JP5418136B2 - ポリアリーレンの製造方法 - Google Patents
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Description
ポリアリーレンの製造方法としては、例えば、特許文献1には、分子の両端に塩素原子を有するポリエーテルスルホンに、芳香族ジハライド化合物として4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)をニッケル触媒の存在下にカップリング反応させる方法が記載されている。
すなわち、本発明は、
<1> 溶媒、触媒量の遷移金属錯体、1種以上の芳香族ジハライド化合物、および、前記遷移金属錯体1モルに対して、カルボキシル基を有する化合物、水酸基を有する化合物、アミノ基を有する化合物および水からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物2〜20モルを含む混合物を攪拌することにより芳香族ジハライド化合物のカップリング反応を行うことを特徴とするポリアリーレンの製造方法;
(式中、X1は独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表わす。Ar1は、2価の芳香族基を表わし、該2価の芳香族基は、下記(a)〜(f)からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。
(a)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基
(b)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基
(c)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリール基
(d)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
(e)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数2〜20のアシル基
(f)−SO2−O−で示される基を含む基)
で示される芳香族ジハライド化合物を含む<1>記載のポリアリーレンの製造方法;
(式中、a、bおよびcはそれぞれ独立して、0または1を表わし、nは5以上の整数を表わす。Y1およびY2はそれぞれ独立して、単結合、−CO−、−SO2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−またはフルオレン−9,9−ジイル基を表わす。
Z1およびZ2はそれぞれ独立して、酸素原子または硫黄原子を表わす。X2は独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表わす。Ar2、Ar3、Ar4およびAr5はそれぞれ独立して、2価の芳香族基を表わす。ここで、該2価の芳香族基は、下記(g)〜(k)からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。
(g)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基
(h)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基
(i)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜10のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリール基
(j)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
(k)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数2〜20のアシル基)
で示される化合物を含む<1>または<2>に記載のポリアリーレンの製造方法;
<5> ニッケル錯体が、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)と含窒素二座配位子とから調製される錯体である<4>記載のポリアリーレンの製造方法;
<6> ニッケル錯体が、ハロゲン化ニッケルと含窒素二座配位子とから、亜鉛の共存下で調製される錯体である<4>記載のポリアリーレンの製造方法;
(式中、R1は独立して、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基または−SO2−O−で示される基を含む基を表わし、mは0〜4の整数を表わす。)
で示される基である<2>〜<7>のいずれか記載のポリアリーレンの製造方法;
<9> Ar1が、式(4)
(式中、R2およびR3はそれぞれ独立して、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基または−SO2−O−で示される基を含む基を表わし、jは0〜4の整数を表わし、kは0〜4の整数を表わす。)
で示される基である<2>〜<7>のいずれか記載のポリアリーレンの製造方法;
(式中、R4は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルキル基で置換されていてもよいアンモニウム、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表わし、前記炭素数1〜20のアルキル基および炭素数6〜20のアリール基は、フッ素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい。)
で示される基を有する<8>記載のポリアリーレンの製造方法;
<11> 式(4)で示される基が、一つ以上の式(5)
(式中、R4は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルキル基で置換されていてもよいアンモニウム、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表わし、前記炭素数1〜20のアルキル基および炭素数6〜20のアリール基は、フッ素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい。)
で示される基を有する<9>記載のポリアリーレンの製造方法;
等である。
ヘテロ芳香環としては、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環およびキノキサリン環が挙げられる。
(式中、X1は独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表わす。Ar1は、2価の芳香族基を表わし、該2価の芳香族基は、下記(a)〜(f)からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。
(a)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基
(b)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基
(c)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリール基
(d)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
(e)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数2〜20のアシル基
(f)−SO2−O−で示される基を含む基)
