JP5423595B2 - 膜電極拡散層接合体およびその作製方法 - Google Patents

膜電極拡散層接合体およびその作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子電解質型燃料電池に用いられる膜電極拡散層接合体、特に、電解質膜から触媒層および拡散層までの各部材の境界における界面形成を防止するように形成された一体的な構造を有する膜電極拡散層接合体に関する。
燃料電池は、燃料ガスとしての水素と酸化ガスとしての酸素との電気化学反応によって発電する装置である。なお、以下では、燃料ガスや酸化ガスを、特に区別することなく単に「反応ガス」あるいは「ガス」と呼ぶ場合もある。燃料電池は、通常、燃料電池セルを、セパレータを介して複数個積層して構成される。1つの燃料電池セルは、プロトン(H+)伝導性を有する固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」とも呼ぶ)の両面に触媒電極層(以下、単に「触媒層」とも呼ぶ)を接合した膜電極接合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly)を用い、MEAの両面にガス拡散層を配置した膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode & Gas Diffusion Layer Assembly)により構成される場合が多い。
従来、電解質膜は水・アルコール類を溶媒とした電解質の分散溶液を用いて形成されており、触媒層も水・アルコール類を溶媒とした触媒担時カーボンの分散溶液を用いて形成されている。このため、MEAの形成時においては、電解質膜および触媒層のどちらも親水状態で成形しなければならず、前後の工程において例えば疎水物性部材が用いられるような場合に親水性部材と疎水物性部材との融合が難しい。また、電解質膜および触媒層のどちらも、溶媒としての水・アルコール類の乾燥のために長時間を要す必要があった。
また、MEGAに含まれる拡散層には、通常、電気化学反応による生成水の排水性向上のために、疎水物性部材が用いられる。一方、MEAの触媒層は上記のように親水性の高い部材である。従って、この拡散層と触媒層とは互いに相反する特性を有するものであるため、例えば、拡散層を触媒層に熱圧着して接合させたとしても接合力が弱く、発電時や低温時における電解質膜の膨潤/収縮により接合部に働く応力によって拡散層の剥離が発生し易く、大幅な性能低下を招く可能性がある、という問題がある。また、拡散層は、表面の凹凸が大きい(荒い)ため、触媒層との密着性が悪く剥離し易いという問題もある。
また、拡散層と触媒層との結合力を高める一つの手段として、電解質(以下、「H」と記す場合もある)アイオノマと導電性部材を用いた接着層を、拡散層と触媒層との間に介挿することも行なわれる。しかしながら、この場合、拡散層、接着層、および、触媒層として、それぞれ予め成形された部材を用いることになるため、それぞれの部材間における界面ができやすく、MEGAにおける電極間の抵抗成分が増加してしまう、という問題が発生する。また、接着層を用いることにより高コスト化という問題も発生する。
また、MEGA全体の強度を高めるために、拡散層によりMEGAの強度を確保する場合があるが、この場合には、発電時の膨潤/収縮により拡散層の接合部に働く応力により、剥離や破断が起こり易いという問題もある。
特開2002−543578号公報 特開2008−311197号公報 特開2008−270053号公報
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、電解質膜から触媒層および拡散層までの各部材の境界における界面形成を防止するように形成された一体的な構造を有する膜電極拡散層接合体を実現する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
膜電極拡散層接合体の作製方法であって
SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させたアイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
前記電解質前駆体膜の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
前記触媒層部材の塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記触媒層部材の一部を前記拡散層部材内に浸透させることにより、前記第1の触媒前駆体層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
前記電解質前駆体膜の他方の面に前記触媒層部材を塗工して第2の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層部材内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
適用例1の作製方法によれば、膜電極拡散層接合体を全体として一体化した構造とすることができるとともに、親水物性を有する電解質膜および触媒層と疎水物性を有する拡散層を、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造とすることができる。
[適用例2]
膜電極拡散層接合体の作製方法であって
多孔部材で構成される補強層部材を準備する工程と、
SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させたアイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
前記補強層部材の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1の触媒前駆体層を形成し、前記補強層部材内に前記触媒層部材の一部を浸透させることにより、前記補強層部材と前記第1の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
前記触媒層部材の塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記触媒層部材の一部を前記拡散層部材内に浸透させることにより、前記第1の触媒前駆体層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
前記補強層部材の他方の面に前記電解質前駆体膜の一方の面を貼り合わせて加熱することにより、前記電解質前駆体膜中の前記電解質前駆体を溶融させて、前記補強層部材内に浸透させるとともに、前記第1の触媒前駆体層中の前記アイオノマを軟化させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1の触媒前駆体層とを一体化させる工程と、
前記電解質前駆体膜の他方の面上に前記触媒層部材を塗工して第2の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層部材内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
適用例2の作製方法によっても、膜電極拡散層接合体を全体として一体化した構造とすることができるとともに、親水物性を有する電解質膜および触媒層と疎水物性を有する拡散層を、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造とすることができる。また、適用例2の作製方法によれば、補強層を備えているので、適用例1の作製方法よりも強度を高めることが可能である。
[適用例3]
膜電極拡散層接合体の作製方法であって
多孔部材で構成される2つの補強層部材を準備する工程と、
SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させたアイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
