{第1実施形態}
まず、第1実施形態に係る電線交換機能付き電線調尺装置の概略を説明する。図1は第1実施形態に係る電線交換機能付き電線調尺装置10の正面図である。
本電線交換機能付き電線調尺装置10は、ワイヤーハーネスに組込まれる端子付き電線の製造工程において、端子付き電線の電線Wを調尺して送給し、端子付き電線の品番変更(ロット変更)の際に供給電線を交換する装置である。この電線交換機能付き電線調尺装置10には、その上流側からリール等に巻回された長尺の電線Wが供給される。そして、電線交換機能付き電線調尺装置10は、通常、切圧機のカッターユニットの上流側に配設され、上流側から供給される電線Wを設計切断長に調尺してカッターユニットに送給する。この後、送給された電線がカッターユニットにより切断され、切断された電線Wの両端部に端子が圧着されることにより、端子付き電線が製造される。
すなわち、本電線交換機能付き電線調尺装置10は、電線Wを調尺し電線送給経路Rを通じて電線送給方向T下流側に向けて送給可能で、かつ、送給する電線Wを交換可能に構成されている。電線Wは、その一端側部分が電線支持部材60に支持された状態で電線送給経路R上に配設される。そして、この電線支持部材60は、移動機構部50により保持されて、セット位置P1とそれぞれ支持部材配設部70が設けられた複数の待機位置P2、P3との間で移動操作される。電線W交換の際には、調尺機構部20の第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45は、セット姿勢に姿勢変更する。そして、セット姿勢に姿勢変更した状態で、移動機構部50により、現ロットで使用している電線Wをセット位置P1で支持している電線支持部材60を、一方の待機位置に移動して支持部材配設部70に配設する。さらに、次ロットで使用する電線Wを支持している電線支持部材60を他方の待機位置の支持部材配設部70から取出して、電線配設方向S一方側から電線Wの一端側部分をセット位置P1に配設する。次ロットで使用する電線Wの一端側部分がセット位置P1に配設されると、調尺機構部20はセット姿勢から送給姿勢に姿勢変更される。
<1.電線交換機能付き電線調尺装置の構成>
以下、第1実施形態に係る電線交換機能付き電線調尺装置10の構成について詳細に説明する。図2は送給姿勢の調尺機構部20を示す平面図、図3はセット姿勢の調尺機構部20を示す平面図、図4は第1癖取り部30の姿勢変更の動作を示す側面図である。図5は回転機構部35の姿勢変更の動作を示す側面図、図6は第1癖取り部30の正面図、図7は電線支持部材60の側面図、図8は電線支持部材60の平面図、図9は移動機構部50の動作を示す側面図である。なお、説明の便宜上、図中の方向を用いて説明することがあるが、これは電線交換機能付き電線調尺装置10の使用態様を限定するものではない。
本電線交換機能付き電線調尺装置10は、調尺機構部20と移動機構部50と電線支持部材60と支持部材配設部70とを備えている。
調尺機構部20は、電線送給経路R上に一端側部分が配設された電線Wを電線送給方向T下流側に向けて送給可能な送給部45と、電線送給経路R上に一端側部分が配設された電線Wの癖を除去可能な第1癖取り部30及び第2癖取り部40を有している。ここでは、第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45が、電線送給方向Tの上流側から第1癖取り部30、第2癖取り部40、送給部45の順に基部12上に配設されている(図1〜3参照)。
送給部45は、電線Wを、下流側に配設される切圧機のカッターユニットに向けて、予め設定された設計切断長ずつ送給可能に構成されている。この送給部45は、電線送給経路Rを挟んで対向するように配設された送給ローラー46a、46b(電線送給経路Rの一側方の送給ローラー46a及び他側方の送給ローラー46b)を有している。より具体的には、この送給ローラー46a、46bは、電動機84によりギア等の伝達機構を介して回転駆動可能に配設されている。電動機84は、送給ローラー46a、46bによる電線Wの送給量を調節可能なように、その回転量等を制御可能なモータであり、例えば、直流サーボモータを採用することができる。ここでは、電動機84は、後述する制御部90から制御指令を受けて、予め設定された設計切断長に応じた回転時間および回転速度で回転駆動される。つまり、送給部45は、送給ローラー46a、46bが、上記のように回転駆動される電動機84の動力を伝達されて回転駆動され、電線Wを設計切断長ずつ送給する。もっとも、サーボモータを用いずに、送給ローラー46a、46bのうちのいくつかの回転軸にエンコーダを取り付けて送給量をフィードバック可能に構成されてもよい。
また、この送給ローラー46a、46bは、それぞれ、送給ローラー支持部47a、47bに回転可能に支持されている。より具体的には、送給ローラー46a、46bは、それぞれ、回転軸が電線送給方向Tに略直交する一方向(以下、電線配設方向S(図1の上下方向))と略同一になる姿勢で、かつ、略同一平面上で回転可能に支持されている。そして、送給ローラー46a、46bは、電線送給経路R上に配設される電線Wに接触可能であり、この電線Wを挟み込んだ状態で回転して送給可能である。ここでは、送給部45は、2対の送給ローラー46a、46bを有し、それぞれ送給ローラー支持部47a、47bに2つずつ電線送給方向Tに間隔をあけて並べて配設されている。この間隔は、後述する電線支持部材60の対応する支持片部64を配設可能な間隔である。
第2癖取り部40は、電線送給経路Rを挟むように2列に互い違いに配設された複数の癖取りローラー42a、42b(電線送給経路Rの一側方の癖取りローラー42a及び他側方の癖取りローラー42b)を有している。この癖取りローラー42a、42bは、それぞれ、癖取りローラー支持部43a、43bに回転可能に支持されている。より具体的には、癖取りローラー42a、42bは、それぞれ、回転軸が電線配設方向Sと略同一になる姿勢で、かつ、略同一平面上で回転可能に支持されている。また、癖取りローラー42a、42bは、その外周面が送給部45により送給される電線Wの外周部に接触して従動回転する位置に配設されている。そして、送給される電線Wは、2列の癖取りローラー42a、42b間を蛇行状に通過して引出される。つまり、電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向から電線Wを挟み込んで、主として電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向の電線Wの癖を除去する。ここでは、癖取りローラー42a、42bは、癖取りローラー支持部43a、43bに3つずつ電線送給方向Tに沿って間隔をあけて配設されている。さらに、この癖取りローラー42a、42bは、電線送給方向Tにおいて、癖取りローラー支持部43a、43bの中間位置に後述する電線支持部材60の対応する支持片部64を配設可能な間隔をあけて配設されている。つまり、癖取りローラー42a、42bは、電線送給方向Tにおいて3つずつに分かれて配設されている(図2、3参照)。
また、第1癖取り部30は、癖取りローラー32a、32b(図1において、電線送給経路Rの上方の癖取りローラー32a及び下方の癖取りローラー32b)を有している。この癖取りローラー32a、32bは、それぞれ、癖取りローラー支持部33a、33bに回転可能に支持されている。より具体的には、癖取りローラー32a、32bは第2癖取り部40の癖取りローラー42a、42bと略直交する姿勢で配設されている。すなわち、癖取りローラー32a、32bは、それぞれ、回転軸が電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する姿勢で、かつ、略同一平面上で回転可能に配設されている(後述する送給姿勢の状態)。その他、この癖取りローラー32a、32bが癖取りローラー支持部33a、33bに配設される位置関係は、上記第2癖取り部40の癖取りローラー42a、42bと同様である(図1〜3参照)。つまり、電線配設方向Sから電線Wを挟み込んで、主として電線配設方向Sの電線Wの癖を除去する。