で示される芳香族ジハライド化合物(以下、化合物(1)と略記する。)が挙げられる。
(a)〜(e)における炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基等の前記炭素数6〜20のアリール基と酸素原子とから構成されるものが挙げられる。
(式中、R4は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルキル基で置換されていてもよいアンモニウム、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表わし、前記炭素数1〜20のアルキル基および炭素数6〜20のアリール基は、フッ素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい。)
で示される基および式(5)で示される基と連結基とが結合した基が挙げられ、式(5)で示される基が好ましい。
Ar1が(f)を有する2価の芳香族基である化合物(1)が好ましい。
(式中、R1は独立して、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基または−SO2−O−で示される基を含む基を表わし、mは0〜4の整数を表わす。)
(式中、R2およびR3はそれぞれ独立して、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基または−SO2−O−で示される基を含む基を表わし、jは0〜4の整数を表わし、kは0〜4の整数を表わす。)
で示される基である化合物(1)が好ましい。
式(3)および(4)で示される基としては、1つ以上の式(5)で示される基を有する基であることが好ましい。
4−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、4−(2,5−ジブロモベンゾイル)ベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、4−(2,5−ジヨードベンゾイル)ベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、3−(2,5−ジブロモベンゾイル)ベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)および3−(2,5−ジヨードベンゾイル)ベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)が挙げられる。
4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸カリウム、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸リチウム、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ナトリウム、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カリウム、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸リチウム、
4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジメチル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジエチル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジプロピル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソプロピル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジブチル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソブチル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジシクロヘキシル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジオクチル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジペンタデシル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイコシル、
4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジメチル、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジエチル、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジプロピル、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジイソプロピル、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジブチル、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジイソブチル、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジシクロヘキシル、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジオクチル、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジペンタデシル、4,4’−ジクロロビフェニル−3,3’−ジスルホン酸ジイコシル、
(式中、a、bおよびcはそれぞれ独立して、0または1を表わし、nは5以上の整数を表わす。Y1およびY2はそれぞれ独立して、単結合、−CO−、−SO2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−またはフルオレン−9,9−ジイル基を表わす。
Z1およびZ2はそれぞれ独立して、酸素原子または硫黄原子を表わす。X2は独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表わす。Ar2、Ar3、Ar4およびAr5はそれぞれ独立して、2価の芳香族基を表わす。ここで、該2価の芳香族基は、下記(g)〜(k)からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。
(h)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基
(i)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜10のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリール基
(j)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
(k)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数2〜20のアシル基)
で示される化合物(以下、化合物(2)と略記する。)を用いてもよい。
化合物(2)としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上のものを用いることが好ましく、3,000以上であるものがより好ましい。
