JP5427230B2 - ドアロック機構取付用治具 - Google Patents
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Description
図8に示すように、従来、ドアロック機構400をドアD100に取り付ける場合は、まず、ドアロック機構400のみを一本のボルトT100でドア本体100内の前端部110に軽く仮止めし、続いて、ドアロック機構400の操作ロッド410等を組み付け、その後、ドアロック機構400を残りの2本のボルトT100を加えて3本で、ドア本体100に本締めして取り付けている。
これにより、ドアロック機構取付用治具は、ドアロック機構をドアの中空部に取り付ける際に、ドアロック機構を手で保持することを不要にするため、ドアロック機構の取付作業の作業性、及び、ドアの生産性を向上させることができる。
さらに、ドアにおいて、ドアロック機構をドアに締結する締結具が配置される部位は、締結具挿入孔以外が治具本体で覆うことができるため、ドアロック機構をドアに取り付ける際に、工具がドアの表面に当接してドアの塗装面を傷付けることを、治具本体によって防ぐことができる。これにより、ドアの塗装面を傷付けることに気を配りながら作業を行わなくて済むので、安心してドアロック機構をドアに取り付ける作業を行うことこができる。
このため、例えば、ドアの種類が異なり、進入溝のサイズが異なるような場合であっても、確実にドアロック機構を保持することができる。
なお、本発明の実施形態では、「前」は車両の進行方向側、「後」は車両の後退方向側、「上」は鉛直上方側、「下」は鉛直下方側、「左右」は車幅方向側として説明する。
図1に示すように、ドアDは、例えば、車体の左右または後端部に配置されるヒンジ式ドアやスライド式ドアやガルウイング式ドアやバックドア等からなる。なお、このドアDは、ドアD内にドアロック機構4が内設され、ドアストライカ6が進入するストライカ用開口部3bを有しているものであればよく、ドアDの形式は特に限定されない。以下、乗用車の右側前部に配置されるヒンジ後開き式のドアDを例に挙げて本発明の一実施形態を説明する。
ドア本体1は、アウタパネル2の外周部と、インナパネル3の周部とを接合して主に形成され、ドア本体1の内部に中空部1aが形成されている。その中空部1a内には、後記するドアロック機構4や、不図示の電装品及び補強部材等が内設されている。ドア本体1は、このドア本体1の前端部の上下にヒンジ部材(図示省略)が設けられて、車体に回動可能に軸支され、後側の端部1bに前記ドアロック機構4が内設される。また、ドア本体1の上端部には、窓枠となるサッシ7が溶接されており、サッシ7の内側に窓ガラスが昇降可能に取り付けられる。ドア本体1の外周部及び端部1bは、車体側に形成されたドア開口部(図示省略)の内周縁部に合致するように形成されている。なお、ドア本体1において、後記するストライカ用開口部3b及び締結具挿入孔3cが形成される端部1b付近は、例えば、垂直な平らな面に形成されている。
図1に示すように、アウタパネル2は、ドア本体1の車室外側面を形成する金属製板部材であり、例えば、圧延鋼板、アルミニウム合金製圧延板材、あるいは、マグネシウム合金製の圧延板材等をプレス加工して形成されたパネル部材からなる。
インナパネル3は、ドア本体1の車室内側面を形成する金属製板材であり、例えば、圧延鋼板あるいはアルミニウム合金製圧延板材、あるいは、マグネシウム合金製の圧延板材等をプレス加工して形成されたパネル部材からなる。インナパネル3には、中空部1a内にドアロック機構4や、電装品(図示省略)等の内蔵品を組み付ける組付作業を行うための作業孔3aと、ドアDを閉めた際に、車体に設けられたドアストライカ6が進入するストライカ用開口部3bと、ドアロック機構4をドアDに固定するための締結具Tが挿入される複数の締結具挿入孔3cと、が形成されている。インナパネル3の車室側には、ドアトリム(図示省略)が設けられる。
ストライカ用開口部3bは、ドアDの前後方向(後方向)の端部1bに切欠形成された水平な溝であり、このストライカ用開口部3bに内側にドアロック機構4のドアストライカ用の進入溝4aが合致するようにして配置される。
締結具挿入孔3cは、締結具Tの頭部Taが没入した状態に配置される貫通孔であり、例えば、ストライカ用開口部3bの上側に2つ、ストライカ用開口部3bの下側に1つ形成されている。
