傍で延伸処理したときに、光学的に略等方性である層(i)を形成することが好ましい。光学的に略等方性である層(i)においては、形状を保持できれば必ずしも配向は保持できなくてもよいため、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)のような高いガラス転移点温度は不要である。
[光学的に略等方性である層(i)の材料−アクリル系樹脂]
本発明の位相差フィルムでは、光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなっていてよい。
本発明におけるアクリル系樹脂は、アクリル系単量体を50モル%以上含む樹脂を意味し、共重合体であっても、単独重合体であってもよい。ここで、アクリル系単量体とは、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体をいう。また、アクリル系樹脂におけるアクリル系単量体の含有率は、60mol%以上、70mol%以上、80mol%以上、90mol%以上、または約100mol%であってもよい。
アクリル系単量体の具体例としては、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステルならびに;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルを挙げることができる。これらの中でも、メタクリル酸メチルの単独重合体、またはメタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体が好ましい。
ここで、アクリル系単量体、特にメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、他のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸アルキルエステル類;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ等のマレイミド類;無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和酸類等を挙げることができる。また、共重合可能な単量体としては、芳香族ビニル化合物類、例えばスチレン;o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の芳香核アルキル置換スチレン;α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレンを挙げることもできる。これらの単量体は一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
本発明で好適に用いることができるアクリル系樹脂は、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル/無水マレイン酸/スチレン共重合体である。また、光学特性、脂肪族ポリエステル系樹脂との相溶性、ポリスチレン系樹脂との相溶性の観点で、特に、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体が好ましい。
光学的に略等方性である層(i)のために使用されるアクリル系樹脂としては、組成、分子量等が異なる複数種類のアクリル系樹脂を併用することができる。ただし、光学特性、耐熱性、光弾性係数などに問題のない範囲である必要がある。光学的に略等方性である層(i)のために使用されるアクリル系樹脂には、光学特性、耐熱性、光弾性係数などに問題がなく、また本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分が、共重合および/またはブレンドされていてもよい。
アクリル系樹脂を製造する方法としては例えば、キャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の一般に行われている重合方法を用いることができる。アクリル系樹脂を光学用途で用いる場合、微小な異物の混入はできるだけ避けるのが好ましいので、この観点からは、懸濁剤や乳化剤を用いない塊状重合や溶液重合が好ましい。
[光学的に略等方性である層(i)の材料−脂肪族ポリエステル系樹脂]
本発明の位相差フィルムでは、光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなっていてよい。
本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂は、ポリエステル系樹脂のエステル結合を構成する単量体の50mol%以上が、脂肪族単量体、例えば脂肪族ヒドロキシカルボン酸、または脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールをとの組み合わせである樹脂を意味し、共重合体であっても、単独重合体であってもよい。ここで、この単量体の含有率は、50mol%以上、60mol%以上、70mol%以上、80mol%以上、90mol%以上、または約100mol%であってもよい。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸から得られる脂肪族ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸、ポリカプロラクトン等を挙げることができる。また、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールとの組み合わせから得られる脂肪族ポリエステル系樹脂の具体例としては、エチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートおよびポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステル系樹脂は、単独で用いることも、2種以上をブレンドして用いることができる。
これらの脂肪族ポリエステル系樹脂の中でも、ヒドロキシカルボン酸の共重合または単独重合から得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、特にC〜Cのヒドロキシアルカン酸、すなわち例えばグリコール酸(C)、乳酸(C)、ヒドロキシ酪酸(C)、リンゴ酸(C)、ヒドロキシ吉草酸(C)、クエン酸(C)、3−ヒドロキシヘキサン酸(C)の共重合または単独重合から得られるポリヒドロキシアルカン酸系樹脂が好ましい。また、これらのポリヒドロキシアルカン酸系樹脂のなかでも特に、乳酸の共重合または単独重合から得られるポリ乳酸系樹脂を用いることができる。
[光学的に略等方性である層(i)の材料−脂肪族ポリエステル系樹脂−ポリ乳酸系樹脂]
上記記載のように、光学的に略等方性である層(i)のための脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂を用いることができる。ここでこのポリ乳酸系樹脂例えば、光弾性係数が、15×10−12Pa−1以下、特に12×10−12Pa−1以下、より特に8×10−12Pa−1以下である。
ポリ乳酸系樹脂としては、L−乳酸またはD−乳酸のいずれかを主たる構成成分とする重合体、ならびにL−乳酸およびD−乳酸のステレオコンプレックスを主たる構成成分とする重合体が挙げられる。また本発明で用いるポリ乳酸系樹脂は、乳酸からラクチドを経由させて製造することもできる。また更に、本発明においてはこれらの異なるポリ乳酸系樹脂を同時に用いることもできる。
ポリ乳酸系樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲、例えば0.1〜30質量%の範囲で、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられる。これらの共重合成分は、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、特にポリ乳酸系樹脂については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。また、乳酸系樹脂は、必要に応じてポリイソシアネート等の結合剤を用いて、高分子量化することもできる。
