JP5098725B2 - 露光装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の露光装置及びこの露光装置を備える画像形成装置に関する。
電子写真方式等の画像形成装置(プリンタ装置)においては、画像形成のための露光装置を有している。近年、この露光装置の光源として、有機EL素子等の発光素子を利用する試みが各種なされている。このような発光素子を各画素に用いた画像表示装置では、画素を選択するとともに発光素子用の駆動電流を発光素子に供給するための複数のトランジスタや、駆動電流を保持するための保持コンデンサ等が各画素毎に設けられている。例えば、特許文献1には、このような構成の表示装置が開示されている。(特許文献1)
この種の表示回路での具体的な動作の概要を説明する。選択用トランジスタによって選択される期間、画像データの階調に応じた駆動電流が駆動用トランジスタのドレイン・ソース間に流れることで、駆動用トランジスタのゲート・ソース間に接続された保持用コンデンサに駆動電流に応じた階調データが書込まれる。選択用トランジスタがオフした後、保持用コンデンサには画像データの階調に対応した信号電荷が書込まれているため、これを表示期間中保持することで、この信号電荷に応じた電流が駆動用トランジスタから画素表示素子に供給されて点灯し、所望の表示輝度での表示が実行される。
特開2003−043995号公報
前述した電流駆動型の表示回路では、電流駆動出力により画素回路内の電荷保持用コンデンサに画像データの階調に対応した電荷を充電する。そのため、特に低階調で駆動電流が微小な電流値となるときには、電荷保持用コンデンサに駆動電流に対応する電荷を充電するために必要な時間が長くなる。このため、このような表示回路を画像形成装置に用いた場合には、高階調での点灯時に比して低階調時の充電時間が長くなり、このことが結果的に印刷装置の光学露光装置として印刷速度を低下させる要因の1つとなる。
本発明は前記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、印刷する画像データの階調の高低に関係なく常に画素回路への充電に要する時間を短縮化し、印刷装置での高い印刷速度を実現することが可能な露光装置及びこの露光装置を備える画像形成装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、感光体ドラムに画像データに応じた露光を行なう露光装置であって、発光素子を有する複数の画素がライン状に配列され、前記感光体ドラムに前記画像データに応じた露光を行なう発光素子アレイと、前記発光素子アレイによって前記感光体ドラムに1ラインを露光する1ライン時間を、前記1ライン時間に対する前記発光素子アレイの前記発光素子の点灯時間の割合を示すデューティ比が第1の値に設定された第1の分割期間と、前記デューティ比が第1の値より小さい第2の値に設定された第2の分割期間と、に分割し、前記画像データ前記各分割期間の前記デューティ比に応じて分割して、前記第1の分割期間に対応する第1の分割画像データと前記第2の分割期間に対応する第2の分割画像データを生成する画像データ処理部と、前記第1の分割画像データに対応した電流値を有する第1の駆動電流を生成して前記第1の分割期間に前記発光素子アレイに供給し、前記第2の分割画像データに対応した電流値を有する第2の駆動電流を生成して前記第2の分割期間に前記発光素子アレイに供給する駆動信号生成回路とを備え、前記発光素子アレイにおける前記複数の画素は、所定数の前記画素毎の複数の画素群に分割され、該各画素群の前記各画素が、並行して時分割駆動され、前記画像データ処理部は、前記発光素子が前記第1の分割期間に前記第1の駆動電流に応じた輝度で前記第1の値のデューティ比に応じた時間だけ点灯したときに前記感光体ドラムに供給される第1の光エネルギーと、前記発光素子が前記第2の分割期間に前記第2の駆動電流に応じた輝度で前記第2の値のデューティ比に応じた時間だけ点灯したときに前記感光体ドラムに供給される第2の光エネルギーと、の合計が、前記画像データに対応して前記発光素子を前記1ライン時間中に発光させときに前記感光体ドラムに供給される光エネルギーに等しくなる値に、前記第1及び第2の分割画像データの値を設定し、前記画像データの階調値が所定の第1の階調値より低いときに前記第1の分割画像データを前記第1の駆動電流の電流値をゼロにする値に設定し、前記画像データの階調値が所定の第2の階調値より高いときに前記第2の分割画像データを前記第2の駆動電流の電流値をゼロにする値に設定することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明において、前記第1の分割