以下、本発明に係る露光装置及びその駆動制御方法並びに画像形成装置について、実施形態を示して詳しく説明する。
(画像形成装置)
まず、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置が適用された電子写真印刷装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、本発明に係る画像形成装置が適用された電子写真印刷装置100は、概略、感光体ドラム110と、帯電ローラ120と、露光ヘッド130と、現像器140と、搬送ベルト150と、転写ローラ160と、定着ローラ170と、クリーニング部材180と、イレーサ光源190と、を備えて構成されている。
感光体ドラム110は、ドラム形状の導電性支持体の外周表面に、例えば負帯電型のOPC(Organic Photo Conductor;有機光導電体)からなる感光体を積層した構造を有している。また、帯電ローラ120は、感光体ドラム110の帯電極性に対応した帯電器である。本実施形態においては、帯電ローラ120は、負帯電器であり、感光体ドラム110に接触した状態で、図示を省略した帯電用電源から供給されるマイナス高電圧を印加することにより、感光体ドラム110の外周表面が一様に負電位となるように帯電させる。
露光ヘッド130は、概略、ケース部31とロッドレンズ32から構成されている。詳しくは後述するが、ケース部31には、有機EL素子からなる複数の発光素子が一列にアレイ状に配列された基板が収納されている。この発光素子から放射された光が、ロッドレンズ32を介して感光体ドラム110に照射されることにより、感光体ドラム110の外周表面に所望の印字情報(画像データ)に応じた静電潜像が形成される。
また、現像器140は、現像ローラ41を有している。現像ローラ41は、現像器140に収容されている弱いマイナス電位に帯電したトナー(図示を省略)を、感光体ドラム110との対向部に回転搬送することにより、感光体ドラム110の外周表面に形成された静電潜像にトナーを付着させる。
搬送ベルト150は、載置された印刷用紙PPRを、感光体ドラム110と転写ローラ160が対向する転写部を介して、定着ローラ170へ搬送する。また、転写ローラ160は、搬送ベルト150に載置された印刷用紙PPRを介して、感光体ドラム110に対向するように配置されている。転写ローラ160は、上記現像器140により感光体ドラム110外周表面の静電潜像に付着されたトナーを、印刷用紙PPRに転写する。
定着ローラ170は、転写ローラ160により印刷用紙PPRに転写されたトナーを定着させて、電子写真印刷装置100の外部に排出する。クリーニング部材180は、トナー転写後の感光体ドラム110の外周表面に残留するトナーを除去する。イレーサ光源190は、感光体ドラム110の外周表面を一様に除電する。
このような電子写真印刷装置100における駆動制御方法(印刷方法)は、概略、次のような工程からなる。まず、図示を省略した帯電用電源から所定の初期化電圧が印加された帯電ローラ120が、回転する感光体ドラム110の外周表面に接触することにより、当該外周表面が一様に負の高電位に帯電(マイナス帯電)して初期化する。次いで、感光体ドラム110の外周表面に、露光ヘッド130から所望の印字情報に応じた光量の光を照射(露光)することにより静電潜像を形成する。具体的には、負の高電位に一様に帯電した感光体ドラム110の外周表面に、光照射による書込みを行うことにより、露光により負の低電位(例えば−50V)に帯電した露光帯電部と、露光されずに上述した初期化の際の負の高電位に帯電したままの初期化帯電部とからなる静電潜像が形成される。
次いで、現像器140に収容されている弱いマイナス電位に帯電したトナーを、現像ローラ41により感光体ドラム110との対向部に回転搬送させて、当該トナーを感光体ドラム110の外周表面に付着させる。ここで、現像ローラ41は、図示を省略した電源から、上記露光帯電部よりもさらに低い現像電圧(例えば−250V)が印加される。すなわち、現像ローラ41は、例えば−50Vに帯電した上記露光帯電部との間に、例えば−200Vの電位差を形成する。これにより、現像ローラ41に対して相対的にプラス極性の電位となった静電潜像の露光帯電部に、マイナス極性に帯電しているトナーが転移してトナー像を形成する。このとき、上述した感光体ドラム110の外周表面の露光量に応じた電位の減衰量に基づいて、上記静電潜像へのトナーの付着量(現像された画像の濃度)が決定される。このトナー像は、感光体ドラム110の回転に伴って、感光体ドラム110と転写ローラ160とが対向する転写部へと搬送される。
そして、この感光体ドラム110の回転に同期して、搬送ベルト150により印刷用紙PPRが転写部へ搬送されることにより、転写ローラ160が感光体ドラム110の外周表面のトナー像を印刷用紙PPRに転写する。トナー像が転写された印刷用紙PPRは、搬送ベルト150によりさらに搬送されて、定着ローラ170によりトナー像が熱定着された後、電子写真印刷装置100の外部に排出される。一方、転写動作後の感光体ドラム110は、その外周表面に残留する微量の転写漏れトナーがクリーニング部材180により除去された後、さらにイレーサ光源190により感光体ドラム110の外周表面が一様に除電される。
(露光ヘッド)
次に、本実施形態に係る電子写真印刷装置に適用される露光ヘッド(露光装置)について、図面を参照して説明する。ここでは、まず、本実施形態に係る露光ヘッドに適用される発光素子(有機EL素子)の基本的な構造について説明する。
図2は、本実施形態に係る露光ヘッドに適用される発光素子の基本的な構造を示す概略断面図である。ここでは、発光素子の一例として、ボトムエミッション型の発光構造を有する有機EL素子を示す。
本実施形態に係る発光素子として適用される有機EL素子は、例えば図2に示すように、ガラス等の透明な基板21上に、アノード電極22、正孔輸送層23、発光層24、電子輸送層25及びカソード電極26が順次形成された素子構造を有している。ここで、アノード電極22は、例えば錫ドープ酸化インジウム(Indium Thin Oxide:ITO)や亜鉛ドープ酸化インジウム等の光透過率の高い透明な電極材料により形成されている。また、カソード電極26は、例えばアルミニウム合金等の光反射率の高い金属材料により形成されている。発光層24は、正孔輸送層23を介して注入された正孔と、電子輸送層25を介して注入された電子を再結合して発光する有機材料を含んでいる。
このような構造を有する有機EL素子においては、アノード電極22とカソード電極26との間に発光層24の発光しきい値を越える電圧を印加することにより、正孔輸送層23及び電子輸送層25を介して注入されたホールと電子が、発光層24内で再結合する際に生じるエネルギーに基づいて光(励起光)hνが放射される。このとき、発光層24において発光した光hνは、図2に示すように、透明なアノード電極22及び基板21を直接透過して、あるいは、カソード電極26で反射した後、基板21を透過して、基板21の他面側(図2の図面下方)に出射される。なお、有機EL素子を構成する発光材料は、水分の影響を受けて素子特性の劣化を生じやすいので、水分を含む外気に直接触れないように、例えば図2に示すように、封止基板27により封止されている。また、有機EL素子は、カソード電極26の上面を、図示を省略した封止層によりさらに封止されていてもよい。
図3は、本実施形態に係る露光ヘッドの全体構成を示す斜視図である。また、図4は、本実施形態に係る露光ヘッドの内部構造を示す概略断面図である。
