JP5420055B2 - 回転照射治療装置 - Google Patents
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この発明の実施の形態1による回転照射治療装置の基本的な構造と特徴について説明する。
陽子線等による粒子線治療は、放射線源が粒子加速器となる。粒子加速器は極めて大型な装置であり、患部を中心として放射線源を回転させることは困難である。そこで、回転照射治療装置は、粒子線を回転フレームの回転中心方向に入射し偏向電磁石によって一旦外方向に偏向した後、さらに回転中心軸上の患部方向に曲げて照射を行うように構成されている。
この発明では、図3のxy面における要部側面図(照射室13入口側から装置を奥行き方向に観察した図)に示すように、回転リング3は、中心角度180°の円弧状部材(半円弧状部材)3a、3bを結合してリング状に形成した構造であることを特徴としており、円弧状部材3a、3bの継ぎ目となる隣接する2ヶ所の結合部18(太実線で示す。)間、すなわち円弧状部材3bの両端部を除く外周面にローラー4が当接して回転リング3を支持、駆動する。
回転リング3は、回転フレーム1の上流(ビームの来る方向。)および下流の2ヶ所に設けられている。上述したとおり、回転照射治療装置は、この回転リング3を支持駆動するローラー4に、粒子線照射ヘッド等の主な回転照射治療装置の重量が回転リング3を介してかかる構造となっている。
また、この実施の形態1では、偏向電磁石8aと粒子線照射ヘッド9aが一組となり一つのビーム照射コースAを構成している。同様に偏向電磁石8bと粒子線照射ヘッド9bが一組となりもう一つのビーム照射コースBを構成している。つまりこの実施の形態1の回転照射治療装置は2つのビーム照射コースを持ち、それぞれのビーム照射コースは互いに、中心軸を中心に90°傾いた角度となるよう回転フレーム1に固定されている。そのため、治療台11の上に仰臥した姿勢をとる患者14に対し、照射角度が90°異なる2方向から粒子線照射が可能となる。なお、ここで、偏向電磁石7は、ビーム照射コースA、Bのいずれかの方向にビームを振り分ける振り分け電磁石の役割を持っている。
上述の実施の形態1では、治療を受ける患者14が治療台11上に仰臥(あるいはうつぶせ姿勢)している場合に、治療台11をy軸周りに180°回転させることで、中心軸を中心とした360°全方向からの放射線治療を可能としたことについて述べた。治療台11をy軸周りに180°回転させる以外にも、同じ構造の回転照射治療装置を用いてz軸周りの360°全方向からの照射を可能とする例について説明する。
上述の実施の形態1では、偏向電磁石8aと粒子線照射ヘッド9aが一組となったビーム照射コースAと、偏向電磁石8bと粒子線照射ヘッド9bが一組となったビーム照射コースBが、互いに90°の角度で交叉するように、粒子線照射ヘッド9a、9bが回転フレーム1に取り付けられている場合について述べた。この実施の形態1では、図5に示すように、偏向電磁石8aと粒子線照射ヘッド9a(図示せず)が一組となったビーム照射コースAと偏向電磁石8bと粒子線照射ヘッド9b(図示せず)が一組となったビーム照射コースBを、中心軸を挟んで対向する位置に配置した場合について説明する。このとき、基準位置では、粒子線照射ヘッド9a、9bは、回転リング3上の90°、270°の角度となるようにそれぞれ回転フレーム1上に配置されており、x軸上において対向配置されている。
上述の記実施の形態1〜3では、偏向電磁石8a(8b)と粒子線照射ヘッド9a(9b)が一組となったビーム照射コースが2組の場合について述べたが、図6に示すように、偏向電磁石(図示せず)と粒子線照射ヘッド9a〜9dの組み合せからなる4組のビーム照射コースを設け、隣接するビーム照射コースが90°の角度で交叉するように回転フレーム1上に粒子線照射ヘッド9a〜9dをそれぞれ配置した例について説明する。回転リング3は、実施の形態1〜3の場合と同様に、中心角度が180°の円弧状部材3aと3bを結合部18で結合することにより形成されている。図6に示す配置において回転照射治療装置全体を紙面時計回りに90°回転させることにより、照射室13内での患者14の姿勢を変更することなく中心軸を中心に360°全方位から照射が可能となり、装置の利便性が高まる。
上述の実施の形態4では、中心角度が180°である円弧状部材(半円弧部材)2個を結合して形成した回転リング3を用い、4組のビーム照射コースを持つ回転照射治療装置全体を紙面時計回りに90°回転させることにより、照射室13内での患者の姿勢を変更することなく、中心軸を中心とした360°全方位から照射が可能となる場合について述べた。この実施の形態5では、図7に示すように、回転リング3を構成する円弧状部材として、中心角度が90°である円弧状部材(1/4円弧状部材)3aa〜3ddを用い、これら4個の部材を結合して回転リング3を形成した場合について説明する。
このような、回転リング3の構成部品である円弧状部材3aa〜3ddは、一つの形状が、中心角度90°の1/4円弧であるため、1/2円弧の場合よりもさらに半分の大きさとなるため、実施の形態1〜4に比べて、部材の入手がより容易となる。
なお、1/2円弧状部材1つと1/4円弧状部材二つを結合することでも回転リング3を形成できることは言うまでもない。
上述の実施の形態1〜5においては、複数のビーム照射コースを構成するように、複数門の粒子線照射ヘッドを用いて粒子線照射を行う例について述べたが、この実施の形態6では、ビーム照射コースが一つ(粒子線照射ヘッドが1門)である場合について説明する。
図8は、この発明による回転リング3と粒子線照射ヘッド9a、ローラー4、患者14を載せた治療台11の配置を示すxy面における要部側面図である。図示したように、基準位置となる配置において、回転リング3上の0°の角度となるように粒子線照射ヘッド 9aが回転フレーム1上に取り付けられており、回転リング3は、中心角度が90°である円弧状部材(1/4円弧状部材。中心角度が180°よりも小さな円弧状部材の一例。)3eと、中心角度が270°である円弧状部材(3/4円弧状部材。中心角度が180°よりも大きな円弧状部材の一例。)3fの二つの部材を結合することによって形成されている。基準位置では、回転リング3の結合部18は、225°と315°の角度にそれぞれ配置されている。
上述の実施の形態6では、中心角度90°、270°の円弧状部材3e、3fによって回転リング3を形成し、ビーム照射コースが一つであり、粒子線照射ヘッド9a(基準位置が回転リング3上の最上部、0°。)による照射領域が0°〜180°である場合を例示した。この実施の形態7の回転照射治療装置では、図9に示すように、実施の形態6の構成にビーム照射コースを一つ追加し、基準位置からの角度180°の位置(粒子線照射ヘッド9aと対向する位置)となる回転フレーム1上に粒子線照射ヘッド9bを取り付け、粒子線照射ヘッド9bによって180°〜360°の範囲の粒子線照射を行うよう構成した。このように、2門のビーム装置を備えることで、治療台11の移動や患者14の姿勢変更を必要とすることなく、中心軸を中心とした360°全方位からの粒子線照射を可能とすることができる。
3 回転リング、
3a、3b、3aa、3bb、3cc、3dd、3e、3f 円弧状部材、
4 ローラー 4a 駆動ローラー、
4b 支持ローラー 5 駆動装置、
6、6a、6b 真空ダクト 7、8a、8b 偏向電磁石、
9a、9b、9c、9d、9aa 粒子線照射ヘッド、
10 コーンフレーム 11 治療台、
12 梁 13 照射室、
14 患者 18、18a 結合部。
Claims (10)
- 複数の円弧状部材を結合して形成され、中心軸の周りに回転可能に配置された回転リング、上記回転リングの隣接する結合部間に当接して上記回転リングを支持、駆動するローラー、上記回転リングにフレームを介して取り付けられ、上記中心軸に向って粒子線を照射する粒子線照射ヘッドを備え、上記ローラーは、上記回転リングの上記円弧状部材の外周面に接し、複数の上記円弧状部材が結合される上記結合部に接しないことを特徴とする回転照射治療装置。
- 上記粒子線照射ヘッドは、第一の照射ヘッドと第二の照射ヘッドを含み、上記第一の照射ヘッドから射出される第一の粒子線の照射コースに対して、上記第二の照射ヘッドから射出される第二の粒子線の照射コースが、上記中心軸を中心として任意の角度で交叉する配置となるように、上記第一の照射ヘッドと上記第二の照射ヘッドが上記フレームに取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の回転照射治療装置。
- 上記第一、第二の粒子線の照射コースが、互いに90度〜270度の角度で交叉するように、上記第一、第二の照射ヘッドが上記フレームに取り付けられたことを特徴とする請求項2記載の回転照射治療装置。
- 上記第一の照射ヘッドと上記第二の照射ヘッドは、互いに対向する配置となるように上記フレームに取り付けられたことを特徴とする請求項2記載の回転照射治療装置。
- 上記回転リングは、中心角度が180度である上記円弧状部材を2個結合して形成されたことを特徴とする請求項1記載の回転照射治療装置。
- 上記回転リングは、中心角度が90度である上記円弧状部材を4個結合して形成され、上記フレームに、上記中心軸を中心として90度毎に上記粒子線照射ヘッドが取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の回転照射治療装置。
- 上記円弧状部材は、中心角度が180度よりも大きな第一の円弧状部材と、上記第一の円弧状部材と同径で中心角度が180度よりも小さな第二の円弧状部材からなり、上記回転リングは、上記第一、第二の円弧状部材を結合して形成されたことを特徴とする請求項1記載の回転照射治療装置。
- 上記粒子線照射ヘッドの回転角度は180度以上であることを特徴とする請求項7記載の回転照射治療装置。
- 上記中心軸が水平方向に配置され、上記粒子線照射ヘッドの回転角度が、上記回転リングの最上部から最下部の範囲を含むように調整されたことを特徴とする請求項1または請求項8記載の回転照射治療装置。
- 上記中心軸に沿って設けられた照射室、上記照射室内に導入される治療用寝台を備え、上記治療用寝台は、水平方向に180度回転可能に構成されたことを特徴とする請求項1または請求項9記載の回転照射治療装置。
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