画像データ及び前記第2の分割画像データの少なくともいずれか一方がゼロに設定されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、画像データに応じた印刷を行なう画像形成装置であって、感光体ドラムと、発光素子を有する複数の画素がライン状に配列され、感光体ドラムに前記画像データに応じた露光を行なう発光素子アレイと、前記発光素子アレイによって前記感光体ドラムに1ラインを露光する1ライン時間を、前記1ライン時間に対する前記発光素子アレイの前記発光素子の点灯時間の割合を示すデューティ比が第1の値に設定された第1の分割期間と、前記デューティ比が第1の値より小さい第2の値に設定された第2の分割期間と、に分割し、前記画像データを前記各分割期間の前記デューティ比に応じて分割して、前記第1の分割期間に対応する第1の分割画像データと前記第2の分割期間に対応する第2の分割画像データを生成する画像データ処理部と、前記第1の分割画像データに対応した電流値を有する第1の駆動電流を生成して前記第1の分割期間に前記発光素子アレイに供給し、前記第2の分割画像データに対応した電流値を有する第2の駆動電流を生成して前記第2の分割期間に前記発光素子アレイに供給する駆動信号生成回路とを備え、前記画像データ処理部は、前記発光素子が前記第1の分割期間に前記第1の駆動電流に応じた輝度で前記第1の値のデューティ比に応じた時間だけ点灯したときに前記感光体ドラムに供給される第1の光エネルギーと、前記発光素子が前記第2の分割期間に前記第2の駆動電流に応じた輝度で前記第2の値のデューティ比に応じた時間だけ点灯したときに前記感光体ドラムに供給される第2の光エネルギーと、の合計が、前記画像データに対応して前記発光素子を前記1ライン時間中に発光させときに前記感光体ドラムに供給される光エネルギーに等しくなる値に、前記第1及び第2の分割画像データの値を設定し、前記画像データの階調値が所定の第1の階調値より低いときに前記第1の分割画像データを前記第1の駆動電流の電流値をゼロにする値に設定し、前記画像データの階調値が所定の第2の階調値より高いときに前記第2の分割画像データを前記第1の駆動電流の電流値をゼロにする値に設定することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記請求項3記載の発明において、前記第1の分割画像データ及び前記第2の分割画像データの少なくともいずれか一方がゼロに設定されることを特徴とする。
本発明によれば、印刷する画像データの階調の高低に関係なく常に画素回路への充電に要する時間を短縮化し、印刷装置での高い印刷速度を実現することが可能となる。
以下図面を参照して、本発明の一実施形態に係る露光装置及び画像形成装置(印刷装置)について説明する。
図1は、本実施形態に係る露光装置を用いた画像形成装置の構成例を示す図である。同図で画像形成装置は、感光体ドラム1、ケース部2A及びロッドレンズアレイ部2Bが一体的に設けられた露光装置2、帯電ローラ3、イレーサ光源感光体4、クリーニング部材5、現像ローラ6aを含む現像器6、転写ローラ8、定着ローラ9、及び搬送ベルト11を具備して、電子写真方式により画像形成(印刷)を行なうものである。なお、符号7が付されているのは印刷用紙7である。
前記露光装置2を構成するロッドレンズアレイ部2Bは、例えばセルフォック(登録商標)レンズを一列、または複数の列に配列させたレンズアレイであり、入射された光を等倍正立像として感光体ドラム1に結像するレンズ部である。
前記感光体ドラム1は、負帯電型OPC(Organic Photo Conductor)感光体(有機感光体)であり、これに対応して帯電ローラ3が負帯電器とされる。また、前記露光装置2は、詳しくは後述するが、複数の発光素子がアレイ状に配列された発光素子アレイを有して構成されている。
前記図1に示す画像形成装置では、大まかに以下のような工程により印刷が行なわれる。まず、前記帯電ローラ3が回転する感光体ドラム1の表面に接触することにより、感光体ドラム1の接触した表面が一様に負電位となるように帯電される。
続いて、前記露光装置2によって前記感光体ドラム1に対して光照射がなされ、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。その後、前記現像器6によって、前記静電潜像にトナーが付着される。そして、前記転写ローラ8によって、前記静電潜像に付着しているトナーが前記印刷用紙7に転写される。
以下、このような印刷工程を詳細に説明する。
まず、感光体ドラム1には、図示しない帯電用電源から供給されるマイナス高電圧が前記帯電ローラ3によって印加される。これにより感光体ドラム1における周表面は一様に負帯電され、電位的に初期化された初期化帯電状態となる。