本実施形態に適用される露光ヘッド130は、図3、図4に示すように、大別して、ケース部31と、ロッドレンズ32と、制御ケーブル33と、を有している。
図4に示すように、ケース部31は、背面ケース31aと、前面ケース31bと、を備え、ケース部31の内部には、後述する発光素子アレイ10(図5参照)を構成する基板11や封止基板18、ドライバIC36等が収納されている。背面ケース31aにはケース部材を貫通するように中継コネクタ34が取り付けられている。中継コネクタ34と基板11上の配線(図示を省略)は、中継配線35により電気的に接続されている。また、中継コネクタ34は、制御ケーブル33を介して電子写真印刷装置本体の制御部(以下、「装置制御部」と記す;詳しくは後述する)に電気的に接続されている。
ケース部31に収納された発光素子アレイ10は、ガラス等の透明な基板11上に、感光体ドラム110への露光走査の主走査方向(感光体ドラム110の幅方向;図3中に矢印で表記)に、上述した素子構造を有する複数の有機EL素子OELが一列に配設されている。ここで、発光素子アレイ10は、具体的には、例えばA4サイズの印刷用紙を縦方向に用いて、その幅一杯に印字密度1200dpi(ドット/インチ)で印字可能なプリンタ装置に適用した場合、およそ14000個の発光素子(有機EL素子OEL)が配列されている。各発光点(ドット)である発光素子(有機EL素子OEL)は、後述するように、印字情報に応じた発光光量で発光するための駆動素子(薄膜トランジスタ)に接続されている。発光素子アレイ10は、上述した制御ケーブル33を介して装置制御部から供給される制御信号に基づいて駆動制御される。
ドライバIC36は、例えば基板11上に搭載され、発光素子アレイ10の各発光点を構成する有機EL素子OELを有する画素回路に電気的に接続されている。ドライバIC36は、装置制御部から制御ケーブル33、中継コネクタ34及び中継配線35を介して供給される制御信号や、印字情報として入力される階調データ等に基づいて、発光素子アレイ10の各有機EL素子OELに所定の電圧信号又は電流信号を所定の期間供給することにより、個々の有機EL素子OELを発光動作させる。なお、ドライバIC36として適用される構成やその制御動作については、詳しく後述する。
一方、前面ケース31bには発光素子アレイ10からの光の放射経路上にロッドレンズ32が取り付けられている。これにより、発光素子アレイ10の各有機EL素子OELから出射された光がロッドレンズ32を介して、例えば数mmの距離を隔てた感光体ドラム110の外周表面に集光されて小径の光スポットを形成し、光照射による書込みが行われる。
次に、本実施形態に係る露光ヘッドに適用される発光素子アレイ、及び、各発光素子(有機EL素子)の発光輝度を検出する光センサについて説明する。
図5は、本実施形態に係る露光ヘッドに適用される発光素子アレイ及び光センサの要部を示す概略構成図である。ここで、図5(a)は、発光素子アレイ及び光センサの概略構成を示す部分平面図であり、図5(b)は、図5(a)に示した発光素子アレイ及び光センサにおけるVA−VA線(本明細書においては、図5中に示したローマ数字の「5」に対応する記号として便宜的に「V」を用いて示す)に沿った断面を示す概略断面図である。なお、図5(a)においては、発光素子を構成する有機EL素子の構造のうち、対向電極であるカソード電極の図示を省略した平面構造を示した。ここで、発光素子及び光センサの配置を明確にするため、発光層及び光センサに便宜的にハッチングを施して示した。また、図5(a)、(b)においては、発光素子アレイ及び光センサ、有機EL素子を発光駆動するための薄膜トランジスタ(駆動トランジスタ)に接続される配線の図示を省略した。また、図5(a)、(b)に示す発光素子アレイ及び光センサの配置や断面構造は、一例を概念的に示したものであって、本発明はこれに限定されるものではないことはいうまでもない。
図5(a)に示すように、発光素子アレイ10は、感光体ドラム110への露光走査の主走査方向(図5(a)中に矢印で表記;図3中の矢印に対応する)に、発光素子である複数の有機EL素子OELが一列に配設されている。また、各有機EL素子OELの近傍には、発光駆動用の薄膜トランジスタ(以下、「駆動トランジスタ」と記す)TFTが配置されている。ここで、図5(a)、(b)に示すように、各有機EL素子OELは、図2と同様に、ガラス等の透明な基板11の一面側(図5(b)上面側)に形成されたゲート絶縁膜12上に、アノード電極13と、発光層15と、カソード電極16が順次積層された素子構造を有している。
駆動トランジスタTFTは、ソース電極又はドレイン電極が、上述した有機EL素子OELのアノード電極13に接続されている。ここで、駆動トランジスタTFT及び有機EL素子OELは画素回路を構成しており、各駆動トランジスタTFTは、装置制御部から供給される制御信号や、印字情報として入力される階調データ等に基づいてドライバ回路から各画素回路に供給される駆動信号に応じて、各有機EL素子OELに対して所定の電圧信号又は電流信号を所定の期間供給する。これにより、発光素子アレイ10に配列された各有機EL素子OELが所定の輝度で、所定の期間発光動作する。なお、印字情報として入力される階調データ(又は、補正された階調データ;詳しくは後述する)に基づいて、各発光点である有機EL素子OELを含む画素回路を駆動するドライバ回路は、例えば上述したドライバIC36の形態を有して基板11上に搭載される。
また、発光素子アレイ10が形成される基板11上には、発光素子アレイ10に近接する位置に光センサSENが設けられている。光センサSENは、例えば図5(b)に示すように、薄膜トランジスタ構造を有し、チャネルの幅方向が主走査方向に延在するように形成されている。ここで、光センサSENは、例えば全ての有機EL素子OELに対して1個設けられた構成、あるいは、全有機EL素子OELを所定数ごとのグループに分けて、各グループに対して1個ずつ設けられた構成を有している。
光センサSENは、具体的には、基板11の板厚が例えば0.7mm程度の場合には、発光点である有機EL素子OELから1mm程度離れた位置に配置することが好ましい。また、光センサSENは、上述した駆動トランジスタTFTと同様に薄膜トランジスタ構造を有しているので、少なくとも光センサSENと駆動トランジスタTFTを同一の製造プロセスを用いて同時に形成することができる。
光センサSENは、図5(b)に示すように、各有機EL素子OELから放射される光のうち、一部の光hνxが透明な基板11内で全反射を繰り返して伝搬し、光センサSENの光電変換層に入射することにより生じる電流(キャリヤ)に基づいて、当該有機EL素子OELの発光輝度を検出する。ここで、有機EL素子OELは、完全拡散型の発光素子であるので、全方向に光が放射される。そのため、ある角度で放射された一部の光hνxは、基板11内で全反射して光センサSENに到達する。すなわち、光センサSENにより検出された発光輝度は、概ね有機EL素子OEL本来の発光輝度に対応する。これにより、光センサSENにより検出された発光輝度に対応する電気信号(アナログ電流値)が、上述した制御ケーブル33を介して装置制御部に送出されて、発光素子である有機EL素子OELの特性の経時劣化の影響を抑制するための補正処理に用いられる。
なお、各有機EL素子OEL及び駆動トランジスタTFT、光センサSENは、図5(b)に示すように、直接、又は、層間絶縁膜14を介して、封止層17により表面が保護されている。さらに、発光素子アレイ10は、基板11に対向して貼り合わせられたガラス等の封止基板18により封止されている。
