JP5425023B2 - 発光装置、照明装置および車両用前照灯 - Google Patents
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本発明の実施の一形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ここでは、本発明の照明装置の一例として、自動車用のヘッドランプ(発光装置、照明装置、車両用前照灯)1を例に挙げて説明する。ただし、本発明の照明装置は、自動車以外の車両・移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されてもよいし、その他の照明装置として実現されてもよい。その他の照明装置として、例えば、サーチライト、プロジェクター、家庭用照明器具を挙げることができる。
まず、図1を参照しながら、ヘッドランプ1の構成について説明する。図1は、ヘッドランプ1の構成を示す断面図である。同図に示すように、ヘッドランプ1は、半導体レーザアレイ2と、非球面レンズ4と、光ファイバー5と、フェルール6と、発光部7と、反射鏡8と、透明板9と、ハウジング10と、エクステンション11と、レンズ12と、熱伝導部材13と、冷却部14と、接着層15とを備えている。接着層15は熱伝導部材13と発光部7との間隙に充填される間隙層として機能する。また、図2に示すように、接着層15には拡散剤16が含まれている。図2は、発光部7と熱伝導部材13とが接着層15によって接着されている構造を示す図である。
半導体レーザアレイ2は、励起光を出射する励起光源として機能し、複数の半導体レーザ(励起光源)3を基板上に備えるものである。半導体レーザ3のそれぞれから励起光としてのレーザ光が発振される。なお、励起光源として複数の半導体レーザ3を用いる必要は必ずしもなく、半導体レーザ3を1つのみ用いてもよいが、高出力のレーザ光を得るためには、複数の半導体レーザ3を用いる方が容易である。
非球面レンズ4は、半導体レーザ3から発振されたレーザ光(励起光)を、光ファイバー5の一方の端部である入射端部5bに入射させるためのレンズである。例えば、非球面レンズ4として、アルプス電気製のFLKN1 405を用いることができる。上述の機能を有するレンズであれば、非球面レンズ4の形状および材質は特に限定されないが、405nm近傍の透過率が高く、かつ耐熱性のよい材料であることが好ましい。
(光ファイバー5の配置)
光ファイバー5は、半導体レーザ3が発振したレーザ光を発光部7へと導く導光部材であり、複数の光ファイバーの束である。この光ファイバー5は、上記レーザ光を受け取る複数の入射端部5bと、入射端部5bから入射したレーザ光を出射する複数の出射端部5aとを有している。複数の出射端部5aは、発光部7のレーザ光照射面(励起光照射面)7aにおける互いに異なる領域に対してレーザ光を出射する。
光ファイバー5は、中芯のコアを、当該コアよりも屈折率の低いクラッドで覆った2層構造をしている。コアは、レーザ光の吸収損失がほとんどない石英ガラス(酸化ケイ素)を主成分とするものであり、クラッドは、コアよりも屈折率の低い石英ガラスまたは合成樹脂材料を主成分とするものである。例えば、光ファイバー5は、コアの径が200μm、クラッドの径が240μm、開口数NAが0.22の石英製のものであるが、光ファイバー5の構造、太さおよび材質は上述のものに限定されず、光ファイバー5の長軸方向に対して垂直な断面は矩形であってもよい。
フェルール6は、光ファイバー5の複数の出射端部5aを発光部7のレーザ光照射面に対して所定のパターンで保持する。このフェルール6は、出射端部5aを挿入するための孔が所定のパターンで形成されているものでもよいし、上部と下部とに分離できるものであり、上部および下部の接合面にそれぞれ形成された溝によって出射端部5aを挟み込むものでもよい。
(発光部7の組成)
発光部(波長変換部材)7は、出射端部5aから出射されたレーザ光を受けて発光するものであり、レーザ光を受けて発光する蛍光体を含んでいる。具体的には、発光部7は、蛍光体保持物質(封止材)としてのシリコーン樹脂の内部に蛍光体が分散されているものである。シリコーン樹脂と蛍光体との割合は、10:1程度である。また、発光部7は、蛍光体を押し固めたものであってもよい。蛍光体保持物質は、シリコーン樹脂等の樹脂材料に限定されず、いわゆる有機無機ハイブリッドガラスや無機ガラスであってもよい。
発光部7は、酸窒化物系蛍光体またはIII−V族化合物半導体ナノ粒子蛍光体を含んでいることが好ましい。これらの材料は、半導体レーザ3から発せられた極めて強いレーザ光(出力および光密度)に対しての耐性が高く、レーザ照明光源に最適である。
発光部7の形状および大きさは、例えば、直径3.2mmおよび厚さ1mmの円柱形状であり、出射端部5aから出射されたレーザ光を、当該円柱の底面であるレーザ光照射面7aにおいて受光する。
反射鏡8は、発光部7から出射した光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成するものである。すなわち、反射鏡8は、発光部7からの光を反射することにより、ヘッドランプ1の前方へ進む光線束を形成する。この反射鏡8は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された曲面形状(カップ形状)の部材である。