そして、周表面が初期化帯電状態となった感光体ドラム1に対し、前記露光装置2によって印字情報に従った光書込み(露光)が行なわれる。これにより、初期化帯電によるマイナス高電位部と、露光による例えば−50[V]程度のマイナス低電位部とからなる静電潜像が、感光体ドラム1の周表面上に形成される。
ここで、前記現像器6内に収容されている弱いマイナス電位に帯電したトナーが、前記現像ローラ6aによって、現像ローラ6aと感光体ドラム1との対向部に回転搬送される。このとき、現像ローラ6aは、図示しない電源から例えば−250[V]程度の現像バイアス電圧が印加される。
したがって、−250[V]の現像バイアス電圧が印加された現像ローラ6aと、感光体ドラム1における静電潜像の−50[V]程度のマイナス低電位部との間に200[V]程度の電位差が形成される。
これらの静電潜像における現像電圧との電位差により、現像ローラ6aに対して相対的にプラス極性の電位となった静電潜像におけるマイナス低電位部には、マイナス極性に帯電しているトナーが転移してトナー像が形成される。このトナー像は、感光体ドラム1の回転によって、感光体ドラム1と転写ローラ8とが対向している転写部へと搬送される。
なお、前述したようにして形成されたトナー像におけるトナー付着量、すなわち現像された画像の濃度は、露光装置2の発光素子による感光体ドラム1への露光量に応じて生じる感光体ドラム1の周表面上における電位の減衰量によって決定される。
次いで、前述したようにトナー像が転写部へ搬送されると、搬送ベルト11によって印刷用紙7が転写部へ搬送される。そして、転写部においては、トナー像が印刷用紙7上に、転写ローラ8によって転写される。
このようにしてトナー像が転写された印刷用紙7が搬送ベルト11によりさらに下流に搬送され、トナー像が定着ローラ9によって熱定着された後、印刷用紙7は当該画像形成装置の外部へ排出される。
また、トナー像が印刷用紙7上に転写された後、感光体ドラム1の周表面からクリーニング部材5により残留トナーが除去され、さらにイレーサ光源感光体4によって一様に0(ゼロ)[V]に除電されて、帯電ローラ3への帯電に備えられる。
なお、前記露光装置2における前記ケース部2A内には、図1に示す感光体ドラム1への露光走査の主走査方向である感光体ドラム1の軸方向に沿って、有機EL素子からなる発光素子を有する多数の画素がライン状に配列された発光素子アレイが設けられる。
図2は、前記ケース部2A内に設けられる露光ヘッド部の構成を示すものである。同図では、説明を簡略化するために露光ヘッド基板における発光素子アレイが全24画素で構成されるものとして説明するが、実際の露光ヘッド基板は、前述した如く、例えば印字解像度が1200[dpi]でA4の用紙(長辺297[mm])に対応した印刷装置であれば、およそ14,000画素の構成となる。
同図で露光装置2のケース部2A内には、印刷すべき画像データが与えられるデータ解析・タイミング制御部(画像データ処理部)20、データドライバ(駆動信号生成回路)21、セレクト生成部22、露光ヘッド基板23、及びアノード生成部24を備える。露光ヘッド基板23には、隣接する4画素ずつで分割した計6つの画素群a1〜a4,b1〜b4,‥‥,f1〜f4が配置される。
画像データに合わせた露光を行なう場合、データ解析・タイミング制御部20は、ここでは図示しないラスタイメージプロセッサからの画像データと用紙サイズ及び搬送速度に合わせた水平制御信号HSYNC、及び垂直制御信号を受信し、それらの制御信号に合わせてデータドライバ21にデータ転送を行なう。
データドライバ21は、データ解析・タイミング制御部20からのデータ伝送に合わせて各画素のオンオフ及び画像データに応じた階調信号に基づく電流値を有する複数の駆動電流Idrva〜Idrvfを生成して露光ヘッド基板23に供給する。
また、セレクト生成部22は、データ解析・タイミング制御部20からの制御信号に合わせて画素を選択状態とするための複数の選択信号(Select1〜Select4)を生成して露光ヘッド基板23に供給する。
一方、アノード生成部24もデータ解析・タイミング制御部20からの制御信号に合わせて画素を点灯状態とするための複数の保持信号(Anode1〜Anode4)を生成して露光ヘッド基板23に供給する。
さらに前記データ解析・タイミング制御部20は、後述する如く露光ヘッド基板23の各画素に対してリセット信号を生成して送出する。
図3は、前記図2に示す露光ヘッド基板23の等価回路である。また、図4は、本発明の効果を説明するための、比較対象としての駆動タイミングチャートである。