また、図5(b)に示した断面図においては、図示を簡略化するために、有機EL素子OELを構成する有機EL層として便宜的に発光層15のみを示したが、上述した有機EL素子の基本構造(図2参照)と同様に、担体輸送層として、アノード電極13と発光層15との間に正孔輸送層が設けられ、また、カソード電極16と発光層15との間に電子輸送層が設けられていることはいうまでもない。なお、有機EL素子OELの担体輸送層は、正孔輸送層と発光層と電子輸送層からなる三層構造に限定されるものではなく、例えば正孔輸送層及び電子輸送性発光層の二層構造でもよく、正孔輸送兼電子輸送性発光層のみでもよく、正孔輸送性発光層及び電子輸送層でもよく、また、層間にその他の担体輸送層が介在する構造を有するものであってもよい。
<画素回路の具体例>
次に、上述した実施形態に係る発光素子アレイに適用される画素回路について説明する。なお、ここで示す画素回路は、発光点である有機EL素子OELを含む画素回路の一例を示すものであって、本発明はこの回路例に限定されるものではない。
図6は、本実施形態に係る発光素子アレイに適用される画素回路の等価回路図である。
本実施形態に係る発光素子アレイ10に配列される有機EL素子OELを含む画素回路PIXは、例えば図6に示すように、発光駆動回路DCと有機EL素子OELとを備えている。発光駆動回路DCは、上述したドライバ回路(ドライバIC36)から供給される駆動信号に基づいて、所定の電圧値の電圧信号、又は、所定の電流値の電流信号を生成して、階調データ(印字情報)に応じた所定の期間、有機EL素子OELに供給する。これにより、有機EL素子OELは、電圧信号又は電流信号に応じた輝度階調で発光するとともに、当該発光状態を階調データに応じた期間(発光時間)継続する。すなわち、有機EL素子OELは、上記発光輝度と発光時間の積からなる発光光量の光を放出する。この有機EL素子OELを用いた露光ヘッド130においては、発光時間が感光体ドラム110に対する露光時間となる。
発光駆動回路DCは、具体的には、例えば図6に示すように、トランジスタTr11、Tr12とキャパシタCsとを備えている。トランジスタTr11は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子がデータラインLdに接続され、ソース端子が接点N11に接続されている。トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続され、ドレイン端子が所定の高電位電圧Vsaに接続され、ソース端子が接点N12に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)及びソース端子(接点N12)に接続されている。ここで、図5に示した駆動トランジスタTFTは、発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr12に対応する。
また、有機EL素子OELは、アノード端子(アノード電極)が上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード端子(カソード電極)が所定の低電位電圧Vsc(例えば接地電圧Vgnd)に接続されている。
画素回路PIX(発光駆動回路DC)に接続される選択ラインLsは、図示を省略した選択ドライバに接続されて、所定のタイミングで選択レベル又は非選択レベルの選択電圧Vselが印加される。また、データラインLdは、図示を省略したデータドライバに接続されて、上記選択電圧Vselにより選択状態に設定された画素回路PIXに対して、階調データ(印字情報)に応じた階調電圧Vdataが印加される。ここで、図示を省略した選択ドライバ及びデータドライバは、上述したドライバ回路に対応し、ドライバIC36の形態を有して基板11上に搭載されている。また、データドライバからデータラインLdを介して画素回路PIXに供給される階調電圧Vdataは、上述した駆動信号に対応する。
このような画素回路PIXにおける発光駆動動作は、まず、選択ドライバから選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr11がオン動作して画素回路PIXを選択状態に設定する。そして、このタイミングに同期して、データドライバから階調データに応じた所定の期間、所定の電圧値の階調電圧VdataをデータラインLdに印加することにより、トランジスタTr11を介して、階調電圧Vdataに応じた電位が接点N11(トランジスタTr12のゲート端子)に印加される。
これにより、トランジスタTr12が階調電圧Vdataに応じた導通状態でオン動作して、ドレイン・ソース間に所定の電流値の発光駆動電流(電流信号)が流れて、有機EL素子OELは、当該発光駆動電流に基づいて、階調電圧Vdataに応じた輝度階調で所定の期間、発光する。あるいは、トランジスタTr12が階調電圧Vdataに応じた導通状態でオン動作することにより、トランジスタTr12のソース端子(接点N12;有機EL素子OELのアノード端子)に所定の電圧値の電圧(電圧信号)が印加されて、有機EL素子OELが階調電圧Vdataに応じた輝度階調で所定の期間、発光する。なお、以下の説明では、説明の都合上、有機EL素子OELが発光駆動電流の電流値に基づいて発光動作する場合について説明するが、本実施形態においては、有機EL素子OELがアノード端子に印加される電圧に基づいて発光動作する場合も含むことを付記しておく。
(発光制御装置)
次に、本実施形態に係る露光ヘッドに適用される発光制御装置について、図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る露光ヘッドに適用される発光制御装置の一例を示す概略ブロック図である。また、図8は、本実施形態に係る発光制御装置に適用されるドライバ回路(データドライバ)の構成の一例を示す概略ブロック図である。
図7に示すように、上述した発光素子アレイ10の各有機EL素子OELを発光動作させるための発光制御装置200は、階調データ補正回路210と、データドライバ220と、装置制御部230と、光量検出回路240と、アナログ−デジタル変換回路(以下、「A/D変換回路」と略記する)250と、補正値メモリ260と、デジタル−アナログ変換回路(以下、「D/A変換回路」と略記する)270と、を有している。ここで、データドライバ220は、少なくともデータレジスタ回路223と、データラッチ回路224と、PWM/駆動信号出力回路227と、を有している。なお、データドライバ220の具体的な構成については後述する。また、装置制御部230は、少なくとも駆動信号電圧補正回路231を有している。階調データ補正回路210、データドライバ220、光量検出回路240、A/D変換回路250、補正値メモリ260、及び、D/A変換回路270は、例えばドライバIC36内に設けられている。
