JP5427606B2 - 放射電力測定方法及び放射電力測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は放射電力測定方法、放射電力測定用結合器及び放射電力測定装置に係り、特に、被測定物としての、例えば、小型無線端末の放射電力を、簡単な構成で、短時間にかつ高感度に測定するための技術を採用した放射電力測定方法、放射電力測定用結合器及び放射電力測定装置に関する。
ユビキタス社会の到来を向かえ、無線タグ(Radio frequency identification tag:RFID)、UWB(Ultra−wideband)、BAN(Body Area Network)関連の無線機器などの超小型無線端末の急速な増大が予測されている。
これらの機器は、その寸法の制約や経済的理由から、従来の無線機器のように試験用端子を持たないものが多く、当該機器が放射した電波を受信してその試験をしなければならない。
特に、上記のような小型無線端末は、他の通信への影響、人体への影響などを考慮してその放射電力が厳しく規定されており、放射電力の測定が重要な試験項目となる。
放射電力には、任意方向の等価等方放射電力(Equivalent isotropically radiated power:EIRP)と、全空間に放射される全放射電力(Total radiated power:TRP)とがある。
このうち、EIRPは測定装置が複雑でかつ測定に長時間を要することから、TRPを扱うことが多くなってきている。
これまで用いられているTRPの測定法としては、以下の方法が知られている。
(1)被測定物(Device under test:DUT)を包む球面上をプローブでスキャンしメッシュ点での放射電力を測定し、これらメッシュ点での放射電力を積算する球面スキャニング法。
(2)金属で覆った部屋の中で被測定物から放射された電波を金属羽根の回転で撹拌してランダムフィールドを発生させ、統計的手法に基づき被測定物からの全放射電力を推定する方法。
(3)金属膜で覆った角錐状の空間と電波吸収体で内部にTEM波を発生させるG−TEMセルと呼ばれる装置を用いて被測定物からの全放射電力を測定する方法。
(4)アレーアンテナを構成する複数のアンテナとそれらに接続するアイソレータと位相調整器及びそれらアレーアンテナの信号を合成する合成器等を有し、アレーの中心線上に置かれた被測定物からの全放射電力を測定する電磁波結合装置を用いる方法。
なお、上記(1)の球面スキャニング法は、下記の非特許文献1、非特許文献2に開示されている。
また、上記(4)の電磁波結合装置は、下記の特許文献1に開示されている。
なお、携帯電話等の被測定物を電磁波シールドボックス内に収納して動作試験を行う際に、被測定物の位置を調整する技術が、本願の譲り受け人と同一の出願人によって出願された下記の特許文献2に開示されている。
日本国特許第3436669号公報(特開平11−133079号公報) 信学技報 AP2002−61,pp.29−34,July 2002"アンテナ一体型無線設備の高精度簡易測定方法の検討−スフェリカルポジショナによる放射電力の測定(その1)"野島友幸,中島恭一 信学技報 AP2003−85,pp.125−130,July 2003"アンテナ一体型無線設備の高精度簡易測定方法の検討−スフェリカルポジショナによる放射電力の測定(その2)"野島友幸,中島恭一 特開2006−322921号公報
上記非特許文献1、非特許文献2に開示されている上記(1)の球面スキャニング法は、精度の高い測定が可能である反面、大掛かりな設備(電波無反射室、球面スキャナなど)が必要で、かつ測定に長時間を要するという問題がある。
さらに、この球面スキャニング法は、全空間のごく一部に放射された電波を受信して電力を求め、その総和をとるので、各測定点における受信感度が非常に小さくなり、スプリアスの測定が困難となるという問題がある。
例えば、UWBの機器では、連続波性スプリアスは−90dBm/MHz、インパルス性スプリアスのピーク電力は−84dBm/MHzと定められており、これを上記測定法で測定するのはきわめて困難である。
一方、金属で覆った部屋の中で電波を金属羽根の回転で撹拌する上記(2)の方法では、大型電波無反射室を必要としないという利点がある反面で、人為的に発生させたランダムフィールドと理論的確率モデルとの一致性に曖昧さが残り、統計的処理に基づくので結果の不確かさが大きいばかりでなく、測定に長時間を要するなどの問題がある。
また、上記(2)の方法でも、スプリアス測定が上記(1)の球面スキャニング法と同様に難しいという問題がある。
また、上記(3)のG−TEMセルは内部電界分布の一様性の確保が難しい上、全放射電力を測定するためには、被測定物の向きを全方向に変えられるように2軸の回転台をG−TEMセル中に装備しなければならないという困難な問題がある。
また、前記した特許文献1に開示されている上記(4)の方法では、複数のアンテナとそれらに接続するアイソレータと位相調整器及びそれらアレーアンテナの信号を合成する合成器等を必要とするので、システムが複雑で高価なものになる上、被測定物のアンテナがダイポール系に限られるという問題がある。
また、上記(4)の方法でも、スプリアス測定が上記(1)の球面スキャニング法と同様に難しいという問題がある。
本発明の目的は、これらの問題を解決し、簡易な構成で短時間にかつ高感度で全放射電力(TRP)の測定が可能な放射電力測定方法、放射電力測定用結合器及び放射電力測定装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様によると、
楕円をその2つの焦点(F1、F2)を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面(11)で囲まれた閉空間(12)を有する楕円鏡(10)を準備する段階(S1)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの一方の焦点(F1)の位置に電波を放射可能な被測定物(1)をその電波の放射中心をほぼ一致するように配置する段階(S2)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの他方の焦点(F2)の位置に受信アンテナ(15)を配置する段階(S3)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内において、前記一方の焦点(F1)の位置に配置した前記被測定物(1)から電波を放射すると共に、該被測定物(1)から放射された電波を前記壁面(11)で反射させて前記他方の焦点(F2)の位置に配置した前記受信アンテナ(15)で受信し、該受信アンテナ(15)からの出力信号に応じて前記被測定物(1)から放射された電波の全放射電力を該受信アンテナ(15)の測定端で測定する段階(S4)と、
を具備する放射電力測定方法において、
前記全放射電力を前記受信アンテナ(15)の測定端で測定する段階(S4)は、
前記被測定物(1)から所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ(15)の測定端を介して前記受信アンテナ(15)の受信電力の値PLを測定する段階(S5)と、
前記被測定物(1)からの電波放射を停止した状態で、前記受信アンテナ(15)の測定端に所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ(15)から反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記受信アンテナ(15)の反射係数の値S22を測定する段階(S6)と、
前記受信アンテナ(15)の受信電力の値PLを測定する段階(S5)で測定された前記受信電力PLの値及び前記受信アンテナ(15)の反射係数の値S22を測定する段階(S6)で測定された前記反射係数の値S22に基づいて、前記被測定物(1)の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
PL/(1−|S22|
算出する段階(S7)と、
を含む放射電力測定方法が提供される。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の態様によると、
楕円をその2つの焦点(F1、F2)を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面(11)で囲まれた閉空間(12)を有する楕円鏡(10)を準備する段階(S1)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの一方の焦点(F1)の位置に電波を放射可能な被測定物(1)をその電波の放射中心をほぼ一致するように配置する段階(S2)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの他方の焦点(F2)の位置に受信アンテナ(15)を配置する段階(S3)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内において、前記一方の焦点(F1)の位置に配置した前記被測定物(1)から電波を放射すると共に、該被測定物(1)から放射された電波を前記壁面(11)で反射させて前記他方の焦点(F2)の位置に配置した前記受信アンテナ(15)で受信し、該受信アンテナ(15)からの出力信号に応じて前記被測定物(1)から放射された電波の全放射電力を該受信アンテナ(15)の測定端で測定する段階(S4)と、
を具備する放射電力測定方法において、
前記全放射電力を前記受信アンテナ(15)の測定端で測定する段階(S4)は、
所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記被測定物(1)から前記所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ(15)の測定端を介して前記受信アンテナ(15)の受信電力PLを順次に測定する段階(S5a)と、
所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記受信アンテナ(15)の測定端に前記所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ(15)から反射された電力を該測定端を介して順次に測定することにより、前記受信アンテナ(15)の前記反射係数の値S22を順次に測定する段階(S6a)と、
前記複数の測定周波数毎に順次に測定される前記受信電力PL及び前記複数の測定周波数毎に順次に測定される前記反射係数の値S22に基づいて前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
PL/(1−|S22|
順次に算出する段階(S7a)と、
を含む放射電力測定方法が提供される。
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の態様によると、
予め、前記被測定物(1)から放射される電波に関して、所定の周波数と所定の出力強度からなる所定の規格のスペクトラムマスクを記憶する段階(S8)と、
前記被測定物(1)の全放射電力の値Prに比例する電力を算出する段階(S4)によって算出された前記全放射電力の値Prに比例する電力が、前記スペクトラムマスクと比較して前記所定の規格を満足するか否かの良否を判定する段階(S9)とをさらに備える第1の態様或いは第2の態様に従う放射電力測定方法が提供される。
また、上記目的を達成するために、本発明の第4の態様によると、
楕円をその2つの焦点(F1、F2)を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面(11)で囲まれた閉空間(12)を有する楕円鏡(10)を準備する段階(S1)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの一方の焦点(F1)の位置に電波を放射可能な被測定物(1)をその電波の放射中心をほぼ一致するように配置する段階(S2)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの他方の焦点(F2)の位置に受信アンテナ(15)を配置する段階(S3)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内において、前記一方の焦点(F1)の位置に配置した前記被測定物(1)から電波を放射すると共に、該被測定物(1)から放射された電波を前記壁面(11)で反射させて前記他方の焦点(F2)の位置に配置した前記受信アンテナ(15)で受信し、該受信アンテナ(15)からの出力信号に応じて前記被測定物(1)から放射された電波の全放射電力を該受信アンテナ(15)の測定端で測定する段階(S4)と、
を具備する放射電力測定方法において、
前記全放射電力を前記受信アンテナ(15)の測定端で測定する段階(S4)は、
前記被測定物(1)の位置を互いに直交する3次元座標軸の少なくとも1軸に沿って位置調整する段階(S41)と、
前記位置調整する段階(S41)で、前記被測定物(1)の位置を調整する毎に、前記被測定物(1)からの電波放射を停止した状態で、前記受信アンテナ(15)の測定端に所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ(15)から反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記受信アンテナ(15)の反射係数の値S22に相当する値を測定する段階(S42)と、
前記受信アンテナ(15)の反射係数の値S22に相当する値を測定する段階(S42)で測定された前記受信アンテナ(15)の反射係数の値S22に相当する値を、予め設定した閾値と比較する段階(S43)と、
前記閾値と比較する段階(S43)での比較により、前記前記受信アンテナ(15)の反射係数の値S22に相当する値を測定する段階(S42)で測定された前記反射係数の値S22に相当する値が前記閾値以下であると判定されたときの前記反射係数の値S22に相当する値を前記反射係数の値S22とする段階(S44)と、
前記被測定物(1)から所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ(15)の測定端を介して前記受信アンテナ(15)の受信電力の値PLを測定する段階(S45)と、
前記受信アンテナ(15)の受信電力の値PLを測定する段階(S45)で測定された前記受信アンテナ15の受信電力の値PL及び前記前記反射係数の値S22とする段階(S44)で前記反射係数の値S22とされた前記反射係数の値S22に相当する値に基づいて、下記の式により
PL/(1−|S22|
前記被測定物(1)の全放射電力の値Prに比例する電力の算出を開始させる段階(S46)と
含む放射電力測定方法が提供される。
上記目的を達成するために、本発明の第の態様によると、