芳香族ジハライド化合物として、化合物(1)のみを用いた場合、式(6)
(式中、Ar1は上記と同一の意味を表わす。)
で示される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(6)と略記する。)
のみからなるポリアリーレンが得られる。
(式中、a、b、c、n、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Y1、Y2、Z1およびZ2はそれぞれ上記と同一の意味を表わす。)
で示されるセグメント(以下、セグメント(7)と略記する。)とを含むポリアリーレンが得られる。
繰り返し単位(6)を含むポリアリーレンは、繰り返し単位(6)以外の繰り返し単位やセグメントを含んでいてもよい。繰り返し単位(6)とセグメント(7)とを含むポリアリーレンは、繰り返し単位(6)とセグメント(7)のみからなるポリアリーレンであってもよいし、繰り返し単位(6)とセグメント(7)に加えて、繰り返し単位(6)とセグメント(7)以外の繰り返し単位やセグメントを含んでいてもよい。
繰り返し単位(6)のみからなるポリアリーレンは、化合物(1)のみを、触媒量の遷移金属錯体の存在下にカップリングさせることにより製造することができる。繰り返し単位(6)とセグメント(7)とを含むポリアリーレンは、触媒量の遷移金属錯体の存在下に、化合物(1)と化合物(2)とを含む芳香族ジハライド化合物をカップリングさせることにより製造することができる。
また、化合物(1)のみを、触媒量の遷移金属錯体の存在下に、カップリングさせた後、化合物(2)を加えてさらにカップリング反応を行うことにより、繰り返し単位(6)とセグメント(7)とを含むポリアリーレンを製造することもできる。
本発明で用いられる遷移金属錯体としては、ニッケル錯体、パラジウム錯体、白金錯体および銅錯体が挙げられる。中でも、ゼロ価の遷移金属錯体が好ましく、ゼロ価ニッケル錯体、ゼロ価パラジウム錯体等のゼロ価遷移金属錯体が好ましく用いられ、ゼロ価ニッケル錯体がより好ましい。ゼロ価ニッケル錯体としては、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)、ニッケル(0)(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)およびニッケル(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)が挙げられ、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)が好ましい。
本発明の製造方法においては、触媒量の遷移金属錯体が用いられ、具体的には、芳香族ジハライド化合物1モルに対して、例えば、0.01〜0.99モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは0.01〜0.5モルの範囲等が挙げられる。
配位子化合物としては、含窒素二座配位子が好ましい。含窒素二座配位子としては、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられ、2,2’−ビピリジンが好ましい。含窒素二座配位子を用いる場合のその使用量は、遷移金属錯体1モルに対して、例えば、0.5〜2モルの範囲等が挙げられ、好ましくは0.8〜1.5モルの範囲等が挙げられる。
亜鉛を用いる場合、メタンスルホン酸等の酸で亜鉛を活性化させて用いてもよい。
反応温度は、例えば、0〜250℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは0〜100℃の範囲等が挙げられる。
反応時間は、例えば、0.5〜48時間の範囲等を挙げることができる。
遷移金属錯体1モルに対して、カルボキシル基を有する化合物、水酸基を有する化合物、アミノ基を有する化合物および水からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が前記混合物中に2モル以上存在すると、カップリング反応が十分に進行することから好ましい。また、遷移金属錯体1モルに対して、カルボキシル基を有する化合物、水酸基を有する化合物、アミノ基を有する化合物および水からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が20モル以下、好ましくは10モル以下であると、過度なカップリング反応の進行が抑制され、結果として、反応混合物からのポリアリーレンの取り出し操作が容易となる傾向があることから好ましい。
例えば、式(2)で表わされる化合物に芳香族ジハライド化合物のカップリング反応させる場合、上記化合物が2〜20モルの範囲内であると、所望の分子量(例えば、重量平均分子量5,000〜600,000)を有するポリアリーレンを与えることができる。
カルボキシル基を有する化合物としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、メタクリル酸、イソ酪酸、イタコン酸、オクチル酸、オレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコンン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、フルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等が挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノール、アリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
得られたポリアリーレンの分子量や構造は、ゲル浸透クロマトグラフィ、NMR等の分析手段により分析することができる。生成したポリアリーレンを溶解しない溶媒または溶解しにくい溶媒としては、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル等が挙げられ、水およびメタノールが好ましい。
<分析条件>
測定装置:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム:TSK−GEL(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:臭化リチウム含有N,N−ジメチルアセトアミド(臭化リチウム濃度:10mmol/dm3)
流量:0.5mL/分
検出波長:300nm
窒素置換した反応容器に、臭化ニッケル1.45g、2,2’−ビピリジン1.04gおよびN−メチル−2−ピロリドン129.8gを加えた。得られた混合物を65℃で2時間攪拌した後、20℃に冷却し、ニッケル含有溶液を調製した。
窒素置換した別の反応容器に、下記式
得られたモノマー溶液とニッケル含有溶液とを混合して得られる混合物中の水の量が、ニッケル錯体1モルに対して、2.4モルとなるよう、ニッケル含有溶液に水を加えた。得られた水およびニッケル含有溶液をモノマー溶液に注ぎ、得られた混合物を20℃で13時間攪拌し、カップリング反応を行った。得られたポリアリーレンを含む反応混合物は流動性のよい溶液であった。また、該反応混合物と該ポリアリーレンを溶解しにくい溶媒とを混合することにより、下記式(6i)
実施例1において、得られたモノマー溶液とニッケル含有溶液とを混合して得られる混合物中の水の量が、ニッケル錯体1モルに対して、4.7モルとなるよう、ニッケル含有溶液に水を加えた以外は、実施例1と同様にカップリング反応を実施し、上記式(6i)で示される繰り返し単位と上記式(7b)で示されるセグメントとを含み、Mwが375,000であるポリアリーレンを得た。得られたポリアリーレンを含む反応混合物は流動性のよい溶液であった。また、該反応混合物と該ポリアリーレンを溶解しにくい溶媒とを混合することにより、前記ポリアリーレンを容易に取り出すことができた。
