JP5421621B2 - トリムカバー - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のシート、ヘッドレスト、アームレストなどの一体発泡成形品に利用されるトリムカバーに関するものである。
従来、このような分野の技術として、実開平2−61638号公報がある。この公報に記載されたトリムカバーは、表皮とワディング(スラブウレタンフォーム材)とがラミネートされた2層タイプのものである。このトリムカバーに利用されている表皮は、表面に起毛を形成した布地、塩ビレザー等により形成され、ワディングは、スラブウレタンフォーム材等により形成されている。このワディングは、通気度が、120cc/cm/sec以下であり、密度が、20〜35kg/mであり、セル数が、40〜50個/25mmである。このようなワディングを利用すると、ワディングへの発泡液の含浸量を少なくすることができ、これによって、薄いワディングを利用することができる。
一般的に、この2層タイプのトリムカバーは、通気性のある表皮とスラブウレタンフォーム材とが利用され、一体発泡成形品を安価に成形することができる。
なお、トリムカバーは、多数の適宜形状に裁断したトリムカバー片を袋状に縫製されている。
一方、以上のトリムカバーには、3層タイプのものもある。この3層タイプのトリムカバーは、表皮とスラブウレタンフォーム材とウレタンフォーム材の裏面に接着した非通気性フィルム(ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルムなど)とからなる。この非通気性フィルムによって、発泡液がスラブウレタンフォーム材に含浸することがないため、硬化層が形成されず、使用時のフィーリングを悪化させることがない。しかしながら、非通気性フィルムによって、発泡液が縫合部分に集中するため、ミシン穴から発泡体が浸み出し易く、その結果、当て布などの対策が必要となり、コスト高を招来する。
実開平2−61638号公報
しかしながら、前述した従来のトリムカバーにおいて、2層タイプの場合、発泡液がスラブウレタンフォーム材に含浸する量を制御し難く、含浸量が多くなって硬化層が厚くなると、使用時のフィーリングを悪化させる。また、3層タイプの場合、発泡液が縫合部分に集中するため、ミシン穴から発泡体が浸み出し易くなるといった問題点があった。
しかも、非通気性フィルムを採用している3層タイプのトリムカバーを適用した一体発泡成型品の場合、使用時において、トリムカバーから空気が逃げ難いので、一体発泡成形品に残存している発泡液注入孔100(図4参照)に空気が集中して、「プシュー」や「ピュー」といったエアー漏れ音が発生してしまう。
本発明は、一体発泡成形品からエアー漏れ音が発生することなく、使用時のフィーリングの悪化を防止すると共に、成形時において発泡液の浸み出しを防止するようにしたトリムカバーを提供することを目的とする。
本発明は、表皮と、前記表皮の裏面に固着されたスラブウレタンフォーム材とがラミネートされてなり、発泡液の注入を可能にするように袋状に縫合されるトリムカバーにおいて、
前記表皮は、実質的に通気性が無く、
前記スラブウレタンフォーム材は、
通気度が、5〜50cc/cm/sec、
密度が、40〜55kg/m
セル数が、55〜80個/25mm、
25%圧縮硬度が、90〜200N/100cm
であることを特徴とする。
このトリムカバーは、2層タイプであり、上記表皮及びスラブウレタンフォーム材を採用することで、3層タイプのトリムカバーの欠点であった一体発泡成形品からのエアー漏れ音や、成形時における発泡液の浸み出しを防止することができた。しかも、2層タイプの欠点であった使用時のフィーリングの悪化をも解消させることができた。
つまり、本発明に係るトリムカバーは、一体発泡成型品の使用時の加重により、縫合部分から均等に空気を逃がすことができるので、一体発泡成形品からエアー漏れ音が発生することなく、しかも、一体発泡成形時においても、縫合部分から均等にガスを逃がすことができるので、成形時において縫合部分から発泡液の浸み出しを防止することができる。 さらに、発泡液をスラブウレタンフォーム材に適度に且つ均等に含浸させることができるので、含浸量が多くなり過ぎて硬化層が厚くなり過ぎることがなく、使用時のフィーリングの悪化を防止することができる。また、発泡液がスラブウレタンフォーム材に局所的に含浸し難く、これによって含浸層による局所的な硬化も発生し難い。
本発明によれば、一体発泡成形品からエアー漏れ音が発生することなく、使用時のフィーリングの悪化を防止すると共に、成形時において発泡液の浸み出しを防止することができる。