楕円をその2つの焦点(F1、F2)を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面(11)で囲まれた閉空間(12)を有する楕円鏡(10)を準備する段階(S1)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの一方の焦点(F1)の位置に電波を放射可能な被測定物(1)をその電波の放射中心をほぼ一致するように配置する段階(S2)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの他方の焦点(F2)の位置に受信アンテナ(15)を配置する段階(S3)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内において、前記一方の焦点(F1)の位置に配置した前記被測定物(1)から電波を放射すると共に、該被測定物(1)から放射された電波を前記壁面(11)で反射させて前記他方の焦点(F2)の位置に配置した前記受信アンテナ(15)で受信し、該受信アンテナ(15)からの出力信号に応じて前記被測定物(1)から放射された電波の全放射電力を該受信アンテナ(15)の測定端で測定する段階(S4)と、
を具備する放射電力測定方法において、
前記全放射電力を前記受信アンテナ(15)の測定端で測定する段階(S4)は、前記受信アンテナ(15)からの出力信号のうち、前記被測定物(1)から放射されて前記壁面(11)で一回反射して前記他方の焦点(F2)の位置に到達した一次波に対応する信号を抽出して、前記被測定物(1)の全放射電力を測定する放射電力測定方法が提供される。
上記目的を達成するために、本発明の第6の態様によると、
前記受信アンテナ(15)の受信電力の値PLを測定する段階(S5)は、
前記被測定物(1)の代わりに既知の基準信号源を用いて該既知の基準信号源から送信される既知の全放射電力を前記受信アンテナ(15)で受信して測定された全放射電力と前記既知の全放射電力との比を予め記憶する段階(S5b1)と、
前記前記受信アンテナ(15)で受信して測定された全放射電力と前記既知の全放射電力との比を予め記憶する段階(S5b1)で予め記憶された前記既知の全放射電力を前記受信アンテナ(15)で受信して測定された全放射電力と前記既知の全放射電力との比を用いて、前記被測定物(1)を用いたときに該被測定物(1)から放射された電波の全放射電力を前記受信アンテナ(15)で受信して測定された全放射電力の値を較正する段階(S5b2)と、
含む第1の実施態様に従う放射電力測定方法が提供される。
上記目的を達成するために、本発明の第7の態様によると、
金属の壁面(11)で囲まれた閉空間(12)内に、電波を放射可能な被測定物(1)と、該被測定物から放射された電波を受信する受信アンテナ(15)とを支持し、前記被測定物(1)から放射された電波を前記受信アンテナ(15)で受信し、該受信アンテナ(15)の受信信号を外部へ出力できるように構成された放射電力測定用結合器(21)と、
前記放射電力測定用結合器(21)の外部へ出力される前記受信アンテナ(15)の受信信号から、前記被測定物(1)から放射される電波の全放射電力を測定する電力測定部(60)を備えた放射電力測定装置であって、
前記放射電力測定用結合器(21)は、
前記閉空間(12)の形状が、楕円をその2つの焦点(F1、F2)を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状に形成された楕円鏡(10)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの一方の焦点(F1)の位置に前記被測定物(1)をその電波の放射中心がほぼ一致する状態で支持する被測定物支持部材(50)と、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内における前記2つの焦点(F1、F2)のうちの他方の焦点(F2)の位置に前記受信アンテナ(15)をその中心位置がほぼ一致する状態で支持する受信アンテナ支持部材(55)とを有し、
前記楕円鏡(10)の閉空間(12)内において、前記被測定物支持部材(50)によって支持された前記被測定物(1)から放射された電波を、前記壁面(11)で反射させて前記受信アンテナ支持部材(55)によって支持された前記受信アンテナ(15)で受信可能とし、
前記電力測定部(60)は、前記放射電力測定用結合器(21)の前記受信アンテナ支持部材(55)によって支持された前記受信アンテナ(15)で受信された出力信号に応じて前記被測定物支持部材(50)によって支持された前記被測定物(1)から放射された電波の全放射電力を測定可能とし、
前記電力測定部(60)は、
前記放射電力測定用結合器(21)の前記被測定物支持部材(50)によって支持された前記被測定物(1)からの電波放射を停止した状態で、前記放射電力測定用結合器(21)の前記受信アンテナ支持部材(50)によって支持された前記受信アンテナ(15)の測定端に所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ(15)から反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記受信アンテナ(15)の反射係数の値S22を測定する反射係数測定モジュール(60a)と、
前記被測定物(1)から前記所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ(15)の受信電力PLの値を前記受信アンテナ(15)の測定端を介して測定する受信電力測定モジュール(60b)と、
前記反射係数測定モジュール(60a)によって測定される反射係数の値S22及び前記受信電力測定モジュール(60b)によって測定される受信電力PLの値に基づいて、前記被測定物(1)の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
PL/(1−|S22|
算出する全放射電力算出モジュール(60c)と、
を備える放射電力測定装置が提供される。
また、上記目的を達成するために、本発明の第8の態様によると、
前記反射係数測定モジュール(60a)は、所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記受信アンテナ(15)の測定端に前記所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ(15)から反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記反射係数の値S22を順次に測定し、
受信電力測定モジュール(60b)は、前記所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記被測定物(1)から前記所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ(15)の測定端を介して前記受信アンテナ(15)の受信電力PLを順次に測定し、
前記全放射電力算出モジュール(60c)は、前記反射係数測定モジュール(60a)によって前記所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に順次に測定される反射係数の値S22及び前記受信電力測定モジュール(60b)によって前記所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に順次に測定される受信電力PLの値に基づいて、前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
PL/(1−|S22|
順次に算出する第7の実施の態様に従う放射電力測定装置が提供される。
また、上記目的を達成するために、本発明の第9の態様によると、
前記電力測定部(60)は、
予め、前記被測定物(1)から放射される電波に関して、所定の周波数と所定の出力強度からなる所定の規格のスペクトラムマスクを記憶する記憶モジュール(60d)と、
前記全放射電力算出モジュール(60c)によって順次に算出された前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力が、前記記憶モジュール(60d)に記憶されている前記スペクトラムマスクと比較して前記所定の規格を満足するか否かの良否を判定する良否判定モジュール(60e)とをさらに備える第8の態様に従う放射電力測定装置が提供される。
また、上記目的を達成するために、本発明の第10の態様によると、
前記放射電力測定用結合器(21)は、前記被測定物支持部材(50)によって支持された前記被測定物(1)の位置を3次元座標軸の少なくとも1軸に沿って位置調整する位置調整機構(52)をさらに有し、
前記電力測定部(60)は、前記位置調整機構(52)によって前記被測定物(1)の位置を調整する毎に前記反射係数測定モジュール(60a)によって測定された前記反射係数の値S22に相当する値を、予め設定した閾値と比較する比較モジュール(60f)をさらに有し、
前記全放射電力算出モジュール(60c)は、前記比較モジュール(60f)によって前記反射係数の値S22に相当する値が前記閾値以下であると判定されたときの前記反射係数の値S22に相当する値を前記反射係数の値S22として、前記被測定物(1)の全放射電力の値Prに比例する電力の算出を開始する第7の実施の態様に従う放射電力測定装置が提供される。
上記目的を達成するために、本発明の第11の態様によると、
前記電力測定部(60)は、
前記放射電力測定用結合器(21)の前記被測定物支持部材(50)によって支持された前記被測定物(1)から短パルスの電波が放射された状態で、前記放射電力測定用結合器(21)の前記受信アンテナ支持部材(55)によって支持された前記受信アンテナ(15)に集中して受信された出力信号から、スペクトラムデータを求めるスペクトラム解析モジュール(61)と、
前記スペクトラム解析モジュール(61)によって求められたスペクトラムデータに対する逆フーリェ変換演算を行い、前記受信アンテナ(15)の出力信号の時間波形データを算出する時間波形データ算出モジュール(62)と、
前記時間波形データ算出モジュール(62)によって算出された時間波形データから、前記被測定物(1)から放射された短パルスの電波が前記放射電力測定用結合器(21)の前記楕円球(10)の閉空間(12)内において、前記壁面(11)で一回反射して前記受信アンテナ(15)に到来した一次波の時間波形データを抽出する一次波抽出モジュール(63)と、
前記一次波抽出モジュール(63)によって抽出された一次波の時間波形データに対して、フーリェ変換処理を行い、該一次波のスペクトラムデータを求める一次波スペクトラム算出モジュール(64)と、
前記一次波スペクトラム算出モジュール(64)によって算出された一次波のスペクトラムデータから、前記被測定物(1)の全放射電力を算出する放射電力算出モジュール(65)を備える第7の実施の態様に従う放射電力測定装置が提供される。
上記目的を達成するために、本発明の第12の態様によると、
前記電力測定部(60)は、
予め、前記被測定物(1)の代わりに既知の基準信号源を用いて該既知の基準信号源の送信アンテナから送信される既知の全放射電力を前記受信アンテナ(15)で受信して前記全放射電力算出モジュール(60c)によって算出された全放射電力と前記既知の基準信号源の送信アンテナから送信される前記既知の全放射電力との比を記憶する記憶モジュール(60g)と、
前記既知の基準信号源の送信アンテナから送信される前記既知の全放射電力を前記受信アンテナ(15)で受信して前記全放射電力算出モジュール(60c)によって算出された全放射電力と前記記憶モジュール(60g)に記憶されている前記既知の全放射電力との比を用いて、前記被測定物(1)を用いたときに該被測定物(1)から放射された電波の全放射電力を前記受信アンテナ(15)で受信して前記全放射電力算出モジュール(60c)によって算出された全放射電力の値を較正する較正モジュール(60h)と、
をさらに備える第7の実施の態様に従う放射電力測定装置が提供される。
以上のように本発明による放射電力測定方法では、楕円をその2つの焦点F1、F2を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面11で囲まれた閉空間12を有する楕円鏡10の一方の焦点F1の位置に電波を放射可能な被測定物1をその電波の放射中心がほぼ一致するように配置し、前記被測定物(1)から放射された電波を前記壁面11で反射させて前記楕円鏡10の他方の焦点F2の位置に配置した受信アンテナ15で受信し、該受信アンテナ15の出力信号に応じて前記被測定物1からの放射電力を測定するようにしている。
このため、受信側は、1個の受信アンテナを配置するだけという簡単な構成で、且つ原理的には被測定物1から放射された電波の全放射電力を瞬時に受信アンテナに集中させて受信し、該受信アンテナの出力信号に応じて短時間に高感度に測定することができる。
さらに、本発明では、受信アンテナの反射係数の値S22と受信アンテナの受信電力PLの値を測定するだけで、被測定物1から放射された電波の全放射電力を算出することができる。
さらに、本発明では、予め定められた複数の測定周波数毎に反射係数の値S22と、受信電力PLとを順次に測定するだけで、被測定物1からの全放射電力の値を複数の測定周波数毎に順次に算出することができる。
さらに、本発明では、予め、被測定物1から放射される電波に関して、予め、所定の周波数と所定の出力強度からなる所定の規格のスペクトラムマスクを記憶しておくことにより、前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値を算出するだけで、算出された全放射電力の値が前記スペクトラムマスクと比較して所定の規格を満足しているかの良否判定を簡易かつ短時間に行うことが可能となる。
さらに、本発明による放射電力測定方法では、被測定物1の位置を調整し、前記被測定物1の位置を調整する毎に測定された反射係数の値S22に相当する値が予め設定した閾値と比較して良好となったと判定した後に被測定物1から放射された電波の全放射電力の算出を開始するので、確度の高い全放射電力の算出が可能となる。
さらに、本発明による放射電力測定装置では、既知の基準信号源の送信アンテナから送信される既知の全放射電力を前記受信アンテナ15で受信して前記全放射電力算出モジュール60cによって算出された全放射電力と前記記憶モジュール60gに記憶されている前記既知の全放射電力との比を用いて、前記被測定物1を用いたときに該被測定物1から放射された電波の全放射電力を前記受信アンテナ15で受信して前記全放射電力算出モジュール60cによって算出された全放射電力の値または前記全放射電力算出モジュール60cによって算出された前記被測定物1の全放射電力の値Prに比例する電力を較正することにより、確度の高い全放射電力の測定が可能となる。
また、本発明による放射電力測定装置では、小型で可搬性を持つように構成でき、且つ簡易、低コストであるために携帯電話機や各種小型無線機の製造ラインにも容易に導入することができる。