もっとも、上記第1癖取り部30と第2癖取り部40とは、癖取りローラー32a、32b、42a、42bがそれぞれ電線Wとの接触により従動回転するだけの構成には限られない。例えば、第1癖取り部30と第2癖取り部40とは、電線W送給時に送給部45との間で電線Wに掛かる引張負荷を低減するために、癖取りローラー32a、32b、42a、42bの全部または一部を送給部45の送給ローラー46a、46bの回転駆動に応じて回転駆動するように構成されていてもよい。このような癖取り機構としては、特開2007−115433号公報に記載の電線癖取り装置がある。
また、調尺機構部20は、電線Wの一端側部分を、略直線状の姿勢で電線送給経路R上に支持可能であると共に、電線送給方向Tに略直行する電線配設方向S一方側から電線送給経路R上に配設可能に構成されている。より具体的には、送給部45と第1癖取り部30及び第2癖取り部40とは、電線Wの一端側部分を電線配設方向S一方側から電線送給経路Rに配設可能なセット姿勢と電線Wを送給可能な送給姿勢とで姿勢変更可能である。
送給部45の送給ローラー支持部47a、47bは、電線送給経路Rに対して、電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に沿って近接離間移動可能に基部12に配設されている。つまり、送給ローラー46a、46bは、送給ローラー支持部47a、47bの近接離間移動により、近接離間移動される。ここでは、送給ローラー支持部47a、47bは、基部12上に配設されたエアシリンダ48の可動部に取り付けられている。もっとも、送給ローラー支持部47a、47bが支持される構成は、上記構成に限られず、送給ローラー支持部47a、47bを近接離間移動可能であればよい。例えば、油圧シリンダ、電動機を用いた直線運動機構等を採用することができる。また、以下説明において電線交換機能付き電線調尺装置10に用いられるエアシリンダについても、代わりに上記構成を採用することができる。
そして、送給ローラー支持部47a、47bが近接位置にある状態では、送給ローラー46aと送給ローラー46bとは、電線送給経路R上に配設される電線Wの直径より小さい(ここでは僅かに小さい)間隔をあけた位置に配設されるように設定されている。つまり、送給ローラー46a、46bの回転により電線Wを送給可能な間隔に配設される。また、送給ローラー支持部47a、47bが離間位置にある状態では、送給ローラー46a、46bは、電線Wの直径より大きい間隔をあけた位置に配設される。つまり、略直線状の姿勢に支持された電線Wを電線配設方向S一方側から送給ローラー46a、46bの間に配設可能な間隔をあけた位置に配設される。そして、送給ローラー46a、46bが近接位置にある姿勢を送給部45のセット姿勢(図3参照)、送給ローラー46a、46bが離間位置にある姿勢を送給部45の送給姿勢(図1、2参照)という。
第2癖取り部40の癖取りローラー支持部43a、43bは、電線送給経路Rに対して、電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に沿って近接離間移動可能に基部12に配設されている。つまり、癖取りローラー42a、42bは、癖取りローラー支持部43a、43bの近接離間移動により近接離間移動される。ここでは、癖取りローラー支持部43a、43bは、基部12上に配設されているエアシリンダ44の可動部に取り付けられている。
そして、癖取りローラー支持部43a、43bが近接位置にある状態では、癖取りローラー42a、42bは、電線送給経路Rに配設される電線Wにその両側方から接触可能な位置に配設される。つまり、この位置は、電線Wが送給されて電線送給経路R上を移動するのに従って、従動回転する位置である。また、癖取りローラー支持部43a、43bが離間位置にある状態では、癖取りローラー42a、42bは、電線Wに接触せず、略直線状の姿勢に保持された電線Wを電線配設方向S一方側から送給ローラー46a、46bの間に配設可能な間隔をあけた位置に配設される。そして、癖取りローラー42a、42bが近接位置にある姿勢を第2癖取り部40のセット姿勢(図3参照)、癖取りローラー42a、42bが離間位置にある姿勢を第2癖取り部40の送給姿勢(図1、2参照)という。
第1癖取り部30の癖取りローラー支持部33a、33bは、電線送給経路Rに対して近接離間移動可能に基部12に配設されている。つまり、癖取りローラー32a、32bは、癖取りローラー支持部33a、33bの近接離間移動により近接離間移動される。ここでは、癖取りローラー支持部33a、33bは、回転機構部35に配設されたエアシリンダ34の可動部に取り付けられている。
回転機構部35は、癖取りローラー支持部33a、33bを、その近接離間方向が電線配設方向Sと略同一となる姿勢と、電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する姿勢とで姿勢変更可能に構成されている。この回転機構部35は、一対の支持部36と、回転台37と、一対の回転支持片部38とを備えている。そして、回転機構部35は、回転支持片部38により、基部12に固定された支持部36に対して回転台37を相対回転可能に支持する構成である(図4参照)。
支持部36は、略直方体形状に形成され、その先端側部分に、先端部で開口し基端部に向けて延びるスリット部36aが形成された形状である。一対の支持部36は、電線送給方向Tに対向して並ぶように配設され、スリット部36aが電線配設方向S後方側(図1の上側)に向かって開口する姿勢で基部12に固定されている。より具体的には、一対の支持部36は、各スリット部36aの開口を通じて電線Wを電線送給経路R上に配設可能に配設されている。そして、一対の支持部36が配設される間隔は、後述する回転台37の長手方向の寸法より大きい大きさに設定されている。
また、スリット部36aの先端側部分は、基端側から先端側に向けて徐々に広く開口するように形成されている。これにより、容易にスリット部36aの開口を通じて電線Wを配設することができる。さらに、スリット部36aの基端側部分は、その先端側より幅広に形成されている。より具体的には、スリット部36aの基端側部分には、電線送給方向Tに沿って略円柱状空間を有する回転支持面部36bが形成されている。この回転支持面部36bは、その内側の略円柱状空間の中心軸が電線送給経路Rと略一致する位置に形成されている。そして、回転支持面部36bの内側には、後述する回転支持片部38の回転突部38bが挿入配設される。回転支持面部36bと回転突部38bとの関係については、後で詳述する。
回転台37は、略長方形の板状に形成され、その一主面上に、癖取りローラー支持部33a、33bが取り付けられたエアシリンダ34を載置状に配設されている。ここでは、回転台37に対して、癖取りローラー32a、32bの回転軸方向が回転台37の一主面と略直行する姿勢で、かつ、癖取りローラー支持部33a、33bの近接離間方向が回転台37の長手方向と略直交する姿勢で、エアシリンダ34が固定されている。つまり、癖取りローラー32a、32bは、回転台37の姿勢変更に応じて回転軸の姿勢が変更される。
一対の回転支持片部38は、それぞれ略直方体形状に形成され、基端部が回転台37に対してその長手方向両端部に取り付けられている。また、回転支持片部38は、その一主面の先端側部分から略垂直に略円柱形状に突出する回転突部38bを有している。この回転突部38bは、支持部36の回転支持面部36bの内側に、支持部36に対して相対回転可能に挿入配設可能な(ここでは回転支持面部36bの内部空間より僅かに小さい)大きさに形成されている。そして、一対の回転支持片部38は、それぞれ、回転突部38bが支持部36の回転支持面部36bの内側に挿入配設される。ここで、一対の回転支持片部38は、回転突部38bが回転支持面部36bの内側に配設された状態で、回転突部38bの中心軸が電線送給経路Rと略一致する。すなわち、一対の回転支持片部38は、回転台37を、電線送給経路Rを中心に支持部36に対して相対回転可能に支持する。
