JP2007115433A - 電線癖取り装置 - Google Patents

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Hironori Haneda
浩規 羽田
Kenichi Taniguchi
賢一 谷口
Masaharu Ichikawa
雅張 市川
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Abstract

【課題】電線に加わるテンションを防止しつつ、電線の癖を除去すること。
【解決手段】電線収容リールから電線調尺装置に向けて引出される電線Wを挟込むように2列に並んで設けられ、それぞれ回転自在に配設された複数のローラ24a,24b,34a,34bと、ローラ24b,34bを回転させるローラ回転駆動機構40とを備えている。ローラ回転駆動機構40は、電線Wの引出開始時にあわせたタイミングで、ローラ24b,34bの回転を開始させる。
【選択図】図2

Description

この発明は、電線の癖をとって矯正するための電線癖取り装置に関する。
巻取リール等に巻回収容された電線には、巻癖等の癖がついている。このような巻取リールから繰り出される電線を調尺して皮剥ぎ、端子圧着等の加工を施すにあたっては、事前に電線の癖を除去する必要がある。
電線を矯正するための電線癖取り装置としては、特許文献1に開示のものがある。特許文献1に記載の電線癖取り装置では、複数の回転自在ローラを2列で互違いに配設している。そして、巻取リールより繰り出される電線が、2列の回転自在ローラ間を通過するように引出される。これにより、電線が各回転自在ローラ間を蛇行状に走行し、もって電線の癖が除去されるようになっている。この際、電線の走行に伴って回転自在ローラを従動回転させることにより、回転自在ローラ間を通る電線に作用する抵抗を小さくするようにしている。
特許第2962099号公報
しかしながら、上記のような電線癖取り装置では、ローラを従動回転させること自体にも、一定の力が必要である。このため、電線を引出す装置と回転自在ローラとの間で、電線にテンションが作用してしまうことになる。特に、電線の引出し開始時には、電線を大きな力で引張って回転自在ローラの回転を開始させる必要があり、大きなテンションが作用することとなる。そして、このように電線にテンションが作用することによって、電線に伸びを発生させてしまうこととなっていた。
そこで、本発明は、電線に加わるテンションを防止しつつ、電線の癖を除去することができる電線癖取り装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、この発明は、電線収容手段から電線引出手段に向けて引出される電線の癖を除去する電線癖取り装置であって、前記電線収容手段から前記電線引出手段に向けて引出される電線を挟込むように2列に並んで設けられ、それぞれ回転自在に配設された複数のローラと、前記複数のローラのうち少なくとも一つを回転させるローラ回転駆動手段と、を備えたものである。
なお、前記ローラ回転駆動手段は、前記電線の引出開始時に出力される電線引出開始信号を受けたタイミングで、前記少なくとも一つのローラの回転を開始させるものであってもよい。
さらに、前記ローラ回転駆動手段は、いずれか一方の列に設けられた複数のローラを回転させるものであってもよい。
また、前記回転駆動手段によって回転駆動されるローラに対応して、前記ローラ回転駆動手段からの回転駆動力を受ける回転駆動力受部と、前記回転駆動力受部から前記ローラへの回転駆動力伝達経路の途中に介在し、前記回転駆動軸部の回転駆動力を前記ローラ本体部に伝達する一方向クラッチと、を有する回転断続伝達機構が設けられていてもよい。
この発明の電線癖取り装置によると、前記電線収容手段から前記電線加工手段に向けて引出される電線を挟込むように2列に並んで設けられ、それぞれ回転自在に配設された複数のローラと、前記複数のローラのうち少なくとも一つを回転させるローラ回転駆動手段とを備えているため、ローラ間を通って電線を引出す際に、少なくとも一つのローラが自力で回転することになり、電線に加わるテンションを低減することができる。