図3は、前記図2に示す露光ヘッド基板23上の画素群a〜fのうち、4つの画素a1〜a4からなる画素群aと、4つの画素b1〜b4からなる画素群bの一部(画素b1、b2)とを示している。
各画素は、例えば、薄膜トランジスタで構成され、画素の選択用スイッチとしての選択トランジスタ33と、発光素子としての有機EL素子34と、薄膜トランジスタで構成され、前記有機EL素子34駆動用の駆動トランジスタ31と、薄膜トランジスタで形成された保持トランジスタ30と、画素の表示輝度に対応した信号電荷を保持するための保持コンデンサ32とを具備して構成される。
図3に示す露光ヘッド基板23においては、各駆動電流が印加される複数の駆動信号線と、各選択信号が印加される複数の選択信号線と、各保持信号が印加される複数の保持信号線とを有する。
各選択信号線に印加される選択信号がハイレベルとされる画素の選択期間に、データドライバ21から階調信号に基づく電流値を有する駆動電流Idrva〜Idrvfが各駆動信号線に流され、選択トランジスタ33を介して駆動トランジスタ31に流されて、駆動トランジスタ31の電流路に流れる電流に対応した電荷が保持コンデンサ32に蓄積される。
そして、選択信号がローレベルとされ、保持信号線に印加される保持信号がハイレベルとされる保持期間に、保持コンデンサ32に蓄積された電荷に応じた電流が駆動トランジスタ31から有機EL素子34に供給され、この電流の電流値に応じた輝度で有機EL素子34が点灯するように構成される。
また、各駆動信号線にリセットトランジスタ35,36が設けられ、選択期間の初期にリセットトランジスタ35,36をオンにして保持コンデンサ32に充電された電荷を放電させるように構成される。
図4に示す水平制御信号HSYNCは印刷装置の主走査方向の同期信号であり、アクティブ〜アクティブ期間が感光体ドラム1上に1ラインが露光されるのに許されるドット形成処理時間(1ライン時間)となる。例えば印字解像度が主走査方向、搬送方向共に1200[dpi]、印字速度40[枚/分]、用紙間50[mm]でA4横サイズの光源ユニットを用いるとすると、1ライン時間は、
((25.4mm/1200dpi)/(210mm×40枚+50mm×40枚))/60
≒122[μ秒]となる。
なお、露光装置2における発光素子アレイは、複数の発光素子が一列に配列された構成を有するものや、複数の発光素子が2列以上に千鳥配列されたもの等、種々の形態を有し、それに対応して、発光素子アレイによって感光体ドラム1上に露光される形状も、発光素子アレイにおける複数の発光素子の配列に対応した形状となり、感光体ドラム1上に露光される1ラインは、露光されたドットが1列に並んだものだけではなく、例えば露光されたドットが千鳥状に並んでいるが、見かけ上、1ラインに見えるもの等を含むものである。
データドライバ21は、水平制御信号HSYNCがアクティブ〜アクティブである期間(1ライン時間)に、前記感光体ドラム1を露光して潜像を形成するのに必要な光エネルギーが得られるように、各画素を駆動して所定の時間発光させる。
発光時間を1ライン時間に対して十分に短い時間とすれば、1ライン時間中に各画素を複数回発光させることが可能で、配列された画素を時分割で発光させることがコスト、及び実装上の観点から望ましい。
その場合、前記図2,図3に示した如く1本のデータドライバ21からの出力で複数の画素34のアノードと接続し、同カソード側をセレクト生成部22で生成する選択信号Select1〜Select4を1ライン時間内でシフトする。
前記図2では、一例としてデータドライバ21が1本の駆動信号線Idrvaで画素群aの4つの画素a1〜a4を駆動し、露光ヘッド基板23への供給ラインをIdrva〜Idrvfの計6本としているが、本発明はこの限りではない。
同様に、セレクト生成部22から露光ヘッド基板23への選択信号線Select1〜Select4と、アノード生成部24から露光ヘッド基板23への保持信号線Anode1〜Anode4も各画素群の4つの画素に対して4本ずつ出力するものとしているが、本発明はこの限りではない。
したがって、露光ヘッド基板23は、水平方向(走査方向)に各画素が一列に24(=4×6)画素形成される。実際の有機ELを用いた露光ヘッド基板23では、一列あるいは複数列に用紙サイズ分の画素素子を形成する。
図4は、前記のような回路構成を一般的な駆動方法で制御する場合の制御タイミングを示す。選択信号Select1が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a1,b1,‥‥,f1の回路に階調データに対応した、Idrva〜Idrvf=Ia1〜If1の電流で信号電荷が保持コンデンサ32に書込まれる。この保持コンデンサ32に書込まれた信号電荷に応じた電流が駆動トランジスタ31から有機EL素子34に供給されることで、保持信号Anode1が“H”レベルである期間中、有機EL素子34が点灯する。
