JP5419076B2 - 血小板の誘導方法 - Google Patents
血小板の誘導方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5419076B2 JP5419076B2 JP2009117105A JP2009117105A JP5419076B2 JP 5419076 B2 JP5419076 B2 JP 5419076B2 JP 2009117105 A JP2009117105 A JP 2009117105A JP 2009117105 A JP2009117105 A JP 2009117105A JP 5419076 B2 JP5419076 B2 JP 5419076B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thin film
- cells
- platelet
- porous
- membrane
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N5/00—Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
- C12N5/06—Animal cells or tissues; Human cells or tissues
- C12N5/0602—Vertebrate cells
- C12N5/0634—Cells from the blood or the immune system
- C12N5/0644—Platelets; Megakaryocytes
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12M—APPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
- C12M25/00—Means for supporting, enclosing or fixing the microorganisms, e.g. immunocoatings
- C12M25/02—Membranes; Filters
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12M—APPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
- C12M35/00—Means for application of stress for stimulating the growth of microorganisms or the generation of fermentation or metabolic products; Means for electroporation or cell fusion
- C12M35/04—Mechanical means, e.g. sonic waves, stretching forces, pressure or shear stimuli
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2533/00—Supports or coatings for cell culture, characterised by material
- C12N2533/30—Synthetic polymers
Description
血小板輸血は、がん化学療法や血小板減少症などの血液疾患の治療に広く実施されている。しかしボランティアドナーに頼る現行の血小板輸血は、1)血小板同種抗体(HLA、HPA由来)の出現により頻回受血者が次第に血小板輸血不応状態に陥ってしまうこと、2)ウインドウ期の輸血によるウィルス感染リスクが依然として存在すること、3)血小板の成分採血はドナーへの時間的負担が大きく、ドナー数も年々減少傾向にあるため医療現場での慢性的な血小板製剤不足が続いていること、等の問題が挙げられている。医療現場での血小板製剤不足の要因として、保存期間が短いこと(3日間)も挙げられるため、その問題を解決するため血小板の表面糖鎖を修飾することで血小板を低温で長期に保存する方法も提案されているが(非特許文献1)、実用化には至っていない。
また、がん化学療法後の血小板減少症に対するサイトカイン療法としてトロンボポエチン(TPO)を患者に投与する方法も検討されてきたが、期待された効果は得られず、逆に抗TPO抗体の発生といった課題も明らかとなり、開発は中断されている。人工血小板の開発も進められているが(非特許文献2)、未だ臨床応用の段階には至っていない。
これらの課題に対し、近年の再生医療技術の発展にともない、造血未分化細胞(主に造血幹/前駆細胞)を体外で培養(分化誘導)することで多量の血小板を産生・取得し、これを生体内に戻す輸血代替療法、すなわち体外血小板産生技術の検討が活発になってきた。このような技術が進歩し、将来的に血小板を工場で大量生産できれば、現在の献血システムは不要となり、血小板製剤不足やウィルスリスクの問題がほぼ解決されることになる。
造血幹細胞は、主に骨髄、臍帯血、末梢血を細胞ソースとして採取することが可能である。これらを細胞ソースとして用いる場合、自己骨髄や自己末梢血由来の造血幹細胞を用いて血小板を誘導すれば、血小板不応症の問題やウィルスリスクは完全に回避される。また同種の骨髄や臍帯血を用いる場合でも、近年の骨髄バンクや臍帯血バンクの充実によりHLAがほぼ100%一致する造血幹細胞を用いることが可能なため、同様に理想的な治療法となりうる。
造血未分化細胞を用いる体外血小板産生技術では、特に(1)造血未分化細胞から巨核球への分化誘導技術と(2)巨核球から血小板への分化誘導技術が重要となる。(1)については、代表的な巨核球誘導因子であるTPOを培養系へ添加する方法を基本技術とした報告が主体であり、例えばTPOと数種のサイトカインの組み合わせや(非特許文献3)、TPOと各種グルコサミノグリカンとの組み合わせによる巨核球誘導および増幅効率向上の報告(非特許文献4)などが挙げられるが、大きな進展は見られていないのが現状である。一方、(2)に関しては報告が殆ど無く、生体内における巨核球からの血小板放出メカニズムの解明に関する報告が幾つか見られる程度である(例えば非特許文献5や非特許文献6参照)。
すなわち、造血未分化細胞からの体外血小板産生技術は現在でも発展途上であり、新しい技術的アプローチが強く望まれている技術領域である。特に巨核球への分化及び又は巨核球からの血小板産生を効果的に誘起する技術開発は、体外血小板産生技術の実用化には不可欠である。
さらにこの技術は、骨髄や臍帯血からの造血未分化細胞を利用する場合に指摘される、幹細胞の量的な不足問題をクリアしうる幹細胞ソースとして注目される胚性幹細胞(ES細胞;Embryonic Stem Cell)や、ES細胞の倫理的問題や拒絶反応の問題を解決するとされ注目されている人工多能性幹細胞(iPS細胞;Induced Pluripotent Stem Cell)を用いる血小板産生技術(例えば特許文献1)にも応用できる可能性があるため、技術的インパクトは非常に大きいといえる。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)支持多孔膜の少なくとも一方の面上に多孔薄膜が積層された複合膜を浸漬した培養液中において、血小板前駆細胞を培養することで血小板前駆細胞を血小板及び/又は巨核球へ分化させる誘導方法であって、該多孔薄膜の開孔率が5〜80%、平均孔直径D(μm)が0.5≦D≦20、孔直径の標準偏差σd(μm)が0≦σd/D≦0.6であり、該支持多孔膜の平均流量孔径が1μm以上である上記誘導方法。
(2)支持多孔膜の少なくとも一方の面上に多孔薄膜が積層された複合膜を培養液に浸漬して形成される、多孔薄膜で仕切られた少なくとも2つの領域の内、支持多孔膜側の領域に血小板前駆細胞を配置して培養することで、血小板前駆細胞を血小板及び/又は巨核球へ分化させる誘導方法であって、該多孔薄膜の開孔率が5〜80%、平均孔直径D(μm)が0.5≦D≦20、孔直径の標準偏差σd(μm)が0≦σd/D≦0.6であり、該支持多孔膜の平均流量孔径が1μm以上である上記誘導方法。
(3)多孔薄膜で仕切られた少なくとも2つの領域の内、支持多孔膜が存在しない領域の培養液によって多孔薄膜にシェアストレスを負荷させることを特徴とする、前記(2)に記載の誘導方法。