また、回転支持片部38の先端側部分には、先端部で開口し基端部に向けて延びるスリット部38aが形成されている。このスリット部38aは、回転突部38bの中心軸上に電線Wを配設可能な深さに形成されている。すなわち、電線Wをスリット部38a内に配設すると、電線Wが、スリット部38aの底部に接触する位置で電線送給経路R上に配設される。また、このスリット部38aは、電線Wの直径より大きい(ここでは僅かに大きい)幅寸法に形成されている。
ここでは、回転台37は、その一主面が電線配設方向Sに対して直交し電線配設方向S後方を向く直交姿勢と、一主面が電線配設方向Sに略平行になる平行姿勢との間で(約90度の範囲で回転して)姿勢変更可能に構成されている。つまり、直交姿勢は、癖取りローラー32a、32bの各回転軸が電線配設方向Sに沿って後方に向かう姿勢であり、平行姿勢は、癖取りローラー32a、32bの近接離間方向と電線配設方向Sとが略一致する姿勢である。
そして、回転台37が直交姿勢であると共に、癖取りローラー32a、32bが離間位置にある姿勢を、第1癖取り部30のセット姿勢という。また、回転台37が平行姿勢であると共に、癖取りローラー32a、32bが近接位置にある姿勢を、第1癖取り部30の送給姿勢という。
また、回転機構部35は、回転台37の姿勢を直交姿勢と平行姿勢との間で姿勢変更駆動可能な姿勢変更駆動部39を、さらに有している。姿勢変更駆動部39は、本体部39aに対してロッド部39bが進退移動可能なエアシリンダで構成されている。この姿勢変更駆動部39は、ロッド部39bの先端部が回転台37に対して、電線送給方向Tに沿った軸周りに相対回転可能に連結されていると共に、本体部39aの基端部が基部12に対して電線送給方向Tに沿った軸周りに相対回転可能に連結されている。ここでは、ロッド部39bの先端部は、第1癖取り部30が送給姿勢の状態で、回転台37の端部のうち電線配設方向S後方に向かう端部の一部に連結されている。また、本体部39aの基端部は、基部12との連結部の回転軸が、回転台37が直交姿勢および平行姿勢の状態で、ロッド部39bの先端部と回転台37との連結部の回転軸を電線配設方向Sに沿って通る仮想ライン上に位置するように基部12の一部に連結されている。つまり、姿勢変更駆動部39は、回転台37が直交姿勢または平行姿勢の状態で、そのロッド部39bの進退移動方向が電線配設方向Sに沿う姿勢になるように配設されている。
姿勢変更駆動部39のロッド部39bが進退移動されると、ロッド部39bの先端部と回転台37との連結部は、弧を描くように移動される。そして、ロッド部39bが退避移動されると回転台37は直交姿勢に姿勢変更されると共に、進出移動されると回転台37は平行姿勢に姿勢変更される。
以上のように、送給部45及び第1癖取り部30及び第2癖取り部40は、セット姿勢と送給姿勢とで姿勢変更される。このセット姿勢は、電線送給方向Tと電線配設方向Sとに対して略直交する方向において、送給部45及び第1癖取り部30及び第2癖取り部40それぞれが電線送給経路Rを挟んで間隔をあけるように開いた姿勢である。つまり、送給部45及び第1癖取り部30及び第2癖取り部40がセット姿勢の状態で、電線Wを、電線配設方向S後方側から前方側に向けて調尺機構部20の電線送給経路R上に配設可能であると共に、電線送給経路R上から取出可能である。そして、電線Wが電線送給経路R上に配設された状態で、送給部45及び第1癖取り部30及び第2癖取り部40を送給姿勢に姿勢変更すると、第1癖取り部30及び第2癖取り部40により電線Wの癖を除去しつつ、送給部45により電線Wを送給可能である。
また、調尺機構部20は、送給部45により送給される電線Wを、下流側のカッターユニットの所定経路上に案内可能な送給案内部22を有している。より具体的には、送給案内部22は、電線Wを挿通可能な略円形状の孔部22aを有している。この孔部22aは、電線Wを電線送給経路R上に配設可能な位置に形成されている。なお、孔部22aは、電線送給方向T上流側より下流側が小径に形成されていてもよい。また、この送給案内部22は、送給部45の下流側の位置で基部12に配設されている。
また、調尺機構部20は、後述する電線支持部材60を所定の位置に保持可能な支持部材保持部23、24を有している。支持部材保持部23、24は、それぞれ、第1癖取り部30の直近の上流側位置、送給部45と送給案内部22との間の位置に基部12に対して配設されている。この支持部材保持部23、24の電線支持部材60との関係については、電線支持部材60の説明と共に詳述する。
さらに、調尺機構部20は、電線送給経路R上に配設された電線Wの弛みを除去可能な弛み除去部25を有している。この弛み除去部25は、電線Wを把持可能な把持部26と、把持部26を電線送給方向Tに沿って移動可能な引出移動機構部27とを有している。また、弛み除去部25は、第1癖取り部30の電線送給方向T上流側に配設されている。より具体的には、把持部26は、一対の把持片26aを有し、エアシリンダ26bにより電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向において、電線送給経路Rに対して近接離間移動可能に構成されている。つまり、一対の把持片26aが近接位置にある状態で電線Wを把持可能であると共に、離間位置にある状態で把持解除可能である。
また、引出移動機構部27は、電線送給方向Tに沿って延びるガイド部27aと、ガイド部27aに沿って移動可能な移動部27bとを有している。ガイド部27aは、長尺棒状に形成され、基部12に配設された支持部材保持部23に対して、電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に2本並列状に配設されている。移動部27bは、一対のガイド部27aに対して電線送給方向Tに相対移動可能に支持されている。また、移動部27bは、把持部26を、一対の把持片26aが電線送給経路R上に配設された電線Wを把持可能な位置に支持している。移動部27bは、図示省略の駆動機構により移動操作される。この駆動機構としては、直線移動可能な種々の移動機構を採用することができ、例えば、所定のリンクを介してエアシリンダで駆動する機構を採用することができる。
そして、電線Wが電線送給経路R上に配設され、第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45が送給姿勢に姿勢変更された際、弛み除去部25は、一対の把持片26aが近接移動されて電線Wを把持し、この状態で移動部27bが電線送給方向T上流側に移動される。これにより、電線送給経路R上に配設された電線Wは、第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45と弛み除去部25との間の弛みが引出されて、余分な弛みがない状態となる。電線Wの弛みが除去されると、弛み除去部25は、一対の把持片26aによる電線Wの把持を解除して、移動部27bが電線送給方向T下流側の位置に移動して、次の電線W交換までこの状態に維持される。
上記のような調尺機構部20に対して、電線Wは電線支持部材60に支持された状態でセットされる。電線支持部材60は、電線Wの一端側部分をその長手方向に間隔をあけた位置で支持可能な複数の支持片部64を有している。この電線支持部材60は、電線Wの一端側部分を略直線状の姿勢で支持可能である。また、電線支持部材60は、調尺機構部20にセットした状態で、複数の支持片部64の間に調尺機構部20の送給部45と、第1癖取り部30及び第2癖取り部40とが介在して電線Wの一端側部分を電線送給経路R上に配設可能である(図7、8参照)。