また、前記ローラ回転駆動手段は、前記電線の引出開始時に出力される電線引出開始信号を受けたタイミングで、前記少なくとも一つのローラの回転を開始させるため、電線引出し開始時におけるローラの抵抗を少なくして、電線に作用するテンションを低減することができる。
また、前記ローラ回転駆動手段は、いずれか一方の列に設けられた複数のローラを回転させるものであると、複数のローラ間における電線の走行方向ほぼ全体にわたって、ローラによる抵抗を少なくして電線に作用するテンションを低減することができる。
さらに、前記回転駆動手段によって回転駆動されるローラに対応して、前記ローラ回転駆動手段からの回転駆動力を受ける回転駆動力受部と、前記回転駆動力受部から前記ローラへの回転駆動力伝達経路の途中に介在し、前記回転駆動軸部の回転駆動力を前記ローラ本体部に伝達する一方向クラッチとを有する回転断続伝達機構が設けられていると、電線の引出し速度が前記ローラ回転駆動手段の駆動によるローラの電線送出し速度を上回ったときには、ローラ回転駆動手段からローラへの回転駆動力伝達経路が絶たれる。これにより、ローラは、回転駆動軸部に対して自由に回転できるようになり、電線の引出し速度に応じて従動回転するようになる。これにより、電線に過大なテンションが作用することを防止できる。
以下、この発明の実施形態に係る電線癖取り装置について説明する。
図1は電線癖取り装置の適用例を示す図である。同図に示すように、電線癖取り装置10は、電線収容手段である電線収容リール110と、この電線収容リール110から電線を引出す電線引出手段である電線調尺装置120との間に設けられる。
電線収容リール110は、電線Wを巻回収容している。通常、このように巻回された電線Wには巻癖がついている。
電線調尺装置120は、電線Wをモータやエアシリンダ等のアクチュエータの駆動により引出しつつ引出した電線Wの長さ寸法を測定し、必要に応じて予め設定された所定の寸法に電線Wを切断する。この電線Wは、端末皮剥ぎ装置や端子圧着装置に送られて、その端部に皮剥ぎ加工や端子圧着加工等が施される。
この電線調尺装置120は、電線Wの引出しタイミングを含む引出し動作を制御する引出制御部122を備えている。この引出制御部122は、上記アクチュエータへの引出し動作開始指令時に電線引出開始信号を出力し、電線癖取り装置10に与える。また、上記アクチュエータへの引出し動作停止指令時に電線引出停止信号を出力し、電線癖取り装置10に与える。すなわち、本電線調尺装置120による電線Wの引出開始時及び引出停止時に電線引出開始信号又は電線引出停止信号が出力され、この信号が電線癖取り装置10に与えられる。
なお、上記のような電線調尺装置120は、端末皮剥ぎ装置や端子圧着装置に一体に組込まれた構成であってもよい。また、電線引出手段としては、電線調尺装置120に限られず、例えば、電線を引出しつつその被覆部外周囲に所定のマーキーング等を施す装置であっても構わない。すなわち、電線引出手段としては、アクチュエータの駆動により、電線Wを引出す各種装置を含む。さらに、必ずしも電線引出開始信号等は、電線引出手段である電線調尺装置120から出力される必要はない。例えば、電線Wの動きや電線に加わるテンションを検知するセンサ、電線Wをガイドするローラ等の動きを検知するセンサ等を設け、電線引出開始時や電線引出停止時におけるそれらのセンサの検知信号を電線引出開始信号又は電線引出停止信号として用いてもよい。
電線癖取り装置10は、電線収容リール110と電線調尺装置120間の送りラインLの途中に設けられている。そして、電線収容リール110から電線調尺装置120に向けて引出される電線Wが電線癖取り装置10を通過する際に、該電線Wの癖が除去され矯正されるようになっている。
電線癖取り装置10についてより具体的に説明する。図2は電線癖取り装置を示す平面図であり、図3は電線癖取り装置を示す側面図であり、図4は癖取り機構を示す要部拡大図であり、図5はローラ回転駆動機構を部分的に示す図であり、図6は図2のVI−VI線断面図である。
この電線癖取り装置10は、図2及び図3に示すように、回転自在に配設された複数のローラ24a,24bを有する第1の癖取り機構20と、回転自在に配設された複数のローラ34a,34bを有する第2の癖取り機構30と、上記各ローラ24a,24b,34a,34bのうちの一部を回転させるローラ回転駆動手段としてのローラ回転駆動機構40とを備えている。