さらに、本発明による放射電力測定方法及び放射電力測定装置は、全放射電力を扱うため、使用する被測定物1のアンテナの指向性を限定することなく、様々の指向性のアンテナに対して適用可能である。
図1は、本発明の第1及び第2の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる楕円鏡(10)と被測定物(1)と受信アンテナ(15)との構成を説明するために示す模式図である。 図2は、本発明の第1及び第2の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる楕円鏡(10)の特性を説明するために示す図である。 図3は、本発明の第1及び第2の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる受信アンテナ(15)の受信信号の一例を説明するために示す波形図である。 図4は、本発明の第6の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる放射電力測定用結合器(21)の構成と該放射電力測定用結合器(21)と電力測定部(60)との接続構成を説明するために示す図である。 図5は、本発明の第6の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる放射電力測定用結合器(21)の構成を説明するために示す要部の断面図である。 図6の(a),(b)は、本発明の第6の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる放射電力測定用結合器(21)からの電波の漏洩を防ぐための構成例を説明するために示す要部の分解断面図と組立断面図である。 図7の(a),(b)は、本発明の第6の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる放射電力測定用結合器(21)の被測定物支持部材(50)と受信アンテナ支持部材(55)の構成例を説明するために示す図である。 図8は、本発明の第6の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる電力測定部(60)の構成例を説明するために示すブロック図である。 図9は、本発明の第7の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる標準系の構成を説明するために示す図である。 図10は、本発明の第8の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる電波吸収体(70)を説明するために示す図である。 図11の(a),(b)は、本発明の第8の実施形態による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられる電波吸収体(70)の有無による特性変化を説明するために示す図である。 図12は、本発明による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いられるダイポールアンテナの一次波と自由空間での反射特性を説明するために示す図である。 図13の(a),(b)は、本発明による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に標準アンテナを用いたときのインパルス応答を説明するために示す図である。 図14の(a),(b)は、本発明による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に用いる標準アンテナと異なる長さのアンテナを用いたときのインパルス応答を説明するために示す図である。 図15は、本発明による放射電力測定方法及び放射電力測定装置に長さの異なるアンテナを用いたときの一次波についての測定結果の比と自由空間における両アンテナの放射電力比を説明するために示す図である。 図16は、本発明の第1の実施形態による放射電力測定方法を説明するために示すフローチャートである。 図17は、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法を説明するために示す要部のフローチャートである。 図18は、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の原理を説明するために示す定常状態における楕円鏡内の送信アンテナの反射係数S11及び受信アンテナの反射係数S22との関係図である。 図19は、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の原理を実証するためのシミュレーション結果を示す図である。 図20は、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の変形例1を説明するために示すフローチャートである。 図21は、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の変形例2を説明するために示すフローチャートである。 図22は、本発明の第3の実施形態による放射電力測定方法を説明するために示す要部のフローチャートである。 図23は、本発明の第3の実施形態による放射電力測定方法を説明するために示すスペクトラム波形図である。 図24は、本発明の第3の実施形態による放射電力測定方法を説明するために示すスペクトラム波形図である。 図25は、本発明の第4の実施形態による放射電力測定方法を説明するために示す要部のフローチャートである。 図26は、本発明の第4の実施形態による放射電力測定方法を説明するために示すスペクトラムマスクとスペクトラム波形図である。 図27は、本発明の第4の実施形態による放射電力測定方法を説明するために示すUWBのスペクトラムマスクである。 図28は、本発明の第5の実施形態による放射電力測定方法を説明するために示す要部のフローチャートである。 図29は、本発明の第5の実施形態による放射電力測定方法の具体例を説明するために示す要部のフローチャートである。 図30は、本発明の第6の実施形態による放射電力測定装置の構成を説明するために示す要部のブロック図である。 図31は、本発明の第7の実施形態による放射電力測定方法の具体的な動作の一例を説明するために示すフローチャートである。
以下、図面に基づいて本発明による放射電力測定方法、放射電力測定用結合器及び放射電力測定装置の実施の形態を説明する。
始めに、本発明による放射電力測定方法について説明する。
本発明による放射電力測定方法は、図1に示しているような、楕円Aをその2つの焦点F1、F2を通る長軸(あるいは短軸でも可)線を中心に所定角度、例えば、360度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面11で囲まれた閉空間12を有する楕円鏡10を用いるようにしている。
すなわち、本発明による放射電力測定方法は、図1に示しているような2つの焦点F1、F2を有する楕円鏡10を用いて、幾何光学的に、楕円空間を形成する金属の壁面11で囲まれた閉空間12内でその一方の焦点F1を通り壁面11で反射した光線分は必ず他方の焦点F2を通過するという性質を電波の電力測定に応用したものである。
(第1の実施形態)
より具体的に説明すれば、本発明の第1の実施形態による放射電力測定方法は、図16に示すように、まず、前述したように楕円をその2つの焦点F1、F2を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面11で囲まれた閉空間12を有する楕円鏡10を準備する(ステップS1)。
次に、ステップS1で準備された2つの焦点F1、F2を有する楕円鏡10の閉空間12内で、回転の軸(長軸または短軸)線上の2つの焦点F1、F2の一方、例えば、焦点F1の位置に小型無線端末等の電波を放射可能な被測定物1をその電波の放射中心をほぼ一致させて配置する(ステップS2)。
次に、前記した楕円鏡10の閉空間12内で、回転の軸(長軸または短軸)線上の2つの焦点F1、F2の他方、例えば、焦点F2の位置に受信アンテナ15をその電波の受信中心をほぼ一致させて配置する(ステップS3)。
そして、ステップS3で楕円鏡10の焦点F1の位置に配置された被測定物1から電波Wを周囲に放射させると共に、該被測定物1から放射された電波Wを楕円鏡10の壁面11で反射させてステップS2で前記2つの焦点F1、F2の他方の焦点F2の位置に配置された受信アンテナ15で受信し、該受信アンテナ(15)からの出力信号に応じて前記被測定物(1)から放射された電波の全放射電力を該受信アンテナ(15)の測定端で測定する(ステップS4)。
ここで、図1に示しているように、長軸長2a、短軸長2bの楕円Aを、長軸(z軸)上の2つの焦点F1、F2を通る軸を中心に360度回転して得られる楕円鏡10は、次の式で表される。
(x/b)+(y/b)+(z/a)=1
幾何光学で考えると、図2に示すように、一方の焦点F1から壁面11の反射点Rまでの距離をL1、反射点Rから他方の焦点F2までの距離をL2とすると、その和Lは、
L=L1+L2=2a
となり、焦点F1からどの方向に放射された光線であっても、壁面11に1回反射したものは他方の焦点F2の位置に同一タイミングで集中することになる。
この楕円Aの離心率eは、
e=[1−(b/a)]1/2
となり、焦点F1、F2の座標zは、
z=±f=±ae
と表される。
したがって、2つの焦点F1、F2を有する楕円鏡10の中で一方の焦点F2の位置に配置した受信アンテナ15からの出力信号Sに応じて電力検出処理を行うことにより、他方の焦点F1の位置に配置した被測定物1から周囲のいずれの方向に放射された電波であっても、それらの全放射電力TRPを求めることができる。
なお、被測定物1が単一周波数の連続波を放射し、その放射電力に対して、受信アンテナ15の方向に放射する電波(直接波)の電力が無視できる程小さく、且つ受信アンテナ15に入力した電波が無損失に全て受信アンテナ15に吸収されると仮定した場合、受信アンテナ15の出力信号Sの電力を電力計等で測定すれば、被測定物1の全放射電力TRPが得ることができる。
実際には、受信アンテナ15やケーブル等にロスがあるので、予め、全放射電力Pr(dBm)が既知の基準物としての信号発生器を被測定物1の代わりに用いて、受信アンテナ15の出力信号Sから全放射電力Pr′(dBm)を測定して、損失分ΔP(=Pr′−Pr)を求めておき、被測定物1を用いて測定したときの出力信号Px′(dBm)に前記損失分ΔP=Pr′−Prを加えることにより、被測定物1からの全放射電力Pxを正しく求めることができる。
(第2の実施形態)
ところで、前述したような楕円鏡10の閉空間11の内部では、被測定物1から放射されて壁面11で1回反射して焦点F2の受信アンテナ15に到達する電波を1次波とすれば、その1次波を受けた受信アンテナ15で散乱した電波が、再び壁面11で反射して焦点F1に戻り、さらに壁面11で反射して焦点F2の受信アンテナ15に入力する2次波や、さらに高次の電波が受信アンテナ15に入力されるという多重反射が存在することになる。
このような多重反射が存在すると、楕円鏡10の閉空間11の内部には大きな定在波が立ち、電磁界は複雑な分布をし、被測定物1から放射された電波の全放射電力を精度よく測定することが難しくなる。
また、このような多重反射が存在する状態では被測定物1の送信アンテナの入力インピーダンスも楕円鏡10の閉空間11との結合で自由空間中での入力インピーダンスと大きく異なってしまうことになる。
次に、上述したような多重反射が存在する場合であっても被測定物1から放射された電波の全放射電力を精度よく測定することができる本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法について説明する。
この本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法は、前述した第1の実施形態による前記全放射電力を前記受信アンテナ15の測定端で測定するステップS4が、図17に示すようなステップS5、S6、S7とを含んで構成されている。
すなわち、前記全放射電力を前記受信アンテナ15の測定端で測定するに際し、図17に示すように、まず、前記被測定物1から所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ15の測定端を介して前記受信アンテナ15の受信電力の値PLを測定する(ステップS5)
次に、前記被測定物1からの電波放射を停止した状態で、前記受信アンテナ15の測定端に所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ15から反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記受信アンテナ15の反射係数の値S22を測定する(ステップS6)。
次に、前記受信アンテナ15の受信電力の値PLを測定するステップS5で測定された前記受信電力PLの値及び前記受信アンテナ15の反射係数の値S22を測定するステップS6で測定された前記反射係数の値S22に基づいて、前記被測定物1の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
PL/(1−|S22|
算出する(ステップS7)。
次に、このように受信アンテナ15の反射係数の値S22と受信アンテナの受信電力PLの値を測定するだけで、被測定物1からの全放射電力を算出することができるようにしている本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の測定原理について説明する。
まず、図18に示すように、楕円鏡10中に被測定物1の代わりに置かれた送信アンテナ1aの反射係数S11と受信アンテナ15の反射係数S22とが一致することについて説明する。
この楕円鏡10の中では、前述したように、焦点F1の送信アンテナ1aから放射されて壁面11で1回反射して受信アンテナ15に到達する電波を1次波とすれば、その1次波を受けた受信アンテナ15で散乱した電波が、再び壁面11で反射して焦点F1に戻り、さらに壁面11で反射して焦点F2の受信アンテナ15に入力する2次波や、さらに高次の電波が受信アンテナ15に入力されるという多重反射が存在することになる。
ここで、多重反射というのは時間領域で現象を観察した場合の概念であり、多重反射が多数回繰り返された定常状態では往復する反射はなく、前方または後方に伝搬する定常的電波エネルギーが存在するだけである。
受信側の反射係数S22は、通常負荷ZL側から受信アンテナ15を見て定義され、逆に、受信アンテナ15のアンテナ端子から負荷ZL側を見ると反射係数の大きさは同じで位相は反転する。
図18に示すように、受信アンテナ15から見て反射された波は楕円鏡10の中を伝播し、送信アンテナ1a側に戻るだけである。
そして、送信アンテナ1a側に戻る電力PRは、送信アンテナ1aの入力端に印加される送信機からの出力をPinとすると、
PR=Pin|S11|
で表される。
定常状態では、この送信アンテナ1a側に戻る波が送信アンテナ1aの入力端での反射波になるはずである。
