JP4420153B2 - ポリアリーレンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアリーレンの製造方法に関し、さらに詳細には、耐熱性、化学的安定性、透明性を利用した、電子材料や光学材料に有用な加工性の優れたポリアリーレンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香環連鎖構造からなるポリフェニレンなどのポリアリーレンは、化学的安定性、熱的安定性に優れたポリマー構造である。しかしながら、芳香環連鎖構造によるため、有機溶媒に対する溶解性が劣り、加工性に限界がある。
溶解性を向上させる手段として、可溶性基として側鎖を導入する試みが行なわれている。しかしながら、側鎖を導入することにより、耐熱性が低下したり、原料の製造が煩雑になるなどの問題がある。
【0003】
従来のポリフェニレンとしては、例えば米国特許第5,214,044号明細書、国際出願WO96/28491号明細書、ヨーロッパ特許公開第629217号公報などに記載されているポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、基本的にポリパラフェニレンからなる剛直構造を主としてなり、一部に屈曲性モノマーを共重合するなどしている。
しかしながら、これらに提案されているフェニレン連鎖からなるポリアリーレンについて、分子量調整方法については記載されていない。すなわち、ポリアリーレンの用途に応じた分子量の調整は、不可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、用途に応じた適正な分子量を有するポリアリーレンの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)ジハロゲン化芳香族化合物およびジスルフォネート化芳香族化合物の群から選ばれた少なくとも1種の芳香族化合物(以下「(A)芳香族化合物」ともいう)1モルに対し、(B)4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、および4−スルフォロニキシベンゾフェノンから選ばれた分子量調節剤0.5〜30ミリモルの存在下で重合することを特徴とするポリアリーレンの製造方法に関する。
ここで、(A)芳香族化合物は、下記一般式(1)〜(4)の群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0006】
【化3】
Figure 0004420153
【0007】
〔一般式(1)中、Xは−CYY′−(ここで、Y〜Y′は同一または異なり、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基を示す)で表される基、フルオレニレン基、または酸素原子、窒素原子もしくはイオウ原子を含む2価の有機基を示し、R1 〜R8 は同一または異なり、スルホン酸基、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリル基、またはアリール基であり、R〜R′は同一または異なり、ハロゲン原子、または−OSO2 Z(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基もしくはアリール基を示す)で表される基である。〕
【0008】
【化4】
Figure 0004420153
【0009】
〔一般式(2)〜(4)中、R9 〜R16は、同一または異なり、スルホン酸基、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基または官能基を含む1価の有機基を示し、R〜R′は、一般式(1)に同じ。〕
また、(B)分子量調節剤としては、モノハロゲン化芳香族化合物およびモノスルフォネート化芳香族化合物の群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
さらに、上記モノハロゲン化芳香族化合物またはモノスルフォネート化芳香族化合物は、電子吸引性基を有する構造のものが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリアリーレンの製造方法は、上記(A)芳香族化合物を、(B)分子量調節剤として、反応点が1箇所しかないモノマー(モノハロゲン化合物、モノスルフォネート化合物など)を重合系に少量添加し、得られるポリアリーレンの高分子量化を抑えて、分子量を調節するものである。
【0011】
なお、本発明で得られるポリアリーレンの具体例としては、特に限定されるものではなく、いかなるものでもよいが、例えば、上記一般式(1)〜(4)に対応する(A)芳香族化合物を、遷移金属化合物を含む触媒系の存在下で(共)重合して得られるものである。
本発明により得られるポリアリーレンについて、以下、説明する。
【0012】
まず、上記一般式(1)で表される(A)芳香族化合物から得られるポリアリーレン(以下「ポリアリーレン(1)」ともいう)について、説明する。
上記一般式(1)で表される繰り返し構造単位の−CYY′−のY〜Y′のうち、ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが、またアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
【0013】
また、上記一般式(1)において、Xとしての2価の有機基としては、酸素原子、窒素原子もしくはイオウ原子を含む2価の有機基が挙げられる。この2価の有機基としては、−O−,−CO−,−COO−,−CONH−,−S−,−SO−,−SO2 −,−NHCONH−などの官能基が挙げられる。
これらの中で、−O−,−CO−,−CONH−,−SO2 −が、得られるポリマーの重合度、機械的性質、耐熱性の観点から好ましい。これらは、1分子中に複数個含まれていてもよく、また、官能基の種類は問わない。
