JP5426516B2 - 瞬時トリップメカニズムを有する配線用遮断器 - Google Patents

Description

本発明は、配線用遮断器に関し、特に、瞬時トリップメカニズム（instantaneous trip mechanism）を有する配線用遮断器に関する。

配線用遮断器は、回路に過電流、短絡電流などの異常電流が発生したときに回路を遮断して回路及び負荷機器を保護する電力機器である。

このような配線用遮断器には、固定接触子に流れる電流の方向と可動接触子に流れる電流の方向とが反対である限流型配線用遮断器がある。通常、限流型配線用遮断器は、外部に露出した端子部から配線用遮断器の内部に延びる導体が再び端子部側に折り曲げられた構造、すなわち横Ｕ字状の固定接触子を使用する。限流型配線用遮断器においては、固定接触子に流れる電流の方向と可動接触子に流れる電流の方向とが反対であるため、短絡電流などの大きな事故電流が流れると、固定接触子と可動接触子間に電磁反発力が発生し、可動接触子が自動的に回動して固定接触子から分離される。このような動作を限流動作といい、このような限流機能を有する配線用遮断器を限流型配線用遮断器という。このような限流型配線用遮断器の限流機能は、回路に大きな事故電流が発生したとき、トリップ機構がこれを検出して開閉機構をトリップ位置（すなわち、回路遮断位置）にトリガする前に、直ちに回路を遮断することができ、その役割が重要である。

これに対して、一般型配線用遮断器は、固定接触子に流れる電流の方向と可動接触子に流れる電流の方向とが一致する配線用遮断器である。通常、このような一般型配線用遮断器は、略一字状、すなわち横Ｉ字状の固定接触子を使用する。このような一般型配線用遮断器は、限流機能がないため、回路に短絡電流などの大きな事故電流が発生したとき、トリップ機構がこれを検出して開閉機構がトリップ動作するようにトリガする前に、事故電流の発生に対応して開閉機構をトリップ位置にトリガする瞬時トリップメカニズムを別途付設する必要がある。

本発明は、このような瞬時トリップメカニズムを有する一般型配線用遮断器に関する。

しかしながら、従来の一般型配線用遮断器は、瞬時トリップメカニズムを備えるのではなく、次のように多段階的な連動動作を行う。

すなわち、従来の一般型配線用遮断器は、変流器が回路の電流を検出する段階、制御装置に相当する過電流継電器が事故電流の発生を決定する段階、トリップ信号を発生する段階、トリップ信号によりトリップアクチュエータが動作する段階、トリップアクチュエータの動作によりラッチが解放されて開閉機構がトリップ動作するようにトリガする段階などのように、多段階的な動作を行う。よって、従来の一般型配線用遮断器においては、短絡電流などの大電流を遮断する際に瞬時遮断が行われず、時間遅延を伴うという問題があった。

また、従来の一般型配線用遮断器は、変流器などの回路素子が回路の電流を検出して電流検出信号を信号線で伝達する段階、過電流継電器内のマイクロプロセッサがプログラムによる信号処理を行って事故電流の発生を決定する段階、トリップ駆動信号を発生してトリップアクチュエータに伝達する段階、トリップアクチュエータが駆動する段階などのような、電気的信号の発生及び伝達、信号処理、制御信号による電気的駆動などの電気的動作過程（段階）において、時間遅延と誤動作の危険性があるという問題があった。

そこで、本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、短絡電流などの大電流を遮断する際に瞬時遮断を行うことのできる機械的瞬時トリップメカニズムを有する一般型配線用遮断器を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明による配線用遮断器は、前記配線用遮断器の下部室に位置し、固定接触子及び前記固定接触子に接離する位置に回動可能な可動接触子を備えて回路を開閉する主回路部と、前記配線用遮断器の上部室に位置し、前記主回路部に接続されて、前記主回路部が回路を開放するように前記主回路部を駆動する開放駆動位置、及び前記主回路部が閉回路を形成するように前記主回路部を駆動する閉路駆動位置を有する開閉機構と、前記上部室に位置し、回路の異常電流の発生による電磁吸引力により作動して前記開閉機構が前記開放駆動位置に動作するようにトリガする機械的瞬時トリップメカニズムと、前記主回路部が位置する前記下部室と前記瞬時トリップメカニズム及び前記開閉機構が位置する前記上部室とを分離して電気的に絶縁するように、前記上部室と前記下部室との間に設けられる絶縁隔壁とを含む。

本発明による配線用遮断器は、上部室と下部室を隔壁で分離し、上部室には開閉機構及び機械的瞬時トリップメカニズムを設置し、下部室には主回路部を設置して構成されることにより、時間遅延を生じることなく、信頼性のある瞬時トリップを行うことができ、隔壁により上部室の開閉機構及び瞬時トリップメカニズムをアークから保護することができ、遮断性能に優れるという効果がある。