すなわち、このような楕円鏡10内での定常状態では送信アンテナ1aの反射係数をS11とすると、この送信アンテナ1aの反射係数S11と受信側の反射係数S22との間には、
|S11|=|S22|
が成立する。
したがって、受信アンテナ15の負荷に取り出される電力PLは、
PL=Pinηr(1−|S11|)=Pinηr(1−|S22|
で表される。
そして、この受信アンテナ15の負荷に取り出される電力PLは、スペクトラムアナライザやパワーメータ等を用いて原則的に正確に測定することができる。
ここで、Pinは送信アンテナ1aの入力端に印加される送信機からの出力であり、ηrは送信アンテナ1aの放射効率であり、Pinとηrとの積は、無線機(被測定物1)からの最大放射電力Prを表す。
通常、送信アンテナ1aと送信機との整合は十分にとれているから、最大放射電力Prは、この無線機からの放射電力Prに一致する。
これは大変重要な事実であり、受信側での反射係数S22はネットワークアナライザ等を用いて原則的に正確に測定することができるから、該受信側での反射係数S22と受信電力PLとから、無線機からの放射電力Prは、
Pr=Pinηr=PL/(1−|S22|) …(1)
と表すことができる。
すなわち、受信側での反射係数S22と受信電力PLとが正確に測定することができるのであれば、送信アンテナ1aの反射係数S11によることなく、無線機(被測定物1)放射電力Prに比例する値を求めることができる。
これが、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の測定原理である。
図19は、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の測定原理が正しいことを実証するためのシミュレーション結果を示す図である。
すなわち、図18に示したように、楕円球10の閉空間12内において、送信アンテナ1aに代えて被測定物1(DUT)と受信アンテナ15(ここではDipoleアンテナ)をそれぞれ一方の焦点F1と他方の焦点F2の位置にほぼ一致させて配置し、シミュレーションを実施した結果、図19に示すように被測定物1(DUT)の反射係数S11と受信アンテナ15(ここではDipoleアンテナ)の反射係数S22とのそれぞれの特性が一致したことから、|S11|=|S22|が成立することが実証されている。
これは、楕円球10の閉空間12内の2つの焦点F1,F2とほぼ一致させた位置に、それぞれ被測定物1(DUT)と受信アンテナ15(ここではDipoleアンテナ)とを配置したときに、|S11|=|S22|が成立していることが実証されていることにより、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の発明が成り立つことを示している。
なお、上述した式(1)は、
Pr=K・PL/(1−|S22|) …(2)
とも表現される。
ここで、Kは楕円鏡10の損失率や受信アンテナ15と受信機をつなぐケーブルの損失などを含む測定系の定数であって、この定数Kは、後述するように、標準系と比較することにより消去することができる。
そして、受信アンテナ15と受信機をつなぐケーブルの損失をLc、受信アンテナ15の損失をη、楕円鏡10の損失率をLrとすると、定数Kは、
K=Lc・η・Lr
で表される。
したがって、この定数Kの値は、予め求めておくことができる。
また、前述の損失分ΔPに相当する定数Kを求め、この定数Kで式(1)を除算することにより、ケーブルの損失などを含む測定系の損失を補正した正確な全放射電力Prを算出することができる。
なお、上述した多重反射の問題を解決するための技術として、後述するように楕円鏡10の閉空間11内に電波吸収体を設けたり、短パルスのバースト信号に対しては時間的に切り分ける方法等を用いて、1次波のみを分離抽出したりすることにより、被測定物1の全放射電力を精度よく測定することができる。
すなわち、このようにして1次波のみを分離抽出すると、自由空間に置かれた場合の被測定物1の特性と極めて近いものになる。
したがって、被測定物1から放射される電波が狭帯域信号の場合には、楕円鏡10の閉空間11の内部に電波吸収体を配置したり、受信アンテナ15として散乱の小さい受信アンテナを用いたりして、2次波以上の高次反射波を無視できるようにすることに加えて、1次波から後述する比較法を用いることにより、被測定物1から放射される電波の全反射電力を精度よく測定することができる。
また、高次反射波が無視できない場合でも、被測定物1から放射される電波が短パルスの場合には、得られる信号Sの時間波形は、図3に示すように、一次波W1、2次波W2、3次波、……と所定間隔で出力されるので、そのレベルが最も大きい信号部分を一次波として抽出し、その電力を求めることができる。
ただし、被測定物1から放射される電波の周波数は数GHz〜数10GHzと高いので、オシロスコープ等でその時間波形を直接観測するようにしても、一次波の信号を抽出することは困難である。
そこで、例えば、後述するように、受信アンテナ15の出力信号Sのスペクトラムを求め、これを逆フーリェ変換処理して時間波形データを求め、その時間波形データから1次波の成分を抽出し、フーリェ変換して再び周波数領域のデータに戻し、これを積分して総放射電力を求めるようにしてやればよい。
(第2の実施形態の変形例1)
図20は、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の変形例1を説明するために示すフローチャートである。
すなわち、この変形例1では、まず、予め、受信アンテナ15の反射係数S22及び受信アンテナの受信電力の値PLを測定するための所定の測定周波数が設定される(ステップS11)。
次に、被測定物1からの電波放射を停止させた状態で、受信アンテナ15の反射係数S22を測定する(ステップS12)。
なお、この場合、被測定物1が送信を停止していることが明らかである場合には、被測定物1からの電波放射を停止させた状態とすることは不要である。
そして、このステップS12では、受信アンテナ15の反射係数値S22を測定するため、予め、測定すべき所定の周波数及び電力を有する電波を受信アンテナ15の測定端から印加して、受信アンテナ15から反射された電力を該測定端を介して測定し、受信アンテナ15の反射係数S22を測定する。
次に、被測定物1からの連続波の電波放射を開始させる(ステップS13)。
次に、受信アンテナ15の受信電力の値PLを受信アンテナ15の測定端を介して測定する(ステップS14)。
次に、被測定物1の全放射電力の値Prに比例する電力を式(1)のPL/1−|S22|に基づいて、算出する(ステップS15)。
なお、受信アンテナ15の反射係数の値S22をスタートまたはステップS11の前に予め測定して記憶しておき、ステップS15での被測定物1の全放射電力の値Prの算出時に用いるようにしてもよい。
(第2の実施形態の変形例2)
図21は、本発明の第2の実施形態による放射電力測定方法の変形例2を説明するために示すフローチャートである。
すなわち、この変形例2では、まず、予め、受信アンテナ15の反射係数S22及び受信アンテナの受信電力の値PLを測定するための所定の測定周波数が設定される(ステップS31)。
次に、被測定物1からの連続波の電波放射を開始させる(ステップS32)。
次に、受信アンテナ15の受信電力の値PLを受信アンテナ15の測定端を介して測定する(ステップS33)。
次に、被測定物1からの電波放射を停止させた状態で、受信アンテナ15の反射係数S22を測定する(ステップS34)。
なお、この場合、被測定物1が送信を停止していることが明らかである場合には、被測定物1からの電波放射を停止させた状態とすることは不要である。
そして、このステップS34では、受信アンテナ15の反射係数値S22を測定するため、予め、測定すべき所定の周波数及び電力を有する電波を受信アンテナ15の測定端から印加して、受信アンテナ15から反射された電力を該測定端を介して測定し、受信アンテナ15の反射係数S22を測定する。
次に、被測定物1の全放射電力の値Prに比例する電力を式(1)のPL/1−|S22|に基づいて、算出する(ステップS35)。
なお、受信アンテナ15の反射係数の値S22をスタートまたはステップS31の前に予め測定して記憶しておき、ステップS35での被測定物1の全放射電力の値Prの算出時に用いるようにしてもよい。
(第3の実施形態)
この本発明の第3の実施形態による放射電力測定方法は、前述した第1の実施形態による前記全放射電力を前記受信アンテナ15の測定端で測定するステップS4が、図22に示すようなステップS5a、S6a、S7aとを含んで構成されている。
すなわち、前記全放射電力を前記受信アンテナ15の測定端で測定するに際し、図22に示すように、まず、所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記被測定物1から前記所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ15の測定端を介して前記受信アンテナ15の受信電力PLを順次に測定する(ステップS5a)。
次に、被測定物1からの電波放射を停止した状態で、所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記受信アンテナ15の測定端に前記所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ15から反射された電力を該測定端を介して順次に測定することにより、前記受信アンテナ15の前記反射係数の値S22を順次に測定する(ステップS6a)。
なお、ステップS5aとステップS6aの順序は、図22に示されているように、ステップS5aの次にステップS6aを行う場合に限らず、その逆であってもよい。
次に、前記ステップS5aで複数の測定周波数毎に順次に測定された前記受信電力PL及び前記ステップS6aで複数の測定周波数毎に順次に測定された前記反射係数の値S22に基づいて前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
PL/(1−|S22|
順次に算出する(ステップS7a)。
すなわち、この本発明の第3の実施形態による放射電力測定方法では、被測定物1として用いる、例えば、携帯電話の規格の一つであるIS−95のように比較的狭い帯域の電波の中心周波数に測定周波数を設定し、受信アンテナ15の反射係数の値S22と受信電力PLの測定をするものとしている。
この場合、周波数範囲は、測定すべきスプリアスを含む周波数までを指定し、複数の周波数の間隔は、例えば、中心周波数からそれぞれ900kHz,1980kHzの間隔とする。
この複数の周波数間隔はあくまでも例示であり、前述したような規格で定められた周波数間隔として設定してもよいし、多数の測定周波数で測定確度を向上させるため等、必要に応じて狭い周波数間隔であってもよいし、不均等な周波数間隔でもよいし、均等な周波数間隔であってもよい。
また、ステップS5aとステップS6aとにおいて、複数の測定周波数毎にそれぞれ受信電力PLと反射係数の値S22を測定する際に、その測定周波数の順序は、低い測定周波数から高い測定周波数に向かって測定を行うようにしてもよく、その逆であってもよいし、さらには測定周波数の高低に関わらず任意の順序であってもよい。
次に、前述の式(1)を用いて、それぞれの測定周波数毎の反射係数の値S22と受信電力PLとから、複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力を順次に算出する。
なお、このような本発明の第3の実施形態による放射電力測定方法では、前述の測定、算出は、例えば、スペクトラムアナライザを用いることにより、図23、図24に示すようなスペクトラム表示を基に処理を行っている。
図23は、上述したように設定された測定周波数において、反射係数の値S22と、受信電力PLとを測定した結果を示している。
図24は、上述したように設定された測定周波数において、反射係数の値S22と、受信電力PLから全放射電力の値Prを算出した結果を示している。
しかるに、スペクトラム表示を基に処理するのに代えて、測定周波数、反射係数の値S22の測定値、受信電力PLの測定値、全放射電力Prからなるテーブルを用いて処理を行うようにしてもよい。
(第4の実施形態)
この本発明の第4の実施形態による放射電力測定方法は、前述した第1の実施形態による前記全放射電力を前記受信アンテナ15の測定端で測定するステップS4の前後に、図25に示すようなステップS8、S9をさらに含んで構成されている。
すなわち、図25に示すように、ステップS4で前記全放射電力を前記受信アンテナ15の測定端で測定する前のステップS8では、予め、前記被測定物1から放射される電波に関して、所定の周波数と所定の出力強度からなる所定の規格のスペクトラムマスクを記憶する。
次に、ステップS4で前記被測定物(1)の全放射電力の値Prに比例する電力を算出する後のステップS9では、前記ステップS4によって算出された前記全放射電力の値Prに比例する電力が、前記ステップS8で記憶されているスペクトラムマスクと比較して前記所定の規格を満足するか否かの良否を判定する。
なお、所定の規格のスペクトラムマスクを記憶するステップS8は、図25に示すように、ステップS4の直前に限らず、ステップS4の前であればよく、例えば、スタート前に、予め、前記被測定物1から放射される電波に関して、所定の周波数と所定の出力強度からなる所定の規格のスペクトラムマスクを記憶するようにしてもよい。
すなわち、この本発明の第4の実施形態による放射電力測定方法では、被測定物1として用いる、例えば、携帯電話の規格の一つであるIS−95のスペクトラムマスクを記憶しておき、このスペクトラムマスクと、複数の周波数における全放射電力の値Prとの比較を行って、規格を満足するか否かの良否を判定する。
そして、この判定結果が、複数の周波数における全放射電力の値Prが規格を満たしている場合には、放射電力測定装置に用いる表示器(図示せず)の画面に、例えば、Passの表示を行う。
また、判定結果が、規格を満たしていない場合には、放射電力測定装置に用いる表示器(図示せず)の画面に、例えば、Failの表示を行うと共に、さらに、規格を満たしていない周波数とその全放射電力Prの値を表示するようにしてもよい。
さらに、規格を満たしていない全放射電力Prについて、放射電力測定装置に用いる表示器(図示せず)の画面に、規格の値からの差分値を表示するようにしてもよい。
また、放射電力測定装置外のコンピュータ等にこれらの判定結果の出力ができるように構成してもよい。
なお、このような本発明の第4の実施形態による放射電力測定方法では、前述の測定、算出は、例えば、スペクトラムアナライザを用いることにより、図26に示すようなスペクトラム表示を基に処理を行っている。
図26は、設定された測定周波数において、全放射電力Prの値をスペクトラムマスクSMと比較した結果を示している。
しかるに、これに代えて、測定周波数、全放射電力Pr及びスペクトラムマスクに対応した電力値からなるテーブルを用いて処理を行うようにしてもよい。