階調データ補正回路(第1の補正回路)210は、後述する発光動作時において、発光制御装置200の外部から印字情報として入力されるPWM階調データ、もしくは、後述する補正値取得動作において、補正値取得用に入力される特定のPWM階調データ(以下、「補正用PWM階調データ」と記す)に対して、所定のパルス幅補正値を加算することにより、有機EL素子OELの発光時間(パルス幅変調方式におけるパルス幅)を補正する。ここで、パルス幅補正値は、後述する補正値取得動作において、発光素子アレイ10の各発光点である有機EL素子OELの特性の経時劣化(輝度変化)の程度に基づいて、各有機EL素子OELに対応して取得される。これにより、発光素子アレイ10は、各有機EL素子OELからの発光光量が相互に均一化されるように駆動制御される。なお、本実施形態においては、各有機EL素子OELに対応して入力されるPWM階調データ、補正用PWM階調データ及びパルス幅補正値は、デジタルデータの形式を有している。また、階調データ補正回路210によって補正された各有機EL素子OELに対応する補正後のPWM階調データ又は補正後の補正用PWM階調データ(以下、「補正後PWM階調データ」と記す)は、個別の信号線を介してデータドライバ220に出力される。ここで、画像形成装置が、印字画像の階調表現を、階調値に応じて所定面積内の印字ドット数を変える面積階調によって行うものである場合には、各有機EL素子OELの発光輝度は一定となるように制御され、上記のPWM階調データは所定の一定値に設定される。また、この場合、補正値取得用に入力される補正用PWM階調データはPWM階調データと同じ値に設定される。
データドライバ220は、上述した補正後PWM階調データに基づいて、発光素子アレイ10の各有機EL素子OELを所望の発光光量で発光動作させるための駆動信号(例えば階調電圧Vdata)を生成して、発光素子アレイ10の各有機EL素子OELを有する画素回路PIXに所定の期間出力する。データドライバ220は、後述する発光動作時においては、補正後PWM階調データに基づいて、発光素子アレイ10の各有機EL素子OELを1ライン形成期間毎に制御し、各有機EL素子OELを各1ライン形成期間内に発光動作させるように制御する。ここで、1ライン形成期間は、感光体ドラム110の回転速度に基づく印字速度に応じて設定される、1ラインの印字に割り当てられている時間である。
ここで、例えば1024ドットの整数倍の発光点(有機EL素子OEL)が一列に配列された発光素子アレイ10を備えた露光ヘッド130に適用されるデータドライバ220について、具体例を図8に示して説明する。ここでは、図8に示すように、露光ヘッド130に配列された1024ドットごとの発光点(有機EL素子OEL)に対応して個別のデータドライバ220が設けられている。各データドライバ220は、上述した階調データ補正回路210の出力に対して、例えば256本のデータバスを介して、相互に並列に接続されている。そして、各データドライバ220は、例えば階調幅8bitの256個のパラレルデータを順次取り込み、1024ドットの各有機EL素子OELに対応する駆動信号(階調電圧Vdata)を生成する。データドライバ220は、この駆動信号を、補正後PWM階調データに含まれるPWM値に基づく所定の期間、発光素子アレイ10の各有機EL素子OELを有する画素回路PIXに対して、PWM出力として供給する。
データドライバ220は、具体的には、例えば図8に示すように、チップセレクト制御回路221と、シリアル−パラレル変換回路222と、データレジスタ回路223と、データラッチ回路224と、PWMカウンタ回路225と、カウント値比較回路226と、PWM/駆動信号出力回路227と、有している。
チップセレクト制御回路221は、階調データ補正回路210から出力された補正後PWM階調データの、各データドライバ220への取り込みタイミングを制御する。具体的には、例えば装置制御部230から出力されるチップセレクト信号Chip Sel(St/Ck)に基づいて、階調データ補正回路210から出力された補正後PWM階調データを、例えば256本のデータバスを介して並列的に取り込む。1本のデータバスに4ドット分の補正後PWM階調データがシリアルに送られ、チップセレクト信号Chip Sel(St/Ck)に基づいて4ドット分のシリアルデータを256個並列に取り込むことにより、露光ヘッド130に配列された4×256=1024ドット分の有機EL素子OELに対応する補正後PWM階調データが、データドライバ220に取り込まれる。
シリアル−パラレル変換回路222は、チップセレクト制御回路221により、所定のタイミングで、例えば階調幅8bitの1024ドット分の補正後PWM階調データ(シリアルデータ)を、隣接して配列された1024ドット分の有機EL素子OELに対応する、一組のパラレルデータに変換する。
データレジスタ回路223は、シリアル−パラレル変換回路222によってパラレルデータに変換された1024ドット分の補正後PWM階調データを取り込み、データラッチ回路224は、当該補正後PWM階調データを保持する。
PWMカウンタ回路225は、例えば装置制御部230から出力されるPWMクロック信号PWM Clockに基づいて、カウント値を順次加算する。
カウント値比較回路226は、PWMカウンタ回路225により計数されたカウント値と、データラッチ回路224に保持された補正後PWM階調データのPWM値とを比較する。これにより、データラッチ回路224に保持された補正後PWM階調データのPWM値がデジタル値として計数される。なお、カウント値がPWM値に達した場合にはカウント値は、リセットされる。
PWM/駆動信号出力回路227は、1024ドット分の各有機EL素子OELに対応する出力端子を備え、各出力端子から発光素子アレイ10の各有機EL素子OELを有する画素回路PIXに、例えば電圧信号からなる駆動信号(階調電圧Vdata)を供給する。ここで、各画素回路PIXへの駆動信号の供給期間は、上述したPWMカウンタ回路225により計数されたPWM値(パルス幅)に基づいて設定される。また、駆動信号の電圧値(パルス振幅)は、装置制御部230から供給される駆動信号電圧Vdrに基づいて設定される。これにより、各有機EL素子OELが駆動信号に応じた所定の輝度階調で、補正後PWM階調データに応じた期間、発光動作する。
光量検出回路240は、上述した光センサSENを含み、後述する補正値取得動作において、補正用PWM階調データを補正した補正後PWM階調データに応じた期間、各有機EL素子OELを所定の輝度階調で発光させて、その光を光センサSENで受光することにより発光輝度を検出する。ここで、光センサSENにより検出された発光輝度は、アナログ電流として出力される。
A/D変換回路250は、光量検出回路240(光センサSEN)により検出された発光輝度に対応して出力されるアナログ電流を、デジタル値に変換して装置制御部230に送出する。このデジタル値に変換された発光輝度は、後述するように、装置制御部230において、補正後PWM階調データに応じた期間(発光時間)との積からなる発光光量に換算される。そして、算出された発光光量は、予め設定された所定の規定値に対する大小関係が比較され、その結果に基づいて、各有機EL素子OELの特性の経時劣化(輝度変化)を補償するための補正値(パルス幅補正値及びパルス振幅補正値;詳しくは後述する)が調整される。ここで、上記規定値は、例えば、特性の劣化が生じていない初期特性を有する理想的な有機EL素子OELを発光制御装置200に入力される補正用PWM階調データに応じて発光させた場合に、光センサSENによって本来得られるべき発光輝度と、当該有機EL素子OELの発光時間から算出される発光光量のデジタル値である。この規定値は、例えば装置制御部230内の記憶手段(図示を省略)に予め記憶され、補正値取得動作時に読み出されて上記比較処理に適用される。
補正値メモリ260は、後述する補正値取得動作において、A/D変換回路250によりデジタル値に変換された有機EL素子OELの発光輝度と発光時間の積からなる発光光量と、所定の規定値との比較結果に基づいて調整された補正値(パルス幅補正値及びパルス振幅補正値)を、光量検出の対象となった各有機EL素子OELに対応付けて、個別の記憶領域に格納する。これにより、印字情報に応じて各有機EL素子OELを発光動作させる際に、上述した階調データ補正回路210が、補正値メモリ260から読み出された各有機EL素子OELの補正値(パルス幅補正値)に基づいて、PWM階調データのPWM値を補正する。また、装置制御部230が、補正値メモリ260から読み出した各有機EL素子OELの補正値(パルス振幅補正値)に基づいて、データドライバ220(PWM/駆動信号出力回路227)に供給する駆動信号電圧Vdrの電圧値を補正する。