図1に示すように、ドアロック機構4は、ドアDを閉めた状態を維持する装置であり、ドアDの端部1b内に締結具Tによって固定される。ドアロック機構4には、前記ドアストライカ用の進入溝4aと、この進入溝4aの上下に形成された取付孔4bと、進入溝4a及び取付孔4bが形成されたロック機構本体41と、進入溝4a内に配置されたラッチ42と、ロック機構本体41に配置された不図示のレバーに基端部がそれぞれ連結されたハンドルロッド43、ロックロッド44及びシリンダロッド45と、が設けられている。
車室側側面4dは、インナパネル3の内壁面に当接した状態で配置される面である。
ハンドルロッド43は、ラッチ42を回動させてドアDを開放させるための金属製棒状部材であり、基端部が、レバー(図示省略)を介在してラッチ42に連結され、先端部が、不図示のインサイドハンドルに連結されている。
シリンダロッド45は、ラッチ42を回動させてドアDを施錠及び解錠させるための金属製棒状部材であり、基端部が、レバー(図示省略)を介在してラッチ42に連結され、先端部が、不図示のキーシリンダに連結されている。
ドアストライカ6は、車体のドア開口部(図示省略)の内縁部に固定された略コ字状の金属製丸棒部材であり、ドアDを閉めた際に、ラッチ42に係止されてドアDを車体側に保持させる。
治具5(ドアロック機構取付用治具)は、車両のドアDにドアロック機構4を締結具Tで取り付ける際に使用される部材であり、例えば、デルリン(登録商標)等のポリアセタール樹脂や、ウレタンや、ゴム等の比較的柔らかい軟質の樹脂からなる。この治具5は、透明または半透明の部材から形成されていることが好ましい。治具5は、それぞれ後記する治具本体5aと、突起5bと、締結具挿通孔5cと、端部配置部5eと、車室側配置部5fと、を備えている。
図2及び図3に示すように、治具本体5aは、ドアDの前後方向の端部1bに配置される軟質性の厚板状部材からなる。治具本体5aは、インナパネル3の端部1bの締結具挿入孔3cの周辺部位を覆うように配置される端部配置部5eと、インナパネル3の車室側側面に配置される車室側配置部5fと、ラッチ42が挿入配置されるラッチ収納空間5h(図5(a)、(b)参照)と、を有し、平面視してL字状に形成されている。治具本体5aは、ドアロック機構4が内設されたドアDの前後方向の表面(端部1b)に配置される。
図2及び図3に示すように、突起5bは、インナパネル3のストライカ用開口部3b内に配置されたラッチ42と、ドアロック機構4のドアストライカ用の進入溝4aとの間の隙間に押し込むことにより、治具本体5a及び突起5bの弾性と、治具本体5a及び突起5bとドアロック機構4との摩擦力とによって、治具5をドアロック機構4(インナパネル3)に係止させるための治具係止用突起である。
図5(b)に示すように、締結具挿通孔5cは、締結具Tを回動させて仮止め及び本締めする際に、締結具T及びインパクト工具(図示省略)の先端部位を挿入できる大きさに形成されると共に、この締結具挿通孔5cの内径d2が締結具Tの頭部Taの外径d1よりも大きく形成されている。
端部配置部5eは、インパクト工具(図示省略)で締結具Tを仮止め及び本締めする際に、インパクト工具の先端が、インナパネル3の塗装面(端部1b)に当接して、塗装を傷付けるのを防止するための部位である。端部配置部5eは、ドアDの端部1bに形状に合わせて密着するように形成され、三つの締結具挿入孔3cの中心線上にそれぞれ一致する締結具挿通孔5cが形成されている。
車室側配置部5fは、前記突起5bを突出形成するための部位であり、ドアDの端部1bの車室側の側面形状に合わせて、密着するように形成されている。
突起5bの基端部5gは、突起5bをストライカ用開口部3b及び進入溝4a内に挿入した際に、基端部5gの前側部位が、ストライカ用開口部3b及び進入溝4aの内壁に圧接するように形成されている。
ラッチ収納空間5hは、平板状の端部配置部5eと突起5bとの間に形成されている。
締結具Tは、ドアロック機構4をドア本体1の中空部1aの内壁に固定するための固定具であり、取付孔4bに螺合されるねじ、あるいは、ボルトからなる。以下、締結具Tの一例として皿ねじの場合を例に挙げて説明する。締結具Tの頭部Taは、締結具挿入孔3cの開口端に形成されたテーパ部あるいは座繰り穴に沈み込むように配置される。
不図示のドアトリムは、インナパネル3の車室側に設けられる樹脂製の部材であり、いわゆるドアライニングである。このドアトリムの車室側には、不図示のドアハンドルや、パワーウインドスイッチ等が取り付けられる。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態に係るドアロック機構取付用治具の作用を、ドアロック機構4をドアDに取り付ける手順に沿って説明する。