図27は、UWBに適用されるスペクトラムマスクを示している。
UWBは、数100MHzから数GHzにわたる非常に広い帯域に極めて短い時間のパルス状の信号を送ることにより、短距離内での高速なデータ通信を可能としている。
ただし、UWBは他の通信との帯域が重なる部分での干渉が予想されるため、他の通信方式との干渉回避技術(DAA:Detect and Avoid)の搭載が義務付けられており、この要求を満たすために図27に示すようなスペクトラムマスクが規定されている。
UWB機器では、この図27に示すようなスペクトラムマスクを満足する特性を有することが要求されており、本発明の第4の実施形態による放射電力測定方法では、このようなスペクトラムマスクを満足しているかの良否判定が簡易かつ短時間に可能となる。
(第5の実施形態)
この本発明の第5の実施形態による放射電力測定方法は、前述した第1の実施形態による前記全放射電力を前記受信アンテナ15の測定端で測定するステップS4が前述した第2の実施形態によるステップS5、S6、S7に代えて、図28に示すようなステップS41、S42、S43、S44、S45、S46をさらに含んで構成されている。
すなわち、前記全放射電力を前記受信アンテナ15の測定端で測定するに際し、図28に示すように、まず、前記被測定物1の位置を互いに直交する3次元座標軸の少なくとも1軸に沿って位置調整する(ステップS41)。
次に、前記ステップS41で、前記被測定物1の位置を調整する毎に、前記被測定物1からの電波放射を停止した状態で、前記受信アンテナ15の測定端に所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ15から反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記受信アンテナ15の反射係数の値S22に相当する値を測定する(ステップS42)。
次に、前記ステップS42で測定された前記受信アンテナ15の反射係数の値S22に相当する値を、予め設定した閾値と比較する(ステップS43)。
次に、ステップS43での比較により、前記ステップS42で測定された前記受信アンテナ15の反射係数の値S22に相当する値が前記閾値以下であると判定されたときの前記反射係数の値S22に相当する値を前記受信アンテナ15の反射係数の値S22とする(ステップS44)。
次に、前記被測定物1から所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ15の測定端を介して前記受信アンテナ15の受信電力の値PLを測定する(ステップS45)。
次に、前記ステップS45で測定された前記受信アンテナ15の受信電力の値PL及び前記ステップS44で前記受信アンテナ15の反射係数の値S22とされた前記反射係数の値S22に相当する値に基づいて、下記の式により
PL/(1−|S22|
前記被測定物(1)の全放射電力の値Prに比例する電力の算出を開始させる(ステップS46)。
次に、このような本発明の第5の実施形態による放射電力測定方法において、被測定物1の位置調整が必要な理由について説明する。
通常、被測定物1自身は発生した電力を有効に空間へ放射するために被測定物1単体での整合が良好となるように設計されているので、被測定物1自身の有する反射係数の値S11も良好な値を有している。
ここで、楕円球10の閉空間12内に被測定物1を配置した場合を考察する。
すでに述べたように、楕円球10の閉空間12内では|S11|=|S22|が成立しているので、受信アンテナの反射係数の値S22は、被測定物自身の有する反射係数の値S11と等しい。
つまり、被測定物1と受信アンテナ15をそれぞれ楕円球10の閉空間12内の前記一方の焦点F1と他方の焦点F2の位置にほぼ一致させて配置することにより、受信アンテナ15の反射係数の値S22も全放射電力の値の算出に影響を及ぼさない良好な値となっている。
しかし、被測定物1が多種多様にわたる測定の実態においては、被測定物1の機種毎に固有のアンテナの位置を有しており、被測定物1の筐体による影響も含めた被測定物1からの電波放射パターンと、その電波の放射中心も機種毎に異なる。
したがって、通常、被測定物1を当該被測定物1の外観だけで楕円球10の閉空間12内の一方の焦点F1の位置にほぼ一致させたのみでは、被測定物1の電波の放射中心が楕円球10の閉空間12内の一方の焦点F1の位置にほぼ一致しているとは限らないことを意味する。
また、被測定物1としてアンテナが内蔵型とされている場合、外観によるアンテナの位置の判別はできず、さらに被測定物1のどの部分が電波の放射の中心であるかも外観からは全く不明なことが多い。
つまり、被測定物1の電波の放射中心を楕円球10の閉空間12内の一方の焦点F1の位置にほぼ一致させて配置することは被測定物1の外観からは困難である。
楕円球10の閉空間12内では、上述のように被測定物1の電波の放射中心が楕円球10の閉空間12内の一方の焦点F1の位置にほぼ一致しない場合、被測定物1自身の有する反射係数の値S11と、対応する受信アンテナ15の反射係数の値S22が悪化して、全放射電力の値Prの算出に影響を及ぼす位置となってしまうことがある。
被測定物1自身の有する反射係数の値S11と、対応する受信アンテナ15の反射係数の値S22が悪化すると、反射電力が増大する。
ここで、受信アンテナ15の反射係数の値S22は、通常0から1の間の値をとるものであり、0が無反射、1が完全反射である。
受信アンテナ15の反射係数の値S22が悪化することは、S22が1に近づくことになるので、全放射電力の値Prを求める式(1)の分母(1−|S22|2)がゼロに近づくとともに、不整合損失が増大するので、全放射電力の値Prを求める式(1)の分子となる受信アンテナ15の受信電力の値PLも小さくなりゼロに近づく。
すなわち、Pr=0/0に近似する不定の演算となり、全放射電力の値Prの算出を確度良く行うことができなくなる。
このような問題を解決するため、受信アンテナ15の反射係数の値S22が良好となるように被測定物1の位置調整を行うことが必要となる。
すなわち、被測定物1の位置調整を行って、受信アンテナ15の反射係数の値S22を良好にすることにより、確度の高い全放射電力の値Prの算出が可能となる。
(被測定物1の位置調整の動作例1(手動))
被測定物1の位置調整手段としては、例えば、上述した特許文献2の図7に示されているように被測定物1をXYZ軸線の少なくとも1軸線に沿って位置調整を手動で行うことがきる機構が用いられる。
この機構を被測定物1の位置調整手段の一例として用いる場合についての動作例を以下に説明する。
被測定物1の位置調整手段の一例として上述した特許文献2の図7に示されているような位置調整機構を用いて、XYZ軸線の少なくとも1軸線に沿って手動で被測定物の位置を所定位置に位置調整し、その都度、受信アンテナ15の反射係数の値S22を測定し、受信アンテナ15の反射係数の値S22が良好となる被測定物1の位置を探索する。
受信アンテナ18の反射係数の値S22に相当する値の判断基準として、全放射電力の値の算出に影響が無い値、例えば、リターンロス換算で10dBを予め設定すべき閾値と予め決めておく。
手動で被測定物1の位置を所定位置に位置調整し、予め設定した閾値としてのリターンロスが10dBより良好となったときにその位置において被測定物1の位置が良好になったと判断し、それから式(1)による全放射電力の測定を開始する。
もちろん、この場合、受信アンテナ15の反射係数の値S22をそのまま用いて、S22が0に近づくように被測定物1の位置を探索するようにしてもよく、例えば、受信アンテナ15の反射係数の値S22が0.316になれば被測定物1の位置が良好になったと判断するようにしてもよい。
また、受信アンテナ15の反射係数の値S22に相当するVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)に換算して、無反射である1.0に近づくように被測定物1の位置を探索するようにしてもよく、VSWRが1.92となれば被測定物1の位置が良好になったと判断するようにしてもよい。
上述の方法に限られるものではなく、反射係数に対応する値である、進行波電圧と反射波電圧、進行波電力と反射波電力、インピーダンス比等を用いて、これらが良好となれば被測定物1の位置が良好になったと判断するようにしてもよい。
さらに、受信アンテナ15の反射係数の値S22に用いられるSパラメータは、例えば、Zパラメータといった他のパラメータと相互に変換可能であるので、被測定物1の位置が良好となったと判断する基準はSパラメータに限られるものではない。
なお、被測定物1の位置調整手段としては、上述した特許文献2の図7に示されているような機構に限らず、被測定物1をXYZ軸線の少なくとも1軸線に沿って位置調整を手動で行うことがきる機構であればよい。
なお、被測定物1の所定機種において、被測定物1の位置が良好となる位置を探索した後、その所定機種に対して再度検査するときでも、当該位置で測定できるよう、上述した特許文献2の図7に示されているように載置部とそれに対応する孔に機種に対応した英文字や識別可能なマークがあっても良い。
この場合、特許文献2の図7では、被測定物1の位置が良好となる位置が所定の英文字で示される位置であることが判明していることにより、載置部の孔から覗く基準面の文字を目当てにして、被測定物の位置が良好となる位置に容易に再設定することができる。
(被測定物1の位置調整の動作例2(自動))
上述の被測定物1の位置調整の動作例1で用いた被測定物1の位置調整手段としての機構に、XYZ軸線の少なくとも1軸線に沿って駆動する機構をさらに備え、制御手段を用いて被測定物1の位置調整を自動で行うようにしてもよい。
例えば、図29に示すフローチャートのように被測定物の位置を所定軸線上で所定量移動させて停止させた後、その都度受信アンテナの反射係数の値S22を測定し、受信アンテナ15の反射係数の値S22が良好となる被測定物1の位置を探索する。
受信アンテナ15の反射係数の値S22が良好となったときに、被測定物1の全放射電力の値Prの測定を開始する。
具体的には、図29に示すフローチャートにおいて、まず、予め測定すべき所望の周波数を設定する(ステップS51)。
次に、予め被測定物1の位置が良好と判定する閾値(例えば、受信アンテナ15の反射係数の値S22に相当する値として、リターンロス10dB)を設定する(ステップS52)。
次に、被測定物1を被測定物1の位置調整手段にセットする(ステップS53)。
次に、被測定物1からの送信を停止させた状態で、被測定物1の位置を所定軸線上で所定量移動する(ステップS54)。
ここで、被測定物1が送信を停止していることが明らかである場合には、測定物1からの送信を停止させた状態とすることは不必要である。
なお、ステップS51で被測定物1をセットした直後は、被測定物1を移動しなくてもよい。
次に、受信アンテナ15の反射係数の値S22を測定するため、予め測定すべき所望の周波数の電波の電力を受信アンテナ15の測定端から印加して、受信アンテナ15から反射された電力を該測定端を介して測定し、受信アンテナ15の反射係数の値S22を測定する(ステップS55)。
次に、被測定物1の位置が良好であると判定するために予め設定した閾値と、ステップS55で測定された受信アンテナ15の反射係数の値S22に相当する値(例えば、リターンロス)とを比較し、リターンロスが10dBより良好か否かを判定(リターンロスの場合、数値が大きいほど良好である。
例えば、リターンロスが9dBなら「良好ではない」と判定し、リターンロスが11dBなら「良好」であると判定する(ステップS56)。
次に、ステップS56での判定により、ステップS55で測定された受信アンテナ15の反射係数の値S22に相当する値が予め設定した閾値よりも良好であると判定された場合には、後述するステップS57の処理に進む。
なお、ステップS56での判定により、ステップS55で測定された受信アンテナ15の反射係数の値S22に相当する値が予め設定した閾値よりも良好でないと判定された場合には、ステップS54に戻り、ステップS55からステップS56の処理をステップS56での判定により、ステップS55で測定された受信アンテナ15の反射係数の値S22に相当する値が予め設定した閾値よりも良好であると判定されるまで繰り返す。
次に、ステップS57では、被測定物1から連続波の送信を開始させる。
次に、受信アンテナ15の受信電力の値PLを受信アンテナ15の測定端を介して測定する(ステップS58)。
次に、式(1)に基づいて、被測定物1の全放射電力の値Prに比例する電力を算出する(ステップS59)。
(第6の実施形態)
図4は、上記第1の実施形態による放射電力測定方法に基づいた本発明の第6の実施形態による放射電力測定装置20の構成を示している。
この放射電力測定装置20は、放射電力測定用結合器(以下、単に結合器という)21と、電力測定部60とを有している。
この結合器21には、前記した楕円鏡10の閉空間12を囲む壁面11と、その閉空間12内の一方の焦点F1の位置に被測定物1の放射中心位置がくるように支持する手段としての被測定物支持部材50と、閉空間12内の他方の焦点F2の位置に受信アンテナ15の中心がくるように支持する手段としての受信アンテナ支持部材55とが設けられている。
また、この結合器21は、楕円鏡10の閉空間12に対して、被測定物1や受信アンテナ15の出し入れができるように、閉空間12を開閉できる構造となっている。
すなわち、この結合器21は、下ケース22と上ケース23とに分離されて構成された開閉式となされている。
下ケース22の上板22aに形成された楕円状の穴(図示せず)に前記した楕円鏡10の閉空間12の下半部の外周形状に沿った形状の内壁25aを有する第1の内壁形成体25が取り付けられている。
この第1の内壁形成体25は、電波を反射する金属板、金属メッシュ板のプレス加工、あるいは合成樹脂の成形品の内壁に金属膜を被着する等して形成される。
そして、この第1の内壁形成体25は、その上縁に、僅かに外側へ延びて前記穴の外縁と重なるフランジ26が延設されている。
また、この第1の内壁形成体25は、フランジ26部分が下ケース22の上板22aに固定されている。
一方、上ケース23の下板23aに形成された楕円状の穴(図示せず)に、第1の内壁形成体25と対称な形状を有して該第1の内壁形成体25と同様に形成されている第2の内壁形成体30が装着される。
すなわち、前記した楕円鏡10の閉空間12の上半部の外周形状に沿った形状の内壁30aを有し、その開口側の縁部には、僅かに外側へ延びて上ケース23の前記穴の外縁と重なるフランジ31が延設されている。
このフランジ31部分は、下板23aに固定されている。
上ケース23は、下ケース22に対して図示しないヒンジ機構とロック機構などにより開閉自在に連結されており、上ケース22を下ケース23に重なるように閉じてロックしたとき、図5に示すように、第1の内壁形成体25のフランジ26と第2の内壁形成体30のフランジ31が全体的に隙間なく面接触して、それぞれの内壁25a、30aが連続して、前記した壁面11で囲まれた楕円球状の閉空間12が形成される。