[その他の層]
本発明の位相差フィルムは、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)および光学的に略等方性である層(i)以外の層を有していてもよい。すなわち、繰り返し多層構造以外に他の層を有していてもよいし、あるいは、繰り返し多層構造において、負の光学的異方性を有する層(a)および光学的に略等方性である層(i)以外に他の層を有していてもよい。
このような他の層の材料としては、本発明の効果を損なわない限りにおいては、特に限定されるものではなく、公知の材料から適宜選択して用いることができる。
例えば、位相差フィルムの保護、例えば位相差フィルムの耐湿熱性、すなわち加水分解に対する耐性の改善のために、繰返し多層構造の両面に保護層(X)を積層することができる。ここでこの保護層(X)は例えば、位相差フィルムの耐湿熱性の改善のためには、100μmのフィルム厚さについて水蒸気透過度50g/m・day以下、特に30g/m・day以下、より特に20g/m・day以下、最もよくは10g/m・day以下であって、かつ光学的に略等方性の熱可塑樹脂組成物(P)で作ることができる。
ここで、本発明に関して、水蒸気透過度は、フィルム厚さ100μm、温度40℃、及び相対湿度90%において、JIS K7129に準拠した赤外センサ法で評価して得られる値である。
上記保護層は製膜時に多層押出などにより作製されてもよいし、粘着剤などにより貼合されてもよい。多層押出により設けられる場合は多層構造体と保護層の間に接着層(B)を介してもよい。なお、位相差フィルムのための保護層(X)は、下記で説明する偏光板の保護フィルムとは別のものである。
また、例えば、樹脂が溶融状態で流れるときの壁面近傍での層構造の乱れを抑制する目的で、調整層(Y)を積層することができる。調整層(Y)は位相差制御および位相差均一性の観点から光学的に略等方性であることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物(P)の未延伸時の光弾性係数は、好ましくは−15×10−12/Pa〜+15×10−12/Pa、さらに好ましくは−10×10−12/Pa〜+10×10−12/Pa、とりわけ好ましくは−5×10−12/Pa〜+5×10−12/Paである。未延伸時の光弾性係数がこの範囲にあることにより、偏光板保護フィルム、位相差フィルム等の光学用途に好適に用いることができる。
熱可塑樹脂組成物(P)は、上記の条件を満たすいずれの熱可塑樹脂組成物であってもよいが、例えば上述したアクリル系樹脂(P−3)、エチレン系共重合樹脂(P−1)、スチレンからなる重合体ブロックとブタジエンまたはイソプレンからなる重合ブロックとを有する共重合体、またはその共重合体の水素化物重合体(P−2)を含有するものが好適に挙げられる。
保護層(X)は、光学的に略等方性であり、例えば下記の式を満たす:
|R(X)|≦20nm、特に10nm、より特に5nm
(式中、
Re(X):波長400〜700nmの光で測定した保護層(X)の面内レターデーション(位相差フィルム用保護層が複数存在する場合には全ての位相差フィルム用保護層の面内レターデーションの総和))。
<位相差フィルム2>
上記のように、本発明の位相差フィルムは好ましい機械的性質と光学的性質とを併せ持つことができ、したがって例えば本発明の位相差フィルムは、遅相軸方向および遅相軸方向に対する直行方向の破断伸度がいずれも6%以上、例えば7%以上または8%以上であり、光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下、例えば10×10−12Pa−1以下または5×10−12Pa−1以下であり、80<R<350nm、例えば100<R<320nmまたは130<R<300nmであり、かつ0.2<Nz<0.7、例えば0.25<Nz<0.6または0.3<Nz<0.55である、新規な位相差フィルムである。
<位相差フィルムの製造方法>
本発明の位相差フィルムにおける分子配向性複屈折による光学的異方性の発現にあたっては、光学的異方性の制御が容易となる観点から、延伸処理を採用することが好ましい。
延伸処理は、1軸延伸あるいは2軸延伸のいずれであってもよく、2軸延伸の場合には、逐次2軸延伸あるいは同時2軸延伸のいずれであってもよい。また、延伸方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、ロール間で延伸する縦1軸延伸、テンターを用いる横1軸延伸、あるいはそれらを組合せた同時2軸延伸、逐次2軸延伸等公知の方法を用いることができる。なお、2軸延伸を行って位相差フィルムを2軸配向させる場合、位相差フィルムの機械的強度を、1軸延伸を行う場合よりも大きくすることができる。
上記記載のように、本発明によれば、ブレンド領域の厚みを調節して、層間の密着性を損なわない範囲でブレンド領域の厚みを薄くし、それによって構造性複屈折の発現性を高めることができる。したがって本発明の位相差フィルムにおいては、比較的高度に2軸配向した状態であっても上記式(5)を満たすことができるので、従来よりも大きい強度で且つ上記式(5)を満たすことができる。
延伸温度については、用いる高分子のガラス転移点付近が好ましく、例えば、熱可塑性高分子を用いる場合には、ガラス転移点温度(Tg)に対して、(Tg−20℃)〜(Tg+30℃)の範囲とすることが好ましく、より好ましくは(Tg−10℃)〜(Tg+20℃)の範囲である。また、本発明の位相差フィルムは、複数種の構成単位からなる多層の繰り返し構造を含むため、延伸温度としては、最もTgの高い層に合わせて適宜設定することが好ましい。
また、延伸前の多層構造の形成にあたっては、多層構造を形成することのできる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、多層スピンコート法、多層溶液キャスト法、多層溶融押出法等を挙げることができる。
本発明の位相差フィルムのより好ましい成形法としては、高分子からなる材料を用いて多層溶融押出法によって多層膜を成形し、引き続き、当該多層膜を延伸する方法が挙げられる。この方法によれば、複雑な多層構造であっても、溶融押出後はあたかも1枚のフィルムとして扱うことが可能となり、その結果、複雑な光学的異方性を容易に得ることが可能となる。
多層溶融押出法としては、特に限定されるものではなく、例えば特許3264958に記載されているような公知の方法を採用することができる。多層溶融押出法としては、例えば、マルチマニホールド法、フィードブロック法等が挙げられるが、本発明においては、フィードブロック法を採用することが好ましい。
多層溶融押出にあたっては、用いる高分子の溶融粘度がほぼ同じであることが好ましい。溶融粘度が著しく異なる場合には、多層構造を形成することが困難となる場合がある。本発明においては、温度250℃、剪断速度180sec−1で測定した溶融粘度が、100〜6000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは150〜4000Pa・s、さらに好ましくは200〜2,000Pa・s、最も好ましくは250〜1500Pa・sの範囲である。溶融粘度が上記範囲から外れると、繰り返し多層構造の製膜が不安定となる場合がある。
また、多層溶融押出し工程において、多層構造を形成する材料間の溶融粘度差が大きい場合には層構造を形成する事が困難となる場合がある。溶融粘度差は小さいほうが好ましく、例えば、温度250℃、せん断速度180sec−1で測定した溶融粘度差が、1000Pa・s以下である事が好ましく、より好ましくは800Pa・s以下、さらに好ましくは600Pa・s以下、最も好ましくは400Pa・s以下である。溶融粘度が上記範囲から外れると、繰返し多層構造の製膜が不安定となる場合がある。ただし、粘度差がある材料を用いる場合であっても流路の形状によりせん断速度を変えることにより安定的な繰り返し多層構造の製膜が可能となる場合もある。