本発明による配線用遮断器は、前記瞬時トリップメカニズムが、前記主回路部の電気的導体部と対向するように離隔して設置され、強磁性体で構成され、前記導体部に異常電流が流れると前記導体部により吸引されて回動するアーマチュアと、前記アーマチュアに弾性力を与えるように接触して設置される瞬時スプリングとを含むことにより、簡単な機械的構成で瞬時トリップメカニズムが得られるという効果がある。

本発明による配線用遮断器は、前記瞬時トリップメカニズムが、前記アーマチュアにより加圧されて回動し、回動時に前記開閉機構の構成要素であるネールを加圧して回動させることができるように前記ネール側に延びる上部延長部を有するクロスバーをさらに含むので、クロスバーの加圧により開閉機構が機械的にトリップ動作するようにトリガすることができるという効果がある。

本発明による配線用遮断器における下部室の主回路部及び絶縁隔壁と上部室の開閉機構及び瞬時トリップメカニズムの構成を示す縦断面図である。 図１の配線用遮断器を斜め上から見た縦断面斜視図である。 本発明による配線用遮断器の分解斜視図である。 本発明による配線用遮断器のトリップ動作前の状態を示す側面図である。 本発明による配線用遮断器のトリップ動作時の状態を示す側面図である。

上記本発明の目的とこれを達成する本発明の構成及び作用効果は、添付の図面を参照した本発明の好ましい実施形態の後述する詳細な説明によりさらに明確に理解できるであろう。

まず、図１〜図３を参照して本発明の好ましい実施形態による配線用遮断器の構成を説明する。図１は、本発明による配線用遮断器における下部室の主回路部及び絶縁隔壁と上部室の開閉機構及び瞬時トリップメカニズムの構成を示す縦断面図であり、図２は、図１の配線用遮断器を斜め上から見た縦断面斜視図であり、図３は、本発明による配線用遮断器の分解斜視図である。

図１〜図３に示すように、本発明の好ましい実施形態による配線用遮断器は、主回路部２１、２２、２３、開閉機構５０、瞬時トリップメカニズム１、２、３、及び絶縁隔壁６０を含む。

さらに、本発明の好ましい実施形態による配線用遮断器は、図３に示すように、主回路部２１、２２、２３、開閉機構５０、瞬時トリップメカニズム１、２、３、及び絶縁隔壁６０を収容する上部ケース３０及び下部ケース４０を含む。

図１〜図３に示すように、上部ケース３０には、一側部（図１及び図２の右側）が凹んで設けられる絶縁隔壁６０が形成され、上部ケース３０内において絶縁隔壁６０を境にして上位には上部室１０が形成される。つまり、絶縁隔壁６０と絶縁隔壁６０より上側の上部ケース３０の壁部とにより上部室１０が形成される。

また、上部ケース３０及び下部ケース４０内において、絶縁隔壁６０の下位には下部室２０が形成される。つまり、絶縁隔壁６０と絶縁隔壁６０の下位に位置する上部ケース３０及び下部ケース４０の壁部とにより下部室２０が形成される。

主回路部２１、２２、２３は、下部室２０に位置し、回路を開閉したり回路に電流が流れる通路を提供する手段であって、固定接触子２１と、固定接触子２１に接離する位置に回動可能な可動接触子２２と、可動接触子２２に電気的に接続されて回路に電流が流れる通路を提供する電気的導体部２３とを含む。

開閉機構５０は、上部室１０に位置し、主回路部２１、２２、２３に接続されて、主回路部２１、２２、２３が回路を開放（遮断）するように主回路部２１、２２、２３を駆動する開放駆動位置、及び主回路部２１、２２、２３が閉回路を形成するように（回路を接続するように）主回路部２１、２２、２３を駆動する閉路駆動位置を有する。開閉機構５０は、ラッチ５１と、ラッチホルダー５２と、ネール（nail）５３とを含む。

ラッチ５１は、トリップ動作のための弾性力を与えるトリップスプリングを弾性エネルギーが蓄積された状態で拘束する位置、及び前記トリップスプリングを弾性エネルギーが放出されるように解放する位置を有する。

ラッチホルダー５２は、ラッチ５１を拘束する位置とラッチ５１を解放する位置とに回動可能であり、トーションスプリング（符号なし）によりラッチ５１を解放する方向に付勢される。

ネール５３は、ラッチホルダー５２を加圧して回動させることができる位置に設置され、ラッチホルダー５２を加圧して回動させることでラッチ５１を解放することができる。
さらに、開閉機構５０は、ハンドル、トリップスプリング（メインスプリング、図示せず）、ホルダー、回転軸、上部リンク及び下部リンクなどを含む。