同様に、選択信号Select2が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a2,b2,‥‥,f2が、選択信号Select3が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a3,b3,‥‥,f3が、選択信号Select4が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a4,b4,‥‥,f4が、それぞれ階調データに応じた電流がデータドライバ21から出力されて、その後の各保持信号Anode2〜4が“H”レベルである期間、それぞれ対応する画素として点灯する。
以下に、前記の図4に示した、一般的な駆動方法における不具合を説明する。
画像データの内容が低階調である場合、データドライバ21からの各画素回路への駆動電流は、高階調時の駆動電流の電流値に比して小さな電流値となる。そのため、保持コンデンサ32に書込まれる信号電荷が当該低階調時の駆動電流に対応した値へ達するまでの時間が、高階調の場合に比して長いものとなる。このため、保持コンデンサ32に書込まれる信号電荷を低階調時においても正確に画像データの階調に対応した値となるようにするためには、1ライン時間を比較的長い時間に設定しておく必要があり、これによって、全体のスループットを低下させてしまうという不具合を生じる。
あるいは、スループットを優先した場合、設定された1ライン時間では、低階調時において、保持コンデンサ32への書き込み時間が、当該低階調に対応した信号電荷を書き込むために必要な時間より短くなり、そのために画像データの階調に応じた信号電荷が書き込めず、画像データの階調に正確に対応した印刷が行えないという不具合を生じることがある。
前記のような不具合を解決する、本発明における駆動方法について、以下に説明する。
図5は、前記図2、図3で示した回路構成を本発明の一実施形態に係る駆動方法で制御する場合の制御タイミングを示す。
ここで前記データ解析・タイミング制御部20は、感光体ドラム1を露光して形成する潜像に必要な光エネルギーを得るべく、1画素での点灯を1ライン時間内で複数の分割期間に分割して駆動制御する。すなわち、有機EL素子34の点灯輝度と点灯時間とをそれぞれ、データドライバ21に転送するデータを、各分割期間の、後述するデューティ比の割合に応じた駆動電流となるように、元の画像データを各分割期間に対応して分割した分割画像データを演算して生成する機能を有するものとする。この図5では、一例として1ライン時間を前後2分割し、前半をファースト期間(第1分割期間)、後半をセカンド期間(第2分割期間)とした場合を示す。
図6は、参照例として、先に示した印字解像度が主走査方向、搬送方向共に1200[dpi]、印字速度40[枚/分]、用紙間50[mm]でA4横サイズに対応した光源ユニットで、感光体ドラム1の光感度を0.3[μJ/cm2]、有機EL素子34の効率を2.2[cd/A]、感光体ドラム1表面上に結像させる目的で露光ユニット内に備えるレンズアレイの光伝達度を6[%]、画素の階調レベルを9階調とした場合の、従来の一般的な駆動方法による、階調レベルに対する画素形成に必要な駆動電流の電流値を、1ライン時間に対する点灯時間の割合からなるデューティ比が5%、20%、40%の3種類の場合について示したものである。
同図に示す如く、低階調時の駆動電流は、デューティ比の値が高い(40%)ほど、すなわち1ライン時間内の発光時間が長いほど、電流値が小さくなる。また、デューティ比の値が低い(5%)ほど、すなわち1ライン時間内の発光時間が短いほど、高階調時の電流値が大きくなる。
これに対して、図7は、本実施形態における、階調レベルに対する駆動電流の関係の一例を示す。前記図5で示したように1ライン時間をファースト期間とセカンド期間とに2分割し、且つファースト期間とセカンド期間とで同期間内での点灯時間の割合(デューティ比)を異なるように設定して、低階調時においても駆動電流が比較的大きい電流値となるようにしたものである。
図7(A)は、ファースト期間のデューティ比を20[%]、セカンド期間のデューティ比を5[%]とした場合の、階調レベルに対する駆動電流の関係を示したものである。この図7(A)における設定はファースト期間とセカンド期間の少なくともいずれか一方の駆動電流が0(ゼロ)[μA]となるようにして、一方の分割期間でのみ点灯駆動を行なうようにしたものである。