なお、下ケース22と上ケース23には、閉じたときに、上下の内壁形成体25、30がずれない状態で重なり合うようにするための位置決め機構(例えば、図4に示すようにガイドピン40とそれを受け入れるガイド穴41)が形成されている。
また、例えば、図6の(a)に示すように、一方の内壁形成体30の開口側の内縁の全周に渡って弾性リブ45を突設させている。
これにより、図6の(b)に示すように、一方の内壁形成体30が他方の内壁形成体25と合わせられたときに、その弾性リブ45を内壁形成体25の開口側の内縁全周に接触させて、内壁形成体25、30のフランジ26、31の接触部を覆い、その接触部に隙間が生じた場合の電波の漏洩等などを低減することができる。
次に、前記した楕円鏡10の閉空間12を形成する壁面11が分割される方向について考察する。
前記したように、ダイポールアンテナの素子の長さ方向を楕円鏡10の楕円長軸線に一致させた場合、楕円鏡10の壁面11に流れる電流は、楕円長軸線を含む子午線面に沿う方向に流れる。
したがって、上記したように楕円球10の閉空間12を長軸線に沿った平面で分割するように内壁形成体25、30を形成した場合、その分割によって生じる隙間の方向と、前記の電流の流れる方向とが平行で、電流が遮断されないので、その隙間からの電波の漏洩を抑えることができる。
ただし、共通の結合器21を用いて、壁面に流れる電流方向が全く異なる特性の被測定物1を測定する場合を考慮すると、ケースの分割面の隙間からの電波の漏洩を防ぐことが困難になるので、前記したように、フランジ26、31の接触部分(分割面)を弾性リブ45で覆ったり、2つの内壁形成体25、30の重なり部分にオーバラップ部を設ける等して、電波の漏洩を防ぐ必要がある。
また、ここでは、下ケース22の上板22aと第1の内壁形成体25、上ケース23の下板23aと第2の内壁形成板30とがそれぞれ別体になっている例を示している。
しかるに、下ケース22の上板22aと第1の内壁形成体25及び上ケース23の下板23aと第2の内壁形成板30と上板22とを同一材料で一体に形成してもよい。
また、ここでは、第1の内壁形成体25及び第2の内壁形成体30の外周形状を半楕円外周形状にしているが、内壁25a、30aが前記した楕円鏡10の閉空間12に沿っていればよく、外側の形状は任意である。
図7の(a)に示しているように、第1の内壁形成体25の開口面上の前記焦点F1の位置には、前記した楕円鏡10の閉空間12内で被測定物1を支持するための被測定物支持部材50が設けられている。
また、図7の(b)に示しているように、焦点F2の位置には、前記した楕円鏡10の閉空間12内で受信アンテナ15を支持するための受信アンテナ支持部材55が設けられている。
図7の(a)に示しているように、被測定物支持部材50は、被測定物1の放射中心が焦点F1の位置にほぼ一致するように被測定物1を支持するものであり、電波に対する透過率が高い合成樹脂の支持板51と、その支持板51の上に被測定物1を固定する固定具52とにより構成されている。
この固定具52は、例えば、電波の伝搬に影響を与えない伸縮自在なバンド部材でなり、被測定物1を支持板51の上の焦点F1を含む所定範囲内の任意の位置に固定させる。
なお、この被測定物支持部50は、後述する較正のための標準アンテナ100を支持する機能(図示せず)も有している。
また、図7の(b)に示しているように、受信アンテナ支持部材55は、電波に対する透過率が高い合成樹脂の支持板56と、その支持板56の上に受信アンテナ15を固定する固定具57とによって構成されている。
ここで、受信アンテナ15は、印刷基板15aに対するエッチング処理でアンテナ素子15bが印刷形成されたものが一般的である。
そして、このような受信アンテナ15を固定するための固定具57は、例えば、受信アンテナ15の特性を変化させない合成樹脂製のネジやクリップにより、受信アンテナ15のアンテナ素子15bの受信(放射)中心が支持板56の上の焦点F2に一致するように固定させる。
受信アンテナ15としては、全方位に対して等しい利得を有するものが理想的ではあるものの、そのような理想的な受信アンテナ15は実在しない。
したがって、波長に対してアンテナ素子15bの長さが充分短く、指向性が比較的ブロードな図7の(b)に示すようなダイポールアンテナやその素子幅を広げて広帯域化したボウタイアンテナ等を用いるようにするのが現実的である。
また、受信アンテナ15としては、受信感度が高く、且つ散乱(再放射)の小さいアンテナが望ましいので、そのようなアンテナを受信アンテナ15として用いれば後述する電波吸収体が不要になるか、あるいは吸収特性の小さい電波吸収体の使用が可能になる。
そして、ダイポール系のアンテナの場合、アンテナ素子15bの長さ方向に対する利得は非常に小さくなるので、この指向性を利用し、図7の(b)に示しているように、アンテナ素子15bの長さ方向を被測定物1の放射中心方向(焦点F1方向)に一致させることにより、被測定物1から受信アンテナ15への直接波の影響を可及的に小さくすることができる。
また、ダイポール系のアンテナの場合、その素子の長手方向が主偏波であり、これと直交する交差偏波成分に対する利得は非常に小さい(所謂単一直線偏波)。
また、測定対象のUWB端末やRFIDタグのアンテナは直線偏波で設計されており、放射電力のほとんどは単一直線偏波成分であり、これにわずかの交差偏波成分が加わる特性となっている。
したがって、被測定物1が交差偏波成分が無視できる単一直線偏波の場合には、その偏波方向が受信アンテナ15の主偏波方向に一致するように被測定物1の向きを決めて、固定すればよい。
また、被測定物1が単一偏波でない、すなわち、主偏波成分に対して交差偏波成分の電力が無視できない場合には、次のようにして被測定物1の全放射電力を求めればよい。
はじめに、被測定物1の主偏波方向が受信アンテナ15の主偏波方向に一致するように被測定物1の向きを決めて固定してその放射電力を測定する。
次に、被測定物1の交差偏波方向が受信アンテナ15の主偏波方向に一致するように被測定物1の向きを決めて固定してその放射電力を測定する。
そして、これら2つの測定結果で得られた放射電力を合計して被測定物1の全放射電力を求める。
なお、図示しないが受信アンテナ15として、直交する偏波成分を同時に受信できるループアンテナや直交2素子ダイポールを採用すれば、一度の測定で被測定物1の総放射電力を求めることができる。
また、被測定物1の姿勢を変更したり、受信アンテナ15の向きを変更して、各偏波成分の放射電力を求め、それらを合計することにより、被測定物1の全放射電力を求めるようにすることもできる。
この場合、例えば、受信アンテナ支持部材55を、焦点F2の位置を中心に回動できる構造とすれば便利である。
なお、図7の(b)に示すように受信アンテナ15がダイポール系やループ系のような平衡型の場合、受信アンテナ15の給電点に挿入したバラン15cを介して不平衡型の同軸ケーブル16に接続する。
この受信アンテナ15で受信された信号Sは、同軸ケーブル16を介して結合器21の外部に出力される。
同軸ケーブル16は、例えば、内壁形成体25のフランジ26の下部に設けた穴を通過して結合器21の外へ引き出され、電力測定部60の入力端に接続される。
電力測定部60は、連続波測定であれば単純な電力計で構成可能である。
しかるに、ここではバースト波の場合にも対応できるようにするため、図8に示すように、電力測定部60は、スペクトラム解析モジュール61、時間波形データ算出モジュール62、一次波抽出モジュール63、一次波スペクトラム算出モジュール64、放射電力算出モジュール65を有している。
スペクトル解析モジュール61は、受信アンテナ15の出力信号Sに対し、被測定物1が放射する電波の周波数領域に対するスペクトラム解析を行い、周波数対レベルのスペクトラム波形データを生成する。
時間波形データ算出モジュール62は、スペクトル解析モジュール61によって生成されたスペクトラムデータに対する逆フーリェ変換演算を行い、受信アンテナ15の出力信号Sの時間波形データを算出する。
一次波抽出モジュール63は、時間波形データ算出モジュール62によって算出された時間波形データから、被測定物1から放射されて楕円鏡10の壁面12で一回反射して受信アンテナ15に到来した一次波の時間波形データを抽出する。
一次波スペクトラム算出モジュール64は、一次波抽出モジュール63によって抽出された一次波の時間波形データに対して、フーリェ変換処理を行い、一次波のスペクトラムデータを求める。
そして、放射電力算出モジュール65は、一次波スペクトラム算出モジュール64によって算出された一次波のスペクトラムデータの積分処理を行うことにより、被測定物1から放射それる電波の総電力を求め、全放射電力を算出する。
図30は、電力測定部60の別の具体例を示すブロック図である。
すなわち、図30に示す電力測定部60は、前記放射電力測定用結合器21の前記被測定物支持部材50によって支持された前記被測定物1からの電波放射を停止した状態で、前記放射電力測定用結合器21の前記受信アンテナ支持部材55によって支持された前記受信アンテナ15の測定端に所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ15から反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記受信アンテナ15の反射係数の値S22を測定する反射係数測定モジュール60aと、前記被測定物1から前記所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ15の受信電力PLの値を前記受信アンテナ15の測定端を介して測定する受信電力測定モジュール60bと、前記反射係数測定モジュール60aによって測定される反射係数の値S22及び前記受信電力測定モジュール60bによって測定される受信電力PLの値に基づいて、前記被測定物1の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
PL/(1−|S22|
算出する全放射電力算出モジュール60cとを有している。
ここで、前記反射係数測定モジュール60aは、所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記受信アンテナ15の測定端に前記所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナ15から反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記反射係数の値S22を順次に測定するようにしてもよい。
また、受信電力測定モジュール60bは、前記所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記被測定物1から前記所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナ15の測定端を介して前記受信アンテナ15の受信電力PLを順次に測定するようにしてもよい。
また、前記全放射電力算出モジュール60cは、前記反射係数測定モジュール60aによって前記所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に順次に測定される反射係数の値S22及び前記受信電力測定モジュール60bによって前記所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に順次に測定される受信電力PLの値に基づいて、前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
PL/(1−|S22|
順次に算出するようにしてもよい。
また、前記電力測定部60は、予め、前記被測定物1から放射される電波に関して、所定の周波数と所定の出力強度からなる前述した、例えば、図26、図27に示すような所定の規格のスペクトラムマスクを記憶する記憶モジュール60dと、前記全放射電力算出モジュール60cによって順次に算出された前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力が、前記記憶モジュール60dに記憶されている前記スペクトラムマスクと比較して前記所定の規格を満足するか否かの良否を判定する良否判定モジュール60eとをさら有している。
また、前記放射電力測定用結合器21は、前記被測定物支持部材(50)によって支持された前記被測定物1の位置を3次元座標軸の少なくとも1軸に沿って位置調整する位置調整機構52をさらに有している。
また、前記電力測定部60は、前記位置調整機構52によって前記被測定物1の位置を調整する毎に前記反射係数測定モジュール60aによって測定された前記反射係数の値S22に相当する値を、予め設定した閾値と比較する比較モジュール60fをさらに有している。
また、前記全放射電力算出モジュール60cは、前記比較モジュール60fによって前記反射係数の値S22に相当する値が前記閾値以下であると判定されたときの前記反射係数の値S22に相当する値を前記反射係数の値S22として、前記被測定物1の全放射電力の値Prに比例する電力の算出を開始するようにしている。
また、前記電力測定部60は、予め、前記被測定物1の代わりに既知の基準信号源を用いて該既知の基準信号源の送信アンテナから送信される既知の全放射電力を前記受信アンテナ15で受信して前記全放射電力算出モジュール60cによって算出された全放射電力と前記既知の基準信号源の送信アンテナから送信される前記既知の全放射電力との比を記憶する記憶モジュール60gと、前記既知の基準信号源の送信アンテナから送信される前記既知の全放射電力を前記受信アンテナ15で受信して前記全放射電力算出モジュール60cによって算出された全放射電力と前記記憶モジュール60gに記憶されている前記既知の全放射電力との比を用いて、前記被測定物1を用いたときに該被測定物1から放射された電波の全放射電力を前記受信アンテナ15で受信して前記全放射電力算出モジュール60cによって算出された全放射電力の値を較正する較正モジュール60hとをさらに有している。
なお、図30において、測定周波数設定部60iは、前記反射係数測定モジュール60a及び前記受信電力測定モジュール60bに対して測定周波数を設定する。
また、表示/出力部60jは、前記全放射電力算出モジュール60cによって算出された全放射電力自体の表示/出力を行うと共に、前記良否判定モジュール60eからの良否判定出力の表示/出力及び前記較正モジュール60hからの較正出力の表示/出力を行う、ものである。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態として、上記構成の放射電力測定装置20を用いたより詳細な放射電力測定方法について説明する。
この第7の実施形態による放射電力測定方法では、放射電力測定装置20により被測定物1の全放射電力を求める場合、標準系との比較法を用いる。
図9に示すように、標準系は、被測定物1とほぼ同様な指向性を有し、放射効率(または内部損失)が既知の標準アンテナ100、損失が既知の接続用の同軸ケーブル101及び信号発生器102で構成される。