ここで、前記ハンドルは、配線用遮断器の手動操作手段を提供する。

前記トリップスプリングは、配線用遮断器のリセット状態（ハンドルのオフ位置）で弾性エネルギーを蓄積し、トリップ（遮断）動作時、蓄積していた弾性エネルギーを放出することにより、主回路部２１、２２、２３の可動接触子２２をトリップ（遮断）位置に駆動するための駆動力を与える。前記トリップスプリングは、一端が前記ハンドルに支持され、他端が後述する上部リンク及び下部リンクの接続ピンにより支持される。

前記ホルダーは、可動接触子２２を回動可能に支持し、３相交流の各相に設けてもよい。

前記回転軸は、例えば３相の前記ホルダーを同時に回転させるように共通に支持する手段である。

前記上部リンク及び下部リンクは、前記回転軸を回転駆動するために、前記回転軸とラッチ５１との間に接続される。
開閉機構５０の詳細構成及び作用はよく知られているので、より詳細な説明は省略する。

瞬時トリップメカニズム１、２、３は、アーマチュアアセンブリ１、瞬時スプリング２、及びクロスバー３を含む。

アーマチュアアセンブリ１は、主回路部２１、２２、２３の電気的導体部２３と対向するように離隔して設置される。アーマチュアアセンブリ１は、強磁性体で構成され、導体部２３に異常電流が流れると導体部２３により吸引されて回動する。アーマチュアアセンブリ１は、アーマチュアベース１ａ、回動片１ｂ、及び加圧部１ｂ−１を含む。

アーマチュアベース１ａは、アーマチュアアセンブリ１のベースであって、支持軸により上部ケース３０に固定支持される。

回動片１ｂの上端部は、アーマチュアベース１ａ内に挟まれて支持され、回動片１ｂの下端部は、自由端部であって、アーマチュアベース１ａから下方に延びる。また、回動片１ｂは、強磁性体からなる薄く長い板スプリングで構成される。

加圧部１ｂ−１は、回動片１ｂと一体に回動するように接続されるか、又は回動片１ｂと一体に形成された部材である。加圧部１ｂ−１は、クロスバー３に向かう方向、すなわち図２の右方向に延びるように設けられる。

瞬時スプリング２は、アーマチュアアセンブリ１に弾性力を与えるように接触して設置される。より詳細には、本実施形態の瞬時スプリング２は、胴部がアーマチュアベース１ａを支持する前記支持軸に支持され、一端部が回動片１ｂに接触して設置されており、回動片１ｂに導体部２３から遠ざかる方向（図２の右方向）に弾性力を与えるトーションスプリングで構成される。よって、瞬時スプリング２は、導体部２３に正常電流が通電すれば、アーマチュアアセンブリ１、とりわけ回動片１ｂを元の位置に復帰させ、瞬時トリップ電流（短絡電流などの大きな事故電流）が通電すれば、アーマチュアアセンブリ１、とりわけ回動片１ｂが導体部２３側に近接するように回動を許容する。つまり、瞬時トリップ電流の通電時、瞬時スプリング２が回動片１ｂに与える弾性力は、導体部２３に大きな事故電流が通電することで発生して回動片１ｂを導体部２３側に吸引する磁気吸引力より小さい。

クロスバー３は、略棒状の胴部を有する部材であって、前記胴部が上部ケース３０の側壁に回動可能に支持され、アーマチュアアセンブリ１により加圧されて回動する。クロスバー３は、図３〜図５に示すように、回動時にネール５３を加圧して回動させることができるように、前記胴部からネール５３側に延びる上部延長部３ａを有する。さらに、クロスバー３は、アーマチュアアセンブリ１から回動する動力を受けるために、前記胴部からアーマチュアアセンブリ１側（図４及び図５の左方向）に延びる前方延長部３ｂを有する。

一方、本発明の好ましい実施形態による配線用遮断器に含まれる絶縁隔壁６０は、主回路部２１、２２、２３が位置する下部室２０と、瞬時トリップメカニズム１、２、３及び開閉機構５０が位置する上部室１０とを分離して電気的に絶縁するように、上部室１０と下部室２０との間に設けられる。絶縁隔壁６０は、電気的絶縁性を有する合成樹脂材で形成してもよく、特に、電気的絶縁性を有する上部ケース３０及び下部ケース４０と同一の合成樹脂材で形成してもよい。絶縁隔壁６０は、本実施形態では上部ケース３０と一体に形成される。