D/A変換回路270は、装置制御部230から供給されるデジタル信号からなる駆動信号電圧Vdrを、アナログ電圧に変換する。アナログ変換された駆動信号電圧Vdrは、データドライバ220に設けられたPWM/駆動信号出力回路227に印加される。これにより、PWM/駆動信号出力回路227から発光素子アレイ10に出力される駆動信号(階調電圧Vdata)の電圧値が、駆動信号電圧Vdrに応じた電圧値に設定される。
装置制御部230は、上述した露光ヘッド130及び発光制御装置200が適用された画像形成装置において、印刷動作に関連する各種制御を行う。特に、本実施形態においては、発光制御装置200における補正値取得動作、及び、発光動作(露光動作)を制御する。補正値取得動作においては、装置制御部230は、補正値メモリ260から各有機EL素子OELに対応付けて格納されたパルス幅の初期値又は補正値を読み出して、上述した階調データ補正回路210に供給する。また、装置制御部230は、駆動信号電圧補正回路(第2の補正回路)231を備え、補正値メモリ260から読み出したパルス振幅の初期値又は補正値に基づいて駆動信号電圧Vdrを生成又は補正し、D/A変換回路270を介してデータドライバ220のPWM/駆動信号出力回路227に供給する。これにより、装置制御部230は、発光素子アレイ10に配列された各有機EL素子OELをPWM階調データに応じた所定の発光光量(発光輝度×発光時間)で発光動作させる。
そして、装置制御部230は、光センサSENを備えた光量検出回路240を駆動させて、発光動作している有機EL素子OELからの光を受光させる。これにより得られる発光輝度に対応する電流値を、A/D変換回路250を介してデジタル値に変換して取り込んで、当該発光輝度の値と有機EL素子OELに設定された発光時間との積からなる発光光量を算出する。その後、当該算出した発光光量と、有機EL素子OELの本来の発光光量を示す規定値との比較結果に基づいて調整されたパルス幅補正値を、各有機EL素子OELに対応付けて補正値メモリ260に格納する。ここで、装置制御部230は、光量検出回路240からの出力に基づいて取得されるパルス幅補正値に基づく発光時間が予め設定された発光時間の最大値(以下、規定時間と記す)を越える時間となった場合には、発光時間をこの規定時間に設定し、PWM/駆動信号出力回路227に供給する駆動信号電圧Vdrの電圧値を駆動信号電圧補正回路231により調整して、発光素子アレイ10の各有機EL素子OELを有する画素回路PIXに供給する駆動信号の電圧値を変更する。ここで、規定時間は1ライン形成時間に等しいか、1ライン形成時間より短い時間に設定される。そして、装置制御部230は、このときの駆動信号の電圧値の変更量を規定するパルス振幅補正値を、各有機EL素子OELに対応付けて補正値メモリ260に格納する。
また、装置制御部230は、発光動作においては、1ライン形成期間毎に、補正値取得動作により取得され、補正値メモリ260に格納されたパルス幅補正値を読み出して、階調データ補正回路210に供給する。また、装置制御部230は、補正値メモリ260に格納されたパルス振幅補正値を読み出して、駆動信号電圧補正回路231において駆動信号電圧Vdrを生成し、D/A変換回路270を介してデータドライバ220のPWM/駆動信号出力回路227に供給する。これにより、階調データ補正回路210が、PWM階調データのPWM値(発光時間)を補正し、また、PWM/駆動信号出力回路227が、発光素子アレイ10に配列された各有機EL素子OELの発光輝度を補正して、各有機EL素子OELを特性の経時劣化が補償され、各有機EL素子OELは、PWM階調データに応じた本来の発光光量(発光輝度及び発光時間)で発光動作する。
すなわち、本実施形態に係る露光ヘッド130の発光動作(補正値取得動作における発光動作を含む)においては、各有機EL素子OELを発光動作させる期間を規定するパルス波のデューティー比を変化させるPWM(Pulse Width Modulation)駆動方式に加えて、有機EL素子OELに供給する電流信号の電流値、又は、電圧信号の電圧値を変調することにより発光輝度を調整する駆動方法を適用している。これにより、各有機EL素子OELの特性の経時劣化を補償して、長期にわたり、PWM階調データに応じた本来の発光光量で発光動作させることができる。以下に、このような駆動方式を適用した露光装置の駆動制御方法について具体的に説明する。
(駆動制御方法)
上述したような構成を有する露光装置における発光素子アレイ10の補正値取得動作は、発光制御装置200により、次のように実行される。
図9は、本実施形態に係る露光装置における駆動制御方法(補正値取得動作)を示す概略フローチャートである。図10は、本実施形態に係る露光装置における補正値取得動作の一具体例を示すフローチャートである。
本実施形態に係る露光装置における補正値取得動作は、概略、図9に示すように、光量検出処理S11と、パルス幅補正値取得処理S12と、パルス幅比較判定処理S13と、パルス振幅補正値取得処理S14と、を含んでいる。
光量検出処理(輝度検出ステップ)S11は、データドライバ220から発光素子アレイ10の各画素回路PIXに供給される補正用PWM階調データに応じた駆動信号に応じて、各有機EL素子OELを発光動作させ、光センサSENによりその発光輝度を検出する。発光輝度はデジタル値に変換されて装置制御部230に入力されて、各有機EL素子OELについて検出された発光輝度の値と、各有機EL素子OELに設定された発光時間との積からなる発光光量を算出する。
パルス幅補正値取得処理(第1補正ステップ)S12は、有機EL素子OELごとに算出された発光光量を、当該有機EL素子OELが特性の劣化を生じていない初期特性を有する理想的な状態であるときに、補正用PWM階調データに応じて発光させた場合の本来の発光光量(規定値)に近づけるためのパルス幅補正値(第1の補正値)を取得する。
パルス幅比較判定処理S13は、各有機EL素子OELについて取得されたパルス幅補正値に基づいて設定される発光時間が、予め設定された規定時間の範囲内にあるか否かを判定する。規定時間は1ライン形成期間を超えない時間であり、発光時間の最大値である。
パルス振幅補正値取得処理(第2補正ステップ)S14は、パルス幅補正値に基づいて設定される発光時間が、上記規定時間を超過する値となる場合に、当該発光時間を規定時間に固定した状態で、有機EL素子OELの発光輝度を補正して、有機EL素子OELの本来の発光光量(規定値)に近づけるためのパルス振幅補正値(第2の補正値)を取得する。
次いで、本実施形態に係る補正値取得動作の具体例について説明する。
図10に示すように、本実施形態に係る発光制御装置200における補正値取得動作は、まず、ステップS101において、装置制御部230からD/A変換回路270を介して、データドライバ220のPWM/駆動信号出力回路227に、特定の電圧値の駆動信号電圧Vdrが供給される。これにより、PWM/駆動信号出力回路227から発光素子アレイ10の各画素回路PIXに供給される駆動信号(階調電圧Vdata)の電圧値が設定されて、発光動作時に各駆動トランジスタTFT(トランジスタTr12)から有機EL素子OELに供給される発光駆動電流の電流値が規定される。すなわち、これにより、発光動作時における各有機EL素子OELの発光輝度が規定される。ここで、駆動信号電圧Vdrの電圧値は、駆動信号電圧補正回路231において、例えば補正値メモリ260に記憶されたパルス振幅の初期値又は補正値に基づいて設定される。