前記したように、被測定物支持部材50は標準アンテナ100をその放射中心が焦点F1にほぼ一致する状態で支持できるように形成されている。
そして、同軸ケーブル101は、例えば、図4に示した結合器21の下ケース22のフランジ26の下部の穴から引出しを行うことができるようになされている。
図9に示される標準系において、信号発生器102の送信出力をP0、接続ケーブル損失をLc、標準アンテナ反射係数をΓ、送信アンテナの放射効率をηとすると、標準アンテナ100から放射される全電力TRPrは、
TRPr=P0・(1−|Γ|)・Lc・η
で表される。
このときの受信アンテナ15の受信出力をPr、被測定物1を測定したときの受信出力をPxとすると、楕円鏡10の閉空間12内へ被測定物1から放射される電力と受信アンテナ15で受信される出力とは比例すると考えてよいから、被測定物1の全放射電力TRPxは、
TRPx=P0・(1−|Γ|)・Lc・η・Px/Pr
で求められる。
前記した比較法は、標準系と被測定物についてそれぞれ求めた一次波の受信電力の比Px/Prが、自由空間中での標準系と被測定物1からの全放射電力の比に等しいという仮定に基づいているが、次にこの仮定が正しいことを説明する。
図12は、素子長(Ld)25mmのダイポールアンテナの入力反射係数を3つの場合について比較したものである。
図12中のAは、長軸径a=200mm(長軸長400mm)、短軸径b=133mm(短軸長266mm)の楕円鏡10の閉空間12内に配置したときの信号に対して得られた反射係数である。
また、図12中のBは、図12中のAの信号に対して一次波を抽出して求めた反射係数、Cは自由空間内に配置したときの反射係数である。
図12中のAの特性は激しく振動していて図12中のCの特性と大きく相違しているのに対し、一次波抽出により求めた図12中のBとCの反射係数との特性とは共振周波数の僅かなズレがあるもののよく一致しており、反射係数の差による放射電力の差は、3〜10GHzの範囲で0.5dB以下である。
また、次に、長さの異なるダイポールアンテナの放射電力の比について考察する。
仮に、素子長20mmのダイポールを標準アンテナ100とし、素子長25mmのダイポールを被測定物1として、前記した長軸径a=200mm、短軸径b=133mmの楕円がみ10の閉空間12内に配置した場合を考える。
受信アンテナ15はいずれの場合も素子長20mmのダイポールとする。
図13の(a),(b)は、素子長20mmの標準アンテナ100にインパルスを与えたときの受信アンテナ15の出力電流(インパルス応答)を求めた結果を示している。
図13の(a)は、時間応答を示しており、図13の(b)は、周波数応答を示している。
図13の(a)に示す時間応答には多重反射が明確に現れ、図13の(b)に示す周波数応答にもそれによる複雑なリップルが現れている。
そこで、図13の(a)に示す一次波を抽出してフーリェ変換処理して周波数領域に表すと、図13の(b)中に示す緩やかな曲線のスペクトラム特性が得られる。
図14の(a),(b)は、上述と同様のインパルス応答を素子長25mmの被測定物1について求めた結果を示している。
図15の実線の特性Eは、標準アンテナ100と被測定物1について得られた一次波の周波数領域の受信電流の比(dB)を求めた結果を示している。
図15の破線の特性Gは、両アンテナの自由空間内での放射電力の比を示している。
これは、それぞれのアンテナの反射係数Γから(1−Γ2)の比をとったものであり、こり場合、アンテナの内部損失はないと仮定しているので、(1−Γ2)の比が全放射電力の比を表している。
図15に示す特性E、Gを比較すると、全周波数範囲にわたってほぼ一致していることが判る。
これらシミュレーション結果から、異なる2つのアンテナに対して、一次波を抽出してフーリェ変換して得られたスペクトルに基づいて算出した受信電流の比は、両アンテナの全放射電力の比にほぼ等しいことが判る。
以上のことから、標準系と被測定物1についてそれぞれ求めた一次波の受信電力の比Px/Prが、自由空間中での標準系と被測定物1の全放射電力の比にほぼ等しいことが判る。
図31は、この第7の実施形態による放射電力測定方法の具体的な動作の一例を説明するために示すフローチャートである。
この本発明の第7の実施形態による放射電力測定方法は、前述した第2の実施形態による前記受信アンテナ15の受信電力の値PLを測定するステップS5が、図31に示すようなステップS5b1、S5b2を含んで構成されている。
まず、前記受信電力の値PLを測定する際に、前記被測定物1の代わりに既知の基準信号源を用いて該既知の基準信号源から送信される既知の全放射電力を前記受信アンテナ15で受信して測定された全放射電力と前記既知の全放射電力との比を予め記憶する(ステップS5b1)。
次に、前記ステップS5b1で予め記憶された前記既知の全放射電力を前記受信アンテナ15で受信して測定された全放射電力と前記既知の全放射電力との比を用いて、前記被測定物1を用いたときに該被測定物1から放射された電波の全放射電力を前記受信アンテナ15で受信して測定された全放射電力の値を較正する(ステップS5b2)。
したがって、この本発明の第7の実施形態による放射電力測定方法によると、ステップS7では、前記ステップS5b2で較正された前記受信電力PL及び前記ステップS6で測定された前記反射係数の値S22に基づいて前記被測定物1の全放射電力の値Prに比例する電力を前記式(1)により算出することになる。
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態として、上記構成の放射電力測定装置20を用いたより詳細な放射電力測定方法について説明する。
この第8の実施形態による放射電力測定方法では、全放射電力の測定対象は一次波であり、それ以外の成分を、電波吸収体を用いて低減するようにしている。
すなわち、全放射電力の測定対象は一次波であり、それ以外の成分は前記した信号処理で除去する方法の他に、電波吸収体を用いて低減することが可能である。
例えば、図10に示すように、楕円鏡10の閉空間12内において、長軸を含む水平面に重なる板状の電波吸収体70を置くことにより、高次の多重反射成分を大幅に低減することができる。
図11の(a),(b)は、そのシミュレーション結果を示している。
この場合、被測定物1の送信アンテナ、受信アンテナ15とも中心周波数が1.2GHzのダイポールアンテナとし、それらを長軸長(2a)60cm、短軸長(2b)40cmの楕円をその長軸を中心に350度回転して得られる楕円鏡10の閉空間12内に配置した構成となされている。
このとき、両ダイポールアンテナの素子の長さ方向を長軸に一致させることにより、両アンテナ間の直接結合が抑えられている。
図11の(a)は電波吸収体なしの場合の送信アンテナの反射係数S11と送信アンテナから受信アンテナへの透過係数S21を示している。
また、図11の(b)は、中央水平面に、全体が楕円板で、送受信のアンテナの周囲部分(長軸方向で各焦点F1、F2から両端までに等しい距離の範囲、短軸方向に70mmの距離の楕円球空間)が切欠かれた形状の電波吸収体70を配置した場合の反射係数S11と透過係数S21を示している。
図11の(a)に示すように、電波吸収体70がない場合、いくつかの周波数で大きな共振が生じ、透過係数(S21)にスパイク状の大きな落ち込みが生じている。
これに対し、図11の(b)に示すように、電波吸収体70を挿入した場合、両アンテナ間の結合度は若干低下するものの、広い周波数範囲にわたって落ち込みの少ない安定した透過特性が得られ、定在波が立っていないことを示している。
このように定在波が立っていないということは、2次波以上の高次反射を無視することができるということを意味する。
すなわち、これによって、電波吸収体70を挿入した場合には、1次波のみを測定することになる。
このような第8の実施形態による放射電力測定方法であれば、1次波と高次反射波を時間的に分離することが難しい狭帯域の信号に対しても、前述の比較法を用いて、測定対象とする被測定物1の全放射電力TRPを求めることができる。
(本発明のまとめ)
このように、本発明では、楕円をその2つの焦点F1,F2を通る軸を中心に360度回転して得られる楕円球状で金属の壁面11で囲まれた閉空間12を有する楕円鏡10の一方の焦点F1に被測定物1をその電波の放射中心を位置させて配置し、該被測定物1から放射された電波を楕円鏡10の壁面11で反射させて他方の焦点F2に配置した受信アンテナ15で受信させて、受信アンテナ15の出力信号に応じて被測定物1の放射電力を測定するようにしている。
このため、本発明では、簡易な構成で小型に、短時間に且つ高感度に被測定物1から放射される電波の全放射電力を測定することができる。
(楕円鏡10の定義)
本発明でいう楕円鏡10は、図4に示した楕円Aをその2つの焦点F1,F2を通る軸線を中心に360度でなく180度回転して得られる半楕円球状で金属の壁面11で囲まれた閉空間12を有するものであってもよい。
このような楕円鏡10の閉空間12内において、一方の焦点F1に被測定物1をその電波の放射中心を位置させて配置し、該被測定物1から放射された電波を楕円鏡10の壁面11で反射させて他方の焦点F2に配置した受信アンテナ15に集中して受信させて、受信アンテナ15の出力信号に応じて被測定物1の放射電力を測定することができる。
そして、この場合、図4に示した下ケース22側の半楕円球状で金属の壁面11で囲まれた閉空間12を有するものを楕円鏡10とし、上ケース23側に単に平板状の電波吸収体を設置した場合には、受信アンテナ15の出力信号を2倍した値に応じて被測定物1の放射電力を測定することができる。
また、図4に示した下ケース22側の半楕円球状で金属の壁面11で囲まれた閉空間12を有するものを楕円鏡10とし、上ケース23側に単に金属等の平板導体を設置した場合には、該金属等の平板導体によるイメージ信号が受信アンテナ15の出力信号に現れるので、受信アンテナ15の出力信号に応じて被測定物1の放射電力を測定することができる。
また、本発明の楕円鏡10は、楕円球空間を、図4に示した楕円Aの短軸線と平行な平面で切断した形状で本発明を実施してもよい。
この場合、切断面の平面は、電波吸収体または導体を設置するものとする。
そして、切断面の平面に電波吸収体を設置した場合、受信アンテナ15の受信電力は半分になるので、受信アンテナ15の出力信号に応じて全放射電力を算出するときに2倍すればよい。
また、切断面の平面に導体を設置した場合、この平面部はグラウンドとして動作し、受信電力は変化しないので、受信アンテナ15の出力信号に応じて被測定物1の全放射電力を測定するときに2倍することは不要である。
また、本発明の楕円鏡10は、楕円球空間を、図4に示した楕円の短軸線と平行な平面を長軸を中心に90度回転させたとき、元の短軸線で形成される平面と90度回転させた平面とで区切られる領域、すなわち楕円球空間を4分の1に切断した形状で本発明を実施してもよい。
そして、この場合、切断面の平面に電波吸収体を設置した場合、受信アンテナ15の受信電力は4分の1になるので、全放射電力を算出するときに、受信アンテナ15の出力信号に4倍すればよい。
また、切断面の平面に導体を設置した場合、平面部はグラウンドとして動作し、受信電力は変化しないので、全放射電力を算出するときに受信アンテナ15の出力信号を4倍することは不要である。
したがって、本発明でいう楕円鏡10は、図4に示した楕円Aをその長軸線または短軸線のうち少なくとも一つの軸線を中心に所定角度回転して得られる全楕円球状、半楕円球状、1/4楕円球状等の壁面11で囲まれた閉空間12を有するものであってもよいものである。
本発明による放射電力測定方法、放射電力測定用結合器及び放射電力測定装置は、ユビキタス社会の到来を向かえ、無線タグ(Radio frequency identification tag:RFID)、UWB(Ultra−wide−band)、BAN(Body Area Network)関連の無線機器などの超小型無線端末が放射した電波を受信してその試験を行う場合に、全空間に放射される全放射電力(Total radiated power:TRP)を簡単な構成で、短時間にかつ高感度に測定することができる。

Claims (12)

  1. 楕円をその2つの焦点を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面で囲まれた閉空間を有する楕円鏡を準備する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの一方の焦点の位置に電波を放射可能な被測定物をその電波の放射中心をほぼ一致するように配置する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの他方の焦点の位置に受信アンテナを配置する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内において、前記一方の焦点の位置に配置した前記被測定物から電波を放射すると共に、該被測定物から放射された電波を前記壁面で反射させて前記他方の焦点の位置に配置した前記受信アンテナで受信し、該受信アンテナからの出力信号に応じて前記被測定物から放射された電波の全放射電力を該受信アンテナの測定端で測定する段階と、
    を具備する放射電力測定方法において、
    前記全放射電力を前記受信アンテナの測定端で測定する段階は、
    前記被測定物から所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナの測定端を介して前記受信アンテナの受信電力の値PLを測定する段階と、
    前記被測定物からの電波放射を停止した状態で、前記受信アンテナの測定端に所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナから反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記受信アンテナの反射係数の値S22を測定する段階と、
    前記受信アンテナの受信電力の値PLを測定する段階で測定された前記受信電力PLの値及び前記受信アンテナの反射係数の値S22を測定する段階で測定された前記反射係数の値S22に基づいて、前記被測定物の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
    PL/(1−|S22|
    算出する段階と、
    を含む放射電力測定方法。
  2. 楕円をその2つの焦点を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面で囲まれた閉空間を有する楕円鏡を準備する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの一方の焦点の位置に電波を放射可能な被測定物をその電波の放射中心をほぼ一致するように配置する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの他方の焦点の位置に受信アンテナを配置する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内において、前記一方の焦点の位置に配置した前記被測定物から電波を放射すると共に、該被測定物から放射された電波を前記壁面で反射させて前記他方の焦点の位置に配置した前記受信アンテナで受信し、該受信アンテナからの出力信号に応じて前記被測定物から放射された電波の全放射電力を該受信アンテナの測定端で測定する段階と、