それぞれの前記補強層部材の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1と第2の触媒前駆体層を形成し、前記補強層部材内に前記触媒層部材の一部を浸透させることにより、前記補強層部材と前記第1と第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
前記第1の触媒前駆体層の形成後前記触媒層部材中の前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記触媒層部材の一部を前記拡散層部材内に浸透させることにより、前記第1の触媒前駆体層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
前記第1の触媒前駆体層が形成された前記補強層部材の他方の面に前記電解質前駆体膜の一方の面を貼り合わせるとともに、前記電解質前駆体膜の他方の面上に前記第2の触媒前駆体層が形成された前記補強層部材の他方の面を貼り合わせて加熱することにより、前記電解質前駆体膜中の前記電解質前駆体を溶融させて、前記第1と第2の触媒前駆体層が形成されたそれぞれの前記補強層部材内に浸透させるとともに、前記第1と第2の触媒前駆体層中の前記アイオノマを軟化させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1と第2の触媒前駆体層とを一体化させる工程と、
前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
適用例3の作製方法によっても、膜電極拡散層接合体を全体として一体化した構造とすることができるとともに、親水物性を有する電解質膜および拡散層と疎水物性を有する拡散層を、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造とすることができる。また、適用例3の作製方法によれば、電解質膜の両側に補強層を備えているので、適用例2の作製方法よりもさらに強度を高めることが可能である。
[適用例4]
膜電極接合体の作製方法であって
SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させたアイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
カーボンと撥水部材とフッ素溶媒とを混合した導電機能層用ペーストを準備する工程と、
疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
前記電解質前駆体膜の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
前記触媒層部材の塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記導電機能層用ペーストを塗工して導電機能層を形成することにより、前記第1の触媒電駆体層と前記導電機能層とを一体化する工程と、
前記導電機能層用ペーストの塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記導電機能層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記拡散層部材の表面の凹凸面を前記導電機能層中に食い込ませ、前記フッ素溶媒の乾燥により前記導電機能層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
前記電解質前駆体膜の他方の面に前記触媒層部材を塗工して第2の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層部材内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
適用例4の作製方法によっても、膜電極拡散層接合体を全体として一体化した構造とすることができるとともに、親水物性を有する電解質膜および拡散層と疎水物性を有する拡散層を、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造とすることができる。また、適用例4の作製方法によれば、導電機能層用ペーストによる導電機能層を介して第1の触媒前駆体層上に拡散層を形成している。これにより、拡散層の表面の凹凸面を容易に吸収して第1の触媒前駆体層と導電機能層と拡散層とを一体化することができる。また、加熱圧着や焼成工程を省略することが可能である。
[適用例5]
膜電極拡散層接合体の作製方法であって
多孔部材で構成される補強層部材を準備する工程と、
SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させた前駆体アイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
カーボンと撥水部材とフッ素溶媒とを混合した導電機能層用ペーストを準備する工程と、
疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
前記補強層部材の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1の触媒前駆体層を形成し、前記補強層部材内に前記触媒層部材の一部を浸透させることにより、前記補強層部材と前記第1の触媒前駆体層を一体化する工程と、
前記触媒層部材の塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記導電機能層用ペーストを塗工して導電機能層を形成することにより、前記第1の触媒前駆体層と前記導電機能層とを一体化する工程と、
前記導電機能層用ペーストの塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記導電機能層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記拡散層部材の表面の凹凸面を前記導電機能層中に食い込ませ、前記フッ素溶媒の乾燥により前記導電機能層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
前記補強層部材の他方の面に前記電解質前駆体膜の一方の面を貼り合わせて加熱することにより、前記電解質前駆体膜中の前記電解質前駆体を溶融させて、前記補強層部材内に浸透させるとともに、前記第1の触媒前駆体層中の前記アイオノマを軟化させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1の触媒前駆体層とを一体化させる工程と、
前記電解質前駆体膜の他方の面上に前記触媒層部材を塗工して第2の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層部材内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
適用例5の作製方法によっても、膜電極拡散層接合体を全体として一体化した構造とすることができるとともに、親水物性を有する電解質膜および拡散層と疎水物性を有する拡散層を、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造とすることができる。また、適用例5の作製方法によれば、導電機能層用ペーストによる導電機能層を介して第1の触媒前駆体層上に拡散層を形成している。これにより、拡散層表面の凹凸面を容易に吸収して第1の触媒前駆体層と導電機能層と拡散層とを一体化することができる。また、加熱圧着や焼成工程を省略することが可能である。さらに、また、適用例5の作製方法によれば、補強層を備えているので、適用例4の作製方法よりも強度を高めることが可能である。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、膜電極拡散層接合体の作製方法だけでなく、この作製方法により作製された膜電極拡散層接合体、この膜電極拡散層接合体を用いた燃料電池、この燃料電池を用いた燃料電池システム等の種々の形態で実現することが可能である。