本発明に係るトリムカバーを適用したヘッドレストの一実施形態を示す断面図である。 トリムカバーの要部拡大断面図である。 ヘッドレストの使用状態を示す斜視図である。 従来のヘッドレストを示す斜視図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係るトリムカバーの好適な実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、一体発泡成形品としてのヘッドレスト1は、袋状のトリムカバー2と、このトリムカバー2内に注入された発泡液(例えば発泡性ウレタン)が硬化してなるパッド体3と、パッド体3内のヘッドレストフレームに固定されたヘッドレストステー4とからなる。
図1及び図2に示すように、トリムカバー2は、各パーツ2a〜2eをミシン糸7による縫合で袋状に形成されている。このトリムカバー2は、実質的に通気性がない合成皮からなる表皮5と、表皮5の裏面に固着されて、通気性を有するスラブウレタンフォーム材6からなる2層タイプである。
さらに、スラブウレタンフォーム材6は、通気度が、5〜50cc/cm/secであり、密度が、40〜55kg/mであり、セル数が、55〜80個/25mmであり、25%圧縮硬度が、90〜200N/100cmである。
この場合、トリムカバー2内に注入される発泡液の発泡圧は、0.5〜2.0kg/cmが利用されている。
スラブウレタンフォーム材6の通気度を5〜50cc/cm/secにした理由として、通気性が高過ぎると、含浸し過ぎとなり、スラブウレタンフォーム材6が固くなり過ぎる。これに対して、通気性が低すぎると、大きなセルに発泡圧が集中し、局所的な表面硬化が発生する。
密度を40〜55kg/mでした理由として、密度が低過ぎると、スラブウレタンフォーム材6自体が発泡圧に負けて、発泡液の含浸を制御することができない。これに対して、密度が高過ぎると、弱い部分に発泡圧が集中し、局所的な表面硬化が発生する。
セル数を55〜80個/25mmとした理由として、セルの目が細か過ぎると、弱い部分に発泡圧が集中し、局所的な表面硬化が発生する。これに対して、セルの目が粗過ぎると、発泡液の含浸を制御することができない。
25%圧縮硬度を90〜200N/100cmとした理由として、密閉度に寄与する硬度が高過ぎると、スラブウレタンフォーム材6自体が硬くなり過ぎる。これに対して、硬度が低すぎると、発泡圧にスラブウレタンフォーム材6が負けて、発泡液の含浸を制御することができない。
このような数値は、様々な実験結果から導き出されたものである。
このトリムカバー2は、2層タイプであり、前述した表皮5及びスラブウレタンフォーム材6を採用することで、3層タイプのトリムカバーの欠点であったヘッドレスト1からのエアー漏れ音や、成形時における発泡液の浸み出しを防止することができた。しかも、2層タイプの欠点であった使用時のフィーリングの悪化をも解消させることができた。
つまり、前述したトリムカバー2は、ヘッドレスト1の使用時の加重により、縫合部分Sから均等に空気を逃がすことができるので、ヘッドレスト1からエアー漏れ音が発生することなく、しかも、一体発泡成形時においても、縫合部分Sから均等にガスを逃がすことができるので、成形時において縫合部分Sから発泡液の浸み出しを防止することができる(図3参照)。
さらに、発泡圧をトリムカバー2の全面に渡って均一に分散でき、発泡液をスラブウレタンフォーム材6に適度に且つ均等に含浸させることができるので、含浸部8の発泡液含浸量が多くなり過ぎて含浸部(硬化層)8が厚くなり過ぎることがなく、使用時のフィーリングの悪化を防止することができる。
また、発泡液がスラブウレタンフォーム材6に局所的に含浸し難く、これによって含浸部8による局所的な硬化も発生し難い。含浸部8は、スラブウレタンフォーム材6の厚みの20%に制御されており、このことが、使用時のフィーリングを良好にしている。
また、通気性を大きくするためには、縫合部分Sのミシン目を粗くし、通気性を小さくするためには、縫合部分Sのミシン目を細かくすることで、通気性の微調整が可能になる。
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、表皮5としては、合成皮のような通気性が実質的に無い材質であればよい。また、本発明に係るトリムカバー2は、自動車のシート、アームレストなどの一体発泡成形品に利用することができる。
1…ヘッドレスト(一体発泡成形品)、2…トリムカバー、5…表皮、6…スラブウレタンフォーム材、8…含浸部、S…縫合部分。

Claims (1)

  1. 表皮と、前記表皮の裏面に固着されたスラブウレタンフォーム材とがラミネートされてなり、発泡液の注入を可能にするように袋状に縫合されるトリムカバーにおいて、
    前記表皮は、実質的に通気性が無く、
    前記スラブウレタンフォーム材は、
    通気度が、5〜50cc/cm/sec、
    密度が、40〜55kg/m
    セル数が、55〜80個/25mm、
    25%圧縮硬度が、90〜200N/100cm
    であることを特徴とするトリムカバー。
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