実施例1において、得られたモノマー溶液とニッケル含有溶液とを混合して得られる混合物中の水の量が、ニッケル錯体1モルに対して、6.0モルとなるよう、ニッケル含有溶液に水を加えた以外は、実施例1と同様にカップリング反応を行い、上記式(6i)で示される繰り返し単位と上記式(7b)で示されるセグメントとを含み、Mwが323,000であるポリアリーレンを得た。得られたポリアリーレンを含む反応混合物は流動性のよい溶液であった。また、該反応混合物と該ポリアリーレンを溶解しにくい溶媒とを混合することにより、前記ポリアリーレンを容易に取り出すことができた。
実施例1において、得られたモノマー溶液とニッケル含有溶液とを混合して得られる混合物中の水の量が、ニッケル錯体1モルに対して、7.3モルとなるよう、ニッケル含有溶液に水を加えた以外は、実施例1と同様にカップリング反応を行い、上記式(6i)で示される繰り返し単位と上記式(7b)で示されるセグメントとを含み、Mwが284,000であるポリアリーレンを得た。得られたポリアリーレンを含む反応混合物は流動性のよい溶液であった。また、該反応混合物と該ポリアリーレンを溶解しにくい溶媒とを混合することにより、前記ポリアリーレンを容易に取り出すことができた。
実施例1において、得られたモノマー溶液とニッケル含有溶液とを混合して得られる混合物中の水の量が、ニッケル錯体1モルに対して、8.6モルとなるよう、ニッケル含有溶液に水を加えた以外は、実施例1と同様にカップリング反応を行い、上記式(6i)で示される繰り返し単位と上記式(7b)で示されるセグメントとを含み、Mwが246,000であるポリアリーレンを得た。得られたポリアリーレンを含む反応混合物は流動性のよい溶液であった。また、該反応混合物と該ポリアリーレンを溶解しにくい溶媒とを混合することにより、前記ポリアリーレンを容易に取り出すことができた。
実施例1において、得られたモノマー溶液とニッケル含有溶液とを混合して得られる混合物中の水の量が、ニッケル錯体1モルに対して、17.4モルとなるよう、ニッケル含有溶液に水を加えた以外は、実施例1と同様にカップリング反応を行い、上記式(6i)で示される繰り返し単位と上記式(7b)で示されるセグメントとを含み、Mwが69,000であるポリアリーレンを得た。得られたポリアリーレンを含む反応混合物は流動性のよい溶液であった。また、該反応混合物と該ポリアリーレンを溶解しにくい溶媒とを混合することにより、前記ポリアリーレンを容易に取り出すことができた。
実施例1において、得られたモノマー溶液とニッケル含有溶液とを混合して得られる混合物中の水の量が、ニッケル錯体1モルに対して、1.5モルとなるよう、ニッケル含有溶液に水を加えた以外は、実施例1と同様にカップリング反応を行った。得られたポリアリーレンを含む反応混合物は流動性が乏しく、そのため、反応容器から、ポリアリーレンを取り出すことはできなかった。反応容器中のポリアリーレンの一部をスパチュラで削り取り、ゲル浸透クロマトグラフィで分析したところ、Mwは774,000であった。
実施例1において、得られたモノマー溶液とニッケル含有溶液とを混合して得られる混合物中の水の量が、ニッケル錯体1モルに対して、23.1モルとなるよう、ニッケル含有溶液に水を加えた以外は、実施例1と同様にカップリング反応を行い、反応混合物を得た。反応混合物から取り出したポリマーのMwは35,000であった。得られたポリマーのMwが用いたスミカエクセルPES 3600PのMwとほぼ同じであったことから、カップリング反応はほとんど進行しなかったことが分かった。
Claims (10)
- 溶媒、触媒量の遷移金属錯体、1種以上の芳香族ジハライド化合物、および、前記遷移金属錯体1モルに対して、水2〜20モルを含む混合物を攪拌することにより芳香族ジハライド化合物のカップリング反応を行うことを特徴とするポリアリーレンの製造方法。
- 芳香族ジハライド化合物が、式(1)
(式中、X1は独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表わす。Ar1は、2価の芳香族基を表わし、該2価の芳香族基は、下記(a)〜(f)からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。
(a)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基
(b)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基
(c)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリール基
(d)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
(e)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数2〜20のアシル基
(f)−SO2−O−で示される基を含む基)
で示される芳香族ジハライド化合物を含む請求項1記載のポリアリーレンの製造方法。 - 混合物が、さらに、式(2)
(式中、a、bおよびcはそれぞれ独立して、0または1を表わし、nは5以上の整数を表わす。Y1およびY2はそれぞれ独立して、単結合、−CO−、−SO2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−またはフルオレン−9,9−ジイル基を表わす。
Z1およびZ2はそれぞれ独立して、酸素原子または硫黄原子を表わす。X2は独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表わす。Ar2、Ar3、Ar4およびAr5はそれぞれ独立して、2価の芳香族基を表わす。ここで、該2価の芳香族基は、下記(g)〜(k)からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。
(g)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基
(h)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基
(i)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜10のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリール基
(j)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
(k)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい炭素数2〜20のアシル基)
で示される芳香族ジハライド化合物を含む請求項1又は2記載のポリアリーレンの製造方法。 - 遷移金属錯体が、ニッケル錯体である請求項1〜3のいずれか記載のポリアリーレンの製造方法。
- ニッケル錯体が、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)と含窒素二座配位子とから調製される錯体である請求項4記載のポリアリーレンの製造方法。
- ニッケル錯体が、ハロゲン化ニッケルと含窒素二座配位子とから、亜鉛の共存下で調製される錯体である請求項4記載のポリアリーレンの製造方法。
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