第1実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。 図1により示した作製方法により作製されたMEGAを用いたセル性能と比較例として従来の作製方法により作製されたMEGAを用いたセル性能について示す説明図である。 第2実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。 第3実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。 第4実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。 導電機能層用ペーストを作製する方法について示す説明図である。 図5により示した作製方法により作製されたMEGAを用いたセル性能と比較例として従来の作製方法により作製されたMEGAを用いたセル性能について示す説明図である。 従来の膜電極接合体に導電機能層を介して拡散層を一体化形成することによる膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。 第5実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。
A.第1実施例:
図1は、第1実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。以下で説明する作製方法の実行に先立って、まず、F型電解質層用部材、F型触媒層用インク、拡散層用部材を準備する。F型電解質層用部材は、図示しない膜形成シート、例えば、PETシート上に、SO2F基を有するアイオノマ(「F型アイオノマ」とも呼ばれる)をフッ素溶媒(HFE等))に溶融分散させたアイオノマ溶液を塗布し乾燥させた後、膜形成シートを剥離することにより形成することができる。このF型電解質層用部材を用いて構成されるF型電解質層(膜)が本発明の「電解質前駆体膜」に相当する。また、F型触媒層用インクは、例えば、F型アイオノマをフッ素溶媒(例えば、非水系の高沸点(70℃以上のHFE等))に溶融分散させたアイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質(例えば、PtCo担持カーボン等)と、を混合することにより作成することができる。このF型触媒層用インクが本発明の「触媒層用部材」に相当し、後述するように、F型触媒層用インクを用いて形成されるF型触媒層が本発明の「触媒前駆体層」に相当する。また、拡散層部材としては、疎水物性を有する多孔部材、例えば、空孔率の大きな導電性部材、例えば、撥水処理が施されたカーボンペーパやカーボンクロス等を用いることができる。
[1]まず、F型電解質層用部材をF型電解質層10として用い、F型電解質層10の一方の面上に、F型触媒層用インク20pを塗工して、第1のF型触媒層20aを形成する。なお、このとき、F型触媒層用インク20pに含まれるフッ素溶液により、F型電解質層10の表面が溶けてF型電解質層10と第1のF型触媒層20aとが一体化形成されるともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[2]そして、F型触媒層用インク20pの塗工後、これに含まれるフッ素溶媒が乾燥する前に、形成された第1のF型触媒層20aの上面に、拡散層部材により構成される拡散層30を貼り合わせる。このとき、F型触媒層インク20pの一部が拡散層30内に浸透し、これに含まれるF型アイオノマにより拡散層30が第1のF型触媒層20aに定着され、第1のF型触媒層20aと拡散層30とが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、F型電解質層10と第1のF型触媒層20aと拡散層30とが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[3]また、F型電解質層10の他方の面上に、F型触媒層用インク20pを塗工して、第2のF型触媒層20bを形成する。[1]と同様に、F型触媒層用インク20pに含まれるフッ素溶液により、F型電解質層10の表面が溶けてF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成されるともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、拡散層30と第1のF型触媒層20aとF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[4]次に、拡散層30と第1のF型触媒層20aとF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成された積層体を、第2のF型触媒20b側から加水分解処理をすることにより、第1のF型触媒層20a、F型電解質層10、第2のF型触媒層20b、および、拡散層30に含まれるF型アイオノマのSO2F基を、イオン交換機能を示すスルホン酸基(SO3H基)化させることにより、第1のF型触媒層20a、F型電解質層10、および、第2のF型触媒層20bを、イオン交換基能を備える電解質を有するH型の第1の触媒層20aH、電解質層10H、および、第2の触媒層20bHに変性させる。この結果、片側に拡散層を備え、各層が一体化形成されるとともに、各層の境界において界面を持たず連続的に形成された構造を有する膜電極拡散層接合体(MEGA)を形成することができる。
なお、本実施例の片側にのみ拡散層を備えるMEGAは、拡散層を有しない触媒層側に拡散層が密接するように、例えば、MEGAの拡散層を有しない触媒層側に拡散層を配置し、それを両側に設けたターミナルにより圧力をかけて挟持することにより、使用される。
図2は、図1により示した作製方法により作製されたMEGAを用いたセル性能と、比較例として従来の作製方法により作製されたMEGAを用いたセル性能について示す説明図である。セル性能としては、カソード(Ca)側に無加湿でガスを供給する場合において、負荷電流1.2A/cm2とした場合のセル電圧とセル抵抗の温度特性を示している。また、比較例としての従来の作製方法は、イオン交換基能を備える電解質を有する電解質膜の両面に、電解質を含む触媒インクを塗工することにより、触媒層を形成してMEAを作製し、そのMEAの両面に拡散層を熱圧着あるいは接着層を介して貼り合わせてMEGAを形成するものである。ここでは、MEAに拡散層を130℃で熱圧着してMEGAを形成したものを用いる。また、膜厚は20μmとする。
図2からわかるように、本実施例により作製されたMEGAは、比較例としての従来のMEGAに比べて、セル電圧特性およびセル抵抗特性の両方とも向上していることがわかる。特に、70℃以下の中温域以下の出力(セル電圧)が向上し、発電により発生する生成水のマネジメント能力が向上していることがわかる。
以上のように、上記第1実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法によれば、作製された膜電極拡散層接合体において、拡散層、第1の触媒層、電解質層、および、第2の触媒層の各層間を一体化して形成することができるとともに、各層の境界に界面を持たず連続するように形成することができる。これにより、従来例で説明した問題点、拡散層の剥離強度や、抵抗成分の増加等の問題を改善することができる。
B.第2実施例:
図3は、第2実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。この第2実施例は、膜電極拡散層接合体の剛性を高めるために、補強層が加えられており、以下で説明するように、これに応じた作製方法となっている点が第1実施例と異なっている。
まず、第2実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法の実行に先立って、第1実施例と同様に、F型電解質層用部材、F型触媒層用インク、拡散層用部材を準備するのに加えて、補強層部材を準備する。なお、この補強層部材としては、疎水物性を有する多孔部材、例えば、PTFE等を用いることができる。