次いで、ステップS102において、装置制御部230が補正値取得動作の対象となる発光点Dot(n)(nは発光点を指定するための正の整数)の有機EL素子OELを指定する。ここで、補正値取得動作の開始直後においては、装置制御部230は、例えば、発光素子アレイ10に配列された1024ドットの有機EL素子OELのうち、任意の端部に配置された有機EL素子OELを、1番目の発光点Dot(1)として指定する。
次いで、ステップS103において、階調データ補正回路210が、発光制御装置200の外部から入力される補正用PWM階調データを、パルス幅補正値に基づいて補正して、補正後PWM階調データを生成する。ここで、補正用PWM階調データは例えば発光動作時に印字情報として入力されるPWM階調データと同じ値に設定される。また、本実施形態に係る補正値取得動作においては、1ライン形成期間に対するマージンとして、従来技術に示したような、各有機EL素子の特性の経時劣化による比較的大きな輝度低下分をマージンに含めることなく、主に各有機EL素子間の輝度バラツキを考慮して、マージンを5〜10%程度に設定する。これにより、補正用PWM階調データを1ライン形成期間の95〜90%の時間に対応する値に設定する。ステップ103において、具体的には、装置制御部230が上記指定された発光点Dot(1)の有機EL素子OELに対応付けて補正値メモリ260に予め格納されたパルス幅補正値を、個別に読み出して、階調データ補正回路210に供給する。階調データ補正回路210は、指定された発光点Dot(1)の有機EL素子OELに対応する補正用PWM階調データに含まれるPWM値に上記パルス幅補正値を加算して、データドライバ220のデータレジスタ回路223に供給する。ここで、補正値取得動作時に発光制御装置200に入力される補正用PWM階調データは、所定のデジタル値(指定階調)に設定されている。また、使用開始直後の露光ヘッド130に対して、補正値取得動作を実行する場合のパルス幅補正値の初期値は、例えば「0」であってもよいし、任意のデジタル値であってもよい。パルス幅補正値の初期値を「0」に設定した場合には、補正後PWM階調データとして補正用PWM階調データがそのまま、データドライバ220に供給される。
次いで、ステップS104において、発光点Dot(1)の有機EL素子OELが、データドライバ220に入力された補正後PWM階調データに含まれるPWM値に基づいて指定された輝度階調で所定期間、発光動作する。このとき、発光点Dot(1)の有機EL素子OELは、ステップS101において設定された駆動信号電圧Vdrに基づいて供給される発光駆動電流の電流値に応じた輝度階調で発光動作する。また、発光点Dot(1)の有機EL素子OELは、ステップS103において補正された補正後PWM階調データに含まれるPWM値に基づく期間(発光時間)、上記の発光駆動電流が供給されて、発光動作を継続する。
次いで、ステップS105において、装置制御部230が光量検出回路240を駆動して、発光点Dot(1)の有機EL素子OELからの光を光センサSENにより受光する。ここで、光センサSENにより検出される発光輝度は、アナログ電流値として出力され、A/D変換回路250によりデジタル値に変換されて、装置制御部230に取り込まれる。そして、ステップS106において、装置制御部230は、取り込まれた発光輝度のデジタル値と上記有機EL素子OELの発光時間とを乗算して発光光量を算出する。なお、上述したステップS101〜S106に係る一連の処理動作は、図9に示した光量検出処理S11に対応する。
次いで、ステップS107において、装置制御部230は、算出された発光光量と予め設定された規定値とを比較する。ここで、規定値は、例えば、特性の劣化が生じていない初期特性を有する理想的な有機EL素子OELを補正用PWM階調データに応じた階調で発光動作させたときに、光センサSENにより測定される発光輝度に発光時間を乗算して算出される発光光量のデジタル値に設定される。なお、規定値は、例えば、特定の有機EL素子OELを実際に補正用PWM階調データに応じた階調で発光動作させたときの発光輝度の実測値に基づくものであってもよいし、有機EL素子OELの素子構造や発光制御装置200の回路特性等に基づいて導出される理論値(計算値)であってもよい。
ステップS107における発光光量と規定値との比較処理において、発光光量が規定値に一致する場合、あるいは、略一致する場合には、次のステップS108の動作が実行される。すなわち、装置制御部230は、補正値メモリ260から読み出して階調データ補正回路210に供給したパルス幅補正値が適切な補正値であると判断して、ステップS108において、このパルス幅補正値を、補正値メモリ260の当該有機EL素子OELに対応する記憶領域に格納する。
一方、ステップS107において、発光光量が規定値よりも高い場合には、次のステップS111の動作が実行される。すなわち、装置制御部230は、補正値メモリ260から読み出して階調データ補正回路210に供給したパルス幅補正値が大き過ぎると判断して、ステップS111において、このパルス幅補正値のデジタル値から例えば「1」を減算して、パルス幅補正値を減少させる(発光時間短縮ステップ)。そして、装置制御部230は、再度ステップS103に戻り、減算処理されたパルス幅補正値を適用して、上述したPWM階調データ補正、指定階調発光、発光輝度測定、光量算出、規定値比較の一連の処理動作を実行する。
また、ステップS107において、発光光量が規定値よりも低い場合には、次のステップS112、S113の動作が実行される。すなわち、装置制御部230は、補正値メモリ260から読み出して階調データ補正回路210に供給したパルス幅補正値が小さ過ぎると判断して、ステップS112において、このパルス幅補正値のデジタル値に例えば「1」を加算して、パルス幅補正値を増加させる(発光時間延長ステップ)。なお、上述したステップS107〜S112に係る一連の処理動作は、図9に示したパルス幅補正値取得処理S12に対応する。
次いで、ステップS113において、装置制御部230は、この加算処理により得られたパルス幅補正値が、補正後PWM階調データの値が、上述の規定時間に対応する上限値を超えないようにするための、予め規定した規定範囲内にあるか否かを判断する。ここで、上述したようにPWM階調データ及び補正用PWM階調データが8bitで規定される場合には、補正後PWM階調データの値の上限値は255となる。ここで、補正後PWM階調データの値が上限値の255であるときのPWM値(パルス幅)は1ライン形成期間に等しいか、これを越えない時間である。そして、上述のように、補正用PWM階調データが1ライン形成期間の95〜90%程度の時間、すなわち「242」〜「230」程度の値に設定されている場合、パルス幅補正値の規定範囲は0〜12から0〜26程度の値となる。なお、このステップS113に係る処理動作は、図9に示したパルス幅比較判定処理S13に対応する。
そして、ステップS113において、加算処理されたパルス幅補正値が、上記の規定範囲内にあると判別した場合には、装置制御部230は、再度ステップS103に戻り、加算処理されたパルス幅補正値を適用して、上述したPWM階調データ補正、指定階調発光、発光輝度測定、光量算出、規定値比較の一連の処理動作を実行する。