より具体的には、電線支持部材60は、断面視略長方形の調尺棒状に形成された本体部62に対して、その一主面に間隔をあけて複数の支持片部64が取り付けられた構成である。支持片部64は、略直方体形状に形成され、先端側部分に電線Wを挿通可能な断面視略円形状の挿通孔部65が形成されている。この挿通孔部65は、その一方または両方の開口側部分が開口に向けて徐々に広くなるように形成されていてもよい。これにより、挿通孔部65に用意に電線Wを挿通することができる。そして、複数の支持片部64は、それぞれの挿通孔部65が本体部62の長手方向において略一致する姿勢で、本体部62の一主面に対して基端部が取り付けられている。つまり、電線支持部材60は、複数の支持片部64の挿通孔部65に電線Wの一端側部分を挿通した状態で、電線Wの一端側部分を本体部62の長手方向に略平行な姿勢で支持可能である。
ここでは、電線支持部材60は、11個の支持片部64を有している。この複数の支持片部64は、それぞれ、電線送給方向Tにおいて、弛み除去部25の移動部27bの移動範囲より上流側の位置、第1癖取り部30の直近の上流側位置、複数の癖取りローラー32a、32bの直近の両側位置および中間位置、第2癖取り部40の複数の癖取りローラー42a、42bの直近の両側位置および中間の隙間の位置、送給部45の2対の送給ローラー46a、46bの直近の両側位置および中間の隙間の位置に配設可能な間隔をあけて本体部62に取り付けられている。
また、複数の支持片部64のうちのいくつかには、挿通孔部65の軸方向両側に、挿通孔部65と中心軸が略一致する略円筒形状の案内管部66が形成されている。つまり、挿通孔部65がその軸方向に案内管部66の長さ分延長される。ここでは、案内管部66は、送給部45の2対の送給ローラー46a、46bに隣接する位置に配設される支持片部64に形成されている。この案内管部66は、送給ローラー46a、46bの間に配設される端部が、本体部62の一主面方向のうち長手方向に略直交する方向において徐々に狭くなるように形成されている。つまり、案内管部66の端部は、電線Wと接触する部分に近づくに従って間隔が小さくなる送給ローラー46a、46bの隙間に配設可能である(図8参照)。
上記電線支持部材60は、支持片部64の一部が調尺機構部20の支持部材保持部23、24に保持される位置で、調尺機構部20にセットされる。この支持部材保持部23、24は、電線配設方向S後方に向かって開口し、支持部材保持部23、24それぞれの位置に配設される支持片部64を挿入保持可能な凹部23a、24aを有している。より具体的には、支持部材保持部23、24は、各支持片部64が凹部23a、24a内に挿入された状態で、電線支持部材60の本体部62が支持片部64の電線配設方向S後方に位置する姿勢で保持可能である。支持部材保持部23、24の凹部23a、24aは、電線送給方向T両側に開口しており、この開口を通じて、電線支持部材60の挿通孔部65に挿通された電線Wを外方に延出可能である。より具体的には、支持部材保持部23、24は、複数の支持片部64の挿通孔部65の中心軸が電線送給経路Rと略一致する位置に電線支持部材60を配設可能な位置で、対応する各支持片部64を保持可能である。つまり、電線Wの一端側部分を支持する電線支持部材60が調尺機構部20にセットされると、この電線Wは電線送給経路R上に配設される。
複数の支持片部64のうち、送給ローラー46a、46bと送給案内部22との間の位置で支持部材保持部24の凹部24aに挿入される(最も下流側に配設される)支持片部64には、その先端側部分から、本体部62の一主面方向のうちその長手方向に略直交する方向両側に突出する位置規制部64aが形成されている。また、支持部材保持部24には、最も下流側に配設される支持片部64の位置規制部64aを配設可能なスリット部24bが形成されている。つまり、電線支持部材60が調尺機構部20にセットされる際、最も下流側に配設される支持片部64が支持部材保持部24の凹部24aに挿入されると、位置規制部64aがスリット部24b内に配設される。これにより、電線送給方向Tにおける電線支持部材60の調尺機構部20に対する位置が決定される。このように、電線支持部材60の電線送給方向Tの移動を制限するため、支持片部64と第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45との干渉を防止し、双方の損傷、調尺機構部20の故障等を抑制することができる。
移動機構部50は、電線Wの一端側部分が調尺機構部20の電線送給経路R上に配設されるセット位置P1と、セット位置P1とは異なる複数の待機位置との間で、電線Wの一端側部分を、電線送給経路Rに対して略平行な姿勢で移動操作可能である。ここでは、複数の待機位置は、待機位置P2と待機位置P3との2箇所である。もっとも、待機位置は、2以上の複数個所であればよく、2箇所に限られるものではない。また、ここでは、移動機構部50は、電線支持部材60を保持可能であり、電線Wの一端側部分が電線支持部材60に支持された状態で電線支持部材60を保持して、電線Wの一端側部分をセット位置P1と待機位置P2、P3との間で移動可能である(図9参照)。
より具体的には、移動機構部50は、支持部材保持部52と、第1移動部56と、第2移動部58とを有している(図1参照)。
支持部材保持部52は、電線支持部材60の本体部62を、その一主面方向のうち長手方向と略直交する方向から把持可能な対向する一対の把持片53を有している。より具体的には、支持部材保持部52は、一対の把持片53を、本体部62を配設可能な離間位置と、本体部62を把持可能な近接位置との間で近接離間移動可能に構成されている。つまり、支持部材保持部52は、離間位置にある一対の把持片53の間に本体部62が介在した状態から、一対の把持片53を近接位置に移動させると本体部62を把持可能である。また、この状態で、一対の把持片53を離間位置に移動させると、本体部62に対する把持を解除可能である。ここでは、この一対の把持片53は、エアシリンダ54に取り付けられて近接離間移動操作される。
第1移動部56は、支持部材保持部52を、電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に移動可能に構成されている。また、第2移動部58は、支持部材保持部52を電線配設方向Sに移動可能に構成されている。つまり、支持部材保持部52は、電線送給方向Tに略直交する平面方向に移動可能である。
ここでは、第1移動部56は、基部12に対して電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に延設されたガイドシャフト57に沿って、第1移動本体部56aが移動可能に構成されている。より具体的には、第1移動本体部56aは、電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に沿って進退移動可能なロッドを有するエアシリンダ86に取り付けられている。また、第2移動部58は、第2移動本体部58aに取り付けられた移動シャフト59が、第1移動本体部56aに対して電線配設方向Sに沿って移動可能に挿通された構成である。より具体的には、第2移動本体部58aは、電線配設方向Sに沿って進退移動可能なロッドを有するエアシリンダ88に取り付けられている。もっとも、第1移動部56及び第2移動部58は、上記構成に限られるものではなく、例えば、モータとギアを組み合わせた平面移動機構を採用してもよい。
上記支持部材保持部52は、第2移動部58の第2移動本体部58aに取り付けられている。より具体的には、支持部材保持部52は、一対の把持片53の近接離間方向が電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向と略一致する姿勢で取り付けられている。ここでは、2つの支持部材保持部52が、電線送給方向Tに沿って並ぶように取り付けられている。つまり、支持部材保持部52は、電線支持部材60を、電線支持部材60に支持されている電線Wの一端側部分が電線送給経路Rと略平行になる姿勢で保持可能である。そして、電線支持部材60を保持した状態で支持部材保持部52が第1移動部56および第2移動部58により移動操作されると、電線Wの一端側部分は、電線送給経路Rに略平行な姿勢で移動される。もっとも、支持部材保持部52は、2つに限られず、電線支持部材60をその長手方向が電線配設方向Sと略平行になる姿勢で保持可能であればよく、1つまたは2つ以上の複数でもよい。