[1]まず、補強層部材を補強層(補強膜)15として用い、補強層15の一方の面上に、F型触媒層用インク20pを塗工して、第1のF型触媒層20aを形成する。なお、このとき、F型触媒層用インク20pは補強層15の多孔部分に浸透して、第1のF型触媒層20aは補強層15内にも形成され、第1のF型触媒層20aと補強層15とが一体化される。例えば、膜厚が1μm以上で気孔率60%以上の多孔部材への浸透を、触媒層の10〜70%とし、後述する電解質層と触媒層との融合安定性を確保するように設定する。
[2]そして、第1実施例の工程[2]と同様に、F型触媒層用インク20pの塗工後、これに含まれるフッ素溶媒が乾燥する前に、形成された第1のF型触媒層20aの上面に、拡散層部材により構成される拡散層30を貼り合わせる。これにより、第1のF型触媒層20aと拡散層30とが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[3]また、補強層15の他方の面上に、F型電解質層用部材をF型電解質層10として貼り合わせる。
[4]そして、全体を加熱することにより、F型電解質層10を溶融させて補強層15内に含浸させるとともに、第1のF型触媒層20aに含まれるF型アイオノマも軟化することで、毛細管現象により補強層15内への含浸が促進され、F型電解質層10と第1のF型触媒層20aとが一体化形成されるとともに、その境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、F型電解質層10と第1のF型触媒層20aと拡散層30とが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[5]また、F型電解質層10の第1のF型触媒層20aに接する側とは反対側の面上に、F型触媒層用インク20pを塗工して、第2のF型触媒層20bを形成する。[1]と同様に、F型触媒層用インク20pに含まれるフッ素溶液により、F型電解質層10の表面が溶けてF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成されるともに、その境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、拡散層30と第1のF型触媒層20aとF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[6]次に、拡散層30と第1のF型触媒層20aと補強層15を含むF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成された積層体を、第2のF型触媒20b側から加水分解処理をすることにより、第1のF型触媒層20a、F型電解質層10、第2のF型触媒層20b、および、拡散層30に含まれるF型アイオノマのSO2F基を、イオン交換機能を示すスルホン酸基(SO3H基)化させることにより、第1のF型触媒層20a、F型電解質層10、および、第2のF型触媒層20bを、イオン交換基能を備える電解質を有するH型の第1の触媒層20aH、電解質層10H、および、第2の触媒層20bHに変性させる。この結果、片側に拡散層を備え、各層が一体化形成されるとともに、各層の境界において界面を持たず連続的に形成された構造を有する膜電極拡散層接合体(MEGA)を形成することができる。
以上のように、上記第2実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法によっても、第1実施例と同様に、作製された膜電極拡散層接合体において、拡散層、第1の触媒層、電解質層、および、第2の触媒層の各層間を一体化して形成することができるとともに、各層の境界に界面を持たず連続するように形成することができる。これにより、従来例で説明した問題点、拡散層の剥離強度や、抵抗成分の増加等の問題を改善することができる。さらに、第2実施例においては、補強層15により電解質層の剛性を第1実施例に比べて高めることができる。
C.第3実施例:
図4は、第3実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。この第3実施例は、膜電極拡散層接合体の剛性を高めるために、電解質層の両側に補強層が加えられており、以下で説明するように、これに応じた作製方法となっている点が第2実施例と異なっている。
まず、第3実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法の実行に先立って、第2実施例と同様に、F型電解質層用部材、F型触媒層用インク、拡散層用部材を準備するのに加えて、補強層部材を準備する。
[1]まず、第2実施例の工程[1]と同様に、補強層部材を補強層(補強膜)15として用い、二つの補強層15のそれぞれの一方の面上に、F型触媒層用インク20pを塗工して、第1のF型触媒層20aおよび第2のF型触媒層20bを形成する。
[2]そして、第1実施例の工程[2]と同様に、F型触媒層用インク20pの塗工後、これに含まれるフッ素溶媒が蒸散乾燥する前に、形成された第1のF型触媒層20aの上面に、拡散層部材により構成される拡散層30を貼り合わせる。これにより、第1のF型触媒層20aと拡散層30とが一体化形成されるとともに、その境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[3]また、第1のF型触媒層20aが形成された補強層15の他方の面上に、F型電解質層用部材をF型電解質層10として貼り合わせるとともに、F型電解質層10の上面に、第2のF型触媒層20bが形成された補強層15の他方の面側を貼り合わせる。
[4]そして、全体を加熱することにより、F型電解質層10を溶融させて両側の補強層15内に含浸させるとともに、第1のF型触媒層20aおよび第2のF型触媒層20bに含まれるF型アイオノマも軟化することで、毛細管現象により補強層15内への含浸が促進され、F型電解質層10と第1のF型触媒層20aとが一体化形成され、かつ、F型電解質層10と第2のF型触媒層とが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、第2のF型触媒層20bと両側に補強層15を含むF型電解質層10と第1のF型触媒層20aと拡散層30とが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[5]次に、拡散層30と第1のF型触媒層20aと両側に補強層15を含むF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成された積層体を、第2のF型触媒20b側から加水分解処理をすることにより、第1のF型触媒層20a、F型電解質層10、第2のF型触媒層20b、および、拡散層30に含まれるF型アイオノマのSO2F基を、イオン交換機能を示すスルホン酸基(SO3H基)化させることにより、第1のF型触媒層20a、F型電解質層10、および、第2のF型触媒層20bを、イオン交換基能を備える電解質を有するH型の第1の触媒層20aH、電解質層10H、第2の触媒層20bHに変性させる。この結果、片側に拡散層を備え、各層が一体化形成されるとともに、各層の境界において界面を持たず連続的に形成された構造を有する膜電極拡散層接合体(MEGA)を形成することができる。
以上のように、上記第3実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法によっても、第1,第2実施例と同様に、作製された膜電極拡散層接合体において、拡散層、第1の触媒層、電解質層、および、第2の触媒層の各層間を一体化して形成することができるとともに、各層の境界に界面を持たず連続するように形成することができる。これにより、従来例で説明した問題点、拡散層の剥離強度や、抵抗成分の増加等の問題を改善することができる。さらに、第3実施例においては、両側に補強層を含む電解質層が形成されるので、電解質層の剛性を第1,第2実施例に比べて高めることができる。
D.第4実施例:
図5は、第4実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。この第4実施例は、導電機能層を介して触媒層と拡散層とが一体化された構造を有しており、以下で説明するように、これに応じた作製方法となっている点が第1実施例と異なっている。