(4)多孔薄膜の平均膜厚T(μm)が0.5≦T≦30であり、膜厚の標準偏差σt(μm)が0≦σt/T≦0.5である前記(1)〜(3)のいずれか一に記載の誘導方法。
(5)多孔薄膜の開孔率が10〜80%である前記(1)〜(4)のいずれか一に記載の誘導方法。
(6)多孔薄膜の開孔率が15〜80%、平均孔直径D(μm)が0.5≦D≦10、平均膜厚T(μm)が0.5≦T≦15である前記(1)〜(5)のいずれか一に記載の誘導方法。
(7)支持多孔膜の平均流量孔径が1〜100μmである前記(1)〜(6)のいずれか一に記載の誘導方法。
(8)支持多孔膜が不織布である前記(1)〜(7)のいずれか一に記載の誘導方法。
(9)多孔薄膜を構成する有機高分子化合物が支持多孔膜中に侵入した構造を有する前記(1)〜(8)のいずれか一に記載の誘導方法。
(10)多孔薄膜の内部にて隣接する孔が連通している前記(1)〜(9)のいずれか一に記載の誘導方法。
(11)不織布が、平均繊維径7〜30μmの少なくとも1種の細繊維と、平均繊維径0.5〜5μmの少なくとも1種の微細繊維が交絡して混和した構造を有する前記(8)に記載の誘導方法。
(12)平均繊維径7〜30μmの細繊維が長繊維であり、平均繊維径0.5〜5μmの微細繊維が短繊維である前記(11)に記載の誘導方法。
(13)多孔薄膜が有する貫通孔の割合が20%以上である前記(1)〜(12)のいずれか一に記載の誘導方法。
(14)血小板前駆細胞が造血幹細胞である前記(1)〜(13)のいずれか一に記載の誘導方法。
(15)血小板前駆細胞が骨髄細胞または臍帯血由来細胞である前記(1)〜(14)のいずれか一に記載の誘導方法。
(16)臍帯血由来細胞が単核球である前記(15)に記載の誘導方法。
(17)少なくとも1種類以上のサイトカインを培養液中に添加する前記(1)〜(16)のいずれか一に記載の誘導方法。
(18)サイトカインがTPO、VEGF、およびSCFから選ばれる前記(17)に記載の誘導方法。
(19)予め血小板前駆細胞を支持多孔膜中に充填した後、該血小板前駆細胞が充填された複合膜を培養液に浸漬して血小板前駆細胞を培養する前記(1)〜(18)のいずれか一に記載の誘導方法。
(20)前記(1)〜(19)のいずれか一に記載の方法で作製される血小板及び/又は巨核球。
(21)前記(1)〜(13)のいずれか一に記載の複合膜を含んでなり、複合膜を培養液に浸漬して形成される、多孔薄膜で仕切られた少なくとも2つの領域の内、支持多孔膜側の領域に血小板前駆細胞を配置して培養することで、血小板前駆細胞を血小板及び/又は巨核球へ誘導することを可能とする血小板及び/又は巨核球産生装置。
(22)下記(ii)の性質を有する支持多孔膜の少なくとも一方の面上に、下記(i)の性質を有する多孔薄膜が積層された複合膜であって、当該複合膜を浸漬した培養液中において、血小板前駆細胞を培養することで血小板前駆細胞を血小板及び/又は巨核球へ分化させるために用いられる、複合膜。
(i)多孔薄膜の開孔率が5〜80%、平均孔直径D(μm)が0.5≦D≦20、孔直径の標準偏差σd(μm)が0≦σd/D≦0.6である
(ii)支持多孔膜の平均流量孔径が1μm以上である
細胞
本発明において、血小板前駆細胞とは、血小板に分化しうる任意の未分化細胞の総称である。血小板前駆細胞としては、例えば造血幹細胞や、造血幹細胞から血小板への分化の過程にて見られる造血前駆細胞、骨髄球系前駆細胞、巨核芽球、巨核球などが挙げられる。また成体幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)、およびそれらが血小板に分化する過程で見られる細胞群も含むことができる。なお、血小板前駆細胞はこれらに限定されるものではない。
2種以上が混在した血小板前駆細胞としては、純化した細胞種の2種以上を意図的に混合して使用する方法と、種々の未分化細胞が混在した形態である骨髄細胞や臍帯血由来細胞を用いる方法が挙げられる。ただし、純化した血小板前駆細胞を用いる場合、一般的に巨核球は増幅しない細胞であり、また造血幹細胞も特殊な条件下でなければ体外増幅させることができないため、十分な血小板を得るためには多量の純化細胞が必要となるという問題がある。これに対し、血小板前駆細胞として骨髄細胞や臍帯血由来細胞を用いる場合、骨髄や臍帯血は種々の分化段階の未分化細胞が含まれ、その内の幾つかは体外増幅が比較的容易なため、培養による血小板前駆細胞の増幅効果が期待できる。従って、最終的に多量の血小板を得るためには後者は有効な方法である。 骨髄細胞は、哺乳動物の胎児、新生児、成体の骨髄由来の任意の細胞を用いることができる。骨髄細胞の哺乳動物からの採取は、周知の方法にしたがって行われる。骨髄細胞としては採取直後のものを用いることが好ましいが、凍結保存されている骨髄細胞を用いてもよい。
なお本発明の方法で得られた血小板を哺乳類に移植する場合は、移植する哺乳類と同じ種に由来する血小板前駆細胞を用いることが好ましい。特にヒトへの移植を行う場合、血小板前駆細胞(骨髄細胞や臍帯血由来細胞)のHLA(ヒト白血球抗原)がほぼ一致しているヒト由来細胞を使用することが好ましく、骨髄を用いる場合は自己骨髄を使用することが特に好ましい。
本発明で用いる複合膜は、多孔薄膜と支持多孔膜が積層した構造を有している。例えば、多孔薄膜1枚と支持多孔膜1枚が積層された2層構造(すなわち、「多孔薄膜/支持多孔膜」の構造)、支持多孔膜の両面が多孔薄膜である3層サンドイッチ構造(「多孔薄膜/支持多孔膜/多孔薄膜」の構造)、等の構造が挙げられる。
複合膜の支持多孔膜が、2枚の多孔薄膜によって挟まれた構造の場合は、それぞれの多孔薄膜の平均孔直径や開孔率等の物性、又は多孔薄膜を構成する物質等は同一であっても、異なっていてもよい。このような3層サンドイッチ構造の複合膜では、膜切断面から支持多孔膜中に血小板前駆細胞を導入することにより、血小板前駆細胞を膜内に閉じ込めた複合膜とすることができる。 ただし、1枚の多孔薄膜と1枚の支持多孔膜からなる構造が、製造も容易であり使い勝手もよいため好ましく用いられる。
多孔薄膜が有する孔を、複合膜の多孔薄膜平面に対して垂直な方向から見た時の孔の形状は特に限定されないが、血小板や巨核球の細胞質の容易な通過性を考慮すれば円形であることが好ましい。なおここに言う円形とは、完全な真円の他に、楕円状の形状も含む。
本発明では、体骨髄中の血流を模し、培養液の液流により生ずるシェアストレスを血小板前駆細胞に与えることで細胞の分化誘導を促進することができる。しかし開孔率が低いと、支持多孔膜が存在しない領域の培養液によって多孔薄膜にシェアストレスを負荷させて培養を行っても、支持多孔膜中の細胞がシェアストレスを感知しにくいため、開孔率が5%未満であることは不都合である。一方、開孔率が80%を超えると多孔薄膜の強度が著しく低下するため、多孔薄膜の破損(破れ、亀裂)などの原因となる。
一方、Dが0.5μmより小さくても、巨核球からの血小板誘導効率が低下するとともに、産生血小板は多孔薄膜を通過することができず、既述の産生血小板の分離が行われなくなってしまう。また、多孔薄膜にシェアストレスを負荷させて培養を行う場合も、上記開孔率に関する下限と同様に、Dが小さすぎると、支持多孔膜中の細胞がシェアストレスを感知しにくいため、0.5μm以上が望ましい。
ただし支持多孔膜と多孔薄膜が、多孔薄膜の孔閉塞を最小限に抑えつつ、両者の積層面の広い範囲にて満遍なく接着部位が存在する場合、接着強度も高くなる上、支持多孔膜と多孔薄膜が接着または近接した状態が多くなることで血小板前駆細胞からの血小板誘導効率も高くなることが期待されるため、このような接着構造は特に好ましい。
上記の場合、接着剤等を用いて接着すると、多孔薄膜および支持多孔膜の孔閉塞が極端に多くなり好ましくない。従って、多孔薄膜に隣接する支持多孔膜面の少なくとも一部において、多孔薄膜の一部が支持多孔膜中に侵入している構造が好ましい。このような浸入状態とは、複合膜における多孔薄膜の表面を電子顕微鏡で観察した場合、多孔薄膜が支持多孔膜の凹み部位など(支持多孔膜が不織布の場合には繊維間空隙や繊維交絡部分)に侵入し、孔形状が乱れ、孔が多孔薄膜の支持多孔膜側面において閉塞したりしている状態(非貫通構造)として観察することができる。
本発明において、多孔薄膜の「貫通孔」とは、多孔薄膜側からの複合膜平面の顕微鏡観察(主に電子顕微鏡観察)によって、孔の反対側の支持多孔膜構造(多孔薄膜に接着していない支持多孔膜構造もしくは支持多孔膜の孔によって形成される空隙)が、その孔を通して観察可能なものをいう。