第1の癖取り機構20は電線Wの送りラインLの上流側に設けられており、第2の癖取り機構30は電線Wの送りラインLの下流側に設けられている。第1の癖取り機構20は、複数のローラ24a,24b間で電線Wを上下方向から挟込むことで、主として送りラインLの上下方向における電線Wの癖を除去する。これに対して、第2の癖取り機構30は、複数のローラ34a,34b間で電線Wを左右両側方向から挟込むことで、主として送りラインLの両側方向における電線Wの癖を除去する。なお、以下では、図2における送りラインLの送り方向に向って見た場合を基準に、右及び左という。
第1の癖取り機構20についてより具体的に説明する。図2〜図6に示すように、第1の癖取り機構20は、送りラインLに沿って送られる電線Wを挟込むように2列に並ぶように設けられた複数のローラ24a,24bを備えている(図2及び図4参照)。ここでは、複数(ここでは4つ)のローラ24aが送りラインLよりも上側に、送りラインLに沿って間隔をあけて配列されている。また、複数(ここでは5つ)のローラ24bが送りラインLよりも下側に、送りラインLに沿って間隔をあけて配列されている。また、各ローラ24a,24bは、各回転軸を送りラインLに対して略直交させる姿勢で配設されており、各ローラ24a,24bの外周面が電線Wの外周部に接触することで、電線Wの引出しに伴って各ローラ24a,24bが従動回転するようになっている。また、上列の各ローラ24aと下列の各ローラ24bとは互いに間隔を略半分ずらした位置、即ち、互違いとなる位置に配設されている。そして、上列の各ローラ24aと下列の各ローラ24bとの間を電線Wが蛇行するように通過するようになっている。
また、上記下列の各ローラ24bは固定位置に設けられており、上列の各ローラ24aは下列の各ローラ24bに対して近接する位置と離間した位置(図4参照)との間で近接離隔移動(ここでは上下移動)移動自在に配設されている。より具体的には、基台80のうち送りラインLの上流側部分に支持板82が立設されており、この支持板82の一方面にブロック状の下列固定部材84が固定されている。この下列固定部材84に各ローラ24bが上述した配列及び姿勢で支持されている。
また、下列固定部材84の上方に、上列可動支持部材86が上下移動自在に支持されている。ここでは、下列固定部材84の両端部に立設された可動支持柱部85が、上列可動支持部材86の両端部に挿通されることで、上列可動支持部材86が上下移動自在に支持されている。この上列可動支持部材86に、各ローラ24aが上記配列及び姿勢で支持されている。また、支持板82の上部に、離隔移動手段としてのエアシリンダ88のシリンダ本体部88aが設けられており、このシリンダ本体部88aから進退駆動されるロッド部88bの先端部が上記上列可動支持部材86に取付けられている。そして、エアシリンダ88の駆動によりロッド部88bを進退駆動させることにより、上列可動支持部材86が昇降移動される。上列可動支持部材86が下列固定部材84から離間した位置(上方の位置)に移動することで、上列の各ローラ24aと下列の各ローラ24bとの間に所要の空間が形成され、それらの間に電線Wを容易にセットできるようになる(図4参照)。一方、上列可動支持部材86が下列固定部材84に接近した位置(下方の位置)に移動することで、上列の各ローラ24aと下列の各ローラ24bとが近接して、電線Wがそれらの間に電線Wが挟込まれて蛇行しつつ通過するようになる。なお、上記エアシリンダ88に換えて、コイルバネ等のバネ部材で上列可動支持部材86を下列固定部材84側に押え付ける構成であってもよい。
また、上記下列の各ローラ24bに対応して、ローラ回転駆動機構40からの回転駆動力を該各ローラ24bに伝達する回転断続伝達機構50が設けられている。
回転断続伝達機構50は、該ローラ24bに連結された回転軸部52と、ローラ回転駆動機構40からの回転駆動力を受ける回転駆動力受部としての受プーリ56と、受プーリ56からローラ24bへの動力伝達経路の途中に介在する一方向クラッチ54とを備えている。
上記回転軸部52は、ローラ24bに対して相対回転不能に連結されている。この回転軸部52は、下列固定部材84に挿通されて、図示省略のベアリング機構等を介して回転自在に支持されている。また、回転軸部52は、下列固定部材84及び支持板82を貫通して支持板82の他方面側に突出している。