まず、第4実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法の実行に先立って、第1実施例と同様に、F型電解質層用部材、F型触媒層用インク、拡散層用部材を準備するのに加えて、導電機能層用ペーストを準備する。補強層部材を準備する。
図6は導電機能層用ペーストを作製する方法について示す説明図である。図2に示すように、導電機能層用ペースト25pは、カーボン粒子とPTFE粒子とフッ素溶媒とを混合し、超音波ホモジナイザーの超音波による分散工法でカーボンを解すと同時にPTFEの繊維化を進めてペースト状態とすることにより作製することができる。なお、分散工法としては、ボールミル等によってもよい。また、分散時に、他のフッ素系バインダー(PVDFやPFA、F型アイオノマ等)を混合してもよい。
[1]まず、第1実施例の工程[1]と同様に、F型電解質層用部材をF型電解質層10として用い、F型電解質層10の一方の面上に、F型触媒層用インク20pを塗工して、第1のF型触媒層20aを形成する。なお、このとき、F型触媒層用インク20pに含まれるフッ素溶液により、F型電解質層10の表面が溶けてF型電解質層10と第1のF型触媒層20aとが一体化形成されるともに、その境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[2]次に、F型触媒層用インク20pの塗工後、これに含まれるフッ素溶媒が蒸散乾燥する前に、形成された第1のF型触媒層20aの上面に、導電機能層用ペースト25pを塗工して、第1の導電機能層25aを形成する。
[3]そして、導電機能層用ペースト25pの塗工後、これに含まれるフッ素溶媒が蒸散乾燥する前に、形成された第1の導電機能層25aの上面に、拡散層部材により構成される第1の拡散層30aを貼り合わせる。このとき、第1の拡散層30aの表面の凹凸が軟化状態の第1の導電機能層25aに食い込みながら、第1の導電機能層25aに含まれる分散繊維化したPTFEと第1の拡散層30aとが、フッ素溶媒を介して、互いの疎水性部材の親和性および毛細管現象により定着する。
[4]そして、フッ素溶媒の短時間(1分以内)での蒸散乾燥により、第1のF型触媒層20aと第1の導電機能層25aと第1の拡散層30aとが固着して一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、F型電解質層10と第1のF型触媒層20aと第1の導電機能層25aと第1の拡散層30aとが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[5]次に、F型電解質層10の他方の面上に、F型触媒層用インク20pを塗工して、第2のF型触媒層20bを形成する。[1]と同様に、F型触媒層用インク20pに含まれるフッ素溶液により、F型電解質層10の表面が溶けてF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成されるともに、その境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、第1の拡散層30aと第1の導電機能層25aと第1のF型触媒層20aとF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された積層体の構造となる。
[6]次に、形成した積層体の第2のF型触媒層20bが形成されている側から加水分解処理をすることにより、第1のF型触媒層20a、F型電解質層10、および、第2のF型触媒層20bと、第1の導電機能層25aおよび第1の拡散層30aに含まれるF型アイオノマのSO2F基を、イオン交換機能を示すスルホン酸基(SO3H基)化させる。これにより、第1のF型触媒層20aおよびF型電解質層10は、イオン交換基能を備える電解質を有するH型の第1の触媒層20aHおよび電解質層10Hに変性される。また、第2のF型触媒層20bの表面は、加水分解処理により、親水物性を有する状態(SO3H基を含む状態)と疎水物性を有する状態(CF2基を含む状態)が混在する第2の触媒層20bFHとなる。この結果、片側に拡散層を備え、各層が一体化形成されるとともに、各層の境界において界面を持たず連続的に形成された構造を有する膜電極拡散層接合体(MEGA)を形成することができる。
[7]次に、第2の触媒層20bFHの面上に、導電機能層用ペースト25pを塗工して、第2の導電機能層25bを形成する。上記したように、第2の触媒層20bFHは、疎水物性を有する状態が混在している。そして、導電機能層25aを形成する導電機能層用ペースト25pにもカーボンやPTFE、フッ素溶媒等が含まれており、疎水性を有している。これにより、第2の触媒層20bFHと導電機能層用ペースト25pとは親和性が確保されるので、導電機能層用ペースト25pの塗工時において、第2の触媒層20bFHの上面に第2の導電機能層25bの定着化が可能となる。そして、導電機能層用ペースト25pに含まれるフッ素溶媒の蒸散乾燥時において、第2の触媒層20bHと第2の導電機能層25bとが密着して一体化形成されるとともに、その境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[8]そして、工程[3]と同様に、第2の導電機能層25bに含まれるフッ素溶媒が蒸散乾燥する前に、第2の拡散層30bを貼り合わせる。このとき、工程[3]と同様に、第2の拡散層30bの表面の凹凸が軟化状態の第2の導電機能層25bに食い込みながら、第2の導電機能層25bに含まれる分散繊維化したPTFEと第2の拡散層30bとが、フッ素溶媒を介して、互いの疎水性部材の親和性および毛細管現象により定着する。
[9]そして、工程[4]と同様に、フッ素溶媒の短時間(1分以内)での蒸散乾燥により、第2の触媒層20bFHと第2の導電機能層25bと第2の拡散層30bとが固着して一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、第1の拡散層30a、第1の導電機能層25a、第1の触媒層20aH、電解質層10H、第2の触媒層20bFH、第2の導電機能層25b、および、第2の拡散層30bが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造を有する膜電極拡散層接合体(MEGA)を形成することができる。
図7は、図5により示した作製方法により作製されたMEGAを用いたセル性能と、比較例として従来の作製方法により作製されたMEGAを用いたセル性能について示す説明図である。セル性能としては、カソード(Ca)側に無加湿でガスを供給する場合において、負荷電流1.2A/cm2とした場合のセル電圧とセル抵抗の温度特性を示している。なお、比較例としての従来の作製方法は、イオン交換基能を備える電解質を有する電解質層(膜)の両面に、電解質を含む触媒インクを塗工することにより、触媒層を形成してMEAを作製し、そのMEAの両面に拡散層を熱圧着あるいは接着層を介して貼り合わせてMEGAを形成するものである。ここでは、MEAに拡散層を130℃で熱圧着してMEGAを形成したものを用いる。また、膜厚は20μmとする。
図7からわかるように、本実施例により作製されたMEGAは、比較例としての従来のMEGAに比べて、セル電圧特性およびセル抵抗特性の両方とも向上していることがわかる。特に、70℃以下の中温域以下の出力(セル電圧)が向上し、発電により発生する生成水のマネジメント能力が向上していることがわかる。
以上のように、上記第4実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法によれば、作製された膜電極拡散層接合体において、第1の拡散層、第1の触媒層、電解質層、第2の触媒層、および、第2の拡散層の各層間を一体化して形成することができるとともに、各層の境界に界面を持たず連続するように形成することができる。これにより、従来例で説明した問題点、拡散層の剥離強度や、抵抗成分の増加等の問題を改善することができる。また、導電機能層を介して拡散層を形成することにより、加熱圧着や焼成工程を設けることなく膜電極拡散層接合体を作製することができる。