一方、孔が直管構造の多孔薄膜は、種々の薄い高分子フィルムに対して、放射線照射とそれに引き続いてエッチング処理を行う方法、フォトリソグラフィー法、突起構造を有するモールドを用いたナノインプリントリソグラフィー法等を施すことで製造可能である。
支持多孔膜は、多孔薄膜を支持・補強し、複合膜に充分な機械的強度を付与する機能を担うが、機械的強度付与だけでなく血小板前駆細胞の足場材料としての機能も考慮する必要があるので、細胞を含む細胞浮遊液の透過性や、支持多孔膜内部への細胞導入性と導入された細胞の3次元保持性に適した孔径を有することが好ましい。したがって支持多孔膜は、平均流量孔径が1μm以上、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは1〜50μmの連通孔を有する。平均流量孔径が1μm未満であると、支持多孔膜内部、さらには支持多孔膜側の多孔薄膜面もしくはその近傍への血小板前駆細胞の導入が困難となり、血小板前駆細胞の3次元培養ができず、また多孔薄膜の特性を活かした血小板誘導を誘起することもできなくなる。平均流量孔径が100μmを超えると、多孔薄膜の支持が不十分となるため多孔薄膜が破れやすくなるし、血小板前駆細胞の3次元保持や足場としての機能が発揮できなくなる。
連通孔とは、支持多孔膜の一方の膜面から反対側の膜面にかけて連通した孔のことであって、その連通孔を通して液体やガスが通過するとこができるのであれば、その孔の膜表面の形状や膜内部の構造はどのようなものであってもよい。
膜表面改質、特に親水化処理の具体的な方法としては、(a)複合膜の表面に元来存在する官能基に高分子反応によって目的の親水性官能基等を導入する方法、(b)複合膜に電子線やγ線を照射してラジカルを発生させ、これに目的の親水性官能基を有するモノマーを作用させてグラフト重合する方法、(c)複合膜に必要な開始剤基を導入した後、必要に応じて触媒等を加えて行う種々のリビング重合法(例えばリビングラジカル重合法やリビングアニオン重合法)にて目的の官能基を有するモノマーをグラフト重合する方法、(d)複合膜に浸漬法やスプレー法を用いて目的の官能基を有するポリマーをコーティングする方法等が挙げられる。特に(d)のコーティング法は、コーティング用ポリマーの合成反応時において導入したい官能基の種類や量、重合連鎖分布等も容易に設計できるし、更にコーティングプロセス自体も簡便で、生産性も高くなるので好ましい。コーティング方法の詳細は、WO2005/014149A1パンフレットの記載に従えば良い。
またコーティング剤は、WO2005/014149A1パンフレットに記載の公知の合成親水性ポリマーや、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン等、ゼラチン、レクチン、ポリリジン等の従来公知の天然ポリマーの1種又は2種以上を用いることができる。
ここでは多孔薄膜1枚と支持多孔膜1枚が積層された2層構造の複合膜を用いた培養方法について説明する。
本発明における血小板前駆細胞の血小板への誘導は、複合膜を浸漬した培養液中において血小板前駆細胞を培養すること、すなわち複合膜と血小板前駆細胞を共存させた状態で、血小板前駆細胞を培養することで行われる。
培養液中に複合膜と血小板前駆細胞を共存させる方法は特に限定されないが、例えば(1)血小板前駆細胞を含む培養液に複合膜を浸漬する方法、(2)複合膜を予め入れた培養容器に血小板前駆細胞を含む培養液を入れる方法、(3)予め血小板前駆細胞を支持多孔膜中に充填した後、該細胞充填複合膜を培養液に浸漬する方法、が挙げられる。
なお、培養液中の血小板前駆細胞は、支持多孔膜中に保持された状態で3次元培養されることで巨核球への誘導効率が高まり、さらに巨核球は支持多孔膜に積層された多孔薄膜の近傍に存在して多孔薄膜の構造を感知することで血小板への誘導効率が高まると考えられるため、上記の方法(3)は好ましい方法である。
平膜をフラットな形状のまま浸漬する場合は、例えば培養容器の形状に合わせた任意の形に切断し、それらの1枚もしくは2枚以上を容器底面に並行に配置してもよく、また1枚または2枚以上を容器底面に垂直に配置して浸漬しても構わない。図1は平膜複数枚を容器底面に平行に配置した模式図、図2は平膜複数枚を容器底面に垂直に配置した模式図である。なお図1のように平膜を容器底面に平行に配置する場合は、多孔薄膜側を底面に向けて平膜(複合膜)を配置すれば、重力によって支持多孔膜中の細胞を多孔薄膜近傍に近づけることができるので、多孔薄膜の構造を血小板前駆細胞が感知しやすく、血小板誘導効率に対して有利となる。
ここでいう、2つの領域の「領域」とは、細胞を培養するための領域をいい、複合膜を構成する多孔薄膜が2つの領域を仕切る役割を担っている。従って、支持多孔膜の片面に多孔薄膜が積層された複合膜を培養液に入れた場合、当該多孔薄膜1枚を境に2つの領域が形成され、支持多孔膜の両面に多孔薄膜が積層された3層サンドイッチ構造の複合膜を培養液に入れた場合、当該複合膜の2つの多孔薄膜により3つの領域が形成されることになる。この場合、2枚の多孔薄膜に挟まれた領域、すなわち支持多孔膜自体が、支持多孔膜側の領域ということになる。
複合膜を培養液に浸漬して多孔薄膜で仕切られた少なくとも2つの領域を形成する方法も特に限定されないが、以下のような方法が挙げられる。
例えば、本発明で用いる複合膜を同じ大きさの四角形に切断し、互いに内側を支持多孔膜にして重ね合わせて3辺をヒートシールして得られる袋状の複合膜を培養液中に1枚配置すれば(袋の開口部は液面より上に出すか、封じておく)、袋状複合膜の内部と外部(袋の内部と外部)に多孔薄膜で隔てられた2つの隣接する領域が形成されるので、袋状複合膜の内部に血小板前駆細胞を含む細胞浮遊液を入れて細胞を濾過し、細胞を支持多孔膜内部に充填し、これを培養液に浸漬すればよい。同様に2枚の袋状複合膜を培養液中に配置すれば、多孔膜にて隔てられた培養領域が3つ得られ、3枚挿入すれば4つの培養領域が得られることになる。複数枚の袋状複合膜を培養液中に配置した形態を示す模式図は図2にて代替することができる。
また複合膜と種々の部材を組み合わせて培養装置(血小板産生装置)を組み立てることで、多孔膜で仕切られた少なくとも2つの領域を培養液中に形成することもできる。
特に図5のようなクローズドタイプの装置とすれば、支持多孔膜領域にて巨核球から血小板を産生させ、多孔薄膜の孔を通過して培養液容器側に出てきた産生血小板を培養液の循環・回収に伴って連続的に取得することも可能となる。この場合、培養容器側の培養液に血小板前駆細胞(特に巨核球)が混入することは、血小板産生の効率自体が減少すると考えられるため、血小板を除いた細胞群の混入をサイズ選択的に阻止する機能は、多孔薄膜の重要な機能の一つである。さらに自己の造血幹細胞(血小板前駆細胞)を用いて血小板産生を行う時には特に問題は発生しないが、白血球抗原の異なる他人の造血幹細胞(血小板前駆細胞)を用いる際や、あるいはES細胞やiPS細胞といった細胞を幹細胞ソースとして血小板産生を誘導する場合には、自己の細胞以外の細胞核を有する細胞が混入することは移植において危険が伴う。全血球から血小板のみを遠心分離にて選択的に回収する方法は存在するが、混入の危険性を避けるためには、有核細胞の膜外への透過をできるだけ妨げた方が有利であるため、多孔薄膜による血小板の選択的通過は重要な機能の一つである。
なお培養を行う際、複合膜の支持多孔膜側に、さらに1枚以上の支持多孔膜を重ねても良い。支持多孔膜を重ねることで、支持多孔膜側に導入された血小板前駆細胞の3次元培養領域が大きくなる。この場合、重ねる支持多孔膜は複合膜を構成する支持多孔膜と同じであっても異なっていても構わない。
特に、複合膜を培養液に浸漬して形成される、多孔薄膜で仕切られた少なくとも2つの領域の内、支持多孔膜側の領域、特に支持多孔膜中に血小板前駆細胞を配置して培養する場合、支持多孔膜が存在しない領域の培養液によって多孔薄膜にシェアストレスを負荷させれば、血小板前駆細胞が流体によるシェアストレスを多孔薄膜の孔を介して感知することで血小板放出が促進されるため、好ましい培養方法となる。支持多孔膜が存在しない領域の培養液によって多孔薄膜にシェアストレスを負荷させる方法は特に限定されないが、例えば培養液を攪拌して流動性を持たせる方法や、反対に多孔薄膜(複合膜)を移動、回転又は振動させたりすることでも培養液によってシェアストレスを負荷することが可能となる。ただし、シェアストレスを負荷しすぎると、産生血小板の凝集や活性化に繋がるため、注意が必要である。
(1)複合膜を構成する多孔薄膜の平均孔直径D、孔直径の標準偏差σd、開孔率、及び貫通孔の割合