回転軸部52のうち支持板82の他方面側に突出する部分に、一方向クラッチ(ワンウエイクラッチともいう)54が取付けられ、この一方向クラッチ54を介して受プーリ56が取付けられている(図6参照)。
一方向クラッチ54は、一方の相対回転方向にだけ駆動力を伝達し、逆の相対回転方向では空転して駆動力を伝達しないようにしたものである。このような一方向クラッチ54としては、例えば、内輪と外輪との間にボール等の転動体を配設し、一方向に回転する場合に内輪と外輪との間に転動体がくさび状に噛合い、他方向に回転する場合に該噛合いが解除され内輪と外輪とが相対回転可能になる周知構造等が適用される。
受プーリ56は、後述する環状ベルト48が巻掛けられる部材であり、該環状ベルト48を介してローラ回転駆動機構40からの回転駆動力を受ける。
そして、ローラ回転駆動機構40からの回転駆動力を受けて、受プーリ56が電線Wを所定の送り方向へ回転させる方向A(図5の矢符A参照)に回転すると、一方向クラッチ54が動力伝達可能な状態になる。そして、この回転駆動力が、一方向クラッチ54から回転軸部52を介してローラ24bに伝達され、ローラ24bは上記回転方向Aと同方向に回転することになる。一方、電線Wの送り速度が速くなると、この電線Wに従動回転するローラ24bの回転速度は、ローラ回転駆動機構40からの回転駆動力を受けることによる回転速度を上回り、一方向クラッチ54の内輪の回転速度がその外輪の回転速度を上回る。この状態は、上記動力伝達可能な状態に比して、一方向クラッチ54の内輪と外輪とが相対的に逆方向に回転する状態であり、一方向クラッチ54は空転可能な状態となってローラ回転駆動機構40からローラ24bへの動力伝達経路が絶たれた状態となる。これにより、ローラ24bは、ローラ回転駆動機構40の抵抗を受けることなく、電線Wの送り速度に応じて自由に従動回転するようになる。
なお、各ローラ24bに対応する複数の受プーリ56は、各ローラ24bの配列方向に沿って一列に並ぶように配設されている。また、一列に配列された受プーリ56の一側方(ここでは上方)には、一対の補助ローラ57が回転自在に配設されている。この補助ローラ57は、受プーリ56間において、環状ベルト48を受プーリ56側に押付ける役割を果している。
第2の癖取り機構30は、上記第1の癖取り機構20を、送りラインLを中心にして略90度回転させた姿勢にしたものと同様構成である。すなわち、上記第1の癖取り機構20における上側の要素を左右のうち一方(図2では左)に配し、第1の癖取り機構20における下側の要素を左右のうちの他方(図2では右)に配した構成が、第2の癖取り機構30に相当する。ここでは、第2の癖取り機構30の詳細な説明は省略する。
ローラ回転駆動機構40は、上記各ローラ24a,24b,34a,34bのうちの一部を回転させる手段である。ここでは、ローラ回転駆動機構40は、第1の癖取り機構20における下列の各ローラ24bを回転させると共に、第2の癖取り機構30における右列の各ローラ34bを回転させる構成となっている。
まず、ローラ回転駆動機構40が、第1の癖取り機構20における下列の各ローラ24bを回転させる部分を中心に説明する。
すなわち、ローラ回転駆動機構40は、回転駆動部42と、回転駆動力中継部44と、大プーリ46と、環状ベルト48を備えている。
回転駆動部42は、ステッピングモータ等のモータにより構成されており、上記基台80上に固定されている。回転駆動部42の回転制御は、図示省略の駆動回路を介して制御部60により行われる。制御部60は、電線引出開始信号が与えられた時に、回転駆動部42の回転を開始させると共に、電線引出停止信号が与えられたときに、回転駆動部42の回転を停止させる。これにより、ローラ回転駆動機構40は、電線引出開始信号を受けたタイミングで、各ローラ24bの回転を開始させる。
大プーリ46は、支持板82の他方面側、即ち、各受プーリ56と略同一平面状に位置するように、回転自在に支持されている。
また、上記回転駆動部42の回転軸と大プーリ46との間に回転駆動力中継部44が設けられている。回転駆動力中継部44は、シャフト44aやギヤ機構44b等を備えており、上記回転駆動部42の回転駆動力を、適宜速度及び回転軸方向に調整しつつ、上記大プーリ46に伝達する。