図8は、従来の膜電極接合体に導電機能層を介して拡散層を一体化形成することによる膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。この作製方法は、以下で説明するように、イオン交換基能を有する電解質で構成された電解質層(膜)の両面にイオン交換基能を有する電解質を含む触媒層を塗工や転写、スプレー等で形成することによりMEAを作製し、その両面上に導電機能層を介して拡散層を一体化形成するものである。
まず、この作製方法の実行に先立って、イオン交換基能を有するH型の従来の電解質層(膜)用部材、触媒層用インク、および、拡散層用部材と、導電機能層用ペーストと、を準備する。なお、H型の触媒層用インクは、水・アルコール類を溶媒とした触媒担時カーボンおよび電解質の分散溶液を用いることができる。
[1]まず、電解質層用部材を従来のH型の電解質層10Hとして用い、電解質層10Hの両面に従来のH型の触媒層用インク20pHを塗工して、従来のH型の第1の触媒層20aHおよび第2の触媒層20bHを形成する。
[2]次に、触媒層用インク20pHの塗工乾燥後、形成された第1の触媒層20aHの上面に、導電機能層用ペースト25pを塗工して、第1の導電機能層25aを形成する。ここで、第1の触媒層20aHの表面は、イオン交換樹脂(電解質)の分子構造よりSO3H基による親水性とCF2基による疎水性とが混在する親疎水状態となっている。また、触媒担時カーボンもカーボン自体が疎水性を有している。そして、導電機能層25aを形成する導電機能層用ペースト25pにもカーボンやPTFE、フッ素溶媒等が含まれており、疎水性を有している。これにより、第1の触媒層20aHと導電機能層用ペースト25pとは親和性が確保されるので、導電機能層用ペースト25pの塗工時において、第1の触媒層20aHの上面に第1の導電機能層25aの定着化が可能となる。そして、導電機能層用ペースト25pに含まれるフッ素溶媒の蒸散乾燥時において、第1の触媒層20aHと第1の導電機能層25aとが密着して一体化形成される。
[3]そして、導電機能層用ペースト25pの塗工後、これに含まれるフッ素溶媒が蒸散乾燥する前に、形成された第1の導電機能層25aの上面に、拡散層部材により構成される第1の拡散層30aを貼り合わせる。
[4]このとき、第1の拡散層30aの表面の凹凸が軟化状態の第1の導電機能層25aに食い込みながら、第1の導電機能層25aに含まれる分散繊維化したPTFEと第1の拡散層30aとが、フッ素溶媒を介して、互いの疎水性部材の親和性および毛細管現象により定着し、フッ素溶媒の蒸散乾燥で固着して一体化形成される。
[5]次に、工程[2]と同様に、第2の触媒層20bHの上面に、導電機能層用ペースト25pを塗工して、導電機能層用ペースト25pに含まれるフッ素溶媒の蒸散乾燥時において、第2の触媒層20bHと第2の導電機能層25bとが密着して一体化形成される。
[6]そして、工程[3]と同様に、導電機能層用ペースト25pの塗工後、これに含まれるフッ素溶媒が蒸散乾燥する前に、形成された第2の導電機能層25bの上面に、拡散層部材により構成される第2の拡散層30bを貼り合わせる。
[7]このとき、工程[4]と同様に、第2の拡散層30bの表面の凹凸が軟化状態の第2の導電機能層25bに食い込みながら、第2の導電機能層25bに含まれる分散繊維化したPTFEと第2の拡散層30bとが、フッ素溶媒を介して、互いの疎水性部材の親和性および毛細管現象により定着し、フッ素溶媒の蒸散乾燥で固着して一体化形成される。
上記作製方法においても、導電機能層を介して拡散層を形成することにより、加熱圧着や焼成工程を設けることなく従来の膜電極接合体に拡散層を一体化形成した膜電極拡散層接合体を作製することができる。これにより、従来のように膜電極接合体に加熱圧着や焼成工程により拡散層を接合して膜電極拡散層接合体を作製する場合に比べて、発電時や低温時において膜の膨潤/収縮によって発生する剥離による性能低下を抑制することが可能である。しかしながら、電解質層に対して触媒層が形成された状態、すなわち、膜電極接合体に対して、導電機能層を介して拡散層を形成するため、電解質層と触媒層との間や触媒層と導電機能層との間の境界に界面ができ易く、膜電極拡散層接合体における抵抗成分は、上記実施例に比べて大きくなってしまうため、上記実施例により作製された膜電極拡散層接合体は、この点においても有利である。
E.第5実施例:
図9は、第5実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法について示す説明図である。この第5実施例は、膜電極拡散層接合体の剛性を高めるために、補強層が加えられており、以下で説明するように、これに応じた作製方法となっている点が第4実施例と異なっている。
まず、第5実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法の実行に先立って、第4実施例と同様に、F型電解質層用部材、F型触媒層用インク、拡散層用部材、および、導電機能装用ペーストを準備するのに加えて、第2実施例と同様に、補強層部材を準備する。
[1]まず、第2実施例の工程[1]と同様に、補強層部材を補強層(補強膜)15として用い、補強層15の一方の面上に、F型触媒層用インク20pを塗工して、第1のF型触媒層20aを形成する。
[2]次に、F型触媒層用インク20pの塗工後、これに含まれるフッ素溶媒が蒸散乾燥する前に、形成された第1のF型触媒層20aの上面に、導電機能層用ペースト25pを塗工して、第1の導電機能層25aを形成する。
[3]また、導電機能層用ペースト25pの塗工後、これに含まれるフッ素溶媒が蒸散乾燥する前に、形成された第1の導電機能層25aの上面に、拡散層部材により構成される第1の拡散層30aを貼り合わせる。このとき、第1の拡散層30aの表面の凹凸が軟化状態の第1の導電機能層25aに食い込みながら、第1の導電機能層25aに含まれる分散繊維化したPTFEと第1の拡散層30aとが、フッ素溶媒を介して、互いの疎水性部材の親和性および毛細管現象により定着する。
[4]そして、フッ素溶媒の短時間(1分以内)での蒸散乾燥により、第1のF型触媒層20aと第1の導電機能層25aと第1の拡散層30aとが固着して一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[5]また、補強層15の他方の面上に、F型電解質層用部材をF型電解質層10として貼り合わせる。
[6]そして、全体を加熱することにより、F型電解質層10を溶融させて補強層15内に含浸させるとともに、第1のF型触媒層20aに含まれるF型アイオノマも軟化することで、毛細管現象により補強層15内への含浸が促進され、補強層15を介してF型電解質層10と第1のF型触媒層20aとが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、F型電解質層10と第1のF型触媒層20aと拡散層30とが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
また、第4実施例の工程[5]と同様に、F型電解質層10の他方の面上に、F型触媒層用インク20pを塗工して、第2のF型触媒層20bを形成する。このとき、第4実施例の工程[1]と同様に、F型触媒層用インク20pに含まれるフッ素溶液により、F型電解質層10の表面が溶けてF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成されるともに、その境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、第1の拡散層30aと第1の導電機能層25aと第1のF型触媒層20aとF型電解質層10と第2のF型触媒層20bとが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された積層体の構造となる。
