JP5428635B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
また、近年、パーソナルコンピューターなどのフラットパネルディスプレーとして、カラー液晶表示装置(LCD)が急速に普及してきており、このようなカラーLCDにおいてカラーフィルターはフルカラー化を実現する目的で必須の構成部品となっている。一般に、このカラーフィルターには、その赤(R)・緑(G)・青(B)の着色層を被覆・保護するために保護膜が形成される。この保護膜には、十分な硬度や密着性及び画素の色彩に悪影響を及ぼさないための優れた透明性や膜厚均一性が求められる。さらに、当該保護膜には、接触する液晶化合物の汚染を防止する意味で、着色層側から液晶へ汚染物質が移行するのを阻止し得るパシベーション性、保護膜自体が液晶に溶出しない非溶出性などの非汚染性が求められる。その他にも高い耐熱性、硬度、耐温純水性、耐溶剤性、貯蔵安定性などの特性が求められる。また、上記LCDにおいては、光半導体装置として高輝度の青色LEDや白色LEDが開発され、掲示板、フルカラーディスプレーや携帯電話のバックライト等にその用途を広げている。
このような硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスホニウムブロマイド(特許文献1参照)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(特許文献2参照)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のエチルヘキサン塩(特許文献3参照)、或いはテトラフェニルホスホニウムブロマイド(特許文献4参照)が使用されている。
上記着色(黄変)の原因としては、熱硬化性樹脂組成物(例えば、特許文献5記載のもの)に含有される酸無水物系硬化剤成分(例えば、トリメリット酸無水物)中のフェニル基の変化などがその一つと考えられ、この点から分子構造中に芳香族基を有する硬化剤の使用は好ましくない。また、硬化促進剤のフェニル基や窒素分等も熱硬化性樹脂組成物の着色(黄変)原因のひとつとして考えられることから、熱硬化性樹脂組成物の無色透明性の維持の観点から考えると、カラーフィルター用の保護膜用塗工液や半導体の封止材用樹脂に硬化促進剤を使用することは好ましくない。
さらに、本発明の目的は、前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物を提供することにある。
すなわち、本発明は、エポキシ基含有樹脂と硬化剤からなる熱硬化性樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂硬化剤がシクロヘキサントリカルボン酸無水物である熱硬化性樹脂組成物、および該熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に使用する硬化剤は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物である。
シクロヘキサントリカルボン酸無水物としては、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸−3,5−無水物、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸−2,3−無水物などが挙げられる。本発明においては、これらの中で、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸―3,4−無水物を好ましく用いることができる。これらの化合物は単独で使用することもできるが、適宜組み合わせて使用することもできる。また、これらの化合物は例えば、トリメリット酸等のベンゼントリカルボン酸の水素添加により合成することができる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、DPP(ジーn−ペンチルフタレート)型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートやビニルシクロヘキセンジエポキサイド等の脂環式エポキシ樹脂、TGPS(トリグリシドキシフェニルシラン)や3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の含ケイ素エポキシ樹脂、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ヘキサヒドロ無水フタル酸のジグリシジルエステル等の多塩基酸のポリグリシジルエステル、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を1個有するグリシジルエーテル等が挙げられる。また上記エポキシ樹脂の核水添化物も使用できる。
エポキシ基を有する重合体としては、少なくとも下記式1で表される構成単位及び下記式2で表される構成単位から構成され、式2で表される構成単位に含まれるグリシジル基を2個以上有しているものが挙げられる。
式3において、R1としては水素またはメチル基が好ましく、R2としては未置換または炭素数1〜5のアルキル基が置換したシクロヘキシル基が好ましい。
式4において、R3として好ましいのは水素またはメチル基である。式4で表されるモノマーとしては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を例示することができ、その中ではグリシジルメタクリレート(GMA)が入手性の点などから好ましい。
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに溶剤を仕込み、攪拌しながら80℃に昇温する。次いで上記式3で表されるモノマー、上記式4で表されるモノマー、及び、必要に応じて他のモノマーを組み合わせた組成物と重合開始剤の混合物(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下する。滴下終了後、80℃の温度を5時間維持したところで反応を終了することにより、エポキシ基を有する重合体が得られる。
当量比=(X/2)/Y
(式中、Xは硬化剤中および樹脂中の、酸無水物基をカルボキシル基相当数2としカルボン酸基をカルボキシル相当数1としたときの全カルボキシル基相当数、Yは樹脂中のエポキシ基数を表す)