そして、支持部材保持部52は、電線Wの一端側部分が支持された電線支持部材60を保持した状態で、第1移動部56および第2移動部58によりセット位置P1と待機位置P2、P3との間で移動される。
ここで、待機位置P2、P3は、セット位置P1より電線配設方向S後方に位置し、それぞれ、電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向においてセット位置P1の両側の位置である(図1、9参照)。ここでは、待機位置P2、P3のうち、図4の右側の位置を待機位置P2、左側の位置を待機位置P3という。この待機位置P2、P3は、電線W交換の際、セット位置P1に配設されている電線Wをセット位置P1から退避しておく位置と、次にセット位置P1に配設する電線Wを準備しておく位置である。ここでは、待機位置P2、P3は、電線W交換ごとに交互に退避位置と準備位置とで変わるように設定されている。つまり、まず、電線W交換の際、現ロットで使用されている電線Wがセット位置P1から退避位置である待機位置P2に移動され、次ロットに使用される電線Wが準備位置である待機位置P3からセット位置P1に移動される。この後、待機位置P2に退避した電線Wをその次のロットで使用する電線Wと交換する。そして、次の電線W交換の際、現ロットで使用されている電線Wがセット位置P1から退避位置である待機位置P3に移動され、次ロットに使用される電線Wが準備位置である待機位置P2からセット位置P1に移動される。もっとも、待機位置P2、P3は、電線W交換ごとに交互に退避位置と準備位置とで変わるものでなく、それぞれ、退避位置と準備位置とに固定されるように設定してもよい。
上記複数の待機位置P2、P3のそれぞれには、電線支持部材60を、移動機構部50が保持可能な姿勢で配設可能な支持部材配設部70が備えられている。支持部材配設部70は、電線支持部材60を、その調尺方向が電線送給方向Tと略平行になる姿勢で配設可能である。この支持部材配設部70は、電線配設方向S後方に向かって開口し、この開口を通じて支持片部64を挿入保持可能な保持凹部73が形成された複数の保持部72を有している。より具体的には、支持部材配設部70は、各支持片部64が各保持部72の保持凹部73内に挿入された状態で、電線支持部材60の本体部62が支持片部64の電線配設方向S後方に位置する姿勢で保持可能である。ここでは、保持部72は、2つであり、電線送給方向Tにおいて、複数の支持片部64のうち両端の支持片部64を保持可能な間隔をあけて基部12に配設されている。以下、保持部72のうち、電線送給方向T上流側のものを保持部72a、下流側のものを保持部72bとして説明する。保持部72a、72bの保持凹部73a、73bは、電線送給方向T両側にも開口しており、この開口を通じて、電線支持部材60の挿通孔部65に挿通された電線Wを外方に延出可能である。
また、保持部72bには、最も下流側に配設される支持片部64の位置規制部64aを配設可能なスリット部74が形成されている。つまり、電線支持部材60が支持部材配設部70に配設される際、最も下流側に配設される支持片部64が保持部72bの保持凹部73bに挿入されると、位置規制部64aがスリット部74内に配設される。これにより、電線送給方向Tにおける電線支持部材60の調尺機構部20に対する位置が決定される。このため、待機位置P2、P3において、電線支持部材60に支持される電線Wの一端側部分が、電線送給経路Rに対して並列状に配設される。
また、電線交換機能付き電線調尺装置10は、セット位置P1または待機位置P2、P3から電線支持部材60を取り出す際に、支持部材保持部52の一対の把持片53が電線支持部材60の本体部62を把持可能な位置まで移動されたか検出可能な把持位置検出部80を備えていてもよい。ここでは、把持位置検出部80は、マイクロスイッチであり、一対の把持片53の間に本体部62が介在している状態で、本体部62に当接してON/OFF切替可能に配設されている。より具体的には、把持位置検出部80は、第2移動本体部58aの電線配設方向S前方側部分に対して2つの支持部材保持部52の間の位置に取り付けられている。つまり、一方の一対の把持片53と他方の一対の把持片53との間の位置にマイクロスイッチの操作部が延出するように配設されている。そして、この把持位置検出部80の検出情報に基づいて、後述する制御部90により支持部材保持部52の一対の把持片53に把持動作を行う指令を与えるように設定されてもよい。
さらに、電線交換機能付き電線調尺装置10は、調尺機構部20および移動機構部50の動作を制御可能な制御部90を有している。制御部90は、図示省略のCPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なコンピュータによって構成されている。この制御部90は、上記調尺機構部20の第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45及び弛み除去部25と移動機構部50とのそれぞれに対して諸動作指令を与えることができるように接続されている。そして、制御部90は、予め格納されたソフトウェアプログラム及び入力部を通じて入力された諸指示に従って、電線交換機能付き電線調尺装置10の全体動作を制御する。
制御部90は、調尺機構部20の送給部45に対して、ROMに格納されている送給速度、送給量等の情報に基づいて送給ローラー46a、46bを回転駆動する送給信号を与える。また、制御部90は、第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45に対して、それぞれ同期してセット姿勢と送給姿勢とを切替える姿勢変更信号を与える。さらに、制御部90は、弛み除去部25に対して、電線Wを引出操作する駆動信号を与える。さらに、制御部90は、移動機構部50に対して、支持部材保持部52をセット位置P1と待機位置P2、P3との間で移動させる移動信号及び支持部材保持部52の保持動作をさせる保持信号を与える。
制御部90は、電線Wを待機位置P2またはP3からセット位置P1に移動する際には、第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45に対してセット姿勢に姿勢変更する姿勢変更信号を与える。その後、移動機構部50に対して待機位置P2またはP3に配設されている電線支持部材60を保持してセット位置P1に移動し、保持解除してそこに配設する移動信号及び保持信号を与える。そして、電線Wを送給する際には、制御部90は、送給部45に対して送給信号を与える。また、電線Wをセット位置P1から待機位置P2またはP3に配設する際には、第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45に対してセット姿勢に姿勢変更する姿勢変更信号を与える。その後、移動機構部50に対してセット位置P1に配設されている電線支持部材60を保持して待機位置P2またはP3に移動し、保持解除してそこに配設する移動信号及び保持信号を与える。
<2.電線交換機能付き電線調尺装置の動作>
次に、本実施形態に係る電線交換機能付き電線調尺装置10の電線W交換作業に係る動作について説明する。
初期状態として、調尺機構部20は、セット位置P1に現ロットで使用されている電線Wが電線支持部材60に一端側部分を支持された状態で配設され、第1癖取り部30および第2癖取り部40および送給部45が送給姿勢の状態にあるものとする。この状態では、弛み除去部25は、電線送給方向T下流側の位置で一対の把持片26aが開いた状態に維持されている。また、待機位置P2では、次ロットで使用される電線Wの一端側部分が電線支持部材60に支持され、この電線支持部材60が支持部材配設部70に対して配設された状態にあるものとする。そして、移動機構部50は、支持部材保持部52が、支持部材配設部70より電線配設方向S後方側で、セット位置P1から電線配設方向S後方に移動した位置(図1及び9のセット位置P1の真上の位置)で停止している。