多層溶融押出法では、Tダイを用いて樹脂を押し出し、その後、冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。押し出し時の樹脂温度としては、樹脂の流動性、熱安定性等を勘案して適宜設定することができる。また、繰り返し多層構造における界面の剥離を防止するため、多層溶融押出に用いられる高分子は、互いに接着性が良好であるものとすることが好ましい。
<位相差フィルムの用途>
[積層位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、それ単独でも十分に位相差フィルムとして機能するが、必要に応じて他の位相差フィルムと組合せて用いても良い。
[積層偏光フィルム]
本発明の位相差フィルムは、偏光フィルムと積層して、積層偏光フィルムとしてもよい。図5に、積層偏光フィルムの例を示す。ここで、この図5において、51は偏光フィルムであり、52は本発明の位相差フィルムであり、53は本発明の積層偏光フィルムの光学配置であり、54は吸収軸であり、55は位相差フィルム面内の遅相軸であり、56は本発明の積層偏光フィルムである。
本発明の位相差フィルムと積層される偏光フィルムは、特に限定されるものではなく、所定の偏光状態の光を得ることができる適宜なものを用いることができる。とりわけ、本発明の位相差フィルムと積層される偏光フィルムとしては、直線偏光状態の透過光を得ることのできるものを用いることが好ましい。
なお、液晶表示装置の視野角拡大を目的として積層偏光フィルムを用いる場合には、偏光フィルムの偏光軸と本発明の位相差フィルムの面内遅相軸とは、平行また直交させて配置することが好ましい。
偏光フィルムの偏光軸と本発明の位相差フィルムの面内遅相軸とが平行である場合には、これらのなす角度は、0±2°の範囲にばらつきが入ることが好ましく、より好ましくは0±1°、さらに好ましくは0±0.5°、最も好ましくは0±0.3°である。
偏光フィルムの偏光軸と本発明の位相差フィルムの面内遅相軸とが直交である場合には、これらのなす角度は、90±2°の範囲にばらつきが入ることが好ましく、より好ましくは90±1°、さらに好ましくは90±0.5°、最も好ましくは90±0.3°である。
偏光フィルムのために保護フィルムを用い、かつこの保護フィルムとして、例えばR<10nmかつRth=30〜60nm程度の位相差特性を有するトリアセチルセルロースを用いる場合、偏光板の偏光軸と本発明の位相差フィルムの遅相軸とが、保護フィルム上において直交して配置され、かつ本発明の位相差フィルムが、下記式(351)および(352)を満足することが好ましい:
130nm<R<230nm (351)
0.2<Nz<0.5 (352)
かかる本発明の積層偏光フィルムにおいては、本発明の位相差フィルムそのものが偏光フィルム用保護フィルムを兼ねてもよい。これにより、偏光フィルム用保護フィルムの使用を省略することができ、偏光フィルム用保護フィルムの光学的異方性によるばらつきの影響を排除することができ、光学性能をより向上させることが可能となる。
本発明の位相差フィルムそのものが偏光フィルム用保護フィルムを兼ねる場合には、偏光板の偏光軸と本発明の位相差フィルムの遅相軸とが、平行または直交に配置され、かつ、本発明の位相差フィルムが、下記式(36)および上記式(5)を満足することが好ましい。さらに、ここで用いる位相差フィルムは、1つの繰り返し多層構造のみからなることが好ましい。
200nm<R<350nm (36)
偏光フィルムと位相差フィルムの積層に際しては、必要に応じて接着剤等を介して固定することができる。なお、軸関係のズレ防止等の観点から、偏光フィルムと位相差フィルムとは接着固定することが好ましい。接着には、透明な接着剤を使用することができ、その種類は特に限定されるものではない。光学特性の変化を防止する観点等からは、硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、さらに、長時間の硬化処理や乾燥処理を要しないものが望ましい。また、加熱や加湿条件下において、剥離等を生じさせないものが好ましい。
なお、上記の偏光フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム用保護フィルム、接着剤層等の各層は、例えばサリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式等により紫外線吸収機能をもたせることもできる。
[液晶表示装置]
また、本発明の位相差フィルムや積層偏光フィルムを液晶表示装置に用いることで、視野角特性等が著しく向上した液晶表示装置を得ることができる。用いることのできる液晶表示装置としては、特に限定されるものではなく、IPS、VA、TN、OCBモード等各種方式に適用することが可能である。
図6は、本発明の液晶表示装置の一例として、IPSモード液晶表示装置の場合の好ましい光学フィルムの配置である。位相差フィルムとしては、本発明の1つの繰り返し多層構造からなるR値がλ/2(nm)、かつ、Nz値0.5のものを用いた。ここで、この図6において、61は偏光フィルムであり、62はIPS液晶セルであり、63は本発明の位相差フィルムであり、64は偏光フィルムであり、65は吸収軸であり、66は液晶層の遅相軸であり、67は本発明の位相差フィルムの遅相軸であり、68は吸収軸である。
[位相差フィルムの光弾性係数]
本発明の位相差フィルムの光弾性係数は、公知のエリプソメータ等を用いて測定される。光弾性係数の絶対値が大きいと液晶表示装置に組み込んだ場合に、位相差値のずれが発生し、コントラスト低下や液晶表示装置の暗状態において光漏れが画面においてまばらに生じ、光学的な斑が発生する場合がある。波長550nmの光で測定して、光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下であることが好ましい。より好ましくは10×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは5×10−12Pa−1以下である。繰返し多層構造において用いられる層を形成する材料の光弾性係数の符号が互いに異なっていること、例えば負の光学的異方性を有する層(a)を形成する材料と光学的に略等方性である層(i)を形成する材料の光弾性係数の符号が互いに異なっていることがより好ましい。これは、これらの層を形成する材料の光弾性係数の符号が互いに異なっていることによって、互いの層の光弾性係数を相殺して、光弾性係数の絶対値を小さくできることによる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
(1)面内位相差値(R(λ)値(nm))、厚み方向位相差値(Rth(λ)値(nm))、厚み方向の配向指標(Nz(λ)値)
面内位相差値(R(λ)値)、厚み方向位相差値(Rth(λ)値)、および、厚み方向の配向指標(Nz値)は、分光エリプソメータ(日本分光(株)製、商品名:M150)を用いた測定により求めた。R値は、入射光線とフィルム表面とが直交する状態で測定した。また、Rth値およびNz値を求めるにあたっては、入射光線とフィルム表面とがなす角度を変化させ、各角度における位相差値を測定し、公知の屈折率楕円体の式を用いてカーブフィッティングすることにより、三次元屈折率であるn、n、nの数値演算を行った。なお、その際、別のパラメータとして平均屈折率nが必要となるが、これはアッベ屈折計((株)アタゴ社製、商品名:アッベ屈折計2−T)または、プリズムカプラ法(プリズムカプラメトリコン社製、商品名:プリズムカプラ MODEL2010)により測定した値を使用した。得られた三次元屈折率を、下記式(20)および(42)に代入することにより、それぞれRth値およびNz値を得た。なお、本実施例においては、特に断りが無い場合には測定波長は550nmとする。
(2)ガラス転移点温度(Tg)
ガラス転移点温度(Tg)は、示差走査熱量計(TA Instruments社製、商品名:DSC Q10)により測定した。