透明板9は、反射鏡8の開口部を覆う透明な樹脂板である。この透明板9を、半導体レーザ3からのレーザ光を遮断するとともに、発光部7においてレーザ光を変換することにより生成された白色光(インコヒーレントな光)を透過する材質で形成することが好ましい。発光部7によってコヒーレントなレーザ光は、そのほとんどがインコヒーレントな白色光に変換される。しかし、何らかの原因でレーザ光の一部が変換されない場合も考えられる。このような場合でも、透明板9によってレーザ光を遮断することにより、レーザ光が外部に漏れることを防止できる。
ハウジング10は、ヘッドランプ1の本体を形成しており、反射鏡8等を収納している。光ファイバー5は、このハウジング10を貫いており、半導体レーザアレイ2は、ハウジング10の外部に設置される。半導体レーザアレイ2は、レーザ光の発振時に発熱するが、ハウジング10の外部に設置することにより半導体レーザアレイ2を効率良く冷却することが可能となる。したがって、半導体レーザアレイ2から発生する熱による、発光部7の特性劣化や熱的損傷等が防止される。
エクステンション11は、反射鏡8の前方の側部に設けられており、ヘッドランプ1の内部構造を隠して、ヘッドランプ1の見栄えを良くするとともに、反射鏡8と車体との一体感を高めている。このエクステンション11も反射鏡8と同様に金属薄膜がその表面に形成された部材である。
レンズ12は、ハウジング10の開口部に設けられており、ヘッドランプ1を密封している。発光部7が発生し、反射鏡8によって反射された光は、レンズ12を通ってヘッドランプ1の前方へ出射される。
熱伝導部材(高熱伝導部材)13は、発光部7における励起光が照射される面であるレーザ光照射面(励起光照射面)7aの側に配置され、発光部7の熱を受け取る透光性の部材であり、発光部7と熱的に(すなわち、熱エネルギーの授受が可能なように)接続されている。具体的には、発光部7と熱伝導部材13とは、図2に示すように、接着層(間隙層)15によって接着されている。図2は、発光部7が接着層15によって熱伝導部材13に接着されている状態を示す図である。
熱伝導部材13は、透光性を有する部分(透光部)と透光性を有さない部分(遮光部)とを有していてもよい。この構成の場合、透光部は発光部7のレーザ光照射面7aを覆うように配置され、遮光部はその外側に配置される。
冷却部14は、熱伝導部材13を冷却する部材であり、例えば、アルミや銅などの金属からなる熱伝導性の高い放熱ブロックである。なお、反射鏡8が金属で形成されるのであれば、反射鏡8が冷却部14を兼ねていてもよい。または、冷却部14は、冷却液をその内部に循環させることによって熱伝導部材13を冷却する冷却装置であってもよいし、風冷によって熱伝導部材13を冷却する冷却装置(ファン)であってもよい。
接着層15は、熱伝導部材13とレーザ光照射面7aとの間の隙間を埋める接着剤の層である。発光部7に含まれる蛍光体の大きさは直径5〜20μm前後であり、例えばサファイアからなる研磨された熱伝導部材13の表面に発光部7を当接させれば、比較的大きな隙間が生じる。熱伝導部材13と発光部7のレーザ光照射面7aとの間に接着層15を設けることにより、この隙間を埋めることができる。
接着層15には拡散剤16が含まれていてもよい。レーザ光はコヒーレントな光であり、発光部7において蛍光に変換または拡散されずにそのまま外部に放射されると人体に害を及ぼす可能性がある。接着層15に拡散剤16を含めることにより、光ファイバー5から出射されたレーザ光が拡散される。
上述のように、接着層15は、発光部7と同等か、それよりも高い熱伝導率を有していることが好ましい。接着層15は、本発明の間隙層のうち、接着剤を含むものであるため、ここでは間隙層という上位概念の表現を用いて、その材質の一例を説明する。
また、上述の説明では、高熱伝導フィラーの例としてSiO2ビーズ等を挙げたが、高熱伝導フィラーは、球状である必要はなく、棒状や不定形であっても構わない。ただし、間隙層の厚みを制御するという観点からは、径が揃った真球であることが好ましい。
次に、半導体レーザ3の基本構造について説明する。図4(a)は、半導体レーザ3の回路図を模式的に示したものであり、図4(b)は、半導体レーザ3の基本構造を示す斜視図である。同図に示すように、半導体レーザ3は、カソード電極23、基板22、クラッド層113、活性層111、クラッド層112、アノード電極21がこの順に積層された構成である。
次に、半導体レーザ3から発振されたレーザ光による蛍光体の発光原理について説明する。
図5は、発光部7の変更例を示す断面図である。図5に示すように、発光部7および接着層15の側面に反射膜17を形成してもよい。この反射膜17は、接着層15の外側表面(発光部7および熱伝導部材13と接していない表面)の少なくとも一部を覆う光反射性の膜であり、例えば、金属薄膜(例えば、アルミニウム薄膜)である。
発光部7をハイパワーのレーザ光で励起すると、発光部7が激しく劣化することを本発明の発明者は見出した。発光部7の劣化は、発光部7に含まれる蛍光体そのものの劣化とともに、蛍光体を取り囲む封止材(例えば、シリコーン樹脂)の劣化によって主に引き起こされる。上述のサイアロン蛍光体は、レーザ光が照射されると60〜80%の効率で光を発生させるが、残りは熱となって放出される。この熱によって蛍光体を取り囲む物質が劣化すると考えられる。
本発明の他の実施形態について図7〜図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、熱伝導部材13ととともに発光部7を挟持する部材の他の例について説明する。
ヘッドランプ30では、発光部7は、熱伝導部材13と透明板18とによって挟持されることにより、発光部7と熱伝導部材13との相対位置関係が固定される。それゆえ、接着層15の粘着性が低い場合や、発光部7と熱伝導部材13との間に熱膨張率の差が生じた場合でも、発光部7が熱伝導部材13から剥離することを防止できる。