また、環状ベルト48は、ゴム等の弾性部材により形成された帯状部材を略環状に形成した部材であり、大プーリ46と上記各受プーリ56に巻掛けるようにして配設されている。より具体的には、環状ベルト48は、大プーリ46の下半周部分に巻掛けられると共に、各受プーリ56にその上方部分に接するように巻掛けられている(図2、図3及び図5参照)。なお、大プーリ46と上記各受プーリ56との間に補助プーリ49が設けられており、環状ベルト48はこの補助プーリ49の内周側を通って循環回転する。
そして、上記記回転駆動部42の回転駆動力が回転駆動力中継部44を介して大プーリ46に伝達されて大プーリ46が回転する。すると、環状ベルト48が循環回転して、前記回転駆動力が各受プーリ56に伝達されて、各ローラ24bが回転するようになっている。
なお、上記回転駆動力の伝達をより確実にするため、上記大プーリ46及び各受プーリ56が歯付プーリであり、また、環状ベルト48の内周部にもそれらに噛合可能な歯が形成されていることが好ましい。
上記ローラ回転駆動機構40の回転駆動力は、第2の癖取り機構30における右列の各ローラ34bにも伝達される。これにより各ローラ34bが回転する。すなわち、回転駆動部42の回転駆動力は、途中のギヤ機構44bで2つに分割されて、各ローラ34bに伝達される。分割された回転駆動力が各ローラ34bに伝達される構成は、上記大プーリ46や環状ベルト48等を用いた構成とほぼ同様であるので、ここでは同一符号を付してその説明を省略する。
なお、回転駆動部42の回転駆動力を各ローラ24b,34bに伝達する機構は上記例に限られない。例えば、ギヤ機構やプーリ機構、フレキシブルシャフトを用いた伝達機構等を、単独で又は適宜組合わせた種々の回転伝達機構を用いることができる。また、第1の癖取り機構20及び第2の癖取り機構30に応じて回転駆動部42を別々に設けてもよい。
このように構成された電線癖取り装置10の動作について説明する。
まず、初期状態では、電線収容リール110に巻回収容された電線Wが、第1の癖取り機構20における上列の各ローラ24aと下列の各ローラ24b間を通るように引回されると共に、第2の癖取り機構30における上列の各ローラ34aと下列の各ローラ34b間を通るように引回された後、より上流側の電線調尺装置120に導入される。
この状態で、電線調尺装置120が調尺動作にあわせて電線Wの引出しを開始すると、電線調尺装置120から電線癖取り装置10の制御部60に電線引出開始信号が与えられる。すると、制御部60は、回転駆動部42の回転を開始させる。回転駆動部42の回転駆動力は、大プーリ46から環状ベルト48、回転断続伝達機構50を介して第1の癖取り機構20における下列の各ローラ24b及び第2の癖取り機構30における右列の各ローラ34bに伝達される。これにより、各ローラ24b,34bが回転し、電線Wが電線調尺装置120に向けて送られることになる。
これにより、電線Wの引出し開始時における第1の癖取り機構20及び第2の癖取り機構30による抵抗を低減することが可能になる。
そして、電線調尺装置120による電線Wの引出し速度が、各ローラ24b,34bの回転による電線Wの送り速度を上回った場合には、次のようになる。
すなわち、この場合、一方向クラッチ54は空転可能な状態になり、各ローラ24b,34bは、ローラ回転駆動機構40側の抵抗を受けずに、電線Wの送り速度に応じて従動回転するようになる。これにより、ローラ回転駆動機構40側の抵抗を要因として、電線Wに過大なテンションが発生することを有効に抑制できる。
勿論、電線Wが第1の癖取り機構20及び第2の癖取り機構30を蛇行しつつ通過する際、電線Wの癖は除去される。
以上のように構成された電線癖取り装置10によると、電線収容リール110から電線調尺装置120に向けて引出される電線Wを挟込むように2列に並んで設けられ、それぞれ回転自在に配設された複数のローラ24a,24b,34a,34bと、ローラ24b,34bを回転させるローラ回転駆動機構40とを備えているため、ローラ24a,24b,34a,34bを通って電線を引出す際に、該電線Wに加わるテンションを低減することができ、電線Wに生ずる伸びを抑制することができる。
このような効果は、電線Wの引出し時に限らず、電線Wの引出し途中においても得ることができるため、必ずしも、電線Wの引出し開始のタイミングで、ローラ24b,34bの回転を開始させる必要はない。