まず、第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45は、送給姿勢からセット姿勢に姿勢変更される。つまり、第1癖取りローラー32a、32b及び第2癖取りローラー42a、42b及び送給ローラー46a、46bは、各回転軸が電線配設方向Sに沿う姿勢で、電線送給経路Rを挟んで電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に間隔をあけた位置に配設される。
セット姿勢に姿勢変更した状態で、移動機構部50の支持部材保持部52は、セット位置P1に移動される。より具体的には、支持部材保持部52は、第1移動部56及び第2移動部58により、一対の把持片53が現ロットに使用されている電線Wの一端側部分が支持されている電線支持部材60の本体部62を把持可能な位置に移動される。この位置は、把持位置検出部80が、電線支持部材60の本体部62に当接してONされる位置である。
支持部材保持部52が上記位置に配設された状態で、一対の把持片53は、電線支持部材60の本体部62を把持する。そして、支持部材保持部52は、電線支持部材60を保持した状態で、セット位置P1から退避位置としての待機位置P3に移動される。より具体的には、支持部材保持部52は、待機位置P3の支持部材配設部70の電線配設方向S後方位置に移動され、保持している電線支持部材60が支持部材配設部70に配設される位置に移動される。電線支持部材60が支持部材配設部70に配設された状態で、支持部材保持部52は、一対の把持片53による電線支持部材60の本体部62への把持を解除する。
この後、支持部材保持部52は、待機位置P3から準備位置としての待機位置P2に移動される。より具体的には、支持部材保持部52は、待機位置P2の支持部材配設部70の電線配設方向S後方位置に移動され、一対の把持片53が次ロットに使用される電線Wの一端側部分が支持されている電線支持部材60の本体部62を把持可能な位置に移動される。この位置は、把持位置検出部80が、電線支持部材60の本体部62に当接してONされる位置である。
支持部材保持部52が上記位置に配設された状態で、一対の把持片53は、電線支持部材60の本体部62を把持する。そして、支持部材保持部52は、電線支持部材60を保持した状態で、準備位置としての待機位置P2からセット位置P1に移動される。より具体的には、支持部材保持部52は、保持している電線支持部材60の支持片部64のうち支持部材保持部23、24それぞれに対応する支持片部64が、各凹部23a、24aに挿入配設される位置に移動される。つまり、電線支持部材60に支持されている次ロットに使用される電線Wが電線送給経路R上に配設される。この状態で、電線Wの先端部は、送給案内部22の孔部22aの電線送給方向Tの直近の上流側位置に配設される。
電線支持部材60がセット位置P1に配設された状態で、支持部材保持部52は、一対の把持片53による電線支持部材60の本体部62への把持を解除する。そして、支持部材保持部52は、セット位置P1から電線配設方向S後方に移動され、初期状態と同様の位置に戻って停止される。
次ロットで使用される電線Wが電線送給経路R上に配設された状態で、第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45は、セット姿勢から送給姿勢に姿勢変更される。この状態で、弛み除去部25は、一対の把持片26aにより電線送給経路R上に配設されている電線Wを把持して、電線送給方向T上流側の位置に移動する。これにより、電線送給経路R上に配設されている電線Wの弛みが除去される。そして、弛み除去部25は、電線Wの弛みを引出した位置で停止すると共に、一対の把持片26aによる電線Wへの把持を解除し、電線送給方向T下流側の位置に移動して初期状態に戻る。
この後、送給部45は、電線Wを予め設定された設計切断長ずつ送給案内部22の孔部22aを通じてカッターユニットに送給する。つまり、送給ローラー46a、46bが、予め設定された回転時間ずつ予め設定された回転速度で回転駆動され、電線Wを送給する。
電線Wが送給されている間に、待機位置P3に退避された電線Wを、現在送給されている電線Wの次に使用される電線Wと交換する。より具体的には、待機位置P3の支持部材配設部70に配設されている電線支持部材60から退避された電線を抜出し、次に使用される電線Wを複数の支持片部64の各挿通孔部65に挿通して、電線Wの一端側部分を電線支持部材60に支持する。この作業は、作業者により手動で行われてもよいし、専用機器により自動で行われてもよい。
そして、現ロット生産が終了すると、上記と同様に第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45は、送給姿勢からセット姿勢に姿勢変更される。そして、現ロットで使用されていた電線Wがセット位置P1から退避位置としての待機位置P2に移動されると共に、次ロットで使用される電線Wが準備位置としての待機位置P3からセット位置P1に移動される。この後、第1癖取り部30及び第2癖取り部40及び送給部45がセット姿勢から送給姿勢に姿勢変更され、弛み除去部25により電線Wの弛みが除去されて、電線Wが送給される。
この後も、ロット切替の際に、上記のようにして電線Wを交換していけばよい。
また、電線W交換後に、交換前のロットに使用されていた電線Wについて、調尺後の後工程(例えば切断工程、端子圧着工程等)で不良が発生して電線Wが不足した場合、交換前のロットに使用されていた電線Wを再送給する必要がある。この場合は、セット位置P1に配設された電線Wを、交換前のロットに使用されていた電線Wに交換して、この電線Wを調尺して送給するとよい。そして、必要分送給後、再び次ロットに使用される電線Wに交換すればよい。
上記のように構成された電線交換機能付き電線調尺装置10によると、移動機構部50により、現在使用されている電線Wをセット位置P1から取出して待機位置P2、P3のうちの一つに移動して配設し、次に使用する電線Wを他の待機位置P2、P3から取出して移動し、セット位置P1に配設して交換している。このため、現在使用している電線Wと次に使用する電線Wをテープ接続して電線交換する場合と比べて、余分な電線長の設定及びテープによる電線Wの接続を省略することができる。これにより、電線交換に掛かる棄却電線及び接続用テープの材料費を削減することができる。
また、電線W交換時に調尺機構部20の送給部45及び第1癖取り部30及び第2癖取り部40が電線Wの一端側部分を電線配設方向S一方側から電線送給経路Rに配設可能なセット姿勢に姿勢変更可能である。このため、電線W交換を容易に行うことができる。
また、送給部45及び第1癖取り部30及び第2癖取り部40それぞれが電線送給経路Rを挟んで電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に間隔をあけるように開いたセット姿勢で、電線Wの一端側部分を電線配設方向S一方側から電線送給経路R上に配設される。このため、電線Wを電線送給経路R上に配設する際、癖取りローラー32a、32b及び42a、42b及び送給ローラー46a、46bの各間に、電線Wを複数方向から這わすようにして配設する作業を省略でき、電線交換を容易に行うことができる。
また、調尺機構部20にセットした状態で、電線Wの一端側部分を、複数の支持片部64の間に調尺機構部20の送給部45及び第1癖取り部30及び第2癖取り部40が介在するように電線送給経路R上に配設可能な電線支持部材60を用いて電線Wが交換される。このため、電線Wの一端側部分が正確に電線送給経路R上に配設されると共に、より確実に送給案内部22の孔部22aを通じて電線Wを送給することができる。これにより、調尺機構部20の電線送給方向T上流側に配設されるカッターユニット等の電線加工装置に対して、電線Wを正確に送給することができる。
また、待機位置P2、P3には、電線支持部材60を、移動機構部50が保持可能な姿勢、つまり、本体部62が支持片部64の電線配設方向S後方に位置する姿勢で配設可能な支持部材配設部70が備えられている。このため、移動機構部50が電線支持部材60を正確に保持して移動し、電線Wを正確に交換することができる。