【0014】
さらに、上記一般式(1)中のR1 〜R8 のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子などが、アルキル基としては、メチル基、エチル基などが、ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが、アリル基としては、プロペニル基などが、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
一般式(1)において、Xとしては、−C(CF3 2 −、−C(CF3 )(C6 5 )−、フルオレニレン基、特にフルオレニレン基が好ましい。
【0015】
また、上記一般式(1)中、R〜R′は同一または異なり、ハロゲン原子、または−OSO2 Z(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基もしくはアリール基を示す)で表される基である。
一般式(1)において、Xとしては、−C(CF3 2 −、−C(CF3 )(C6 5 )−、フルオレニレン基が好ましく、R〜R′としては、−OSO2 Zで表される基や、塩素原子,臭素原子が好ましい。
上記一般式(1)中、R〜R′のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。また、一般式(1)中、−OSO2 Z中のZを構成する、アルキル基としてはメチル基、エチル基などが、ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
【0016】
上記一般式(1)で表される芳香族化合物の具体例としては、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン
などが挙げられる。
【0017】
また、一般式(1)で表される芳香族化合物の具体例としては、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)
などが挙げられる。
【0018】
さらに、上記一般式(1)で表される芳香族化合物の具体例としては、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン
などが挙げられる。
【0019】
さらにまた、上記一般式(1)で表される芳香族化合物の具体例としては、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン
などが挙げられる。
【0020】
さらにまた、上記一般式(1)で表される芳香族化合物の具体例としては、
Xとして上記官能基を有する芳香族化合物として、ビス(4−クロロフェニル)エーテル、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、2,4′−ジクロロベンゾフェノン、4−クロロ安息香酸−4′−クロロフェニル、3−クロロ安息香酸−4′−クロロフェニル、3−クロロ安息香酸−3′−クロロフェニル、4,4′−ジクロロベンズアニリド、3,4′−ジクロロベンズアニリド、3,3′−ジクロロベンズアニリド、ビス(4−クロロフェニル)スルフィド、3−クロロフェニル−4′−クロロフェニルスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)スルフィド、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、3−クロロフェニル−4′−クロロフェニルスルホキシド、ビス(3−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、3−クロロフェニル−4′−クロロフェニルスルホン、ビス(3−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−クロロフェニル)尿素、3−クロロフェニル−4−クロロフェニル尿素、ビス(3−クロロフェニル)尿素など挙げられる。
これらのうち、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどが、得られるポリマーの分子量、耐熱性、溶解性の観点から好ましい。
【0021】
次に、上記一般式(2)〜(4)で表される芳香族化合物から得られるポリアリーレン(以下、それぞれ、「ポリアリーレン(2)」、「ポリアリーレン(3)」、あるいは「ポリアリーレン(4)」ともいう)について、説明する。
【0022】
本発明で得られるポリアリーレン(2)〜(4)は、上記一般式(2)〜(4)で表される芳香族化合物を、遷移金属化合物を含む触媒系の存在下に、重合溶媒中で重合することにより製造される。
【0023】
上記一般式(2)で表される芳香族化合物の具体例としては、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、p−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,5−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、2,5−ジブロモ−p−キシレン、2,5−ジヨード−p−キシレン、2,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,5−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,4−ジクロロ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジヨード−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,5−ジクロロベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−4′−フェノキシベンゾフェノン、2,5−ジブロモベンゾフェノン、2,5−ジブロモ−4′−フェノキシベンゾフェノン、2,5−ジクロロベンジルクロリド、2,5−ジブロモベンジルクロリド、2,5−ジクロロベンズアミド、2,5−ジブロモベンズアミド、2,5−ジクロロ安息香酸フェニル、2,5−ジブロモ安息香酸フェニルなどが挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼン、p−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロベンゾトリフルオライドである。
【0024】
上記一般式(3)で表される芳香族化合物の具体例としては、4,4′−ジメチルスルフォニロキシビフェニル、4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジプロペニルビフェニル、4,4′−ジブロモビフェニル、4,4′−ジヨードビフェニル、4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジフルオロビフェニル、4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′,5,5′−テトラフルオロビフェニル、4,4′−ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4−メチルスルフォニロキシオクタフルオロビフェニルなどが挙げられ、好ましくは4,4′−ジメチルスルフォニロキシビフェニル、4,4′−ジブロモビフェニル、4,4′−ジヨードビフェニル、4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジプロペニルビフェニルである。
【0025】
上記一般式(4)で表される芳香族化合物の具体例としては、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジブロモトリフルオライド、3,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−4′−フェノキシベンゾフェノン、2,4−ジブロモベンゾフェノン、2,4−ジブロモ−4′−フェノキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンジルクロリド、2,4−ジブロモベンジルクロリド、2,4−ジクロロベンズアミド、2,4−ジブロモベンズアミド、2,4−ジクロロ安息香酸フェニル、2,4−ジブロモ安息香酸フェニル、2,4−ジクロロ−4′−メチルベンゾフェノンなどが挙げられ、好ましくはm−ジクロロベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライドである。
【0026】
以上の一般式(1)〜(4)で表される芳香族化合物のうち、耐熱性、機械的性質、溶解性付与の機能性能のバランスの面から、(1)または(2)で表される屈曲性基を主鎖に含む芳香族化合物の少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0027】
上記一般式(1)〜(4)で表される芳香族化合物の群から選ばれた少なくとも1種の共重合比は、一般式(1)で表される化合物が好ましくは5〜100モル%、さらに好ましくは10〜90モル%、一般式(2)〜(4)で表される他の化合物が好ましくは0〜100%、さらに好ましくは10〜100モル%である。
一般式(1)で表される芳香族化合物を、全化合物中に、好ましくは5〜100モル%、さらに好ましくは10〜90モル%用いると、耐熱性、機械的性質、溶解性の向上に効果がある。
一般式(2)で表される芳香族化合物を用いる場合には、その割合は、全化合物中にに、好ましくは0〜100モル%、さらに好ましくは0〜90モル%である。この範囲内であると、良好な耐熱性が得られる。
一般式(3)で表される芳香族化合物を用いる場合には、その割合は、全化合物中に、好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜20モル%である。この範囲内であると、良好な耐熱性が得られる。
一般式(4)で表される芳香族化合物を用いる場合には、その割合は、全化合物中に、好ましくは0〜80モル%、さらに好ましくは0〜70モル%である。この範囲では、良好な溶解性が得られる。
【0028】
本発明で得られるポリアリーレンは、(A)ジハロゲン芳香族化合物およびジスルフォネート化芳香族化合物もしくはそのいずれか一方からなる芳香族化合物〔例えば、上記一般式(1)〜(4)の群から選ばれた少なくとも1種〕を、(B)分子量調節剤の存在下、かつ遷移金属化合物を含む触媒系の存在下に、重合溶媒中で重合することにより製造される。
【0029】
ここで、(B)分子量調節剤は、得られるポリアリーレンの高分子量化を止めるために、反応点が一箇所しかないモノマー(モノハロゲン化芳香族化合物、モノスルフォネート化合物)である。この(B)分子量調節剤を一般式で示すと、例えば、R−φ、R−φ−T、R−φ−T−φなどで表される。ここで、Rは、上記に同じであり、ハロゲン原子、または−OSO2 Z(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基もしくはアリール基を示す)で表される基、φは、ベンゼン核、Tは、1価もしくは2価の電子吸引性基で、1価の基では、例えば−CN、−NO2 、−CONR″2 (ここで、R″はアルキル基もしくはアリール基を示す)などが、また、2価の基では、例えば−CO−、−CONH−、−SO2 −、−SO−、−C(CF3 )−、−C(CF3 )(C6 5 )−、−COO−など挙げられる。
【0030】
(B)分子量調節剤は、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、4−スルフォロニキシベンゾフェノンである。