    を具備する放射電力測定方法において、
    前記全放射電力を前記受信アンテナの測定端で測定する段階は、
    所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記被測定物から前記所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナの測定端を介して前記受信アンテナの受信電力PLを順次に測定する段階と、
    所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記受信アンテナの測定端に前記所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナから反射された電力を該測定端を介して順次に測定することにより、前記受信アンテナの前記反射係数の値S22を順次に測定する段階と、
    前記複数の測定周波数毎に順次に測定される前記受信電力PL及び前記複数の測定周波数毎に順次に測定される前記反射係数の値S22に基づいて前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
    PL/(1−|S22|
    順次に算出する段階と、
    を含む放射電力測定方法。
  3. 予め、前記被測定物から放射される電波に関して、所定の周波数と所定の出力強度からなる所定の規格のスペクトラムマスクを記憶する段階と、
    前記被測定物の全放射電力の値Prに比例する電力を算出する段階によって算出された前記全放射電力の値Prに比例する電力が、前記スペクトラムマスクと比較して前記所定の規格を満足するか否かの良否を判定する段階とをさらに備える請求項1又は請求項2に記載の放射電力測定方法。
  4. 楕円をその2つの焦点を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面で囲まれた閉空間を有する楕円鏡を準備する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの一方の焦点の位置に電波を放射可能な被測定物をその電波の放射中心をほぼ一致するように配置する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの他方の焦点の位置に受信アンテナを配置する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内において、前記一方の焦点の位置に配置した前記被測定物から電波を放射すると共に、該被測定物から放射された電波を前記壁面で反射させて前記他方の焦点の位置に配置した前記受信アンテナで受信し、該受信アンテナからの出力信号に応じて前記被測定物から放射された電波の全放射電力を該受信アンテナの測定端で測定する段階と、
    を具備する放射電力測定方法において、
    前記全放射電力を前記受信アンテナの測定端で測定する段階は、
    前記被測定物の位置を互いに直交する3次元座標軸の少なくとも1軸に沿って位置調整する段階と、
    前記位置調整する段階で、前記被測定物の位置を調整する毎に、前記被測定物からの電波放射を停止した状態で、前記受信アンテナの測定端に所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナから反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記受信アンテナの反射係数の値S22に相当する値を測定する段階と、
    前記受信アンテナの反射係数の値S22に相当する値を測定する段階で測定された前記受信アンテナの反射係数の値S22に相当する値を、予め設定した閾値と比較する段階と、
    前記閾値と比較する段階での比較により、前記前記受信アンテナの反射係数の値S22に相当する値を測定する段階で測定された前記反射係数の値S22に相当する値が前記閾値以下であると判定されたときの前記反射係数の値S22に相当する値を前記反射係数の値S22とする段階と、
    前記被測定物から所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナの測定端を介して前記受信アンテナの受信電力の値PLを測定する段階と、
    前記受信アンテナの受信電力の値PLを測定する段階で測定された前記受信アンテナ15の受信電力の値PL及び前記前記反射係数の値S22とする段階で前記反射係数の値S22とされた前記反射係数の値S22に相当する値に基づいて、下記の式により
    PL/(1−|S22|
    前記被測定物の全放射電力の値Prに比例する電力の算出を開始させる段階と、
    を含む放射電力測定方法。
  5. 楕円をその2つの焦点を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状でなる金属の壁面で囲まれた閉空間を有する楕円鏡を準備する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの一方の焦点の位置に電波を放射可能な被測定物をその電波の放射中心をほぼ一致するように配置する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの他方の焦点の位置に受信アンテナを配置する段階と、
    前記楕円鏡の閉空間内において、前記一方の焦点の位置に配置した前記被測定物から電波を放射すると共に、該被測定物から放射された電波を前記壁面で反射させて前記他方の焦点の位置に配置した前記受信アンテナで受信し、該受信アンテナからの出力信号に応じて前記被測定物から放射された電波の全放射電力を該受信アンテナの測定端で測定する段階と、
    を具備する放射電力測定方法において、
    前記全放射電力を前記受信アンテナの測定端で測定する段階は、前記受信アンテナからの出力信号のうち、前記被測定物から放射されて前記壁面で一回反射して前記他方の焦点の位置に到達した一次波に対応する信号を抽出して、前記被測定物の全放射電力を測定する放射電力測定方法。
  6. 前記受信アンテナの受信電力の値PLを測定する段階は、
    前記被測定物の代わりに既知の基準信号源を用いて該既知の基準信号源から送信される既知の全放射電力を前記受信アンテナで受信して測定された全放射電力と前記既知の全放射電力との比を予め記憶する段階と、
    前記受信アンテナで受信して測定された全放射電力と前記既知の全放射電力との比を予め記憶する段階で予め記憶された、前記測定された全放射電力と前記既知の全放射電力との比を用いて、前記被測定物を用いたときに該被測定物から放射された電波の全放射電力を前記受信アンテナで受信して測定された全放射電力の値を較正する段階と、
    を含む請求項1に記載の放射電力測定方法。
  7. 金属の壁面で囲まれた閉空間内に、電波を放射可能な被測定物と、該被測定物から放射された電波を受信する受信アンテナとを支持し、前記被測定物から射された電波を前記受信アンテナで受信し、該受信アンテナの受信信号を外部へ出力できるように構成された放射電力測定用結合器と、
    前記放射電力測定用結合器の外部へ出力される前記受信アンテナの受信信号から、前記被測定物から放射される電波の全放射電力を測定する電力測定部を備えた放射電力測定装置であって、
    前記放射電力測定用結合器は、
    前記閉空間の形状が、楕円をその2つの焦点を通る軸線を中心に所定角度回転して得られる楕円球状に形成された楕円鏡と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの一方の焦点の位置に前記被測定物をその電波の放射中心がほぼ一致する状態で支持する被測定物支持部材と、
    前記楕円鏡の閉空間内における前記2つの焦点のうちの他方の焦点の位置に前記受信アンテナをその中心位置がほぼ一致する状態で支持する受信アンテナ支持部材と、を有し、
    前記楕円鏡の閉空間内において、前記被測定物支持部材によって支持された前記被測定物から放射された電波を、前記壁面で反射させて前記受信アンテナ支持部材によって支持された前記受信アンテナで受信可能とし、
    前記電力測定部は、前記放射電力測定用結合器の前記受信アンテナ支持部材によって支持された前記受信アンテナで受信された出力信号に応じて前記被測定物支持部材によって支持された前記被測定物から放射された電波の全放射電力を測定可能とし、
    前記電力測定部は、
    前記放射電力測定用結合器の前記被測定物支持部材によって支持された前記被測定物からの電波放射を停止した状態で、前記放射電力測定用結合器の前記受信アンテナ支持部材によって支持された前記受信アンテナの測定端に所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナから反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記受信アンテナの反射係数の値S22を測定する反射係数測定モジュールと、
    前記被測定物から前記所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナの受信電力PLの値を前記受信アンテナの測定端を介して測定する受信電力測定モジュールと、
    前記反射係数測定モジュールによって測定される反射係数の値S22及び前記受信電力測定モジュールによって測定される受信電力PLの値に基づいて、前記被測定物の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
    PL/(1−|S22|
    算出する全放射電力算出モジュールと、
    を含む放射電力測定装置。
  8. 前記反射係数測定モジュールは、所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記受信アンテナの測定端に前記所定の測定周波数を有する電力を印加して、該受信アンテナから反射された電力を該測定端を介して測定することにより、前記反射係数の値S22を順次に測定し、
    前記受信電力測定モジュールは、前記所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に前記被測定物から前記所定の測定周波数を有する連続波を放射した状態で、前記受信アンテナの測定端を介して前記受信アンテナの受信電力PLを順次に測定し、
    前記全放射電力算出モジュールは、前記反射係数測定モジュールによって前記所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に順次に測定される反射係数の値S22及び前記受信電力測定モジュールによって前記所定の周波数範囲において、予め定められた複数の測定周波数毎に順次に測定される受信電力PLの値に基づいて、前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力を下記の式により
    PL/(1−|S22|
    順次に算出する請求項7に記載の放射電力測定装置。
  9. 前記電力測定部は、
    予め、前記被測定物から放射される電波に関して、所定の周波数と所定の出力強度からなる所定の規格のスペクトラムマスクを記憶する記憶モジュールと、
    前記全放射電力算出モジュールによって順次に算出された前記複数の測定周波数毎の全放射電力の値Prに比例する電力が、前記記憶モジュールに記憶されている前記スペクトラムマスクと比較して前記所定の規格を満足するか否かの良否を判定する良否判定モジュールとをさらに備える請求項8に記載の放射電力測定装置。
  10. 前記放射電力測定用結合器は、前記被測定物支持部材によって支持された前記被測定物の位置を3次元座標軸の少なくとも1軸に沿って位置調整する位置調整機構をさらに有し、
    前記電力測定部は、前記位置調整機構によって前記被測定物の位置を調整する毎に前記反射係数測定モジュールによって測定された前記反射係数の値S22に相当する値を、予め設定した閾値と比較する比較モジュールをさらに有し、
    前記全放射電力算出モジュールは、前記比較モジュールによって前記反射係数の値S22に相当する値が前記閾値以下であると判定されたときの前記反射係数の値S22に相当する値を前記反射係数の値S22として、前記被測定物の全放射電力の値Prに比例する電力の算出を開始する請求項7の放射電力測定装置。
  11. 前記電力測定部は、
    前記放射電力測定用結合器の前記被測定物支持部材によって支持された前記被測定物から短パルスの電波が放射された状態で、前記放射電力測定用結合器の前記受信アンテナ支持部材によって支持された前記受信アンテナで受信された出力信号から、スペクトラムデータを求めるスペクトラム解析モジュールと、
    前記スペクトラム解析モジュールによって求められたスペクトラムデータに対する逆フーリェ変換演算を行い、前記受信アンテナの出力信号の時間波形データを算出する時間波形データ算出モジュールと、
    前記時間波形データ算出モジュールによって算出された時間波形データから、前記被測定物から放射された短パルスの電波が前記放射電力測定用結合器の前記楕円球の閉空間内において、前記壁面で一回反射して前記受信アンテナに到来した一次波の時間波形データを抽出する一次波抽出モジュールと、
    前記一次波抽出モジュールによって抽出された一次波の時間波形データに対して、フーリェ変換処理を行い、該一次波のスペクトラムデータを求める一次波スペクトラム算出モジュールと、
    前記一次波スペクトラム算出モジュールによって算出された一次波のスペクトラムデータから、前記被測定物の全放射電力を算出する放射電力算出モジュールと、
    を含む請求項7の放射電力測定装置。
  12. 前記電力測定部は、
    予め、前記被測定物の代わりに既知の基準信号源を用いて該既知の基準信号源の送信アンテナから送信される既知の全放射電力を前記受信アンテナで受信して前記全放射電力算出モジュールによって算出された全放射電力と前記既知の基準信号源の送信アンテナから送信される前記既知の全放射電力との比を記憶する記憶モジュールと、
    前記記憶モジュールに記憶されている、前記全放射電力算出モジュールによって算出された全放射電力と前記既知の全放射電力との比を用いて、前記被測定物を用いたときに該被測定物から放射された電波の全放射電力を前記受信アンテナで受信して前記全放射電力算出モジュールによって算出された全放射電力の値を較正する較正モジュールと、
    をさらに含む請求項7の放射電力測定装置。
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