一方、ステップS113において、加算処理されたパルス幅補正値が、上記の規定範囲を越えていると判別した場合、すなわち、当該パルス幅補正値に基づいて設定される補正後PWM階調データの値が上記の上限値を超える値となる場合には、次のステップS114、S115、S116の動作が実行される。すなわち、装置制御部230は、ステップ114において、パルス幅補正値を上記の規定範囲における最大値に固定して、補正後PWM階調データの値を最大値に固定する。そして、このパルス幅補正値を補正値メモリ260の当該有機EL素子OELに対応する記憶領域に格納する。そして、装置制御部230は、当該有機EL素子OELの発光輝度を設定するために、PWM/駆動信号出力回路227に供給した駆動信号電圧Vdrのデジタル値を規定するパルス振幅補正値が小さ過ぎると判断して、ステップS115において、このパルス振幅補正値のデジタル値に例えば「1」を加算して、パルス振幅補正値を増加させる(発光輝度増加ステップ)。そして、ステップ116において、このパルス振幅補正値を、補正値メモリ260の所定の記憶領域に格納する。なお、上述したステップS115、S116に係る一連の処理動作は、図9に示したパルス振幅補正値取得処理S14に対応する。
そして、装置制御部230は、再度ステップS101に戻り、加算処理されたパルス振幅補正値に基づいて、駆動信号電圧補正回路231により設定された駆動信号電圧Vdrを適用して、上述した発光輝度設定、発光点指定、PWM階調データ補正、指定階調発光、発光輝度測定、光量算出、規定値比較の一連の処理動作を実行する。
上述したステップS101〜S107、S111〜S116の一連の処理動作は、ステップS107の比較処理において、発光光量が規定値に一致(又は略一致)するまで繰り返し実行される。
次いで、ステップS109において、装置制御部230は、発光素子アレイ10に配列された次の(隣接する)発光点Dot(n+1)としての有機EL素子OELが存在するか否かを判断する。ここで、上述した補正値取得動作の対象となっている有機EL素子OELが発光素子アレイ10に配列された最後の発光点Dot(n)である場合、すなわち、全ての有機EL素子OELに対する補正値取得動作が完了した場合には、補正値取得動作を終了する。
一方、ステップS109において、上記の有機EL素子OELが最後の発光点Dot(n)でない場合、すなわち、補正値取得動作が実行されていない有機EL素子OELがある場合には、次のステップS110の動作が実行される。ステップS110において、装置制御部230は、発光点Dot(n)を指定する変数nに「1」を加算して、隣接する有機EL素子OELを指定する変数n+1を新たな変数nに設定する。そして、装置制御部230は、隣接する発光点Dot(n)である有機EL素子OELについて、上述したステップS101以降の動作を実行する。
このように、本実施形態に係る発光制御装置における補正値取得動作は、まず、各有機EL素子OELを特定の指定階調で発光動作させたときに検出される発光輝度に基づく発光光量と、予め設定された規定値とを比較することにより、各有機EL素子OELの特性の経時劣化の程度に応じた発光時間の補正値(パルス幅補正値)を取得する。そして、本実施形態においては、このパルス幅補正値が、予め規定した規定範囲内にあるか否かを判定することにより、経時劣化が進行して発光時間が規定範囲を超える値となる有機EL素子OELの発光時間を規定範囲の最大値に設定し、その発光輝度を上げるように調整し、その補正値(パルス振幅補正値)を取得する。このとき、本実施形態においては、パルス幅補正値の数値範囲に対応する1ライン形成期間に対するマージンを、主に各有機EL素子OELの輝度バラツキに相当する5〜10%程度の値とする。これにより、有機EL素子OELの発光時間を比較的長くして、有機EL素子OELの発光輝度を比較的低くすることができる。
なお、上述した補正値取得動作においては、パルス幅補正値の減算処理(ステップS111)及び加算処理(ステップS112)、パルス振幅補正値の加算処理(ステップS114)において、各デジタル値を「1」減算又は加算する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2以上の整数を減算又は加算するものであってもよい。
次に、本実施形態に係る発光制御装置における発光素子アレイの発光動作について説明する。
図11は、本実施形態に係る露光装置における駆動制御方法(発光動作)の一例を示すフローチャートである。
本実施形態に係る発光制御装置200における発光素子アレイ10の発光動作は、まず、ステップS201において、装置制御部230からD/A変換回路270を介して、データドライバ220のPWM/駆動信号出力回路227に駆動信号電圧Vdrが供給される。ここで、装置制御部230の駆動信号電圧補正回路231から供給される駆動信号電圧Vdrは、上述した一連の補正値取得動作により取得され、補正値メモリ260に格納されているパルス振幅補正値に基づいて、駆動信号電圧Vdrの初期値を補正することにより生成される。駆動信号電圧Vdrの初期値は、有機EL素子OELからの光によって露光される感光体材料の仕様に応じて、有機EL素子の発光光量が規定されるので、それに基づいて設定される。この補正された駆動信号電圧Vdrの電圧値に基づいて、PWM/駆動信号出力回路227から発光素子アレイ10の各有機EL素子OELを有する画素回路PIXに供給される駆動信号(階調電圧Vdata)の電圧値が設定される。そして、この駆動信号(階調電圧Vdata)の電圧値に基づいて各駆動トランジスタTFTから有機EL素子OELに供給される発光駆動電流の電流値が規定されることにより、各有機EL素子OELの発光輝度が規定される(パルス振幅補正ステップ)。
次いで、ステップS202において、装置制御部230が、上述した一連の補正値取得動作により取得され、各有機EL素子OELに対応付けて補正値メモリ260に格納されているパルス幅補正値を順次読み出して、階調データ補正回路210に供給する。階調データ補正回路210は、発光制御装置200の外部から印字情報として入力される各有機EL素子OELに対応するPWM階調データに含まれるPWM値に、上記各補正値を個別に加算する補正を行い、データドライバ220に供給する。この補正されたPWM階調データのPWM値に基づいて、各有機EL素子OELに供給される発光駆動電流の供給時間が規定されることにより、各有機EL素子OELの発光時間が規定される(パルス幅補正ステップ)。
次いで、ステップS203において、データドライバ220は、階調データ補正回路210から入力された各有機EL素子OELに対応する補正後PWM階調データに含まれるPWM値に基づく期間、各有機EL素子OELに、ステップS201において供給された駆動信号電圧Vdrに基づく一定の電流値の発光駆動電流を一斉に供給する。これにより、各有機EL素子OELは、供給される発光駆動電流の電流値に応じた輝度で、印字情報の各階調に応じた時間だけ発光動作する。したがって、各有機EL素子OELは、特性の経時劣化が補償され、PWM階調データに応じた本来の発光光量で発光動作する(発光素子駆動ステップ)。
なお、本実施形態に示した駆動制御方法において、補正値取得動作は、印字情報に応じた発光動作(露光動作)に先立って、任意のタイミングで実行するものであっても良い。また、予め設定された一定の周期で、補正値取得動作を定期的に実行するものであっても良いし、上記発光動作の終了後に実行するものであっても良いし、例えば画像形成装置の使用者の操作により実行するものであっても良い。