この場合、0[%](0/8)階調ではファースト期間、セカンド期間共に駆動電流が0(ゼロ)[μA]となる。次いで、階調値が低い12.50[%](1/8)階調から37.5[%](3/8)階調まではデューティ比の大きいファースト期間での駆動電流を0(ゼロ)[μA]とし、デューティ比の小さいセカンド期間での駆動電流を26[μA]乃至78[μA]の範囲で変化させる。
一方、階調値が比較的高い50[%](4/8)階調から100[%](8/8)階調までは、デューティ比の小さいセカンド期間での駆動電流を0(ゼロ)[μA]とし、デューティ比の大きいファースト期間での駆動電流を26[μA]乃至52[μA]の範囲で変化させる。
例えば、100[%](8/8)階調時のファースト期間の駆動電流52[μA]に対して、最も低い12.50[%](1/8)階調時のセカンド期間の駆動電流が26[μA]という、充分に大きな値となっており、保持コンデンサ32への書込みに要する時間を充分に短縮可能であることが容易に理解できる。
これにより画像形成装置におけるスループットを向上させることができるとともに、画像データの階調に正確に対応した、良好な印刷を行なうことができる。
加えて、最大の駆動電流は37.5[%](3/8)階調時のセカンド期間の78[μA]であり、この電流値は、図6に示した一般的な駆動方法における。デューティ比が5%のときの最大電流(208[μA])より十分に小さく、デューティ比を5%のみとした場合に比して、露光ヘッド基板23の消費電力を抑えることもできる。
次いで、図7(B)は、ファースト期間のデューティを40[%]、セカンド期間のデューティを20[%]とした場合の、階調レベルに対する駆動電流の関係を示したものである。この図7(B)における設定は、一部の階調ではファースト期間とセカンド期間の双方で駆動電流を流すようにしたものである。
この場合、0[%](0/8)階調ではファースト期間、セカンド期間共に駆動電流が0(ゼロ)[μA]となる。次いで、階調値が低い12.50[%](1/8)階調から50[%](4/8)階調まではデューティ比の小さいセカンド期間での駆動電流を6.5[μA]乃至9.75[μA]の範囲で変化させる。
一方、階調値が比較的高い25[%](2/8)階調から100[%](8/8)階調までは、デューティ比の大きいファースト期間での駆動電流を3.25[μA]乃至26[μA]の範囲で変化させる。
すなわち、25[%](2/8)階調から50[%](4/8)階調までの3つの階調レベルでは、ファースト期間とセカンド期間の双方で駆動電流を流すようにしている。この場合、低階調時の駆動電流の電流値は、先の図7(A)に示した構成の場合よりは小さくなるが、図6に示した一般的な駆動方法の場合に比して大きくすることができて、保持コンデンサ32への書込みに要する時間を短縮することが可能である。
さらにこの図7(B)における構成においては、駆動電流の最大電流が26[μA]であり、先の図7(A)の構成の場合の78[μA]よりもさらに小さくすることができて、露光ヘッド基板23の消費電力の増加を抑えることもできる。
前述した如く前記図7(A)及び図7(B)は、ファースト期間とセカンド期間とで同期間内での点灯時間の割合を異なるように設定した場合の駆動電流との関係の一例を示したものであり、それぞれの値について限定するものではない。
しかして前記図5では、前記図7(A)または図7(B)で点灯時間のデューティと駆動電流値の例を示したように、選択信号Select1がファースト期間中の“H”レベルとなる期間で、各画素群中の画素a1,b1,‥‥,f1の回路に第1の階調データ(第1の分割画像データ)に対応した信号電荷がデータドライバ21から与えられ、
Idrva〜Idrvf=Ia’1〜If’1
の電流で信号電荷が書込まれ、これら信号電荷に応じた電流が駆動トランジスタ31から有機EL素子34に供給されることで、保持信号Anode1が“H”レベルである期間中、対応する画素の有機EL素子34が点灯する。
同様に、このファースト期間中、選択信号Select2が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a2,b2,‥‥,f2が、選択信号Select3が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a3,b3,‥‥,f3が、選択信号Select4が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a4,b4,‥‥,f4が、それぞれ第1の階調データ(第1の分割画像データ)に応じた電流がデータドライバ21から出力されて、その後の各保持信号Anode2〜4が“H”レベルである期間、それぞれ対応する画素として点灯する。