以下、このように構成される本発明による配線用遮断器の動作を、図４及び図５を主に参照して説明する。

図４は、本発明による配線用遮断器のトリップ動作前の状態を示す側面図であり、図５は、本発明による配線用遮断器のトリップ動作時の状態を示す側面図である。まず、図４の状態で回路に短絡電流などの大電流が通電すると、図２に示す導体部２３を介して大電流が流れる。これにより、導体部２３の周囲に大きな磁気吸引力が発生し、その磁気吸引力はアーマチュアアセンブリ１の回動片１ｂを引き寄せる。

すると、回動片１ｂは図４の状態から図５の状態に時計方向に回動する。回動片１ｂの時計方向の回動により、回動片１ｂと一体に回動するように構成された加圧部１ｂ−１も時計方向に回動する。時計方向に回動する加圧部１ｂ−１は、クロスバー３の前方延長部３ｂを押して図４の状態から図５の状態に反時計方向に回動させる。

これにより、クロスバー３の前方延長部３ｂと一体に構成されたクロスバー３の上部延長部３ａも反時計方向に回動することにより、前方のネール５３を押して時計方向に回動させる。

ネール５３が時計方向に回動して拘束していたラッチホルダー５２を解放すると、トーションスプリングによりラッチホルダー５２が時計方向に回動してラッチ５１を解放する。すると、前述のようなトリップスプリングの弾性力によりラッチ５１が反時計方向に回動する。その後の動作は図示していないが、元の状態に収縮するトリップスプリングの下端部が接続ピンを引き上げて上部リンク及び下部リンクを上昇させることにより、下部リンクに接続された回転軸が時計方向に回転してホルダーを時計方向に回転させ、ホルダーにより支持される可動接触子２２が固定接触子２１から分離されるトリップ（遮断）動作が完了する。

一方、投入動作は、ハンドルをオフ位置（リセット位置）に操作した後に投入位置に操作することで行われ、図１に示すように、ラッチ５１がラッチホルダー５２により拘束され、可動接触子２２は固定接触子２１に接触して回路が通電可能な状態で接続される。

１ アーマチュアアセンブリ
１ａ アーマチュアベース
１ｂ 回動片
１ｂ−１ 加圧部
２ 瞬時スプリング
３ クロスバー
３ａ 上部延長部
３ｂ 前方延長部
１０ 上部室
２０ 下部室
２１ 固定接触子
２２ 可動接触子
２３ 電気的導体部
３０ 上部ケース
４０ 下部ケース
５０ 開閉機構
５１ ラッチ
５２ ラッチホルダー
５３ ネール
６０ 絶縁隔壁

Claims (1)

1. 配線用遮断器において、
   前記配線用遮断器の下部室に位置する複数の主回路部であって、各前記主回路部は固定接触子及び前記固定接触子に接離する位置に回動可能な可動接触子を備えて回路を開閉する主回路部と、
   前記配線用遮断器の上部室に位置し、前記主回路部に接続されて、前記主回路部が回路を開放するように前記主回路部を駆動する開放駆動位置、及び前記主回路部が閉回路を形成するように前記主回路部を駆動する閉路駆動位置を有する開閉機構と、
   前記上部室に位置し、回路の異常電流の発生による電磁吸引力により作動して前記開閉機構が前記開放駆動位置に動作するようにトリガする機械的瞬時トリップメカニズムと、
   前記主回路部が位置する前記下部室と前記瞬時トリップメカニズム及び前記開閉機構が位置する前記上部室とを分離して電気的に絶縁するように、前記上部室と前記下部室との間に前記複数の主回路部に共通に設けられる絶縁隔壁と
   を含み、
   前記開閉機構は、
   拘束位置及び解放位置を有するラッチと、
   前記ラッチを拘束する位置と前記ラッチを解放する位置とに回動可能なラッチホルダーと、
   前記ラッチホルダーを加圧して回動させることができる位置に設置され、前記ラッチホルダーを加圧して前記ラッチを解放する位置に回動させるネールとを含み、
   前記瞬時トリップメカニズムは、
   前記主回路部の電気的導体部と対向するように離隔して設置され、強磁性体で構成され、前記導体部に異常電流が流れると前記導体部により吸引されて回動するアーマチュアと、
   前記アーマチュアに弾性力を与えるように接触して設置され、前記導体部に正常電流が通電すれば、前記アーマチュアを元の位置に復帰させ、瞬時トリップ電流の通電により前記アーマチュアが回動すれば、前記アーマチュアの回動力より小さな予め定められた弾性力を前記アーマチュアに与える瞬時スプリングと、
   前記アーマチュアにより加圧されて回動し、回動時に前記ネールを加圧して回動させることができるように前記ネール側に延びる延長部を有するクロスバーとを含み、
   前記アーマチュアは、薄く長い板スプリングで構成される回動片を有し、
   前記絶縁隔壁は、前記配線用遮断器の一部であり、上部ケースと一体に形成されることを特徴とする配線用遮断器。

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