次に、本実施形態に係る露光装置及びその駆動方法における作用効果について詳しく説明する。
図12は、本実施形態の作用効果を説明するための図である。
ここでは、まず、従来技術における寿命の設定方法と駆動制御方法について検証した後、本発明における寿命の設定方法と駆動制御方法について説明する。
従来、露光ヘッドの発光装置等に適用する有機EL素子の特性の経時劣化の影響を抑制して、製品寿命を長くする手法を考える場合、一般に、各有機EL素子の輝度バラツキの変動と、素子の寿命による輝度低下を予め想定した駆動制御が行われていた。ここで、各有機EL素子の輝度バラツキは、各有機EL素子を同時間発光させたときの発光光量のバラツキであって、例えば有機EL素子の製造工程におけるバラツキ(具体的には有機EL材料を塗布したときのバラツキ等)や、有機EL素子を発光駆動するための回路特性のバラツキ等に起因するものである。また、寿命による輝度低下は、各有機EL素子を長時間発光動作させた場合の、有機EL素子ごとの発光輝度の経時劣化である。ここでは、各有機EL素子の輝度バラツキの変動量を±Lsと表記し、寿命による輝度低下量をLeと表記する。
上記のような駆動制御方法においては、例えば輝度バラツキとして±Ls=5%、寿命による輝度低下としてLe=25%を想定して、全体として30%程度の輝度低下(輝度低下変動幅)を想定した駆動制御が行われていた。すなわち、最も経時劣化が進行した有機EL素子で最大30%程度の輝度低下を見込む必要があり、有機EL素子の発光時間を制御(パルス波のデューティー比を変調)することにより階調(中間調)を表現するPWM駆動方式において、このような駆動制御方法を適用した場合、有機EL素子の発光動作が行われる1ライン形成期間に、上記の30%のマージンを予め設定する必要があった。そのため、水平同期期間HSYNCのうち、上記の30%のマージンを除く1ライン形成期間の70%の時間内で、有機EL素子を発光動作させなければならなかった。
より具体的な例を示して説明すると、PWM駆動方式(PWM制御)において、水平同期期間HSYNCを8bit256階調(階調値0〜255)のPWM信号で割り当てる場合、有機EL素子の使用開始当初においては、水平同期期間HSYNCの70%の時間である255×70%=179階調分の時間内でPWM信号のパルス幅を調整して発光動作させることになる。ここで、図12に示すように、マージンを設けない状態(図中、特性線SP0)で良好な印字結果が得られる状態として、有機EL素子の発光輝度を200cd/m2に設定したとき、上記30%のマージンを設け、図中、特性線SP2に示すように、有機EL素子の発光輝度を変えない場合には、時間平均として140cd/m2の発光輝度しか得られないことになる。
一方、上述した特許文献1に記載されている駆動方法(有機EL素子の特性の経時劣化の補償方法)においては、有機EL素子の近傍に光量センサを配置し、当該光量センサにより測定された発光光量に基づいて有機EL素子の発光時間(上記PWM信号のパルス幅)を調整して、有機EL素子の発光特性の均一性を維持している。
この特許文献1に記載されている駆動方法において、上述したマージンを加味して具体的に検証する。上述したように、有機EL素子の経時劣化による輝度低下分を考慮して、1ライン形成期間から例えば30%の時間を減算した残りの70%の時間で、所望の発光光量を実現させなければならない。1ライン形成期間にマージンを設けず、1ライン形成期間の100%の時間で有機EL素子の発光輝度を200cd/m2に設定したときと同じ発光光量を、1ライン形成期間の70%の時間で得るには、有機EL素子の発光輝度を200cd/m2に対して約43%高めた、286cd/m2に設定しなければならない。このように、マージンを設けない場合に比較して、マージンを大きくする程、所望の発光光量を実現するために、高輝度、高電流密度で有機EL素子を発光動作させることが必要となる。
一般的に、有機EL素子は、高輝度になるほど輝度の電流効率は低下するため、発光時間の比に対するよりもさらに大きな電流値の発光駆動電流を有機EL素子に流さなければならない。そのため、有機EL素子の発光特性の経時劣化の進行が早まり、寿命を一層短くしてしまう。また、露光ヘッドにおいては、発光光量の均一性が重要であるが、印字情報により有機EL素子ごとに発光状態が偏ることにより、各有機EL素子の経時劣化の度合いも異なり、有機EL素子ごとの発光光量のバラツキも大きくなる。
これに対して、本発明においては、上述した実施形態に示したように、1ライン形成期間に設けるマージンを、主に各有機EL素子間の輝度バラツキを考慮した、5〜10%程度に設定して、上記の従来技術における30%程度のマージンより小さくしている。そして、各有機EL素子の特性の経時劣化の程度に応じて、所望の発光光量が得られるように各有機EL素子を発光動作させる期間を規定するパルス波のパルス幅を変化させるPWM駆動方式を用いることに加えて、各有機EL素子の特性の経時劣化の程度に応じて発光輝度(パルス振幅)を調整する駆動方法を適用している。すなわち、本発明においては、各有機EL素子OELの特性の経時劣化を補償する第1の手法として、各有機EL素子の発光光量を光センサにより検出し、発光光量が予め設定された規定値に合致しない有機EL素子の発光時間(PWM信号のパルス幅)を長くするように制御する。更に、各有機EL素子の特性の経時劣化を補償する第2の手法として、上記第1の手法において、有機EL素子の発光時間(上述した実施形態では、PWM信号のパルス幅を補正するためのパルス幅補正値)が規定の数値範囲を逸脱する場合には、各有機EL素子の発光輝度(上述した実施形態では、画素回路に供給される駆動信号の電圧値)を高くするように制御する。
これにより、本発明における露光装置及びその駆動制御方法においては、1ライン形成期間に設けるマージンを、主に各有機EL素子OEL相互の輝度バラツキに基づく数%(例えば5〜10%)に設定して、各有機EL素子OELの特性の経時劣化を補償するように駆動することができる。図12に示した例を用いて具体的に説明すると、PWM駆動方式において、1ライン形成期間を8bit256階調(階調値0〜255)のPWM信号で割り当てる場合、図中、特性線SP1に示すように、有機EL素子の使用開始当初において、1ライン形成期間の95〜90%の時間である242〜230階調分の時間内でPWM信号のパルス幅を調整して発光動作させることができる。ここで、有機EL素子の発光輝度を変えない場合には、242〜230階調分の時間内では、時間平均として190〜180cd/m2の発光輝度が得られることになる。そして、1ライン形成期間の100%の時間で有機EL素子の発光輝度を200cd/m2に設定したときと同じ発光光量を、1ライン形成期間の95〜90%の時間で得るには、有機EL素子の発光輝度を200cd/m2に対して約5%高めた211cd/m2から約11%高めた222cd/m2にすればよい。
このように、本発明によれば、所望の発光光量での露光動作を実現するために、上述した従来技術における駆動方法に比較して、相対的に発光輝度を低く設定することができる。このように、本発明によれば、有機EL素子に供給される発光駆動電流の電流値を小さく(換言すれば電流密度を低く)することができるので、有機EL素子の特性の経時劣化の進行を軽減して寿命を長くすることができる。さらに、本発明によれば、有機EL素子相互の発光光量のバラツキが大きくなることを抑制することができる。これにより、画像形成装置に適用される露光ヘッドにおいて、有機EL素子の特性の経時劣化を補償して、長期にわたり印字情報に応じた適切な発光光量で発光動作(露光動作)させることができる。