図1に示すように、ドアロック機構4をドアDに取り付ける場合、作業者は、まず、一方の手でドアロック機構4を把持し、作業孔3aからドア本体1の中空部1a内に入れて、三つの取付孔4bを三つの締結具挿入孔3cに一致させてセットする。
このとき、インナパネル3の締結具挿入孔3cの周辺は、軟性部材からなる治具5によって覆われていることにより、締結具Tの頭部Taの揺動を規制して、頭部Taが塗装面に当接するのを防止することができるため、インパクト工具でインナパネル3の塗装面(端部1b)が傷付くのを防止することができる。
このため、治具5は、透明または半透明であることと、突起5bを進入溝4aに圧入して突起5bでドアロック機構4をドアDのストライカ用開口部3bに保持することによって、ドアロック機構4をドアDに取り付ける取付作業の作業性を向上させることができる。
また、ドアDに装着した治具5は、軟質材から形成されていることによって、ドアDから取り外す際、治具5をドアDから剥がすように引っ張れば変形するので、容易に取り外すことができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図6は、本発明の実施形態に係るドアロック機構取付用治具の第1変形例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は突起の先端部の要部拡大図である。
図7は、本発明の実施形態に係るドアロック機構取付用治具の第2変形例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はドアに装着したときの状態を示す要部拡大断面図である。
また、永久磁石Mの形状は、治具5Bの形状やドアDやドアロック機構4の形状に合わせて適宜変更しても構わない。
前記実施形態では、本発明のドアロック機構取付用治具の一例として、ヒンジ後開き式のドアDを例に挙げて説明したが、ドアDの種類、形状等は特に限定されない。つまり、ドアDは、ドアD内に進入溝4aを有するドアロック機構4が内設され、ドアストライカ6が進入するストライカ用開口部3bを有しているものであればよく、例えば、ヒンジ前開き式のドアや、スライドドアや、バックドア等であっても構わない。
1a 中空部
1b 端部(塗装面)
3 インナパネル
3a 作業孔
3b ストライカ用開口部
4 ドアロック機構
4a 進入溝
5,5A,5B 治具(ドアロック機構取付用治具)
5a,5Aa,5Ba 治具本体
5b,5Ab 突起
5c 締結具挿通孔
5Ad 先端部
5Ae スリット
6 ドアストライカ
D ドア
M 永久磁石
T 締結具
Claims (5)
- 車両のドアに形成されたストライカ用開口部に、ドアロック機構を締結具で取り付ける際に使用されるドアロック機構取付用治具であって、
前記ストライカ用開口部に配置される治具本体と、
前記ドアを閉めた際に、車体に設けられたドアストライカが挿入される前記ストライカ用開口部、及び、前記ドアロック機構に形成されたドアストライカ用の進入溝に挿入するための突起と、
前記ドアロック機構をドアの内部に固定する前記締結具を挿入するための締結具挿通孔と、を備え、
前記突起は、前記ストライカ用開口部を介して前記進入溝に挿入することにより、前記ドアに着脱可能に係止され、
前記治具本体は、前記ドアロック機構が内設された前記ドアの表面側に配置されることを特徴とするドアロック機構取付用治具。 - 前記突起は、先端部にスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドアロック機構取付用治具。
- 前記治具本体には、前記ドアに吸着する永久磁石が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドアロック機構取付用治具。
- 前記治具本体は、透明または半透明の材料で形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のドアロック機構取付用治具。
- 前記治具本体は、軟質樹脂またはゴム材料からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のドアロック機構取付用治具。
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