[7]次に、第4実施例の工程[6]と同様に、形成された積層体の第2のF型触媒層20bが形成されている側から加水分解処理をすることにより、第1のF型触媒層20a、F型電解質層10、および、第2のF型触媒層20bと、第1の導電機能層25aおよび第1の拡散層30aに含まれるF型アイオノマのSO2F基を、イオン交換機能を示すスルホン酸基(SO3H基)化させる。これにより、第1のF型触媒層20a、F型電解質層10は、イオン交換基能を備える電解質を有するH型の第1の触媒層20aH、電解質層10Hに変性される。また、第2のF型触媒層20bの表面は、加水分解処理により、親水物性を有する状態(SO3H基を含む状態)と疎水物性を有する状態(CF2基を含む状態)が混在する第2の触媒層20bFHとなる。この結果、片側に拡散層を備え、各層が一体化形成されるとともに、各層の境界において界面を持たず連続的に形成された構造を有する膜電極拡散層接合体(MEGA)を形成することができる。
[8]次に、第4実施例の工程[7]と同様に、第2の触媒層20bFHの面上に、導電機能層用ペースト25pを塗工して、第2の導電機能層25bを形成する。上記したように、第2の触媒層20bFHは、疎水物性を有する状態が混在している。そして、導電機能層25aを形成する導電機能層用ペースト25pにもカーボンやPTFE、フッ素溶媒等が含まれており、疎水性を有している。これにより、第2の触媒層20bFHと導電機能層用ペースト25pとは親和性が確保されるので、導電機能層用ペースト25pの塗工時において、第2の触媒層20bFHの上面に第2の導電機能層25bの定着化が可能となる。そして、導電機能層用ペースト25pに含まれるフッ素溶媒の蒸散乾燥時において、第2の触媒層20bHと第2の導電機能層25bとが密着して一体化形成されるとともに、その境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。
[9]そして、工程[3]と同様に、第2の導電機能層25bに含まれるフッ素溶媒が蒸散乾燥する前に、第2の拡散層30bを貼り合わせる。このとき、工程[3]と同様に、第2の拡散層30bの表面の凹凸が軟化状態の第2の導電機能層25bに食い込みながら、第2の導電機能層25bに含まれる分散繊維化したPTFEと第2の拡散層30bとが、フッ素溶媒を介して、互いの疎水性部材の親和性および毛細管現象により定着する。
[10]そして、工程[4]と同様に、フッ素溶媒の短時間(1分以内)での蒸散乾燥により、第2の触媒層20bFHと第2の導電機能層25bと第2の拡散層30bとが固着して一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造となる。この結果、第1の拡散層30a、第1の導電機能層25a、第1の触媒層20aH、電解質層10、第2の触媒層20bFH、第2の導電機能層25b、および、第2の拡散層30bが一体化形成されるとともに、それぞれの境界において界面を持たず連続的に形成された構造を有する膜電極拡散層接合体(MEGA)を形成することができる。
以上のように、上記第5実施例の膜電極拡散層接合体の作製方法によっても、第4実施例と同様に、作製された膜電極拡散層接合体において、第1の拡散層、第1の触媒層、電解質層、第2の触媒層、および、第2の拡散層の各層間を一体化して形成することができるとともに、各層の境界に界面を持たず連続するように形成することができる。これにより、従来例で説明した問題点、拡散層の剥離強度や、抵抗成分の増加等の問題を改善することができる。また、導電機能層を介して拡散層を形成することにより、加熱圧着や焼成工程を設けることなく膜電極拡散層接合体を作製することができる。さらに、第5実施例においては、補強層15により電解質層の剛性を第4実施例に比べて高めることができる。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
10…F型電解質層
10H…電解質層
15…補強層
20a…第1のF型触媒層
20b…第2のF型触媒層
20bFH…第2の触媒層
20aH…第1の触媒層
20bH…第2の触媒層
20p…F型触媒層用インク
20pH…触媒層用インク
25a…第1の導電機能層
25b…第2の導電機能層
25p…導電機能層用ペースト
30…拡散層
30a…第1の拡散層
30b…第2の拡散層

Claims (6)

  1. 膜電極拡散層接合体の作製方法であって
    SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
    SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させたアイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
    疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
    前記電解質前駆体膜の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
    前記触媒層部材の塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記触媒層部材の一部を前記拡散層部材内に浸透させることにより、前記第1の触媒前駆体層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
    前記電解質前駆体膜の他方の面に前記触媒層部材を塗工して第2の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
    前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層部材内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
    を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
  2. 膜電極拡散層接合体の作製方法であって
    多孔部材で構成される補強層部材を準備する工程と、
    SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
    SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させたアイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
    疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
    前記補強層部材の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1の触媒前駆体層を形成し、前記補強層部材内に前記触媒層部材の一部を浸透させることにより、前記補強層部材と前記第1の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
    前記触媒層部材の塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記触媒層部材の一部を前記拡散層部材内に浸透させることにより、前記第1の触媒前駆体層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
    前記補強層部材の他方の面に前記電解質前駆体膜の一方の面を貼り合わせて加熱することにより、前記電解質前駆体膜中の前記電解質前駆体を溶融させて、前記補強層部材内に浸透させるとともに、前記第1の触媒前駆体層中の前記アイオノマを軟化させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1の触媒前駆体層とを一体化させる工程と、
    前記電解質前駆体膜の他方の面上に前記触媒層部材を塗工して第2の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
    前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層部材内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