多孔薄膜の平均孔直径D、孔直径の標準偏差σd、開孔率及び貫通孔の割合は、多孔薄膜の膜平面に対する垂直方向からの光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡写真を撮影した上で、得られる平面像(写真)にて観測される多孔薄膜の孔群(貫通孔と非貫通孔をあわせたもの)を解析することで算出される。
具体的には、得られた複合膜をその中心付近から1辺6.7cmの正方形サンプルに打ち抜き、その中心(点A)、及び4つの四隅をB’、C’、D’、E’とし、それら4つの点と点Aとの4つの中点をそれぞれB、C、D、Eとする。A〜Eの5点の近傍を走査型電子顕微鏡写真(日立製作所製S−3000N)を多孔薄膜が接着した側の膜面の垂直方向から撮影する(1000〜3000倍)。
こうして得られた5枚の写真を画像解析ソフト(Image−Pro Plus(Media Cybernetics社製、Version 4.0 for Windows(登録商標))にそれぞれ取り込む。各写真において約200個の孔を含んだ画像範囲を無作為に選択した後、写真全体の中の孔領域を自動識別可能な状態までコントラストを調整して、平均孔直径を自動計算する。なお孔形状の多くは真円ではないため、長径と短径の平均値から各孔の孔直径が算出され、これが平均化される。得られた5つの平均孔直径をさらに平均して「平均孔直径D」を算出する。なお、画像解析ソフトによるコントラスト自動調整だけで孔領域を自動識別させることができない場合は、予め画像解析ソフトに取り込む写真の孔部分を黒く塗りつぶしておくなどの手動作業を行う必要がある。
孔直径の標準偏差σdとは、上記の「平均孔直径D」を規定した5つの画像範囲におけるそれぞれの孔直径の標準偏差を更に平均化した値である。「開孔率」は、同じ画像範囲において得られた5つの開孔率を平均化したものである。いずれも上記の画像解析によって算出できる。
貫通孔の割合は、上記のD、σd及び開孔率を算出したそれぞれの5つの画像領域において、各写真に含まれる全孔数(貫通孔と非貫通孔をあわせたもの)をN1、そのうち貫通している状態の孔数をN2とすると、両者を数えてN2/N1×100(%)の値を計算し、それら5つの平均値として算出する。
膜断面観察が可能なように凍結割断処理(複合膜をエタノールに浸漬して液体窒素にて凍結後、割断する)した複合膜を、走査型電子顕微鏡用の円盤状試料台に両面テープ等を用いて緩やかに不織布側にて接着固定して白金蒸着する(蒸着膜厚は約12nmになるように設定)。これを走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−3000N)で、膜の真横方向(膜平面方向)から観察し、複合膜を構成する多孔薄膜の平均膜厚Tおよび膜厚の標準偏差σtを測定する。
具体的には、上述(1)の平均孔直径Dを算出する際に選んだ、A〜Eの5点近傍の断面を走査型顕微鏡で観察しながら、その画像におけるスケールを用いて、50μm間隔で多孔薄膜厚を算出する。5点それぞれにおいて、約10点膜厚を測定して平均膜厚を計算する。次いで、5点の平均膜厚の値を平均化して、「平均膜厚T」を算出する。さらにこれらのデータを用いて膜厚の標準偏差σtを算出する。
平均流量孔径は、ASTM E1294−89に準拠し、パームポロメーター(PMI(Porous Materials,Inc.)社製)を用いてハーフドライ法により求めた。浸液は同じくPMI社製SILWICK(表面張力19.1dyn/cm)を用いた。
複合膜を構成する不織布、または複合膜の製造に用いる不織布を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製VT−8000)を用いて観察し、細繊維および微細繊維の直径を各30点ずつ測定し、平均値を算出して平均繊維径の値とした。
[実施例1]複合膜を用いる造血幹細胞の培養
不織布は、WO2004/094136A1パンフレットに記載された実施例1〜4と同様の条件で製造されたスパンボンド長繊維ウエブ/メルトブロー短繊維ウエブ/スパンボンド長繊維ウエブからなる3層積層ウエブを、フラットロールに通して熱圧着して得たポリエチレンテレフタレート製3層積層不織布を用いた。この不織布は、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察することで、平均繊維径15μmの長繊維(細繊維)と平均繊維径1.6μmの短繊維(微細繊維)が交絡して混和した構造を観察することができる。
不織布の平均流量孔径は10.4μm、総目付け量20g/m2(不織布1m2当たりの繊維重量)、厚み0.034mmであり、細繊維と微細繊維の総重量における、細繊維の重量割合(wt%)は17wt%である。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と2−(N、N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAMA)をランダム共重合したコポリマー(HEMA/DMAMA=97/3(モル比))の0.2wt%エタノール溶液を調製し、これをコーティング溶液とした。不織布をコーティング溶液に浸漬時間が5秒になるように連続的に浸漬した後、ニップロールに挟んで通過させて余分なコーティング溶液を除去し、乾燥してコーティングした不織布を得た。上記コポリマーの合成は、WO2005/014149A1パンフレットの実施例1の1−1に記載した方法に従った。
クロロホルムを溶媒として、ポリスルホン(PSU:テイジンアコモエンジニアリングプラスチックス製 UDEL P−3500)とポリアクリルアミド系両親媒性ポリマー(下記化学式(I))を溶質とする1.0g/Lの疎水性有機溶媒溶液を調製した。PSU/ポリアクリルアミド系両親媒性ポリマーは重量比で9/1であった。化学式(I)のポリアクリルアミド系両親媒性ポリマーの合成は、WO2005/014149A1パンフレットの実施例1の2に記載した方法に従った。この両親媒性ポリマーは、ユニットmとユニットnのモル比がm/n=4/1のランダムコポリマーである。
2)で準備したコーティング不織布を一辺16cmの正方形に切り、ビーカー中にて純水に浸漬し、超音波洗浄器で5分間脱気しながら十分に水を保持させた。この水を充分保持した不織布(含水不織布)をビーカーから取り出してガラス板上に置き、更に一辺15cmの正方形を打ち抜いた厚さ1mmの金属枠を、金属枠の打ち抜き部全面から該含水不織布が露出するように不織布上に重ねて配置し、ガラス板、含水不織布、金属枠を重ねた状態にしてクリップで固定した。
この含水不織布が露出した金属枠の打ち抜き部に、準備しておいたPSUとポリアクリルアミド系両親媒性ポリマーを含むクロロホルム溶液を、静かに14cm3流し入れ、室温25℃、相対湿度40%の恒温恒湿室中にて、溶液表面に相対湿度60%の空気を6リットル/分で吹き付けクロロホルム除去を行って、含水不織布上にPSUを主成分とする多孔薄膜を形成させた。続いて金属枠をはずし、室温で不織布を風乾し、複合膜を得た。
得られた複合膜の膜厚は35μmであり、多孔薄膜の開孔率は45%、平均孔直径Dは3.8μm、σd/Dは0.20、貫通孔の割合は68%、多孔薄膜の平均膜厚Tは3.0μm、σt/Tは0.20であった。
複合膜の表面を、多孔薄膜側から撮影した走査型電子顕微鏡写真を図6に示す。写真下、左上及び中央に見える太い繊維が平均繊維径15μmの不織布の長繊維、太い繊維の間に見える無数の細い繊維が平均繊維径1.6μmの不織布の微細短繊維である。また、ハニカム形状に見える無数の孔は多孔薄膜の孔を示し、この多孔薄膜の孔を通して不織布の構造を観察することができるが、これより多孔薄膜に膜破れが無いことがわかる。さらに、多孔薄膜には、不織布繊維が侵入(接着)し、その結果、孔が閉塞している状態も観察することができる。また、多孔薄膜近傍の複合膜断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真を図7に示す。多孔薄膜の孔は膜内部で膨らんだ球状貫通孔構造であり、互いに隣接する孔が膜面方向に互いに連通していることも観察できる。
製造した複合膜を25mmφの円形状に切り抜き、ガラス製リング(内径22mm、外径25mm、高さ10mm)の1つの端面に、複合膜の不織布面にて接着してカップ型容器を作成した。接着剤にはポリマー濃度17%のPSUのクロロホルム溶液を用いた。