{第2実施形態}
次に、第2実施形態に係る電線交換機能付き電線調尺装置の概略を説明する。図10は第2実施形態に係る電線交換機能付き電線調尺装置100の正面図である。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
本電線交換機能付き電線調尺装置100は、電線Wの一端側部分を、移動機構部150により直接保持して、セット位置P1と待機位置P2、P3との間で移動操作可能に構成されている。そして、調尺機構部120の第1癖取り部130及び第2癖取り部140及び送給部45がセット姿勢にある状態で、移動機構部150により電線Wが直接保持されて交換される。
<1.電線交換機能付き電線調尺装置の構成>
以下、第2実施形態に係る電線交換機能付き電線調尺装置100の構成について詳細に説明する。図11は電線配設部170の平面図、図12は移動機構部150の動作を示す側面図である。なお、説明の便宜上、図中の方向を用いて説明することがあるが、これは電線交換機能付き電線調尺装置100の使用態様を限定するものではない。
本電線交換機能付き電線調尺装置100は、調尺機構部120と移動機構部150と電線配設部170とを備えている。
第2癖取り部140には、癖取りローラー142aが4つ、癖取りローラー142bが5つ、電線送給経路Rを挟んで互い違いに間隔をあけて配設されている。ここでは、電線送給経路Rの一側方の癖取りローラー142aが癖取りローラー支持部43aに、他側方の癖取りローラー142bが癖取りローラー支持部43bに回転可能に支持されている。
また、第1癖取り部130には、第2癖取りローラー142a、142bと同じ位置関係で、癖取りローラー132aが4つ、癖取りローラー132bが5つ、電線送給経路Rを挟んで互い違いに間隔をあけて配設されている。ここでは、電線送給経路Rの一側方の癖取りローラー132aが癖取りローラー支持部33aに、他側方の癖取りローラー132bが癖取りローラー支持部33bに回転可能に支持されている。
もっとも、上記第1癖取り部130及び第2癖取り部140は、第1実施形態の第1癖取り部30及び第2癖取り部40と同じ構成でもよい。
第1癖取り部130及び第2癖取り部140及び送給部45の姿勢変更をする構成は、第1実施形態と同様である。
また、送給案内部122の孔部122aは、電線送給方向T上流側が下流側より大径に形成されていている。これにより、電線W交換の際に、電線送給経路R上に配設された電線Wの先端部をより確実に孔部122aに挿通可能であり、送給案内部122の孔部122a以外の部分に当接してカッターユニットに送給されないという問題を抑制することができる。つまり、電線Wを、カッターユニットに対して正確に送給することができる。
また、調尺機構部120では、第1実施形態の支持部材保持部23、24が省略されている。
移動機構部150は、電線Wの一端側部分をその長手方向に間隔をあけた位置で直接保持可能な複数の電線保持部152を有し、電線Wの一端側部分を略直線状の姿勢で保持可能であると共に、電線Wの一端側部分を複数の電線保持部152が保持した状態でセット位置P1と待機位置P2、P3との間で移動可能である。
より具体的には、移動機構部150は、複数の電線保持部152を第1移動部56及び第2移動部58により移動可能に構成されている。第1移動部56及び第2移動部58の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
電線保持部152は、対向する一対の把持片153を有している。ここでは、一対の把持片153は、それぞれ略U字形状に形成され、その開口が略同一の向きに向くように配設されている。そして、この一対の把持片153は、その対向する方向に沿って近接離間移動可能にエアシリンダ154に取り付けられている。一対の把持片153は、離間移動した状態でその間に電線Wの直径より大きい間隔をあけた位置に配設されると共に、近接移動した状態でその間に電線Wの直径より小さい間隔をあけた位置または互いに接触した位置に配設される。つまり、電線保持部152は、一対の把持片153が離間位置にある状態で電線Wをその間に配設可能であると共に、電線Wが一対の把持片153の間に介在した状態で一対の把持片153が近接移動されることにより電線Wを把持可能である。また、この状態で、一対の把持片153を離間位置に移動させると、電線Wに対する把持を解除可能である。
複数の電線保持部152は、それぞれの一対の把持片153の近接離間方向が略一致すると共にその近接離間方向が電線送給方向Tに略直交する姿勢で、電線送給方向Tに沿って並ぶように、第2移動部58の第2移動本体部58aに取り付けられている。つまり、複数の電線保持部152は、電線Wを、それぞれの一対の把持片153で把持した状態で、略直線状の姿勢で保持可能である。ここでは、複数の電線保持部152の個数は2つである。複数の電線保持部152のうち、電線送給方向T下流側の電線保持部152は、セット位置P1に移動された状態で、調尺機構部120の送給部45と送給案内部122との間に配設される位置で第2移動本体部58aに取り付けられている。また、電線送給方向T上流側の電線保持部152は、セット位置P1に移動された状態で、電線送給方向T下流側に移動された弛み除去部25の把持部26の直近の上流側位置に配設される位置で第2移動本体部58aに取り付けられている。つまり、複数の電線保持部152の間に調尺機構部120の電線送給経路R上に一端側部分が配設された電線Wを電線送給方向T下流側に送給可能な送給部45と、電線送給経路R上に一端側部分が配設された電線Wの癖を除去可能な第1癖取り部130と第2癖取り部140とが介在する態様で電線Wの一端側部分をセット位置P1に配設可能である。
また、ここでは、電線送給方向T上流側の電線保持部152は、第2移動本体部58aに取り付けられたエアシリンダ155の可動部に取り付けられている。このエアシリンダ155は、上流側の電線保持部152を、電線送給方向Tに沿ってその上流側に移動可能なように第2移動本体部58aに対して取り付けられている。つまり、上流側の電線保持部152がエアシリンダ155により電線送給方向T上流側に移動されると、各電線保持部152に保持された電線Wは、その長手方向に引張られて弛みなく略直線状に保持される。
なお、本電線交換機能付き電線調尺装置100では、第1実施形態の把持位置検出部80は省略されている。もっとも、電線Wが電線保持部152の一対の把持片153の間に配設されているか検出する検出部を有していてもよい。
そして、移動機構部150は、電線Wを保持した複数の電線保持部152が第1移動部56及び第2移動部58により電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に移動されることにより、電線Wをセット位置P1と待機位置P2、P3との間で移動可能である。
また、複数の待機位置P2、P3のそれぞれには、電線Wの一端側部分を略直線状の姿勢で支持可能な電線配設部170が備えられている。電線配設部170は、電線Wの一端側部分を、その調尺方向が電線送給方向Tと略平行になる姿勢で配設可能である。この電線配設部170は、電線嵌入部172、173と電線把持部174、176とを有している。
電線嵌入部172、173は、電線配設方向S後方に向けて開口し、電線Wを嵌入可能な(ここでは電線Wの直径より僅かに幅狭な)溝部172a、173aを有している。この電線嵌入部172、173は、その溝部172a、173aが電線送給方向Tに沿う姿勢で、かつ、上記移動機構部150の電線保持部152が待機位置P2またはP3に移動された状態で一対の把持片153の略U字形状の対向する2片間に配設される位置に、基部12に対して配設されている。つまり、電線Wが一対の把持片153に把持された状態で電線保持部152が待機位置P2、P3に移動されると、電線Wは、一対の把持片153に把持されると共に電線嵌入部172、173の溝部172a、173aに嵌入される。ここでは、電線送給方向T下流側に配設される電線嵌入部173は、後述するエアシリンダ175の不可動部分に載置状に配設されている。