【0031】
(B)分子量調節剤の使用量は、(A)芳香族化合物1モルに対して、0.1〜100mmol、好ましくは0.5〜30.0mmolである。0.1mmol未満では、分子量を下げる効果がなく、一方、100mmolを超えると、分子量が著しく低下する。
【0032】
以上の本発明のポリアリーレン(1)〜(4)(またはこれらの共重合体)を製造する際に使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、▲1▼遷移金属塩および配位子、または配位子が配位された遷移金属(塩)、ならびに▲2▼還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
また、配位子としては、トリフェニルホスフィン、2,2′−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられるが、トリフェニルホスフィン、2,2′−ビピリジンが好ましい。上記配位子は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0033】
さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2′ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2′ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2′ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2′ビピリジン)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられるが、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2′ビピリジン)が好ましい。
【0034】
本発明の触媒系において使用することができる上記還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、酸や有機酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
また、本発明の触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられるが、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0035】
触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、上記一般式(1)〜(4)で表される芳香族化合物の総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が充分に進行せず、一方、10モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。
触媒系において、遷移金属塩および配位子を用いる場合、この配位子の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不充分となり、一方、100モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。
また、触媒系における還元剤の使用割合は、上記一般式(1)〜(4)で表される芳香族化合物の総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が充分進行せず、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になるという問題がある。
さらに、触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記一般式(1)〜(4)で表される芳香族化合物の総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不充分であり、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となるという問題がある。
【0036】
本発明で使用することのできる重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタムなどが挙げられ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、充分に乾燥してから用いることが好ましい。
重合溶媒中における上記一般式(1)〜(4)で表される芳香族化合物の総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
また、本発明のポリアリーレンを重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜80℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
【0037】
以上の一般式(1)〜(4)で表される(A)芳香族化合物を用いて得られるポリアリーレンの繰り返し構造単位は、下記一般式(1)′〜(4)′で表される。
【0038】
【化5】
Figure 0004420153
【0039】
(式中、R1 〜R8 、Xは上記に同じ)
なお、上記一般式(1)′で表される繰り返し構造単位を有する重合体の具体例としては、
ポリ(4,4′−ビフェニレン−2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)、
ポリ(4,4′−ビフェニレンメチレン)、
ポリ(4,4′−ビフェニレンジフェニルメチレン)、
ポリ(2,2′−ジメチル−4,4′−ビフェニレン−2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)、