その後、前記ファースト期間に続くセカンド期間で選択信号Select1が“H”レベルとなる期間で、各画素群中の画素a1,b1,‥‥,f1の回路に第2の階調データ(第2の分割画像データ)に対応した信号電荷がデータドライバ21から与えられ、
Idrva〜Idrvf=Ia”1〜If”1
の電流で信号電荷が書込まれ、これら信号電荷に応じた電流がその後に駆動トランジスタ31から有機EL素子34に供給されることで、保持信号Anode1が“H”レベルである期間中、対応する画素の有機EL素子34が点灯する。
同様に、セカンド期間中も、選択信号Select2が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a2,b2,‥‥,f2が、選択信号Select3が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a3,b3,‥‥,f3が、選択信号Select4が“H”レベルの期間で各画素群中の画素a4,b4,‥‥,f4が、それぞれ第2の階調データ(第2の分割画像データ)に応じた電流がデータドライバ21から出力されて、その後の各保持信号Anode2〜4が“H”レベルである期間、それぞれ対応する画素として点灯する。
このように、本実施形態によれば、各画素群毎に設けられた1ライン時間を複数、例えば2つの分割期間に分割して、画素回路の各画素に対する点灯時間のデューティ比を小さく設定した分割期間で低階調時の書込みを行ない、その分だけ駆動電流値を上げるものとしたため、印刷する画像データの階調の高低に関係なく常に画素回路への充電に要する時間を短縮化し、印刷装置での高い印刷速度を実現して、スループットを高めることが可能となる。
加えて前記実施形態では、前記複数に分割した分割期間毎に、各画素群中の各画素に対する点灯時間のデューティ比を異ならせるものとしたので、画像データが低階調である場合にはデューティ比のより小さい分割期間側で画素回路への信号電荷の書込みと発光駆動を行い、高階調である場合にはデューティ比のより大きい分割期間側で画素回路への信号電荷の書込みと点灯とを行なうべく、画像データの階調に対する期間の切換えあるいは組み合わせを予め設定しておくことで、低階調時の駆動電流値を必要な書込み速度が維持できる程度に充分高くし、且つ、高階調時の駆動電流値の上昇を抑えることができて、画素回路の各素子の設計の自由度を高めることができる。
なお、前記実施形態では、1ライン時間をファーストとセカンドの2つの分割期間に分割する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、1ライン時間を3つあるいは4以上の分割期間に分割して発光素子である有機EL素子の発光駆動を行なうものとしてもよい。
また、前記実施形態では、発光素子として有機EL素子を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、発光輝度と発光時間に応じた実効値による駆動制御で露光量を可変設定可能な他の発光素子を用いる場合でも同様に適用可能となる。
その他、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、前述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。前述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図。 同実施形態に係る露光ヘッド部の駆動回路の構成を示す図。 同実施形態に係る露光ヘッド基板の一部の等価回路の構成を示す図。 図3の等価回路での一般的な駆動方法を示すタイミングチャート。 同実施形態に係る図3の等価回路での駆動方法を示すタイミングチャート。 図4のタイミングチャートでの多階調に応じた駆動電流の関係を示す図。 同実施形態に係る図5のタイミングチャートでの多階調に応じた駆動電流の関係を示す図。
符号の説明
1…感光体ドラム、2…露光装置、2A…ケース部、2B…ロッドレンズアレイ部、3…帯電ローラ、4…イレーサ光源感光体、5…クリーニング部材、6…現像器、7…印刷用紙、8…転写ローラ、9…定着ローラ、11…搬送ベルト、20…データ解析・タイミング制御部、21…データドライバ、22…セレクト生成部、23…露光ヘッド基板、24…アノード生成部、30…保持トランジスタ、31…駆動トランジスタ、32…保持コンデンサ、33…選択トランジスタ、34…有機EL素子、35,36…リセットトランジスタ。

Claims (4)

  1. 感光体ドラムに画像データに応じた露光を行なう露光装置であって、
    発光素子を有する複数の画素がライン状に配列され、前記感光体ドラムに前記画像データに応じた露光を行なう発光素子アレイと、