電線把持部174、176は、それぞれ、エアシリンダ175、177により電線送給方向Tと電線配設方向Sとに略直交する方向に近接離間移動可能な対向する一対の把持片174a、176aを有している。この電線把持部174、176は、それぞれの一対の把持片174a、176aの近接離間方向が略一致すると共にその近接離間方向が電線送給方向Tに略直交する姿勢で、電線送給方向Tに沿って並ぶように、基部12に配設されている。より具体的には、電線把持部174、176が配設されている位置は、電線嵌入部172、173の溝部172a、173aに嵌入した電線Wを、略直線状の姿勢で一対の把持片174a、176aにより把持可能な位置である。ここでは、電線把持部174は一対の把持片174aが電線嵌入部172の電線送給方向T上流側の位置に配設されていると共に、電線把持部176は一対の把持片176aが電線嵌入部173の電線送給方向T下流側の位置に配設されている。
また、ここでは、電線送給方向T上流側の電線把持部174は、基部12上に配設されたエアシリンダ178の可動部に取り付けられている。このエアシリンダ178は、電線把持部174を、電線送給方向Tに沿ってその上流側に移動可能なように基部12に対して配設されている。つまり、電線把持部174がエアシリンダ178により電線送給方向T上流側に移動されると、電線嵌入部172、173及び電線把持部174、176に保持された電線Wは、その長手方向に引張られて弛みなく略直線状に保持される。
さらに、電線交換機能付き電線調尺装置100は、調尺機構部120および移動機構部150の動作を制御可能な制御部190を有している。制御部190は、移動機構部150に対して、電線保持部152をセット位置P1と待機位置P2、P3との間で移動させる移動信号及び電線保持部152の電線W保持動作をさせる保持信号を与える。
制御部190は、電線Wを待機位置P2またはP3からセット位置P1に移動する際には、第1癖取り部130及び第2癖取り部140及び送給部45に対してセット姿勢に姿勢変更する姿勢変更信号を与える。その後、移動機構部150に対して待機位置P2またはP3に配設されている電線Wを保持してセット位置P1に移動し保持解除するように、移動信号及び保持信号を与える。そして、電線Wを送給する際には、制御部190は、送給部45に対して送給信号を与える。また、電線Wをセット位置P1から待機位置P2またはP3に移動する際には、第1癖取り部130及び第2癖取り部140及び送給部45に対してセット姿勢に姿勢変更する姿勢変更信号を与える。その後、移動機構部150に対してセット位置P1に配設されている電線Wを保持して待機位置P2またはP3に移動し、保持解除してそこに配設する移動信号及び保持信号を与える。
制御部190のその他の構成は、第1実施形態の制御部90と同様であるため説明を省略する。
<2.電線交換機能付き電線調尺装置の動作>
次に、本実施形態に係る電線交換機能付き電線調尺装置100の電線W交換作業に係る動作について説明する。
初期状態として、調尺機構部120は、セット位置P1に現ロットで使用されている電線Wが配設され、第1癖取り部130および第2癖取り部140および送給部45が送給姿勢の状態にあるものとする。また、待機位置P2では、次ロットで使用される電線Wの一端側部分が電線配設部170に配設された状態にあるものとする。つまり、電線Wが、電線嵌入部172、173に嵌入され、電線把持部174、176により把持された状態である。そして、移動機構部150は、電線保持部152が、電線配設部170より電線配設方向S後方側で、セット位置P1から電線配設方向S後方に移動した位置(図10及び12のセット位置P1の真上の位置)で停止している。その他の初期状態は第1実施形態の初期状態と同様である。
まず、第1癖取り部130及び第2癖取り部140及び送給部45は、送給姿勢からセット姿勢に姿勢変更される。
セット姿勢に姿勢変更した状態で、移動機構部150の電線保持部152は、セット位置P1に移動される。より具体的には、電線保持部152は、第1移動部56及び第2移動部58により、一対の把持片153が現ロットに使用されている電線Wの一端側部分を把持可能な位置に移動される。
電線保持部152が上記位置に配設された状態で、一対の把持片153は、電線Wの一端側部分を把持する。そして、電線保持部152は、電線Wを保持した状態で、セット位置P1から退避位置としての待機位置P3に移動される。より具体的には、電線保持部152は、保持している電線Wが電線配設部170に配設される位置に移動される。この位置は、電線送給方向T上流側及び下流側の電線保持部152の一対の把持片153の略U字形状の対向する2片の間に電線配設部170の電線嵌入部172、173が配設される位置である。また、電線Wが電線配設部170に配設された状態で、電線保持部152は、一対の把持片153による電線Wの把持を解除する。
この後、電線保持部152は、待機位置P3から準備位置としての待機位置P2に移動される。より具体的には、電線保持部152は、一対の把持片153が次ロットに使用される電線Wの一端側部分を把持可能な位置に移動される。
電線保持部152が上記位置に配設された状態で、一対の把持片153は、電線Wを把持する。そして、電線保持部152は、電線Wを保持した状態で準備位置としての待機位置P2からセット位置P1に移動される。より具体的には、電線保持部152は、一対の把持片153が、それぞれ、送給部45と送給案内部122との間の位置、初期状態の弛み除去部25の一対の把持片26aの電線送給方向Tの直近の上流側位置に配設される位置に移動される。つまり、電線保持部152に保持されている電線Wが電線送給経路R上に配設される。この状態で、電線Wの先端部は、送給案内部122の孔部122aの電線送給方向Tの直近の上流側位置に配設される。
電線Wがセット位置P1に配設された状態で、第1癖取り部130及び第2癖取り部140及び送給部45は、セット姿勢から送給姿勢に姿勢変更される。そして、送給姿勢に姿勢変更した状態で、支持部材保持部52は、一対の把持片153による電線支持部材60の本体部62への把持を解除する。そして、電線保持部152は、セット位置P1から電線配設方向S後方に移動され、初期状態と同様の位置に戻って停止される。また、この状態で、弛み除去部25は、電線送給経路R上に配設されている電線Wの弛み除去動作を行い、初期状態に戻る。
この後、調尺機構部120は、電線Wを調尺して送給する。
電線Wが送給されている間に、待機位置P3に退避された電線Wを、現在送給されている電線Wの次に使用される電線Wと交換する。より具体的には、待機位置P3の電線配設部170に配設されている電線Wを取り出し、次に使用される電線Wを電線嵌入部172、173に嵌入し、この状態で電線把持部174、176により電線Wを把持する。
そして、現ロット生産が終了すると、第1癖取り部130及び第2癖取り部140及び送給部45は、送給姿勢からセット姿勢に姿勢変更される。そして、現ロットで使用されていた電線Wがセット位置P1から退避位置としての待機位置P2に移動されると共に、次ロットで使用される電線Wが準備位置としての待機位置P3からセット位置P1に移動される。この後、第1癖取り部130及び第2癖取り部140及び送給部45がセット姿勢から送給姿勢に姿勢変更され、弛み除去部25により電線Wの弛みが除去されて、電線Wが送給される。
この後も、ロット切替の際に、上記のようにして電線Wを交換していけばよい。
上記のように構成された電線交換機能付き電線調尺装置100によると、移動機構部150により直接電線Wを把持して移動させるため、比較的簡易な機構で電線W交換を行うことができる。
電線配設部170により電線Wの一端側部分を略直線状の姿勢で待機位置P2、P3に配設可能である。このため、移動機構部150は、電線Wを、より確実に保持して待機位置P2、P3からセット位置P1に移動させることができ、電線Wの一端側部分をより正確に電線送給経路R上に配設することができる。