ポリ(2,2′−ジプロペニル−4,4′−ビフェニレン−2,2−ヘキサフルオロプロピリデン)、
ポリ(2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−ビフェニレン−2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)、
ポリ(4,4′−ビフェニレン−9,9−フルオレニレン)、
ポリ(2,2′−ジメチル−4,4′−ジフェニレン−9,9−フルオレニレン)、
ポリ(2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−ビフェニレン−9,9−フルオレニレン)、
ポリ(2,2′−ジプロペニル−4,4′−ビフェニレン−9,9−フルオレニレン)、
ポリ(2,2′−ジフェニル−4,4′−ビフェニレン−9,9−フルオレニレン)、
ポリ(2,2′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジフェニルメチレン)、
ポリ(2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−ビフェニレンジフェニルメチレン)、
ポリ(2,2′−ジプロペニル−4,4′−ビフェニレンジフェニルメチレン)、
ポリ(2,2′−ジフルオロ−4,4′−ビフェニレンジフェニルメチレン)、
ポリ(2,2′,6,6′−テトラフルオロ−4,4′−ビフェニレンジフェニルメチレン)、
ポリ(2,2′−ジフルオロ−4,4′−ビフェニレン−9,9−フルオレニレン)、
ポリ(2,2′,6,6′−テトラフルオロ−4,4′−ビフェニレン−9,9−フルオレニレン)、
ポリ(4,4′−ビフェニレンメチレン)、
ポリ(2,2′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンメチレン)、
ポリ(2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−ビフェニレンメチレン)、
ポリ(2,2′−ジプロペニル−4,4′−ビフェニレン)、
ポリ(4,4′−ビフェニレントリフルオロメチルフェニルメチレン)、
ポリ(4,4′−ビフェニレンフェニルメチレン)
などが挙げられる。
【0040】
【化6】
Figure 0004420153
【0041】
(式中、R9 〜R16は、上記に同じ)
また、上記一般式(1)で表される芳香族化合物および一般式(2)で表される芳香族化合物を用いて、上記一般式(1)′および一般式(2)′で表される繰り返し構造単位からなる共重合体を得る際の反応式の一例は、下記のとおりである。
【0042】
【化7】
Figure 0004420153
【0043】
式中、m,nは繰り返し構造単位数を示し、それぞれ、0〜100の範囲であり、単独重合体および共重合体を含む。
【0044】
なお、本発明で用いられるポリアリーレン骨格を有する重合体は、核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)により、6.0〜8.5ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。また、ヘテロ原子を含むような(共)重合体においては、元素分析によって、その組成を計算することができる。
【0045】
また、このようにして得られる本発明のポリアリーレンの分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、3,000〜300,000、好ましくは5,000〜250,000である。本発明では、(B)分子量調節剤を使用することによって、特に分子量の上限値を低く抑えることができ、加工性に優れたポリアリーレンが得られる。3,000未満では、塗膜にクラックが発生するなど、塗膜性が不充分であり、また強度的性質にも問題がある。一方、300,000を超えると、溶解性が不充分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題がある。
【0046】
本発明のポリアリーレンを用いて、膜を製造するには、まず、例えば本発明のポリアリーレンを、通常、溶媒に溶解させ、基板に流延、またはスピンコートにより塗布したのち、焼成により溶媒を除去する方法や、溶融成形法などが挙げられる。
ここで、膜の厚さは、乾燥膜厚で、通常、0.1〜10μmである。
【0047】
また、上記ポリアリーレンを溶解させる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルアミルケトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、クロロホルム、塩化メチレンなどを挙げることができる。
好ましくは、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルアミルケトンである。
【0048】
上記ポリアリーレンを上記溶媒に溶解させる濃度としては、通常、1〜60重量%、好ましくは5〜40重量%である。1重量%未満であると、充分な厚さの塗膜が得られず、一方、60重量%を超えると、充分に流延せず、均一な塗膜が得られないことがある。
【0049】
本発明のポリアリーレンには、必要に応じて添加剤を添加することができる。この添加剤としては、シランカップリング剤、メチロール化メラミン、トリアゼン化合物などの架橋剤などを挙げることができる。
【0050】
本発明のポリアリーレンより得られる膜は、例えば高屈折率の光学材料用をはじめ、電子材料や表示素子用の耐熱性コーティング材、例えば層間絶縁膜、バッファーコート材、保護膜などに有用である。また、このポリアリーレンをスルホン化することによって得られるスルホン化ポリマーは、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能なプロトン伝導性の伝導膜に利用可能である。
【0051】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の各種の測定項目は、下記のようにして求めた。
【0052】
数平均分子量、重量平均分子量
数平均分子量,重量平均分子量は、溶媒にテトラヒドロフラン(THF)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
【0053】
実施例1〔ポリ(4−フェノキシ−2,5−ベンゾフェノン)の合成〕
2,5−ジクロロ−4−フェノキシベンゾフェノン24.0g(70mmol)、4−クロロベンゾフェノン0.150g(0.7mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルクロリド1.37g(12mmol)、よう化ナトリウム1.36g(52mmol)、トリフェニルホスフィン7.34g(160mmol)、亜鉛11.0g(960mmol)をフラスコにとり、乾燥窒素置換した。N−メチルピロリドン(NMP)87.5mlを加え、70℃に加熱し、20時間撹拌した。
反応液をメタノール:濃塩酸(容積比=9:1)の混合液に注ぎ、生成物を沈殿させた。沈殿物をろ過、メタノールで洗浄後、乾燥し、収量18.6g、収率97%で目的の重合体を得た。GPCで求めた重合体の数平均分子量は44,700、重量平均分子量は170,000であった。
【0054】
実施例2
実施例1で用いた4−クロロベンゾフェノン0.150g(0.7mmol)の代わりに、4−クロロベンゾフェノン0.300g(1.4mmol)を用い、実施例1と同様に重合、後処理を行い、収量18.3g、収率96%で重合体を得た。GPCで測定した数平均分子量は31,300、重量平均分子量は94,600であった。
【0055】
実施例3
実施例1で用いた4−クロロベンゾフェノン0.150g(0.7mmol)の代わりに、4−クロロベンゾフェノン0.760g(3.5mmol)を用い、実施例1と同様に重合、後処理を行い、収量18.8g、収率98%で重合体を得た。GPCで測定した数平均分子量は15,400、重量平均分子量は37,600であった。
【0057】
比較例1
実施例1で用いた4−クロロベンゾフェノン0.150g(0.7mmol)を加えることなく、その他は実施例1と同様に重合し、後処理を行った。収量18.4g、収率96%で重合体を得た。GPCで測定した数平均分子量は63,100、重量平均分子量は302,000であった。
【0058】
実施例5(2,5−ジクロロ−4−フェノキシベンゾフェノンと4,4′−ジクロロベンゾフェノンの共重合体の合成)
実施例1で用いた2,5−ジクロロ−4−フェノキシベンゾフェノン24.0g(70mmol)の代わりに、2,5−ジクロロ−4−フェノキシベンゾフェノン21. 6g(63mmol)と4,4′−ジクロロベンゾフェノン1.75g(7mmol)を用いた。その他は、実施例1同様に重合、後処理を行った。収量18.0g、収率98%で重合体を得た。GPCで測定した数平均分子量は69,800、重量平均分子量は222,800であった。
【0059】
比較例2
実施例5で用いた4−クロロベンゾフェノン0.150g(0.7mmol)を加えることなく重合し、収量18.0g、収率98%で重合体を得た。その他は、実施例1同様に重合、後処理を行った。GPCで測定した数平均分子量は92,500、重量平均分子量は236,800であった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリアリーレンの分子量を容易に制御でき、加工性に優れたポリアリーレンが得られ、耐熱性に優れた光学材料、電子材料に展開できる。また、またこのポリアリーレンをスルホン化したスルホン酸基を有するポリアリーレンは、耐久性に優れるプロトン伝導性形成材料を与えることが可能である。

Claims (2)

  1. (A)ジハロゲン化芳香族化合物およびジスルフォネート化芳香族化合物の群から選ばれた少なくとも1種の芳香族化合物1モルに対し、(B)4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、および4−スルフォロニキシベンゾフェノンから選ばれた分子量調節剤0.5〜30ミリモルの存在下で重合することを特徴とするポリアリーレンの製造方法。
  2. (A)芳香族化合物が、下記一般式(1)〜(4)の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載のポリアリーレンの製造方法。
    Figure 0004420153
    〔一般式(1)中、Xは−CYY′−(ここで、Y〜Y′は同一または異なり、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基を示す)で表される基、フルオレニレン基、または酸素原子、窒素原子もしくはイオウ原子を含む2価の有機基を示し、R1 〜R8 は同一または異なり、スルホン酸基、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリル基、またはアリール基であり、R〜R′は同一または異なり、ハロゲン原子、または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基もしくはアリール基を示す)で表される基である。〕
    Figure 0004420153
    〔一般式(2)〜(4)中、R9 〜R16は、同一または異なり、スルホン酸基、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基または官能基を含む1価の有機基を示し、R〜R′は、一般式(1)に同じ。〕
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