このカップ型容器を121℃で20分間オートクレーブ滅菌した後、吸水性シート(セルロース製不織布、オートクレーブ滅菌済み)の上に複合膜を下にして置き、カップ内の複合膜上にマウス(Green Mouse;GFP蛍光蛋白トランスジェニックマウス)の骨髄細胞から単離した造血幹細胞の懸濁液(500個を含む)を滴下した。殆どの液体が複合膜を通過して吸水シートに吸収されたことで、造血幹細胞が導入された複合膜付きのカップ型容器を得た。
なおマウスの造血幹細胞を含む懸濁液は、次のように作成した。まず生後8週目のマウス10匹分から、大腿骨を取り出し、常法に基づき骨髄液を調整した。Lin抗体(CD4,CD8,Gr−1,Mac−1,B220、TER119抗体を混和したもの;成熟した血液細胞を認識できる組み合わせ。いずれもPharmingen社製。)と、c−kit抗体(Pharmingen社製)あるいはSca−1抗体(Pharmingen社製)で染色し、フローサイトメトリー法により自動蛍光細胞回収装置(JSAN; eBiosystems社製)にてLin陰性、c−kit陽性、Sca−1陽性の造血幹細胞を分画回収し、RPMI1640基本培地(Sigma社製)に10%牛血清、SCF(50ng/ml)、TPO(10ng/ml)、VEGF(10ng/ml)(いずれもGIBCO社製)を添加した培養液に500細胞/mlの濃度になるように調整した。
次に6wellの培養プレートから任意に選ばれた4つのwellに、No.1〜No.4のナンバリングを施し、No.1のwellにRPMI1640基本培地に10%牛血清、SCF(50ng/ml)、TPO(10ng/ml)、VEGF(10ng/ml)を添加した培養液を3ml入れた。
このNo.1のwellに、造血幹細胞が導入された複合膜付きカップ型容器を静置し、5%CO2、37℃で培養を開始した。なお、No.2〜No.4のwellは、以下の実施例2及び比較例1〜2の実験に使用した。
培養開始から10日後、No.1のwell内に培養される細胞を倒立蛍光顕微鏡(オリンパス社製)でwell下部より観察し、写真を撮影した(図8のg(暗視野像)とh(蛍光像))。その結果、複合膜上で、直径20〜40μmの大型の血液細胞が多数観察されることが判明した。本培養で観察される、直径20〜40μmの大型の血液細胞は巨核球であることはメイギムザ染色法(図9、矢印)により確認された。
また同じく培養10日後の倒立蛍光顕微鏡観察にて、複合膜領域、膜周辺領域(ガラスリングとの接着領域周辺)、複合膜のない領域をwell下部より観察したところ、図14の写真cに示したように複合膜が見られない培養液領域(写真の破線部右側。破線は有効多孔薄膜の辺縁を示す。)には細胞の流出が見られなかった。これによって多孔薄膜の
細胞流出阻止機能が確認された。
次に複合膜付きカップ型容器内外の培養液を回収し、計算板により血液細胞数、巨核球数を計測したところ、回収された全細胞数は5.40×105個であり、巨核球は4200個であることが計測された。全回収細胞数と巨核球数を実施例2及び比較例1〜2の結果とともに、図10のA(表)およびBとC(棒グラフ)に示した。
5)に記載の培養後10日にて得られた細胞を、フローサイトメトリー法を用いてCalibur (Becton Dickinson社製)にて解析したところ、血小板分画の細胞の割合は全体の細胞中1.13%であることが判明した(図11のd)。この計測数をもとに、回収された全細胞数から計算し、本培養液には血小板が6102個存在することが判明した。全血小板数を実施例2及び比較例1〜2の結果と比較し、図12のA(表)とB(棒グラフ)に示した。
実施例1の1)で使用した不織布を25mmφの円形状に切り抜き、ガラス製リング(内径22mm、外径25mm、高さ10mm)の1つの端面に接着してカップ型容器を作成し、121℃で20分間オートクレーブ滅菌した。接着剤にはポリマー濃度17%のPSUのクロロホルム溶液を用いた。
実施例1の4)にて準備した6wellの培養プレートのNo.4のwell中にて(No.1〜3に入れたものと同じ培養液入り)、作成した不織布付きカップ型容器を、不織布を下にして培養液に浸漬し、実施例1と同様にして採取したGreen Mouse由来の造血幹細胞の500個を5%CO2、37℃で培養した。なおこの場合、不織布は造血幹細胞が容易に通り抜けることとから、まず2mlの培養液をwellに加え、その後に不織布付きカップ型容器を浸漬、静置したのちに、その容器の中に500個の造血幹細胞を含む1mlの培養液を滴下した。
培養開始から10日後、No.4のwell内に培養される細胞を倒立蛍光顕微鏡でwell下部より観察したところ、不織布中に多数の細胞が確認され、巨核球も多数含まれていた(図8のe(暗視野像)とf(蛍光像))。実施例1の5)と同様に全培養液を回収して、全細胞数と巨核球数を計算したところ、全細胞数は6.25×105個、巨核球は5000個確認された。全回収細胞数と巨核球数を実施例1および比較例1と2の結果とともに、図10のA(表)およびBとC(棒グラフ)に示した。
また、同じく培養10日後の倒立蛍光顕微鏡観察にて、不織布領域、不織布周辺領域(不織布接着領域周辺)、不織布のない領域をwell下部より観察したところ、図14の写真bに示したように不織布が見られない培養液領域(写真の破線部下側。破線は有効不織布の辺縁を示す。)には、複合膜やセルカルチャーインサート膜と異なり、細胞の流出が見られた。すなわち不織布だけでは細胞阻止機能がないため、培養液中の特定の領域(例えば不織布中)にて細胞培養を行うことはできないことが分かる。
培養後10日目にて得られた培養液を用い、実施例1の6)と同様に、血小板分画を計測したところ、全細胞中0.54%が血小板であり(図11のc)、得られた全細胞数からの計算により、本培養液中には3375個の血小板が含まれていることが確認された。
全血小板数を実施例1および比較例1と2の結果とともに、図12のA(表)とB(棒グラフ)に示した。
実施例1−4)で実施した方法と同様に、造血幹細胞をカップ型培養器内で10日間培養を行い、巨核球が産生されている状況になった時点で、培養器を直径10cmのプラスチック培養皿(RPMI1640基本培地(Sigma社製)に10%牛血清、SCF(50ng/ml)、TPO(10ng/ml)、VEGF(10ng/ml)(いずれもGIBGO社製)を添加した培養液10mlを含む)に移動した。その際、培養皿の底面に2本の毛細採血管を並べて培養皿に設置し、その上にカップ培養器を置くことで、培養皿とカップ培養器の間に約2mmの隙間をあけた。
培養皿中のカップ型培養器より3cmほど離れた位置に長さ2cmのスターラーバーを設置し、200rpmの回転数により、培養液に液流を生じさせ、流体シェアストレスをカップ型培養器の底面の多孔薄膜(複合膜と一体化)に負荷した。シェアストレスを負荷してから0日後(5秒後)、1日後、3日後のカップ型培養器外の培養液を回収し、複合膜の多孔膜より放出された血小板をフローサイトメトリーにより解析した(図15)。シェアストレス負荷を開始した直後(5秒後)では、カップ型培養器外の培養液中には血小板は存在しないが、1日後、3日後と血小板の放出が促進された。
実施例1の4)にて準備した6wellの培養プレートのNo.2のwellに、No.1のwellに入れたものと同じ培養液を3ml入れ、これに実施例1と同様にして採取したGreen Mouse由来の造血幹細胞を500個播種し、5%CO2、37℃で培養を開始した。
培養開始から10日後、well内の細胞を倒立蛍光顕微鏡でwell下部より観察すると、少数の細胞が培養皿上で確認され、そのなかには巨核球も含まれていた(図8のa(暗視野像)とb(蛍光像))。しかし実施例1の5)と同様に全培養液を回収して、全細胞数と巨核球数を計算したところ、全細胞数は1.33×105個、巨核球は310個であり少なかった。全回収細胞数と巨核球数を実施例1、2および比較例2の結果とともに、図10のA(表)およびBとC(棒グラフ)に示した。
培養後10日目にて得られた培養液を用い、実施例1の6)と同様に、血小板分画を計測したところ、全細胞中0.17%が血小板であり(図11のa)、得られた全細胞数からの計算により、本培養液中には225個の血小板が含まれていることが確認された。全血小板数を実施例1、2および比較例2の結果とともに、図12のA(表)とB(棒グラフ)に示した。
実施例1において、複合膜付きカップ型容器の代わりに、0.4ミクロンのポアを有する市販のセルカルチャーインサート膜付きカップ型容器(Cell culture insert、6well用、FALCON製)を使用する以外は、実施例1と同様にしてGreen Mouse由来の造血幹細胞の培養を5%CO2、37℃で培養を開始した。この膜は、ポリエチレンテレフタレート製の単層膜で厚みが約15μm、開孔率は約5%であり、直管状の孔を有する。