で表される当量比として、0.1〜3.0、好ましくは0.3〜1.5の範囲である。該当量比を0.1以上とすることで硬化の進行が十分となり、また、3.0以下とすることで硬化物のガラス転移温度(Tg)の低下や吸湿性や無色透明性の低下を防止し、かつ高温条件下や高エネルギー光照射下での着色を防止することができる点で好ましい。なお、ここで上記全カルボキシル基相当数は、中和滴定などにより求められる。また、エポキシ基数はエポキシ基当量より算出される。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それから得られる硬化物が無色透明で、長期高温条件下及び高エネルギーの光照射下での着色が少ないため、液晶ディスプレー、CCD、ELディスプレー等に用いられるカラーフィルターの保護膜用塗工液、青色LED、白色LED、CCDの封止材等に好適に用いることができる。
なお、本発明においては、「光半導体封止材」とは、LED、受光素子、フォトトランジスタ、フォトダイオード、CCD等の光半導体の素子等に用いる封止材を意味する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を溶融混合により調製する場合の混合順序は特に限定されるものではなく、例えば、全成分を同時に溶媒に溶解して本発明の組成物溶液を調製してもよいし、必要に応じて各成分を別々に同一または異種の溶媒に溶解して2つ以上の溶液とし、これらの溶液を混合して本発明組成物の溶液を調製してもよい。
混合は、攪拌翼を取り付けたモーターやマグネットスターラーの攪拌子で攪拌を行ったり、または各成分をガロン容器に配合してから容器ごとミックスローターで回転させて行うことができる。
カラーフィルターは、透明ガラス基板に所定のパターンで形成されたブラックマトリックスと、所定のパターンで形成された赤(R)、緑(G)、青(B)着色層と、当該着色層を覆うように形成された保護膜を備えている。保護膜上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極が形成される場合もある。また、ブラックマトリックス層が形成された領域に合わせて、透明電極板上、着色層若しくは保護膜上に柱状スペーサーが形成される場合もある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物をカラーフィルターの着色層を形成した側の表面に、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により塗布し、得られた塗膜を乾燥し、さらに必要に応じてプリベークした後、加熱することにより保護層が形成される。
スピンコータを使用する場合、回転数は通常500〜1500回転/分の範囲内で設定する。一般に、保護膜は0.5〜3.0μm程度の厚さ(硬化完了後)に形成する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の構成成分ならびに必要に応じて他の添加剤を混合した後、万能攪拌釜等の混練機にかけ、加熱状態で混練して溶融混合する。次に、これを室温(25℃程度)にて冷却することにより、目的とする光電変換素子の封止材料用樹脂組成物を製造することができる。なお、光電変換素子の封止材料用樹脂組成物の流動性を調製するため有機溶剤を添加することもできる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、もしくは2種以上を組みあわせて用いてもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を光電変換素子の封止材料として用いる場合の例を、LEDを例として説明すると、たとえば、円筒状のLEDに本発明の熱硬化性樹脂組成物を、ロールコート、スプレイ、デップ(浸漬法)等の方法により塗布し、得られた塗膜を乾燥し、さらに必要に応じてプリベークした後、加熱することにより封止材層が形成される。
<エポキシ基を有する重合体の合成>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを40.0部仕込み、攪拌しながら加熱して80℃に昇温した。次いで、80℃の温度でグリシジルメタクリレート28.4部、メチルメタクリレート21.6部、日本油脂(株)製過酸化物系重合開始剤「パーブチルO」4.0部、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.0部を予め均一混合したもの(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、80℃の温度を5時間維持した後反応を終了した。次に、得られた重合体溶液を真空乾燥して、溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを留去することにより、重量平均分子量(Mw)15,000、エポキシ当量250のエポキシ基を有する重合体(a)を得た。
なお、重量平均分子量(Mw)はGPCにより測定し、エポキシ当量は、JIS K7236−1986により測定した。
シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物25.6部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の芳香族核水添化物(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコートYX8000、エポキシ当量205)41.0部とを均一混合して調製した熱硬化性樹脂組成物についてラボプラストミル((株)東洋精機製作所製LABO PLASTOMILL 30C150)を用いて170℃におけるトルク上昇開始時間を測定し、硬化性を評価した。結果を表1に示す。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の芳香族核水添化物(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコートYX8000、エポキシ当量205)41.0部に代えて、参考例1で得られたエポキシ基を有する重合体(a)(エポキシ当量250)50.0部を使用した以外は実施例1と同様に熱硬化性樹脂組成物を調製し、硬化性を評価した。結果を表1に示す。
シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物25.6部に代えて、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、商品名:リカシッドMH700)33.8部を使用した以外は実施例1と同様に熱硬化性樹脂組成物を調製し、硬化性を評価した。結果を表1に示す。
シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物25.6部に代えて、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、商品名:リカシッドMH700)33.8部を使用し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の芳香族核水添化物(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコートYX8000、エポキシ当量205)41.0部に代えて、参考例1で得られたエポキシ基を有する重合体(a)(エポキシ当量250)50.0部を使用した以外は実施例1と同様に熱硬化性樹脂組成物を調製し、硬化性を評価した。結果を表1に示す。
シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物128部を融解させ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の芳香族核水添化物(エポキシ当量205)205.0部と混合して熱硬化性樹脂組成物を調製し、これを用いて100℃で2時間さらに150℃で3時間硬化させ、厚さ1mmの硬化物を得た。この硬化物を空気中150℃で24時間熱処理し、熱処理前後の光線透過性(400nm)を分光光度計(島津製作所(株)製分光光度計UV−3100)にて計測した。また、同じ硬化物を空気中(温度:60℃)にて、200Wの高圧水銀灯を光源として3万時間の照射を行って高エネルギー光処理し、同様に光線透過性(400nm)を計測した。さらに、その熱処理および高エネルギー光処理前後の光線透過保持率を算出した。結果を表2および表3に示す。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の芳香族核水添化物(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコートYX8000、エポキシ当量205)205.0部に代えて、参考例1で得られたエポキシ基を有する重合体(a)(エポキシ当量250)250.0部を使用した以外は実施例3と同様に熱硬化性樹脂組成物を調製し、これを用いて硬化物を得た。得られた硬化物について実施例3と同様に熱処理及び高エネルギー処理を施し、その前後の光線透過率を測定した。結果を表2および3に示す。
シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物128.0部に代えて、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、商品名:リカシッドMH700)168.0部を使用し、また硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール3.7部を使用した以外は実施例3と同様に熱硬化性樹脂組成物を調製し、これを用いて硬化物を得た。得られた硬化物について、実施例3と同様に熱処理及び高エネルギー処理を施し、その前後の光線透過率を測定した。結果を表2および3に示す。
シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物128.0部に代えて、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、商品名:リカシッドMH700)169.0部を使用し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の芳香族核水添化物(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコートYX8000、エポキシ当量205)205.0部に代えて、参考例1で得られたエポキシ基を有する重合体(a)(エポキシ当量 250)250.0部を使用し、更に硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール3.7部を添加した以外は実施例3と同様に熱硬化性樹脂組成物を調製し、これを用いて硬化物を得た。得られた硬化物について、実施例3と同様に熱処理及び高エネルギー処理を施し、その前後の光線透過率を測定した。結果を表2および3に示す。
参考例1で得られたエポキシ基を有する重合体(a)(エポキシ当量 250)189.0部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の芳香族核水添化物(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコートYX8000、エポキシ当量205)51.5部、無水トリメリット酸210.0重量部を均一混合して熱硬化性樹脂組成物を調製し、これ用いて実施例3と同様に硬化物を得た。得られた硬化物について、実施例3と同様に熱処理及び高エネルギー処理を施し、その前後の光線透過率を測定した。結果を表2および3に示す。
実施例1と同様にして、各原料を配合し均一に溶解して熱硬化性樹脂組成物を得た。あらかじめ準備しておいたブラックマトリックス隔壁間にRGB色素層を形成してあるガラス基板上に、前記の熱硬化性樹脂組成物を30cc滴下し、900rpmでスピンコートし、基板上に均一な塗布膜を形成した。この基板を80℃のオーブンに入れ5分間プリベークし、200℃で60分間熱硬化させて液晶保護膜を得た。形成された保護膜層の平坦化性は良好であり、また、この保護膜形成基板上に、液晶駆動用ITO電極をスパッタリング装置を用いて、120℃でH2O/O2導入下、約0.13μm厚でスパッタリングしたところ、設計どおりの20Ω/□の表面抵抗値がむらなく得られた。
実施例1と同様にして、各原料を配合し均一に溶解して熱硬化性樹脂組成物を得た。それを封止材用の容器にとり、電極、LED素子、リードフレームからなる素子をディップし、150℃、3時間の条件で熱硬化させて、光半導体装置を作成した。
Claims (2)
- エポキシ基含有樹脂と硬化剤とからなる熱硬化性樹脂組成物であって、該エポキシ基含有樹脂が、芳香族核水添化エポキシ樹脂、及び下記式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位を有するエポキシ基を含む重合体から選ばれる少なくとも一種であり、該硬化剤がシクロヘキサントリカルボン酸無水物であるとともに、前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物が、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸―3,4−無水物である熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物。
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