発光部7の熱伝導部材13に対する相対位置を固定する固定部は、板状の部材である必要はなく、発光部7のレーザ光照射面7aと対向する面(蛍光出射面と称する)の少なくとも一部に圧接する圧接面と、当該圧接面と熱伝導部材13との相対位置関係を固定する当接面固定部とを備えるものであればよい。
本発明の他の実施形態について図9〜図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
発光ユニット210は、図11に示すように、筐体211、光ファイバー5、発光部7、熱伝導部材13および透光板213を備えている。発光部7は、接着層15によって熱伝導部材13に接着されている。上述の実施形態と同様に、発光部7の熱が熱伝導部材13に伝わることで発光部7が冷却される。
LD光源ユニット220は、半導体レーザ3、非球面レンズ4および光ファイバー5を備えている。
図12は、レーザダウンライト200の設置方法の変更例を示す断面図である。同図に示すように、レーザダウンライト200の設置方法の変形例として、天板400には光ファイバー5を通す小さな穴402だけを開け、薄型・軽量の特長を活かしてレーザダウンライト本体(発光ユニット210)を天板400に貼り付けるということもできる。この場合、レーザダウンライト200の設置に係る制約が小さくなり、また工事費用が大幅に削減できるというメリットがある。
従来のLEDダウンライト300は、図9に示すように、複数の透光板301を備えており、各透光板301からそれぞれ照明光が出射される。すなわち、LEDダウンライト300において発光点は複数存在している。LEDダウンライト300において発光点が複数存在しているのは、個々の発光点から出射される光の光束が比較的小さいため、複数の発光点を設けなければ照明光として十分な光束の光が得られないためである。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
2 半導体レーザアレイ(励起光源)
3 半導体レーザ(励起光源)
7 発光部
7a レーザ光照射面(励起光照射面)
9 透明板(固定部)
13 熱伝導部材
15 接着層(間隙層)
16 拡散剤(熱伝導性粒子)
17 反射膜
18 透明板(固定部)
20a 中空部材(固定部)
20b 中空部材(固定部)
20c 固定部
30 ヘッドランプ
200 レーザダウンライト(発光装置、照明装置)
Claims (12)
- 励起光を出射する励起光源と、
上記励起光源から出射された励起光により発光する蛍光体を含む発光部と、
上記発光部における上記励起光が照射される面である励起光照射面の側に配置され、上記発光部の熱を受け取る透光性の熱伝導部材と、
上記熱伝導部材と上記励起光照射面との間の隙間を埋める間隙層とを備え、
上記間隙層は、熱伝導性粒子を含み、
上記熱伝導性粒子は所定の直径を有するとともに層を形成しており、当該層が上記発光部および上記熱伝導部材に接触することにより、上記発光部と上記熱伝導部材との間の距離を一定に維持することを特徴とする発光装置。 - 上記間隙層は、上記発光部と上記熱伝導部材とを接着するものであることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
- 上記間隙層は、上記発光部と上記熱伝導部材との熱膨張率の差を吸収する柔軟性を有していることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
- 上記発光部と上記熱伝導部材との相対位置関係を固定する固定部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
- 上記固定部は、上記発光部よりも高い熱伝導率を有していることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
- 上記熱伝導性粒子は、上記励起光を拡散するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
- 上記間隙層の、上記発光部および上記熱伝導部材と接していない表面の少なくとも一部を覆う反射膜をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
- 上記間隙層の、上記熱伝導部材と上記励起光照射面との間の厚みは、30μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置。
- 上記発光部における、上記励起光照射面と当該励起光照射面と対向する面との間の厚みは、上記蛍光体の粒径の10倍以上、2mm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光装置。
- 上記熱伝導部材における、上記励起光照射面の側に位置する第1面と当該第1面と対向する第2面との間の厚みは、0.3mm以上、3.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光装置。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光装置を備えていることを特徴とする照明装置。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光装置を備えていることを特徴とする車両用前照灯。
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