具体的には、実施例1の4)にて準備した6wellの培養プレートのNo.3のwellに、No.1および2のwellに入れたものと同じ培養液を3ml入れ、これにカップ内部の膜面に造血幹細胞を載せたセルカルチャーインサート膜付きカップ型容器を浸漬、静置した。
培養開始から10日後、No.3のwell内に培養される細胞を倒立蛍光顕微鏡でwell下部より観察したところ、少数の細胞が培養皿上で確認され、そのなかには巨核球も含まれていた(図8のc(暗視野像)とd(蛍光像))。しかし実施例1の5)と同様に全培養液を回収して、全細胞数と巨核球数を計算したところ、全細胞数は1.30×105個、巨核球は355個であり少なかった。全回収細胞数と巨核球数を実施例1および比較例1と3の結果と比較し、図10のA(表)およびBとC(棒グラフ)に示した。
また同じく培養10日後の倒立蛍光顕微鏡観察にて、セルカルチャーインサート膜領域、膜周辺領域(膜接着領域周辺)、複合膜のない領域をwell下部より観察したところ、図14の写真aに示したように膜が見られない培養液領域(写真の破線部右側。破線は有効セルカルチャーインサート膜の辺縁を示す。)には、複合膜と同様に細胞の流出は見られなかった。
培養後10日目にて得られた培養液を用い、実施例1の6)と同様に、血小板分画を計測したところ、全細胞中0.16%が血小板であり(図11のb)、得られた全細胞数からの計算により、本培養液中には208個の血小板が含まれていることが確認された。全血小板数を実施例1、2および比較例1の結果とともに、図12のA(表)とB(棒グラフ)に示した。
以上の実施例1、2および比較例1、2の結果をまとめると、本発明について以下の効果を確認することができた。
(1)造血幹細胞から巨核球への誘導
同じ成分の培養液中、等量の造血幹細胞数から開始した培養において、全回収細胞数は、3次元培養環境を提供しうる不織布を有する培養系(実施例1(複合膜)と実施例2(不織布のみ))が、比較例1(液体成分のみ)と比較例2(セルカルチャーインサート膜)に比べ5倍近い細胞の回収率を得ることができた。
さらに、巨核球数に至っては、不織布を有する培養系(実施例1と実施例2)が、比較例1と比較例2に比べ約15倍の数を得ることができた。これらの結果から、本発明で用いる支持多孔膜(特に不織布)は、造血幹細胞群の増幅を促進すると伴に、特に巨核球への分化誘導を効果的に促進する機能を有することが分かる。
(2)巨核球から血小板への誘導
血小板数を比較した場合、実施例1(複合膜)で得られた血小板数は、比較例1(液体成分のみ)と比較例2(セルカルチャーインサート膜)に比べ約30倍であり、実施例2(不織布のみ)と比べても約2倍であった。図13は、得られた血小板数と巨核球数の比(血小板数/巨核球数)により、巨核球からの血小板産生の効率を計算したものである。
実際には一つの巨核球が複数の血小板を放出した場合と、巨核球が血小板を全く放出していない場合も含まれると考えられるため、あくまで平均化した値であるが、比較例1、2に比較して、実施例1では血小板数/巨核球数の比は1を超えており、実施例1が最も効率良く血小板産生を誘導できることが判明した。これらの結果より、本発明で用いる多孔薄膜は、巨核球からの血小板産生を特異的に誘起する機能を有することが分かる。
(3)造血幹/前駆細胞からの巨核球産生、および巨核球からの血小板産生
本発明で用いる複合膜は、造血幹/前駆細胞からの巨核球産生、および巨核球からの血小板産生の双方を促進しうる培養足場材料(スキャホールド)として機能するため、本発明の複合膜を用いた誘導方法は血小板前駆細胞からの体外血小板産生に有用である。さらに複合膜を構成する多孔薄膜は、血小板前駆細胞(特に有核細胞)が支持多孔膜側から反対側へ流出することを阻止する役割を果たすこともできるため、産生された血小板の臨床応用の点を鑑みても、本発明の複合膜を用いる誘導方法は実用性の高い方法であると言える。
さらに本発明の方法は、上記由来の幹細胞の量的な不足問題をクリアしうる幹細胞ソースとして注目される成体幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞;Embryonic Stem Cell)や、ES細胞の倫理的問題や拒絶の問題を解決するとされ注目されている人工多能性幹細胞(iPS細胞;Induced Pluripotent Stem Cell)を用いる血小板産生技術にも応用できるため、技術的インパクトは非常に大きい。
近い将来、血小板減少症などの患者へ頻回移植される血小板が、本技術に立脚して体外生産された血小板に徐々に置き換えられることで、安定かつ安全な輸血治療が広がってゆくものと考えられる。そして最終的には、現行のボランティアドナーに依存する輸血事業から脱却し、血小板のみならず赤血球やリンパ球などの血液成分を大量かつ安全に製造する、いわゆる「血液工場」の基盤確立に展開してゆくものと期待される。
なお最近、血小板が減少した患者に対する血小板数回復の手段として、巨核球を移植する試みもなされている(例えばhaematologica 2004;89(5):May 2004)。既述の通り、本発明に用いる複合膜は、造血幹細胞からの巨核球誘導に効果的である。従って本発明の方法は、血小板前駆細胞として特に造血幹/前駆細胞、ES細胞、iPS細胞等の未分化な細胞を用いる場合、優れた巨核球の誘導方法としても有用となり、今後体内および体外における血小板誘導技術の研究現場で使用され、さらに巨核球を用いた臨床応用へ発展する可能性を有する。
2 平行配置された複数枚の複合膜
3 直方体状の培養容器
4 垂直配置された複数枚の複合膜
5 血小板前駆細胞の導入口
6 培養液の導入口
7 産生血小板浮遊液の取り出し口
8 複合膜
9 カップ型容器
10 培養液容器
11 ハウジング
12 スターラー
Claims (20)
- 支持多孔膜の少なくとも一方の面上に多孔薄膜が積層された複合膜を浸漬した培養液中において、血小板前駆細胞を培養することで血小板前駆細胞を血小板及び/又は巨核球へ分化させる誘導方法であって、該多孔薄膜の開孔率が5〜80%、平均孔直径D(μm)が0.5≦D≦20、孔直径の標準偏差σd(μm)が0≦σd/D≦0.6であり、該支持多孔膜の平均流量孔径が1μm以上である上記誘導方法。
- 支持多孔膜の少なくとも一方の面上に多孔薄膜が積層された複合膜を培養液に浸漬して形成される、多孔薄膜で仕切られた少なくとも2つの領域の内、支持多孔膜側の領域に血小板前駆細胞を配置して培養することで、血小板前駆細胞を血小板及び/又は巨核球へ分化させる誘導方法であって、該多孔薄膜の開孔率が5〜80%、平均孔直径D(μm)が0.5≦D≦20、孔直径の標準偏差σd(μm)が0≦σd/D≦0.6であり、該支持多孔膜の平均流量孔径が1μm以上である上記誘導方法。
- 多孔薄膜で仕切られた少なくとも2つの領域の内、支持多孔膜が存在しない領域の培養液によって多孔薄膜にシェアストレスを負荷させることを特徴とする、請求項2に記載の誘導方法。
- 多孔薄膜の平均膜厚T(μm)が0.5≦T≦30であり、膜厚の標準偏差σt(μm)が0≦σt/T≦0.5である請求項1〜3のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 多孔薄膜の開孔率が10〜80%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 多孔薄膜の開孔率が15〜80%、平均孔直径D(μm)が0.5≦D≦10、平均膜厚T(μm)が0.5≦T≦15である請求項1〜5のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 支持多孔膜の平均流量孔径が1〜100μmである請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 支持多孔膜が不織布である請求項1〜7のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 多孔薄膜を構成する有機高分子化合物が支持多孔膜中に侵入した構造を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 多孔薄膜の内部にて隣接する孔が連通している請求項1〜9のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 不織布が、平均繊維径7〜30μmの少なくとも1種の細繊維と、平均繊維径0.5〜5μmの少なくとも1種の微細繊維が交絡して混和した構造を有する請求項8に記載の誘導方法。