また、上記の効果は、ローラ24a,24b,34a,34bのうちの少なくとも一つをモータ等で自力回転させることで得ることができる。このため、本実施形態のように、下列又は右列のローラ24b,34bの全てを回転させる必要はない。
もっとも、上記のようなローラ24b,34bによって電線Wに加わるテンションは、電線Wの引出し開始時に最も大きくなる。そこで、ローラ回転駆動機構40は、電線Wの引出開始時に出力される電線引出開始信号を受けたタイミングで、ローラ24b,34bの回転を開始させることにより、電線Wの引出し開始時におけるローラ24b,34bの抵抗を少なくして、電線に作用するテンションを有効に低減することができる。
また、ローラ回転駆動機構40が、一方の列(ここでは下列及び右列)に設けられた複数のローラ24b,34bを回転させることで、複数のローラ24a,24b,34a,34b間における電線Wの走行方向ほぼ全体にわたって、ローラ24a,24b,34a,34bによる抵抗を少なくして電線Wに作用するテンションを有効に低減することができる。
さらに、回転駆動されるローラ24b,34bに対応して、回転断続伝達機構50が設けられており、この回転断続伝達機構50は、ローラ回転駆動機構40からの回転駆動力を受ける受プーリ56と、この受プーリ56とローラ24b,34bとの間に介在する一方向クラッチ54とを有する構成とされている。このため、電線Wの引出し速度がローラ24b,34bの回転による電線Wの送出し速度以下である場合には、ローラ24b,34bによる電線Wの送出しがなされる。一方、引出し速度が送出し速度を上回った場合には、一方向クラッチ54が空転状態となり、ローラ回転駆動機構40からローラ24b,34bへの回転駆動力伝達経路が絶たれる状態となる。これにより、ローラ24b,34bは、電線の引出し速度に応じて自由に従動回転するようになり、ローラ回転駆動機構40の抵抗によって電線Wに過大なテンションが作用することを防止できる。
実施形態に係る電線癖取り装置の適用例を示す図である。 同上の電線癖取り装置を示す平面図である。 同上の電線癖取り装置を示す側面図である。 癖取り機構を示す要部拡大図である。 ローラ回転駆動機構を部分的に示す図である。 図2のVI−VI線断面図である。
符号の説明
10 電線癖取り装置
20 第1の癖取り機構
24a,24b ローラ
30 第2の癖取り機構
34a,34b ローラ
40 ローラ回転駆動機構
42 回転駆動部
44 回転駆動力中継部
46 大プーリ
48 環状ベルト
49 補助プーリ
50 回転断続伝達機構
52 回転軸部
54 一方向クラッチ
56 受プーリ
110 電線収容リール
120 電線調尺装置
W 電線

Claims (4)

  1. 電線収容手段から電線引出手段に向けて引出される電線の癖を除去する電線癖取り装置であって、
    前記電線収容手段から前記電線引出手段に向けて引出される電線を挟込むように2列に並んで設けられ、それぞれ回転自在に配設された複数のローラと、
    前記複数のローラのうち少なくとも一つを回転させるローラ回転駆動手段と、
    を備えた電線癖取り装置。
  2. 請求項1記載の電線癖取り装置であって、
    前記ローラ回転駆動手段は、前記電線の引出開始時に出力される電線引出開始信号を受けたタイミングで、前記少なくとも一つのローラの回転を開始させる、電線癖取り装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電線癖取り装置であって、
    前記ローラ回転駆動手段は、いずれか一方の列に設けられた複数のローラを回転させる、電線癖取り装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電線癖取り装置であって、
    前記回転駆動手段によって回転駆動されるローラに対応して、
    前記ローラ回転駆動手段からの回転駆動力を受ける回転駆動力受部と、
    前記回転駆動力受部から前記ローラへの回転駆動力伝達経路の途中に介在し、前記回転駆動軸部の回転駆動力を前記ローラ本体部に伝達する一方向クラッチと、
    を有する回転断続伝達機構が設けられた電線癖取り装置。
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