    前記発光素子アレイによって前記感光体ドラムに1ラインを露光する1ライン時間を、前記1ライン時間に対する前記発光素子アレイの前記発光素子の点灯時間の割合を示すデューティ比が第1の値に設定された第1の分割期間と、前記デューティ比が第1の値より小さい第2の値に設定された第2の分割期間と、に分割し、前記画像データ前記各分割期間の前記デューティ比に応じて分割して、前記第1の分割期間に対応する第1の分割画像データと前記第2の分割期間に対応する第2の分割画像データを生成する画像データ処理部と、
    前記第1の分割画像データに対応した電流値を有する第1の駆動電流を生成して前記第1の分割期間に前記発光素子アレイに供給し、前記第2の分割画像データに対応した電流値を有する第2の駆動電流を生成して前記第2の分割期間に前記発光素子アレイに供給する駆動信号生成回路と
    を備え
    前記発光素子アレイにおける前記複数の画素は、所定数の前記画素毎の複数の画素群に分割され、該各画素群の前記各画素が、並行して時分割駆動され、
    前記画像データ処理部は、前記発光素子が前記第1の分割期間に前記第1の駆動電流に応じた輝度で前記第1の値のデューティ比に応じた時間だけ点灯したときに前記感光体ドラムに供給される第1の光エネルギーと、前記発光素子が前記第2の分割期間に前記第2の駆動電流に応じた輝度で前記第2の値のデューティ比に応じた時間だけ点灯したときに前記感光体ドラムに供給される第2の光エネルギーと、の合計が、前記画像データに対応して前記発光素子を前記1ライン時間中に発光させときに前記感光体ドラムに供給される光エネルギーに等しくなる値に、前記第1及び第2の分割画像データの値を設定し、前記画像データの階調値が所定の第1の階調値より低いときに前記第1の分割画像データを前記第1の駆動電流の電流値をゼロにする値に設定し、前記画像データの階調値が所定の第2の階調値より高いときに前記第2の分割画像データを前記第2の駆動電流の電流値をゼロにする値に設定することを特徴とする露光装置。
  2. 前記第1の分割画像データ及び前記第2の分割画像データの少なくともいずれか一方がゼロに設定されることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
  3. 画像データに応じた印刷を行なう画像形成装置であって、
    感光体ドラムと、
    発光素子を有する複数の画素がライン状に配列され、感光体ドラムに前記画像データに応じた露光を行なう発光素子アレイと、
    前記発光素子アレイによって前記感光体ドラムに1ラインを露光する1ライン時間を、前記1ライン時間に対する前記発光素子アレイの前記発光素子の点灯時間の割合を示すデューティ比が第1の値に設定された第1の分割期間と、前記デューティ比が第1の値より小さい第2の値に設定された第2の分割期間と、に分割し、前記画像データを前記各分割期間の前記デューティ比に応じて分割して、前記第1の分割期間に対応する第1の分割画像データと前記第2の分割期間に対応する第2の分割画像データを生成する画像データ処理部と、
    前記第1の分割画像データに対応した電流値を有する第1の駆動電流を生成して前記第1の分割期間に前記発光素子アレイに供給し、前記第2の分割画像データに対応した電流値を有する第2の駆動電流を生成して前記第2の分割期間に前記発光素子アレイに供給する駆動信号生成回路と
    を備え
    前記画像データ処理部は、前記発光素子が前記第1の分割期間に前記第1の駆動電流に応じた輝度で前記第1の値のデューティ比に応じた時間だけ点灯したときに前記感光体ドラムに供給される第1の光エネルギーと、前記発光素子が前記第2の分割期間に前記第2の駆動電流に応じた輝度で前記第2の値のデューティ比に応じた時間だけ点灯したときに前記感光体ドラムに供給される第2の光エネルギーと、の合計が、前記画像データに対応して前記発光素子を前記1ライン時間中に発光させときに前記感光体ドラムに供給される光エネルギーに等しくなる値に、前記第1及び第2の分割画像データの値を設定し、前記画像データの階調値が所定の第1の階調値より低いときに前記第1の分割画像データを前記第1の駆動電流の電流値をゼロにする値に設定し、前記画像データの階調値が所定の第2の階調値より高いときに前記第2の分割画像データを前記第1の駆動電流の電流値をゼロにする値に設定することを特徴とする画像形成装置。
  4. 前記第1の分割画像データ及び前記第2の分割画像データの少なくともいずれか一方がゼロに設定されることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
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