- 平均繊維径7〜30μmの細繊維が長繊維であり、平均繊維径0.5〜5μmの微細繊維が短繊維である請求項11に記載の誘導方法。
- 多孔薄膜が有する貫通孔の割合が20%以上である請求項1〜12のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 血小板前駆細胞が造血幹細胞である請求項1〜13のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 血小板前駆細胞が骨髄細胞または臍帯血由来細胞である請求項1〜14のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 臍帯血由来細胞が単核球である請求項15に記載の誘導方法。
- 少なくとも1種類以上のサイトカインを培養液中に添加する請求項1〜16のいずれか一項に記載の誘導方法。
- サイトカインがTPO、VEGF、およびSCFから選ばれる請求項17に記載の誘導方法。
- 予め血小板前駆細胞を支持多孔膜中に充填した後、該血小板前駆細胞が充填された複合膜を培養液に浸漬して血小板前駆細胞を培養する請求項1〜18のいずれか一項に記載の誘導方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合膜を含んでなり、複合膜を培養液に浸漬して形成される、多孔薄膜で仕切られた少なくとも2つの領域の内、支持多孔膜側の領域に血小板前駆細胞を配置して培養することで、血小板前駆細胞を血小板及び/又は巨核球へ誘導することを可能とする血小板及び/又は巨核球産生装置。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009117105A JP5419076B2 (ja) | 2008-05-15 | 2009-05-14 | 血小板の誘導方法 |
US12/992,429 US8535943B2 (en) | 2008-05-15 | 2009-05-15 | Blood platelet induction method |
CA2724043A CA2724043C (en) | 2008-05-15 | 2009-05-15 | Blood platelet induction method |
PCT/JP2009/002131 WO2009139177A1 (ja) | 2008-05-15 | 2009-05-15 | 血小板の誘導方法 |
EP09746384.8A EP2298865B1 (en) | 2008-05-15 | 2009-05-15 | Blood platelet induction method |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008128389 | 2008-05-15 | ||
JP2008128389 | 2008-05-15 | ||
JP2009117105A JP5419076B2 (ja) | 2008-05-15 | 2009-05-14 | 血小板の誘導方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009297023A JP2009297023A (ja) | 2009-12-24 |
JP5419076B2 true JP5419076B2 (ja) | 2014-02-19 |
Family
ID=41318552
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009117105A Expired - Fee Related JP5419076B2 (ja) | 2008-05-15 | 2009-05-14 | 血小板の誘導方法 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US8535943B2 (ja) |
EP (1) | EP2298865B1 (ja) |
JP (1) | JP5419076B2 (ja) |
CA (1) | CA2724043C (ja) |
WO (1) | WO2009139177A1 (ja) |
Families Citing this family (22)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5863459B2 (ja) * | 2008-12-04 | 2016-02-16 | インセルム (アンスティテュ・ナショナル・ドゥ・ラ・サント・エ・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・メディカル)INSERM (Institut National de la Sante et de la Recherche Medicale) | 血小板の産生方法 |
EP2686420B1 (en) * | 2011-03-18 | 2017-03-01 | New York Blood Center, Inc. | Megakaryocyte and platelet production from stem cells |
KR101985351B1 (ko) * | 2011-04-01 | 2019-06-03 | 도레이 카부시키가이샤 | 복합 반투막, 복합 반투막 엘리먼트 및 복합 반투막의 제조 방법 |
JP6108426B2 (ja) * | 2011-06-28 | 2017-04-05 | 国立大学法人名古屋大学 | 血小板産生方法及び血小板産生装置 |
JP5824734B2 (ja) * | 2011-12-22 | 2015-11-25 | 小西化学工業株式会社 | 芳香族ポリマーのスルホン化物の製造方法 |
EP2934555B1 (en) | 2012-12-21 | 2021-09-22 | Astellas Institute for Regenerative Medicine | Methods for production of platelets from pluripotent stem cells |
US9795965B2 (en) * | 2013-01-03 | 2017-10-24 | Brigham And Women's Hospital, Inc. | System and method for a biomimetic fluid processing |
JP2014155471A (ja) * | 2013-02-18 | 2014-08-28 | Univ Of Tokyo | 血小板産生流路装置及び血小板産生方法 |
JP2015181406A (ja) * | 2014-03-24 | 2015-10-22 | 東レエンジニアリング株式会社 | 血小板産生装置および血小板産生方法 |
CA2944314C (en) | 2014-03-31 | 2023-09-19 | Brigham And Women's Hospital, Inc. | Systems and methods for biomimetic fluid processing |
EP3130668B1 (en) * | 2014-04-07 | 2019-07-17 | IUCF-HYU (Industry-University Cooperation Foundation Hanyang University) | In-vitro expansion of erythroid cells |
JP6851311B2 (ja) * | 2015-09-15 | 2021-03-31 | 株式会社メガカリオン | 回転式撹拌培養法による血小板の製造方法 |
WO2017061528A1 (ja) * | 2015-10-09 | 2017-04-13 | 国立大学法人名古屋大学 | 血小板製造用デバイス、血小板製造装置及び血小板製造方法 |
KR20180080261A (ko) * | 2015-11-02 | 2018-07-11 | 가부시키가이샤 메가카리온 | 왕복 이동 교반 장치를 사용한 혈소판의 제조 방법 |