    を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
  3. 膜電極拡散層接合体の作製方法であって
    多孔部材で構成される2つの補強層部材を準備する工程と、
    SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
    SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させたアイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
    疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
    それぞれの前記補強層部材の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1と第2の触媒前駆体層を形成し、前記補強層部材内に前記触媒層部材の一部を浸透させることにより、前記補強層部材と前記第1と第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
    前記第1の触媒前駆体層の形成後前記触媒層部材中の前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記触媒層部材の一部を前記拡散層部材内に浸透させることにより、前記第1の触媒前駆体層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
    前記第1の触媒前駆体層が形成された前記補強層部材の他方の面に前記電解質前駆体膜の一方の面を貼り合わせるとともに、前記電解質前駆体膜の他方の面上に前記第2の触媒前駆体層が形成された前記補強層部材の他方の面を貼り合わせて加熱することにより、前記電解質前駆体膜中の前記電解質前駆体を溶融させて、前記第1と第2の触媒前駆体層が形成されたそれぞれの前記補強層部材内に浸透させるとともに、前記第1と第2の触媒前駆体層中の前記アイオノマを軟化させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1と第2の触媒前駆体層とを一体化させる工程と、
    前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層部材内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
    を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
  4. 膜電極接合体の作製方法であって
    SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
    SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させたアイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
    カーボンと撥水部材とフッ素溶媒とを混合した導電機能層用ペーストを準備する工程と、
    疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
    前記電解質前駆体膜の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
    前記触媒層部材の塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記導電機能層用ペーストを塗工して導電機能層を形成することにより、前記第1の触媒電駆体と前記導電機能層とを一体化する工程と、
    前記導電機能層用ペーストの塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記導電機能層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記拡散層部材の表面の凹凸面を前記導電機能層中に食い込ませ、前記フッ素溶媒の乾燥により前記導電機能層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
    前記電解質前駆体膜の他方の面に前記触媒層部材を塗工して第2の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
    前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層部材内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
    を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
  5. 膜電極拡散層接合体の作製方法であって
    多孔部材で構成される補強層部材を準備する工程と、
    SO2F基を有する電解質前駆体により構成されたイオン交換基能を備えない電解質前駆体膜を準備する工程と、
    SO2F基を有するアイオノマをフッ素溶媒に溶融分散させた前駆体アイオノマ溶液と、疎水物性を有する触媒反応物質と、を混合した触媒層部材を準備する工程と、
    カーボンと撥水部材とフッ素溶媒とを混合した導電機能層用ペーストを準備する工程と、
    疎水物性を有する拡散層部材を準備する工程と、
    前記補強層部材の一方の面に前記触媒層部材を塗工して第1の触媒前駆体層を形成し、前記補強層部材内に前記触媒層部材の一部を浸透させることにより、前記補強層部材と前記第1の触媒前駆体層を一体化する工程と、
    前記触媒層部材の塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記第1の触媒前駆体層上面に前記導電機能層用ペーストを塗工して導電機能層を形成することにより、前記第1の触媒前駆体層と前記導電機能層とを一体化する工程と、
    前記導電機能層用ペーストの塗工後前記フッ素溶媒が乾燥する前に、前記導電機能層上面に前記拡散層部材を貼り合わせて、前記拡散層部材の表面の凹凸面を前記導電機能層中に食い込ませ、前記フッ素溶媒の乾燥により前記導電機能層と前記拡散層部材とを一体化する工程と、
    前記補強層部材の他方の面に前記電解質前駆体膜の一方の面を貼り合わせて加熱することにより、前記電解質前駆体膜中の前記電解質前駆体を溶融させて、前記補強層部材内に浸透させるとともに、前記第1の触媒前駆体層中の前記アイオノマを軟化させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第1の触媒前駆体層とを一体化させる工程と、
    前記電解質前駆体膜の他方の面上に前記触媒層部材を塗工して第2の触媒前駆体層を形成し、前記触媒層部材に含まれる前記フッ素溶媒により前記電解質前駆体膜の表面を溶融させることにより、前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とを一体化する工程と、
    前記拡散層部材と前記第1の触媒前駆体層と前記電解質前駆体膜と前記第2の触媒前駆体層とが一体化された積層体を、前記第2の触媒前駆体層側から加水分解処理して、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、前記電解質前駆体膜、および、前記拡散層部材内に浸透した前記アイオノマをスルホン化させることにより、前記第1の触媒前駆体層、前記第2の触媒前駆体層、および、前記電解質前駆体膜を、イオン交換基能を備える電解質を有する第1の触媒層、第2の触媒層、および、電解質膜に変成させる工程と、
    を備えることを特徴とする膜電極拡散層接合体の作製方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の膜電極拡散層接合体の作製方法により作製された膜電極拡散層接合体。
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