(3)フィルムの厚み
電子マイクロ膜厚計(アンリツ社製)により測定した。
(4)各層膜厚の測定
ミクロトーム(ライカマイクロシステムズ(株)製、商品名:ULTRACUT−S)で位相差フィルムの断面の薄膜切片(厚さ約60nm)を作成した。次にこの切片を透過型電子顕微鏡(FEI製、商品名:TECNAI−G2)を用いて加速電圧120kVにて観察・撮影し、フィルムの厚み方向の透過電子数のラインプロファイルから、各層の厚みおよびブレンド領域の厚みについて測定した。また、ここでは例えば図72示すようにして、ブレンド領域の中間の位置における接線を用いて、ブレンド領域における2つの材料のブレンド比率の変化を直線近似した。
(5)破断伸度
破断伸度は、JIS C2151−1990に準拠した方法で、23℃において幅10mmの試料フィルムについて、試長間100mmおよび引張り速度200mm/分の条件で引っ張り試験を行って、フィルムが破断した時の歪み(伸び率)から求められる値である。
(6)溶融粘度測定
溶融粘度の測定は、(株)東洋精機製作所製の商品名キャピログラフ1Bを用いて実施した。試験温度250℃、せん断速度は180sec−1とした。
(7)光弾性定数
フィルムに張力をかけた場合の面内位相差Rを測定し、面内位相差Rを厚みで割ることにより算出される面内複屈折Δnをy軸に、フィルムにかかる応力をx軸としてプロットした場合の傾きを光弾性定数とした。
(8)水蒸気透過度
水蒸気透過度は、フィルム厚さ100μm、温度40℃、及び相対湿度90%において、JIS K7129に準拠した赤外センサ法で評価して得られる値である。
<実施例1>
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が85/15であるノヴァケミカル社製ダイラークD332(Tg133℃、光弾性定数5×10−12Pa−1、溶融粘度500Pa・s)を、ポリスチレン系樹脂(N1)として用いた。この樹脂からなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.006であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
(2)アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドからなる光学的に略等方性である層(i)(I層)を形成する材料
アクリル系樹脂(クラレ製パラペットG、Tg103℃)60重量部とポリ乳酸(ネイチャーワークス社製の4032D、Tg60℃)40重量部とのポリマーブレンド(Tg99℃、光弾性定数−1×10−12Pa−1、溶融粘度420Pa・s)を、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンド(I1)として用いた。このポリマーブレンドからなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
(3)多層構造体の作製
それぞれの高分子材料(N1)および(I1)を、押出機にて240℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、251層のフィードブロックにて合流させ、さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることによって、各層の厚みが等しくかつ高分子材料(I1)が最表層である1501層の構造を得た。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N1)と(I1)が交互に積層された総数1501層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N1)と(I1)の押出し量が50:50になるように調整した。
このようにして得られた未延伸多層フィルムを、138℃で縦2.8倍延伸した後、横3.3倍延伸することにより、繰返し多層構造を有する位相差フィルムを得た。ここでこの延伸条件は、得られる位相差フィルムが上記式(5)の関係(0<Nz<1)を満たすように選択した。
得られた位相差フィルムの光弾性定数は4×10−12Pa−1であり、破断伸度が小さい遅相軸に平行な方向での破断伸度は7.7%であった。また、得られた位相差フィルムは非剥離性であり、層を剥離することはできなかった。
N層およびI層を構成する材料の平均屈折率、得られた位相差フィルムの層構造、得られた位相差フィルムの位相差特性についてそれぞれ表2〜4に示す。また参考までに、N層を形成する材料のみを位相差フィルムの場合と同じ条件で延伸した際の位相差特性を表5に示す。
<実施例2>
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が85/15であるノヴァケミカル社製ダイラークD332(Tg133℃、光弾性定数5×10−12Pa−1、溶融粘度500Pa・s)をポリスチレン系樹脂(N2)として用いた。この樹脂からなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.006であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
(2)アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドからなる光学的に略等方性である層(i)(I層)を形成する材料
アクリル系樹脂(クラレ製パラペットG、Tg103℃)90重量部とポリ乳酸(ネイチャーワークス社製の4032D、Tg60℃)10重量部とのポリマーブレンド(Tg99℃、光弾性定数−4×10−12Pa−1、溶融粘度480Pa・s)を、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンド(I2)として用いた。このポリマーブレンドからなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
(3)多層構造体の作製
それぞれの高分子材料(N2)および(I2)を、押出機にて240℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、201層のフィードブロックにて合流させ、さらに幅方向に4分割したものを厚み方向に再配置させるような4分割ダブリングを2回通過させることによって、各層の厚みが等しくかつ高分子材料(I2)が最表層である3201層の構造を得た。この構造のさらに最表層に保護層(X2)として日本ゼオン社製ゼオノア1020R(Tg105℃、水蒸気透過度1g/m・day)を、接着層(B2)である三菱化学社製モディックAP A543を介して積層し、この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N2)と(I2)が交互に積層された保護層と接着層を含む総数3205層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N2)と(I2)の押出し量が60:40になるように調整した。
このようにして得られた未延伸多層フィルムを、138℃で縦2.1倍延伸した後、横2.1倍延伸することにより、繰返し多層構造を有する位相差フィルムを得た。ここでこの延伸条件は、得られる位相差フィルムが上記式(5)の関係(0<Nz<1)を満たすように選択した。
得られた位相差フィルムの光弾性定数は1×10−12Pa−1であり、破断伸度が小さい遅相軸に平行な方向での破断伸度は6.2%であった。また、得られた位相差フィルムは非剥離性であり、層を剥離することはできなかった。
N層およびI層を構成する材料の平均屈折率、得られた位相差フィルムの層構造、得られた位相差フィルムの位相差特性についてそれぞれ表6〜8に示す。また参考までに、N層を形成する材料のみを位相差フィルムの場合と同じ条件で延伸した際の位相差特性を表9に示す。
<実施例3>
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が74/26であるポリスコープ社製SMA SZ26180(Tg160℃、光弾性定数3×10−12Pa−1、溶融粘度480Pa・s)をポリスチレン系樹脂(N3)として用いた。この樹脂からなるフィルムを165℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.004であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
(2)アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドからなる光学的に略等方性である層(i)(I層)を形成する材料
武蔵野化学研究所社製L−ラクチド100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリL−乳酸(PLLA1)を得た。
また、L−ラクチドを武蔵野化学研究所社製D−ラクチドに変更し、他は同じ条件で重合を行い、ポリD−乳酸(PDLA1)を得た。
得られたポリL−乳酸とポリD−乳酸とを各50重量部およびADEKA社製アデカスタブNA−71を0.3重量部、日清紡社製カルボジライトLA−1を1重量部、第二供給口より供給し、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練した。その後、水槽中にストランドを吐出し、チップカッターにてチップ化してステレオコンプレックスポリ乳酸(Tg60℃、ステレオ化率100%)を得た。
アクリル系樹脂(三菱レイヨン社製アクリペットVH001、Tg105℃)90重量部と上記のようにして得られたステレオコンプレックスポリ乳酸(Tg60℃)10重量部とのポリマーブレンド(Tg100℃、光弾性定数−3×10−12Pa−1、溶融粘度490Pa・s)を、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンド(I3)として用いた。このポリマーブレンドからなるフィルムを165℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
(3)多層構造体の作製
それぞれの高分子材料(N3)および(I3)を、押出機にて240℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、301層のフィードブロックにて合流させた。この時、高分子材料(I3)が最表層となるようにし、最表層は調整層(Y3)として他の層の100倍の厚みとした。さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることによって、調整層以外の各層の厚みが等しい1801層の構造とした。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N3)と(I3)が交互に積層された調整層を含む総数1801層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき調整層を除く部分での高分子材料(N3)と(I3)の押出し量が40:60になるように調整した。
このようにして得られた未延伸多層フィルムを、165℃で縦2.8倍延伸した後、横3.3倍延伸することにより、繰返し多層構造を有する位相差フィルムを得た。ここでこの延伸条件は、得られる位相差フィルムが上記式(5)の関係(0<Nz<1)を満たすように選択した。
得られた位相差フィルムの光弾性定数は1×10−12Pa−1であり、破断伸度が小さい遅相軸に平行な方向での破断伸度は6.9%であった。また、得られた位相差フィルムは非剥離性であり、層を剥離することはできなかった。
N層およびI層を構成する材料の平均屈折率、得られた位相差フィルムの層構造、得られた位相差フィルムの位相差特性についてそれぞれ表10〜12に示す。また参考までに、N層を形成する材料のみを位相差フィルムの場合と同じ条件で延伸した際の位相差特性を表13に示す。
<実施例4>
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/メタクリル酸のモル比が90/10であるDIC製リューレックスA14(Tg132℃、光弾性定数5×10−12Pa−1、溶融粘度500Pa・s)を、ポリスチレン系樹脂(N4)として用いた。この樹脂からなるフィルムを137℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.007であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
(2)アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドからなる光学的に略等方性である層(i)(I層)を形成する材料
アクリル系樹脂(旭化成製デルペット980N、Tg115℃)80重量部とポリ乳酸(ネイチャーワークス社製の4032D、Tg60℃)20重量部とのポリマーブレンド(Tg102℃、光弾性定数−2×10−12Pa−1、溶融粘度510Pa・s)を、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンド(I4)として用いた。このポリマーブレンドからなるフィルムを137℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
(3)多層構造体の作製
それぞれの高分子材料(N4)および(I4)を、押出機にて260℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、299層のフィードブロックにて合流させた。この時、高分子材料(I4)が最表層となるようにし、さらにその最表層両面に保護層(X4)かつ調整層(Y4)としてクラレ製パラペットG(Tg103℃、水蒸気透過度27g/m・day)を他の層の100倍の厚みとして形成した。さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることにより、調整層以外の各層の厚みが等しい1801層の構造とした。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N4)と(I4)が交互に積層された保護層と調整層を含む総数1801層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N4)と(I4)の押出し量が50:50になるように調整した。
このようにして得られた未延伸多層フィルムを、137℃で縦2.7倍延伸した後、横3.2倍延伸することにより、繰返し多層構造を有する位相差フィルムを得た。ここでこの延伸条件は、得られる位相差フィルムが上記式(5)の関係(0<Nz<1)を満たすように選択した。
得られた位相差フィルムの光弾性定数は2×10−12Pa−1であり、破断伸度が小さい遅相軸に平行な方向での破断伸度は6.1%であった。また、得られた位相差フィルムは非剥離性であり、層を剥離することはできなかった。
N層およびI層を構成する材料の平均屈折率、得られた位相差フィルムの層構造、得られた位相差フィルムの位相差特性についてそれぞれ表14〜16に示す。また参考までに、N層を形成する材料のみを位相差フィルムの場合と同じ条件で延伸した際の位相差特性を表17に示す。
<比較例1>
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が85/15であるノヴァケミカル社製ダイラークD332(Tg133℃、光弾性定数5×10−12Pa−1、溶融粘度500Pa・s)を、ポリスチレン系樹脂(N5)として用いた。この樹脂からなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.006であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
(2)光学的に略等方性である層(i)(I層)を形成する材料
アクリル系樹脂(クラレ製パラペットG、Tg103℃、光弾性定数−4×10−12Pa−1、溶融粘度490Pa・s)を光学的に略等方性である材料(I5)として用いた。このポリマーからなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
(3)多層構造体の作製
それぞれの高分子材料(N5)および(I5)を、押出機にて260℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、251層のフィードブロックにて合流させ、さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることによって、各層の厚みが等しくかつ高分子材料(I5)が最表層である1501層の構造を得た。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N5)と(I5)が交互に積層された総数1501層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N5)と(I5)の押出し量が60:40になるように調整した。
このようにして得られた未延伸多層フィルムを、138℃で縦2.5倍延伸することにより、繰返し多層構造を有する位相差フィルムを得た。ここでこの延伸条件は、得られる位相差フィルムが上記式(5)の関係(0<Nz<1)を満たすように選択した。
得られた位相差フィルムの光弾性定数は1×10−12Pa−1であった。破断伸度が小さい遅相軸に平行な方向での破断伸度は2.1%であり、実施例の位相差フィルムの破断伸度よりも有意に小さかった。また、得られた位相差フィルムは非剥離性であり、層を剥離することはできなかった。
N層およびI層を構成する材料の平均屈折率、得られた位相差フィルムの層構造、得られた位相差フィルムの位相差特性についてそれぞれ表18〜20に示す。また参考までに、N層を形成する材料のみを位相差フィルムの場合と同じ条件で延伸した際の位相差特性を表21に示す。
<比較例2>
(1)ポリスチレン系樹脂からなる分子配向複屈折により負の光学的異方性を有する層(a)(N層)を形成する材料
スチレン/無水マレイン酸のモル比が85/15であるノヴァケミカル社製ダイラークD332(Tg133℃、光弾性定数5×10−12Pa−1、溶融粘度500Pa・s)を、ポリスチレン系樹脂(N6)として用いた。この樹脂からなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、延伸直行方向が遅相軸で、かつ|nnx−nny|=0.006であり、負の光学異方性を有することが確認できた。
(2)光学的に略等方性である層(i)(I層)を形成する材料
ポリ乳酸(ネイチャーワークス社製の4032D、Tg60℃、光弾性定数3×10−12Pa−1、溶融粘度320Pa・s)を光学的に略等方性である材料(I6)として用いた。このポリマーからなるフィルムを138℃にて2倍に延伸したところ、|nnx−nny|<0.0001であり、光学的に略等方性であることが確認できた。
(3)多層構造体の作製
それぞれの高分子材料(N6)および(I6)を、押出機にて240℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、251層のフィードブロックにて合流させ、さらに幅方向に6分割したものを厚み方向に再配置させるような6分割ダブリングを通過させることによって、各層の厚みが等しくかつ高分子材料(I6)が最表層である1501層の構造を得た。この積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、高分子材料(N6)と(I6)が交互に積層された総数1501層の未延伸多層フィルムを作製した。このとき高分子材料(N6)と(I6)の押出し量が50:50になるように調整した。
このようにして得られた未延伸多層フィルムを、138℃で縦2.0倍延伸したところ、フィルム冷却後に層間で剥離が生じてしまった。
<比較例3>
比較例1で示すようにして得られた未延伸多層フィルムを、138℃で縦2.9倍延伸した後、横3.2倍延伸することにより、繰返し多層構造を有する位相差フィルムを得た。ここでこの延伸条件は、破断伸度が小さい遅相軸に平行な方向での破断伸度が実施例の位相差フィルムの破断伸度(6.1%〜7.7%)と同様な値を有するように選択した。
得られた位相差フィルムの光弾性定数は1×10−12Pa−1であり、破断伸度が小さい遅相軸に平行な方向での破断伸度は6.7%であった。また、得られた位相差フィルムは非剥離性であり、層を剥離することはできなかった。
N層およびI層を構成する材料の平均屈折率、得られた位相差フィルムの層構造、得られた位相差フィルムの位相差特性についてそれぞれ表22〜24に示す。また参考までに、N層を形成する材料のみを位相差フィルムの場合と同じ条件で延伸した際の位相差特性を表25に示す。表24で示されているように、この比較例3の位相差フィルムでは、上記式(5)の関係(0<Nz<1)を満たすことができなかった。
<位相差フィルムの設計例>
以下では参考のために、設計例を記して、本発明を実施するための最良の形態をさらに詳細に説明する。各設計例においては、材料として実在の高分子を用い、当該高分子のパラメータを用いて設計を行った。
[設計例1]
設計例1では、繰り返し多層構造が負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との2種の層からなる位相差フィルムを設計する。ここでは、負の光学的異方性を有する層(a)をA層とし、且つ光学的に略等方性である層(i)はB層とする。
(A層)材料:ポリスチレン
ポリスチレンは負の分子分極率異方性を有するため、延伸により負の光学的異方性を発現する。計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E1に示す。
(B層)材料:エチレン−ノルボルネン共重合体
エチレン−ノルボルネン共重合体は光学的に等方性であり、得られる層は光学的に等方である。計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E2に示す。
(多層体)
表E3に記載した条件にて、A層とB層からなる交互多層膜(A/B/A/B/・・・・A/B)を有効媒質近似理論に基づいて計算した。計算結果を表E3および表E4に示す。ここで、表E4中のa、bは、それぞれ、A層、B層の膜厚である。なお、A層の面内の遅相軸方位と繰り返し多層構造の面内の遅相軸方位は、一致するように設定した。
(結果)
表E3および表E4の計算結果から明らかなように、Nz値はすべての計算波長において上記式(5)を満足している、また、上記式(3)および(4)についても満足している。
また、リタデーションの波長分散を示すR(450)/R(550)、R(650)/R(550)、Rth(450)/Rth(550)、Rth(650)/Rth(550)に注目すると、R(450)/R(550)とRth(450)/Rth(550)、およびR(650)/R(550)とRth(650)/Rth(550)は、それぞれにおいて異なる値を示している。Nz値についても、3つの波長それぞれで異なる値を示す。
単一の層からなる位相差フィルム、特に液晶表示装置において広く用いられている高分子の延伸法により作製される位相差フィルムにおいては、R(450)/R(550)とRth(450)/Rth(550)、およびR(650)/R(550)とRth(650)/Rth(550)は一般に同じ値を与える。また、Nz値は波長に依存せず、一般的に一定である。
R値は、正面入射光の場合のフィルムの光学的異方性の情報であり、一方、Rth値、Nz値は、斜め入射時のフィルムの光学的異方性の情報を示している。したがって、設計例1の位相差フィルムは、正面入射時と斜め入射時の光学的異方性の波長分散が異なることを示しており、従来の位相差フィルムでは不可能であった、正面入射時と斜め入射時の光学的異方性の波長分散を独立に制御できることを示している。これは、本発明の位相差フィルムが、構造性複屈折と分子配向性複屈折の両方を併用しているために実現できる、従来には存在しなかった特異的な特徴の1つであり、この特性を利用すれば、例えば、垂直配向型液晶等を用いた液晶表示装置において、視野角性能を向上させることが可能となる。
さらに、本設計例についての有効媒質近似理論の成立性を確認するために、上記と全く同じ多層体について、4×4のジョーンズ行列計算を実施した。比較方法としては、表E1に示される多層構造の有効媒質近似による屈折率楕円体と、A層およびB層を各々4000層、計8000層を積層した多層構造体に、各種偏光を入射して出射される偏光を比較する方法を採用した。その結果、両者ほぼ一致することが確認され、本設計例においては有効媒質近似が有効であることが確認された。
[設計例2]
設計例2では、繰り返し多層構造が負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との2種の層からなる位相差フィルムを設計する。ここでは、負の光学的異方性を有する層(a)をA層とし、且つ光学的に略等方性である層(i)はB層とする。
(A層)材料:設計例1と同一材料であるポリスチレン
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E5に示す。
(B層)材料:設計例1と同一材料であるエチレン−ノルボルネン共重合体
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E6に示す。
(多層体)
表E7に記載した条件にて、A層とB層からなる交互多層膜(A/B/A/B/・・・・A/B)を有効媒質近似理論に基づいて計算した。計算結果をが表E7および表E8に示す。ここで、表E8中のa、bは、それぞれ、A層、B層の膜厚である。なお、A層の面内の遅相軸方位と繰り返し多層構造の面内の遅相軸方位は、一致するように設定した。
表E7および表E8の計算結果から明らかなように、Nz値はすべての計算波長において上記式(5)を満足している。また、上記式(3)および(4)についても満足している。
また、位相差の波長分散を示すR(450)/R(550)、R(650)/R(550)、Rth(450)/Rth(550)、Rth(650)/Rth(550)に注目すると、R(450)/R(550)とRth(450)/Rth(550)、およびR(650)/R(550)とRth(650)/Rth(550)は、それぞれにおいて異なる値を示している。Nz値についても、3つの波長それぞれで異なる値を示す。
[設計例3]
設計例3では、繰り返し多層構造が負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との2種の層からなる位相差フィルムを設計する。ここでは、負の光学的異方性を有する層(a)をA層とし、且つ光学的に略等方性である層(i)はB層とする。
(A層)材料:設計例1と同一材料であるポリスチレン
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E9に示す。
(B層)材料:設計例1と同一材料であるエチレン−ノルボルネン共重合体
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E10に示す。
(多層体)
表E11に記載した条件にて、A層とB層からなる交互多層膜(A/B/A/B/・・・・A/B)を有効媒質近似理論に基づいて計算した。計算結果を表E11および表E12に示す。ここで、表E12中のa、bは、それぞれ、A層、B層の膜厚である。なお、A層の面内の遅相軸方位と繰り返し多層構造の面内の遅相軸方位は、一致するように設定した。
表E11および12の計算結果から明らかなように、Nz値はすべての計算波長において上記式(5)を満足している。また、上記式(3)および(4)についても満足している。
また、位相差の波長分散を示すR(450)/R(550)、R(650)/R(550)、Rth(450)/Rth(550)、Rth(650)/Rth(550)に注目すると、R(450)/R(550)とRth(450)/Rth(550)、およびR(650)/R(550)とRth(650)/Rth(550)は、それぞれにおいて異なる値を示している。Nz値についても、3つの波長それぞれで異なる値を示す。
さらに、R(450)/R(550)とRth(450)/Rth(550)とを詳細に比較すると、前者は1より大きくいわゆる通常のリタデーションの分散であるが、後者は1よりも小さくなっており、波長の増大と共にRthが小さくなる、いわゆる逆分散となっている。これは、正面入射時と斜め入射時の光学的異方性の波長分散を、独立に制御できることを示している。
[設計例4]
設計例4では、繰り返し多層構造が負の光学的異方性を有する層(a)と光学的に略等方性である層(i)との2種の層からなる位相差フィルムを設計する。ここでは、負の光学的異方性を有する層(a)をA層とし、且つ光学的に略等方性である層(i)はB層とする。
(A層)材料:設計例1と同一材料であるポリスチレン
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E13に示す。
(B層)材料:設計例1と同一材料であるエチレン−ノルボルネン共重合体
計算に用いた3つの波長(450、550、650nm)における三次元屈折率を、表E14に示す。
(多層体)
表E15に記載した条件にて、A層とB層からなる交互多層膜(A/B/A/B/・・・・A/B)を有効媒質近似理論に基づいて計算した。計算結果を表E15および表E16に示す。ここで、表E16中のa、bは、それぞれ、A層、B層の膜厚である。なお、A層の面内の遅相軸方位と繰り返し多層構造の面内の遅相軸方位は、一致するように設定した。
表E15および表E16の計算結果から明らかなように、Nz値はすべての計算波長において、上記式(5)を満足していない。
また、位相差の波長分散を示すR(450)/R(550)、R(650)/R(550)、Rth(450)/Rth(550)、Rth(650)/Rth(550)に注目すると、R(450)/R(550)とRth(450)/Rth(550)、およびR(650)/R(550)とRth(650)/Rth(550)は、それぞれにおいて異なる値を示している。Nz値についても、3つの波長それぞれで異なる値を示す。
本発明の位相差フィルムは、分子配向性複屈折と構造性複屈折の両者を用いているため、従来の方法では実現困難であった光学的異方性および波長分散特性を実現することが可能となる。このため、本発明の位相差フィルムを単独で、あるいは偏光板や他の位相差フィルムと組合せて液晶表示装置に用いることにより、表示装置の高性能化、特に広視野角化に、極めて大きく貢献することができる。
本発明の位相差フィルムの繰り返し多層構造および屈折率楕円体の概略図。 各層が光学的に等方性である従来技術の繰り返し多層構造および屈折率楕円体の概略図。 3種の層が構成単位となる本発明の繰り返し多層構造および屈折率楕円体の概略図。 厚み比率の異なる2種の層を構成単位とする本発明の繰り返し多層構造の概略図。 本発明の積層偏光フィルムの構成概略図。 本発明の液晶表示装置の構成概略図。 本発明の位相差フィルムの繰り返し多層構造における各層厚みとブレンド領域厚みの例を示す図。
符号の説明
11 第1の層
12 第2の層
13 本発明の位相差フィルムにおける繰り返し多層構造
14 繰り返し多層構造13の屈折率楕円体
15 第1の層の屈折率楕円体
16 第2の層の屈折率楕円体
21 H層(光学等方層)
22 L層(光学等方層)
23 光学等方性である層のみからなる繰り返し多層構造
24 多層構造23の屈折率楕円体
31 第1の層
32 第2の層
33 第3の層
34 本発明の位相差フィルムにおける繰り返し多層構造
35 繰り返し多層構造34の屈折率楕円体
36 第k層(k=1〜3)の屈折率楕円体
41 厚み比率がαの繰り返し多層構造
42 厚み比率がβの繰り返し多層構造
43 2つの異なる繰り返し多層構造からなる本発明の位相差フィルム
51 偏光フィルム
52 本発明の位相差フィルム
53 本発明の積層偏光フィルムの光学配置
54 吸収軸
55 位相差フィルム面内の遅相軸
56 本発明の積層偏光フィルム
61 偏光フィルム
62 IPS液晶セル
63 本発明の位相差フィルム
64 偏光フィルム
65 吸収軸
66 液晶層の遅相軸
67 本発明の位相差フィルムの遅相軸
68 吸収軸
、t 多層構造における各層の厚さ
、t 多層構造におけるブレンド領域の厚さ

Claims (19)

  1. 平均屈折率の異なる少なくとも2種の層を構成単位とする繰り返し多層構造を含み、
    前記繰り返し多層構造は、構造性複屈折を発現し、
    前記少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)であり、かつ前記少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の他の層は、下記式(27)を満たす光学的に略等方性である層(i)であり
    |n ix −n iy |≦0.0003 (27)
    (式中、
    ix :光学的に略等方性である(i)のx軸方向における三次元屈折率
    iy :光学的に略等方性である(i)のy軸方向における三次元屈折率
    x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
    y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸)
    前記負の光学的異方性を有する層(a)が、ポリスチレン系樹脂からなり、かつ前記光学的に略等方性である層(i)が、アクリル系樹脂および脂肪族ポリエステル系樹脂のポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体からなる、
    位相差フィルム。
  2. 光学的に略等方性である層(i)において、前記ポリマーブレンドおよび/またはブロック共重合体におけるアクリル系樹脂の割合が50質量%以上である、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記繰り返し多層構造の構成単位となる各層の光学的厚み(nd(nm))が、100nm以下である、請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記繰り返し多層構造を形成する層の数が、100層以上30000層以下である、請求項1〜3いずれか一項に記載の位相差フィルム。
  5. 前記繰り返し多層構造が、下記式(2)を満足する、請求項1〜4いずれか一項に記載の位相差フィルム:
    0.001<|δn|<0.5 (2)
    (式中、δnは、負の光学的異方性を有する層(a)の平均屈折率と、光学的に略等方性である層(i)との平均屈折率との差を示す)。
  6. 前記負の光学的異方性を有する層(a)が、下記式(1)を満足する、請求項1〜5いずれか一項に記載の位相差フィルム:
    0.0001<|nnx−nny|<0.1 (1)
    (式中、
    nx:負の光学的異方性を有する層(a)のx軸方向における三次元屈折率
    ny:負の光学的異方性を有する層(a)のy軸方向における三次元屈折率
    x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
    y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸)
  7. 前記繰り返し多層構造の厚み方向の配向指標(Nz値(λ))が、下記式(5)を満足する、請求項1〜6いずれか一項に記載の位相差フィルム。
    0<Nz<1 (5)
    {式中、
    (n:繰り返し多層構造のx軸方向における三次元屈折率
    :繰り返し多層構造のy軸方向における三次元屈折率
    :繰り返し多層構造のz軸方向における三次元屈折率
    x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
    y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸
    z軸:繰り返し多層構造の面に対する法線方位の軸}
  8. 前記繰り返し多層構造の面内位相差値(R値(nm))が、下記式(6)を満足する請求項1〜7いずれか一項に記載の位相差フィルム。
    10nm<R<1000nm (6)
  9. 高分子の多層溶融押出により多層膜を成形し、引き続き、当該多層膜を延伸して得られる、請求項1〜8いずれか一項に記載の位相差フィルム。
  10. 光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下であることを特徴とする、請求項1〜9いずれか一項に記載の位相差フィルム。
  11. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ乳酸系樹脂である、請求項1〜10いずれか一項に記載の位相差フィルム。
  12. 前記ポリスチレン系樹脂が、スチレンと無水マレイン酸との共重合体を含むポリスチレン系樹脂から作られており、前記ポリスチレン系樹脂におけるスチレン/無水マレイン酸の共重合モル比が70/30〜95/5であり、かつ前記ポリスチレン系樹脂の光弾性係数の絶対値が15×10−12Pa−1以下である、請求項1〜11いずれか一項に記載の位相差フィルム。
  13. 下記の関係を満たす測定波長λ(nm)およびλ’(nm)(400nm≦λ<λ’≦700nm)を有する、請求項1〜12いずれか一項に記載の位相差フィルム:
    |{Rth(λ)/Rth(λ’)}−{R(λ)/R(λ’)}|≧0.1
  14. {R(λ)/R(λ’)}が1より大きく、かつ{Rth(λ)/Rth(λ’)}が1未満である測定波長λ(nm)およびλ’(nm)(400nm≦λ<λ’≦700nm)を有する、請求項1〜13いずれか一項に記載の位相差フィルム。
  15. 前記繰り返し多層構造が、前記繰り返し多層構造を構成する各層の間で組成が変化しているブレンド領域を有し、かつ前記繰り返し多層構造の1周期の幅に対する前記ブレンド領域の厚みの割合が、0.1〜50%である、請求項1〜14いずれか一項に記載の位相差フィルム。
  16. 平均屈折率の異なる少なくとも2種の層を構成単位とする繰り返し多層構造を含み、
    前記繰り返し多層構造は、構造性複屈折を発現し、
    前記少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の層は、分子配向性複屈折による負の光学的異方性を有する層(a)であり、かつ前記少なくとも2種の層のうち少なくとも1種の他の層は、下記式(27)を満たす光学的に略等方性である層(i)であり
    |n ix −n iy |≦0.0003 (27)
    (式中、
    ix :光学的に略等方性である(i)のx軸方向における三次元屈折率
    iy :光学的に略等方性である(i)のy軸方向における三次元屈折率
    x軸:繰り返し多層構造の面内における繰り返し多層構造の遅相軸
    y軸:繰り返し多層構造の面内におけるx軸に直交する軸)
    前記繰り返し多層構造が、前記繰り返し多層構造を構成する各層の間で組成が変化しているブレンド領域を有し、かつ前記繰り返し多層構造の1周期の幅に対する前記ブレンド領域の厚みの割合が、0.1〜50%である、
    位相差フィルム。
  17. 前記位相差フィルムの両面に、光学的に略等方性である保護層(X)が積層されており、かつ前記保護層(X)が、100μmのフィルム厚さについて水蒸気透過度50g/m・day以下の熱可塑樹脂組成物(P)で作られている、請求項1〜16いずれか一項に記載の位相差フィルム。
  18. 請求項1〜17いずれか一項に記載の位相差フィルムと偏光フィルムとが積層された積層偏光フィルム。
  19. 請求項1〜17いずれか一項に記載の位相差フィルムを具備する液晶表示装置。
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