WO2018062073A1 (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | 東レ株式会社 | 培養血小板濃縮モジュールおよびそれを用いた血小板製剤の製造方法 |
WO2018207565A1 (ja) * | 2017-05-12 | 2018-11-15 | 富士フイルム株式会社 | 分離基材、細胞分離フィルターおよび血小板の製造方法 |
WO2018207564A1 (ja) * | 2017-05-12 | 2018-11-15 | 富士フイルム株式会社 | 分離基材、細胞分離フィルターおよび血小板の製造方法 |
EP3744826A4 (en) * | 2018-01-24 | 2021-10-27 | Ube Industries, Ltd. | CELL CULTURE MODULE |
JP7279372B2 (ja) * | 2018-01-24 | 2023-05-23 | Ube株式会社 | 細胞培養不織布モジュール |
US20210252070A1 (en) * | 2018-06-29 | 2021-08-19 | Platelet Biogenesis, Inc. | Compositions for Drug Delivery and Methods of Use Thereof |
WO2020116254A1 (ja) * | 2018-12-06 | 2020-06-11 | 富士フイルム株式会社 | 細胞培養デバイス |
CN109967016B (zh) * | 2019-01-23 | 2021-03-19 | 南京市江宁医院 | 一种流体运动模式体外人工合成血小板方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2338678A3 (en) | 2003-04-22 | 2012-12-19 | Asahi Kasei Fibers Corporation | High tenacity nonwoven fabric |
JP4863714B2 (ja) | 2003-08-07 | 2012-01-25 | 旭化成クラレメディカル株式会社 | 複合多孔膜とその製造方法 |
JP4534046B2 (ja) | 2004-04-14 | 2010-09-01 | 有限会社金沢大学ティ・エル・オー | 臓器特異的幹細胞の増殖方法及び増殖装置 |
US20070077654A1 (en) * | 2004-11-01 | 2007-04-05 | Thomson James A | Platelets from stem cells |
JP2007089432A (ja) | 2005-09-27 | 2007-04-12 | Reprocell Inc | 幹細胞由来血小板産生増加法 |
-
2009
- 2009-05-14 JP JP2009117105A patent/JP5419076B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 2009-05-15 US US12/992,429 patent/US8535943B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2009-05-15 EP EP09746384.8A patent/EP2298865B1/en not_active Not-in-force
- 2009-05-15 CA CA2724043A patent/CA2724043C/en not_active Expired - Fee Related
- 2009-05-15 WO PCT/JP2009/002131 patent/WO2009139177A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP2298865A4 (en) | 2012-06-27 |
CA2724043C (en) | 2015-02-10 |
US8535943B2 (en) | 2013-09-17 |
CA2724043A1 (en) | 2009-11-19 |
EP2298865B1 (en) | 2013-07-24 |
WO2009139177A1 (ja) | 2009-11-19 |
EP2298865A1 (en) | 2011-03-23 |
US20110065190A1 (en) | 2011-03-17 |
JP2009297023A (ja) | 2009-12-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5419076B2 (ja) | 血小板の誘導方法 | |
JP4863714B2 (ja) | 複合多孔膜とその製造方法 | |
JP5725560B2 (ja) | 細胞シートを利用した細胞評価システム及びその利用方法 | |
US7721898B2 (en) | Coating material for leukocyte removal filter and the filter | |
US5804431A (en) | Method, compositions and apparatus for cell transfection | |
JP6312348B2 (ja) | 血小板産生方法及び血小板産生装置 | |
JP2016093149A (ja) | 細胞培養装置および細胞培養方法 | |
JP5155530B2 (ja) | 成体幹細胞分離・培養システム | |
JP4992115B2 (ja) | 複合膜とその製造方法 | |
JP2009254271A (ja) | 心筋細胞の誘導方法 | |
KR20210098085A (ko) | 3차원 세포 스페로이드 배양용 웰 플레이트, 이의 제조 방법 및 이를 이용한 3차원 세포 스페로이드 배양 방법 | |
JP5713086B2 (ja) | 生体組織の作製方法 | |
CN106178163B (zh) | 艾滋病生物细胞免疫治疗仪 | |
JP6452304B2 (ja) | 細胞シート培養基材、細胞シート培養基材複合物、及び細胞シート/培養基材複合の製造方法 | |
TW202130802A (zh) | 分離基材、細胞分離過濾器及血小板之製造方法 | |
US11939562B2 (en) | System and methods for immune cells expansion and activation in large scale | |
JP2016007207A (ja) | iPS細胞の大量培養方法 | |
JP5923292B2 (ja) | 骨髄液処理方法 | |
JP2006211950A (ja) | 細胞の生存率を測定する方法 | |
JP2006025635A (ja) | 多孔質の支持体に細胞を内在化させる方法、器具または装置 | |
JP2020018235A (ja) | 巨核球細胞の培養方法及び培養装置 | |
JP2020022410A (ja) | 血小板の産生方法および産生装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20100407 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20100407 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120316 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20120316 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20120416 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130917 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131015 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131031 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131113 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5419076 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |