JP2004107569A - ポリアリーレン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリアリーレン系重合体の製造方法は、芳香族ハロゲン化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物を反応溶液に添加して重合反応を停止させる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアリーレン系重合体の製造工程における、重合反応の反応停止方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
芳香族ハロゲン化合物をNi触媒等を用いてカップリング反応させることによりポリアリーレン系重合体が生成することは良く知られており、反応終了後は、大量のメタノール等の貧溶剤中に重合溶液を投入して、ポリマーを凝固させて回収することが一般的に行われている。
【0003】
カップリング反応では、反応後期においては逐次的に反応して生成した高分子量体同士のカップリング反応が主となるため、急激に分子量が大きくなる。このため、上記のような方法で重合反応を停止しようとした場合、重合溶液を貧溶剤へ投入するのに時間を要することから、投入しようとする間にも重合反応が継続的に進行してしまい、得られる重合体の分子量のコントロールが困難となる。この問題は、工業スケールの生産において顕著であり、また反応が小スケールで行われる場合にも発生することがある。
【0004】
この様に、従来技術では重合反応終了後の適切な反応停止方法がないため、特に工業的スケールでの生産時の分子量をコントロールする方法の出現が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の技術的課題を背景としてなされたものであり、目的とする分子量において瞬時に重合反応を停止させて、得られる重合体の分子量を容易にコントロールすることができる方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば下記ポリアリーレン系重合体の製造方法が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
(1)芳香族ハロゲン化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物を重合溶液に添加して重合反応を停止させることを特徴とするポリアリーレン系重合体の製造方法。
(2)上記芳香族ハロゲン化合物が、下記一般式(A)
【0007】
【化5】
【0008】
(式(A)中、R〜R’は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)で表される基を示し、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基およびアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Xは2価の電子吸引性基を示し、Yは2価の電子供与性基を示し、nは0または正の整数である。)
で表されるモノマー(A)と、
下記一般式(B−1)〜(B−4)
【0009】
【化6】
【0010】
(式(B−1)〜(B−4)中、RおよびR’は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)で表される基を示し、式(B−1)中、R9〜R15は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、mは0、1または2を示し、Xは2価の電子吸引性基を示し、Yは2価の電子供与性基を示し、Wはフェニル基、ナフチル基および下記式(C−1)〜(C−3)
【0011】
【化7】
【0012】
(式(C−1)〜(C−3)中、Aは電子供与性基または単結合を示し、R16およびR17は水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選ばれる原子または基を示し、R18〜R26は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、qは0または1を示す。)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を示し、
式(B−2)〜(B−4)中、R27〜R34は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基または下記一般式(D)
【0013】
【化8】
【0014】
(式(D)中、R35〜R43は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基を示し、Xは2価の電子吸引性基を示し、Yは2価の電子供与性基を示す。)で表される基を示す。)
のいずれかで表される化合物から選ばれる少なくとも1種のモノマー(B)とであることを特徴とする(1)に記載のポリアリーレン系重合体の製造方法。
【0015】
【発明の実施形態】
以下、本発明に係るポリアリーレン系重合体の製造方法について具体的に説明する。
本発明は、芳香族ハロゲン化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物を重合溶液に添加して重合反応を停止させている。
【0016】
ポリアリーレン系重合体としては、重合体の繰り返し単位の中に、フェニル−フェニル結合を含むものであれば、特に限定されない。
本発明のポリアリーレン系重合体の製造方法において、特に好ましく用いられる芳香族ハロゲン化合物としては、下記一般式(A)で表されるモノマー(A)と、下記一般式(B−1)〜(B−4)から選ばれる少なくとも1種のモノマー(B)とが挙げられる。
【0017】
【化9】
【0018】
式(A)中、R〜R’は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)で表される基を示す。
Zが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
【0019】
R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基およびアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
【0020】
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられる。
【0021】
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Xは2価の電子吸引性基を示し、電子吸引性基としては、例えば−CO−、−CONH−、−(CF2)p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−、−COO−、−SO−、−SO2−などが挙げられる。
【0022】
なお、電子吸引性基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
Yは2価の電子供与性基を示し、電子供与性基としては、例えば−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
【0023】
【化10】
【0024】
で表される基などが挙げられる。
nは0または正の整数であり、上限は通常100、好ましくは80である。
上記一般式(A)で表されるモノマーとして具体的には、例えば4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンズアニリド、ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物などが挙げられる。
【0025】
また、上記一般式(A)で表されるモノマーとして、具体的には、例えば4,4’−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4’−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物などが挙げられる。
【0026】
さらに上記一般式(A)で表されるモノマーとしては、2,2−ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、および下記式で表される化合物が挙げられる。
【0027】
【化11】
【0028】
上記一般式(A)で表されるモノマーは、例えば以下に示す方法で合成することができる。
まず電子吸引性基で連結されたビスフェノールを対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイドなどの誘電率の高い極性溶媒中でリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。
【0029】
通常、アルカリ金属はフェノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2倍当量を使用する。好ましくは、1.2〜1.5倍当量の使用である。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4’−クロロフェニルスルホン、ビス(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、下記式で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個づつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
【0030】
【化12】
【0031】
(式中、Xは一般式(A)に関して定義した通りである。)
また特開平2−159号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせ、目的の電子吸引性基、電子供与性基からなる屈曲性化合物の合成方法がある。
具体的には電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライド、例えば、ビス(4−クロロフェニル)スルホンをフェノールとで求核置換反応させてビスフェノキシ置換体とする。次いで、この置換体を例えば、4−クロロ安息香酸クロリドとのフリーデルクラフト反応から目的の化合物を得る。ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライドは上記で例示した化合物が適用できる。フェノール化合物は置換されていてもよいが、耐熱性や屈曲性の観点から、無置換化合物が好ましい。なお、フェノールの置換反応にはアルカリ金属塩とするのが、好ましく、使用可能なアルカリ金属化合物は上記に例示した化合物を使用できる。使用量はフェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルである。反応に際し、上述した極性溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。ビスフェノキシ化合物を塩化アルミニウム、3フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸のフリーデルクラフト反応の活性化剤存在下に、アシル化剤として、クロロ安息香酸クロライドを反応させる。クロロ安息香酸クロライドはビスフェノキシ化合物に対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルの使用である。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤のクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。反応時間は15分〜10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることができる。
【0032】
また、一般式(A)において、nが2以上であるモノマー(A)は、例えば、一般式(A)において電子供与性基Yであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Xである、>C=O、−SO2−、および/または>C(CF3)2とを組み合わした、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールのアルカリ金属塩と過剰の4,4−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどの活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応をN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホランなどの極性溶媒存在下で前記単量体の合成手法に順次重合して得られる。
【0033】
このようなモノマー(A)の例示としては、下記式で表される化合物などを挙げることができる。
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
上記において、nは2以上、好ましくは2〜100、さらに好ましくは10〜30である。
次に一般式(B−1)〜(B−4)で表されるモノマーについて説明する。
【0038】
【化16】
【0039】
式中、RおよびR’は互いに同一でも異なっていてもよく、上記一般式(A)中のRおよびR’と同様の基を示す。
R9〜R15は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
R9〜R15が示すアルキル基としては、上記一般式(A)中のR1〜R8が示すアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0040】
mは0、1または2を示す。
Xは上記一般式(A)でXとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子吸引性基を示す。
Yは上記一般式(A)でYとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子供与性基を示す。
【0041】
Wはフェニル基、ナフチル基および下記式(C−1)〜(C−3)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を示す。
【0042】
【化17】
【0043】
式中、Aは電子供与性基または単結合を示す。電子供与性基としては、上記一般式(A)でYとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子供与性基が挙げられる。
R16およびR17は水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選ばれる原子または基を示す。R16およびR17が示す、アルキル基およびアリール基としては、上記一般式(A)中のR1〜R8が示すアルキル基およびアリール基と同様のものが挙げられる。
【0044】
R18〜R26は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。R18〜R26が示すアルキル基としては、上記一般式(A)中のR1〜R8が示すアルキル基と同様のものが挙げられる。
qは0または1を示す。
【0045】
上記一般式(B−1)で表されるモノマーとしては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0046】
【化18】
【0047】
より具体的には、一般式(B−1)で表される化合物としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0048】
【化19】
【0049】
【化20】
【0050】
また、上記のような化合物において、塩素原子を臭素原子またはヨウ素原子に置き換えた化合物も例示することができる。
【0051】
【化21】
【0052】
式(B−2)〜(B−4)中、RおよびR’は互いに同一でも異なっていてもよく、上記一般式(A)中のRおよびR’と同様の基を示す。
R27〜R34は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基または下記一般式(D)で表される基を示す。
【0053】
【化22】
【0054】
式(D)中、R35〜R43は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基を示す。
R27〜R34、R35〜R43が示すアルキル基、フッ素置換アルキル基としては、R1〜R8が示すアルキル基、フッ素置換アルキル基と同様の基が挙げられる。またR27〜R34が示すアリール基としては、R1〜R8が示すアリール基と同様の基が挙げられる。
【0055】
Xは上記一般式(A)でXとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子吸引性基を示す。
Yは上記一般式(A)でYとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子供与性基を示す。
上記一般式(B−2)で表されるモノマーとして具体的には、例えばp−ジクロロベンゼン、p−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、2,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、1,4−ジクロロ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、およびこれらの化合物において塩素原子を臭素原子またはヨウ素原子に置き換えた化合物などが挙げられる。
【0056】
上記一般式(B−3)で表されるモノマーとして具体的には、例えば4,4’−ジメチルスルフォニロキシビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジプロペニルビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’5,5’−テトラフルオロビフェニル、4,4’−ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシオクタフルオロビフェニルなどが挙げられる。
【0057】
上記一般式(B−4)で表されるモノマーとして具体的には、例えばm−ジクロロベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、3,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、およびこれらの化合物において塩素原子を臭素原子またはヨウ素原子に置き換えた化合物などが挙げられる。
【0058】
また、4−クロロベンゾフェノンのような片末端ハロゲン化合物(フッ素を除く)を分子量調節剤として用いると、ポリアリーレン系重合体を所定の分子量に調整できる。
ポリアリーレン系重合体を製造するには上記モノマーを触媒の存在下に反応させるが、使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、▲1▼遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに▲2▼還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
【0059】
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
【0060】
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる。これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0061】
さらに、配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2’−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2’−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2’−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2’−ビピリジン)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2’−ビピリジン)が好ましい。
【0062】
上記触媒系に使用することができる還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
【0063】
また、上記触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0064】
各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
【0065】
また、還元剤の使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
さらに、「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
【0066】
使用することのできる重合溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタムなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」ともいう。)が好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
【0067】
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
また、重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
【0068】
このようにして上記一般式(A)で表されるモノマー(A)と、上記一般式(B−1)〜(B−4)で表されるモノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマー(B)を重合させることにより、ポリアリーレン系重合体を含む重合溶液が得られる。
本発明では、重合溶液に重合反応停止剤を投入することにより重合反応を停止する。
【0069】
本発明では、重合反応停止剤として、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物が用いられる。本発明において用いることができる重合反応停止剤としては、上記官能基を有する化合物であれば良く特に限定されないが、好ましい化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
【0070】
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、メタクリル酸、イソ酪酸、イタコン酸、オクチル酸、オレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、フルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸などのカルボキシル基を有する化合物;
無水酢酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水プロピオン酸、無水マレイン酸、無水酪酸等の酸無水物などの酸無水物基を有する化合物;
メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノール、アリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール化合物などの水酸基を有する化合物;
グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、乳酸エチル、グリセリン酸、ヒドロキシマロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸類などのカルボキシル基および水酸基を有する化合物;
ピルビン酸、アセト酢酸等のケトカルボン酸などのカルボキシル基を有する化合物;
グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、セリン等のアミノ酸などのアミノ基およびカルボキシル基を有する化合物;
メチルアミン、アリルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、t−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン化合物などのアミノ基を有する化合物;
プロピオンアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、アクリルアミド、シュウ酸ジアミド等のアミド化合物などのアミド基を有する化合物;
2−アミノエタノール、2−アミノ−1−ブタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール、N−メチルヒドロキシルアミン、N−エチルヒドロキシルアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミンなどのアミノ基および水酸基を有する化合物;
水などが好適に使用できる。
【0071】
これらの化合物の内、酢酸、シュウ酸、乳酸、水、エチレングリコールが特に好ましい。
これら重合反応停止剤の使用量は、重合触媒として用いられる遷移金属錯体または遷移金属塩1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは1〜50モル、さらに好ましくは10〜30モルである。重合反応停止剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。また、重合反応停止剤は、重合溶媒に溶解して重合溶液に投入することもできる。
【0072】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[オリゴマーの調整]
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)67.3g(0.20モル)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン(以下「4,4’−DCBP」ともいう。)60.3g(0.24モル)、炭酸カリウム 71.9g(0.52モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう。)300mL、トルエン 150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4’−DCBP 10.0g(0.040モル)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン(THF) 300mLに溶解した。これをメタノール 4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
【0073】
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は12,500であった。また、得られた重合体はTHF、NMP、DMAc、スルホランなどに可溶で、Tgは110℃、熱分解温度は498℃であった。
得られた重合体は式(I):
【0074】
【化23】
【0075】
で表される構造を有することが推定される。
【0076】
【実施例1】
(ポリアリーレン系共重合体の合成)
上記で得られた式(I)のオリゴマー 25.4g(2.03mmol)、2,5−ジクロロ−4’−(4−フェノキシ)フェノキシベンゾフェノン(DCPPB)29.6g(67.9mmol)、ヨウ化ナトリウム 1.36g(9.07mmol)、トリフェニルホスフィン 7.34g(28.0mmol)、亜鉛末 11.0g(168mmol)をフラスコにとり、乾燥窒素置換した。N−メチル−2−ピロリドン130mlを加え、70℃に加熱した後、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.37g(2.1mmol)を添加し重合反応をスタートさせた。
【0077】
反応スタート後2時間攪拌し、重合をおこなった。2時間反応終了後、水 0.6g(Ni触媒1molに対して16mol)を添加し、反応を停止させた。水を添加した直後のポリマーのGPC(THF)測定して求めたポリスチレン換算の数平均分子量は41,000、重量平均分子量は153,000であった。
水添加後、70℃で2時間保持した後、ポリマーの分子量をGPC(THF)測定して求めたところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は41,000、重量平均分子量は152,000であり、水を添加して反応を停止させた直後と分子量の変化は認められず、反応が完全に停止していることが確認された。
【0078】
【実施例2】
実施例1において、反応停止剤としてシュウ酸4.7g(Ni触媒1molに対して25mol)を用いた他は、同様にして重合、反応停止を行った。シュウ酸添加による反応直後のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量43,000、重量平均分子量155,000であった。また、シュウ酸添加後、70℃で2時間保持した後のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量42,000、重量平均分子量155,000であり、シュウ酸添加により反応が完全に停止していることが確認された。
【0079】
【実施例3】
実施例1において、反応停止剤としてエチレングリコール2.6g(Ni触媒1molに対して20mol)を用いた他は、同様にして重合、反応停止を行った。シュウ酸添加による反応直後のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量42,000、重量平均分子量157,000であった。また、シュウ酸添加後、70℃で2時間保持した後のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量42,000、重量平均分子量156,000であり、エチレングリコール添加により反応が完全に停止していることが確認された。
【0080】
【比較例1】
実施例1において反応停止剤である水を添加せずに、4時間重合反応を行った。反応開始から2時間の時点でポリマー溶液をサンプリングし、ポリマーの分子量を測定(GPC;THF)したところポリスチレン換算の数平均分子量は46,000、重量平均分子量は168,000であった。また4時間反応終了後のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は、数平均分子量は53,000、重量平均分子量は215,000であった。
【0081】
このことから、反応時間2時間の時点では重合反応が完結しておらず、反応停止剤を添加しないと重合反応がさらに進行し、分子量が大きくなることが確認された。
【0082】
【比較例2】
実施例1において、反応停止剤としてシュウ酸0.01g(Ni触媒1molに対して0.05mol)を用いた他は、同様にして重合、反応停止を行った。シュウ酸添加直後のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量41,000、重量平均分子量151,000であったが、シュウ酸添加後、70℃で2時間保持した後のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量49,000、重量平均分子量201,000であり、反応停止が不十分であることが確認された。
【0083】
【発明の効果】
本発明の方法により、目的とする分子量において瞬時に重合反応を停止させることができ、目的とする分子量のポリアリーレン系重合体を容易に製造する方法を提供することができる。
Claims (2)
- 芳香族ハロゲン化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物を重合溶液に添加して重合反応を停止させることを特徴とするポリアリーレン系重合体の製造方法。
- 上記芳香族ハロゲン化合物が、下記一般式(A)
で表されるモノマー(A)と、
下記一般式(B−1)〜(B−4)
式(B−2)〜(B−4)中、R27〜R34は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基または下記一般式(D)
のいずれかで表される化合物から選ばれる少なくとも1種のモノマー(B)とであることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレン系重合体の製造方法。
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